兎「BK201は電撃を操れるんだって」 俺「ふん、その程度なのか」 (25)

ミーンミーンミーンミーン

俺「にしてもやけに蝉がうるさいな、あの喫茶店にでも入ろうか」

兎「え、別に全然大丈夫だから入らなくてもいいんじゃない?」

俺「そうか、なら少し歩こう」

兎「あ、暑いし全然別に大丈夫なんじゃない?」

俺「・・・お前がそう言うんなら、我慢しよう」

兎「あ、ありがとう」

兎(背中に蝉が止まってるなんてとても言えない・・・・・・)

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俺「で、BK201の足取りは掴めたのか?」

兎「この街にいるらしいんだけど、それ以上の情報は・・・・」

俺「国に雇われたエージェントとは思えない活躍ぶりだな」

兎「うぅぅ!」

俺「そう睨んだ所で、俺のゴッドハンドに太刀打ちできるとでも?」

兎「うぅ・・・・」

俺「はっはっはっはっ、BK201の怯えた表情も見てみたいぜ」

俺「しかし、喉が渇いた」

俺「いい加減、あの喫茶店に入らないか」

兎(いつの間にか蝉が飛んでったみたいだ)

兎「ペットも入れるのかな」

俺「入れなかったら、入れる所を探すまでさ」

カランコロンカラン

俺「なにぃ!?」

バッ ドサァ

俺「俺にはゴッドハンドがあるぅ!」

兎「何やってんのさ、ただの鈴だよ」

俺「・・・・・」

俺「ああ、鈴だろうな。俺もそう思っていた、本当だからな」

兎「バカ」

店員「・・・・大丈夫でしょうか?」

俺「この店の売れ行きか?」

店員「はい?」

兎「・・・・・」

ギュ クィッ

俺「ん、なんだ?」

ヒョィッ

店員「おわっと、兎じゃないですかかわい」

兎「フンッ」

バチィン

俺「いたっ!?」

店員「兎がビンタした!?」

店員「そ、それではご注文が決まりましたらそちらのボタンでお知らせください」

俺「はい」

兎「まったく、あんたの対価は疲れるわね」

俺「対価かどうか、確証はないがな」

兎「確かに・・・対価が天然だなんて、信じてるの私ぐらいだもん」

俺「俺も信じてるぞ」

兎「はいはい、ちゃっちゃっと注文してよね」

俺「俺のおごりだから、好きなの頼めよ」

兎「兎が注文を頼むだなんて、ずいぶんメルヘンチックだこと」

俺「・・・・確かに」

兎「本当に変な対価・・・・・」

俺「なら、俺が注文すればいいだろ」

兎「いいの?」

俺「なに気を使ってんだよ、お前は孫悟空か!」

兎「孫悟空が何故出てきたのかよく分からないけど」

兎「ありがとう」

俺「おう、好きなの頼め」

兎「これがいい」

俺「よし・・・じゃ、店員さん呼ぶぞ」

俺「確か、ボタンで知らせるんだったな」

コトッ

俺「すみませーん!」

ブンッ ブンッ

兎「えっ」

プークスクス

店員「は、はいあのえっと」

俺「これと、これください」

店員「はぁ・・・あ、はい!」

俺「それとドリンクバーもお願いします」

店員「は、はい」

店員「それでは、少々お待ちください」

俺「はーい」

俺「あー、このパフェも頼んどきゃ良かったかな」

兎「・・・あのさ」

俺「なにー?」

兎「ボタン振り回して何やってたの」

俺「店員さん呼んでただけだけど」

兎「押すんじゃないの?」

俺「えー、でも店員さんがボタンで知らせてって」

兎「天然の域はみ出てるよ」

俺「・・・・」ズズッ

兎「・・・・」ハムハム

俺「・・・・」ズズッ

俺「・・・」ブクブクブク

兎「遊ばない」

俺「ごめん」



ザワザワ ザワザワ

俺「なんだ、騒がしいな」

兎「あ、あれじゃない?」



黒「いただきます」

銀「黒、粉チーズ」

黒「・・・ああ」

黄「ったく、喫茶店ぐらいは遠慮しろよ」

黒「美味そうだった」

黄「ここはなんでも美味いからな」

黄「じゃねぇよ、いくら休みだからってハメ外しすぎるなよ」

黒「ああ、無論だ」





俺「すごいな、大食い家族なのか」

兎「一人だけ外国人っぽいけど、家族なのかなぁ・・・・・」

店員「780円になります」

俺「はいはい」

チャリンチャリン

店員「えっと、820円・・・?」

店員「20円余計ですけど」

俺「えっ」



カランコロンカラン

俺「鈴!」

兎「そうだね」

俺「ふぅ、外は暑いなー」

兎「ねぇ、あっち行こうよ」

俺「散歩かー、いいなー」

兎「ね?いいでしょ、早く歩こうよ」

俺「お、こんな所にカラオケがあんのか」

兎「ふむぅ・・・・・」

ササッ

俺「あ、鳩だ」

兎「さっきの大食いイケメン、BK201だよ」

俺「俺もこれくらい胸を張って歩きけるようになりたい」

兎「これはツイてるわ、って聞いてる?」

俺「トゥルットゥー」

兎「鳴き真似うまっ!?」

黒「さっき出てった奴だな」

黄「ああ、違いねぇ」

銀「お店を出て、右50mの所でこちらの様子を伺っている」

黄「気づかれたか」

黒「問題ない」

店員「お子様ランチをご注文のお客様」

黒「あ、はい」

店員「こちらオマケのおもちゃなのですが」

黒「もらいます」

店員「取り下げ、あ、はい」

カチャ

黒「どうも」

店員「ではごゆっくりどうぞ」



黄「黒、お前・・・・おもちゃって」

黒「勘違いするな」

サッ

銀「・・・・ありがとう」

黄「けっ、見せつけてくれるねぇ」

俺「BK201って本当なのか?そっくりさんじゃないか?」

兎「そっくりさんだったら違うだろうけど・・・・・」

俺「どうして店で見かけた時に言わなかったんだ」

兎「すぐに仕掛けるんじゃないかって心配したからよ」

俺「そ、そうだな」

兎「出てきたら尾行するわ」

俺「おう!頑張って尾行しような!」

兎「なんか違う」



黒「ごちそうさまでした」

黄「くそっ、経費で落とせるんだろうな」

黒「銀、それは何のおもちゃなんだ?」

銀「友達が集めてる」

黒「プレゼントするのか?」

銀「カップリングを完成させたい」

黒「カップリング?」

黄「おい、そんな事よりもこの後どうするんだ?」

黒「右に行く」

黄「なに?」

黒「行くぞ」

銀「・・・」

ギュ

黄「ど、どうなっても知らねぇぞ」



兎「あ・・・BK201がこっちに歩いてきてる!」

俺「トゥルットゥー トゥルットゥー」

兎「すごいそっくり!?」

兎「じゃなくて隠れなきゃ!」

俺「えっ、えっ」

黒「・・・・」

銀「・・・」

黄「っくしょん!」

兎(ここならバレないでしょ)

兎(あれが・・・BK201、本当にかっこいいなぁ)

俺「トゥルットゥー トゥルットゥー」

兎(それに比べてこいつは・・・・・・)

俺「トゥットゥー トゥルットゥー」

黒(こ・・・こいつは!)



俺「トゥルットゥー トゥルットゥー トゥルットゥー」



黒(す、すごく上手い!)

銀(本物みたい)

黄(すげぇな)





俺「ふぅ、なんとかやりすごしたな」

兎「誰だって関わりたくないよ」

黒「さっきの見たか」

銀「・・・・」コクッ

黄「ああ」

黒「何を企んでいるのか読めなかった、こちらの様子を伺っているのかもしれない」

銀「・・・」コクッ

黄(鳩の真似に触れないのは、契約者の合理的判断ってやつなのか)

黒「銀」

銀「後ろをついてきている、距離は20m」

黒「この辺りに池や川は?」

銀「・・・こっち」

黒「誘導する、行くぞ」

黄「あ、ああ」

黄(鳩の真似について深く話がしたいぜ)





兎「あ、足を速めた」

俺「あれくらい、すぐに追い抜けるさ」

兎「もうわざとにしか聞こえないよぉ」

銀「ここ」

黒「池か、ここで迎え撃つ」

黄「人通りは・・・まぁ、ギリギリ対処できるってところか」

銀「来た」



ピョンピョンピョンピョン

兎「あんっ!もっ!見失った!」

俺「はぁはぁ、俺は高橋尚子のサインを持っているんだ」

兎「要らないよ、その情報」

バッシャーン

兎「なに!?」

俺「トビウオじゃないか」

兎「ここ池だって!」



黒「お前たちの目的はなんだ!」

俺「なんだBK201か、BK201!?」

兎「水も滴る良い男ね」



黒「俺は逃げも隠れもしない、来い!」

兎「逃げも隠れもしたじゃない!?」

俺「ふっふっふっ、BK201・・・・会いたかったぞ、黒の死神」

黒「鳩の・・・!」

兎「気を付けて、池に誘い込む罠よ」

俺「今行くぞ、お前を・・・これ罠なの?」

兎「ええ、それかナルシストね」

俺「罠か、どうする・・・考えるんだ、俺!」

兎「他に仲間がいたはず、それにこんな安っぽい挑発を仕掛けてくるあたり・・・・」

兎「BK201に注意を向かせて、その間に仲間が背後をとる」

兎「定石ね、いつもので行くわよ」

俺「なんかよく分からんけど、いつも通りでいいんだよな?」

カチャ

黄「お前に銃口が向けられてる事さえ分かれば、後はどうだっていい」

俺「はっ!?」

兎「くっ!」

ピョンピョン

銀「ウサギ」

ガシッ

兎「あ、ちょっとどこ触ってんの!」

銀「かわいい」

兎「かわいいって・・・・あ、あなたこそ」

黄「そのままじっとしてろよ、何か持ってたらあぶねぇからな」

サワサワ サワサワ

俺「えひゃひゃ、くすぐったいって!」

黄「仕方ねぇだろ、ほら動くな」

俺「ところがどっこいゴッドハンド!」

ガシッ

黄「な!?腕を離しやがれ!」

黒「どうした黄!」

俺「お前は水も滴らない」

黄「うわああああああああああ」

バッシャーン

黒「黄!」

黒「こ、これは」

黄「あひ・・・ひひ・・・・」

黒「まさか、電撃?」

銀「黒!」

黒「銀!」

俺「形勢逆転だな、BK201」

黒「銀を、放せ」

俺「ご、ごめん」

パッ

兎「えっ」

銀「黒!」

黒「銀!」

バシャバシャ

黒「銀、怪我はないか」

銀「大丈夫」

兎「なぁにしてんの!?」

俺「えっ、だって放せって」

兎「優しいけどさ!そういう優しい所好きだけどさ!」

兎「今は心を鬼にしようよ・・・・・」

俺「ご、ごめん」

黒「・・・何故だ、どうして銀を」

俺「お前とサシで勝負がしたい、それだけだ」

兎(それっぽい嘘ついた!)

俺「罠から出てこい、そういう卑怯な事はしないでくれ」

兎(人質とってたけどね)

黒「・・・いいだろう」

兎(いいのかよ!?)

カチャカチャ ドサッ

黒「能力は使わせてもらうぞ」

俺「勿論さ」

兎「か、勝てるの?」

俺「皆目見当もつかない、だが」

俺「俺が勝つ!」

兎「それを素直に聞かせてよ」

黒「行くぞ」

俺「来い!」

タタタタタ

黒「フンッ」

ブンッ

俺「ほっ」

スカッ

黒「かわしただと!?」

俺「もらったぜ!」

ガシッ

黒「しまっ・・・・」

俺「ゴッドハンド!」

黒「あひゃひゃひゃ、えひゃあひゃひゃ」

俺「これが俺の契約能力、ゴッドハンド」

俺「触れた者に極上のくすぐりを提供する、正にゴッドハンドだ!」

黒「ひゃっひゃひゃひゃ!ギブ!ギブ!」

俺「へっ!このまま窒息死させてやる!」

ガシッ

俺「ふぇっ?」









黒「俺は不感症だ」

俺「ア、ソウデスカー」

バババババババババ

俺「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

バババババババババ

兎「は・・・や、やめ」

兎「やめてくれ」



兎「やめてくれぇ!」



黒「・・・・・」

ドサッ

兎「俺!」

俺「兎・・・すまない」

兎「いいんだ、あんたはよく頑張った」

俺「兎だけでも逃げてくれ・・・・・」

兎「俺!俺!しっかりして!」

黒「気絶しているだけだ」

兎「そ、そうなのか・・・信じていいよな、信じていいんだよな」

銀「大切な人・・・?」

兎「・・・・・別に全然そんなじゃない」

兎「ただ、私は兎だから」

兎「こいつにいなくなられると、寂しさで死んじゃうよ」

黒「好きにしろ」

黄「お、おいおい黒!」

黒「こいつらは敵じゃなくなった」

兎「み、見逃してくれるのか?」

黒「ああ・・・・だから、大切にしてやれ」

ザワザワ ザワザワ

俺「うぅ」

兎「目が覚めた?」

俺「兎、逃げないのか」

兎「私は兎だから、一人ぼっちにしないでよ」

俺「はは・・・なんだか騒がしいな」

兎「通行人だね、救急車をよんでくれたみたい」



ザワザワ ザワザワ

「救急車が通りまーす!道を開けてくださーい!」



俺「本当だ、早いね」

兎「・・・・かっこよかった」ボソッ

俺「なに?」

兎「聞こえないように言ったから」

ブォーン

兎「救急車の中なんて初めてかも」

俺「俺もだ」

「なぁ、これちょっと見てくれ」

「なんだ、どうしたんだ」

シャッ

俺「なぁ、兎」

兎「なにー?」

俺「さっきは騒がしくて聞こえないフリしたんだ」

兎「な!?」

兎「ぐぬぬ」

カチャ カチャ

俺「人生で一番嬉しかった、好きな人に言われたからかな」

兎「・・・・・ありがとう」

兎「でも私、兎だよ?」

俺「心は人のままさ、それも魅力的な・・・・」

カシッ カシッ

兎「天然のあんたに言われると、本気にしちゃうじゃない」

カチャ

俺「契約者じゃなくても、君にこの想いを伝えるはずだ」

兎「やめてよ・・・・もう覚悟を決めたのに」

俺「愛してる」

カチャ

兎「・・・・どうして言っちゃうかな」

俺「悔いは残したくない」

兎「・・・・私も愛してる」



「撃て」

バァン バァン

黄「あいつらの墓、か」

黒「ああ」

黄「ったく、もっと有意義な金の使い道があっただろうが」

黒「あの二人は天に召された」

黄「お前が宗教に目覚めるなんてな、黒?」

黒「宗教や墓に意味を見いだせないが、これも有意義な金の使い道なんだろう」

銀「でも、黄のお花が一番大きい」

黄「う、うるせぇ」



終わり

分からない所や聞きたい事があったら、自分で答えを導き出せるといいですね

おやすみなさい

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