美希「星井美希なの!」亜美「んっふっふ~ではミキミキですな?」 (49)


前回
春香「天海春香です!」美希「ふぅん……じゃあハルハルだね」



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……
-異空間、王座の間

カツ……カツ……

闇に姿を隠した男「……諸君、よくやってくれた」

「「はっ」」

チャオ「全てはキングのために」

貴音「大量に集めた夢の根源力……いかがでしょうか」

K「ウィ……おかげで、私もここまで復活できた…………だが、右半身より左半身の方がダルい。この身体、完全になじんではいない証拠。不死身ではない……。伝説の戦士と戦うには……すいみん不足、ということだ」

ラセツ「へっ、だったらこの俺が潰してきてやるぜ。弱小プリキュアどもをよ!」

K「待て……ラセツ」

ラセツ「なんだよキングのおっさん。これだけ夢のエネルギーが集まれば、もう前みたいな遅れはとらねーぜ」

チャオ「そうじゃない、ラセツ」

貴音「……あと一歩でキングネムイナー様の復活が成る今、無理に彼女達と戦うことはありません」

K「その通りだ……。やつらをかく乱しつつネムイナーを生み出しエネルギーを集めれば……おそらく次が最後の作戦となる」

チャオ「最後の……つまり」

K「そうだ。成功すれば世界は永遠の眠りに包まれる。そして……新たに創りだされた夢の世界を支配するのは…………我々だ」

ラセツ「ついに……俺達の時代が来るのか!」

K「ウィ……必ず成功させるのだ。……任せたぞ、貴音。お前には……例の約束も、待っているのだからな」

貴音「……はい。お任せを」

ラセツ「おいおっさん! 俺もっ」

K「お前はかく乱に回れ」

ラセツ「けどよっ」

K「共闘は認めん。戦いのステージは常に孤独。孤高でなければ……新たな世界の王者たる資格はない」

ラセツ「……チッ、分かったよ。今回は譲ってやる」

貴音「……」

K「……では、私はもう一眠りするとしよう。諸君……新たな世界での目覚めを、待っているぞ」

「「ははっ!」」


……

ラセツ「……くそっ、新顔のくせにデカいケ……ツラしやがって」

チャオ「まぁまぁ、あのフォーリンエンジェルちゃんのおかげで、俺達の計画も順調に進んだんだしさ」

ラセツ「けどよ! あいつ、まるで全部自分の手柄みてーに報告しやがって。ネムイナーを生み出してエネルギー集めたのはこっちだぜ!?」

チャオ「それも、彼女がエンジェルちゃん達を無力化してくれてたから、だろ?」

ラセツ「そうかも、しれねぇけど…………なぁ! お前はなんとも思わねぇのかよ!」

カンケーシ「僕にはかんけーし」

ラセツ「へっ、つまんねーやつだぜ」スタスタ……

チャオ「ラセツ! どこへ行くんだ?」

ラセツ「……ただの散歩だよ」

スタスタスタ……



……

ホー……ホー……

貴音「……」

貴音(青い、月……)

貴音(…………まるで、泣いているよう)


ガササッ

貴音「! 何奴!!」

ニ、ニャー

貴音「……猫、ですか」

ガサゴソッ

貴音「!! やはり何者かが……。姿を現しなさい!」

ウ、ウッウー

貴音「……うさぎ、ですか」

……

貴音「などと申すはずがないでしょう」ガササァッ

「うわぁあああ!?」

貴音「何をしているのですか………」


貴音「……響」

響「…………あ、はははー見つかっちゃったさー」

貴音「……」

響「は、はいさい!」

貴音「今は夜中ですよ」

響「……はいさいはどの時間でも使える挨拶だぞ」

貴音「なんと……そうだったのですか。これは失礼致しました……」

響「ずっと一緒にいたのに、知らなかったんだね」

貴音「それは響が教えてくれなかったが故……」

響「……」

貴音「こほん……何をしに来たのか、と、聞いているのですよ」

響「…………寂しく、なっちゃってさ」


響「月、見に来たんだ」


貴音「……」

響「貴音がよくここで、月を見てたから」

貴音「……わたくしはもう行きます」クルッ

響「待って!!」

貴音「……」ピタッ……

響「……もう少しだけ」

貴音「響……わたくしたちはもう、敵同士なのです」

響「それでも、友達さー」

貴音「……」

響「……どうしても、教えてくれないのか?」

貴音「話すことなど何もありません」

響「もしかしたら、力になれるかもしれないじゃないか! ちゃんと相談すれば、何か別な解決法が見つかるかもしれないだろ!?」

貴音「……できません」

響「貴音……」

貴音「話せば……響まで危険な目に」

響「もう自分はネムイナーと戦っちゃってるんだぞ! 今更危険なんてっ」

貴音「こうしなければ、もっと危険な事態となるのです! なぜ分からないのですか!」

響「分からないよ! ちゃんと話してくれなきゃ! 言ったじゃないか! 自分、貴音の苦しみを一緒に背負うって……どんな危険に巻き込んだって構わない! だからっ……」

貴音「しかし……」


響「いつだったか、貴音、言ってたよな。…………何があっても、自分達」

……


響『ぐすっぅぐっ……ぅう……』

貴音『響……? 泣いて、いるのですか? いったいどうしたのです』

響『貴音っが……いなくなっちゃう、夢、みて』グスッ

貴音『……響』ソッ

ギュッ

響『貴音……?』

貴音『大丈夫ですよ……大丈夫』ナデ……ナデ……

貴音『もし、離れ離れになっても……例え、全て忘れてしまったとしても…………わたくしたちの絆は、けっして、消えたりはしません』

響『でも……』

貴音『大丈夫です、響。どんなに遠く離れようと……絆がある限り、その確かな糸を手繰り……わたくしは戻ってまいります。必ず、響のもとへ……』

響『…………うん。……分かった。絶対だぞ! 自分と貴音はっ』



響「ずぅーっと、友達だ……って」

貴音「…………」

響「……貴音」

貴音「わたくしは……」



貴音「…………わたくしは、キングとある約束をしているのです」

響「! ……約束?」

貴音「その約束が果たされなければ、人の世は、ネムイナーと戦う以上の危険に晒されてしまう。それを回避するため、キングネムイナーの復活は必須……」

響「そんな……でも、だからって」

貴音「苦渋の決断です……わたくしは、故郷の民と、ここにいる人々が争う様は、どうしても見たくないのです」

響「……その約束っていうの、貴音の故郷が、関係してるのか……?」

貴音「……」

響「分かった」

貴音「……理解してくれましたか」

響「その貴音の故郷のことも、自分がなんとかするさ! だから心配いらないよ!」

貴音「!! な、なにを言っているのですか、響」

響「自分が、っていうか、みんなでだけどな。美希も、春香も、千早も。プロデューサーも小鳥も、ハム蔵もいぬ美もへび香も! この世界のみーんなと、貴音の故郷のみーんなで協力すれば、きっとなんくるないさー!」

貴音「そのような……」

響「だーいじょうぶだって! 今だって、なんだかんだ言いながら、みんなネムイナーと戦ってるんだ。仲間のピンチなら、助けに来ないはずないぞ!」

貴音「……響」

響「あ、い、言っておくけど、事務所と家族以外にも友達はいるからな? ただ一番おせっかいに駆けつけそうなのが事務所のみんなだから最初にあげただけで……」

貴音「ふふっ……」


響「あっ、なに笑ってるんさー! 自分、真面目に考えてるんだぞ!」

貴音「えぇ、そうですね。分かっていますよ、響。ただ嬉しかったのです……響の、強さと、優しさが」

響「そ、そうか? ま、まぁ自分、カンペキだからな!」

貴音「えぇ、真、響にはかないません……」

響「へへっ、じゃあさ、朝になったら……って、貴音、泣いてるのかっ!?」

貴音「っ……すみません。少しだけ……」ポフッ

響「まったく、貴音はしょうがないさー」ギュッ……ナデナデ

貴音「ぅっ……う……」グスグス……


ヒュンッ

響「!? 危ないっ!!」

ドシュッ!!

響「ぁ、が……!」

貴音「響!? 響!! しっかり! しっかりして下さい響!! ……っ! この刃物は……!」



……

妖精「……命に別状はないプロ」

貴音「そうですか……」

妖精「貴音の応急処置がしっかりしていたからだプロ」

貴音「……」

妖精「……ありがとうプロ」

貴音「やめて下さい。今のわたくしには、そのような言葉を受ける資格はありません」

妖精「そんなことないプロよ」

貴音「いいえ……響は、わたくしをかばって凶刃に倒れたのです。……わたくしが、未練がましく、響と会ったりなどしなければっ……」

妖精「それは違うプロ。響は気持ちのままに行動しただけプロ。その結果は誰のせいでもない……本人が選んだこと」

貴音「……響自身の意志」

妖精「あぁ、貴音を信じて、心のままに動いたプロ」

貴音「……」

妖精「貴音は……どうしたいんだ?」

貴音「わたくし……は」


ガチャバタン!

美希「ハニー! 響が倒れたって……!」

妖精「美希、なんでっ」

美希「あ……たか、ね……?」

貴音「っ……」

美希「貴音!!」ガバッ

貴音「み、美希!?」

美希「戻って来たんだね! よかった! ほんとーによかったの!!」

貴音「……わたくしは」

美希「ううん、何も言わなくていいよ。ミキ分かるもん」

貴音「美希……」

美希「おかえり、貴音」

貴音「…………っ、」

美希「? どうしたの? おかえりって言われたら、ただいま、だよ?」

妖精「まぁちょっと待て美希。っていうかなんで事務所に……まだ夜明け前だプロ。いつも寝ぼすけのお前が……」

美希「あー! ひっどいの。ミキ、友達のピンチならすぐに駆けつけるしいつでも起きれるよ」

貴音「……美希」

小鳥「すみません……実は、私が」

妖精「小鳥さんが連絡したんですか」

小鳥「美希ちゃんの助けが必要になると思って……」

妖精「……どういうことですか」

小鳥「実は……響ちゃん、命に別状はないし、外傷もたいしたことないけど……目が、覚めないんです」

妖精「それは、怪我してからそう時間もたっていないし」

小鳥「そうじゃないんです。響ちゃん……身体の内側を、ネムイナーに浸食されてるから」

貴音「……!」


妖精「なっ……そんなことが」

美希「それで美希の出番ってわけだね。いいよ、響を助けるためならなんでもしちゃうの!」

小鳥「ネムイナーに取り込まれているのなら、倒せば元に戻りますが……」

妖精「あぁ……内側となると、攻撃も届かない。もし届いたとしても、響の体を傷つけてしまう……プロ」

美希「なら、いったいどうすればいいの?」

妖精「うーむ……」

貴音「一つ、方法が」

妖精「なんだ!? 教えてくれ!」

貴音「それは」

美希「分かった! 貴音がキスするの!」

貴音「違います」

美希「違ったの」

貴音「……ネムイナーを生み出した相手を、倒せば良いのです」

妖精「! なるほど」

美希「案外単純だね」

小鳥「でも、誰がネムイナーを生み出したか、分かるの? 相手の顔は見た?」

貴音「いいえ……残念ながら、夜道かつ遠方からの攻撃だったため、顔も、姿も、ほとんど確認できませんでした」

妖精「そうか……」

美希「貴音は目も良くないし仕方ないよ。こうなったらラセツもチャオもカンケーシも、みーんなやっつけちゃえばいいって思うな」

妖精「そう簡単に言うけどなぁ……」

小鳥「向こうは、エネルギーを集めて前よりパワーアップしているはずよ。一筋縄ではいかないわ」

妖精「それに響がいないこっちは、戦力ダウンした状態だプロ。まともに戦っても」

美希「でも、やるしかないの! 響が眠ったままなんて、そんなのやだもん!」

妖精「……そうだな」

貴音「……」



……

ラセツ「ふん……あの女、作戦の時刻になっても現れやしねぇ。ならもういいぜ、俺がやってやるよ!」ゴォオッ

ラセツ「出やがれ! ネムイナー!!」


ウワー! ボワン!!

ネムイナー「ネムイナー!!」

ラセツ「さぁ、ネムイナー! 人間どもを捕まえて、かたっぱしからネムイナーに」


「そうはさせないわ!!」

ラセツ「なにぃ! なにもんだぁ!!」


「睡眠は美容に大事だけれど、おはよう朝ごはんも美人の秘訣! おひさまみたいに輝く乙女を眠らせて、その隙に悪いことをしちゃおうだなんて許せない!」

「月にかわってぇ……」

セーラー服姿の女「おしおきぴよ!」ビシッ


ラセツ「うわきっつ」


小鳥「ピヨォオオ! うるさいピヨ! 私だって、仲間なんだから。足りない戦力を少しでも補ってみせるわ!」

妖精「小鳥さん! 無理は禁物プロ! 妖精世界で現役だった頃とは違うプロよ!」

小鳥「うぅ……そんなの私が一番分かってますよ……この歳でこんな超ミニにレオタードなんて……でも! でもやるしかないんです! 音無小鳥二十うん歳! 仲間のために、突貫します!! ピヨォオオオオオ!!」

ズガァア!

ネムイナー「ネムゥウ!」

ラセツ「チッ、案外やるみてぇじゃねぇか。だがなぁ!!」


……

チャオ「さて、始まったか。なら俺も早速」

「ちょっと待つの!!」

チャオ「おや、早いね、エンジェルちゃん。チャオ☆」

スター「あー! また星とった! もう許さないの!」

チャオ「おっと、ならどうする?」

スター「ミキこそが星を使うにふさわしいってこと、分からせてあげる!」ヒュンッ

チャオ「それは楽しみだ。エンジェルちゃんの素敵なところ、いっぱい見せてくれよ!」シュバァッ



……

カンケーシ「……」

「貴方は、ネムイナーを出現させないのですか?」

カンケーシ「……どうしてここに来たの? 君の担当する作戦区域は」

貴音「えぇ、ここではありません。しかし……」



-貴音は、どうしたいんだ?


-自分と貴音は、ずぅーっと、友達だぞ!




貴音「わたくしはもう……迷いません……わたくしは…………」

貴音「響と共に、戦いたい!!」キラッ……


ピカァアアアアアアア!

カンケーシ「な、なんだっ!?」

貴音「これは……目覚めの神器! わたくしの中に、眠っていたのですね……」カチカチカチッ

プリキュア! オンステージ!!


シュォオオオオ……ピカァアアアアアアアッ


……月光に冴える、白銀のアイドル……

シュタッ

臙脂色の衣装を纏った王女「キュアミッシングムーン……!」


カンケーシ「なっ……こいつが、伝説の戦士!?」

ムーン「誤算だったようですね。響を傷つけることで、わたくしを目覚めさせてしまうとは」

カンケーシ「なんの話は分かんないな」

ムーン「あの刃物は、ラセツが使っていたもの。しかしそれを投げたのは」

カンケーシ「知らないって言ってるだろぉ!」ギュォッ

ビシィッ

ムーン「っ……速い!」ググウッ

カンケーシ「ラセツのだったならラセツが犯人だろ! なんで僕なんだよ!」ググッ

ムーン「簡単なこと……」シュバァッ

ドガァッ

カンケーシ「うぐっ……!」グラッ

ムーン「料理を愛する者が、その道具を凶行に用いるなどっ……」ヒュンッ

ズドォッ

ムーン「有り得ないことです!」

カンケーシ「ぐぁあっ!」ドタァッ


ムーン「……あの刃物は、響がわたくしをかばうと見越した上で投げたのでしょう。わたくしとラセツを戦わせて、いったいどうしたかったのです?」

カンケーシ「知れたことを……孤高の王者になるためさ!」

ムーン「……王に」

カンケーシ「それがキングの教えだろう? 僕は、僕自身しか信じない。ラセツもチャオも君も! みんな倒して、エネルギーは全て僕のものにする! そして僕こそが! 新しい世界の王になるんだ! 孤高の王者に!!」

ムーン「哀れな……」

カンケーシ「なんだとぉっ!」

ムーン「キングの言葉は、王者として君臨する者の覚悟を説いたもの……そのような下衆な企みは、孤高などではありません! ただの卑怯者です!!」

カンケーシ「なにぃい……貴様ぁ、そこまで僕を侮辱し、ただで帰れると思うなよぉ!」

スラァ……シャキィン

カンケーシ「堪忍袋の緒が切れちゃったよ!! 僕の隠していたスキル、二刀流でサビにっ」

ズバァッ

カンケーシ「ぁ…………え?」

ムーン「そちらこそ…………わたくしの響を傷つけておいて、生きて帰れるとお思いでしたか?」

カンケーシ「がはぁっ!!」

ドタァア……

ムーン「失礼……構える前に斬るとは、少々不躾でしたね。しかし……」

ムーン「宇宙より広いわたくしの心でも、我慢の限界だったものですから」



……

小鳥「ピヨォ……ピヨォ……」ゼェゼェ

ネムイナー「ネムーネムイナー」

ラセツ「へっ、どうやら限界みてぇだな」

妖精「小鳥さん!!」

ラセツ「とどめだ……あばよ!」ギュォオッ

小鳥「プロデュー……サーさ、ん……さいごに、わたし」

妖精「小鳥さぁあん!」

小鳥「パソコンの中身……処分、を……」

ラセツ「くらぇえええ!!」グァッ

ガシィイイン!!

ラセツ「ぐっ……な、なにぃっ」

「へへっ、だいじょーぶかぴよ子」

小鳥「ひっ……響ちゃん!!」

サン「今はキュアパーフェクトサンだけどな!」

妖精「サン! 目覚めたプロか!」

サン「あぁ! 自分が来たからには、なんくるないさー! なんたって自分、」

サン「カンペキだからな!!」キラリーン

小鳥「響ちゃん……!」

ラセツ「一人増えたぐらいで、調子にっ」

サン「悪いけど、すぐに終わらせるよ。今、すっごく力がみなぎってるんだ!」ゴォオオオオッ

オーバーマスター!

サン「最初からクライマックスで行くさぁ!! プリキュアッハイサイアタァアアアアアアアアック!!」

ズガァアアアアアアアン!!

ネムイナー「オハガナハー」シュォオオ……

ラセツ「ぐ、ぅう……くそっ……覚えてやがれぇっ」シュウンッ



響「ふぅっ……どうだ自分、かんぺっ」フラァッ……

妖精「響!」

小鳥「響ちゃん!」


ガシッ

響「あれ……」

ムーン「ふふっ……はいさい、響」

響「……はいさいっ……キュアミッシングムーン……! 貴音ぇ!!」ギュゥッ

貴音「そんなに強く抱き着いたら苦しいですよ」ギュゥウウ

響「うがぁ、貴音のほうがすごい力で絞めてるぞ」

貴音「なんと……」

響「はははっ」



小鳥「……良かったですね、プロデューサーさん」

妖精「あぁ……これで伝説の戦士が揃ったプロ……!」


タタタッ

美希「響ー! 貴音―!!」

響「美希!」

美希「おかえりなさいっなの!!」ピョーンッガバァアッ

響「ぐえっ」

貴音「はい……今度こそ、ただいま戻りました、美希」


美希「これでもう怖いものなしなの!」

響「うん! 自分達なら!」

貴音「なんくるないさー、ですね」

響「あー! セリフとらないでよー」

美希「ミキ、カンペキなのっあはっ☆彡」

響「美希までぇー! もぉー!」

アハハ
ナノナノ
キャッキャッ
ダゾダゾ







END……??




K「……ついに、……ついに満ちたぞ。復活の為のエネルギーが……! これでようやく……私の悲願が達成される! フフハハハハハ……ハーッハッハッハッハッハ!!」



美希「最近ハニー、その姿でいることが多いね」

妖精「いやだからオレは」

ナノナノ
プロプロ

律子「ただいま戻りま……」

美希「この味はやっぱりハニーなの」カプカプ

妖精「はぁん耳噛んじゃらめぇ!」

律子「ひぃいいいい! タヌキがしゃべっ……タヌキが、美希と……事務所にタヌキ、しゃべる……」

パタリ

美希「あぁっ! 律子が倒れたの!」

妖精「律子さんな」

美希「過労? 過労なの? ハニーが最近タヌキなせいでお仕事が大変なの!?」

妖精「いや仕事は滞りないプロよ。多分、この姿にびっくりしたんじゃないかと」

美希「え……律子は知らないの? プリキュアのこと……」

妖精「竜宮小町はみんな知らないプロ」

美希「ぇええええぇえ! もうすっごく自然に事務所でその姿だから、てっきりみんな知ってると……」

妖精「律子が起きたらなんか適当にごまかしといてくれプロ」

美希「まる投げなの……」


ガチャ、バタン

亜美「たっだいまー」

美希「げっ亜美」

亜美「ん? ねぇミキミキ、今その子としゃべってた?」

妖精(亜美に見つかるとヤバそうプロ。なんとかごまかしてくれ!)

美希「そ、そぉーなの。ミキね、腹話術の練習しててね」

亜美「おっ! 見たい見たい! ちょっとやって見せてよ!」

美希「え、あー、うん、いいよ。……んん、ごほんごほん……みんな元気ー? 星井美希だよ!」

妖精「ミキだよ!」

美希「こら、キミまでミキじゃおかしいって思うな」

妖精「えーでもだってミキもミキなんだよー」

亜美「あはは! すごいすごーい! ミキミキの口、全然動いてないじゃん!」

美希「ほっ」

妖精(どうにかなったか……)

亜美「んっふっふ~、ではミキミキ×2でミキミキミキミキですな?」

美希妖精「「それはない」の」

亜美「……今、声が二重になってなかった?」

美希「げぇっ」

妖精「……」ダラダラダラダラ

亜美「まぁいっか! これミキミキのなの?」

美希「み、ミキのじゃないのなの」

亜美「おーっし! んじゃいおりんのシャルルとすり替えて驚かせてやるぜー」グワシッ

妖精(ヤバい、助けて)プラーンプラーン

美希「さよならハニー……」



……

フラ……フラ……

妖精「うぅ……ひどい目にあったプロ。オレンジジュースまみれになるわ、お風呂に入れられそうになるわ……」

タッタッタ……

小鳥「プロデューサーさん!」ハァハァ

妖精「ど、どうしたんですか」

小鳥「大変です! ラセツがっ」



……

ラセツ「どうした! 出てきやがれプリキュア! そして俺と戦え!!」

ネムイナー「ネムイナー」ドゴォン
ネムイナー「ネームイー」ズガァン

「そこまでなの!!」

ラセツ「……来やがったか」


美希「こりもせずまた来たんだね、ラセツ」

響「何度やったって返り討ちだぞ!」

貴音「……」

ラセツ「聞いた通り、てめぇはそっちについた……ってわけか。いいぜ、前からてめぇは気にくわなかったんだ。ここで白黒ハッキリつけてやる!」

貴音「ラセツ……」

ラセツ「戦う前に、一ついいことを教えてやるよ。……既にキングネムイナー様復活の為のエネルギーは満ち足りた。もうすぐこの世界は、永遠の眠りにつく」

響「なんだって!?」

美希「そんなっ」

貴音「やはり……」

響「けど、じゃあなんでわざわざ自分達の前に姿を現したりしたんだ……? そのまま待っていれば」

ラセツ「言ったろ。てめぇらと決着をつけに来たんだよ!!」

響「決着?」

ラセツ「あぁ、てめぇらに負けっぱなしで、キングネムイナー様の力で世界を手にしても、ちっとも勝った気がしねぇからな。その復活の前に、ここで最後の勝負だ!!」

美希「そういうことなら……受けて立つよ!」

響「もちろん、キングネムイナーもどうにかするけどな!」

貴音「ですがよろしいのですか? ネムイナーがいるとはいえ、貴方一人にわたくしたちは三人」

ラセツ「へっ、仲間と助け合うのがてめぇらの強さなら、孤高の中で鍛えられたのが俺の強さだ。その雌雄を決するためにも、三人まとめてかかって来い!!」

貴音「いいでしょう……その覚悟、受け取りました」

美希「じゃあいくよ! 響! 貴音!」

響「おー!」

貴音「はい、参りましょう」


カチカチカチッ……


プリキュア!! フェアリーオンステージ!! レディ?

ゴォオオオオオオオオッ

ピカァアアアアアアアアアアアアアアア!!!


……きらきら輝く、星のアイドルッ!

スター「キュアワンダリングスター!!」ビシッ

……太陽さんさん! 照り返す海のアイドル!!

サン「キュアパーフェクトサンッ!!」キラーン

……月光に冴える、白銀のアイドル……

ムーン「キュアミッシングムーン……!」シュタッ……


スター「夢と現を駆け巡る……天空の妖精(フェアリー)!! 私達はっ」

三人「「スペースアイドルプリキュア!!」」キラキラキラキラ……


ラセツ「伝説の戦士……SPプリキュア、ついに揃い踏みか。……いいぜ……潰し甲斐があるぜ!! うおぉおおおお!!」ドヒュッ

ネムイナー「ネムイナァー!!」ドドドォ!
ネムイナー「ネムイナーッ!!」ズゴゴォ!

スター「やぁあ!!」ドガッバキッ

ラセツ「うらぁああ!!」ズガッゲシッ

ムーン「プリキュア……おしりぱんち!!」ドガァアアアア!!

ネムイナー「オシリチーン」ドタァア

サン「プリキュアッ、パーフェクトメーゴーサー!!」バキィイ!!

ネムイナー「ヒビキハカワイイナー」バタァア

スター「はぁああああっ……プリキュアスゥーパァーオニギリハァー!!」

チュドォーン!!

ラセツ「ぐぁあいそくせぇええええええ!!」ドタバタッ

スター「今だ! いくよ!」

サン「あぁ!」

ムーン「やりましょう!」


オーバーマスター!!

三人「「プリキュアッ……スーパーバーストアタァアアアアック!!」」

ズゴォオオオオオオオオオオオッ

ラセツ「……これが、絆の力……かよ」

……完敗だぜ


ドガァアアアアアアアアアアアン!!!


モクモクモク……

スター「やったの!?」

ムーン「いえ……あれは」


チャオ「チャオ☆ 強く優しく美しい……スーパーエンジェルちゃん」

ラセツ「ぐ……ぅ…………てめ、ぇ、なぜ俺を」

チャオ「それはこっちの台詞だよ。こんな無茶をして……」

ラセツ「俺は……助けなんかいらねぇ!」バシッ

チャオ「ラセツ……」

ムーン「ラセツ、孤高の強さと、仲間と助け合うことは……矛盾するものではないのですよ。どちらも人が持つ、大切な心なのです」

ラセツ「…………くだらねぇ」

チャオ「……帰ろう、ラセツ」

スター「ちょぉっと待つの!」

サン「お前達のアジトまで案内してもらうさー! キングネムイナーの復活を止める為に!」

チャオ「その必要はないよ……エンジェルちゃんたち。あれをご覧!」バッ

ズモモモモモモモォ……

サン「そ、空が……」

ムーン「闇に呑まれてゆく……」

スター「いったい、なんなの……!」



キィーング……ネムイナァアアアアアア……!!

スター「!! まさかっ」

サン「あの巨大なのが……キングネムイナー!?」

ムーン「あれほど巨大とは……」


妖精「スター! サン! ムーン!」トテトテトテ

スター「ハニー!」

妖精「くそっ、間に合わなかったか……プロ」

チャオ「チャオ☆ どうやら、俺達の勝ち、みたいですね。プロフェッサー」

妖精「チャオ……」

サン「プ、プロフェッサー?」

スター「どういうことなの……?」

チャオ「そこにいる君たちのプロデューサーは、俺達の世界ではプロフェッサーだったのさ」

サン「えっ、え!? じゃ、じゃあプロデューサーは、ネムイナー側の人間……いや、妖精だったのか!?」

スター「別に過去がどうでもミキは気にしないよ? 大事なのは今だもん」

妖精「ありがとう……だが、少し違う。オレがネムイナー側だったんじゃない……」


ラセツ「俺達が元々、妖精世界の住人だったのさ」

サン「な、なんだって!?」

スター「じゃあ、今はどうして……」

チャオ「滅んだんだよ。俺達の住む世界は」

ラセツ「あぁ。……てめぇら人間のせいでな!」

スター「ミキたちの、せい……?」

サン「えぇえっなんでそうなるんだ!?」

妖精「……俺達の住む妖精世界は、ニンゲンの、夢見る力で成り立っていたんだ」

サン「えっ……」

ムーン「人の世から、夢見る力が失われ……妖精世界は徐々に崩壊し、やがて……」

スター「じゃあ、夢のエネルギーを集めて、キングネムイナーを復活させるのって」

チャオ「そう、人間達を永遠に眠らせ、夢を見せ続けることで……新たなる妖精世界を創り出す」

ラセツ「俺達は、奪われた故郷を奪い返すのさ!」

サン「故郷を……」

妖精「しかし、そんなのは逆恨みだ! そもそもニンゲンのおかげで存在できた世界……それが滅んだからといって……」

ラセツ「よく言うぜ。ネムイナーを生み出す術を編み出したのは、てめぇじゃねぇか」

妖精「っ……オレは、どうにか夢のエネルギーを生み出す方法を……模索して」

ムーン「それが、このように利用されてしまったのですね……」

チャオ「キングも最初は、プロフェッサーと同じく純粋に生き延びる術を探していた。その方法の一つが……アイドル」

スター「!!」

ムーン「なるほど……偶像を用いることで、人々に夢見る力を取り戻させようと……」

ラセツ「けどダメだった! おっさんはあらゆる手を尽して俺達を売り出してくれたが、妖精世界を修復できるほどの夢の力は戻らなかった!!」

チャオ「むしろかえって、人間の醜さ、愚かさを思い知る結果となり……キングは」

サン「ぅ、うぅ……だからって、だからって……」グスッ

ムーン「サン……」


サン「こんなやり方じゃなくたって……もっと、もっと誰かを頼ってくれればっ……自分だって、キングやみんなのこと助けたいぞ!」

ムーン「孤高の王者たる彼の誇りが、それを妨げてしまったのでしょう……」

スター「じゃあ、伝説の戦士、って」

妖精「あぁ、俺達の世界に伝わる、救世主だ。それは強い夢の力を持つニンゲンの中から現れて、ニンゲンと妖精の架け橋となる存在……強さと、優しさと、美しさを兼ね備えた、アイドル」

チャオ「夢の力が枯れた時、それを蘇らせるために生まれる……。おとぎ話だと思って、誰も相手にしなかったけどね」

サン「そ、そうだったのか……」

スター「なら、ミキたちがいればなんとかなるってことなの! そのキングって人を止めて、今からでも協力し合えばいいって思うな」

ラセツ「……無理だ。キングは、キングネムイナー様復活のコアになってしまっている……止めるには…………破壊するしかない」

妖精「くそっ……ここまできて……」

サン「……あきらめない。……自分、絶対にあきらめないぞ!」

スター「うん! まだできることはあるよ!」

ムーン「えぇ、わたくしたちに不可能などありません。なぜなら、」

サン「自分達っカンペキだからな!!」

妖精「響……美希、貴音……」


スター「そうと決まれば、行くよ!」

ムーン「はい……あの空へ」

サン「で、でもどうやって行こうか……」



「それなら任せて!」


妖精「小鳥さん! ……と」

春香「プロデューサーさん! いよいよ決戦ですね! 決戦!」

千早「私達も力を貸すわ」

サン「春香! 千早ぁ!」

妖精「けど、二人が変身したとしても……あんな上空までは」

小鳥「ふっふっふ……こんなこともあろうかと、知り合いから譲り受けてきました!」バッ

ジャジャーン!

小鳥「ロボニナール~」テッテレッテテッテッテー!

スター「なにそれ? おもちゃの光線銃?」

小鳥「これはその名の通り、当てた人を巨大ロボに変えてしまう光線を出す銃よ」

サン「なんて危険なものを!」

ムーン「これで誰かを巨大ろぼっとにして、キングネムイナーのもとまで乗せていってもらうのですね」

小鳥「そういうことよ」

妖精「けど、いったい誰が……」

春香「プロデューサーさん……私がやります!」

妖精「春香……」

春香「これまで出番が……じゃなくて、肝心な時にお役に立てませんでしたから、今日のこの見せ場は、私がもらいます! いいですよね?」

サン「元に戻れるのか……?」

小鳥「大丈夫。ロボニナール本体を壊せば、元の姿に戻れるわ」

妖精「そうか……なら、頼むぞ、春香」

春香「はいっ! 任せて下さい!!」

小鳥「じゃあいくわよ……春香ちゃん!」

春香「お願いします!!」

小鳥「…………それっ!」ビビビビビビ

春香「あっ」ドンガラガッシャン!

千早「え?」ビビビビビ



ドカァーン!! モクモクモクモク……

春香「ち、千早ちゃん!? 千早ちゃーん!!」



キサラギ「…………」

スター「おぉ……すごいの!」

サン「ほんとに巨大ロボになっちゃったぞ!」

妖精「春香ァアアアアアア!」

春香「ご、ごめんなさい!!」

ムーン「何もない場所どころか、動いてすらいなかったというのに、ああも見事にこけるとは…………面妖な」

キサラギ「……」

春香「ご、ごめん! 千早ちゃん!」

キサラギ「……私はパイロットとして呼ばれたのだけれど」

小鳥「これ一回しか使えないのよね……」

妖精「すまん、千早……行ってくれるか?」

キサラギ「…………まぁ、なんでも、いいですけれど」

サン(絶対なんでもいいなんて思ってないぞ……)

春香「じゃあ私がパイロットやるね! さぁ千早ちゃんのコックピットはどこかなぁ~」

スター「ちょっと不安なの、空中でこけないでね?」

春香「大丈夫だよ~私こういうの得意なんだ!」

サン「ロボットの操縦が……?」

ムーン「……面妖な」

小鳥「あの、春香ちゃん」

春香「はい! なんですか?」

小鳥「千早ちゃん、コックピットはないみたい。顔の横に乗って、変身用アイテムから指示を出してあげて?」

春香「」



……

キサラギ「……みんな、しっかり掴まったかしら」

スター「はいなの!」

ムーン「問題ありません」

サン「いつでも大丈夫だぞ!」

春香「よぉし……それじゃあロボ千早ちゃん、発進!!」


ゴゴゴォオオオオオオオオオ……


小鳥「行っちゃいましたね」

妖精「必ず帰ってくる。……信じよう。…………プロ」



……

ゴォオオオ……

サン「よぅし、近づいてきたぞ……!」

スター「近くで見ると、さらにでっかいの」


キィイイイイイング……ネムイナァアアアアアア

ムーン「既に地上の人々を眠らせ、エネルギーを吸収し始めています。これが全世界に広がってしまうと……」

サン「その前に、なんとかして止めるぞ!」

スター「うん! プリキュア! モーニングコール!!」カッ

チュドォオオン……

ネムイナァアアアアア

サン「ぜ、全然効いてないぞぉ……!」

ムーン「質量が違いすぎて、こちらの攻撃では歯が立ちません!」

春香「なら、内側からならどうかな?」

サン「おぉっ! ナイスアイディアだぞ!」

ムーン「しかし、どのように突入を……」

春香「私にいい考えがあるの! みんな、千早ちゃんの腕に掴まって!」

サン「……何かいやな予感がするぞ」

春香「いくよ! せーのっ」


春香「それっロケットパーンチ!!」ドヒュッ

ズガァアアアアアアッ

春香「やった! ロケットパンチがキングネムイナーの中へ」

キサラギ「きゃぁああああああ腕が!! 私の腕が!!」

春香「落ち着いて千早ちゃん! 飛んだのは千早ちゃんの腕じゃないよ!」

キサラギ「間違いなく私の腕よ!!」

春香「もう、心配性だなぁ、ロボニナールを壊せば元通りだって言ってたじゃない」

キサラギ「……この状態のまま元に戻ったらどうなるのかしらね」

春香「それは……はっ、そ、そんな! このまま戻ったら大変!!」

キサラギ「……なぜ撃つ前に考えてくれなかったのかしら」

春香「ま、まぁ、きっと三人が持って帰ってきてくれるよ! あは、あはは……」

キサラギ「……」



……


-キングネムイナー、内部

ムーン「……どうやら、突入に成功したようですね」

サン「いいのかな……千早の腕」

スター「千早さんならきっと大丈夫なの! さ! 早く最深部を目指そ!」

タッタッタッタッタ……

“ クルナ!! ”


グラグラグラグラァッ

サン「うわぁっとと! なんだぁ!?」

ムーン「今のは……キングの声」

“ ワタシニ……チカヨルナァッ ”

ゴゴゴゴゴォッ

ネムイナー「ネムイナー」

サン「人もいないのにネムイナーが!」

ムーン「おそらく、地上の人々から吸った夢の力を核として……」

スター「なんでもいいの! とにかく倒して進むだけ!! やぁああ!!」ズガァア!

ネムイナー「ネムゥー」ドタァアン



……

サン「はぁ……はぁ、……ここが?」

ムーン「……っ、キングネムイナーの、中心と思われます」

スター「……真っ暗なの。……何も見えない」

「来るな……私に、近づくな……!」

ムーン「そこにいるのですか……?」

「やめろ……触れるな……私の夢にっ、踏み込むなぁ!」



……

『なるほど……君は別の世界から来たのかね』

『ふん。笑いたければ笑うがいい。だが私には、我が世界を救う使命が』

『うむ、ならば私も協力しよう!』

『……信じるというのか? こんなヨタ話を』

『嘘か本当かなんてどうでもいいのさ。君は私に信じてほしいから話した。私は君を信じたいから聞いた。ならば当然の結果だろう?』

『フ、フハハハハ! とんだ甘ちゃんだな。……だが、いいだろう。どちらがより多くの夢の力を生み出せるか……勝負といこうじゃないか!』

『ふむ……君がそう望むのなら、そういう方式でいこうか』



……

『お前のやり方は甘い! そんなことでは、いつまでたっても……!』

『急いては事を仕損じる。君こそ、少々荒っぽくやりすぎではないのかね?』

『私には使命があるのだ……! ただの遊びで仲良しごっこをやっているお前達とは』

ガシッ

『うぐっ……何を』

『私のことはいい……私は確かに甘いところがある。この業界のシステムを利用しきれてはいない。…………だが、私のプロデュースするアイドルらの悪口は、やめてもらおう』

パシッ……

『……ふん。三流にも、プライドはあるようだな。……ならば結果で照明して見せろ。私のやり方を否定するのなら、お前のやり方で捻じ伏せてみせるがいい!』


……

ザァアアアアアア……

『なぜ……なぜだ…………』

『フフ……無事、か?』

『なぜ私をかばったりしたのだ!!』

『……だから、言っただろう……急ぎ、すぎだと……裏の世界に、足を突っ込みすぎたな?』

『……馬鹿だ…………お前は大馬鹿だ! 三流以下のクズだ! 私なんぞをかばって……お前を信じてついてきてくれている者達はどうなるのだ!!』

『……それは、お前も、同じ……だろう』

『…………違う。私は孤高だ……そして私の下につく者達も。故に、私がいつ消えても、それぞれの力で生きていける……だがお前達は違うだろう、なのに』

『違くなんて、ないさ……私も、お前も……やり方はズレていても……アイドルを…………夢を、愛する気持ちは………………』

『……っ! 目を……目を開けろ……おい!! 死ぬな!! 死ぬなっ!!!』


『ぅぉおおおおおおおおおおおおおお!!』

ザァアアアアアア……



……

「わたしはっ……取り戻すのだ! 故郷を……夢を…………友を……そのためならば」

サン「間違ってるよ!!」

「なんだと……」

サン「どんなに、……どんなにっつらいことがあったって……その人は……その人はキングに生きてっ、前を向いて生きていて欲しかったはずさぁ!」

サン「夢に逃げたって……その人は戻ってこない…………生きて戦わなきゃいけなかったんだよ!!」

「黙れ!! 小娘に何が分かる!!!」

サン「だって……だってっ、こんなの…………キングがかわいそうすぎるっ」グスッヒグッ

スター「響……」

「……! 泣いて……いるのか? なぜ…………なぜだ!?」

ムーン「……キング。泣かせたのは貴方ですよ」

「……なぜだ」

ムーン「分からないのですか? ……貴方が涙を溜め込んでいるから、溢れて、貴方が洪水に沈んでしまわぬように……貴方が溜め込んだ涙を、響が流してくれているのです」

「…………くだらん」

サン「ぐすっ……ぅう」ヒックヒック

スター「よしよしなの」ナデナデ

「……くだらん。くだらんくだらんくだらん! 絆? 信じる? 愛? 友情? ……そんなものでどうにかなっていたら、とっくに!!」

ムーン「それでも、」

「……」


ムーン「……それでも、……それらがみな、夢現のようであったとしても、…………人は夢なしでは、生きてはゆけぬものです。そして夢は……現実を生きるための力」

「現実など…………私には、もうっ生きる価値など」

スター「難しく考えすぎって感じ」

「なんだと!?」

スター「おにぎりがおいしい。あったかいお日様が気持ちいい。お昼寝して幸せ。いちごババロアおいしい。夜寝れて幸せ。生きる意味とか価値なんて、そーいうのでいーんじゃないの?」

サン「美希……食べて寝てばっかりだぞ」クスッ

スター「人間の幸せなんてそんなもんなの。でも、それでいいって思うな」

「……私には、それを感じる資格も」

スター「だから! 資格なんていらないの!! えい!!」ガシッ

「!? なにをする! やめろ!!」

スター「こんなとこに引きこもってるから……発想がヒンコンになるの!」グイグイ

サン「へへっ……確かにな。きっと太陽を浴びた方が、元気出るぞ?」ガシッグイグイ

「よせ!! やめろ!! 私はもうっ」

ムーン「参りましょう……」スッ

「………………ほんとうに、……馬鹿だ。大馬鹿だ。結局お前は、こんな……三流なところばかりを……」

スター「行こっ」

サン「外は眩しいぞ~! 目がくらまないように気をつけろよ!」

「……ウィ…………そうだな」


…………お前の心は……今もこの世界に、現実に……受け継がれているのだな。

……ならばその行き着く先……見届けてみるのも一興か。

結果次第では、盛大に笑ってやる。それ見たことか……とな……




……

美希「……あふぅ。ハニー遅いの。迎えに来るって言うから待ってるのに……眠くなってきちゃう。あったかいし……でも……こんなところでねちゃ……だめなの…………」




「……き! ……美希!」

美希「ん……? んむー……はにぃ……?」

??「美希! 美希!! ほら起きろ、風邪引くぞ」

美希「……ハニー?」

P「なんだ? 寝ぼけてるのか? ほら行くぞ。」

美希「はぁい! なの!」

P「あっこらくっつくな歩きづらい」

美希「えー? じゃあ妖精姿になっていいよ? そしたらぎゅーってしながら運んであげるの」

P「何を言ってるんだ……。事務所で響と貴音が、一緒に夕飯食べようって待ってるから、早く帰るぞ」

美希「えー」

P「なんで嫌そうなんだよ」

美希「貴音、いつもラーメン屋さんばっかり行きたがるんだもん」

P「ははは、まぁそれはなぁ。でも行くんだろ?」

美希「そりゃそうだよ。美希達、スペースアイドルプリキュアの絆は不滅だよ? 変身はできなくなっちゃったけど。もしかしてハニーも?」

P「だからなんの話だ……」

美希「えー……?」



……


END



<次回予告(嘘)>

「面妖な気配……何奴!」

「我はもう一人のお前……」

「どういうことなの!?」

「クックック……我はお前を葬り、真のヤーネフェルトとなる」

「貴音には指一本触れさせないさぁ!!」

「邪魔をするか! 煩わしい太陽ね……まとめて闇に呑まれよ!!」



「お願いなの! 目を覚まして……お姉ちゃん!!」

「無駄だよ。今の彼女には私の命令しか届かない」

「本物の愛は、力なんかで断ち切れないの!!」



「私の名はレオン……アイドルハンターだ」

「大好きな人のために戦うミキは無敵なんだからぁあーっ!!」



ダークプリキュア編、乞うご期待!!



翔太には本当にすまないと思っている。

ここまで見て下さった方は本当に有難うございました。

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