安斎都「でぃてくてぃぶ!」 (31)




―事務所―



都「です!」ビシッ!!

P「え?」

都「真実は都のものです!」ババーン!!

P「お、おう?」

都「どうでしょうか!」キラン☆

P「何がだよ?」

都「むきー!それでもPさんは私の助手ですか!」ジタバタ!!

P「探偵なら順序立ててわかりやすく論理的に話せ」

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安斎都(16)
http://i.imgur.com/Kx3ggbw.jpg




―――



P「つまりエスパーユッコみたいに、『ディテクティブミッコ』と名乗りたいと
  いうことか?」

都「はい!ゆっこちゃんがアリなら私もおっけーでしょう?」

P「今の『探偵アイドル都』でいいじゃないか。何が不満なんだ?」

都「発音とか!」

P「他には?」

都「響きとか!」

P「一緒じゃねえか」



都「と、とにかく!キャッチコピーを英語にしたらグローバルなオポチュニティが
  ベネフィットしてコミットして、えっと、えっと……」

P「頭をよく見せようとして変な英語を使うな。余計わかりにくい」

都「私は頭がいいんです!探偵ですから!」エッヘン!!

P「だったらまず学校のテストを頑張れ。今度赤点取ったら仕事減らすぞ」ジロリ

都「わ、私の頭脳は学校のテストでは計れないのです……」タジタジ

P「だがまあ、アイドルの仕事に前向きで積極的に意見を言うのは良いことだ。
  それは褒めてやろう」ナデナデ

都「えへへ♪」



P「それでお前が提案した呼び名の変更だが、ひとつ問題がある」

都「な、なんですか?」

P「単純に言いにくいし呼びにくい。お前早口でちゃんと『ディテクティブ』って
  発音出来るか?」

都「言えますよ!ディてっ!」ガリッ!!

都「~~~~~!! 」ジタバタ!!

P「ほら舌噛んだ。ケガしてないか?」

都「ひゃ、ひゃい……なんほは……」グス



P「それに世間の認知度も低いな。エスパーならともかく、ディテクティブと聞いて
  即座に探偵とわかるファンがどれだけいるか。キャッチコピーはわかりやすさが
  命だからディテクティブではダメだ」

都「推理小説好きのファンならわかってくれます!コ○ン君のタイトルにも英語で
  『ン』の点の中に小さくディテクティブって書いてますし!」

P「おお、20年以上見てるのに気付かなかった。だが仮に世間に認知されていても
  俺は探偵の方が魅力的だと思うから変えるつもりはないぞ」

都「魅力的、ですか?」



P「ああそうだ。『名探偵安斎都』って字面からして探偵っぽくていいじゃないか。
  そのままドラマや小説のタイトルになりそうだ」

都「そ、そうですか?」テレテレ

P「何でも横文字にしていいものでもないぞ。日本語には日本語の良さがあるし、
  今の時代はむしろ外国の方から日本の文化を取り入れて真似するくらいだ。
  クールジャパンってやつだな」

都「なるほど!変な漢字のシャツが売れるのと同じですね!」メモメモ

P「ま、まああれもクールジャパンになるか?それに探偵はいつの時代も一定の
  人気がある安定した属性だし、お前も周りに流されずに今の自分のキャラを
  もっと大事にしてだな……」

都「つまりPさんは、私にシャロック=ホームズではなく明智小五郎になれと
  言ってるんですね!わかりました!」

P(さっきから大きく間違ってはいないが、微妙にズレてる気がする)



都「よーし!これからも探偵アイドルでがんばるぞ!総選挙は都のものだ!」ビシッ!!

P「時事ネタありがとよ。まあ頑張れ」

都「はい!ではワトソン君…じゃなくて小林君!私は仕事に戻るので失礼するよ。
  君も自分の仕事に励みたまえ!」ニコッ

P「俺は少年って歳じゃねえよ。役に入るのは結構だが勉強もちゃんとしろよ」

都「い、いざとなったら泰葉ちゃんと肇ちゃんに助けてもらいます。明智探偵にも
  少年探偵団がいますし、事件は1人では解決出来ないんです!」

P「事件じゃなくてテ・ス・ト・だ。泰葉と肇にあまり迷惑かけるなよ?」ムニー

都「ひ、ひはい……」ムニー




***



都「うぅ、まだほっぺがひりひりするぅ……」サスサス

肇「あら、こんにちは都ちゃん」スタスタ

都「こんにちは肇ちゃん!おや?その手に持ってる木箱は……」

肇「ああこれ?これはですね」都「待ってください!」肇「え?」

都「名探偵安斎都にとって箱の中を当てるくらいお茶の子前!いえ朝飯さいさい!
  肇ちゃんは何も言わずにそのまま立ってて下さい!」ビシッ!!

肇「わ、わかりました……」

肇(今度は国語を教えてあげないといけないかな?)



藤原肇(16)
http://i.imgur.com/RISL0nl.jpg



都「肇ちゃんは陶芸が趣味、陶芸といえば土……」マジマジ

肇(近いようで離れていく気が……)

都「土と言えばこねる、こねると言えばうど」肇「違います!」都「ひっ!? 」

肇「どうして土に戻っちゃうんですか。逆に考えて下さい」ヤレヤレ

都「逆?陶芸は土をこねて焼いて…… わかりました!」ポン!

都「ずばりその木箱の中はお皿ですね!」ビシッ!!



肇「正解です。春休みに実家に帰った時に作ったお皿が焼き上がったので、
  おじいちゃんに送ってもらったんです」パカ

都「わぁ!綺麗な小皿です!これ肇ちゃんが作ったんですか?」

肇「ふふ、ありがとうございます。今からこのお皿で紗枝ちゃんと泰葉ちゃんと
  お茶会をしますけど、都ちゃんも一緒にどうですか?」

都「いいんですか?それならお言葉に甘えて…… は!? 」



   P『泰葉と肇にあまり迷惑かけるなよ?』



都「い、いけません、私は今から探偵の仕事がありました……」シュン

肇「お仕事ですか?」キョトン

都「はい、で、ですので、せっかくお誘い戴いたのに申し訳ありませんが、どうぞ
  3人で楽しんでください……」ウルウル

肇(涙目になってるし、明らかに我慢してる…… 遠慮しなくてもいいのに)

都「では私はこれで…… 事件は都のものだー……」トボトボ

肇(……そうだ!)



肇「ふふ、お茶会にも付き合えないなんて、ずいぶん余裕のない名探偵さんですね。
  そんな調子で本当に頼りになるのでしょうか?」

都「な!? 」カチン

肇「よろしければ探偵アイドル、私が変わってあげましょうか?私はある探偵さんと
  名前が同じですし、実は密かに憧れていたんですよ」

都「ある探偵?もしかして……!! 」ハッ

肇「ジッチャンの名にかけて!! 」ビシッ!!

都「やっぱり!? 」



肇「私だったらゆっくりお茶を楽しみながら怪盗ヨリコを捕まえて差し上げますよ。
  それでは都ちゃんも頑張ってくださいね」ペコリ

都「ちょ、ちょっと待って下さい!怪盗ヨリコは私の宿命のライバルなんですから
  いくら名探偵のお孫さんでも渡しませんよ!」キー!!

肇(勝手に探偵にしてごめんなさいおじいちゃん……)




―――



紗枝「ええお皿どすなあ。お菓子もいつもよりおいしゅうなります」

肇「それは泰葉ちゃんが持って来てくれたカステラが美味しいんですよ。こんなに
  美味しいカステラ初めて食べました」

泰葉「大げさですよ。紗枝ちゃんが淹れてくれたお茶も美味しいですよ」

紗枝「おおきに。ところで都はんはさっきから何してはるん?」

都「カステラについている紙を一緒に食べてしまわないように探してるんですが、
  見当たらないんです。おっかしいなあ……」キョロキョロ



小早川紗枝(15)
http://i.imgur.com/VZn9jYp.jpg


岡崎泰葉(16)
http://i.imgur.com/zzObar9.jpg



泰葉「それならお皿に載せる前に全部剥がしておきましたよ。だから都ちゃんも
   安心して食べて下さい」クス

都「え?でも剥がした跡が全然見当たらないんですけど?」

泰葉「ふふ、カステラの紙は綺麗に剥がす方法があるんです。よかったら教えて
   あげましょうか?」

都「ぜひお願いします!前にノドに詰まって大変だったので!」



肇「どれだけ分厚く切ったんですか…… 普通は詰まりませんよ」

都「いえ、切らずに一本丸かじりしたんです」

肇「え?」

泰葉「一本?」

紗枝「丸かじり?」



都「張り込みにいつもあんぱんは飽きるので、クリームパンとかジャムパンとか
  試した時があるんです。それでカステラも試したんですが、紙ごとがぶっと
  食べちゃって」

肇(張り込み中の都ちゃんが……)

泰葉(かばんの中からカステラを一本取り出して……)

紗枝(恵方巻きみたいにがぶっと……)

肇・泰葉・紗枝「「「~~~~~~~~~~っっっ!! !! !!! 」」」バンバン!!

都「ど、どうしたんですか皆さん!? 」ギョッ!!



肇「お、おなか、いたい……」ヒー、ヒー

泰葉「な、長崎にも、そんな人、いませんよ……」ケホ、ケホ、

紗枝「あかん、笑い死ぬ…… かんにんしてや都はん……」ゼエゼエ

都「な、何か私面白いこと言いましたか?」ハテナ?




***



都「カステラ美味しかったー!さあ気持ちを切り替えて頑張るぞー!」オー!!

頼子「何を頑張るんですか?」ポン

都「うわわわわっ!? 」ビクッ!!

頼子「ご、ごめんなさい、たまたま都ちゃんを見かけたから声をかけようと思って。
   驚かせるつもりはなかったんですけど…」

都「きゅ、急に後ろから声をかけないで下さいよ!」ドキドキ…

頼子(かわいい…)



古澤頼子(17)
http://i.imgur.com/WQyDOwW.jpg



都「そっちから現われてくれるとは好都合です!我が宿命のライバル怪盗ヨリコ!
  今日こそはこの名探偵安斎都がつかまえてみせます!」

頼子「何度も言ってますが、つかまえるのは探偵じゃなくて警察では…」

都「問答無用です!えーい!」ダキッ

頼子「あ……」

都「ふふん!これでもう逃がしませんよ!」ニコッ



頼子「よい、しょっと…」ヒョイ

都「ちょ、ちょっと何するんですか!持ち上げないでください!」ジタバタ!!

頼子「ふふ、探偵さんなら頭脳と推理で私をつかまえてください」ニコ

都「ぐぬぬ、腕力では勝てません……」

頼子「それより都ちゃん、膝の絆創膏が剥がれかけていますよ」

都「あ、ほんとだ。新しいやつちひろさんにもらわないと」



頼子「私が持っているので貼ってあげます。膝を出して下さい」

都「え?そ、そんな、悪いですよ……」アタフタ

頼子「気にしないで下さい。早く怪我を治して私をつまかえてくださいね」クス

都「くっ、その余裕が腹立ちますね。あなたをつかまえるのは私なんですから、
  肇ちゃんにつかまらないで下さいよ!」ビシッ!!

頼子「肇ちゃん…?ああ、金田一さんのお孫さんの…。そんな有名な人も私を
   追いかけてくれるのは光栄です」ペタ



都「そ、それは確かにあっちの方が、有名ですが私だって……」シュン

頼子「ふふ、ですが私も今のところはあなたしかライバルと認めていませんよ。
   怪盗ヨリコをつかまえられるのは、名探偵安斎都だけです」

都「そ、そうですよね!私達は宿命のライバル同士ですもんね!というわけで
  もう一度!えーい!」ダキッ

頼子「よい、しょっと……」ヒョイ

都「だ、だから持ち上げないで下さいよ!おろしてー!」ジタバタ!!

頼子(頑張ってくださいね、私の小さな名探偵さん…)クス


おわり



 どうして都はいつも膝に絆創膏を貼ってるんでしょうね?ルーペ片手に地面に
膝ついて捜査しているからだとすると都の健気な性格が垣間見えたり。
個人的にはユッコに並ぶアホ…じゃなくてポテンシャルを秘めているアイドル
だと思うので総選挙は都も応援しましょう。では

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