真面目(男君、今日の体育は見学なのね)(35)

昨日の 男「あ、消しゴム落とした」 の続編になります
前作を見てない方でも分かる内容にしたつもりなので、よければ読んでください
では


―――――


真面目(どこか具合でも悪いのかしら・・・心配だわ)

真面目(後でお見舞いに・・・いえ、お見舞いに行くほど具合が悪いようには見えないわ)

真面目(功を焦ってはいけない。男君に自然と近付ける機会は必ずある。見極めるのよ・・・)

活発(男、今日は見学なんだ・・・身体大丈夫かな)

活発(声をかけに行きたいけど、もうすぐ女子組はドッジボールが始まるし・・・)

活発(ううっ、気付くの遅いよあたし!こんなんだから男に近付けないんだ!)

先生「やぁやぁ!暇だから来ちゃったよっと!」

真面目「ッ・・・先生?他のクラスの授業はどうしたんですか?」

先生「今の時間はどこも受け持ってないよ。職員室にいてもやる事もないし、教え子の運動神経を確かめておこうかなっと」

真面目(・・・よく言うわ。男君を嗅ぎ付けてきたくせに)

先生(男君は・・・見学か。ふふっ、チャンスだ)

先生(真面目君も活発君もドッジボールを始める。不良君がサボって・・・もとい、見学しているのは気掛かりだが)

先生(孤高の不良君が男君に接触するはずがない。つまり今は私が男君を独占できる・・・!)

また心理戦が展開されるんだな

( ´∀`)っ④"

男友「よお男!バスケやらないのか?」

先生(ッ・・・男友君が先に話しかけたか・・・彼がいては私が入り込める話題にならない)

先生(まぁいい・・・まだ時間はある)

男「うん。今日はちょっと体調が悪くて」

男友「そんな生理みたいな理由で見学かよ!だらしねーなぁ!」

真面目(ッ・・・男君になんて事を言うの!?この恥知らず!)

真面目友「ちょっ真面目!狙われてるよ!」

真面目「ふっ!」

真面目友「・・・おぉ・・・凄いね真面目。あのボールを避けるなんて」

真面目「偶然よ。それよりも気を付けて。『相手』は隙あらば付け込む蛇のような女よ」

真面目友「お、おう・・・?」

活発(真面目さん凄い・・・勝てるかな、あたし)

活発(・・・ってまた弱気になってる!!ダメだよ!もっとガツガツ行かなきゃ!)

活発「活発友、ドンマイ!!次は当てていこうね!」

活発(男・・・見てて!あたし、こういう所ではやるんだから!)

男友「―――ふぃー、1クオーターだけでも疲れるわ」

男「あははっ、お疲れ様。男友はバスケ上手いね」

男友「やめろよ!俺褒められると調子悪くなるから!・・・それはそうと」

男「ん?」

男友「女子のドッジボール見てるか?なんか迫力あるよな。特に真面目と活発はさ」

男「うん、そうだね。なんかプロの試合を見てるみたい」

男友「やっぱ女のこういう姿見るとかっこいいって思うよなぁ」



男「うん、僕もスポーツができる女の子は凄く格好良いと思う」

ガタンッ!!

不良「―――」

真面目「・・・ッ」

真面目(そう・・・やはり、避けられないのね・・・)

活発「不良・・・さん・・・?」

活発(もしかして・・・男のを聞いたのかな・・・)

先生「・・・不良君。具合はもう大丈夫なのかなっと」

先生(・・・始まる)


不良「―――オレも出陣(で)る」

体育教師「不良?どうしたんだ、急に」

不良「身体を動かしてぇんだ。いいだろ」

体育教師「・・・まぁ不良が授業を受けてくれるなら俺は何も言わない。皆に怪我はさせるなよ」

不良「・・・」

真面目(―――不良さんは相手陣地、か。活発さんに引け目を感じているからかしら)

活発(わわっ、不良さんが味方になっちゃった!どっ、どうしよう・・・味方を食べて強くなるタイプじゃないよね)

活発「ふ、不良さん!よろしくね!」

不良「・・・おう」

不良キタ━━(゚∀゚)━━━

先生(・・・不良君の身体能力は異常だ。おまけにあの野性的本能)

先生(この試合、間違いなく不良君が中心となって荒れるだろう)

先生(・・・しかし、男君は『スポーツが上手い女性に惹かれる』と言った)

先生(つまりただ暴力的に振る舞うだけでは、男君が言う女性にはならないはず)

先生(・・・駄目だ、楽観すぎる。不良君は仮にも男君に認められた女)

先生(おそらく男君は不良君の強さの本質に理解し、強く惹かれるだろう)

先生(誰かが不良君を抑えるか、違うベクトルでの『惹かれる女性』を男君に見せるか)

先生(・・・それにしても・・・いつまで男君と話しているんだ!男友君!)

真面目「さて・・・そろそろ始めましょうか」

活発「あっ、うん!負けないよー!」

不良「・・・」

真面目(私達の内野は6人、それに対し向こうは3人。ボールもこちらの手にあるし、私達が有利)

真面目(・・・と言いたい所だけど、不良さんの強さは計り知れない。なら・・・ッ)

真面目「先に・・・こちらを仕留める!!」

男「ッ!あのフォームは・・・!」

先生・体育教師「まさか・・・サブマリン投法ッ!?」

男友「説明しよう!サブマリン投法とは野球の投手フォームの一つだ!身体を極限まで沈め、ボールの発射点を下げる事で『下から上へ』という軌道を生み出せるぞ!」

体育教師「上手い!あの軌道なら『顔に当たるかもしれない』という恐怖が生まれ、ボールを取られる心配はほぼなくなる!」

―――バシィッ!

活発友「ッ!!きゃっ!・・・あー・・・」

活発「活発友!大丈夫・・・?」

活発友「うん・・・ごめんね、活発・・・でも気を付けて。真面目ちゃんすっごく強いよ」

活発「・・・うん、任せて。あの投げ方、もう覚えたから」

真面目(よし、残るは2人。活発さんと・・・不良さん)

真面目(向こうのボールになってしまったけど・・・私達は6人よ。・・・勝てる!)

不良「・・・活発。ボール貸せ」

活発「えっ?う、うん・・・」

真面目(ッ・・・来る。狙われるのは誰・・・!?)

不良「・・・よし。行くぜェェェ・・・」

真面目友「オーバースローよ!気を付けて!」



不良「ッッッぐるァァァアアアアアアア!!」

―――『アルマゲドン』という映画がある。
巨大な隕石が地球に接近するが、それを十数人の勇士達が破壊する事で人類を救う作品である。

「―――友―――!しっ―――て!」

・・・しかし、その勇士達ですら敵わない隕石が地球に襲い掛かるとしたら、人類はどうなるだろうか。

「―――達!大丈―――か!」

もしも『スケールが大きすぎて想像ができない』という人がいるのなら、この惨状を目の当たりにすれば思い知るだろう。

体育教師「保健委員は誰だ!彼女達をすぐ保健室へ!」

―――人間が、どれほどまでに無力なのかと言う事が。

不良「・・・怪我はしてねぇだろ」

体育教師「・・・それはそうだが・・・いいか、これは授業だ。そこまで本気を出す事じゃないだろう」

不良「アイツ等も本気だろ。ならオレも本気でやるのがスポーツマンシップってやつじゃねぇのか」

体育教師「・・・」

真面目「ッ・・・そうよ・・・。私、は・・・本気の貴方を・・・倒さなきゃ」

真面目(まだ、頭がくらくらする・・・くっ、何をやっているの・・・私ッ)

活発「で、でも真面目さん・・・あんなボール・・・無理、だよね・・・」

真面目「はぁ・・・ふッ!!・・・よし、やれるわ。活発さんも気を抜かないで」

不良(・・・やった、誰も怪我してない!上手くできたぞ、男!ちゃんと見てるか!?)

真面目(・・・まずいわ)

真面目(こちらの内野は私一人・・・まさか1発だけで5人も減らすとは思わなかった)

真面目(・・・いえ、不良さんは『誰にも当てていない』。衝撃波だけで私以外は皆外野まで吹き飛ばされた)

真面目(だから全員がセーフのはずだけど・・・ほとんどの人があのボールを恐れて自らアウトだと宣言した)

真面目(真面目友さんはまだアウト宣言をしていないけど、保健室に運ばれて行ったし)

真面目(真面目友さんの代理を自ら務めるような勇士などいないわ・・・。絶望的ね)

体育教師「ボールは真面目コートにやる。・・・ボールがあった体育館の壁の中は、どっちの陣地でもないからな」

真面目「ハンデ・・・ですか?・・・上等よ」

真面目(考えていても仕方がない。とにかく投げる事に集中するのよ)

真面目「・・・不良さん。次は貴方を狙うわ」

不良「・・・来いよ」

先生(・・・相手に狙いを悟られないための作戦か?それとも・・・『覚悟』か)

真面目(集中するのよ。不良さんを倒せば楽になれる)

真面目(よし・・・行ける!!)

真面目「はぁぁぁぁぁ!!」

活発「サブマリンだ!不良さん、前に走って!」

真面目「なっ!?」

不良「ッ!!っらァァァ!!」

・・・ぼふっ。

―――ああ、終わったのかな

活発「・・・とった、とったよ不良さん!!」

―――男君、できれば見ないで欲しいわ

不良「・・・りがと」

―――私はこれから、とても無様な姿になるから

不良「・・・おい。怪我だけはすんなよ」

―――悔しいな



不良「終わりだぁぁァアアアアアアアアア!!」

「―――全く。そんな顔をするんじゃないよ」

・・・何・・・?

「真面目友君の代理だよ。すぐに代われれば良かったんだけどね」

・・・何を、言っているの・・・?

「君は『アルマゲドン』という映画を知っているかい?」

・・・ええ

「あの映画ではね、ある男が命を諦めるんだ。でもね・・・父が、その男を救う」

・・・良い、話よね



先生「―――私も、教え子を救いたいと思ってね」

不良「・・・ンだ、テメェ・・・」

先生「・・・不良君。君は強すぎる」

不良「なんで、いるんだよ・・・」

先生「君は『私』では勝てない。私は先生だから」

活発「せん・・・せい・・・?」

先生「でも・・・駄目だなっと。君に勝とうとするのなら」

不良「なんでボール持ってんだよォォォ!!」

先生「―――私は、『女』になってしまう」

不良「おい体育教師!部外者が乱入してんぞ!」

体育教師「先生は真面目友の代理だ。彼女は不良のボールが当たっていない・・・つまりセーフだったからな」

不良「ッ・・・!!」

先生「真面目君、しっかりしなさい。まだ負けてないよ」

真面目「・・・先生・・・ふふっ、考えたわね」

先生「おおっと、バレたか。最高に格好良いシチュエーションだったからね」

真面目「ええ、悔しいわ・・・でも、助かった。私はまだ戦える」

真面目(そうよ。私はまだ・・・勝てる!!)

活発「ふ、不良さん・・・どうしよう・・・?」

不良「・・・焦んなよ。さっき良いアドバイスしたじゃねぇか」

活発「そっ、それは偶然・・・」

不良「偶然でも勝ちてぇだろ!テメェの・・・テメェの力が必要なんだよ!!」

活発「ッ・・・!!うん・・・うん!!」

真面目「・・・良い、コンビね」

先生「そうだね。でもこれ以上、『あの不良君』を男君に見せる訳にはいかないなっと」

先生「じゃあ・・・行こうかッ!!」

真面目(ボールを高く放り投げた!?何を・・・ッ)

活発「不良さん!スパイクだよ!!」

不良「スパ・・・はぁ!?」

先生「ッッッと!!」

―――不良の元へ新たな隕石が落ちる。
暴力的に襲い掛かる災厄ではなく、杭を打ち込むような『攻撃』として。

活発「不良さぁぁぁん!!」



体育教師「―――活発、アウト!!」

活発「・・・えへへ」

不良「笑ってんじゃねぇよ!なんで庇ってんだよ!!」

活発「だって・・・私じゃ無理だし・・・さ。不良さんならあの二人に勝てるかな・・・って」

不良「・・・ッ」

活発(男に良い格好できなかったのは残念だけど・・・やっぱり、勝ちたいもんね)

不良「・・・お前は」

活発「・・・え?」

不良「その・・・なんだ。・・・オレの、さ」

活発「な、何・・・?」

不良「や、やっぱりヤメだ!!待ってろよ!ぜってぇアイツ等ぶっ倒す!!」

先生「―――不良君。楽しかったよ」

不良「・・・るせぇ」

先生「君が実は優しい子だという事も分かった。活発君とも友達になれたみたいだしね」

不良「・・・ッ」

真面目「でも酷な事を言うけど、私達だって勝たなければならないの」

不良「・・・知ってる」

先生・真面目「そう。なら・・・その『暴力』で、私達を倒してみなさい!!」

オレさ、男と出会って良かったわ

男はさ、今よりもすっげーバカだったオレに『そのままの君が良い』って言ってくれてさ

それでさ、チカラの使い方?ってやつを教えてくれたよな

昔は全然分かんなかったけど、今はちょっとだけ分かる気がするぜ

なんかさ、すげえ嬉しいんだ

活発がオレにチカラを貸してくれたこと、オレを守ってくれたこと

ははっ、すげえな男

・・・やべえ、また気持ちが溢れてきちまった

大好きだぜ

不良「・・・オレは」

先生「・・・?」

不良「こんな、暴力女だけど」

真面目(ッ・・・ボールを高く放り投げた?先生と同じスパイク・・・!)

不良「それでも、認めてくれる奴がいたから」

先生「ッ真面目君、違う!!あの『拳』は・・・ッ!!」



不良「どこまでもッ・・・愛してるんだァァァアアアアアアアアアアアアア!!」





男友「男、ごめんな。保健委員じゃないのに、女子達を運ぶの手伝ってもらって」

男「ううん、気にしないで」

以上です
読んで頂いた方、ありがとうございます

乙(^o^)

途中から壮大な話になってたなwwwww

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