恵美「アニメの私の扱い悪くない?」鈴乃「何の話だ」 (30)

※メッタメタです

鈴乃「いきなり部屋に来て何を言うかと思えば」

恵美「だって……だって……」ヒック

鈴乃(酔ってる……)

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恵美「なんか、私の見せ場がことごとく笑いどころになってる気がするんだけど」

鈴乃「例えば?」

恵美「私が魔王にお、お姫様抱っこされるとことか」

恵美「ほらこれ」 つ原作二巻

鈴乃「ふむ、どれどれ……」

鈴乃「『夏の暑さと真奥に醜態を見られた羞恥が最高潮に達し、』」

鈴乃「『「は、は、早く下ろしなさい! ど、どういうつもりでこんなっ!」』」

鈴乃「『恵美は状況も顧みず顔を真っ赤にしながら手足をバタつかせはじめる。』」

鈴乃「……ふむ、原作だと恥ずかしさのあまり振り回した手が魔王に当たるという流れだな」

恵美「テレビには迷いのない渾身の拳と膝をブチこむ私が写っていたわよ……」

恵美「ついでに落ちるときも尻餅じゃなくてセルフジャーマンスープレックスになってたわ……」

恵美「ルシフェル戦後の、私の死ぬほど珍しいデレシーンもカットだし」

恵美「あれ後でやるんでしょうね……」

恵美「やらなかったら制作スタジオ破壊するわよ」ヒック

鈴乃(本当にできるから怖い)

鈴乃(……というか)

鈴乃「要するに魔王へのデレ、というか」

鈴乃「恋愛シーンが削られているのが不満か?」

恵美「……」

恵美「そんなわけないわよ? そんなわけないわよ?」

鈴乃(二回言った)

恵美「ただ、千穂ちゃんはとても可愛く表現されてるじゃない」

鈴乃「確かに、千穂殿の人気はすごいな」

恵美「でしょう? なのになんでかしら、私の印象がこう……」

恵美「敵意剥き出しのキレッキレ暴力女みたいになってるように思うんだけど」

鈴乃「前半は間違いでは……」

恵美「あ?」

鈴乃「い、いや、確かに実際のところ」

鈴乃「原作でエミリアが根拠のない暴力を振るうシーンはないな」

恵美「そうよね? そうよね? 人体模型破壊とかしてないわよね?」

鈴乃(しそうではあるんだが)

恵美「千穂ちゃんが可愛いのはいいのよ。むしろ素晴らしいわ」

恵美「私もあの子は大好きだし、彼女の可愛さが広まるのは望むところよ」

鈴乃「そうだろうな」

恵美「けどそれに対して、私のヒロイン力が目立ってないというか」

恵美「ぶっちゃけギャグ要員として見られてない、私?」

鈴乃「それを言うなら、原作からしてエミリア単体のヒロイン力は……」

恵美「あ?」

鈴乃「何でもない」

鈴乃(今聖剣出そうだった。絶対出そうとしてた)

恵美「私ね、木曜にMXで録画しつつリアルタイム視聴して」

恵美「金曜にニコニコでもう一回見てるんだけど」

鈴乃「にこにこ?」

恵美「動画サイトよ。そっちで見るとき」

恵美「タグに『ベジータ系女子』とか付いてたり」

恵美「千穂ちゃんの胸が映ると『あっ……(察し)』とかコメされる」

恵美「そんなときの私の気持ちが分かる? ねえ?」

鈴乃「う、うん……そうだな、悲しいな」

鈴乃(原作者がベジータ系女子で草生やしていたことは言わずにおこう)

恵美「先日魔王とアルシエルがニコ生で、キャラ人気アンケートやってたんだけど」

恵美「千穂ちゃんのトップは当然として、私は」

恵美「堂々の最下位よ……このアパートの大家さんにも負けて」

鈴乃「い、いや、そういうのはあれだ、一種のお祭り気分というか」

鈴乃「いわゆるネタというやつだろう?」

鈴乃「魔王やアルシエルがその場にいたのなら、彼らに投票する者も多かったろうし」

恵美「ネタでも大家さんに負けてご覧なさいよ……」

鈴乃(どうしよう、ガチ凹みしている)

恵美「なんか顔芸勇者とかよく言われるし……」

鈴乃「ああ、このアニメの表情豊かさは一つの見所だな」

鈴乃「だがそれなら、他の者もやっているではないか? それこそ千穂殿も」

恵美「そうなんだけど……」

恵美「何故かしら、千穂ちゃんの顔芸は何だか可愛らしいのに対して」

恵美「私の顔芸、自分で見てても超怖いんだけど」

鈴乃(フォロー不可能……)

恵美「絵柄で言うと、コミカライズ版が可愛いのよね。ほらこれ」 つマンガ版、ハイスクール

鈴乃「どれ……ふむ、確かに原作絵に近い印象だ」

鈴乃「マンガ版の方は進みが遅い分丁寧だな。アニメでは拾い切れないネタを拾っている」

鈴乃「ハイスクールというのは……皆が高校生になってたら、というIFか」

鈴乃「なるほど、これもまた新鮮で面白い」

恵美「でしょう?」

鈴乃(……マンガ版、特に三巻のおまけページといい、ハイスクールといい)

鈴乃(魔王とエミリアの恋愛成分がむしろ原作より増えているように思えるが)

鈴乃(そこが嬉しいのか? というのは言わないでおこう。反応が怖い)

恵美「あと納得いかないのがPixivでの扱いなんだけど」

鈴乃「ぴくしぶ?」

恵美「イラスト投稿サイトで……まあとにかくそこで」

恵美「投稿されたメインキャラのタグ数を調べてみたわ」

鈴乃(何やってるんだろうこの勇者)

恵美「トップはダントツで千穂ちゃん。それはいいとして」

恵美「二位以下が魔王、アルシエル、私、ルシフェル、そしてあなたの順だったわ」

鈴乃「良かったじゃないか。今度は最下位じゃないぞ」

恵美「良くないわよ……ニートに勝っても全然嬉しくないし、というか僅差だったし」

恵美「あなたはアニメで登場したばかりじゃない」

恵美「一話からレギュラーの私がこの有様じゃ喜べるわけないわ」

鈴乃「そ、そうか」

恵美「関係ないけど、その……魔王達のイラストが」

恵美「び、BLっていうの? そういうのが死ぬほど多かったんだけど」

恵美「何なの、地球の女性はそういうのが好きなの?」

鈴乃「ホモが嫌いな女子などいない」

恵美「えっ」

鈴乃「えっ」

鈴乃「いや、まあ、とにかくだ」

鈴乃「エミリアの心情は分かった……が、ある程度仕方ないのではないかと私は思う」

恵美「どういうこと?」

鈴乃「そもそも原作が、一般的ないわゆるラノベのテンプレから外れている」

鈴乃「父の仇という明確な壁のため、容易にはデレないエミリア」

鈴乃「そして認めたくはないが、有能なバイトとして地球で頑張り」

鈴乃「女性に好意を向けられても『え、何だって?』などと誤魔化さない魔王」

鈴乃「この濃いキャラ立ての二人の関係性がゆっくり、そしてどう変わっていくのか」

鈴乃「そこが大きな見所ではないか」

鈴乃「でなければ日々発行され続けるラノベの中に埋没し、アニメ化も適わなかったかもしれん」

恵美「そ、それはそうかもしれないけど……」

鈴乃「そしてアニメが小説と大きく異なるのは、動く絵と声が付く点だ」

鈴乃「顔芸で有名な細田監督と」

鈴乃「芸人枠……この場合は褒め言葉だな。その日笠殿がエミリアの中に入ることで」

鈴乃「エミリアの身体を張ったリアクションが非常に魅力的なものとなった」

鈴乃「放送前と後の注目度の差は間違いなくエミリアの功績が大きいだろう」

恵美「……そうかな」

鈴乃「まあ惜しいのは、エミリアの女性的な面が強調される三巻までアニメが進まないことだがな」

恵美「そこはまったくその通りね」

鈴乃「それについては、いずれ来るかもしれない二期に期待する他あるまい」

鈴乃「ともあれ、媒体が違う以上原作と表現の差はあれど」

鈴乃「非常にクオリティの高いアニメとなっていることを、私たちは感謝すべきではないかな」

恵美「……」

鈴乃(良かった、無事終わりそうだ)

恵美「……そうは言うけど」

鈴乃「ん?」

恵美「メインキャラで唯一顔芸をしていないあなたに」

恵美「私の何が分かるっていうのかしら? ええ?」

鈴乃(そっちかー!)

鈴乃「い、いや、まだ放映中だし、多分そのうち……」

恵美「確証はないじゃない! 何よ、あなたなんて」

恵美「テレビの周りをクルクル回ったりドヤ顔でスイカ見せつけたり」

恵美「可愛いシーンは全部盛ってあるくせに! ああもう、何てあざといの!?」

鈴乃「私の責任ではない!」

ワーワーギャーギャー

真奥「帰ったぞー」

芦屋「お帰りなさいませ、魔王さま。今日もお疲れ様でした」

漆原「おかえりー」

真奥「なんか鈴乃の部屋がすげえうるさいんだけど、何、恵美来てんの?」

芦屋「そのようで。先程からやたらと騒いでいます。勇者ともあろう者がみっともない」

漆原「音聞こえないから静かにしてほしいなあ……あ、そろそろ時間だ」

真奥「何やってんだお前?」

漆原「ニコ生で僕らの活躍をちょっと」

真奥「なんのこっちゃ」

芦屋「さあ。パソコンのことはまったく」

漆原「『ストーカーきたwwwww』……と」

ガチャッ

恵美「お前かあああああああああああ!!!」

真奥「うお!?」

ガッシィ

恵美「あなたみたいなのがいるから私のイメージがおかしいことになるのよ!」

恵美「何がウォール・エミリアよ! 怒りで壁の一つや二つブチ壊せそうよ!」

漆原「ちょっ、やめっ、ごめっ、ぐふっ……」ユッサユッサ

芦屋「き、貴様いきなり何を!」

真奥「やめろ恵美! 死ぬ! 結構本気で死にかけてる!」

鈴乃(……早く二期が来て欲しい。エミリアの精神が壊れる前に)


おしまい

※注意

・アニメ、大変楽しく視聴させて頂いています
・でも恵美の可愛いシーンはアニメの後からが本番なんだよ!
 だから皆でBD買って二期も期待しようぜ! ……というお話でした

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