良太郎「え~、僕がIS学園に入学ですか?」(49)

オーナー「はい。イマジンが過去へ飛んだ契約者の5人の女性はいずれもis学園の卒業生です」

良太郎「それと、僕がis学園に入学するのと、どういう関係があるんですか?」

オーナー「is学園はその名のとおり、isに関わる学生のための学校です」

オーナー「ですが、isは女性にしか動かすことが出来ません。即ち、is学園に入れるのは女性のみという事なのですよ、はい」

モモタロス「ようするに良太郎に女装させて、潜入させるってことか?」

良太郎「え~っ、そんなのやだよ僕~」

オーナー「いえ。過去にもたった一人だけですが、男子でありながらis学園に入学した生徒がいます」

ウラタロス「なるほど。過去に前例があるなら、根回しさえすれば男の良太郎でも潜入できるって事だね」

キンタロス「そやけど、イマジンを倒すだけなら別に入学とかせんでも、過去に飛んで倒せばええだけとちゃうんか?」

オーナー「5体のイマジンは過去に飛んで、すぐに破壊活動を行わず、様子を見ているみたいなのです」

オーナー「イマジンとの戦いが長期戦になる以上、良太郎君にはその対応をしてもらわなければなりませんので」

リュウタロス「えー、面倒臭いなぁ~」

オーナー「良太郎君。これを」

良太郎「これは?電王ベルト…?」

オーナー「これは電王ベルトと似た形状をしていますが、全く別物です」

オーナー「このベルトはisベルトです」

良太郎「isベルト?」

オーナー「篠ノ之博士に作成を依頼し、電王isフォームと呼べる新しい電王の変身形態になれるアイテムです」

オーナー「ちなみにisはプラットフォームをベースとしていますが、他にもisソードフォーム、isロッドフォーム、isアックスフォーム、isガンフォームの4フォームにもなれます」

コハナ「でも、オーナー。良太郎がis学園に入学したら過去が大きく入れ替わるんじゃないですか?」

オーナー「さきほど話にも上がったis学園でたった一人の男子生徒だった織斑一夏君」

オーナー「本来であれば彼は生きているはずなのですが、イマジンによって彼は間接的に殺されています」

オーナー「彼を救うためにも特異点である良太郎君の過去への介入が必要なのです」

良太郎「…わかりました。過去に飛んで僕はis学園に入学します」

オーナー「頼みましたよ」

過去にとんだ良太郎はオーナーと駅長の助力を得て、is学園に入学出来る事となり、運よく1年1組織斑一夏と同じクラスで、座席は一夏の隣の席となった。

本来の時間では生きていたはずの一夏もイマジンによって殺されている。
一夏が死ぬ事で世界は大きく歪み、isに関わるたくさんの時間の記憶がなくなっていた。
それを防ぐために良太郎はこの場にいるのだ。

一夏「is学園に男子は俺一人って聞いてたから、となりの席が男子でホント安心したよ」

良太郎「よ、よろしく」

一夏「それにしても、お互い大変だよなぁ」

良太郎「う、うん」

一夏「しかし、話には聞いてたけど…」

良太郎「うん。クラスメイトは女子ばっかりだね」

一夏「だけど、助かったよ。本当に男が俺だけだったらすげぇ大変だったろうし」

良太郎「僕はこの状況でも大変だと思うよ」

一夏「なんにせよ、これからヨロシクな。野上」

良太郎「あ、うん。僕もよろしくね、織斑君」

一夏「野上。俺の事は一夏って呼んでくれよ。織斑だと千冬姉、じゃなくて先生とゴッチャになるからさ?」

良太郎「じゃあ、僕の事も良太郎でいいよ」

一夏「ああ、ヨロシク。良太郎」

良太郎「こちらこそよろしく、一夏」

良太郎「それにしても織斑先生凄かったね。まるでハナさんみたいだった」

一夏「ハナさん?」

良太郎「あ、…えっと、僕の知ってる人でとても気が強くて、とても強くて、それでとても優しい人なんだ」

一夏「ふぅん。まあ、確かに気は強いし、滅茶苦茶強いけどな、千冬姉」

パアン!

一夏「ひぎっ」

千冬「織斑先生と呼べ。織斑」

良太郎「ひえええ~~」

千冬「じゃあ1時限目の授業を始めるぞ」

---

キーンコーンカーンコーン

千冬「これで1時限目の授業は終了だ」

一夏「女子が今か今かと俺達に飛びかかろうとしているな」

良太郎「どうしよ~」

一夏「…ん?」

箒「織斑。少しいいか」

一夏「箒?」

良太郎「あ…」

女子の群れからたった一人で二人の男子の前に現れた一人の女子、篠ノ之箒。
一夏の幼馴染みで、未来でイマジンと契約した女性の1人。

箒によって一夏が連れ出されたため、教室には良太郎だけがぽつんと取り残された。
当然、周りの女生徒の注目は残された良太郎に集まる。

雪崩のような質問攻めに目を回しながら答える良太郎。
趣味や、兄弟、好きな食べ物や、女の子のタイプなど学生にはごく普通な質問ばかりだったが、人見知りな良太郎は怒涛の質問攻めに悪戦苦闘していた。

すると一人の女子がずずいと前に出てきた。
金髪碧眼の縦ロールの美少女、この子も未来でイマジンと契約した女性の一人だ。

セシリア「ちょっと、よろしくて」

良太郎「セシリア・オルコット…さん」

セシリア「私の事はご存知ですか。当然ですわね、イギリスの代表候補生を知らない人がいるはずありませんし」

良太郎「代表候補生って?」

セシリア「…それはどういう質問ですの?代表候補生を知らないとか言うつもりではないでしょうね」

良太郎「ご、ごめん…」

セシリア「未開の島国の殿方はこうも無知なのですね」

セシリア「まあ出来の悪い人に物事を教えてあげるのもエリートの役目ですし、このわたくしが教えて差し上げますわ」

良太郎「ありがとう…」

セシリア「代表候補生というのはその国家の代表is操縦者の候補生として選出されるエリートの事ですわ」

セシリア「単語から想像すればわかりそうなものでしょう」

良太郎「そ、そうだね。ごめん」

セシリア「本来ならわたくしのような選ばれた人間とクラスを同じくする事だけでも奇跡、そう幸運ですのよ。その現実は理解していただけるのかしら?」

良太郎「あ、うん」

セシリア「大体、あなたはisについて何も知らないのに、よくこの学園に入れましたわね」

セシリア「もう一人の男の人もあなたと同じできっと無知なのでしょうね」

良太郎「え、えっと…」

キーンコーンカーンコーン

セシリア「まあ、いいですわ。あなたはわたくしが気にかけるほどでもないという事がわかっただけで充分ですわ」

モモタロス(良太郎!!あんな女に何言われたい放題にさせてんだよ)

良太郎(別にisについて何も知らないのは事実だし、怒るほどの事じゃないと思うよ)

ウラタロス(あ~あ、僕に代わってくれれば代表候補生の事くらいちゃんと答えてあげたのに)

良太郎(ウラタロスは知ってたの?)

ウラタロス(まあ、暇だったからね。デンライナーでis関連の書物は一応目を通しておいたよ)

良太郎(そっか。じゃあ、僕もあとで目を通しておかないとね)

一夏「ただいま、良太郎」

良太郎「あ、お帰り」

パァン!

一夏「ぐあっ!!」

千冬「さっさと席に着け、織斑」

一夏「…ご指導ありがとうございます、織斑先生」

良太郎(ひゃ~、すごく痛そうだ)

全員が席に着き、千冬の後に入ってきた副担任の山田真耶が授業を進めるが、良太郎と一夏はis授業の複雑さに頭を抱えていた。

一夏「良太郎」ボソッ

良太郎「なに?」ボソッ

一夏「授業、ついていけてるか?」ボソッ

良太郎「…無理」ボソッ

一夏「だよなぁ」ボソッ

良太郎「でも、周りの子はみんな普通に聞いてるみたい」ボソッ

一夏「…ほんとだ」ボソッ

真耶「織斑君、野上君、何かわからないところありますか?」

一夏「ほとんどわかりません」

良太郎「僕も…ほとんどわかりません」

真耶「え、えっと…今の段階でわからない事がある人はいますか?」

真耶の言葉に生徒は誰も反応しない。
正確には良太郎と一夏以外は誰も。

一夏「みんな、マジでわかってんのか」

良太郎「すごいよね」

千冬「織斑、野上。入学前の参考書は読んだか?」

一夏「古い電話帳と間違えて捨てました」

パァン!

千冬「必読と書いてあっただろうが馬鹿者」

千冬「あとで再発行するから1週間以内に覚えろ。いいな」

千冬「野上は?」

良太郎「えっと、…」

良太郎(ウラタロス、参考書はどこにやったの?)

ウラタロス(僕が答えるよ)ズギュウン!

u良太郎「ちゃんと持ってますよ」

千冬「本当か?」ギロッ

u良太郎「僕はあなたみたいな美人に嘘は言いませんよ」

千冬「……」スッ

u良太郎「僕を殴ろうとするのはやめてもらえませんか?あなたは眉間に皺を寄せるよりも、微笑みの方が似合ってますよ」

ブン!

千冬「!?」

一夏(千冬姉のゼロ距離出席簿をかわした!?)

u良太郎は千冬を抱き寄せて、千冬の髪を撫で始める。

千冬「!?」////

一夏「!?」

生徒達「!?」

良太郎(ちょ、ちょっと何してるの!?ウラタロス!!)

u良太郎(何って、説明だよ。参考書はデンライナーに置いてあるけど、正直にいえないからね)

モモタロス(おめーが外に出ると余計にややこしくなるんだよ!!俺に任せろ!!)ズギュウン!

千冬「き、貴様…!!」

m良太郎「わりぃわり…」

パァン!

m良太郎「ふぎゃっ!!」

m良太郎「何しやがる、この暴力女!!」

千冬「!?」

一夏「!?」

生徒達「!?」

良太郎(モモタロス!?)

m良太郎「喧嘩なら買ってや…」ズギュウン!

r良太郎「みんな、ずるーい!!僕も外に出たい!!」

良太郎(リュウタロス!?)

真耶「え、ええっ!?」

一夏「…りょ、良太郎?」

生徒達「…野上…君?」

千冬「…野上?」

r良太郎「ねえねえ、お前強いんだって?でも、僕の方がきっとつよ…」ズギュウン!

k良太郎「すまんな、先生。俺が全面的に悪い」

千冬「あ、ああ…」

良太郎(あ、ありがとう、キンタロス。助かったよ)

k良太郎(気にすんな、良太郎。あとは俺が上手いことやったる)

k良太郎「とりあえず参考書はあるから、一週間以内に覚えればええんやろ」

千冬「そうだ」

k良太郎「先生も生徒も騒がせて済まんかったな。引き続き授業を進めてくれ」

真耶「は、はい」

真耶「織斑君、野上君、わからない所があれば先生が放課後に教えてあげますから、一生懸命頑張りましょうね」

一夏「はい。それじゃあ、放課後によろしくお願いします」

k良太郎「んがーっ」zzz

真耶「野上君!?」

良太郎(ちょ、キンタロス!?)ズギュウン!

千冬「授業中に寝るな!!」

パァン!

良太郎「いたぁ~」

千冬「山田先生、授業の続きを」

真耶「は、はい!!」

---

キーンコーンカーンコーン

二時限目終わりの休憩時間。良太郎と一夏は質問攻めにあっていた。今回は、おもに一夏。
良太郎は二時限目の意味不明な挙動の一件があり、女生徒から若干敬遠されていた。

そして、再び女生徒の群れを割ってセシリアが、良太郎と一夏の元にやってくる。

セシリア「あなたがもう一人の男子の織斑さんですわね」

一夏「あんたは?」

セシリア「わたくしを知りませんの?イギリスの代表候補生にして入試主席のこのセシリア・オルコットを」

一夏「ああ。is関係は殆ど知らないんだよ。あんた、有名人なのか?」

セシリア「な、な…この野上さん以上の無知が存在したとは」

セシリア「男でisを操縦できると聞いてましたから、少しくらいは知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待はずれですわね」

一夏「俺に何かを期待されても困るんだが」

セシリア「まあ、でも、わたくしは優秀ですから、あなた達のような人間にも優しくしてあげますわよ」

セシリア「isの事でわからないことがあれば、泣いて頼むのでしたら教えて差し上げてもよろしくってよ」

セシリア「何せ、わたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

良太郎「すごいんだね、きみ」

セシリア「フフン」

一夏「教官なら俺も倒したけどな」

セシリア「は?」

一夏(自爆みたいなもんだったけど)

セシリア「教官を倒したのはわたくしだけと聞きましたけど…」

一夏「女だけでは、って事じゃないのか?」

良太郎「一夏もすごいんだね」

セシリア「つまり、わたくしだけではない、と?」

一夏「そうだろ。多分」

セシリア「多分って!?」

キーンコーンカーンコーン

良太郎「あ、チャイムだ」

セシリア「また後で来ますわ。逃げない事ね。よろしくって?」

一夏「よろしくねーとか言っちゃ駄目なんだろうな」

セシリア「よろしくって!!」キッ

一夏「あ、ああ」

良太郎「ひっ。こ、怖いよ、あの子」

千冬「さて、授業を始める前に再来週に行われるクラス対抗戦に出るクラス代表者を決めるぞ」

一夏「クラス対抗戦?」

良太郎「クラス代表者って?」

千冬「クラス対抗戦は入学時点での各クラスの実力推移を図るものだが、今の時点では大した差は無いだろう」

千冬「だが、競争は向上心を生むからな。クラス対抗戦はそのためにあるようなものだ」

千冬「あと、クラス代表者とはそのままの意味だ」

千冬「対抗戦の出場だけでなく、生徒会の会議や委員会の出席、簡単に言えばクラス委員長みたいなものだ」

千冬「クラス代表者は決定したら1年間変更は出来ないからそのつもりでな」

女生徒a「はい!私は織斑君を推薦します!」

女生徒b「はい!私もそれが良いと思いいます!」

一夏「お、俺!?」

女生徒c「はい!私は野上君がいいと思います!」

良太郎「ぼ、僕ぅ!?」

女生徒d「せっかくの男子だからどっちかになってもらいたいよね」

女生徒e「織斑君は入試の実績もあるみたいだしね」

一夏「ちょ、ちょっと待った!!俺はそんなんやらないから…」

千冬「自薦他薦は問わない。そして他薦された者に拒否権などない」

千冬「他にはいないのか?いなければ織斑と野上のどちらかにやってもらうが?」

良太郎「そ、それは困るよ~」

一夏「俺だって嫌だぞ!!」

セシリア「待ってください!!納得がいきませんわ!!」

セシリア「そのような選出は認めませんわ!!」

セシリア「大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!!」

セシリア「実力から言えばわたくしがクラス代表になるのは必然」

セシリア「それを物珍しいという理由だけで男なんかにされては困ります!」

セシリア「いいですか?クラス代表には実力が高い人間がなるべきです」

セシリア「それはそこの無知な男たちではなく、このわたくし、セシリア・オルコットこそがクラス代表に相応しいのですわ」

一夏「すげーマシンガンみたいだ」

良太郎「でも、これで僕達はクラス代表にならなくて済みそうだね」

一夏「おお。それは確かにそうだな」

ウラタロス(良太郎。実際は織斑一夏がクラス代表になってるから、クラス代表になるのだけは避けなよ?)

良太郎(うん。わかってるよ)

良太郎(僕もそういうのは元々苦手だし、何とか話し合いで辞退する方向に持っていくよ)

セシリア「そもそもわたくしはここにはis技術の修練に来ているのであって、何の役にも立たない男を見に来たわけではありません!!」

セシリア「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとって耐えがたい苦痛で…」

一夏「……」ムカッ

一夏「イギリスだって大したお国自慢ないだろ?世界一まずい料理で何年覇者だよ」

良太郎「あ…」

一夏「…しまった」

セシリア「あ、あなた!!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

一夏「チッ、お前の方が先だろ」

セシリア「…!!」ムカッ

セシリア「決闘ですわ!!」

一夏「ああ、いいぜ。四の五の言うよりわかりやすいしな」

セシリア「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い、いいえ、奴隷にしますわよ」

一夏「真剣勝負で手を抜くほど俺は腐ってない」

良太郎「頑張ってね、一夏」

一夏「ああ」

セシリア「何、人事みたいにおっしゃってますの?あなたも決闘するんですのよ」

良太郎「ええぇっ!?なんで、僕が?」

セシリア「嫌なら結構ですわよ。頭を下げて、私に誠心誠意謝罪するのであれば、あなただけは許して差し上げますわ」

良太郎「謝ってクラス代表にならなくて済むならあやま…」ズギュウン!

一夏「良太郎は何も悪い事してないだろ」

m良太郎「るわけねえだろ!!」

良太郎(ちょっと、モモタロス!?)

セシリア「あら、そうですか。いい提案だと思いましたが、そういうのなら仕方ありませんね」

セシリア「それにしても物珍しいだけでクラス代表に選ばれようとしている事自体が間違っている事を理解できませんか?これだから極東の猿は…」

一夏「誰が極東の…」

m良太郎「誰が極東の猿だって?この黄色縦ロール」

セシリア「き、黄色縦ロールですって!?」

ウラタロス(そこはせめて金髪縦ロールじゃないの?先輩)

m良太郎(うるせえ!!金色も黄色も一緒だ!!)

m良太郎「言っとくが喧嘩を売るなら買ってやる。俺は相手が女だからって容赦はしねぇぞ」

m良太郎「おらっ、来いよ。来ねぇならこっちから行くぞ!!」

良太郎(駄目だってば、モモタロス!!)

千冬「やめろ、馬鹿者ども」

パァン!パァン!

一夏「いだっ」

m良太郎「あたたっ」

千冬「とりあえずクラス代表はお前ら三人の中から決めろ。話し合い、は無理だろうから、isの勝負でもするか」

セシリア「お願いします。織斑先生」

一夏「俺もそれでいい」

m良太郎「isなんてまどろっこしい事せずに殴り合いで決着つけようぜ!!」

千冬「is学園のクラス代表を殴り合いで決めてどうする。isでの勝負に決まってるだろう」

m良太郎「なんだと!?」

良太郎(当たり前だよ、モモタロス)

m良太郎「ちっ!!わかったよ、やればいいんだろ、やれば!!」

一夏「で、ハンデはどうする?」

セシリア「あら、さっそくお願いかしら?」

一夏「そうじゃなくて俺や野上があんたにどのくらいハンデをつければいいのかって事だけど?」

女生徒f「織斑君、それ本気で言ってるの?」

女生徒g「男が女より強かったのって昔の話だよ」

女生徒h「織斑君や野上君はis使えるかもしれないけど、セシリア相手にそれは言い過ぎよ」

一夏「そういやisでやりあうんだったな。…じゃあ、ハンデはいいよ」

セシリア「ええ、そうでしょうね。むしろ、わたくしがあなた方にハンデをつけてあげないといけないくらいなのに」

セシリア「男が女より強いだなんて思い込み、まるで大昔の時代錯誤な人間を見ているようですわ」

女生徒i「ねー織斑君。今からでも遅くないよ?セシリアに言ってハンデをつけてもらったら?」

一夏「男が一度言い出した事を覆せるかよ。ハンデはなくていい」

m良太郎「その通りだ、いい事言うじゃねぇか、おまえ。あんな小娘けちょんけちょんにしてやるってぇの!!」

セシリア「では、わたくしのせめてものお情けとして、あたたたち2人がかりでお相手させていただきますわ」

一夏「2対1?ふざけるな!!1対1でやるに決まってるだろ!!」

m良太郎「当然じゃねぇか。戦いはタイマン勝負って昔っから決まってんだよ!!」

セシリア「まあ、わたくしはどちらでも構いませんけど」

千冬「話はまとまったみたいだな。クラス代表を決める勝負は一週間後の月曜と火曜の放課後。第3アリーナで行う」

千冬「織斑とオルコットは月曜日に、野上と月曜日の勝者が火曜日に戦うという事でいいな?」

一夏「ああ」

m良太郎「俺が先にやりたかったが、まあいい。ここはオメェに譲ってやるよ」

セシリア「望むところですわ。どうせ2人とも倒すのですから」

一夏(一週間あれば基礎くらいはマスターできるだろ。入試の時は一発で動いたし、まあなんとかなるか)

良太郎(モモタロス。駄目じゃないか、クラス代表選考で戦う事になるなんて)

m良太郎(すまねえ、良太郎。あの黄色頭がムカつく事言うもんだから、つい…)

良太郎(まあ、すんだ事は仕方ないよ。とりあえず僕がなんとか上手くやってみるよ)

---

一夏「ようやく放課後か…」

良太郎「な、長かったね…」

一夏「…ああ。今日は一日で色々ありすぎた」

良太郎「…そうだね。他のクラスや他の学年からも僕等を見に来るとは思わなかったよ」

一夏「動物園のパンダになった気分だぜ、全く」

良太郎「昼休みなんて、食堂に行くだけなのにハーメルンの笛吹き状態だったしね」

一夏「学食じゃモーゼの海割りみたいだったな」

良太郎「そういえば授業はどうだった?」

一夏「全くわからん」

一夏「専門用語が多すぎるし、isの知識も無いから、先生が何語を喋ってるのかさえわからなかった」

良太郎「まあ、僕も似たようなものだよ」

真耶「あ。織斑君、野上君。まだ教室にいたんですね、よかったです」

真耶「寮の部屋が決まりました。部屋は1025室です」

一夏「あれ?寮の部屋が決まるのはまだ先じゃなかったんですか?」

真耶「そうだったんですけど、野上君の実家がかなり遠くてですね」

真耶「通学がかなり時間が掛かるとの事だったので急遽部屋割りを調整して、男子部屋を用意したんです」

良太郎「ご、ごめんなさい。僕のせいで…」

真耶「いえいえ、気にしないでください」

千冬「織斑。お前の荷物は私が実家から部屋に送っるよう手配しておいてやったぞ」

千冬「着替えと携帯の充電器だけだがな」

一夏「それだけですか」

千冬「それだけあれば充分だろう。ありがたく思え」

真耶「あと、各部屋にはシャワールームがありますけど、大浴場もあります」

真耶「でも、織斑君と野上君は今のところ大浴場は使えません」

一夏「何でですか?風呂があるなら入りたいんですけど」

千冬「まさか同年代の女子と一緒に風呂に入りたいのか?このエロガキが」

良太郎「それはさすがによくないよ、一夏」

真耶「お、織斑君!!女子とお風呂に入りたいんですか!?」

一夏「ち、違…入りたくないです!!」

真耶「ええ!?女の子に興味が無いんですか!?それはそれで問題ですよ」

千冬「そうだったのか?枯れはてた老人のようだと思っていたが、実はそういう事だったのか」

良太郎「それってどういう…」

一夏「いや、違うぞ!!俺は普通だから、男が好きとかそんなんじゃないから!!」

千冬「わかっているから必死になって弁解するな」

真耶「そ、そうだったんですか。よかったです」

真耶「織斑君がそっちの趣味の人だったらどうしようかと思って、ドキドキしてしまいました」

良太郎「う、うん。僕も別の意味でドキドキさせられたよ」

一夏「…俺の扱いがひでぇ」

良太郎「それじゃあ、寮に戻ろっか」

一夏「ああ。なんかさっきより疲れちまった」テクテク

良太郎「はは…」テクテク

---

真耶「…うーん」

千冬「どうした?山田先生」

真耶「何か忘れてる気がするんですけど、少し思い出せなくて」

千冬「織斑と野上に伝える分はあれで全てのはずだが」

真耶「う~ん。そうなんですけど…」

---

一夏「学校から寮まではさほど離れてないな」

良太郎「近いのはいいよね。落し物してもすぐに見つけられそうだし」

一夏「寮と学校の行き来で落し物はしないだろ?」

良太郎「いやぁ。僕はよく落し物するほうだから、目的地とかがあんまり遠いと探すのに時間が掛かるし…」

良太郎「だから財布とか携帯電話はこうやってストラップに名札をつけてるんだ」

一夏「小学生みたいだな」

良太郎「でも、こうしてると中身はなくなっても財布だけは戻ってくる確率が高いんだよ」

一夏「そ、そうなのか」

良太郎「あ、1025室ってここだね」

一夏「そうだな」ガチャッ

一夏「ん?電気がつけっぱなしかよ」

良太郎「へ~、中は結構広いね」

一夏「二段ベットじゃないのか。良太郎はどっちのベッド使う?」

良太郎「どっちでもいいよ」

一夏「じゃあ、俺、窓側の方を使うぞ」

良太郎「うん。じゃあ、僕は手前側だね」

一夏「あ、俺、シャワー浴びていいか?」

良太郎「僕は全然構わないよ」

一夏「じゃ、お先に、っと」

ガチャッ

箒「誰かいるのか?」

一夏がシャワールームに近づこうとした瞬間、その扉が開き、バスタオル1枚を纏った箒が出てきた。

箒「こんな格好ですまないな。シャワーを使っていた。私は篠ノ之…」

一夏「…箒?」

良太郎「えええっ!?」

箒「い、一夏…?」////

一夏「お、おう…」

箒「み、見るな!!」

一夏「わ、悪い!!」

良太郎「ご、ごめんなさい!!」

箒「な…なぜ、お前らがここにいる!?」

一夏「ていうか、なんで箒がここにいるんだよ?ここは俺達の…」

一夏が言うより早く箒が壁に立てかけてあった木刀を取ると、上段打突の構えで一気に一夏との間合いをつめる。
一夏は一瞬で身の危険を感じ、その場で横に転がり回避。箒の一撃は一夏の後方にいた良太郎に直撃する。
ベッドの上に腰掛けていた良太郎は箒の木刀で後方に弾き飛ばされ、ベッドから転げ落ちる。

一夏「良太郎!!」

箒「なっ!?す、すまん!!」

箒「い、一夏!!何故、避ける!?」

一夏「ふ、普通、避けるだろ!!」

良太郎はピクリとも動かない。この間、およそ10秒。
一夏と箒が心配そうに駆け寄ろうとしたとき、良太郎はムクリと起き上がる。

m良太郎「いってぇな!!何しやがる、この暴力女!!」

箒「ぼ、暴力女!?」

一夏「お、おい、良太郎、お前、大丈夫なのか?」

m良太郎「大丈夫なわけねーだろ!!見ろ、額にたんこぶが出来てんだぞ!!」

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