士郎「セイバーがエクスカリバーと添い寝してる…」 (18)

大河「ありゃー、もう11時かー」センベイバリバリ

士郎「そうだな、みんなもう寝ちゃったし、俺も寝ようかな」

大河「私ももう帰ろっかなあ」

士郎「ああ、おやすみ藤ねえ」

大河「うん、ばいばーい」トコトコ

士郎「…っと、そうだ、明日の朝飯は俺の当番だったな」

士郎「なにか食べたいものでもあるか、セイバーに聞いてみよう」トコトコ

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~セイバーの部屋~


士郎「セイバー?起きてるか?」コンコン

セイバー「……」

士郎「……返事がないな、やっぱり寝てるのか」

士郎「まあいいや、朝飯くらいなんでもいいだろうし、俺も寝る…か…?」

セイバー「・・・フフフ・・・」

士郎「あれ、起きてるみたいだ、けど」

士郎(いつだったか、こんなシチュエーションでセイバーの部屋に入ったらぬいぐるみと遊んでたな)

士郎(あのときは冗談で「添い寝もしてるんだろ」みたいなこと言っちゃったけど、やっぱりホントだったのか?)

士郎「…………」

士郎「よし、行くか」キリッ

士郎「セイバー、入るぞ」ガラッ

セイバー「ふふふ…」モゾモゾ

士郎「え…?」

セイバー「ふふふ…ふ…?」チラッ

士郎「……」

セイバー「シ、シシシ、シロウ!?」ガバッ

士郎「……セイバー」

セイバー「は、はい…」

士郎「それ、エクスカリバーだよな?」

セイバー「いえ、その…」

士郎「いや、俺の鑑定眼はごまかせないぞ」

士郎「なんで煌々と輝くエクスカリバーが、セイバーと同じ布団に横たわってるんだ?」

セイバー「あの……その……これには、理由が……」

士郎「聞こう」

セイバー「…私が以前使っていた剣、カリバーンをご存知ですよね」

士郎「そりゃあまあ、投影したしな」

セイバー「ならば、その剣がどうなったかも…」

士郎「ああ、折れちゃったんだろ?で、その代わりにもらったのが、そこで寝てるエクスカリバー」チラッ

エクスカリバー「」ペカー

士郎「…眩しいな…」

セイバー「ですが、カリバーンにはとても思い入れがあるのです」

セイバー「選定の剣として抜いた剣ですし、王となるまでも、なってからも常に共に在りました」

士郎「そうみたいだな」

セイバー「戦いの度、何度カリバーンの輝きに心を奮い立たせられたか」

セイバー「私が幾度も勝利を重ねられたのは、あの剣があったからと言っても過言ではないでしょう」

士郎「ふんふん」

セイバー「武器として、エクスカリバーにこそ劣りますが、それには変えられない愛着がありました」

セイバー「そしていつしか、その愛着が、それ以上のものになりつつあることに気づいたのです」

士郎「ふんふ…ん…?」

セイバー「カリバーンは常に私と共に在りました」

士郎「さっき聞いたぞ」

セイバー「重要な事です。私にとって、かの剣は何よりも大切な物でした」

セイバー「そんなある日、とても不安に駆られた夜がありました」

セイバー「戦いが続き、精神的に疲れていたのでしょう」

士郎「セイバーでもそんなことあるんだな」

セイバー「勿論。なかなか寝付けず呆としているとき、ふと、戦場で共に死線をくぐり抜けてきた盟友のことを思い出したのです」

士郎「……カリバーン?」

セイバー「そうです」

士郎「……」

セイバー「カリバーンと寝床を共にすれば、この不安も消えるのではないかと考えるのは当然のことでした」

士郎「やめろその言い方」

セイバー「そしてその考えは正しかった。カリバーンの輝きと共に横になると、重く苦しかった不安がまるで霧のように消えていったのです」

セイバー「それからというもの、私は戦時でなくともカリバーンを手元に置きました」

セイバー「カリバーンがそばにいる、そう思うだけで頭は冴え渡り、心は強靭に、体は頑強になりました」

士郎「……」

セイバー「そして気づいたのです。これこそがまさしく愛だと」

士郎「いやそれ違う」

セイバー「なにが違うものですか。人と人とを強く結びつけ、互いを思いやるもの、それこそが愛です」

セイバー「それが人と剣になっただけのこと。その結びつきはなにも変わりません」

士郎「ええー……」

セイバー「当時、私は色恋沙汰などとは無縁でしたが、カリバーンこそが私の伴侶だとそのとき悟ったのです」

士郎「…王は人の気持ちがわからない…か……」

セイバー「ですがその愛は終わりを告げることとなります」

士郎「折れたもんな。カリバーンってなんで折れたんだ?」

セイバー「それが、よく覚えていないのです」

士郎「え?」

セイバー「精神的にあまりにも衝撃が大きかったのか、そのときの記憶があまり…」

セイバー「気づくとキャメロットに戻って真っ二つになったカリバーンを抱きしめていました」

士郎「はあ…」

セイバー「その後、湖の乙女に折れたカリバーンを差し出し、エクスカリバーを授かったのです」

士郎「そうらしいな」

セイバー「別の剣であれど、カリバーンの面影を残したエクスカリバー」

セイバー「気づけば私は、カリバーンへの想いを、エクスカリバーへと零していました」

士郎「……」

セイバー「エクスカリバーもまた、私とともに在ってくれる剣です」

セイバー「正直ギネヴィアより愛しかったです」

士郎「……」

セイバー「カリバーンは失われましたが、エクスカリバーは今でも私のそばに居ます」

セイバー「ふと不安になる夜や寂しい夜、私はいけないことだとわかりながらも、カリバーンを思い出しながら、エクスカリバーと寝床を共にしているのです」

士郎「あー…、なにがいけないことなんだ?」

セイバー「もちろん『カリバーンを思い出しながら』エクスカリバーと寝床を共にすることです」

セイバー「心は痛みますが、エクスカリバーとて、わかってくれるでしょう」

エクスカリバー「」ペカー

士郎「……」

士郎「じゃあ、その、今さっきエクスカリバーと寝てたのは、そういうことなんだな?」

セイバー「はい、士郎には恥ずかしいところを見られてしまいましたね」テレテレ

士郎「…抜き身で一緒に寝てたら危ないだろ」

セイバー「彼が私を傷つけることなどありえません」

士郎「彼って…」

セイバー「それに、やはりこの輝きを感じなければなりませんから」

士郎「輝きすぎてこの部屋だけ昼間みたいだな…」

セイバー「あ…決して、その、シロウよりエクスカリバーを選んでいるとか、そういうわけではないのですよ?」

セイバー「エクスカリバーは大切ですが、どちらかと言うと友人のようなものです」

士郎「さすがに剣に負けてなくてよかった」

セイバー「シロウも剣みたいなものではないですか」ドヤッ

士郎「うまいこと言ったみたいな顔するんじゃない」

士郎「まあ、正直かなりびっくりしたけど」

セイバー「そうですか」

士郎「そんなに寂しかったんなら、俺に言えばいいだろ?」

セイバー「…!シロウ……!」キュン

士郎「俺ならいくらでも力になってやる」

セイバー「シロウ、やはりあなたは…!」ウルウル

士郎「一緒に寝るぬいぐるみが足りないなら、いくらでも持ってくるからさ」

士郎「イリヤがたくさん置いて帰るんだよ、俺の部屋に」

士郎「変な名前がついてるけど、結構かわいいぞ?」

士郎「ライオンのも結構な数が…」ハッ

セイバー「……」

士郎「セ、セイバー?」

セイバー「……」

士郎「お、落ち着け、とりあえずそのエクスカリバーは、そこに寝かせて…」

セイバー「エクス…」

士郎「な…」

セイバー「カリバァァァァァァ!!」

士郎「なんでさぁぁぁぁぁぁぁ!!」

終わりです、ありがとうございました。やっつけですみません。
エクスカリバーと寝てるセイバーの夢を見た勢いで書きました。

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