あかり「京子ちゃんはどうしてだと思う？」

京子「どうでもいい」

あかり「なんでか気にならないの？」

京子「興味ないもん」

あかり「ふーん」

あかり「あかりは気になるよぉ」

あかり「なにもないのに泣く訳なんてないもん、きっとなにか理由があって泣いてるんだよ」

京子「眠くてあくびして、それで涙が出ただけかもしれないじゃん」

あかり「ん？京子ちゃんはそれでお空が泣いてると思うの？」

京子「別に」

結衣「あかり」

あかり「なぁに？」

結衣「空は別に悲しくて泣いてるわけじゃないし、そもそもこれは泣いてるわけじゃない」

あかり「んー？」

結衣「これはただ自然の仕組みとして雨雲が出来て雨が降ってるだけで、空が意図的にやってるだとか、空の感情で巻き起こるだとか、そういうわけじゃないんだよ」

あかり「どうしてそう思うの？」

結衣「学校で習ったから」

あかり「ふーん」

あかり「あかりは信じてないから、そうは思わないよ」

結衣「なんで」

あかり「だって、あかりたちには確かめようがないことだから」

あかり「空が動いてるんじゃなくて、地球が回ってるっていうのだって確かめようがないし、雨が降る仕組みだって確かめる方法がないから」

結衣「教科書やテレビや大人が言ってることは嘘だってこと？」

あかり「うん、本当はお空が泣くから雨になるんだよ」

結衣「へー」

あかり「ちなつちゃんはどう思う？」

ちなつ「雨はね、私が降らせてるの」

あかり「ん？」

ちなつ「私が降れって思えば雨は降るし、止めって思えば雨は止むよ」

あかり「すごいね」

あかり「いつも雨が降るのはちなつちゃんのせいだったの？」

ちなつ「そうなるね」

あかり「じゃあ、ちなつちゃんがお空をいじめて泣かせてるの？」

ちなつ「違うよ」

あかり「じゃあ、喜ばせて泣かせてるの？」

ちなつ「違うよ」

あかり「じゃあ、子守唄を歌ってあくびさせて泣かせてるの？」

ちなつ「違うよ」

ちなつ「雨に降って欲しいと思ったら降るだけで空がどうとか関係ないから」

あかり「ん？」

ちなつ「空に感情なんてないよ、蛇口を捻ったら水が出た、それと同じ」

あかり「蛇口は捻られるのが嬉しいから、嬉しくて泣くんだよ」

ちなつ「わかった、今から雨降らせるから」

あかり「えっ」

ちなつ「雨、降って」

ザーッ

あかり「本当に降った」

ちなつ「ねっ、だから空の気分とか関係ないの」

あかり「ちなつちゃん、どうやってお空にお願いしたの？」

ちなつ「お願いなんてしてないよ」

あかり「嘘、じゃあどうして雨を降らせられるの」

ちなつ「私が特別だからだよ」

あかり「特別だからお空とお話できるの？」

ちなつ「もうそれでいいよ」

あかり「あかりもお空とお話したいよ、どうしたらできるの？」

ちなつ「あかりちゃんには無理だよ」

あかり「どうして？あかりが特別じゃないから？」

ちなつ「うん、そう」

あかり「そっか、残念」

結衣「そろそろ帰ろう」

京子「そうだね」

あかり「わかったよ」

ちなつ「雨降ってると邪魔なんで、雨止めますね」

ピタッ

京子「本当に止んだ」

結衣「帰るか」


あかり「お空はどうして泣くのかなぁ」

あかり「お空さん、いつか教えてね」