【艦これ】早霜「司令官?」 (127)

※超絶亀更新
※微エロ
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提督「だから、もうその呼び方はやめろって言ったろ?」


早霜「フフ…いまいち、慣れませんね」


提督「まあ、呼び方は何でもいいがな」


早霜「なら、司令官、でも良いですね?」


提督「うう…」

提督「…」


早霜「…とりあえず、手伝ってください」


早霜「…お掃除」


提督「おお、そうだな、すまんすまん」


早霜「…」


提督「…どうした?」


早霜「いえ…」

提督「あ、あとその敬語な」


早霜「…」


提督「…もう、上下関係云々は無しだぞ?」


提督「…2人、もう…」


早霜「…ええ、はい」


早霜「私は、艦娘ではなくなった」


提督「…うん」

早霜「…」


提督「何か言ってくれよ」


早霜「…」


早霜「やっぱり、慣れませんね」


提督「…」


早霜「…暫く、これで」


提督「…」


提督「…分かったよ」

早霜「…お手紙…」

提督「…ああ」

提督「…元気かな、あいつら」

早霜「…」

提督「その…姉妹は?」

早霜「…復員しましたよ?」

提督「いや、そうじゃなくて…」

早霜「…あなたは」

提督「いや、俺は確かに責任者だったけどな?」

提督「変な所で見せてくれないんだよこれが…」

早霜「…」

提督「…ごめんな?」

提督「いや、俺が不甲斐ないばっかりに」

早霜「…別に」

早霜「気にはしていませんよ」

提督「(…怖いな)」

早霜「いえ、手紙を見る限り…」

早霜「元気にやっている…みたいですね」

提督「本当は、皆と…」

早霜「仕方ありませんよ…そればっかりは」

提督「しかし何だかあれだよなあ」

早霜「…?」

提督「…賑やかだったよな」

早霜「…」

提督「まあ、戦争中、つかなんと言うか…」

早霜「…血が滾る、ということですか?」

提督「ああ、うんそんな感じ」

提督「…一端の軍人だもんなあ、俺だって」

早霜「…」

早霜「私は…」

提督「何だ、まだ未練が…」

早霜「…」

提督「…そりゃあ、噂によれば何人かはまた戦場に戻るってことを聞けばな」

提督「お前だって…完全には抜けてないだろ?」

早霜「…」

早霜「私達の、武器…」

早霜「深海棲艦にのみ、向けられるべきものでは?」

提督「よく分からんが、『テロとの戦い』って奴だよ」

早霜「当然、一度は殴られているんですよね?」

早霜「…でなくては」

提督「ああ、早霜は知らんか…あのテロ」

早霜「…?」

提督「ちょい待ち…パソコン…」

提督「確かネット回線の工事は済んでたよな、ここ」

提督「動画、動画っと…」

提督「ほら、こいつだ」

早霜「…」

早霜「…何ですか、これ」

早霜「飛行機がビルに…」

提督「びっくりするよな…」

提督「これが生中継でテレビから流れて来るんだぜ」

提督「今でも忘れられないよ」

早霜「…深海棲艦」

早霜「…深海棲艦のみが、人類の敵だと思っていました」

提督「おいおい、テロリストは人でなし扱いかよ…まあ、そうなんだが」

提督「…彼らなりに、何か考えや訴えたいことがあってやってんだろうがな、まあ理解は出来ん」

早霜「…もう、十分です」

早霜「多くの方が、亡くなったんでしょうね」

提督「…そうだな」

早霜「…戦争とは、何なのでしょうか」

提督「さあな、分からん」

早霜「明確に、敵と分かるもの…」

提督「なあ早霜」

早霜「はい…」

提督「あの動画の惨劇を引き起こした奴らと、元艦娘の一部は戦いに行く」

早霜「…どういうことでしょうか」

提督「つまり、艦娘では無く、一戦闘員として戦場に赴く訳だな」

早霜「…」

早霜「…私は」

提督「生憎、艦娘になっちまったら最後、外見も艤装を扱う身体能力も死ぬまでそのまんまだからな」

提督「まあ戦力としては十分だろうな」

早霜「…司令官」

提督「…ん?」

早霜「部下、ですよ?元が付きますが」

早霜「どうしてそう…」

提督「冷たい、か?」

提督「ありゃ、兵器だよ」

提督「いくら情を注いだって、兵器なんだ」

早霜「…」

提督「…早霜だけいればいいんだ」

提督「…」

提督「…何だよ」

早霜「…いいえ」

早霜「何でも無いです」

提督「…いや、でもな?」

早霜「…」

早霜「…フフ」

早霜「いいんですよ」

早霜「…私さえいれば…でしょう?」

提督「…」

提督「…お、おう」

早霜「さて、夕食は何にしましょうか?」

提督「あんまり無理しなくてもいいぞ?」

提督「越して来たばっかでまだバタバタしてるしな」

早霜「ガスは…大丈夫」

早霜「では、久しぶりに…カレーでも」

提督「お、いいなあ」

早霜「でも、材料がありませんね」

提督「そう言えば…」

早霜「お買い物、行きましょう」

提督「車、いいのか?」

早霜「ええ…」

早霜「折角、免許を取ったんですし」

提督「慣れてないだろ?」

早霜「…」

早霜「…行きますよ」

提督「…運転上手いな」

早霜「…フフ」

提督「いや本当に」

早霜「…」

提督「しかし、まあ不便っちゃ不便だよな」

早霜「何がですか?」

提督「街まで30分」

早霜「大した時間でも…」

提督「そうなんだけどな、こう、出掛けるのが微妙に億劫になるような、そんな微妙な感じなんだよな」

提督「例えば、街まで半日かかるみたいなとんでもない山奥に来たとする」

早霜「…」

提督「出掛けるにも覚悟がいるだろ?」

提督「ところがこうダラダラと絶妙に長い時間だと…」

早霜「よく、意味が分かりません」

提督「うーん、分かんないか」

早霜「例え、司令官が…」

早霜「私が連れて行きますよ」

早霜「そろそろですね」

提督「おう」

早霜「…無駄遣いは、やめてくださいね」

提督「はいはい」

早霜「…」

早霜「…終わりました」

提督「…あ、あとこれも…」

早霜「…」

早霜「…作れるぶんは…」

提督「畑も、まだ作れる訳じゃ無いしな」

早霜「…お金にも、限りがありますしね」

提督「やれやれ、帰宅だ」

早霜「雨、降って来ましたね」

提督「…漏ってんな」

早霜「バケツ、持って来ましょう」

提督「…ありがとう」

早霜「それじゃあ、作って来ますね」

提督「手伝うよ」

早霜「…ああ」

早霜「…」

提督「駄目か?」

早霜「…いえ」

早霜「…野菜、お願いします」

提督「おう」

早霜「…あ、その前に」

早霜「…物置の、ココナッツミルクを…」

提督「あ、あの缶に入ったのか」

早霜「…ええ」

提督「分かった」

早霜「ありがとうございます」

提督「これで良かったか?」

早霜「ええ」

早霜「じゃあ、こっちを」

提督「分かった」

早霜「…出来ました」

提督「おっしゃ、いただきます!」

早霜「食べ過ぎは、お腹をこわしますよ」

提督「…早霜は食べないのか?」

早霜「…あ、いや、今までは…」

早霜「…私は、見ているだけだったので」

早霜「…一緒にたべるのは…」

提督「良いから食えって…な?」

早霜「…」

早霜「…はい」

提督「全く…いただきます」

早霜「いただきます」

提督「やっぱり、早霜のカレーはうまいなあ」

早霜「私の…」

早霜「今日は…司令官もですよ…?」

提督「…へ?」

早霜「…一緒に」

提督「ああ!そうじゃんか…」

早霜「…おいしいですね」

提督「本当だな」

提督「うまい」

提督「…さて」

提督「…ごちそうさまでした」

早霜「…片付け」

提督「いい、いい、俺がやっとく」

早霜「…」

早霜「…終わりましたか?」

提督「ばっちりだ」

提督「…余ったのは、明日でいいな?」

早霜「…作りすぎてしまいましたね」

早霜「…私がやれば」

提督「いーのいーの、気にすんなよ」

早霜「…」

提督「…ん」

提督「…ありがとう」

早霜「…久し振りに、2人で呑みますね」

提督「ああ、バタバタしてたしな」

早霜「…殺風景ですね」

提督「荷物は、だいたい物置に入れたし…」

提督「ああ、家具だな後は」

早霜「…鎮守府のものを…」

提督「幾つか貰えることになってた様だが…」

早霜「まだ、届かないみたいですね」

提督「しばらくかかるかもな…」

提督「それまではこのテーブルで我慢だ」

早霜「…バーカウンター」

提督「…ん?」

早霜「…何でも」

早霜「…わかりました」

早霜「…おかわり、作りましょうか?」

提督「…今日はいいや」

提督「とりあえず、シャワー浴びて寝るよ」

早霜「…」

提督「…分かったよ」

早霜「…一緒に」

提督「はいはい、後でな」

提督「…うへえ」

提督「冷たっ」

提督「ボイラー整備しなきゃなこれ…」

提督「まあ、こんな場所にこれだけの設備があるんだからな」

提督「…ん?」

提督「ちょ…」



早霜「どうしました?」

提督「…どうしたって…」

早霜「…お酒を飲んだ後にお風呂は危険だと…」

早霜「万が一倒れでもしたら」

提督「いや俺、酔い覚ましのシャワーを…」

早霜「…!」

提督「…あと、服…」

早霜「…洗濯物が増えるのは…」

提督「そういうことじゃなくて」

提督「いいから戻った戻った」

早霜「すみませんでした…」

早霜「…私の早とちりで」

提督「お、おう」

早霜「…では、私もシャワーを…」

提督「…え?」

早霜「私と司令官で分けて水を使えばそれだけ無駄になります」

早霜「だから」

提督「…いやいや」

早霜「…」

早霜「…ですから」

提督「う…」

提督「…分かった」

提督「…あまり、こっちみんなよ」

早霜「…ええ」

提督「…」

早霜「…」

早霜「…」

提督「…見るなって」

早霜「…はい」

提督「…」

早霜「…フフ」

提督「…?」

提督「…うう、このシャンプー目に染みる…」

早霜「…」

提督「…見てるだろ」

早霜「…おや」

提督「…」

早霜「…フフ、ばれましたか」

早霜「…不思議なものですね」

早霜「…こうやって、見ているだけで」

提督「…」

早霜「…ふぅっ」

提督「…!?」

早霜「…息を吹きかけるだけで」

早霜「…こうやって」

提督「…わかった、やめてくれ、な?」

提督「頼む、命令だ」

早霜「…」

早霜「…私は、艦娘?」

提督「いや、でも司令官って…」

早霜「もう、軍属では無い」

提督「…」

早霜「…つまり、そういうことです」

早霜「…私も、困っているんですよ?」

早霜「もう、海には…」

早霜「戦いには出られない」

提督「…いいじゃ無いか」

提督「…あいつらみたく、木っ端微塵にならなくても済むんだぞ?」

早霜「艦娘、特に駆逐艦は…」

早霜「…もとより、そういう役目でしょう?」

提督「…」

早霜「…文字通り、命がけの日々がある日突然、終わった」

早霜「…司令官、私は今寂しいんですよ」

提督「気持ちは、分かるがな」

提督「…指輪を渡して、一緒になっただろうが」

早霜「…なら、少しは私の…」

早霜「…血の滾りを」

提督「…」

早霜「…フフフ、フフフフ…」

提督「…早霜?」

早霜「…私は先に失礼します」

提督「…」

早霜「…では、『後で一緒に』宜しくお願いしますね?」

提督「…」

提督「…来たぞ」

早霜「…どうぞ」

提督「なんだこの…匂い?」

早霜「…アロマですよ、アロマ」

早霜「…ゆっくり、楽しみましょう?」

提督「…」

早霜「…さあ」

キーーー
ーンーー
ーークー
ーーーリ


早霜「…朝ですよ」

早霜「朝ごはんが出来ました…」

提督「…うぅ」

提督「…何だったんだ?」

提督「昨日の…アロマだったか…」

提督「畜生、身体が動かん」

早霜「…さあ」

早霜「私は、司令官に楽しんで欲しかっただけです」

早霜「…フフフ」

提督「分かったよ…すぐに行く」

早霜「では」

提督「…」

提督「(あれから暫く経って、生活も大分落ち着いた)」

提督「(家具も、ちゃんと来た)」

提督「(夜は…相変わらずだが)」

提督「(まるで、戦場が海の上から布団の上に変わったみたいだった)」

提督「(きちんと、生活はしている筈だ)」

提督「(でなければ…)」

早霜「…あなた」

提督「…ん、どうした?」

早霜「お客様です」

提督「誰か、来るって言ってたか?」

早霜「元、第6駆逐隊の皆さんが…」


ブロロロロロロロ…


提督「…車?」

~~~~~~~~~~~~~~!!!


提督「うわ、うるさいなあ…」

早霜「カーオーディオですかね…」

提督「…大丈夫か?」

早霜「…ええ、お電話もお手紙も頂いている筈です」

早霜「…」

提督「…!」

提督「おいおい、あの車響が運転してるのかい」

早霜「…艦娘は、見かけは判断できませんよ」

提督「…そうなんだがな」

提督「あ、降りて来た…」

提督「って、ええ…?」

早霜「…」

提督「…銃は、携帯していてもいいのかね…?」

早霜「…さあ」



暁「司令官、ごきげんようです」


提督「…お、おう、久しぶりだな」

提督「…お前らも、久しぶりだな」

電「久しぶり、なのです」

雷「久しぶり!しれーかん!」

響「…」

提督「…あれ?」

提督「何だか、動きが」

電「ああ、雷は補助具を付けないと、滑らかに動けないのです」

提督「…え?」

雷「大丈夫よ、しれーかん!ちょっと膝を抉られただけだから」

提督「…いや補助具って」

響「あまり、心配しなくてもいいよ」

響「私達は艦娘だからね」

響「補助具だって、今は付けていないし」

提督「…」

提督「…わかった、とりあえず中に入ってくれ」

早霜「…お茶の準備が出来ています」

早霜「響さんは、ロシアンティーでしたね?」

響「спасибо(スパシーバ)」

提督「まあ、座って座って」

提督「それで…」

提督「どうだ?最近の調子は」

電「すこぶる順調なのです」

暁「最近は、ウクライナの方にも行ったわよね」

雷「響はロシア語も出来るから頼りになってるわ」

響「Хорошо(ハラショー)」

響「しかし、司令官の方はどうなんだい?」

提督「ああ、俺は…まあその…上手くやってるよ」

暁「2人で、暮らしているのよね?」

暁「そっちの方も…」

早霜「…なんでしょうか?」

電「お肌が、つやつやしているのです」

暁「夜の方もなかなか順調そうね」

早霜「…それは」

提督「おいおい…お前ら」

響「戦場にいれば、多少はそうなるさ」

響「仕方ないかもしれないけどね」

提督「けどなあ…」

響「…私達も、戦場を忘れられないんだ」

響「だから、こうやって身一つで」

雷「あなたも、私達と戦わない?」

雷「なんだかんだで、まだ未練があるでしょう?」

響「政府の、お墨付きも貰っているんだ」

提督「今日はスカウトに来たのか?」

電「…」

提督「なら、帰ってくれ」

早霜「…」

提督「おい早霜?」

早霜「…」

早霜「…いえ」

早霜「お断りします」

提督「…」

電「それは、残念なのです」

暁「じゃあみんな、帰る?」

早霜「いいんですか?」

雷「いいのよ、これからまた、あっちにとんぼ返りだし」

提督「それじゃ、元気でな」

響「ああ、司令官もね」

電「また、来るのです」

提督「分かった、二度と来ないでくれ」

暁「…」

響「…行こう」

早霜「…」

提督「…なんか、すまんな」

早霜「謝る必要はありませんよ」

早霜「ただ…少し」

提督「冷たかったか?」

提督「だがなあ…」

提督「あいつらはもう兵器になっちまったんだよ」

提督「なあ早霜」

早霜「…はい?」

提督「お前は、違うよな?」

早霜「…」

提督「…頼むよ」

提督「…俺はな」

早霜「…いいえ」

提督「…」

早霜「私は、もう艤装を脱いだんですよ」

早霜「…だから、安心してください」

ーー夜ーー

早霜「…では」

提督「また、やるのか…?」

早霜「今回は、アロマも薬もナシですよ…」

提督「いや、だから」

提督「いつも、夜になると人が変わったように」

早霜「フフフ…何を言っているんですか?」

早霜「あなた」

早霜「私は、私ですよ…?」

提督「流石に、毎日は…」

早霜「…」

提督「…ごふっ!?」

早霜「…」

提督「は…早霜」

提督「何で…?殴って…」

提督「…うう」

早霜「大人しく、していて下さいね」

キーーー
ーンーー
ーークー
ーーーリ


提督「…あ」

提督「朝か…」

早霜「おはようございます」

早霜「朝ごはん、出来てますよ」

提督「早霜…昨日」

早霜「…?」

早霜「昨日、どうかしましたか?」

提督「…」

提督「…昨日、俺を殴って」

早霜「…え?」

早霜「昨日は、普通に…寝ましたよ?」

提督「…いや、だってお前」

早霜「するのは週末って決めたじゃないですか…」

早霜「…あれも、使ってないですし」

早霜「今日は、火曜日ですよ…?」

提督「あ、う、うん」

提督「そうだったけ?」

早霜「はい」

早霜「ほら、早くしてください」

早霜「ご飯、冷めちゃいますよ」

提督「(あの夜から、大体二日おき位にやられる様になった)」

提督「(普段とは違う、暴力に満ち溢れたものだった)」

提督「(確かに、今までも主導権は彼女が握っていたが)」

提督「(明らかに、おかしい)」

提督「(その証拠に、週末は…いつも通りなのだ)」

早霜「…あなた?」

提督「お、おう早霜!」

早霜「いきなり、どうしたんですか?」

提督「い、いやちょっと考え事をしててな…?」

早霜「…」

提督「な、なあ早霜」

提督「最近、嫌なこと無かったか?変わった事とか…」

早霜「いえ…というか一日中、私といるんですから…」

早霜「普通は、あなたが気付く筈でしょう?」

提督「ん、ああ、そうだな」

提督「そうだよなあ」

早霜「私が…何かしましたか?」

提督「いやあ、なんでもない」

提督「早霜…」

早霜「…」

提督「何処にも、行くなよ?なあ、おい」

提督「俺にはお前しかいないんだよ…」

早霜「…はい」

???


?「どうなったのかな、早霜さん」

?「私達が行った時にはもう、ね」

?「司令官も、だいぶ絞られてたみたい」

?「そろそろ、次の…」

?「おっと、お出ましみたいね」

?「急ぐのです」

?「よし、攻撃準備」

ーー朝ーー


提督「(昨晩は、どうやら襲う気にはならなかった様だ…)」

提督「(ふう…)」

提督「(あれ?)」

提督「(いつもなら、起こしに来てくれる筈なんだけどなあ)」

提督「(飯の匂いはするな…)」

提督「おーい、早霜?」

提督「いたら、返事してくれー…」

提督「台所かな…」

提督「あっ…」

提督「早霜!大丈夫か!?」

提督「早霜!」

早霜「…」

提督「おいっ、しっかり…」

提督「えっ…」

提督「炊飯器…?」

提督「確か、昨日炊いたご飯が…空?」

提督「冷蔵庫…空きっぱなしで…」

提督「おいおい、これ全部食べたのか…?」

提督「早霜?」

早霜「…は、はい…」

提督「良かった…」

早霜「あれ…私…」

早霜「ご飯の支度を…」

提督「いや、全部食べ…」

早霜「何ですか、これ…」

早霜「私が、これをやったんですか?」

提督「そうだ」

提督「なあ、本当に大丈夫なのか?」

提督「早霜」

早霜「分かりません…何が何だか」

早霜「覚えて、無いんです」

提督「…」

ーー翌朝ーー

提督「…」

提督「…」

提督「…何だよ」



響「そろそろだとは思っていたよ」

響「早霜さんは?」

提督「何だ、もう来るなと言ったはずだが」

響「こっちも欠員の補充をしなくちゃいけないんだ」

響「突然ですまない」

提督「…寝たきりだ」

提督「睡眠薬飲ませて、寝かせてる」

響「成る程…もうそこまで」

提督「どういうことだ?」

響「だんだんと、おかしくなったんだろう?早霜さん」

提督「…」

提督「そうだ。早霜に何があったのか」

提督「知っているのか?」

響「ああ」

響「それと、早霜さんはこのまま連れて行く」

提督「…」

提督「…おい」

響「仕方ない」

響「下手すれば早霜さんは…」

響「このまま、死ぬ」

提督「…」

提督「…詳しく」

響「私たちは、戦いの為の道具であること」

響「これは、知っているだろう?」

提督「…そうだ」

提督「でも早霜は…」

響「使わない剣は錆る」

響「早霜さんはもう朽ちかけているんだ」

提督「だったら、早霜をまた戦場に…」

響「察しが良くて助かるよ」

提督「嫌だよ」

響「…」

提督「誰が、あんな危ない所に行かせるか」

提督「…お断りだ」

提督「死ぬんなら、早霜にはここで死んでもらう」

響「はあ…」

響「司令官」

響「早霜さんは、あなたの愛玩動物じゃないんだ」

響「艦娘は戦う為に生まれた存在だ」

響「だったら、こんな場所で朽ち果てるより(ry

提督「ふざけるな!」

提督「もう戦争は終わった!」

響「終わってない」

響「私たちの戦いはまだ」

提督「…」

提督「…駄目だ」

提督「帰ってくれ」

響「そうか、残念だよ」





響「雷の代わりは、見つからなかったみたいだね」

提督「代わり?」

提督「…雷は?」

響「ああ、雷はちょっとね」

響「戦ってる最中に補助具が壊れちゃって」

提督「死んだ…のか?」

響「艦娘は簡単には死なないよ」

響「今頃、東欧かどこかの国にいるだろうね」

響「溶液に浸かったまま」

響「バラバラになったのに、よく回収したよ」

提督「…助けにはいかないのか?」

響「無理だね。政府同士で話はついてるらしい」

響「雷は…多分そこで一生を過ごすと思うよ」

提督「響…」

響「私だって悲しいさ」

響「でもね、早霜さんをこのまま放っておいたら、もっと悲しいことになる」

響「今の雷よりも…生きながら朽ちて行く苦しみだよ」

提督「…」

提督「…考えさせてくれ」

提督「今は…」

響「時間は無い」

響「…あ」

提督「…ん?」

響「後ろ!」

響「ちいっ…!」

提督「ぐ、あっ!?」

提督「く、首がっ」


響「何を…」


早霜「…」

早霜「…話は聞きました」

響「なら、話がはやいです」

響「とりあえず、首から腕を離して…」

早霜「…フフ」

早霜「…」

早霜「…」

提督「あ…やめ…」

提督「」

早霜「落ちましたか」

響「…?」

早霜「支度をします」

早霜「五分、待ってください」

響「それでは…」

早霜「ええ、行きましょう」

響「…ひとまず、訓練施設に」

響「一週間もあれば、戦場に出られると…」

早霜「…はい」

早霜「…」

早霜「…あなた」

早霜「ちょっと、行って来ます」

ーーーーーーーーーーーーーーーー


提督「…あ」

提督「…いない」

提督「ああああああああああああああああああああ!!!!」

ーーーーーーーーーーー


提督「手紙が来た」

提督「便箋は少し埃っぽかった」

提督「彼女は、砂漠にいるらしい」

提督「俺は、待つ」

提督「そんな覚悟は、とてもじゃないができなかった」

提督「あの時、俺は早霜に裏切られた」

提督「そう信じ切っている自分が怖い」

提督「だが」

提督「響の言うとおり、早霜は…」

提督「愛玩動物としてしか、俺は早霜を見ていなかったのかもしれない」

提督「半年待っても、早霜は帰ってこなかった」

提督「しかし…」

提督「初めて、手紙が来た」

提督「…」

ーーーーーーーーーー


提督「結論から言うと、もうここには早霜は帰ってこないらしい」

提督「…」

提督「…馬鹿みたいだな」

提督「何やってたんだ、半年間」

提督「…」

提督「これから、どうすればいいかな」

提督「…」

提督「…来ないなら、行けばいいんだ」

提督「…場所は分からんが…砂漠か…」

提督「俺だって、一端の軍人だ。元がつくが…」

提督「…準備がいるな」



提督「待ってろよ、早霜」

ーーーーーーーー


?「ふう、今日はおしまいだね」

?「思ったよりも早く方がついたのです」

?「それで…あなたは」

?「ええ、大丈夫です」

?「休暇も、許可するよ」

?「いいんです」

?「帰ってあげてもいいんじゃないかな」

?「…」

?「あの人は、必ず私に会いに来ます」

?「どんなに遠くにいても、必ず居場所を突き止めて…」

?「餌は、まいておきました」

?「おいおい、本当なのかい?」

?「ええ、私はあの人の全てを知っていますから」

?「会いに来なかったらそれまでですよ」

?「だから…」






?「待ってますよ」


?「あなた」

おしまいです
更新が大変遅く申し訳ありませんでした
依頼出して来ます

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