男「仮に幼馴染が鈍感だとする」(18)

幼「ど、鈍感じゃないもん!」

男「仮の話だ」

幼「ぅぅ……」

男「仮にお前が今から帰ったらどうする?」

幼「そ、そりゃあ……ベッドでくつろぐ……」

男「そんなことしたらベッドにシミがつく」

幼「え?」

男「オマエノセナカミテミーロ」

クルッ

幼「……あぁ!」

男「昼休みにつけたんだ」

幼「うわぁぁ!なんで熊のアップリケぇぇ!」

男「これに気づかないお前はやはり鈍感だ」

幼「た、たまたまだもん!」

幼「あ…でもこの熊可愛い……」

男「それ熊じゃなくてゴリラ」

幼「なんでそんなのつけるのさ!」

男「いや気づくかなーって」

幼「軽い気持ちで無駄に器用なことしないでよ……」

幼「って言うか私昼からゴリラと共に過ごしたの!?」

幼「うわぁぁ!……これじゃ……幼・ゴリラ・馴染ってあだ名つけられるぅぅ…」

男「奇想天外とはこのことだな、誰も思い付かんぞ」

幼「うわぁぁ……」

男「そしてもうひとつ」

男「お前が先輩にコクられたとする」

幼「あれ?なんで知って……」

男「仮の話だ」

男「先輩は好きだ!と言うとしよう」

男「そしてお前は、はい!私もお空が大好きです!」

男「と言うだろう」

幼「見てたの?」

男「もはや鈍感とは無縁な脳内花畑だ」

幼「見てたの?」

男「仮の話だ」

男「本題に戻そう」

幼「本題?」

男「お前が鈍感だった場合」

男「恐らく、一番身近にいるヤツがお前のために何かをしても気付かないだろう」

幼「え?誰のこと?」

男「毎朝遅刻しないように電話してることも、何とも思ってないだろう」

幼「男のこと…?」

ストーカーじゃないですかー! やだー!

俺は好きだな♪

男「昔迷子になってから帰りはいつも一緒なのも、何気ないことだと思っているだろう」

男「物をなくしても、必ず見つかるのは運がいいからと思っているだろう」

幼「……そういえば……」

男「ずっと一緒にいるのが当たり前だと思っているだろう」

幼「……え?」

幼「ち、ちょっとどういうこと?」

男「何回ストレートに言ってもはぐらかされ、冗談と言われ、この日まできた」

幼「ねぇどうしたの?……………あれ……?」

―――なぁ、幼馴染、俺今度留学するんだ

嘘ばっか、つまんないよ

―――嘘じゃないって

あっそー

―――ったく……

幼「まさか……ホントだったの?」

男「この話は今まで誰にもしてこなかった」

男「昔から知ってるよな?俺は親友か好きな人にしか大事なことは話さない」

幼「うそ……」

男「だから、お前は鈍感なんだ」

男「あれだけアピールしたのに、あれだけ遊びに誘ったのに」

男「あれだけ……好きだといったのに……」

男「俺が好きになってるとはしらなかった」

幼「そんな………今まで……そんな素振り…」

男「よく思い出せ」

―――幼馴染みたいなのが嫁さんだったらなー…

―――なぁ!チケット取れたから一緒に行こうぜ!

―――幼馴染、膝枕してくれw

―――俺幼馴染のこと好きなんだぜ?ハハッ

幼「あ……あ……」

幼「わかった!思い出した!全部意味が……」

キョロキョロ

幼「男…?」

三日後 空港

男「最後の最後まで鈍感だったな」

男「まぁいいや……」

幼「男!」

男「え?」

幼「酷いよ!なんで黙って行こうとするの!」

男「そりゃ……」

男「振られたと思ってるし……幼馴染の顔見てたら……泣き出しそうだったから……」

幼「ばか!!」

男「うっ」ビクッ

幼「それだけ見てたのに私の気持ちにも気づいてなかったの!?」

幼「鈍感なのは男だよ!」

幼「私だっていつも男といたかった!好きだから、いたかった!」

幼「なのに挨拶もいかずに行くなんて失礼だよ」

男「幼馴染……」

幼「だからもう一度いって」

幼「もう一度いって!」

男「……」

男「幼馴染……」

幼(あっ……醤油切れてたんだ)

男「好きです……」

幼「醤油の話はいいの!」

男「はい?」

男「今……コクったよな?」

幼「確かにコクは大事だよ?でもそれ以上に言うべきことがあるでしょ?」

男「えぇ……」

幼「ほら!」


どうやら、幼馴染と付き合えるのはまだまだ先のようです

終わり

短いけどおもしろかった
次は
男「仮に幼馴染が敏感だとする」をぜひ

乙乙

この幼馴染は宙吊りにしてサンドバックにするべき

感度がよくないって意味での鈍感な幼馴染も見てみたい

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