お嬢様「別に…あなたなんて・・・いりませんわよっ!」(42)

とあることで、好きだけど、奴隷みたいに冷たく当たっちゃう主人公と喧嘩しちゃって、
スレタイみたいなこと言っちゃうけど、その晩ベットの中で後悔しまくって、
それでも素直に主人公に謝れなくて、最終的に泣いちゃうような
嗜虐心湧いちゃう高飛車お嬢様、大好物です!

お嬢様「……」スタスタ

女「……」スタスタ

お嬢様「……」ピタッ

女「……」スタスタ

お嬢様「…お待ちなさい」

女「…なんでしょうか?」

お嬢様「相変わらず生意気ね貴女は…執事の分際でお嬢様への挨拶もなしなんて」

女「おや…して欲しかったのですか?」

お嬢様「冗談はよしなさい、私は最低限の礼儀の話をしているんですのよ」

女「心配せずとも、お嬢様以外にはきちんと挨拶をしているつもりです」

お嬢様「……」イラッ

女「…そもそも、お嬢様には関係ないことではありませんか」

お嬢様「…ふん、そうね…貴女に話しかけた私が馬鹿だったわ」

女「周知の事実でございますよお嬢様…それでは」ペコッ

お嬢様「……」イライラ

女「……」

お嬢様「……」

女「…お嬢様、少々よろしいでしょうか」

お嬢様「…何?」

女「私はから揚げにレモンをかけて食べるような低俗な人間ではありません」

お嬢様「あら、不特定多数の人間を馬鹿にするような発言は感心しないわね…好みは人それぞれよ」

女「…そんな話をしているわけではございません」

お嬢様「…貴女のから揚げにレモンの汁がかかっているのがそんなに気に食わないの?」

女「当然です、私にとってはあまりにもこれは合わなさすぎるのです」

お嬢様「あらそう…やはり不愉快に思うものなのかしら」

女「はい、それはもう…耐え切れません」

お嬢様「ふーん…いい気味ですわ」パクッ

女「…犯人はお嬢様なんですよね?」

お嬢様「……」モグモグ

女「……」イラッ

お嬢様「……」

女「…お嬢様?どうかなさいましたか」

お嬢様「…む、虫…虫が、ここにぃ…」ビクビク

女「ん?…ああ、これは…お嬢様が大嫌いなダンゴムシじゃありませんか」

お嬢様「ひっ、わっ、わかってるからいちいち言わないでよぉ!」

女「お嬢様は脱皮して白くなったダンゴムシが超高速で動いているのを見て以来トラウマなんでしたよねぇー」

お嬢様「いっ、いやあああああああ!思い出させないでよぉっ!」

女「…あれ、この子足のあたり怪我してる…」

お嬢様「よく見えるわね、そんなところまで…」

女「…お嬢様、今この子足一本取れましたけど」

お嬢様「きゃあああああああっ!?ほ、報告しなくていいから!」ビクッ

女「どうですか、ダンゴムシの足…一本いります?」

お嬢様「いらないいらないいらないいらない!!」

女「ほれっ」ピンッ

お嬢様「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」

女「……」

お嬢様「…女、どうしてそんなところにそんなバカ面で突っ立っているのかしら」

女「…バカ面は余計です」

お嬢様「何をしていたの?」

女「お嬢様には関係ございません」

お嬢様「…言えない事情でもおありなの」

女「……」

お嬢様「…あら、それは…百合の花かしら?」

女「…見えてしまいましたか」

お嬢様「別に隠さなくってもよかったのに」

女「…お嬢様は白百合の花言葉をご存知でしょうか」

お嬢様「…?…威厳、純潔、無垢…とか、そんな言葉だったかしら」

女「ええ、よく御存じで…」

お嬢様「それがどうかしたの?」

女「……」

お嬢様「…煮え切らないわね、そんなに話したくない?だったら無理には聞かないけれど…」

女「いえ…これは私の憧れの人の象徴のようなものでして…ただ、それだけなんです」

お嬢様「ふーん…なんだかあなたにしては珍しくナイーブね、女」

女「…お嬢様がドライすぎるだけではございませんか」

お嬢様「なっ…余計なお世話よ!」

女「ふふっ…それじゃ、私は失礼いたします」スタスタ

お嬢様「あっ…ちょっと!」

お嬢様「……」

お嬢様「…あの娘のあんな笑顔、久々に見たような…」

お嬢様「…いつからかしらね、互いに反発しあって、今みたいな関係になってしまったのは…」クルッ

お嬢様「昔は結構、仲が良かったんだけどな…あの娘と私と、もう一人…」

お嬢様「…三人で、一緒に――…」

お嬢様「――…いけない、これは思い出すべきではありませんでしたわね…おほん」

お嬢様「私としたことが、過去を思い出して辛気臭い気分になるなんて…どうかしていたわね」

お嬢様「…少し、散歩にでも行ってこようかしら…」

―屋敷外―

お嬢様「んーっ…夜風が気持ちいいわね」

お嬢様「…もう6月だからか、湿っぽくて少し暑いけれど…」

お嬢様「……」スタスタ

お嬢様「…見慣れた風景」

お嬢様「…見慣れた街並み…」

お嬢様「いつも代わり映えしないわね、この街は…」

お嬢様「…あら?花が咲いている…これってもしかして」スッ

お嬢様「やっぱり…朝顔ですわ」

お嬢様「とっても綺麗…こんなところに咲いているなんて…」

お嬢様「…朝顔の花言葉は、愛情の絆、固い約束…そんなところだったかしらね」

お嬢様「彼が好きな花だったわね、確か…」

女「…お嬢様?」

お嬢様「!」

お嬢様「…女…どうしてここに?」

女「…お嬢様こそ、どうしてこんな夜遅くに?」

お嬢様「私が先に聞いたのだから、あなたから答えなさい」

女「…はいはい、分かりました」

お嬢様「はいは一回よ」

女「……彼のことを、思い出してしまったんですよ」

お嬢様「!…あ、あなたもなの?女」

女「あなたも…?」

お嬢様「じ、実は私も彼のことを…ね」

女「…そうですか、お嬢様も…」

お嬢様「……」

女「……」

お嬢様「…今から八年前、だったかな?」

女「……」

お嬢様「…丁度、今の時期…」

女「…八年前の、六月…ですよね」

お嬢様「うん…あの時までは、私たち三人…いつも仲良く遊んでた」

女「…そうですね、あの時…までは…」

お嬢様「……」

お嬢様「…やめよ、この話は…」

女「…お嬢様」

お嬢様「忘れるって決めたでしょ…彼のためにもさ」

女「ですが…!」

お嬢様「…朝顔の花言葉、覚えてるでしょう」

女「…っ!」

お嬢様「つまりは、そういうことよ」

女「……」

お嬢様「さて!夜も遅いし、もう帰って寝ましょう?女」

女「…はい」

あげ

―翌朝―

女「お嬢様、お早う御座います」

お嬢様「んっ…おはよう、女」

女「…お嬢様、お客様がお見えになっております」

お嬢様「…えっ?こ、こんなに朝早くから…?」

女「はい…」

お嬢様「一体誰が…」

女「…私も、非常に驚いているところなのですが…その…」

女「…彼が…」

お嬢様「…!?」

女「思うところがおありでしょうが、ひとまず上がっていただいてよろしいでしょうか」

お嬢様「も…もちろんだわ、失礼のないようにして頂戴」

女「…かしこまりました」

女「ど、どうぞ…」

男「あはは、急にごめんね二人とも」

お嬢様「…男…本当に、男なの…!?」

男「おいおい、疑ってんの?それとも忘れちゃったか?」

男「…まあ、忘れてたとしても無理はないよな…最後に会ったの、もう八年も前だし」

お嬢様「とんでもないわ、あなたのことを忘れたりするもんですか!」

お嬢様「ねえ、女?」

女「ええ、もちろん…で、ですがお嬢様は彼のことは…」

お嬢様「しーっ!それとこれとはまた別ですわよ!!」

男「ふ、二人とも…?」

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