超近接戦は狂気の世界だ
何もかもが見えるが、何も見えない
頼りになるのは己の感覚のみ
気を緩めた者から死ぬ世界
距離や方向、任務や目的はもちろん、敵味方の判別さえもそこにおいては重要なファクターではない
生き残るために、感じ取った対象を全て叩きのめす
感じ取れなくても殺られる前に探し回って叩きのめす
強烈な生への執着だけがそこにはある

私はこの世界が大好きだ
愛していると言っても過言ではない
高次的欲求、即ち自己実現の欲求は基本的欲求のすべてを満たして、ようやく発現するモノだ
生きる意味とは何か、などとは考えたくもない
考えるまでもなく生の先にあるものは死のみだ
厳然とその事実が存在するにもかかわらず、脳はそれでも強迫的に思考を続ける
私はそれがたまらなく嫌なのだ
ならば脳の思考を停止させれば良い
生きる意味など考えたくもないないが、生への執着は些かも薄れることはない
そんな私にとって、ここは理想的な職場なのだった

「これで最後ね」
「ご苦労さま、いつもありがとね」
「古鷹先輩もお疲れ様です」
「それにしても叢雲のはいつ見ても凄まじいわねぇ……理性がぶっ飛んでるというか……」
「バーサーカーみたいにいうのやめてください」
「制服を返り血に染めてちゃ世話ないわよ」
「これ落ちないのよね」