江蓮「雨の日」(13)



江蓮「あー!さみぃー!」

4月、俺は高二になった。
その日は雨が降っていた。

江蓮「最近は19~21度ぐらいだったのになあ、
雨が降っただけでこれかよ。」

そう、今日は特別に寒かった。
何故かは分からないが、白い息が出るほどだった。

江蓮「早く家に帰って、あったまらねえと。」


江蓮「ん!?」

俺は驚いた。
こんか寒い中、しかも雨も降っているというのに

ずふぬれになって座り込んでいる女がいた。

体育座りをしながら、顔はうつむいていた。しかも裸足で、薄着だ。
絶対なにかあったに違いない!

俺はすぐさま近くに駆け寄った。
江蓮「すみません。」
女「………」
江蓮「…あ、あのー、大丈夫て

体育座りをしながら、顔はうつむいていた。しかも裸足で、薄着だ。
当然そんな格好だ。
とても震えている。でも何故か、
何かに怯えている。ようにも見えた
絶対なにかあったに違いない。
俺はすぐさま近くに駆け寄った。


江蓮「すみません。」
女「………」
江蓮「…寒くない?」
女「…………」コクッ

女が頷いた。
そうだろう、こんな中寒く無いはずがない。

江蓮「…そっか、そうだよな……」
江蓮「これ、貸してやるよ。」

そう言って俺は、上着と傘、
そして、赤いマフラーをあげた。
もちろん被せてやった。


江蓮「そんじゃあな。
これでもう寒くねえだろ?」

そして俺が立ち去ろうとした瞬間、
女が、唇を噛み締め、泣きながらこう言った。
「ありがとう」と。

数日後

江蓮「はあ、大分良くなってきたな。それにしても風邪を引くとはなあ」
江蓮「まあ、当たり前か」


あの後俺は帰った。
もちろん風邪を引いた。傘や上着、そしてマフラーを
貸してしまったためだ。

江蓮「しっかし酷えよなあ、飯ぐらい作ってけよ。こっちは病人だぜ?
   いくら仕事が忙しいからってよ~。あーだりぃ」

そう俺の親は仕事中だ。
仕事は夜まであって、しかもとても忙しい。
だから俺は、自分で料理をすることが多くなった。

江蓮「今日はいらねえや。」

江蓮「......今日も雨か。思い出すなあ」



『ありがとう』


江蓮「.........綺麗だったなあ///もう一度でも良いから、"会いたい"」
江蓮「......喉乾いたな。ジュースでも買いにいくか」

自販機

江蓮「コッコアーコッコアー♪」ピッガタンッ
江蓮「ゴクゴク、ふう!やっぱ寒い日にはココアが一番だぜ!」

江蓮「しっかし、寒いなあ。...明日この雨、やむかな~?」


? 「やまないよ」

ふと自分の背後から声が聞こえた。
驚いて後ろをふりむいてみると。そこには、


彼女がいた。


そう、あのとき、あの雨の日に出会った女だ。

江蓮「...!な、なんでやまねんだよ」
女「......知らない、でもやまないと思う」ウルウル
江蓮「え、ちょちょちょ待てよ!泣く「探してました!!!!」ダキッ

突然のことだった。驚いた。多分生きてるなかで、
一番驚いたと思う。それに加えて、胸がとても張り裂けそうになった。
緊張してる。彼女に聞こえるのではないのか?
と思うほど、心臓がバクバク鳴っている。

江蓮(お、落ち着け!!ま、まず落ち着かねえと、でも
ヤバい!!すっげえヤバい!!む、胸があ、当たってるっ!!早くはなれねえと!!)

江蓮「さ、探してた?そ、そっか!じゃあ見つかって良かったな!」

江蓮「それで、一旦だくのやめようぜ?///」

女「......うん」

江蓮「それと雨降ってるからどこゆっくり話せる場所に行こうぜ?な?///」

それから俺たちは、どこか雨宿りができるところを探した。
探す間もヤバかった。なんせまだ、心臓がバクバク鳴っていたからだ。
でも結局は俺の家になった。親は多分まだ帰ってこない。
安心だ。いや安心できない。なぜなら

江蓮(二人っきりじゃねえかー!!!!どうしよう。思わず家に入れちまったけど)

女「」

江蓮(喋らない。気まずい。そうだ!!まだ名前聞いてねえ!!)

江蓮「あ、あのさあ。そう言えばさあ。まだ、名前聞いてねえな///」

江蓮「お前、なんて言うんだ。名前?」

三笠「名前、私の名前は"三笠"」



このはなしは江蓮と三笠のラブストーリーである。

江蓮「三笠!?そ、そうか三笠って名前なんだな」

江蓮「良い名前じゃん!」

三笠「......///」コク

江蓮「えーっと、次は俺だな。俺は江蓮だ。」

三笠「江蓮?江蓮江蓮江蓮江蓮、江蓮!!」

江蓮「うおっ!!だ、大丈夫か?」

三笠「...江蓮はとっても優しい、命の恩人」

江蓮「優しい!恩人!??まあ、あんな状況だったしな」

三笠「......それとかっこよくって、私の.........///」

江蓮「ん?なんかいった?」

三笠「///」ブンブン

江蓮「そう........」

江蓮(やっぱ綺麗だ!)


艶のある長い美しい黒髪、その白い肌に目立つ赤い唇、
吸い込まれるようなその瞳。そして、整った顔立ち。
それはまるで『人形』のようだ。


江蓮(仕草や反応もめっちゃかわいいし。んっ?俺もしかして、
三笠に"恋"してる?)


そう、俺は恋をしてしまった。多分もうあの時からだろう。
あの日、初めて三笠にあった、あの日に。

江蓮「............」ジー

三笠「江蓮......そんなに見つめないでほしい///とても恥ずかしい///......」カオマッカ

江蓮「あっああー!///ごめん!!」フイッ

江蓮「そのあんまりにも...いやなんでもねえ///」

三笠「そう///.........江蓮いきなりだけど、お風呂を貸してほしい」

江蓮(ふろぉーーー!??み、三笠が俺んちの風呂に!?てかなんでだ?)

江蓮「いやっ、それはいいんだけどよお」

江蓮「なんでなんだ?」

三笠「...恥ずかしい、でも言う」

三笠「実は、私の昨日江蓮と出会った時からお風呂に入ってなくて...」

江蓮「お前、"家"で風呂浴びなかったのか?」

三笠「......理由は後で言う。ので、とにかく今はお風呂に入らせて欲しい」

江蓮「お、おう。そんじゃあ、玄関の近くにあるから入ってこい」

三笠「ありがとう!江蓮!」



 ガチャバタンッ 


江蓮「.........なんか初めて喋ったきがしねぇ、なんでだ?会ったのまだ二回目だぞ?......」

江蓮「誰かに似ている気がする............っ!?」

江蓮「......考えないようにはしてたけど、思いだしちまったな。だって"あいつ"と三笠」

江蓮「すっげえ似てたし。何よりもあの"目"と雰囲気」


<ガチャン、タダイマー!


江蓮「んっ!!?」トケイ チラッ


びっくりだ。母さんが帰ってきた、しかもこのタイミング。
いつもならこの時間帯には帰ってこないはず。しかし今日は違うようだ
それにしても、運が悪すぎる。


江蓮「か、母ちゃん?!!」オドオド(ヤバい風呂には三笠がいる!)

カルラ「そうよ?お母さん以外に誰がいるのよ、お父さんは海外で仕事中よ?」ガチャ バタンッ

江蓮「そ、そうだったな、はははははは」

カルラ「フフッ、どうしたのあんた?」

江蓮「い、いやなんも」

カルラ「あっ、そうまあいいわ、母さん仕事で疲れちゃって。スッキリしたいから」

カルラ「"お風呂に"でも入ろうかしら」

江蓮「!!」(やべぇー!!!!今風呂に入られたらすっげぇ困るぅー!!!!なんせ風呂には三笠がっ)


江蓮「あと30分ぐらい待ってくんねぇ?」(ここは死守せねば!!)

カルラ「なんでよ」

江蓮「いや~その~、先に入りたいやらなんやら」アセアセ

カルラ「ん?」

江蓮「まあ!!その、とにかくお風呂を先にはいりたい!」

カルラ「なんか今日のあんたへんよ? う~ん......なんか隠してない?」

江蓮「っ!!!!??な、なにも!!か、かかか、隠してないよ、よよっ!??」アセアセ



カルラ「...」(家の息子、こんなに嘘へただっけ......ハァ、わかりやすい)

江蓮「??ど、どうしたの?お、お母さん?」

カルラ「...お風呂、見に行かせてもらいます」スタスタ

江蓮「えっ!!?ちょっ、母さん!」

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