春香「プロデューサーさんにはもっとしっかりしてもらいたいんだよね」 (31)

千早「そう?とてもしっかりした人だと思うけど」

雪歩「うん、ちゃんとしてるよ?」

春香「それがこないだの番組の収録の時にディレクターの人と大喧嘩しちゃったんだよね」

雪歩「えっ…」

千早「プロデューサーが…?」

春香「その人めちゃくちゃでさ、段取り悪くてグダグダになってるの私たちのせいにしてきたんだ」

千早「それはひどいわね」

雪歩「プロデューサーが怒るのも無理ないよ…」

春香「もう八つ当たりだったよ、プロデューサーさんなんてボロクソ言われちゃって」

千早「そいつ、最低ね」

雪歩「…許せない…」

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春香「まあそこまでは耐えてくれてたんだけど」

春香「私にも悪口みたいなひどいこと言われたらブチギレちゃったんだ」

千早「…そうなの…」

雪歩「…大変だったね…」

春香「自分の時みたいに我慢して頭下げてればいいのにさ」

春香「私のことになるとキレちゃうんだから 私 の こ と になると」

千早「……」

雪歩「……」

春香「相手の胸倉つかんで『あんたに春香の何がわかるんだよ!』って…」

春香「もう止めるの大変だったよ~」

千早「…責任感強い人だし…」

雪歩「…一生懸命だからね…」

春香「後で冷静になって反省してくれたんだけど」

春香「『すまない春香…ちゃんと守ってやれなくて…』ってさ」

春香「いやいや~そこを反省されても!って感じだよね!」

千早「…まあ…」

雪歩「…うん…」

春香「もっと自分の立場とか周りの迷惑とかそっち気にして欲しいよ」

春香「私のことだからって見境なくなっちゃって…ホントしっかりしてくれないかな」

千早「……」

雪歩「……」

春香「いつもは落ち着いていて頼りがいがあって優しくて私をリードしてくれる大人の男性って感じなのに」

千早「……」

雪歩「……」

春香「どうして私のことになると感情的で向こう見ずなところが出ちゃうかなあ?」

千早「……」

雪歩「……」

春香「ねえねえ、どうしてかなあ?」

千早「…虫の居所が悪かったんじゃないかしら」

雪歩「きっとそうだね」

春香「ああ~原因がわからないと対処出来ないよね~」

千早「……」

雪歩「……」

春香「まっ二人の時にはしっかりやってるみたいだし少し安心したよ」

千早「…そうね、この前の私のソロライブの時もよくしてくれたわ」

春香「こないだのやつ?あれすごかったよね~」

雪歩「うんうんすごく格好良かったよ」

千早「プロデューサーは企画から細かい演出までしっかりとやってくれたの」

春香「やっぱりちゃんとやってるんだね」

千早「ええ…表向きはね」

春香「…え?…」

千早「実は…ライブが終わった後の楽屋でプロデューサーが泣いてしまったの」

雪歩「花粉症かな?」

春香「多分ね」

千早「いえ、嬉しくて泣いてしまったのよ」

千早「すごく嬉しそうにはしゃいじゃって…まるで子供みたいね」

雪歩「……」

春香「……」

千早「でも流石にどうかと思って、もう!しっかりしてください!って言おうと思ったの」

千早「そしたら『ありがとう千早、本当に夢みたいだよ』って…」

千早「本当にしょうがない人なんだから」

雪歩「……」

春香「……」

千早「あっごめんなさい、今更だけどこの話は秘密にして欲しいの」

春香「…どして…」

雪歩「……」

千早「だって泣いてしまったなんてみんなに知られたら恥ずかしいでしょ、彼」

千早「私 ぐ ら い にしか見せられないのに」

春香「……」

雪歩「……」

千早「だから、内緒にしてあげてくれるかしら?」

春香「…そう…」

雪歩「……」

千早「萩原さんもいいかしら?」

雪歩「ふぇっ?、あっちょっとボーっとしちゃってて…」

千早「ふふっ萩原さんもそういうことあるのね」

雪歩「えへへごめんね千早ちゃん」

千早「いいのよ、最初からもう一度説明するから」

雪歩「えっ?」

千早「あれは私と彼のライブでのことなんだけど」

雪歩「……あっ」

春香「どうしたの?雪歩」

雪歩「えっとちょっと待ってて、渡そうと思ってたものがあるの」

春香「なになに?」

千早「……」

雪歩「はいこれ、この間の3人でのオーディションの写真、印刷してきたんだ」

春香「持ってきてくれたんだ、嬉しいよありがとう」

雪歩「はい、千早ちゃんも」

千早「…ありがとう」

雪歩「それにしても2人ともプロデューサーのことで大変なんだね」

春香「……雪歩はそういうことないの?」

雪歩「うん、全然無いよ」

春香「本当に?」

雪歩「うん」

千早「絶対に?」

雪歩「うん」

千早「フフッそれは残ね…よかったわね」

春香「いいなあ羨ましいよ」

雪歩「私はむしろ迷惑かけてないか心配になっちゃうかな」

春香「雪歩は大丈夫だよ、すごく頑張ってるし」

千早「ええ、私たちもよく助けてもらってるわ」

雪歩「そういうふうに言ってもらえて嬉しいよ、ありがとう」

雪歩「実はプロデューサーにも同じようなこと言われたんだ」

春香「…へー…」

千早「…よかったわね…」

雪歩「いつも迷惑かけてごめんなさいって言ったら」

雪歩「『そんなことないよ、雪歩が一生懸命だから俺の励みになるんだ、本当に助かるよ』って」

雪歩「意外だよね、そんなふうに想っててくれたなんて」

春香「……」

千早「……」

雪歩「だから何かプロデューサーの力になれたらいいなって思ったんだ」

春香「……」

千早「……」

雪歩「……」

春香「…いいんじゃない…」

千早「…そうね…」

雪歩「それから私の手をぎゅっと握って『一緒にがんばろうな』って…」

春香「……」

千早「……」

雪歩「……」

春香「…別に…手ぐらい…」

千早「…ええ…」

雪歩「プロデューサーの手、暖かかったな…」

春香「……」

千早「……」

雪歩「あっごめんね、二人には全然関係の無いこと言って」

雪歩「それでね春香ちゃんと千早ちゃんにはプロデューサーのことで色々心配かけちゃってるから」

雪歩「私が少しでもプロデューサーの力になってあげられれば安心してくれるかな?」

春香「…プロデューサーの?…」

千早「……」

雪歩「うん、彼 と 二 人 で一緒に頑張るから…ね?」

春香「……」

千早「……」

雪歩「いいんだよね?千早ちゃん」

千早「……」

雪歩「春香ちゃんもいいよね?」

春香「…そっか、そうだね」

雪歩「うんうん」

春香「お仕事に関しては雪歩に任せるよ」

雪歩「…うん?…」

春香「ちゃんと彼のお仕事の力になってあげてね」

千早「そうね、萩原さんが彼のお仕事を支えてくれたら私の負担も減るわ」

雪歩「……」

春香「あ~よかった、雪歩が彼のお仕事の面を担当してくれて」

千早「本当に助かるわ、萩原さん」

雪歩「……」

春香「いいんだよね?雪歩」

雪歩「……っふふふふふ」

千早「ふふふふふ」

春香「ふふふふふ」

P「ただいまー」ガチャ

春香「あっお帰りなさいプロデューサーさん」

千早「お帰りなさい」

雪歩「お帰りなさいですぅ」

P「あれっお前たちまだ残っていたのか?もう遅いぞ」

春香「えへへお喋りしてたら遅くなっちゃいました」

P「全く…明日はついにジュピターとのフェスなんだぞ、大丈夫なのか?」

春香「楽勝ですよ!」

千早「問題ありません」

雪歩「楽しみですぅ」

P「ははっ頼もしいな」

P「でももう遅くなってるから帰らないとな、送っていくよ」

春香「えっいいんですか?プロデューサーさん」

P「まあ…春香は自宅までってわけにはいかないけどな」

春香「ええー」

P「駅まではちゃんと送るからさ」

千早「でもプロデューサー忙しいのにいいんですか?」

P「遠慮するなよ、それくらい大丈夫だ」

雪歩「じゃあ春香ちゃんはお家遠いし千早ちゃんはあんまり遅くなると良くないから、私は最後でいいですよ」

春香「雪歩は遅いとお家の人心配するでしょ?私が最後でいいですよ」

千早「二人とも家族に心配かけたらよくないわ、私を最後にしてください」

P「やれやれ…お前たちは本当に仲がいいな」

千早「はい、だって私たち…」

春香・千早・雪歩「「「仲間だもんね!」」」


おわり

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