【安価】海未「色々な百合カップルがどうとかホアア!?」ことり「着いていく」 (223)

【安価】絵里「色々な百合カップルの聖夜を邪魔しに行く」希「それを見守る」

【安価】花陽「色々な百合カップルの食卓を邪魔する」凛「ご馳走になる」

【安価】穂乃果「色々な百合カップルの朝チュンを邪魔する」にこ「応援する」


既出カプ一覧

緋水風子(烈火)、ほのまき・ほのうみ(ラブライブ)、ひびみく×3・きりしら(シンフォギア)
ほむさや・ほむあん(まどマギ)、ゆうみも・みもその(ゆゆゆ)、咲和・穏憧(咲)
みこみさ(超電磁砲)、なのフェ+ヴィ(なのは)、ひめちか(神無月)、なぎしず(ストパニ)
ココ千夜(ごちうさ)、ほたこま(のんのん)、しのアリ(金モザ)、かなりさ(ガルフレ)
レッド(女)ブルー(俺ツインテ)、レイそら(カレイド)、なにゃゆか(ろこどる)、はるかな(リトバス)



安価には百合カプを入れてください
知らない奴は調べるので遅くなります
ファンタジック&エロ




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生徒会室――

海未「ことり、穂乃果とにこが帰って来たらしいのですが……」

ことり「穂乃果ちゃんもにこちゃんもよく分からないことを言ってたんだけど」

海未「ことりもですか。全く、どこに行っていたのか。私にこんな紙を押し付けて」

ことり「なあに?」

海未「どうやら旅行先が書かれてあるみたいなんですけど、人の名前のような気もしないですが」

ガチャ、バン!

穂乃果「あ、海未ちゃんことりちゃん、もう準備できた?」

海未「なんのことですか?」

ことり「どういうこと?」

ガラ!

絵里「それはね、これからあなたたちが見に行く百合カップルが書かれてあるのよ!」

海未「なぜ窓から」

ことり「絵里ちゃん、危ないよッ」

ガタガタ!

花陽「たくさんのご飯や出会いが待っているはずです!」

海未「ずっと机の下にいたんですか」


穂乃果「さあ、ことりちゃんメモの一番上を読み上げて!」

穂乃果が机の上に転がって、メモを指さした。
ことりは言われるがままに、

ことり「え? えっと」

海未ははっとする。

海未「ま、待つのですことり! 罠です!」

ことり「>>5

絵里「いやね、海未。人聞きが悪いわ。みんな通る道なのよ」

なのティア

海未とことりが光に包まれる。

穂乃果「グッドラック!」

海未「なんですか、え、ちょ、穂乃果!?」

ことり「ふえ?」

絵里「全ての百合っプルを見届けたら、帰って来られるから。それまで、頑張りなさい」

海未「せ、生徒会の仕事とか」

ガチャ―

希「うちらにお任せや!」

海未が声の聞こえた方を振り向いた瞬間、
景色は変わっていた。

ミッドチルダ――

妖精さん「起きるんです人間さん」

パンパンパン!

海未「いたッ!いたいですッ!やめてください!」

ことり「海未ちゃん大丈夫?」

妖精さん「叩くの快感……」

海未「ひいいッ!? なんですかこの生物は?!」

ことり「落ち着いて海未ちゃんッ」

妖精さん「いいですか人間さん。百合っぷるを監視するのがお役目です。お役目果たすまで帰れませんです」

そう言って、羽の生えた人形は飛び去っていった。

ことり「そういうことなら、早く見届けて元の世界に帰ろう、海未ちゃん」

海未「ことり、順応性高すぎです」

ことり「あ、あの人達じゃない?」

海未「ひいッ」

ことり「きゃッ!?」

海未は身を隠すため、ことりを路地裏へと連れ込んだ。






なのは「ねえ、ティアナこれなんかどうかな? けっこう殴ったり殴られたりしても痛くないみたい」

端末を操作する教導官の横顔は、まるで学生だった。
彼女の見ていた、スポーツ用品の電子カタログを横目で見やる。

ティアナ「ヴィヴィオにストライクアーツの型の練習を頼まれただけなんですよね? でしたら、別にそこまで防御性能にこだわらなくても……って、なのはさん?! どうされたんですかしゃがみこんで!?」

なのは「ティアナ……私が運動できないの知ってるよね?」

ティアナ(にわかには信じ難いけど、そう言えばフェイトさんが言ってたっけ。小学生のなのはは固かったって……)

ティアナ「身体がかたいと言うのは聞いてます」

なのは「え? だ、だれ? そこまではバラしてないのにッ」

ティアナ「あー……」

なのはなティアナの肩を掴んで揺らす。
その仕草だけ見ると、まるで1児の子を持つ母には見えない。

なのは「フェイトちゃん? フェイトちゃんでしょ」

ティアナ「落ち着いてくださいなのはさん」

ティアナ(慌ててるなのはさんて、なんか可愛いなあ)

なのは「……まあ、いいの。私の体の固さは。それより、まだ体力でヴィヴィオに負けたくないの」

ティアナ「でも、もうなのはさんもにじゅうむむッ」

なのは「ティアナ? 歳のことは言わないの。頭冷やしちゃうよ?」

ティアナ「すいません!」サッ

なのは「今度言ったら、冷えピタおでこに貼っちゃうからね」

ティアナ(冷えピタ? 地球のなにかかな)

なのは「……ふふッ」

ティアナ「どうしたんです?」

なのは「ちょっと訓練の時のこと思い出したんだ」

ティアナ「それって、私とスバルの同時攻撃を止めた時の事ですか……?」

なのは「うん」

ティアナ「忘れてください……」

なのは「忘れられない。あの時ね、本当は……」

ティアナ「本当は?」

なのは「ティアナ、私のこと嫌いになっちゃうかもなんて……思ったんだ」

ティアナ「……えっと」

なのは「あ、何だか疑いの眼差し」

ティアナ「だって、あの時は、むしろ私が取って食われるかと思いましたもん」

なのは「何を言ってるの?」

ティアナ「あ、いえ……そんなこと全然おくびにも出さなかったじゃないですか」

なのは「だって、あなたの教官だもん」

ティアナ「ふふ……私、今こうやってなのはさん達の歳に追いついて……歳の話じゃないですから! 思うことがあるんです」

なのは「うん」

ティアナ「私、なのはさんに全然追いついてないなって」

なのは「……」

ティアナ「なのはさんは、いつの間にかヴィヴィオのお母さんになって、家を買って、どんどん進んでいくのに……」

なのは「ティアナ?」

ティアナ「……なのはさん」

ティアナは自分より少し背の高いなのはを見上げる。

ティアナ「待ってはくれませんよね」

なのは「時間は止められないからね」

ティアナ「からかわないでください……分かってるんです。フェイトさんがいるし……」

なのは「ねえ、ティアナ、昔こんなこと聞いたの覚えてる? 魔法力で勝てない相手に魔法で挑んでも負ける」

ティアナ「なら、それ以外の部分を磨いて、総合力で上回る」

なのは「うん、そう。それでダメなら別の方法を考える」

ティアナ「諦めるなってことですか」

なのは「悔いのないようにねってこと」

ティアナ(この人は、自分のことなのに……参っちゃうな)

ティアナ「わかりました」

なのは「にゃはは」

ティアナ「フェイトさんには負けません」

なのは「フェイトちゃんは、強いよ?」

ティアナ「ええ、知ってますよ。ストライクアーツの模擬戦、フェイトさんもやられるんでしたっけ」

なのは「うーん、お仕事入らなかったらたぶん」

ティアナ「ふふふ……ちょっと、裏のお店にも寄りましょうかね」

なのは「ティアナ怖いよ……」

ティアナ「やると決めたら徹底的に研究するのが私の長所ですから」

なのは「ほんと? よーし、これでヴィヴィオに勝てる!」

ティアナ「なのはさんて、いつまでも若々しいですよね」

なのは「そう? ティアナは綺麗になったよね。髪下ろしてるのは可愛いし」

ティアナ「ぶッ……急にさらっとそういうこと挟んでこないでくださいよ」

なのは「?」

ティアナ(フェイトさんに負けたくなくて……しましたなんて言えない)

なのは「あ、ティアナ」

なのはがティアナの手を握る。

ティアナ「は、はいッ……」ドキドキ

なのは「ちょっとケーキ食べていかない?」

ティアナ「……おばちゃんくさいです」

なのは「……」

ティアナは駆け出した。
なのはは無言で後を追いかける。

なのは「ティアナ、昔はそんな風にからかわなかったのに……!」

ティアナ「だって、なのはさんは八神司令と私たちのことからかってばかりだったじゃないですか。お返しです」

なのは「私、はやてちゃんほどじゃないもんッ」

ティアナ「えへへ……ッ」

大の大人2人、街の中を駆ける。

ティアナ(何してるんだろう……でも、すごく、幸せ)

ティアナ「無理に走らなくても大丈夫です。待ってますから」

ティアナは言って、なのはに笑いかけた。

海未「……」

ことり「いいなあ」

海未「ことり!?」

ことり「私も大人になっても……」

海未(なっても……?)

ことり「誰でもいいから、あんな風に仲のいい人と一緒にいたい」

海未「……うう」ジワ

ことり「なんで、泣いてるの?」

海未「いえ……」

海未(誰でもいいんですか……ことり……)

ことり「すごく良いものが見れたねー」

海未「ええ、次の人達は……>>18

りせと直斗(P4)

分からないので調べてきます
今日はここまでです

ことり「どこに行ったらいいのかな」

海未「……さあ?」

ブオンッ

海未「いきなり空間に黒い穴が!」

ことり「海未ちゃん、なんだか、身体が引っ張られていくよー……」

ズルズルズル

海未「ことりッ!?」

ことり「あ」

キュポンッ

海未「ことりいい?!」

ガバッ――キュポンッ

丸久豆腐店――


直斗「……あの」

りせ「どうしたの?」

直斗「豆腐を食べに来ただけだったと思うのですが」

りせ「あー、うん」

直斗「どうして、僕は押し倒されてるんですか」

りせ「勢いかな」

直斗「……りせさん、アイドル再開して過密スケジュールに戻られて、少し疲れてるんじゃないでしょうか」

りせ「確かにね。ここ半月程日常会話っていう会話をしてなかった気がする」

直斗「なるほど」

今日はここまで

りせ「直斗くん、私が連絡しないとかけてきてくれないし」

直斗「忙しいと思ったので、かけませんでした」

りせ「寂しくなかったの?」

直斗「寂しくないと言ったら嘘になりますが、りせさんに迷惑をかけたくありませんし」

りせ「優しいのね」

直斗「おじいちゃんが、女性には優しくしろと」

りせ「……でも、おじいちゃんには連絡よく取るよね」

直斗「そうですね」

りせ「おじいちゃん好き?」

直斗「ええ」

りせ「私のこと好き?」

直斗「……」

直斗は顔を背けた。

りせ「女性に優しくしないと、おじいちゃんに嫌われちゃうぞ」

直斗「……おじいちゃんは私を嫌いになったりしません」

りせ「このおじいちゃん子めッ」

直斗「悪いですか」

りせ「……じゃあ、例えばおじいちゃんと事件の真相を探るのと、私とデートに行くならどっちが最優先?」

直斗「比較するものではありませんが、ここまでのりせさんの言動からデートの方がいいように思います」

りせ「賢い賢い。直斗も大人になったんだね」

直斗「そうでしょうか。では、逆に僕からも。髪の短かった頃の僕と、今の僕。本当の僕はどちらだと思いますか」

りせ「それ、正解ないよね」

直斗「りせさんが言う方が正解になります」

りせ「責任重大、かな」

直斗「良ければ決めてください」

りせ「そう、じゃあ、答えは……未来の僕かな」

直斗「……」

りせ「この先もずっと私の隣にいるであろう未来の直斗が、本当の直斗だよ。過去や今に左右されて変わっていく直斗は嘘も本当もどっちもあるから」

りせは、直斗のおでこに口づけた。

直斗「素敵な解答をありがとうございます」

りせ「女の子にもロマンが必要なの」

直斗「善処します」

りせ「胸だけ大きくなってもダメなんだよ?」

直斗「む、胸のことは放っておいてください」

りせ「やっぱり、揉んだからかな」

直斗「……ッ」

りせ「ねえ」

直斗「聞かないでくださいよ」

りせ「だって、私の方は……」

りせが直斗の腕を掴み、自分の胸を触らせる。

直斗「……ちょ」

りせ「ほら」

直斗「からかわないでくださいッ」

直斗はりせの腕を自分の方に引き寄せた。
体制を崩して、彼女は直斗の上に突っ伏する。

りせ「きゃッ」

直斗「お返しです」

直斗がゆっくりとりせの顔に唇を近づける。

ガラガラ――

りせ祖母「りせ、お客さん」

直斗「……」ピシッ

りせ「……」ピシッ

海未「ハレンチですハレンチですハレンチです」

ことり「あ、あの……」

りせ「……誰?」

りせ祖母「お店の前できょろきょろしとったんで、てっきり友だちかと」

ことり「私たちは、その……あの、えっとお」

りせ「直斗のファン?」

直斗「りせさんの追っかけじゃないんですか」

海未「あわわわ……」

ことり「海未ちゃん落ち着いて。落ち着いて逃げよう、ね」

直斗「謎の匂いがしますね」

ことりは硬直気味の海未の腕を引っ張った。

海未「ホアッ?!」

ことり「失礼しました~」

直斗「逃げたッ」

直斗は起き上がって、追いかける。

りせ「あ、ちょっと!」

りせもその後に続いた。

海未「はっ、どうして私たちは走っているのですか」

ことり「それはねー、私にもよくわからないんだ」

海未が振り返ると、超絶美形な女性が睨みながら追いかけてくるのが見えた。

海未「こ、ことり、紙、紙はいずこに……っ」

ことり「海未ちゃん、武士みたいになっちゃってるよ……っ」

ことりはポケットからリストを出した。
海未は転がりそうになりながら、読み上げる。

海未「次は>>32

友奈と園子

ことり「う、海未ちゃん足が……っ」

海未「え、ひいっ……消えていきますっ!?」

ことりの掴んでいた海未の手が消える。

ことり「海未ちゃんっ!!」





四国――
とある下着屋さん


店員「お客様、大丈夫ですか?」

海未「え、あ、はい」

海未は辺りを見回す。
どこか、ランジェリーショップに飛ばされたようだ。

海未「……ことり?」

しかし、ことりの姿がない。

海未「……え」

全く知らぬ場所で、
知るべき人がいない。

海未「こ、こと」

海未の目じりがじわりと湿る。

ことり「海未ちゃん……」

海未「ことり!」

なぜか、姿が見えない。

ことり「こっちだよー……」

どうやら更衣室にいるようだ。

海未「なぜ、そんな所に……」

ガヤガヤ――

結奈「ゆーゆ、ありがと。お店の中は自分で移動するよ」

カラカラと車いすの車輪の音が店内に小さく響いた。

海未「まさかあの二人……」

海未はとっさに、更衣室へ飛び込む。

海未「ことり、たぶんあの二人で……って、ことり?! な、なんで裸なんですか!?」

ことり「わかんない、わかんないけど……ここに来た瞬間服がパンって弾けちゃって……」

ことりが身振り手振りで説明する。

海未「隠してくださいっ!?」

目を抑えながら、海未が背中を向ける。

ことり「どうしよう……」

海未「私が服を買ってきますので……しばらくここに」

ことり「ええ?! やだよお……」

出ていこうとした海未に、ことりが後ろから抱き着いた。

海未「やわらか……っはうん」

―――
――


園子「身体が動きずらいと、下着着けるのも大変でしょ~」

友奈「そうなんだよ。園ちゃんは、どういうの使ってたの?」

園子「ワイヤレスかなぁ~。ホックとかは大変だよね、後ろに腕が回らない頃とかは」

友奈「そうなるよね……。ここって勇者御用達のお店なんだよね」

園子「うん、私もよく来てたんだ~。物を選ぶ前に、まずはゆーゆのサイズをちゃんと確かめないとね~」

友奈「あ、えっとね確か」

園子「ストップー。当てるから、待って」

友奈「えっと、あの」

園子「成長期なんて、すぐ身体のサイズが変わってしまうものなんだよ~」

友奈「は、はあ」

園子「ちょっと、お姉さんと更衣室へ行こうかぁ~」

友奈「え、いいよ! というか、何するの?!」

誤り
友奈「園ちゃん、ありがと。お店の中は自分で移動するよ」

園子は友奈の車椅子を押して、更衣室の前まで運んだ。

友奈「あ、あのまだ上手く立てな……」

園子「大丈夫だよぉ~。私、意外と力持ちだから……んしょ」

友奈の腕を自らの首へと回し、園子は友奈を更衣室へと半ば無理やり運び入れた。

友奈「どあわあああっ」

なだれ込むように、二人は更衣室へ。

園子「まずは、脱いでね~」

友奈「い、いや、ま」

友奈が着ていたワンピースを押さえつけるも、力及ばず。
ぺいっと、剥がされてしまう。

園子「へぇ~、ピンクか可愛いね。ゆーゆっぽい~」

友奈「や、あ、あの」

園子「はーい、じゃあ鏡の方向いてねぇ」

友奈は座ったまま、仕方なく園子へ背を向ける。
友奈の胸の辺りがふいにひやっとする。
神業としか言いようのない速さで、下着さえも剥ぎ取られていた。

友奈「う、うわああ!? 園ちゃん、タンマタンマ!」

園子「では、失礼しますぅ~」

ワシワシ

友奈「あははっ!? やめ、くすぐったいっ」

園子「ふむん……トップはけっこう高いねぇ」

ワシワシ

友奈「ははっ……は、え、なんで、そこっ」

園子「アンダーは、けっこう細い……羨ましいなあ」

友奈「そ、こ、そんなに強く擦らないで……」

キュッ

友奈「ひいッん……」

園子「あー、これだとぉ~、今のやつじゃ型崩れしちゃうよぉ」

友奈「そッ……はッ……なんだ」

園子「うん」

ワシワシワシワシ

友奈「ひあはははッ……ははッ……もおッ……はあッ」

園子「ハリがあって、私けっこう好きな形~」

ワシワシ

友奈「いやッ……これ以上は……ほんとに……ッ」

園子「うーん、新作で良さそうなのあったような気がする……から、どう?」

友奈「ど……うって……言われても……ッふうあ」

園子「ちょっと、持ってくるねぇ」

立ちあがって、園子が更衣室を出ていく。
友奈は鏡の中の自分が余りにもだらしないのに気が付いたが、
あの一瞬の間にどっと疲労感が押し寄せ、
壁にもたれかかり、息を調えた。

戻ってきた園子がホックなしの薄桃のブラとパンティーを友奈に差し出した。

園子「つけてあげるねぇ~」

友奈「大丈夫だよっ!? わ、まってっ」

園子の冷たい指が、ぴとりと友奈の腰へ回される。

園子「勇者様、ちょっと我慢して~」

友奈「ひっ……横から、胸、触らないでっ……よお」

園子こうやって、横のお乳をね、持ってきて……」

眠いのでここまで

友奈「うう……」

園子「で、今ねちょっとつけてる位置が低いのぉ~。だから、こう、持ち上げるようにしてずらすとぉ」

友奈「……あ、すごいっ。隙間がぴったりフィットしてる……」

園子「でしょー」

園子は鏡の中で満足げに笑った。

友奈「びっくりしてごめんね。ありがとう園ちゃん!」

園子「ううん。じゃあ、次は~、下の方も」

友奈「え?! 下はいいって! サイズ見たらだいたい分かるし」

園子は残念そうに項垂れる。

友奈「き、気持ちは大変にありがたいのですが……さすがに、下はその恥ずかしいと言いますか」

園子「え~、女の子同士だからいいじゃないのぉ」

友奈「う、そう言われるとそうなんですが……」

園子「何を遠慮することがあるの?」

友奈(と、東郷さん助けて……)

園子「今、東郷さん助けてって思ったでしょ~?」

友奈「ええ、なんで分かったの!?」

園子「顔に書いてあるよー?」

友奈は自分の頬に手を当てる。

園子「大丈夫っ。わっしー達の許可は取ってあるから! というか、みんな経験してるから安心してね」

親指を突き立てる先代勇者。

友奈「え、そっか、みんなされたんだ、じゃあ安心だね! って、そんなわけわああ?!」

有無を言わさず、園子は友奈を押さえつけて、下着をまたぺいっと迅速かつ的確に剥がした。

園子「じゃあ、頂きまーす」

友奈「今、変なこと言った!?」

園子「間違えちゃった~」

園子は友奈のお尻を掴んで、

園子「ふむふむ」

感触を確かめる。

友奈「あははっ……だめ、やめ、くすぐった……ははあっ……う、ひゃああっ……っ」



園子「おっけ~、お尻もしっかりしてるね~。はい、足上げてー」

友奈の何もつけてない下半身を掴み上げる。
当の友奈はもう気が気ではなく、必死に抵抗を試みるが、
あっけなく敗北し、下着をはかされてしまったのだった。

友奈「……はあっ、はあっ……」

園子「綺麗な身体してたよ~」

友奈「も、もうお嫁に行けない……」

園子「うち来る~?」

友奈「遠慮しておきます……」

園子「残念だー」

恥ずかしそうにもそもそとワンピースを着る友奈に、
園子はにこりと微笑んだ。

園子「外で待ってるね」

友奈「うん……」

園子がカーテンのわずかな隙間から、出ていく。
ひらりと何かが落ちた。

友奈「……なにこれ」

――勇者部サイズ一覧。
結城友奈、バスト――。

友奈「園ちゃん!?」

カーテン外

園子「ふんふん……ふん」

園子は端末で手早く文章を打ち込む。
送信先は犬吠埼風。

園子「身体周りは特に異常なし、と」

すぐに返信がSNS上に返ってくる。

―Thank you!―

背後でカーテンが開かれた。

友奈「園ちゃん……こ、これは」

園子「あ、しまった~」

園子はわざとらしく自分の頭を叩いた。

友奈「スリーサイズのランキングってどういうことっ」

園子「ごめんね、趣味で~」

友奈の肩に手を回し、立ち上がらせ車いすに乗せた。

園子「近々、部室に張り出しておくから楽しみにしててね~」

まあるく微笑みながら、園子は車椅子を引いて歩く。
友奈は頭を押さえながら、絶望を感じていた。

園子「みんなちゃんと育ってて嬉しいなあ~」

友奈「あはは……」

―――
――

海未「あの、ことり、服を」

海未は自分の上着をことりにかける。

海未「すぐ戻ってくるので!」

ことり「ああ! 行っちゃやだよっ!!」

ことりの叫びを無視して、海未はカーテンの外に飛び出した。
目の前にあったスカートとシャツを適当に見繕って、
素早く更衣室へ戻ってくる。
涙目のことりに服を渡し、自分は外で待つ。

ことり「ううっ……そこにいてね」

海未「います、いますから。そう言えば、次はどこでしたっけ」

ことり「えっとね、>>49

と、ふいにことりの声が消える。

乃々香と汐音

>>49
天体のメソッド知らんので調べてきます

>>50
知らなかったとは意外
そのみも、はるかなに比べると障害を乗り越えた感じが弱いけど、おすすめできます

>>51
約束されたにっこりが清々しかった。
乃々香と汐音の気持ちの変化がじんわり心に染み入った。
見て良かった。

海未「ことり? どうかしました?」

カーテンを開けると、そこには――。

海未「向日葵……?」

視界一面に広がる黄色。

海未「いつの間に……」

ことり「海未ちゃん……」

振り返る。
ことりが目を丸くして、立っていた。
その周囲は向日葵で囲まれていた。
一瞬の出来事だった。
更衣室は影も形もない。

海未「……」

空を見上げる。
眩しいほど青い。
肌を焦がす陽光は、夏の暑さを思い出させた。

砂利を踏む音。

ノエル「……かくれんぼ?」

ことり「近所の子かな……」

海未「あの、ここはどこでしょう?」

ノエル「えーっと……あ、ノエル今かくれんぼ中だから逃げないとだからっ……!」

少女は手足を大きく振りながらくるくると向日葵畑に消えていく。


「ノエルー? どこー?」

「はーい!」

「かくれんぼ中に返事をしてどうするのよ」

「しまったー! 今のなしねー!」

「くすくすっ」


海未「暑いですね……」

ことり「うん……」

―――
――

乃々香「ノエル見ーつけた」

ノエル「えー」

汐音「見つけたら家に帰る約束でしょ?」

ノエル「そうだねー……」

乃々香「そんなに寂しそうにされると、心が痛いなあ」

汐音「乃々香、甘やかすとろくな子に育たないわよ」

ノエル「ノエル子どもじゃないもん」

乃々香「って言ってもどこからどう見ても子どもにしか見えないんだよね。でも、実際何歳くらいなんだろ?」

ノエル「さあ?」

乃々香「さあって……」

汐音「いいじゃない、何歳でも」

乃々香「聞くだけ野暮ってことか……」

汐音「さ、帰りましょう……あ」

乃々香「どうしたの?」

汐音「帽子、どこかに置いてきてしまったみたい。先に戻っていて」

乃々香「一緒に探すよ」

汐音「ノエル、お腹空かせてるんじゃない? 今日はお父さんも早く帰ってくるんでしょ? それに買い物もまだだし」

ノエル「の、ノエル我慢……できるよ」

と、言った傍から腹の虫を奏でる。

ノエル「あり……」

乃々香「ノエルってば」

汐音「すぐに帰るから、ね」

乃々香「分かったよ。なかったら暗くなる前には戻ってきてね」

汐音「ええ」

乃々香「汐音」

汐音「なに?」

乃々香「もっと頼っていいんだよ」

汐音「改まってどうしたの?」

乃々香「ううん……さ、行こうかノエル」

ノエル「ノエルも汐音と一緒に帽子探すよ!」

汐音「今日は少し蒸し暑いし、天気が急に変わるかもしれないから先に帰っていて」

汐音はノエルの小さな頭に手のひらを乗せる。
乃々香の手に引っ張られながら、ノエルはずるずると地面に跡を残しながら去っていく。

汐音も小さく手を振り返す。

汐音(もっと頼っていいか……)

かくれんぼを始めた場所まで戻りつつ、
汐音は胸中で乃々香の言葉を反芻した。

汐音(乃々香がいてノエルがいてみんながいる……これ以上求めることなんてない)

汐音(ない……はず)

胸の谷間に汗が滴り落ちていく。
風が吹くと、潮騒のように向日葵が波立った。
ミツバチの群がりたくなるような匂いが鼻孔を惑わす。

自分を惑わす香りに、汐音は頭を振った。

汐音「さて……」

歩いても見つからないなら、
天文台に置いてきてしまったのかもしれない。

途中、茎の半ばで折れてしまっている向日葵を見つけた。
大輪を支えきれず、傾いて、汐音の前にお辞儀をするように飛び出している。

汐音は両手を揃えて一度手を叩いてから、それをちぎりとった。
どこか、似ていた。
彼女に。

立ち入り禁止のロープをまたぎ、膝丈ほど伸びた草をさくさくと踏んでいく。
一か所だけ、誰かがしゃがみ込んでいたような跡。
汐音はそれをじっと見据える。

汐音「……私が来なかったら、あなたどうするつもりだったのよ」

空間に語り掛ける。
語り掛けるものの、彼女ならば、一人でも大丈夫だったかもしれないとさえ思う。
乃々香と言う人は、そういう女の子だから。

汐音「幸せを手にすると、また、別の不幸が見えてきてしまうものなのね……」

汐音の手に握られた向日葵が揺れる。

役目を失った建物の階段を用心して登っていく。
登りきると、果たして、麦わら帽子がぽつんと床に置き去りにされていた。

汐音「ごめんなさいね……」

天井を見上げる。
両開きスリットのついたドーム型の屋根が中途半端に開かれている。
閉館してから、よく今まで残っていたものだ。

星は見えない。
円盤も。
ノエルは、一体どこから来て、どこへ帰るのか。
まだ、この世界の誰も、それを知らない。
数多の星々が、天体の広さを教えてくれる。
いつか知るだろうか。
誰かが解明してくれるだろうか。

友達のことを。

汐音「……」

でも、それなら、自分自身が一番最初に彼女と言う存在を理解したい。

汐音「宇宙か……」

右手を握りしめる。
いつまでも、微笑みをくれる少女のためにも。
いつまでもはないかもしれないから。

そして、乃々香の悲しむ顔をもう一度だって見たくないから。

湿った風が雨を呼んできた。
頬に水滴が落ちる。
汐音はややため息を吐いた。

乃々香「汐音?」

ギシリと腐った板が悲鳴を上げた。
前髪を少し濡らして、乃々香は右手に傘を持っていた。

汐音「乃々香、帰ったんじゃ」

乃々香「だって、汐音傘持ってなかったし。それにノエルは一人でも大丈夫だから」

汐音「そうね……」乃々香
乃々香「帽子あって良かった。行こっか」

汐音「ええ」

乃々香の差し出した手を取る。
彼女に歩み寄りながら、

汐音「ねえ、乃々香」

乃々香「んー?」

汐音「ノエルが……いつか」

乃々香「うん」

汐音「いなくなっても大丈夫なように、私頑張るから」

乃々香は立ち止まる。
雨粒が大きさを増し、屋根に当たって鈍い音を立て始めた。

乃々香「汐音は……」

汐音「消えたりしないから」

乃々香「……じゃあ、これから汐音のこと教えてね。好きな音楽の種類とか、写真のこととか全部全部……私にたくさん聞かせて」

汐音「ええ」

乃々香「それから、もっと私に頼って欲しい。相談してほしい……迷惑かな?」

汐音「いいえ……」

乃々香はこちらを振り向かず、
横髪を耳にかけた。
その仕草に、汐音は少し目を奪われた。

汐音「乃々香」

後ろから彼女を抱きしめる。
いつもそうだ。
彼女は私の前で強くあらねばと思っている。
どうして。
人見知りで、意地っ張りで、素直に好きだとも言えない。
そんな人間を守ろうとして。
母親との繋がりを感じようと。
彼女は時々折れた向日葵のように笑う。

乃々香「今日、泊まっていく?」

こちらを振り向いて、上目遣い。

汐音「もちろん」

そこにいることに互いに安堵して、
強く強く抱きしめ合った。

ノエル「ねえねえ! 向こうの空にね、虹ー!」

乃々香「ノエル!?」

階段を下りた所にノエルがいて、はしゃぎながら空を指さしていた。

ノエル「やっぱり戻ってきた! それより、あれあれ!」

ぴょんぴょんと、飛び跳ねる。

汐音「ええ、綺麗ね」

乃々香「うん……」

ノエル「ふふふっ」





―――
――


海未「はっくしゅんっ……」

ことり「大丈夫?」

海未「だ、大丈夫で……こ、ことり服が」

ことりの着ていたシャツが透けて、下着がしっかりと見えている。

海未「……っことり、なんてことでしょうか……」

ことり「え、あ……すぐ乾くよー」

海未「他の人に見せるわけには参りませんっ。次、行きますよ、次!」

ことり「次はね、>>64



連投なしなら下

>>64
連投大丈夫。安価に従います。
アトリエ気になってたけど、全然わからんので調べてくる。

ちょい質問
「その後の園子」読みましたか?

>>69
読んでません。
感想や内容をまとめてるサイトを調べただけです。

>>70
なーるほど
呼び方は合ってるけど時系列に少し違和感を感じたんで
無理に掲載誌を買って読むほどのものではないです

>>71
なるほど。時系列の件は申し訳ないです。

ゆうその初めて意識しましたが、いつもは主な友奈が園子といる時は従の立場になって、
たじたじだと可愛い。天然と計算の園子さんが、気遣いの多い友奈を癒してると思うとたぎりました。


>>64
りおちゃんどもり過ぎ可愛い
ロロナの声最高でした

>>72
一応どこがおかしかったかというと、
園子が勇者部に入部した時点で友奈は車椅子には乗っていない状態まで回復している、ってところです

>>73
そこかありがとう

※時系列的にはロロナのアトリエらへんだと思ってください


ロロナのアトリエ――

ロロナ「あれー? 今日は一人なの?」

リオネラ「う、うん」

ロロナ「大丈夫?」

リオネラ「な、な、なんとか」

ロロナ「師匠も言ってたんだけど、あんまり急いで大人にならなくてもいいんだよ?」

リオネラ「今日は! 今日は……ろ、ロロナちゃんっ! に! に……っ」

ロロナ「えっと、とにかく落ち着いて。落ち着いて、さっき師匠が余ったからやるって言ってた精神安定の効果がある調合薬を」

ロロナがそれをリオネラに渡そうとした瞬間、
下に転がってあった薬瓶を踏んづけてしまう。

リオネラ「ロロナちゃんっ!? ……きゃっ!?」

びしゃ!

ロロナ「ふぐあ?!」

盛大に尻もちをついて、ロロナがひっくり返る。

ロロナ「いったあ……あ」

ぴちょん――。

リオネラ「うっ……」

ロロナ「わあ!? りおちゃん!? ご、ごめんね! ごめんね!? どうもない?!」

リオネラ「うん……なんとも」

ロロナ「で、でも頭からピンクの液体がべっちょり……」

ロロナは急いで自分の洋服の裾でリオネラの頬を拭う。

リオネラ「っ……ひっぁ」

リオネラがぺたりと座り込んだ。

ロロナ「やっぱりどこか気持ち悪い!? 師匠の作ったものだから、実はちょっと用心して植物にもかけてみたんだけど、でも、枯れなかったから大丈夫かと思ったんだけど、でも、やっぱり変な薬だった!?」

リオネラの肩を、ロロナが掴んだ瞬間、

リオネラ「い、ひゃ…!?」

リオネラが仰け反って、ロロナの手を振り払った。

リオネラ「だ、だ……め……さわら……で」

ロロナ「だ、だいじょうぶっ?! ちょ、ちょっと師匠呼んでくるからね! し、師匠!! はっ?! しまった、今日は外に出ちゃってるんだっ!?」

リオネラは床にうずくまる。

ロロナ「どうしようっ、どうしようっ」

リオネラ「あつ……いっ……」

ロロナ「熱いの?! と、とりあえず、お水とってくるからっ。部屋まで、歩ける……?」

リオネラ「……っ」

顔を真っ赤にさせ、彼女は首を振った。

ロロナ「分かったっ……とりあえず、ここにいてねっ」

ロロナは腕をまくり上げ、水を汲みに部屋を勢いよく飛び出した。

リオネラ「……ロロ、ナちゃ……っ」

戻ってきた頃には、リオネラの容態はさらに悪そうな感じになっていた。

ロロナ「とりあえず、お水飲んで薄めないとっ……」

リオネラにコップを近づける。
しかし、唇に触れると彼女は激しく抵抗した。
コップが音を立てて、床に転がった。

ロロナ「の、飲んでくれない……どうしたらいいの」

リオネラ「っはあっ……あ……っ」

ロロナ「そ、そうだ! 待っててね!」

もう一度、ロロナは水を汲みに行く。
今度は、自分の口にも大量に含んで。

ロロナ「うむうっ! うむむむっ!」

リオネラに触るとまた抵抗されるので、
彼女に触れないようにして、
身をかがめて、ゆっくりと口元に自分の唇を持っていく。

リオネラ「?!!??!?!」

無理やり口をこじ開けて、水を飲むように促した。
喉の鳴る音。口から多少水が零れ落ちていくものの、なんとか飲んでくれていた。

ロロナ「ぷはっ!」

リオネラ「っひぁ……っ?! ……」

リオネラはびくびくと痙攣したような状態になっている。

ロロナ「えー! さっきよりなんかビクビクしてる?!」

ロロナはうろたえつつ、濡れたタオルで髪にかかった液体を拭っていく。
その度に、身悶えるリオネラ。

ロロナ「痛い? かゆい? しんどいの? ぐるぐるするっ?」

リオネラ「あつ……っさわ……いや、ちがっ……う」

ロロナ「な、何と戦ってるのっ!?」

リオネラ「ロ……ロナ……ちゃ」

リオネラの両目からはとめどなく涙が零れ落ちていた。
ロロナは彼女の両手を掴む。

リオネラ「!??!」

ロロナ「何が起こってるのか、全くわかんないけど、負けないでっ! りおちゃんっ」

リオネラの呼吸がさらに荒くなる。
呼吸不全でも起こしそうな勢いだ。

ロロナ「そ、そうだ、こういう時は服を脱がせないと!」

リオネラ「……っやめっ」

リオネラの声を無視して、ロロナは上半身の服を取り外す。

リオネラ「ンアぁっ……っ?!」

ロロナ「どおっ、これで少しは息苦しく……わ?! すごくプルプルし始めちゃった!? りおちゃん! しっかり!」

リオネラ「……もぉっ……げんかっ……」

ロロナ「なに? なにが限界なのっ?」

リオネラ「さ、さささわっ……て……おねが……」

涙をボロボロと流しながら、懇願するようにリオネラが言った。
目をきつく絞って、何かに耐えるように。

ロロナ「触る? さすってってこと? どこ? どこをさすったら言いの?」

リオネラ「どどど、どこでも……い、いいっ」

ロロナ「お腹とかかな……」

さすさす。

リオネラ「ぁうっ……っ……」

はだけた服の下の素肌はしっとりとしていた。

ロロナ「な、なんだかいけないことをしているような……って、違う違う! もっとさすってあげるからね!」

リオネラの腹部全体をマッサージするように、ロロナは触れる。

リオネラ「ぁぁっ……んぐっ‥…!?」

ロロナ「頑張って!」

リオネラ「ッ……や、やめッ」

ロロナ「止めてほしいの? うん、わか」

腕をひっこめるものの、なぜか腕は勝手にリオネラの体をまさぐり続ける。

ロロナ「え、ええ?! どうして、私の手勝手に動いてるのッ」

リオネラ「……や、ら……ロロ……ナちゃ……変……にッ」

ロロナ「わわわッ。手が勝手に、色んなところを触り始めた?!」

リオネラ「あぁぁ……ッああッ……ンアッ?!」

リオネラの体が一際跳ねる。

ロロナ「痙攣?!」

リオネラの口から、だらしなく涎が垂れ始めていた。

ロロナ「大変ッ。私、なぜか、ムラムラしてきた……って、こんなに苦しんでるりおちゃん見て何言ってるのッ」

リオネラ「ロロナ……ちゃん」

絞り出すように、リオネラ。

ロロナ「うんッ」

リオネラ「い……か……だ、だめぇ……で……い……か」

ロロナ「何が言いたいのかさっぱりだよ! 頑張ってッ」

リオネラ「もッ……ぉ……い、いいい……楽………にし……てッ」

ロロナ「楽にしてって言われもッ? どうすれば」

ロロナの腕が意思と反して、リオネラの下腹部に移動される。

ロロナ「ふえッ?」

リオネラ「ぁあ!? だだだだめえええッ!?」

叫ぶリオネラ。

ロロナ「違うのッ!? 違うんだよッ。手が勝手に師匠みたいにッ?!」

リオネラの股下で、獣のようにロロナの指が動き始める。
それに抗えず、ロロナはリオネラの痴態にこれ以上耐え切れず、目をつむった。

ロロナ「ごめんッごめんねッ!? やりたいわけじゃないだよッ。あ、でも、なんだか楽しいようなッ、って違う違う!」

リオネラ「もッ……ひッ……く」

ロロナは湧き上がってくる初めての感情に驚いていた。

ロロナ「なんなんだろう、これッ……!?」

リオネラ「ロ、ロ……ちゃ」

力を振り絞って、ロロナの手を退かせようとするリオネラ。
抵抗は空しく終わる。

ロロナ「う、うんッ……ほんとに、あのッ、ごめんなさいッ……」

リオネラの濡れそぼった唇に、もう一度触れた。
瞬間、リオネラの下腹部がじわりと湿った。

ロロナ「……あれ」

リオネラの絶叫がアトリエに木霊した。

アトリエの外――

ことり「……これは」

海未「ことり、一体何が起こってるんですか!?」

ことりは海未の目を塞いでいた。

ことり「見せられないよぉ」

アストリッド「ほお、これは上玉が二人も……」

ことり「あ」

アストリッド「見慣れない服だな……む? ほうほう。面白そうな素材が天から降ってきたか」

海未「だ、誰ですッ」

アストリッド「君たちこそ、私のテリトリーに無断で侵入しているわけなんだが……さて、事情は中でゆっくりと色々調べさせてもらいながら」

海未「手の動きが……ひいい」

ことり「海未ちゃん、次の人達をッ」

海未「次は、>>85です!!」

今度こそ、ビビドレのあかね×あおいで

アストリッド「……あれ?」

瞬きをし刹那の事だった。

アストリッド「消えた?」

小首を傾げ、彼女はまた窓から部屋の中を覗き込む作業へ戻った。




―――
――



あかね「途切れない気持ちがー、私の道しるべ、しゃがみ込んだここから、続く明日へ行こうー」

あおい「それ、昨日言ってた曲?」

あかね「うん、偶然チャンネル変えたら流れてたんだけど、すっごく良い曲だったよ」

あおい「そっか、今度聞いてみるね」

海沿いの防波堤の上を、両手を広げながら歩くあかねは少し危なっかしい。

あおい「……」

そんなことはない。
あかねは運動神経もいいから。
それは自分の心の問題。

あかね「あ、れいちゃーん!」

大きく手降る先に、黒髪の少女が立っている。
あおいも習って手を振った。
彼女がそのまま羽を広げて、自分とは違う場所へ行ってしまいそうな気がした。
けれど、それも、心の問題。
あおいは走り始めたあかねの背を見つめながら、小さなため息を吐いた。

今日はここまで

ため息を吐いて、しまった、と自分に言い聞かせる。
あかねはこちらを見てはいない。あおいはほっとする。
彼女に心配をかけさせることだけはしたくない。

れい「あかね、あおい……」

あかね「一昨日ぶりー! 防衛局の検査は終わった?」

れい「ええ今日の分は一応」

あおい「変なことされなかった?大丈夫?」

れい「一色博士が、色々と手配してくれたから」

あかね「おじいちゃんが、もうちょっとの辛抱だって言ってたから、あと少ししたらまた学校へ戻れるよ!」

れい「ええ……」

あおい「……」

あかね「楽しみだなあ」

れいの手を握り、左右に振って喜びをあらわにするあかね。
どことなく冴えない表情のれいに気が付いていないようだった。

あおい「れいちゃん、どうかした?」

れい「え?」

あかね「うん?」

あおい「ちょっと、元気ないような気がしたから」

れい「ああ……検査や聴取で疲れてるのかも」

あかね「じゃあ、うちで休んでいきなよっ、ね」

れい「迷惑じゃ……甘えるわけには」

あかね「甘えて甘えて! じゃんじゃん甘えて! ね、あおいちゃん」

あおい「うんっ。遠慮しないでね」

れい「二人がそう言うのであれば……」

あかねがれいの手を取り、逆の手をあおいが握る。
れいは照れくささを隠すように、マフラーに顔を埋めた。

あかね「って、しまった!」

突然あかねが咆哮する。

あおい「ど、どうしたの?」

あかね「ももに買い物頼まれてたんだっ。ちょっとぱぱって行ってくるから、先に家に行ってて」

あおい「あかねちゃん、手伝うよ?」

あかね「いいのいいの! ももに連絡入れておくから、くつろいでてねー」

あおい「あ……」

眠いので寝ます

止める間もなく、あかねは走り去っていく。

れい「相変わらず……慌ただしい人ね」

あおい「そうだね。ねえ、れいちゃん」

れい「なに?」

あおい「こうやって二人でいると、思い出さない?」

れい「……ああ」

あれは、まだ互いに敵だったと知らなかった頃。

あおい「トマトを台無しにしてしまったのをれいちゃんが気にしてたって聞いてね、ああ、悪い子じゃないんだなってずっと思ってた」

れい「そんなことないわ……私は、悪い人間だった。私利私欲のために、たくさんの人に迷惑をかけてしまったから」

あおい「でも、あかねちゃんは許してくれたでしょ?」

れいが顔を上げて、あおいを見た。
自分を追いつめるような、あの時の表情とは違う。

れい「ええ……」

あおい「れいちゃんは、あかねちゃんのこと好き?」

れい「そうね……」

あおい「良かった」

あおいは微笑んだ。彼女は照れくさそうに、再び白色のマフラーに顔を埋める。
あかねとお揃いのそのマフラーを、きっと彼女はずっと大切にし続けるだろう。

あおい「マフラーは、やっぱりまだ癖?」

れい「たまにね、思い出すの。黒い鳥を見たりすると、なんだか首筋に嫌な汗をかいてしまう」

れいは左手を首筋に当てる。

あおい「もう、大丈夫だよ」

あおいはれいの強張る手を取った。

れい「うん」























れいちゃんのことをもっと知りたいと思う自分がいる。
けれど、知りすぎてはいけないと制する自分もいる。
あかねちゃんが望むように、仲良くしていきたいと願いながら、
どうして私はこんなに臆病なのだろう。
黒騎れいに対して。

二人があかねの家に着くと、ももがエプロンで手を拭きながら、居間へ案内してくれた。
炊き上がった白米の匂い。香ばしい煮物の香り。

もも「お姉ちゃんが買い忘れですか? なんでしょう。あおいさん知ってますか?」

あおい「私にも分からないかな……」

れい「?」

もも「ま、いいや。お二人ともテレビでも見ながらお待ちください」

あおい「はーい」

れい「お邪魔します」

寝ます

ももは二人分のお茶をテーブルへ置いて、スリッパを鳴らし、また台所へと戻っていく。
れいはきょろきょろと居間を見渡していた。

あおい「どうしたの?」

れい「うん、ここは変わらないなって」

あおい「やだな、あれからそんなに時間は経ってないよ。でも、落ち着くよね。あかねちゃんの家」

れい「あおいはよく来てるの?」

あおい「たまにかな」

れい「そう、羨ましいわ」

あおい「え?」

れい「私は、そう言う人はいなかったから」

あおい「……これからそうなっていけるよ」

れいの背を押してやる。
彼女の傷が少しでも癒えたらいいと、あおいも願っていた。

鳥や植物が好きだと言う繊細な彼女の力になりたい。
あおいは視線を庭先へ向ける。物干しざおには、あかねの服が干されていた。
親友であるあかねが誰に対しても、その手を差し伸べてきたように。
自分も、人の役に立てるならと。

れい「あおい?」

あおい「あ……うんん」

れいの方を振り向こうとして、

「たっだいまー!」

威勢の良い声が家中に響き渡る。

もも「おかえり、お姉ちゃん!」

ももが鍋のふたに手をかけながら、叫び返す。

あおい「あかねちゃんだ」

あおいは笑ってれいを見た。

れい「ええ」

れいもまた苦笑していた。
仕方がない人、と言いたげな表情で。
廊下が軋む音がして、

あかね「ごめんねっ、これ! れいちゃん、好きでしょ!?」

息を切らせて、あかねが右手のレジ袋を突き出した。

れい「なにかしら……?」

あかね「マヨ!」

あおいとれいは顔を見合わせて、息をぷっと噴き出した。

あかね「ももー、トマト切ってる?」

もも「うん、お皿に盛りつけてあるから持っていっていいよ」

あかね「わーい。ととと、とまとっとまとっ」

あかねは飛び跳ねるように立ち上がって、夕食の準備を手伝い始める。

あおい「あかねちゃん、何か手伝うよ?」

あかね「いいの、いいの。お客様なんだから」

れい「でも」

あかね「ええい、黙ってまずは前菜のトマトマヨを食うべしっ」

あかねは箸でトマトを摘み、れいの口へ持っていく。

あかね「あーん」

れい「え、あ、ん」

れいはあおいの方をちらちと横目で見た。
照れくさいのだろう、とあおいは見当がついた。

れい「自分で食べるから」

あかね「そう? はい」

れい「……このやり取り、前にもあったわね」

あかね「あ、そう言えばそうだね!」

嬉しそうにあかねが頷いた。
二人の記憶。共通の思いで。
あおいは知らない。
自分の知らないあかねがいることはしょうがないこと。



話を逸らしながら、れいはひょいとトマトを頬張った。
口元を少し隠してはいるが、幸せそうだ。

あおい「ふふ、れいちゃん」

れい「なに?」

あおい「口の横に、マヨネーズついてるよ?」

れい「ど、どこ」

あおい「右の方だよ」

れいは舌先でぺろりと舐めた。
その仕草があまりにもれいらしからぬもので、あおいは笑う。

れい「あおい、笑わなくても」

あおい「ごめんね、れいちゃん」

あかね「れいちゃんって可愛いよねー」

あかねがれいに抱き着く。

れい「ちょ、ちょっと……」

拘束から逃れようと、れいが身を捩った。
バランスを崩して、あかねとれいが畳の上に転がる。
衝撃で、お皿がカタカタと揺れた。

もも「ちょっと、お姉ちゃん暴れないでよねっ」

ももが土鍋を持って、呆れ顔で二人を見下ろす。

あかね「たはは……」

れい「……」

その後、4人で賑やかに食卓を囲んだ。れいも前とは違い、心から楽しんでいるようだった。
帰り道で見た不安げな顔も、いつの間にか気配すらなくなっていた。
あかねにもそれが分かったようで、安堵する親友のちょっとした表情の変化をあおいは見逃さなかった。
夕飯の後、れいに泊まっていくようあかねは提案したが、

れい「今日は……楽しかったのだけれど」

と、保護観察中のためまだ外泊できないことを教えてくれた。
門限はあるけれど局の保護観察官の人達はみな優しいから、と穏やかな顔で帰っていった。

もも「お風呂沸かしてくるから、お姉ちゃん洗い物お願いねー」

あかね「はーい!」

あおい「じゃあ、私洗うね」

あかね「お、じゃあ、流しまーす!」

あおい「れいちゃん、喜んでくれて良かったね」

あかね「うんっ。やっぱり、トマトとマヨネーズは元気の源だったんだよ!」

あおい「それと、あかねちゃんもね」

あかね「まあ、そこが私の良いとこと言うか、そこだけが取柄と言うか」

あおい「ふふっ」

スポンジを泡立てながら、あおいはあかねの肩に頭を寄せる。

あかね「どうしたの?」

あおい「なんとなく……かな」

あかね「あおいちゃんの、甘えん坊さんめ」

あおい「ちょっとね、考えてたの。私も、あかねちゃんにたくさんもらったなって……」

あかね「何かあげたっけ?」

あおい「気持ち」

あかね「気持ち?」

あおい「きっとれいちゃんももらってる。内に閉じこもっていた時、友達になろうって……言ってくれた気持ち。嘘を信じてそして許してくれる気持ち」

あかね「……あおいちゃん」

あおい「あかねちゃんの気持ちは全部ね、私を照らしてくれてた。だから、ありがとう……」

だから、なおさら、嫉妬なんてしてはいけないのだ。
それは、あかねへのひどい裏切り。彼女は友達を大切にする人。
誰もが、彼女から何かをもらっていて、私一人の彼女ではないから。

あかね「そんなの、私だってそうだよ」

あかねが頭を寄せた。
こつんと重なる。

あかね「あの日、私が走り出せたのは、あおいちゃんのおかげだった。高い所が平気になったのはあおいちゃんがいたからだよ」

あかねの濡れた手が、あおいの手に重なる。
真っ白い泡が潰れて、二人の手を覆う。
あおいは胸鼓動がばれてしまわないかと思った。

あおい「あ、あかねちゃん……」

あかね「一人で突っ走ることばっかりでごめんね。でも、あおいちゃん、一緒に走り続けてくれるんだよね、これからも」

あおい「……うん、もちろん」

あかね「やった!」


テレビから歌が流れてくる。

あかね「あ、これこれ」



途切れない気持ちが、
私の道しるべ。
しゃがみ込んだここから、続く明日へ行こう。
君と。

一色家 お風呂

かぽん――

もも「……」

海未「……」

ことり「……」

もも「ど、どろぼうぐっ?!」

どさ、ばた。

海未「危うく叫ばれる所でした」

ことり「見つかっちゃったね……」

海未「どうして人様の家のお風呂に飛ばされたのでしょうか」

ことり「さあ」

「ももー? シャンプーってまだあったっけー」

海未「はっ、こちらに近づいてきますっ」

ことり「か、隠れるところっ」

海未「それより次のカップルは出てませんか!?」

ことり「え、えっと……あ、>>102

シャンテとセインさん(なのはvivid)

>>102
お前わかってる~~~~~~!!!

>>102
>>103
この組み合わせは、どういう所に燃えたか教えて欲しい

>>104
あとナンバーズ更生組好きなんです

>>106
教会組で組み合わせたことなかったので、
どういう視点なのかなと思いまして

ちょっと調べてみます
今日はここまでです

聖王協会本部

セイン「今日は天気がいーな。洗濯物もよく乾く」

パンパンッ

シャンテ「……」グテ

セイン「……って、シャッハなんで干されてんの?!」

シャンテ「勤務時間を少し下方修正したらこんなことに……ぐすん」

セイン「またさぼりかよ。お前も懲りないのな。その内、シスターシャッハに捨てられるぞ」

シャンテ「……シャ、シャッハはそんなことしないもん! たぶん! それに、あたしの分身がしっかり働いてたし!」バタバタ

セイン「……」

シャンテ「な、なに」

セイン「じ、実は昨日さ、騎士カリムと話してたの聞いちまったんだけど……素行の悪いシスターを無人世界に飛ばして、武者修行させるって」

シャンテ「ま、まさか」

セイン「向こう1年は帰れないらしいぜ。衣食住は自給自足。ま、あったらいいんだがな」

シャンテ「や、やだやだ!?」

セイン「あー、お前とは長い付き合いになると思っていたのに、残念だ(棒)」

シャンテ「シャッハごめんなさい! 許して!」

セイン「今から、謝ってきたら? ほら、降ろしてやるから」

――ストン

シャンテ「……う、うわああん! シャッハアアア!?」

ダダダダ――!

セイン「おお、すごい迅い。しっかり謝ってこいよー……さて、仕事仕事」

謝:シャッハなんで干され→シャンテ

執務室

ガチャ――!

シャンテ「シャッハ! ごめんなさい!」ボロボロ

シャッハ「あなたは、またノックもなしに!? って、なんですかその顔は」

カリム「あらあら」

シャンテ「いい子にするから、捨てないでください!」

シャッハ「はい?」

カリム「どうかしたの?」

シャンテ「素行の悪いシスターは無人世界で1年間武者修行させるって……」

シャッハ「ああ、その話ですか」

シャンテ「や、やっぱり」

シャッハ「規律を守れない者への処罰を考えていて出た案ですが、非人道的なので却下されましたよ。というか、なぜあなたがそんなこと知ってるんですか」

シャンテ「セインが」ゴシゴシ

シャッハ「あの子ったら、また、透過したんですね……」






セイン「……ふんふん、ふ?」クルッ

シャッハ「セイン」

セイン「あ、シャンテ謝ってましたか?」ニコ

シャッハ「あなた、先日のカリムとの会話盗み聞きしましたね?」

セイン「……げ」

執務室

シャンテ「……なんだ、セインの嘘だったんだ。良かった」

カリム「きっと、セインはシャンテが素直に謝れるように、気を遣ったんじゃないかしら?」

シャンテ「あたし、けっこう素直な方ですよ?」

カリム「あら、そうなの……ふふ」

シャンテ「うッ……」

コンコン――

カリム「はい」

シャッハ「失礼します。ただいま戻りました」

カリム「セインは?」

シャッハ「干してきました」

シャンテ「……」

カリム「あら」

外――

トタタタ

シャンテ「……セイン生きてる?」

セイン「おう……私のことはいいから、残りの洗濯物を干してくれ」

シャンテ「うん」

パンパンッ

セイン「嘘ついて悪かったな」

シャンテ「別に、いいよ……でも、あー、その」

セイン「うん?」

シャンテ「あ、あ、あー」

セイン「発声練習か」

シャンテ「違うよ!」

セイン「じゃあなんだよ」

シャンテ「さっきは、あり、がと……気遣ってくれて」

セイン「いやいや、からかっただけだって」

シャンテ「むぅ……あたしが珍しく感謝の気持ちを述べてるってのに……」カア

セイン「気持ち悪いナ」

シャンテ「セインのバカッ」

こちょこちょ

セイン「ば、ちょッ、うひゃひゃッ!?」

シャンテ「だいたい、さっきの嘘何さ! 飛ばされたら、セインとも会えなくな……あ、い、いや、なんでもないけどね!」

セイン「あ、そっち?」

シャンテ「ふんッ……」

セイン「あたしと離れるの嫌なんだ」

シャンテ「や、どっちでもいいんだよ、うん……ッ」

セイン「実は私もどっちでも構わない」

シャンテ「……え」ウル

セイン「あはは」

シャンテ「もお! あ、あたしが離れて困るのはセインの方なんだからねッ」

セイン「うん?」

シャンテ「あたしがいなくなったら、シャッハの鉄拳制裁の矛先が常にセインに向かうことになるんだよ」

セイン「それは、嫌だナ……」

シャンテ「でしょ!」

セイン「じゃあ、シャンテがいない間は自粛するか」

シャンテ「……そ、そういうことじゃなくて」

セイン「お前、さっきから私になんて言って欲しいんだよ」

シャンテ「セ、セ、セインのぶあかああ!」

キュイン――

セイン「え、こら、今セインさん身動きとれな」

シャンテ「双輪剣舞!」

ドゴオオン!

本部内渡り廊下

カラカラ――ピタッ

オットー「中庭でお姉さまが吹っ飛んでる……」

ディード「あら、汚い花火ね……」






コソッ

海未「人間が空に打ち上げられてますよッ?!」

ことり「私、初めて見るよー」

海未「私もですよッ」

カツンッ

オットー「あの、どちら様でしょう……」

海未「ひいッ」

ディード「一体、どこから侵入されたのでしょう」

ことり「えっと、あの、怪しいものではないんです」

オットー「……なるほど怪しい」

ディード「とりあえずは、シャッハの所へ」

ブオンッ――シュイン

ことり「きゃッ」

海未「こ、ことり?!」

ことり「う、動けないよッ……」

海未「何もない所から……!? な、なんですかこれッ?! 止めてください!?」

オットー「バインドを知らないとなると、管理外世界の人……?」

ディード「その判断はシスターシャッハに委ねましょう」

ことり「海未ちゃん、次のお願い!!」

海未「あ、はいッ 次は>>116

オットー「何を……」

相変わらず素晴らしい
瑞加賀

>>116
艦コレよく知らんので調べてきます

鎮守府

入渠ドッグ――


加賀「……」

赤城「加賀さん、ドッグ入りしてから妙に静かですね」

加賀「そうかしら」

赤城「もしかして、さっき怒ったこと気にしてますか?」

加賀「いいえ。当たり所が悪ければ轟沈してもおかしくなかったわ。そして、あの瞬間盾になるのは私じゃなくても良かった」

赤城「加賀さん……」

加賀「赤城さんこそ、瑞鶴に的確な指示を出せなかった、などと落ち込んでいるんじゃないの」

赤城「……」

加賀「あそこで、私が瑞鶴の盾にならなければ瑞鶴は沈んでいた。けれど、あそこに瑞鶴がいたからこそ、敵艦をこちらの射程距離におびき寄せることができた。結果的には間違った判断ではなかった」

赤城「加賀さんにはいつも助けられてばかりですね……」

加賀「それはこちらのセリフだわ」

赤城「ありがとう」

加賀「いいえ……」

赤城「私、もう出るけれど、すぐに彼女が来るみたいですよ」

加賀「私も……」

赤城「まだいないとダメなんですよね?」

加賀「いや、もう……」

赤城「ここは一応平和だから、少しくらい優しくしてあげてくださいね」

加賀「また、小言を言われる。なんて返せばいいの」

赤城「笑ってあげるのはどうでしょう」

加賀「嫌味と取られるのが目に見えるわ」

赤城「なら、分かってもらえるまで何度もしてみてはいかがでしょうか」

加賀「善処するけれど……」

赤城「ふふ」

ザバッ

赤城「加賀さん」

加賀「……」

赤城「もっと自分を出してもいいんですよ」

加賀「……どういう」

赤城「それは……」


トタタタ――


瑞鶴「あ」

赤城「ちょうど出る所だったんです。どうぞ」

瑞鶴「え」チラ

加賀「……」

赤城「加賀さんの隣、空いてますよ」

加賀「隣の隣も空いてるわ」

赤城「……ふふ」

瑞鶴「い、一航戦の隣でゆったりできるわけないですッ」

赤城「緊張して?」

瑞鶴「そうそうッって、違いますよ!」

赤城は笑いながら、

赤城「加賀さんは嫌?」

加賀「別に、どちらでも」

加賀はこちらを見向きもしない。
瑞鶴は腹立ち紛れに、

瑞鶴「加賀さんの隣で緊張するわけないじゃないですかッ。隣、隣でいいですッ」

赤城「そう、良かったです」

加賀「……」

赤城「それでは」

ペタペタ――

瑞鶴「……」

加賀「入れば」

瑞鶴「い、言われなくても」

ジャブジャブッ

加賀「結局一つ空けるのね」

瑞鶴「別に緊張してるとかじゃなくて、いつもここのドッグに入ってるからここに入ったんですッ。勘違いしないでください」

加賀「そう」

ザバッ

瑞鶴「で、出るんですか」

加賀「いえ」

ペタペタ――ジャブッ

瑞鶴「ど、どどどうして同じ所に来るんですか!?」

加賀「はー……」

瑞鶴「なんで私がため息吐かれないといけないんです!」

加賀「ただの雑音に、吠えないで」

瑞鶴「こ、ここからこっちに入ってこないでくださいよッ」

加賀「……」

チャプッ

瑞鶴「って、言ってる側からもう領域侵犯しちゃってるんですけど……こ、来ないで」ビクビク

加賀は逃げる瑞鶴の腕を掴む。

瑞鶴「ひいッ」

加賀「何を怯えてるの」

瑞鶴「怯えてないですッ」

加賀「中破くらいで大げさだわ。これだから、五航戦は」

瑞鶴「だ、だって……それは、私のせいで」

瑞鶴は加賀の肩の傷に一瞬目をやった。

加賀「それを決めるのはあなたじゃなくて、私」

瑞鶴は、びくりと肩を震わせた。

瑞鶴「と、とんだ自信家ですねッ。どう見たって、私が相手の力量を見誤ってまた突っ込んでただけじゃないですか」

加賀「勝手に決めつけないで欲しいものね。それが功を成し、敵のあぶり出しに成功したし、被害は最小限に止まった」

瑞鶴「加賀さんこそ、最小限の被害なんて言わないでくださいッ! あ……う、だから、その」

加賀「なに」

加賀は握っていた瑞鶴の腕ごと、彼女を壁際へと追い詰める。

瑞鶴「ど、どうしてこういう体勢になるんですかッ」

加賀「話の途中で逃げられるのも癪だから」

瑞鶴「は、はい?! 逃げませんからッ」

加賀「言いたい事があるんでしょ」

瑞鶴「じゃあ言いますけど……わ、私のこと見下すの止めてもらえませんか」

加賀「……は?」

瑞鶴「私は、もういつまでも新入りじゃありませんし……守ってもらわなくて結構ですから!」

瑞鶴は頬を赤くして、

瑞鶴「あ、あなたは、そうやって守って満足かもしれませんけどッ……私は、私は……同じ海に立っているのに情けなくてしょうがないんだからッ」

加賀「戦場にいちいち私情を挟むなんてね」

瑞鶴「悪いですか!」

加賀「今のは聞かなかったことにしてあげる」ニコ

瑞鶴「ひえッ」

加賀「なぜ怯えるの。せっかく笑っているのに」ニコ

瑞鶴「笑うところじゃないですからッ」

加賀「……」ニコ

瑞鶴「ば、バカなんですか」

加賀「赤城さんが、とりあえず笑えば大丈夫だと」

瑞鶴「あ、赤城さんが?」

加賀「おかしいわね」

瑞鶴「え、っと、つまりそれは事を荒立てたくないってこと?」

加賀「もともと波すら立ってないのだけれど、あなたが勝手に勘違いするから」

瑞鶴「ど、どういうこと」

加賀「誰も、見下してなんていない。あなたを守りたかったから、盾になっただけ」

瑞鶴「加賀さん……頭でも打ったの?」

加賀「……」

加賀は瑞鶴の頬を引っ張った。

瑞鶴「いひゃッい!?」

加賀「戦場に私情を持ち込んでいるのは、私の方かもね」

ぐぐぐッ

瑞鶴「ふぬぬッ!? 首締まってるっぽいんですけどッ!?」

加賀「あら」

瑞鶴「あら、じゃないですしッ……はあッげほッ」

加賀「素直な気持ちが体に現れてしまったみたい」

瑞鶴「恨みでもあるんですか!」

加賀「照れ隠し」

瑞鶴「分かりにくッ」

加賀「分かって欲しいなんて思いませんけど」

瑞鶴「……あー、そうなんですね。加賀さん、そういう人なんですね……今、漸く分かりました」

瑞鶴は項垂れる。

瑞鶴「ぷッ……あははッ……私の一人相撲だったんだ……やだな、恥ずかしい」ポロポロ

加賀「……ッ」ギョ

瑞鶴「結局、私加賀さんの足元にも及んでなかったんですね」

加賀「足元なんかでいいんですか」

瑞鶴「へ?」

加賀の腕が瑞鶴の腰に回される。

瑞鶴「や、ちょ、ふえッ」

加賀「泣いている所……」

瑞鶴「……あ、あの、加賀さ」

加賀「……可愛い」

加賀は吐息のような声音で言った。
一瞬のことだった。瑞鶴の息が止まる。

瑞鶴「あ……ッ」

加賀「んッ……」

瑞鶴「……んん!?」

加賀の顔が離れていく。

加賀「はぁ……早く、私を追い越して欲しいものね」

瑞鶴「か、か、かがさ」

加賀「憧れでは、勝てませんよ」ニコ

――ばしゃああん!

海未・ことり「きゃあ?!」

加賀「なに?!」

瑞鶴「誰?!」

海未「え、えっと……」

ことり「さっきまで天井で見ていたはずなのに」

海未「ど、どうやら天井が腐っていたようですね」

瑞鶴「も、もしやスパイ!?」

加賀「瑞鶴下がっていなさい……あなたたち、見ない顔ですね。どこの所属です」

海未「ま、前を隠してください! 破廉恥です!」

ことり「そんなこと言ってる場合じゃないよー」

海未「そうですねッ。見るものも見たし、次行きましょうッ」

ことり「海未ちゃん、手慣れてきてるね。次は>>130

桜Trickの春香×優で

優の家――

優「ねえねえ、新しい遊び思いついたんだけど」

春香「えー、なになに?」

優「寸止めキス」

春香「却下!」

優「なんでさ!」

春香「それって、つまりキスしないってことでしょ! いやだよ、そんなの!」

優「だって、春香キスし過ぎなんだもん!」

春香「いいじゃない別に!」

優「唇最近ひりひりするの、絶対春香のせいだもん」

春香「ええ!? そうだったの? ちょっとよく見せて、優ちゃん」

ズリズリ――

優「ほら、ここ」

春香「ああ、ほんと……こ、これは消毒しないといけうぶ!?」

優「近い!近い! なにしようとしてるのさ!」

春香「優ちゃああん……」

優「ゲームに勝ったら……してもいいよ」

春香「ほんと!?」

優「でも、口は痛いから他の所にしてよね」

春香(優ちゃんそれ自爆してるよ……もおしょうがないなあ)

春香「すっごく残念だけど、その条件飲むね」

優「よーし。ルールは簡単。私が、春香に10回寸止めキスするから、それに耐えれたら春香の勝ちね。耐えれなかったら……罰として、うーん」

春香(罰ゲームが思いつかない優ちゃん可愛い)

春香「やりながら考えてもいいんじゃないかな」

優「そうだね」

春香「どーぞ……んー」

優「せーの……」

春香(目を合わせたままなの、凄く恥ずかしい……)

優「ん……」

春香(……)ぷつん

春香「むりッ」

ガバッ

優「んむむ!?」

優「ぷはッ!」

春香「あれ」

優「何やってるのさ春香! 罰ゲーム考える時間すらなかったじゃんかッ」

春香「ごめんね優ちゃん……」シュン

優「春香の唇は磁石かなにかなの!? もう、この際ガムテープで……」

ビリ―

春香「そ、それはちょっといけないプレイかも……優ちゃんにはまだ早いよ」

優「違うやい!」

春香「ねーねー、もう一回別の勝負させて? 優ちゃんが決めてもらっていいから」

優「ぬー。じゃあ、寸止めハグゲーム。私が春香に抱き着いてスリスリするから抱きしめ返したらアウトだよ」

春香(また、恐ろしいゲームを思いついて……)

優「いくよ」

春香「ま、待って心の準備をさせてええッ」

優「どーぞ」

春香(落ち着くのよ春香。私の懐に飛び込んできたとして、それは優ちゃんで、抱き着こうと思えばいつでも抱き着けるわけで、今この瞬間さえ我慢すればいいわけで)

春香「ばっちこい!」

優「とうッ」

ポスッ――ぎゅ

春香「はうッ」

優「……しょ」

スリスリ

春香(……)ぷつん

優「ふえ?」

春香「ゆうちゃああん!」

ぎゅう――スリスリ!

優「ふにゅう?!」


ちょっと3時間程抜けます

春香「もー、こんなに可愛い生き物に触るなって方が無理あるんだよね……!」

優「死ぬッ死ぬッ!」

春香「あ、ごめんね優ちゃん」

優「ふざけんなバカ野郎だよ! まったくモー助だよ!」

春香「ぷッ……くすくす」

優「笑いを取りにいったんじゃないのッ」

春香「優ちゃん、髪ボサボサ……クスクス」

ササッ

優「誰のせいだー!」

春香「どうどう」

優「ていうか、春香さっきから負けっぱなしだよ? 悔しくないの?」

春香「え?」キョトン

優「真面目にやってよ!」

春香「ごめんごめん。次はどうしよっか」

優「うむむ……」

春香「あの、次、私考えてみたんだけど、言っていい?」

優「……いいけど」

春香「ああ、疑いの眼差し……ッ」ウル

優「そりゃねえ」

春香「わりと普通なんだよ。春香のちょーだいって10回言うの」

優「それ、春香は何に耐えてるの?」

春香「えっとねえ……」カアア

優「なにそれ、怖いッ……」ブル

春香「い、いいでしょ? ね?」

優「こ、今度こそ耐えてよねッ?」

春香「うんッ」

春香(優ちゃん、耐えたら意味ないのに……どっちにしろだけど)

優「さっきの台詞を言えばいいんだよね」

春香「あ、ベッドに座って、私の方を見上げて欲しいな」

優「え、こう?」

トサッ――クイッ

春香「もうちょっと上向いて?」

優「……え、やだよ首痛いし」

春香「けちんぼさんめ……」

優「さっさとするよー」

春香「ちょ、ちょっと待って……今、優ちゃんに焦らされすぎて、理性がゆるゆるだから」

優「理性なんて何にも働いてなかったと思うんだけど……」

春香「これでもすっごく我慢してるのッ」

優「あ、じゃあさこれで手首縛ったら?」

優は春香の頭のリボンを外した。

春香「ええ、あこら」

シュル――キュッ

優「これで、迫ってきても私が腕力で負けることはないねッ。私、賢い!」

春香「……」

優「では、いきます……春香の、ちょーだい」

春香「ダメ」

優「なんで私がダメだし!?」

春香「台詞に感情がこもってないもん!」

優「てゆーか、私、これ何を欲しがってるのさ」

春香「私の……」ニコ

優「顔ッ」

春香「……だよ」ニヘラ

優「わー!? わああ?! 変態変態とは思ってたけど、ついにやらかしたね?!」

春香「しーッ。お姉さんに聞こえちゃうッ」

優「絶対に言わないからッ」

春香「えー……せっかく盛り上がってきたのに?」

優「春香だけだよッ」

春香「……ゆーちゃーん」

優「もう今日は一日その状態でいて」

春香「トイレとかお風呂は?」

優「……ダメ」

春香「そんなあ……」

優「……」チラ

春香「優ちゃんに触れないなんて、もう生きていけない……」

優「そっちかい……」

春香「せめて、最後に一回キスさせて……お願い」

縛られたまま、春香が土下座する。

優「そこまで……」ドキドキ

春香「ねえ?」

優「あれ、なにこの感じ」ゾク

ガチャ――


海未「それは恋かもしれませんね」

ことり「わわ、海未ちゃんいきなり何言ってるの?!」

海未「はッ? 私、一体何を」

春香・優「……」

ことり「あ、お構いなくー」

海未「お茶、置いて置きますね」

コトッ

春香・優「……」

海未「さ、ことり次は?」

ことり「海未ちゃんが変な方向に逞しく……次は>>143

ミルヒ姫とレオ閣下

フロニャルド―ビスコッティ領―


ミルヒ「レオ様、こっちです」

レオ「待たぬかミルヒ。お主、昨日公務の最中に倒れたばかりだろうに……」

青々とした大地をミルヒが蹴って、レオの方を振り返る。

ミルヒ「もう全然平気なのですよ? たぶん、ここ最近魔物騒動にかかりっきりだったせいじゃないかって、お医者様も言われておりましたし」

ミルヒは小さく微笑んだ。
と、バランスを崩して後ろに後ずさる。

レオ「それ見たことか。急いてはいかん。臣民が憂えているのは風の便りで耳にしたぞ。そして、もちろんワシもな。ほれ、手を貸せ」

レオの差し出した手を、ミルヒは握り返す。

ミルヒ「ありがとうございます、レオ様」

2人寄り添い小さな丘の上から、ビスコッティ領を見渡した。
ミルヒはレオの手の平の硬さに懐かしさを覚えた。
剣技の鍛錬も日夜怠らない若き王。頼りになる幼馴染。

レオ「臣下やシンク達に言えぬこともあろう。私で良ければ、ミルヒのためであれば耳でも胸でも貸してやろう」

右の拳を胸に当てる。

ミルヒ「……こんなことをご相談するのはとても憚られるのですが」

レオ「言ってみい」

ミルヒ「先日、臣下の者に……そろそろ身を固める準備をと……」

レオ「……」

レオの手に力がこもったのが分かった。
ミルヒはレオの言葉を待つ。

レオ「……そうか」

ミルヒ「レオ様もそう言うお話が来たことはありますか?」

レオ「うむ、ある」

ミルヒ「どのように返答されているのですか?」

レオ「メンドくさいので適当にはぐらかして、先延ばしにしておる」

ミルヒ「そ、それは」

レオ「冗談じゃ。だが、今は国々を揺るがす事案が多すぎる。それゆえ、そこまで考えが回っていない、と言った方が正しいであろう。後継者を欲しがっているのは、一部の古参。王が戦に出ることが多くなった昨今、血筋を耐えさせぬために、早く安心したいという腹かもしれぬな。歳を取ると臆病になっていかん」

ミルヒ「レオ様は、その……お相手とかが」

レオ「ワシの手綱を取れる者など、いると思うか?」

ミルヒ「いえ……」

レオ「いるとすれば、勇者ナナミか……それか」

ミルヒ「それか?」

レオ「ふむ……」

レオはそこで言葉を止めた。

ミルヒはレオの横顔を食い入るように見た。
黙ったままのレオが、自分の胸を焦がす。
国の未来のために、レオもいつかは。

レオ「それか、お主くらいよの、ミルヒ。はっはっは! さすれば、ワシはこの手で後継者を育てるしかあるまいな」

レオはミルヒの頭を撫でる。
くすぐったさに、ミルヒは目を細めた。

ミルヒ「……臣下の皆さんのため息が聞こえてきそうですね」

レオ「だなッ。ミルヒ、お主はどうなのだ?」

ミルヒ「私は……」

レオ「王の迷いは、国の迷い。お主の迷った先に、臣民が行き着くのじゃ。それだけは常に忘れずにな」

ミルヒ「はいッ。いつか、必ず答えを出します。その時、また聞いて頂けますか」

レオ「ああ、よかろう」

閉じられていた扉をミルヒは少しだけ開いた。
選択肢は無数にあるのだ、とレオは言う。

ミルヒ「ちょっとだけ、胸が軽くなりました。やっぱり、レオ様に聞いてもらって良かったです。お忙しい中、本当にありがとうございます」

レオ「ミルヒの笑顔が、ワシの活力じゃからな。ワシ程、ミルヒを大事に思う者などおらんだろう」

ミルヒ「もう、またそんな事を言ってからかうんですから」

レオ「おお、そうだ。天の陽を一つにすると言う案もあるぞ」

ミルヒ「どういう意味ですか?」

レオ「ワシとミルヒが添い遂げるということじゃ」

ミルヒ「……え」

ミルヒは急速に自分の頬が熱くなっていくのを感じた。

レオ「我ながら名案かもしれんぞ……」

レオは顎に手を当てる。

ミルヒ「ま、待ってくださいレオ様」

レオ「お主はイヤか? ミルヒ」

レオの腕が、ミルヒの両肩に伸びる。

ミルヒ「い、嫌とかではなくてですね……あああのッ」

レオ「二つの国の繋がりはより強固になるだろう。両国の文化が混ざれば、より国も潤うだろうし、指揮系統も統一化すれば、国境付近や隣国での事故や災害・紛争への援助ももっと楽に素早くできる……ふむふむ、悪くはないな」

ミルヒ「おーい……レオ様?」

レオ「おお、すまん。どうだ、ミルヒ。ワシと……結婚せぬか?」

尻尾を振りながら、レオはミルヒの瞳を見つめた。
ミルヒは口をパクパクと動かす。

ミルヒ「わ、私は……あの、レオ様のこと、大好きですし……ホントに大好きなんですけど、でも、結婚となると、その、えっと」

レオ「なーんて、冗談に決まっておろう」

その後、レオはミルヒに耳をかじられた。

レオ「ふー、酷い目にあったわ」

自分の耳をいじりながら、レオが苦笑する。

ミルヒ「レオ様こそ、酷いです!」

レオ「そお、頬を膨らませんでも。お主はクーベルか」

ミルヒ「膨らんでなんていません」

レオ「そうか?」

レオはミルヒの頬を触る。

ミルヒ「ッ……」

レオ「隣国の領主様に耳をかじられるなんぞ、幼少期以来じゃ」

未だ耳をさするレオに、ミルヒはやや不安になって、

ミルヒ「あの大丈夫でしょうか? 甘噛みしたつもりだったのですが……」

ミルヒは耳に息をふーっと吹きかける。
レオの耳がピクピクと動く。

レオ「そーっとな」

ミルヒ「ふふ……こうやって、一緒にいられるならばいいのかもしれませんね」

レオ「……うん?」

ミルヒ「いえ、なんでもありません」

レオ「そうか……さて、帰るか。そろそろ勇者様達も来る頃だろう」

ミルヒ「はい」

コソコソ――

海未「コスプレでしょうか」

ことり「でも、動きが本物っぽいような……」

海未「……」

ゴソ

ことり「海未ちゃん?」

海未「……」

パシャッ

ことり「記念撮影?」

海未「いえ、穂乃果達に見せようかと」

ことり「あ、ピントずれちゃってるよ」

海未「もう一回……」


ザクッ

レオ「お主ら……そこで何をしておる」

ミルヒ「この匂い……勇者様達と同じ、まさか……」

レオ「通りすがりの者か?」

ことり「ごめんなさいッ。聞く気満々でしたッ」

レオ「なにい!?」

海未「ことり、正直過ぎますよッ」

ミルヒ「事情がおありのようですね……レオ様」

レオ「詳しいことは、城でじっくり聞かせてもらおう」

海未「こ、ことり、次のカップルは?」

ことり「えっとね、次は>>151だよ!」

レオ「何を言っておるのじゃ」

けいおんの唯×ムギで

あと、海未とことりが単純に逃亡ってパターンも飽きたので、軽音部のお茶会に誘われてあげて下さい。

>>151
了解です

桜ヶ丘高校―正門―


紬「軽音部でミニライブしまーす。良かったらどうぞー」

澪「……今日は人通り少ないな」

紬「そうねー」

梓「あの人達とかどうですか」

澪「明らかにこっち見てるな」

紬「でも、気づかれないようにしてるみたいね」

梓「私、ちょっと声かけてきますッ」

紬「あ、待って梓ちゃん。もしかしたら、追いかけたら逃げちゃうかもしれないわ……ここは軽音部へさりげなく移動してみるのはどうかしら」

澪「なるほど、あの様子なら着いてきそうだ」

梓「部屋の前まで来たところをふん縛るんですね」

紬「そういうこと」

澪「いや、ふん縛る必要はないだろ」

紬「えへ」

軽音部

ガチャ――

澪「ただいまーって、うわ?!」

梓「唯先輩も律先輩も、床に転がって何してるんですか?」

唯「うーん……」

紬「大丈夫? 唯ちゃん」

唯「お、か、し」ガクッ

律「お、な、じ、く」ガクッ

紬「分かったわ!」

梓「って、それより先輩方……耳を澄ましてください」

一同「……」

ギシギシッ

律「……誰だ?」コソコソ

澪「入部希望者かもしれない……」コソコソ

唯「え? ほんとー?!」クワッ

ゴロゴロ――スタッ
トタタタッ

唯「ちょいやっさー!」

バンッ!

ことり・海未「きゃ!?」


唯「軽音部へー!」

紬「ようこそー☆」

律「いやいや、制服違うんですけど」

梓「言われてみれば」

海未「あ、あの」

ことり「あ、ラ、ライブッ。ミニライブがあるって」

澪「ライブは……来週だけど」

唯「そんなことよりせっかく来てくれたんだし、入って入って!」

グイグイッ

海未「え……あ」

ことり「きゃッ」

律「よし、退路封鎖だ!」

バタンッ

紬「えいッ」

ガチャッ

澪「鍵はかけなくてもいいんじゃないのか」

梓「いつの間にそんな連携プレーを……」

唯「二人共、軽音部に興味があったの?」

律「何か楽器扱ってる? あ、カスタネットとかってボケはいらないから」

ことり「歌とかダンスの方を少々……してます」

海未「作詞とかも少々……」

唯「すごーい!」

梓「あの、それよりどこの高校の方なんですか?」

ことり「音ノ木坂学院という所なんですが」

律「聞いたことないな。もしかして、県外?」

海未「そ、そんな所で」

律「県外からわざわざ見に来てくれたんだ」

澪「この学校そんなに知名度高かったのか」

律「ノンノン、みおちゅわん。学校じゃなくて、軽音部の知名度が高いのよん。部長としては鼻が高いぜえ」

梓「……まさか」

海未「そ、そうなんです。私たちも、ライブがあるんですが、皆さんの練習風景を今後の参考に見させてもらえたらなと思って。アポも取らずに、申し訳ありません」

唯「そう言うことなら……しっかり放課後ティータイムしないとね!」

梓「あの、差し出がましいのですが、ここの人達ほとんどお茶飲んでお菓子食べてるだけですから……参考になるか」

澪「そうだな……」

律「こらこら夢を壊すようなこと言うんじゃありません」

カチャッ――

紬「お茶淹れたから、みんなで頂きましょう?」

唯「わーいッ。今日は何?」

紬「今日はね、アールグレイにしてみたの~。ケーキは人数分ないから、ジャンケンになっちゃうんだけど」

唯「……え」

紬「ご、ごめんね唯ちゃん。私の分、あげるから」

律「こらこら、甘やかさないのッ」

澪「まず、お客様の分二つ」

律「部長の分で三つは確保しておいて、残りは」

唯「りっちゃんずるーい!」

やいのやいの――


澪「というわけで、あみだで決めるか」

唯「端っこもーらい」

カキカキ

紬「唯ちゃんのお隣もーらい」

カキカキ

律「ムギの隣もーらい」

カキカキ

澪「あ、こら」

カキカキ

梓「……」

唯「残り物には福があるよ?」





海未「なんだか、軽音部って言うより」

ことり「お茶会同好会みたいだね」

海未「でも、あの唯さんという方は、少し穂乃果に似てますね」

ことり「うん、分かるよそれ」

律「はーい、それでは……結果発表でーす。……唯、無し。ムギ、無し。私、シフォンケーキ。澪、抹茶タルト。梓、チーズケーキ」

唯「……あ、ああ」ガクガク

律「膝揺れすぎだろ」

唯「ムギちゃんのケーキ……うぬぬ」

紬「唯ちゃん……明日、おっきいの持ってくるわね」コソコソ

律「そこお! 何度も言うが、甘やかさない!」

ビシッ

海未(すごく食べずらいです……)





律「はい、では気を取り直して、いただきまーす」

カチャカチャ

海未(……)チラ

ことり(……)チラ

海未(まだ、あまりイチャイチャされてはいないようですね)

ことり(そうだね)

唯「んー? 私の顔に何かついてる?」

ことり「あ、ううん……ん?」

紬「もー、唯ちゃん鼻の上に生クリームがついてるわよ」

唯「え、ほんと? とってとってー」

紬「はい、とれた」

唯「ありがとー」

海未「……あ、あの何をされているんでしょうか」コソコソ

律「んぐ? エアーティータイム」


澪「……唯があまりにもお腹が空いた時に、お菓子がなかった際に編み出した擬似的なティータイム空間だよ」モゴモゴ

ことり「よくわからないけど、凄いですね」

梓「ムギ先輩、付き合うことないのに」モグモグ

紬「唯ちゃん可愛いからついつい……」

唯「ムギちゃんだけだよ、分かってくれるのは……」

律「ムギもどちらかと言うと、唯の住んでる星に近い所にいるよな」

唯「ねね、ムギちゃんせっかくだし一曲お披露目しよ?」

紬「素敵ね。何にする?」

唯「ニャンニャンテレパシー!」

紬「そんな曲あったかしら」

梓「ありません」

澪「……ひい」

梓「どうしたんですか?」

唯「この間、澪ちゃん家のゴミ箱に入ってたメモ用紙に…・・もごご!?」

澪「唯、ちょっとあげるから黙ろうか」

律「合法的にケーキを食べるとはやりおるな唯」

唯「ウマイでやんすッ」モグモグ

紬「唯ちゃんずるーい」

唯「でへへ、何の曲にしようか」

紬「デラックスとんちゃん!」

律「おいおい、あんまり澪をいじめてやるなよ」

梓「ひいッ」

律「おまえのかよ」

紬「もごもご……じゃあ、ふわふわ時間にしましょうか」

唯「もぐもぐ……おっけー!」

ガタガタッ

律「ヒューヒュー!」

紬「唯ちゃん歌のメロディ私弾くから、アカペラとかどう?」

唯「いいね、楽しそう! ギー太、今日はちょっとお休みねッ」

コトッ

唯「……それでは、ムギ唯で、ふわふわ時間!」

ヒュー!
パチパチ!

海未・ことり「……」パチパチ






「キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI」

「揺れる思いは マシュマロみたいにふわ☆ふわ!」





―――
――

海未「今日はとても楽しい時間をありがとうございましたッ」ペコ

ことり「ありがとうございますッ」ペコ

律「また、いつでも遊びに来いよ」

澪「これ、来週のライブのチラシね」

パサッ

海未「ありがとうございます……」

ことり「……」

唯「今度は、海未ちゃん達の聞かせてね~」

紬「また、お茶しましょうね」

梓「あ、あの」

海未「どうされました?」

梓「写真撮っていきませんか?」

海未「構いませんが……」

律「お、いいね。よーし、皆の衆二人を囲むのじゃ」

唯「へいよッ。ムギちゃんあずにゃんおいでおいでー」

律「ほら、澪も行かんかい」

ゲシッ

澪「あいてッ……写真は、どうも慣れないんだよなあ……」

律「はーい、ぱぱっと撮るぞー。こっち向いてー。おっけーそのまま動くなよ」

カチッ

とたたた――

律「9・8・――」

澪「ん、何か落ちてる」

カサッ

海未「え、あ、すいませんッ」

澪「どうぞ」

海未「次は>>166か……は、しまッ」

ことり「う、海未ちゃ」

カレくし!

>>166
ハロー見てないから調べてきます。
カレはカレンで、くしは久世橋先生のこと?

>>168
多分そう
同じカプのSSが2,3個あったから参考にしてもいいと思う

>>169
ありがと!

とある高校の職員室――

久世橋「……虎」

烏丸「あら、カレンさんからもらった虎カバンにつけられてるんですねー。久世橋先生は、本当に生徒想いですよね」

久世橋「わッわッ……これは、その、はい……付けるところが他になくて」

烏丸「カレンさん、放課後も熱心に何か作られていたようですよ。次は何でしょうか。ワクワクしますね」

久世橋「そうですねって……いえ、あまり特定の生徒からこういったものを貰うわけにも……」

烏丸「それなら、大丈夫。カレンさんは、色々な人にあげてるみたいですよー」

久世橋「そ、そうなんですか」

久世橋(私だけじゃないのか……)シュン

久世橋「いや、いや!」

烏丸「?」

久世橋(放課後か……今日もいるのかな)

放課後――教室


久世橋(忘れ物を取りにきただけ、忘れ物を取りに来ただけ……)コソ

久世橋「……」

カレン「ふんふん……」

久世橋(いた……一人で何を)

カレン「やはり、虎に並び立つには小坊主が必要デスネ」

チクチク

久世橋(小坊主?)

カレン「よし、今日はここまでデース」

ガサガサ

久世橋「はッ……」

ササッ


ガラッ
タタタタタ――

翌日の放課後――

久世橋(今日もいる……)

カレン「ふっふっふ、もう少しで完成シマスデス」

チクチク

久世橋(楽しそうに作るわよね。……可愛い)

カレン「アウチッ?!」

久世橋「あ……」

カレン「ふえ? 誰かいるのデスカ?」

久世橋(……)ドキドキ

カレン「ソラマメデスカ……」

久世橋(空耳よ……)

次の日の放課後――

久世橋(あれ、今日はアリスさんも一緒なのね……)コソ

カレン「ついに完成シマシタ!」

アリス「結局、それ何に使うの?」

カレン「ふっふっふ、これはクゼハシセンセーに渡した虎と対になるソンザイ!」

アリス「つまり?」

カレン「遥か昔……ジャパンでは虎を小坊主がいなしたというレジェンドが残ってマス。つまり! この小坊主がある限り、虎を手懐けることが可能なのデス!」

アリス「……それ、でも先生が聞いたら絶対怒ると思うんだけど」

カレン「大丈夫です! アリスが言わなければいいだけ」

カツンッ

カレン「ワット?」クル

アリス「久世橋先生?!」

久世橋「……カレンさん」

カレン「ひ、平にご容赦ヲ!!」

アリス「せ、先生……待ってくださいカレンは」

久世橋「特定の生徒からこういった物を貰うわけには参りませんので。こちら、やはりお返ししておきますね」

カチャッ
コトッ

久世橋「では」

カツカツッ


カレン「あんまり怒ってなかったデスネ……」

アリス「カレンにはそう見えたの?」

カレン「オー?」

アリス「私には、凄く傷ついたように見えたよ?」

カツカツッ

久世橋(……やだ、私何を勘違いしてたんだろう)

久世橋(昔から、こうだったのに……今さら変わるわけないじゃない)

久世橋(もしかして、クラスの他のみんなも……最近、前よりも距離が縮まったと思ったのに)

カツカツッ――ピタッ

久世橋「……全部、私の気のせいなんじゃない。……私、教師、向いてないのかな」



クゼハシセンセー!



久世橋「……カレンさんの声」

久世橋「……今日は、もう帰ろう」

カツカツカツッ

抜けます
1、2時間後くらいにまた

次の日――

2年A組

久世橋「おはようございます」

一同「おはようございます」

久世橋「……」チラ

カレン「……」ニコ

久世橋(そうやって、私のこと……バカにしていたの?)

久世橋「昨日、日直だった人。最後のまとめと担当者名が抜けていますが……」

カレン「あ、私デース!」

久世橋「またですか。あれほど、注意してくださいと言ったでしょう」キッ

カレン「えへへ……」ニコニコ

久世橋(だからと言って……みんなの前で怒ってはダメ。カレンさんが傷ついてしまう)

久世橋「後で、職員室に来なさい」

カレン「はい!」

職員室――

久世橋「カレンさん、私もこうやって怒るのは正直嫌なんですが」

カレン「そしたら、笑顔で解散しまショウ!」

久世橋「それができるなら、呼んでいません」

カレン「うむむ……」

ゴソゴソ

カレン「小坊主さん、ヘルプミー!」

バッ

久世橋「……そんなに私の言うことを聞くのが嫌ですか?」

カレン「怒られるのは勘弁デスッ」

久世橋「なら、きちんとやるべきことをやりなさい!」

ダンッ

カレン「……ッ」ビクッ

烏丸「久世橋先生? どうされました?」

久世橋「あ、お騒がせしてすいません……」

カレン「……そっちこそ、虎のくせに虎いらないとかちゃんちゃら可笑しいデス!」

クルッ―ダダダダ!

久世橋「こら、まだ話は……校内を走るなってあれほど……」

ガタッ――キイッ

久世橋(やってしまった……)

烏丸「……カレンさん、泣いてましたね」

久世橋「……はい」

烏丸「子ども達は、家庭環境によって価値観も様々です。それを理解してあげることって、すごく難しいですよね。特に、カレンさんは」

久世橋「はい……」

久世橋(明日から……もう、声をかけてくれないかもしれない)

烏丸「大丈夫ですか……?」

久世橋「ええ、頑張ります」

久世橋(頑張れる……のかな)

久世橋(カレンさんとの溝が深まるたびに、クラスから離れていっている気がする……)

2年A組

忍「カレンちゃん、どうかしたの?」

綾「それが帰って来たとたん、机に突っ伏して」

カレン「……今日の虎は一段と牙が鋭かったデス」

忍「でも、それも愛のムチなんですよね」

綾「そもそも、ちゃんと確認すればいいのよ」

カレン「デスヨネー」グテ

綾「次はやらかさないように、手伝うから」

忍「うん!」

カレン「持つべきものはトモダチデスネ……センキュー」

カレン(……)

ごそ

カレン(けっこう上手くできたのに、何が気に食わなかったんデスカネ)

カレン(そう言えば、アリスもこの間……変なこと言ってたシ)

カレン(虎の考えることはよくワカリマセンデス)

次の日

カレン「センセー、グッモーニン!」

久世橋(カレンさん?)

久世橋(普通に声をかけてきた……?)

カレン「……っと……」

久世橋「?」

烏丸「おはようございます。カレンさん」

カレン「オハヨウデース!」

ダダダ――ギュウ

烏丸「あら、可愛い」

久世橋(私じゃなくて、烏丸先生の方だった……やっぱり、私のこと本当は)

久世橋(昨日あの子を泣かせてしまったのが辛すぎて……まともに顔を見れないわ)

久世橋「先に行きますね……」

久世橋(どんなに可愛くても、残酷なのよね……子どもって)

烏丸「あ、久世橋先生」

カレン「……ほッ」

お昼――

久世橋「ックシュ」

烏丸「風邪ですか? ティッシュいります?」

久世橋「いえ、大丈夫です」

烏丸「年始は忙しいですからねー。久世橋先生昨日は何時頃に帰られたんですか?」

久世橋「23時くらいだったと思いますが」

烏丸「……私も少し前まで、そうでしたが。やはり、聖職者とは言え、しっかり休まないと身体に悪いですよ」

久世橋「はい、気をつけます」

久世橋(最近、何をしても集中できない……)

烏丸「いちいち気にしないというのも……大切なことですよ」

久世橋「はい……」

烏丸「……」

久世橋(……そんなことを言われても、こんなに可愛い子ども達から嫌われたことがないあなたには……私の気持ちなんて分からない)

久世橋(はッ……いけない。八つ当たりなんて……悪いのは当たり障りのない対応ができない私のせいなのに……)

久世橋(家で、また、笑顔の練習でもしようかしら……でも)

久世橋(作り笑いなんて……意味ないわよね)

久世橋(可愛いなんて言葉に年甲斐もなく、踊らされて……)

夜――

警備員「お疲れ様です」

久世橋「お疲れ様です。……やだ……もうこんな時間。明日に回すしかないか」

ガタタッ




自宅―

久世橋「……ただいま」

ゴトッ

「にゃあ……」

久世橋「ご飯遅くなってごめんね……」

「にゃあにゃあ……」

カコンッ――ポトポト

久世橋「はい……」

久世橋(私は、何食べようかな……)

久世橋(昨日も夜抜いたし……少しでも)

久世橋(ううん、ダメ。食べる気力が沸かない……)

久世橋(お風呂入って、寝よう……)ウトウト

次の日――

久世橋「……」ボー

忍「おはようございます」

久世橋「……」

忍「久世橋先生?」

久世橋「あ、ごめんなさい」ビク

久世橋(……大宮さんがすぐ横にいるのに、いないようなふわふわした感じ)

アリス「おはようございます……久世橋先生? 顔色が優れないような……」

久世橋「あ……」ビクッ

久世橋(なんだ、アリスさんか……)ほッ

久世橋「少し、風邪気味みたい。心配してくれてありがとう」

久世橋(体調管理さえまともにできないなんて……だらしない。カレンさんのこと、言えないわ)ズキッ

カレン「シノー、アリスー!」ニコニコ

久世橋「……」

久世橋(やっぱり……可愛い)チラ

カレン「……ッ」ぷい

久世橋(今、明らかに避けた……)ズキズキッ

アリス「カレン、先生にも挨拶しないとッ……」

カレン「う……ちょ、ちょっとワタシ用事があったの忘れてマシタ!」

タタタ――

アリス「もう、カレンったら!」

久世橋「……」

アリス「あ、あの気を悪くしないでくださいネ。カレンは、ああいう性格というか」

久世橋(……なんで、こんなに辛いんだろう)

久世橋「気を遣ってくれてありがとう。大丈夫よ」

アリス「……」

久世橋(生徒に心配されるなんて、教師失格だわ……)

忍「あの、アリス」

アリス「え?」

忍「カレンさん、大丈夫ですか?」

アリス「えっと、カレンはたぶん……大丈夫だヨ」

久世橋(自分のこときちんとしなければ……)

5限目――家庭科

久世橋「……火元を注意して見るように。落し蓋をしてから、焦がさないようにね」


わいわい――


久世橋(……楽しそう。そう言えば、質問してって最初に言ってから誰も来なかったな)

久世橋(私、いる意味あるのかな……)


綾「カレン、ゆっくり入れてね。絶対に、一気にいれないでよ」

カレン「ドンウォーリー!」

忍「あ、その持ち方だと全部入っちゃうかも……」

カレン「……オウ?!」

ドバッ――ボコボコボコッ!

綾「きゃあ?!」

カレン「アウチ?!」

パリーン!!

忍「大丈夫二人共?!」

久世橋「どうしたんですか?!」



綾「お味噌汁が突沸しちゃったみたいで……」

カレン「爆発しまシタネ……アウ?!」

綾「カレン、どうしたの?!」

カレン「割れた破片が手の甲にかすってたみたいデース……」

ポタポタッ

綾「ひいいい……!」

忍「保健室行かないと……」

久世橋「保健委員……!」

―――
――

保健室――

キンコーンカンコーン

カレン「ありゃー、授業終わってしまったようデスネ」

保健委員「切り傷は大したことなくて良かったね。足の火傷の方、どうして黙ってたの?」

カレン「んー……なんとなくデース」

保健委員「我慢強いんだね」

カレン「言わなかったというか……言えなかったというか」


ガラガラ――

久世橋「……カレンさん?」

カレン「センセ……」

久世橋「大丈夫? あ、保健委員は戻って。付き添ってくれてありがとう」

保健委員「はい」

久世橋「……痛みますか?」

カレン「平気デス」

久世橋「……その足、どうされたんですか?」

カレン「えっと、これもカスリ傷というやつデース」

久世橋「かすり傷と明らかに処置の仕方が違いますが……まさか、火傷?」

カレン「そんな所デース」

久世橋「……カレンさん!」

カレン「ソ、ソーリ!」

久世橋「ごめんなさいッ!! 私がちゃんと見ていなかったからです!」

カレン「ワイッ?」

久世橋「ちゃんと、すぐそばにいたら……もしかしたら未然に防げたかもしれないのに」

カレン「……あれはワタシが悪かったんデスヨ」

久世橋「私、あなたに対して……不甲斐ない所ばかりで……」

カレン「え、えっと?」

久世橋「あなたに嫌われても仕方ありませんね……」

カレン「私、別にクゼハシセンセーのこと嫌いじゃないデスヨ?」キョトン

久世橋「うそッ。だって、職員室で怒った時から、私のこと避けてるじゃないですか」

カレン「あ、えっと……あれは、そのデスネ」

ゴソゴソ

カレン「これ、やっぱり受け取って欲しいんデス」

久世橋「虎……」

カレン「返すタイミングを見計らってたら、全く話しかけれませんデシタ」

久世橋「はッ……」

久世橋(……私、カレンさんに嫌われたくなくて、嫌われてもしょうがない理由を勝手に作ってしまってたんだわ……)フラッ

ガタタッ

カレン「だ、大丈夫デスカ?!」

久世橋「……え、ええ」

カレン「ほらほら、虎デスヨー。元気になってくだサイ。小坊主も応援してマスヨー?」

久世橋「あの、聞きたいことがあります。……カレンさんは、私のこと……手懐けたいんですか?」

カレン「そうデース」

久世橋「どうしてですか……?」

カレン「……ンー」

久世橋「……」

カレン「ムー、言わないとダメデスカー?」

久世橋「……はい」

カレン「……牙の折れた虎はとてもカワイラシク笑うから、ワタシはその顔が見たいのデース」ニコ

久世橋「……ッ」カアア

フラッ――バタッ

カレン「センセ?!」

久世橋「……あうッ」

カレン「だ、ダイジョウブデスカ? 顔、とっても熱いデスヨ?」

ピトッ

久世橋「ち、近いです!」

カレン「あっちっちデース!? 保健のセンセ、呼び戻してキマス!」

タタタッ

久世橋「……ッ」

久世橋(……あんな可愛い子に、あんなカッコいいこと言われるなんて……)

久世橋(……子どもって残酷だわ)





―――
――



海未「……背徳的な感じでしたね」

妖精さん「……ここで百合パワーが一気にマックスに近づいたです」

ことり「それって」

妖精「次のカップルで元の世界に帰れますです、はい」

海未「ほ、ほんとですか!?」

ことり「良かった……」

妖精「次は>>194です。条件があるなら、どうぞ。人間さん」

ことり「誰に言ってるの?」

大作乙
面白いです~

雪千枝(P4)
料理ネタを入れてくれると嬉しい

こんなに長く書いて頂けるとは…ありがとうとしか言えない
続き読みたくてジタバタするぐらい
乙です!

>>193
ついつい長く

>>194
P4分からんので調べてきます。
明日のこのくらいの時間にまた

>>195
アニメたった2話で先生が好きになりました

ジュネス――鮮魚コーナー

カラカラ

菜々子「今日はお客様感謝デーだから、ポイントがお得なの」

千枝「あ、そっか。菜々子ちゃん、さすが抜け目ない」

雪子「鳴上君とよく買い物に行っていたものね」

菜々子「大きくなったら、ちゃんとお嫁さんになれるように頑張る!」

千枝「今から花嫁修業とは、番長の女子力の賜物かねえ」

雪子「私も負けてられないわ」

千枝「え、雪子誰か相手いるの?」ギクッ

雪子「いないけど」

千枝「なんだ、もお思わせぶりなんだから」

雪子「でも、できれば千枝がいいな」

千枝「私ですか」

雪子「昨日のお刺身も喜んで食べてくれそうだから」

千枝「昨日のは出さないでよ……」

菜々子「んー……」

雪子「真夏日のお昼とかに出しても、平皿に綺麗に盛り付けてれば問題ないわ」

千枝「視覚的にはね。ん、ていうか旅館の料理大丈夫? ねえ、大丈夫?」

菜々子「お刺身買うの?」

雪子「買う?」

千枝「好きにして……」

雪子「鳴上君がいない頃は、いつもお夕飯はどうしてたの?」

菜々子「えっと、お弁当とか牛丼とか」

千枝(この子がお腹壊す原因って……)

雪子「今日はお父さんいないから、好きなもの作ってあげる」

菜々子「……ほ、ほんと? わーい!」

ゴソゴソ

千枝「何、それ? 手帳?」

菜々子「お兄ちゃんがくれたの」

雪子「料理のレシピとか?」

千枝「見ていい?」

菜々子「え……あ、うん」

スッ

千枝「なになに、食中毒にならないためには……目次、環境編、食材編、最近・ウイルス編、手料理編……最後のなに?」







雪子「22ページへ移動……」

菜々子「……な、菜々子ちょっとお手洗い行ってくるね」

千枝「あ、うん。ここで待ってるから、ゆっくり行っておいで」

ペラペラ

雪子「以下の人物の手料理は、お年寄りや子どもへの提供は控えるように……」

千枝「天城雪子、里中千枝、久慈川りせ……」

雪子「なにこれ」

ペラペラ

千枝「人をサルモネラか、カンピロバクターみたいに扱って……」

雪子「菜々子ちゃんもこれ読んだってことだよね」

千枝「いや、さすがに料理で人を殺したことはないし」

雪子「ええもちろんよ」

千枝「鳴上君も過保護だよね」

雪子「そうね」

花村「よー、お前ら。ちゃんと子守りしてるか?」

カラカラ

千枝「花村。結局、今日休み取れなかったの?」

花村「感謝デーは稼ぎ時なのよ。残念でしょうがないがな。てか、お前ら何もって……はッ」

雪子「どうしたの?」

千枝「あんた、これ知ってんの?」

花村「お、俺はなーんも知らないぜ」

雪子「撮影と監修に花村君の名前が」

花村「ひいい」

千枝「……」

雪子「千枝。写真は美味しそうに撮れてる」

千枝「そこ?」

花村「な、菜々子ちゃんを病院送りしないために作ったんだよッ」

千枝「失礼極まりないつっの!」

雪子「そう言えば、菜々子ちゃん遅くない?」

千枝「え?」

花村「そう言えば、菜々子ちゃんは?」

千枝「さっき、トイレに行ったんだけど」

雪子「私、ちょっと見てくる」

千枝「私もッ」

タタタッ

花村「あ、おい」

カラカラッ


―――
――

女子トイレ

千枝「……いない?」

花村「マジかよ……」

雪子「花村君、迷子の放送してもらっていい?」

花村「おうッ」

千枝「雪子は元の場所で待ってて。私、ちょっとこの階回ってみるからッ」

雪子「うん……ッ」

千枝「菜々子ちゃーん!」

タタタッ

千枝「あ、すいません。これくらいの小学生の女の子見かけませんでしたか? ピンクのワンピースで、二つくくりなんですが……」

女性「ごめんなさい。見てないわ」

千枝「ありがとうございますッ」

千枝(ど、どうしよう。もしものことがあったら……菜々子ちゃん)

タタタッ



―――
――


少し前―

タタタッ

菜々子「はあッ……胃薬飲んだら大丈夫だよね……メモ帳見られちゃったけど、ちゃんと全部食べたらお姉ちゃん達喜んでくれるかな……」

男「……うう」

フラ――ドン

菜々子「あいたッ……」

男「すまない」

菜々子「ごめんなさい」ぺこ

男「お嬢ちゃん……」

菜々子「はい?」

男「フードコートってどの辺か分るかい?」

菜々子「はい」

男「じ、実はとてもお腹が空いていてね……良ければ案内してくれないか?」

菜々子「あ……」

菜々子(お姉ちゃん達待たせてるんだった……でも、このおじさん凄くお腹空いてそう)

男「た、頼む」

菜々子「こっちです」

フードコート

男「た、助かった……お嬢ちゃんありがとう」

菜々子「ううん。それじゃあ」

テクテク――

ズルズルッ

菜々子「え?」クルッ

男は席に着いてテーブルにあったラーメンをすすっていた。

菜々子「……」

菜々子は違和感を覚えた。

男「う、うめえ」

菜々子「……」

男「はふはふ」

ズルズルッ

菜々子「あ、あの」

男「なんだい?」

菜々子「まだ、注文してないよね?」

男「ああ、そうだな。そろそろ離れないとここの席の奴が戻ってきちゃうな」

男は移動して、別のテーブル席についた。

そして、そこにあったたこ焼きを食べ始める。

男「これ、めちゃくちゃウマイ……お金払いたいくらいだ」

菜々子はびっくりして思わず立ち止まったままおじさんを見ていた。

男「ふー、満足した。ごちそうさま」

ガタガタッ

菜々子「……えっと、えっと」

男「お嬢ちゃんも何か食べたいものあるのかい?」

菜々子「……」ブンブンッ

男「そうか……」

菜々子「……」

男「本当はね、おじさんもお金を払って食べたいし、誰かの作ったものを食べたいんだ」

菜々子「どうして食べれないの?」

男「もう食べられないんだ」

菜々子「?」

男「それに、お父さんもお母さんも、兄弟もいない。お嫁さんも娘も息子もいない」

菜々子「おじさん……可哀想」

男「……お嬢ちゃんは優しいな。そんな風に言ってもらえたのは初めてだ」

菜々子「……あ、おじさん明日も来る?」

男「ああ」

菜々子「明日、お料理持ってくるから、ここで待っていて」

男「……え」

菜々子「待っててね」

タタタタッ

男「……」

―――
――

菜々子「お姉ちゃん!」

雪子「菜々子ちゃん! どこに行っていたの? 心配したのよ」

菜々子「あの、迷ってた人を案内してたの」

雪子「そうだったのね……。何事もなくて良かった」

菜々子「ごめんなさい……遅くなって」

雪子「気にしなくていいのよ。千枝と花村君が探しに行ってくれてるから、戻ってきたらお礼を言ってあげてね」

菜々子「うん!」

雪子は携帯を取り出して、二人に連絡を取り始める。

菜々子「……お姉ちゃん」

雪子「なあに?」

菜々子「今日、ご飯楽しみにしてるね!」ニコ

雪子「……ええ」ニコ

―――
――

千枝「良かった。菜々子ちゃん、また誘拐されたのかと」

花村「菜々子ちゃんは可愛いからな」

千枝「花村が言うと、変態臭い」

花村「なんでだよ」

菜々子「ごめんなさい」ぺこ

千枝「いいってことよ。花村もありがとね。よーし、気を取り直して買い物再開しよう」

雪子「ええ」


―――
――

堂島家


雪子「菜々子ちゃんは、お野菜の皮を剥いてもらっていい?」

菜々子「うん」

千枝「シチューって、飲むヨーグルトの方が酸味が出るかな? それとも、コーヒー牛乳で甘味出す?」

菜々子「……」ビクッ

雪子「シチューはコクとまろやかさが大切だから、酸味も甘味も複雑に絡み合わせた方がいいと思う」

千枝「だよね。やっぱ、雪子とは意見が合うわ」

菜々子「……あの」

千枝「まろやかさと言えば、やはり」

雪子「片栗粉ね」

千枝「買っておいて正解だったね。堂島家のキッチンは調味料が少なすぎるし」

菜々子「……えと」

雪子「私、こうやって千枝とご飯作るの好きだな」

千枝「そう? じゃあ、部屋借りて一緒に住む?」

雪子「千枝は時々凄く大胆なことを言うわよね」

千枝「え、本心だけど」

雪子「え……」ドキ

菜々子「……ふえ」ドキドキ

千枝「雪子……」

雪子「千枝……」

菜々子「……」ドキドキ

ムキムキ―
チラチラ―

千枝「私、嫉妬ばかりしちゃうかもしれないよ」

雪子「私だって、千枝のこと籠の鳥にしちゃうかも……」

菜々子「……」ドキドキ

千枝「……それは嫌」

雪子「えー」

千枝「えーって、しちゃうの?!」

雪子「たぶん」

千枝「そのたぶんは怖いよッ」

菜々子「あの、お野菜むけたよ……」

千枝「お、サンキュー」

雪子「じゃあ、そのままお鍋にいれて……」

菜々子「よいしょ……」

どささ

千枝「みりんで煮たほうが、トロッとしそうじゃない」

雪子「それだと甘すぎるから、シチューの元は多めに入れないとね」

千枝「菜々子ちゃん」

菜々子「な、なあに?」

千枝「疲れたでしょ。ちょっと、休んでていいよ」

菜々子「ううん、大丈夫だよ」

雪子「えらいね」

菜々子「お料理、楽しいよ。何ができるか、楽しみ」

千枝「シチューだよ?」

雪子「ええ」

菜々子「うん」

―――
――

千枝「さ、完成!」

雪子「ご飯もちょうど炊けたわ」

菜々子「菜々子、お皿出すね」

トテトテ

千枝「ありがとう。うーん、お肉とお魚もたっぷり入れたから、ちょっと野性的な香り」

雪子「それなのに、見た目真っ白ってもう芸術の域ね」

ガラガラ―

堂島「ただいまー」

千枝「あ、お父さん帰ってきたんじゃない?」

菜々子「わーい」ほッ

堂島「おお、キッチンが華やかだ」

菜々子「おかえりー」

ギュウ

堂島「ただいま、菜々子」

ギュウ

千枝「ご飯にします?」

雪子「お風呂にします?」

菜々子「マジョリーンにする?」

チャキッ

堂島「すまん、菜々子。今日はくたくただ。マジョリーンごっこはまた日曜日な。ご飯先食べるよ」

菜々子「うん、分かった。約束ね」

堂島「ああ」

次の日、彼らの作った『シチュー』のおすそわけをもらった直斗とりせが畏敬の念を込めて『砂漠の肉』と呼んだ。
堂島氏に至っては、翌日の味覚が麻痺していたとかなんとか。


ジュネス――

フードコート

菜々子「……あ、おじさん」

男「お嬢ちゃん」

菜々子「あのね、シ、シチュー作ったから、良かったら食べて」

男「ありがとう……ありがとう……」

菜々子「ううん」

男「いただきます」

男が一口シチューを口にする。
瞬間、彼は残像のように消えてしまったのだった。

海未「出典、新・食中毒にならないためには。菜々子の手記より」

パタンッ

ことり「海未ちゃん? それ、どこで拾ったの?」

海未「そこのフードコートに」

ペカー!

海未「う、眩しいッ」

妖精さん「百合マックスです。これで人間さん帰れます」

海未「長い旅路でしたね」

ことり「そうだね」

妖精さん「うんたらかんたら……」

海未「これだけ、色々なカップルを見ても、私とことりには何ら変わりがありませんでしたね」

ことり「え? 何か言った?」

海未「……いえ」

妖精さん「オープンセサミ!」

シュンッ――

音ノ木坂学院

ガヤガヤ―

海未「う……」

穂乃果「海未ちゃん、起きた?」

ことり「戻ってきたんだね」

にこ「ご苦労様。よく耐えたわね」

海未「いえ、とても良い勉強になりました。犬耳も撮れましたし」

穂乃果「えー、なになに?」

海未「後で、見せますね」

絵里「さて、これで行ってない人はもう……いないかしらね」

希「せやな」

穂乃果「そうだね」

凛「え、真姫ちゃんがいるにゃ」

一同「あ」

にこ「いや、真姫には刺激が強すぎるでしょ、さすがに」

花陽「つまり、一番純粋ということなんでしょうか……」

絵里「まあ、サンタを信じている内は連れていけないわね」

希「みんな、大人の階段登ってしもたんやな……」

穂乃果「ねね、みんな。どのカップルが一番素敵だった?」

絵里「そうねー……」

希「みんな違ってみんなええんやない」

にこ「ばっさりまとめたわね」




おわり

真姫ちゃん、残っちゃったごめん。

こんな百合ダーツの旅に付き合って頂きありがとうございました。

こちらこそありがとう
もっとやってほしかったけどね~

>>218
ありがと。
知らないカプは、シリアスがいいのかギャグがいいのかよく分からない時があったから、
次は青春・ギャグ・ホラー・鬱みたいな感じでジャンルも決めてもらった安価ssしたいです

ほのまき、くぜカレ、レイそら、なのティアあたりは特に印象に残ってる
続き書いて欲しいくらい
あと絵里がゲロ吐きそうになってたのとひびみく厨自重しろあたり

乙です

>>220
レイそらに関しては、そら「今夜のすごい相手」というssを
あの後勢いで書いたので良ければ。

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