真姫「言わぬが花の皮算用」 (53)

前回の豆ライブ!



9スレ目の蓬莱亭。


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真姫「はいお昼ご飯」

花陽「まだちょっと早いけどね」

凛「ちょっとどころじゃないにゃ、まだ10時にゃ」

真姫「なんかしてないと落ち着かないのよ…」

花陽「今日卒業式だもんねー…でももう少し落ち着こ?」

凛「どうせ後で9人とも集まるんだから今そわそわしてどうするんにゃ」

真姫「あぁ…わなわなする…」

花陽「ヤニ切れた人みたい」

真姫「もうちょっとなんか良い例えない?」

凛「正直まだおなか減ってないけど食ってやるかにゃ」

花陽「オムライス久々だぁ」

真姫「卵料理に外れはないのよ」

凛「あれ、なんかトマトの味が」

真姫「刻んだプチトマト入れたの、美味しいでしょ」

花陽「うん、酸味が効いてて良い感じだね」

真姫「オムライスならぬマキライスよ」

凛「もう原型がないじゃん…っていうかトマト入れただけで自分の料理気取りとか片腹痛いにゃ」

真姫「じゃあトムライスで」

花陽「誰なのトム…」

凛「式終わるのいつだっけ?」

花陽「終わるの自体は11時だけどなんやかんや12時過ぎるんじゃないかな」

真姫「また暇になってしまったわね…」

凛「もういい加減おとなしくしてるにゃ、ほらイカあげるから」

真姫「なんでバブリシャスがイカなのよ…」

花陽「給食の八宝菜に入ってる四角いイカに似てるから」

真姫「あ…あぁー…なんとなく…」

凛「早くアルバムの最後の白いところを凛のサインで埋め尽くしてやりたいにゃ」

花陽「それは多分普通に怒られるよ…」

一旦寝る

・・・


絵里「はー…終わったのね…」

希「高校の卒業式って別に特別なことせんからなぁ、ちょっと質素な感じしてしまうな」

絵里「でもこうやって校内回ってると…やっぱり感慨深いわね」

希「生徒会室に来るのもこれが最後やなぁ…」

絵里「そうね…良い思い出も良くない思い出も何もかもここに詰まってるのね」

希「認められないワァ…」

絵里「やめて…忘れて…」

希「ふはは」


絵里「…」

希「…」

絵里「大学、どこだっけ」

希「んー…結構遠い所」

絵里「どうしてその大学に行くことにしたのよ」

希「それが別段理由とかないんよ、学力的にも丁度良いしここでいいかなみたいな」

絵里「そう…あんまり会えなくなるのかしら」

希「せやなぁ…」

絵里「…」

希「なぁえりち」

絵里「なに希」

希「うちなー…えりちに言いたい事があるんやけどね…」

絵里「うふふ、なによ改まっちゃって、らしくないわね」

希「…」

絵里「で、どうしたのよ」

希「なんでもない、早く穂乃果ちゃん達の所いこっ」

絵里「えぇーなによそれ気になるじゃない」

希「わはは」

/ピンポーン\


凛「いらっしゃっせー」ガチャ

真姫「私の家なんだけど」

穂乃果「お邪魔します!」

希「お邪魔しまーす」

絵里「わぁ玄関広い」

海未「穂乃果、靴をきちんと揃えなさい」

ことり「なんかいい匂いするねー」

花陽「さっき真姫ちゃんがオムライス作ってくれたんだー」

穂乃果「ええーずるーい!」

海未「昼食にはまだ早いような気がしますが…」

凛「いやー恋人の帰りが遅いから落ち着きなくって」

真姫「イミワカンナイ!!!」

花陽「あれ?そういえばにこちゃんは?」

海未「何やら家の用事で遅れると言っていましたよ」

真姫「そう…」

凛「よーしちょうど8人なうちにスマブラやるにゃー」

花陽「それはそれでなんかにこちゃん可哀想だよ…!」

穂乃果「後からきてスマブラの話になった時に寧ろ疎外感増すよ!」

希「しかし8人でできる遊びってあんまりないしなぁ」

海未「やっぱり遊ぶ時は4人がベストですね」

ことり「3人もなにかと不便だよねー」

真姫「大富豪とか大体誰か革命するのよね…」

絵里「じゃあ4:4にしましょうか」

凛「じゃあスマブラチームはリビングでもう4人は和室でエクバやるにゃ」

真姫「私の家なんだけど」

海未「ゲーム機充実してますね…」

花陽「お父さんが結構やるんだって」

希(っていうか後から来たにこっちが疎外感ないようにするっていう目的は果たされていないような…)バァァルカン!!!

花陽「わはは、わはは」グルグルグル

真姫「う、うざい…! 1000コスで煽られるのすごい腹立つ…!」

絵里「花陽が強くて前に出れない…」トビア!

花陽「ヒルドル部部長としてはこれくらいできないとね」

希(やめるんや…! にこっちが守り続けてきた大切な部をそんな部活に変えるのはやめるんや…!)バァァルカン!!!

絵里「っていうか真姫はなんでカメムシ使ってるのよ…」

真姫「フォビドゥンの事!? それもしかしてフォビドゥンの事!?」

花陽「正直に言うと支援と曲射強いからバカに出来ない」ズキャア

真姫「AP弾はっや…こんなの避けられるわけないじゃない…」

絵里「あとは任せたわ」ボォン

真姫「なんで落ちてるのよ!」

希「えりち基本ゲーム弱いから…」ゴッドシャドウ!

花陽「わはは」グルグルグル




お金持ちだからね、そういうことにしておこうね。




穂乃果「ファルコンパーン!」

凛「ああー…なんで当たったかにゃ」

穂乃果「ふ…今日もパンが上手い…」

凛「それは別に上手くねーにゃ」

海未「なんでスマブラは64なんですか…」

凛「wiiU向こうの部屋にしかないからね」

ことり「貴女は最低です!」ペチーン

海未「プリンでそのセリフを言うのはやめなさいことり!」

ことり「最低です!」ペチーン

穂乃果「あっ、ちょ、ことりちゃんやめて! なんかことりちゃん予想外の強さなんだけど!」

海未「あの…凛?」

凛「うん」

海未「その…あの話は」

凛「分かってる」

海未「い、いえ、その」

凛「海未ちゃん」

海未「はい…」

凛「凛は平気だから」

海未「……はい」

凛「だから今は目一杯遊ぶにゃー!」ボーン

海未「あれ!? いつの間にチャージを!?」

にこ「あんたら何わざわざ別れてゲームやってんのよ…」

希「にこっち!」


真姫「なんで普通に入ってきてるのよ…」

にこ「何回インターホン押しても返事がないからまさかと思って」

凛「すまぬ」

絵里「普通にゲームしてて気付かなかったわ」

ことり「ごめんねにこちゃん」

花陽「ごめんなさい」

穂乃果「ごめんね」

海未「かたじけない」

にこ「やめてよ! なんで私が空気壊したみたいになってるのよ!」

希(やっぱりこうなるんやね…そして海未ちゃんはそれ謝ってないやね…)

穂乃果「さて、9人揃ったところで」

絵里「?」

海未「なにかあるんですか?」

穂乃果「…なにしようか」

真姫「決めて無いの!?」

穂乃果「いやー、だって卒業式だよ? そりゃなんとなく集まるに決まってるじゃん?」

希「まぁ…気持ちはわかるけどな…」

花陽「この人数で暇だとね…」

凛「あー、じゃあ希ちゃんうどん作って!」

花陽「うどん?」

凛「風邪ひいたとき作ってくれたやつ」

希「あー、あれな」

真姫「そうだった、食べさせてくれるって言ってたわよね」

穂乃果「じゃあユニット別で晩御飯対決!」

ことり「勢いでいったね」

海未「そういう人ですから」


希「じゃあまずは材料買いに行こか」

凛「希ちゃんのうどん美味しいんだよー」

海未「そうなのですか、楽しみです」

凛「ちょっと風邪で味変だったけど」

希「急に説得力なくなったな…」

凛「そうだ海未ちゃんこれ読んで」

海未「なんですかこれ…『友達ってどこからが友達ですか?』」

希「また懐かしいものを…」

凛「えへへ」

海未「ふむ…難しい質問ですね、正直その人次第としか…」

凛「そこをなんとか捻りを効かせて」

希「『人それぞれ』は良くも悪くも話を終わらせちゃうやんな」

海未「なんと言いますか、私は『友達』に限らず、人との関係性って言葉にしないことにしてるんです」

凛「…」

希「なにか理由があるん?」

海未「大したことでは無いんですが、誰かとの関係性を一言で終らせたら、それ以上にはなれないような、そんな気がするんです」

希「んー、なるほど?」

海未「別に『友達』だとか『仲間』で終らせても問題はないでしょうが、あえて言葉にしない、そんな仲もあると思いますよ」

凛「だって希ちゃん」

希「おっとおねぎさん買い忘れるところやったわー」

海未「ところで誰からの質問なんですか?」

・・・


真姫「で、私たちは何作るの?」

絵里「…」モグチカ

にこ「そうね…希たちがうどんって事はおかず作る方がいいわよね…」

真姫「でもうどんの副菜ってかなり限られない?」

にこ「そうよねー…やっぱり天ぷらが堅いか…」

絵里「ん…」モグモグチカ

にこ「…でアンタはなに食べてんのよ」

絵里「お昼ご飯代わりに、卒業祝いのどら焼き…配られなかった?」

にこ「そういう事ではなく……」

絵里「これ穂むらで作ったんですって、すごくおいしいのよ」

真姫「ほんと、あんこトロットロね」

にこ「どら焼き…ね」

絵里「何か思いついたの?」

絵里「お好み焼き?」

真姫「それは…どうなの?」

にこ「いいのよなんだって、作りやすくて分かりやすく美味しい、宴会モードの食卓で大事なのはこれよ」

絵里「おぉ、なんだかそれっぽいわね」

真姫「頼れる先輩感が漂ってきたわね」

にこ「もっと素直に褒められないの」

絵里「早速材料の調達ね」

真姫「豚肉とエビはあるわよ」

絵里「やっぱりお好み焼きって言ったらイカじゃない?」

真姫「はいこれ…」

絵里「…? なんでバブリシャス?」

にこ「さ、買い出し行くわよ!」


・・・

穂乃果「さてさて?」

ことり「さて?」

花陽「て?」

穂乃果「自分で言っておいてあれだけど、正直なに作ればいいかわからないよ」

ことり「だと思った」

穂乃果「あれ? なんか冷たい?」

花陽「主食はやっぱり凛ちゃんたちのうどんになっちゃうだろうし…」

ことり「作るならおかずかなぁ?」

穂乃果「甘いよ! おかずなんて高校生主婦のにこちゃんマンの独壇場だよ!」

花陽「タケちゃんマン?」

ことり(花陽ちゃん何歳なんだろ…)

穂乃果「むむむ…何か手はないだろうか」

ことり「…っていうか、穂乃果ちゃん料理出来るよね?」

花陽「え?」

穂乃果「おっと?」

ことり「肉じゃが得意だよね?」

花陽「そういえばプロフィールに…」

穂乃果「脱兎だよ!」

ことり「はいはいちゅんちゅん」ガシッ

穂乃果「ううぅ…」

花陽「肉じゃが…練習したんですよね?」

穂乃果「いやホントちょっとだけだから…穂乃果のちょっとはホントにちょっとだから…」

ことり「大丈夫大丈夫! 穂乃果ちゃんの手作りってだけでみんな喜ぶから!」

穂乃果「いやいや、ほらアレ、能ある鷹はってやつ!」

花陽「そんなに自信があるなら尚更お願いします」

穂乃果「あはは…」

ことり「ファイトだちゅん♪」

穂乃果「くっそ~…変にアレンジされた…」

花陽(アレンジされるの嫌なんだ…)

・・・



真姫「なんなのよこの混沌とした食卓は…」

希「うん、まぁしゃーないな」

海未「せめて系統だけでも揃えるべきでしたね…」

凛「いや、和食といえば和食で統一されているにゃ」

ことり「うーん…」

絵里「お好み焼きは和食なの?」

穂乃果「広島の名物だしそうなんじゃない?」

にこ「細かいことは気にしないの、どうせ9人で食べたら足りなくなるわよ」

花陽「そうだね! いただきます!」

8人「いただきます!」

真姫「あー…おいしいうどん」

希「醤油ベースのかつおだしに溶き卵いれて片栗粉でとろみつけたんやで」

凛「ラー油入れるのもおすすめだにゃ」

海未「お好み焼きもいい味ですねぇ」

ことり「やっぱりにこちゃんは違うねぇ」

にこ「当たり前でしょー、歴が違うのよ」フフン

穂乃果「ちょっとにこちゃん!なんでイカ玉にガム入ってんの!!?」

にこ「えー…なにそれ…わたし知らない…」

凛(絶対真姫ちゃんだ…)

ことり「エビ玉おいしー」

希「ウチのもとっといてなー」

海未「穂乃果…この肉じゃが、もしかして」

穂乃果「あ、やっぱばれた?」

花陽「ナニカシタノォ!?」

穂乃果「ちょっとめんどくさくなったから麺つゆで作ったの」

にこ「まぁ普通にアリだとは思うけどね」

海未「えぇ、おでんを思い出しますが」

真姫「あぁ…おでん買えば良かったかしら」

凛「真姫ちゃん自分の好きなものばっかりアホ程食うから却下にゃ」

真姫「アホて」

絵里「ちょっと! もううどん無いわよ!? 誰よこんなに食べたの!!」

真姫「…」

凛「…真姫ちゃん自分の好きなものばっかりアホ程食うから」

真姫「この世は弱肉強食なのよ」

ことり「結構量あったけど食べきったねー」

にこ「食べすぎたかも…」

真姫「私も…」

凛「うどんばっか食うから…」

絵里「こんなに食べたの久しぶりだわ」

希「まだ食べれそうな人ー?」

海未「もうさすがに…」

穂乃果「あればあるだけ食べちゃう隊出動!」

花陽「はいっ!」

希「よーしじゃあ作るなー」

海未「なんですかそのはた迷惑な隊は…」

真姫「私も居るわよ…!」

凛「無理すんにゃ…」

真姫「興味は尽きない…」

にこ「真姫ちゃんいつの間にアホになっちゃったの?」

希「ほい、春やしうどんの出汁で七草雑炊作ったで」

穂乃果「うひょー…」

花陽「これはこれは…」

真姫「こんなの絶対美味しい…」

海未「あー…これはそそられる奴です…」

絵里「食べる組の食欲どうなってるのよ…」

ことり(一人増えてる…)

にこ「ニコォ…」

凛「に、にこちゃん! 小食なのにあんな食べるから!」

ことり「それひっひっふー!」

にこ(出してどうする…!)

絵里「にこツッコんじゃだめよ! 喋ったら出るわよ!」

花陽「ああぁ…もう入らない…」

海未「これは…これは…」

穂乃果「美味しさに負けた代償なの……」

真姫「」

絵里「そろそろ帰…うわ」

凛「うーん…あと少し待つかにゃ」

希「みんな綺麗に食べたなー…洗うの楽ちんやん」

真姫「ごめん希…そんなことさせちゃって」

凛「ホントにね、真姫ちゃんの家なのにね」

真姫「アンタ覚えてなさいよ」

にこ「よし、なんとか回復したから私も手伝うわ」

絵里「そうねー…4人が落ち着くまで暇だし私もやるわ」

ことり「え、えーっと…」

にこ「凛とことりはアホの看病してて」

海未「にこ…覚えていなさい…」

絵里「いや威張れないでしょ…」

・・・



穂乃果「よっし、再起だよ!」

海未「さすがに無理が…」

ことり「おはよう二人とも」

花陽「うぅ…そろそろ帰らないとね」

絵里「別に無理しなくていいのよ?」

真姫「…Zzz」

にこ「…このトマトはどうするのよ」

凛「もうほっとけにゃ」

希「花陽ちゃん大丈夫? 送ったろか?」

絵里「あー、じゃあ家近いし私が送るわ」

凛「お持ち帰りは許さないにゃー」

絵里「何を言ってるのよ凛は…」

希「タラチカやん…」

絵里「こら」

ことり「じゃあ海未ちゃんは私が持っていくから、お先に失礼しまーす」

海未「かたじけないです…」

穂乃果「ことりちゃん待って! 靴下が見つからない!」

ことり「バイバイ」

海未「ダズヴィターニャ」

穂乃果「まって!」

凛「希ちゃん一緒帰ろー」

希「真姫ちゃんはええのん」

にこ「とりあえず自分の部屋にぶち込んどいたわ」

絵里「じゃ、花陽いくわよ」

花陽「はい…お疲れ様でした」

希「じゃあね絵里ち」

にこ「じゃあね絵里」

凛「かよちんよろしくー」

絵里「ええ、近いうちにまた会いましょうね」

にこ「…そうね」

凛「いやー楽しかったねー」

希「なぁ凛ちゃん」

凛「なんにゃ?」

希「なんで花陽ちゃん送らなかったん? いつもなら凛ちゃんが真っ先に送るって言いそうやけど」

凛「いや流石に卒業だからね、先輩と話したいこともあるだろうし」

希「凛ちゃんがそんな気の遣える娘やったなんて…」

凛「気遣いのできない猫はただの猫にゃ」

希「らしくないでー」

凛「ないかー」ケラケラ

希「凛ちゃん…お便り読んくれる?」

凛「ラストお便り、かにゃ、あれいつもと封筒が違う」

希「赤い封筒はレアなんやで」

凛「何%?」

希「1%」

凛「神バハやってるとそれでも良心的に感じるにゃ、っとなになに『凛ちゃんへ、自分らしさってなんですか?』」

希「…」

凛「えーっとね…凛は凛だから貴女らしさは凛にもわからないにゃ」

希「せやな」

凛「まぁ冗談はおいといて…今も言った通り自分らしさなんて自分にしかわからないものだよ」

希「…」

凛「でもどうしても自分で自分がわからないって時はさ、『自分っぽく』でいいと思うんだ」

希「自分の事なのに『っぽく』なん?」

凛「そうそう、『こっちのほうがいいなー』とか『こうしたいなー』とかさ、そんな感じでいいんだよ」

希「そんなもんかなぁ」

凛「難しく考えすぎたら簡単なこともわからなくなっちゃうからね」

希「…」

凛「希ちゃん」

希「なに…」

凛「自分を見失ったときは、なりたい自分になれる時だよ」

希「…」

凛「凛はそう思う」

希「凛ちゃんは…強い娘やね…」

凛「そんなことないよ…」

希「ちゃんと気持ちを伝えられるだけで、十分強いで」

凛「…うん」

希「…じゃあ、ここらへんで」

凛「希ちゃん…」

希「ウチもちょっと頑張ってみるな、バイバイ!」

凛「…バイバイ!」



凛「…」

凛「伝えた後のことも、考えなきゃ、ダメだよ…」

・・・


絵里「大丈夫? 一人で歩ける?」

花陽「うん、もう平気」

絵里「なら良かったわ」

花陽「それにしてももう絵里ちゃんたちも卒業かぁ…」

絵里「みんなのお陰で、いい高校生活を送れたわ」

花陽「私も絵里ちゃんと一緒にアイドル出来て良かったよ」

絵里「そうねぇ…悔いがないとは言えないけど、そんなもんよね」

花陽「なにかあったの?」

絵里「うーん…ちょっと言いづらいんだけど、海未と凛は付き合ってるのよね?」

花陽「そうだけど…」

絵里「私もね、好きな人がいるんだけど、女の人なのよ」

花陽「絵里ちゃんもなの?」

絵里「でも私、やっぱりそれってよくないことだと思うのよ」

花陽「よくない…?」

絵里「自分と同じ性別の人を好きになるなんて、おかしいわよ、あり得ない」

花陽「…」

花陽「僕からすれば…」

絵里「!?」

花陽「イカレてるのは全部だ…人間の」

絵里「えっ…えっ……!?」

花陽「『例外』なんて、存在しないんだよ」

絵里「は…花陽…?」

花陽「お兄ちゃんがやってるゲームの敵のセリフなんだけどね」

絵里「あぁ…そう」

花陽「その人ね、強い人が大嫌いなんだ」

絵里「そうなの?」

花陽「『人間は弱いんだ、そんなのあり得ない』って、全部否定しちゃうの」

絵里「なんだか悲しいわね」

花陽「でね、それを証明するために、強い人を探して倒し回ってるの」

絵里「…? 無いって言いきってるのに、探してるの?」

花陽「そう、自分が正しいことを証明するために」

花陽「なんだか面白いよね、強い人を怖がってるのに、わざわざ向かっていくなんて」

絵里「そうね…」

花陽「絵里ちゃん、私ね、否定するってことは肯定するより真正面から立ち向かう事なんだって思う」

絵里「そう…」

花陽「だから、絵里ちゃんも一度でいいから、絵里ちゃんがあり得ないと思うものに立ち向かってみて」

絵里「…」

花陽「どうするかは、そのあとで決めればいいよ」

絵里「一年生にそんな事言わせちゃあ、先輩禁止以前に先輩失格ねぇ…」

花陽「そ、そんな事は」

絵里「わかった、立ち向かってみるわ、私も怖いだけなのよ、結局」

花陽「…じゃあ、ここまででいいよ」

絵里「ええ、またいつかね」

花陽「頑張ってね!」

絵里「じゃあね!」





花陽(まぁ…財団は自分で戦ってるワケじゃないんだけどね…! そこが良いんだけど!)


翌朝


真姫「ん…あぇ…朝…?」

真姫「そうかあの後普通に寝たんだ…」

真姫「…シャワーでも浴びよ……」

真姫(最後の日がこんな別れでいいのかしら…別れでもないか)

真姫「…ポケットになにか…紙?」

真姫「…ん………」



・・・






にこ「・・・」

真姫「ほら、来てやったわよ」

にこ「おはよ…」

真姫「なによこんな朝早くに、しかもあんな回りくどい呼び出し方しちゃって、私が早寝早起きの健康優良児じゃなかったらとっくに寝過ごしてるわよ」

にこ「よくもまぁ口の回る…」

真姫「にこちゃん程じゃないわよ」

にこ「にこはそんな嫌味ばっかり言いませんー」

真姫「そうね」

にこ「なによ」

真姫「ひたすら前を見て…陰口なんて言ったりしない…そんな人よ」

にこ「なによ…」

真姫「衣装づくりの時に文句言ってたのはことりから聞いたけど…」

にこ「あの鳥…!!!」

真姫「で、ホントになんなのよ、駅になんて呼び出して」

にこ「…」

真姫「…そういえば進路の事誰も知らないって言うんだけど、それ関連?」

にこ「今年の元旦にね、おみくじ引いたの」

真姫「…」

にこ「願事の欄に『人に言わぬが吉』って、書いてあって」

真姫「奇遇ね、私もよ」

にこ「…それで、誰にも言ってなかったんだけど」

真姫「どこかに行っちゃうってワケ?」

にこ「ママの仕事の都合もあってね、少しだけここから離れるのよ」

真姫「…」

にこ「本当に少しだけだから、あんまり言うのもアレだし…私の願事も、向こうの方が叶えやすいから」

真姫「そう…」


『間もなく、2番線に・・・』


真姫「荷物は持ったの?」

にこ「もう送ってある」

真姫「じゃあ、この話するためだけに呼んだの?」

にこ「そうよ」

真姫「…ダメじゃない」

にこ「なにがよ」

真姫「願事、言っちゃってるし」

にこ「直接言葉には出してないからセーフよ!」

真姫「言ったようなものよ…」

にこ「それに、真姫ちゃんだけには言っておきたかった」

真姫「…」

にこ「夢…叶えたら、絶対伝えに来るから…」

真姫「…晩御飯までには帰ってきなさいよ」

にこ「うん…わかった」


言わぬ願いに言わぬ恋。

知らぬが仏か、言わぬが吉か、どちらも詰りは皮算用。

蓋が開くまで、わからない。





真姫「そんなもの、なのかしらね」


ハチミツ生姜ののど飴は、やはり、世知辛い味がした。 了

昨年7月から書き始めて半年ちょっと、皆さんの貴重な時間を定期的に奪ってしまって本当にすまないと思っている。

これにてこのシリーズも終了です、奇しくも9スレで完結、くぅ疲くぅ疲。
最初は凛ちゃんが主役だった気もしないでもないですが気のせいだね 1,2Jump

そんなわけでタイトルだけ載せとくので気になったら見てやって下さい。


凛「あなたはきっと、わからずや」
 ・1スレ目、渋谷の蓬莱亭が潰れた事を知ったショックで書いただけなので全12レスとかいうギネス級の短さ。

花陽「なにも、のせないで」
 ・クッソ歩かせグダグダ進行マン爆誕

真姫「飽くまで続けるつもりよ」
 ・方針が定まってくる

凛「行けども行けども獣道」
 ・雪穂sidの人が降臨、『壁に描くなよ!』は定番ネタである。

花陽「変わらないでいて」
 ・凛誕ss

凛「近づけば離れるし離れれば離れる」
 ・ニセ空凛

真姫「溢れ出て止まらない」
 ・これが一番スラスラ書けた

絵里「そんなもの投げ捨てて」
 ・みんなもダーツやろうぜ


以上、ホントすみませんでした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月05日 (日) 11:07:36   ID: 5yBBbJRg

乙でした!

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