慎二「僕の」士郎「バラ色学園生活は」凛「何処へ」 (336)

注意

再構成
慎二の性格が少し良い
士郎が少し普通になっている
慎二と凛の関係は原作より良好
設定を少し改変しています

投下遅いかもしれませんが、宜しくお願いします!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428041754

1月30日

〜間桐邸〜

慎二「なんだよ、突然呼び出して」

臓硯「聖杯戦争に参加したいか問おうと思ってな。慎二、聖杯戦争に参加する気はあるか」

慎二「は? 僕はサーヴァントを召喚することなんてできないんだ。それを知っててそれを尋ねるの?」

臓硯「無論お前にサーヴァントを召喚させはせん。不可能だからな」

臓硯「しかし、桜は召喚することができる。桜が召喚したサーヴァントをお前が使うことができるようにする術もある」

慎二「さ、桜が召喚出来るのなら桜が参加すればいいじゃないか」

臓硯「ほう。お前がそう言うのなら無理に参戦はさせないが、わしらを見返すチャンスだとわしは思うが」ニヤ

慎二「何故僕に参戦の権利を譲ろうとするんだ」

臓硯「そんなの、桜が参戦したくないと言ったからだ。慎二、お前は桜の兄だ。故に妹の重荷を背負ってやるものではないか?」

臓硯「それにわしも可愛い孫である桜の望みは出来るだけ叶えてやりたいからな」

慎二「そうかよ……」

慎二(確かに僕が魔術の才能が全くないのは許せないし、僕より格下であるはずの桜に哀れまれていると知った時は劣等感があった)

慎二(もちろん今も劣等感はあるし、皆を見返してやりたいという気持ちもある。でもそれは命をかける程だろうか)

臓硯「すぐには決まらんか。まあ当然だろうな」

慎二「……」

臓硯「いいだろう。聖杯戦争が始まるまでに決めるといい」ポイッ

慎二「な、なんだよ、これは」パシッ

臓硯「それは偽臣の書と言う。一度きりの令呪のような物だ。参加する気になったらそれを意識してライダーを呼べ」

慎二「ライダーって、サーヴァント!?」

臓硯「ライダーは今回桜が召喚したサーヴァントのクラスだ」

慎二「もう、召喚していたのか……」

臓硯「まだ揃っていないサーヴァントはアーチャーとセイバーだけだ。その2体が召喚されるまでに決めろ」ズルッズルッ…

慎二(無視かよ。僕が知らない間に桜はサーヴァントを召喚していたのか)

慎二(僕はどうするべきなんだ?)



1月31日

〜昇降口前〜

慎二「ふぅ。たまには朝練に参加してやるか。桜もうるさいし」ノビー

慎二(昨日の爺さんの話が頭から離れないし気分転換だ。あまり考え続けるのも良くない)パンパン

凛「あら、間桐君じゃない。おはよう」

慎二「お、遠坂か」

慎二(そう言えば遠坂は魔術師だったな。聖杯戦争には参加するのか? いや、ここで聞くことじゃないか)

凛「な、なにかしら、そんなにまじまじと見て。今日学校来るの早いな、なら聞きあきたけど」

慎二「いや、そういうわけじゃないんだ」

凛「そう、ならいいんだけど。顔色悪いわよ?」

慎二「そ、そうか? 夜遅くまでテスト勉強をしていたからか?」アセアセ

凛「そう。まあ、辛くなったら保健室でも行けばいいものね」ウンウン

慎二「そうだな」ウンウン

凛「それじゃあ」タッタッター

慎二「さってと、僕も部活行きますか」



〜教室〜

ワイワイ ガヤガヤ

慎二(はぁ、久々にやると結構疲れるもんだ……でも、いい気分転換にはなったか)ヘナー

士郎「美術部のストーブは昼休みだな」タッタッ

一成「ああ」タッタッ

慎二(衛宮か……)スック

慎二「朝から騒がしいね、衛宮。部活やめてから何やってるのかって思ってたけど、生徒会長の太鼓持ちかい?」

一成「あっ……」

士郎「慎二も何かあったら言えよ。手伝えることがあったら手伝うぜ」スッ

慎二「なっ、余計なお世話だ。とにかくお前は部外者なんだから道場に近づ……いや、なんでもない」

慎二(本当に変わってないな……今日の僕はいささか感傷的過ぎるぞ?)

士郎「うん? 言いたいことがあるなら言えよ」

慎二「なんでもない」タッタッ

慎二(マジで体調悪いのか? イライラするなあ)ハァ

〜放課後〜

慎二「あぁ、やっと終わった……」グデン

後輩「お疲れ様です、間桐先輩! 帰りご一緒してもいいですか?」タタッ

慎二「いや、今日は一人で帰りたい気分なんだ。また今度で」ニコッ

後輩「あ、はい」アセアセ

慎二(さっさと帰ろう)

〜外〜

慎二「……」トコトコ

士郎「お、慎二じゃん。おーい!」ブンブン

慎二「あれ、衛宮か」

士郎「今帰りか?」

慎二「まあそうだけど」

士郎「そうか、俺は新都でバイトだから途中までは一緒だな」

慎二「一緒に帰る前提かよ」

士郎「いいじゃないか、一人一人で帰っても淋しいだけだろ?」

慎二「まあいいけど、別に」フイッ

士郎「はは、こうやって帰るのいつぶりだろう」タッ

慎二「そうだな……高一の頃以来じゃないか?」

士郎「そっか、俺が部活やってた頃は何だかんだで帰ることがあったけど、俺が部活辞めたら慎二は後輩の女の子と帰ったり、サボったりで時間が合わなかったんだよな」

慎二「なんだよ。そう言われるとそんなきもするけど」

士郎「そう言えば今日は女の子を引き連れてないんだ」

慎二「気分だ。き、ぶ、ん!」

士郎「そうか。おっと今日はここで。また明日な、慎二」テフリフリ

慎二「おう」

慎二(たまにはこういうこともいいな……)


2月2日

〜教室〜

慎二(昨日はセイバーは召喚され無かった。でも、昨日の未明にアーチャーは召喚されたらしい。決断のリミットは刻々と迫ってくる)ハァ

慎二「後三週間でテストか。本当に面倒くさいな……」ゴソゴソ

慎二(僕はどうするべきなのか……まだ決まらないなんて、なんか最近おかしいぞ?)

女生徒「慎二くん! 一緒に帰ろうよ」

慎二「いいよ。準備終わるまで待っててくれる?」

女生徒「もちろん!」

後輩「間桐先輩、私もご一緒していいですか?」

慎二「大丈夫だよ」

女生徒(後輩のクセにしゃしゃり出てきやがる)ムカァ

後輩(違う学年なんだから放課後くらい二人でいたいのに)ムカァ

慎二「よし、帰るか」カタン

慎二(それにしても聖杯戦争が始まるというのになんの変化もない日々)

女生徒「慎二くん、どこか寄りたい所とかある?」ギュッ

後輩「間桐先輩、ご飯食べに行きませんか?」ギュッ

慎二「いや、今日は遠慮しておくよ」

慎二(やっぱり人間、自分の身に何も起こらなければ何も変わらないんだな)

女生徒「ふーん。そっか、たまにはそういうのもいいかもね」

後輩「分かりました。でも一緒に帰れるならそれでいいですよ」

士郎「お! 慎二」テフリフリ

慎二(僕に爺さんが持ってきたイレギュラー。桜の代わりに僕が戦うという聖杯戦争)

士郎「慎二くん?」オーイ

慎二(魔術師同士の戦いってのに勝てば僕の強さを証明できる。でも殺し合いだ)

女生徒「慎二くん?」テフリフリ

慎二(昨日アーチャーは召喚されたんだから残るはセイバーだけ。セイバーが召喚されたら聖杯戦争は開幕だ)

後輩「間桐先輩?」テフリフリ

慎二(セイバーが召喚されるまでに決めないといけない。いつその時が来るか分からないのだから早く決めなくてはならない)ウムム

士郎「おい、慎二!」

慎二(僕が参加しないって言ったら爺さんは強制的にでも桜に参戦させるだろう)

慎二(一応といって偽臣の書ってのも渡されたけど……これを使ったら参戦する意思があると思われてしまう)

士郎「しーんーじー」ペシペシ

慎二「は! 衛宮か? どうしたんだよ」

士郎「どうしたもこうしたもないよ。何ボーっとしてるんだ?」

慎二「いや、考え事かな……」トオイメ

士郎「ふーん、あまり思い悩むなよ?」

慎二「大丈夫だ。そうだ、衛宮。弓道場の掃除しないか?」

後輩「えー、それって間桐先輩が頼まれてたんじゃないですか?」

慎二「大丈夫。僕も行くから。済まないけど二人は先に帰ってくれるかな」

女生徒「はぁ、仕方ないなー。ほら行くよ、後輩」

後輩「ふえええええぇぇ」ズリズリ

士郎「引きずられて行った……俺に任せて行けばよかったのに」

慎二「いや、考え事しているときに左右から声か入るのが嫌なだけなんだ」ハァ

士郎「そうか。じゃあ弓道場行こう。たまには二人で掃除ってのもいいかもな」

〜弓道場〜

慎二「ふう、掃除って結構面倒なんだな」

士郎「慎仁はちょっと窓拭いただけだろ?」ジャブジャブ

慎二「それだけでも面倒だったんだよ。僕かいうのもあれだけどよくこんなことできるな」

士郎「俺の仕事で皆に喜んでもらえるならそれでいいんだよ。だから慎仁も衛宮に頼めたやったーって女の子達と遊びに行けばよかったのに」ギュー

慎二「だーかーら! 僕は考え事をしていたの! 黙々と掃除する衛宮といた方がゆっくり考えられるんだよ!」

士郎「そっか。そっちの方がお望みならそれでもいいけど」フキフキ

士郎「そう言えば、桜の手のあざってお前の仕業か?」

慎二「あざ? そんなの僕は知らないよ」フン

慎二(令呪?)

士郎「んー、ならいいんだ」フキフキ

バキン! カキン!

慎二「何の音だよ……」ビクッ

士郎「鉄が打ち合う音?」

慎二「衛宮、さっさと帰らないとまずいんじゃないの? 危うきに近寄らず、だろ?」

士郎「行ってみよう」スッ

慎二「ええ! 衛宮君は僕の言ったこと聞いてたのかな!?」

士郎「嫌なら慎二は待っていてもいいぞ」タッ

慎二「いや、一人の方が危ないから、ちょっと待てよ! 衛宮!!」タッ

書き貯めを全部投下しちゃっていいんですかね?

〜運動場〜

ランサー「てぁ!」ギギギ

アーチャー「うぉおおお!」パキン

士郎「はぁはぁ」

慎二「お、追いついた」ゼエゼエ

慎二(あれは……サーヴァントと遠坂!?)

慎二(セイバーがまだ召喚されてないのに聖杯戦争開幕かよ)

慎二(いよいよ僕も決めなくちゃダメか……)ブルブル

ランサー「チッ、ニ刀使いか」ザザァ

アーチャー「……」サッ

ランサー「弓兵風情が剣士の真似事とはなぁ!」ザッ

慎二(ということは双剣使いがアーチャーで槍使いがランサーか)

ガキン キン カキン ジャキン バキッ

ランサー「二十七。それだけはじき飛ばしてもまだあるとはな」スッ

アーチャー「どうした? 様子見とはらしくないな。先ほどの勢いはどこへ行った」

ランサー「チッ、たぬきが。減らず口を叩きやがる」

ランサー「いいぜ、聞いてやるよ。てめぇどこの英雄だ? ニ刀使いの弓兵なんざ聞いた事がねぇ」

アーチャー「そう言う君は分かり易いな。槍兵には最速の英雄が選ばれるというが、君はその中でもよりすぐりだ」

アーチャー「これほどの槍士は世界に三人といまい。加えて、獣の如き敏捷さといえばおそらく一人」

ランサー「ほぉ? よく言ったアーチャー」

ランサー「ならば食らうか、我が必殺の一撃を」オォォォオ

アーチャー「止めはしない。いずれは超えねばならぬ敵だ」

慎二(あれは、宝具! 早く逃げなくちゃまずい)

士郎「な、なんだよあれは……ま、魔力が尋常じゃない」ザザッ

ランサー「誰だ!」ダッ

慎二(見つかったら、殺される!)

慎二「逃げるぞ、衛宮!」ニギッ

士郎「分かってる!」ダッ


〜校内〜

慎二「はぁ、なんとか逃げきれた……か」

慎二(危うく殺されるところだった……やっぱり殺し合いだな)ガクブル

士郎「助かった、慎二」ハアハア

慎二(ってもうサーヴァントの気配! ランサーが追いついてきたってことかよ!)

ランサー「よぉ」ザ

慎二(仕方が無い!)ギュッ

慎二「ライダー!!」シュン

カキン

ランサー「な、何者だ!」

ライダー「慎二、下がってください」ジャラララ

士郎「あ、え?」ポカーン

慎二「ボケっとしてるな! 逃げるぞ衛宮!」パシッ

ランサー「あの青いのはマスターだったのか。魔力は感じなかったんだが……まあいい。さっさとどけ」ジャキ

ライダー「私の役割は彼らを逃がすこと。それを邪魔しようとするのでしたら、排除するまで。その辺を彷徨いていたかいがありました」ジャリッ

慎二(狭いところでの戦闘ならライダーでも何とかなるはず……)タッタッ



〜外〜

士郎「なんなんだよ! あれは」ゼエゼエ

慎二「とにかく逃げるのが一番大事だ。できればふたり一緒にいたいんだけど」

慎二(怖いし、僕が放っておいて衛宮が死んだら寝覚めが悪い)

士郎「俺の家でいい。今日は誰もいないはずだから」ダッ

慎二「わかった」ダッ

慎二(桜に衛宮を見せたらその後の動きがやりづらくなる。それに僕はライダーを使ってしまった。もう聖杯戦争に参加する他ない)ハア

慎二(やるからには死なないように立ちまわなくちゃダメだ)

今日の投下はここまでです。

逃がすだけならなんとかなるかなって思ったんですけど……どうなんでしょう。


ライダー「……」ジリッ

ランサー「……」ジリッ



ランサー「おい、仕掛けてこないのか?」

ライダー「ふっ、心配には及びません」

ランサー「そうかよ。なら」ダッ

ランサー「こちらから仕掛けさせてもらうぜ」ブン

ライダー「待ってましたぁぁ!!」ジャララジャララ

ランサー「はん! 拘束なんて効かねえよ」グググ

ライダー「……では」パリン シュー

ランサー「待てっ! 逃げるのか!」バリッ
パッ

ランサー「くそっ、逃げられたか」タッタッ

ライダー「待ってましたぁぁぁあ」
かわいい

ライダー「待ってましたぁぁ!!」かわいい

〜凛の方〜

凛「まだ生徒が残っているなんて……」タッタッ

アーチャー「凛、ランサーがサーヴァントと交戦していた。クラスはわからないが」シュワンワ

凛「参戦しないで。とにかく倒れている生徒がいるかどうかをたしかめてきて」タッタッ

凛「私もすぐ追いつくから」タッタッ

アーチャー「分かった」シュン

凛(クソっ、なんて間抜け。目撃者は消すのが魔術師のルール。それが嫌だったから今まで気をつけてきたのに)タッタッ

アーチャー「学校中全て回ったが、ランサーと何者かの交戦の跡以外血痕も怪我人も居なかった」シュワンワ

凛「そう。ってもう戦闘終わったのね」

アーチャー「ま、あの一般人達が逃げ切ったとしても、あのランサーは追い続けるだろう」シカト

凛「そうね。安心してる暇はないわ。とりあえず深山町から探してみましょう」

アーチャー「そうだな」シュン

〜衛宮家〜

士郎「今日は藤ねえも桜もこないからあいつに備えられる」ガチャ

ライダー「はい。ランサーは撒けましたが、またいつ来てもおかしくありません」シュン

慎二「助かった、ライダー」

ライダー「マスターの命を守るのは当然です」

士郎「助けてくれてありがとう。で、慎二、この人は何者なの?」

カランカランカラン

士郎「もう来たのか!」

ライダー「説明する暇はないようですよ」ジャリッ

慎二「もう来たのかよ」ジワッ

慎二(間桐さんは本当に不幸だ……)

ライダー「上です!!」ザシッ

ランサー「ふん、マスターだったんだな。それならちゃんと戦おうぜ。逃げ腰は男らしくねぇ」スタッ

士郎「もうポスターでいい! トレースオン!」パシッ

ライダー「早く逃げて下さい!」ジャラララ

慎二「ひええ!」ドサッ


ランサー「そう二度も逃がすかよ!!」ダッ!・ シュン

慎二(窓に回り込まれた)

ライダー「奥の窓から! 私が止めます!」ジャキッ

カキン ガリガリ

士郎「ほら、逃げるぞ」グイッ パリン

慎二「済まない」タッタッ

ランサー「おいおい、邪魔ばっかりしてくれるなよ」ズサァァ

ライダー「魔術の隠匿はされてます。聖杯戦争のためでも私のマスターはともかく彼を襲う必要はないでしょう」ジャラララ

ランサー「んなの気分だよ。気分ってことでいいだろ。いい感じの戦いを邪魔されたんだ。それに不確定要素を消すのは当然だろ? 七人目かもしれないしな」スッ

ライダー「そうですね。ではマスターの命に従い、私はあなたの邪魔をさせていただきます」ジャリッ



〜土蔵〜

士郎「はあ、はあ。ここなら見つからないか」ドサッ

慎二「死ぬかと思った。やっぱりマジな殺し合いだな」ゼエゼエ

士郎「殺し合い?」

慎二(僕の知識も怪しいけど、つたえておかなくちゃ、衛宮は知らないだろうし)

慎二「そうだよ、衛宮。お前はもう魔術師同士の争いに巻き込まれてるんだ」

士郎「魔術師……同士だと?」

慎二「そうだ。衛宮だって魔術師なんだろ? 僕は知らなかったけど」

慎二(強化? を使っていたからな)

士郎「まあ、一応」

慎二「そうか」

ドドン!・ ガガガガッ

慎二「ち、ライダーやられたのか?」ゴソ

士郎「……」グイッ

慎二「なんだよ」

士郎「なんだか良く分からないが、外は見ない方がいい。居場所がバレるだろ。あの、ライダーにはもうひとふんばりしてもらうけど……」シュン

慎二「ああ、そうだな」

慎二(サーヴァントなんて道具に……過ぎないもんな)

士郎「とりあえず俺達はあの青い人が居なくなるのを待てばいいんだろ」スッ

慎二「そうだ。居なくなれば僕らも一応は安心出来るはずだ」


ライダー「!!」ザクッ ダラダラ

ランサー「ふぅ、死ななくてもいいが、そこでじっとしていてもらおうか」ズボッ

ランサー「さ、隠れてるところは分かってんだ。微弱ながら魔力を感じるぜ……」スタスタ


士郎「おい! 青いのこっちに向かってくるぞ」アセアセ

慎二「ええ! もう死ぬよ? それはまずい」タラタラ

士郎「くそ、後一回だけもってください」グッ

ランサー「よぉ。手間かけさせやがって。英霊なのに無関係の人殺しなんざ趣味じゃねぇが、我慢してくれよ」ガラガラ

ランサー「じゃあな」ビュッ

ガガッ

士郎「ふんっ!」ブンッ バキッ

ランサー「面白い技だな。強化……か」

ランサー「でも折れちまったし次でしまいだ」

慎二「ライダー! ライダー! くそ! 本格的に不味いんじゃないの……あれ?」パアアア

ランサー「たあぁぁあああ!」ビュン

ガキン

?「はあぁぁあ!」バシン

ランサー「ぐあっ!」ザザザザー

セイバー「サーヴァント、セイバー、召喚に従い参上した……問おう、貴方が私のマスターか?」ジャリッ

士郎「……ま、マスター?」

セイバー「サーヴァント、セイバー、召喚に従い参上した。マスター、指示を」

セイバー「これより我が剣は汝と共にあり、あなたの運命は私と共にある。ここに、契約は完了した」

士郎「な、セイバー?」

セイバー「はい。あなたは?」

士郎「士郎、衛宮士郎だ」

セイバー「シロウ、ですか。よろしくお願いします」

士郎「えっと、よ、よろしく」

セイバー「は! シロウはそこで待っていてください」ダッ!

士郎「ま、待って……」ガクブル

慎二「セイバーか……」スッ

士郎「慎二、大丈夫だったか?」

慎二「おかげさまで」プルプル

士郎「ライダー、も大丈夫かな……」ヒョコ

慎二「すくなくとも死んではないはずだ。反応はある」ヒョコ

ライダー「せ、セイバーですか……」ボロッ

セイバー「他にもサーヴァントが!」ジャリッ

ランサー「よそ見のヒマなんかあるのか?」ザンッ

セイバー「はぁっ!」バフッ!

ランサー「おおっと。てやあぁぁぁ!」ブンッ

セイバー「はっ!」バリッ

ランサー「埒があかねぇ。やるしかないか」スッ

セイバー(禍々しい魔力……宝具か)

ライダー「うっ……セイバー…どいてください」

セイバー「? 誰かは知らないがあなたも傷だらけだ。この宝具はまずい」

ライダー「いえ、この宝具は貴方にはよけることはできません。でも、私なら発動前に止める事が出来る」チラリ

セイバー「……分かりました」ザッ!

ランサー「逃げても無駄だぜ」グググ

ライダー「……」スッ

ランサー「!! 魔眼か!」ダッ!

ランサー「マズイな、こりゃ撤退だ」ザッ!

ライダー「ち、察しがいいですね」スッ

セイバー「魔眼、ですか」

ライダー「さぁ、どうでしょうね」ニコッ

慎二「お、終わったか? ライダー」ガサ

士郎「せ、セイバー、さんも大丈夫か」ガサ


セイバー「いいえ、まだ終わってません」ダッ!

ライダー「塀の外、サーヴァントの気配!」ダッ!

士郎「ちょっと待て!」

慎二「確認に行かなくていいのか?」ダッ!

士郎「あ、ああ。急がなくちゃ」ダッ!

もうすぐでFate/stay night2クール目ですね……
個人的にはギルガメッシュとバーサーカーの戦いからハートキャッチにかけてが楽しみですね
今日の投下はここまでです。

〜塀の外〜

セイバー「……」スタッタタタッ ザンッ

アーチャー「は! 凛!」ドスッ

セイバー「マスターを守って刺されるんですね。そんな勇敢な貴方には死んでもらいます」グサッ ザンッ

凛「アーチャー! 消えて!」レイジュ!

アーチャー「凛!」シュウウウ

セイバー「霊体化するほうが、速かったですね」スッ

ライダー「じゃあ私はマスターの方を消しますね」ジャラ

凛「こんなところで敗退かしら……」ホウセキ

ライダー「ええ。さよなら」ジャラララ パキッ

士郎「やめろ! セイバー、ライダー」ダッ!

慎二「ライダー! 殺らなくていい!」ダッ!

セイバー「しかし、マスターを減らす好機ですよ!?」ジリッ

ライダー「慎二がそういうのでしたら」スタッ

慎二「令呪使うぞって脅してみるといいよ」コソッ

士郎「れ、令呪使うぞ?」

セイバー「使ってください、是非とも。それくらいはして頂かないと、止まれません」

凛「セイバーともあろうものがマスターの命令に従えないのかしら」

セイバー「くっ、命拾いしましたね」スタッ

士郎「令呪ってなんだよ」コソッ

慎二「今聞くなよ」コソッ

慎二「ってまた遠坂かよ……」

凛「ふう。こんばんわ。衛宮君、間桐君」

士郎「お前、魔術師だったのか……」

凛「お互い同じような物だから隠すことはないわよね」

士郎「う、」

凛「いいから、話は中でしましょう」トコトコ

士郎「え、と、遠坂何考えてるんだ?」

慎二「衛宮、ここは黙って従え」コソッ

凛「間桐君の言う通りだわ。突然の事態に驚くのもいいけど、素直に認めないと命取りってときもあるのよ」

凛「ちなみに今がその時だってわかって?」ギロッ

慎二「言わんこっちゃないな」

凛「わかればよろしい。さ、さっさと入りましょ。衛宮君のおうちにね」

士郎「なんかすげー怒ってるぞあいつ」コソッ

慎二「全くだ。学校とは別人だな」コソッ

〜衛宮家〜

凛「お邪魔します」ヌギヌギ

セイバー「……」ヌギヌギ

慎二「お、おお。衛宮んち入ったの初めてだなー(棒)」ヌギヌギ

ライダー「シンジ……」ヌギヌギ

凛「お構いなくって寒いわね」トコトコ

凛「窓が割れてるのね」

慎二「ランサーとやり合ってたからな。ライダーが」

凛「ああ、それなら」スッ

凛「――Minuten vor schweiβen」シュン

士郎「ええ! なんだこりゃ」

凛「窓を直しただけよ。助けてもらったお礼にはならないけど、筋は通さなくちゃね」

士郎「す、すごいな。遠坂! 俺にはできないから助かったよ」

凛「え、こんくらいはどこの流派でも初歩の初歩のはずじゃ」

士郎「俺は親父にしか教わったことがないから初歩とかわからないんだよ」

慎二「え、衛宮は素人なんだよ……な?」

士郎「まあ、強化以外はからっきし……かな」

凛「なんでこんなやつにセイバーが……まあ悔やんでも仕方が無いわ」

士郎「あ、じゃあ俺はお茶入れてくるよ」ハハッ

凛「はぁ、お構いなく」

慎二「え、衛宮。僕、緑茶で大丈夫だ、よ?」ガタガタ

セイバー「……」セイザ

ライダー「……」セイザ

慎二(空気が重すぎる!!)

慎二「やっぱり僕も手伝うよ、衛宮ー」カチコチ

凛「間桐君。あなたは手伝うことはないわ。私とお話してましょう」ニコッ

慎二(死んだ)コクリ

士郎「慎二、強く生きろ……」コソッ コポポポ

凛「ふふっ、良かったわ。いうこと聞いてくれて。で、質問なんだけど」

慎二「な、なんだよ遠坂」ガタガタ

凛「衛宮君は聖杯戦争を知ってるの? と言うか、あなたもわかる?」

慎二「し、知ってるさ。衛宮は知らないと思うけど」

凛「そうよね。二つ目の質問ね。あなた達は運動場での戦いを見た?」

慎二「あ、ああ」

凛「そう。なら犠牲者はいなかったのね。じゃあ三つ目。なぜ間桐君、あなたがサーヴァントを従えているの?」

慎二「そ、そんなのお前には関係ないだろ」フイッ

凛「関係ない、ね」ニコッ

慎二「さ、桜の代理だ。遠坂、お前は僕が魔術の才能がないこと知ってるだろ」ガタガタ

凛「そんな怖がるなら最初からいえばいいのに。桜のことは衛宮君には言っちゃダメよ」

慎二「それくらい分かってる」

凛「ならいいの。最後の質問ね。桜は戦わないのね」

慎二「ああ。僕が戦うからね」

凛「分かったわ。ありがとう」

士郎「はい、粗茶ですが……」コトッ

凛「ん、ありがとう」クチツケ

慎二「……」ゴクゴク

慎二(遠坂相手に何緊張しているんだ、僕は)

凛「それじゃあ何も知らない衛宮君のために説明するわね」コトッ

凛「簡単に言うとあなたは魔術師同士の殺し合いに巻き込まれたの」

士郎「こ、殺し合いだと?」

凛「そうよ。殺し合い。マスターと呼ばれる七人の魔術師が召喚したサーヴァントと呼ばれる使い魔どうしを争わせ、最後に生き残った一組が聖杯を手に入れることができる」

凛「それが聖杯戦争。あなたたちはそのマスターに選ばれたわけ。どちらかの手に聖痕があるでしょ?」

慎二「あった」サッ

慎二(隠しておかないとな)

士郎「あ、あった」ペカー

凛「そう。その令呪と呼ばれる聖痕がある限りサーヴァントを従えることができるわ。なにせ、令呪はサーヴァントを縛る絶対命令権だから」

士郎「ある限りってどういうことだ?」

慎二「無くなったら殺されるんだよ。だから令呪は三つあるけど、使うのは二つまでにしておくべきだな」

士郎「そうか。でもなんでマスター達は殺し合いなんてするんだよ」

慎二「それは聖杯を手にしたものはなんでも願いを叶えることができるからだね。願いを叶えたいマスターは相手を蹴落として聖杯に手を伸ばす」

凛「でも、聖杯戦争のこと自体知らない参加者や力を証明したいっていう例外もいるわね」

凛「まあ、基本は願いを叶えるべく聖杯を欲する者たちだけど」

士郎「そうか……そう言えばセイバーはこの時代の常識とかはわかるのか」

セイバー「はい。私がこの時代に召喚されたのは一度ではないので」

慎二「ええ!」

凛「どんな確率よ!」

凛「ええと、まあ、サーヴァントは人の世であればどの時代でも順応できるのよ」

士郎「へぇ、そりゃすごいな」

セイバー「なんという因果でしょうね?」

士郎「それはともかくセイバーは俺のサーヴァントってことでいいんだな?」

セイバー「はい。最初に言ったはずですが」

慎二「そうだな。もちろん僕のサーヴァントはライダーだ」

ライダー「そうですね。シンジ」

凛「私のサーヴァントはさっきセイバーに斬られたアーチャーよ。今は家の召喚陣で休ませているけどね」

慎二(聖杯戦争に参加しなくてはいけなくなった以上安全地帯に居たいよな。そうなると同盟か)

凛「さ、行きましょうか」スタッ

士郎「ど、何処へ行くんだ? まだ九時だけど、あまり遠いところだと困るぞ」スタッ

凛「大丈夫。隣町の教会よ。少し急げば明日になる前に帰ってこれるわ。衛宮君だって聖杯戦争の理由、知りたいでしょ?」

士郎「そりゃ、そうだけど」

凛「それに衛宮君も間桐君もマスター登録して無いんでしょ?」

慎二「そ、そうだな」スタッ

士郎「それももちろんそうだけど……」トコトコ

凛「そんなに心配しなくても大丈夫よ、聖杯戦争に詳しいエセ神父に会いに行くだけよ」

士郎「エセ……」

慎二「エセかよ……」

凛「あれ? セイバー、霊体化しないの?」

セイバー「いえ、しないのではなく出来ないだけです。シロウには私を実体化させるだけの魔力がありません。だから霊体化することも魔力の回復も出来ないのです」

凛「あちゃー、ライダーはちゃんと霊体化してるわね」

慎二「大丈夫だ、問題ない」キリッ

凛「……セイバーは霊体化出来ないから目立たないようにしないとダメね……」

士郎「あ! セイバーにこれ着せるのはどうだ? とりあえず鎧だけは隠せるだろ?」パサッ

慎二「雨合羽ぁ? おい、衛宮、本気でそれを着せるのか?」

士郎「そうだけど、なにか問題あるか?」

凛「……まあいいわ。ごめんなさいね、セイバー」

セイバー「くっ、シロウがそう言うのでしたら……し、従います」プルプル

ライダー(霊体)「とっても嫌がっているように見えますが」

慎二「もう、いいんだよ。もう」

凛「さ、セイバーも目立たなくなったしさっさと行きましょう」

士郎「なんでさ」

〜路上〜

セイバー「……」ムスッ

士郎「……」タラタラ

凛「……」スタスタ

慎二(居心地悪すぎるでしょ!?)

ライダー(シンジ……)

〜教会前〜

セイバー「ああ、嫌な記憶が蘇りますね」ボソッ

士郎「ん? なんか言ったか、セイバー」

セイバー「いえ、私はここで待っていてもよろしいですか?」

士郎「うん? 別にいいけど、どうしたんだ?」

セイバー「いえ、ここに敵が来ないとも限りませんから、護衛をしようと思っただけです」

士郎「そうか」

凛「じゃあ私達は行くわね」

慎二「頼んだよ、セイバー」

ライダー「それでは」ペコリ

士郎「セイバー、どうして一緒に来ないんだろう」

凛「セイバーはさっきこの時代に召喚されたのは一度ではないって言ってたし、ここのエセ神父と因縁でもあるんじゃないかしら」

慎二「因縁ねぇ、そういうこともあるのか……」

今日の投下はこれでおしまいです



〜教会〜

慎二「それでここの神父ってどんな人なんだ?」

凛「そうね、私の父の弟子であり、私の後見人であり、私の第二の師って所かしら」

士郎「え! つまり神父さんが魔術師ってことか?」

凛「そう。正真正銘のエセ神父ってことよ」

慎二「そんなことありなのかよ」

凛「有り無しで言ったらなしでしょうけど実際そうなんだから仕方無いじゃない」ギイィ

言峰「再三の呼び出しにも応じず、ようやく来たと思ったら珍しい客を連れてきたものだ」パタッ

言峰「彼が七人目かね? 凛」

凛「彼ってどっちよ」スットボケー

言峰「む、分からないのか?」

言峰「赤みがかった茶髪の方だ」

士郎「俺?」

慎二(僕は魔力ないから当然っちゃ当然だよな)コクコク

言峰「青髪の彼は代理人がもう申請にきているからな」

慎二(そうなのか……今日のことな筈なのに)

言峰「私は言峰綺礼。君たちは何と言うのだ?」

士郎「衛宮、士郎」

慎二「僕は間桐慎二だ」

言峰「ふむ、間桐家は断絶したと聞いていたが、そういうわけではないようだな」ニヤ

慎二(分かってるのか、あ、誰かが申請に来たんだよな。にしても、ムカつく神父だな)

言峰「間桐慎二、君のサーヴァントは?」

慎二「ら、ライダーだ」

慎二(申請に来たって言っていたのに……形だけ聞いておくってことか?)

言峰「そうか……」

言峰「そして、衛宮? ふふ、ふふふ」

士郎「……」カタッ

言峰「衛宮士郎、セイバーのマスターで間違いないな?」

士郎「いや、確かに俺はセイバーと契約したが、マスターとか聖杯戦争とかてんでわからない」

士郎「マスターっていうのがちゃんとした魔術師がなるのならちゃんと選び直した方がいい」

言峰「ちゃんとした魔術師……その必要はないのだがな。少年」チラッ

慎二(今確実に僕を見たよね? ちゃんとした魔術師じゃない代表だもんね)

言峰「とにかく、これはかなり重症だな」

凛「そこのところもきちんとしつけてやって。間桐君も心配なら聞いておきなさい。問題ないと信じたいけど」

慎二「分かってるさ」



言峰「よかろう。凛が私を頼ってきたのも初めてだ。君たちには感謝してもし足りない」

言峰「衛宮士郎、マスターというのは他人に譲れるものではないし、なってしまった以上やめられるものでもない」

言峰「マスターとはいわば試練だ。その痛みからは聖杯を手に入れるまで解放されない」

言峰「衛宮士郎、君が巻き込まれたこの戦いは聖杯戦争と呼ばれるものだ」

士郎「七人のマスターが殺し合うっていうふざけた話だろ」

言峰「全ては聖杯を手に取るにふさわしい者を選抜するための儀式だ」

士郎「聖杯って本当にあの聖杯だって言うんじゃないだろうな?」

言峰「この町に現れる聖杯は本物だ。その証の一つとしてサーヴァントなどという法外な奇跡があるだろ」

言峰「これだけの力を持つ聖杯なら持ち主に無限の力を与えるだろう。物の真贋などその力の前では無意味だ」

士郎「じゃあなんで戦争なんてするんだ。そんなにすごいものならみんなで分け合えばいいじゃないか」

慎二(ええと、サーヴァントを全員殺さないと聖杯は現れないんだったか……難しいな)

言峰「もっともな意見だが、聖杯を手にするのはただ一人。それは私たちが決めたのではなく聖杯が決めたこと」

士郎「聖杯が、決めた……」

言峰「全ては聖杯が行うこと。彼らを競わせただ一人の持ち主を選定する。それが聖杯戦争だ」

士郎「納得いかないな。一人しか選ばれないとはいえ、他のマスターを全員殺すしかないってのは気に食わない」

凛「それは違うわ。殺すしかないってのは誤解よ。衛宮君」

言峰「殺し合いだ」

凛「綺礼は黙ってて。あのね、この町に召喚される聖杯は霊体なの。霊体である以上私たちには触れられない。聖杯に触れられるのは同じ霊体であるサーヴァントだけなの」

凛「聖杯戦争とは他のサーヴァントを撤去させることよ。だから必ずしもマスターを殺す必要はないの」

言峰「ひとつ質問だが衛宮士郎。お前は自分のサーヴァントを倒せるか?」

士郎「え」

言峰「サーヴァントはサーヴァントをもってしても破り難い。ならばどうするか。簡単だろう」

言峰「いかにサーヴァントが強力でもマスターが潰されればそれまでだ。であれば」

士郎「マスターを倒した方が早い……」

慎二(うわぁ、気を付けなくちゃまずいな。魔術師同士の戦いなんてやったことないし)

言峰「そうだ」

士郎「それじゃあ、逆にサーヴァントが先にやられたらどうだ? 聖杯に触れられるのはサーヴァントだけだろ? ならサーヴァントを失ったマスターには価値がないだろ」

言峰「いいや。令呪がある限りマスターの権利は続く。例えばマスターが打たれ行き場に迷ったサーヴァントがいたとしたら、再起の可能性が残る」

慎二(僕は例外だな)

言峰「だからマスターはマスターを殺す」

士郎「じゃあ、その令呪を今ここで使い切ったら?」

凛「待って、それは……」

言峰「確かにマスターの権利は無くなる。しかし強力な魔術を行える令呪を無駄に使うマスターがいるとは思えんがな」

言峰「いるとしたらそいつは半人前どころかただの腑抜けということだろう」

士郎「くっ……」

言峰「ふふふ。納得がいったか? それでは始めに戻ろう、衛宮士郎」

言峰「君がマスターを辞めるというのならそれでいい。令呪を使い切り、セイバーとの契約を断てばいい。その場合は聖杯戦争が終わるまで私が責任をもって君の安全を保証しよう」

士郎「なんでお前に安全を保証されなくちゃならないんだ!」

言峰「ふふっ、私は繰り返される聖杯戦争を監督するために派遣された。敗れたマスターを保護するのは監督役の最も重要な事だ」

士郎「繰り返される? ちょっと待てよ。聖杯戦争って今に始まったことじゃないのか」

言峰「これで五度目だ。前回が十年前だからこれまでで最短のサイクルと言えよう」

慎二(桜がきたのはこの頃だったか……)

士郎「こんな戦いを今まで四度も」

言峰「そうだ。今までの聖杯戦争はことごとく苛烈を極めてきた。マスター達は自分の欲望に突き動かされただ無差別に殺し合った」

士郎「無差別に……殺し合うだと?」

士郎「だったら! 聖杯を手に入れた奴が最低な奴だったらどうするんだ」

言峰「聖杯に選ばれた者を止める力はいい私達にはない。なにせ何でも願いを叶える万能の杯だからな」

慎二「それだったら自分で手に入れればいいんじゃないの?」

言峰「そういうことだ。そうすれば君の言う最悪な奴に使われることはなかろう」

士郎「俺には戦う理由がない」

言峰「ほう? それなら聖杯を手に入れた者が何をするか、それによって災厄が招かれても興味はないというのだな?」

士郎「それは……」

言峰「理由がないならそれもいい。しかしそれなら十年前の出来事にも興味はないということだな?」

士郎「十年前……」

言峰「そうだ。前回の聖杯戦争の最後に相応しくないマスターが聖杯に触れた。そのマスターが何を望んだかは知らない。我々に分かるのは残された災害の爪跡だけだ」

士郎「ま、まさかそれって……」

言峰「そうだ。未だもって原因不明とされる新都での大火災。それが聖杯戦争の爪跡だ」

士郎「…うっ…」ガタッ

慎二「衛宮! おい大丈夫か?」

凛「衛宮君!」

士郎「……」スッ

士郎「今回で五回目って言ったな。今までに聖杯を手に入れたやつはいるのか?」

言峰「一時的に本物を手に入れた男は確かにいた」

士郎「そいつはどうなったんだ」

言峰「どうにもならなかった。その聖杯は完成にはいたらなかった。馬鹿な男がつまらない感傷に流された結果だよ」

言峰「聖杯を現れさせるのは簡単だ。七人のサーヴァントが揃い時間さえ経てば聖杯は姿を現す。確かに凛の言う通りマスターを殺める必要はない」

言峰「だが、それでは聖杯は完成しない。聖杯は持ち主に相応しいものを選ぶのだ。故に戦いを回避したその男には聖杯は手に入らなかった」

凛「つまり、他のマスターと決着を付けずに聖杯を手に入れても無意味ってことでしょう。前回の聖杯戦争ではじめに聖杯を手に入れた男はとんだあまちゃんだったわけ」

言峰「話はここまでだ。聖杯戦争に参加するか否か。ここで決めよ、衛宮士郎、間桐慎二」

慎二(今まで完璧に衛宮への呼びかけ口調だったけど、一応存在覚えてたのか)

慎二「僕は参加するよ。間桐再興のためにも」

慎二(こうなったら僕がやるしかないんだよね……心にもない理由だ)

言峰「衛宮士郎、君はどうだ?」

士郎「……俺もマスターとして戦う。あんな悲劇をもう二度と起こさせるわけにはいかない」

言峰「そうか。この瞬間に今回の聖杯戦争は受理された。これよりマスターが残り一人になるまでこの町における魔術戦を許可する。各々が自身の誇りに従い存分に競い合え」

凛「さ、帰りましょう。聞きたいことは聞けただろうし」スタスタ

慎二「そうだね。僕はもうやるしかない……」トコトコ

慎二「おーい、衛宮。置いていくぞってあれ?」ジー

言峰「喜べ少年。君の願いは、ようやく叶う」フフ

言峰「判っていた筈だ。 明確な悪がいなけれかば君の望みは叶わない。それが君にとって許せないものでも、正義の味方には倒すべき悪が必要なのだから」

士郎「くっ……」タッ

慎二(見てはならないものを見てしまった気がする)

〜教会前〜

士郎「はぁ」

慎二「おい、本当に大丈夫なのかよー? 衛宮ー」

士郎「ああ、重圧から開放されたから何となくな」

慎二「確かにプレッシャーが半端じゃなかったな」クスクス

凛「ほら、話してないで行くわよ。私達町までは一緒でしょ?」

〜路上〜

慎二(相変わらずの空気の重さだ。まあ、みんなマスターだから仕方が無いのかな)

慎二「そう言えば遠坂、お前のサーヴァント大丈夫なのか?」

凛「ああ、アーチャーなら無事よ。でもセイバーにやられた傷はそう簡単には癒えないからしばらく実体化はさせられそうに無いわね」

今日の投下はこんなところです。

士郎「あの監督役はお前のサーヴァント知ってるのか?」

凛「知らないはずよ。忠告しておくけど自分のサーヴァントの正体は誰にも教えちゃダメよ」

士郎「サーヴァントの正体ってなんだ?」

ライダー「私の正体知ってますか?」コソッ

慎二「知ってるよ。桜に聞いたし」コソッ

凛「だから、サーヴァントが何処の英雄かってことよ。弱点とかがバレちゃうからね。でも衛宮君は教えてもらわない方が良いかも」

士郎「なんでさ」

凛「あなたは隠せないでしょう。魔術的にも、精神的にも。間桐君は……何とかなるかしらね」

士郎「むー、否定できないのが憎らしいな」ムスッ

慎二「ははっ、衛宮はそれでいいんじゃないの?」

凛「……」ストップ

士郎「あ? どうしたんだ? 遠坂」

凛「ここからは二人で帰って。ここまで連れてきたのはあなたたち……特に衛宮君が敵にもなってなかったからよ」

凛「明日から私達は敵どうし。そういうことよ」

士郎「そうか。遠坂と慎二とは戦いたくなかったけどな」ニコ

慎二「ぼ、僕はやるとなったらやるさ」グッ

学校が始まったのでペース落ちます

士郎「あの監督役はお前のサーヴァント知ってるのか?」

凛「知らないはずよ。忠告しておくけど自分のサーヴァントの正体は誰にも教えちゃダメよ」

士郎「サーヴァントの正体ってなんだ?」

ライダー「私の正体知ってますか?」コソッ

慎二「知ってるよ。桜に聞いたし」コソッ

凛「だから、サーヴァントが何処の英雄かってことよ。弱点とかがバレちゃうからね。でも衛宮君は教えてもらわない方が良いかも」

士郎「なんでさ」

凛「あなたは隠せないでしょう。魔術的にも、精神的にも。間桐君は……何とかなるかしらね」

士郎「むー、否定できないのが憎らしいな」ムスッ

慎二「ははっ、衛宮はそれでいいんじゃないの?」

凛「……」ストップ

士郎「あ? どうしたんだ? 遠坂」

凛「ここからは二人で帰って。ここまで連れてきたのはあなたたち……特に衛宮君が敵にもなってなかったからよ」

凛「明日から私達は敵どうし。そういうことよ」

士郎「そうか。遠坂と慎二とは戦いたくなかったけどな」ニコ

慎二「ぼ、僕はやるとなったらやるさ」グッ

学校が始まったのでペース落ちます

凛「そうね、お互い最善を尽くしましょう。じゃあ私はここで」テフリフ……ビクッ

士郎「いって……」チラッ

慎二「な、なんなんだよ?」ガクブル・ チラッ

?「ねえ、お話は終わり?」

凛「バーサーカー……」

慎二(ランサーの時以上に死の危険を感じている! な、決意したそばからなんで……)

?「こんばんはお兄ちゃん。こうして合うのは二度目だね」ニコ

凛「やば。あいつ、桁違いだ」

ライダー「私単体で撃破することは出来なさそうです。セイバーと協力しても難しいです」コソッ

慎二「分かってるよ、そんな事は!」コソッ

?「あれ? 貴女のサーヴァントはお休み? つまんないな。でも二匹潰せるからいっか」

?「はじめまして、リン。わたしはイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えばわかるでしょ?」

慎二「あ、アインツベルンだと?」

イリヤ「あれ? ワカメのお兄ちゃんも知ってるの? 有名なのかな。わたし」ニコ

イリヤ「まあ、どうでもいいか」スッ

イリヤ「じゃあいくね。やっちゃえ、バーサーカー」



バーサーカー「……」ブオッ

セイバー「シロウ、下がって!」タスッ

ライダー「シンジも下がって!」スタタタ

バギンッ

慎二(セイバーが剣で受けている……)

ライダー「はぁぁぁあ!」ジャララ

バーサーカー「ヴォォォォ!!」バシッ

ライダー「くっ」ザザァ

セイバー「はぁぁ!!!」ブンッ

ガキンッ

慎二(セイバーの方が遅い!? 受けに回るしかない……)

ライダー「とうっ!!」ジャララジャララジャララ

セイバー「……」タッタッ

バーサーカー「おおおおぉぉぉ!」バシバシバシバシッ

セイバー「だぁぁぁあ!」ギュン

バーサーカー「おおおおぉぉぉ!」ガシンッ

バーサーカー「うおおおぉぉ!」ブンッ

士郎「セ、セイバー……逃げろ。それはよけられない!」

バーサーカー「おおおぉぉぉ」ザシュッ

セイバー「ぐっ………」ポタポタ

ライダー「くっ、セイバー」スタッスタッ

ライダー「このままでは全滅です。私達だけでも……」コソッ

慎二「……そうしたいのは山々だけど……まだダメだ」

ライダー「そうですか……」スッ

凛「Vier Stil Erschieβung……!」ボンボンボン

バーサーカー「おおおおぉぉぉ!」

慎二「効かないだと! どうしたらいいんだよぉ!」アセアセ

ライダー「……」ザクッ

慎二「ライダー何やってるんだよぉ!」

ライダー「静かに」サッ

セイバー「まだ……大丈夫です」ダンッ

セイバー「はぁぁぁあああ!」ザンッ

バーサーカー「おおおおぉぉぉ!」バシッ

イリヤ「ふふふ。頑張れー♪」フンフン

バーサーカー「おぉぉ! おおおぉおぁぁぁぁ!」ブンッ

セイバー「危ない! シロウッ!」ダンッ

士郎「えっ!」バタッ

凛「ダメよ、セイバー!」

ザクッ

慎二(その瞬間、肉が強制的に裂かれる音と大量の血しぶき、そして濃い鉄の匂いがした。人間のそれだった)

セイバー「ぐあぁ!」ダンッダンッベチャッ

ライダー「準備できました。戦線離脱します」グラッ

凛「血の……魔法陣?」

バーサーカー「ごぁぁぁぁああ!」ブンッ

慎二(またセイバーを狙うだと!!)ビクビク

士郎「セイバー!」ダッ ドン

バーサーカー「おおおぉおぁぁぁぁ!」ザクッ

士郎「え……、せ、セイバー……」

慎二「衛宮!? なにやってるんだよ!」ズルッズルッ

凛「衛宮君!! ライダー、急いで!」カカエアゲ

ライダー「!!!!!」ピカッ!!

ゴァァァァァアアアアア!!

イリヤ「ペガサス……かな? 逃げられちゃったね? バーサーカー」

バーサーカー「おおぉぉ……」

イリヤ「お兄ちゃんを傷付けるのはダメって言ったはずなのに……」ハァ

イリヤ「まあいいや。いつでも殺せるんだしあの三人には悪あがきするくらいの暇はあげるわ」

イリヤ「さ、帰りましょう。バーサーカー」

バーサーカー「おおおぉお」ダンダン

今日の投下はここまでです。
ゲームのやり直し中です

凛がいないとのちのち困る感じなので外せないのです


〜路上〜

慎二「くそっ、あんなに急に落とされるとは思わなかったぞ!」プンスカ

ライダー「魔力が足りなかったので……」

慎二「くそっ、そうかよ」プイッ

慎二(魔力供給さえできればもう少し早く離脱できたかもしれないってこと?)

凛「間桐君。過ぎた事を悩んでも仕方が無いわ。なんとかセイバーも消滅せずに済んだし」チラッ

セイバー「……はぁ……はぁ。すみません、ライダー」

ライダー「いえ。貴女はまだ歩けるほど回復していないでしょう。そんな貴女を歩かせていては万が一の時足手まといになるだけなので」

セイバー「そうか。そうですよね」シュン

慎二「よっこらしょ」

セイバー「慎二もすみません。シロウを守るのは私の役目なのに」シュン

慎二「仕方無いじゃん。この中で背負えるのが僕しかいなかったんだから」


凛「あら? 私は除外?」

慎二「女子にこんなことやらせたら僕の株が下がっちゃうだろ。しかも体格差的に無理だろ」ハァ

凛「そうね。意外に気が利くのね」

慎二「意外は余計さ」

凛「あ、門開けるわね」ギギギ

ライダー「ありがとうございます」

慎二「よっと。済まないな」

凛「そこは済まないじゃなくてありがとうじゃないの?」

慎二「そんなの気にしないよ。もう疲れたからね……」

凛「あ、鍵」

ライダー「鍵閉まってないみたいです」

〜衛宮家〜

凛「あら、結構不用心ね」ガラガラ

凛「ただいまー」

慎二「ここはお前の家かよ」

凛「いいでしょう。気分よ」スタスタ

慎二「衛宮の部屋誰か分かる?」

凛「知ってるわけないじゃない。友達であるあなたなら知ってるんじゃないの?」

慎二「……知らない。衛宮ん家入ったのは今日で初めてなんだよ」

凛「そう」カラカラ

凛「ここじゃないかしら、生活感が少しだけあるし」

慎二「違ったとしても困らないと思うぜ。こいつ一人暮らしだし」

凛「ならいいわ。よいしょっと。布団も敷いたわ」

慎二「分かった。よっと」

凛「……どういう事?」ビクッ

慎二「傷が癒えている?」フルフル

慎二(腹を横一線に走っていた赤い傷は痕すら残らず綺麗に治っていた)

今日の投下はここまで!
ヤングエースの桜ルート0話、やっぱりわかめだった

凛「……自動回復? そんなの出来るわけないし……」ウーン

慎二「……今考えてもわからないし明日起きたら衛宮に聞こうぜ。とりあえず寝かせておこう」フトンカケ

凛「そうね」ジー

慎二「行かないのか?」

凛「うーん、寝る気になれないからここで看病でもしてようかしら」

慎二「そうかよ。それなら僕もいるかな」

凛「? 衛宮君をおぶってきたんだから疲れているでしょう? 寝ていいわよ」

慎二「いや。これでも僕は一応衛宮の親友だからね」

凛「そう。一応ね……」

セイバー「では私は隣の部屋にでも行ってます」カラカラ ピシャッ

ライダー「私は敵が来ないか見回ってきます」サッ

慎二「ふぁぁぁ、とりあえず怪我はないけど包帯巻いておくか。傷が開く可能性もあるし」マキマキ

凛「眠いなら寝なさいよ。私も巻けるし」コクコク

慎二「遠坂こそ船漕いでるだろ」

凛「そう言えば……あなた、私と組む気ない? あなたは魔術が使えないけど私は使える。サーヴァントもあなたのは割とピンピンしてるけど、私のアーチャーは消耗している」コクコク

慎二「僕は別に組んでもいい。より安全に進められそうな気がするしね」マキマキ

凛「そう。良かった。明日衛宮君にも聞いてみましょう。三人寄れば文殊の知恵だものね……」コクコク

慎二「ふぁぁ。そうだね。その方がいい……」コクコク

昼休みなので一発だけ……

〜朝〜

士郎「んー、口……不味いな」

士郎「……? 慎二と遠坂?」

慎二「すーすー」モゾッ

凛「くーくー」

士郎「なんでさ。って包帯まで巻いてある。昨日何かあったか?」

凛「ん……おはよう。衛宮君、勝手に上がらせてもらってるわ」グイッ

慎二「はっ! 僕も上がらせてもらってるよ」バッ

士郎「え、ちょ」

士郎「なぜこのペアが家に」

慎二「その前に衛宮、するべきことがあるんじゃないのか?」

凛「昨日の件、忘れたとは言わせないわ」

士郎「ま、待て……」

士郎「変だ。なんだって生きてるんだ?」

凛「思い出したみたいね。昨日のバカを少しは反省しなさい」ギロッ

明日は頑張って書きためるので投下できそうにありません。
すみません(ToT)

士郎「……! 何言ってるんだ。本当はセイバーを押して俺は下がるはずだったんだ。結果が馬鹿だっただけだろ」

慎二「おいおい、そのせいで人にどれだけ心配をかけたと思ってんの? この間桐慎二に心配させたんだぞ!」ガッ

凛「間桐君、抑えて。この通り私も間桐君も心配したし、マスターが死んだらサーヴァントも消えるって聞いたわよね? つまりあなたの身を挺してサーヴァントを庇う行動は無意味なのよ?」

士郎「……庇おうとした訳じゃない。ああなるとは思ってなかったんだよ」

慎二「だから少しは考えろよ。あんな怪物の前に出たらバッサリやられる。そんなこと幼児でもわかると思うけど」

士郎「な、考えたけどセイバーを救うためにはそれしかなかったんだよ!」

慎二「それが考えなしなんだよ。遠坂も言ってたけど、お前が死んだらセイバーも終わりだ。なら成功するか分からない賭けになんか出ないだろ!」

士郎「じゃあどうしろっていうんだよ? 何か方法があったのか?」

慎二「宝具を使えばいいだろ?」

士郎「宝具? そんななんだか分からないもの選択肢に入るかよ!」

凛「はいはい。言い合いはやめてちょうだい。間桐君は少し落ち着いて。衛宮君は間桐君がどれだけ心配したか分かってくれたわね。もちろん私も怒っているけどね」ギロッ

気をつけてみます

士郎「……二人とも、済まない。あと看病ありがとうな」ハラナデナデ

凛「ふん。分かったならいいのよ」

慎二「……」

凛「それじゃあ、昨日のあなたが薙ぎ倒された後の話をするわね」

士郎「薙ぎ倒された……うん」シュン

凛「ライダーの宝具よね?」

慎二「多分な」

凛「それに乗って私たちはなんとか逃げ切ったの。追撃はなかったから今回は諦めてくれたみたい。その後ここについてあなたの治療をしようと思ったんだけど、見た感じは完璧に治っていたの。それでも意識は戻らなかったんだけどね」

慎二「衛宮の腹が治ったのは僕の看病や遠坂の魔術じゃないんだ。なんだか良く分からないけど気づいたら治っていたって感じだね」

士郎「話を聞く限りそうみたいだけど俺はそんな難しい魔術とか使えないぞ?」

凛「まあそうでしょうね。でも私だってそんな死にかけの人間を蘇生させることなんて出来ないわ。だから原因はサーヴァントでしょうね」

凛「セイバーがよっぽど強力なのか、召喚の時に手違いが生じたのか……恐らく両方でしょうけど、何かのラインがつながったんでしょうね」

士郎「それって使い魔と魔術師を結ぶ因果線のこと?」

凛「そうよ。使い魔の知識はちゃんとあるのね」

凛「なら話は早いわ。つまりあなたとセイバーの関係は普通の関係じゃないの。ほんらいなら主人の能力が使い魔に付与されるんだけどあなたは使い魔の能力が主人を助けてるって訳ね」

慎二「そんなのありえるのか?」

凛「普通ではありえないわね」

士郎「普通ではありえない……じゃあ遠坂とアーチャーは普通の関係なのか」

凛「そうね。マスターとサーヴァントの繋がりなんてガソリンとエンジンみたいなものよ。こっちが提供して、あっちは食べるだけってね……衛宮君、話聞いている?」

士郎「聞いてる。なら俺は多少の傷ならほっといても治るのか」

慎二「おい、そこで治りますよーとか言ったらまたあんな真似するだろ、衛宮。はっ、僕の洞察力を舐めるなよ! 使える戦力が減ったら僕らが困るんだぞ?」

慎二(危険な時にあんな心臓が縮むような思いをするのも困るし)

凛「はぁ、でもある程度は治るでしょうね。ただし、セイバーの魔力を使ってね。今回はたまたま助かったから良かったものの今度同じ目にあったら即死よ?」

士郎「う……慎二は的確に突いてくるな。でも、俺が勝手に怪我して、それでセイバーから何かをもらうってのは申し訳ない」

凛「バカね。そんな理由じゃないわ……まあいいわ。次は真面目な話ね」

士郎「慎二と遠坂が残った理由だな。いいよ、聞こう」

凛「じゃあ聞くけど、衛宮君、これからどうするつもり?」

士郎「魔術師同士の戦いなんてしたことないし、殺し合いはなるべく避けたい。そもそも聖杯なんて得体のしれないものに命を張るなんて……」

慎二「そんなこと言ってたらサーヴァントに殺されるんじゃないの、衛宮。サーヴァントだって聖杯欲しさに召喚に応じてるんだからさー。僕だったらそんなこと言われたら殺しちゃうな」バタバタ

士郎「え、だってサーヴァントってのはマスターが呼び出したものだろ?」

凛「サーヴァントにとって聖杯は最も重要なものだから命令しなくても勝手に他のマスターを倒しに行くし、マスターのために命を落とすのよ」

凛「サーヴァントは無償で人間に従うわけじゃない。聖杯は手に入れたものの望みを叶える。これはサーヴァントも例外じゃない」

凛「聖杯を手に入れるためにサーヴァントを召喚するんじゃなくて、聖杯が手に入るからサーヴァントは召喚に応じるの」

慎二「セイバーの前で聖杯要らないとか間違えてもいうなよ? 殺されても知らないからな」

慎二(という僕自身も聖杯自体にはあまり興味がないんだけど。ライダーもあんまり興味無さそうだし……)

今日はこんなところです

凛「まあ、だからマスターに戦う意思がなくても、戦いは避けられない。サーヴァントに襲われたマスターは自分のサーヴァントで撃退する。それが聖杯戦争だってことはさんざん聞かされたわよね」

士郎「……英霊だろうとセイバーは人間だ。昨日もあんなに……」

凛「その点は安心して。サーヴァントに生死はない。戦いに敗れて殺されるのはマスターだけよ」

士郎「……」

慎二「はぁ、人殺しとか思ってるのか? 魔術師なんだからそんな正義感捨てようぜ。いや、衛宮はそこがいいのか?」ヤレヤレ

士郎「……相手を殺すための戦いなんて、俺は付き合わない」

凛「へぇ、じゃあみすみす殺されるのを待って、他のマスターに勝ちを譲るのね」

士郎「そうじゃない。自分からは仕掛けないけど、身を守るためなら容赦しない」

凛「なら他のマスターが何をしようと傍観するのね。例えば昨日のあいつが街の人間を皆殺しにしようと無視するってわけか」

士郎「そんな、街の人は無関係だろ?」

慎二「ははっ! 今だからいうけどね、衛宮。僕は魔術師じゃないんだ。だからライダーに魔力を供給できない。そういう時は人間の魂を食べさせるんだよ」

士郎「は! と、突然何を。まさか慎二……」

慎二「いやいや、僕はまだ食わせてない。ライダー自身の魔力でまだまかなえているようだしさ。でも魔力が供給できないんならジリ貧さ。ライダーの魔力はいつか底をつくだろうね」

慎二「それにサーヴァントは自分の魔力とマスターから供給される魔力しか使えない。そしてサーヴァントに供給される魔力は優れたマスターの方が多いんだ。それなのに僕に至ってはサーヴァントは自身の魔力しか使えない」

慎二「それだと優れたマスターには敵わないだろ? だからやっぱり優れたマスターに魔力で追いつくために弱いマスターは人の魂を食べさせることが多いらしい……だよな? 遠坂」

凛「そうね。サーヴァントは霊体だから同じ霊を食べればいいの。つまり人間の霊ね」

凛「慎二の言った通り弱いマスターは人間を殺してサーヴァントへの生贄にすることは多いわ」

士郎「生贄にするって……それじゃあ手段を選ばないやつがマスターなら、サーヴァントのために生贄をたくさん作るってことなのか!」

凛「まあ、賢いマスターはそんなことはしないでしょう。サーヴァントが強力でも魔力の器には限界がある。その器以上の魔力は蓄えておけないから、殺し回るのにも限界があるわ。それにあからさまに殺人していてはサーヴァントの能力と正体がバレかねないし、協会が黙っていない」

士郎「良かった……なら問題ないはずだ。マスターの命令さえなければサーヴァントはそんなことはしない」

凛「でしょうね。仮にも英霊なのだから。それでも例外は居るでしょうけど」

凛「話を戻しましょうか。で、どうするの? 人殺しはしない衛宮君は他のマスターが何をしようと傍観するんでしたよね」

士郎「そうなったら止めるだけだ」

凛「はぁ、衛宮君、自分が矛盾してるって分かってる?」

衛宮「都合がいいのは分かってるけど、この方針は絶対に変えない」

凛「昨日のあの子覚えてる? あの子は必ずわたし達を殺しに来るわ」

凛「あの子のサーヴァント、バーサーカーは強力よ。私でもあなたでも慎二でも撃退することはおろか、身を守ることすらできないわ」

士郎「わるかったな」プイ

凛「そういうこと。わかった? 何もしないで聖杯戦争の終を待つ、なんていう選択肢は無いのよ」

士郎「それは分かったけど、何をいいたいかわからないぞ?」

凛「もう、ここまで言ってるのにわからないの? 要するに私たちと手を組まないかって言ってるの!」

士郎「むむっ? 私たちって三人で手を組むっていうのか?」

凛「そう。三人寄れば文殊の知恵だもの!」

慎二(僕の遠坂メモに、好きな言葉は三人寄れば文殊の知恵が追加された……)

凛「同盟の代価くらいは払うわ。アーチャーのことをチャラにして、マスターの知識を教えてあげる。あ、衛宮君の魔術の腕も見てあげるわ。どうする?」

慎二「どうするんだよ、衛宮。僕は……そうだな……何があっても逃げないぜ!」ズイッ

士郎「……分かった。その話に乗るよ。慎二は良く分からないけど、すごく助かる」

慎二(空振りだ……せっかくの仲直りのチャンスだってのに……って僕は悪くないぞ)

今日の投下はおわりです

凛「決まりね。とりあえずバーサーカーを倒すまでは味方どうしってことで」

慎二「バーサーカーか……恐ろしいけど頑張ればなんとか……なるか?」

凛「なるわよ。じゃあ手付金ね」

士郎「本?」

凛「私のお父さんのもちものだけど、もういらないからあげる。一人前のマスターには必要ないものだけどあなたにはいるでしょう」

士郎「なんだ、これは?」

慎二「これは……」

凛「あら、慎二もあった方が良かったかしら」

慎二「い、いや。僕は全然平気だ」

凛「そう。ならいいの」

凛「で、それはサーヴァントの能力表よ。聖杯戦争には決められたルールがあるのはわかってると思うけど、それはサーヴァントも同じなの」

凛「呼び出される英霊は七人だけで、セイバー、アーチャー、ランサー、キャスター、バーサーカー、アサシン、ライダーの七つのクラスに合うような英霊を呼び寄せるのね」

凛「聖杯戦争の度にクラスの変更はあるらしいけど、今回は基本的なラインナップね。通説によると最も優れたサーヴァントはセイバーだとか。クラスにはそれぞれ特徴があるけど、サーヴァントの能力は呼び出される英霊の格によって変わるから注意すること」

慎二「英霊の格ってなんだっけ?」

凛「主に知名度ね。彼らの基本能力はその時代でどれくらい有名なのかで変わるわ。人々に忘れ去られた英霊にはそう大きな力はない。まあ、元が強力な英霊ならある程度の能力は維持できるでしょうけど」

士郎「じゃあ、皆が知っていて、その武勇伝も並外れていたら……」

凛「間違いなくAランクのサーヴァントでしょうね。だからバーサーカーは最強ね。神代の英雄たちは特殊な宝具を持っているってのに、英雄自体が強いんじゃ手の打ちようがないわ」

士郎「宝具?」

凛「その英霊が生前使っていたシンボル。英雄と魔剣、聖剣の類はセットでしょう。つまり、彼らの武装のことね」

士郎「セイバーの見えない剣とかは宝具か?」

凛「どんな曰くがあるかは知らないけど、まず間違いないでしょうね。英雄のトレードマークとなった武器は奇跡を願う人々の想いの結晶、貴い幻想とされる最上級の武装なわけ」

Fate/extracccのシンジが泣かせてくる……

慎二(ライダーの宝具……たずなとか言っていたか?)

士郎「要するに、宝具は強力なマジックアイテムってことだな?」

凛「そう。英霊だけでは強力な魔術、神秘には太刀打ち出来ない。でも宝具を操る英霊は数段格上の精霊させ討ち滅ぼす。サーヴァントの戦いはそんな宝具のぶつかり合いと言っても過言じゃないわ」

士郎「英霊であるサーヴァントは必ず宝具を持ってるってことか」

凛「ええ。原則として一人の英霊がもてる宝具は一つとされているわ。もっとも、宝具はその真名を呪文にして発動させるからそう使えるものでもないけどね」

慎二「そうか。宝具は英霊のシンボルだからそれを口にするとどこの英霊かバレちゃうってことだろ?」

凛「そう」

士郎「そうか。確かに」

凛「以上でサーヴァントに関する講義は終わり。さて、私はこれで戻るけど」スック

士郎「ああ、お疲れ様」

凛「協力関係になったからって間違わないでね。私達はいずれ戦う運命にある。だから……私を人間と見ない方が楽よ」トコトコ

慎二(ライダーの宝具……たずなとか言っていたか?)

士郎「要するに、宝具は強力なマジックアイテムってことだな?」

凛「そう。英霊だけでは強力な魔術、神秘には太刀打ち出来ない。でも宝具を操る英霊は数段格上の精霊させ討ち滅ぼす。サーヴァントの戦いはそんな宝具のぶつかり合いと言っても過言じゃないわ」

士郎「英霊であるサーヴァントは必ず宝具を持ってるってことか」

凛「ええ。原則として一人の英霊がもてる宝具は一つとされているわ。もっとも、宝具はその真名を呪文にして発動させるからそう使えるものでもないけどね」

慎二「そうか。宝具は英霊のシンボルだからそれを口にするとどこの英霊かバレちゃうってことだろ?」

凛「そう」

士郎「そうか。確かに」

凛「以上でサーヴァントに関する講義は終わり。さて、私はこれで戻るけど」スック

士郎「ああ、お疲れ様」

凛「協力関係になったからって間違わないでね。私達はいずれ戦う運命にある。だから……私を人間と見ない方が楽よ」トコトコ

士郎「いや、本当に良かった。なぁ、慎二、お前はどうする?」

慎二「うーん、ここは一旦帰ることにするよ。昨日は帰れなかったからな」ジロ

士郎「う、桜も心配してるだろうし、うん。帰った方がいいな」ピクッ

慎二「ふひひ、やっぱ残る。桜には電話でもしておけばいい。電話借りるよ」

士郎「あ、ああ。良いけど、帰らないのかよ」

慎二「疲れたんだよ。ここから僕の家までは結構距離があるからね」カチャッ ピッピッピッ

士郎「……」

慎二「もしもし、僕だけど」プルルル カチャッ

桜『兄さんですか! 昨日は……いや、いいです』

慎二「ん? 言いたいことがあるなら言えよ?」

桜『……先輩はどうですか?』

慎二「衛宮? ああ、いつもどおりピンピンしてるみたいだ」コソッ

桜『そうですか。怪我などしてないならいいんです』

慎二「はっ、兄の心配より先輩の心配かよ」

桜『ふふっ、兄さんは逃げることに関しては神がかっていますから心配無用です』

慎二「はあ、そうですかよ」

桜『兄さん、聖杯戦争、頑張ってくださいね。あと……』

慎二「あの約束は守ってやるよ。ヤクソクヲヤブルほど落ちてないさ、僕は。心配されずとも逃げ帰る。だからゆっくり待っててよ」コソッ

桜『はい! それでは』カチャッ

慎二「はぁ」カチャッ

UBW√を慎二に意識を向けて見直していたら、いろいろ面白いイベントがあった。
顎から落下、わかめ収穫祭などなど。
ギルさんより慎二好きになりつつある。
今日はここまででせう

士郎「終わったか。どうだった?」

慎二「さっきも言ったけど桜は関係ないんだぜ? 普通だったよ、普通。いつもどーりだ」

士郎「それならいいんだけど」

ピンポーン

士郎「あれ? 誰だ?」スック

士郎「今でまーす」ガラガラ

凛「ただいま」ボストンバッグ

士郎「あれ、遠坂どうしたんだ?」

慎二「え! 遠坂?」タッタッ

凛「今日からここに住ませてもらうわ。同盟組んだんだもの、当然でしょ?」ボン

凛「ほら、ボーっとしてないで慎二もさっさと家から荷物取ってきなさい」ビシッ

慎二「ええっ! 僕も?」

凛「ええ。早く行ってきなさい」ボン

慎二「……行くぞ、ライダー」

ライダー「分かりました。シンジ、荷物持ちですか?」

慎二「そうそう。じゃあ、また後で」ガラガラ

〜間桐家〜

慎二「どれくらい荷物あればいいんだ?」ガチャッ

ライダー「……どうでしょう?」スタスタ

慎二「ただいまぁー」トコトコ

桜「あれ、おかえりなさい、兄さん?」

慎二「なんだ?」

桜「さっき電話があったのにもう帰ってきたんですね」

慎二「ああ、それ? 僕衛宮と遠坂と同盟組んだんだよ。だから、これからしばらく衛宮ん家に泊まることになったのさ。で、その荷物を取りに来たわけ」ゴソゴソ

桜「え、ということは遠坂先輩も衛宮先輩の家に?」

慎二「あぁ、そっか。大丈夫さ。遠坂は僕のものにして見せるからね。とりあえず衛宮ん家いって遠坂を見てもあまり騒ぐなよ?」ゴソゴソ

桜「兄さんズルいですよー! 私だって衛宮先輩の家に泊まりたいです!」

慎二「え、ええ? 聖杯戦争に参加したくないって言ったのは桜だろ? それにあそこはこれから危険になるんだぞ?」ゴソゴソ

桜「むー、そうですけど……」ブツブツ

慎二「いつもどおりご飯の時間だけ来ればいいだろ? そうすれば遠坂にお前の場所を奪われることはないだろうしさ?」ゴソゴソ

桜「……そうですね。姉さ、遠坂先輩が変な動きをしたら電話くださいね」

慎二「はいはい、分かったから。じゃあ僕は行くから」

桜「携帯忘れてます。これがないと電話出来ないでしょう?」ハイッ

慎二「わ、分かってるさ……じゃあ、ライダー行くぞ」バシッ

ライダー「はい。サクラ、私が連絡します」スッ

桜「そうね。ライダーならちゃんと連絡くれそう」ニコッ

慎二「じゃあ、また明日か?」ギイィ パタン

桜「さぁて、私も準備をしないと」タッタッ

〜衛宮家〜

慎二「帰ったぜー」ピンポーン

士郎「お、きたきた。早く入れよ」ガラガラ

慎二「なんでそんなに急いでるのさ、衛宮? そう言えばセイバーは大丈夫だったか?」ヌギ

士郎「なんでもだ! セイバーは……大丈夫だったけど、お前らとおんなじことを言っていたよ」ポッ

慎二「は、そうだろうな。サーヴァントからしたら迷惑なだけだぞ?」トコトコ

士郎「うー、今後は気をつけるって事で話をつけた」

慎二「そう」

士郎「さ、行くぞ!」グイッ

慎二「なんなんだよ、もう!」ズリリー

凛「あ、きたきた。それじゃあ私たちの部屋を決めちゃいましょうか」

士郎「というわけだ」

慎二「僕はどこの部屋にしようか。たまには和室っていうのも新鮮だ」

凛「そうね。いつもは洋室だから。あ、そうだ、セイバーの部屋も決めちゃいましょうよ。ま、布団一組あればノープロブレムって言うのなら別にいいけどね」

今日はここまで!
キャラ崩壊並みのいい子になってやがる……

士郎「するかバカ! セイバーは女の子だぞ!?」

セイバー「困ります。睡眠時は最も警戒すべき対象なのですから、同じ部屋でなくては守れない」

士郎「こっちのほうが困る!! 何考えてるんだお前ら、それでも女か!」

慎二「いいじゃん。セイバーと同室。夢が広がるってもんだろ?」ニヤニヤ

凛「慎二は黙ってて」ベシッ

慎二「バタンキュー」ヘロッ

凛「サーヴァントはサーヴァント、人間扱いはすることないのよ。でもセイバー、この調子だと相部屋は難しそうよ。士郎が嫌だって言うんだから諦めたら?」

セイバー「それは違う。士郎は困るとは言っただけで、嫌だとは言っていない」

凛「だってさ、そのあたりどうなの?」

セイバー「士郎もう一度聞きます。睡眠時の警護はサーヴァントの役割です。マスターとして、自分の立場は判っていると思いますが」

慎二「ぼかーさんせーだぜー! ぼくもらいだーとあいべやだかーねー」ヘニョー

凛「だから、黙ってなさい!」チョップ

士郎「慎二……とにかくダメだ! できるだけ近い部屋を用意するから、それで勘弁してくれ」

セイバー「……分かりました、マスターの方針に従います。しかし敵に襲われた時どうするのです。私が駆けつけるまでシロウは自分を守れるのですか?」

士郎「それは……」

凛「それは有り得ないわね。この屋敷にはの外敵が侵入すると警報がなる結界があるわ。襲撃は避けられないけど、奇襲ならすぐ察知できるわ」

セイバー「それはそうですが……しかし」

凛「なんなら士郎の隣の部屋でいいんじゃない? 同じ部屋でなければいいんでしょ、衛宮君は?」

慎二「それでいいんじゃないか? セイバーも一瞬で衛宮の異常に気づけるしさ」スック

士郎「遠坂、慎二、そういうのを詭弁って言うんだぞ」

凛「あなたのために言ってるから正論。さーって、私はどこの部屋にしようかなー?」トコトコ

慎二「なんだかお泊り会みたいで不思議な気分だよ、僕は」トコトコ

士郎「…………」ジー

セイバー「…………」ジー

士郎(ここは俺の家だからな?)

〜縁側〜

士郎「…………ふぅ」

慎二「何してんのさ、衛宮」トコトコ

士郎「え、ボーッとしてただけだ。次から次へと色々あったから」

慎二「ふぅん。確かに普段よりめまぐるしくって感じだな」ボケー

士郎「正直に言うと、セイバーの怪我のこと考えてた」

慎二「大丈夫さ。もうサーヴァントを人間として見るなとは言わないけど、セイバーは自然治癒ができる。そうそう死にはしないさ」

士郎「まあ、そうだろうけど。俺のために、俺のせいでセイバーが傷を負うのはなーって」

慎二「……じゃあ自分が頑張るしかないんじゃないの?」

士郎「そうだよなー」ボケー

凛「ね、余ってるクッションとかない? あとビーカーと分度器」

士郎「あ? クッションはとなりのを持ってけ。ビーカーとかなんて普通の家には無いぞ?」

凛「はあ! 信じられない。魔術師なら実験用具くらい用意しとくものよ」

士郎「……本当に本気みたいだな、あいつ」

慎二「泊まる事か? まあ、さっき客間の方に変な看板を見かけたし」ハッ

士郎「そういやお前は泊まるところ決めたのか?」

慎二「くそっ! 遠坂のところ一番いいところじゃないか」

士郎「そうだな。で、お前はどうするんだ?」

慎二「……うう、遠坂に近い部屋がいいというのが本心だけど、何されるかわからないし」

士郎「はぁ、じゃあ慎二は今の近くの部屋でいいんじゃない?」

慎二「そうだね。色々近くにあるみたいだし、それがいい」

士郎「あまり近くに女の子がいると緊張して寝れるもんじゃない」

慎二「へぇ、緊張するのか。僕は普通に大丈夫だけど」

士郎「そりゃ、桜がいるからだろ?」

慎二「さあ? 僕はモテるからね」

士郎「くっ、憎い!」バタッ

慎二「あり? 寝ちゃったのかよ。はぁ、仕方が無いか」ボケー

少しだけ投下、レッツ学校

〜夕飯時〜

士郎「ふぁぁあ」

慎二「あ、起きた」

士郎「慎二! まだいたのかよ」

慎二「今来たところさ。変な想像はしないでくれないか?」

士郎「そうだな。ってもう日が落ちてるじゃないか」スック

慎二「寝過ぎじゃないのか、衛宮……」スック

士郎「起こしてくれればいいのに……とりあえず居間にでも行こう」

慎二「そういやセイバーと遠坂が来てたな」

士郎「! それならなお起こして欲しかったぞ!」ダッ

慎二「だから来たばっかりなんだってば!」


シーン

士郎「……」

セイバー「……」

慎二「……」

慎二(沈黙が耳にいたい)フルフル

凛「……」

士郎「……今後のことで話しておきたいことがあるんだけどいいか?」

凛「ちょっとまって。その前に一つ決めておきたいんだけど」

士郎「う、いいけど、なんだよ」

慎二「なんだ?」

凛「何って、夕食の事よ。士郎、ずっと一人暮らしだったんでしょ?」

士郎「まあ、そうだけど」

凛「なら食事は自分で作ってきたのよね」

士郎「そりゃ作るさ」

凛「そ。それなら提案なんだけど、夕食の当番は交替制にしない? その方が楽でしょ?」

慎二「ち、ちょっとまってくれ……遠坂、僕は家庭科でやった程度の料理しかできない……」ガクガク

ライダー(一応才能に溢れるという設定だけありますね。学校で習う程度の事は容易にこなせるというのは嘘ではないようです)

士郎「ふむ。遠坂、考えがあるんだが」ニヤァ

凛「あら、奇遇ね。私もあったの」ニコォ

慎二「ひ、ひぃ」

士郎「時代は家事できる系イケメンだ。夕食は三人の交代制に決まりだな」ニヤニヤ

凛「大丈夫よ。士郎と私がつきっきりで教えてあげるわ」ニヤニヤ

凛「とりあえず今日は遅いし、作戦会議は食べ終わってからにしましょう。とりあえず今日は士郎が当番ってことで。明日は慎二、あなたね」ニコニコ

士郎「おう、分かった」スック

慎二「ら、ライダー……代わりにやってくれ……桜の仕事なんだぞ、ご飯を作るのは」

ライダー「シンジ、生まれ変わるチャンスです。この際苦手を克服してしまいましょう」グッ

凛「ライダーの言う通りよ。これからは桜に任せなくても済むじゃない」ニコニコ

慎二「ぼ、僕は作れない……作りたくない! そんなの衛宮達でやってろよぉ……」

士郎「なら同盟は解消か? お前の条件は……何があっても逃げないだったか? キッチンに立つことから逃げる訳無いよな」カチャカチャ

慎二「ぐ……変なことをいうんじゃなかった」ヘタッ

慎二(仲直りはできないし空回りはするしで本当に不幸だー!)

ライダー「どんまいです。シンジ」ポン

士郎「……」トントン カチャカチャ

セイバー「今後の方針は決まってるのですか?」

凛「残るマスター三人を探し出すことかしら。こっちの正体がバレないよう探したいけど、そうはいかないわよね」

慎二「探し物か……」

慎二(これなら僕が活躍できるかも)

ライダー『シンジ、あまり変な真似をすると死にますよ』

慎二(探し物は僕の得意分野だぞ? 大丈夫に決まってる)

ライダー『はぁ、私も手助けはしますが、気をつけてください』

慎二(ふふふふ)

凛「イリヤスフィールは敵。外見には騙されてはダメよ。とにかく調理に専念しなさいよ、あなたの実力が判らないと私が困るんだから」

士郎「?」カチャカチャ

セイバー「イリヤスフィール……凛は彼女を知っているようでしたが」

凛「名前くらいは知ってる。アインツベルンは何回か聖杯に手が届きそうになった家系だから」

慎二「なら聖杯戦争のプロってことか?」

凛「まあ、そうなるわね。他の連中は知らないけど、イリヤスフィールは最大の敵となるでしょうね」

セイバー「私たちの当面の問題はその敵に狙われているということですか」

凛「うん。アーチャーはまだ戦線に出られるほど回復してない」

アーチャー『む、私だってマスターである魔術師を倒すことぐらいできるぞ、凛」

凛「サーヴァント戦は無理。で、セイバーはどんな感じかしら」

ライダー「私は無論大丈夫です」ズイッ

凛「きゃあ! いつのまに実体化したのよ、ライダー」

ライダー「そんなことどうでもいいでしょう。それよりセイバー、あなたは大丈夫なのですか?」

セイバー「……あなたが遮ったのでは……まあいいです。通常の戦闘ならば支障は有りません。しかしバーサーカーと戦うのはまだ厳しいです。バーサーカー戦の傷は既に完治しましたが、ランサーの槍に付けられた傷は癒えるのに時間が掛かるでしょう」

凛「なら自由に動けるのはライダーだけか……なら当面は様子見するしかないか」

慎二「マスターを探さないのか?」

凛「探しはするけどこっそりね」

慎二(これは僕の探し物スキルを披露するチャーンス!)ニヤニヤ

ライダー(シンジ……)

セイバー「凛、それについては提案があります。アーチャーの目は鷹のそれと聞く。彼に屋敷の周りを見張ってもらうのはどうでしょう」

凛「そのつもりよ。この屋敷にも侵入者用の結界が張ってあるんだし、守りは万全でしょう。まぁ、バーサーカーに攻め込まれたら為す術もないんだけどね」

士郎「よっと……」ボン

慎二「あ、出来たのか、衛宮?」

士郎「ああ、ライダーも食べるか?」

ライダー「……では、いただきます」

士郎「そうか。食べろ食べろ」ニッ

凛「私も運ぶわ」カチャカチャ

慎二「僕も運ぶこと位やるさ。ご飯を作ってもらってるんだからね」スタスタ

士郎「いや、明日はお前の番だからな、慎二? 逃げようたってそうは行かない」ニコニコ

ライダー「シンジ、腹をくくりなさい」ガシャガシャ

セイバー「……」ゴハンゴハン

士郎「そんじゃ、準備も終わったし」カチャカチャ スタッ

皆「いただきます!」

セイバー「…………ふむ、ふむ……ふむ」コクコク

ライダー「……ぐっ!」ポンポン

慎二「はぁ……がっつくなよ」ポンポン

ライダー「……ありがとうございます、シンジ」ペコリ

慎二「わかめが詰まってたのかよ……」ドーン

凛「よし、これなら勝った……」グッ

士郎「?」

凛「ふふ、明後日を見てなさいよ衛宮士郎……」ググッ

士郎「あのな、さっきの話だけど」

士郎以外皆「?」

慎二「さっきの話ってなんだよ、なんか言ってたか、衛宮?」

士郎「だから、今後の方針ってやつ。人が飯作ってるときに話してたろ?」

セイバー「まずはマスターを探すということですか?」

士郎「そう、それ。具体的にどうするのかなーって思ったんだけど」

凛「どうするも何も地道に探すしかないわ。あ、そうだ。二人は魔術師の気配を感知できる?」

慎二「僕は無理だね。衛宮はどうだ?」

士郎「俺もできない。二年間学校に通っていて遠坂が魔術師だって気付かなかったんだから」

凛「それもそうか。セイバー、ライダー、あなたたちはサーヴァントの気配を感知できるかしら」

セイバー「多少は。しかし半径二百メートル以内で能力を行使しているときしか捉えられません」

ライダー「私は能力を行使していなくても半径二百メートルは捉えられます」ドヤ

凛「なるほどね。じゃあますます相手の出方を探るってことになりそうね」

士郎「つまり、町中を調べろってことか?」

慎二「いや、そんなことしてたら相手の網にかかるんじゃないか?」

凛「そうね。とりあえずは、こっちの態勢が整うまで後手に回りましょう。今までどおりに生活してマスターだと悟られないこと。令呪は隠すこと。できるだけ人気のないところへ行かないこと。日が落ちたら帰ってくること。あとは……」

慎二(令呪のところは問題ないか。あ、でも偽臣の書は見られないよう気を付けなくてはダメか)コクコク

セイバー「外出するときはサーヴァントを連れていくように。凛、アーチャーはあなたの護衛ができますか?」

凛「それぐらいならできるみたい。霊体にして待機させておけばいいから。慎二はと大丈夫。だから問題は……」

セイバー「私のマスターですね」

凛「そ。外出するときはセイバーを連れていくのよ。中には昼間から襲いかかってくる馬鹿がいるかもしれない。それに備えて、セイバーと一緒にいなさいよ」

士郎「努力はする」

セイバー「どうしました?」

士郎「……セイバー、おかわりならご飯つぐぞ」シャキーン

セイバー「いいえ、結構です。いい味付けでした」ペコリ

凛「ごちそうさま」ニヤニヤ

慎二「桜の料理を繊細にしたような味だった。流石は師匠って訳なのかな。そうだな、一つ文句を言わせてもらうならわかめの量だな。もうちょっと少なくてもいいんじゃないか?」

士郎「そうかな? ライダーが喉に詰まらせたのは、がっついたからだろ?」

ライダー「士郎、これはシンジの中では最上級の褒め言葉なんですよ」ニコニコ

士郎「あ、そうなのか……確かに慎二が素直に人を褒める訳がないか」クスクス

慎二「何話してんのさ」ジロ

セイバー「凛? どうかしたのですか?」

凛「……そう言えば、セイバーは霊体になれないんだから、学校には来れないじゃない」ボソッ

セイバー「!! シロウ、学校へ行かないという選択肢は……」

慎二「できないに決まってるだろ? 不自然な動きは避けないといけないってさっき言ったばかりじゃないか。もしかして忘れてたのー?」

凛「大丈夫よセイバー。学校には人も多いし、それにわたし達もいる。危険はないわ」

セイバー「ですが……」

ライダー「心配無用です、セイバー。シンジが士郎と同じクラスなので万が一時は私がフォローしますから」ドヤ

士郎「いや、だから万が一なんてないってば」

セイバー「……マスターがそういうのでしたら……」コクリ

皆「ごちそうさまでした」

士郎「お粗末さまでした。皿洗うから皆持ってきてくれ」トットッ

セイバー「よろしくお願いします。シロウ」カチャカチャ

ライダー「お願いします」カチャカチャ

慎二「よろしくな、衛宮」カチャカチャ

凛「お願いね、士郎」カチャカチャ

慎二「ふう、もう食べられないな」マンプク

ライダー「シンジ、腹八分目です」

慎二「そんなのどうでもいいんですー! 食べたいものを食べる。はいオッケー」ベーン

凛「お風呂でも入ろうかしらね」ゴソゴソ

セイバー「お風呂は沸いているのですか?」

凛「いや、沸いてないみたいだから沸かしちゃうわ」スタスタ ガラガラ

慎二「僕は遠坂の後に入ろうかなー。最近は冷えてきたししっかり温まらないと……」

ライダー「シンジ、下心丸見えです。リンがいなかったから良かったものの」

セイバー「そういうことは慎みなさい。今は聖杯戦争中なのですから」ワナワナ

慎二「はいはい。やっぱこたつは最高だね」ヌクヌク

セイバー「……」ボーゼン

ライダー「セイバー、あなたの声は一応届いていますよ」

セイバー「そ、そうですか……」

士郎「ふぃー、冬の水は冷たいな。あれ、遠坂はどこ行ったんだ」フキフキ

慎二「あ? 皿洗い終わったのか?」

士郎「おう。いつもより少し多いだけだから大して時間はかからないよ」

慎二「そうかよ。遠坂はお風呂に入るってさ」ニヤニヤ

慎二「あと、遠坂の後は僕が入るんだぞ!」

士郎「……はいはい、分かった。くれぐれも変なことをするなよ?」

慎二「分かってるって。慎二様がそんなことするわけ無いだろ」キラッ

ライダー(シンジだから心配なんですけどね……)

凛「いい湯だったわー。あ、士郎、お風呂先にもらったわ」ホカホカ

セイバー「噂をしたら本人が来るというのはもはやお決まりですよね、シロウ?」

士郎「ああ。現実でも創作物でもあるあるだよな」

凛「な、何よ。噂をしたらってあなたたち何を言っていたの?」ズイー

慎二「な、ぜ、僕に詰め寄るんだよ遠坂!」ワタワタ

慎二(風呂上がりのいい香り。たまらないね!)

凛「他意はないわ。どうせ慎二の事だから私のお風呂シーンの妄想を延々と語っていたのでしょうけど」ツーン

慎二「い、いわれのない罪だ! 僕はそんなことしてない! な、衛宮?」

士郎「え……う、うん。そうだな。慎二」ヒクヒク

セイバー「?」

ライダー「……」ニコニコ

慎二「みなさーん? 何怪しまれる真似しちゃってるんですかー?」ギロッ

アーチャー「私は慎二を擁護しよう。途中から話を聞いていたが、そんなことは言っていなかった」

凛「あ、アーチャー、外の監視はどうしたのよ!」

アーチャー「第一、慎二はそんなことが出来るタマではなかろう。それは凛、君も知ってるだろ?」ムシ

凛「う、確かにそうね」ピクッ

アーチャー「まあ、凛たんの入ったお風呂いい匂い! ハスハス。凛たんの成分が入ったお湯だ! ゴクゴク。くらいは考えているかもな」ニヤニヤ

凛「ひぃ! お、お湯抜いてくるわ!」ダッ

慎二「くそ! アーチャーは味方なのかと一瞬思ったけど……この裏切り者!」ビエェェン

アーチャー「はは、この程度、裏切りでもなんでもない」

ライダー「いくらなんでも……」ドンビキ

セイバー「限度ってものが……」ドンビキ

士郎「俺、やっぱお前とは合わないな」ドンビキ


~数時間後~

凛「……私の早とちりだったわ。ごめんなさい」ムスッ

慎二「ああ、みんなの本性が知れてよかったってポジティブにとらえてるから大丈夫さ」ゴーン

凛「本当にごめんって、主犯のアーチャーは外監視の刑に処したから反省するはずよ」

慎二「もういいってば。共犯者も反省しているみたいだしさ」

士郎「……」ボロッ

ライダー「……」キラーン

セイバー「喝!」

士郎「なんでさ!」

凛「セイバーの木刀……下手しなくても骨往くわね」

慎二「セイバー……やっぱり僕のことをおちょくったバツは身を持って受けてもらわないとね」

セイバー「もちろんそのつもりです。シロウとライダーはやり過ぎました」ベシッ

凛「私から言わせてもらうと、セイバーと慎二もやり過ぎよ」ヤレヤレ

アーチャー「凛もやり過ぎだ。私を凍死させる気か」

凛「あなたはもともと監視しなくちゃダメなんだから、バツでもなんでもないでしょう。さっさと戻りなさい」

慎二「いつの間に入ってきたんだよ……」

アーチャー「仕方無い。従わないと動きづらくなるからな」シュン

凛「セイバー、やっぱりそろそろやめましょう」

セイバー「むっ、良いのですか? この程度では反省しませんよ」ブンブン

士郎「っていうか、ライダー一回も叩かれてなくないか?」

セイバー「士郎が反省の意思を見せないからです。とぅ!」バシィ!

士郎「なんでさ!」


アーチャーはネタキャラとして活躍してもらうのです!!

今日の投下はここまでです

慎二「……」ズズズー

ライダー(お茶五杯目です)

セイバー「……」

凛「ふぁぁあ。私、そろそろ寝るわ」スック

凛「おやすみ」スタスタ

士郎「おやすみ。ってい!!」ビシ

セイバー「余所見厳禁!!」ブン

ライダー「それでは士郎、私もシンジの護衛をするべく、部屋へ帰ります」

セイバー「おやすみなさい」

士郎「なんでさ!!」

慎二「……頑張れよ、衛宮」スタスタ

〜朝〜

慎二「ふあああ、良く寝た」ノビー

ライダー「おはようございます、シンジ。意外に起きるのは早いんですね」ビクッ

慎二「えぇ? そんなことないはずないんだけ……ど」ガッ

慎二「嘘だろ、まだ六時前じゃないか」ガーン

ライダー「きっと早く寝たからですよ。昨日は布団に入ってすぐに寝てしまいましたし」

慎二「そんな疲れることしてないのにさぁ、弓道部副主将が聞いてあきれる……」キガエキガエ

ライダー「グダグダ言うのはいいですから、早く居間へ行きましょう」スタスタ

慎二「はぁ、サーヴァントにケチ付けられる僕って一体」スタスタ

慎二「ふあぁぁ、相変わらず早いねぇ、衛宮は」

士郎「おお、慎二か。おはよう」

凛「あら……慎二も起きてきたのね……」ズーン

慎二「おい、遠坂、大丈夫かよ」

凛「いつものことだから……気にしないで」

士郎「本当に大丈夫らしいんだ」

凛「そうよ。心配無用。顔でも洗えばましになるわぁ」ヨロヨロ

慎二「そんなことってありかよ……」ピンポーン

凛「しろー、誰か来たんだけど」

慎二「朝っぱらから何なんだよ」

士郎「ああ、気にするな。この時間に来るのは身内だから」

慎二(身内……そういえば桜は衛宮ん家に通ってたっけ。ということは来たのは桜か。事前に遠坂のことも言っておいたし問題ないか)

士郎「……待てよ」

士郎「っっっっっ…………!!!」ダッ

慎二「衛宮ーーーー!?」ダッ

~玄関~

凛「おはよう間桐さん。こんなところで顔を合わせるなんて意外だった?」

桜「ここに下宿することになったんですよね? 兄さんから聞きました。家の改修をしているんでしたっけ?」

凛「え……ええ。そうよ。結構時間がかかりそうみたいなのよ」

士郎「慎二、グッジョブ!」コソッ

慎二「よう、桜。今日もご飯を作りに来たのか?」

桜「もちろんですよ、兄さん」

凛「それは結構よ。いままで士郎の世話をしていたみたいだけど、しばらく要らないわ。来られても迷惑だし、来ない方が貴方のためよ」

慎二「あんまり言いすぎると地雷に触れる!!」コソッ

士郎「因縁があるのか、この二人は」コソッ

慎二「これは僕では対処できない。先に言っておいてもこんな事になるなんて……」コソッ

桜「遠坂先輩のおっしゃること、それには従えません」グイッ

凛「え、ちょ……桜!」

桜「先輩、お台所お借りしますね。兄さんも食べて行ってください」ドカドカ

慎二「あ、ああ」

慎二(僕たち男性陣はただただ桜を見送ることしか出来なかった。女は恐ろしい)

凛「な………………」

士郎「は! おい遠坂、なんでお前が桜が俺の世話してくれていることを知ってるんだよ。慎二はともかく、お前には言った覚えないぞ」

凛「え、ああ、それは風のうわさで聞いただけよ。それより驚いたわ。あの子、ここじゃあんなに元気なのね。学校とは大違いじゃない」

慎二「ホントホント。僕もめったに見ない元気さだぜ?」

慎二(ときどき恐怖を感じる笑みを見ることは有るけど……いや、気のせいだよな)

士郎「いや、あれには俺だって驚いてる。あんなとげとげしい桜は初めてだ。うちにいる時と学校にいる時の桜は変わらないよ」

慎二「普段なら、だろ?」

士郎「ああ。普段ならうちも外も大差ないんだけど……今の桜はうちにいる時とも外にいる時とも違うな」

凛「まずったわね。それなら私じゃなくて士郎か慎二が言った方が良かったじゃない」アチャー

アーチャー『呼んだ?』

慎二「はあ? 僕がそんな事しなくちゃならないいわれは無いだろ」

士郎「そりゃ俺が言った方が変にこじれずに済んだと思うけど。何がまずいんだよ」

凛「そりゃまずいわよ。なんてったってこれからここは戦場になるかもしれないのよ? だから私達以外の人間を寄せ付けないよう窘めたのに、あれじゃ逆にあの子を追い出しにくくなっちゃったじゃない」ヤレヤレ

慎二「ヤレヤレは僕らのセリフだからね! そこは普通やっちまった、だろ!」

士郎「慎二から何かできないか? 兄貴権限的なやつでさ」

慎二「やってはみるけど期待はしないでくれ。ああ見えて普段も頑固なんだよ」

士郎「まあ遠坂、今日は仕方ないな」

凛「ふん、さっさと説得しなさいよ」

慎二「自分のことを棚に上げてそんなこと言われてもねぇ」ハァ


桜「……」トントン

凛「……」

慎二(にしても、姉妹仲ってこんなにギスギスしたものなんだなー。つーか衛宮のやつ何ちゃっかりセイバーの様子を見に行ってくるとか席外しちゃってんのさ)

慎二(こんな空気に耐えられるスキルはないよ、僕には。一級フラグ建築士さんくらいの技量がないとこの空気を変えることなんてできないしぃ)

ライダー『シンジ、目が赤くなってますよ』

慎二『いいよな、お前はこんなギスギスした空気の中で質量として存在しなくて良くてさ』

ライダー『……なら私達も部屋に戻ればいいのでは?』

慎二『いや、この二人をセットで放置する方が危険な気がするんだよ。これ、僕の勘ね』

ライダー『そうですか? 桜はそんな心配することはないと思いますが』

慎二『遠坂はどうなんだよ! それにさっきの二人見ただろ? 今だって無言で牽制し合ってるのさ、多分』

ライダー『……前言撤回です。シンジが正しかったです。この二人だけで置いておくのはまずい』

慎二『そうだろ? 家帰って遠坂のことを報告した時の顔見たろ。そういうことなんだよ』

凛「……桜、最近部活はどう?」

桜「……先輩に上手くなったねって褒められることが多くなりました。実際はまだまだなんですけどね」カチャカチャ

凛「先輩ってもしかして綾子?」

桜「はい。美綴先輩は上手なので私の目標なんです!」

凛「……!」

桜「他には大したことではないですが、兄さんが部活をサボることも多いですね」ニコッ

凛「間桐君は部活をサボるのね。まあ、二年の間では割と知られていることなんだけど」

慎二「な、何言ってるんだ桜! 僕は自由参加だから行かないだけだろ!」

凛「参加しなくちゃダメな放課後練習も毎日参加してた?」

凛「私の記憶だと、授業が終わってすぐに女の子を引き連れて新都へ繰り出していたような……」ニコッ

慎二「……ああそうだよ! できる僕がいたら下手な奴らのやる気を削ぐだろ、だから行かないこともあるんだよ」

凛「あらあら? 見栄は張るものじゃないわね」クスッ

〜十数分後〜

士郎「ただいまっと」ガラガラ

慎二「バタンキュー」

ライダー(こてんぱんです。言葉の攻撃とはここまでのものだったのですね……)

士郎「ど、どうしたんだよ、慎二!」ユサユサ

慎二「うう、な! 衛宮! ここの二人はいろんな意味で危ないからな!」ガバッ

凛「わかめが多めの味噌汁は慎二の席に……」シレッ

桜「兄さんはこのお茶碗でいいかな」シレッ

士郎「……? 何言ってるのさ」

凛「間桐君は放っておいてご飯食べちゃいましょう、衛宮君」

士郎「え……あ、そうだな。慎二もさっさと食べないと遅刻すんぞ」

慎二「あ、ああ。スルーされたのは気になるけど遅刻は困るか」ムクッ

士郎「わかめご飯にわかめの酢の物、わかめの味噌汁……わかめづくしだな」パクパク

慎二「ぼかぁ悪意のようなものを感じてるよ」ツツキ

凛「何言ってるの? メインはわかめじゃないわ。魚じゃない」ツツキ

桜「遠坂先輩は朝弱いんじゃないんですか?」パクパク

凛「ええ、でも出してもらったのは食べるのが礼儀ってものよ」

士郎「……(なにか大事なことを忘れている……)」

慎二「……わかめ嫌いになりそう……」パクパク

凛「そんなこと言うなら食べなくてもいいのよ」モグモグ

ライダー『なんだかんだ言って食べるところがなんとも言えません。ツンデレなんですかね』

慎二「黙れよ!!」

士郎「食事中に叫ぶなよ、慎二」

桜「な、何かありましたか? 口に合わなかったとか……」

自己満になりつつある

慎二「は! 口に合わないだって? 当たり前じゃないか、こんなショミンじみた物……」

桜「…………」グス

士郎「慎二、言い方ってもんがあるだろ。俺はこの料理はうまいと思うけど」

凛「はーい、私も間桐君に訂正を要求するわ。口に合わないっていうならちゃんと細かく言ってもらわないと」

ライダー『シンジ、思ってもないことを言ってしまったのなら、素直に謝りなさい』

慎二(な、桜ってこの程度で泣いてたか!?)アセアセ

慎二「な、なに泣いてるんだよ! ショミンの物は僕の口には合わないけど、不味いとは言ってないだろ! なに早とちりしちゃってるんですかぁ!」

アーチャー(慎二乙でーす)

桜「……」

慎二「なんだよ、こっち見るなよ」パクパクパクパク

ライダー『良かったですね、サクラ。味にうるさいシンジがあんなことをいうのは珍しいです』

桜『知ってる。知ってるから驚いちゃったの』


桜(嘘泣きなんだけどね)

ほのぼの好きですわ

士郎「本当に慎二は……いや、なんでもない」

凛「くくっ」プププ

慎二「言いたいことがあるなら言えよ! 本当に朝からムカつくなぁ」イライラ ガツガツ

桜「に、兄さん、落ち着いてください」

ライダー『黙らないなら武力を行使するまでです』

慎二『元はといえばお前のせいだぞ、ライダー!』


ガラガラ

???「ふー、寝坊しちゃったよー」ダッダッダッ・ ズテッ

士郎「思い出した!! 藤ねえだ!」ピーン

慎二「え、ふ、藤村だって!?」ドカッ

凛「どうしたのよ。その程度で慌てるなんてらしくないわね」クビカシゲ

慎二「いちいちウザイだけさ。面倒なんだよ」フン

今日はここまで!!

大河「おっはよー! 士郎、ご飯!」バーン・ スタッ

士郎「おはよう、藤ねえ。はい、ご飯」

慎二「……」タラタラ

凛・桜「おはようございます。藤村先生」

大河「はい、おはようございます! んぐぐ……」ガツガツ・ オカワリ!

慎二「……」パクパク

大河「士郎、なんで間桐君と遠坂さんがいるの?」コソッ

士郎「そ、それは……二人は今日からここに下宿することになったんだよ。もう決定事項だからな」

桜「どうぞ。藤村先生」コトッ

大河「ありがと、桜ちゃん」ガツガツ

大河「そっか。二人が泊まるのね」ガツガツガツガツ

凛「よろしくお願いしますね。藤村先生」ニコッ

大河「…………二人が、泊まる?」

大河「おっはよー! 士郎、ご飯!」バーン・ スタッ

士郎「おはよう、藤ねえ。はい、ご飯」

慎二「……」タラタラ

凛・桜「おはようございます。藤村先生」

大河「はい、おはようございます! んぐぐ……」ガツガツ・ オカワリ!

慎二「……」パクパク

大河「士郎、なんで間桐君と遠坂さんがいるの?」コソッ

士郎「そ、それは……二人は今日からここに下宿することになったんだよ。もう決定事項だからな」

桜「どうぞ。藤村先生」コトッ

大河「ありがと、桜ちゃん」ガツガツ

大河「そっか。二人が泊まるのね」ガツガツガツガツ

凛「よろしくお願いしますね。藤村先生」ニコッ

大河「…………二人が、泊まる?」

大河「おっはよー! 士郎、ご飯!」バーン・ スタッ

士郎「おはよう、藤ねえ。はい、ご飯」

慎二「……」タラタラ

凛・桜「おはようございます。藤村先生」

大河「はい、おはようございます! んぐぐ……」ガツガツ・ オカワリ!

慎二「……」パクパク

大河「士郎、なんで間桐君と遠坂さんがいるの?」コソッ

士郎「そ、それは……二人は今日からここに下宿することになったんだよ。もう決定事項だからな」

桜「どうぞ。藤村先生」コトッ

大河「ありがと、桜ちゃん」ガツガツ

大河「そっか。二人が泊まるのね」ガツガツガツガツ

凛「よろしくお願いしますね。藤村先生」ニコッ

大河「…………二人が、泊まる?」

三重すみません!

大河「そりゃどこのラブコメだー!! そんなの認めません! しかも間桐君まで!? 禁断の関係はダメーーー!!」ババーン

慎二「う、何言ってるんだよ! おまえ頭の中までトラなのかよ! 何、トラ脳なの?」キーン

桜「うう、耳にきます……」キーン

士郎「だから決定事項だって言ったろ? 今更変えることはできないからな」キーン

大河「ダーメダメダメーダメよ!! 同級生の男女三人をひとつ屋根の下に置くなんて絶対ダメよ! 先生として、保護者として許しません!」

大河「間桐君だけならまだいいんだけど、女の子がいるなら話は別!」

凛「お言葉ですが藤村先生、私達は既に一泊してしまいましたが」

慎二「そうか! そうだ。僕たちはもう泊まったけど何もなかったよな? それに衛宮がそんなことするやつに見えるのか?」

大河「! 士郎はそんな事しないよ!」

凛「私もそう信じているので泊まったんですよ」

凛「実は今家の改装中で、工事が終わるまでホテルにでも泊まろうかと思ってたんです。そんな時、衛宮君がうちの部屋空いてるから泊まるかって言ってくれたんですよ。ならばと私は彼の言葉に甘えさせてもらっただけです」

大河「遠坂さんの事情なんか知りません!! 第一、切嗣さんが許さないわよ、そんなラブコメじみた……」

士郎「いや、親父はむしろ男の甲斐性とか言って歓迎するはずだぞ」

大河「むー、な、ならなんで間桐君までいるんですか!」ジロッ

慎二(矛先が変わった……)

慎二「……なんだよ、僕がいちゃダメなんですかー?」

大河「ダメだから聞いてるの! 士郎は女の子を泣かせる真似はしないはずだけど、間桐君は悪い噂をよく聞くから先生心配なんです」

慎二「…………ご飯」ボソッ

大河「え? なんて言ったのかな」

慎二「桜のやつが毎日毎日衛宮のところ行くから僕のご飯がカップラーメンなのさ。先生、僕は健康的な食事すら食べれないのですかー?」ケラケラ

大河「カップラーメンばっかり……それは確かに辛いと思う。でも、それなら、自分で作ればいいでしょう」

慎二「はははっ! 何言ってるの? いっつも衛宮んちに来て飯食ってるのはどっちだよ! 自分で作ればいいでしょう、そのセリフはそのまま返すよ、タイガー」ゲラゲラ

大河「ぐ、ま、間桐君が遠坂さんを傷つけたら……」

慎二「まあその心配はごもっともだけどさ、僕だってそれくらいは分かってるつもりだけど。やっていいことと悪いことは」

慎二「それにさ、衛宮っていうお堅い監視役も居るんだからさ。あと、噂だけで僕のことを知った気にならないでくれないかな、タイガー?」ケラケラケラケラ

大河「タイガー……」

凛「うわぁ」

士郎「言っちゃったな」

大河「……」モグモグモグモグ シュン

慎二「ああ、敵をギったんギったんに叩きのめした後のご飯ほどうまいものはないね! あの愉悦だけでご飯三杯は行ける」ニヤニヤ ガツガツ

士郎「ま、まあそんなに落ち込むなよ、藤ねえ。慎二の言ってることも正論だしさ」

大河「分かってる……間桐君の意外な一面を垣間見た気持ちよ……」

凛「ご飯ねぇ。藤村先生が料理しないのも敗因の一つね」パクパク

アーチャー(私はただの屁理屈だと思うが、今回は慎二の味方な訳だから心に留めておく)

凛(屁理屈だろうとなんだろうと相手を戦意喪失させれば勝ちなのよ)ニヤニヤ

大河「間桐君は部活をサボり、一年をいじめる副主将だと思っていたの。自分のものでない力を振りかざす弱者だと」

慎二(酷い言われようだ)フンガイ

大河「でも、ちゃんとした言葉で戦えるなんて……見直したわ、間桐君」ズイッ

慎二「そ、そんなこと言っても朝練は行かないからな」タジタジ

大河「よーし! 認めましょう! 二人がここに滞在することを。その代わり士郎、監視役頑張りなさいよ」デデーン

慎二「くそっ! 本当に調子狂うな! 桜、お前朝練に間に合うのか?」

ライダー(す、素晴らしいほど強制的な話題転換……もう感動にすら値します)フルフル

桜「え……あ! もうこんな時間!」

慎二「……藤村が悪いんだ。今日は藤村先生のせいで参加できませんでしたーって美綴に言ってやればいいさ」ハハッ

桜「え、行かなくてもいいんですか?」

慎二「今日は藤村のせいだろ、それに」

慎二「僕の敵(衛宮)を早く落としてもらわないと。遠坂を僕の手中に収めるのが目標だからね」コソッ

桜「……そうですね。藤村先生のせいで参加できませんでしたー!!」バーン

大河「え! 私のせいなの? 私がこんないい子に部活をサボらせるなんてありえてはいけないのにー」

大河「そもそも当然のようにいるあなたたちが悪いんだから!」プイ ガツガツガツガツガツガツ

大河「ごちそうさま! 今日も美味しかったよ、桜ちゃん!」ダッダッダッ

凛「ま、まるで嵐だったわね」ドンビキ

慎二「今日は嵐でも起こるのかもしれないな」パクパクパクパク

士郎「それは洒落にならないぞ、慎二? 洗濯物干せないじゃないか」

桜「大丈夫ですよ、先輩。ニュースだと快晴で降水確率十パーセントらしいですから」ユビサシ

士郎「こういう時だと十パーセントが怖くて仕方が無いな」

慎二「大丈夫だと思うけど。なにせ僕の髪の毛が割とストレートになってるからな」ワカメ!

ライダー『私の目では普段と大差ないように見えますが』

アーチャー『右に同じ、だ』

慎二『皆よってたかって僕を馬鹿にしやがって!』ギリギリ

士郎「慎二、物凄い顔になってるけど大丈夫か?」

慎二「大丈夫さ!」ギリギリ ピキピキ

桜「これが、」

凛「ノンバーバルコミュニケーションね」ドヤッ

慎二「……ごちそうさま!!」スック ドンドン

アーチャー『足音、少しは自重してくれ』

凛『アーチャー、慎二に突っかかりすぎでしょ。もうピンピンしてるんじゃないの?』

アーチャー『何を言うんだ。私はまだまだセイバーにやられた傷が残っている。戦えないこともないが万全ではない』

アーチャー『彼に突っかかるのは容認してもらいたい。あれが味だというのは痛いほど分かっているが、我慢ができないのだ』

ライダー『それなら怪我人らしく引きこもってなさい。あと、私のマスターは豆腐メンタルなので、ほどほどに』

アーチャー『や、屋敷の警戒に戻る……ここに居たらほどほどになどできん』

慎二『うるさいなぁ』

慎二以外皆「ごちそうさま!」

士郎「自分の使った食器は自分で持ってけよー」スック カチャカチャ

慎二「ホント衛宮はお母さんかなんかかよ」メザマシジャンケン!

慎二(グーにするか)ピッ

凛「仕方が無いじゃない。言われないともってかない人もいるのよ」チラ

桜「藤村先生はいつものことなんで気にしないでください」クショウ

慎二「あー、そうかよ。チッ、パーか」

士郎「皿洗い終わったら学校行くから、みんな準備しろよ」カチャカチャカチャカチャ

凛「バッチリよ。間桐君、カバン空っぽなの? 随分軽いけど」

慎二「ば! 何やってるの!? 僕は置き勉家だからそれはほぼ空っぽでもノープロブレムなのさ」バッ

士郎「し、慎二、お前は一体どういう勉強してるんだよ!」カチャカチャ

慎二「授業中に完璧にするだけさ。それくらいチョロいだろ? まあ、だからサボった授業の内容は推測で解くしかないんだけどね」ケラケラ

士郎「別次元か。全く参考にはならなかったけど、お礼はしとく。ありがとう」フキフキ

桜「……ほ、ホント羨ましいですよ」ボーゼン・ ジャバジャバ

慎二「は、はん! そんな当たり前のことで驚かれてもねぇ」ケラケラゲラゲラ

凛「ある程度までは授業中覚えるんじゃないの?」

アーチャー『別次元乙だな……』

士郎「はぁ、天才ってのは視野が狭いのか?」

凛「天才? 誰のことかわからないけどとりあえずそろそろ行きましょう。もう八時になるわよ」トコトコ

桜「急がないと!」スック

慎二「何時までに登校すればいいんだっけ」

凛「八時四十分よ。少し急がないと遅刻するかもしれないわね」

士郎「じゃあ行くか!」

〜外〜

慎二「衛宮、セイバーはどうするんだ? まだご飯食べてなかったはずだけど……」コソッ

士郎「大丈夫。冷蔵庫に入ってるものを食べてくれって言ってあるから」グッ!

慎二「そうかよ。ならいいんだけどさ」フイッ

桜「先輩ー! 元栓チェック完了しました!」テッテッテ

凛「鍵もちゃんと閉めたわ。二回チェックしたから絶対よ」キリッ

慎二「ふぁぁ、さすがに遅刻はまずいしさっさと行こうぜ」スタスタ

凛『アーチャーは万全ではないけど一応回復したみたい。まあ、今の状態だと戦闘力は大体セイバーの半分くらいね』

桜「兄さんと遠坂先輩はやっぱり注目集まりますね」アセアセ

ライダー『了解しました。元々私も戦闘力は低いのですが、アーチャーのフォローもお任せください』

士郎「だな。肩身が狭いどころの話じゃない」タジタジ

慎二「何言ってるのさ、衛宮? この程度でビクビクしてるからモテないんだよ」ゲラゲラ

凛『慎二、聖杯戦争が終わるまで、いえ、同盟が切れるまでは学校を抜け出さないで』

凛「私としては興味のない人からの過度な好意は迷惑なんだけどね」ファサ

桜「し、勝者の余裕ってやつですか?」

凛「ば! 何言ってるのよ!」

アーチャー『そうだな。衛宮士郎、お前も一応気をつけるといい』

士郎「確かにそうかもしれないが、人の好意を踏みにじったりはするなよ?」

凛「分かってるわよ。言われるまでもないわよね?」

士郎『なんでさ』

慎二「僕は分け隔てなくみんなと仲良くするから」

慎二(遠坂を手に入れるまではね!)

桜「兄さん、それって女ったらしってやつですよね」

凛『昼休みに話すわ。屋上で』

慎二「は! 何言ってるんだよ。相手が満足してるんだからそれでいいんだよ。これ、経験者は語る、ね?」

凛「呆れた。そんなんだから頭パッパーの女の子しか釣れないのよ」ケラケラ

慎二『焦れったいな』

士郎「頭パッパーって……」

凛「あら、ごめんなさい、言い過ぎたかも」フフッ

凛『今言って取り乱されたりしたら困るの。それに緊急ではないから……やっぱり出てもらった方がいいかしら……』

慎二『? まあ、分かった』


桜『万が一の時は私も頑張るから、ライダー』

ライダー『分かってます。私はサクラに従いますから』

慎二『仲いいな、お前ら』

士郎「にしても周りの眼差しが痛いぞ? 突き刺さって来るようだ」

桜「はい。でもこんなそうそうたるメンバーで歩いていたら注目されるのも仕方が無いですよ」

凛「そうそうたるメンバーねぇ。そんなこと言ってもお金は出ないからね!」

士郎「いや、そういうのは求めてないから心配するな」

凛「そう? でも人の目線を浴びるのは慣れてないからやっぱり私もこそばゆいわ」

慎二「そりゃ、僕みたいな学園のアイドルと歩いていたら視線だって集まるだろ?」

士郎「それは自分で言うことじゃないだろ、慎二……」

桜「大丈夫ですか? 遠坂先輩」

凛「い、いや、大丈夫よ。慣れてはいないけど、経験が大事なのよ」ピシッ

慎二「まあ、無理でも視線が集まらなくなるわけじゃないし、そうポジティブに捉えた方がいいよな」コクコク

〜校門〜

美綴「おはよう! なんだなんだ、不思議なメンツだね」スタスタ

慎二「……」ススッ

凛「おはよう。美綴さん」

桜「おはようこざいます。美綴先輩」ペコリ

士郎「おはよう。不思議なメンツって言われてもな……」

慎二「朝練行けなかったのは僕が悪いわけじゃないからな? 悪いのは藤村だからな?」

美綴「? ああ、何があったかは知らないけど、藤村先生すっごく落ち込んでたからね。その事が関係あると見た。で、その余波を受け間桐も来れなかったわけか」

桜「は、はい……」

士郎「また藤ねえが迷惑かけたのか。すまない」

美綴「いいって事よ。どうせいつものことだしさ。今日は無気力系だったからそこまで面倒じゃなかったしさ」クスクス

美綴「んで、だ。間桐家二人組が衛宮と学校来るのはありえると思うけど、なぜ遠坂が?」

凛「あはは、まあそうなるわよね。行く途中でたまたま会っただけよ」クショウ

美綴「ほー、私が知らないところで交流があったってわけか。ふむふむ」コクコク

凛「ふふっ、何でもいいわよ。って、そろそろ教室行かないと遅刻になるわ」アセッ

美綴「あっちゃー、もうこんな時間か。引き止めてごめんね」

慎二「……」

士郎「別にいいよ」

桜「先輩、午後はちゃんと行きます」

美綴「ん? 間桐妹は真面目だからたまには羽を伸ばしても良いんだけど。まあ、待ってるよ」

美綴「じゃ、私は鍵を片付けなきゃだから! 遠坂はまた後で!」タッ

慎二「何も言われないことが逆に対応に困るんだけど」

凛「こういうタイプには無視が一番効くからねぇ」フイッ

士郎「教室に行くんじゃないのか?」

慎二「言われなくても分かってるから。さっさと行こうぜ」スタスタ

士郎「はいよ」スタスタ

桜「先輩」コソッ

士郎「ん、どうした?」スタスタ

桜「これからも兄さんと仲良くしてあげてください。兄さんは対等な友達がすくないんで」コソッ

士郎「そんなことか。まあ、あいつの味は独特だもんな。でも、言われなくても元々そのつもりだ」

桜「……安心しました」ホウ

慎二「おーい、行くんじゃないの? まさか衛宮がサボりたいとか言い出しちゃうのか? それならそれでもいいけどさ」

凛「あと十分無いのよ、少しは急ぎなさいよ」ジリジリ

士郎「あぁ、すまない」タッ

今日のところはここまで



〜校内〜

桜「では、私はここで。今日もがんばりましょうね」ペコリ

士郎「また後でな!」タッタッ

慎二「いよいよ時間がやばくなってきたよ」タッタッ

凛「そうね。特に二人は藤村先生だからここぞとばかりにつつかれるわよ」

士郎「う、そうだった……」

慎二「はあ、嫌な顔が浮かんでくる……」

一成「むむっ、そこにいるのは衛宮と……間桐と…………と、遠坂ぁ!?」ズサ

凛「あら、柳洞くんじゃない。ごきげんよう。ところでどうしたのかしら、その鬼か魔女でも見たような驚きようは」

一成「あれほど言って聞かせていたのに、衛宮、これはどういうことだ。ついに魅入られてしまったのか?」アセアセ

慎二「おい、そんなどうでもいいこと話してるヒマあるの、生徒会長さんはさあ? もうすぐ朝のホームルームが始まっちゃうんじゃないの?」

一成「む、間桐にしては正論だ。よし、衛宮。何があったのかは後で改めて聞かせてもらおう。もちろん共犯者である間桐も事情聴収を行わせてもらう」

慎二「はぁ? 僕はパスだね。そんな面倒そうなことには興味ないんだ」

一成「お前の意思など聞いてない。これも衛宮を魔の手から守るためだ。ささっ、早く行くぞ。時間もないんだ」グイグイ

慎二「なぜ僕まで!!」ズリズリ

凛『昼休み、忘れないでね』ハァ

ライダー『了解しました、リン』ビシッ

アーチャー『遅れたら凛に何をされるか分からん。せいぜい気を付けろよ』

慎二「ぎやあああぁぁぁぁぁぁ!!」ズリズリ

士郎「慎二、少しは静かにしろよ」ズリズリ

凛「……頑張ってね」スタスタ

アーチャー『衛宮士郎……見てて辛い』グスン

~昼休みin購買~

慎二「くっそう、なんで僕がこんな痛い思いをしなきゃなんないのさ」サスサス

士郎「いや、初心者にしては上出来だ。あの一成の引きずりを耐え抜いたことは称賛に値する」サトリ

慎二「そこまで言うレベルなのかよ!」

士郎「俺がそういう冗談言うの苦手だって知ってるだろ」

慎二「……なんかおまえ、すごいな」

士郎「そんなことないって。カレーパンとメロンパンでいいかな」スッスッ

慎二「……僕は、カツサンドと、なにこれ? 麻婆パンだって?」

士郎「ん? 麻婆パン?(なんだ、とてつもなく嫌な予感がするぞ……前世で因縁でもあったのか?)」

慎二「真っ赤だな。ネタ作りの為に買ってみるか」スッ

士郎「慎二、死ぬ気か?」

慎二「な、何言ってるんだよ衛宮。マジな顔しやがって」

士郎「なんだかよく分からないけどそのパンからは嫌な感じしかしないぞ。作った人には申し訳ないけど、死にたくないならそのパンはよせ」ガシ

慎二「だ、大丈夫だって。値段もそこそこ高いし、それなりの品質はあるはずさ」

士郎「……慎二がそこまで言うのならもう俺は止めない。でも胃腸薬が欲しくなったら言えよ……胃が爛れてても効果あるのか?」

慎二「なんか今日の衛宮は気色悪いな……」

店員「合計310円です」

士郎「ありがとうございます」コゼニ

店員「……ふっ、合計780円です」

慎二「い、意外に高いな」サツ

~階段の途中~

士郎「麻婆パン、一体いくらしたんだ?」

慎二「え? えーと、520円だってさ。はは、衛宮も食べたいなら少しやるよ」

士郎「いやいい。俺は遠慮させてもらう」

慎二「強情だな……ま、欲しくなったら言えよ」タッタッタ

ライダー『死ななければいいのですが』

士郎「こんなところで死なれたら桜に顔向けできない」タッタッタ

~屋上~

凛「遅い! なにのんびりしてるのよ」ピリピリ

士郎「うーん、じゃあこれをお詫びのしるしとしてどうぞ」メロンパン

凛「メロンパン! 気が利くわね、ありがたく頂戴するわ」パシ

凛「……」ジー

慎二(こっちをじっと見ているけどどうしたんだ? あいつ)

慎二「……コレ、やるよ」シブシブ

凛「カツサンド一つ。ありがとう。カツサンドって意外に高いから手を出しづらいのよね」ハム

慎二「ぼ、僕は麻婆パンがあるからいいさ。何となく不安だけど」

凛「麻婆パン? まあいいわ」

士郎「で、何の話だ?」

凛「あら、ずいぶんクールね」

慎二「ここは寒いからさっさと話を終わらせてほしいだけさ。ってか、遠坂は平気なのかよ」パクパク

日付書くのを忘れてました。
すみません

2月4日です。

慎二以外の皆「!!!!」

慎二「辛っ!!!!!! な、な、なんだよこれ」フルフル

慎二(い、いや、これはこの世で使われる辛いという言葉では表せないぞ!? 舌と喉が激痛に襲われて……)

凛「はあ、私だってさっさと済ませたいわよ」ミズ

慎二「ふううう、助かった。これは食べ物とは言えない」ハアハア

凛「よし、慎二も回復したし、話を始めるわ」

凛「単刀直入に聞くけど、あなた達、放課後はどうするつもり?」

慎二「僕は普段は部活さ……」ヒィヒィ

士郎「これと言って予定はないけど、バイトに出たり、生徒会を手伝ったり……かな」

凛「…………」

慎二「な、なんだよ。何か言いたいことがあるわけ?」ムッ

凛「……全く。あなた達がどうなろうとも別に良いんだけど、同盟を組んでいるから忠告してあげる。まだまだ未熟なあなた達に」

士郎「そんなに未熟未熟言われると気にしちゃうからあんまり苛めないでくれ」

名前もsagaも忘れた……

凛「苛めてないわ。この学校に張られている結界、これに気づいてないようだからそう言ってるのよ」

慎二「結界? ライダー、分かるか?」

ライダー『はい。私の宝具と同系統の結界ですね』

凛「同系統……ねえ。これは結界内にいる人の生命力を奪っていくものよ。このサイズの結界だとマスターだけでは難しそうだから恐らく他のサーヴァントが張った物ね」

凛「もしマスターが張っていたのなら、こんな強力な魔術師が私のレーダーにかからないわけないし。だから、この結界を張ったのはサーヴァントだと思ってもらっていいわ」

士郎「レーダー? 魔力を感知するってやつか」

凛「そうよ」

慎二「学校に結界があるってことは……他にもここにマスターが潜んでるってことか?」

凛「そうなる……いえ、例外もあるわ。二択よ」

士郎「例外?」

凛「ええ。今のところ判明しているサーヴァントは、ランサーとバーサーカー。で、その二人はこんな結界を仕掛けたりはしない」

慎二「なんでそんなことが言い切れるんだよ。あの幼女とかなら僕たち三人をいっぺんに消せるって言って仕掛けてきたりしそうだけど」ムムム

凛「それはないわ。彼女ならそんなことをしなくても簡単に私たちを潰すことができる。それにバーサーカーは理性がないサーヴァントだから、こんな高度な結界を作ることもできない」

士郎「それならこの結界はアサシンかランサー、キャスターの仕業ってことになるのか?」

凛「だから、ランサーも有りえないの。アーチャー」

アーチャー「ランサーはケルト神話に登場するクーフーリンと言う英雄だ。彼はルーン魔術を使うことは出来るそうだが、こんな結界を張ることはできない。その上彼の魔力ステータスはCだ。結界に魔力を集中させていたらまともに戦うこともできないだろう」

アーチャー「まあ一番の理由はランサーはこんな回りくどい手段を使ってこないと言う確信だが」

士郎「? なんでそんなことを言いきれるのさ」

アーチャー「ふふ、ランサーは剣と剣でやりあうようなやつなのだ。不意打ちなどは極力使わない」

凛「と言うことよ」

慎二「じゃあこの結界の犯人は、キャスターかアサシンってこと?」

設定崩壊すみません

凛「ええ。例外って言ったのはこのこと。もしもアサシンが結界を張っているとしたら、そのマスターはここに潜んでいるのでしょう。でもキャスターだったら、ここにはマスターがいないって可能性も出てくる」

士郎「??? アサシンだったらここに居て、キャスターだったらここに居ないかもってことか?」

凛「あくまで可能性の話よ。キャスターは魔術師のクラス。つまり、こと魔術に関しては私たちとは別次元を言っている存在よ。それくらいになったら私たちがここに居るっていう事実もお見通しかもしれない。もし、もしもそうならこんなところ放っておくはずがないわ」

凛「こっちは白兵戦に長けたサーヴァントしかいないから、キャスターが直接出てきても勝ち目がない。なら人間である弱いマスターから罠にかけて、消してしまいましょう。当然の思考よね」

慎二「それはアサシンも同じなんじゃないの?」

凛「うーん、仮にキャスターより魔術面で優れたアサシンがいたとしても、暗殺っていう手があるから。私たちの存在を感知できてもこんな面倒な真似はしないはずよ」

凛「だから、アサシンがこの結界の主だとしたら、恐らくマスターがへっぽこだから魔力を欲しての行動と言うことになる。だからマスターはここに一人以上潜んでいることになる。やるとしたら、手ごろなところからでしょうし。それなら私のレーダーに引っかかるわけないわ」

凛「キャスターがこの結界の主なら、私たちを消すためって可能性とアサシンと同じく、魔力の補給って可能性があるわ。前者ならここにはいないはず。後者ならここに居る確率が極めて高いわね」

士郎「……それで何が言いたいんだ?」

凛「いままでの話は全て推測にすぎないからとりあえず今は気にしないでいいわ。結局私が言いたいのは、この結界が起動したら多くの人間が命を落とすってことだけ」

慎二「おい、生命力を取るって全部、根こそぎなの?」

ライダー『術式を解析してみると、起動したら二時間足らずで半数は死ぬという結論になります。つまり根こそぎってことですね』

凛「で、慎二も魔力が作れないから、身を守ることができない。結界が起動したらあなたも死ぬかもしれないわ」

慎二「え、ええ! そんなことが」

凛「ええ。そんなことがあるのよ。でも結界の基点を破壊すれば結界は発動しない……はずなんだけど、私では破壊はできなかったわ。もしかしたらフェイクの基点だったのかもしれないけど」

士郎「それでも猶予はあるのか?」

凛「アーチャーの見立てでは一週間前後で結界発動の準備が整うそうよ」

ライダー『リン、魔力の源を辿る事は出来ないのですか?』

凛「無理ね。出来たらとっくにやっているもの。結界が完全に発動しないと分からないわ。少なくとも、私の力量ではね。魔力の形は分かったけど……」

凛「まあ、でも、結界をいじくれば相手は何らかのボロを出すはずよ。それを探すしか手はなさそうね」ハア

士郎「じゃあ今のところは結界の基点ってやつをいじりながらボロも探ると」

凛「ええ。受け身なことは気に食わないけどね」

慎二「……待てよ、遠坂」

凛「何か質問かしら?」

慎二「ええと、結界の主がアサシンだった場合、結界で僕らを殺そうとしている確率は無いのか?」

凛「さっきも言ったけどこれは推測にすぎないんだけど、アサシンは暗殺ができるって言ったのは覚えてるわよね」

士郎「寝首を掻けるってことだろ?」

凛「そう。だからそんな回りくどい事をする必要がないってのはさっき言ったんだけど、もう一つの理由をあげるとすれば、アサシン程度では、私たちの魔力の感知なんてできないはずなの。これでも私は魔力を隠しているし。だから絶対にないとは言わないけど、アサシンがこの結界の主だとしたら、私達を殺すためのモノではないことはほぼ間違いないわ」

士郎「どちらにしろ、止めなきゃダメだ」

凛「もちろんよ。私のテリトリーを勝手に荒らしたんだもの。しっかり制裁を与えないと」ググッ

慎二(僕は割とどうでもいいんだけどね。言ったら同盟破棄されるかもしれないし、胸にとどめておくべきだ)

凛「その為にはそのサーヴァントのマスターを倒すしかないんだけどね」

士郎「そのための本物の結界の基点とボロさがしか」

凛「ええ、本物の基点さえ見つかれば私がいじることくらいはできるはずだし。あと士郎と慎二は出来る限り一緒にいなさい。そうすればどっちかがダウンしても私が行くまでは持ちこたえられるでしょう」

士郎「ああ。慎二、学校抜け出したりするなよ」

慎二「はいはい。なーんで衛宮にそんなこと言われなきゃならないんだよ……」ハァ

凛「…………いえ、そうではないわ、士郎。出来る限り二人には一緒に居てもらいたいけど、慎二には出来る限り学校を抜け出してもらいたいの」

士郎「え? どういうことだ、それじゃあ矛盾してるじゃないか」

凛「してないわ。出来る限り、だからね。単刀直入に言うと、結界が起動したら慎二は足手まといになってしまう。それは阻止したいの。で、幸いあなたが学校を抜け出すことは不自然じゃないから、他のマスターのセンサーにはかからない」

凛「だからその幸運を活かして、万が一結界が起動した時は学校にいないよう努力してもらうってわけ。もちろん学校にいるときは士郎と一緒にいてね?」

慎二「注文が多いけど、僕の安全のためだと思って従うしかないよね」

士郎「慎二、気を付けろよ」チラ

慎二「おまえらの方が気をつけろよ。これでも一応同盟組んでるんだからさ」フン

士郎「ああ」

慎二「じゃあ僕は早速抜け出しちゃおうかなっと」

凛「……まあいいけど、毎日だと不自然になってしまうから気をつけなさいよ」

慎二「分かってるさ。それくらいは手間かけさせないし」

凛「そ。ならいいのよ」

キーンコーンカーンコーン

士郎「予鈴だ、そろそろ授業始まるぞ」スック

士郎「慎二、本当に行くのか?」

慎二「んだよ、衛宮?・ 別に死地に赴くって訳じゃないし。いつも通り新都で飯でも食べてくるだけさ」

士郎「……紅洲宴歳館泰山って店がオススメだ。カツサンドじゃ物足りないんだろ?」ガクガク

凛「な、何言っているの、士郎!! っていうか、体震えてるわよ」

慎二「じ、尋常じゃない反応だな。大丈夫さ、衛宮。僕はそこへ行く予定はないから」

士郎「行かないのか?」ガクガク

慎二「僕は怖いもの知らずなんかじゃないんだよ。そんな震えながら口にするって、もう地雷の塊ですよねー!」

凛「ま、地雷の塊なのは否定しないけど。私は行かないことを強くおすすめするわ。それじゃ授業が始まるから……行くわよ、士郎」グイグイ

士郎「ちょ、遠坂さん、俺は歩けるぞぉぉぉ!!」


ライダー「士郎はああゆうことにはなれていると聞きましたが」シュン

慎二「え? ああ、確かに言ってた。多分性別の問題なんじゃない?」

ライダー「そうですか」

慎二「それじゃあ、僕らも行くか」スック

今日はぼちぼち投下してきます。
GWに書き溜めたやつらを……

〜路上〜

慎二「で、抜け出してきたのはいいんだけど、どこへ行こうか……抜け出せって言われたら逆に困るんだよ」トコトコ

ライダー『シンジがいつも行くところでいいのでは?』

慎二「ちょっと黙ってろ。なんか変な感じなんだよ。普段悪いことだと分かっていてやる事を推奨されると困るんだよね」ムムム

ライダー『めんどくさいですね。シンジは』

慎二「だから黙ってろよ。って周りに人が居たら僕が頭おかしいみたいじゃないか……」トコトコ ハァ

慎二(独り言乙ってか)

ライダー『そうですね……では私はゲーセン、という場所に行ってみたいです』

慎二「はぁ? ゲーセン? この時間帯じゃ女の子は釣れないし、行く意味が無いんだけど」トコトコ

ライダー『女の子を釣る……まあいいです。ただ純粋に興味があるだけです。行きたくないのなら無理にとは言いませんが』

慎二「はぁー、調子狂うんですけど」ガシガシ

慎二「ゲーセン行けばいいんだよな。いいや、久しぶりに音ゲーやるか」スタスタ

ライダー(嫌そうな口調ですが、実はライダーいいこと考えるなぁとか名案だぜ! ライダー! とか思っているのでしょうね)ドヤ

〜ゲーセン〜

ジャランジャランジャラン

慎二「あいからわずうるさいよね、ここ」

ライダー『私に同意を求められても困るのですが』

慎二「っ、誰も同意なんか求めてないからな!」

慎二「あーあー、気晴らしにたいたつやろう。さいたま2000でいいかな」サイフオープン

ライダー『!!! 札しかないですね』

慎二「お、おい! サーヴァントでも財布の中を覗くのはマナー違反だ!」ブンブン

ライダー『そんなことより両替しなくては』ワクワク

慎二「……あ、あった。そう言えば、なんでお前ゲーセンなんか知ってるんだよ」サツトウニュウ

ライダー『シンジのくらすめーとがゲーセンのことを楽しそうに語っていたので』

慎二「後藤か……余計な事をするな」ピッ

ジャラジャラ

ライダー『余計な事?』

慎二「よし、札も崩したし、早速たいたつやりますか」ジャラジャラ

ライダー『私の鎖の効果音にそっくりですね』

慎二「あれは基本ジャラララじゃないのか」トコトコ

ライダー『似てると言っただけです』

慎二「ふーん……って、先客いるじゃん」ハア

慎二(僕の向かった先、太鼓の達人の筐体の前には金髪で黒いジャージを着た外国人がいた。彼は太鼓の達人を金ピカのマイバチを巧みに操りプレイしていた)

慎二「……なかなか上手いけどまだ僕には及ばないな。どんだーの本気を見せつけてやるか」スッ

ライダー『待ってください、シンジ。彼は……』

慎二「……」チャリン

慎二(さあさあ、外人さん、僕の実力を見るがいい)

ライダー『シンジ! その者は強大な魔力を保有しています! マスターか、サーヴァントかもしれません!』

慎二「ええ? 心配いらないよ。仮にそうだとしても今はたいたつを楽しむ一どんだーに過ぎないんだから」キリッ

ライダー『何かあってからでは遅いのに……』

???「…………」ジーッ

慎二(見てる見てる。一流のたいたつを目に焼き付けるんだな!)ドン

サ、イ、タ、マ、サ、イ、タ、マ

キョウノゴハンハ?

ドンカッドドカッドンカッドドンカッ

フルコンボダドン!

慎二(決まった!!)チラ

???「! な、なんなのだ、貴様は。ただの雑種ではないな?」ダッ

ライダー『シンジ!!』

慎二(駆け寄ってきた)

???「き、貴様は何者なのだ! 我より上手くこの楽器を叩くとはどういう仕組みなのだ! 言え!」

慎二「え、っと日本語話せるのか。ふふん、このゲームはやり込みとリズム感覚が重要なのさ」

???「やりこみだと? 王であるこの我にそんなに面倒なことをさせようというのか、雑種?」ギロ

慎二「ひ、こ、これは天性のリズム感覚があったら別だけど、無いならやりこまないと……」

???「ふむ。一応筋は通っているか。だがな、我はこのさいたま2000と言う曲を覚えている限りでは400回は叩いたのだぞ?」ブンブン

慎二『なんだよ、この高圧的な金ピカは! ライダー、知らないの!?』タジタジ

ライダー『……サーヴァントかと思って警戒しましたが、残念な人のようです。魔術の才能は爆発的なんですけど』ハア

慎二「知らないさ! 叩き方がおかしいんじゃないの!? 普通それくらいやったら誰でも出来るんだよ!」

???「なんだと? 今の言葉、本来なら首を刎ねるところだが、諌言として受け取ってやる」

???「では、我のバチさばきを見て、問題を指摘するがいい」スッ

慎二(どんちゃんまで金ピカかよ)ドンビキ

サ、イ、タ、マ、サ、イ、タ、マ

キョウノゴハンハ?

ドンカッドドカッドンカッドドンカッ

???「……」ブンブン

???「……」ドン!ドン!

慎二(振りかぶりすぎじゃないか? これじゃタイミングがズレるだろ)ジーッ

ノルマクリアー

???「ふう」

慎二「なに、やりきったみたいな顔してんの?」

???「ん? 我は完璧にやりきったではないか。何も問題なかろう?」キョトン

慎二「問題を指摘するがいいって言ったよな?」

???「ああ。今だけは貴様の不敬を許そう」

慎二「……一言で言うなら、腕を上げすぎなのさ」クイクイ

???「ふむ、言われてみればどうということもなかったな」チャリン

慎二「ん? またやるのか?」

???「理解をしたなら忘れぬうちに実践しなければ、だろ? 王である我がげえむというものを示してやらねば雑種達が困ろう」スッ


サ、イ、タ、マ、サ、イ、タ、マ

キョウノゴハンハ?

ドンカッドドカッドンカッドドンカッ

フルコンボダドン!


???「ふははは! 我の手に掛かればこんなもの児戯にも等しいのだ」ニヤニヤ

慎二「そ、そんなのありかよ」アゼン

???「そう言えば、貴様、学生と言う奴だよな? なぜ昼からこんな場所にいるのだ?」チラッ

慎二「え、ええと、抜け出してきただけさ」タジタジ

???「はっ、そうか。なら暇だろう? 他のげえむも我に見せるがいい。我も雑種の間引きが終わるまで暇なのだ」

慎二「え、ええ? 何言ってるんだよ」

???「ぬ? 我の言葉が理解できないというのか?」

慎二「そうだよ。ってかお前何者なの? ただの外人にしては妙に馴染んでるし」

???(言峰が無闇に名前をいうな……とか言っていたか。まだ余計な事をする必要もない。ただの雑種のようだしな)コクコク

慎二「な、なに頷いてんの?」

???「はっはっは! 本来なら貴様のような道化に名乗る名など持ち合わせていないのだが、今日は気分がいい。一生に一度の気まぐれだ。心して聴くがいい」スゥ

ライダー(どーせ、ただの外人に決まってますよ。魔術師である確率も高いですけど。楽観的過ぎますかね)ボッケー


???「我は英雄の中の王、ギルガメッシュだ!!」

慎二「はぁ? 何言ってるの?」キョトン

ライダー(ギルガメッシュ!?)ビク

ギルガメッシュ「ああ、そうだとも。我はあのギルガメッシュに他ならん」ニヤニヤ

慎二「ギルガメッシュ……ギルガメシュ叙事詩の主人公だっけ?」ウーン

慎二(アニメの見すぎか? ああ、でも日本のアニメは高クオリティなんだっけな)

ライダー『し、シンジ! この男は全くふざけていません。本当にギルガメッシュなのかもしれません』

慎二「いやいや、仮に本物だとしてもそんな王様のサーヴァントがこんな場所にいるわけ無いだろ? ここが美術館とか高級料理店ならまだしもねぇ」コソッ

ギルガメッシュ「さあ、我が名乗ったのだ。貴様も名乗れ、道化!」ビッシィ

慎二「あのー、非常に言いずらいんだけどさぁ、ギルガメッシュさん。お前がギルガメッシュさんである証拠ってあるの?」

ギルガメッシュ「む、道化の身で王に逆らうのか。良いだろう。それではこの我がギルガメッシュである証を冥土の土産とするがいい」ギュワン

ライダー『宝具使用時並の魔力の波です! シンジ、急いで離脱を!』

慎二「待てよライダー。あいつが僕を殺すことはなさそうだぜ。あの目は何かを歓迎する目だよ。それにサーバントの宝具が知れるのはいい事だろ?」コソッ

ライダー『何かあってからでは遅いのに!!』アセアセ

ギルガメッシュ「さぁ、これを道化に見せるのは多少気が引けるが、王の財宝!!」シュン

ギルガメッシュ「どうだ? これが我が英雄王ギルガメッシュである証拠だ。刮目しろ!!」シュンシュン  ジャラジャラガラガラ

慎二(眩しいと思った次の瞬間にはたくさんの宝具らしきものが地面に転がりでてきた)ボーゼン

ライダー『シンジ、これはすべて紛れもない宝具です。つまり』

慎二「ええ! なんなの!? 本物なの!? 写メ撮ろ」パシャ

ギルガメッシュ「さっきから何度も言ってるであろう。証明も済んだのだから、貴様の名前を吐け。王に名乗れない物であってもこの際気にしないぞ。さあ、この我が貴様のような雑種の名前を聞いてやるのだ。早くしなければ、死ぬぞ?」ワクワク

慎二「ひい! ぼ、僕はま、間桐慎二だ!!」

ギルガメッシュ「間桐……? 聞き覚えがある気がするが…………」ムムム

ギルガメッシュ(ふむ……!! あの狂犬めのマスターだった家か。言峰も愉しんでいたのだったな。我も愉しむとするか)ナットク

ギルガメッシュ「シンジ、か。まあ、実際貴様の名なぞどうでもいいのだ。我は案内人を欲していただけなのだから」カタヅケ

慎二「あ、案内人?」

ギルガメッシュ「さっきも言ったであろう。我は他のげえむを見たいのだ」

慎二「ま、まあ良いけどさぁ。あんな宝具のネタバレしちゃっていいの?」

ギルガメッシュ「あれはネタバレなどではない。何故ならあれは我の宝具の一部にも満たないからだ…………む、なぜ貴様が宝具と言う言葉を知っている?」ギロ

慎二(睨まんといて!)

ライダー(睨まれてるのは私ですよ! 存在に気付かれました)

ギルガメッシュ「ふん、ただの雑種か。ということは貴様もマスターだったというわけか、シンジ?」

ライダー『っ……』ジャラララ シュン

ギルガメッシュ「そう身構えるでない。我は貴様らを殺す気はない。我が介入してはバランスを崩しかねないからな」

ギルガメッシュ「まさにバランスブレイカーよな」キラッ

慎二「へ?」ボーゼン

ギルガメッシュ「さあ、さっさと案内せよ。雑種!!」

慎二(その後数時間ほどギルガメッシュと共にゲーセンを練り歩いた。正直に言うと彼の威圧感には精神を消耗させられた。遠坂に会わないとやっていけそうにない)グタッ

ギルガメッシュ「ふむ。一通りまわったが、このセイバーそっくりのフィギュアはいいな。我の財宝に加えてやろう」キラキラ

慎二「ご希望に沿った商品を提供できて良かったです。王よー」グデー

ギルガメッシュ「ふふふ、ノってきたぞ。よい、明日も同じ時間にあそこへ来るがいい。案内役になる義務をやる」

慎二「え? 義務?」

ギルガメッシュ「そうだ。王の案内などそうそうできるものではあるまい。しっかり計画を立ててくるのだぞ」ニヤニヤ スタスタ

ギルガメッシュ「ではな。精進しろよ、案内役」シュン

慎二「……な、なんだよ、あれは」

ライダー『情報のためにもシンジには餌になってもらわなくてはならなそうですね』ハァ

慎二「えぇ! 僕、エサ!?」

〜衛宮家〜

慎二「ってことがあったんだよ」

凛「何よそれ、危険だってわからなかったの?」ズズズ

ライダー『撤退を強制出来なかった私の力不足です、リン』

凛「ライダーはいいの。なんで逃げてこなかったのよ?」

慎二「逃げた方が死にそうだなっていう直感さ。でも僕だって最初はただの興味本位だったんだ」

士郎「まあ、それくらいにしておけよ、遠坂。慎二だって悪気はないんだしさ。それに情報も入ったんだし」

凛「……まあいいわ。逃げた方が殺されそうだったって言うなら、慎二、餌になりなさい」

慎二「え、何言ってるんだよ、遠坂」

凛「何も蟹もないわ。ただし安全確認のため士郎と私で一日だけ休んで追跡するわ。いつかは秘密だけど」

慎二「遠坂ってストーカーなのかよ」カタカタ

凛「ちっがうわよ! 安全性を考慮した結果よ! それに一日くらいなら休んでも違和感はないでしょう?」

士郎「……」テアゲ

凛「なに? 問題でもあった? 士郎」

士郎「なんで俺もついていくんだ? 自然不自然うんぬんは良いんだけど、戦闘になっても邪魔なだけだ」

凛「セイバーを連れていくに決まってるでしょう。サーヴァントが三体いればバーサーカーでもない限り倒せるはず」

アーチャー『内二体は万全ではないのだかな』

書き溜めの四分の一ほど投下してしまった……
今日はここまでです!

凛「それは仕方が無いわ。慎二に戦闘にならないよう努力してもらうしかないわ」

アーチャー『それは大前提だろう?』

凛「まあね。慎二が上手く餌をやってくれれば、未知の敵の情報をもぎ取ることができるの。アサシンかキャスターか……」

慎二「それがさぁ、ギルガメッシュって英雄は魔術とか暗殺に秀でていたっていう記述がどこにもないんだよね」ピッピッ

凛「だとしても他の判明していないクラスはその二つだけよ。他のクラスになる筈がないんだけど? 特殊なクラスなのかしら」ムムッ

慎二「ふーん。良く分からないけど」ピッピッ

士郎「とりあえずセイバーにも話してくるな。寝てるし」スック

凛「頼んだわ」

ギルガメッシュ [検索]←カチ

慎二「ほら見てみろよ、遠坂」スッ

カチッポチッ

凛「うーん、確かに伝承通りならアサシンもキャスターも当てはまらなそうね。やっぱしそうなのかな」ウーン

ライダー「彼は確実にサーヴァントです。あの山積みになった宝具は全て本物だったのですから」シャメ

凛「そうよね、私が知ってる形とは異なる宝具も多いけど……この量を隠し持てるわけないし、そもそも黄金の空間の歪みからでてきたんでしょ?」ジー

ライダー「ですからリン、あの男はサーヴァントですから」バン

凛「わ、分かってるからそんなに引っ付かないの」

慎二「ホントか? 写メも見せたんだから信用してくれないと」ハァ

凛「信用してる! してるわ。ただ信じられないだけよ。昨日も言ったけど宝具は英雄の象徴だからこんなに大量の宝具を一人の英霊が持ってるはずないの」

ライダー「それは人類初めての王ってことで持ってるのでは?」

凛「ふーん、ライダーが言うならそれもありえるのかな。まぁ、私は聞いたことはないわ」

ピンポーン

桜「先輩、お邪魔します」ガラガラ

凛「あら、桜来ちゃったわね。あとは桜が帰ってからね」

慎二「? あいつは知ってるんだぜ?」

凛「分かってるけど、万が一にも桜のことは士郎に知られるわけにはいかないでしょう」ムッ

慎二「万が一、そうだな」

桜「……♪」トントン グツグツ

慎二「桜、今日は僕が家まで送ってやるよ」ニコニコ

凛「ぶはっ!(キャラ崩壊にも限度ってモノがあるのよ)」フルフル

アーチャー『ね、熱でもあるのか!?』フルフル

桜「ど、ど、どうしたんですか、兄さん」ビクビク

慎二「おい、なんで怯えてるんだよ。別に取って食おうってわけじゃないんだけど」

桜「は、はぁ……」トトトントトトトン

凛「ふ、ふふ。いいんじゃないの、桜。あなたもたまにはお兄さんと仲良く帰りなさい……ふふっ、ふふ」

慎二「遠坂? 少し笑いすぎなんじゃないの? お前のせいでこんなことしなきゃならないってのにさあ?」

凛(ああ、ここに来ないよう言うって訳か。あちゃー、からかいすぎたわね)テヘ

アーチャー『君がやると自然とイラっとしてくるな。不思議なことだ』

桜「遠坂先輩……大丈夫ですよ! 兄さんは必ず安全に送り届けますから」トントントントン

凛「ええ、ありがとう」

慎二「ちょっと待てよお! 僕が送る側だぞ」

凛「なによ、ノリ悪いわね」ムッ

桜「いいんですよ。では兄さん、よろしくお願いしますね」ニコ

桜「できましたよ」ジャン

慎二(えのきの味噌汁にほうれん草のお浸し、煮魚と野菜の炒め物か。やっぱり今朝のワカメフルコースは悪意の塊だったってことか)

凛「!!!!!」

桜「と、遠坂先輩、どうしたんですか!?」

凛「まずったわ! 今日は慎二にやらせるつもりだったのに!!」ギロ

士郎「あああ! 一生の不覚じゃないか、遠坂!」ガシガシ

桜「ええっと、どうしたんですか?」

凛「こっちの問題よ!」

士郎「今日は慎二に夕食を作らせる予定だったのに忘れちまってたんだ」ハア

桜「それなら、明日の朝作りましょうよ! 家まで送ってもらうお礼ってことで」

士郎「慎二、桜のこと送っていくのか?」

慎二「ノーコメント」フイ

凛「朝作ってもいいけど、夜も作りなさいよ?」

士郎「と言うことは、朝は桜と、夜は俺とご飯づくりだな」ニンマリ

慎二「な、何言ってるんだ! 僕は朝だけで十分さ」

凛「ペナルティよ。貴方がやり忘れたのが悪いのよ」

慎二「はあ? おいおい、桜が勝手にやったんだろ。僕は無実だ!」

士郎「同盟……」

慎二「なんで僕がそんな言葉に怯えなきゃならないのやら……やればいいんだろ!!」

凛「はあ、明日には見返せると思ったのにな」シュン

士郎「なんか言ったか、遠坂」

凛「いいえ、なんでもないわ。それより藤村先生遅いわね」

士郎「ああ、そういえばいないな」

桜「いえ、来たみたいですよ」

大河「ひゃー! 今日も美味しそうなご飯だねぇ! さ、く、らちゃん!」クルクル

士郎「っておい、藤ねえ、食卓で暴れたらホコリついちゃうだろ」

大河「だいじょーぶ。この部屋は士郎の手入れが行き届いてるからホコリひとつありませーん」

慎二「肉を目の前に置かれて待てされてる虎みたいだな……僕ですら引くんですけど」

大河「む? 何でもいいから早く食べよー。もうお腹ペコペコだよー」

凛「だってさ。早く食べましょう。せっかくのご飯が冷めちゃうしね」


皆「いただきます!」

慎二「え、えのきだぁ! えのきだよ」シクシク

凛「な、何泣いてるのよ。かなり気持ち悪いわよ」

慎二「ワカメじゃないなんて感動ものだろ。分からないのかよ、遠坂にはぁ」パクパク

桜「泣くほど美味しかったんですか?」アセアセ

大河「うーわー、桜ちゃん残酷ねぇ。わかっていて言ってるでしょー」

桜「ふふっ、もちろんですよ。藤村先生」

大河「嫌だー、桜ちゃんには目付けられないように気をつけよーっと」

桜「はい。気を付けて下さいね」ニコ

士郎「……」スック

大河「どうしたの、士郎? 食事中のトイレはマナー違反よー?」

士郎「いや、忘れ物。連れてくるから待ってて」

慎二「……?」

凛「……」ジー

慎二「連れてくる……ね」

ライダー『セイバーですね』

アーチャー『間違いないな』ハァ

士郎「悪いな桜。もう一人分いいか?」ガラガラ

セイバー「……」

桜「……!!」ガタッ

大河「!?!?」

桜「もしかして、あの人が先輩の?」コソ

ライダー『はい。セイバーですよ』ハァ

士郎「遅くなったけど、紹介する。この子はセイバーって言って家でしばらく面倒を見ることになったから」

桜「…………」クス

大河「……」

慎二(まさに嵐の前の静けさって奴だね)

士郎「さ、そこ座れよセイバー。一人で食べるよりみんなで食べる方がいいだろ」

セイバー「確かにその方が効率的……ですが」

士郎「遠慮するなよ。これからは一緒に住むんだから一緒に飯を食うのは当然だろ」

セイバー「はい。シロウがそういうのでしたら私は従いますが」

桜「ふふっ、セイバーさん……ですね。よろしくお願いし……」

慎二(事前の告知が少しは効いてるらしいな。よかったよかった)

凛(問題は……)

大河「そんなのダメーーーーー!」

慎二「やっぱ頭の中までタイガーだ。もう否定のしようがない」キーン

大河「間桐君は黙ってて! どうしたのよ士郎! 遠坂さん、間桐君だけでなくこんな子まで連れ込んで!!」

士郎「広いんだから一部屋二部屋くらい貸してやっていいだろ。それに二人がいいならセイバーもいいに決まってる」キーン

大河「ダメに決まってるぅ! 二人はともかくそのこは誰よ! そんな得体の知れない子はダメダメよー!」

士郎「得体のしれない子なんかじゃない。遠い親戚で、親父をアテにしてここまで来たらしいんだ。おいそれと追い返せるわけないじゃないか」

大河「もうその手には乗らないわ。切嗣さんを理由にしたってダメなんだから! それにそんな作り話信じられないもん」

大河「もし切嗣さんの親戚だったとして、何のためにここまで来たのよ!」

士郎「だから、それは」

大河「士郎は黙って。セイバー、さんだっけ。どうしてここに来たの?」

セイバー「さあ、私はキリツグに任されただけですから」

大河「切嗣さんから士郎のことを?」

セイバー「ええ。どんな敵からもシロウを守り通すように、と」

大河「……いいわ。それなら腕前見せてもらうんだから」キッ

〜道場〜

大河「あなた、士郎を守るっていったわよね。なら覚えはあるんでしょ」シナイ

セイバー「私に剣を持てと?」

大河「そうよ。あなたがわたしより強かったら許してあげます。だけど弱かったら家に帰ってもらうからね」

セイバー「理屈は理解しかねますが、受けて立ちましょう」スッ

大河「ふん、士郎が一人前になるまで私が守り通すんだから!!」ダッ

ドカッ バシッ ドンッ

セイバー「……」シナイゲット

大河「あれ?」

セイバー「構えろというのでしたら構えますが、そこまでしなければ分からない腕ではないでしょう」

慎二(やっぱ英霊って次元違いなんだな)ボケー

ライダー『剣の英霊、見事な腕前です』パチパチ

アーチャー『私もできるぞ。っとそんなことではなく、凛が待ちくたびれてるぞ』

大河「ううっ、はうはう……」ヘナヘナ

セイバー「勝負はつきました。認めてもらえますか」

大河「うっぅっ、ぐずっ、士郎が変なのに取られちゃったー!!」バッ

〜居間〜

慎二「なんだか圧倒的過ぎて何がなんだか分からなかったんだけど」

士郎「だな。当事者はもっと驚きだったんじゃないか?」

凛「その当事者たちは部屋にこもってもう二時間だけどね」

桜「私はお腹がくうくう鳴りました」クウクウ

士郎「桜……そうか、まだ食事中だったもんな。ごめんな」

桜「いえ、なんとなしにポロッと出てしまっただけです」

凛「あら、話が終わったみたいよ?」チラ

大河「……なんか認めるしかないみたい」ポツリ

大河「もう遅いし桜ちゃん送って行くわ」トコトコ

慎二「いや、僕が送っていく予定だったからさ」

大河「あら、間桐くんが送ってくれるの? じゃあ私は帰るわね」スタスタ

桜「あ、えっと、おやすみなさい、藤村先生」

凛「おやすみなさい、藤村先生」

士郎「お休み。藤ねえ」

慎二「じゃあ僕らも行くから。鍵は閉めないでおいてくれると嬉しいんだけど」

士郎「ああ、起きてるから気にするな」

凛「おやすみなさい、桜」

桜「先輩、遠坂先輩、おやすみなさい」ペコ

慎二「さっさと行くか」クイッ

桜「はい、兄さん!」

またミスった

〜路上〜

慎二「ふう、で、何言いたいかわかるよな?」

桜「先輩の家に行くなって事ですよね」

慎二「ああ。衛宮も遠坂のやつもお前が聖杯戦争に巻き込まれるのを嫌がってるんだとさ」

桜「はい」

慎二「僕ら三人が集まってる以上あそこが戦闘の地になる確率が高いワケ」

桜「それも分かってます」

慎二「僕は別にお前がいても…………やっぱりみんなお前を巻き込みたくないんだと」

慎二「それにお前は聖杯戦争には参加したくないんだろ? だったらさぁ、終わるまで待って欲しいんだけどさ」

桜「いえ、先輩と戦わなくちゃならないのが嫌だったんです」

慎二「戦わなくてもいいなら戦いに巻き込まれるのも気にしないってワケ?」

桜「はい。先輩といたいだけなんです」

ライダー『私は別にどちらでもいいですよ? サクラ、シンジ』

慎二「本当は出て欲しいんだけどさ……ライダー、桜に危険が迫ったら、桜を連れて離脱しろ」

ライダー『!? 何を言ってるか分かってますか、自殺行為ですよ』

慎二「僕だってこういうのはイヤだけど、桜のためなら衛宮たちも助けてくれるはずさ。なんともカッコ悪いけどね」

慎二(いくら嫌な妹だからって見捨てるのは寝覚めが悪いってだけだし……)

桜「……ということは、いてもいいんですか?」

慎二「だけど、僕らが危険が迫ったら、迫ってると判断したら帰ってもらう。それでいいよな?」

慎二(衛宮を落としてもらわないと困るしね)ニヤニヤ

桜「は、はい! ありがとうございます!」

慎二「ふん、お前の為なんかじゃないさ、自分が生き残れる確率を増やしていくだけの事だし」

桜「なら、明日朝ごはん作りに行けますね!!」

慎二「はあ!? 何言ってるのさ。そんなのいらないし!! むしろ迷惑だね」

桜「分かってますよ。でも罰ゲーム、ペナルティですから。拒否はできないルールなのです」

慎二「……寝てるから大丈夫……」ユラユラ

桜「! それじゃあ兄さん、送ってくれてありがとうございました。おやすみなさい」タッ

ライダー『おやすみなさい、サクラ』

慎二「何故か尋常じゃないほどの嫌な予感がする」カタカタ

ライダー『なにを怯えているのですか。私がいるのですから、夜道など恐怖に値しません』

慎二「夜道は僕だって平気だ! 安眠妨害が怖いんだよ」

ライダー『……それはアサシンのことですかね? それも結界があるので大丈夫ですよ』

慎二「あー、もういい。帰るぞ」タッタッ

ライダー『走る必要はないんですけどね』

2月5日

〜慎二の部屋〜

慎二「むにゃむにゃ……わかめぇ」

慎二「な……衛宮、わかめぇ?」

ライダー『うるさいですね。寝言はやめられないから仕方が無いでしょうが、ここまでだと迷惑ですね』ハァ

ライダー『一回蹴り入れて起こしましょうか……』スッ

桜「大丈夫よ、やっちゃっていいわ、ライダー」カラカラ

ライダー「サクラ? どうしてここに?」シュン

桜「えっと、私も兄さんを起こしに来たの。兄さんは寝起きが最悪だからライダーが起こしてくれるんならそれがいいかなって思ったんだけど……」

ライダー「そういうことですか。分かりました」ブンッ

慎二「んぎゃーーーー!!」バキィ!!


今日はここまでです

桜「おはようございます、兄さん」

慎二「くそっ、なんだよ。こんな朝早くに……!? まだ三時半じゃないか!」

桜「料理初心者の兄さんのために早起きしました!」

慎二「なんで結界反応しないんだよ、悪意に満ち満ちてるだろ……敵より味方のほうが怖いってありえないし……」

桜「?」

ライダー「この結界はただの悪意には反応しませんよ。殺意や殺気、あとは悪しき者の侵入に警告を鳴らすだけのものです」

桜「なら私は引っかかる訳がないですよ。殺意なんてないので」ニッコリ

慎二「ええと、いま桜が発してるのはなんなんだよ!」

桜「うーん、教育心ってことにしておきますね」

慎二「あーはいはい。もう突っ込まないから」

〜夜の台所〜

桜「ええと……」ゴソゴソ

慎二「ねぎ、豆腐、みそ、煮干しって出汁煮干しから出すの!?」キョウガク

桜「先輩の家には味の素なんて無いんですよ。だから出汁はそうやってとるしかないです」ドヤァ

慎二「はぁ? 僕が家から味の素とってきた方が早いんじゃないの?」

桜「いえ、まだまだ皆が出てくるまで時間ありますから。兄さんに色々させるためにわざわざ朝早く来たんですからいっぱい学んでくださいよ」

慎二「ホント、迷惑だよね。まだ朝四時だよ? 下手したらまだ寝てない時間なんだけど」

桜「それは流石に遅すぎますよ」

慎二「……ちょっと盛っただけさ」

桜「ほら、時間は有限なんですからさっさと始めましょう。家庭科程度の料理が出来るなら朝食を作るくらい余裕ですよ」スッ

慎二「包丁の持ち方を改めろよ、桜! 刃をこっちに向けないで!」

慎二「ふぁ、今日は授業出ようかな。朝早く起こされたから眠いし、睡眠が取りたいんだけど……」ウトウトントントン

桜「何という上達のスピード。あくびをしながら包丁さばきは先輩並です。兄さん、実は料理出来るんじゃないですか?」

慎二「は、僕の手にかかればお前の庶民食も豪華なブレックファーストに大変身なんだよ」シャコシャコ

桜「それはどうでしょうね。忙しい朝ごはん作りで誰もがつまづく事……それは」

慎二「何ためてるんだよ。気になるからさっさと言えよ」トントントン

桜「お味噌汁が吹きこぼれそうですよ!」

慎二「ちっ、何だよ!」カチッ

桜「里芋はそろそろ煮ないと完成しませんよ!」

慎二「ええ!?」ドカドカ

桜「なんだか焦げ臭いですね。どうしたんでしょう?」

慎二「っ!!」カチチチチッ

桜「同時進行による普段ならしないミスですね」

慎二「桜も見てないで手伝えばいいことだろう!」トントントン・ カチャカチャ ジュージュー

桜「いいえー、今日は兄さんに思い知ってもらう日ですから、料理の作り方の指導以外しません」ニッコリ

慎二「桜ああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」

〜朝食〜

凛「あらら、私の寝起きが可愛く見えるくらい機嫌わるそうじゃない」ニヤニヤ

慎二「睡眠時間四時間。叩き起されて今まで朝飯の準備だったんだ……機嫌わるそうなのも仕方ないだろ。ってか実際気分は最悪だしさ」フラフラ

士郎「うわ、慎二がここまでなるってすごいな。運動部なんだから体力もあるはずだし。桜、何かしたのか?」

桜「いいえ、私はただ兄さんに料理を指導しただけですよ」ニッコリ

アーチャー『なんだか寒気がしたのだが』

ライダー『あの笑顔は私でも怖いです。理由もなく、怖いのです』カタカタ

セイバー「??」

士郎「で、でも初料理なのにすごい上手じゃないか?」

凛「見た目だけっていう場合もあるから警戒するに越したことはないわ」

慎二「酷い言われようだけど反論するのも辛い……」ゲッソリ

桜「あ、味は大丈夫ですよ。私がずっと見てたんで」ニッコリ

凛「桜のお墨付き? なら安心ね」ホゥ

士郎「不憫すぎる。同情するんだけど、慎二」

慎二「衛宮の同情なんか要らないさ」シッシッ

慎二「そうだな、できれば同情より労いの方が欲しい……」


凛「絶対なにかしたわね、あの子」コソ

士郎「桜を疑いたくは無いけど、あの皮肉屋の慎二が皮肉を言えなくなるなんてありえないからな」コソ

桜「藤村先生来ませんね。寝坊でしょうか?」コトコト オキオキ

士郎「あ、俺も配膳手伝うぞ。作るのは慎二に任せちゃったし」

桜「いえ。私と兄さんにお任せください。兄さんには家事の大変さを身を持って学んでもらいたいんで」

慎二「鬼か? 悪魔か? 僕にはどちらか判断することさえできないよ」

凛「じゃ、魔神ってことにしときましょう。桜、もう慎二は思い知ったはずよ?」

凛「だから、私達も手伝うわね」カチャカチャ

慎二「と、遠坂ぁ」ヘニョー

凛(借り1ー!)ニヤリ

士郎「こっちにも魔王がいた訳だ」カチャカチャ

士郎「よし、準備完了だ」ストッ

慎二「さ、さぁ、僕の特別フルコースに感動の涙を流すといい!!」フルフル

士郎「無理していつもの調子にすることはないぞ、慎二」

慎二「うるさぁい! こうでもしないとやってけないんだよ!」イライラ

凛「藤村先生遅いわね」チラチラ

セイバー「た、食べないんですか?」コンワク

慎二「どうせ昨日セイバーにボコボコにされたのを根に持ってるんだろ? 今日のうちは来ないだろうからそんなの放っておいて、さっさと食べようぜ」オハシ

セイバー「む、正当な戦いの結果を根に持つですって? 彼女はそのような人物には見えませんでしたが」オハシ

凛「それならへこんでるんでしょうよ」

士郎「まあ、藤ねえはああ見えて剣道五段の持ち主だしな。訳も分からない少女に一瞬でコテンパンにされたらそりゃへこむだろう」

凛「確かに私も士郎に一瞬でコテンパンにされたらへこむかも……」

士郎「反論できないのが辛い」

桜「でも藤村先生を倒すなんてセイバーさん凄いですよね」

士郎「……」クチパクカンペ

セイバー「…………ええと、私も結構ギリギリでしたけどね」ジー

桜「そ、そうだったんですか? そうは見えませんでしたけど」

凛「とりあえずさっさと食べましょうよ。また遅刻ギリギリなんてゴメンよ」オハシ

慎二「味わって食べろよ?」

皆「いただきます!!」

士郎「むむむ、初めてとは思えないクオリティだな」モグモグ

セイバー「……ふん、ふん…………ふん」パクパク

凛「流石桜のお墨付きってことかしら。いけるじゃない。本当に見た目だけじゃなかったわね」モグモグ

桜「やっぱり兄さんはスゴイですね。もちろん先輩までは届きませんが」

慎二「皆の発言がいちいち気になるけど、お褒めの言葉として受け取っておけばいいんだよな」

士郎「慎二が家事スキルを身につけてくれて嬉しいよ」モグモグ

凛「これで桜の手伝いもできるわね」パクパク

桜「いえ、理解してもらえればいいんですよ。兄さんは兄さんで大変ですからね」

慎二「……」

士郎「?」

凛「!」

セイバー「ふん……ふんふん……桜、おかわりをもらえますか?」パクパク・ スッ

桜「はい。どうぞ、セイバーさん」スッ

セイバー「ありがとうございます」パクパク

慎二「謎の沈黙だね。どうしたんだよ」パクパク

凛「はっ、そうね。たべましょう」モクパク

桜「先輩、後片付け、任せちゃっていいんですか?」

士郎「いいよ。だってあんなになった慎二にこれ以上押し付けるのは酷じゃないか」

桜「そ、そうですか。やり過ぎましたかね」

士郎「いや、たまにはきゅうをすえてやるのもいいんじゃないか。慎二はああいうやつだしさ」

桜「そう、ですよね」

慎二「おい桜、お前部活はいいのか? 今日はパーの気分」メザマシージャンケン ポチ

凛「貴方は行く気皆無なのに?」

慎二「朝練は自主参加って言ったはずだけど。桜はいつも行ってるんだから今日も行くべきじゃないのか? 勝った!!」

桜「そうですね。先輩、すみません」

士郎「大丈夫だ。いってらっしゃい」ジャージャー

桜「それではお先に。行ってきます」ペコ

凛「いってらっしゃいー」

慎二「今日は結構時間に余裕あるな」

士郎「そうだな。みんな、今日の放課後はどうする?」

慎二「僕は部活行ってもいいかなー? いや、ギルガメッシュの調査かな」

凛「慎二はギルガメッシュの下へ行ってから、部活でもなんでもやりなさい。私は追跡の準備でもしてるから」

士郎「俺は……何をしようか」

凛「一人で人気のないところに行ったりしなきゃ何しててもいいわよ…………」ジー

慎二「あれ、何見てるの、遠坂?」チラ

テレビ「今朝、冬木市市内のビルでガス漏れ事故が発生しました。 ここ最近ガス漏れ事故多いですね。 はい。ガスの元栓はしっかりチェックしなくてはなりませんね」

士郎「また新都の方でガス漏れ事故だってさ」

凛「バカみたい。あっちだけしゃなくてこっちでも起こってるのに」

慎二「ええ? そんな話聞いたことないんだけど」

凛「原因不明の衰弱の話よ。昏睡状態にまでなって病院に運ばれる。もう結構な数になってるはずよ。倒れた人達は今のところ命に別条無いようだけど、それは仕掛けたやつの気分しだいってね」

士郎「え? 待てよ、それってマスターの仕業って事だよな?」

凛「ええ、そうよ」

慎二「そういうのが仕掛けられてるのは学校だけだったんじゃないの?」

凛「いいえ。学校のとは違って、殺す気のあるものではないわ」

士郎「な、なんでそんな重要なことを黙っていたんだよ」

凛「今のあなたに対処できることじゃないからよ。範囲が広すぎるからね」

凛「そんな顔しないでよ。大丈夫。どちらも魔力的に同じサーバントの仕業よ。だから学校の方を片付ければいいの」

慎二「ああ、それだったらいうだけ無駄か」

凛「ええ。学校のだけで解決する事をわざわざいう道理はないわ」

士郎「そうか。それならより急いでマスターを探し出さないとだな」

〜学校〜

士郎「む、本当に学校の中と外だと空気が違う。まるで甘い蜜みたいじゃないか」

慎二「え、僕は何も感じないんだけど……強いていうなら、体が少し重いかもってくらいか」

凛「あら、二人とも結界があること分かるんじゃないの。慎二の方は本当に結界が起動したらまずそうね。士郎は……魔力感知は下手だけど、世界の変化には鋭いのね」

凛「にしても甘い蜜ねぇ……」

慎二「ふっ、言い得て妙だな。結界が起動したら中の生き物は死ぬんだろ?・ 餌を蜜で誘ってぱっくりって草にそっくりじゃないか」

士郎「……何笑ってるんだ。そんな事になったらお前も危ないんだぞ」

慎二「分かってる分かってる。もし危険ラインまで結界が出来上がったら僕は逃げるし。でも衛宮は僕だけじゃない学校の奴らを犠牲にしたくないんだろ?」クククッ

凛「ならやる事は一つよね」

士郎「何とかしなくちゃいけない。相手が結界を止めないというのなら倒すだけだ」

凛「そういうこと。そうね……士郎は不審な場所でもチェックしてて。私は結界を張ったやつを探してみるわ。この学校にいる確率もあるしね」タッタッ

慎二「え、僕は?」

凛「あなたはギルガメッシュの調査って言ったでしょう?」タッタッ

士郎「おい、不審な場所って何さ。 そんなの俺は知らないぞ」

凛「あなた風に言えば空気が甘いところよ。もうべったべたに甘いところを探せばいいのよー」タッタッター

アーチャー『ふっ』クス

慎二「なんで去ってくんだよ」

士郎「な、走っていかなくてもいいと思うけど。しかもアーチャーはコソっと笑ってたぞ」

キーンコーンカーンコーン

慎二「ああ、そう言うことだったのか。遠坂も酷いヤツだよね」

士郎「そんなこと言ってる暇ないぞ、慎二ぃぃぃ!!」ダッダッ

慎二「僕を抱え上げるな! おい、聞こえてないの、衛宮ぁぁぁ!!」アッー!

〜昼休み〜

士郎「……」ボソボソ

慎二「衛宮のヤツ、なんか独り言言ってないか?」

ライダー『そういう貴方もはたから見たら独り言なのですけどね』

士郎「……」ガラガラ

慎二「と、思ったら出てったし」

ライダー『追わなくては。なるべく一緒にいろとリンも言ってましたし』

慎二(昼休みに抜け出す予定だったけど、少し追ってみるか)タッ

士郎「まずは人気のないところからかな……」キョロキョロ

慎二(ちょこまか移動しやがって)

慎二「もしかして朝言ってた異常探しでもしてるのか?」ガサガサ

ライダー『それ以外ありえないでしょう?』

慎二「わ、分かってたからな?」

慎二「って居ないし」タッ

〜弓道場〜

士郎「っ、ここもか」

士郎「どうして気づかなかったんだ、ここが一番異常じゃないか」ウッ

士郎「遠坂は結界には基点があるって言ってたな。ということは、ここにはおそらく、基点があるはずなんだけど……」キョロキョロ

慎二「異常探しは捗ってるかい、衛宮?」

士郎「っ、慎二か。まさかついてきてたのか?」

慎二「いやいや、僕だってそこまで暇人じゃないよ。抜け出そうと思って来たらお前がこんな所にいたからさ」

士郎「そうか。気をつけろよ。仮にも相手は敵サーバントなんだからな」

慎二「分かってるって。そっちも頑張って探しなよ。衛宮に生徒の運命がかかってるって言っても過言じゃないからね」

士郎「もちろんだ。とりあえず遠坂に聞いてみる」

慎二「そう。じゃあな」タッ

〜ゲームセンター〜

ギルガメッシュ「……貴様、また今日も来たのか」ドンドドカッ

慎二「いや、来いって言ったのあんただろ!」チラ

慎二(って追跡班来てないよ!? 準備するって言ってたクセに!)アセアセ

ライダー『シンジ、取り乱さないで、平常心を。追跡班はいつの日か来るでしょう』

ギルガメッシュ「はて、どうだったか。我は物忘れなどしないのだがな」グッ……

慎二「無理して笑いこらえなくてもいいからな! イライラするなぁ」ムカムカ

ギルガメッシュ「はっはっは! 貴様はやっぱり道化として最高だな。こんなに笑わせられるなんてな」クックッ

慎二「は? 当たり前のことを言っただけなんだけど」

ギルガメッシュ「当たり前のことなぞその辺の雑種には言えんぞ。この我の王気に気圧されてしまうのだろうな」

慎二「ふん、そんなことはどうでもいいんだけどさぁ、話に夢中になってコンボが途切れてるよ」ククク

ギルガメッシュ「は!? 今日はフルコン連発する予定であったのに!」バキッ

慎二(マイバチ折りやがった!)

ギルガメッシュ「気を取直して今日はどこを案内するのだ? もちろん考えて来たのであろうな」ホイッ

慎二(そして捨てた!?)

慎二「え、っと」

ライダー『学校の案内とかはどうです? サーヴァントは霊体化できますから』

慎二(それだ!! 不自然じゃないよな……?)

ギルガメッシュ「学校か。我としては小学校というところがいいのだが」

慎二「なんで聞こえてるんだよ!!」

ギルガメッシュ「? 当然ではないか。盗み聞きくらいできなくて何が王か」

慎二「……一応言っておくと、小学校は無理だぜ。僕が入ったら怪しすぎるからな」

ギルガメッシュ「む、貴様と同年代の者たちを見てもつまらんのだが……」

慎二「なら他の場所か」

ギルガメッシュ「話を最後まで聞け。我は行かないとは言ってないだろう。他マスターの通うところを調べると言う名目の元行ってやる」

慎二「行きたいのかよ」

ギルガメッシュ「行きたくないとは言ってないだろう!! 最近は人の話を聞けない雑種が多いと聞くが、それでは雑種以下ではないか」プンプン

ライダー『この男がなにか問題を起こさないことを切実に祈ります』


〜学校〜

慎二「はぁ、やっとついた。本来ならもっと早くつけるはずなのに」ハァ

ライダー『慎二、お疲れさまです』

ギルガメッシュ『やはり実体化したいのだが』ムー

慎二「我慢しろよ。金髪で近寄ったら殺されそうな雰囲気の外人がいたら怪しいどころの騒ぎじゃないんだからさ」

ギルガメッシュ『何を言っている。我は無差別に殺したりはしない。殺すのは魂が醜悪なものか我と敵対するものだけだ。もちろん我の目的の邪魔になるのなら消すが』

慎二「つまり先生が殺されるってことじゃん」

ギルガメッシュ『何度も言わせるな。邪魔者がいるなら串刺しにするまでだと』

慎二「あんたの言う邪魔者ってのはこの中にうじゃうじゃいるから! 今の発言を聞いてもっと実体化しちゃダメになったから」

ギルガメッシュ『もうよい。霊体化したままでもよいから行くぞ』ヤレヤレ

慎二「はいはい」ガラガラ

慎二「出来るだけ僕に話しかけるなよ? 僕が反応したら怪しまれるんだから」

ギルガメッシュ『しつこいぞ。もう一度言ったら殺すからな?』

慎二「……僕もできるだけ反応しない様にする」フルエゴエ

慎二「で、行きたい所はあるのか?」

ギルガメッシュ『本だな、本のあるところへ案内しろ』

〜図書室〜

ギルガメッシュ「これが我の本か」パラパラ

慎二(あいつなんで鍵持ってるんだよ。見つかったらとてつもなく面倒になりそうな予感……)コソコソ

ギルガメッシュ「ふんふん。中々忠実に書かれているな」

慎二「お、新刊出てるじゃん」スッ パラパラ

ライダー『これがライトノベルってモノですね』

慎二「話しかけるなよ。集中してるって分からないの?」パラパラ

ギルガメッシュ『おい、そろそろ別のところへ案内しろ。貴様は案内人なのだから我を飽きさせぬよう努力せよ』

慎二(え? やっと静かになったのに、僕の幸せを奪うの!?)

ギルガメッシュ「おい、聞こえているのだろ。早く案内しろ」ムカムカ

慎二「実体化するなよ!」

ギルガメッシュ「何を言う、もともと実体化してたではないか」

慎二「って、お前もどさくさに紛れて何やってんのさ」ジロ

ライダー「あら、バレてしまいましたか」テヘペロ

ギルガメッシュ「思うのだが、我が見られないよう気をつければいい話ではないのか?」ウーン

ライダー「はい。その点は私も同感ですね。少女たちに触れることもできないなんて生殺しですよ」

ギルガメッシュ「うむ。雑種ではあるがいうことは間違ってないな。我は空気というものを肌で感じたいのだ」

慎二「……あのさぁ、万が一見つかったらどうするのさ」

ギルガメッシュ「……」シュン スッ

慎二「無言で宝具出すとか頭おかしいんじゃないの!? killはダメ、絶対!」ドドン

ギルガメッシュ「は! それで思い出したが、存在を消せる宝具があった気がする」ゴソゴソ

慎二「最初に言えええええ!!!!」

ギルガメッシュ「何怒っているのだ。器が小さいのだな」

慎二「お前がしっかりしてればいいだけの話だろうが!」ダンダン



〜その頃教室〜

葛木「であるからここの空欄には〜がはいる」カッカッ

凛(な、なによ、この魔力。サーヴァントでも入り込んだのかしら)カリカリ

アーチャー『凛、分かるか?』

凛『やっぱりか。サーヴァントの魔力よね。しかもライダーともセイバーとも違う』

アーチャー『ランサーでもバーサーカーでもないな……?』

凛(まさか何もしてないのにかかったってわけ?)

アーチャー(どうだろうな)

凛(これは行くしかないわね!)グラッ

凛「すみません、先生。体調が優れないので保健室で休ませてもらってよろしいですか?」

葛木「そうか。しっかり休め」

凛「ありがとうございます」ヨロヨロ


〜廊下〜

凛「はい、脱走成功ね」タッタッ

アーチャー『急ぐぞ、凛』

凛「分かってるわよ。図書室からかしら」

アーチャー『待て、他にもいるようだ』

凛「はえ? 何言ってるのよ。キャスターとアサシンが同時にかかったとでも言いたいの?」

アーチャー『いや、これは……』

カンカンカンカン

凛「ふう、突然隠れろって言うから驚いたじゃない」

アーチャー『だが、いい収穫だったではないか』

凛「そうね。あれが慎二の言っていたギルガメッシュ……アーチャー、セイバーを呼べる?」

アーチャー『私は携帯など持っていない身でな』

凛「っ……私は良く分からないけど、あなたなら使いこなせるわよね?」スッ

アーチャー「り、凛、君が携帯電話を持っているなんて!!」キャッチ

凛「驚きすぎよ! 私だってはいてく化して行く社会に追いつこうと必死なのよ」ムカムカ

アーチャー「そうだな。そうでなくては君ではない。で、衛宮士郎の家の番号は分かるか?」ピピッ

凛「もちろんよ! 07-4600-1039よ」

アーチャー「なぜ暗唱できるか不思議でならないが、この際それは気にすることではないか」ピポパポ

すみません、こっちが先です

〜図書室〜

慎二「分かった。実体化することは許すからさぁ、その宝具使っていいから」

ギルガメッシュ「顔のない王、だそうだな」バサッ

慎二「うわっ、本当に消えたよ」ビクッ

ギルガメッシュ「さ、行くぞ」

ライダー『私は無視ですか、実体化ダメですか』シクシク

慎二「お前は社会的に駄目だ」

ギルガメッシュ「己が欲望に忠実なのは良いが、今回は我慢の時だそうだな」ニヤニヤ

慎二「はぁ、次は弓道場でも行くか」ガラガラ ピシャッ

〜廊下〜

慎二「ここ降りたらすぐだから騒ぐなよ」カンカン

ギルガメッシュ「いちいち命令しおって。いや、相手が道化ならそれくらいは許してやらねばならないか」ハァ

〜衛宮家〜

ピルルルル

セイバー「む、誰からでしょうか」ピッ

アーチャー『セイバーか?』

セイバー「はい、そうですが。貴方はアーチャーですね」

アーチャー『ああ、そうだ。ギルガメッシュの足取りを補足したので電話をしたのだが』

セイバー「昨日言っていた追跡をするのですか?」

アーチャー『そのつもりだが、やる気はあるか?』

セイバー「もちろんです。敵の戦力を知るいい機会かもしれませんし」

アーチャー『なら今すぐ凛の部屋にある制服を着て、穂村原学園まで来い』

セイバー「え、制服ですか!?」

アーチャー『霊体化でき無いのだからカムフラージュをしなくてはならないだろう?』

凛『ちょ、何言ってるのよ! アーチャー、貸しなさい!』ガシッ

凛『セイバー、私、凛よ』

セイバー「リン、制服を着なくてはならなのですか?」

凛『着なくていいわ。いつもの格好で学校の校門付近に待機していて。しばらくしたらやつらが通るはずよ』

セイバー「は、それなら分かりました!」

凛『ふう。間違えても着てくるんじゃないわよ』ピッ

セイバー「急ぎましょう。ギルガメッシュ、どんな人物なのでしょうか……いえ、敵は切り伏せるのみです」セカセカ

ギルガメッシュ「ふむ、弓道場か。我もある時はアーチャーと呼ばれたことも有ったのでな。こういうものを見ると不思議と興味が湧くのだ」ガシャガシャ

慎二「矢を折ったりするなよ。僕が怒られるのはゴメンだから」

ギルガメッシュ「そんなことするわけ無かろう。必死に上手になろうと足掻く雑種を見るのは何にも代えがたい愉悦だ。それを邪魔するのは三流以下であろう?」ガシャガシャ

ギルガメッシュ「それにもう一度言うが、我は元々アーチャークラスだったのだぞ? 弓を扱えぬ通りがない」ヒュン ザク

ライダー『アーチャーというのは真実のようですね』カンシン

ギルガメッシュ「何を言う。仮にも英雄を名乗っている身ならアーチャーでなくともこれくらいは容易なはずであろう?」ヒュンヒュン

ライダー『私は弓はあまりやっていなかったのでなんとも言えませんね』

ギルガメッシュ「そうか。それならば仕方あるまいな」ザッザッ

慎二「目、瞑ってるし……」カタカタ

ギルガメッシュ「よし、飽きたぞ、シンジ、他に案内すべきところはないのか?」

慎二「え、特別すごいものは何もないはずさ。あとは至って普通の学校さ」

ギルガメッシュ「そうか。ならば仕方あるまい」スタスタ

ギルガメッシュ「ゲームセンターへ戻るぞ」スタスタ

慎二「え、ちょ、待てよ!」ダッ

凛「もうすぐ出てくるって言ってたけど、本当に来たわね」

アーチャー『私も驚きだ。あんな適当な発言がよもや当たるなど』

凛「適当なの!?」

セイバー「はぁ、アーチャーがそのような英霊だとは……意外でした」

凛「ホントそうね。まぁ、結果オーライってことよ」

凛「って! セイバーもう来たの!?」

セイバー「いえ、これでも遅れたくらいです」シュン

凛「英霊の基準ってどうかしてるわ」ハァ

アーチャー『おい、奴らが来たぞ、凛』

凛「分かってるわ」ニョキ

ギルガメッシュ「雑種の学び舎だからある程度低俗なものであろうと予測はしていたが、それ以下だったな」

慎二「て、低俗!? そこまで言うのかよ。僕だって学校は好きじゃないけどそこまで思ったことはないよ」

ギルガメッシュ「しかしあの弓道場だけは良くはないが、低俗とは言えないものであったな」フッ

ギルガメッシュ「校舎とは違い、良く手入れが行き届いてた」

慎二「ふぅん。そんなことでお前の評価は上がるものなんだなー」

ギルガメッシュ「当たり前ではないか。良い物をよく使おうとする心がけは我も嫌いではない」フフン


〜物陰〜

凛「あれがギルガメッシュよ、セイバー」ピシッ

セイバー「う、見覚えがあるような気が……!!」ヨロッ

アーチャー『な、どうしたんだ?』

セイバー「あれは、忌々しきアーチャーです」

凛「何言ってるのよ。忌々しきアーチャーはそこにいるでしょう?」

セイバー「いえ、あそこでシンジと楽しげに話している男、あれは第四次聖杯戦争時に召喚されたアーチャーです」

凛「ええ? 前回のサーバントが今も残ってるって、つまり前回の優勝者って事かしら?」

セイバー「おそらく。彼はとてつもない力を持っています、いえ、力そのものとも言えますね」

凛「あの宝具の量といい謎ね」ムムム

凛「って、もう帰っちゃうじゃない」

アーチャー『欲張りも深入りも禁物だ。恐らく彼は私達に気づいているだろう。あまりやり過ぎると待っているのは返り討ちの運命のみだぞ、凛』

凛「分かってるわ……帰りましょう、アーチャー。そろそろ6限が終わる頃だし」ノビッ

セイバー「では、私も家の警備兼睡眠に戻らせてもらいます。気分最悪なので」ダッ


凛「って、もう帰っちゃうじゃない」

アーチャー『欲張りも深入りも禁物だ。恐らく彼は私達に気づいているだろう。あまりやり過ぎると待っているのは返り討ちの運命のみだぞ、凛』

凛「分かってるわ……帰りましょう、アーチャー。そろそろ6限が終わる頃だし」ノビッ

セイバー「では、私も家の警備兼睡眠に戻らせてもらいます。気分最悪なので」ダッ


今日はここまで。

慎二「行っちゃったな」

ライダー『はい。最後の方は不思議な追跡班がいましたね』

慎二「追跡班? き、気付かなかった。どんだけ上手に追跡してるんだよ」チラチラ

ライダー『もう帰りましたよ』

慎二「あ、そうなの?」

ライダー『セイバーはお疲れ様です、と青い顔をして言ってました』

慎二「そ、そう。確かにお疲れだよ。もうそろそろ衛宮ん家戻るか」

ライダー『ですね。日が落ちてからだと襲撃のリスクも高まりますし』

〜衛宮家〜

慎二「あれ、衛宮帰ってないの?」

凛「ええ、どうしたのかしらね。遅くなるって連絡は聞いてないんだけどね」

慎二「ふーん。まだ暗くもなってないし、異常探しでもしてるんじゃないか」

凛「そうだと思うけど。そう言えば慎二、何を作るか考えてるの?」

慎二「はぁ? 本気で僕に作らせる気なの、鬼なの?」

凛「……何言ってるのよ。ペナルティって言ったでしょう?」

慎二「はぁ、僕って最近ぱしられてないか?」

慎二「そうだ、ライダー、お前材料を切ることくらいはできるだろ?」

ライダー「ええ。でもタイガやサクラが帰ってきたらどうするのです?」

慎二「なんで僕がそこまで考慮しなけりゃダメなのか分からないし」

凛「これでも見て頑張りなさい」レシピ

慎二「くそ、面倒だな」トントン

慎二「僕ってもしかして桜に料理作るのを邪魔されてたんじゃないの?」テッテテーン

凛「朝ごはんと作るスピードが比にならないものね」アゼン

慎二「ガラじゃないけど、なかなか高クオリティだと思うんだよね」

凛「ええ。これは私のお墨付きってことにしてあげるわ」

慎二「上から目線なのかよ」

凛「私の方が先輩なんだから当然よ」

士郎「ただいまー」ガラガラ

桜「お邪魔します」

凛「あら、二人も来たみたい」

桜「あれ、もう作ってたんですか」

士郎「材料買ってきちゃったぞ……まあ、そこのところは明日遠坂に何とかしてもらえばいいか」ガサゴソ

慎二「ふふふ。僕の家庭スキルに驚いてもいいんだぜ」

凛「はいはい。すごいすごいわ」

慎二「適当にあしらうなよ……何となく悲しいんだけど」

大河「は! 料理だー!」ダダダダ

士郎「藤ねえ……何も無しに突然入ってくるのやめてくれよ。驚くだろ?」

大河「なになに? 今日のご飯は炊き込みご飯? にゃははー、おひつごとゲット!」ガシ

凛「藤村先生、独り占めはダメですよ」ピシャリ

大河「なによー、これは私のものなんだから。絶対にあげないんだから!」

凛「ですから、せっかく間桐くんが作った料理なんですから、皆で分け合って食べた方がいいと思いますよ」

大河「え、これ、士郎が作ったわけじゃないの? 間桐くんなの?」ビックリ

慎二「なんだよ、その有り得ないものでも見るような目は」

大河「え、いや、だって……ねぇ」

桜「はーい、藤村先生も納得したところでご飯食べましょー」

士郎「揉めてる間に準備は完了させておいたからな」オヒツカイシュウ

凛「それにしてもこれは作りすぎなんじゃない?」

慎二「いや、僕のリサーチによると、この家の食卓は六合炊いても一食持たないって結果になったのさ。食べるヤツが多いからね」ククククク

士郎「慎二……そこまで見てたのか」

桜「せ、先輩、ちなみに食べるヤツって誰なんでしょう」

士郎「え、いや、俺は知らないぞ。うん。慎二が勝手に行ってるどけじゃないか?」

慎二「おい、そこまで見てたのかって感心してるくせになにしれっとしてるのさ。僕は全体的に減りが早いなって思っただけ」

士郎「そうか。やっぱり皆が少しずつ食べてるから減りが早いんだ。つまりそういうことなんだな」ウンウン

凛「まさに口は災いの元ね」

天才?は料理もできるそうですねw

大河「おかわり!」ズイッ

桜「もう三杯目ですよ、藤村先生」

大河「いいの! 昨日今日来た人に美味しい食べ物を分けてやる必要なんてないんだから!!」ガツガツ

凛「それを作ったのは昨日今日来た人なんですけどね」パクパク

慎二「ちゃんと飼い慣らしておけよ、衛宮。ウザくてかなわないんだけど」ギリギリ

士郎「すまない。少しうるさいけど、我慢してやってくれ」モグモグ

セイバー「……ふん…………ふん、ふん。シンジのご飯も美味しいですね」ハムハム

桜「セイバーさんも実はおかわりしてるんですけどね」カミカミ

慎二「静かならいいんだ。僕の平穏の邪魔さえしなければいい。もうそれで妥協するからさぁ……」カチャカチャ

桜「それじゃあ先輩、失礼しますね」

士郎「藤ねえ、桜を頼んだぞ」

大河「はいはい。分かってる」

慎二「しっかし、心配だな……」

凛「大丈夫でしょう。藤村先生は心配いらないわ」

慎二「謎の自信ねぇ、あんな食いまくった虎に任せていいってどういう事だよ」

大河「大丈夫。飲み込めば何とかなるものだから」

士郎「じゃあ、また明日な。二人とも夜ふかしするなよ」

桜「はい。おやすみなさい、先輩」

大河「おやすみー、士郎」ガラガラ

そして私も寝ます。
今日はここまでです。

凛「それでどうだったの? 異常探しは」

士郎「弓道場がおそらく黒で他にも気になるところは幾つかあった」

凛「ふーん。なら明日にでもいじりに行くか……」ゴニョゴニョ

慎二「収穫ありってことだね」

慎二「で、遠坂、セイバー、あとアーチャーもか? お前らは追跡して分かったこととかあったの?」

凛「それはセイバーに語らせた方がいいかもしれないわ」チラ

セイバー「ええ。おそらく彼は前回の聖杯戦争の優勝者です」コクリ

慎二「あれ、それならもう戦う必要はないってことか」

セイバー「そうですが、リンやあなたから聞いた話によれば彼は随分とあなたを通して聖杯戦争に介入している」

慎二「はぁ? 介入してるから怪しいってことなの?」

士郎「聖杯戦争で優勝したって、聖杯が完成した事はないって言峰が言ってなかったか?」マッサオ

セイバー「そうですね。その上彼は強欲ですから、また聖杯を狙っている確率は十分にあります」

凛「つまり、警戒するに越したことはないってわけね」

アーチャー「ああ、私も警戒は怠らないことを勧める」

ライダー「私も同じく」



凛「そうね。じゃあ慎二は引き続きギルガメッシュの情報集め頑張ってちょうだい」

慎二「はぁ、あいつの相手は疲れるんだけど」

凛「大丈夫よ。私もあなたと話してると疲れるわ」

慎二「ええ!」

凛「私は明日中に結界を弄るわ。だからそこから結界が起動するまでは慎二は学校に立ち入らず、士郎は絶対に中にいること。以上!」

慎二「つまり明日学校に行って、抜け出したら結界のことが終わるまでは入れないってことか」

士郎「大丈夫だ。桜や皆が傷つかないようにさっさと片付けるから」

慎二「心配なんてしてないけどね!」

セイバー「結界が起動したら戦闘は避けられないでしょう。シロウ、体調管理は万全に」

アーチャー「君もだぞ、凛。とは言っても君ならそういうところは気にする必要などないか」

凛「大丈夫よ。セイバーもすぐ駆けつけられるよういつでも準備はしておいてね。いい、裏の林みたいになっている所よ」

セイバー「ええ。分かってます」

凛「じゃあ今日のところは解散! 明日に備えてさっさと寝なさいよ」ガラガラ

〜慎二の部屋〜

慎二「ふぅ、本当に僕はギルガメッシュの調査だけでいいのか? 危険度が違いすぎると思うんだけど」

ライダー「っ、何を言うんです。彼と相対することは危険度で言えばバーサーカー手前レベルですよ、機嫌を損ねたら即死です」

慎二「大袈裟だ。そんな事無いと思うんだけどな」

ライダー「彼はよく殺すぞ、とかを口にしていますが、あれは本気です。ただ単にシンジが今まで上手く回避できていただけです」

慎二「今まで出来てたなら明日もできる。ポジティブシンキングってのも大事だし」

ライダー「……それもそうですね、シンジは自然体の方が生存率は上がるのでしょう」ウナズキ

慎二「そうだよ。僕は妙に気張ったりしてる方が不味いんだよ」

ライダー「正直に言わせてもらうと、確かにシンジは結界という危険から離されています。しかしあなたが結界内にいたら彼らの負担が大きくなるだけです。逆にギルガメッシュの前に彼らが現れても生存率が下がるでしょう」

ライダー「つまりこの同盟は適材適所なんですよ。どちらも危険な敵地であるということを忘れないでください」

〜慎二の部屋〜

慎二「ふぅ、本当に僕はギルガメッシュの調査だけでいいのか? 危険度が違いすぎると思うんだけど」

ライダー「っ、何を言うんです。彼と相対することは危険度で言えばバーサーカー手前レベルですよ、機嫌を損ねたら即死です」

慎二「大袈裟だ。そんな事無いと思うんだけどな」

ライダー「彼はよく殺すぞ、とかを口にしていますが、あれは本気です。ただ単にシンジが今まで上手く回避できていただけです」

慎二「今まで出来てたなら明日もできる。ポジティブシンキングってのも大事だし」

ライダー「……それもそうですね、シンジは自然体の方が生存率は上がるのでしょう」ウナズキ

慎二「そうだよ。僕は妙に気張ったりしてる方が不味いんだよ」

ライダー「正直に言わせてもらうと、確かにシンジは結界という危険から離されています。しかしあなたが結界内にいたら彼らの負担が大きくなるだけです。逆にギルガメッシュの前に彼らが現れても生存率が下がるでしょう」

ライダー「つまりこの同盟は適材適所なんですよ。どちらも危険な死地だということを忘れないでください」



慎二「……死地……ねぇ。考えてみたこともなかったけど、もし聖杯が取れれば桜を自由にしてやる事は出来るのか?」

ライダー(シンジらしくないことを言いますね……)

ライダー「……ええ。あの蟲爺の呪縛からサクラを解き放つことなど、聖杯にとっては容易なことです」

ライダー「しかしシンジ、あなたは聖杯戦争にできれば命をかけずに参加したいのではなかったですか?」・

慎二「僕だってワケ分からないけど、そうしなくちゃならない気がするんだよ。不思議なもんだな。本当なら桜を鬱陶しく感じていいはずなんだけどさ」クビカシゲ

ライダー「いえ、シンジがそう言ってくれるなら私もより力を出すことができます」

慎二「もしかして今まで本気じゃなかったのかよ」

ライダー「いえいえ、そんなことありません。ただ気持ち的に良い方向へ向くってだけです」

慎二「そうかよ。それなら僕の生存率も上がるだろうし、伸ばしていくべきだね」コクコク

ライダー「ええ。サクラが嬉しいことは私も嬉しいので、ぜひどうぞ」ニコニコ

慎二「あーはいはい。調子乗っちゃうよな、そこまで計算に入れなくちゃダメだなー」ゴロン

慎二「なんだか僕、本当におかしくないか?」ゴロゴロゴロゴロ

ライダー「…………どうでしょうね。私には分かりません」

慎二「もういいや、ねる」ゴロン

慎二(ホントダメだね)







〜間桐家〜

慎二「ふぁあ、明日は休みだったか……」パラパラ

慎二(この魔道書はちょっと難しいな……)

慎二「今日はこれを読み終わったら寝るかな」ノビー

パラパラパラパラ

慎二(ドイツ語じゃん……面倒くさいな)

慎二「辞書辞書……」ガサガサ

パラパラパラパラ

慎二「まだ10ページしか進んでない……眠い……」

慎二(そういえば、桜のやつもう寝たのか? いや、二時だし寝てないわけないか。あいつは魔術知らないワケだし、勉強する必要もないんだよね)

慎二「気晴らしに寝顔を撮ってくるか。何かしないとまぶたが勝手に落ちてくるし」カチャ

キイィィィ

慎二「はい、こんばんわ。シャッターの設定も切ったし、音もならないようにしましたっ!」コソ

慎二「つまり準備万端ってワケ」コソ

慎二「ずっと独り言言ってるのも寂しいし、突撃しますかー」コソコソ

慎二「…………」ソーッ

慎二(いびきをかかないことは調査済み。でも寝息が聞こえないな……)

慎二「…………」スタスタ

慎二(布団めくりまーす。なんだ、人間の体温を感じないな……?)バサ

慎二「い、いないだって?」

慎二「ベッドの下にも……いない。トイレにもいなかったし」

慎二「探してみるか。ソファで寝ちゃったりとかしてるんじゃないの?」トコトコ

〜リビング〜

慎二「うーん、いないなぁ。ここ以外心当たりが無いんだけど」ガサゴソ

慎二「はあ、何だか眠気が覚めてきた。こうなったら徹底的に探してやるさ」

〜廊下〜

慎二「いない、いない、いない」ガサゴソガサガサ

慎二「……っ?」

慎二(先の壁から少しだけ光が漏れている)

慎二「壁に穴でもあるのか? いや、そうだとしても光があるのはおかしいよねぇ」タッタッ

慎二(怪しいし中を覗いてみるか)テタッチ

慎二「っ!! なんだよこれ。ビリってもんじゃないよ?」ビリリッ

慎二「怪しさが増したよ。んんっ、これはドア?」

慎二(隙間に手を突っ込み、引くと扉のように壁が開いた。その先には階段があった)

慎二「ふう、こういうところには何かが隠されているのが定石ってもんだよね」スタスタ

慎二(階段は地下へと続いている。少し恐怖もあったが、降りないワケにはいかない。頑張れ慎二、負けるな慎二)

慎二「なんか妖しい感じするよ。ジメジメしてるし蜘蛛とかもウロついてるし」


慎二「うう、気持ち悪すぎるだろ。足元には気を付けないとな」


慎二(足元がヌメっているからコケないようにしなくちゃならない)


慎二「ふう、嫌な予感しかしないんだけど」


慎二「今なら引き返せるよね」


慎二「まあ、引き返したら何かを知るチャンスを逃すわけだけど」


慎二「知らない方がいいこともあるって言うよな」


慎二「そうは言いつつも進んじゃうのが僕の矛盾だよね」フフッ

〜???〜


慎二(っと、ここが地下か。真っ暗で何も見えないな)グチャ


慎二「うへっ、汚いもん踏んじゃったじゃんか。キモイな」ベッ


慎二「手を広げた感じ、あまり広いところじゃないみたい」トントン


臓硯「む? 慎二か? なぜここにおる」ヌッ


慎二(音も匂いも気配もなく間桐臓硯ことじじいは闇の中から突然出てきてるんだけど! その上光はない筈なのに見えるんだけど!)


慎二「じ、じいさん!? そっちこそなんでこんな所にいるんだよ!」


臓硯「先に質問したのはこちらだが」


慎二「っ、僕はただ階段を見つけたから降りてきただけさ。さぁ、答えろよ、なんでこんな所にいるのか」


臓硯「そうだな……それならこっちへ来た方が理解が早いだろう」スゥ


慎二(それだけしか言わないの!? そのまま去ってかないで!)アセアセ


慎二(意味わからないから追うしかない? ってか説明不足にも程があるんだけど)トットッ

〜蟲蔵〜


桜「…………」シーン


臓硯「どうだ? 何かわかるか、慎二?」


慎二「さ、さくら……?」カタカタ


鶴野「慎二? そうか……オヤジが連れてきたのか」チラ


臓硯「階段を見つけてしまったと言うからな。そろそろ頃合いであろう?」


鶴野「ふん、どうせ見つかりやすいよう仕掛けておいただろうに」


臓硯「だが、どうせなら兄である慎二の方が桜もいいだろう?」


鶴野「ああ、俺だってこれになんか興味のかけらもないからな」ツンツン


慎二「……こ、これはどういうことだよ。間桐の魔術は断絶したんじゃ……」フルフル


臓硯「なんだ? 分かっているのだろう?」


鶴野「つまりお前じゃなくてこれが間桐の正当な後継者なんだよ。気づいていたとは思うが、お前みたいな出来損ないは邪魔なんだよ」


慎二(っ……そんなの言われなくても分かってる……くそっ!)


臓硯「まあそこまで言ってやるな。これも使い道はあるのだからな」ニタァ


鶴野「はぁ、それもそうだ……」ジー

慎二(……使い道、だと?)

臓硯「桜は常に魔力不足に陥っている」ニタニタ

慎二「……だ、だからなんなんだよ。僕には関係ないだろ」グッ ギリッ

臓硯「まあそう言うでない。聞くだけ聞いておけ。魔力不足を解消するには男の精が必要なのだ」

臓硯「もちろん粘膜を通してだ」

鶴野「言うことはそれだけだ。俺たちは特に何かしろと言う気はない」スタスタ

臓硯「自分で決めるのだな。妹を救うか否か」クカカ

臓硯「いや、救うと言えるのだろうかな」ズルズル ギイィバタン

シーン


慎二「くそっ! どういうことだよ。間桐の後継者は桜だったって? 笑い話にもならないじゃないか」ギリギリ

桜「……ごめんなさい、兄さん」フルフル

慎二(こいつは……なんだよ、僕を哀れんでいるのか? 目が、態度が……)

慎二「ちくしょう! どいつもこいつも僕のことを馬鹿にしやがって」

慎二「面白かっただろうね! お前が本物の跡継ぎだって知らずに馬鹿にしてた僕の姿は!」

桜「ご、ごめんなさい」

慎二「ひ、否定しないのかよ、桜。やっぱりお前もあいつらと同類だったんだな」

慎二「……そうだろうな。魔術から本当に切り離されていたのは僕だったって気付かなかったのが悪いんだろ?」

慎二「くそ、なんだよこれ。ふざけるなよ!!」ガバッ

桜「…………」ビク

慎二「ふひひ、何怯えちゃってるの? 欲しいんだろ? 魔力不足なんだもんねぇ」ニヤニヤ

慎二「ふふっ…………最初からこうしてれば良かったんだよな。言葉なんていらないんだよ」グッ

桜「に、兄さん……」

慎二「腹が立つんだよ。お前みたいなヤツがウチの後継者だって?」


慎二「よそ者のクセに……」

桜「っ…………」

慎二「よそ者のクセに……」

桜「にい、さん……もうやめて」

慎二「その態度が、視線がムカつくんだよ!!」ガッ

胸糞わるい慎二の過去を考えてみました。
あー、うまく表現できませんね。
今日はここまでで。

2月6日

〜慎二の部屋〜

慎二「っ!!」ガバッ

慎二「ぐっ、またかよ。はぁ、朝から嫌なもの見せやがって」ハアハァ

ライダー『随分うなされていましたが、大丈夫ですか、シンジ?』チラ

慎二「大丈夫さ、でも気分は最悪だね」

慎二(割り切れたと思っていてもやっぱり間桐の人間である僕には負の感情しか似合わないんだ。所詮はあいつらと同類ってことだね。憎悪、嫌悪、嫉妬って)

ライダー『し、シンジ?』アセ

慎二「ホント憂鬱だ。頭痛いし、薬飲むしかないかな」パタパタ

ライダー『シンジ、それなら私がこの前実験的に調合した頭痛薬を!』ズイッ

慎二「はあ? そんな物僕が飲むと思ってるワケ? 下手したら死ぬだろ、僕!」

ライダー『死ぬ確率は1%くらいまで抑えてあるんですけどね?』

慎二「高すぎるよ、確率高い!」

ライダー『この程度のリスクを受け容れることができないとは……』

慎二「せめてその百分の一まで死ぬ確率を減らしてから持って来いよ。まあ、それでも飲まないけどさ」

ライダー『わがままですね。シンジ』

慎二(あー、本当にテンションまで狂うな……)

慎二「お前に殺されるのが嫌なだけだ!」

〜居間〜

桜「あ、兄さんおはようございます」ニコッ

凛「……あら、慎二。おはよう……顔洗ってくるわ……」スタスタ

慎二「あ、相変わらずの寝起きの悪さ……」ハァ

士郎「おはよう、慎二。今日の朝ごはんは桜が作ってくれるらしいぞ」ボケー

慎二「そうか。また桜なのかよ」

凛「ふう。あなた昨日学んだんじゃないの? 食事用意する大変さを」

慎二「いや、確かに面倒だって学んだけどね? またわかめフルコースが来ると思うと冷や汗が止まらないんだ」

士郎「さ、桜、わかめフルコースはやめてやってくれ」

桜「はい。今日はワカメは使ってませんよ」トントン

慎二「そ! そうか! 良かった……あれは悪夢ってより地獄そのものだったからな」


士郎「……なあ慎二」

慎二「気持ち悪いなぁ、なんだよ衛宮。じっとこっちを見つめちゃってさぁ」

士郎「何となくだけど、顔色悪くないか?」

凛「あら、確かに少し顔色悪いわね」

アーチャー『結界起動の為に生命力を削がれているのではないか?』


桜「え、兄さん、大丈夫ですか?」トントン


慎二「はぁ? 顔色なんて悪くないね。少なくとも体調はいつもどおりだし」

凛「いつもどおりじゃない事もあるってコトね」

士郎「今日は学校休んだ方がいいんじゃないか?」

慎二(なんだよ、顔色って、そんなに悪いか、僕?)

凛「いいえ、その必要はないわ。慎二本人がとりあえず体調は普段通りと言っているのだからね」チラ

慎二(恩に着るよ……)

慎二(……あ、夢見たから気分が悪い、だから体調悪そうに見えるってワケか)ナットク

ライダー『シンジ、病は気からですよ』

慎二「分かってるから。衛宮も余計な心配より結界を何とかしなきゃならない自分らの心配したら?」 コソッ

凛「そうね。士郎は自分の心配してなさい」コソッ

士郎「むむむ、とりあえず体調悪くなったら帰れよ、慎二」

慎二「了解、了解」

桜「良かった……兄さんが何ともないならいいです」カチャカチャ

慎二(理解できないんだよな……なんであんな事があったはずなのに桜は普通に僕に接し、僕はそれに嫌悪感を抱いてないんだろう)ジー

桜「兄さん? こっちをじっと見てどうしたんですか、やっぱり体調悪いんですか?」

慎二(謎だよな……まぁ、今気にすることじゃないか)フルフル

桜「兄さん?」

慎二「なんだよ、聞こえてるからしつこく言わないでいいから」

桜「は、はぁ」トントン

大河「おはよー! 皆って片付けてるし!!」

士郎「仕方が無いだろ、もう桜は部活の時間なんだから」カチャカチャ

慎二「くくっ、僕らも片付けたら行かないといけないし」

アーチャー『片付けるのはお前ではないだろう……』

凛「大丈夫ですよ、藤村先生。先生の分はそこにラップして置いてあるので」スッ

慎二「え、何やってるの遠坂。藤村も弓道部行かないとダメだろ? よってそれを食べる暇なんてものはないんだよ」クスクス

凛「……だ、そうですよ。藤村先生、どうしますか」

桜「先生は食べてから来てください! 美綴先輩には言っておきますから」ジュンビ

大河「ええ! いいのー? 桜ちゃんは優しいね! ありがたく頂こうかしら」スチャ

慎二「桜ぁ、そんなことしたら僕たちがこの虎が食べ終わるまでここを出ることができないってことなんだけど」

士郎「そこは心配要らないぞ。これくらいの量なら……」ジー

慎二「流石に人間的に無理だと思うんだけど。トラはなんでも無理が効くとは思えないし」

士郎「……」フルフル

桜「それじゃあ、私は先に行きますね」ペコ

士郎「おう。また夕方にな」

凛「いってらっしゃい」


大河「ごちそうさま! 今日も美味しかったよ。それじゃ私も行くから! もうすぐホームルーム始まるんだから早く来なさいよ!」ダッ

慎二「………はっ?」ボーゼン

士郎「お粗末さまでしたってもう行っちまったから意味ないか。な、慎二、心配無用だろ?」

慎二「ほ、本当にこれが人間なのかよ。虎だって言われても疑う余地がないんだけど。いや、虎でも無理がある」

凛「疑う余地がないってのは言い過ぎよ。虎だとしたら日本語を話すってのがおかしいわ」

慎二「それ以外は虎だぜ? なら、日本語を話す虎って方が正しいだろ」

凛「それは否定できない」ムムム

士郎「この話が藤ねえに聞かれてなくてよかった。虎話するときは気をつけろよ?」

凛「あら、士郎に心配されるほど抜けてないわよ、私」

慎二「いつも言ってるから気にすることないし。僕についてはあいつも諦めてるっぽいしね」

士郎「そ、そうなのか」

セイバー「楽しそうに話しているところ申し訳ないのですが、時間は良いのですか?」トケイ

士郎「んん? 慎二、これはどういう事だ」

慎二「えーと、なんだろうな」クビカシゲ

凛「私としたことが! 歩きでも走りでも間に合わないじゃない」

慎二「……困ったこともあるもんだよね」ピッピッ

士郎「慎二、何してるのさ、急ぐぞ!」

慎二「はぁ、だから衛宮は庶民なんだよ。タクシー、呼んだから。近くにいたらしいから後2分くらいで来るみたい」

凛「お金はどうするのよ」

慎二「大丈夫、大丈夫。僕が庶民に払わせるわけ無いだろ。それに今回は2人に頑張ってもらわなきゃならないし」ニヤニヤ

ライダー『高度なツンデレですね』

アーチャー『何処がだ、分かりやすいほうではないか。しかし慎二、凛だけなら私が連れていかないこともないのだが』

凛「いえ、大丈夫よ、アーチャー。サーバントはそんなことに使う物じゃないからね」

アーチャー『!?!? 何言ってるんだ、凛、体調は平気なのか?』

慎二「? なんでそんな心配してるの?」

アーチャー『む、聞いて驚くなよ。凛は聖杯戦争の為に呼び出された私を屋敷の掃除のため扱き使っていたのだぞ? それがそんなことに使う物じゃないからね、とは頭の病すら疑って当然ではないか』

凛「……もうタクシー来るわね」ダッ

士郎「……何となく気に入らない奴だけど、うちの腹ペコサーバントと……いや、なんでもない」フルフル

セイバー「……」ニッコリ

慎二「本当だ、タクシー着いたみたいだね」チラ

ライダー(シンジ、士郎の住所を知っていたのですね。どうやら彼らは本当に友達のようです。安心しました)

〜タクシー〜

ドライバー「穂村原学園まで? 分かったぜ。遅刻しそうって事だろ?」

凛「ええ。法律を無視しない程度で急いで下さい」

ドライバー「オッケー、オッケー。嬢ちゃんに免じて法律を無視しないが、社の規則は無視してやら!」グンッ

士郎「いいのかよ、青髪のドライバーさん、クビになるかもしれないぞ」

ドライバー「坊主も気にするな。俺はどうせ短期アルバイトだ。それに仕事もちょうど辞めたかったところだし問題ねぇ! その代わりと言っちゃなんだがそこのわかめの坊主からたんまりチップを貰うけどな」ブゥゥゥン ギュンギュン

凛「ええ。それならお願いするわ」

慎二「ええ?」

ドライバー「えっし、思いっきり飛ばすから捕まってろよ!!」ギュルルルルルン

慎二「おぇ……絶対法定速度守ってないだろ」ゲロゲロ オサツ

ドライバー「おう! しっかり1万受け取った。さっさと行かにゃダメなんだろ、おら」ドン

士郎「あ、ありがとう! 青髪のドライバーさん!」

ドライバー「いいってことよ! じゃあな!」ギュルルルルルン

凛「あれは……デフォであのスピードなのね」

アーチャー『なあ、ライダー』

ライダー『言わなくていいです。リンが気付かなかったのには驚きましたが』

アーチャー『そうだな。私達からの同情など彼はいらないだろう』

凛「じゃないわ! 折角早く送ってもらったんだから急ぎましょう!」ダッ

凛(慎二に借りを作っちゃったのは不服だったけど、今日中に結界の犯人とっちめてチャラにしてやるわ! あ、昨日の朝、貸しがあったんだっけ)ダッ

慎二「せっかく金払ったんだし遅刻したら最悪だよ」ダッ

慎二(貸し1ってことで。夕食当番代わるだけでチャラにしてやるか)ニヤニヤ

士郎「そうだな! 慎二に申し訳ないし」ダッ

士郎(借り1になっちゃったな。今週の掃除当番代わってやればチャラになるか? いや、慎二だからその程度じゃ借り返せないか)ウーン

〜昼休みin屋上〜


慎二「だから、借りは夕食当番交代でいいってば」


士郎「遠慮するなよ、慎二。掃除当番交代の方がいいだろ」


慎二「僕は料理したくないの! 分かるだろ、衛宮」


士郎「む、そういう事ならはじめから言えばいいのに。でも一回だけだぞ?」


慎二「もちろん」


慎二(遠坂にも交代頼めばしばらくの間はゆっくりしてられるし。今日は遠坂で次が衛宮、その次は僕だけど交代……)ニヤニヤ


士郎「そうか。じゃあ契約成立ってことで」


慎二「頼んだよ、え・み・や!」ドン


慎二(さぁて、遠坂にはどうやって押し付けようかな)ヒョンヒョン

凛「……あ、士郎、来てたのね。あれ、慎二は何をしてるの?」ボーゼン


士郎「ん? 見てのとおり飛び回ってるんじゃないのか?」


凛「いやまあ、そうだけど、なんで飛び回ってるのかしら」


士郎「さあ、俺は知らないけど」スットボケー


慎二「ん、遠坂じゃないか。今日は遅かったね」タッタッ


凛「あ、それは弓道場に寄ってきたからよ。確かにあそこはこの結界の中心と考えて良さそうね」


凛「魔力が濃いってどころじゃ無いわ。異常だった」


慎二「ふーん、僕には感知すらできなかったけど」


凛「感知できてたら今頃弓道場には気分悪くて近寄れなくなってるわよ」

士郎「慎二ならしないとは思うけど、結界が起動したら中には入ってくるなよ」

慎二「ご存知の通り僕は自ら死地へ突っ込んでったりしないから」

凛「慎二なら問題ないでしょう。まあ、結界がいつ起動するかなんてわからないんだけどね」

凛「最終確認よ。この昼休みが終わったら壊すくらいのつもりで弓道場の基点を弄るわ。相手はなんかしらのアクションをおこすはず、出来れば結界は起動させる前に仕留められればいいけど、それは高望みが過ぎるってもんよね」

凛「まあ、高確率で結界は起動するでしょうから、私達はこの中に結界の主がいないか探すわ。慎二は外で……同じく探してくれればいいわね」

慎二「分かった、よな、ライダー?」

ライダー『ええ。私はシンジに従います』

凛「アーチャーには多分戦ってもらうことになるけど、大丈夫かしら」

アーチャー『大丈夫だ、問題ない』

凛「問題ないってことは無いはずだけど……まあ、そういう心構えでいてくれたらいいわ」

士郎「セイバーは学校の裏に待機してもらう事にした」

慎二「あれ、衛宮らしくないな。そういう時お前なら『セイバーにそんなことさせるわけにはいかない』って言うんじゃないの?」

士郎「もちろん言ったけどセイバーは高確率で戦いが起きるというのに家にいられるわけないじゃないですか!! だって。何回言っても聞かないからもう折れてやったんだよ」

凛「そうね。強制転移だと令呪のサポートがいるもの」

士郎「? 令呪ってそんなこともできるのか」

凛「はぁ、もう何も言わないわ」

士郎「む、なんだか気になるけどいいか。とりあえずみんな頑張ろう。犠牲なんて出していい筈がない」スッ

凛「突然話が変わったわね……でも、まぁ、たまにはこういうのも悪くないか」パシ

慎二「ガラじゃないんだけど。やるしかないってコトだよね」ハシ


〜校門付近〜

慎二「昼休みが終わるまで残り5分か。さっさと出ないとな」タッタッ

ライダー『ええ。授業が始まってからだと目立ちますし』

慎二(とりあえずはギルガメッシュの情報収集でもして、結界が起動したら辺りを探すって寸法でいいかな。動作を確認するために周りにいるってこともありそうだし)

慎二「ライダー、結界が起動したとしたら僕に言えよ。敵は少ない方が楽だしね」

ライダー『分かってます……あれは!!』

慎二「?」クルッ

???「ふふふふ、発見!」


慎二「タイガー!?」ズサッ

大河「最近サボリが多過ぎるって思ったから待ち構えてみたのよ! まんまと引っかかったね!」バン

慎二(クソ邪魔なんだけど)

ライダー『シンジ、どうしますか?』

慎二「僕の演技力を舐めるなよ」ボソッ

慎二「ふ、藤村、今日の僕は早退しようとしてただけなんだけど……」カタカタ

大河「え、大丈夫なの?」アセアセ

慎二「いや、大丈夫だったら早退しないでしょ……」カタカタ チラ

ライダー『せこ!』

大河「むぅ、仕方が無いか。ちゃんと休みなさいよ。ええと、薬は台所のそばの棚にあるから」スッ

慎二「た、助かった」ヨロヨロ

大河「お大事にー」テフリフリ

慎二(脱出成功)ニヤニヤ


〜路上〜

慎二「さぁってと、いつものゲーセン行きますか」

ライダー『う、また行くのですか? この辺りを探しませんか』

慎二「何言ってんの? エサになれって言い出したのお前だろ。苦手なら今から慣れておくべきだし」スタスタ

ライダー『うう、面倒ですね……』


〜ゲームセンター〜

ギルガメッシュ「何故だ!!」

店員「景品がなくなってしまうからです!」ガクガク

慎二(バイトも楽じゃないよな……こんな客に注意しなきゃならないんだし)

ギルガメッシュ「仕方が無いであろう! この金髪アホ毛の美少女がとれないのだから」ギリギリ

店員「ですから、取りやすいよう移動させるのでそれでいいのではないですか?」

ギルガメッシュ「否! 我の力だけで取らねばならないのだ、お前って宝具無かったらただの金ピカじゃねえか、などという何も知らぬ雑種どもの暴言を受ける我の怒りを知ってのことか!?」ダンッ!

店員「金ピカ、雑種、宝具? な、すみません、しかしそういう決まりなので?(何言ってるの、こいつ?)」

ギルガメッシュ「金は払う! だから良いではないか!」

店員「しかし、金髪アホ毛美少女のフィギュアいがいがほとんどなくなっているんですよ!」

ギルガメッシュ「コレクターだから仕方ないのだ。諦めろ」



慎二「おーい」テクテク

ギルガメッシュ「む、シンジか。お前、こいつを何とかしてはくれぬか? 本来なら殺しても構わぬのだが、言峰からきつく言われていてな、殺すなと」

慎二(言峰ってあの神父の事か?)

慎二「うーん、なんで僕に押し付けるのやら……」

ライダー『ウザいですしとっちゃってくださいよ、シンジ』

慎二「はぁ? 面倒だな……」

店員「……」ジー

慎二(なんだよ、あの希望に満ちた眼差しは)

慎二「なぁ、そんなに欲しいなら僕がとってあげるけど、どうする?」

慎二(貸し1でね)

ギルガメッシュ「ふむ、人脈も力のうちか……カリスマとは恐ろしいものだ」

慎二「どうするの?」

ギルガメッシュ「取るといい。しかしそれは我のものだからな?」

慎二「はぁ、なんで僕がやれやれキャラになってるのやら」ピッピッカチャカチャ

ライダー『我の手でとらねば意味はないてきなこと言ってましたよね?』

ギルガメッシュ「それは言うな。カリスマの力にすぎん」

店員「あ、ありがとうございます」ペコリ




テッテテーン

シンジハキンパツアホゲビショウジョノフィギュアヲテニイレタ!!

ギルガメッシュ「」

慎二「僕は天才だからねぇ、こんな遊びは朝飯前さ」キラッ

慎二(にしても、金髪アホ毛美少女って……これセイバーにそっくりなんだけど)

ギルガメッシュ「ほ、ほう、本当に取ってくるとは思ってなかった……褒美をやろうではないか」キラキラ

慎二「そんなのいいけど……いや、いつかのために権利だけはもらっておくよ」

ギルガメッシュ「ふん、調子に乗りおって……」ニコニコ

慎二(満面の笑みで言われてもねぇ……)

ギルガメッシュ「いや。しかしゲームもそうだが雑種ども自体は存在さえ汚物であるモノばかりなのに、作ることになると至上のモノもある」

慎二「なんでそんなにそのフィギュアにこだわってたんだよ」

ギルガメッシュ「なんだ、気になるのか。そんなのセイバーそっくりだからに決まっておろう?」

ギルガメッシュ「勿論本物の輝きには贋作であるこれは到底及ばぬのだがな」ナデナデ

慎二(とても愛でてるくせに……)


ギルガメッシュ「よし、今日は案内しなくても良いぞ。我は今すぐ帰ってこれを飾らねばならぬ」

慎二「帰るってどこへ?」

ギルガメッシュ「ふっ、情報を吐かせようとしても無駄だぞ。我は口がかたいからな」

ライダー『散々重要そうなこと話しといて何言っているのでしょうね…………』

ライダー『は!!』

ライダー『シンジ! 結界が起動しました』

ギルガメッシュ「む、そのようだな。まあ、外からは侵入できない物だろうが」トオイメ

慎二「とは言っても、僕の仕事は中に入ることじゃないから」ニッヒッヒッ

ライダー『では学校のあたりでも探しましょう。ギルガメッシュのゴタゴタも終わったようですし』スッ

慎二「分かってる。じゃ、また明日」サッ


ギルガメッシュ「ちょ、待て」

慎二「何? 急いでるからさっさとしてほしいんだけど」

ギルガメッシュ「我に何か言いたい事は無いか?」

慎二「……早く帰って家に飾るんじゃないの、それ?」

ギルガメッシュ「いや、これは我の宝物庫にしまっておく」ゴソゴソ シュン

慎二「で、何で僕が待たなきゃならないワケ?」

ギルガメッシュ「ついていってやると言ってるのだ、そんな事も分からないとは……」

ライダー『我が介入したらバランスブレイカーなるのではないのですか?』

ギルガメッシュ「ふん、見つけたところで我は傍観するだけだ」

慎二「あー、まあいいや。説得するのもだるいし」クルッ

ライダー『はぁ、人数が多くて困ることはないでしょうけど……』


〜その少し前in校庭〜


凛「よし、予定通り……」タッタッ

アーチャー『いや、君が仮病を二回も使うなんて想像もしていなかった』ヤレヤレ

凛「何よ、他に抜け出せる時間と方法がなかったんだから仕方ないでしょう」

凛「今日、どこのクラスも体育がない時間はこの6時間目だけなのよ」キョロキョロ

アーチャー『下調べはバッチリなのだがな……』

アーチャー『して、衛宮士郎とはどのように合流するつもりだ?』

凛「いじったらすぐ戻るわよ。万が一外にいることがバレたらって思うとね」タッタッ

凛「だから普通に合流するつもりよ」

アーチャー『ふむ、ではセイバーはどうなのだ?』

凛「それは普通に入ってくるんじゃないの? 結界起動したら学校の敷地外からは入れなくなるみたいだけど、セイバーは敷地内に待機してるわけだし」

アーチャー『……了解だ』



〜弓道場〜

凛「とりあえず結界の弱体化でもさせておきましょう。狙いが私たちであっても魔力であっても結界の弱体化は痛手だもの」ホワワン

アーチャー『そうだな。だがそう上手くいくものか?』

凛「さあね。私としては動いて欲しくはないけど、動かないと犯人の特定はできないっていう難しい所なのよ」

アーチャー「だろうな……にしても弓道場か……」イジイジ

凛「アーチャー、弓兵だからってこんな時に弓矢をいじらないで欲しいんだけど。第一、あなたにはもっと立派な弓があるんでしょう?」

アーチャー『……済まない。無駄に魔力を消費させてしまった』

凛「ん、分かってるならいいわ。私はあのへっぽことは違って実体化霊体化の変化くらいで魔力はなくならないから」

凛「よっし、完了っと」

アーチャー『ほう、結構弱体化させられたようだな』チラ

凛「ええ、でもまだこれじゃ人が死ぬことには変わりないんだけどね」ハァ

凛「ぐじぐじ言っていてもしょうがないか。さぁ、帰りましょうか」スック


〜校内〜

凛(なんとか弱体化はできた。でも……なぜかしら、嫌な予感がするのよね)

アーチャー『大丈夫か、顔がこわばっている』

凛「え、ええ。心配いらないわ」ピク

アーチャー『無理はするな』

凛「無理なんてしてないわよ」

アーチャー『そうか。しかし私は君のサーバントだ。だからかマスターの調子くらいは不思議と理解できるものでな』スゥ

アーチャー『大丈夫だ。死人が出る前に片付ければいいのだろう? それくらい問題ないさ』

凛「…………ありがと、アーチャー」


ゴウゥゥン

凛「ってもう始まっちゃうのね」タッタッ

アーチャー『即効性でもあるのか? この結界は』

凛「みたいね。弱体化はさせたはずなんだけどもう人が倒れてるわ……ごめんなさい。ケホッ」ダッ

アーチャー(なんだか放っておけないな。まだ傷は癒えてないが、四の五の言ってられないか)グッ



〜士郎の教室〜

バタバタバタッ!

士郎「ついに結界起動か」スック

士郎(みんな真っ青じゃないか。いくらなんでも効くのが早すぎる……うっ)ダッ

士郎「藤ねえ!」

大河「し、士郎。みんなに救急車を……救急車を呼んで……」ガクガク

士郎「藤ねえ……ごめん」

士郎(……救急車じゃなくて敵を倒さなくちゃダメなんだ……ごめん、みんな!)ダッ

大河「え? 士郎……」バタン


士郎「教室の前にいれば遠坂が来るんだったな」ガサゴソ

士郎(本当なら木刀が良かったけど、文句は言ってられない)スッ

士郎「トレース、オン」シュン

士郎「成功っと」ポンポン

ドドドドド!!

士郎「っ、もう敵襲か!?」ザッ

セイバー「シロウ、無事でしたか?」ザザーッ

士郎「なんだ、セイバーか」ホッ

セイバー「遅れてすみません……ハァ、ハァ」ペコ

士郎「大丈夫か? すごい疲れてるみたいだけど?」

セイバー「ハァ、ハァ……問題ありません」タラタラ

士郎「うーん、とりあえず遠坂が来るまでは休んでろよ」

セイバー「で、では……座らせてもらいます……」ハアハア

士郎(いつものセイバーなら遠慮する筈なのに…………なんか変だな)


凛「よし、ちゃんと待ってたわね」ダダッ

アーチャー「はぁ……セイバー、大丈夫なのか?」

セイバー「……あなたこそ疲れているように見えますが……」

アーチャー「私は大丈夫だ。しかし……凛、分かるか?」

凛「ええ、この校舎の中に結界の主はいるわ。そこから魔力が供給されているわけではないけど」

士郎「な、敵が中にいるのか!」

凛「それで正解よ。結界の主、または主のマスターを潰せば結界は止まる。さっさと探しましょう……はぁ」

セイバー「!! リン、危ない!」ドン

凛「えっ!」グルッ

ガイコツ?「……」カタカタ

アーチャー「はぁっ!!」ガキン

ガイコツ?「……」シュン

凛「ありがと、セイバー。敵も本気で潰しに来てるってわけかしらね」ハァ




沢山ガイコツ?「……」シュン

セイバー「だぁっ!!」ガキンバキン

アーチャー「はぁっ!!」シュババッ

士郎(双剣……って見とれてる場合じゃない!)ガキン

凛「っ、キリがないわ」バンバン

アーチャー「はぁ、はぁ」バキンガキン

アーチャー(何故だ……傷が治ってないとはいえ、ここまで疲れやすいのはおかしい……)

セイバー「私が……一気に蹴散らしますので、駆け抜けてください!」ハアハア スッ

凛「頼むわ……」バンバン

アーチャー「では私たちが他のをセイバーに近づけないようにしなくてはな」ダダダダダ

士郎「済まない、セイバー……」ガキン



セイバー「はあぁぁぁあ!!」ビュオオォォォ!!

ガイコツズ「……」ギシャァァァ カランコロン

アーチャー「は、走れ!」ダダダダダダ

凛「後ろは頼んだわ!」タッタッ

士郎「行くぞ、セイバー!」

セイバー「ええ…………」ガクッ

士郎「セイバー!?」

セイバー「っ、何でもないです。早く逃げましょう」タッタッ

アーチャー(やはり……気のせいではなかったか)グッ



〜空き教室〜

凛「はあはあ……っぐ、やっと、撒けたわね」グッタリ

士郎「セイバー、本当に大丈夫なのか?」

セイバー「え、ええ。迷惑をかけてすみません……」

アーチャー「セイバー」

セイバー「な、なんですか……アーチャー」

アーチャー「本当に問題無いのか? 私はもちろん凛も衛宮士郎も問題あるようだが?」

士郎「な、何を言ってるんだよ、お前は」

凛「そうよ……私はピンピンしてるわ」



セイバー「…………そうですね。正直に言うと、私は問題あります」

士郎「な、怪我でもしてたのか?」

アーチャー「そんなことではない。見た目でわからない程度の怪我では英霊の行動に影響は及ぼさない。物理的なものに限るが」

士郎「な、ならどういうことなんだ」

凛「はぁ、そういうことね……」

アーチャー「凛、君の実力が足りなかっただけだ。精一杯やってダメならば、次に備えるといい。この場合次とは結界の主との戦闘な訳だが」ハァ

士郎「? さっぱり分からないんだが」

凛「簡単に言うと私達も魔力をガンガン取られてるわ。特にセイバーとアーチャーね」



〜校門前〜

慎二「本当に入れないじゃん」ペシペシ

ギルガメッシュ「……これは…………」スッ

ライダー『まずい感じしかしませんね……さっさと探しましょう』キョロキョロ

ギルガメッシュ「……分からぬのか、雑種。貴様らが探している敵はここにいるぞ」ハァ

慎二「ここに……? そう言えばライダー、この結界を維持するための魔力はどこから来てる?」キョトン

ライダー『はい…………柳洞寺……ですね』




慎二「は? ここに敵がいるのに柳洞寺から魔力が来てるってどういうことだよ……おい、ギルガメッシュ、嘘はついてないよな?」

ギルガメッシュ「たわけ者、そんな事も分からないとはな。今我が説明してやっても良いが、状況はかなり緊迫しているようだぞ」ニヤニヤ

ライダー『……確かに微弱にしか感じられませんが、セイバー、アーチャー以外のサーバントの気配……あります。彼は嘘は言ってません』

慎二「ワケわからないんだけど、つまりどうすりゃいいんだよ」

ライダー『外の探索です。中で何が起こっていようと私たちは中へ入れないのですから。それにリンたちなら何とかなります』キリ

慎二「そ、そうだよな……」


ギルガメッシュ「我はどうでもいいのだが、中の雑種どもの命は長くないということだけ伝えておこう」

慎二「は? 何言ってるの?」

ギルガメッシュ「む、もう一度しか言わないから聞き逃すなよ、中の雑種どもの命は長くないと言ったのだ」

ライダー『なぜ、そう思うのですか?』

ギルガメッシュ「結界を見ればわかるではないか。おそらくこの結界を弱体化でもさせようといじった奴がいたのだろう。これはどういじってもいじればいじるだけ効力の増す厄介な結界だ」

ライダー『……私のより悪質ですね……これではリンが気付かないのも無理はない』



慎二「おい、それで中の奴らはどうなるんだよ」

ギルガメッシュ「死ぬに決まっているだろう? 今の出力だと……ふむ、後15分でただの雑種の半分は死に、魔術師なら昏睡するといったところか。サーバントは……抗魔力が多いほど危険……か」

ライダー『……!!』

慎二「おい、ライダー! 中入るぞ!」

ライダー『シンジ、中へは入れないと言ったばかりです。ここはとりあえず怪しい柳洞寺へ行きましょう』ギリリ

慎二「僕のいうことを聞けよ、ライダー」

ライダー『仮に入れたとしてもあなたが死にます』

慎二「う、ここで突っ立ってたら同盟の意味が無いじゃん。ここぞってところでいっぱい貸しておかないとさぁ、僕が死にそうな時来てくれないだろ」



ギルガメッシュ「ふんふん」ルンルン

慎二「お、おい、ギルガメッシュ、お前は何してんの?」

ギルガメッシュ「話に蹴りがつくまで待っていたのだが?」

ギルガメッシュ「我の宝物庫には魔術を切り裂くような槍などもあるのだ。つまりどうしてもと言うなら貸してやらんこともないぞ。金髪の美少女を取ってもらったわけだしな」クルクル

ライダー『な、何をしているんですか!』

ギルガメッシュ「雑種の間引きだ。本来なら我の仕事ではないのだがな」クルクル

慎二「間引かれるわけ無いじゃん。なんでもいいからそれ使えよ」

ライダー『シンジ!?』

ギルガメッシュ「そこの雑種、シンジに従うのではなかったか? 我は特別にここの結界に裂け目でも入れてやる」ジャキッ

ライダー『シンジ、あなたはこの結界に入ったら死しかないのですよ!』ダンッ!

ギルガメッシュ「なに、心配などするではない。雑種、貴様程度の魔術でも充分その道化を守ることはできる」

ライダー『!?!? な、なぜそこまでわかるのです!』

ギルガメッシュ「ふん、雑種が考えるようなことも分からぬようでは王など務まらんぞ」

慎二「ライダーがそういう魔術をつかえるのなら…………」


ライダー『っ、入るのは良いとしても入ってから何をするつもりですか、シンジ?』グッ

ライダー『戦いだけでしたら彼らだけで十分です。まさか無策というわけではないですよね』

ギルガメッシュ「貴様ら……いいのか? 話している暇などなさそうだぞ。中の奴ら、存外に苦戦していると見える。サーバントの魔力も削られるようだな」

ギルガメッシュ「…………前覗き見していた奴らか。魔力が半減してるな……」

ギルガメッシュ「つまり、戦いなら奴らだけで十分というのは通用しないようだぞ」

慎二「おい、ライダー、ならお前は役に立てないからって見捨てるのか? 僕だって見捨てたくてしょうがないのに、こう、行くって言ってるんだから付いて来いよ」

ライダー『……分かりました。しかし中に入ってからの安全は保証できません。私も弱体化するでしょうし』チラ

ギルガメッシュ「我は貴様らがどうなろうと知ったことではない。言ったであろう? 間引き、だと」ニヤニヤ

慎二「分かってるし。そんなこといちいち言わなくてもいいから」

ギルガメッシュ「ならばその言葉遣いを改める事だな。その機会があるかは知らぬが。王の財宝!」シュン パシ

ギルガメッシュ「はぁっ!!」ザン

慎二「……なにか変わったのか?」

ギルガメッシュ「変わったではないか。そこの雑種は分かるであろう?」

ライダー「ええ。シンジ、私のそばを離れないでください」タッタッ

慎二「え、止まれ、止まれよ!! ライダァァァァァァ!!」ズルルル






ギルガメッシュ「……さて、間引きのためとはいえ、我の財を出すのはやりすぎだったか…………シンジと言ったか、あの道化はどうするのだろうな」クルッ

ギルガメッシュ「報酬としては不釣り合い極まりないが、特等席で楽しませてもらうことだけで許してやろう」シュン





〜???〜

???「ふふふ。予想通りね」

???(魔法使いですら弱体化させる結界。魔術師なら無力化すら可能。そんな結界だとは知らなかったのでしょうね)フフフ

???(うまく引っかかったわね)

??「これでお前の願いへ近づくのだな?」

???「ええ。こんなところにマスターが三人もいるのは意外だったけれど……」

???(一人取り逃がした時は焦ったけど自ら戻ってきてくれたんだもの。どのようにして入ったかは知らないけど、どうせ魔術無効化の宝具でも使ったのでしょう)

??「しかし万が一という場合もあるから気をつけるのだぞ」

???「もちろん。ほぼ無力化したサーバントなら私でも潰せます」

??「……そうか」

ワカメ超がんばります!!


士郎「俺らの、魔力が?」

アーチャー「そうだ。恐ろしいほど削り取られている。そうだな……衛宮士郎、異常な疲れは感じないか?」

士郎「……言われてみれば」

凛「私も結構消耗したわ。普段ならこの程度どうってことないんだけど……」

アーチャー「一番消耗が激しいのは私が見たところ君だ、セイバー」チラ

セイバー「否定はしません……」

士郎「セイバーがそんな事言うってことはかなりマズイってことじゃないか」

凛「ええ、そうよ。この結界、皆からある一定量の魔力を取るんだけど、魔力保有量が多ければ多いほど魔力を取られる。累進課税みたいなものよ」

アーチャー「理由は言わないのか、凛?」

凛「今言う必要はないわ」


士郎「?」

凛「とりあえずこの中にいる時間が長いほど私たちは消耗する。だから一刻も早く主を潰さないと……」ギリ

セイバー「行きましょう……」フルフル

士郎「セイバー!」

凛「そうね。時間はないわ」スック

アーチャー「私はまだ比較的余裕がある。前は任せるぞ、セイバー」スッ

凛「士郎、今行かないと皆殺しよ」ガラガラ

士郎「……すまない、セイバー」グッ


アーチャー「で……相手はどこにいる?」シュンバュン

凛「知らないわっ、よ」バンバン

セイバー「……」ザンッザンッ

士郎「やっぱりしらみつぶしに探すしかないのか」

凛「……いえ、そうではないみたい。わざわざそっちから来てくれたみたい」スッ

???「こんにちは、坊や達。あなたたちが探しているのは私かしら?」

???「それとも私?」

凛「二人!? どういうことよ」

アーチャー「分身だな」

アーチャー「だが、外見は同じ。目では分からないな」

セイバー「分身だとしても、両方斬るのみ!」ジャリッ


???「そう簡単には」タッ

???「斬らせません」タッ

士郎「ど、どっちが本物かわからないのに」

凛「私たちがこっちを追うわ! 士郎、あなたはあっちを追って!」ダッ

アーチャー「まて、凛!」

アーチャー「くそっ……衛宮士郎、危険を感じたらすぐに逃げろ。すぐにだ」

士郎「む、わかった」

アーチャー「……」

士郎「まだ何かあるのか」

アーチャー「……これを貸してやる。お前ならうまく使いこなせるだろう。ないよりはマシだ」シュン ホイッ

士郎「お前の剣?」パシッ

アーチャー「それではな。セイバーを殺すなよ」ダッ

士郎「……言われるまでもない」ダッ




???「こちらには坊やたちが来たのね」バサバサ

セイバー「士郎、下がって!」ハアハア

???「ふふふ。セイバーったらもう疲れてしまったのかしら。まあこの結界内じゃ無理もないですね」スタッ

セイバー「魔術師……あなたはキャスターか」

???「ふふっ、お見事ね、セイバー」

セイバー「そうですか」ジャリッ

セイバー「はあっ!」ダダダッ

キャスター「……」ブツフツ

士郎「セイバー!?」

セイバー(大丈夫です、士郎。私は抗魔力Aですから)ブンッ



キャスター「……ふふ、セイバー?」ドドドドッ!!

セイバー「ぐっ……」ドンドン

セイバー(なにっ、抗魔力が効かない? この程度の魔術なら痛くも痒くもない筈ですが)ズサァ

キャスター「抗魔力なんてここでは意味をなさない。むしろ抗魔力が高いものほど魔力を吸い取っていく結界でもあるのよ」バリバリッ

セイバー「くっ」バキンバキ

セイバー(傷は治りますが、これをずっと続けられると魔力がなくなってしまう……なんとか間合いまで入れればいいのですが)

士郎(これじゃあセイバーが倒されるのも時間の問題だな。あ、これ使えるか?)スッ

キャスター「ふふふふ」バンバン

セイバー「だぁぁ!」バキンバキン!!



士郎(セイバーが魔術を弾いてくれているうちに……)ダッ

士郎(懐へ潜り込む!!)


キャスター「な、坊や!?」ドンドン

セイバー「シロウ! はぁっ!」バシンバシン

士郎「はあぁぁぁ!!」バギン

キャスター「きゃあ!!」シュウゥゥ


士郎「え?」カラン

士郎「一撃?」

セイバー「仮にも相手は……サーバントです」

セイバー「あれくらい致命傷から外れていれば現界に支障をきたすはずないのですが……」



士郎「つまり、逃げたか、偽物だったかのどっちかなのか?」

セイバー「ですね……」

セイバー「魔力的にこの辺りに居ないことは確かです」

士郎「……それって遠坂たちはまずいんじゃないのか?」

セイバー「ええ。しかし、彼らがどこにいるかすら分かりません」

士郎(今のセイバーと別れて行動するわけにはいかないし……)

士郎「じゃあ、一階から敵の本拠地探しに並行して、遠坂たちを探していこう」

セイバー「はい……それがいいでしょう」

士郎「無理させてごめんな、セイバー」

セイバー「大丈夫です。私はシロウの剣ですから」



〜二階〜

凛「はあ、はあ、どこまで逃げれば気が済むのかしらね」

アーチャー「嫌な予感しかしないのだが」

凛「そんなの、私も感じてるわよ。先に行くなって体は言ってるわ」

凛「でも追わなきゃ。手がかりはこれしかないんだから」

アーチャー「そうだな、言う必要などなかったか」

キャスター「あらあら、無駄口を叩いている暇はおありで?」ダダダダン


凛「アーチャー!」

アーチャー「はあぁあ!」バシンバシン

凛(まずい……アーチャーの魔力、かなり減ってる)

凛『アーチャー、逃げるわよ』

アーチャー「……方針が180度変わるわけか。はっ、マスターの命令にはっ、したがはなくてはな」バシンバシン

凛「Es ist gros!!」シュン ダッ

キャスター「ふふ、追いかけっこね。いいわ。楽しそうじゃない」シュン



アーチャー「そうはさせないぞ、魔術師」

アーチャー「トレースオン、迎撃しろ!」ドドドド

キャスター「!! ふふ、少しくらい歯ごたえがあった方が面白いものね」ブシュ

凛(背中はアーチャーに任せて、私は前!)

凛「はぁ!!」ガンドガンド

ガイコツ?「……」カランコロン

アーチャー「くっ、このままでは埒があかない……」バシンザシン

アーチャー(やはり宝具の一斉掃射はあの男の特権ということか)バキン

キャスター「ふふふ、さっきは驚いたけど、大したこともないわね」ドドドドドドドド



アーチャー「凛、私に掴まっていろ」コソ

凛「?」パシ

アーチャー「はぁっ!!」バシィ!!

メシッ,ビキビキ

凛(床に穴っ!? 上から狙われるじゃない!)

アーチャー「凛、この真下にはセイバー達がいる」

凛「擦り付けるってこと? それは許さないわ」ハシッ

アーチャー「分かっている。なあに、ただの協力戦だ」ダキッ

ヒューーーーーーン



セイバー「くっ、なかなか見つかりませんね」

士郎「焦ることないさ。俺も戦えるから」

セイバー「……人が倒れているのに、ですか?」

士郎「大丈夫、死体は見慣れている。それに、急がば回れだ。着実に行こう」ザシュ

セイバー「!! 士郎、危ないっ!」ダッ

士郎「え?」ドン


ミシミシ バキッ ヒューーーーーーン


アーチャー「ふう」スタ

セイバー「はぁはぁ、アーチャー、そのような無茶をするのなら先に言ってもらいたい」

士郎「そうだそうだ。いきなりで驚いただろ」

アーチャー「そんなことを話す暇も与えてくれないそうだぞ、あちらは」チラ

キャスター「合流されたってことね。まあいいでしょう、少し予定が早まっただけのこと」

凛「さすがに四対一じゃ手も足も出ないはずよ」



キャスター「ええ。もちろんよ。ここが外ならね」

キャスター「     」シュインシュインシュイン

アーチャー「くっ、対魔力がほとんど効かない」バシイ

セイバー「シロウは下がって」ガキン

凛(あっちは魔力たくさんってワケよね……)

凛(まずった。これじゃあ二人が倒されるのも時間の問題)

セイバー「はぁはぁ……」バシンガシン

アーチャー「セイバー、一瞬だけ下がれ」コソ

セイバー「? わ、分かりました」タッ

アーチャー「I am the bone of my sword.」

アーチャー「壊れた幻想!」ドーーーン

士郎(うわぁ、なんで俺には何も言わないのさ、死にかけたぞ)ズザッ

シュウシュウ モクモク

キャスター「ケホッ、なかなかやるけどここは私の陣地。防げないとでも思って?」



アーチャー(き、傷一つない)ガーン

セイバー「シロウ、ここは私に任せて逃げてください」

セイバー「ここまで劣勢では結界を止めることもできません」ヨロロ

士郎「な」

凛「くっ、士郎、不本意だけど、ここで全滅よりはマシよ」グッ

士郎「何言ってるのさ! セイバーを置いていける訳無いだろ!」ブンッ

キャスター「ふふふ、何をしたいのかは知らないけれど、私から逃げられると思ってるなら、それは大きな間違いよ」

キャスター「竜牙兵!」


竜牙兵A~Z「……」ゾロゾロ



凛(退路まで塞ぐってことはここで確実に潰そうとしているって訳ね)

凛(でも、私も甘く見られたものね)

凛(この程度の障害物なら、秘蔵の宝石で)ゴソゴソ

凛「って、ない!」

士郎「どうしたんだ遠坂」

キャスター「さあ、さっさと潰して、わかめヘアーを探しましょう」スッ

アーチャー「くそ、凛、取りあえずここだけは何とか凌ぐ」

アーチャー「そのうちに逃げろ」

セイバー「リン、シロウを頼みます」

凛「ええ。行くわよ、士郎」グッ



ドドドドドドド


凛「ってなに? また新しい魔術を使ったの!」

アーチャー「……いや、これは。フッ!」ガギン

セイバー「はぁはぁ、ど、どうしてここに」バン ボーン

慎二「誰がわかめヘアーだあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」ダダダダ

ライダー「シンジに引きずられていれば、無駄な体力を消費しなくて済みますね」ズザザザザ

士郎「慎二!? なんでここに」

凛「ここは危険だって言ったでしょう? 話聞いてなかったの?」

ライダー「ふふ、私がそこのところはフォローしたので心配無用です」ジャラララ

キャスター「な、この結界は完璧なはずなのに……」

キャスター「そんなハッタリは通用しないと分かってるでしょう?」

ライダー「確かにこの結界は完璧で、穴もないようです」

ライダー「しかし、貴方のマスターはどうやら魔術師ではないようだということが分かるものでした」

キャスター「っ!」

ここまでです。


凛「何故そんなことが言えるのよ」

ライダー「この結界の構成を覗いたからですよ」

凛「の、覗いた!? とんでもないことをするわね……」

ライダー「シンジがうるさいので仕方がなくです」

慎二「僕に責任押し付けないで欲しいんだけど!」

ライダー「彼女はマスターであろう人物だけは倒れさせないよう結界の影響をカットしていたようです」

ライダー「その人物まではわかりませんが」

凛「……」

士郎「マスターか……」

ライダー「そのカットする範囲をシンジまで広げただけです」

ライダー「……もっとも、私の魔力ではシンジしか出来ませんでしたが」

ライダー「つまり、この中ではシンジが一番元気ってことです」


凛「そう……アーチャー」

アーチャー「……」シュン ポイッ

慎二「え、弓?」

アーチャー「宝具ではないから気にするな。魔術的なものではあるが」

凛「要するにこの結界内にこのキャスターの弱いマスターは居るってことでしょう?」

凛「ならやることは一つ。マスターにこの魔術を止めさせる」

士郎「さすがに六対一なら負けるはずないだろ」

キャスター「ふふ、それは大きな誤解よ」

キャスター「坊や、サーバントの管理はしっかりしないとマスター失格よ」スッ

士郎「……セイバー?」チラ

セイバー「し、心配無用です」フラフラ


キャスター「だいぶ無理させてたみたいね」

キャスター「今までは何とかなっていたみたいだけど、もう限界みたい」フフ

キャスター「アーチャーの方も見た目によらずかなり消耗しているし、お嬢さん、貴方の魔力は底をつく寸前」

キャスター「これから弱っていくライダー、坊や、わかめヘアーでは太刀打ちできるはずがない」

慎二「ワザとなんだよな。もう突っ込まない」ヒュンヒュンヒュン

竜牙兵「……」ザク カランコロン

士郎「そんなのやってみないとわからないだろ!」

凛「さてと、キャスター、あなたが言ったことは確かに間違ってはいないわ」

凛「でも、士郎が言った通りやってみないとわからないこともあるんじゃないかしら」


ライダー「私はまだまだ大丈夫ですし」ドヤ

慎二「雑魚だけなら任せてよ。衛宮もな?」

士郎「そ、そうだな」

セイバー「私を忘れてもらっては困る……」グラッ

ライダー「ではせいぜい頑張って下さい、セイバー」

士郎「こいつらは俺らが止めておくからそのうちに遠坂たちは」

凛「……任せるわ」

キャスター「そう上手くいくわけ無いでしょう? ここは私の世界よ」バサッ

キャスター「その気になれば坊やを殺すことなど容易なの」

キャスター「だけどそれをしない理由、分かる?」

ここまでです。
おつありがとうございます。


キャスター「今の貴方達では逃げるのは不可能」

キャスター「でも、私の仲間になるというなら話は別。特別に命は見逃してもいいわ」

慎二「……」チラ

士郎「……」フルフル

キャスター「一応言っておくけど、わかめヘアーの坊やは勧誘してないから」

慎二「誰がわかめヘアーだ!」

キャスター「とにかく、私はどちらでもいいけど、貴方達を殺すのはもったいなく感じているのよ?」

凛「ふん、こんな手段を使う奴と組む気なんかないし、殺される気も毛頭無いわ」ザッ

セイバー「…………はい」ヨロヨロ

アーチャー「出し切るしかないというのか」スチャ

凛「ええ、少し酷使させてもらうわよ」

アーチャー「了解だ。君のする事くらいは分かっている」

キャスター「はぁ、本当に面白いわ」

キャスター「本当に惜しいけど仕方が無いわね。坊や達を殺すしかないみたい」スッ

竜牙兵「……」ゾウイン

慎二「……あれ? もしかして僕たちだけかこまれた?」

士郎「……みたいだな」スッ


~その頃~

ギルガメッシュ「はあ、なかなか良い見学場所がないな……」

ギルガメッシュ「魔力で交戦していることは分かるんだが、うーん」  

ギルガメッシュ「やはり直接見たいのだがな」

ギルガメッシュ「な、こんなところにいい穴があるではないか!」

ギルガメッシュ「まさに穴場!」

ギルガメッシュ「……」

ギルガメッシュ「……これなら観戦場所としても文句ない」フフン

ギルガメッシュ「しかしつまらんな」

ギルガメッシュ「どの雑種も宝具を隠して出そうとしない。慢心は我だけの特権だというのに」ブツブツ

ギルガメッシュ「宝具の情報が得られないと綺礼がうるさいのだが……」

ギルガメッシュ「つまらん…………」ハァ

ギルガメッシュ「そろそろ宝具を出したりしないのだろうか……」ブツブツ…

ギルガメッシュ「……むむっ、囲まれているな」キラキラ

ギルガメッシュ「そろそろ宝具くるか?」


慎二「なんだか視線を感じる」ジリジリ

士郎「現実逃避してる場合じゃないだろ」ジリジリ

慎二「現実逃避に聞こえなくもないけど本当だってば」ヒュンヒュンヒュン

士郎「分かった分かった。話は後で聞くから……」

士郎「とりあえず今はこいつらの動きを止めておかないと」ザシザシ

慎二「分かってるって」ヒュンヒュン ドドド

竜牙兵「……」ブンブン

慎二「くそ、動く的とか反則でしょ」ヒュン

士郎「戦いなんて反則だらけだろ」ザシザシ

慎二「……くそっ」ヒュンヒュン

慎二(僕たちが面倒なのを引きつけてるんだから、もっと面倒なのをさっさとかたせよー!!)

ここまで。
支援ありがとうございます。
こんな投下ペース遅いやつに付き合ってくれてありがとうございます。

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