提督「そろそろ寝るか」 (71)

初めてのスレ建てです
ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください

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提督(なんだこれは…?夢にしてはリアルだな)

???「-!!」

提督(あれは赤城に加賀…飛龍に蒼龍も…)

???「-!」

提督(おいおいうちのエースたちが勢揃いとか)

提督「ん…?朝、か…。そろそろ長門が来るな。朝の準備をしておくか…」



長門「おはようございます。提督」

提督「マルロクマルマル…時間通りか。相変わらずだな、長門」

長門「いえ、これも秘書艦としての務めです」

提督「本日は確か隣の鎮守府との会食があるんだったか」

長門「はい。開始はフタマルマルマルなので一時間前に出発すればよいかと」

提督「分かった、では今日も一日をはじめよう」



提督「今日もよく働いたな。そろそろ体を休めないと明日に響く。
   それにしてもあいつ飲みすぎだろ…ザルだったのか…」


提督(また夢か…。)

???「-!!」

提督(やはりアレは昨日の夢と同じ一航戦と二航戦の四人…。いや、それだけじゃない。
   あれは榛名と霧島か…。随分と豪勢な戦力だな。)

提督(しかし…夢だと分かっていても…それほどの戦力を出さないといけない作戦なのか?)

???「敵機!直上!!!」

提督(!?)

夢の赤城「加賀さん!」

夢の加賀「うぅ…赤城、さん…」

夢の飛龍「蒼龍!しっかりして!回避運動を!」

夢の蒼龍「くぅ…分かってる…!」

夢の利根「艦載機は出せぬのか!?赤城!!」

夢の赤城「飛行甲板が…やられてる。これでは発着が…!」

夢の筑摩「利根姉さん、退路を開きます!このままでは全滅します!」

夢の利根「やむを得んか!しかしこれでは…!」

夢の飛龍「蒼龍!上!」

夢の蒼龍「えっ…?あっ…」

提督(そんな…まさかあの蒼龍が…。あの四人がいてこんな結果だというのか…)

???「…!」

???「とく!」

提督「うおっ!!」

長門「お目覚めですか。提督」

提督「長門か…おはよう」

長門「おはようございます。大丈夫ですか?うなされていたようですが…」

提督「ああ、いや、なんでもない。昨日飲み過ぎたのが原因だろう」

長門「そうですか…」

提督(悪夢を見るのは健全な証拠とは聞くが…結構こたえるな。)

提督「今日は艦娘たちの様子を見に行こう。たまには各自の練度もこの目で把握しておきたい」

長門「了解です」



提督「みんな、おはよう」

赤城「提督!おはようございます!」

加賀、飛龍、蒼龍「おはようございます!」

提督「ああ、固くならなくていい。気にせず修練を続けてくれ」

赤城「はい」

提督(そうだ…何を焦燥に駆られる必要がある?あれはただの夢だろう)

提督(今日も夢か…)

夢の提督「この鎮守府も…寂しくなったな」

夢の長門「申し訳ありません…」

夢の提督「多くの仲間たちを失ったのは一重に俺の責任だ。お前はよくやってくれている」

夢の長門「しかし…!」

提督(…!?)

夢の提督「遠征はどうなっている?」

夢の長門「先程帰投しました」

夢の提督「第六駆逐隊もいまや響と電だけか…。遠征も気楽にこなせなくなってきたな」

夢の長門「はい。深海凄艦の脅威は日に日に増しています。戦力の拡充が不可欠かと…」

夢の提督「他の鎮守府に余剰人員の提供を要請するか…?」

夢の長門「それですが…むしろ他所からこの鎮守府にその打診が来ています。3件ほど」

夢の提督「考えるのはどこも一緒ということか…。協力してやりたいのは山々だが」

陸奥「長門…どうしたの?」

長門「いや…提督の様子がここ最近少しおかしくてな」

陸奥「提督の様子が?」

長門「ああ…難しい顔をよくされておられる。それに…最近、
   艦娘の編成リストをよく見ておられるのだ」

陸奥「何かあったのかしら?」

長門「誰か異動するのかも知れんな」

陸奥「ああ、なるほどね」

提督(今日の夢の内容は何だ?)

夢の長門「-」

提督(あれは長門…か。声は聞き取れないな…)

???「-」

提督(あれは…以前資料で見たことがある。確か…軽巡洋艦「酒匂」…。
   それに…あれは重巡洋艦の「プリンツ・オイゲン」だと?)

夢の酒匂「-」

提督(聞こえないのがもどかしい…。状況がまるで分からん…)

???「-」

提督(見慣れない艦娘が大量にいるな…。どうなっているんだ…観艦式か?)

提督(っ!?)

提督(照明弾か…!?いや、違う!これは!?)

???「」

提督(なんだこれは…。あれだけの艦娘が一瞬で…ほぼ壊滅だと…!?長門は…!?)

夢の長門「-」
提督(無事か…。だが、あの光は在ってはならない…。あれは……)

夢の赤城「ごめんなさい…雷撃処分、してください…」

提督(赤城たちが全滅…またこの夢か…。何度目だ?)

提督「……」

長門「どうされたのです?提督。海域地図を熱心に見ているようですが」

提督「いや…」

提督(あの海域の特徴を思い出せ。あれは何処だ…?W島?カレー洋?いや、違うな…)

提督「長門。仮の話をしておきたい」

長門「はい」

提督「もし一航戦と二航戦の四人を失ったら、戦局はどうなると思う?」

長門「それは…一斉にですか?」

提督「…そうだ」

長門「この鎮守府の航空戦力はあの四人に強く依存しています。
   それが失われるとなると…一気に旗色が悪くなる可能性があるかと」

提督「…ありがとう。参考になる」

提督(あの海域…仮に「AF」としておくか。あれは、いったい…)

提督(さあ、今日の夢を俺に見せてくれ)

夢の如月「良かった…これでもう本当に大丈夫そう…」

夢の如月「やだ、髪の毛が痛んじゃう…。…!?」

提督(如月!!)

提督(これまでとは違う…あれはハッキリ分かるぞ。あれはW島だ…)

提督「…」

提督(如月がW島で轟沈するというのか?俺の予測が間違ってなければ
   連日俺が見ているのは予知夢に近いものだ…なぜか分からないがそう感じる)

提督(忘れないうちに書かなければ…)

提督(確か…夕張に望月、弥生。球磨に多摩もいたか。如月が轟沈したということは
   確実に如月も出撃しているはずだ)

提督(何度も何度も見せられる一航戦と二航戦の最期…もうウンザリだ)

提督(俺に何をさせる気なんだ…それよりあの如月の夢を見せてくれ…!)

提督(またこの夢…。しかし編成が違うな。第四駆逐隊がいない?単に視界にいないだけか?
   霧島もいないな…。金剛?それにあれは夕立…か)

夢の加賀「赤城さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

夢の赤城「!!」

提督(あれは舞風…。やはり…同じか。これまで蒼龍が最初に沈んでいたが、
   それが赤城になっただけの話。結末は何も変わらない…)

提督(またか…。もう数えるのも疲れるな。
   目を閉じることも出来ない。逸らす事も出来ない…。
   今日は…?球磨に羽黒…妙高もいるのか…でも…)

提督(高翌雄…愛宕…千歳…大井?いつもと随分面子が違うな。だが、これでも…
   ああ…やはり変わらない)

提督(赤城…加賀…飛龍…蒼龍…比叡…夕立…利根…筑摩…北上…)

夢の加賀「赤城さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

夢の赤城「!!」

夢の駆逐艦「-!!」

提督(赤城が…生き残った…。あの駆逐艦が助けたというのか?)

夢の駆逐艦「-!」

夢の赤城「-さん、あなた…」

提督(顔が見えない…!誰だ、君は…!)

夢の赤城「ありがとう…「 」さん」

提督(ふぶき…吹雪…彼女が、君が、俺達の未来を変えてくれるのか?)

友人提督「それで、特型駆逐艦1番艦の吹雪をそちらに?」

提督「ああ。それ相応の見返りは用意するつもりだ」

友人提督「いや、それはいいんだが…」

提督「? 何か問題があるのか?」

友人提督「こちらにある資料では彼女は座学は優秀。性格も真面目だ」

提督「いいことじゃないか」

友人提督「だが航行も射撃も…な」

提督「実技は苦手なタイプか」

友人提督「苦手というレベルではない。うちの鎮守府では正直な話、戦力とは考えていない」

提督「…えっ」

友人提督「なにより、まともに水上を移動できないからな…。危なくて実戦には出せん」

提督「……」

友人提督「厄介払いというわけではないが…本当にいいのか?」

提督「いや、それでも構わない。ぜひこちらに迎えたい」

友人提督「どうしたんだよ、急に…。!?まさか…!」

提督「な、なんだよ」

友人提督「恋か?いやー駆逐艦相手とかお前ロリコンかよ」

提督「ちげーよ!」

友人提督「とどけ♪とどけ♪想いよとどけ♪」

提督「歌ってんじゃねーよ!」

友人提督「まーあれだ。悪いことは言わん。せめて別の艦種にしとけ」

提督「参考までに聞くがお前ならどうする?」

友人提督「俺なら軽空母かなぁ」

提督「軽空母か…ウチはそのあたりがいなくてな…。鳳翔ならいるけど」

友人提督「俺のお勧めはりゅうじょ…あっ痛い!待ってくれ!爆撃はやめて!」

提督「お、おい」

友人提督「冗談だよ。そう怒るなって…。っと、騒がしくして悪いな。まあ、今度奢ってくれや」

提督「分かったよ。今度飲む時は全部俺が払う」

友人提督「やったぜ。じゃあ高い店を予約しておかないとな」

提督「ほどほどにしてくれよ」

友人提督「分かってるって。じゃあ異動の日取りは追って連絡するよ」

提督「待ってるよ」

提督(しかし…恋か。言い得て妙かもしれんな)

提督(またあの夢…三隈と最上が衝突…。そして三隈は…あの四人だけじゃなく三隈も…)

吹雪「新しく着任しました!特型駆逐艦1番艦、吹雪といいます!よろしくお願いします!」

提督「よく来てくれた。我々は君を歓迎する。紹介しよう、こちらは秘書艦の長門だ」

長門「長門だ。よろしく頼む。期待しているぞ」

吹雪「は、はい!よろしくお願いします!」

提督「向こうの鎮守府と勝手が違い、戸惑うこともあるだろう。
   遠慮なく周りの艦娘に聞いてくれ。長門でも構わんぞ」

吹雪「い、いえ!!」

吹雪「この鎮守府に来てよかったなぁ…」

提督「そう言って貰えてこちらも嬉しいよ」

吹雪「し、司令官!?」

提督「この鎮守府でやっていけそうか?」

吹雪「はい!」

提督「それは良かった」

吹雪「あ、あの!司令官!!」

提督「どうしたね?」

吹雪「ひとつだけご質問、よろしいですか?」

提督「…聞こう」

吹雪「私、実戦なんて経験もない…まともに航行することもできない艦娘なんです。
   何故、私をこの鎮守府に呼んだんですか?」

提督(当然だな)

提督「君が実戦経験皆無で航行も覚束ないことは聞いている」

吹雪「じゃあどうして…?」

提督「率直に言えば君の事を夢で見た」

吹雪「は?私のことを?夢で?」

提督「今はその内容は言えないが…いつか機会があったら教えよう。約束だ。
   君もここへ来たことで何かを得られたのなら
   それをきっかけに新しい一歩を踏み出して欲しい」

吹雪「…わかり、ました」

吹雪(ゆ、夢でって…もしかして…そういうこと!?ええー!?)

提督(また一航戦と二航戦の夢…変わらないのは飛龍が多少長生きするが全滅することだけ、か)

提督「吹雪の様子はどうだ?」

長門「睦月や夕立が友人となっているようです」

提督「…そうか。溶け込めているなら何よりだ。航行や射撃は?」

長門「芳しくはありません」

提督「聞いていた通りか。引き続き訓練を続行させてくれ」

長門「はい。川内、神通、那珂が代わる代わる訓練を行っているようです。
   少々、ハードスケジュールな気もしますが…」

提督「まあ…なんだ。沈まない程度にな…」

提督(久しぶりに夢を見なかったな。いいことか悪いことか…)

長門「提督。おはようございます」

提督「ああ、おはよう」

長門「兼ねてから計画していたW島攻略ですが…」

提督(あの夢が予知夢であるならば…如月が轟沈する。結局あの一度しか見られなかったが、
   それを避けるためには…)

長門「私としては夕張たち第四水雷戦隊に任せた方がよいかと考えます。
   多少動けるようにはなったと報告を受けていますが、吹雪はまだ素人です。
   残りの五人の足を引っ張り、作戦の失敗だけは避けるべきです」

提督(…そう、長門の言うことは至極当然だ。)

提督「いや。W島には神通たち…第三水雷戦隊を向かわせる」

長門「提督?本気ですか?」

提督「夕張たちにはあくまで支援に向かってもらう」

提督(これなら大丈夫だと思うが…)

提督「確かに吹雪は素人だ。だが、どんな達人も最初は素人から始まる。
   千歳と千代田の情報から判断するに戦力もそこまで多くはない。
   逆に、実戦の空気を知っておかなければこの先の成長もない」

長門「しかし、敵には空母も確認されています。航空戦力の無い第三水雷戦隊では…」

提督「それは夕張たちも同じだ。しかし、どちらかが行かなければならない。
   安心しろ。分が悪いようなら後退させる」

長門「提督?それでは本末転倒では…」

提督「いや。このタイミングなら金剛たちが丁度帰ってくる頃合だ。
   敵の戦力を引きずり込んだところで協力して一網打尽にする。
   三式弾も持っていったはずだな?それを使えばいい」

長門「なるほど…」

提督「そうか…如月が…」

長門「はい。先程、捜索を終了致しました。轟沈です」

提督「MIA…作戦中行方不明か」

提督(おそらく、敵の爆撃機の攻撃を受けて…)

長門「申し訳ありません…」

提督「いや…」

長門「現在、夕張に報告書の作成を指示しています」

提督「分かった」

提督(運命は…変えられないのか…如月だけでも外しておけば良かったのか…?)

提督(またこの悪夢か…いまだに情報は掴めずじまい。ここは結局…。
   あれは吹雪…!やはり吹雪が鍵になるというのか?だが、あの佇まいは?
   ああ、そうか…「吹雪が今のままではダメ」なんだ)

提督(大本営も久しぶりだな。しかし…吹雪の練度を上げるにはどうするか)

先輩提督「よう、聞いたぜ。W島の攻略に成功したんだってな?」

提督「先輩。お久しぶりです!お元気そうで何よりです!」

先輩提督「頑丈だけが取り柄だからな。それよりさっきの話だが」

提督「あっ、はい。しかし、仲間を失ってしまいました…」

先輩提督「駆逐艦だったか…惜しいことをしたな」

提督「自分の作戦ミスです…」

先輩提督「俺はまだ詳細は知らんが…あまり、気を落とすな」

提督「はい…」



幹部「このたびの作戦、見事だったぞ」

提督「恐縮です」

幹部「損失も駆逐艦一杯程度ならさしたる痛手ではない。
   今後も、この調子で頑張ってくれ」

提督「了解致しました」

提督(そうだな…上からすれば艦娘などただの「駒」でしかない。
   ましてや駆逐艦だ。将棋で歩を失ったのと大して変わらないということか)

幹部「上陸部隊も無事制圧に成功したと報告があった。
   現在は拠点化を進めているところだ」
提督「拠点化?では、今後は…」

幹部「そうだ。戦況は有利に傾いている。この勢いを維持するために
   ここを橋頭堡にし、深海凄艦殲滅へ打って出る。君には平行して
   奴らの生態や謎を調査・追及するための作戦…『FS』に参加してもらう」

提督「金剛が?そうか。それは悪いことをしたな。大淀」

大淀「いえ、それは大丈夫です」

陸奥「金剛は提督に会いたがっていましたよ?」

提督「あとで金剛にも埋め合わせをしておかないとな…」

長門「資源の確保には成功しました。今後はいかが致しますか?」

提督「ああ。そのことだが…部隊を再編する」

提督(如月の犠牲を無駄にしないためにも、あの海域を早く突き止めなければ)

提督(赤城の護衛に吹雪をつかせるためには練度を積ませなければ話にならん。
   しかし、ただの駆逐艦…それも素人で知られてしまっている吹雪が
   赤城の護衛など加賀は絶対に納得しないだろう。それはダメだ。
   吹雪も赤城の護衛を目標としている以上、それを簡単に達成させるわけにはいかん。
   多少賭けになるが加賀には間近で過ごさせることで信頼を築かせるしかないな。
   真面目な二人だ。そこまで悪い組み合わせではないはずだ。
   しかし空母となればあとは飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴、鳳翔か…)

提督「駆逐艦『吹雪』。貴君に第五遊撃部隊への転属を命ずる」
吹雪「は、はい!」

長門「第五遊撃部隊ですが…加賀と瑞鶴が揉めているようです」

提督「あの二人が?」

長門「はい。加賀が五航戦を見下した発言をしたとかで…」

提督「ふう…加賀にも困ったものだ」

長門「編成を変更しますか?」

提督「いや、このままやらせる。揉めるから、といちいち変えていては話にならん。
   他の艦娘にも迷惑だ。金剛もいる。彼女なら上手くとりなしてくれるだろう」

長門「了解です」

長門「提督。第五遊撃部隊ですが…旗艦は吹雪となったようです」

提督「吹雪が?金剛や加賀もいるだろう?」

長門「はい。申請を却下し、再考を命じますか?」

提督「……全員納得の上での旗艦なのだな?」

長門「はい」

提督「ならば吹雪にやらせる。そのまま申請を受理しよう」

長門「大丈夫なのですか?」

提督「不安か?」

長門「正直に申し上げれば提督が仰られたように金剛や加賀が適任かと」

提督「だが皆納得しているのだろう?現場の詳細なやり取りを知らない者が
   あれこれ口を出して混乱させるよりはずっといい」

長門「承知しました。他の部隊ですが」

提督「作戦は順調…とは微妙に言い難いな」

長門「はい。勝利は続けていますが損傷が全体的に増えています」

提督(疲労の事もあるだろうが…何故だ。こちらに空母がいない時に限って
   必ずといっていいほど敵空母に遭遇する…。偶然か?いやそれにしても
   あまりにもピンポイントだ。何より遭遇戦が多すぎる。
   まるでこちらの動きを読んでいるかのように…)

提督「他の部隊は?」

長門「各部隊にそれぞれ海域攻略を命じています。
   …しかし提督、高速修復剤をかなり使用していますが、大丈夫なのでしょうか…。
   補給線も延び始めています。急速な戦線拡大は対応しきれなくなるかと」

提督「そうだな。だがやらねばならんのだ」

長門「提督?それはどういう…」

提督(おそらく例の日は遠くない。なぜかそれは確信を持って言える。…あとはそれまでに
   なんとしてもあの海域を突き止め、情報を得なければならない。
   …しかし、何故だ?この違和感は…)

提督「長門。すまないが頼みがある」

長門「はい」

提督「お前に頼むのはとても心苦しいが…」

長門「提督、気になさらないで下さい。この長門、秘書艦になった時から
   この鎮守府に命を捧げる覚悟は出来ています」

提督「そう言ってくれるか」

長門「当然です」

提督「では…」

提督「お前にカレー大会の審査員となることを命ずる」

長門「!!!!?」

長門「て、提督?それは…」

提督「本来は自分の役目だが、あいにく、当日は大本営で会議があってな…」

長門「し、承知しました。お任せ下さい」

提督「ほ、本当にいいのか?なんなら陸奥に任せても構わんぞ?」

長門「問題などありません。ビッグ7と呼ばれた長門です。
   辛いカレーごとき恐るるに足りません」

提督「……そ、そうか。では頼む」

提督「開発計画だと?」

長門「はい。先程夕張からプランが提案されました」

※※※※※※※※※※※※※※※※
「新装甲材開発計画」

ボーキサイトを主原料に用いた新素材を開発する。

本素材を装甲に用いることで断熱性の強化を図り、

軽量化における艦娘の運動性能の向上と

過酷な戦況における耐久性の向上の両立を実現する。
※※※※※※※※※※※※※※※※

提督「ふむ…ボーキサイトを随分使うようだな。優に遠征一回分か」

長門「いかがいたしましょう?」

提督「まあ、構わんが…」

提督(あいつは兵装実験艦であって工作艦ではない筈だが……)

長門「では承認しておきます」

提督「分かった」

長門「提督。暁から遠征の許可を求められています」

提督「暁?ということは第六駆逐隊か…?」

長門「はい」

提督「自主的にとは珍しいな。補給が済んだのなら構わんが…」

長門「提督。暁から遠征の報告書が提出されました」

提督「見せてくれ」


遠征  失敗


提督「」

長門「提督?」

提督「…いや、こんなこともあるだろう。
   今後は充分な休息と補給を取るよう、命じてくれ」

長門「はい」

提督「なるほど。共同作戦…ですか」

上層部「ああ。目標はMOだ。ここは重要な拠点であると連中も判断しているのか
    結構な戦力であることが確認されている」

提督「作戦の詳細を伺っても?」

上層部「そうだな。ある程度の青写真が無ければ判断も出来んか」



上層部「こんな感じだ」

提督「…」

友人提督「主力はうちからですか。支援艦隊をこいつに?」

提督「敵の編成はどのような感じなのでしょうか?」

上層部「偵察部隊によると、空母が配置されているようだ」

提督「制空権を取られてしまうのは苦しいな…」

友人提督「空母は出す必要があるな…。
     あとは重巡洋艦で固めるか?」

提督「こちらから支援部隊を?」

上層部「うむ。君には援護を任せたいがあまりに数が少ないと無視されてしまう可能性もある」

提督「では…こちらからも正規空母を出しましょう。これで敵の目は多少は向くはずです」

友人提督「悪いな」

提督「気にしないでくれ」

上層部「作戦の詳細は追って伝える。準備を進めておいてくれ」

提督「閣下。少しよろしいですか?」

上層部「なんだね?」

提督「高速修復剤の件、発注したのですが中々届かないようですが…」

上層部「うむ…戦線の拡大のおかげで生産が追いついておらんようだ。すまんな」

提督「そうですか…。あ、それともう一つ…」

上層部「どうした?」

提督「あ、いえ…」

提督(暗号が解読されているかもしれない、ということは伝えていいものか。
   確証の無い今この段階で変えることで軍全体の余計な混乱が起きるかもしれん…)

上層部「? 何かあるのか?」

提督「いえ、自分の思い過ごしのようです。忘れて下さい」

吹雪「駆逐艦、吹雪です!」

長門「来たか。呼んだのは他でもない。第三艦隊及び第五遊撃部隊に出撃を命ずる」

吹雪「今から、ですか?」

夕張「急ですね…」

長門「いや、作戦の決行はまだ先だが、お前たちにはそこで陽動を頼みたい」

吹雪「陽動ですか?では攻略は誰が…」

長門「今回は別の鎮守府との共同作戦だ。向こうの鎮守府の部隊が主体となって攻略を行う」
   お前たちが正面切って敵の本隊と戦う、という可能性はほぼないだろう」

吹雪「…」

長門「お前たちは敵をひきつけ、おびき寄せられた敵を掃討、
   本隊による攻略を容易にすることが仕事だ。詳細はこれを読んでおけ。
   明日、参加者を揃えて打ち合わせを行う。他の者にも通達するように」

吹雪「はい!」

提督「長門。まだ司令部にも伝えていないがお前には先に話しておく」

長門「はい」

提督「我々の使っている暗号…もしかしたら読まれているのかもしれん」

長門「まさか…」

提督「おかしいと思わんか?多方面に電撃戦を仕掛けているにもかかわらず
   必ずといっていいほど遭遇戦に突入している」

長門「それは深海凄艦側の支配海域がそれだけ広いためでは…」

提督「それもある。しかし、まるで編成と目的地を知っているかのように
   こちらに対し的確な戦術を用いてくる…」

長門「本当にそうお考えなのですか?提督…。
  それならばW島の奇襲に失敗したのも納得ですが…しかし」コンコン!

長門「なんだ!?取り込み中だぞ!?」

提督「加賀は作戦の参加は難しいか。よりによって調整中に出くわすとはな」

長門「はい。高速修復剤の補給の遅れも作戦に響いています」

長門「そこでですが、翔鶴が加賀の代理を申し出ています」

提督「翔鶴が?」

長門「妹の不始末の責任を取りたいというところかと」

提督「ふむ…現場の判断を仰ごう。吹雪を呼んでくれ。加賀を翔鶴に
   代えても作戦は遂行できるかどうか意見を聞きたい」

長門「了解しました。吹雪を呼び出します」

吹雪「私たちの暗号が深海凄艦に…!?」

提督「まだ確信があるわけではない。だが、今回の大規模作戦でも
   裏をかかれるようなら、可能性はかなり高い」

長門「常に最悪のケースを想定しながら行動しろ。
   自分たちの動きは常に読まれていると考えておけ」

吹雪「りょ、了解!」

長門「提督。吹雪からの報告書が届きました。作戦は成功しましたが
   翔鶴が損傷したようです」

提督「見せてくれ。……やはり、読まれているか」

長門「そのようです」

提督「分かった、今回までの情報を元に上層部へ暗号の変更を進言する」

長門「はい」

提督「聞いた話では輸送船も大分やられているようだ。
   今はまだしも、改善できなければ戦況は確実に悪化する」

長門「では修復剤が届かないのも…」

提督「ああ、輸送船が落とされるからだ。燃料や弾薬、食料雑貨はまだ十分にあるが
   それも無限ではない」

提督「閣下。突然申し訳ありません」

上層部「どうした?君から連絡してくるとは」

提督「はい。実は折り入って閣下にご相談が」

上層部「聞こう」

提督「我々の使っている暗号…。敵に漏れているのはないかと考えます」

上層部「……」

提督「ここ最近、輸送船団が頻繁に襲われています。
   また、通常の侵攻戦でもまるでこちらの動きを把握しているかのように
   的確な部隊展開と裏をかいてきます」

上層部「明確な確証はあるのかね?」

提督「自分の鎮守府で得た実証結果になりますが…。ご参考になればと」

上層部「ふむ…つまり、暗号を変更する必要があると?」

提督「はい」

上層部「分かった。私からも話はしてみよう。他の鎮守府の者にも
    意見を提出させる。ただ…」

提督「なんでしょう?」

上層部「情けない話だが、あの頭の固い連中が動くとは考えにくいな…。
    実は以前、暗号の刷新の話題自体は出たのだ」

提督「そうだったのですか?」

上層部「しかし、『新型の暗号機械を使っているのだから
    そう簡単に突破されるはずが無い』とすぐに流れてしまった」

提督「……」

上層部「先入観を持っているようだな…。話はするがあまり期待はしないでくれ。
    現在大規模作戦を予定している。詳細は追って通達するが、
    おそらくそちらにかかりきりで話は聞いてもらえんだろうな…」

提督「…はい」

提督(まずは夢の内容を…どうまとめるか。「吹雪を改にすること」
   暗号が漏れている可能性がある以上、こちらの状態が筒抜けの可能性があるが…)

提督(『暗号が漏れている』?『こちらの状態が筒抜け』…?今は主力の大半が留守にしている…。
   本丸ががら空きならば、何をしてくる?そう…!)

大淀「駆逐艦『夕立』の現状についてはご報告の通りです」

提督「ふむ…」

提督(あの夢では確か、夕立もあの場にいたはずだ。ならば…)

提督「分かった。夕立には第一機動部隊への転属を命じる。
   一層の活躍に期待すると伝えてくれ」

大淀「了解です」

提督「それと…」

大淀「はい?提督、どうされました」

提督「今から伝える艦娘を至急こちらに呼び戻してくれ」

大淀「は、はい」

提督「飛龍、蒼龍。最上、吹雪だ。ゆっくり話している時間は無い。明朝にはそちらを出発してくれ」

大淀「り、了解しました。すぐに長門さんに伝えます」

>>48
睦月もいなかったっけ?

提督(吹雪を「改ニ」にしなければあの戦いにはついていけん。それは分かった。しかし…
   肝心のこの海域「AF」は…?MOではなかった…。MI…?…!!)

提督「!! そうか!MI…!」

提督(自分でも分からないが妙な確信がある…。あの夢はMI海域で間違いない…!!)

提督「すぐに情報をまとめなければ…」

妙高「提督!!」

提督「どうした!?まさか…!」

妙高「偵察機より、敵機動部隊が接近しています!」

提督「哨戒部隊は何をしていた!?」

妙高「交代の隙を突かれたようです!」

>>49睦月は自主的についてきただけです

提督(偶然とは思えん…!迂闊すぎたか…!こちらに正規空母はいない。駆逐艦多数…これでは…)

提督「敵部隊の編成は?」

妙高「偵察隊が未帰還のため詳細は不明ですが…空母ヲ級が複数は間違いありません!
   鳳翔さんに艦載機を出させますか!?」

提督「…いや、迎撃には出るな!こんな浮き足立った状態で出撃しても被害を拡大させるだけだ!
   とにかく人員の避難を優先!現場の指揮は筑摩にやらせろ!
   施設だけが目標なら逃げれば人的損耗は無いはずだ!」

妙高「は、はい!ですが提督は…!?」

提督「指揮官が真っ先に逃げてどうする。皆が避難したら砲撃を5秒おきに3発撃ってくれ。
   それを合図に自分も避難する。必ず追いついて見せるさ。心配するな…!行け!妙高!」

妙高「分かり、ました…!」

提督(クソ、せっかくあの海域が分かったというのに…!!)

提督「打電だけでもしておくか…。『MO攻略ハ中止。出向組ハ直チニ全員帰還ヲ求ム』」

提督「鎮守府を放棄か…軍人としては、無能の証明だな…」

提督「これまでに書き連ねた作戦書は…金庫に入れておくか。一番安全だろう」

提督「やっと…あの海域が分かったのに…。情けないなぁ…全く」

提督「敵航空機…!」
提督(こちらに向かってくる…。そうか…未来を変えようとした罰なのかもしれないな。
   長門…すまん。もしかしたらお前に後を託すことになるかもしれん。
   不出来な俺の代わりに赤城たちを、艦娘たちを守ってやってくれ…。
   あの「光」にお前が晒される事が無いように、願っているぞ…)

提督(如月…すまない。結局はお前を利用していたのかもしれん。
   俺が見たのは予知夢なのか、それを確かめるための手段に…。
   俺も今から罰を受けるようだ。お前が許してくれるかは分からないが
   それでも、謝らせて欲しい)

提督(ああ…そうだ。吹雪…。新米のお前に苦しい状況を何度も強いてしまったな…。
   だが、その経験が…お前の憧れの赤城の横に立てる力になることを…祈っている)

提督(そして…)

提督(約束を守ってやれなくて…夢の内容を教えてやれなくて…すまない…)

提督(どうか…赤城たちを…)

終わりです。アニメでは描写がなくてあーだこーだ言われてる提督ですが
こんなことを考え、彼なりに苦労していたのかな、と自分なりに形にしてみました
アニメは世間的な評価は良くないようですが自分は楽しめているので悲しい

アニメ見てない人は完全に置いてけぼりです。すいません

変にシリアスなんてやらなかったら吹雪呼んだ動機も問題ないけど、如月轟沈して艦娘は命張ってる事を確認した後にあんなイメージ出されるとなぁ、て思うよね

乙なのじゃ!提督は生きてると信じてるよ!

乙!

乙!
裏話いいね

>>1乙こうだったら納得できるんだけどな…
あれだ最終話で提督は巨大な兵器に乗って助けに来てくれるんだ(棒読み)

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    と、ノ     ・゚  ・゚     +゚    *  ヽ、 ⊃
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>>65ヘヴィーオブジェクトのあれとか?

後は艦CORE的なロボットとかね!

とりあえず夕張さんは開発成果を見せてもらえませんかね…
何になったのかな?(すっとぼけ)

アニメもギャグパートの代わりにこれみたいにしっかり描写してれば良アニメだったはず
中途半端にシリアスを入れるならギャグのみでいけば良かったのにね・・・

逆に全編シリアスとかな
中途半端なのがマジでいけない
シリアス>ギャグならまだしも

ギャグ>シリアスの割合で混ぜるから

最終回を踏まえて書いて欲しい
この提督がアニメにいたらたぶん楽しんで見れた

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