瑞鶴「もう二度と離さない」 (409)

艦これSSです

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瑞鳳「第一次攻撃隊、発艦始め!」バシュッ

陽炎「みんな、瑞鳳さんの爆撃機と攻撃隊が接近中よ! 不知火と初風、雪風、野分は輪形を形成して対空防御! 舞風と私は攻撃機を引き寄せたら一気に肉薄するわよ!」

舞風「はーい!!」

陽炎「不知火、初風。二人とも後は任せたわよ」

不知火「お任せ下さい」

初風「りょーかい。陽炎姉さんもヘマしないでよね」

陽炎「私は大丈夫よ! 陽炎型ネームシップの力を見せてやるわ!!」

不知火「陽炎は司令に夢中ですからね。頑張るのも無理ないかと」

陽炎「ちょっ!!? 不知火!!」

不知火「爆撃機が射程内に入りました。対空射撃始めます。全艦撃ち方始め」ズドン!

陽炎「後で覚えてなさいよ……舞風、あと10秒粘って一気に攻めるわよ!」

陽炎「3、2、1……突撃!!」

舞風「舞風、いっきまーす!!」

比叡「陽炎ちゃんと舞風ちゃんが急速に接近!! 瑞鳳、艦載機は!?」

瑞鳳「残っている艦載機で第二次攻撃隊を出します!! 発艦!!」バシュッ

陽炎「来たわよ舞風!更にバラけるわよ!」

舞風「うん! 取り舵!!」

陽炎「面舵!!」

瑞鳳「うっ……!?」

陽炎「不知火、初風! 突撃開始して!」

不知火「不知火と野分は右を」

初風「じゃ、私と雪風は左を攻めるわ」

比叡「瑞鳳、他の4人も左右から来た!」

瑞鳳「まずはみんなで陽炎ちゃんと舞風を攻撃して!」

比叡「了解! 副砲、照準合わせ! 発射!!」ズドン! ズドン!

青葉「早い!!」

熊野「照準が上手く合いませんわ!!」

摩耶「クッソ! ちょこまかと動きやがって!!」

秋月「瑞鳳さん! もう艦載機は無いのですか!?」

瑞鳳「ごめんね……足りない……」

秋月「うぅ……」

摩耶「当たれ!! このっ!!」ズドーン!

陽炎「そんなの当たらないわ!! 不知火、初風。そっちはどう?」

不知火「雷撃ポイントに到達しました」

初風「同じく到達。早くしてくれない?」

陽炎「舞風、雷撃するわよ!」

舞風「いいよ! 陽炎お姉ちゃん!!」

陽炎「全艦、最優先目標は瑞鳳さんと比叡さん! 雷撃開始!! いっけぇ!!!」バシュッ

ズドーン!!

……………………

…………

……

陽炎「あっ、司令!!」タタッ

提督「陽炎か。どうした?」

陽炎「演習が終わったわ!! 司令は見ててくれた?」

提督「勿論だ。最後まで見ていたよ」

陽炎「ねえ、どうだった? 私達どうだった?」

提督「今日の演習は陽炎の艦隊が良い動きをしていたな。あえて今回は戦艦と空母と重巡が中心の艦隊と陽炎達駆逐艦のみの艦隊で分けたが、あのような結果になるとは思わなかった。あれは陽炎の指示か?」

陽炎「そうよ! 回避に最も自身のある私と舞風が敵の正面から切り込んで残りの4人に左右から挟撃、雷撃で瑞鳳さんと比叡さんを仕留めるってね!」

提督「良い作戦指揮だった。そして作戦もなのだが、陽炎と舞風は素晴らしい立ち回りをしていた。瑞鳳航空隊の空からの攻撃と比叡達の砲撃を全て掻い潜るなんて芸当をこなすのは至難の技だぞ」

陽炎「私は陽炎型のネームシップだもの。妹達の手本になれなければ『陽炎』の名が泣くわ!」

提督「陽炎は十分頑張っているよ」ナデナデ

陽炎「エヘヘ〜」

提督「だが、精進は怠らないように」

陽炎「は〜い!」

提督「とりあえず早くお風呂に入って来なさい。髪が海水で濡れている」

陽炎「そうね。髪が傷んじゃうし、お風呂入ってくるね! じゃ、また後でね司令! 書類整理手伝いに行くから!」タタッ

………………………………。

コンコン コン

瑞鳳「瑞鳳です。入って良いですか?」

提督「ああ」

ガチャ パタン

提督「報告か?」

瑞鳳「はい。今日の演習の結果について報告しに来ました」

提督「珍しく瑞鳳が慌てていたな」

瑞鳳「はい……まさかあんな戦法を取ってくるとは思ってもいませんでした」

提督「あれは陽炎が成長しているからだ。あの子はこれからも伸びるだろうな」

瑞鳳「むぅ……」

提督「どうした? 突然黙り込んで」

瑞鳳「少し嫉妬しちゃうな」

提督「事実だ。それくらいで妬くな」

瑞鳳「考えておきます」

提督「話を戻すぞ。瑞鳳はどうすればあの戦法に対応出来たと考えているんだ?」

瑞鳳「それは……今だから言えることで、多分結果論になりそう……」

提督「それでもいい。聞こう」

瑞鳳「一つ目は、青葉と熊野、摩耶の火力と機動力を兼ねた3人で陽炎ちゃんと舞風ちゃんを迎撃させて、私は左舷に回り込んでいた不知火ちゃん達を、比叡は右舷に回り込んでいた初風ちゃんを迎え討つべきでした」

提督「そうだな。確かに砲火力が分散するというリスクはあるものの、雷撃をさせないように立ち回る事は出来たかもしれんな」

瑞鳳「うん。だけど、3人が陽炎ちゃん達を抑えれなかったら、もっと酷い結果になったかもしれないね」

提督「こればかりは実際にやってみないと分からない」

瑞鳳「うん……」

提督「あと、私から一つある」

瑞鳳「何が?」

提督「空母がお前一人では大変だろう。艦載機の数がやはりネックとなっている」

瑞鳳「そ、そんなことないです! 私一人でも頑張れます!」

提督「瑞鳳が努力しているのはよく分かっている。実際、軽空母でありながら正規空母以上の働きをしている。それに艦隊での練度も、陽炎や電と並びトップクラスだ」

瑞鳳「ありがとう……」

提督「だが、やはり数ばかりは努力や工夫だけでは補いようがないのも事実。ランチェスターの第二法則を知っているか?」

瑞鳳「ランチェスター?」

提督「そうだ。これは、戦闘力は武器効率×兵力数の二乗、つまり圧倒的な質量に勝るものはないということを示す訳だ」

瑞鳳「でも、戦いはそれだけでは決まらないもん……」

提督「それは同感だ。この法則を全て鵜呑みにするのは愚の骨頂。しかし、この法則に一理あるのも確かだ」

瑞鳳「それは……そうね」

提督「それに加え、今は鎮守府近海と南西の一部のみだが、今後は段々と戦線を拡大していく。そうなれば戦力の補充は必要になる。ならば、育成の為にも早目に迎え入れた方がいいと思わないか?」

瑞鳳「それはそうかもね」

提督「では、空母の建造をするということでいいか?」

瑞鳳「いいよ。ただ、私を艦隊から外しちゃ嫌なんだからね!」

提督「大丈夫だ。それは絶対にない」

瑞鳳「よかった!」

提督「そうだ。もし、空母が出来た場合は瑞鳳に育成を任せたい。頼んでもいいか?」

瑞鳳「任せて! 頑張るから!」

提督「心強いな。さて、工廠に行こうか」スタスタ

瑞鳳「うん!」トコトコ

…………………………。

建造妖精「ア、テイトクダー」

提督「失礼するよ」

建造妖精「コンニチハー」

瑞鳳「こんにちは」

建造妖精「キョウハナンノヨウ?」

提督「空母を一人作って欲しいんだ。出来れば正規空母だと助かるのだが」

建造妖精「ヤクソクムリー」

提督「ああ、知っているよ。出来れば、空母を作れるように頑張って欲しい」

建造妖精「シゲンー」

提督「この分建造妖精が引き出せるよう倉庫番に言っておいた」ピラッ

建造妖精「ハーイー」

瑞鳳「あ、提督。あれを渡してあげたら?」

提督「そうだな。建造妖精、これを」スッ

建造妖精「ン? ナニコレ?」

提督「間宮の羊羹だ。まあ、日頃の感謝だと思ってくれ」

建造妖精「アリガトウ!! お──ガンバル!!」

提督「ああ、頼む」

瑞鳳「じゃあ、行きましょう」

提督「そうだな」

………………………………。

提督「終わったか? 建造妖精」

建造妖精「オワッター」

提督「二人? 頼んだのは一人の筈だが」

建造妖精「オマケー」

提督「資源は何処から……」

建造妖精「ヘソクリー」

提督「…………聞かなかったことにする」

瑞鳳「誰が来るんだろ?」

提督「かなり時間がかかっていたからな。正規空母だといいのだがな」

建造妖精「ジャーツレテクルー」トコトコ

建造妖精「オマタセー」

瑞鶴「翔鶴型航空母艦2番艦の瑞鶴です。貴方が提督さん?」

伊58「伊58です! ゴーヤって呼んでもいいよ! 苦くなんてないよ!」

提督「そうだ。私がこの鎮守府の提督だ」

瑞鳳「ありがとね、建造妖精さん!」

建造妖精「ドーモー」

提督「これから頼むよ、瑞鶴、伊……」

伊58「ゴーヤでち」

提督「……ゴーヤ」

瑞鶴「うん! よろしくね、提督さん!」

伊58「よろしくお願いします!」

瑞鶴「で、貴女は?」

瑞鳳「瑞鳳です。今は陽炎ちゃんと一緒に提督の秘書艦もやってます」

瑞鶴「瑞鳳って……あの瑞鳳?」

瑞鳳「はい! エンガノではお世話になりました」

瑞鶴「あの時はごめんね……私にもっと力があれば……」

瑞鳳「ううん、そんなこと無いよ。あれは瑞鶴のせいじゃないもん」

瑞鶴「うん……」

提督「感動の再会は後だ。それよりも全員に紹介をせねばならないな。行くぞ」

瑞鳳「私達に付いて来てね」

瑞鶴「分かった」

伊58「は〜い!」

建造妖精「バイバイ」フリフリ

提督「今日からこの鎮守府に加わる新しい仲間だ。仲良くしてやってくれ」

瑞鶴「翔鶴型航空母艦2番艦の瑞鶴です。これからよろしくお願いします」ペコリ

伊58「巡潜乙型改二、伊54型3番艦の伊58です。ゴーヤと呼んでくだち!」ペコリ

秋月「瑞鶴さん!!」

瑞鶴「えっと……貴女は……」

秋月「秋月です! マリアナやエンガノにもお伴した!」

瑞鶴「秋月!? 久し振りだね! こんなに可愛くなって」

秋月「瑞鶴さんも凄く素敵です!」

瑞鶴「そ、そうかな?」

秋月「はい!」

伊58「あの……」

比叡「どうしたの?」

伊58「他の潜水艦はいないのかなぁ?」

比叡「うん。潜水艦は貴女が初めてなんだ」

伊58「うぅ……」

比叡「心配しなくても大丈夫! みんな優しくしてくれるよ」

伊58「そうでちか?」

比叡「勿論! ね、響ちゃん?」

響「そうだね。 ゴーヤさん」

伊58「ん?」

響「折角の第二の人生なんだ。楽しまなきゃ損だよ」

伊58「うん!」

提督「二人はこの姿についてもう聞いたか?」

瑞鶴「えっと……あの小さい……妖精さん? から一応聞きました」

伊58「ゴーヤも聞いたよ」

提督「なら大丈夫だ。時々建造妖精は説明をし忘れたりするからな」

瑞鶴「随分と大雑把なのね」

提督「そうだな」

瑞鶴「ねえ、どうやって私は建造されたの?」

提督「分からん」

瑞鶴「教えてくれたっていいじゃない!」

提督「いや、私も知らないのだよ」

瑞鶴「そうなの?」

提督「ああ。私だけではなく他の者も誰一人として知らない。建造妖精のみが知る秘密だよ」

瑞鶴「へ〜 そうなんだ」

提督「まあ、こんな事を気にしてもしょうがない。深くは考えるな」

瑞鶴「うん、そうする」

提督「では、私は執務室に戻る。何かあれば執務室に来てくれ。他の者もこの後は自由にしてくれていい」スタスタ

瑞鳳「また明日ね、瑞鶴。貴女の部屋は私と相部屋で、そこの突き当たりにあるから」

伊58「ゴーヤの部屋は?」

瑞鳳「その通路を真っ直ぐ行って奥から2番目の部屋だけど、今は一人かな。もしも一人が嫌だったら他の人と相部屋にするから、遠慮なく言ってね」

伊58「分かったでち!」

瑞鳳「私も執務室にいるから、何かあったら来てね。おやすみ」スタスタ

陽炎「司令! 私も行く!!」トコトコ

瑞鶴「とりあえず部屋に行きましょうか」

伊58「そうでちね」

………………………………。

提督「今日は部屋に戻って寝ても良かったんだぞ」サラサラ ペラッ

瑞鳳「そうしたら、提督が寝られないでしょ?」サラサラ

陽炎「そうよ! こんな報告書の山を一人でやってたら陽が出るわ!」ペラッ サラサラ

提督「それが私の仕事だ。それに、お前達にまで苦労をかけたくは……」サラサラ

瑞鳳「これは私達がやりたくてやってるの」ペラッ ペラッ

陽炎「そうそう! 司令と一緒にいる時間も増えるしね!」ペラッ

提督「一体私なんかの何処がいいのか……」

陽炎「全部言った方がいい?」

提督「頼むからやめてくれ……」

瑞鳳「ほら、提督も手が止まってるよ」サラサラ

提督「おっと、すまないな」ペラッ

……………………

…………

……


今日はこれで終わりです


>>1の酉が化けましたが、正しくは『ずいずい』のこちらですので、よろしくお願いします

別スレと並行してますので、こちらは向こうがおわるまでは、比較的はゆっくり更新するつもりです

またいつか来ますね!




救いのある世界観は書いていて癒されます

乙です
こっちは前作と大体メンバーはいっしょか

瑞鳳「瑞鶴、起きて。瑞鶴ったら」ユッサユッサ

瑞鶴「らめぇ……もう少し…………」

瑞鳳「わっ!!」

瑞鶴「ひゃあ!!?」ビクッ

瑞鳳「よし、起きたね?」

瑞鶴「そりゃ、驚いて跳ね起きるに決まっているじゃない!」

瑞鳳「だって起こすんだもん。おかしくないでしょ?」

瑞鶴「確かに……」

瑞鳳「ほら、起きるよ。提督が呼んでるよ」

瑞鶴「提督さんが?」

瑞鳳「うん。着替えて準備出来たら執務室に来てね?」

瑞鶴「分かった〜」

瑞鳳「じゃ、待ってるよ」

瑞鶴「すぐ行くね」

…………………………。

コンコン コン

提督「誰だ?」

瑞鶴「瑞鶴です」

提督「入れ」

ガチャ パタン

瑞鶴「瑞鳳に提督さんが呼んでるって聞いたんだけど?」

提督「ああ。確かに頼んだが、予想以上に早かったな」

瑞鶴「すごく急いだんだから!」

提督「それは分かる」

瑞鶴「どうして?」

提督「寝癖だ」

瑞鶴「へっ!?」バッ

瑞鶴「 あぁ!!」

提督「すまないな、急がせて」

瑞鶴「こういうらことは見ないフリをしててよ〜! ああもう! 直らない!」

提督「瑞鳳、フォローしてやれ」

瑞鳳「ちょっと難しいかも」

瑞鶴「うわ〜ん!!」

>>219訂正

瑞鶴「こういうことら〜→瑞鶴「こういうことは

提督「まあいい。瑞鶴、今日はお前にやって貰いたいことがある」

瑞鶴「やって貰いたいこと?」

提督「そうだ。昨日建造されたばっかりだが、早速演習をして貰いたい」

瑞鶴「演習?」

提督「本当なら瑞鳳と組ませた方が、空母の艦娘としての動きを早く覚える事が出来るかもしれんが、あえて今回は瑞鳳の相手になって貰いたい」

瑞鶴「それはいいけど、どんなチーム分けになるの?」

提督「基本的には6対6の戦いなのだが、今回はそれぞれに水雷戦隊を6隻ずつ所属させる」

瑞鶴「水雷戦隊は普通付けないの?」

提督「ああ。演習だと付けることはまずあり得ない」

瑞鶴「ふーん。じゃあ、どうして今回は付けるの?」

提督「それはだな、今後やってみたい事があるからだ。今回の演習はそのテストという側面もある」

瑞鶴「分かった。とにかく私は瑞鳳と制空権争いをすればいいんだよね?」

提督「そこはノーコメントだ。自分で考えてやってみてくれ」

瑞鳳「演習が終わったら色々教えるから、今回はね?」

瑞鶴「分かった」

提督「一時間後の朝礼で今日の演習の編成分けを発表する。それまでの間に瑞鶴は瑞鳳に装備の更新についてレクチャーして貰いなさい」

瑞鶴「うん。よろしくね、瑞鳳」

瑞鳳「簡単だからすぐ終わっちゃうけどね。提督、行ってくるね?」

提督「ああ。頼んだぞ」

ガチャ パタン

………………………………。

瑞鳳「これが紫電改の艦載機版の紫電改二。で、これが幻の艦上戦闘機の烈風ね」

瑞鶴「凄い!! こんな機体見たことないよ!!」

瑞鳳「気になって色々調べたんだけど、試作機が6機しか造られなかったみたい」

瑞鶴「へ〜! 性能はどうなの?」

瑞鳳「零戦の性能を殆ど上回るの! 苦しめられた高度10000m以上の敵も迎撃可能だし、最高速度、運動性、武装も最高なの!!」

瑞鶴「これが戦時中に量産されてれば……」

瑞鳳「それはしょうがないよ……だけど、今私達が使えるんだから、これでみんなを護らないとね!」

瑞鶴「そうだね!」

瑞鳳「それでね! これが九十九艦爆!! 」

瑞鶴「あ、懐かしいね!! 彗星が出てきてからもずっとこれも残ってたし、馴染み深いな」

瑞鳳「そうだよね! それにこの子は脚が可愛いのよ! 脚が!!」

瑞鶴「それは……分からないかも……」

瑞鳳「あっ! これが流星で、これが彩雲!! 流星はこっちの流星改もあって、エンジンのトラブルもかなり少なくなっていたの!!」

瑞鶴「へ〜」

瑞鳳「それで〜」

……………………

…………

……

提督「全員集まったな。今日の朝礼を始める」

提督「今日は午前の遠征を無くし、大々的な演習を行う」

夕張「大々的ですか?」

提督「そうだ。いつもならば6対6の編成で実戦形式の演習をしていたが、今回は今後のテストサンプルとしての意味も加え、6対6にそれぞれ6隻の水雷戦隊を遊撃部隊として加えたいと思う」

摩耶「なかなか面白そうじゃねえか」

提督「私も色々な意味で面白い戦闘になるだろうと予想している。両軍共、旗艦の指示が最も大切になる。それがこの戦いの勝敗を分ける事になるだろう」

提督「では、編成を発表する」

提督「甲軍機動部隊。瑞鳳、熊野、摩耶、秋月、天津風、時津風。甲軍遊撃部隊。川内、電、雷、響、夕立、春雨」

提督「乙軍機動部隊。瑞鶴、比叡、青葉、夕張、伊58、浦風。乙軍遊撃部隊。陽炎、不知火、初風、雪風、野分、舞風」

提督「以上が今回の演習参加艦になる。呼ばれなかった卯月と文月、時雨、浦風、磯風、長波は鎮守府近海の哨戒任務に当たってくれ」

長波「ちぇっ、戦闘したかったな」

卯月「しょうがないぴょん! う〜ちゃん達は深海棲艦を倒して憂さ晴らしするぴょん」

提督「今回は外れて貰ったが、次の演習では参加して貰う。安心してくれ」

文月「うん! あたしたちは〜しょうかいがんばろ〜!!」

提督「頼んだぞ。哨戒も大切な任務だ。それは忘れるなよ」

時雨「うん。頑張るよ」

提督「哨戒組は出撃してくれ。演習組は各軍に分かれて打ち合わせをして、演習用の海域に移動してくれ。演習の開始は一時間後だ。解散!」

全員「はい!!」

………………………………。

今日はこれで終わりです

明日から暫くは雪風の方に専念しますので、こちらは少しペースを落とします

一週間以内には更新するつもりですが、雪風を書いていて余裕があれば同時更新もする場合があります

では、またいつか来ますね!



>>15
仰る通りキャラは前作+αになっています

提督「これより、演習を始める。曇っている為、普段よりも見通しが悪い。事故にだけは気をつけろ」

提督「では、これより大規模演習を行う。演習開始!」

比叡「瑞鶴、瑞鳳に空母艦娘としてのセオリーって聞いたの?」

瑞鶴「ううん、今回は聞いてない。提督さんが、とりあえずは私の思うようにやってみろって言ってたから」

比叡「分かった。じゃあ任せるからね」

瑞鶴「うん! じゃあ、偵察機を飛ばすから」スッ

瑞鶴「彗星発艦!!」バシュッ

瑞鶴「これで敵艦隊を見つけたら一気に攻めるから!」

比叡「私達は零式通常弾と九十一式徹甲弾のどちらを装備しておいたほうがいい?」

瑞鶴「徹甲弾! 艦載機の数なら私の方が圧倒的に有利だから制空権は取られないわ!だから比叡と青葉、夕張は私の前に出て! ゴーヤは相手の懐に潜り込んで瑞鳳を狙って!」

比叡「分かった。青葉! 徹甲弾を装備!」

青葉「了解ですぅ! まっかせて下さい!」

ゴーヤ「瑞鳳さんはゴーヤに任せるでち!」

夕張「いくわよ!」

瑞鶴「陽炎ちゃん達は大きく迂回して側面から敵の主力を叩いて! 浦風ちゃんはトンボ拾いをお願い!」

浦風「任せとき!」

陽炎「りょーかい! さて、艦隊型駆逐艦完成系の恐ろしさを見せつけるわよ!」

雪風「はい! 頑張ります!!」

舞風「今日もいっぱい踊るよ〜!! 野分も踊ろ? おっどろうよ〜!」クルクル

野分「舞風、少し落ち着いて」

舞風「ど〜して?」

野分「いつも舞風は転ぶから」

舞風「そんなこと無い……のわっ!!?」バッシャーン

野分「ほら、言ったでしょ」

舞風「う〜」

瑞鶴「2番機より入電!! 我、敵艦隊ヲ発見ス!」

青葉「やりましたね! 瑞鶴、指示をお願いします!!」

瑞鶴「座標は今みんなに送った! さっき打ち合わせた通りに動いて! 私は第一次攻撃隊を送るから!」

比叡「空は任せたよ! 青葉!夕張!突撃開始!」

瑞鶴「浦風、後ろについてきて!」

浦風「大丈夫じゃけぇ、うちを気にせんでええよ」

瑞鶴「うん! 艦首風上! 両舷全速! 速度良し! ……烈風隊発艦始め! 続いて彗星隊、流星隊発艦!!」バシュッ

瑞鶴「頼んだわよ!! 艦載機のみんな!!」

浦風「凄い眺めじゃのぉ」

瑞鶴「翔鶴型の名は伊達じゃないわ!」

瑞鶴「まだ瑞鳳の航空隊が発艦する気配は無い! この勝負瑞鶴達が貰った!!」

瑞鶴「雲の上だと見通しが悪いからみんな雲の下を飛んで!」

烈風妖精「テキノカンサイキハイナイ!」

瑞鶴「偵察機からの連絡だと、まだ瑞鳳の航空隊は射出されていないわ!」

彗星妖精「ミツケタ! テキノホンタイヲハッケン!」

流星妖精「デストローイ!!」

瑞鶴「みんな攻撃体勢に入って! 目標は敵旗艦の瑞鳳! 彗星隊はニ隊に分かれて水平爆撃組と急降下爆撃組に! 流星隊と連携を取って同時に攻撃をして!」

彗星妖精「マカセロ!」

流星妖精「デストローイ!!」

瑞鶴「散開して!」

ズダダダダ!

烈風妖精「ナンダト!?」

彗星妖精「ナッ!?」

流星妖精「ヒダンハンテイ!? ……リダツスル」

瑞鶴「な、何なの!? 一体どこから!?」

烈風妖精「テキシュウ!! クモノウエカラクルゾ!!」

瑞鶴「雲の上!? 待ち伏せされてたの!?」

瑞鳳「かかった!」

熊野「では、手筈通りに致しますわ」

瑞鳳「うん! 烈風隊はヒットアンドアウェイで対空射撃圏内から離脱! 雲の中に潜って!」

烈風妖精「リョウカイ!!」

瑞鳳「烈風隊は奇襲を開始! 秋月ちゃんと摩耶は私の号令といっしょに照準済みの94式高射装置と13号を使って対空射撃開始!撃墜後は私を中心にした輪形陣を形成! 天津風ちゃんと時津風ちゃんは申し訳ないけど、私の護衛とトンボ拾いをお願いね!」

熊野「川内達水雷戦隊は私と共に比叡や青葉を撃破した後に陽炎達遊撃部隊の捜索ですわ」

川内「夜戦は〜!?」

熊野「無いです。我慢なさい」

川内「あ〜ぁ……」

瑞鳳「摩耶、秋月ちゃん。対空射撃始め!!」

摩耶「任せな!!」ズダダダダ

秋月「艦隊をお護りします!!」ズダダダダ

熊野「突撃致しますわ! 」

川内「駆逐艦の子達、私に続け!」

夕立「やっと戦えるっぽい!」

春雨「夕立姉さん、春雨がお伴します!」

電「雷ちゃんも響ちゃんも頑張るのです!」

雷「ぜーんぶ私に任せていいのよ!」

響「当面は比叡さんが脅威だね」

夕立「そんなの、倒しちゃえば問題ないっぽい!」

響「……ハラショー」


摩耶「瑞鳳! 敵の攻撃機と爆撃機は殆ど潰した! そっちに行った分はキチッと回避しろよ!」

瑞鳳「このくらいなら回避できそう! えいっ!」サッ

摩耶「ああ。 あたしと秋月は、天津風と時津風に合流して輪形陣を作る」

瑞鳳「お願いね!」

摩耶「んじゃ、お前はさっさと攻撃隊出しちまえ」

瑞鳳「うん! 第一次攻撃隊発艦!!」バシュッ

瑞鳳「艦載機のみんな! 瑞鶴を叩くことを念頭に、臨機応変に対応してね!」

彗星妖精「マカセロ!」

瑞鳳「空中待機中の緑小隊と赤小隊の烈風隊は彗星と流星と合流、援護をよろしくね!」

烈風妖精「オウ!」

瑞鳳「頑張ってね!!」

短いですが、今日はこれで終わりです


演習シーンを書ききっていないので、もしかしたら明日も書くかもしれません


では、また来ますね

比叡「瑞鳳の航空隊が接近中!!」

青葉「11時の方向から敵艦隊も来てますね〜」

比叡「対空か……対艦か……」

青葉「青葉も比叡も徹甲弾を積んでますが? そうですよね?」

比叡「換装している暇は無い、か」

夕張「比叡さん、あまり迷っている時間はないですよ」

比叡「瑞鶴、直掩機の展開状態は?」

瑞鶴「今やってるけど、まだ時間がかかる!」バシュッ

比叡「分かった。出来る限り急いで」

青葉「比叡、どうしますか?」

比叡「対空は機銃のみ、主砲で向こうの艦隊を迎撃する!」

青葉「了解ですぅ!!」

夕張「ま、数では不利だけど、何とかなる数かな?」

比叡「まずはあの子達の射程外から撃って数を減らす!! 主砲砲撃準備!!」

青葉「方位角合わせ! 仰角45度──良し!」

比叡「青葉と夕張は射程に捉えたら砲撃開始ね」

青葉「青葉にお任せ!」

夕張「はい!」

比叡「第一射、ってえ!!」ズドーン!!

バシャーン

比叡「遠! 第二射、ってえ!!」ズドーン!!

春雨「えっ!?」

ベチャッ

春雨「痛い!!? やめて〜!!」

比叡「良し! 当たった!」

提督「春雨、轟沈判定だ。 離脱せよ」

春雨「はい……夕立姉さん、すみません……」

夕立「大丈夫よ!」

春雨「はい……では、皆さん頑張ってください……」

夕立「夕立、春雨の分まで頑張るっぽい!!」

瑞鶴「浦風! 敵第1波来るわよ!」

浦風「瑞鶴さん、どうする? ウチ一人じゃあの数は対空射撃じゃぁ落とせんよ?」

瑞鶴「浦風は雷撃機だけを狙って! 爆撃機は……」

浦風「爆撃機は?」

瑞鶴「私の速力でかわしきる!!」

浦風「うふふふふふ……瑞鶴さんはおもろいのぉ。その考え方、ウチは好きで」

瑞鶴「それ、褒めてるの?」

浦風「褒めとるんよ」

瑞鶴「そうは思えないんだけど」

浦風「ほんまで」

瑞鶴「まあいいわ。じゃ、後はお願いね」

浦風「任せとき! ……対空射撃始めじゃ!!」ズダダダダ

瑞鶴「第一戦速!! さて、久し振りに踊るわよ!!」

…………。

比叡「第八斉射! 砲撃開始!!」ズドーン!!

熊野「撃ちましたわ! 全艦取り舵!!」

バッシャーン!!

比叡「また避けられた!!」

青葉「スキありです!」ズドーン!

ベチャッ

熊野「ひゃあ!? 第一砲塔に被弾……やりますわね!」

夕張「このぉ! 川内邪魔!!」ズドン!

バッシャーン

川内「当たらないよ!」

夕張「ばかー!!」

響「川内さん、そろそろじゃないかな?」

川内「そうね。全艦雷撃準備!! このまま敵の横っ腹を狙うよ!!」

夕立「分かったっぽい!!」

川内「第三戦速より最大戦速へ増速! 一気に懐に」

ズドン! ズドン! ベシャッ

雷「えぇっ!?」

川内「どうしたの!?」

夕立「後方から敵艦隊接近っぽい!!」

川内「なんですって!!?」

響「あれは不知火に初風、舞風の3人だね」

川内「なら、後方の熊野は一体何を! 熊野! 熊野聞こえる!?」

川内「…………くそっ! 通信機器をやられたのか!?」

響「川内さん、どうする?」

川内「夕張や青葉は私が引きつけるから三人は後方の三人を対処して! 雷は大破判定だから退避」

夕立「夕立、分かったっぽい!」

響「御武運を」

電「わ、分かったのです!」

雷「ごめんね、みんな……」

不知火「ふむ……あの三人が向かって来ますか」

初風「で、どうするの?」

不知火「もちろん迎撃します。しかし、その前に……」

初風「何?」

不知火「夕張さん、青葉さん聞こえますか?」

夕張「聞こえるわよ! 不知火ちゃんありがとう、助かったわ!」

不知火「いえ、大したことはしていません」

夕張「そんな事無いわよ。で、何か用があったんでしょ?」

不知火「はい。敵艦隊が間にいるうちに魚雷をこちらとそちらから一斉射しておきましょう」

夕張「当たれば御の字、当たらなくても敵の艦隊運動を乱す事が出来るからってところかしら?」

不知火「はい。その通りです」

夕張「りょ〜かい! 青葉、魚雷撃つわよ」

青葉「いっきますよぉ〜!」

夕張「発射!」バシュッ

不知火「初風と雪風も雷撃をして下さい。発射」バシュッ


川内「魚雷か! 面舵」

比叡「今!! 第九斉射!!」ズドーン!!

川内「えっ!?」

ベチャッ

川内「くっそ……大破判定……」

夕張「流石比叡さんね!」

比叡「えへへ〜」

夕張「さ、敵の駆逐艦も仕留めるわよ!! 砲撃開始!」

響「……夕立、電。後ろから追撃が来るよ」

夕立「なら、後ろは夕立に任せるっぽい!!」

電「危ないのです!」

響「いや、その方が良い。こちらは少しでも背後からの攻撃は避けたい」

夕立「さ〜あ、素敵なパーティーしましょ!!」クルッ ズドン! ズドン!

響「さて、始めますか……電、前方後方両方からくる魚雷には気をつけて」

電「分かったのです!」

夕張「夕立ちゃんが艦隊から落伍、反転して突撃して来ます!」

比叡「今度はあの子が私達を食い止めるつもりなのね」

青葉「夕立ちゃんは何をするか分からないので気をつけて下さいね」

比叡「それは私が一番知ってる」

青葉「あはは、デスヨネー」

比叡「あの子の接近を許しては駄目! 出来る限り弾幕を張って!」ズドーン!!

夕立「そんな弾幕なんて無駄っぽ〜い!!」

夕張「すばしっこすぎるのよ!」

夕立「ぽいっ!!」ズドン!

ベチャッ

青葉「うわぁぁぁぁ!! 目が!! 目がぁ〜!!」

夕張「青葉!! 馬鹿やってる暇は無いのに何を!」

夕立「もう一発行くっぽい!!」ズドン!

ベチャッ

夕張「きゃぁぁぁぁ!! 目が!! 目がぁ〜!!」

夕立「魚雷発射ぁ!!」バシュッ

ズドーン! ズドーン!

提督「夕張、青葉大破判定。戦闘海域より撤退せよ」

夕張「えぇっ!?」

青葉「うぅ……」

比叡「夕立ちゃん! それは卑怯だって!」

夕立「躱せない方が悪いっぽい! それに演習は何でもして良いっぽい!!」

響「電、こちらも何とか食い止めないと」

電「なのです!」

響「電、まずは不知火を狙って」

電「雪風ちゃんと初風ちゃんはどうするのです?」

響「今は手に負えない。とりあえずは2:2の状況を作り出そう」

電「分かったのですよ!」ズドン!

ベチャッ

不知火「…………」

初風「不知火……」

不知火「不知火に何か落ち度でも?」

初風「その発言が落ち度ね」

不知火「……まだ小破ですが、ここは不知火が囮役に回りましょう」

初風「了解。手筈通りに」

不知火「はい」

初風「雪風、あんたは私の後ろ……敵の死角に入って。あとはこの前訓練した通りやるわよ」

雪風「はい!!」

響「ウラー!」ズドン!

バシャーン!

電「なのです!」ズドン!

ベチャッ

不知火「くっ……」ズドン!

バシャーン!

響「危なかった……」

電「初風ちゃんもこちらを狙っているのです!」

響「不知火の砲火力はもう殆ど残っていない。初風の砲撃に備えるよ」

電「響ちゃんも気をつけて下さいね」

響「ああ。スパシーパ」

初風「雪風、いくわよ」

雪風「はい!」

初風「撃ち方始め!」ズドン!

響「雪風が初風で死角に……一体何を……」

初風「ふっ」サッ

ズドン! ベチャッ

響「なっ!!?」

電「響ちゃん!?」

響「やられた……死角から現れると同時に撃たれるなんて……」

電「ど……どうしよう……」

シュー

電「あっ!!?」

ズドーン!

電「はにゃ〜!!」

響「魚雷!? 一体いつ撃っていたんだ!」

初風「ナイス雪風。よく私の動きに合わせれたね」

雪風「いえ、初風が動くタイミングが良かったんです!」

初風「ま、そういことにしといたげる」

響「……完敗だね」

…………。

瑞鶴「浦風! 第三波襲来!!」ズダダダダ

浦風「そろそろしつこいのぉ! まだ終わらんのん?」ズダダダダ

瑞鶴「多分これで最後!」

浦風「なら、頑張らんとね!」

瑞鶴「そうね! もう殆ど残っていないけど、直掩機は高高度にいる爆撃機に向かわせる! 浦風は引き続き敵の攻撃機を狙って!」

浦風「了解!」

瑞鶴「直掩機のみんなは高高度の爆撃機を狙って! 倒しきれなかったやつらの攻撃は避けるから!」

浦風「瑞鶴さん!!」

瑞鶴「どうしたの!?」

浦風「ちぃとマズイかもしれん! 異常な速度で突っ込んで来る彗星群がいるよ!」

瑞鶴「まさか!!? 浦風、最大戦速!! 逃げて!!」

浦風「もう間に合わん!!」

瑞鶴「やってくれたわね瑞鳳……反跳爆撃なんて……くそっ!!」

ズドーン!! ズドーン!!

…………。

今日はここまでです。

次回もあと少しだけ演習続けます。


お待たせしてしまい本当にすみません。毎日、家帰ると即ひっくり返るような生活だったのです……

また来ますね!

瑞鳳「瑞鶴大破! やったぁ〜!!」

摩耶「んじゃ。もう演習は終わりか」

瑞鳳「そしたら提督から演習終了の指示があるはずなんだけど……」

摩耶「そういや、そうだよな」

時津風「あ〜!!」

瑞鳳「どうしたの!? 時津風ちゃん!」

時津風「陽炎達が来たよ〜!」

天津風「何処に!?」

時津風「え〜っと〜、九時の方向だよ〜」

摩耶「マジかよ。一番面倒臭い奴達が来たな。因みに瑞鳳の航空隊は何をしていたんだよ?」

瑞鳳「一部を除いて大半は雲の上にやってたから見逃しちゃったのかも……」

摩耶「まあ、奇襲をさせる為にやっていた事だから、こればかりはしゃあないか」

瑞鳳「ごめん……」

摩耶「なよなよしてたって何も変わらないさ。ほら、近くの上空に待機させていた艦載機かき集めてあいつら叩くぞ」

瑞鳳「うん! みんな空中集合! 編隊を組んで陽炎ちゃん達を攻撃して!」

摩耶「陣形の指示はあたしが執るからな」

瑞鳳「お願い!」

摩耶「輪形陣を解除! あたしと時津風、天津風で単縦陣を形成! 陽炎達に対してあたしらが壁になるようにする! 秋月は引き続き瑞鳳の護衛だ!」

天津風「はい!」

時津風「はいは〜い! ちゃっちゃとたっおそ! たっおそ!」

秋月「秋月、了解です!」

摩耶「よし! んじゃ、あたしについて来な!」

舞風「あ〜あ、見つかったちゃった〜」

陽炎「そうみたいね。出来れば奇襲出来れば良かったんだけどね」

野分「残念です」

陽炎「ま、贅沢はあまり言わない方がいいかもね」

野分「そうですね」

舞風「陽炎お姉ちゃんも野分も難しく考え過ぎだよ〜」

陽炎「あんたは考えなさすぎなの。とは言っても、私もあまり考えないけどさ」

舞風「だって〜身体動かしてる方が楽しいもん」

陽炎「ま、舞風はそれでいいかもね。難しく考えている舞風なんて舞風っぽくないし」

舞風「でしょー?」

野分「陽炎姉さん、そろそろ敵の射程に入ります」

陽炎「そうね。瑞鳳さんの艦載機も向かって来たし、派手に暴れるとしようか」

舞風「は〜い!!」

野分「分かりました」

陽炎「戦闘準備! チャンスがあれば瑞鳳さんを叩く。ダメでも出来る限りこの場を掻き乱す! 突撃開始!!」

陽炎「舞風、摩耶さんにあんたの回避パターンが読まれ始めてるわ!!」

バッシャーン

舞風「うわっと!! あっぶな〜い」

野分「舞風! 大丈夫!?」

舞風「うん! 少し近かったからびっくりしちゃったの」

野分「怪我は?」

舞風「無いよ〜! ありがと野分」

野分「え、えぇ」

陽炎「ほら、私を差し置いてイチャイチャしない! するなら私も入れなさい」

野分「えっと……陽炎姉さん?」

舞風「陽炎お姉ちゃんも混ざるの? いいよ!!」

野分「舞風!」

陽炎「冗談よ。それより、そろそろ天津風と時津風の射程にも入る。もちろん私達の射程にもね」

野分「はい」

陽炎「まずは天津風を集中的に撃破する。舞風は天津風の予想針路に対して左側に、野分は右側、私が正面を狙う。いい?」

野分「勿論です!」

舞風「分かった〜!!」

野分「天津風と時津風が砲撃を開始しました!」

陽炎「もっと接近する。その代わり、二人とも一射目から当てるつもりで行きなさい」

時津風「あたれ〜!!」ズドン!

天津風「当たって!!」ズドン!

時津風「また外れた!! あの三人なんなのさ!!」

天津風「あと少しで瑞鳳さんの艦載機が来るわ。そうしたらもう少しやり易くなるわよ」

時津風「そうだね〜」

天津風「でも、陽炎姉さん達はどうして私達に攻撃して来ないのかしら?」

時津風「さあ〜 ん? 構えたよ」

天津風「時津風、回避運動! 取り舵!!」

ズドン!! ベチャッ

天津風「嘘っ!? 私の動きが読まれたの!? いや、まさかそんな……」

時津風「天津風の前と左と右に着弾してたね」

天津風「なんて射撃精度をしてるの……」

時津風「流石だね〜 因みに判定はどうなのさ?」

天津風「ギリギリ中破ね。あと一撃貰ったら大破で間違いないわ。砲塔は二基使用不可になっちゃったけど」

時津風「ヤバいね」

摩耶「そんなの気にするな! あたしがついてるだろ! 自信を持つんだよ!」

天津風「は、はい!」

時津風「はいは〜い」

ズドーン! ベチャッ

野分「あっ!?」

陽炎「大破ね、野分は離脱して」

野分「はい……すみません……」

陽炎「ううん、よく頑張ったわ。後は私と舞風に任せて」

野分「よろしくお願いします」

舞風「野分はゆっくり休んでて」

野分「ごめん」

舞風「お互い様だよ!」

陽炎「舞風、一点突破を狙うわ! 私の後ろについて来なさい! ついでに魚雷もばら撒くから雷撃も準備しといて」

舞風「うん!!」

陽炎「最大戦速!! 突撃ぃ!」

秋月「天津風と時津風が撃破されました!」

瑞鳳「私の航空隊も全弾回避された!」

秋月「わ、私が瑞鳳さんのことを護ります!」

瑞鳳「私の事は構わないで攻撃に専念して」

秋月「しかし……」

瑞鳳「私、回避に自信があるから大丈夫だよ」

秋月「分かり……危ないっ!!」サッ

瑞鳳「秋月ちゃん!?」

ズドーン!!

秋月「大破……判定…………すみません、至らなくて……」

瑞鳳「一体どこから……あっ! 潜水艦!!」

瑞鳳「もう味方の援護は望めないわね……」

陽炎「貰ったわ!!」バシュッ

ズドーン!!

提督「瑞鳳大破。これにて演習は終了だ。全艦帰投せよ」

今日はこれで終わりです

やっと演習が終わりました。たかが演習に計20レスなんて我ながら馬鹿げてますね。
というより、冒頭から演習シーンしかやっていないような気が…………


例の如く雪風SS専念期間に戻ります!
また来ますね!

提督「全員お疲れ様だ。慣れない形式の演習だったにも関わらず良い動きをしていた。では、それぞれのチームに私なりの意見を伝えようと思う。まずは甲軍からだ」

瑞鳳「はい!」

提督「瑞鳳は艦載機の運用は流石だった。瑞鶴との艦載機量の差を戦術で完全にカバーしていた。しかし、相手に接近されると弱いな。当面の課題はそこだな」

瑞鳳「はい……」

提督「そして、恐らく真っ先に狙われるであろう瑞鳳を護衛する為に対空の要として摩耶と秋月を護衛につけたのは良かったな。摩耶と秋月はその役割を十二分に全うしていた。二人とも良い仕事をしていた」

摩耶「ああ、サンキューなっ、提督!」

秋月「司令、ありがとうございます!」

提督「うむ。次に水雷戦隊だが、水雷戦隊に関してはもう少し上手く動かせなかったか? 例えばだが、熊野達水上打撃部隊と水雷戦隊で比叡達を挟撃する。個々の能力は高いが、その能力を活かす動きが出来ていなかった」

川内「確かにね〜」

提督「陽炎達についてはまた後ほど話すが、彼女達のように敵艦隊を引っ掻き回せるようになるといいな。出来れば、陽炎達とは異なる動きを出来るようになると私としては嬉しいが」

川内「分かった。ちょっと考えてみる」

提督「そうしてくれ。電達も川内と一緒に考えてみてくれ」

電「はい、なのです!」

提督「最後に、潜水艦には細心の注意を払え。潜水艦は何時でも自分達を狙っていると考えるんだ。今日は演習だったから実際にダメージを受けることは無かった。が、もしもこれが実戦だったらどうだった? 確実に秋月と瑞鳳は沈んでいたぞ」

瑞鳳「はい……すみません……」

秋月「ごめんなさい……」

提督「今回の失敗を絶対に忘れるな。瑞鳳に限らず全員もだ。絶対に潜水艦には気を付けろ」

全員「はい!!」



提督「次に乙軍だ。瑞鶴、お前は自分の艦載機運用は何が悪かったか分かるか?」

瑞鶴「…………艦載機を雲の上を飛ばさなかったから」

提督「違う、それは結果論だ。確かにあの時雲の上を飛ばしていたらまた結果は変わっただろう。しかし、私が言いたいのはそんな事ではない」

瑞鶴「……ごめんなさい……分かりません……」

提督「驕りだ」

瑞鶴「驕り?」

提督「お前は正規空母で軽空母と比べて圧倒的な搭載量を誇る。言うまでも無くそれは大きなアドバンテージだ。しかし、お前はそのアドバンテージを過信し、格下の瑞鳳を甘く見ていた。それが今回のお前の最大の失敗だ」

瑞鶴「くっ……」

提督「違うか? 違うのなら反論をしなさい。どうだ?」

瑞鶴「……その、通り、です……」

提督「もう二度と自分の力を過信をするな。どんな相手でも細心の注意を払え。分かったか?」

瑞鶴「……分かりました」

提督「では、次に伊5……」

伊58「ゴーヤでち」

提督「……ゴーヤだが、初めての実戦にも関わらず良い連携を取っていた」

伊58「ほんと!?」

提督「ああ。ただ、一点気になる事がある」

伊58「気になる点?」

提督「今回は瑞鳳達もあまり警戒していなかったからあの距離まで近付く事が出来た。しかし、余りにも不用意に接近し過ぎると危険だ。間違いなく発見される」

伊58「あ……」

提督「演習だからといって普通なら近付かない距離に入り込んではならない。深海棲艦に対して同じ事をしたら……沈められるぞ」

伊58「う……あ……」

提督「それだけは気を付けて欲しい」

伊58「分かりました」

提督「ああ。そして、比叡と夕張、青葉」

夕張「はい!?」

青葉「はい!?」

比叡「はい!」

提督「比叡は十二分に仕事をこなしていた。艦載機の接近時もそちらのみに気を取られずにしっかりと目の前の敵に対処出来ていた。さらにお前個人の技能だが、砲撃の精度もピカイチだ。この調子で精進しなさい」

比叡「はい! ありがとうございます!!」

提督「問題は夕張と青葉だ。お前達ギャグでもやるつもりか?」

青葉「い、いえ、そんなこ、ことは、ないですよ!」

夕張「私も……」

提督「被弾した時の醜態を忘れたとは言わせん。演習だから顔は無しなんて甘ったれた事を考えるなど論外だ。あれは完全に夕立の勝ちだ」

夕立「夕立、褒められたっぽい!?」

響「まあ、そうなるね」

夕立「やったぁ!!」

提督「夕張と青葉は、明日の近接戦闘の訓練は俺が直接指導する」

青葉「あぁぁぁぁぁぁ!!?」

夕張「ごめんなさい〜!!」

提督「……明日楽しみにしておけ」

青葉「あ……あぁぁぁぁぁ」

夕張「死んだ……」

提督「最後に陽炎達水雷戦隊だ」

陽炎「は〜い!」

舞風「わくわく」

提督「まずは不知火達分隊だが、初風と雪風のコンビネーションには驚かされた」

雪風「雪風と初風、頑張りました!!」

提督「ああ。まさか初風の陰から雷撃と砲撃をし、魚雷が初風に命中する直前で躱すなんて芸当を出来るとは思ってもいなかった」

初風「ま、私達が本気を出せばこんなもんよ」

提督「次は実戦でも出来るとはいいな」

初風「うっ……バレてる」

提督「実戦を意識しての練習ならば怒りはせん。むしろ、ぶっつけ本番でやられる方が困る」

初風「まあ、ね」

提督「いつか完璧にこなせる様になる時を楽しみにしてるぞ」

雪風「はい!!」

提督「で、陽炎達だ」

舞風「提督ぅ、舞風達どうだった?」

提督「動きに関しては何も申し分ない。ゴーヤとの連携も完璧で見事に敵の旗艦も落とした。これは戦術と陽炎達の技量があったからこそ成し遂げられた。だが、だからこそ見えた課題がある」

陽炎「課題?」

提督「本来なら天津風達もお前達の艦隊に編入するのだが、そうすると練度にバラツキが出る」

陽炎「あぁ、そゆことね!」

提督「察しが良くて助かるよ。とりあえずは天津風や時津風、野分など、比較的最近入った子達を中心に練度を上げてバラツキを出来る限り抑えてくれ。勿論全員の練度を上げるのは今までと何ら変わりは無い」

陽炎「分かったわ! 私に任せてね!」

提督「頼むよ」

陽炎「うん!!」

提督「批評はこれまでにしておく。何かあれば執務室に来てくれ。答えられる範囲で答えよう」

全員「はい!」

提督「今日は慣れない形式の演習で疲れただろう、今日はもう自由にして良いぞ。しかし、食堂の営業時間は変わらないから、寝過して食べ損ねるなどという事は無いようにな。では全員解散してくれ」

全員「はい!!」

……………………。

深夜

瑞鶴(私、今日はダメダメだった……提督さんが言ってた通り軽空母の瑞鳳の事を舐めてたし……)トボトボ

瑞鶴(それに、提督さんは私にだけは褒めてくれなかったし……もしかして嫌われちゃったのかな……?)

瑞鶴(嫌だなぁ……明日から提督さんの顔見れ無いよ……)

瑞鶴(私、提督さんに嫌われちゃってたらどうなるんだろう……捨てられちゃうの? それとも標的艦とかにされちゃうのかな……)

瑞鶴(…………でも、私が悪いんだもんね……しょうがないか……)チラッ

瑞鶴「あれ?」

瑞鶴(執務室、まだ灯りが……提督さんまだ起きてるのかな? それなら音を立てないように……)コソコソ

瑞鳳「瑞鶴のことなんだけど……」

瑞鶴「っ!?」ビクッ

瑞鶴(えっ!? ばれた!?)

提督「瑞鶴がどうした?」

瑞鶴(私の話題?)

瑞鳳「どうして提督は瑞鶴にだけあんなに厳しくしたの?」

提督「夕張や青葉にも厳しくしたつもりだが」

瑞鳳「あの二人は別。瑞鶴に厳しく当たった理由教えてくれない? 提督も、ゴーヤちゃんや陽炎ちゃん達の動きを支持したのは瑞鶴だってこと知ってるんでしょ?」

提督「ああ、知ってる」

瑞鶴(えっ!?)

瑞鳳「じゃあ、どうして褒めてあげなかったの?」

提督「それはだな。瑞鶴をより成長させる為だ」

瑞鳳「それは分かってる。提督は理由も無く人を嫌いにならないし、どんな相手でも仕事では平等に接してくれるのもね」

提督「それはそれで私の事を買い被り過ぎな気もするが、まあ良いだろう……」

提督「確かに他の子達に対する支持はかなり良かった。だが、あの時の瑞鶴にその事を言ってしまったら、また油断や過信に繋がる可能性があった。油断や過信は死に直結する。私はその危険性を何としても取り除きたい。だからあの様に叱ったのだよ」

瑞鳳「私の予想通りね。だけど、瑞鶴、今頃泣いてるかもよ? それに心が折れちゃうかも」

提督「確かに瑞鶴は、私にこっ酷く言われて今頃凹んでいるかもしれんが、あの子なら乗り越えてくれると信じてる」

瑞鳳「それは提督の勘?」

提督「いいや、そんな事は無いさ。あそこまで気の強い子だ、そんな簡単に挫折はしない。むしろその悔しさをバネに乗り越えて来ると私は読んでるよ」

瑞鳳「でも、提督の事嫌いになっちゃうかもよ?」

提督「その時はその時だ。結果的に瑞鶴の命を救う事に繋がるのならば甘んじてそれを受け入れよう」

瑞鳳「もう……提督ったら」

提督「私の大切な子達の為だ。その為になら私は修羅にでも何でもなろう」

瑞鳳「私と陽炎ちゃんは提督の事を絶対に見捨てないけどね」

提督「有難いな」

瑞鳳「でも、こんな話は瑞鶴や他の人に聞かせられないね」

提督「そうだな」

コトッ

提督「ん?」

瑞鳳「どうしたの?」

提督「何か物音が聞こえた気がするが、気の所為の様だ」

瑞鳳「そう?」

提督「さて、あと少しで今日の書類整理が終わる。さっさと終わらせよう」

瑞鳳「うん!」

…………。

瑞鶴(提督さん……私の事を想ってあんな事を……)ドキドキ

瑞鶴(提督さんのこと、私誤解してたんだ……凄く優しいのに……」

瑞鶴(…………ありがとう、提督さん。私、もっともっと頑張るから見ててね)

………………………………

………………

……

今日はこれで終わりです


また来ますね!



チラ裏的なアレ
何とか春イベは高波、ローマ堀も終わり完遂しました。E-6は初日に終わったのにローマが中々出てくれなくて今朝やっと出ました。辛かったですね……




こちらの雪風は書いていて癒される……

翌日

提督「ん?」

瑞鶴「あ、提督さん! おはようございます!!」

提督「こんな朝早くからどうしたんだ?」

瑞鶴「昨日の反省を活かす為に戦術書をちょっとね」

提督「良い心掛けだな」

瑞鶴「うん! 私、絶対にこの鎮守府で一番になるって決めたから!」

提督「一番?」

瑞鶴「一番提督さんの役に立てるようにね」

提督「どうしてまた……いや、そうなって貰えると私も嬉しいのだが……」

瑞鶴「分かってる。瑞鳳も陽炎ちゃんも私より優秀だし、並大抵の努力じゃあの二人に敵わない分かってる。だけど、私、やるって決めたから」

提督「そうか……期待してるぞ」

瑞鶴「私、頑張るから!」

提督「ああ」

瑞鶴「でも瑞鶴、ちょっとお腹空いちゃったかも……ねぇ提督さん。一緒にご飯食べに行かない? 確かもう食堂開いてるよね?」

提督「今からか?」

瑞鶴「もしかして忙しかった?」

提督「いや、そうでは無いのだが……」

瑞鶴「それとも何か用事があるの?」

提督「分かった。食堂に行こう」

瑞鶴「やった!!」

提督「ほら、行くぞ」スタスタ

瑞鶴「うん!」

………………。

提督「……ふぅ」コトッ

瑞鶴「提督さん、お待たせ」

提督「味噌汁に干物、ご飯。思ったよりも普通の物を食べるんだな」

瑞鶴「何か変だった?」

提督「てっきり瑞鶴はパンやオムライスのような洋食を食べると思っていた」

瑞鶴「そういうのもいいんだけれどね。だけど朝からオムライスは流石に重いし、何より私は和食が好きなんだもん」

提督「ほう。そうだったのか」

瑞鶴「うん。それより……提督さんはそれだけでいいの? 流石にそれは食べたとは言えないんじゃない?」

提督「生卵を一つ飲むだけで十分だ。そもそも私は朝食はあまり食べないんだ」

瑞鶴「駄目だよ、そんなことしちゃ。朝食は大事なんだよ?」

提督「分かってはいるのだが、いかんせん身体が受け付けなくてな」

瑞鶴「あんまり無理しないでよね?」

提督「善処しよう」

瑞鶴「もう……絶対に改善するつもり無いでしょ?」

提督「ノーコメントだ」

瑞鶴「いただきます」スッ パクッ

瑞鶴「あ、美味しい」

提督「その魚は……ホッケか?」

瑞鶴「うん、そうみたい。このホッケ、すごく身が柔らかい」パクッ

瑞鶴「ん〜!!」ニコニコ

提督「良かったな」

瑞鶴「幸せ〜」パクパク

提督「ホッケをゆっくり味わうのも良いが、味噌汁が冷めるぞ」

瑞鶴「あ、そうだね!」ズズッ

瑞鶴「味噌汁も美味しい!! 魚……鱈が入ってるみたい」

提督「出汁が効いていて良いだろう?」

瑞鶴「うん!」パクパク

提督「ふっ……瑞鶴は幸せそうに食べるな」

瑞鶴「えっ!? 何か変だった!?」

提督「そうでは無いよ。ただ純粋にそう思っただけだ」

瑞鶴「だって自分の気持ちを押し[ピーーー]なんてあまり良いこと無いじゃない?」

提督「まあな」

瑞鶴「なら、全力で楽しんだ者勝ちじゃない?」

提督「ポジティブシンキングだな」

瑞鶴「そうかな?」

提督「ああ。だが、明るい事は良い事だぞ」

瑞鶴「うん!」

…………。

瑞鶴「ご馳走様でした」

提督「満足か?」

瑞鶴「もうお腹いっぱい」

提督「ならばそろそろ行こうか。あと少しすると他の子達で混雑する」

瑞鶴「そうだね。提督さんはこの後どうするの?」

提督「業務に戻る。瑞鶴は朝礼の時間まで好きにしていなさい」

瑞鶴「そうする。そうだ提督さん、ありがとね」

提督「ああ。そうだ、あまり他の者に言いふらすなよ? 特に瑞鳳や陽炎にはな」

瑞鶴「は〜い!」

提督「では、後ほどな」スタスタ

提督(思ったよりも凹んでいなかった。むしろ元気になっていた……一体どうしたのだろうか……)

提督(ただ単に引き摺らない性格なのか、それとも何か昨夜の内にあったのだろうか……)

提督(まあ、元気になる分には問題ないか)

………………。

陽炎「司令、こっちの書類は終わったわよ!」

提督「ふむ……」ペラペラ

提督「特に記入漏れも無さそうだな。ありがとう」

陽炎「どういたしまして! 司令の方はそろそろ終わりそう?」

提督「そうだな。あと少しで私の方も……」ペラッ サラサラ

提督「ん?」ペラッ

陽炎「どうしたの?」

提督「いや、他の鎮守府の話だった。一瞬この鎮守府への命令だと思っだんだ」

陽炎「そう? もしかしたら司令疲れてるんじゃない? 普段はあんまりそんな見間違えなんてしないし」

提督「そうかもしれんな」

陽炎「じゃ、キリの良いところで一回お休みしましょ? ね? ね!?」

提督「そうだな……そうしようか」

陽炎「それじゃあ間宮さんのところに行こ? 新作のパフェがあるんだって!」

提督「流石に私は食べないぞ」

陽炎「え〜」

提督「いつも言ってるが、あまり甘い物は好きでは無いんだ」

陽炎「美味しいのに」

提督「もしも気が向いたら食べるとするよ」

陽炎「その時は一緒に食べようね」

提督「わかったよ」

陽炎「約束よ! じゃ、早速行こ?」パタパタ

提督「焦るな焦るな」スタスタ

提督(西方の海上打通連絡作戦……一体大本営は何を考えているんだ。日本の領海ですら満足に制圧出来ていないにも関わらずこのような作戦などもっての他だ)

提督(せめて、この鎮守府が実行部隊として選ばれない事を願うしか無いか……)

陽炎「司令! 早く早く!!」ピョンピョン

提督「分かったからそう急かすな」スタスタ

………………………………。

今日はこれで終わりです。


いつもの時間に投稿しようと思っていたのにいつの間にか落ちてしまった……

遅くなってすみません



また来ますね

>>80
訂正

瑞鶴「だって自分の気持ちを押し殺すなんてあまり良いこと無いじゃない?」



おやすみなさい

間宮「はい、どうぞ。期間限定の桜パフェよ」

陽炎「ありがとうございます!」パタパタ

陽炎「お待たせ、司令!」

提督「デカイな……ちゃんと食べれるのか? 夕飯までまだ時間あるとはいえ、流石にその量は無理だろう?」

陽炎「大丈夫よ! 甘い物は別腹だからね!」

提督「それにしたって多過ぎる……見ているだけで胸焼けする」

陽炎「司令ったら、本当に甘い物は駄目なんだよね」

提督「全部が全部無理な訳ではないのだがな」

陽炎「なら、これは大丈夫? ほら、あーん」スッ

提督「遠慮する」

陽炎「食べてくれないとストライキしちゃうわよ?」

提督「軍属の身でそれが許されると思うか?」

陽炎「司令がこれを食べてくれれば済む話よ」

提督「……一口だけだぞ」

陽炎「うん! はい!」

提督「…………甘い……」

陽炎「だってパフェだもん、当たり前よ」パクパク

陽炎「うん、美味し!」

………………。

陽炎「美味しかった〜!」

提督「私が支払っておくから陽炎は瑞鳳と一緒に執務室まで来てくれ」

陽炎「え、いいの?」

提督「書類整理を手伝ってくれた御褒美だと思ってくれ」

陽炎「ありがと、司令! 大好きよ!」

提督「ああ」

陽炎「じゃあ、瑞鳳さん探してくるね!」パタパタ

間宮「ふふっ、陽炎ちゃんってば元気ですね」

提督「全くだ」

間宮「それにしても、まさしく恋する乙女って雰囲気を醸し出してます。そう思いませんか?」

提督「……それを私に聞くか?」

間宮「提督に、とは言ってませんよ?」

提督「…………負けたよ」

間宮「みんな大切にするのもいいのですが、あんまり何股もかけるのは良くないですからね〜」

提督「なんの事だ」

間宮「陽炎ちゃんに〜瑞鳳さん。そして今朝は瑞鶴さんも……」

提督「肝には命じておくが、お前は減給をご所望か?」

間宮「いえいえ、そんなことありませんよ」

提督「まあいい……陽炎も満足していた。ご馳走」スッ

間宮「それは良かったです。はい、お釣りです」

提督「それで好きな物でも買うがいい」

間宮「いえ、大丈夫です。十分過ぎるほどお給料は頂いておりますから」

提督「了解だ。世話になった」

間宮「また来てくださいね〜」

…………。

コンコン コンコン

陽炎「司令、入ってもいい?」

提督「ああ。入ってくれ」

ガチャッ パタン

陽炎「お待たせっ、司令!」

瑞鳳「どうしたの?」

提督「何点か共有しておきたい事があったのと、出撃の件で少し話し会いたくてな」

瑞鳳「出撃? どこか制圧するの?」

提督「そうだ。だが、とりあえずは情報の共有から話そう」

瑞鳳「うん」

提督「単刀直入に言えば、大本営から西進の司令が出た」

瑞鳳「西進? 印度とか?」

提督「それも含まれるが、もっと先だ」

陽炎「まさか……欧州?」

提督「そうだ」

瑞鳳「嘘……だよね……そんな範囲の補給線の維持なんて無理よ!」

提督「同感だ。日本の領海ですら時々敵が現れるというのに、遙か彼方まで補給線を確保し維持し続けるするのは不可能だ。流石に大本営もそこまで無能だった訳では無かったようで、維持せよとは言っていない」

陽炎「どうして? 折角攻略するのにその海域を手放すの?」

提督「どうやら、同盟を組んでいたドイツからの連絡が最近途絶えた様だ。そのため、上層部はドイツと直接コンタクトを取ることにしたらしい」

瑞鳳「そういうことなんだ……でも」

提督「でも?」

瑞鳳「えっと……英国とかに援護を頼むのはダメだったのかなって?」

提督「不可能だ。我々日本は連合国側との戦争は敗戦という形で終結したものの、対立関係は未だに継続中だ。それに加え、日本は直接的な影響は受けなかったが、核戦争の勃発によってその対立関係もより複雑になってしまった」

瑞鳳「でも、深海棲艦が跋扈してる今くらいは協力してもいいんじゃない?」

提督「そう出来たら良いのだが、もう一つ無理な理由があるんだ」

瑞鳳「どういうこと?」

提督「かつてドイツがイギリスやフランスなどといった敵対国に対し、深海棲艦の脅威を排除する為に一時の同盟を呼びかけたらしい。しかし、それぞれの国に艦娘を派遣したところ、それらの国は深海棲艦に乗っ取られていたのだよ」

瑞鳳「えっ!?」

陽炎「嘘っ!?」

提督「向こうでで生き残っている海軍……つまり艦娘はイタリア、フィンランド、ブルガリア、ルーマニアなど、かつての戦争で我々の味方だった国しか生き残っていなかったようだ。だが、その後になって深海棲艦に滅ぼされた国も多いと聞く」

瑞鳳「ということは……」

提督「人類は滅亡寸前という事だ。日本の周りも知っての通り、深海棲艦が住み着く大陸となってしまった。核戦争で人類の人口が急激に減り、そこに深海棲艦が乗り込んで来た。海の防衛力が弱い国とその国民が滅ぶのは必然だろうな」

陽炎「じゃあ、独逸はもう……」

瑞鳳「滅ぼされた……の?」

提督「その可能性が高い」

提督「しかし、今回の作戦は我々が出ると決まった訳ではない。あくまでも、何処かの鎮守府が、又は合同で作戦に参加する事になるという告知だ」

瑞鳳「じゃあ、この鎮守府が作戦参加しない可能性も?」

提督「ある。だから私は先手を打っておこうと考えている」

陽炎「先手?」

提督「出撃をする」

瑞鳳「出撃して大なり小なり損傷すれば選ばれない可能性が高くなるから?」

提督「そういう事だ。だが、仮にその作戦に参加する事になっても、この出撃がメリットに変わる様にする」

陽炎「どうするの?」

提督「南西海域の資源地を取りに行く。東部オリョールを奪還し、海上輸送ラインを形成、資源の搬入を行う」

陽炎「つまり、もしも大規模作戦に参加する事になっても資源の枯渇を防ぐ事になるってこと?」

提督「そうだ。他にも敵の輸送ラインの断絶、そして、瑞鶴とゴーヤに実戦経験をさせるという側面も持っている」

瑞鳳「うん、いいと思います」

提督「陽炎は?」

陽炎「私も良いと思うわ!」

提督「では、編成や攻略方法について考えたいと思う。二人ともいつも通り自由に意見してくれ」

陽炎「は〜い!」

………………………………

………………

……

コンコン コンコン

瑞鶴「瑞鶴とゴーヤ、参上しました」

提督「入ってくれ」

瑞鶴「失礼します」ガチャ

瑞鶴「あれ? 瑞鳳と陽炎ちゃん?」

瑞鳳「待ってたよ」

陽炎「ほら、ここに座って」

瑞鶴「えっと……」

提督「座って良いぞ」

瑞鶴「うん、じゃあ」スッ

伊58「ゴーヤ、座りまーす!」ポスン

瑞鶴「突然呼び出してどうしたの? もしかして何かやらかしちゃってた?」

提督「そういう訳では無い。だが、お前達だからこそ伝えねばならない事だな」

瑞鶴「私達だから?……新人だからって事でいいの?」

提督「ああ。その認識で間違っていない」

瑞鶴「ふぅん」

瑞鳳「はい、二人とも。お茶とお茶菓子よ」

瑞鶴「ありがと……って、これ、卵焼きじゃない!?」

瑞鳳「うん! そうだよ!」

瑞鶴「貰う側から言うのもあれだけど、これはお茶菓子とは言わないと思う……」

瑞鳳「甘い卵焼きならお菓子みたいなものだもん」

瑞鶴「いや……でも……」

提督「瑞鶴。そこは触れてやるな……それに味は保証するからとりあえずは安心してくれ」

瑞鶴「うん……」パクッ

瑞鳳「どう?」

瑞鶴「ん、美味しい」

瑞鳳「良かった!」

提督「まあ、二人ともそれを食べながらで良いから聞いてくれ」

伊58「はーい!」

提督「明日、二人には実戦に出て貰う」

瑞鶴「っ!? げほっ!! お、お茶が気管に、げほっげほっ!!」

瑞鳳「大丈夫?」

瑞鶴「うん……何とか」

伊58「どうしてゴーヤ達にそれを教えてくれたの? 普通はギリギリまで教えないよね?」

提督「ああ。確かに普通なら秘書艦じゃ無い限りは知らされる事は殆どない。だが、あえて今回は二人に作戦内容や、編成を教えておく」

瑞鶴「教えてくれる理由はあるの?」

提督「お前達が戦死する可能性を少しでも減らす為だ。1日の違いとはいえ、二人は心構えと覚悟を決める事が出来る。そして、自分の所属する部隊の旗艦に、その艦隊の大まかな方針や戦術などを教えて貰う時間も出来る。この1日の差は小さいようで、大きかったりするのだよ」

瑞鶴「納得出来たわ」

提督「ゴーヤは?」

伊58「大丈夫でち!」

提督「ならいい。では、細かいところも含めて説明する」

瑞鶴「お願いします」

伊58「よろしくお願いします!」

提督「まずは……」

………………………………。

今日はこれで終わりです。


また来ますね!

オリョール

提督「作戦海域近辺に到達した。朝霧の周辺を護衛していた者は帰艦してくれ。ソナー、敵潜水艦の存在は?」

乗組員「反応なし!」

提督「了解」

瑞鳳「提督、攻略隊の出撃準備完了しました!」

提督「分かった。では、朝霧は瑞鳳や瑞鶴の隊に続く。瑞鶴とゴーヤ以外分かっているとは思うが確認するぞ。私はお前達の死など望んでいない。作戦遂行は二の次、生きて帰る事だけは忘れるな。いいな?」

全員「はい!」

提督「全艦出撃!」

瑞鳳「先ずは私達から出るね! 第一艦隊出撃!」

………………………………

………………

……

瑞鶴「ねえ、瑞鳳」

瑞鳳「どうしたの? 何かあった?」

瑞鶴「あ、ううん。そういう訳では無いの」

瑞鳳「そうなの?」

瑞鶴「えっと……提督さんっていつもあんなこと言ってるの?」

瑞鳳「あんなこと?」

瑞鶴「えっと、生きて帰って来いってやつ」

瑞鳳「あれはいつも言ってるよ」

瑞鶴「こんな事言うのは悪いんだけど、これっておかしくない?」

瑞鳳「やっぱり最初はそう思うんだね」

瑞鶴「最初は?」

瑞鳳「うん。でも瑞鶴がおかしいと思うことを話してくれない?」

瑞鶴「だって私達は兵器な訳で、任務を遂行して完遂させるのが使命な訳でしょ? なのに遂行するなってのはおかしいよね? 普通は命に替えてもって言われるものだし」

瑞鳳「遂行するなとは言ってないけど……まあいいか。他にはある?」

瑞鶴「それに、提督さん自ら敵が跋扈する海域に出撃するなんて変だよ」

瑞鳳「これで終わり?」

瑞鶴「パッと思い付く限りでは」

瑞鳳「じゃあ、提督の言ってた事から話すね。どうしようかな……そうね。例え話をしようかな」

瑞鶴「うん?」

瑞鳳「今この海域を制圧する代償として私が沈んだとするよ? 鎮守府はオリョールという資源の宝庫を手に入れました。これだけだと犠牲以上の対価を得られる様に思えない?」

瑞鶴「うん。絶対にこっちのが良いと思う」

瑞鳳「でもね、長い目で見ると評価は変わるんだよ」

瑞鶴「長い目?」

瑞鳳「そう。鎮守府は資源地を手に入れたけど、私という戦力を失いました。なら新たに私の代わりの艦娘を建造すれば良い話だよね?」

瑞鶴「そうだね」

瑞鳳「でもね、私と同等以上の練度にたどり着くまでにどれ位の期間がかかると思う? さらに言えば、私が沈まなかった場合私はもっと成長している筈だからそれも考慮に入れないといけないね」

瑞鶴「あ……」

瑞鳳「育成の期間中に何も無ければいいけど、その間に鎮守府の存亡に関わる危機が迫ったらどうする? 私ぐらいの経験を積んでいなければ対処仕切れない危機だったら?」

瑞鶴「…………負ける」

瑞鳳「そうだよね。鎮守府の危機は言い過ぎだったとしても、私ならば救えたかもしれない命がさらに犠牲になる可能性もある。誰かが死ぬってそういうことなんだよ?」

瑞鶴「……うん」

瑞鳳「実例だってあるんだよ。瑞鶴も記憶があるとは思うけど、大東亜戦争初期の日本軍の艦載機パイロットと末期のパイロットの練度の差……瑞鶴なら分かるよね?」

瑞鶴「そうだね……目先のメリットばかり追うと後で取り返しのつかないことになる……」

瑞鳳「だから提督はあんな事言ったの。そして朝霧に乗艦している事についてなんだけど……」

瑞鶴「けど?」

瑞鳳「私の感情論を言うと、私も反対したい……でも、提督の意見が正しいだけに何も言えないの」

瑞鶴「提督さんの意見って?」

瑞鳳「艦隊を指揮するならば最前線にいるべきだ。戦況は一瞬で変化するから、最前線でなければ状況の判断など出来やしない。更に、朝霧を艦娘の輸送艦にすれば戦闘海域に辿り着くまでの疲労は大幅に軽減出来るし、大破した艦娘の救助も出来るって」

瑞鶴「なら、指揮官は別の人にやって貰えば……」

瑞鳳「大切な艦娘の命を他の人には預けられないぅて言われた。それに、自分が負うべき業務や責任を部下に押し付けるのはあってはならない、最低だともね……」

瑞鶴「もしかして提督さんってああ見えて……過保護?」

瑞鳳「ちょっとね。だけど、あそこまで私達を護ろうとしてくれて、全ての責任は自分で負おうとする人だからこの鎮守府のみんなが提督の事を慕ってる。提督って、艦娘だけではなくて、朝霧の乗組員の人達に対しても気を遣ってるのよ」

瑞鶴「へぇ〜そうなんだ」

瑞鳳「提督は私達を護ろうとしてくれてるけど、私は提督が危険に晒されたたら絶対に提督を護る。ううん、多分この鎮守府の全員が提督の為に動くわ」

瑞鶴「提督さんってそんなに凄い人だったんだ。確かに優しいとは思っていたけどさ」

瑞鳳「瑞鶴も提督と一緒にいれば提督の良さがもっと分かると思うよ」

瑞鶴「うん。そうしてみる」

瑞鳳「でも……」

瑞鶴「まだ何かあった?」

瑞鳳「ううん、何でもない!」

瑞鶴「そう?」

瑞鳳「あっ、偵察機から入電!!」

瑞鳳「第一艦隊全艦のみんな聞いて!」

提督「敵を見つけたか?」

瑞鳳「はい!! 重巡2、軽巡2、駆逐2、計6隻がこちらに向かってます!」

提督「分かった。全艦戦闘態勢! 瑞鳳と瑞鶴を中心に輪形陣を形成! 瑞鳳と瑞鶴は艦載機を射出、敵への攻撃を行ってくれ」

瑞鳳「はい!」

瑞鶴「了解!」

提督「第一次攻撃隊が討ち漏らした敵は比叡と熊野が接近して仕留めてくれ。いいな?」

熊野「承りましたわ」

比叡「まっかせて下さい!!」

提督「全艦行動開始!!」

……………………。

ヒューン ズドーン!!

リ級「」

瑞鶴「やったぁ!! 敵重巡隊は炎上! 轟沈も時間の問題よ!」

提督「よくやった! 比叡。対空、水上電探共に反応はあるか?」

比叡「いえ、こちらの艦載機群以外の反応は無さそうです」

提督「秋月、ソナーに感は?」

秋月「ありません!」

提督「了解。しかし全員このまま戦闘態勢を継続してくれ。今のは敵の前衛部隊だろう。本命はまだ別にいる筈だ」

瑞鳳「はい! 引き続き偵察機による索敵を続けます!」

提督「頼むぞ。しかし、流石に空母が2隻いると破壊力が段違いだ。まさか艦載機のみで敵艦隊を仕留めるとはな」

瑞鳳「最初の奇襲で敵の旗艦と軽巡2隻を撃沈出来たからです! おかげで対空射撃も殆どありませんでした!」

提督「その結果、熊野と比叡を使わないで敵の主力艦隊との戦いに温存する事が出来た。助かったよ」

瑞鳳「うん!」

提督「瑞鳳もだが、瑞鶴。よく頑張ったな」

瑞鶴「え? あ、はい!! ありがとうございます!」

提督「ただ、気は抜くなよ? 油断したらそこで足元を掬われる」

瑞鶴「はい!!」

提督「ああ。艦隊複縦陣に移行。引き続き警戒を行ってくれ」

全員「了解!!」

………………。

今日はここまでです

また来ますね!

瑞鶴「ん? あれ?」

瑞鳳「どうしたの?」

瑞鶴「3番機からの連絡が途切れた……」

瑞鳳「3番機がいた方位は分かる?」

瑞鶴「東北東……もしかして」

瑞鳳「撃墜された……かも」

提督「後続の偵察機に伝えてくれ。敵機、又は敵の対空砲火が待ち構えている可能性が高いと」

瑞鳳「はい!」

瑞鶴「了解!」

提督「そして瑞鳳と瑞鶴は直掩機を上げろ。偵察機がやられたという事は、今現在東北東の目が無いという事だ。敵空母はこちらを捕捉している可能性もある。その場合、向こうは今、あるいは既に攻撃隊を発艦させているということだ。後手に回ったら戦況は敵に握られる。少しでも先に動くんだ」

瑞鶴「うん! 航行スピード上げるわよ! 増速、最大戦速! 風向良し! 速度良し! 直掩機発艦しちゃって!!」バシュッ

提督「秋月と響は対空射撃の準備を行え。艦隊防空の任務を遂行するんだ」

響「司令官、陣形は?」

提督「艦隊の前方で二人は対空射撃の準備を行え。比叡熊野は敵艦隊の場所を確認出来るまでは対空射撃の準備」

響「了解」

瑞鶴「後続の偵察機より入電! 敵の攻撃隊が接近中!!」

提督「瑞鶴と瑞鳳は引き続き直掩機の射出を急いでくれ。秋月は高射装置を使用して敵機を迎撃せよ」

秋月「了解です!」

提督「さあ、来るぞ!」

…………………………。

瑞鳳「緑小隊は青小隊を援護! 赤小隊が敵機の頭を抑えて! 」

瑞鶴「瑞鳳! 南東からも敵機群接近中!」

瑞鳳「北東の敵で手一杯! 瑞鶴の艦戦隊は回せる?」

瑞鶴「私、実戦経験が……」

瑞鳳「大丈夫! 瑞鶴なら出来るから! あの時までずっと一緒に戦って来たじゃない!」

瑞鶴「でも……」

提督「私が瑞鶴のフォローをする。瑞鶴、安心してやるがいい」

瑞鶴「…………」

提督「大丈夫だ。この前はお前に足りなかった部分は私が補う」

瑞鶴「……分かった。私やってみる!」

提督「その意気だ。では、烈風隊を二つに分けて南東に向かわせろ。片方は雲の上へ、もう片方は敵の艦攻などを迎撃させろ」

瑞鶴「でも、そんなことしたら下の方がやられちゃうって」

提督「敵の戦闘機が襲ってきたら上空からの奇襲をかける。下の隊は敵機迎撃と囮として動いてもらう」

瑞鶴「分かった。じゃあ、やるね」

瑞鶴「烈風隊は二隊に分かれて南東の敵機を対処して! 偶数番機は雲の中に潜って敵編隊に接近。奇数番機は艦攻や艦爆の対処! 絶対に深追いだけはしないで!」

……。

瑞鳳「提督! 何機か艦爆に抜かれました!!」

提督「分かった! 瑞鳳の艦戦隊はこのまま迎撃を維持! 秋月! 響!」

秋月「はい!!」

響「なんだい?」

提督「烈風が撃ち漏らした敵艦爆がそちらへ向かっている。必ずそこで迎撃してくれ」

秋月「はい! お任せ下さい! 防空駆逐艦の力、お見せします!」

提督「ああ。頼むぞ」

秋月「高射装置自動追尾良し! 長10cm砲ちゃん装弾完了! 撃ち方始め!!」ズドン! ズドン!

響「私も遅れを取るわけにはいかないね……ウラー!!」ズダダダダ

秋月「敵機撃墜!! やりました!!」

響「まだ来るよ。気をつけて」

秋月「はい!!」

……………………。


瑞鶴「敵攻撃隊が退却を始めたわ!」

瑞鳳「偵察機より入電! 敵艦隊発見だって! 正規空母2、戦艦1、重巡2、駆逐1!」

提督「よくやった!!」

瑞鳳「方角は東北東! 座標データはすぐに送られて来ます!」

提督「了解。瑞鳳と瑞鶴は攻撃隊を射出。そして今まで戦闘していた直掩隊は一度補給に戻して予備機を直掩隊として配備!」

瑞鳳「了解! 紫電改発艦! 彗星隊発艦! 続いて天山攻撃隊も発艦!」バシュッ

瑞鶴「艦載機のみんな、行っちゃって!!」バシュッ

提督「比叡と熊野は敵艦隊へ接近して砲撃を行ってくれ。くれぐれも味方艦載機は落とすなよ」

比叡「わっかりました!!」

熊野「熊野にお任せ下さいな」

提督「出来る限り敵の注意を引いてこい。比叡、熊野、突撃開始!」

比叡「高速戦艦比叡、行きます!」

…………。

比叡「重巡を一隻落とした! 残りは!?」

熊野「戦艦1、空母2、重巡1ですわ」

比叡「まだまだか熊野、敵戦艦に照準合わせ! ……第三斉射、撃ち方始めー!!」ズドーン! ズドーン!

熊野「とおぉぉおぉおお!!」ズドーン!

ル級「……」ズドーン!

ドッカーン!

比叡「きゃあ!!?」

熊野「お身体の調子は宜しくって?」

比叡「副砲が1門仕様不可になっちゃったけど、まだまだいける!」

熊野「引火には気をつけて下さいな」

比叡「大丈夫だって!!」

熊野「しかし、少々辛いですわね。第二次攻撃隊が来るまでまだ時間があるというですのに……」

比叡「2人でもここは守り抜くよ!!」

熊野「それは分かっていますわ。通す気などさらさらございませんわ」

比叡「第四斉射、撃ち方始め!!」ズドーン!! ズドーン!!

提督「やはり敵も重要地点の防衛とあって主力を引き連れて来ているのか。手強いな」

瑞鳳「第二次攻撃隊、準備出来ました!」

提督「了解。第二次攻撃隊発艦してくれ!」

瑞鳳「了解! 第二次攻撃隊発艦!!」バシュッ

乗組員「艦長、第二次艦隊より入電が入りました!」

提督「よし! なんと書いてある?」

乗組員「オリョール海北方の敵艦隊をを撃破、そのまま南進して敵主力艦隊を攻撃するとのことです」

提督「了解、下がれ」

乗組員「はっ!」ビシッ スタスタ

提督(やっと来たか……頼むぞ…………)

提督「陽炎!」

…………。

今日はこれで終わりです。

また来ますね!

陽炎「司令、みんな、お待たせ!!」

提督「待っていたぞ」

陽炎「北方の敵艦隊を撃破するまでに時間がかかっちゃったから、ね」

提督「損害は無かったんだな?」

陽炎「浦風が至近弾で損傷しちゃったけど、戦闘には影響ないわ」

提督「そうか。では敵主力艦隊へ突撃してくれ。制空権は瑞鳳と瑞鶴で死守している。今ならば上空にそれ程気を取られずに接近出来る」

陽炎「うん! 私達だけで終わらせれるように頑張るから!」

提督「ああ。頼んだぞ」

陽炎「みんな、突撃するわよ!!」

不知火「隊列はどうしますか? 複縦陣にしますか?」

陽炎「単縦陣!」

不知火「分かりました。では、参りましょう」

陽炎「みんなあと一斉射分は魚雷が残っているわよね? 発射準備は整えておいて」

初風「了解。それまでは?」

陽炎「主砲を撃って撃って撃ちまくるわよ!」

初風「予想通りの返答をありがとう」

陽炎「何、皮肉?」

初風「皮肉じゃ無くて嘲笑」

陽炎「ふーん、初風も言うようになったわね」

初風「私はどっかのお馬鹿な姉の妹だからね」

陽炎「不知火、あんた酷い事言われてるわよ?」

不知火「言われているのは陽炎です」

陽炎「不知火も酷いわね」

不知火「事実ですから」

陽炎「もう少し姉を敬ってくれてもいいと思うんだけどね〜っと、そろそろ敵戦艦の射程に入るわね……敵に気付かれるまではこのまま直線的に行くわよ。みんな絶対に気を抜かないでね!」

全員「はい!!」

…………。

ル級「!?」ズドーン!!

陽炎「敵に気付かれた! 回避! 回避!!」

バシャーン

陽炎「みんな無事?」

舞風「みんな無事だよ! 陽炎お姉ちゃん!」

陽炎「ん! 敵に気付かれたから回避運動始めるわよ!」

磯風「陽炎、一つ聞きたいのだが」

陽炎「何?」

磯風「敵の重巡がこちらに向かってきてるぞ」

陽炎「分かってるわよ。でも、これで良いのよ」

磯風「そうなのか?」

陽炎「そうよ。出来れば私達だけで敵主力艦隊を撃破したいんだけど、しょうがないわね」

磯風「ん? 何かあるのか?」

陽炎「まあね。だけど私達はいつも通り全力を尽くすのみよ。敵重巡が射程に入り次第集中砲火で落とすわよ」

雪風「はい! 頑張ります!!」

陽炎「そうね。期待してるわよ」

雪風「はい!!」

陽炎「比叡さん、聞こえますか?」

比叡「聞こえるよ! 何か敵の戦艦と重巡が陽炎ちゃんの方に砲撃を始めたけど、大丈夫?」

陽炎「今は大丈夫です。出来れば、敵の攻撃が私達の方に集中している内に敵の戦艦を倒して貰えると助かります」

比叡「分かった! じゃあ、こっちは被弾覚悟で敵の戦艦を落とす!」

陽炎「お願いします! こっちは重巡と空母を狙います!」

比叡「こっちが終わったら援護射撃するから!」

陽炎「はい! 通信切ります!」

比叡「熊野、その場に止まって!」

熊野「何を言っているんですの!? 止まったら格好の的ですわ!!」

比叡「攻撃は今陽炎ちゃん達に集中してる。目下の脅威は陽炎ちゃん達の魚雷だから」

熊野「それでもリスクはありますわ」

比叡「このまま撃ち合って弾切れを起こすよりはマシ。それに、陽炎ちゃん達が作ってくれたチャンスだもん。活かさない手はないよ」

熊野「……分かりましたわ。従います」

比叡「ありがと」

熊野「行きますわよ……第一主砲発射!!」ズドーン!

比叡「第一主砲撃てぇ〜!!」ズドーン!

バッシャーン

比叡「近!! 仰角微調整! 続いて第二主砲撃てぇ〜!!」ズドーン!

バッシャーン

比叡「近!! 仰角再調整!! 第三主砲発射!!」ズドーン!

ズドーン!!

ル級「!!?」

比叡「敵戦艦に命中!!」

熊野「とぉぉおぉおおおお!!」ズドーン!

ズドーン!

ル級「!!?」

熊野「私の主砲も命中しましたわ」

比叡「このまま押し潰す!! 第四主砲発射!!」ズドーン!

陽炎「比叡さんが敵の戦艦を落とした!!」

不知火「敵重巡がそろそろ射程に入ります」

陽炎「みんな、砲撃戦に入るわよ!! 準備はいい?」

磯風「この磯風に任せろ」

谷風「谷風さん、磯風には負けらんねえなぁ」

天津風「時津風、行くわよ」

時津風「雪風〜撃って撃って〜!!」

雪風「はい!!」

初風「あんた達はもう少し緊張感を持ちなさいよ」

舞風「野分、一緒に頑張ろ〜!!」

野分「そうね」

陽炎「お喋りはそこまで! 目標敵重巡! 全艦砲撃開始!! 全門斉射!! ってぇ〜!!」ズドン! ズドン!

リ級「!!?」

陽炎「弾幕を絶やさないで!! 撃て! 撃て!!」

リ級「!!?」

不知火「流石に駆逐艦の方では重巡の装甲は中々破れませんね」

ズドーン!!

リ級「!!?」

舞風「重巡が爆発した!!?」

陽炎「比叡さんと熊野さんの援護射撃ね!!」

不知火「陽炎、敵の主砲が全て使用不可になってます」

陽炎「主砲は敵の重巡に固定。だけどこのまま敵の空母を落としにかかるわよ!! 全艦最大戦速!!」

全員「了解!!」

陽炎「沈め!!」ズドン!

リ級「」

陽炎「やった!! 沈んだ!!」

不知火「あとは敵空母のみですね」

陽炎「雷撃準備!! 取り舵!!」

陽炎「…………全艦魚雷一斉射!!」バシュッ

ヲ級「!!?」

ヲ級「!!」

野分「一隻が回避中!! もう魚雷が!!」

陽炎「ゴーヤ、今よ!!」

伊58「魚雷発射!!」

ズドーン!!

………………………………

………………

……

訂正

>>25
提督「以上が今回の演習参加艦になる。呼ばれなかった卯月と文月、時雨、浦風、磯風、長波は鎮守府近海の哨戒任務に当たってくれ」

訂正後

提督「以上が今回の演習参加艦になる。呼ばれなかった卯月と文月、時雨、谷風、磯風、長波は鎮守府近海の哨戒任務に当たってくれ」

今日はこれで終わりです
次回の更新でオリョールは終わりです

なかなかこちらを更新出来なくてすみません……


どうやら浦風を二回カウントしており、谷風を入れ忘れていたので訂正です


また来ますね!

提督「もうこの海域に敵の反応はないな」

乗組員「はい! 各レーダー共に反応ありません!」

提督「了解した。御苦労だったな」

乗組員「いえ、もったいなきお言葉……っと艦長、第三艦隊より連絡が入ってます」

提督「繋いでくれ」

乗組員「はい」

夕張「提督聞こえます?」

提督「ああ」

夕張「こちら第三艦隊は、東部オリョール海南方の敵輸送艦隊を2つ殲滅しました。提督の予想通り、敵の輸送艦が出張ってました」

提督「私からは何もフォローが出来なかったが、良くやってくれた。お前達に損害は出ているか?」

夕張「最初に遭遇した敵艦隊の戦艦の砲撃で摩耶が、軽空母の艦載機による至近弾で青葉と川内が小破してますが、それ以外は特には無いです」

提督「その後の敵艦隊は無傷で済んだんだな?」

夕張「はい。島影に沿って敵艦隊に接近して、敵の軽空母に奇襲をかけて撃沈するのに成功したので、敵艦隊は混乱に落ち入り統率が全く取れなくなってましたから」

提督「本当によくやってくれたな夕張」

夕張「はい! どういたしましてです!」

提督「では、お前達も朝霧に帰投してくれ。周囲の索敵、警戒は済んでいるか?」

夕張「バッチリです!」

提督「流石だ。打ち合わせた合流地点まで来てくれ。そこで合流だ」

夕張「了解です!」

……………………。

響「司令官、第一艦隊戻って来たよ」

提督「お疲れ様。よくやってくれた」ナデナデ

響「これは……中々いいな」

秋月「ぁ……」

響「司令官、彼女にも私と同じ事をしてあげてくれないか?」

提督「秋月、来なさい」

秋月「あ、いや、私は……」

提督「来るんだ」

秋月「はい……」

提督「素晴らしい活躍だった。対空射撃は誰よりも正確で、艦隊防空の要を任せるに足るものだった。ありがとう」ナデナデ

秋月「あ、ありがとうございます……!!」

提督「二人は奥で休んでなさい。じきに他の艦隊の子も帰ってくる。ゆっくり出来るのは今だけだ」

響「そうだね。秋月、行こう」

秋月「はい!」

提督「お前達も奥でゆっくり休むと良い。特に比叡と熊野は他の誰よりも集中力が必要なポジションでの戦闘だった。かなり疲れているだろう?」

熊野「そうですわね……少し疲れてしまいましたわ。では、お言葉に甘えてお休みさせて頂きます」

提督「目が覚めたら私の所に来てくれ。今日気付いた事はその時に話そう。お前達もその方がいいだろう?」

比叡「そうですね……流石に今から話し合いは辛いかも……」

提督「だろうな。ゆっくりして来なさい」

比叡「はい! では、また後で!」

瑞鶴「提督さん、ただいま!」

瑞鳳「ただいま、提督!」

提督「おかえり。瑞鳳、瑞鶴」

瑞鶴「提督さん、瑞鶴のフォローをしてくれてありがとね!」

提督「私は当たり前の事をしただけだ。それに実際に艦載機を動かしていたのは瑞鶴、お前だ。初めての実戦はどうだった?」

瑞鶴「すっごく緊張したけど、何とか大きな失敗はしないで済んだかな」

提督「初めての実戦で緊張するのは極々あまり前の事だ。それが普通だ」

瑞鶴「うん!」

提督「二人も疲れただろう。奥で」

陽炎「司令!!」バッ ギュー

提督「おっと……その声は陽炎か。おかえり」

陽炎「うん! ただいま!! 私達凄く頑張ったよ!!」

提督「お前ならやれると信じていたよ。完璧だった」ナデナデ

陽炎「えへへへへ!」

舞風「あ〜!! 陽炎お姉ちゃんが提督に撫でられてる!! いいないいな!! 舞風にもやってよ〜!!」

初風「あーあーダラシない顔しちゃって。そんなんじゃ私達妹に示しがつかないわね」

陽炎「司令にだけなんだからいいでしょ!」

初風「はいはい」

時津風「雪風〜しれ〜の頭に登ろ登ろ〜!!」

雪風「そんな事したら司令、怒っちゃいますよ!!」

時津風「大丈夫大丈夫!!」

舞風「提督! 私の頭撫でて!!」

陽炎「こら、舞風!!」

瑞鶴「後で出直そうか」

瑞鳳「……そうね」

………………………………

………………

……

東部オリョール海域を制圧し、資源地帯を手に入れる事が出来た。これで私達はこの終わりが見えない戦争の継続力は増した。これらは全て彼女達のお陰だ


そして、今回の作戦で確信できた事がある。多数の艦隊で一つの海域を攻めるのは有効であった。やはり少数での出撃よりも圧倒的に生存率が上がる。そして、奇襲を受ける可能性も減る


しかし、まだまだ課題は残っている。最も重大な欠点は出撃して外洋に出る艦娘の数が多ければ多いほど、鎮守府の護りは脆弱なものになることだ


艦娘の数を増やすか……いや、今これ以上艦娘を増やしても育成が追いつかない。無理をしたら瑞鶴や伊58の育成にも支障が出るだろう。それは少しずつ戦力を増やして行く方が良いだろう


では、国内の鎮守府に援軍の派遣を要請するか……これも駄目だ。他の鎮守府も人員が足りない。こちらに戦力を割いて貰うのはほぼ不可能だろう


そうなるとやはり、鎮守府は通常の艦艇で防衛するのが最も現実的だ。だが、果たして回して貰えるかどうか……


まあいい、そちらは後日瑞鳳と詰めよう。
それよりも、今はあの娘達を褒めてやらないとな。彼女達は命を賭けてくれているのだから


………………………………。

今日はこれまでです!

今、雪風の方で苦戦しているのですが、多分次の更新は雪風の方になります。多分……


また来ますね!

鎮守府

瑞鳳「じゃあ、作戦の成功を祝して……乾杯!」

全員「かんぱーい!!」

瑞鳳「提督、お疲れ様でした!」

提督「お前達の頑張りのお陰だよ。ありがとう」

瑞鳳「いえ……そんなこと……」

瑞鶴「私、提督さんのフォローが無かったら何も出来なかったと思うんだ。だから、やっぱり提督さんのお陰だよ!」

提督「実際に艦載機を操ったのは私では無い。瑞鶴が自分で動かしていたのだからな」

瑞鶴「でもやっぱり〜」

提督「お前は艦娘になってから日が浅いのにも関わらずに私の期待に応えた。十分過ぎる働きだ」

瑞鶴「う、うん」

提督「瑞鳳も良くやってくれた。言葉にはしていなかったが、瑞鶴のフォローをしていたな」

瑞鶴「そうなの!?」

瑞鳳「やっぱりバレちゃってたか」

瑞鶴「ごめん、本当にありがと」

瑞鳳「ううん。私が勝手にやってた事だから気にしないで」

瑞鶴「私って迷惑かけてばっかりだね……」

瑞鳳「そんなことないよ! 私だって最初は失敗ばっかりだったんだから!」

瑞鶴「そうなの?」

提督「ああ。瑞鳳も最初は苦労したな」

瑞鳳「そうね。完全に手探りで艦載機の運用を模索したもんね」

瑞鶴「どういうこと? 手探り?」

提督「私が着任した当時……と言ってもそれ程前の話では無いのだが、空母は殆ど運用されていなかったんだ。ただ唯一呉では鳳翔が着任していたのだが、かつての戦争の様な運用が難しいという理由で放置されていた」

瑞鶴「えっ!? 鳳翔さんもいるの!?」

提督「ああ。他の空母だと、舞鶴に龍驤と赤城、呉に加賀と千歳、佐世保に蒼龍と千代田、飛鷹がいたかな?」

瑞鶴「そうなんだ!? へー、私達以外にもいっぱいいるんだね!」

提督「会う機会があるといいな。……話が逸れたな。当時唯一空母を配下に置いていた呉が何もしなかった為、情報は皆無だった。そして、そのような時期に瑞鳳が来てくれたんだ」

瑞鳳「提督ったら、最初私を見た時に驚いてたよね」

提督「まさか本当に空母が出来るとは思っていなかったからな。最初の建造で空母なんて聞いた事がない」

瑞鳳「そうだね〜」

瑞鶴「そんなに珍しいの?」

提督「ああ。当時は完全に海を封鎖されていたから資源もかなり少なかった。だから他の鎮守府ではより少ない資源で建造をし、艦娘の数を増やす事を重視していた。だが、私は航空戦力の必要性を思い知った為空母の建造を重視したんだ」

瑞鶴「じゃあ、瑞鳳って特別なんだ……」

提督「ああ、この子は特別だな」

瑞鶴「っ……」

提督「瑞鳳が着任してからも本当に大変だった。空母艦娘の特性や艦載機の特性を探り、更に運用方法を探り、戦術を探りと、試行錯誤の繰り返しだった。だが、その苦労のお陰で今の空母の運用方法が確立したのだから、あの毎日は有意義だったな」

瑞鳳「うん! 提督のお陰で私達に限らず他の鎮守府の空母も闘えるようになったんだもんね!」

瑞鶴「提督さんと瑞鳳って本当に凄いね」

提督「どうした瑞鶴。顔色が悪いぞ? 体調が悪いのか?」

瑞鶴「そういう訳じゃないんだけど、ちょっと、ね……」

提督「何かあったのならば言いなさい。私の言動が原因ならば詫びよう」

瑞鶴「ううん! 本当にそんなのじゃないの! ただ、提督さんと瑞鳳って凄く強い絆があるんだなって……ね」

瑞鶴 (そう、私が入り込む隙間が無いくらい……)

瑞鳳「あっ……」

提督「……そういう事か。瑞鶴」

瑞鶴「えっ!? 何!? 分かったの!?」

提督「何となくだがな……瑞鳳は最も付き合いが長い艦娘の一人だ。だから信頼関係が厚いのは当たり前の事だ。それに比べ瑞鶴は最近着任したばかりで、まだお互いの事を知りきれていない。そうだろう?」

瑞鶴「まあ……」

提督「だが間違いなく、今後共に進むに連れて私と瑞鶴の間で信頼関係は築かれるだろう。お前にとってのスタートラインはそこからではないのか? だから今落ち込む必要は無い」

瑞鶴「うん……」

提督「だが一応警告はしておこう。私はお前の上官だ。それは分かっているな?」

瑞鶴「うん?」

提督「ならば私と特別な関係になりたいなどと考えるのは止めておいた方が良い。もしもこれが杞憂ならばそれで良いのだがな」

瑞鶴「うぇっ!?」

提督「…………お前もだぞ、瑞鳳」

瑞鳳「そんなの関係無いもん!」

提督「と、まあ言う事を聞かないのもいるんだがな」

瑞鶴「陽炎ちゃんもそうだよね?」

提督「まあ……そうだな」

瑞鶴「ねえ、提督さん」

提督「なんだ?」

瑞鶴「私、頑張ってみる! 提督さんに振り向いて貰えるように!」

提督「冗談……では無いんだな」

瑞鶴「うん。まだこれが恋心なのかは分からないよ。だけど、私は提督さんに対して好意を持ってる。それは間違いないと思うんだ」

提督「…………はぁ……」

瑞鶴「もしかして……嫌?」

提督「そうではない。だが、司令官としては好ましい状況ではないな。場合によっては艦隊運用に支障が出る」

瑞鶴「でも、提督さんとしては、嫌だって思っている訳じゃないんだね?」

提督「お前を嫌がる理由はないからな」

瑞鶴「その言い方はちょっと傷つくかも……」

提督「すまない」

瑞鶴「じゃあ、頭撫でてくれたら許してあげる」

提督「何を言っているんだ」

瑞鶴「じゃないと許してあげないからね」

瑞鳳「提督?」ムッ

提督「……分かった。瑞鶴、瑞鳳。来なさい」

瑞鶴「ん」

瑞鳳「はい!」

陽炎「あ!! 司令! ずるい!! 私も撫でてよ!!」タッタッタッ

舞風「提督〜! 私も頑張ったから撫でてよ〜!」

時津風「あー司令がみんなと遊んでるー! 時津風も遊ぶ遊ぶー!! 雪風も行くよー!」

雪風「わっ!? 引っ張らないで下さい〜!!」

初風「また始まったわ……」

野分「うぅ……」

初風「ん? あんたも混ざりたいの?」

野分「いえ……陽炎姉さんや司令に迷惑がかかりますから……」

初風「大丈夫よ。あんたが入ったところで何も変わらないわよ。行って来なさい」

野分「は……はい……」トコトコ

初風「ねえ、不知火姉さん」

不知火「なんですか?」

初風「野分って、ああ見えて甘えん坊よね」

不知火「そうですね。流石は陽炎の妹です」

初風「その理論だと、私や不知火姉さんまで甘えん坊になるんだけど?」

不知火「事実ですから」

初風「はっ?」

不知火「陽炎型はみんなそうですよ。全員甘えん坊です」

初風「……不知火姉さんって鋭いのか鈍いのか時々分からなくなるわ」

不知火「傷付きました。お詫びに不知火の頭を撫でて下さい」

初風「全然面白くないわよ」

不知火「そうですか」

初風「不知火姉さんの冗談って笑えない」

不知火「陽炎ならば笑うのですが」

初風「陽炎姉さんは沸点が低いだけよ。陽炎姉さんが特別なの」

不知火「ふむ」

初風「ほんと、陽炎型って変人ばっか……」

……………。

提督「そろそろお開きにするぞ。残りたい者は残るが良い。明日は近海の哨戒と遠征班以外は休みにする」

比叡「さっすが司令!!」

提督「何かあれば私の部屋に来なさい。それと、このあと部屋を散らかしたらその者が責任もって片付けろ。では、後は自由にしてくれ」ガチャッ

瑞鳳「瑞鶴はこの後どうするの?」

瑞鶴「どうしよっかな〜」

川内「帰らせないよ〜!! 今日は朝まで夜戦だ〜!!」

瑞鶴「や、夜戦!?」

川内「それに今日のメインは瑞鶴とゴーヤなんだから帰っちゃやだー!!」

熊野「そうれすわ!! すぃかくが帰りゅなんてわたくひ熊野が許しましぇんわ!!」

瑞鶴「いや、熊野は部屋に戻った方がいいわよ」

熊野「そんなことにゃいれすわ!!」

瑞鶴「ごめん、私は熊野を部屋に送るついでに戻るよ」

川内「ちぇ! じゃあゴーヤは貰ってくから! ゴーヤ! 夜戦だよ!!」グイッ

伊58「や、やめるでち!!」

川内「比叡、ゴーヤを連れて来たよ〜」

比叡「朝まで一緒だからね!」

伊58「だ、だれか助けてくだち!!」

瑞鳳「私も熊野運ぶの手伝うね」

瑞鶴「うん、お願い。せーの!」

熊野「とぉぉぉぉぉおお……」スウスウ

瑞鶴「重……」

…………。

パタン

瑞鶴「重かった……」

瑞鳳「寝てるを運ぶの、大変だもんね……」

瑞鶴「まあ、無事に部屋に送る事が出来てよかったね。ありがと」

瑞鳳「どういたしまして! もう、瑞鶴は寝るの?」

瑞鶴「そのつもり。でも、その前にお風呂入ってくる。瑞鳳は?」

瑞鳳「もう先にお風呂入っておいたから大丈夫。じゃあ、私先に寝るね! おやすみ!」

瑞鶴「おやすみ〜」

瑞鶴「それじゃ、お風呂入っちゃお。誰もいなければいいな〜」スタスタ

乗組員「っ!!」タッタッタッ

瑞鶴「あれ? あの人って朝霧の乗組員だよね? どうしたんだろ?」

乗組員「中将! 入ります!!」ガチャッ バタン

瑞鶴「何であんなに慌てて……」

「……です! ………………と……は……!!」

「……と!? それは…………か!?」

「……………………です!」

「…………った…………に手…………」

「…………します!」

バタン タッタッタッ

瑞鶴「今のは一体何だったの……!?」

瑞鶴「…………なんか嫌な予感がする……」

………………………………。

今日はここまでです!

久しぶりに日常編書きましたが、なんて楽なんでしょうか
砂糖吐きそうになりながら書きましたが……

また来ますね!

翌日

コンコン

提督「瑞鳳いるか?」

瑞鳳「提督? 入っていいよ」

提督「失礼する」ガチャッ

瑞鳳「提督何か飲み……何かあったの?」

提督「ああ」

瑞鳳「すぐ行きます。瑞鶴、ちょっと行ってくるね」

瑞鶴「うん……でも、行く前に教えて。提督さん、何があったの?」

提督「そんな大した事ではない。ちょっとしたトラブルだ」

瑞鶴「嘘。私昨日見ちゃったんだ。提督さんの部下の人が凄い慌てて提督のところに行ったの」

瑞鳳「瑞鶴! 盗み聴きしてたの!?」

瑞鶴「違うよ! ただ、あの後お風呂に向かってたら偶然見ちゃただけなの! 内容までは聴いてないよ!」

提督「分かった。それならば仕方ない……瑞鶴も一緒に来るんだ」

瑞鶴「いいの?」

提督「このまま何も言わなければ、無根拠な憶測などが鎮守府に広がる恐れがあるからな。それに、お前も気になってしょうがないだろう?」

瑞鶴「まあ……」

提督「二人とも先に行っててくれ。私は陽炎を連れてくる」

瑞鳳「はい!」

…………。

提督「待たせたな」

瑞鳳「いえ、大丈夫です」

陽炎「一体何があったの? 私達だけを突然呼び出すってことは、何かあったんでしょ?」

提督「そうだ。実際にこれまでで一番の非常事態と言えるだろう」

瑞鳳「教えて下さい……」

提督「…………欧州へ向かった呉、佐世保、舞鶴3鎮守府の主力艦隊が壊滅した」

陽炎「嘘……でしょ……!?」

提督「本当だ。数名は何とか帰還したそうだが、ほぼ全員が轟沈したとの事だ」

瑞鶴「提督さん……まさか」

瑞鳳「私達が代わりに行かなければならないのね?」

提督「ああ。間違い無くかなり厳しい戦いになるだろう」

瑞鶴「大湊は一緒に出撃しないの?」

提督「大湊はガラ空きになる本土の防衛の為に出撃しない事になっている」

瑞鶴「なんかズルい……」

提督「今回戦力が壊滅した3鎮守府は、これから戦力の再構築をする事になる為、防衛能力は皆無に等しい。また、私達は大湊が横須賀の防衛をする為、全戦力を今回の作戦に投入出来る。関節的にだが、大湊のお陰で私達は最大戦力で作戦に赴く事が出来るのだよ」

瑞鳳「でも、私達だけでは呉、佐世保、舞鶴連合艦隊の半分程度の戦力です。連合艦隊でも勝てなかった敵に私達が勝てるとは思えません」

提督「真っ正面からならば瑞鳳の言う通り不可能だろうな」

陽炎「何か策があるのね?」

提督「一応だがな。それと、連合艦隊よりも有利な点がある」

陽炎「有利な点?」

提督「まだリランカ島はこちらの手の内にある。連合艦隊の様にリランカ島の攻略を行う必要がない。そして、策に関してだが……」

提督「奇襲を行う」

………………………………。

リランカ島

提督「そろそろ夕方になるか」

瑞鳳「とうとう作戦開始ね……」

提督「そうだな。不安か?」

瑞鳳「うん……だけど、提督が考えた作戦だもん。私頑張るからね!」

提督「ありがとう」

陽炎「司令! そろそろよね?」

提督「そうだ。近海の様子は?」

陽炎「問題なし! 潜水艦の反応も無いわ!」

提督「敵の偵察機も確認出来ず。条件は揃ったな」

夕張「提督。一応最後に作戦内容と艦隊編成の再確認をお願いしたいかな」

提督「分かった。作戦内容から確認する。作戦内容はアンズ環礁に巣食う敵艦隊及び飛行場を壊滅させる事にある。あくまでも制圧では無く壊滅だ。この艦隊がドイツとコンタクトを取り帰投する時間さえ稼げれば良い。その為には迅速な進軍が不可欠となる。それを心がけてくれ」

全員「はい!」

提督「艦隊編成の確認だ。第一艦隊旗艦瑞鳳。随伴艦に瑞鶴、秋月、電、雷の4名。第二艦隊旗艦陽炎。随伴艦に不知火、野分、舞風の3名。第三艦隊旗艦初風。随伴艦に雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、谷風の6名。第四艦隊旗艦川内。随伴艦に長波、響、時雨、夕立、春雨の5名。第五艦隊旗艦比叡。随伴艦に熊野、青葉、摩耶、夕張の4名。そして潜水部隊のゴーヤと囮部隊の卯月、文月だ」

夕張「で、この前言われた通りに動けばいいのよね?」

提督「そういう事だ。当たり前だが、各々臨機応変に行動してくれ」

全員「はい!」

提督「作戦を始めよう。お前達旗艦は随伴艦全員に朝霧へ乗り込む様に伝えてくれ。出撃だ」

………………。

アンズ環礁沖

提督「瑞鳳、陽炎、初風、川内、比叡。配置に着いたな?」

川内「着いた着いた! 早く夜戦させてよ! やーせーん!!」

提督「少しお前は黙るんだ」

川内「えー」

提督「横須賀へ戻ったら私が直々に白兵訓練を行おう」

川内「いや、それだけは!」

提督「己の愚かさを呪うがいい」

川内「そんな……」

提督「第一艦隊以外は別命あるまで待機。瑞鳳と瑞鶴は艦攻隊を発艦させよ」

全員「了解!」

提督「これは詰め将棋のような物だ。一手間違えれば一気にこの作戦は瓦解する可能性がある。絶対に気だけは抜くなよ」

全員「了解!」

提督「夜襲を開始する! 艦攻隊は『車懸かり竜巻戦法』を実施せよ!」

今日はこれで終わりです!

また来ますね!

闇夜の中、瑞鳳と瑞鶴の導きに従い流星が飛び行く。向かうは比叡の32号水上電探が捉えた敵艦隊であった。

「多分この近辺にいるはずなんだけど……」

「瑞鶴、お前の流星隊もまだ敵艦隊を視認出来ていないか?」

「うん……」

瑞鳳と瑞鶴は初めての戦法であるからだろう、二人の顔から緊張と戸惑いを見て取れる。

瑞鳳と瑞鶴は夜間での航空機の誘導という、不慣れな事をさせてなお周囲の警戒させるのは危険である為、艦載機を射出後は朝霧の艦橋で艦載機の指揮を執らせていた。

「焦らなくてもいい。見落としだけに気をつけろ」

「はい……」

「うん……」

返事も精彩が欠いている。やはり、夜間の飛行の指揮はかなり厳しいのだろう。

「あれ?」

瑞鳳が何かに気付いたような声をあげた。そして、緊張と焦りで蒼ざめていた顔はみるみる赤みを帯びて、終いには喜色を浮かべた。

「見つけた!!」

「よくやった! 座標は?」

「データを転送します! 瑞鶴にも送るからこっちに誘導して!」

「了解! すぐに向かわせるわ!」

瑞鶴の顔からも焦りの色が消えた。

「うん! 提督、私の航空隊はどうすればいいの?」

「爆弾を装備した流星以外は敵の上空を旋回させるんだ。瑞鶴の航空隊は私の指示があるまで近くで待機させろ」

「「了解!」」

「敵艦、対空射撃を開始しました!!」

「今だ! 敵の対空砲火の光を狙え!!」

「雷装流星、全機雷撃開始!!」

瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が当たり日に響き渡った

提督「敵の状態は!?」

瑞鳳「敵重巡大破! 機関停止!!」

提督「よくやった! 上空に残していた艦爆でそいつを狙え!」

瑞鳳「爆装流星、全機急降下!!」

ヒューン ズドーン!!

瑞鳳「敵艦炎上!! やったぁ!!」

提督「瑞鶴、別の艦にも同じく雷撃、爆撃の順で攻撃を行うんだ!!」

瑞鶴「うん! 対空砲火確認! いっけぇ!!」

ズドーン!!

瑞鶴「敵戦艦、機関停止! そして炎上し始めたわ!!」

提督「完璧だ! 瑞鶴、瑞鳳は朝霧から退艦し、近くにいる秋月、雷、電と合流。合流後艦載機の着艦の為に灯火管制を行え。指示を出したらに照明灯を点灯させるんだ」

瑞鳳「了解!」

提督「第四艦隊、炎に照らし出されている敵の艦隊に向けて突撃!」

川内「待ってました!! 夜戦だぁ〜!! 第四艦隊全艦突撃よ!!」

提督「文月、卯月! 探照灯照射!! 前もって知らせた座標へ向かって最大戦速で航行!!」

文月「ふぁ〜こわいよこわいよ〜」

卯月「探照灯照射だぴょん!!」

ズドーン! ズドーン!

卯月「うびゃぁぁ!!?」

文月「うってきたよ〜!!」

提督「瑞鳳、瑞鶴。敵が探照灯に惹きつけられている間に照明灯を点灯! 着艦させるんだ!」

瑞鶴「は、はい!」

文月「しれいか〜ん! てきがずっとついてくるよ〜!! こわいよ〜!」

卯月「たすけてほしいぴょん!!」

提督「初風。その位置から文月と卯月は見えるな?」

初風「すぐ近くね。よく見えるわ。ついでに敵も丸見えよ」

提督「魚雷を斉射した後に敵の横から殴り込むんだ。出来るか?」

初風「当たり前よ」

提督「同士討ちにだけは気を付けるんだ。必ず可能な限り陣形を維持。それだけでも被害や指揮系統の混乱は抑える事が出来る」

初風「大丈夫よ。私達に任せなさい」

提督「頼むぞ。第三艦隊、行動開始!!」

初風「了解!!」

提督「陽炎」

陽炎「ん。なあに?」

提督「文月が照らし出している敵艦隊が見えるか?」

陽炎「初風が襲っているのと別の、戦艦や重巡がゴロゴロいるやつ?」

提督「そうだ。頼めるか?」

陽炎「うん! もちろん司令の為なら!」

提督「気を付けろよ」

陽炎「ありがと! じゃあ、また後でね!!」

陽炎「不知火! 野分! 舞風! 第二艦隊行っくわよー!!」

不知火「陽炎、また惚気てましたね」

舞風「あはは! 陽炎お姉ちゃん顔真っ赤〜」

野分「あ、舞風……そんな事言ったら……」

陽炎「何で真っ暗なのにそんなことが分かるのよ!」

舞風「陽炎お姉ちゃん可愛い〜!」

陽炎「もうっ! ほら、行くわよ!!」

不知火「了解」

陽炎「いつも通り肉薄するわよ! 二水戦の誇り、見せつけてやるのよ!!」

提督「比叡。各艦隊が敵の遊撃部隊や主力艦隊と交戦に入った。今なら邪魔をされない筈だ」

比叡「はい! さっすが司令ですね!」

提督「いや、これはみんながよくやってくれているからだ。私はそのキッカケを作ったに過ぎない」

比叡「それでも、私は尊敬しますよ」

提督「そうか。ありがとう」

比叡「はい!」

提督「さて、全員三式弾又は零式弾を装填しているか?」

比叡「私の第一主砲の一門以外には全て装填済みです!」

提督「うむ。では、射撃地点に移動後すぐに始めてくれ」

比叡「了解!」

提督「あと少しで瑞鳳と瑞鶴の爆撃機が発艦可能になるから、援護で回そう。それまでは第五艦隊だけで頑張ってくれ」

比叡「司令の御期待にお応え出来る様に頑張ります!!」

提督「ああ」

比叡「射撃地点に到着! 行きます!!」

比叡「照明弾発射!! 続いて全艦、砲撃開始!! 全門斉射!! 撃て〜!!」ズドーン!!

泊地水鬼「ッ!!?」

………………………………

………………

……

比叡「敵泊地沈黙!! 壊滅させる事に成功しました!!」

提督「終わったか……」

瑞鳳「提督、この後は独逸まで行きますか?」

提督「そうだな」

瑞鳳「分かりました。みんな、一旦朝霧に帰投しま……」

天津風「あれ?」

初風「どうしたの?」

天津風「何か水中から音が……」

提督「なんだと!? 第三艦隊対潜戦闘準備! 止まると魚雷でやられる! すぐに動くんだ!!」

初風「了解! 全員ペアを組んで攻撃と観にに役割を分けなさい! グズグズするんじゃ無いわよ!!」

天津風「浮上して来てるわ!!」

初風「え!? なんですって!?」

天津風「あと少しで完全に浮上するわよ! みんな警戒して!!」

バッシャーン!!

U511「み……つけ、た!!」

天津風「ええ!?」

初風「……艦娘!?」

U511「たすけ、て!」

初風「え?」

U511「ユーをたすけて!」

初風「提督、どうするのよ?」

提督「朝霧に連れてきてくれ」

初風「分かったわ。ちょっと一緒に来て」グイッ

U511「は、い……」

………………………………。

朝霧

提督「初風、ご苦労だった」

初風「これも任務の一つよ。で、私は出て行った方がいいのかしら?」

提督「そうだな……頼む」

初風「一応部屋の外で待機してるから、何かあったら呼び出すのよ」

提督「ああ」

初風「それじゃ」ガチャッ パタン

提督「さて」

U511「ぅぅ……」

提督「改めて聞こうか。君の名前を教えてくれないか?」

U511「ユ、U-511……」

提督「U……では、君はドイツのUボートの艦娘か。そして……511と言うと……」

U511「ユー、前は、日本に来た、よ……」

提督「やはりか。そうすると日本では……」

U511「呂500って……呼ばれた……」

提督「やはりか。では、伊58の事は知っているか?」

U511「うん……知ってる」

提督「そうか。今は出撃しているが、暫くしたら戻る。その時に紹介しよう」

U511「ダンケ……」

提督「で、だ。君がこの様な所にいる理由を話してくれないか。初風に助けてと言っていたと聞いたが」

U511「…………」

提督「話したく無いか?」

U511「あ、の……」

提督「ゆっくりでいいぞ」

U511「あの、ね…………ドイツが……」

提督「ドイツが?」

U511「みんな、死んじゃった……」

提督「なんだと!?」

U511「ひっ!?」

提督「すまない。だが、どういうことなんだ。もう少し詳しく説明して貰えると助かる」

U511「何から、話せばいい、の?」

提督「そうだな……では、君が生き残った理由とドイツの現状を教えて欲しい」

U511「分かった……」

U511「ユーはね、イタリアに行ってた、の」

提督「イタリア? 何か理由があったのか?」

U511「イタリアと、連絡が、取れなくなった、から……」

提督「君がイタリアの様子を探れという事だったのかな?」

U511「うん」

提督「で、イタリアの様子はやはり」

U511「艦娘も、人間もいなかった……深海棲艦しか、いなかった、よ」

提督「そうか……」

U511「それでね、ドイツにね、戻ったらね……みんな死んじゃってた……」

提督「誰も艦娘が残っていなかったのか?」

U511「ビスマルク姉さんも、マックスもみんな、みんな居なかった……」

提督「人間は……?」

U511「地上もね、深海棲艦の砲撃や、爆撃を……いっぱい、いっぱい受けてた……」

提督「だが、それならば」

U511「もう、地上には草木も無かった……」

提督「何故だ……何故そこまでして……」

U511「それでね、ユー、逃げてきたの……海の上にもね、深海棲艦がいっぱいいたよ……」

提督「この艦隊で突破は出来るか?」

U511「無理……絶対に死んじゃうよ」

提督「分かった……U511、君はどうする?」

U511「ユーが?」

提督「そうだ。このまま別の国まで逃げるか、日本まで私達と共に向かうかだ」

U511「ユー、日本に行く、よ……」

提督「分かった。君を助ける事が出来て良かった。ここまで来た甲斐があったよ」

U511「うん……ダンケ……」

提督「ドイツから敵の勢力下ここまで逃げてくるのに疲れただろう。休んで来るといい」

U511「いいの?」

提督「勿論だ。他の子に案内させよう……初風、いるな?」

初風「いるわよ」ガチャ

提督「この子を仮眠室まで連れて行ってあげてくれ」

初風「いいわよ。ほら、私に着いて来なさい。案内するから」

U511「うん……」

提督「では、よろしく頼むぞ」

初風「ん」パタン

提督「ふぅ……」

提督「なあ、中尉よ」

乗組員「はい」

提督「あのドイツが滅んだ。この様な事が信じられるか?」

乗組員「いえ、正直申し上げますと未だに信じる事が出来ません」

提督「私もだよ。どうやら我々はあまりにも強大すぎる存在を相手に戦争をしているようだ」

乗組員「はい」

提督「私が次に何を言うか分かるかな?」

乗組員「ええ、勿論」

提督「聞こうか」

乗組員「だが、それでも死ぬ訳にはいかない。生き抜かねば意味が無い……ですよね?」

提督「フフ……流石だな」

乗組員「伊達に何年も中将の部下をやっておりませんよ。それに、貴方の下に配属されている者ならば全員が同じ答えを言うでしょうね」

提督「大将や元帥殿に聞かれたら間違い無く島流しだろうな」

乗組員「だからこそ私達は貴方に付いて行くのですよ。そして艦娘の子達も」

提督「有り難いな。私は部下に恵まれているよ」

乗組員「私達も上官に恵まれていますのでお互い様です」

提督「そんなこと……」

コンコン コン

瑞鳳「瑞鳳と瑞鶴です」

乗組員「艦娘の子ですね。では、私は朝霧を反転させ撤退する準備と指揮に取り掛かります」

提督「ああ。頼んだ」

ガチャ

瑞鳳「失礼します……って、あれ?」

乗組員「お疲れ様です。中将はお返ししますね」

瑞鳳「え、あ、ありがとうございます……」

乗組員「では中将、失礼します」パタン

瑞鶴「提督さん。あの人、何かあったの?」

提督「朝霧の事で少しな」

瑞鶴「そうなんだ〜」

瑞鳳「あ、そうだ……第一艦隊戻りました。他にも第二、第三、第四艦隊と、文月ちゃんと卯月ちゃん、ゴーヤちゃんが帰投済みです」

提督「第五艦隊は?」

瑞鳳「第五艦隊は敵の奥深くまで潜り込んでいたので、少しだけ遅れているみたいです」

提督「分かった」

瑞鳳「提督、何かあったの? 知らない子が初風ちゃんと一緒に歩いてたけど」

瑞鶴「あの白い子だよね。私も気になっていたんだ〜」

提督「後ほど他の者にも公表するが、あの子も横須賀鎮守府の一員になる」

瑞鳳「えっ!?」

瑞鶴「え、何か変なの?」

瑞鳳「う、ううん。そんな事無いよ」

瑞鶴「瑞鳳、声が上ずってるよ。何が変なの?」

瑞鳳「提督……どうしよう……」

提督「瑞鶴、すまないが一旦この部屋から出ていて欲しい。ここに陽炎を呼んで3人で話し合わねばならない」

瑞鶴「私も居ちゃ駄目なの?」

提督「悪いが、まだそれは厳しいな。信用をしているしていないという話では無く、最も鎮守府について分かっているこの2人では無いと駄目なんだ」

瑞鶴「…………うん」

提督「この話が終わったら他の誰よりも先に先に瑞鶴に話そう。だから少し我慢してくれ」

瑞鶴「約束だからね」

提督「ああ」

瑞鶴「私、陽炎ちゃん呼んでくるね。そしたら部屋で待ってるから」

提督「ありがとう」

瑞鶴「それじゃ、ね」パタン

瑞鳳「何だか、瑞鶴に悪い事しちゃった気がする……悲しそうだった」

提督「こればかりは仕方ない……とはいえ、同感だ」

瑞鳳「でも、それでも瑞鶴には聞かせる事が出来無い話なんだよね?」

提督「そうだ。こればかりはお前と陽炎以外に相談は出来無い」

瑞鳳「もしかして……独逸の事?」

提督「その通りだ」

瑞鳳「そうね……分かりました。陽炎ちゃんが来たらすぐに話しましょ」

提督「ああ」

………………………………。

>>160

訂正

精彩が欠いている。

精彩を欠いている。


瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が当たり日に響き渡った

瑞鳳の掛け声から十数秒、轟音が辺りに響き渡った

今日はここまでです。


また来ますね!

コンコン コン

提督「私だ」

瑞鶴「うん、入っていいよ」

カチャッ パタン

提督「待たせたな」

瑞鶴「大丈夫……」

提督「顔が暗いぞ」

瑞鶴「まあ、ね……」

提督「仕方がなかったとはいえ、申し訳なかった」

瑞鶴「それは分かってるし、納得もしてるよ。だけどね、とても嫌になっちゃったの」

提督「私がか?」

瑞鶴「…………私、嫉妬しちゃったんだ。陽炎ちゃんに。そして瑞鳳に。そういう訳では無いのは分かっているのに、どうしても嫉妬心を抱いてしまうのそんな私自身が嫌になっちゃったの」

提督「そうか……」

瑞鶴「ごめんね、提督さん。突然こんな事を言われたって困っちゃうよね」

提督「私に関わって来る以上、反応に困る話題ではあるな」

瑞鶴「うん……」

提督「だが一つだけ言えるのは、もしも私が逆の立場でも同じ感情を覚えてしまうだろう。こればかりは理屈で割り切る事は到底出来ない」

瑞鶴「提督さんも?」

提督「私も一応人間だからな」

瑞鶴「ちょっと予想外だな。提督さんってあまり表情を表に出さないから」

提督「それは私が提督という立場にあるからだ。私の感情で艦隊を指揮するなどという事があってはならない。それで仲間が死に追い込まれるよりは自分の感情を抑える方がずっといい」

瑞鶴「大変だね、提督さんって」

提督「慣れたよ」

瑞鶴「でも、私には提督さんみたいにこの気持ちを抑えるのは無理だよ……」

提督「ならば、その感情を抑えなければいい」

瑞鶴「え?」

提督「勿論嫉妬心を瑞鳳や陽炎への憎しみに変えてはいけない。だが、その感情をバネに更なる自身の向上を目指せばいい」

瑞鶴「でも私自身が自分を赦せないよ」

提督「いつかお前が成長して心に余裕が出来れば、その嫌な自分も許容する事が出来るだろう」

瑞鶴「やっぱり提督さんって優しいね」

提督「そんなこと無いさ。それよりも瑞鶴、落ち着いたか?」

瑞鶴「さっきよりはね。まだ少しモヤモヤしてるけど」

提督「今から重要な話をするが大丈夫か?」

瑞鶴「うん。それは大丈夫だよ」

提督「では、約束通りお前に先程陽炎や瑞鳳と話して来た事を伝えよう……」

提督「ドイツが滅んだ」

瑞鶴「えっ!?」

提督「ドイツだけでは無い。イタリアも深海棲艦の手に落ちた。まだ生き残っている国はあるやもしれんが、ヨーロッパが完全に壊滅するのも時間の問題だ」

瑞鶴「嘘だよね……」

提督「残念ながら真実だ。これらの情報は先程私達の戦力に組み入れられたU511から伝えられた」

瑞鶴「でも……その子が嘘をついている可能性も」

提督「メリットが何一つ無い。嘘を付いているのがバレれば良くて深海棲艦が跋扈するこの海に放り出され、悪ければ発覚し次第射殺。それに今ドイツを助ける為に進軍中の艦隊を追い返せばドイツの危機は更に広がる。理由が無いんだ」

瑞鶴「そうだよね……」

提督「私は横須賀に戻り次第大本営に向かう。今回の件は万が一にも漏洩させる訳に行かない。そして確実に伝えねばならない」

瑞鶴「じゃあ、私も付いて行く!」

提督「それは出来ない」

瑞鶴「私じゃ駄目なの?」

提督「いいや、駄目ではない。しかし、瑞鶴である必要も無い」

瑞鶴「そんな……」

提督「鎮守府の内情を把握していて、尚且つ護衛を任せることが出来るのは今の所瑞鳳のみだ。ついでに言えば瑞鳳は位の高い人間への礼節も弁えている」

瑞鶴「じゃあ、結局は絶対に無理なんだね……」

提督「そうでも無いぞ。もしも瑞鶴に瑞鳳のメリットを上回る何かがあるのならば私は瑞鶴を同行させるだろう。どうだ?」

瑞鶴「私の長所……」

瑞鶴「艦載機を飛ばして鎮守府に連絡が取れる」

提督「瑞鳳でも同じ事が出来る」

瑞鶴「瑞鳳よりも艦載機の搭載数が多い」

提督「確かにそれはメリットだ。だが、それだけでは瑞鳳以上の魅力を感じる事は出来ない」

瑞鶴「速さや装甲、耐久力なら……」

提督「弱いな」

瑞鶴「馬力は誰にも……」

提督「本気で言っているのか?」

瑞鶴「…………」

提督「終わりか?」

瑞鶴「駄目……私じゃ瑞鳳に勝つなんて出来ない……」

提督「そうか。残念だ」

瑞鶴「私ってやっぱり駄目だな……これじゃあ瑞鳳の劣化……あれ?」

提督「どうした?」

瑞鶴「ちょっと待って……もしかしたら……」

提督「何かに気付いた様だな」

瑞鶴「提督さん。何個か質問してもいい?」

提督「ああ。勿論だ」

瑞鶴「今まで瑞鳳以外に同行した艦娘はいるの?」

提督「いないな」

瑞鶴「もしも私を選んでくれた場合はマナーや仕事内容を教えてくれるの?」

提督「勿論だ」

瑞鶴「じゃあ、最後に……提督さんは瑞鶴を試したでしょ?」

提督「ふっ……良く気付いたな」

瑞鶴「私に少しも期待してなかったら残念なんて言葉は出ないもん」

提督「ああ、そうだな。では瑞鶴の言葉を聴こうか」

瑞鶴「私は瑞鳳に対して戦闘力、情報量、礼節のどれを取っても負けてるわ。だけど、だからこそ提督さんは瑞鶴を選ぶメリットがあるわ」

提督「ふむ」

瑞鶴「もしも瑞鳳が鎮守府や海域から動けなくなった場合、瑞鳳の代わりに提督さんと同行出来る艦娘が今いない。それが緊急時や提督さんの安全がかなり危険な状態の場合命取りになる可能性がある。だから今の内に提督さんは、他に何人か瑞鳳と同じ様に動ける艦娘を育成する事でその様な事態は回避出来る」

提督「他には?」

瑞鶴「瑞鳳よりも練度や経験は低いけど、私は瑞鳳と同じ様な運用が出来るわ。だから今まで軽空母瑞鳳として出来ていた事は私にも可能」

提督「この二つだけか?」

瑞鶴「ううん。あともう一つ。最大の練度と経験を持つ瑞鳳が鎮守府に残る事で鎮守府の防衛能力は今現在よりも大きく跳ね上がるわ。もしも私が鎮守府に残ったとしても艦載機という戦力が増えるものの、有事の際の指揮や判断は今までとさして変わらない。だけど瑞鳳が残れば適切な判断や指示を出せる艦娘が増える。だから、瑞鳳より劣っている私を同行させた方が鎮守府の安全に繋がるの」

提督「ほう」


瑞鶴「どう、提督さん? これが瑞鶴を選ぶ事のメリットだよ」

提督「所々突っ込みどころがあるが、ほぼ満点だ」

瑞鶴「じゃあ、今回は!?」

提督「瑞鶴を連れて行こう。頼んだぞ」

瑞鶴「やったぁ!!!!」

提督「そんなに嬉しいか?」

瑞鶴「うん!! 当たり前じゃない!」

提督「そうか。だが、横須賀に戻るまでの間、出来る限り仕来りやマナーを詰め込ませるから覚悟しておくがいい」

瑞鶴「それでも私、頑張るから!」

提督「ああ」

………………………………。

今日はここまでです!

正式に9/25翔鶴改二実装が発表されましたね。
瑞鶴は今年中とのことですが、早く実装して貰いたいものです。


また来ますね!

鎮守府

バタバタ

瑞鶴「わー!! わー!! 飛行甲板忘れてた!!」

陽炎「瑞鶴さん……」

瑞鳳「それは……忘れちゃだめだよ……」

瑞鶴「ふぅ……終わった……」

提督「瑞鶴、そろそろ時間だ。準備は出来たか?」

瑞鶴「うん。万全! ……とは言えないけど多分大丈夫」

提督「日用品等が足りなかったら向こうで買えばいい。鎮守府でしか準備出来ない物は確実に持ったな?」

瑞鶴「それは大丈夫だよ! ……多分」

提督「まあいい、行くぞ。瑞鳳、陽炎。後の事は任せたぞ」

陽炎「任せて! でも、司令がいないと私寂しいから、出来る限り早く帰って来てね!」

提督「善処するよ」

瑞鳳「提督」

提督「ん?」

瑞鳳「行ってらっしゃい」

提督「ああ。行ってくるよ」

ガチャ

瑞鶴「行ってきます!」

陽炎・瑞鳳「頑張ってね!」

瑞鶴「うん!」

パタン

………………………………。

大本営

コツ コツ コツ コツ

提督「…………」

瑞鶴「…………」

提督「…………」

瑞鶴「…………」

提督「瑞鶴」

瑞鶴「ひゃっ、ヒャイ!!?」

提督「やはりか……」

瑞鶴「だ、だってこんな所はじ、はじめ、初めてき、来たんだもん!」

提督「緊張するなとは言わん。むしろ適度な緊張感は必要だ」

瑞鶴「はい! はい!」ブンブン

提督「だが、お前は緊張し過ぎだ。その状態で部屋に入る訳には行かない」

瑞鶴「で、で、でもぉ……」ガタガタ

提督「こっちを向きなさい」

瑞鶴「うん……へっ!!?」

提督「……」スッ

瑞鶴「て、提督さん! ち、近い! 近いよぉ〜!! か、顔が!! あっ……」

提督「ふむ」グニー

瑞鶴「ひ、ひゃい!! へいほふはん! ひはひっへ!!」

提督「よし、終わりだ」パッ

瑞鶴「ひ、ひっどいよ提督さん! 頬っぺたちょっと痛かったんだけど!!」ポカポカ

提督「こらこら、やめなさい」

瑞鶴「んむー!!」

提督「で、どうだ? 緊張はほぐれたか?」

瑞鶴「え? 緊張? あっ!」

提督「大丈夫な様だな」

瑞鶴「本当だ……あんなに緊張してたのに……」

提督「人間予想外の事が起きると、それまでの事を忘れてしまうからな」

瑞鶴「でも……」

提督「ん?」

瑞鶴「残念だったな……」

提督「私は誰にでも簡単にはキスはせんよ」

瑞鶴「もう! 提督さんズルいよ」

提督「ああ、何とでも言うがいい」

瑞鶴「はあ……」

提督「何だ? 私に愛想が尽きたか?」

瑞鶴「ううん、その逆。提督さんってこんイタズラ好きな所もあるんだなって」

提督「まあ多少は、な。鎮守府での職務中にはは絶対に出さないが」

瑞鶴「じゃあどうして私の前では出してくれたの?」

提督「私が堅苦しい空気を纏っていたら瑞鶴はもっと緊張してしまっていただろう? だからだ」

瑞鶴「そこは、今は瑞鶴しか居ないからだ、とか言ってくれる所じゃないの?」

提督「ああ、勿論言わない。私は事実を述べる迄だ」

瑞鶴「意地悪!」

提督「そうか、お前はみんなの前で吊るし上げられたいのか? お前の人には言えないような弱みやクセは全て知っているぞ」

瑞鶴「な、何で!!? 何で提督さんがそんな事を!!?」

提督「瑞鳳がな」

瑞鶴「瑞鳳……って、瑞鳳が何で!!?」

提督「相部屋だろう?」

瑞鶴「それはそうだけど、出逢ってまだ一ヶ月とちょっとだよ!!? そんな短期間にどうして!!」

提督「瑞鳳の観察眼を舐めない方がいい。私でさえも嘘を見抜かれる。怖い子だよ、瑞鳳は」

瑞鶴「提督さんの嘘って?」

提督「瑞鳳や陽炎を部屋に返した後、睡眠時間を削って書類仕事を進めた日の朝に対面して数秒でバレた。いつもよりも目が細くなっているって指摘されたよ」

瑞鶴「…………」

提督「何か私に言う事は?」

瑞鶴「提督さんに向かって暴言を吐いてしまってごめんなさい……」

提督「よかろう……さて、お喋りはここまでだ」

瑞鶴「え? あ!」

提督「中では元帥殿や大将、そして私と同階級の佐世保、舞鶴、呉、大湊の提督が待っている」

瑞鶴「うん、じゃなくて………はい!」

提督「基本的には教えた通りにしていればいい。もしも瑞鶴の発言を求められたらその時は発言をするんだ。大丈夫だと思うが、粗相の無い様に気を緩めるなよ」

瑞鶴「はい!」

提督「心の準備は?」

瑞鶴「大丈夫です」

提督「ああ」

コンコン コンコン

コンコン コンコン

大将「誰だ?」

提督「横須賀鎮守府を預かっております提督と、秘書艦の瑞鶴です」

大将「お前か。入りなさい」

提督「はっ。失礼します」

カチャッ パタン

提督「お待たせしてしまい大変申し訳ありません」

大将「よい。お前には酷な任務を頼んでしまったからな。ご苦労だった」

提督「いえ、私には勿体無きお言葉です」

大将「謙遜ばかりしていると嫌味になってしまう。その悪い癖は直した方がいい」

提督「はっ!」

大将「まあ座るが良い」

提督「では、御言葉に甘えて……」スッ

瑞鶴「ぁ……失礼します」スッ

元帥「その娘は……確か初めてだったな」

提督「最近新たに建造した翔鶴型航空母艦二番艦の瑞鶴です」

元帥「前回迄は瑞鳳を秘書艦として同伴させていたが、何故変えた?」

提督「これ迄は瑞鳳を秘書艦として同伴させておりましたが、正直申し上げますと私と瑞鳳が鎮守府不在の間は、鎮守府の機能は大幅に低下しておりました」

元帥「そうだったな」

提督「しかし、瑞鶴を秘書艦として登用することによって瑞鳳を鎮守府に残す事が可能となりました」

提督「もしも私が不在の間に鎮守府に何かしらの危機が訪れても、鎮守府の内情を最も把握している彼女ならば私と同等の指揮が取れ、臨機応変に問題へ対処出来る様になります」

元帥「ふむ」

提督「そして瑞鶴自身に関してですが、瑞鶴には瑞鳳と同等以上の性能を発揮する事が出来ます。これが初めての任務という事もあり、礼儀作法等は些か瑞鳳には劣るものの、何度もこの様な場を経験すればそれも様になるでしょう」

元帥「彼女を同伴させる事にはメリットがある為変更したのだな?」

提督「はい」

元帥「うむ。了解した」

提督「はっ!」

元帥「では、全員揃った事だ。今回の任務に関する横須賀の中将からの報告を聞こうではないか」

今日はここまでです!

また来ますね!

では、報告をさせて頂きます。

私達横須賀鎮守府は皆様がご存知の通り欧州の生き残りの国とコンタクトを取る為に出撃することになりました。

その第一段階として、リランカ島を基点とし、深海棲艦の拠点であるアンズ環礁を攻略しました。

リランカに到着するまでの間損害を受けずに無傷で済んだのは呉、舞鶴、佐世保鎮守府が敵を撃退して下さったお陰です。誠にありがとうございました。

アンズ環礁攻略につきましては先に報告させて頂いておりますので端折らせて頂きます。今回の本題はこの後です。

アンズ環礁制圧後我等は西進し欧州に突入しようと準備を整えていたのですが、そんな我等の前にとある艦娘が現れました。

ドイツ所属のUボートの艦娘、U-511です。彼女はドイツ軍の命令で人間や艦娘が生き残っていたイタリアへ派遣されていました。

ですが、イタリアに到着した彼女が見た光景は、深海棲艦が跋扈し人間も艦娘も全員が消え去った深海棲艦の世界でした。

生存者がいない事を確認した彼女はドイツに戻りイタリアの現状を報告しようとしたとの事でしたが、彼女がドイツを離れていた十数日の間にドイツも深海棲艦に滅ぼされていたとの事でした。ドイツも人間艦娘共々全滅したと報告を受けております。

帰るべき場所を喪った彼女は、記憶に残っているもう一つの母国である日本を目指し、奇跡的にアンズ環礁で私達に遭遇する事が出来ました。

これが今回の作戦で得る事が出来た情報になります。

元帥「…………」

大将「…………」

呉提督「やはり欧州は深海棲艦の手に落ちていたのか」

佐世保提督「横須賀に合流したU-511が偽りの情報を提供している可能性は?」

提督「それは無いでしょう。嘘を吐いて彼女が得る事が出来るメリットはありません。又、深海棲艦の制圧下にある広い海域を単独で横断するのはリスクが余りにも高すぎます。ドイツも限られた防衛の戦力を無下に手放したりしないでしょう」

佐世保提督「確かに」

舞鶴提督「もしも西側がその様な状況なのだとしたら、もはや欧州は全滅したと考えた方がいいか」

提督「ええ、そうですね。何せ最大の戦力を有していたイタリアとドイツが陥落したのですから」

大湊提督「このままだと近い内に日本は深海棲艦に取り囲まれる事になりかねない」

提督「本来ならば攻勢に出るべきなのですが、虎の子の呉、佐世保、舞鶴が壊滅してしまった今、戦力を回復させる迄は我が横須賀と大湊が中心となって近海や海上輸送ラインを守らねばならないでしょう」

大湊提督「そうですね……」

大将「元帥」

元帥「うむ」

大将「本来ならばそうするのが筋であろう。だが、そうはいかない」

提督「どういう事でしょうか?」

大将「東部オリョールだ。横須賀の力で漸く手に入れた資源地帯だが、あそこを護る為にはもう少し先まで日本の制圧下にある海域を広げた方がいい」

提督「具体的にはどこまで戦線を拡大するつもりでしょうか?」

大将「お前はSN作戦を知っているか?」

提督「大東亜戦争初期に帝國海軍が立案し、アメリカのウォッチタワー作戦により失敗に終わってしまったあのSN作戦でしょうか?」

大将「そうだ。我らはもう一度ソロモン、ニューギニアの制海権を取り戻す……つまり、これは第二次SN作戦とでも言うべきか」

提督「大将……それは、またあの泥沼の戦いを繰り返すという事ですか!?」

大将「いや、それは違う。作戦の詳細は横須賀で決めて欲しいと思っている。かつてと同じ過ちを繰り返さない為にも」

提督「まさかこの作戦を横須賀のみで行えと仰るのですか?」

大将「勿論他の鎮守府と連携してくれて構わない。だがお前も知っている通り大湊と横須賀以外の戦力は壊滅。故に立て直している真っ最中だ。あまり無茶な命令はしてはならぬ」

提督「……分かりました。この作戦、我等横須賀鎮守府が請け負いましょう」

大将「頼んだぞ」

提督「はっ」

大将「最も重要な案件はこれで終わりだな。では、その他の取り決めをしようではないか」

………………………………

………………

……

大本営 客室

ガチャ パタン

提督「ふぅ……瑞鶴、もう気を抜いていいぞ」

瑞鶴「提督さん……一言言っていい……?」

提督「なんだ?」

瑞鶴「怖かったよぉぉぉぉぉぉ!! 緊張した!! 本当に緊張したよぉ〜!」

提督「よく出来ていたぞ。これなら今後瑞鶴を連れてきても大丈夫だろうな」

瑞鶴「提督さんに褒めて貰えて嬉しいんだけど震えが止まらないの! あの場所ピリピリし過ぎだよ!!」

提督「それは仕方ない。慣れてくれとしか言えん……が、今回は大将と元帥が異様に殺気を放っていたな……」

瑞鶴「私達が作戦を中止したから……?」

提督「いや、あの判断が間違っていたのならば今回の会議は私を裁く為のものになっていただろう。それに新たな作戦の作成を任せるなんてあり得ない」

瑞鶴「そうだね……引き受けちゃって大丈夫だったの?」

提督「正直に言うとあまり良くはない。が、私が作戦の詳細を立案出来るのならば、他の者に任せるよりはリスクはまだ低いだろう」

瑞鶴「でも、提督さんの負担が増えるよね? 毎日夜更かしなんかしたらダメなんだからね!」

提督「それは約束出来ない……というよりも無理だ」

瑞鶴「むー!」

提督「とりあえずは私達も戦力の補充をしないといけないな。鎮守府に戻ったら建造をしないとならないな」

瑞鶴「分かった!」

提督「うむ。まあその話は明日以降じっくり詰めていこう。それよりも明日は夜が明けたらすぐにここを出て横須賀に戻る。もう寝る支度をしなさい」

瑞鶴「そうだね。じゃあ、提督さんからお風呂入って来る?」

提督「私は後でいい。瑞鶴から入って来るがいい」

瑞鶴「でも……」

提督「上官や部下は関係ない。気にするな」

瑞鶴「うん……じゃあさ……」

提督「何だ?」

瑞鶴「あの……一緒にお風呂入、る?」

提督「ほう、そんなに地獄を見たいのか? いい度胸をしている」

瑞鶴「わー嘘!! 嘘!! ごめんなさい!!」

提督「今のお前には手を出さんし、何をどうしようとは全く考えていない」

瑞鶴「それって男としてどうなの……?」

提督「瑞鶴?」

瑞鶴「何でもない! 何も言ってません!! お風呂先に入って来るね!!」バタバタ

提督「やっと行ったか」

………………。

提督「瑞鶴、電気を消すぞ」

瑞鶴「うん」

パチッ

瑞鶴「提督さん……」

提督「何だ?」

瑞鶴「私、今日ちゃんと提督さんが求める事をちゃんとこなす事が出来たのかな?」

提督「ああ。しっかり出来ていたよ」

瑞鶴「ありがと……提督さん。私、これからも頑張るからね。提督さんと並べる用になるまで頑張るから」

提督「頼むよ。期待している」

瑞鶴「うん! ……おやすみ、提督さん」

提督「おやすみ、瑞鶴」

瑞鶴「幸せ、だな……」

………………………………。

今日はここまでです!

瑞鶴改二が今週金曜日に正式に決定しましたね!
金曜日が本当に楽しみでしょうがないです!


また来ますね!

横須賀

文月「えんせいかんたい、きとうしたよ〜」

瑞鳳「お疲れ様。文月ちゃん達はこの後は休んでてね」

文月「は〜い」

瑞鳳「入れ替わりで時雨ちゃん、夕立ちゃん、春雨ちゃんは遠征に出撃してね」

時雨「うん。分かったよ」

コンコン

瑞鳳「は〜い」

陽炎「瑞鳳さん、司令が帰って来たわよ!」

瑞鳳「教えてくれてありがとう! あと少しでひと段落着くから後から行くわね」

陽炎「じゃあ、私は先に行ってるわ」

瑞鳳「うん」

時雨「じゃあ、僕達は行ってくるね。提督には宜しくね」

瑞鳳「ちゃんと伝えておくね。行ってらっしゃい」

春雨「失礼しました」

パタン

瑞鳳「えっと……」サラサラ

瑞鳳「うん。これで提督に直ぐに引き継ぎが出来るかな?」

瑞鳳「よし! 提督のお出迎えに行かないと!」

ガチャ パタン

パタパタ

陽炎「司令!!」

提督「お出迎えご苦労、陽炎。ただいま」

陽炎「おかえり! 瑞鶴さんもお疲れ様!」

瑞鶴「うん。ありがと」

陽炎「司令と瑞鶴さんはこれからどうするの? 少し休む?」

提督「そうだな。瑞鶴は今日一日休ませるが、私はこのまま業務に戻るよ。瑞鶴もそれでいいな?」

瑞鶴「なんだか私だけ休むのも申し訳ないけど……今回は甘えちゃおうかな」

提督「気にしなくていいぞ。ゆっくり休んでくれ」

瑞鶴「は〜い」

陽炎「じゃあ今日は私が司令の補佐をするわね」

提督「いいのか?」

陽炎「もちろん!」

提督「では、頼むぞ」

陽炎「了解!」

パタパタ

提督「ん?」

陽炎「瑞鳳さんかな?」

瑞鳳「ここかな? 居た!」

提督「瑞鳳、戻ったよ」

瑞鳳「提督、お帰りなさい」

提督「ああ。ただいま」

提督「私が留守の間鎮守府は大丈夫だったか?」

瑞鳳「大丈夫です。特に大きなトラブルは無かったよ」

提督「なら良かった。ご苦労だった」

瑞鳳「はい! 提督の方は何かあったの?」

提督「問題が発生した」

陽炎「問題って?」

提督「今すぐにでは無いが、近い内に大規模作戦がまた始まる。それも、横須賀鎮守府が作戦の立案と指揮を行う事になる」

陽炎「嘘でしょ!!? 」

提督「残念ながら本当だ」

瑞鳳「一体何処に、どうして攻めるの?」

提督「SN作戦」

陽炎「SN……まさか!!?」

提督「そう。ソロモン、ニューギニアまでの戦線拡大だ」

陽炎「そんな……よりにもよってどうして……」

提督「東部オリョールの安全を確保する為だそうだ」

瑞鳳「横須賀、大湊以外の鎮守府の戦力が壊滅した今だからこそ、最大の資源地帯である東部オリョールを奪われる訳には行かない……ということ?」

提督「その通りだ。だから大本営はこの作戦の遂行を命じたのだろう……と言いたいのだが、理由は全く見当つかないが別の理由がありそうだ」

瑞鶴「うん。私も同感。元帥さんや大将さんの様子や空気が何か変だった」

瑞鳳「そうなんだ……」

提督「まあ今はSN作戦について考えを纏めねばならない。明日にこの4人で話し合うとしよう」

瑞鶴「うん!」

陽炎「了解!」

瑞鳳「分かりました」

提督「では、瑞鶴はこのまま休みなさい。陽炎は私の補佐。瑞鳳は引き継ぎの連絡を頼む」

瑞鶴「提督さんも瑞鳳、陽炎ちゃん頑張ってね」

瑞鳳「ありがとね。瑞鶴もお疲れ様。ゆっくり休んで」

瑞鶴「そうさせて貰うわ。お休みなさい」

陽炎「お休みなさい」

…………。

今日は短いですが終わりです

一日更新がズレてしまい申し訳ありません。


また来ますね

瑞鳳「これで引き継ぎは全部かな」

提督「瑞鳳のお陰で特にトラブルも無かった様だな」

瑞鳳「ううん、みんなが頑張ったお陰です!」

提督「それもあるだろうが、ここは素直に褒められておきなさい」

瑞鳳「えへへ、ありがと」

提督「うむ」

陽炎「むー」

提督「陽炎」

陽炎「ずるい」

提督「返事になっていないぞ」

陽炎「だって瑞鳳さんばかり褒めてずるいわよ!」

提督「陽炎には後で言うつもりだったのだがな」

陽炎「ふーん。それじゃあ、許してあげる!」

提督「さて、陽炎。仕事だ。私について来てくれ」

陽炎「ん? なあに? 何かするの?」

提督「建造だ」

陽炎「建造? どうして?」

提督「今後の為に少しでも早く戦力を増強せねばならないからな。今は一日でも時間が惜しい」

陽炎「もしかして、明日話し合うSN作戦にも関係があるの?」

提督「そうだな。まだ私個人の考えだが、多数の艦娘が必ず必要になると予想される」

陽炎「分かったわ。じゃあ、行こう! ほらっ!」

提督「こら、急かすな。瑞鳳、暫くこの部屋で留守番しててくれ」

瑞鳳「はい」

陽炎「司令! 司令ってばー!!」

提督「今行く」

…………。

工廠

提督「建造妖精、いるか?」

建造妖精「ン?」

提督「いるな。建造をして欲しい」

建造妖精「シゲンー」

提督「これくらいで、駆逐艦と軽巡を計8隻程作れるか?」

建造妖精「マカセテー」

提督「では任せよう。これはお土産だ」スッ

建造妖精「!? モナカ!!」

提督「そうだ。後で食べてくれ」

建造妖精「アリガトー!! ガンバルー!!」

陽炎「凄く嬉しそうね」

提督「そうだな」

建造妖精「アトデキテー!」

提督「ああ。頼む」

陽炎「よろしくね!」

建造妖精「ウン!」


陽炎「これで終わり?」

提督「いや、まだやらねばならない事がある。予備の装備に異常や不具合が無いか確認して、それから足りない物や必要になるであろう装備を補充しなければならない」

陽炎「でも、私じゃ艦載機や大きい砲塔は使えないわよ?」

提督「それは分かっている。それはそれぞれに適した艦娘にやって貰う」

陽炎「そしたら……まさか」

提督「一番数が必要になるであろう駆逐艦が搭載する砲塔や機銃、魚雷発射管、その他もろもろの装備を確認して貰いたい」

陽炎「やっぱりね。それって、もしかして全部確認するの?」

提督「ああ。今度の作戦ではかなり多くの装備を運用する事になると予想している」

陽炎「流石にそれは大変そうね……」

提督「大変だが、私も出来る範囲は手伝おう」

陽炎「分かったわ! それじゃ、装備品の保管庫に行きましょ!」

………………。

ズドン! ズドン! バシュッ

提督「どうだ?」

陽炎「うーん……この左のB型砲は照準が若干ズレてるわね」

提督「ふむ……右の方は?」

陽炎「こっちは良好。異常は無いわ」

提督「左のB型は修理、不可ならば破棄か。魚雷発射管はどうだ?」

陽炎「角度調整の精度が少し悪いかな。ガクッ、ガクッって感じで変な動きをしてる」

提督「分かった。これも修理の依頼をしておく」

陽炎「よろしく! それで、次は?」

提督「今ので終わりだ。お疲れ様」

陽炎「疲れた〜」

提督「後で間宮で好きな物を食べるといい」

陽炎「やったぁ!!」

建造妖精「ア、イター」

提督「建造妖精か。終わったのか?」

建造妖精「オワッター!」

提督「ご苦労だった。私達も丁度今用事が済んだところだ。工廠に戻ろう」

陽炎「はーい!」

建造妖精「ウンー!」

工廠

提督「では、連れて来てくれ」

建造妖精「ツレテクルー」タッタッタッ

陽炎「誰が来るのかなー?」

提督「さあな。あと少しで分かるさ」

陽炎「まあね。だけど、ちょっとワクワクしちゃう。妹が来たら嬉しいな」

提督「やはり妹が増えると嬉しいか?」

陽炎「もちろん! だって可愛い妹達だもん!」

提督「そうか。そうなのかもしれんな」

建造妖精「オマタセー」

陽炎「12人? ん?」

提督「……随分と多く無いか?」

建造妖精「サービスサービスー!」

提督「…………」

陽炎「この装備……もしかして陽炎型?」

提督「では、全員自己紹介をしてくれ」

黒潮「ほな、ウチから行くわ。陽炎型3番艦の黒潮や。よろしゅうな」

浜風「陽炎型駆逐艦13番艦浜風です。これより、貴艦隊勤務に就きます」

嵐「陽炎型駆逐艦16番艦、嵐だ! よろしくな!逢えて嬉しいぜ!」

萩風「陽炎型駆逐艦17番艦、萩風、参りました。ご指示をお願いします」

秋雲「陽炎型駆逐艦最終番艦、秋雲着任! よろしくね!」

江風「白露型駆逐艦9番艦、改白露型の江風だよ。よろしくな! あ、読み方、間違えンなよ!」

風雲「夕雲型駆逐艦、3番艦の風雲よ。そっか、貴方が提督なんだよね? ご命令、どうぞ!」

清霜「どうも!夕雲型の最終艦、清霜です! よろしくお願いです!」

睦月「睦月型の1番艦、睦月ですー! はりきって参りましょー!」

深雪「吹雪型4番艦の深雪だよ。よろしくな!」

阿武隈「こ、こんにちは……軽巡、阿武隈です!」

秋津洲「水上機母艦、秋津洲よ! この大艇ちゃんと一緒に覚えてよね!」

陽炎「やっぱり!! 司令! 妹よ妹!! 嬉しい!!」ピョンピョン

提督「私はここ横須賀鎮守府の提督を受け持っている者だ。これからよろしく頼む。そして隣に居るのが陽炎型駆逐艦のネームシップ陽炎だ」

陽炎「よろしくね!!」

提督「この後他の者にも紹介する。とりあえず鎮守府を案内するからついて来て欲しい。もしも何か分からない事があればいつでも聞いてくれ」

陽炎「じゃ、行くわよ〜」


今日はこれで終わりです。

永らく間を空けてしまい申し訳ありませんでした


また来ますね!

不知火「司令、陽炎」

陽炎「ああ不知火、どうしたの?」

不知火「この方達は?」

陽炎「新人よ。今鎮守府を旅行中なの」

不知火「案内中ですか」

陽炎「そっ! みんな、この子が不知火。私達陽炎型の二番艦!」

不知火「……不知火です。姉共々よろしくです」

黒潮「おお、不知火かー! よろしゅうな! ウチが三番艦の黒潮や!!」

不知火「お久しぶりです」

黒潮「せやなー この中に嵐と萩風、秋雲がいるんやでー!」

不知火「ふむ」

陽炎「この子達の紹介はまた後でやるから、とりあえず先に行くわよ。ほら、不知火もボサッと突っ立っていないで!」

不知火「そうでした。では武運長久を……」

陽炎「何で鎮守府を回るだけで武運長久を祈られなきゃいけないのよ! ……って、こんな感じで堅苦しい癖に結構ヌけている子なのよ。怖がらないで仲良くしてあげてね」

深雪「おう!!」

陽炎「さて、次は食堂に行くわよ」

………………………………

………………

……

陽炎「はい。ここが最後の案内場所よ」

嵐「ここは?」

陽炎「みんなの部屋よ。基本的には相部屋だから、今の内に決めちゃって」

提督「今一人部屋の者もいる。陽炎型の谷風、白露型の時雨、夕雲型の長波、秋月型の秋月だ」

江風「あ、なら江風は時雨の姉貴の部屋に行くよ」

浜風「私は谷風と同部屋にして頂けますか?」

清霜「清霜、戦艦と一緒がいい!!」

陽炎「えっと……戦艦の比叡さんは摩耶さんと相部屋で……」

清霜「えー! それでも戦艦がいいー!!」

陽炎「はぁ……司令?」

提督「約束は出来ないが、交渉しておこう」

清霜「本当に!!?」

提督「ああ。だが、期待はするなよ」

清霜「やったぁぁぁ!!」

風雲「じゃあ、私は長波と相部屋にして貰おうかな」

嵐「んじゃ、萩。俺と一緒の部屋でいいか?」

萩風「うん」

阿武隈「とりあえず清霜ちゃんは私と同じ部屋でいいかな?」

清霜「うん! 清霜、大丈夫だよ!」

黒潮「ほな、秋雲。ウチらでアベックになろうや」

秋雲「アベックって……まあいっかー」

睦月「睦月は……睦月はぁ……」

深雪「深雪様と一緒でいいかい?」

睦月「勿論にゃしぃ〜! よろしくね、深雪ちゃん!」

深雪「おう!」

秋津洲「秋津洲は秋月ちゃんと一緒かも?」

提督「そうなるな。又は、とりあえず暫くは一人部屋という選択肢もあるが」

秋津洲「秋月ちゃんと一緒の部屋でいいかも!」

提督「了解だ。他に要望はあるか?」

陽炎「無かったら今日は解散。お披露目は明日よ」

提督「よし、では各自の部屋に行ってくれ。何かあれば、今日のところは私か陽炎に聞いてくれ」

陽炎「はい、解散!! 明日は0700に司令室に集合よ! 寝坊したらダメだからね!」

風雲「了解です!」

タッタッタッ

陽炎「みんないい子だったわね」

提督「みんな素直な子達だったな」

陽炎「ちょっと清霜には不安を覚えるけどね」

提督「内面は幼過ぎても、戦闘は普通である事を願おう」

陽炎「多分大丈夫だよね……舞風も大丈夫だったし……」

提督「流石にあの子はあそこまで幼くはないだろう。長女のお前が一番分かっているだろう?」

陽炎「まあ、ね……」

提督「とりあえずは訓練や演習、あとは近接格闘の訓練を行って様子を見ようと考えている」

陽炎「そうね」

提督「さて、瑞鳳を随分と待たせてしまったな。部屋に戻ろう」

陽炎「は〜い!」

………………………………。

翌日

提督「おはよう。一昨日から昨日にかけて鎮守府を外していて申し訳なかった。何かトラブルなどはあったか?」

摩耶「特になかった筈だぜ」

提督「その様だな。何事も無かった様で安心している」

熊野「質問があるのですが、よろしくて?」

提督「勿論だ」

熊野「昨日から見たこと無い子達が鎮守府を歩いていたとの情報がありました。今日はその方々についてのお話があるのですか?」

提督「ああ、その通りだ。やはり何も話していない者で彼女達を目撃している子は多かったか」

熊野「ええ。とはいえ、提督が昨日の時点で何も手を打っていなかったという事は、新人といったところですわよね?」

提督「そうだ。今日は紹介したい子達がいる。陽炎」

陽炎「入ってきていいわよー」

ゾロゾロ

提督「この子達が昨日建造された新人だ。暫くは訓練を受けて貰うが、じきに作戦にも参加させていく。では、自己紹介を軽くしてくれ」

黒潮「了解や! ウチは陽炎型三番艦の黒潮や! よろしゅうな〜!」

………………………………

………………

……

提督「以上で顔見せは終わりだ。すまないが、遠征班はすぐに出撃してくれ。残っている者はこの後も彼女達と交流してくれ」

比叡「了解です!」

提督「一応だが、遠征班は誰か分かっているな?」

響「私達の班と、夕張さんと春雨、夕立、時雨の班でいいよね?」

提督「ああ。それで大丈夫だ」

響「了解。雷、電。行くよ」

雷「分かったわ!」

電「はわわわわわ! 雷ちゃんも響ちゃんも行くのが早いのです!! あっ!!」

ベチャッ

電「はにゃー!!」

雷「こらこら、何やってるのよ。ほら、立てる?」

電「だ、大丈夫なのです……」

深雪「電……? あぁ!!」

電「!!?」

深雪「電ってまさか!!」

電「い、雷ちゃん! 行くのです!」ダッ

雷「あ、こら! 電!!」

響「やれやれ……では、司令官、行ってくるよ」

提督「ああ。気をつけてな」

響「うん」トコトコ

提督「瑞鳳と瑞鶴、陽炎は私と共に部屋へ。私達は作戦立案の為に司令室に篭っている。何か起きたら来てくれ」

青葉「わっかりましたー!!」

陽炎「みんな、また後でねー」

瑞鳳「行きましょ」

瑞鶴「そうね! 提督さん、行こ!」

提督「ああ」

……………………。

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします


今日はこれで終わりです!
また来ますね!

瑞鳳「全員分のお茶淹れて来たよ」コトッ

提督「ありがとう」

瑞鳳「うん」

瑞鶴「瑞鳳、ありがとう……さて、話し合いを始めようか」

陽炎「そうね」

瑞鶴「早速だけど、提督さん。提督さんが考えているSN作戦の概要ってどんな内容なの?」

提督「話す前に地図や、全員の名前が入った駒が欲しい」

陽炎「ちょっと待ってて」

瑞鳳「他に何か必要な物は?」

提督「あとは筆記用具だけで十分だ」

陽炎「お待たせ!」ドサッ

提督「御苦労。助かる」

バサッ

提督「理解出来ない点、疑問点等があれば逐次発言してくれ」

瑞鶴「うん」

提督「SN作戦遂行の目的は、現在我々の最重要拠点である資源地東部オリョール海の島々への脅威を減らすことにある」

提督「その為に、ソロモンやニューギニアに戦線を拡大し、敵の侵攻から防ぐ盾とする」

提督「では作戦の詳細について話そう」

提督「まず、我々横須賀鎮守府艦隊はかつての帝國海軍が泊地を築いたというショートランドへ前進し、ショートランド近海の敵を殲滅、制海権を奪取する。これは、本格的な作戦を開始する以前に達成し、SN作戦開始時には作戦に耐え得る程度の資源や施設を作らねばならない」

瑞鶴「提督さん、一つ質問いい?」

提督「何だ?」

瑞鶴「ショートランドだけを勢力下に置くの?」

提督「正直迷いどころではある。ラバウルやトラックも出来れば勢力下に置きたいのだが、それを実行するとなるも、時間や労力が比べ物にならない程かかってしまう」

瑞鶴「確かに……」

提督「これについては、後ほど話し合おう」

瑞鶴「うん」

提督「続けるぞ。ショートランドの準備が整い次第、我らは駆逐艦と輸送艦を中心とした輸送艦隊を編成。ソロモン攻略の最前線のコロネハイカラ島に資源物資を輸送し、ショートランドに戻るを数回繰り返す」

陽炎「司令! 一つ質問!」

提督「いいぞ」

陽炎「コロネハイカラは、ヘンダーソン基地から空襲されない? 確か飛行場姫がいるとか言ってなかったっけ?」

提督「ああ。その可能性はかなり高い。だからこそ、対策は練らねばならない」

陽炎「対策はあるの?」

提督「とりあえずだがな。輸送作戦は夕暮れと同時に開始し、夜間に輸送を済ませて退却する。だが、恐らく敵に勘付かれてコロネハイカラ島は空襲を受ける事になるだろう」

提督「そこで、瑞鶴と瑞鳳は陽が登る前に艦載機で敵の滑走路を破壊し、敵の航空機の離陸を阻止する。少しの時間を稼ぐ事が出来ればいい」

提督「コロネハイカラ島に資源が揃ったら、そこから比叡を旗艦とした水上打撃部隊を編成、出撃。飛行場姫を砲撃と爆撃の両方で攻撃し、沈黙させる」

瑞鳳「でも、例え飛行場姫の滑走路を破壊したとしても、近辺に空母がいる可能性が高いと思うよ」

提督「尤もだ。敵の滑走路を抑えたとしても、敵空母の艦載機に攻撃されたらたまったものでは無い。そこで、多数の索敵機を出して事前に敵の位置や敵の艦載機の様子を探らせようと考えている」

瑞鳳「私達の艦載機で?」

提督「いや、秋津洲と二式大艇だ」

陽炎「あ、確かに!」

提督「二式大艇を多数ショートランドやコロネハイカラ島に配備し、秋津洲に整備や点検をさせる」

瑞鳳「二式大艇なら魚雷や多くの爆弾も積めるから場合によっては攻撃に回ることも出来るね」

提督「そういう事だ。さらに言えば、二式大艇は索敵に耐え得る防御力と対空能力を備えているという点もだ」

瑞鶴「そんなに上手く行くかな?」

提督「不確定要素の方が高い。だが、不確定要素を嘆いていては何も始まらない。いかに不確定要素以外の部分を確実にするかが大切だ」

瑞鶴「そうだね」

提督「とりあえずだが、横須賀の動きとしてはこの様な行動となる。大湊以外の鎮守府には、西方の牽制をして貰おうかと考えている」

陽炎「欧州側を? どうして?」

提督「敵の撹乱と分散、日本の防護の為だ。我らが南方へ向かっている間、西方と東方はがら空きになる」

提督「特に西方はアンズ環礁まで一時は進撃したものの、占領はせずに退却している。リランカまで敵勢力が押し戻してくるのは時間の問題だ」

提督「我らが日本から離れている間に本土に侵攻されたらたまったものでは無い。また、西方の敵艦隊が南方の援軍として来られても困る。故に、戦力が壊滅した呉、舞鶴、佐世保には牽制の為だけに出撃して貰う」

瑞鶴「戦力が壊滅しているのにわざわざ戦わせるの?」

提督「今回は西方の攻略が目的では無い。つまり、無理をしての進撃をする必要が殆ど無い。それに、三つの鎮守府の連合であれば、各鎮守府の主力がいかに少なくとも、それらが三つ集まれば主力艦隊と言えるものになるだろう」

瑞鶴「そっか! じゃあ、大湊はどうするの?」

提督「本土と北方、東方の警戒、防衛を引き受けて貰う」

瑞鶴「それならとりあえず、本土が奇襲を受ける可能性は低くなるかな」

提督「とりあえずだがな。さて、編成や細かい部分はまだ決めてはいないが、私が考える大まかな作戦概要はこのようなとこだ。別の案や修正案、その他の意見などがあれば是非言ってくれ」

陽炎「だから駆逐艦を沢山建造したんだ。納得」

瑞鳳「私は概ね賛成。だけど、ショートランド以外の泊地も作るべきだと思う」

提督「安全策を取るか」

瑞鳳「手堅くいかなきゃ、失敗した時のダメージコントロールが出来ないから」

提督「分かった。ならば、話し合おうじゃないか」

瑞鶴「分かった!」

……………………

…………

……

今日はこれで終わりです

今回は作戦概要の説明で終わりました。この作戦は艦これ2015夏、秋イベの二つを組み合わせているので、作戦目的がゲームとは異なるのはご愛嬌


また来ますね!

翌日

嵐「え!? 近接戦闘の訓練!?」

陽炎「そうよ。司令が直々に見てくれるって」

嵐「でもよ、俺達は海上で砲雷撃戦をするんだろ? 近接戦闘なんて不要じゃねえか?」

提督「砲雷撃戦だけで済めばな。だが、敵が懐に潜り込んで来たらお前はどうするつもりだ? 無抵抗でそのまま殺されるのか?」

嵐「いや、でもそんな事はまずあり得ないだろ」

陽炎「私は前に一度やったわよ。司令に鍛えて貰っていなかったら死んでたかもね」

嵐「マジかよ!?」

提督「ああ。それに敵は海上だけにいるとは限らない。もしも人間がお前を狙ってきたらどうする?」

嵐「それは……」

提督「何か他に反論は?」

嵐「無い……です」

提督「よろしい。では夕張、青葉」

夕張「はい……」

青葉「はい……」

提督「私との組手の前に、まずはペアでの組手の見本を見せてやれ」

夕張「やっぱりやるんですか……?」

提督「当たり前だ。あの様な醜態を晒しておいて何を言う」

夕張「ですよね〜青葉、もしも私が死んだら骨は北海道のメロン畑に……」

提督「下らない事を言っているならばさっさと始めるんだ。それとも、予定よりも厳しく訓練して欲しいのか?」

夕張「いえ! 今の戯言は聞かなかった事にして下さい!」

青葉「夕張、行きますよ」

夕張「了解!」

提督「新人達はよく見ておけ」

黒潮「ん? 柔道?」

提督「いや、柔道では無く柔術だ。それに、柔術のみならず空手や他の格闘術も組み込んで……青葉! 当て身が弱い!」

青葉「はぃぃ!!」

萩風「柔道とは何が違うんですか? 私はてっきり同じものかと」

提督「柔道は柔の道と書くが、これは柔道というスポーツを通して心の道を養う事が重要とされている。だが、私達がやらねばならないのはスポーツでは無く、生きるか死ぬかの戦争だ。
人を殺す為の技が消えた柔道では無く、相手を殺傷し、自分が生き残る為の柔術こそが重要なのだよ」

萩風「…………」

提督「言いたい事は分かる。だが、自分達が死なない為には生き残る技術を磨かねばならない」

萩風「はい……」

提督「とはいえ、萩風のその優しさは絶対に失ってはいけない。それを喪ったらお前はただの兵器になってしまう」

萩風「はい……!」

提督「艦娘としての有り様を探すんだぞ、萩風」

萩風「司令、私頑張ります!」

提督「うむ。さて、そろそろかな」

江風「お! 提督が今度は戦うのかい?」

提督「そうだ。とりあえずだが、組手はこの様な形式でやって貰う。分かったな」

全員「はい!」

提督「青葉、夕張。そこまでだ」

青葉「うぁぁ……」

夕張「提督……お手柔らかに、ね……?」

提督「私が手を抜くとでも思っていたか?」

夕張「ですよね〜」

青葉「それでも女の子相手に本気出すのは帝國海軍の将として〜」チラッ

青葉(夕張が提督の背後についた)

夕張「……」コクッ

青葉「どうかと思います! えいっ!」ダッ

提督「狙いは良いが」スッ

夕張「えっ!?」

提督「甘い」ヒュッ

夕張「きゃぁぁぁ!!」ビタン

青葉「うわぁぁぁ!! グエッ!」ビタン

提督「フッ」ズダンッ

夕張「ひっ!!?」

青葉「あ、ああああ! 足が!」

夕張「ててて提督の足が地面にめり込んでます!!」

嵐「すげぇぇぇぇ!!」

風雲「今青葉さんと夕張さんがヒュッて飛んで……え? ええ!?」

提督「ただ、夕張と青葉の力を利用しただけだ」

青葉「いたた……どうして分かったのですか?」

提督「お前の視線が一瞬私の後方に切れたからな」

夕張「化け物……」

提督「何か言ったか?」

夕張「いえ! 何も!」

提督「まあいい。では、新人は青葉と夕張の指導の元訓練を始めてくれ」

全員「了解!」

提督「頼んだぞ夕張、青葉」

夕張「はい!」

青葉「青葉にお任せ!」

………………………………。

司令室

ガチャ

瑞鶴「あ、提督さん。お帰りなさい」

陽炎「あの子達どうだった?」

提督「とりあえず少しだけ訓練の様子を見てきたが、嵐と江風、阿武隈はいい筋だった。それ以外はとりあえず様子見といったところだ」

瑞鶴「嵐と江風は予想通りだったけど、阿武隈はちょっと以外かも」

提督「おどおどしていて頼りなく見えるかもしれんが、ああ見ててかなり高い能力を秘めているぞ」

瑞鶴「へー。人は見た目によらないって言うけど、それでもやっぱり意外ね」

陽炎「あとは、砲雷撃戦や航行訓練もしないとね」

提督「ああ。そこまでゆっくりはしていられないが、限られた期間で出来る限り練度を積ませてやらねばならぬな」

陽炎「それは私達に任せて! 絶対に生き残れるだけまで育てたげる」

瑞鶴「私も対空戦の特訓なら手伝うよ」

陽炎「お願いします!」

提督「忙しくなるな」

瑞鶴「でも、暇よりはいいかな」

提督「そうだな」

………………………………。

今日はこれで終わりです

また来ますね!

数ヶ月後

ショートランド沖

提督「瑞鶴、第四次攻撃隊を編成して敵の残党に止めを刺せ!」

瑞鶴「第四次攻撃隊発艦!!」バシュッ

提督「熊野! 敵陸上型の様子は?」

熊野「滑走路は完全に破壊完了。生きている砲台をあと二つ破壊すれば敵は多分息絶えますわ」

提督「熊野と夕張、そして水上打撃部隊所属の駆逐艦は引き続き敵陸上型への砲撃を敢行。瑞鶴の護衛の駆逐艦は、舞風と野分のみ隊列を離脱し、瑞鶴が仕留め損ねた水上艦を追撃。それ以外は引き続き瑞鶴を護衛しろ」

舞風「はーい! 野分、行くよ〜!」

野分「うん!」

谷風「17駆逐、瑞鶴さんを中心に輪形陣行っちゃいますか! 敵さんの潜水艦が来ても谷風さん達にお任せだよ!」

浜風「谷風、油断は大敵です」

谷風「油断なんて微塵もしていないからね!」

熊野「水上打撃部隊、撃ち方準備ですわ!」

夕張「完了しましたー!」

熊野「全艦、砲撃開始! とぉぉぉぉぉ!!」ズドーン

長波「全砲門一斉射! ってぇー!!」ズドン

………………………………

………………

……

夕張「敵陸上型沈黙しました!」

瑞鶴「提督さん! 敵艦隊の殲滅が完了したわ!」

提督「夕張、敵陸上型の自己修復機能は生きているか?」

夕張「いえ、そのような働きは全く見る事が出来ません!」

提督「ご苦労だった。これでショートランドの奪還は成功だ」

瑞鶴「よかったね! 提督さん!」

提督「ああ」

乗組員「ラバウルを攻略していた第二艦隊の旗艦瑞鳳から入電! 我、目標を制圧セリ! ……成功です! ラバウルも我らの勢力圏になりました!」

提督「ご苦労と打電しておいてくれ」

乗組員「了解!」

瑞鶴「提督さんやったね! あとは大湊の艦隊がトラック諸島とブインを攻略出来れば作戦の第一段階は終わりだね!」

提督「大湊の戦力ならば、横須賀と同規模を有している。戦術を誤らねば恐らくは大丈夫だろう……と、来たみたいだぞ」

瑞鶴「ん?」

コンコン コンコン

提督「入れ」

乗組員「大湊の提督より入電! トラック、ブイン共々攻略完了とのことです!!」

瑞鶴「提督さん!」

提督「ああ。これで本作戦の足掛かりが出来た」

瑞鶴「すぐにショートランドや他の泊地に物資を輸送しよう!」

提督「いや、気が急ぐのは分かるが、落ち着くんだ。まずは各鎮守府との連携を取らねばならないだろう」

瑞鶴「 あ、そうか」

提督「私は一度鎮守府に戻り各鎮守府の提督達と話し合って来る。それまでの間泊地の警備は頼んだぞ」

瑞鶴「私も行かなくていいの?」

提督「出来れば連れて行きたいところだが、今は少しでも多くの戦力をショートランドやラバウルに置いておきたい」

瑞鶴「……分かった。提督さん、頑張ってね」

提督「ああ。すぐに戻れる様にする」

瑞鶴「提督さんが帰って来るまでにドッグや兵舎、港湾設備の設営を進めておくね」

提督「よろしくな、瑞鶴」

瑞鶴「うん!」

………………………………。

三週間後

瑞鶴「はぁ……」

夕張「どうしたの? 溜息なんてらしくないわね」

瑞鶴「提督さんが本国に戻ってもう三週間よ。なのに何にも連絡が無いんだもの。来るのは横須賀からの輸送船だけ……」

夕張「提督のこと信じられないの?」

瑞鶴「そうじゃないの。それはないから」

夕張「じゃあ提督と会えない事への不満かしら?」

瑞鶴「…………」

夕張「図星ね」

瑞鶴「そんなに私って分かりやすいかな……?」

夕張「とってもね」

瑞鶴「なんか悔しい」

夕張「それが瑞鶴の可愛いところなんだから、そのままでいいのよ」

瑞鶴「女の夕張にそれ言われてもあまり嬉しくないかも……」

夕張「そんなこと言ってると、瑞鶴が喜びそうな情報あげないわよ?」

瑞鶴「私が喜びそうな情報?」

夕張「はい、これ」スッ

瑞鶴「?」パサッ

瑞鶴「これ、提督さんから!?」

夕張「そ。 とうとう提督から作戦決行の指示が来たの」

瑞鶴「えっと……提督さんは一週間以内にショートランドに帰って来るから、それまでにラバウルで泊地設営、防衛をしていた瑞鳳達もショートランドに合流。そして、一週間後には呉や佐世保、舞鶴の連合艦隊が西部海域のリランカに到着するから、それに合わせてこちらも輸送作戦を開始……」

夕張「あと一週間で提督に会えるわね?」

瑞鶴「うん! ……じゃなくて、今から忙しくなるわよ!」

夕張「あはは! ほんと瑞鶴は分かりやすくてかわいい。じゃ、みんなには私から伝えておくね」

瑞鶴「宜しく!」

夕張「それじゃ、また後でね」スタスタ

瑞鶴「よし、提督さんが帰って来るまでに全て終わらせないと!」

瑞鶴「提督さん、待っててね!」

………………………………。

五日後

提督「ほう……もう、ここまで泊地としての機能を……」スタスタ

瑞鶴「提督さん!!」タッタッタッ

提督「瑞鶴か」

瑞鶴「提督さん、おかえりなさい!」

提督「ただいま、瑞鶴。この一ヶ月よくやってくれたな。助かったよ」

瑞鶴「えへへ、どういたしまして!」ギューッ

提督「……何故抱き着く」

瑞鶴「だって、一ヶ月も提督さんと会えなかったんだもん」

提督「それとこれとは……」

瑞鶴「……もしかして、嫌?」

提督「いや、そうではない……まあ今回はいい、か」

提督(本当はあまり特別扱いするのはよくないのだがな……今回ばかりは仕方ないか)

瑞鶴「私、提督さんと一ヶ月も会えなくて寂しかったよ……」

提督「すまなかったな。だが、お陰でとても助かった」ナデナデ

瑞鶴「瑞鶴、提督さんの役に立てた?」

提督「勿論だ」

瑞鶴「よかったぁ〜」

提督「もう一度言わせて貰おう。本当に助かったよ、瑞鶴。ありがとう」

瑞鶴「うん!」

提督「今日は随分と甘えん坊だな。だが、これを瑞鳳や陽炎に見られたら大変だぞ?」

瑞鶴「あ!?」バッ

提督「サービスはこれまでだ。昼になったら全員を集めて作戦の確認を行う。それまでは休んでいなさい」ポンポン

瑞鶴「提督さんは?」

提督「悪いが、私も部屋で仮眠をとるつもりだ」

瑞鶴「分かった。提督さん、ありがとね」

提督「何がだ?」

瑞鶴「特別に甘えることを許してくれて」

提督「ご褒美だ」

瑞鶴「瑞鶴には最高のご褒美だったよ」

提督「それはよかった」

瑞鶴「それじゃ、提督さんおやすみなさい。また後でね」

提督「おやすみ、瑞鶴」

瑞鶴「おやすみなさい!」

………………。

今日はこれで終わりです!

艦これ2016年冬イベに参加されている方はいかがでしょうか?
私は全て甲作戦にて初月、沖波、ZARAの三隻を入手する事が出来ました。

まだイベントを完遂していない方は頑張って下さいね!


また来ますね!

コンコン コンコン

瑞鶴「瑞鶴です」

提督「入れ」

瑞鶴「失礼します」

ガチャッ

提督「どうした? まだ集合時間では無いぞ」

瑞鶴「こんな時に話す事じゃないんだけど、一つだけ聞きたい事があってさ……来ちゃった」

提督「何だ?」

瑞鶴「あの……さ」チラッ

提督「……」コクリ

瑞鶴「提督さんはさ、この戦いってどうしたら終わりになると思う?」

提督「……難しい質問だな」

瑞鶴「私、提督さんが本土に戻っている間、ずっと考えていたんだ。戦争は終わるのかなって」

提督「終わらせたいものだな」

瑞鶴「うん。でもね、深海棲艦との戦いの終わりというものが想像が出来なかった」

瑞鶴「多分他の人は、深海棲艦を壊滅させれば勝ちって言うと思うんだけど、私達はそもそも、深海棲艦が何処から来て何故私達を攻撃するのかすら知らないわ」

提督「同感だ。だからこそ私も答えを出す事が出来ない。可能ならば深海棲艦の生態を知る事が出来れば良いのだが、現状それも不可能だ」

瑞鶴「前途多難だね」

提督「ああ」

瑞鶴「でも、いつか……提督さんと戦いのない平和な時間を過ごす事が出来たらいいな」

提督「全くだ」

瑞鶴「えっ!? 提督さん、今!?」

提督「だからこそ、とりあえず今は目の前の戦いに負ける訳には行かない。絶対に勝つぞ」

瑞鶴「うん!!」

………………………………。

仮設港

提督「これで全員揃ったな」

電「あの……あの……」

提督「どうした?」

電「深雪ちゃんがまだ見当たらないのです……」

提督「彼女は、横須賀を出る直前に兵装の不調が発覚した為、修理している」

電「一人でここまで来るのですか?」

提督「いや、1日遅れで輸送艦隊を大湊の駆逐隊と共に護衛しながらこちらへ回航することになっている」

電「分かりました、なのです」

嵐「深雪様の初陣だ〜! とか張り切っていたのに、故障で遅れるなんて残念だな」

萩風「そうね……」

江風「まー、仕方ないじゃん! 後から援軍参上っていうのもありありー」

提督「到着の予定日時が不明な今、深雪を作戦の頭数には入れていないが、到着し次第、状況に合わせて彼女をどこかの艦隊に編入させる予定だ」

響「それが妥当だね」

瑞鶴「みんな、そろそろ静かに。提督さん、宜しくお願いします」

提督「うむ」

提督「これより、SN作戦の概要を説明する」

提督「まずSN作戦遂行の目的だが、現在我々の最重要拠点である資源地東部オリョール海の島々への脅威を減らすことにある」

提督「その為に、我々はソロモンやニューギニアに戦線を拡大し、そこを敵の侵攻から防ぐ盾し、もしも今後戦線を拡大する事になった場合は我々の拠点にすることになる」

提督「では、作戦の詳細についてだ。本作戦は複数の段階で作戦を遂行する。また、西方の敵主力艦隊の合流を阻止する為に他の鎮守府と足並みを揃えねばならない故に、速やかな作戦の遂行が不可欠となる」

提督「まず第一段階として、ここショートランド泊地より敵の懐であるコロネハイカラ島へ前線の拠点を移す。つまり、最近行っていた輸送艦隊護衛が重要になるのだが、馬鹿正直に輸送を行っていても、ヘンダーソン基地からの空襲、又は水上打撃部隊による攻撃で壊滅するのは目に見えている」

提督「その対策として、輸送作戦は夕暮れと同時に開始し、夜間の暗闇に紛れながら輸送を済ませて退却する。だが、敵も馬鹿では無いから。勘付かれてコロネハイカラ島は空襲を受ける可能性は大いにあり得る」

提督「そこで、瑞鶴瑞鳳、両空母は陽が登る前に艦載機で敵の滑走路を急襲。ヘンダーソン基地の飛行場姫滑走路を破壊し、敵の航空機の離陸を阻止する。この時点では少しの時間を稼ぐ事が出来ればいい為、完全破壊をする必要は無い」

提督「コロネハイカラ島に資源が揃ったら、そこから比叡を旗艦とした水上打撃部隊を編成、出撃。飛行場姫を砲撃と爆撃の両方で攻撃し、沈黙させる」

提督「コロネハイカラ島に資源が揃ったら、そこから比叡を旗艦とした水上打撃部隊を編成、出撃。飛行場姫を砲撃と爆撃の両方で攻撃し、沈黙させる」

提督「また、飛行場姫以外に敵艦がいる恐れもある為、出来ない飛行場姫を攻略中にも索敵をせねばならない。だが、瑞鶴や瑞鳳の艦載機を索敵に回す余裕はない」

提督「そこで、その打開策として、秋津洲とショートランドに配備した二式大艇を用いて四方を索敵して貰う」

秋津洲「ええ!? 私が!!?」

提督「そうだ。頼むぞ」

秋津洲「うぅ……頑張るかも……」

提督「もしも敵艦隊を発見したら、可能ならば二式大艇による雷撃や爆撃で敵艦隊を奇襲し、少しでも足止めをする様に」

秋津洲「了解、かも……」

提督「続けるぞ。ヘンダーソンを攻略後はFS作戦へ移行する。フィジーとサモアに敵の基地がある可能性がある」

提督「そこで、もしも敵泊地を確認できた場合、当作戦は水雷戦隊と水上打撃部隊と機動部隊に分かれ攻略戦を開始する」

提督「逆にもしも敵泊地が無ければフィジー、サモアまで基地を拡大して作戦は終了とする」

提督「以上が作戦内容の全容だ。次に艦隊編成の発表をする」

提督「第一艦隊旗艦、比叡。随伴艦に熊野、青葉、夕張、風雲、長波、清霜」

提督「第二艦隊旗艦、瑞鶴。随伴艦に瑞鳳、摩耶、黒潮、秋雲、秋月」

提督「第三艦隊旗艦、陽炎。随伴艦に不知火、初風、雪風、天津風、時津風、野分、嵐、萩風、舞風」

提督「第四艦隊旗艦、川内。随伴艦に浦風、磯風、谷風、浜風、

提督「第五艦隊旗艦、阿武隈。随伴艦に電、雷、響、時雨、夕立、春雨、江風」

提督「第六艦隊旗艦、秋津洲。随伴艦に睦月、卯月、文月」

提督「第七艦隊旗艦、伊58。随伴艦に呂500」

提督「なお、コロネハイカラ島への輸送作戦時は別の編成を取る」

提督「第一輸送艦隊本隊旗艦、響。随伴艦に雷、電、睦月、卯月、文月」

提督「第一輸送艦隊護衛艦隊旗艦、阿武隈。随伴艦に浦風、磯風、谷風、浜風」

提督「第二輸送艦隊本隊旗艦、時雨。随伴艦に春雨、江風、風雲、清霜」

提督「第二輸送艦隊護衛艦隊旗艦、川内。随伴艦に野分、嵐、萩風、舞風、秋雲」

提督「第三輸送艦隊本隊旗艦、初風。随伴艦に黒潮、雪風、天津風、時津風」

提督「第三輸送艦隊護衛艦隊旗艦、陽炎。随伴艦に不知火、夕立、長波、秋月」

提督「その他艦娘は、周囲の警戒や、有事の際には遊撃部隊として動いて貰うことになる」

提督「以上で作戦の概要と編成の説明は終了だ。何か質問は?」

青葉「はい!」

提督「なんだ?」

青葉「最後のお話で、青葉達その他艦娘は周囲の警戒や遊撃部隊としてと仰っりましたが、編成とかは決めないのですか?」

提督「決めない。理由は索敵範囲を可能な限り広げる為だ。ショートランドとコロネハイカラを中心とし、円を広げる様に各個展開。敵艦隊を発見した場合、近辺にいる者と集合し、迎撃を試みる。それ故に艦隊を組まない方がいい」

青葉「分かりました! 了解です!」

提督「この戦いは、かつての作戦と同じ作戦名を冠したものである。だがしかし、かつての二の舞いには私が絶対にさせない。それだけは約束しよう」

提督「本時刻をもってして第二次SN作戦を開始する。諸君達の健闘を祈る」

瑞鶴「全艦娘、出撃準備!」

全員「はい!」

………………………………

………………

……

今回はここまでです
次回から戦闘に入ります。


また来ますね

朝霧艦内

提督「各艦隊と外縁部に位置する艦娘からの報告は?」

乗組員「現在特に異変は無し。輸送作戦は順調とのことです」

提督「そうか」

乗組員「どうかしましたか?」

提督「順調過ぎて逆に不安だ」

乗組員「確かに。もう既に敵の潜水艦等に見つかっていてもおかしく無いのですが」

提督「ああ。だが、全く敵艦隊が現れる素振りもない」

乗組員「何かあるのでしょうか」

提督「あるのかもしれないし、単純にまだ気付かれていないのかもしれない」

乗組員「後者ならいいのですが」

提督「全くだ」

乗組員「っと、第一輸送艦隊より入電! 敵の妨害を受ける事なく、輸送艦と共にコロネハイカラ島湾内に到着したとの事です!」

提督「積荷の上陸を急ぐ様に伝えてくれ」

乗組員「了解!」

提督「……嫌な予感がする」

…………。

電「響ちゃん、湾内の確認が完了したのです!」

響「スパシーバ。湾内に機雷などの存在は?」

電「無し、なのです。敵の罠は無かったのです」

響「ふむ……」

電「響ちゃん、何かがおかしく無いですか?」

響「そうだね。私も同じ事を考えていたよ」

電「雷ちゃんは気にし過ぎって言っていたけど……でも……」

響「決めた」

電「何がですか?」

響「阿武隈さん、聞こえる?」

阿武隈「聞こえるけど、せめて敬語で話してほしいかな」

響「私達輸送本隊はこのまま輸送艦と一緒に湾内に突入して、積荷の揚陸を行う。だけど、阿武隈さん達は湾外……いや、コロネハイカラ島近海を索敵、警戒をしていて欲しい」

阿武隈「無視しないでよ〜!! ……まあいいや。分かったわ、響ちゃん」

響「よろしく」

電「響ちゃん……その……軽巡の方には敬語の方が……」

響「大丈夫、阿武隈さんは優しいから」

電「もしかして、阿武隈さんの事が嫌いなのですか?」

響「いや、そんな訳ないさ。私は阿武隈さんの事が大好きだよ。揶揄うと面白いしね」

電「何だか、響ちゃんの人間性を疑ってしまいそうなのです」

響「そうかい? これでも本気なんだけどね。阿武隈さんの為になら命だって投げ出すよ」

電「……死んじゃ嫌なのです」

響「大丈夫。私は沈まないし、沈めないから」

電「響ちゃん?」

響「さあ、さっさと積荷を陸揚げしよう。行くよ」

電「あ、はい! なのです!」

…………。

コロネハイカラ島沖北西部

熊野「はい。はい。了解ですわ」

熊野「積荷の陸揚げが始まったようですわね」

熊野「あとは第二、第三輸送艦隊が陸揚げをすればコロネハイカラ島の資材量は十分になるはずですわ」

熊野「まあ、このまま敵艦隊が現れなければの話ですが……」

熊野「青葉、聞こえますか?」

青葉「聞こえますよ〜! どうしたんですか?」

熊野「ちゃんと青葉が哨戒をしているのか、少々気になったので」

青葉「酷いですね〜。これでも任務中はしっかり働いているんですよ!」

熊野「…………」

青葉「熊野? どうかしましたか?」

熊野「…………電探に感有り………数は4〜8」

青葉「方角は!?」

熊野「コロネハイカラ島沖の西北西ですわ。敵は近辺の島に沿って接近して来た様ですわね」

青葉「今輸送艦隊を襲撃されたら危険です! すぐに迎撃体制を作りましょう!」

熊野「ええ。提督に報告をして指示を仰ぎます」

青葉「お願いします!」

熊野「こちら熊野。電探に感有り。数は4〜8。方角はコロネハイカラ島西北西へ約10kmですわ!」

提督「来たか。熊野を旗艦に据え、近海に展開している青葉、夕張と共に敵艦隊を迎撃せよ」

熊野「了解ですわ」

青葉「了解です!」

夕張「え!? 私!!? は、はい!! 分かりました!」

提督「熊野。この戦闘では間違いなく数的に劣勢に立たされる。無理だと思ったら、コロネハイカラ島へすぐに撤退するんだ」

熊野「しかし、そうしたら輸送艦隊が叩かれてしまいますわ」

提督「その為の輸送隊護衛艦隊だ。水雷戦隊一隊をそちらに派遣するから安心してくれ」

熊野「分かりましたわ」

提督「阿武隈。第一輸送艦隊護衛艦隊はただちにコロネハイカラ島沖西北西に位置する敵艦隊の迎撃に向かってくれ。そして、先行する熊野の命令に従え」

阿武隈「あ、はい! 分かりました!!」

提督「熊野、出来る限り損傷は出さずに帰って来るんだぞ」

熊野「ええ。当たり前ですわ」

提督「西北西は頼んだ」

熊野「仮称第一遊撃艦隊、作戦開始しますわ!」

…………。

乗組員「仮称第一遊撃艦隊、敵艦隊と接敵。交戦始まりました」

提督「第一から第三輸送艦隊の様子は?」

乗組員「第一輸送艦隊は、ほぼほぼ陸揚げ作業が完了しています」

乗組員「第二輸送艦隊は陸揚げの進捗が約半分程で、第三輸送艦隊は先程湾内に停泊したばかりですので、陸揚げ作業は殆ど進んでおりません」

提督「熊野達が迎撃に成功するかどうかで変わるが、今のところ大体予定通りに事が進んでいるな」

乗組員「ええ。むしろ少し早いくらいですね」

提督「そうだな」

乗組員「中将、少々お待ちを……第一輸送艦隊より入電。これよりショートランドへ引き返し、再輸送をするとの事です」

提督「よろしく頼むと伝えておいてくれ」

乗組員「了解」

乗組員「中将! 熊野より通話要求が!」

提督「繋げ」

提督「どうした熊野」

熊野「提督、大変ですわ!」

提督「大変? 誰かが大破したのか!?」

熊野「いえ、私達は今の所無傷ですわ! そうではなくて、敵艦隊がもう一つ出現しました!」

提督「何だと!? 場所は?」

熊野「コロネハイカラ島北東部に突如出現!恐らく敵は私達が北西部に釘付けになるようにしていたものだと思われますわ!」

提督「まんまとしてやられた訳か。分かった、こちらは私がどうにかしよう。お前達はこのまま敵艦隊を迎撃する様に」

熊野「了解しましたわ。提督、そちらは宜しくお願いしますわね」

提督「ああ。任せろ」

熊野「通信終わります。御武運を」

提督「朝霧全乗組員に告ぐ。これより当艦はコロネハイカラ島沖北東部に出現した敵艦隊を艦娘の艦隊と共に迎撃する。総員、戦闘配置につけ」

提督「陽炎と初風との通信回線を開いてくれ」

乗組員「了解!」

提督「陽炎、初風。緊急事態だ」

初風「緊急事態ですって!?」

陽炎「何があったの?」

提督「西北西に現れた敵艦隊の迎撃により生じた索敵網の穴から敵艦隊がコロネハイカラ島へ向けて休息接近中だ」

初風「仕方ないとはいえ、してやられたわね」

提督「ああ。これは私の責任だ。だが、今は何よりも優先して敵艦隊を迎撃せねばならない。そこで、第三輸送艦隊本体と護衛部隊は朝霧と共に敵艦隊迎撃の任に就いてもらう」

陽炎「司令まで戦闘に参加するの? 私達だけでも大丈夫よ?」

提督「いや、万が一にも迎撃に失敗する訳にはいかないからな。戦力は一隻でも多いに越したことはない。初風もいいな?」

初風「ええ。良いわよ」

陽炎「因みに、コロネハイカラ島南部の護りはどうするの?」

提督「現在展開している索敵網とは別に、南部の水道辺りに第二輸送艦隊護衛艦隊を設置し、警戒に当たらせる。仮に敵が攻勢に出たとしても、攻撃を耐え抜き時間を稼ぐ事が恐らく出来るだろう」

陽炎「了解! じゃあ、私達の作戦は?」

提督「それは移動しながら話す。それよりも、時間帯に出撃命令を出し、湾外を航行中の我ら朝霧に合流してくれ」

陽炎「そうね! ほら、みんな! 今すぐに出撃するわよ!!」

初風「全員出撃するわよ。荷下ろしは手伝えなくなるけど、その代わりにこれから戦闘よ。全員気を引き締めなさい」

黒潮「ウチ、とうとうホンマもんの深海棲艦と闘うんやね」

初風「大丈夫。すぐに慣れるわ」

雪風「訓練通りにやれば大丈夫です!」

天津風「自分を信じて。貴女なら出来るはずよ」

時津風「そーそー! パーっと敵を倒して時津風と遊ぼ遊ぼー!」

黒潮「せやな。ウチ、頑張るわ!」

初風「その意気よ。それじゃあ、第三輸送艦隊本隊、出撃します!」

………………。

今日はここまでです。

霞改二と大潮改二が可愛すぎて辛い。そして江風改二はどうなるのかが楽しみです。


また来ますね!

コロネハイカラ島沖北東部

初風「陽炎。気付いてる?」

陽炎「……近いわね」

初風「恐らく敵艦隊は6隻。どうする?」

陽炎「まずは私達が囮として、敵の右側部から斬りこむ。その隙に初風達は敵艦隊に対して反航戦を行い、擦れ違いざまに雷撃。ざっくり言うとこんな感じかな」

初風「つまり、状況に合わせて柔軟に対応ってことね?」

陽炎「ま、そういうこと。隙があれば、敵艦隊は私達がやっつけちゃうけどね」

初風「なら、せめて私達は楽が出来る様に祈ってるわ」

陽炎「その時は、横須賀に戻ったら美味しいものを奢って貰うから覚悟なさい」

初風「なら、私達が活躍せざるを得ない状況になったら、お姉ちゃんに奢って貰わないとね」

陽炎「だってさ、不知火お姉ちゃん?」

不知火「それは、陽炎に対する言葉です。不知火には関係がありません」

陽炎「じゃあ、割り勘で!」

不知火「ご馳走様です、陽炎お姉ちゃん」

陽炎「不知火の裏切り者!」

陽炎「……まあいいわ。それじゃ、作戦開始!」

陽炎「みんな、見えたわよ! 敵艦発見!」

不知火「不知火も肉眼で確認しました。これは、軽巡でしょうか」

長波「みたいだな。見た事無いけど砲のサイズからすると多分そうだろうな」

夕立「陽炎、早く突撃するっぽい!」

秋月「待って下さい! ここはやはりこちらの被害を可能な限り抑える為に撹乱から始めるべきです」

陽炎「そうね。まだ敵の軽巡しか見えないのも奇妙だわ。もしかしたら別行動をしている可能性もあるわ。とりあえず隊を二つに分けて片方が探照灯で敵の軽巡を照射。もう片方は敵の伏兵に警戒しつつ雷撃準備」

長波「了解だ。で、隊分けはどうする?」

陽炎「そうね。夕立の首縄係は私に任せて。あと長波も私の隊に編入」

不知火「では、不知火は探照灯による敵のマーキングを、秋月は陰から砲撃による援護をお願いします」

秋月「はい!」

陽炎「探照灯の照射は5分後によろしく」

不知火「承知しました」

ピカッ!

長波「うお!?」

陽炎「は!? 不知火! あんた何を……え!?」

不知火「不知火ではありません! この光は敵の軽巡です!」

陽炎「っ!!? まずい!!」

ズドン! ズドン!

秋月「て、敵の砲撃です!! どこから撃たれているかは分かりません!」

陽炎「くそ! みんな散りなさい!! 敵の探照灯の照射を受けるのは一人になるようにするのよ!」

秋月「了解!!」

陽炎「照射を受け続ける子は回避に専念! その隙に敵の背後と右側部から雷撃を!」

不知火「初風達に連絡は?」

陽炎「あの子なら絶対に動く。むしろ、連絡をしてしまったら敵にあの子達の存在を教える事にもなるわ。あの子達を信じるのよ」

不知火「了解」

夕立「敵の光の動き……夕立が狙われているっぽい!!」

陽炎「同じ方向に逃げているのは秋月と不知火ね? 夕立は少しだけ速力を落として航行! 二人はそのまま夕立が進む方向と同じ方角に向けて航行! 長波は私について来て!」

長波「おうよ!」

夕立「陽炎、夕立も探照灯を照射するっぽい!」

陽炎「お願い! 出来れば敵の軽巡以外の敵を索敵するように広範囲を照らして」

夕立「りょーかい!」

夕立「探照灯、照射!」ピカッ

陽炎「夕立、絶対に生き抜くのよ!」

夕立「任せるっぽい!」

長波「陽炎、早いとこ突っ込むぞ」

陽炎「勿論よ!」

……。

雪風「初風!」

初風「分かってる」

天津風「まさか、深海棲艦が探照灯を使うなんて……」

時津風「反則だー!」

初風「敵に先手を取られた以上、陽炎達の手札からは奇襲という選択肢を喪った」

天津風「でも、陽炎なら不利になった上でも敵の予想を上回ろうと立ち回るはずね」

初風「だけど、それにも限度はある、か」

雪風「雪風達も動きましょう!」

初風「そうね。ま、帰ったら陽炎から美味しいものを奢って貰おうじゃない? みんな、食べたい物を考えておきなさい」

天津風「そうね」

初風「行くわよ。黒潮も準備はいい?」

黒潮「も、もちろんやで……」

初風「大丈夫、黒潮は私が護ってあげるから心配しなくていいわよ」

黒潮「お、お姉ちゃんとしては、その言葉言われんのはツライわ」

初風「なら、早く実戦に慣れる事ね」

黒潮「せやな」

初風「よし。全艦両舷強速! 陽炎達を助けに行くわよ。16駆逐の力見せてやるのよ!」

全員「了解!」

ピカッ

イ級「!!?」

陽炎「艦隊より11時の方向に敵艦発見! 」

陽炎「良くやったわね夕立。長波、雷撃準備! 発射管1番のみ魚雷装填! 発射!!」バシュッ

ズドーン!

長波「よっしゃ」

陽炎「魚雷二本でよく当ったわね」

長波「まあ、長波様も陽炎も訓練しまくってるからな」

陽炎「それもあるけど、何より運が良かったわね」

長波「運も実力の内さ」

陽炎「そうね。そして、これでのこり敵は5か」

ズドン!

長波「おい、あそこ今光ったぞ」

陽炎「マズルフラッシュね。もう一丁やるわよ? 準備は、」

長波「いつでも任せろ。行くよ」

長波「……夕立の奴もう少し頑張って耐えてくれよ……」

…………。

今日はこれで終わりです。

艦これ三周年おめでとうございます。
始めた当初はエヴァのSSを書いており、まさか艦これのSSを書くようになるとは思ってもいませんでした。(半分黒歴史)

それが、名作とも言える"とある艦これSS"を読んでからは艦これの世界観や艦娘そのものについて考える様になり、この様に艦これSSを書く様になっておりました。人間何が起こるかなんて全く分からないものですね。


自分語りはさておき、江風改二が実装されましたね。これを物語に反映できるかどうかは未定ですが……

長々と喋りすぎましたね。では、また来ますね!

陽炎「目標、敵軽巡! 長波は全砲門斉射して、私を援護! 私は敵の軽巡に肉薄して近距離から砲撃を試みるわ!」

長波「おうよ! 全砲門斉射! ってぇ!」ズドン!

ホ級「!?」

長波「ほら、まだまだ!」ズドン!

ホ級「……」ズドン!

長波「うわっ、撃ってきやがった! あぶねぇなぁ……」ズドン!

ホ級「……」ズドン! ズドン!

長波「ま、あいつもこれで終わりだがな」

陽炎「長波、ナイス援護! いっくわよー!」

陽炎「沈みなさい!」ズドン! ズドン! ズドン!

ホ級「」

陽炎「敵軽巡撃破! 残りはあの探照灯持ちだけよ!」

長波「ちえ、陽炎にいいとこ持って行かれちまったな」

陽炎「ご馳走様。でも、まだメインデッシュが残ってるわよ」

長波「まあな」

陽炎「長波はまだ行けるかしら?」

長波「当たり前だ」

陽炎「うんうん、元気な子はお姉ちゃん大好きよ」

長波「そりゃどーも。陽炎の妹になった覚えは無いがな」

陽炎「夕雲型は陽炎型みたいなものじゃない?」

長波「すると、あたしら夕雲型は姉よりも優れた妹となる訳だ?」

陽炎「そんなことは……」

長波「なにせ夕雲型は改陽炎型だからな。な、お姉ちゃん?」

陽炎「……やっぱり夕雲型は陽炎型から破門よ!」

長波「有難きお言葉」

陽炎「…………とりあえずあいつ倒そうか」

長波「賛成だ」

陽炎「不知火と夕立、聞こえる?」

不知火「何でしょうか?」

陽炎「夕立は?」

夕立「はあ……今は……うぁっ……それどころじゃ、無いっぽい! ッ!?」

陽炎「なら、夕立はそのまま回線を開いて聞いているだけでいいわ」

夕立「うん!」

陽炎「不知火と秋月の位置からは、敵の軽巡に対して反航戦からの雷撃を行うのにどれくらいの時間がかかる?」

不知火「敵がこのまま直進すると仮定すれば……約10分といったところでしょうか」

陽炎「じゃあ、私と長波は敵の軽巡に対して奇襲を行って、そのまま同航戦を仕掛けるわ」

不知火「敵が陽炎に気を取られている内に、不知火達が仕留めると」

陽炎「そういうこと。今魚雷はどれ位残ってる?」

不知火「不知火は残り8本。秋月は2本です」

陽炎「後のことは気にしないで、魚雷を全部叩き込みなさい。少なくとも一度はショートランドに戻るんだし」

不知火「了解」

陽炎「じゃ、そういう事で。頼んだわよ」

不知火「御武運を」

陽炎「あんたもね! 通信終わり!」

長波「んじゃ、もう一丁行きますか」

陽炎「突撃よ!」

陽炎「さ、長波。覚悟はいいかしら? あいつはかなり手強そうよ?」

長波「ああ」

陽炎「いい心構えね」

長波「そりゃ駆逐艦だからな」

陽炎「駆逐艦魂ってやつ? それとも水雷魂?」

長波「んなもん関係ねえよ。ただ、私達はこの魚雷を敵艦に叩き込むだけの肝っ玉が必要ってだけだ」

陽炎「まあそうね。それが私達の仕事だしね。でも雑談は終わり。そろそろ、軽く作戦の説明をするわね」

長波「頼む」

陽炎「夕立の探照灯の陰から一気に接近。雷撃後、着弾のタイミングで砲撃開始。魚雷が当たれば御の字、当たらなければ同航戦を仕掛ける」

長波「んで、そのまま不知火達の雷撃援護って訳だな」

陽炎「そーゆー事。魚雷の装填は?」

長波「とっくに完了してる」

陽炎「うん。それじゃ、作戦開始!!」

長波「まだ気付かれていないみたいだな」

陽炎「そうね……射点修正。いくわよ」

陽炎「長波、魚雷一斉射!」バシュッ

長波「あいよ!」バシュッ

陽炎「砲撃はまだよ。機関このまま。取り舵一杯!」

長波「取り舵一杯!」

陽炎「着弾まで5、4、3……全砲門一斉射!! ってぇ!!」ズドン! ズドン!

長波「てぇ!!」ズドン! ズドン!

軽巡棲姫「!!?」ズドン! ズドン! ズドン!

バッシャーン!

陽炎「なっ!? 」

長波「水面を!!? おい、陽炎!」

陽炎「見抜かれた!!? まあいいわ! そしたら同航戦で砲撃を叩き込むのみよ!」

長波「おう!!」

陽炎「両舷一杯、針路そのまま! 全砲門撃て!!」ズドン! ズドン!

…………。

今日はこれで終わりです。

艦これ春イベの調子はどうでしょうか?
現在私は春風、親潮堀を漸く終え、E7甲に挑み始めたところです。

もう終えた人も、まだこれからの人も頑張って下さいね。

では、また来ますね

今日か明日の夜に更新予定です

もうしばらくお待ち下さい

軽巡棲姫「……」ズドン!

バッシャーン

陽炎「くっ……」

軽巡棲姫「……」ズドン!

長波「うぁ!!? くそっ! 艦尾に被弾!」

陽炎「戦闘への影響は!?」

長波「戦闘への支障はない。だけど、このままだとヤバいぞ」

陽炎「あと1分くらい耐えるのよ! そうすれば不知火達がやってくれるから!」ズドン!

長波「へへっ、ハードな役回りだねぇ」ズドン!

陽炎「最初から分かっていた事でしょ」ズドン!

長波「それにしても予想以上だって」

陽炎「それは認めるわ。こいつかなり強い」

長波「一瞬でも気が緩んだら、その瞬間に沈められそうだ」

陽炎「敵ながら練度が凄く高いわ。私達と同じくらいか、場合によってはそれ以上か」

長波「そうなると、軽巡と駆逐の絶対的な火力差が浮き彫りになるってわけだな」

陽炎「まさかこんなに練度が高い深海棲艦がいるとはね。帰ったらもっと練度上げなきゃ」

長波「陽炎、そろそろ」

陽炎「分かってる。10秒後に取り舵20」

長波「了解」

軽巡棲姫「……」クルッ

陽炎「とりか……はっ!?」

長波「うそ……だろ?」

軽巡棲姫「……」ジャキッ バシュッ

陽炎「不知火!! 作戦が読まれてる!! 今すぐ逃げて!!」

軽巡棲姫「……」ズドン! ズドン!

不知火「秋月。作戦は失敗です。取り舵一杯」

秋月「は、はい!」

軽巡棲姫「……」ズドン! ズドン!

バッシャーン!

不知火「くっ!!」

秋月「不知火さん、足元!!」

不知火「!!?」

バッシャーン!!

秋月「不知火さん!!」

不知火「……ぁ」

秋月「不知火さん! 不知火さん!!」

不知火「……」

秋月「陽炎さん!! 不知火さんが被雷!! このままだと轟沈しちゃいます!!」

陽炎「不知火!!」

秋月「あぁ……敵が…………敵がこっちに……」

陽炎「秋月! あんたは逃げなさい! 不知火は置いてすぐに!」

秋月「でも、そしたら不知火さんが!」

陽炎「不知火は私がなんとかするから! 早く!」

秋月「でも……でも……」

陽炎「秋月!!」

秋月「あ……あぁ……」ブルブル

軽巡棲姫「……」ジャキッ

秋月「もう、もう誰かを喪うのは……嫌!!」ガバッ

陽炎「馬鹿!! 秋月、あんた死ぬわよ!!」

不知火「あき……づ、き……」

秋月「大丈夫です……秋月が不知火さんは護りますから……大丈夫です……大丈夫……」ブルブル

不知火「くっ……死なば…………諸共……」ジャキッ

軽巡棲姫「……」ピタッ

陽炎「不知火!! 秋月!!」

秋月「うぅ……不知火さん……」

初風「探照灯照射ぁっ!! 」

ピカッ

軽巡棲姫「!!?」バッ

秋月「……え?」

黒潮「よっしゃ! めっちゃ効いとるわ!」

初風「黒潮、そのまま敵の目を狙い続けて」

黒潮「了解やで!」

初風「秋月! すぐに不知火を抱えて逃げなさい!」

秋月「初風、さん……?」

初風「お話は後! 早く逃げなさい!」

秋月「は、はい! 不知火さん、もう少し頑張って下さいね! 必ず助けますから!」グイッ

不知火「ぁぁ…………」ガクッ

秋月「初風さん、後は頼みます!」

初風「任せなさい!」

初風「第三輸送艦隊本隊もとい、第16駆逐隊突撃!! 目標、敵軽巡! 雷撃戦用意!」

時津風「天津風、いくよー!」

雪風「初風に合わせます!」

天津風「魚雷の準備は済んでるわ!」

初風「両舷一杯、方位そのまま! ビビらないで付いてきなさいよ!」

初風「敵に逆落とし戦法見せてやるのよ!!」

雪風「はい!」

雪風「敵艦までの距離、残り200!」

初風「余裕ね。雪風、そのままカウントよろしく」

雪風「雪風にお任せ下さい!」

時津風「ちっかいっなちっかいったな! てっきーがちっかいなー!」

天津風「こんな時まで能天気なんだから……遊びじゃないのよ!」

時津風「えー? だって、敵に近づいてドーンってやるんでしょ? 遊びだよー! ねー、雪風ー?」

雪風「はい! 残り100!」

黒潮「いやいやいやいや、そろそろ梶を切ろうや……? ぶつかってしまうで?」

初風「まだまだよ!」

雪風「残り50!」

軽巡棲姫「!!?」ズドン! ズドン!

天津風「敵艦発砲開始!」

初風「流石に敵も私達のやる事が分かったか。ま、それでも突撃あるのみね!」

黒潮「初風、もう限界やって!! 今切らんでいつ切るんや!!」

初風「黒潮黙れ!」

黒潮「うぅ……」

雪風「残り20!」

黒潮「うぁぁぁ…………」

雪風「10、9、8、7、6、5」

軽巡棲姫「!!!?」グイッ

雪風「4」

天津風「敵艦、進路変更!」

雪風「3」

初風「馬鹿ね!」

雪風「2」

時津風「いくよー!」

雪風「1」

初風「魚雷発射!! 」バシュッ

ズドーン!!!!

初風「雪風、敵艦の様子は?」

雪風「敵影確認できません!」

天津風「一瞬で沈んだのね」

初風「まさしく轟沈ね」

天津風「ほぼ全ての魚雷が軽巡に命中したから仕方ないわ」

黒潮「あ、あはは…………」

時津風「どうしたのさ、黒潮?」

黒潮「あはははははははははははははははははははは!!」

時津風「初風ー、黒潮が壊れたー」

初風「どうしたのよ黒潮?」

黒潮「アホかー!! あんたらアホかー!!? 阿呆なんちゃう!? どないしてあんなことするんや!!」

初風「あんな事って、どんな事よ?」

黒潮「アホか!! 敵艦目指して突っ込んで、一度も梶切らないとか阿呆ちゃうんか!!? 初風、あんた頭のネジ全部吹っ飛んでるで!」

初風「ああ、そんなことか。だって、相手が避けたじゃない?」

黒潮「もしも避け無かったら、今頃ウチらは海ん中やで!? 避けなかったらどうするんや!」

初風「避けなかったら敵が避けるまで突っ込むまでよ」

黒潮「」アングリ

初風「そんな当たり前の事聞かないで。普通に考えれば分かる事でしょう」

黒潮「ウチ分かったわ……今まで一番頭がおかしいのは陽炎と不知火だと思っていたんやけど、本当に頭が壊れてたんは初風やったわ……」

初風「何よそれ!!? 私なんかより陽炎と不知火の方が頭オカシイわよ!」

黒潮「やっぱり舞風達、第4駆逐隊だけが陽炎型の癒しや……」

雪風「17駆もみんな普通ですよ?」

黒潮「んなわけあるか!! あんなにスレた連中の何処が普通なんや! 特に谷風のスレ方は異常やで!」

天津風「いや、谷風のあれは多分別……」

黒潮「それにしたって普通やないわ!」

時津風「ねえ、天津風~」

天津風「何?」

時津風「なんか、黒潮がちゃんと関西人してるね」

天津風「……」ベシッ

時津風「痛っ!?」

………………………………。

今日はここまでです

また来ますね!

お待たせしております。
明日の夜に更新予定です!

また明日来ますね!

朝霧艦内

陽炎「不知火、夕立は大破、私や長波、秋月は中破乃至小破しています」

提督「そうか。すると、作戦の続行は難しいかもしれんな」

陽炎「ごめんなさい……」

提督「だが、お前達でなければあの敵軽巡は倒せなかった。よくやったな」

陽炎「怒らないの?」

提督「何故だ?」

陽炎「虎の子とも言える第三輸送艦隊本隊の戦力を大幅に消耗させちゃったのよ?」

提督「確かにそれは事実だ。しかし、それでもお前達が奴等を止めなければ、輸送艦隊が丸々消失していたやもしれん。それを引き止めたと言うだけでも十分過ぎる戦果だ」

陽炎「司令……」

提督「だからこそ、感謝の言葉を述べたのだよ」

陽炎「うん、ありがと! でも、その言葉はあの子達に言ってあげて。あの子達のお陰で倒せたんだから」

提督「もちろん後ほど伝えるさ。だが、陽炎達も十分頑張った。それも事実だ」

陽炎「もう! 今さら私の好感度を稼がなくたって意味ないわよ」

提督「稼いでいるわけでは無いがな……まあいい。お前達はショートランドに起動後入渠してくれ。コロネハイカラ島にも仮設ドッグは設置するが、現在は敵の制空権内だ。敵の攻撃の脅威に晒されている限りは、可能な限りそこでは入渠させたくない」

陽炎「分かったわ。ショートランドで安静にしているわね」

提督「そうしてくれ。間違っても、修理が完了する前に出撃なんてことをするなよ」

陽炎「はーい」

提督「よし、では不知火達のところに戻りなさい」

陽炎「うん! それじゃ!」

提督「ああ、ご苦労だった」

提督「瑞鶴、瑞鳳」

瑞鶴「はい!」

提督「そろそろ敵飛行場への攻撃を始める。二人とも艦載機の発艦準備を」

瑞鳳「もう完了しています! いつでもいけます!」

提督「よし、ならばこれより瑞鶴、瑞鳳両空母の艦載機による飛行場への急襲を行う。発艦開始せよ」

瑞鶴「艦載機のみんな、行っちゃって!」バシュッ

瑞鳳「第一次攻撃隊、発艦!」バシュッ

提督「続いて秋津洲」

秋津洲「は、はい!」

提督「索敵中の二式大艇から、敵の情報は来ているか?」

秋津洲「まだかも! まだ暗いから索敵はちょっと難しいかも!」

提督「了解だ。引き続き頼むぞ」

秋津洲「了解かも!」

提督「では、通信を終了する」

……………………。

ガダルカナル島上空

流星妖精「クライー」

烈風妖精「クライー」

彗星妖精「クライー」

烈風妖精「モクヒョウハマダナノカ?」

流星妖精「ソロソロノハズ……」

彗星妖精「ン?」

烈風妖精「ドウシター?」

彗星妖精「アソコ、ナニカヒカッテ……」

烈風妖精「アソコッテドコサ?」

彗星妖精「ゼンポウノヒダリシタノクモノキレマ」

烈風妖精「タシカニ……イヤ、マサカ……」

流星妖精「テキヒコウジョウハッケン!」

烈風妖精「ヨッシャ!」

彗星妖精「ショウタイゼンキニツグ! テキヒコウジョウハッケン! テキヒコウジョウハッケン!」

烈風妖精「テキノゲイゲキキハ、マダアガッテイナイ!」

彗星妖精「ダイイチ、ダイニショウタイハ、コウコウドカラキュウコウカバクゲキ! ダイサン、ダイヨンショウタイハ、コウドコノママデスイヘイバクゲキ!」

彗星妖精「リョウカイ!」

流星妖精「リュウセイゼンキハ、スイセイタイガバクダントウカゴ、イキノコッテイルヒコウジョウノカッソウロヲコウゲキ!」

流星妖精「リョウカイ!」

烈風妖精「カンセンカクショウタイノ、ニバンキトサンバンキハ、スイセイ、リュウセイソレゾレノショウタイノゴエイニツケ!」

烈風妖精「リョウカイ!」

烈風妖精「ソレイガイノカクキハ、ヒコウジョウニデテイルテッキヤ、タイクウカキヘキジュウソウシャヲオコナエ!」

烈風妖精「リョウカイ!」

彗星妖精「レップウタイ、タノンダゾ! サクセンカイシ!」

彗星妖精「コチラタイチョウキ。コレヨリワガキハテキノダイイチカッソウロヘノバクゲキヲカイシスル。ズイカクコウクウタイゼンキ、ワレニツヅケ!」

彗星妖精「ニバンキカラサンバンキヘ。オレガサキニイク。オレガバクダンヲトウカシタラサンバンキハトツニュウセヨ」

彗星妖精「サンバンキカラニバンキへ。リョウカイダ! コウウンヲイノル!」

彗星妖精「オウッ! ソラ、イクゾ!」

彗星妖精「マダダ……マダマダ…………イマダ!」

ヒューン ズドーン!

彗星妖精「ヨッシャ!」

烈風妖精「オミゴト!」

烈風妖精「オイゴバンキ、ヨソミヲスルナ! テキノタイクウシャゲキガハジマッタゾ!」

烈風妖精「オット! アブネ!! マバラダガウッテキテルナ」

烈風妖精「コチラタイチョウキ! ゴエイキイガイハ、カドウシテイルテキノタイクウカキヲユウセンシテネラエ!」

烈風妖精「マカセロ! ウテッ!」ズダダダダダ

烈風妖精「タイクウキジュウイッキチンモク!」

烈風妖精「ヨクヤッタ! イッキニツブスゾ!」

烈風妖精「オウッ!!」

………………。

瑞鶴「提督さん! 敵飛行場に向かった第一次攻撃隊より入電!」

提督「続けろ」

瑞鶴「はい! 0520、第一次攻撃隊は敵飛行場を発見。飛行場への攻撃を開始」

瑞鶴「約30分に渡る戦闘により、敵滑走路は二本とも完全に破壊、沈黙とのこと!」

提督「こちらの被害は?」

瑞鶴「敵の高角砲、及び対空機銃による攻撃で彗星2機が撃墜、流星一機が左翼を損傷」

提督「…………予想以上の大戦果だ」

瑞鶴「私もちょっとびっくり」

提督「残った全機が帰投したら、妖精を労ってやれ」

瑞鶴「うん!」

提督「瑞鶴、瑞鳳」

瑞鶴「ん?」

提督「良くやった」

瑞鶴「うん!」

瑞鳳「ありがと、提督!」

………………。

乗組員「中将、意見具申をしても宜しいでしょうか?」

提督「何だ?」

乗組員「申し上げます。本来ならば、ショートランドの資材の半分以上をコロネハイカラ島へ輸送する予定でしたが、ここはコロネハイカラ島への輸送物資を減らしてでも、速攻をかける方がよろしいのでは?」

提督「それは、航空攻撃の戦果の報告を受けての判断か?」

乗組員「はい。現在艦隊周辺には恐らく敵艦隊はもう存在しません。そして、あと数十分で陽が昇り、二式大艇による索敵も可能になります」

乗組員「仮に敵艦の接近があれば、二式大艇の索敵にて察知が出来るため、先手を打って作戦を変更する事は可能です。しかし、後手に回ってしまっては選択肢を減らすだけです」

乗組員「ならば、短期決戦というリスクを負うことにはなりますが、先手を打つメリットを取る方が良いかと存じます」

提督「確かに一理ある。しかし、もしも二式大艇では察知出来ない敵艦、つまり潜航中の敵潜水艦がいたらどうする? または、二式大艇の索敵から逃れる事が出来た敵艦隊がいたらどうする?」

乗組員「……奇襲による被害が予想されます」

提督「そうだ。近海に敵艦がいないという前提条件は安心感を味方に与えると同時に、敵がいない故に奇襲を受ける事はないという、あってはならない先入観が生まれ、それがいい慢心に繋がる」

乗組員「はい……」

提督「もしも敵の奇襲を受け、味方に甚大な被害が出た場合、輸送してきた物資が少なければ、作戦継続可能時間はより少なくなってしまう」

乗組員「はい……」

提督「確かにノリと勢いは大切だ。時には何よりもそれらが優先される事もある。だが、基本は石橋を叩いて渡る。それに越した事はない」

提督「我々は限られた、数少ない資源と戦力で膨大な数を誇る敵と戦わねばならない。余分な資源を消費したり、艦娘を喪う事は可能な限り避けねばならない」

乗組員「……はい。おっしゃる通りです出過ぎた真似をしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」

提督「中尉、お前はまだ若い。経験が少ないお前が間違えるのは当たり前だ。その間違えを正すのが上官たる私の職務であり、間違えた経験を糧に成長するのがお前の職務だ」

乗組員「はい」

提督「これに懲りずに、これからもドンドン意見をするんだ。間違えていれば私が諭すし、良い案であれば私は採用する。間違える事を恐れるな。いいな?」

乗組員「はい!」

提督「良い返事だ。では、持ち場に戻るんだ」

乗組員「はっ! 失礼致します」ビシッ

タッタッタッ

提督「ふっ……若いな」

……………………

…………

……

乗組員「中将、コロネハイカラ島より報告があります」

提督「準備が整ったか」

乗組員「はい。予定していた資源量の輸送が完了したとのことです」

提督「予想よりも早かったな」

乗組員「そうですね」

提督「秋津洲と交信をする。回線を開け」

乗組員「はっ!」

提督「秋津洲」

秋津洲「は、はい!」

提督「二式大艇からの報告はどうだ?」

秋津洲「えっと……周辺海域に敵艦隊は存在しないかも!」

提督「だが、先ほどの定時報告にあった敵艦隊がこちらに進軍中と?」

秋津洲「はい。北西部の方から大規模の敵艦隊がこっちに向けて進軍中かも」

提督「それ以外に敵はいるか?」

秋津洲「今のところいないかも!」

提督「了解した。秋津洲はそのまま索敵を頼む」

秋津洲「はい!」

提督「全回路開け」

乗組員「はっ! 全艦娘への通信回路開きました」

提督「うむ」

提督「全艦娘に告ぐ。先ほど、コロネハイカラ島への予定していた量の物資の輸送が完了した」

提督「これにて、コロネハイカラ島への輸送作戦から次の作戦へ移行する」

提督「現在コロネハイカラ島沖合に展開中の全艦娘はコロネハイカラ島へ帰投。例外として、秋津洲とその護衛艦はそのまま任務を継続」

提督「全艦娘の補給と応急修理が完了次第、ヘンダーソン基地への攻撃を開始する」

提督「現在、ヘンダーソン基地の滑走路は全て破壊しており、航空攻撃の危険性は劇的に低下している」

提督「だが、念には念を押しておくに越したことはない。瑞鶴、瑞鳳からなる第二艦隊は航空攻撃で再度ヘンダーソン基地を爆撃。敵の航空機の発進の確率を"わずか"から"ゼロ"にする」

提督「その後、比叡を旗艦とした第一艦隊による艦砲射撃で基地を完全に破壊する」

提督「その間、陽炎に代わり初風を旗艦とした第三艦隊、川内を旗艦とした第四艦隊は敵の潜水艦の哨戒。阿武隈を旗艦とした第六艦隊は第一艦隊の援護と護衛。伊58と呂500からなる第七艦隊は接近中の敵の艦隊の偵察と奇襲を行う」

提督「以上が次段階の概要だ。各艦、ただちにコロネハイカラ島へ帰投せよ」

提督「以上。通信終わり」

………………………………

………………

……

ガダルカナル島沖

比叡「う~」

青葉「どうしたんですかー?」

比叡「きんちょーするー」

青葉「あー、青葉達大事な役割ですからねー」

比叡「それもなんだけど……吐きそう……」

熊野「弱音を吐いても良いことはありませんわ」

比叡「そうなんだけど……今回は流石にね……」

熊野「大丈夫。過去と現在は異なりますわ」

比叡「うん……そうだね。今の私は昔の私じゃないよね……」

熊野「はい。それに、例え貴女が大破してしまっても、私達は決して見捨てませんわ」

比叡「……ありがとう」

夕張「それに、この子の前でヘマは出来ないんじゃない?」

清霜「ん?」キョトン

比叡「確かに。うん、みっともない所なんて見せられないね」

熊野「そうですわね」

比叡「みんなありがとう。少し気合入った」

青葉「いえいえ~」

比叡「じゃあ、気合が入ったついでに砲撃の時間に入ろうか」

比叡「……こちら比叡。司令、第一艦隊砲撃開始します」

比叡「…………みんな始めるわよ! 戦艦及び重巡は三式弾、零式弾砲撃準備! 軽巡、駆逐艦は榴弾を装填。目標、敵基地!」

比叡「全艦、碇を降ろせ! 耐衝撃準備! 射角微調整!」

比叡「全艦、全砲門砲撃開始!!」

比叡「撃てーっ!!」

………………………………

………………

……

比叡「こちら比叡! 作戦、完了しました!」

提督「御苦労。こちらの被害状況は?」

比叡「はい! 当方の被害は皆無です! 敵基地は完全に沈黙」

提督「素晴らしい結果だ。よくやった」

比叡「いえ。私達が無傷なのは砲撃前に行った航空爆撃のお陰です。私達が砲撃をする時には、殆ど全ての砲台が破壊されていましたから」

提督「それも含めて全体の戦果だ」

比叡「はい」

提督「第一艦隊はコロネハイカラ島へ補給の為に一度寄港せよ」

比叡「了解しました!」

提督「補給完了後は暫く待機し、あと12時間以内にコロネハイカラ島ね到着する駆逐艦深雪と合流せよ。合流後は、先の戦闘で艦隊から外れた長波の代わりとして運用する様に」

比叡「了解しました!」

提督「何かあれば随時連絡をしなさい」

比叡「はい!」

提督「では、これにて通信を終了する」

提督(……ここまで順調に事が進み過ぎている……)

提督(このままではまずい。気を引き締めねばならないな……)

提督(…………無性に嫌な予感がする)

………………………………

………………

……

今日はここまでです

夏イベが始まりましたね。現在E3の掘りで大苦戦中です。
皆さんも頑張って下さい。


また来ますね

コロネハイカラ島

乗組員「全艦の修理、補給が完了致しました」

提督「うむ」

乗組員「他に何か私が出来ることはございますか?」

提督「後ほどもう一隻駆逐艦が来るのは覚えているか?」

乗組員「はい」

提督「その駆逐艦が到着した際、即座に補給と艤装の簡易修理が出来るように準備しておいてくれ」

乗組員「了解致しました! 失礼します!」

ガチャッ パタン

提督「さて……」

コンコン コンコン

提督「ん? 誰だ」

瑞鶴「提督さん、入っていい?」

提督「瑞鶴か。入れ」

瑞鶴「失礼します」

ガチャッ

提督「どうした?」

瑞鶴「提督さん、索敵に出していた彗星から報告」

提督「悪い知らせか? それとも良い知らせか?」

瑞鶴「良い知らせ」

提督「聞こう」

瑞鶴「深雪ちゃんが約50海里先まで来てるみたい」

提督「到着まで約2時間といったところか」

瑞鶴「そうね。深雪ちゃんが到着した時に備えて何かした方がいい?」

提督「今手配したところだ」

瑞鶴「流石だね」

提督「たまたまだよ」

瑞鶴「そう? それじゃ、私は哨戒任務に戻るね」

提督「頼む」

瑞鶴「うん!」

パタン

………………………………。

二時間後

響「……見えた」

雷「え? どこどこ?」

響「向こう」

雷「それじゃあ分からないわよ!」

電「見えたのです! 深雪ちゃんなのです!」

響「他の子達は……見覚えがないな。いや、あれは霞か」

深雪「みんな~!! 間に合ったぜぃ!!」

風雲「待ってたわよ。……それで、後ろの人達は? 大湊の人達だよね?」

深雪「そうそう。えっと……」

鈴谷「こんにちは~鈴谷だよ。賑やかな艦隊だねぇ……って熊野!!?」

熊野「熊野っ!? ではありませんわ! なんで貴女が護衛を?」

鈴谷「ま~色々あってさぁ~」

熊野「普通、輸送艦隊を護衛するは駆逐艦と軽じゅ…………まさか……」

鈴谷「そっ、そのまさかだよ」

熊野「それにしたって、そんな屁理屈が通るわけありませんわ!」

鈴谷「それが通っちゃうんだよね~」

熊野「鈴谷や私が軽巡なのは書面上だけですわ!」

鈴谷「それがさ~」

球磨「あ~説明が長すぎるクマ! つまるところ、大湊では軽巡が足りないから軽巡の鈴谷を連れてきたクマ」

熊野「は…………?」ポカン

球磨「そんな事よりも、球磨達は提督に報告があるクマ。早く案内して欲しいクマ」

電「い、電がご案内するのです!」

球磨「電……特三型の四番艦だったクマね?」

電「はい、なのです!」

球磨「じゃあ、案内を宜しくクマ」

電「こっちなのです!」

球磨「みんな、球磨について来るクマ」

…………。

コンコン コンコン

電「司令官さん。大湊の艦娘の人達がお越しなのです」

提督「入れ」

ガチャッ

球磨「電のおかげで助かったクマ。ありがとクマ」

電「どういたしましてなのです!」

提督「電、ご苦労だった。そして、君は」

球磨「大湊鎮守府所属の球磨型軽巡洋艦一番艦の球磨です」

電「ふぇっ!!?」

提督「どうした?」

電「ご、語尾が……」

球磨「ああ、そういうことクマね。これはただ単にオンオフの切り替えクマよ」

電「わ、分かりました……なのです」

球磨「話がズレたクマね……」

球磨「御鎮守府所属の深雪の護衛として同行してきた者の紹介を致します」

電「…………」

球磨「球磨の左から順番に、最上型軽巡洋艦鈴谷、朝潮型駆逐艦朝潮、満潮、荒潮、霞。神風型駆逐艦、神風。睦月型駆逐艦、如月、弥生、皐月、水無月、長月です」

提督「協力に感謝する。それで、この後の事だが、大湊へいつ出立する予定か教えて欲しい」

球磨「その件に関しては、大湊の提督からの命令を読み上げます」

球磨「球磨を旗艦とした特別輸送艦隊護衛艦隊は、コロンバンガラ島への護衛任務を完遂後、SN作戦完了までの期間、一時的に横須賀鎮守府の命令系統に従事し、作戦遂行の助けとなれ」

提督「っ!?」

球磨「それとは別に、非公式の発言としての伝言もありますので、報告させて頂きます」

球磨「この貸しはいずれ返して貰うぞ。それと、我が艦隊の艦娘を沈めた場合は貴様は間宮海峡に沈んで貰う。その時は覚悟しておけ」

提督「…………肝に命じよう」

球磨「では、これより貴官の命令系統に加わります。ご命令を」

提督「まずは全艦補給作業を行え。この中に損傷した艦娘はいるか?」

球磨「皆無です。横須賀からコロンバンガラ島までの航路で一度も敵艦と遭遇せずに済んだので」

提督「念のために艤装の点検は済ませておけ。補給が終わり次第、我らはニューギニアへの侵攻を開始する」

球磨「了解です。あともう一点お伺いしたい事があります」

提督「なんだ?」

球磨「こちらの各艦娘の所属艦隊は如何なさいますか?」

提督「鈴谷を旗艦とした、朝潮、満潮、荒潮、霞の5隻を第八艦隊。球磨を旗艦とした、神風、如月、弥生、皐月、水無月の6隻が第九艦隊として動いて貰うつもりだ。お前達の事はお前達が一番わかるだろう。何か異論等があれば言ってくれ」

球磨「特にはありません。他の人は?」

鈴谷「う~ん、鈴谷は無いかな~」

朝潮「朝潮型は、司令官の指示に従います!」

神風「貴女達は大丈夫?」

如月「ええ。睦月型も問題無いわね」

提督「ならば、特に変更は無しで良いな?」

球磨「問題ありません。よろしくお願い致します」

提督「ならば、急いで補給をしに行って来なさい」

球磨「了解しました。では、失礼します」

パタン

………………………………

………………

……

今回はここまでです

また来ますね。

因みに余談ですが、春イベは完走し新旗艦も全艦手に入れました。しかし多忙の為備蓄が全く追いつかない……
今日は浦波が実装されましたね。私のSSでは実艦として出している朝霧が実装される日が、そう遠くなさそうな気がします。

球磨「では、これより貴官の命令系統に加わります。ご命令を」

提督「まずは全艦補給作業を行え。この中に損傷した艦娘はいるか?」

球磨「皆無です。横須賀からコロンバンガラ島までの航路で一度も敵艦と遭遇せずに済んだので」

提督「念のために艤装の点検は済ませておけ。補給が終わり次第、我らはFS作戦へと移行。フィジー、サモアへの侵攻を開始する」

球磨「了解です。あともう一点お伺いしたい事があります」

提督「なんだ?」

球磨「こちらの各艦娘の所属艦隊は如何なさいますか?」

提督「鈴谷を旗艦とした、朝潮、満潮、荒潮、霞の5隻を第八艦隊。球磨を旗艦とした、神風、如月、弥生、皐月、水無月の6隻が第九艦隊として動いて貰うつもりだ。お前達の事はお前達が一番わかるだろう。何か異論等があれば言ってくれ」

球磨「特にはありません。他の人は?」

鈴谷「う~ん、鈴谷は無いかな~」

朝潮「朝潮型は、司令官の指示に従います!」

神風「貴女達は大丈夫?」

如月「ええ。睦月型も問題無いわね」

提督「ならば、特に変更は無しで良いな?」

球磨「問題ありません。よろしくお願い致します」

提督「ならば、急いで補給をしに行って来なさい」

球磨「了解しました。では、失礼します」

パタン

………………………………

………………

……

朝霧艦内

乗組員「只今ソロモン諸島海域を離脱しました」

提督「了解。方位北西。速度そのまま」

乗組員「方位北西! ヨーソロー!」

乗組員「中将! 前方を航行する艦娘より入電! 周辺に敵潜水艦及び艦載機の反応無しとのことです」

提督「念には念を推しておこう。アクティブソナーを使用後反応が無ければパッシブソナーを使用。その後は艦娘達と連携を取り対潜哨戒を徹底せよ」

乗組員「了解!」

乗組員「中将、緊急の報告です!」

提督「続けろ」

乗組員「秋津洲より入電。北西の敵艦隊は進路変更をし、キリバスのクリスマス島へ進行中との事です」

提督「クリスマス島……主要な基地などは無かった筈だが……」

乗組員「深海棲艦の新たな泊地になっているのでしょうか」

提督「可能性はあるが、確証がない以上断言は出来ない。しかし、困ったな……」

乗組員「いかがなさいますか?」

提督「敵の狙いが読み辛くなった。敵はサモアやフィジーの防衛に回るのか。それともソロモン諸島を奪還しに来るのか……」

乗組員「でしたら、フィジーで待ち伏せるのはいかがでしょうか?」

提督「ふむ…………待ち伏せをするのも良いかも知れぬな。お手柄だ」

乗組員「いえ! こちらこそ、私の案を採用して下さりありがとうございます!」

提督「私が考えている案よりもお前の案が良かったから採用した。それだけだ」

乗組員「はっ!」

提督「さて、そうなると……」

乗組員「外で活動中の艦娘にも連絡が必要ですね?」

提督「ああ。まずは秋津洲との通信をする。回線を開け」

乗組員「了解致しました……回線繋がりました」

提督「秋津洲、聞こえるか?」

秋津洲「聞こえるかも!」

提督「作戦が少々変更になった」

秋津洲「変更?」

提督「フィジー沖にて敵艦隊を待ち伏せし奇襲する。その為には秋津洲と二式大艇の役割が非常に重要になる」

秋津洲「……了解かも」

提督「今まで以上に詳細な情報を頻繁に送信出来るか?」

秋津洲「頑張るかも!」

提督「頼んだぞ。お前の情報が勝敗を分ける事になる」

秋津洲「了解!」

提督「では、報告を待っている」

提督「針路変更。目的地はフィジーだ」

乗組員「了解!」

提督「艦内放送をする」

乗組員「了解! 艦内放送の準備完了致しました」

提督「全艦娘に告ぐ。繰り返す、全艦娘に告ぐ。これより本館はフィジーへ向かい現在クリスマス刀剣へ移動中の敵艦隊を迎撃する。全艦の所属艦隊に変更は無い」

提督「作戦の詳細は追って連絡する。何か不明な事があれば私の元へ来るように」

提督「フィジー到着までは暫く時間がかかる。今の内に休める者は休んでおいてくれ。フィジーでの作戦では前準備などがあり忙しくなる予定だ」

提督「通達は以上だ」

乗組員「艦内放送切断致しました」

提督「御苦労。さて、我々は一仕事するか」

提督「今手が空いている者は私と共に下層階の網を取りに行くぞ。ありったけ出すぞ」

乗組員「了解!」

提督「さあ、始めよう」

………………………………。

フィジー沖

提督「全艦配置に着いたな」

瑞鶴「全艦娘、配置に着いてます」

提督「了解。秋津洲、敵艦隊の様子は?」

秋津洲「敵艦隊の針路に変更なし! こっちの潜水艦を警戒して軽巡1、駆逐艦5の水雷戦隊3隊が単横陣で進軍中かも!」

提督「本隊の進路に変更が無ければ問題無い。瑞鶴、瑞鳳。第一次攻撃隊を出せ」

瑞鶴「了解! 第一次攻撃隊発艦始め!」バシュッ

瑞鳳「艦載機のみんな、頑張ってね!」バシュッ

提督「第三、第五艦隊は敵艦隊へ向けて出撃」

初風「了解」

阿武隈「了解です!」

提督「この戦いは何としても勝つぞ」

全艦娘「はい!」

……………………。

今日はここまでです

また来ますね!

初風「瑞鶴さんから入電。瑞鶴さんと瑞鳳さんの航空隊が敵艦隊の駆逐艦2隻を大破に追い込んだみたいね」

天津風「普段の戦果と比べると少ないわね……偶然? それとも……」

初風「練度や性能が高いか、ね……」

嵐「まー、とりあえずぶっ放して倒すだけだよな」

時津風「わー過激な発言だね~かっこい~」

萩風「嵐! そんな簡単そうに言わないで! これは実戦。本当に危ないのよ!」

嵐「大丈夫、分かってるさ」

雪風「逆探に感あり!!」

初風「見つかった!?」

雪風「いいえ、まだ周期的な反応です……ううん、見つかりました……」

初風「電波の規模は?」

雪風「恐らく小規模……いや、大きい電波もこちらに向けて放射されています」

初風「もう見つかったか……敵の練度は高いのかもしれないわ」

初風「極々小さな違和感からこちらの艦隊を捕捉、さらには後方にいると思われる敵主力艦隊に打電。この対応の速さは尋常じゃない」

雪風「はい。雪風も同じ考えです!」

天津風「どうするの?」

初風「阿武隈さんの艦隊が挟撃出来る様に引き付ける。4駆は右方、16駆は前方の敵に中距離からの雷撃を仕掛けて敵の艦隊運動を乱す」

時津風「もーっと後ろの艦隊はどーするのさー?」

初風「潜水艦の二人に任せる」

舞風「わっかりましたー! 野分、萩風、嵐、踊るわよ!」

初風「無理は禁物。これ以上こちらの駆逐艦が減ったら艦隊全体が危険になる。回避先行で深追い禁止。これだけは肝に銘じなさい」

嵐「りょーかい!」

舞風「敵艦、発見しましたー!」

野分「敵軽巡発砲始めました!」

萩風「大丈夫、まだ当たらないわ」

野分「敵弾着水!」

嵐「かなり後方に落ちたな」

萩風「多分最大飛距離からの発砲ね」

野分「多分」

嵐「のわっちはどうするんだい?」

野分「もう……のわっちって言わないでって……まあいいわ。流石にこの距離からの雷撃は無謀だから、もう少し接近するわよ」

萩風「砲撃はどうするの?」

野分「有効射程距離までは近付くつもり。舞風は大丈夫だろうけど、二人は大丈夫?」

嵐「どういう事だよ?」

野分「これからかなりの敵の砲撃が見込まれるわ。今回が初陣の嵐と萩風は大丈夫? 絶対に途中で止まったりしたら駄目だから」

舞風「怖くなったら踊ればいいよ!」

野分「それは舞風だけだから」

舞風「うぅ~! いけず~!」

嵐「ま、そういう意味なら大丈夫だろ?」

萩風「ええ。伊達に訓練を積んでいないわ」

野分「そう。大丈夫そうね」

舞風「うんうん! それじゃ、舞風行きまーす!」

野分「こら、舞風! 私たちも続くわよ!」

嵐「あいよぉ!」

萩風「はい!」

舞風「敵軽巡発砲ー! ダンスするまであと三秒! それ、ワンツー!」クルッ

バシャーン!

萩風「きゃっ!」

野分「流石に着弾位置が近くなって来たか……」

舞風「嵐~大丈夫?」

嵐「あ、ああ……」

舞風「野分、どうする?」

野分「艦隊第三船速まで減速! そのまま20秒後に最大戦速まで増速!」

舞風「りょーかいー!」

萩風「分かったわ」

嵐「了解だ」

バッシャーン!

舞風「あぁっ!」

野分「舞風!?」

舞風「足を挫いた……」

嵐「舞!」

舞風「大丈夫……! 野分、増速して!」

野分「…………艦隊増速!」

嵐「おいのわっち! 舞が足を怪我しているのに何を考えているんだよ!」

野分「っ…………」

舞風「嵐」

嵐「舞……」

舞風「いいの。心配してくれてありがと」

嵐「だけどよ……」

萩風「嵐、野分の事を責めないであげて。野分が一番辛いんだから」

舞風「うん。ありがとねのわっち」

野分「こんなところで沈んだら許さないんだからね」

舞風「うん。私は絶対に横須賀に帰るんだから!」

野分「頑張って舞風。こちらの射程圏内に敵艦隊を捉えた。各艦砲撃準備! 嵐と萩風は敵駆逐艦に砲撃開始。私と舞風は旗艦の軽巡へ!」

嵐「仰角42.3度! 砲撃開始!」ズドン!

萩風「砲撃始めます!」ズドン!

舞風「舞風、砲撃いっきまーす!」ズドン!

野分「着だーん今! 敵艦の後方に着弾を確認。舞風の砲撃の仰角がこれくらいだったからこれくらいかな……」

野分「当たれ!」ズドン!

ズガン!

ホ級「!?」

野分「よし、目標への直撃を確認」

嵐「すげえ……」

野分「弾幕を張り続けて!」

野分「みんな、砲撃を続けながら聞いて。これより我が艦隊は敵艦隊へ中距離雷撃を行う。各艦魚雷発射管を左方に向けて」

野分「発射管の発射扇角は9度に設定。全艦魚雷を発射と共に取り舵いっぱい。全速力で退避する!」

舞風「了解!」

嵐「オッケー! 魚雷発射準備完了!」

萩風「萩風、発射準備完了しました」

野分「全艦、魚雷発射! ってえ!」バシュッ

野分「全艦取り舵一杯! 機関、両舷一杯! 第四駆逐隊はこれより戦闘海域より離脱する!」

舞風「っ……」

萩風「舞風、大丈夫……?」

舞風「うん、大丈夫だよ」

野分「舞風、もう少しだけ頑張ってね。後で応急手当てしてあげるから」

舞風「ありがとね野分」

野分「ううん。これくらい当たり前だから」

舞風「えへへ」

嵐「お、敵艦隊の隊列が乱れ始めたぞ」

萩風「私達の魚雷に気付いたみたいね」

野分「うん。これで任務は果たせたわね」

舞風「魚雷当たるかな?」

野分「多分無理かな。あの距離で回避行動を取られたら当たらないよ」

舞風「ざんねーん」

嵐「ま、誰一人沈まないで任務を遂行出来たんだから、それだけでも御の字だろ」

萩風「うん。本当にそうね」

野分「あとは何事も無く退避出来れば完璧かな」

嵐「こっちは全速力で退避、敵は魚雷の回避で隊列がぐちゃぐちゃ。ま、ほぼ確実に追跡からは逃げられそうだな」

萩風「そうね」

嵐「あー帰ったら風呂に入りたいな」

野分「ほら、まだ戦闘海域の内側なんだから気を抜かないで」

嵐「ほいほい」

野分「舞風、嵐。九三式水中聴音機と三式水中探信儀で対潜哨戒をお願い」

舞風「了解ー!」

嵐「あいよ! 敵の潜水艦は見つけ出してぶっ殺してやるよ! 改装で新たに乗っけた九四式投射機と三式爆雷でな!」

野分「萩風は対空電探で敵航空戦力への警戒を。私は対水上電探で水上艦の警戒を行うから」

萩風「了解!」

……………………。

舞風「……あれ?」

野分「どうしたの?」

舞風「のわっち、この音……」

野分「音? ……まさか」サッ

萩風「ど、どうしたの?」

野分「…………っ!?」

野分「魚雷推進音! 全艦増速!」

舞風「うん!」

嵐「野郎……何処から打って来やがったんだ……!」

野分「多分待ち伏せ! そんな事よりも早く逃げないと!」

舞風「うぁっ!」バシャン!

野分「舞風!!?」

舞風「あ、脚が……! 痛っ!!」

萩風「舞風! 魚雷が!!」

野分「舞風!! 逃げて!!」

舞風「ぐっ……! あぁぁぁぁぁ!!」

嵐「舞!!」

舞風「駄目……動けない……」

舞風「嫌だ……死にたくない……死にたくよぉ……野分……助けて、助けてよぉ……!!」

野分「舞風!! 今行くから!」

萩風「野分、今行ったら貴女まで!」

野分「もう舞風を目の前で喪う訳にはいかない! もう二度と繰り返さないって決めたんだ!!」

嵐「どけ野分!」ドンッ

野分「うっ! 邪魔をしないで嵐! 私は舞風を」

嵐「そんなのは二人揃って死ぬだけだ! 俺が助ける」

野分「三式爆雷……?」

嵐「標準装備の九五式とは違ってこいつは純粋な時限式だからな。野分、俺に任せろ」

野分「何を……まさか!?」

嵐「これでミスったら一生俺を怨んでくれていいぜ……今だ!おらぁぁぁ!!」ブンッ

パシャ………ズドーン!!

嵐「舞! 生きてるか!?」

萩風「舞風!!」

舞風「私……生きてる……!」

野分「爆雷の着水地点と起爆時間を計算して魚雷を誘爆させた……嘘……」

舞風「野分ぃ……嵐ぃ……」

嵐「へへ、どうよ」

野分「舞風!! 良かった……!!」

舞風「怖かった……怖かったよぉ……!」

嵐「萩、あの二人は置いといて俺らは潜水艦を狩るとするか」

萩風「四式で私が敵の位置を探るから、嵐は爆雷で制圧をお願いね」

嵐「任せろ」

嵐「絶対全艦ぶっ殺してやるからよ!」

………………………………

………………

……

今回はここまでです

あけましておめでとうございます。
今年も超低速での更新になりそうですが、必ず完結させますのでお付き合いのほど宜しくお願いします。

では、また来ますね!

乗組員「第五艦隊より報告です! 我、雷撃ニ成功ス!」

提督「戦果は?」

乗組員「軽巡1、駆逐艦3を撃沈。駆逐1を撃破です! 先の航空攻撃の戦果を含めれば駆逐艦3を撃破です!」

提督「こちらの被害は?」

乗組員「軽巡阿武隈及び駆逐艦雷、時津風が小破、駆逐艦舞風が中破です」

提督「大戦果だ。第三、第五両艦隊は後方に退却。損害を受けた艦は損害が軽い者から入渠をさせろ」

乗組員「了解!」

提督「比叡。仕事だ」

比叡「はい! 目標は変わらず敵水雷戦隊で宜しいでしょうか?」

提督「ああ」

比叡「了解です! 熊野と青葉は砲撃準備! 目標、敵水雷戦隊!」

熊野「了解ですわ! 零式水上偵察機を上げますわ!」

比叡「夕張と風雲、清霜、深雪は直ちに目標に向けて前進! 私達の砲撃完了後に敵残存勢力に接近、追撃を」

夕張「了解! 三人とも付いて来て!」

風雲「了解です!」

比叡「司令。航空戦力はどうしますか?」

提督「現在攻撃隊を発艦準備中だ。しかし目標は先とは変わって敵主力艦隊だ。その代わりに第九艦隊を敵水雷戦隊の後方に回り込ませる。これで敵艦隊は孤立する筈だ」

比叡「助かります、司令!」

提督「第八艦隊は航空攻撃後敵主力艦隊の側面から突入。敵を撹乱後は反転しすぐ帰投せよ」

鈴谷「追い込んだ方がいいですか?」

提督「深追いは禁物だ。可能な限り交戦時間は短い方が良い」

鈴谷「了解!」

提督「第四艦隊は敵艦隊が航空隊との交戦を始めたら島影から敵主力艦隊の後方に移動。第八艦隊が交戦を始めたら射程範囲に全速で接近。敵の混乱に乗じて更なる追撃を行え」

川内「了解!」

瑞鶴「提督さん、攻撃隊発艦準備完了したわ!」

提督「秋津洲、戦闘海域内で敵航空機は確認出来ていないな?」

秋津洲「未確認かも!」

提督「瑞鶴と瑞鳳は直ちに攻撃隊を敵主力艦隊に向けて発艦。第八艦隊は移動を開始せよ」

球磨「了解」

瑞鶴「了解よ!」

比叡「第一艦隊、砲撃準備完了! すぐに撃てます!」

提督「第一艦隊、砲撃開始」

比叡「了解! 砲撃開始!!」

………………………………

………………

……

夕張「目標肉眼で確認」

深雪「マジ!? まだみえないなぁ」

夕張「少しだけ私の方が背が高いからね~望遠鏡で敵艦隊の様子をっと……」

清霜「いいなぁ! 清霜も大きくなりたい!」

風雲「戦艦になるのは難しいと思うわよ……」

ズドーン! ガンッ!

イ級「」

夕張「うわ……観たくないもの観ちゃった……」

風雲「……観たくないものとは?」

夕張「駆逐艦が爆発して肉片が飛び……」

風雲「いいです! もういいです! 聞きたくないですから!」

夕張「そう?」

風雲「冗談、ですよね……?」

夕張「どっちだろうね~」

風雲「ひっ……!」

夕張「多分そろそろ三人にも肉眼で見えるんじゃない?」

清霜「見えた!」

風雲「ホント? あ、ホントだ」

深雪「見ぇ……見え……見えた!! ん?」

夕張「どうしたの?」

深雪「いや、敵艦隊の編成が聞いていたのと違うなって思って」

夕張「……どういうこと? 」

深雪「敵艦隊は人型がいないんだろ? 深雪には人型のみの編成が……」

風雲「人型のみって……嘘……重巡以上から成り立つ……嘘でしょ……!」

清霜「風雲姉さん……清霜達本当にそんなのと戦えるの……?」

夕張「ちょっと! ちょっとみんな落ち着いて!! 深雪ちゃん、敵の艦隊の方角は?」

深雪「進路から見て12時の方向に真っ直ぐ……正面の艦隊」

夕張「…………やっぱり軽巡と駆逐艦から成る水雷戦隊しかいないわ……」

深雪「いや、良く見て下さいよ! 真っ直ぐ行った先の艦隊を!」

夕張「風雲ちゃん、清霜ちゃん。望遠鏡で確認をして」

清霜「……駆逐艦と軽巡洋艦だけしかいないね」

風雲「同じく」

夕張「深雪ちゃん……貴女……」

深雪「嘘だ! じゃあ、この深雪様の目か頭がおかしくなったっていうのか!? 清霜、望遠鏡を貸せ! ほら、早く!」バシッ

清霜「あっ!」

お久しぶりです。

とうとう本当に書きたかった本編に入る事が出来ます。

また来ますね

夕張「どうしたの?」

深雪「いや、敵艦隊の編成が聞いていたのと違うなって思って」

夕張「……どういうこと? 」

深雪「敵艦隊は人型がいないんだろ? 深雪には人型のみの編成が……」

風雲「人型のみって……嘘……重巡以上から成り立つ……嘘でしょ……!」

清霜「風雲姉さん……清霜達本当にそんなのと戦えるの……?」

夕張「ちょっと! ちょっとみんな落ち着いて!! 深雪ちゃん、敵の艦隊の方角は?」

深雪「進路から見て12時の方向に真っ直ぐ……正面の艦隊」

夕張「…………やっぱり軽巡と駆逐艦から成る水雷戦隊しかいないわ……」

深雪「いや、良く見て下さいよ! 真っ直ぐ行った先の艦隊を!」

夕張「風雲ちゃん、清霜ちゃん。望遠鏡で確認をして」

清霜「……駆逐艦と軽巡洋艦だけしかいないね」

風雲「同じく」

夕張「深雪ちゃん……貴女……」

深雪「嘘だ! じゃあ、この深雪様の目か頭がおかしくなったっていうのか!? 清霜、望遠鏡を貸せ! ほら、早く!」バシッ

清霜「あっ!」

夕張「比叡さん達の最終斉射が来るわよ! みんな一応気をつけて!」

深雪「絶対にあれは人型………いや、人……? ……艦む……」

ズドーン グシャッ!

深海棲艦?「ッァァァ!!」

深雪「ッ!?」

夕張「深雪?」

深雪「あ……あぁぁぁぁ……」

夕張「深雪ちゃん!? どうしたの深雪ちゃん!!」

深雪「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

………………………………

………………

……

※355は※353の修正版です

何故後半が綺麗さっぱり消えたのか……

夕張「こちら第一艦隊夕張! 提督、応答願います!」

提督「どうした?」

夕張「深雪ちゃんが突然狂乱状態に陥り艦隊行動続行困難です」

提督「何があった?」

夕張「後方の比叡さん達の砲撃が敵艦に命中した途端に発狂をし始めました」

提督「つまり、初めての交戦で生死の恐怖を抱いてしまったという事か」

夕張「恐らくは……しかし、敵艦隊を発見した際にも不思議な事を話していました」

提督「不思議なことだと?」

夕張「はい。敵の軽巡と駆逐艦の事を重巡と誤認し、敵も艦娘だと言っておりました」

提督「……何?」

夕張「一部軽巡や重巡を戦艦と誤認するのはまだ分かりますが、人型ですらない軽巡や駆逐を重巡と間違えるのはおかしいですよね」

提督「そうなのだが、一番気になるのは……いや、今はそれを考えても意味がないか」

夕張「提督、私達はどうすれば?」

提督「夕張、今の深雪を護りながら交戦が出来るか? 出来るのならば作戦を続行する」

夕張「護りながらは無理ですが、駆逐艦の子が二人居なくなっても作戦は続行できます」

提督「分かった。深雪と清霜は艦隊を離脱して当艦まで撤退。夕張、戦線は任せたぞ」

夕張「お任せ下さい」

夕張「清霜ちゃん」

清霜「はい?」

夕張「これから清霜ちゃんは深雪ちゃんを護衛しながら朝霧に撤退して」

清霜「えー! 清霜も戦いたい!」

夕張「これは命令よ。それにね清霜ちゃん。深雪ちゃんをこのまま連れて戦っていたら私達全員が死んじゃう可能性があるの。だからね、言うことを聞いて?」

清霜「うぇ~……はい、分かりました……」

夕張「ごめんね」

清霜「戦いたかったな~……」

夕張「またいつかそんな時が来るから」

清霜「はい……」

夕張「じゃあ、頼むわね。深雪ちゃんも落ち着いて。事情は提督に話してね」

深雪「あぁぁぁぁぁぁ、うぇあぁぁぁぁ!」

清霜「ほら深雪ちゃん、一緒に来て」クイッ

夕張「二人とも、気を付けてね……」

風雲「夕張さん」

夕張「大丈夫よ風雲ちゃん。私達二人でもこの任務は完遂出来るわ」

風雲「はい」

夕張「じゃ、送り狼作戦行くわよ」

風雲「なんかそのネーミング嫌です」

夕張「…………」

……………………

…………

……

清霜「清霜、深雪両艦帰投しました!」

提督「深雪の容態は?」

清霜「多少だけど安定しました。でも、ずっと泣き続けていて……」

提督「深雪、私の声が分かるか?」

深雪「……分かる」

提督「提督単刀直入に問おう。何があった」

深雪「何がって…………うっ! ウゲッ」

清霜「深雪ちゃん! 大丈夫!?」

深雪「ごほっごほっ……大丈夫……」

清霜「司令官、今は深雪ちゃんを休ませてあげて。その代わりに清霜が出撃するから」

提督「本来ならばそうしたいところなのだがな。しかし今は交戦中で刻一刻と戦況が変わる。悠長に待つ事は難しい。深雪、何があったんだ」

深雪「……………………艦娘」

提督「何?」

深雪「司令官、深海棲艦って何なんだ? バケモノじゃ無かったのかよぉ……」

提督「…………清霜。交戦予定の敵艦はどんな見た目をしていた?」

清霜「え? いつも通り普通のやつだよ? バケモノの」

提督「ふむ。深雪は自分自身が見間違えたという可能性があると思うか?」

深雪「いや、あれは間違いなく艦娘だった! 」

提督「清霜、他に同じ事を言ってる者はいたか?」

清霜「ううん。深雪ちゃん以外は誰も」

提督「そうか」

提督「深雪、再度確認だが敵艦隊の構成は艦娘だったとの事で良いのだな?」

深雪「……あぁ」

清霜「司令、どうするの?」

提督「深雪はすぐに医務室で休んで来い」

深雪「……ん」スタスタ

清霜「司令官?」

提督「清霜。深雪が言っている件だが、どう思う?」

清霜「えっと……」

提督「率直な意見で良い。思った通りに答えてくれ」

清霜「うん……深雪ちゃんが言ってる事は間違っていると思う」

提督「一応聞くが、何故そう思う?」

清霜「だって、清霜や他のみんなはそんな姿を見た事ないもん!」

提督「それは尤もな意見だ」

清霜「深雪ちゃんは疲れているか緊張していたんだよ」

提督「その可能性は高い。だが、もしも深雪が言っている事が本当だと仮定した場合清霜はどう思う?」

清霜「それはつまり……?」

提督「深海棲艦が艦娘で、私達は艦娘と艦娘で戦争しているという事ならばだ」

清霜「………………いや……」

提督「何らかの理由で深海棲艦……いや、今仮定の話をしても仕方ないか」

清霜「司令官……清霜、どうすればいいの?」

提督「今の話は忘れてくれ。そもそも深海棲艦が艦娘であるという可能性は限りなく低い」

清霜「うん……」

提督「大丈夫だ。お前達は國の為に闘ってくれているんだ。例えどんな結果であろうとも間違った事は全くしていない」

清霜「そう、なのかな?」

提督「ああ。私が保証しよう」

清霜「うん。ありがとう司令官!」

提督「では、清霜も少し休んで来なさい」

清霜「了解です!」スタスタ

提督(深雪……)

提督(かつての戦争で唯一アメリカとの戦争を経験していない艦娘……)

提督(かつて連合側に属していた地域からの侵攻……)

提督(深海棲艦が艦娘の姿形をしていると言う深雪からの報告……)

提督(これが意味する事は……)

提督(まさか……)

提督(しかし、ならば何故上層部はこの事を知らない……いや、私達に知らせない……?)

提督(なのだとしたらこの戦争は……)

乗組員「中将。宜しいでしょうか?」

提督(この戦争は一体……)

乗組員「中将?」

提督「すまない。何があった?」

乗組員「 第四艦隊より吉報です。 敵主力艦隊への奇襲に成功した模様です」

提督「川内が上手くやってくれたか。彼我の損害の報告は来ているか?」

乗組員「第八艦隊帰還鈴谷の第ニ砲塔と第一魚雷発射管が大破したものの、現在消火作業は完了し航行にも影響は無いとのことです。敵の損害は不明です」

提督「鈴谷に繋いでくれ」

乗組員「はっ!」

提督「鈴谷、私だ」

鈴谷「あ、提督」

提督「損傷は大丈夫か?」

鈴谷「大丈夫……かな」

提督「それは良かった。これより第8艦隊は直ぐにコロネハイカラ島まで撤退し、入渠し再出撃に備えよ」

鈴谷「了解」

提督「次は瑞鶴に繋いでくれ」

乗組員「繋がりました」

提督「第三次攻撃隊の準備はどうだ?」

瑞鶴「現在対艦魚雷を換装中よ! あと10分あれば発艦体制に入れるわ!」

提督「了解だ。攻撃隊の準備が出来次第敵主力艦隊に再攻撃だ」

瑞鶴「了解!」

乗組員「中将! 第四艦隊から通信がはいりました!」

提督「繋げ」

川内「提督! 敵の艦載機がそちらに向かっているよ! 今目視で確認出来た!」

提督「全艦に通達! 敵艦載機が現在こちらに向けて接近中! 各艦対空戦闘用意!」

提督「海中に展開した対潜網の範囲内で回避行動を行うように心掛けろ」

瑞鶴「提督さん、艦戦隊を直掩機として展開する?」

提督「弾薬や燃料の補給状況は?」

瑞鶴「もう完了したわ!」

提督「瑞鳳は?」

瑞鳳「完了してます!」

提督「ならば、稼働全機発艦。艦攻隊の発艦後は艦戦隊の半分は護衛として、残りは艦隊防空に回せ」

瑞鶴「了解!」

……………………

…………

……

今日はここまでです。

また来ますね!






























































ああ
2017/07/12(水) 17:38:04.11ID: FO/WkdNt0 (4)
372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
乙です
2017/07/12(水) 17:46:27.91ID: HeBea9beo (1)
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……………………

…………

……

乗組員「瑞鶴、瑞鳳航空隊の攻撃により敵主力艦隊壊滅。敵随伴艦は撤退を開始しました」

瑞鶴「提督さん、追撃の為の航空隊は出す?」

瑞鳳「出撃中の航空隊が着艦後すぐに再攻撃させれば夕方迄には間に合うかもしれません」

提督「いや、この時間だと未帰還機が出てしまう可能性が強いだろう。無駄な犠牲は出したくない」

瑞鳳「了解です!」

提督「さて、陸軍へフィジー・サモアの制圧完了の電文を打電してくれ」

乗組員「了解!」

提督「全艦へ無線を繋げてくれ」

乗組員「了解! ……繋がりました」

提督「全艦に告ぐ。現時刻をもってして作戦完了とする。我々の勝利だ! 」

提督「海上に展開している艦は朝霧に帰還。コロネハイカラ島に撤退している艦はそのまま待機をしてくれ」

提督「朝霧がコロネハイカラ島に寄港後は陸軍の輸送船の到着まで待機。陸軍の上陸部隊が兵員や資材をフィジー方面へ輸送するのを援護する」

提督「以上だ。全員御苦労であった」

……………………

…………

……

一ヶ月後 横須賀鎮守府

瑞鶴「うわー久しぶりに帰ってきたわね」

瑞鳳「そうね。前段作戦開始時から私達は出ずっぱりだったから本当に久しぶり」

瑞鶴「でも、私達の部屋って埃まみれなんじゃ……」

瑞鳳「あー……確かにそうかも」

瑞鶴「まずは掃除からか」

瑞鳳「そうね」

ガチャ バタン

瑞鶴「あ、提督さん!」

提督「どうした?」

瑞鶴「どうしたも何も提督さんこそどうしたのよ? 帰って来て早々何処か行くの?」

提督「ああ。これから大本営へ行かねばならない」

瑞鶴「え!? 横須賀に戻ってきて一時間も経ってないじゃない!」

提督「どうしても急ぎで確認を取らねばならない事があってな」

瑞鶴「そうは言っても提督さんはコロネハイカラ島やショートランド、帰投中の朝霧の中でも全然休んでなかったじゃない! 提督さん倒れちゃうよ!」

瑞鳳「お言葉ですが、私も瑞鶴に同感です。提督が倒れてしまったら元も子もありません。せめて一日休んで下さい」

提督「二人ともありがとう。しかし今回ばかりはそうは言って居られないのだ」ポンポン

瑞鶴「でも……」

提督「私は大丈夫だ。それと、二人には私が留守の間鎮守府の指揮を任せたいのだが、引き受けてくれるな?」

瑞鶴「私も提督さんに同行したい」

提督「すまないが、今回は私一人で行かねばならない」

瑞鶴「でも提督さんが危険な目に遭ったら……」

提督「大丈夫だ。今回は湾岸から離れたルートで大本営へ向かう。敵襲による被害の可能性も格段と少なくなる」

瑞鶴「でも……」

提督「瑞鶴は心配性だな。大丈夫だ。それとも私が信じられないか?」

瑞鶴「……信じられない」

瑞鳳「瑞鶴!?」

提督「ほう……つまり瑞鶴は私の事を信頼出来ないと?」

瑞鶴「いつもの提督さんなら私はいつでも信頼しているし、信用もしているわ。だけど今の提督さんは駄目」

提督「何故だ?」

瑞鶴「だって提督さん……目が怖いよ」

提督「それは私が寝不……」

瑞鶴「……今から人を殺すつもりでしょ」

提督「っ!?」

瑞鳳「え!?」

瑞鶴「ごめん、提督さん」バッ

提督「何をす……むっ」

瑞鳳「えっ……あっ……瑞鶴こんなところでなんて駄目……」

瑞鶴「ん……」スッ

提督「瑞鶴、お前……」

瑞鶴「提督さん、これは何? どうして銃を隠し持っているの?」

提督「私とて海軍将校の端くれだ。銃はいつでも携帯している」

瑞鶴「ううん。いつもの場所と違うわ。それにいつものホルスターにも銃を下げているじゃない」

提督「……何でもお見通しか」

とりあえずですが、今回の更新はこれまでです

また来ますね!

瑞鶴「提督さん、一体何があったの?」

瑞鳳「もしかして……深雪ちゃんの事と何か関係が……」

提督「今は話せない」

瑞鶴「私達にも話せない事なの?」

提督「ああ」

瑞鶴「それは絶対に?」

提督「ああ」

瑞鶴「ならせめて一緒に行かせてよ」

提督「駄目だ」

瑞鶴「じゃあ……一つだけ教えて」

提督「……内容による」

瑞鶴「提督さんと会えるのはこれが最後にならないよね?」

提督「…………戻って来たいとは考えている」

瑞鶴「それってつまり……」

提督「すまんな。もう、これ以上は話せない」

瑞鶴「提督さん!」

提督「瑞鶴。もしも私がまた戻って来たら話したい事がある」

瑞鶴「それなら、今話してよ!」

提督「……瑞鳳」

瑞鳳「はい」

提督「瑞鶴やみんなを頼んだぞ」

瑞鳳「……はい」

提督「では、私は行ってくるよ」

瑞鶴「嫌……」

提督「また、な」スタスタ

瑞鶴「提督、さん……」

その後、提督さんが横須賀鎮守府へ戻って来る事は二度と無かった

今回はここまでとなります。

ここ数年リアル仕事が激務になり半死半生状態でしたが、ここ二ヶ月は拍車がかかり棺桶に片足を突っ込んだ状態でした。
しかし依然ブラウザ版艦これでは甲攻略と新艦掘りに従事してます。
今回イベでは満潮ちゃんが尊すぎて棺桶に両足を突っ込む寸前でした。
あと、山城ボイスも素晴らしかったですね。

激遅進行で申し訳ないのですが、来年以降もお付き合いお願いします。
今年中にもう一度更新出来たらいいなぁ……

一ヶ月後

コンコン

瑞鳳「瑞鶴……起きてる?」

瑞鶴「…………」

瑞鳳「入るね」ガチャッ

瑞鶴「…………」

瑞鳳「ご飯、ここに置いておくから」

瑞鶴「……うん」

瑞鳳「何かほかにあったら言ってね」

瑞鶴「……ありがと」

瑞鳳「それじゃ、また後で」

パタン

瑞鳳「瑞鶴もまだ立ち直れ無い……か」

舞風「瑞鳳さん!」

瑞鳳「舞風ちゃん。陽炎ちゃんの様子は?」

舞風「ダメ、ですね。なんだか電池が切れちゃったみたいに布団から出て来ないです」

瑞鳳「そう……」

舞風「瑞鳳さん、この鎮守府ってどうなっちゃうんですか? 新しい提督はまだ着任しないですし……」

瑞鳳「その代わりに朝霧の乗組員の方々が運営を手伝ってくれているから、何とか運営に支障は……ごめんね、嘘。こんなに士気が下がっていては敵襲があっても対応出来ない」

舞風「それなら、考えることはやめて身体を動かしましょうよ!」

瑞鳳「そうね……」

舞風「瑞鳳さんも本当はすごく辛いですよね? でも頑張って身体を動かしているから瑞鶴さん達みたいに引きこもっちゃうような精神状態になってないもん」

瑞鳳「…………」

舞風「瑞鳳さん、出撃しましょう! 前の大規模出撃の傷はみんな癒えてます。身体を動かして元気になりましょう!」

瑞鳳「でも私達は軍属。勝手な行動は……」

舞風「提督が何も言わないで勝手に失踪したのが悪いんです! 舞風達は上官の教えを守るだけです!」

瑞鳳「教え?」

舞風「好き勝手に行動する、ですよ!」

瑞鳳「ふふっ……確かにそうね」

舞風「そうです! それじゃ、いっきましょーそれっ、ワンツー!」

瑞鳳「こら、慌てない! 色々準備をするからちょっと待ってて!」

舞風「はーい!」

瑞鳳「それにしても、舞風ちゃんってあんな話し方もするのね」

舞風「あんな、ですか?」

瑞鳳「真面目な話し方。末っ子みたいって言うのも変だけど、いつでも元気みたいな話し方だから」

舞風「あー……みんなには秘密にして下さいよ~! 舞風は末っ子みたいに元気に振る舞うのが好きですしそうしたいんです! そうすれば舞風もみんなも元気になりますから」

瑞鳳「確かに元気が出てきた。そうよね、辛気臭い顔で過ごしていても良いことなんてないもんね」

舞風「そのとーり!」

瑞鳳「ありがとう舞風ちゃん。それじゃあ陽炎ちゃんと瑞鶴ちゃん以外の子を読んできて」

舞風「二人は誘わなくていいんですか?」

瑞鳳「あの二人はもう少しだけ休ませてあげたいかな。提督の事を特に慕っていた訳だから心を癒す時間をあげたいの」

舞風「でも……」

瑞鳳「うん。いつまでもあんな顔をさせてあげないよ。少ししたら引っ叩いても外に無理矢理連れ出すつもりだから大丈夫」

舞風「舞風もそれがいいと思います!」

瑞鳳「もしも私だけじゃ連れ出せ無さそうだったら手伝ってね」

舞風「はーい!」

瑞鳳「じゃ、今から1時間後に全員艤装を装備した上で港へ集合ね」

舞風「了解しましたー!」

タッタッタッ

瑞鳳「よーし! 編成を考えないと!」

……………………

…………

……

瑞鳳「…………一体どう言う事なの……?」

コンコン

瑞鳳「入っていいわよ」

舞風「瑞鳳さん、南方方面の夕張さん達の艦隊が帰投しましたー!」

瑞鳳「舞風ちゃんね。報告ご苦労様。 夕張は来てる?」

舞風「来てます! 今呼んできますね!」

パタン パタパタパタ……

コンコン コン

瑞鳳「夕張ね。入って」

ガチャッ パタン

夕張「夕張率いる第五艦隊、南方海域の哨戒任務完了しました」

瑞鳳「ご苦労様。早速だけど……その服装なら多分南方もそうなのね」

夕張「南方も……と言うことはまさか……」

瑞鳳「そのまさか。まだ西方の艦隊は戻って来ていないけど、その他の艦隊はただの一度も敵艦と交戦をしなかった。むしろ、一度も敵艦や敵機を発見する事も無かったみたい」

夕張「そんな事って……」

瑞鳳「偶然か、それとも必然かは分からない。だけど事実は事実として認めないと」

夕張「そうね。ちなみにまだ戻って来ていない艦隊は?」

瑞鳳「東方方面の哨戒任務に出した第四艦隊と、念の為に出した鎮守府近海の対潜哨戒の艦隊の二艦隊だけね」

夕張「情報待ちか」

瑞鳳「うん」

夕張「提督の失踪と何か理由は……」

瑞鳳「分からないわ。だからこそ情報が欲しい」

夕張「私は補給に戻るね。瑞鳳もあんまり根を詰めないようにね」

瑞鳳「ありがと」

夕張「それじゃ」

ガチャ パタン

今回はこれで終わりです。

あけましておめでとうございます。
今年も細々と更新を続けるのでお付き合いの程宜しくお願いします。

では、また来ますね

瑞鳳(西方の艦隊の帰還にはまだ時間がかかる……北方と南方、北東、南東は敵艦隊はおろか、はぐれの深海棲艦すら見当たらない……そうなると多分東方にもいない可能性は高い……)

コンコン コン

舞風「瑞鳳さーん」

瑞鳳(やっぱり提督が何かを……?)

舞風「瑞鳳さーん!」

瑞鳳「えっ、あっ! どうしたの?」

舞風「第四艦隊と第二艦隊も帰投したので連絡です!」

瑞鳳「ごめんね、考え事してたの」

舞風「敵艦隊がいない事ですか?」

瑞鳳「そうね」

舞風「東方と近海のどちらにも敵艦はいなかったみたいです」

瑞鳳「やっぱり……」

ダッダッダッ

舞風「あれ? 夕張さん?」

夕張「瑞鳳、入るわよ!」

瑞鳳「どうしたのよそんな慌てて」

夕張「西方に出ている第六艦隊から入電が!」

瑞鳳「まさか……」

夕張「深海棲艦の大規模な艦隊を発見とのことよ……」

瑞鳳「深海棲艦が消えたわけじゃ無かったのね……」

舞風「瑞鳳さん、どうしますか?」

瑞鳳「舞風ちゃんは皆に出撃の連絡をお願い。夕張は全艦の艤装の点検と補給を」

舞風・夕張「了解!」

瑞鳳「鎮守府の護りは……」

夕張「他の鎮守府への要請はダメね」

瑞鳳「そうね。軍規を破っている私達に巻き込むのは流石にね」

夕張「瑞鶴と陽炎ちゃんに任せるのはどうかしら?」

瑞鳳「今の瑞鶴と陽炎ちゃんの精神状態じゃ……」

夕張「ううん、逆よ。今の二人を戦闘海域へ連れて行くのは二人を殺させに行く様なものだもの」

瑞鳳「でも、敵が来ない可能性が高いここの警護なら安心ってことね?」

夕張「そういう事。じゃ、私達は仕事して来るわね」

瑞鳳「私も二人のところに行って来るね」

……………………

…………

……

陽炎「瑞鶴さん、皆出撃したみたいです」

瑞鶴「……そうね」

陽炎「……私、近海の様子を見てきますね」

瑞鶴「うん。よろしく」

陽炎「瑞鶴さん」

瑞鶴「……ん?」

陽炎「司令は……もう…………」

瑞鶴「違う! 提督さんが私の前から居なくなるなんて!」

陽炎「…………」

瑞鶴「…………」

陽炎「……行ってきます」

瑞鶴「ごめん……」

陽炎「いえ。私も一人になりたいですし丁度いいです」

瑞鶴「ごめんね……」

陽炎「……はい」

スタスタスタスタ

瑞鶴「ごめんね……ごめんね……」

瑞鶴「皆、ごめんなさい……でも私、提督さんが居ないともうダメみたい……」

瑞鶴「提督さん……どこなの……?」

瑞鶴「提督さん…………」

……………………

…………

……

今回はここまでです。

陽炎改二で歓喜しました。
これで瑞鶴、瑞鳳、陽炎の三艦全てに改二が実装されたので私は満足です。
次は4駆勢に是非……

リランカ島沖

瑞鳳「凄い数……」

夕張「これは、100やそこらじゃ効かないわよ……」

瑞鳳「でも、この艦隊を殲滅しないと国が……」

夕張「滅ぼされちゃう」

瑞鳳「……腹を括るしかないわね」

夕張「そうね」

瑞鳳「全艦に告げます。状況は見ての通り圧倒的な物量差で不利です。ですが、ここで私達が負けたら他の鎮守府の戦力再建の目処すら立っていない日本が蹂躙されてしまうのは確かめるまでもありません」

瑞鳳「これから過酷な戦いが始まります。だけど、一つだけ約束して欲しいの。皆さん、絶対に生きて下さい。沈むなんて以ての外。死に物狂いで生にしがみ付いて下さい。生きてさえいればチャンスがありますから」

瑞鳳「まずは瑞鳳の航空隊で敵艦隊へ攻撃を仕掛けます。その後風上へ移動し戦艦、重巡による砲撃戦へ移行して下さい」

比叡「了解!」

瑞鳳「各水雷戦隊は別途指示があるまでは対潜警戒をお願いします」

夕張「りょーかい!」

瑞鳳「では、作戦を開始します! 第一次攻撃隊発艦!」

……………………

…………

…….

鎮守府

瑞鶴「うっぅ……提督さん……ひどいよ……どうして……」

コンコン コン

瑞鶴「……陽炎? ごめん、また後にして……」

??「……すまない瑞鶴」

瑞鶴「……えっ!?」バッ

ガチャッ

提督「久しいな瑞鶴」

瑞鶴「提督、さん……本当に提督さんなの……?」

提督「ああ。長らく留守にしてしまいすまなかったな」

瑞鶴「うっうぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 提督さん! 提督さん! ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

提督「少し痩せたな」ポンポン

瑞鶴「ずっと……ずっと待っていたのに! 提督さんが帰ってくるって信じて待ってたのに! どうして連絡の一つもくれなかったの!? どうして!」

提督「それは……この終わりなき戦いを終わらせる為、瑞鶴達艦娘が戦いでいつか命を落とす運命を救う為に私はお前達の元を去ったのだよ」

瑞鶴「ごめん提督さん……意味が分からないよ……どうして私達を救う為に提督さんは居なくならなきゃいけなかったの!?」

提督「それを話す前に外へ行かないか?」

瑞鶴「外?」

提督「ああ。それと、瑞鶴にとって大切な物があれば持って来て欲しい」

瑞鶴「私にとって提督さん以外に大切なものなんて無いわ。外に行こう」

提督「いいのか?」

瑞鶴「うん」

提督「分かった。付いて来てくれ」

瑞鶴「……うん」

提督「お前達と別れたあの日、私は大本営へ向かったのは瑞鶴も知っているな」

瑞鶴「うん」

提督「あの日私は死んだのだよ。提督としての肩書きは勿論、私という存在はこの國から抹消され、二度と日本に戻ることは無いはずだった」

瑞鶴「でも提督さんは今ここに」

提督「まどろっこしい言い方になるが、かつて提督と呼ばれた男はこの鎮守府はおろか日本という國にも足を踏み入れていない。だから監視カメラはおろか、この國の人間に姿を見られる訳にもいかない。痕跡は一切残さないのだよ。つまりは密入国と言うことになるな」

瑞鶴「じゃあどうして戻って来たの?」

提督「未練だ」

瑞鶴「未練?」

提督「ああ。瑞鶴、私は君を迎えに来た」

瑞鶴「私……を……?」

提督「そうだ。どうやら私は君に強く心を惹かれていたらしい。そして私には自分が思っていた以上に執着心と強い衝動があったらしい。この國を去った後も君の事が忘れられなかった。君達を救う為に存在を抹消したというのに私は諦めきれなかった」

瑞鶴「どうして……」

提督「瑞鶴?」

瑞鶴「どうして最初から私を連れて行ってくれなかったの!? 提督さんがあの日に連れて行ってくれれば私はこんなにも苦しむ事はなかったのに!」

提督「あの日瑞鶴が見抜いた通り、私は大本営の人間を殺すつもりだった。元帥殿やその周りの人間の全てを。そんな地獄に瑞鶴を連れて行ける筈が無い。だから私は一人で全てを背負うつもりだった」

瑞鶴「でも元帥はまだ……」

提督「ああ、結果としては殺していない。彼はこの世界の仕組みを理解し、そして打開策を見出すことが出来ない現状に抗い生き続けて来た人間だった。だから私は私が為すべきを成した後の世界を任せる事にしたのだよ」

瑞鶴「為すべき事?」

提督「ああ。私がこの世界の絶対悪として見做され地球上の全ての人間に望まれ殺される。これが私の為すべき事なのだよ」

瑞鶴「ダメ! そんなの許さない!」

提督「瑞鶴。君は艦娘という存在の真実を知っているか?」

瑞鶴「艦娘の真実……?」

提督「ああ。艦娘、そして深海棲艦の真実だ」

瑞鶴「……教えて」

提督「艦娘と深海棲艦は同一。つまり深海棲艦もまた艦娘だという事なのだよ」

瑞鶴「私達と深海棲艦が一緒……!?」

提督「お前はアメリカという國を、アメリカ人という人種を、アメリカの軍艦をどう思っている?」

瑞鶴「そ、それは……」

提督「憎いか?」

瑞鶴「ううん、そんな事……」

提督「かつてお前の姉を、先輩を、同僚を、お前に乗り込んでいた乗組員を、そしてお前自身を殺し沈めたアメリカを好いているのか?」

瑞鶴「…………」

提督「人が人でなくなる戦争だったから仕方がなかった、お互い様だった、恨みっこ無しの戦闘だった。様々な偽善の言葉で飾り感情を抑えようとしていても結局の所憎しみや恨みの感情は間違いなく存在する。その負の感情により対象の本質を正しく見通すことが出来ず、歪み間違った認識をその者に与えてしまう。これが艦娘と深海棲艦を分ける」

提督「つまり、日本に対して負の感情を持つ者が艦娘を見れば艦娘は化け物に、日本に対して負の感情を持たない者が艦娘を見れば艦娘もして認識すると言うわけだ。アメリカと戦争をし、殺しあった艦艇がアメリカの艦娘やアメリカ人をを見ればアメリカの艦娘は……」

瑞鶴「う……うそ……」

提督「そう、艦娘と艦娘の殺し合い。これが世界の真実なんだ」

瑞鶴「それじゃあ私達は同じ艦娘を沢山……沢山殺して……ヴォエッ」

提督「すまない……だが瑞鶴には真実を知って貰いたかった」

瑞鶴「ゲホッゲホッ! ……どうしてこんな酷い……」

提督「君にはもう隠し事をしたくない。だから私は瑞鶴に真実と私の為すべき事を伝えねばならない」

瑞鶴「……続けて」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月27日 (月) 22:00:46   ID: SkimzLxG

いいねぇ

2 :  SS好きの774さん   2015年08月05日 (水) 14:54:33   ID: aSJnTVvT

面白いです!少しずつでいいんで更新お願いします♪

3 :  SS好きの774さん   2015年08月09日 (日) 08:28:59   ID: FaMlMsPv

陽炎、瑞鶴、瑞鳳か・・・あれ何か既視感がある

4 :  SS好きの774さん   2015年11月17日 (火) 14:12:06   ID: RyHcJAr0

楽しみにしてます

5 :  翔   2016年05月10日 (火) 23:57:53   ID: 8Lced9ZR

面白い!!
続きはよ(ノシ 'ω')ノシ バンバン

6 :  SS好きの774さん   2016年10月05日 (水) 21:14:32   ID: 8yzqJksT

ここで覚えた群狼作戦みることになるとは

7 :  SS好きの774さん   2016年12月21日 (水) 23:46:05   ID: 0kvOGcGW

さっむ

8 :  SS好きの774さん   2017年11月07日 (火) 02:46:50   ID: 2UEOpMdr

早く更新してください。

9 :  SS好きの774さん   2018年03月06日 (火) 00:54:59   ID: 6RpM0FAA

とても面白いです
これからも楽しみにしています

10 :  SS好きの774さん   2018年08月24日 (金) 13:07:22   ID: TFwB6dcf

この引き込まれる感すきです

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