冷やし中華はじめました。(66)

男「あちー。」

女「今日も暑いね~。」

男「あ~、腹減った。昼飯何にしよう。」

女「冷やし中華!」

男「冷やし中華?」

女「うん!」

男「やだよ。」

女「え~。なんで~。」

男「単純に不味い。」

女「え~。昔は美味しいっていってくれてたじゃん!」

男「あれは無理してたの。それに冷やし中華食うと咽るから嫌だ。」

女「それは男ちゃんが勢いよすぎるんだよ。」

男「違う。それに酸っぱいのも訳わからん。」

女「じゃあさ、じゃあさ!」

男「?」

女「酸っぱくない冷やし中華作ったげるよ!」

男「いやいいよ。」

女「え~。なんで~。」

男「夜はそうめんを茹でるから。」

男「あ、電車来てる。」

女「だっしゅ!」ダッ

男「あ、待てよ!」

女「へへ~♪ 先についた方にアイスね!」

男「ちょ、汚ねえぞ!」

~電車内

男「ぎりぎりセーフ!」

女「ちぇ、あとちょっとで勝てたのに・・・」

男「ふう~。車内はクーラーが効いてて涼しいな~。」

女「あ、男ちゃん。席開いてるよ!」

男「お、ラッキー!」

男「駅に着くまでちょっと眠ろうかな。」

女「いいよ。着いたら起こしたげる♪」

ギャハハ ザケンナヨー

男「んだよ、うっせぇな・・・」

女「あ・・・」

老人「・・・」ウロウロ

少年1「でさー。俺言ってやったわけ。」

少年2「すげー。」

少年3「流石1!俺たちにできない事を平然とやってのけるッ そこに痺れる!憧れる!」

ギャハハ

男「・・・馬鹿馬鹿しい。」

女「・・・」

女「ねえ!おじいさんに席譲ってあげて?」

少年1「ってことがあってさ~。」

少年2「マジか~。」

少年3「羨ましすぎwwww」

女「ねえってば!」

男「・・・じいちゃん、こっち座んなよ。」

老人「ああ、どうもありがとね。」

男「いえ、すぐ降りますから。」

少年1「・・・」

少年2「どうしたん?」

女「えへへ、男ちゃんは優しいね。」

アナウンス『次は~○×~。○×に停まります。』

男「あ、それじゃあ。」

老人「どうもね。気をつけてね。」

女「おじいちゃん、バイバイ。」

男「さて、こっからは歩きか。」

女「もうちょっとだね。」

男「お前、今日はどうすんの?」

女「う~ん。パパさんにも会いたいから男ちゃんち行く!」

男「・・・実家の方に一度行った方がいんじゃねえか?」

女「うん。それは明日。明日いくよ。」

男「・・・そっか。」

男「そんじゃ行きますか。」

女「お~う!」

少年1「おい!待てよ!」

男「え?」

少年1「見た顔だと思ったら、お前『男』だろ?」

少年2「え?なになに?知り合い?」

男「・・・そうだけど。君は?」

少年1「へへ、あんたよりいっこ下だから面識はないだろうけど・・・」

少年3「なになに?なんなの?」

男「・・・用がないならいくぜ?」

少年1「んな偉そうな口きいちゃっていいんすか?人殺しが。」

男「・・・」

少年2「あ!もしかしてこいつ・・・」

少年1「そうだよ。」ニヤニヤ

少年3「え?え?ちょっと説明してよ。」

少年1「去年あっただろ明け方、海で・・・」

少年3「ああ!あったあった!」

少年2「まじで!もう出てこれたの?」

女「違う!あれは事故で・・・」

男「・・・もういいよ。」

少年1「あ?」

少年2「何言ってんの?」

男「お前らに迷惑かけてないだろ?」

少年1「『迷惑かけてないだろ?』だって?」

少年3「ぎゃはは。」

少年1「人殺しのくせして、爺さんに席譲ったり罪滅ぼしのつもりかよ。」

少年2「そういうことされっと俺らが不親切みたいじゃん!」

女「事実、不親切でしょ!」

少年3「あんたみたいなの存在自体が迷惑なんだよ!」

少年1「というわけで迷惑料のお支払おねがいしま~す。」

女「はあ?なにいってんのよ?」

男「結局のとこカツアゲかよ。」

少年2「うっせえ!」ガッ

少年1「おいおい。いきなり殴っちゃうとか・・・」ボカッ

少年3「そういって手出してんじゃんwww」ドカッ

男「くっ・・・」

女「やめて! 誰か!」

少年1「どうしたの?手出してもいいんですよ?」ガッ

少年3「もし手を出しても・・・」

少年2「きゃー、こーろさーれーるー(棒)」

少年3「ぎゃはは。お兄さん早く出すもん出した方がいいんじゃない?」

男「やめ・・・ろ」

少年1「やめろ?やめてくださいでしょ?」

少年2「まったく口のきき方がなってないな~。」

?「おい。」

少年3「あん?」

?「おらっ!」ドカッ

少年3「ぎゃっ!」

少年2「お、おい!大丈夫か?」

?「よそ見してんなよ。」ガン

少年2「うわっ!」

?「次はお前か?」

少年1「ひっ!」ダッ

少年2「ま、待って!」

少年3「ひい~。」

?「ふん。」

女「あ、ありがとうございました。」

男「・・・すみません。」

?「情けない奴。」

男「」グッ

女「ちょっとそんな言い方・・・」

男「あの、失礼ですがお名前を教えてもらえませんか?」

?「オレ?不良女。」

男「あの、なにかお礼を・・・」

不良女「ああ、いいよ。別に。じゃ急いでるから。」

女「ちょっとなんなの!?」

男「・・・」

女「なんだか大変な目に会っちゃったね。」

男「ああ。」

女「怪我だいじょうぶ?」

男「ああ。」

女「・・・」

男「ごめん。ありがと。心配してくれて。」

女「ううん。こっちこそ。何もしてあげられなくてごめん。」

男「いいんだ。大丈夫。」

女「うん。」

男「ああ、家がみえて来た。」

~自宅

男「ただいま。」

女「こんにちは~。」

父「お帰り。」

男「うん。」

女「パパさんこんにちは。」

父「よく来たね。長旅で疲れたろ。」

男「しばらく厄介になります。」

女「お世話になります。」

父「そんな他人行儀にならなくていいんだよ。家族なんだから。」

男「いや、ははは。」

父「ごはん、ちゃんと食べてる?」

男「うん。」

父「少し痩せたね。」

女「いつもカップめんだもんね。」

男「家にいた時みたいにお菓子とか食えないからね。」

父「じゃあ、晩ごはんは豪華にしてあげないとね。」

男「楽しみだな。」

男「荷物部屋においてくるわ。」

父「ああ。部屋はそのままになってるから。」

男「っつてもバック一つだけだけどね。」

~自室

男「うわ。部屋あっちい~。」

女「パパさん。元気そうでよかったね。」

男「うん。」

女「怪我のこと何にも聞かなかったね。」

男「昔からちょっと放任主義的なとこあったから。」

女「信頼してくれてるんだ。」

父「男~。ごはんどうする?何が食べたい?」

男「父さんが作ったものなら何でもいいよ。」

父「うれしいこと言ってくれるじゃないの!」

女「あはは。パパさんほんとに嬉しそう。」

男「ああ~。本当に家に帰ってきたんだな。」ゴロゴロ

女「ふ~。風が気持ちいい~。」

男「おい。あんまり顔出すなよ。危ないぞ。」

女「あ!ネコちゃん。こっちゃこいこっちゃこい。」

猫「にゃ~」ダッ

女「あ~ん。」

女「あ!ねえ、男ちゃん!」

男「あん?」

女「昔、駄菓子屋さん行ったじゃない?」

男「おばあちゃんが一人でやってる店?」

女「そうそう。まだやってるかな?」

男「どうだろな・・・ このご時世だし潰れちゃったかもな。」

女「ね、ね!行ってみようよ!」

男「う~ん。晩飯までは、まだ時間あるし・・・」

女「ね~。行こうよ~。」

男「そうだな。ちょっと散歩してみようか。」

女「わ~い♪」

女「それでは、われわれ探険隊はこれより幻の駄菓子屋を探しに出る!」

男「お、おう。」

女「それでは点呼! 1!」

男「2」

犬「わん!」

女「あ~!わんわんおだ!」

男「父さんが散歩連れてって欲しいってさ。」

犬「わふわふ」

女「よ~しよしよしよし。」ナデナデ

男「なあ。そろそろいおこうぜ。」

女「おやおや男君。私と犬の関係に嫉妬しているのかい?」

男「馬鹿言ってんな。暑いんだから。」

>>37

 ×そろそろいおこうぜ。

 ○そろそろ行こうぜ。

男「たしかこの道を行くと・・・」

女「ふふふ。探検探検♪」

男「子どもの頃は知らない道を行くこと一つが冒険だったっけ。」

女「男ちゃん、帰れなくなったらどうしようってびくびくしてたよね~。」

男「そ、そんなわけないじゃん!」

女「あはは!」

男「そうかこの道ここに繋がってたのか。」

女「お!小学校がすぐ近くに見えるよ!」

男「おお!懐かしいな・・・」

女「寄っててみようか?」

男「いややめとこ。学校が見えたってことは神社が近くにあるはずだから・・・」

女「おお!神社発見!」

男「おっ!神社久しぶりにきたな。」

女「ちょっとお参りしようよ。」

男「おう。」

~境内

男「五円玉、五円玉。あ、二人分で十円でいいか。」

女「横着って怒られるかな?」

男「大丈夫だろ。えっと一礼二拍手?」

女「たしか二拝二拍手一拝 かな?」ペコペコ

男「よし。」パンパン

女「よし!ばっちりだ!」

男「何お願いしたんだ?」

女「へへ、ナイショ。男ちゃんは?」

男「・・・女といつまでも一緒にいられるようにって。」

女「え?」

女「そうだ、駄菓子屋さん!探しにいこ!」

男「あ、ああ。」

女「たしかこの先に坂があったよね!」

男「ああ。坂下った左に店があったはずだ。」

女「だっしゅ!」ダダッ

男「お、おい待てよ!」ダッ

女「到着!おお~。男ちゃんあったあったよ!」

男「おお!懐かしいな。」

女「こんにちは~。」

男「こんにちは。」

女「いませんか~?」

男「あけっぱで不用心だな。いや昔からこんな感じだったか。」

女「ね!ね!アイス買おうよ!」

男「晩ごはん食べられなくなるから1本だけな。」

女「わ~い♪」

男「すみません。これくださ~い。」

女「パピコ♪パピコ♪」

しーん

男「すみません~!」

?「は~い。ばあちゃん、お客さんだよ~。」

?「いないの?」

?「ごめんなさい、今行きま~す。」

?「ごめんなさい。お待たせしました。」

男「いえ・・・あ。」

不良女「あ、さっきの。」

女「むっ」

男「ど、どうも。」

不良女「い、いらっしゃい。」

男「ここんちの子だったんだ・・・」

不良女「ば、ばあちゃんがやってるんだけど、今ちょっといないみたいで・・・」

男「そ、そうなんだ・・・」

不良女「う、うん。」

男「おばあちゃん思いなんだ。えらいね。」

不良女「そんなことないよ、ねえよ・・・///」カァァ

男「・・・」

不良女「・・・」

女「・・・男ちゃん、アイス。」

男「ああ、そうだ。これください。」

不良女「ああ。えっと百円 だったかな?」

男「はい。」チャリン

不良女「まいど。」

男「そうだ。半分あげるよ。」

女「え!」

不良女「え?でも・・・」

男「さっき助けてもらったお礼だから。」

不良女「い、いいよ。そんな悪いし・・・」

男「いや受け取ってくれ。俺の感謝の気持ちだから。」

男「助けてもらっといてこんなことしかできないけど。」

不良女「・・・」

男「すまん。なんか気持ち悪いよな、突然。」

不良女「いや、そんなこと・・・あるかも。」

男「あんのかよ!」ズルッ

不良女「ははは。あんた変な人だな。」

男「ははは・・・」

不良女「わかった。これありがたくいただくよ。」

不良女「そのかわりにまた来てくれよ。」

男「え?」

不良女「あ!店にって意味だかんな!」

不良女「最近は不景気とか少子化でお客さん減ってきてるし・・・」

男「そっか。わかった。また来るよ。」

不良女「ほんとか!」

男「ああ。」

男「また来るよ。」

女「・・・」

男「すっかり遅くなっちゃったな。」

女「」ムスー

男「なんだよ。何怒ってんだよ。」

女「べっつにぃ~。怒ってなんかいませんよ~だ。」

男「怒ってんじゃん。」

女「・・・男ちゃん。」

男「なんだよ?」

女「男ちゃんは私がいなくなっても平気?」

男「な、なんだよ。急に。」

女「・・・ごめん。変なこと聞いて。」

男「どうしたんだよ。なにか・・・」

女「ううん。ちょっと疲れちゃっただけ。」

女「おうちについたら今日は先に休むね。」

~自宅

男「ただいま。」

父「お帰り。ゴハンできてるよ。今夜は焼き肉だよ!」

犬「わんわん!」

父「お前さんのぶんもあるからな~。」

男「いただきます。」

父「召し上がれ~。」

男「焼き肉久しぶりだな~。」

父「一人暮らしじゃなかなかできないもんね。」

父「ところで男君はいつまでこっちにいられるの?」

男「う~ん。学校がはじまるのはまだ先だけど・・・」

男「課題とかあるから2、3日ってとこかな。」

父「そっか・・・」

父「学校は楽しい?」

男「うん。勉強は楽しいよ。」

父「友達 できた?」

男「・・・うん。」

父「そっか。」

父「彼女は?」

男「ぶっ!」

父「はははははははは。男君は本当に素直だな~!」

男「ふう。御馳走様でした。」

父「お粗末さまでした。」

男「あ、片付け手伝うよ。」

父「ああ、いいよ。今日は疲れたでしょ?のんびりしなよ。」

父「そうだ。お風呂湧いてるから入っておいで。」

男「なんか至れり尽くせりだね。」

父「大丈夫。その代り明日はお願いしちゃうから。」

男「ははは。」

男「ふう。今日はいろいろあったな。」

男「そういや女、着替えとかどうするんだろう?」

男「気分悪そうだったしちょっと様子見てくるか・・・」トトト

男「女?」カチャ

男「あれ?いない?」

男「トイレか?」

男「お~い。」コンコン

父「入ってま~す。」

男「あ、ごめん。」

男「女、どこ行っちゃったんだ・・・?」

男「もしかして着替え取りに家に戻ったのか?」

男「こんな時間に何も言わずに?」

男「父さん、ちょっと出てくる!」

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