P「もう少し休みを増やして欲しいんですが」 (31)

P「もう少し休みを増やして欲しいんですが」
高木「本気で言ってるのかね?」
P「最近、みんなの人気も安定してきたので、そろそろ少しお休みを…」
高木「……」ハァ

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高木「キミね、確かに最近アイドル諸君の活躍は目覚しいよ」
高木「けど、だからこそ今頑張らなきゃいけない」
高木「アイドル達が頑張ってるのに、キミが休んでたらアイドル達の頑張りが無駄になるだろう?」
P「みんなからも休むように言われたのですが……」
高木「アイドル達に?」

高木「キミね、アイドルに気を使うのがプロデューサーなのに、そのプロデューサーがアイドルに気を使われてどうするんだい」
高木「キミには、まだプロデューサーとしての自覚が足りないんじゃないか? それなのに、休みだけは一人前に取ろうというのかい?」
P「……」

P「では、いつ頃なら休みを取れるでしょうか?」
高木「んー、みんながもっと人気が出たらかな」
P「……半年前も、社長は同じ事を言っていましたが」
高木「ん? 何かね? まさか不満があるのかね?」
高木「別にここが合わないんなら、辞めてくれてもいいんだよ?」ニヤニヤ
P「ではそうさせて頂きます」スッ
高木「まあ、よそに行っても……え?」
つ辞表

高木「え、いやいやいや」

高木「エ、エイプリルフールはもう過ぎたんだが」アセアセ

P「知ってますよ」

高木「あ、あれか、ドッキリなんだね! 人が悪いなぁ!」

高木「カメラ、カメラはどこだい!?」キョロキョロ

P「今度はぐらかされたら、出すと決めていたので」

P「今月分の給料はいりませんので、本日付で辞めさせてもらいます」

高木「ま、待ちたまえ! キミが抜けたらみんなは…」

P「社長が面倒を見ればいいでしょう」

高木「」

P「今までありがとうございました」

P「ついに出してしまった……」

P「いや、ここで思いとどまっても、また何度でも同じ事が繰り返されるだけだ」

P「……明日からどうするかな」

黒井「ん? 入社希望?」

秘書「はい。ジュピターのプロデューサーとして、雇用希望とのことですが」

黒井「はっはっはっ、私のジュピターをプロデュースしようとは、また業界を舐めた奴もいたもんだ」

黒井「どこの馬の骨か知らんが、私自ら圧迫面接をしてやろうじゃないか!」

P「御社に入社希望の、Pと申します。今日はよろしくお願いします」

黒井「」

黒井「え?」

黒井「今日はエイプリルフールじゃないんだが」

P「はい。今日は4月7日です」

黒井「そ、そうだな、うむ」

黒井(何だ? ウチに潜入して765プロに情報をリークするつもりなのか? いかにも高木が取りそうな手だが……)

黒井(ここはひたすらに圧迫して、ボロが出ないか探るか)

黒井「んんー、履歴書を見る限り実績はあるみたいだが、ウチは765プロみたいな甘ちゃんじゃないぞ」

黒井「まず、週に休みは1日だけだ。それも曜日は不定だ!」

P「え、週休もらえるんですか!」

黒井「は?」

黒井「…参考までに聞くが、765プロでは、休みはどのくらいだった?」

P「えーと…最後に休んだのは、2ヶ月前でした」

黒井「」

黒井「そ、そうか」

黒井「……だが、新入りが高い給料がもらえると思うなよ。成果が出るまでは、月給は25万だ!」

P「え、そんなにもらえるんですか!」

黒井「は?」

黒井「……参考までに聞くが、765プロでは……」

P「手取りで10万でした」

黒井「」

黒井「そ、そうか」

黒井「……だがな、だがなだがな! ウチでは基本的にプロデューサーを雇っていない!」

黒井「それでもなお、ウチにプロデューサーとして入りたいのなら、それ相応の働きをしてもらうぞ!」

黒井「担当アイドルの3人の営業、レッスン、宣伝やメンタルの管理まで、全部一人でしてもらうからな!」

P「あの……」

黒井「ふん! 何だ? 怖気づいたか?」

P「3人だけでいいんですか? 765プロでは13人の面倒を見ていたんですが……」

黒井「」

黒井「」

春香「社長、プロデューサーさんは今日もお休みですか?」

高木「あ、ああ。彼にも少し休みをあげようと思ってね」

春香「良かったー。最近プロデューサーさん、疲れてたみたいだから、休んだほうがいいですよって言っておいたんです」

千早「私には『余裕を持て』なんて言っておいて、自分は休まず働いてましたからね」

美希「でもハニーがいないとつまんなーい」

千早「確かに、プロデューサーがいないと他のみんなも少し覇気がないわよね」

美希「みんなハニーのこと好きだもんねー。ハニーが事務所辞めたら、みんな辞めちゃったりして」

アハハハハ

高木「ま、まあ、そんなことはありえないがね!」

高木「テ、テレビでも見ようか!」

ポチッ

アナウンサー『961プロの大人気アイドルユニット、ジュピター!』

アナウンサー『先日発売した新アルバムも売れ行き大好調!』

アナウンサー『今日は、そのジュピターのミニライブにおじゃまさせてもらっています!』

翔太『みんな今日は来てくれてありがとう!』

北斗『ところで、今日はちょっとしたお知らせがあるんだ』

冬馬『今まで3人でやってきたジュピターだが、俺たちにプロデューサーが付くことになったぜ!』

P『ジュピターのプロデューサーになったPです!』

P『ジュピターがより一層輝けるよう、3人を全力でサポートしていきたいと思います!』

翔太『頼もしいねー。これからよろしくね、プロデューサーさん』

北斗『同性で年も近いし、これから色々よろしくお願いしますね☆』

冬馬『プロデューサーが加わった新生ジュピターをよろしくな!』

高木「」

高木「」

次の日、765プロには13通の辞表が届けられ、同時に961プロには13通の入社希望が届けられた。

16人のアイドルを抱えた961プロだが、黒井社長の無駄のないスケジュール管理と無理のないシフトで、961プロのアイドル部門は昨年比10倍の収益を挙げた。

1年後には、Pの時給は5倍になり、歌番組では961プロの名前を見ない日はなかった。

一方、765プロは倒産し、社長は借金まみれになり、小鳥さんは30歳独身になった。

以上です。

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