特警ウインスペクターvs機動刑事ジバン (137)

特警ウインスペクター×機動刑事ジバンのクロスssです。

このssの舞台は特救指令ソルブレインの23話~33話の間に起きた物語になります。

かなり人を選ぶssですけど興味があるなら読んであげてください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427105357





特警ウインスペクターとは、


平和を愛し、友情を信じ、人の命を守る為犯罪に立ち向かう、


『警視庁特別救急警察隊』のことである!


(ナレーション:政宗一成)






「俺は人間でもない。ロボットでもない。ただの化け物だ…」



そう言ってメサイヤという名の男が車に乗り、人気のない場所で大爆発を起こした。

もしこの爆発が密集地で起きていれば被害は甚大なモノであったはず…

こうして後に語られるメサイヤ事件は、一人の男が犠牲になる事で結末を迎えた。

だが、この事件の結末が後に大きな禍根を生み出す事になる…



~廃工場~


「やはり…事件は隠蔽されたか。」


ここは寂れた廃工場。

今、この廃工場で一人の男がある新聞記事を読んでいた。

その記事には以下の内容が記されていた。




【原因不明の謎の爆発事故!現場にはロボットの残骸が?警察は目下捜査中!】



「警察は間違いなく真実を闇に葬ろうとするだろう。
所詮ヤツらが掲げる正義など、嘘や偽りで取り繕った偽善でしかない。」


「普段は正義という大義の名目で犯罪を取り締まる警察組織が非道な悪事を行った。
警察は所詮人の心を踏みにじる事などなんとも思ってはいない!
ならばこの私が事件の真実を世間の人々に知らしめて鉄槌を下さねば!!」


廃工場でよからぬ企みを抱く一人の男。

果たしてこの男の目的は…?



~ウインスペクター本部~


竜馬「どうですか野々山さん?」


野々山「これは…正直もう限界ですね。」


バイクル「そんな…ホンマかいな!」


ウォルター「やはり、この前の日本での事件から薄々は勘付いていたが…」


ここはパリ、ICPOの内部に設置されているウインスペクター本部。

日本での任務を終えた特警ウインスペクターは、

現在このフランスにあるパリのICPOで華々しく活躍している。

そこにあるメンテナンスルームでは、特警ウインスペクター隊長の香川竜馬が、

サポートドロイドのバイクルとウォルターと共に装備品のオーバーホールを受けていた。

だが…その結果は…



野々山「バイクルとウォルターは問題ありません。けど隊長のクラステクターは…」


竜馬「やはり…限界ですか。」


バイクル「けど一体どういうこっちゃね?」


野々山「今までの事件でクラステクターを必要以上に酷使していたのが原因だよ。
元々クラステクターはプロトタイプだったんだ。
それが設計の想定を超えてこんなに酷使すれば当然限界が生じてしまう…
このままだとクラステクターを使えるのは、あと数回程度だと思われます。」


クラステクターとはウインスペクター隊長の香川竜馬が、

いかなる災害現場でも対処可能に行動できるように開発された特殊スーツの事である。

だが、これまでの事件で酷使したのが影響してクラステクターに限界が生じていた。



竜馬「異常はこの前…
メサイヤを追って日本に戻った時に、
クラステクターの異常を感じてはいたがまさかここまで深刻なモノだったとは…」


バイクル「メサイヤ…あれは後味の悪い事件だったがね…」


ウォルター「残された遺族は可哀想ですね。
確かあの男にはまだ幼い娘がいたはず、松原ゆかりちゃんという名前の娘です。」


竜馬「残された遺族か…」


メサイヤ事件を思い出す竜馬。

それは竜馬にとっても忘れがたい事件であった。



ウォルター「ところでクラステクターが限界では隊長はもう現場に出れないのでは…?」


野々山「それなら大丈夫。
実は以前からこの事態を予測して日本とインターポールの共同で新型のスーツが開発中だ。
近日中には完成するって話だよ。」


バイクル「なんや驚かせはって!新しいスーツがあるなら早う言うたってや!」


竜馬「だが問題は…それまで大きな事件が起きなければいいんだが…」


バイクル「心配なんてあらへんがな!大事件なんて滅多に起こらんがね!」


ウォルター「そうですよ。
明日はこのパリでNATOの上層部による会議が行われますからね。
関係者一同が集まって、
厳重な警備が敷かれる中で騒動を起こす物好きなんているわけがありませんよ。」


竜馬は危惧していた。

クラステクターの限界が生じた今の状況でなんらかの事件が発生した場合、

果たしてその事件に対処できるのかを…

そんな時、メンテナンスルームに一人の青年が足早に駆けつけてきた。



直人「み…みなさ~ん!大変ですよ!?」


バイクル「なんや、直人さんやないか!」


ウォルター「相変わらずそそっかしいですね。」


直人「ハハ、すいません。」


この青年の名前は田村直人。

以前は日本の警察官であったが、

現在はこのパリで活躍するウインスペクターのサポートを担当している。

普段はドジが絶えない彼だが誠実な人柄と外人スタッフばかりのICPO本部で、

同じ日本人という事もありウインスペクターメンバーには家族のように触れ合っている。



竜馬「それで直人さん、そんなに慌てて一体どうしたんですか?」


直人「そうだった、大変なんですよ!」


バイクル「大変ってまさか事件かえ!?」


ウォルター「だがそんな情報は我々のデータバンクに送られていないぞ?」


直人「いや、事件といってもそういうんじゃなくて…
え~と…あの…その…日本からあの正木本部長がやってきたんですよ!?」


「「なんだってー!?」」


直人の言葉に驚く竜馬たち。

正木本部長とは正木俊介本部長の事である。

ウインスペクターの設立者であり、以前は竜馬たちの直属の上司でもあった。

現在は日本でウインスペクターの後任組織である特救指令ソルブレインを設立、

後任のソルブレインメンバーの指揮に当たっている。

そんな彼がこのパリに一体何の用が…?



正木「みんな、久しぶりだな!」


竜馬「はい、本部長もお元気そうでなによりです。」


バイクル「なによりって…ワシらこの前日本で会ったばかりだがね!」


ウォルター「ですが本部長が、
はるばるこのパリにお越しになられるとは一体どんな要件なのでしょうか?」


正木「うむ、実は…」


今回、本部長がパリのウインスペクター本部にやってきた理由を告げようとしたその時であった。



マドックス『ジケンハッセイ!パリコウガイノホテルデカサイガハッセイ!
ホテルニハ、イマダニオオゼイノヒトビトガトリノコサレテイマス!』


バイクル「なんやて!?せっかく本部長が来てくれはったのに…」


ウォルター「まさかクラステクターが不調なこんな時に…」


竜馬「そんな事を言っている場合じゃない、直ちに現場に向かうぞ!」


正木「うむ、私の話はとりあえず後回しだ。ウインスペクター出動!!」


「「「了解!!」」」


ウインスペクターのスーパーコンピューターマドックスが事件の警報を告げた。

そして正木本部長の号令で火災現場に出動するウインスペクターメンバー!

隊長である竜馬は白いパトカーのウインスコードに、

バイクル、ウォルターもそれぞれのマシンに乗り込みそれぞれ現場へと急行した!



~パリホテル~



((ゴォォォォォォッ!))



バイクル「うひゃっ!酷い火災だがね!」


ウォルター「これは消火するのが骨じゃないか。
まったく、このホテルでNATOの会議が行われるのにこれでは会議は別の場所に変更だな。」


竜馬「よし、バイクルとウォルターは消火活動に掛かれ!
俺はまだホテルに取り残されている人々の救助活動を行う!急ぐぞ!!」


ウォルター「了解!」


バイクル「まかせてちょ!」


竜馬の指示を受けたウォルターとバイクルはそのまま燃え盛るホテルの中へ入っていく。

そして竜馬はそんな二人を見送りつつ、

再度ウインスコードの車内に乗り込むと搭載されているあるボタンを押した。




竜馬「SPカードイン!着化!!」



((ウィィィィィッ!))



竜馬が『着化』と叫んだ瞬間、

ウインスコードは変形を始めると同時に車内は赤い光に照らされる。

車内に搭載されていたクラステクターが竜馬の身体に装着されたのだ。

そしてウインスコードがファイヤースコードに変形し、竜馬が降りた。

その姿は…!


ファイヤー「特警ウインスペクター、隊長ファイヤー!
これよりこのホテルの消火、及び取り残された人々の救出活動を行う!!」


着化完了!

真紅に輝くクラステクターを身に纏ったファイヤーが燃え盛るホテルへと突入した。



ファイヤー「マルチパックファイヤーバージョン!」


バイクル「クラッパー!アンカーユニット!」


ウォルター「デイトリックM-2ディジェスティブビーム!」


「助かった!」


「ありがとうウインスペクター!」


「けどまだ一人だけ…奥に逃げ遅れた女の子が…!?」


さすがはウインスペクターである。

迅速に消火活動を行い、あっという間に逃げ遅れた人々の大半を救助に成功。

そしてさらに奥へと進み、最後に逃げ遅れた少女の救出へと向かった。



「ゲホッ!ゲホッ!」


ファイヤー「助けに来たぞ!もう大丈夫だ!」


ウォルター「残る救助者はこの少女一人で最後です!」


バイクル「ありゃ…?この子ワシらと同じ日本人だで!パリで日本人とは珍しいがね!」


最後の救助者を保護したウインスペクター。

すぐにこの火災現場から少女を避難させようとした…その時であった。




((バンッ!))



ファイヤー「マックスキャリバー!ハァッ!
今のは銃弾だと…?危うくこの少女に当たるとこだったぞ!?」


ウォルター「隊長!炎の中から…人影が…!」


バイクル「一体ありゃ何だがね!?」


間一髪少女に放たれた銃弾を防いだファイヤー。

そして業火の中から一人の男が現れた。

その男は銀色に光るメタルボディを輝かせウインスペクターの前に立ちはだかった。



ジバン「俺は…機動刑事…ジバン…!」


ファイヤー「機動刑事ジバン…?」


バイクル「ワシだと同じ刑事?けどおみゃーさんなんか知らんがね!」


ウォルター「だがあの男の姿…我々とそっくりだ。ヤツは一体…?」


機動刑事ジバンと名乗る一人の男。

その男はファイヤーたちに銃を向けてこう告げた。



ジバン「ウインスペクター、その少女をこちらへ渡せ。」


ファイヤー「なんだと!?」


ウォルター「それならまず、その銃を収めてもらおうか!」


バイクル「おみゃーさん、そんな物騒なモン持ってたらワシらも警戒してまうがね!」


ジバン「それはできない相談だな。
何故なら…俺は…今からこの銃でその少女を抹殺するからだ!」


ファイヤー「なんだと!?」


突然の発言に驚きを隠せないファイヤー。

燃え盛る炎の中、たった一人の少女の命を奪おうとする機動刑事ジバン。

果たしてこの事件、一体どうなるのだろうか!?

ナレーション正宗で特定余裕でした、今回はてつをお休みとは珍しい

とりあえずここまで




~ウインスペクター本部~


正木「何だと?機動刑事ジバンが女の子を!?」


竜馬「間違いありません、我々はこの目でハッキリ目撃しました。」


ウォルター「ヤツは刑事と名乗っていましたが子供に銃を向けるなど信じられない!」


バイクル「本部長、あの男は一体何者なんだがね?」


先程の事を正木本部長に報告する竜馬たち。

あの後、炎に遮られジバンは戦う事もなくそのまま去ってしまった。

竜馬たちは正木本部長が何か知っているのではないかと問い質すのだが…



正木「恐らくジバンがこのパリに現れたのは、
これから私が話すある事件について関連しているのかもしれん。」


竜馬「本部長、今回の訪問とジバンとの関連は一体…」


正木「うむ、それを話す前に諸君にはまずバイオロンについて説明しなければならん。」


ウォルター「バイオロン?」


バイクル「聞いた事もなかとね?」


『犯罪組織バイオロン』

それはかつて悪のマッドサイエンティストであるドクター・ギバが率いる、

バイオノイドと呼ばれる生物兵器を製造した悪の犯罪組織だ。

彼らは残忍な手口で人々を襲い、破壊の限りを尽くした極悪非道な輩であった。



竜馬「そういえばウインスペクターが発足される前に、
そんな名前のテログループが日本で暗躍していたと聞いた事があります。」


バイクル「けどワシらバイオロンなんて全然知らんがね?」


ウォルター「まだ私たちが生まれる前の話だからな。」


正木「そんなバイオロンに対抗するために警視庁はあるプロジェクトを発足した。
それが今は亡き五十嵐健三博士が立案した、
対バイオロン用兵器製造計画『JIBAN PROJECT』だった。
つまり先程お前たちが遭遇した機動刑事ジバンだ!」


竜馬「機動刑事ジバン…つまり彼は警視庁が開発した…我々の仲間なんですか!?」


警視庁が機動刑事ジバンを開発した事に驚く竜馬。

さっそくその正体を聞こうとするのだが…



ウォルター「それでは彼の正体は既に把握されているのですね?」


正木「いや、彼の正体とその一切の経歴は不明だ。」


バイクル「どういうこっちゃ!
ワシらと同じ警視庁が作ったロボットじゃなかとね?」


正木「彼は厳密にはロボットではない。
その正体は人間、つまりジバンはサイボーグなんだ。」


竜馬「サイボーグ…人間の身体を捨ててまで平和を守るために志願したのか。」


正木「その通りだ、ジバンはバイオロンから人々を守るために戦い続けた。
だがそれは険しい戦いだった。
バイオロンとの戦いは凄まじくこの計画の立案者であった五十嵐博士、
それに警視庁秘密調査室統括責任者であった柳田誠一さんも死亡した。
だが孤独に陥ってもジバンは戦う事を諦めなかった。
そしてジバンはバイオロンのボスであるドクター・ギバを倒しバイオロンを壊滅させた。
しかしそれと同時に彼は行方を晦ました。
バイオロンとの戦いで彼の正体を知る者たちは全員死亡しているため、
ジバンの正体を知る者は最早警視庁には一人もいない…」


JIBAN PROJECTは警視庁でも極一部の者たちの間で行われていた。

そのため、ジバンの正体を知る者は限られていた。

しかし、バイオロンとの戦いでその者たちは全員死亡。

ジバン自身も行方を晦ましたために最早その正体を知る事はできないのだ…



正木「そして今回私がこのパリに訪れたのはバイオロンが関係している!」


竜馬「それはどういう事ですか?」


正木「実は今から数日前、
日本にいるキミたちの後輩であるソルブレインが旧バイオロンの施設を発見した。」


ウォルター「一体その施設に何があったのですか?」


正木「うむ、その施設でバイオノイドが作られていた形跡があった。
それだけじゃない、そこでわかった事だがその施設ではある研究に関するデータがあった。」


竜馬「そのデータとは…?」


そしてマドックスのモニターにある映像が映し出される。

だがそれは奇妙な銀色の液体であった。



正木「金属生命体Og9。
Og9は液体金属でそれ自体に命を宿していない。
だがそれにタンパク質を加えるとOg9がタンパク質と同化、
そして金属化して活動を開始するという恐るべき生命体だ。
この研究をフランス人のシャルル・ベルモン博士が行っている。
博士は数年前まで日本でこの研究を行っていたが今はパリ大学に在籍しており、
そこで研究を続けているとの情報だ。」


竜馬「それではバイオロンの残党が狙っているのは…この金属生命体Og9!」


バイクル「また物騒なモン作ってくれたがね…」


ウォルター「もしかしたらそのシャルル・ベルモン博士は、
バイオロンと何か繋がりがあるのかもしれない!さっそく聞き込みに行きましょう!」


正木「待て、その前に諸君に渡しておきたいモノがある。」


シャルル・ベルモン博士の下へ行こうとする竜馬たちを引き止める本部長。

実は今回本部長はウインスペクターのためにあるモノを持ってきていた。

それがこれだ。



竜馬「これは…ギガストリーマー!?」


バイクル「間違いないがね!これは隊長が使っていたギガストリーマーだがね!」


ウォルター「ですが何故ここにギガストリーマーがあるのですか?
確かこのギガストリーマーはソルブレインの西尾大樹隊長に譲られたはずでは!」


正木「その通りだ。
だが今回、バイオロンが相手となればこのギガストリーマーが必要となるはずだ。
そこでウインスペクターに一時的ではあるがギガストリーマーを返却する事にした。」


ギガストリーマーとはウインスペクターが誇る最強武器の事である。

だがそれはかつてメサイア事件の直後、

竜馬はソルブレインの西尾大樹を認めた時にその証として彼に授けた武器であった。

それが再び竜馬の手に戻ってきたのだ。



竜馬「ギガストリーマー…まさか再びこの手にする事になるとは…」


バイクル「これがあれば鬼に金棒だがね!」


ウォルター「確かに、今の我々には必要不可欠ではある。」


正木「諸君も既に知っているかもしれんがまだ新装備は完成していない。
だがこのギガストリーマーさえあれば如何なる敵であろうと対応できるはずだ!」


竜馬「如何なる敵であろうと…か…」


本部長からギガストリーマーを受け取る竜馬。

だが…




((ズシリッ!))



竜馬「お…重い…!」


バイクル「そりゃそうだがね。」


ウォルター「現在最も強固な材質であるジルコナイト21で覆われているんですから。」


竜馬「いや…そうじゃない…そうじゃ…ないんだ…」


正木「…」


手渡されたギガストリーマーに重さを感じる竜馬。

それは単純に重いのではない。

まるで何かの戒めかのような重さが伝わっていた…

ここまで

ちなみにこの話を要約すると

大樹「先輩、これ(ギガストリーマー)いらなから返します」

竜馬「…」

こういう事です

>>21、26
そうです
いつものあのシリーズ書いてる者です
今回は残念ながら太陽の子の出番はありませんが…



~パリ大学~


竜馬「なんですって?シャルル・ベルモン博士は半年前から行方不明!?」


職員「はい、誰にも行き先を告げず突然いなくなってしまって…」


バイクル「一体どういうこっちゃ?」


ウォルター「まさか既にバイオロンが!」


早速パリ大学に訪れたウインスペクターたち。

しかしシャルル・ベルモン博士は既に半年前から行方不明であると聞かされた。



ウォルター「こうなれば博士の家を家宅捜索しましょうか?」


竜馬「それで何か出ればいいんだが…
そうだ、博士には誰か親しい人はいませんでしたか?
たとえば家族とか友人とか…」


職員「いませんね、博士は人付き合いが苦手なタイプでしたから。
博士と仲が良かったといえば博士の助手だったあの人くらいしかいませんね。」


バイクル「助手?」


職員「はい、うちの大学で博士の助手の方でして。
確かあなた方と同じ日本人で…高岡隆一さんです。」


竜馬「高岡隆一…その人は今どこに?」


職員「さっき外へ出ていかれましたよ。
なんでも知り合いの女の子が、
火事で病院に搬送されたから急いでお見舞いに行くって言っていました。」


「「「火事…?」」」


その話を聞き竜馬たちも病院へ。

するとそこには…



~パリ病院~


直人「あれ…?竜馬さんたちじゃないですか!」


竜馬「直人さん、どうしてここに?」


直人「僕の仕事はウインスペクターのサポート全般ですよ。
こうして被害者の心のケアをするのも僕の仕事の一環ですから!」


バイクル「よう言うわ!
本当は可愛い女の子と話したいだけだったんじゃないがね?」


ウォルター「まったく感心しませんね!このスケベめ!」


直人「失礼な!人をロリコンみたく言わないでください!?」


さて、そんな雑談はさて置いて…

病室にはベッドに横たわる一人の少女と田村直人。

それにもう一人、見知らぬ男がいた。

この男こそ竜馬たちが先程パリ大学で聞いた高岡隆一であった。



高岡「初めまして、私が高岡です。
しかし…まさかあのウインスペクターの方々にこうしてお目に掛かれるとは光栄だ。」


バイクル「いやぁ~、それほどでもありゃせんがね♪」


ウォルター「バカ、これはお世辞だ!」


竜馬「ところで高岡さん。
僕たちはあなたの上司であるシャルル・ベルモン博士の行方を追っています。
どこか心当たりはありませんか?」


高岡「さぁ?あの人は気紛れですからね。
たまにあるのですよ、突然フラッといなくなったりする事が…」


竜馬「では…バイオロン…という組織に聞き覚えはありますか?」


高岡「……バイオロン……いえ…ありませんね。」


バイオロンの事を聞かれ、一瞬強張る表情を見せる高岡。

竜馬はそんな高岡を見逃さなかった。



高岡「まあ私の事はどうでもいいでしょう。
それよりもこの子の事をお願いしますよ、私の知り合いの大事な娘さんでね。」


バイクル「お嬢ちゃん、大変だったがね!けどもう大丈夫だで!ワシらが守ったるでね!」


ウォルター「うむ、もう安心だぞ!」


直人「それにしても…
竜馬さんたちの話を聞いたけどあの機動刑事ジバンがこんな小さな子を襲うなんて…」


バイクル「ありゃ?直人さんはジバンの事知っとりゃあ?」


直人「あぁ、以前セントラルシティ署で働いた時に何度かジバンを目撃したけど…
ジバンは正義のために戦っていた。
そんなジバンがこんな小さな子を襲うだなんて僕にはどうしても信じられないんだ。」


竜馬「そういえば…キミは何故あのホテルにいたんだ?それにご両親はどうしたんだい?」


高岡「あぁ、それについては私が説明します。
実はこの子、ちょっと事情があって日本から一人でこのパリにやってきたんですよ。
行方不明になったお父さんを探しにね…」


竜馬「お父さん…?
そうだ、まだ聞いてなかったがキミの名前はなんて言うんだい?」


少女の名前を尋ねる竜馬。

この少女の名は…



ゆかり「私は…ゆかり…松原ゆかりと言います。」


竜馬「松原ゆかり…!?」


バイクル「はて?どっかで聞いたような…?」


ウォルター「あっ!まさかこの子はメサイヤの…!?」


ゆかり「私、行方不明になったパパを探しにこのパリにやってきたんです。
高岡のおじさんがパパはこのパリにいた痕跡があるっていうから、
どんな手がかりでもいいから見つけたくて…」


ゆかりの素性を聞き、急に静まりかえる竜馬たち。

何故なら彼らは知っているからだ。

このゆかりの父がどうなったかという結末を…

さて、ここでメサイヤ事件について改めて説明しておこう。




【メサイヤ事件】



NATO(北大西洋条約機構)によって制作された諜報用ロボット、それがメサイヤである。

だがメサイヤはただの諜報用ロボットではなかった。

なんとメサイヤの正体は、海外旅行中の事故で瀕死状態になった松原という名の日本人。

つまりこの松原ゆかりの父であった。

NATOにより改造され諜報用ロボットとして任務に就いていたメサイヤ。

だがある日、人間としての記憶が蘇りコンピューターの命令を破りメサイヤは日本へ逃亡。

その際、NATOが機密保持のために内蔵した自爆装置が起動。

自爆装置の解除が不可能であったために竜馬はICPOからメサイヤの破壊を命じられた。

その後、日本のソルブレインとの合同捜査でメサイヤを追いつめる事に成功。

自爆タイムリミット間近、

メサイヤはソルブレイン隊長の西尾大樹による説得で誰もいない場所で爆破した。

なんとも悲しい事件であった…

だが、この事件は世間に公表されず秘密裏に処理された。

それはこの事件が国際情勢に絡むため、各国の政府も公表する事ができなかったからだ。

結局メサイヤの遺族であるゆかりは今も父親の死を知らずにいた。



竜馬「まさか…この子があのメサイヤの娘だなんて…」


バイクル「これは偶然かね?」


ウォルター「そうだと思いたいが…」


ゆかり「あの…どうかしたんですか?」


直人「大丈夫だよ。
お父さんの事だってウインスペクターの人たちに頼めばきっと見つけてくれるはずさ!」


竜馬「…」


まさかこんな偶然があり得るのかと思わず疑う竜馬たち。

あの事件の光景が悪夢のように蘇ってきた…

とりあえずここまで

気になる名前がちらほら出てきているかもしれませんがとりあえずまだ気になさらないで



~ベルモン邸~


竜馬「さぁ、入るぞ。」


バイクル「それにしても研究資料ばかりだがね。」


ウォルター「まさに研究一筋の人間だったようだ。」


病院を後にした竜馬たちが向かったのはシャルル・ベルモン博士の屋敷であった。

しかし屋敷は無人の状態で、半年近く人の居た形跡がなかった。

それから屋敷を調べていると竜馬たちはいくつか気になる事を発見した。



竜馬「妙だ、これだけ膨大な資料はあるのにOg9の研究資料だけがなくなっているぞ。
どうやら誰かが俺たちよりも先にこの屋敷に来てOg9の資料だけ盗んだようだな。」


ウォルター「隊長、これを見てください。医療カルテを見つけました。」


バイクル「医療カルテ?博士はお医者さんだったんかね?」


竜馬「いや、博士の専攻は生物学だ。医療に携わっていたと思えないが…」


ウォルターが発見した医療カルテは二つ。

その内のひとつには『本間忠夫』という日本人の名前が記されていた。



バイクル「本間忠夫…ワシこの男知っとるで!プロレスラーのボンバー本間や!?」


竜馬「このカルテによると彼はかなりの重傷を負っていたようだ。
しかもこのカルテの日付は半年前、その時に彼の身に一体何があったんだ?」


バイクル「半年前といえば確かボンバー本間が失踪したのと同じ時期だで!」


ウォルター「その事なら私も覚えています。
本間はこのパリへ巡業に来ていたのですが、
そこで喧嘩の仲裁に入り逆に誤解されて警察に追われたとか…
しかもその時、拳銃で撃たれて相当の重傷を負わされたそうです。」


バイクル「それから行方不明になっとったけど、
まさか博士のとこへ担ぎ込まれていたとは思わんかったわ…」


本間忠夫のカルテは、半年前に彼が瀕死の重症を負っていた事が記されていた。

本来なら絶命してもおかしくないほどの傷をどう治療したのか、

気になるところであったが…さらに気になるべき事が…



バイクル「もうひとつのカルテには…ありゃ?」


ウォルター「隊長…これはひょっとして!」


竜馬「あぁ、間違いない。
このカルテには松原と書かれているが…これはメサイヤだ!?」


カルテに貼られていた写真に写っている男。

それは紛れもなく、かつてウインスペクターと因縁のあるメサイヤであった。

カルテによれば彼もまた半年前に重傷を負い運ばれてきたと記述されていた。



バイクル「けど何で二人とも半年前に担ぎ込まれてるんだがね?」


ウォルター「一体半年前に何が…?」


竜馬「ちょっと待て。何か………臭うぞ?」


奥の部屋に漂う異臭を感じた竜馬。

恐る恐るその奥の部屋へ行くとそこにはなんと…



竜馬「これは…死体!?」


バイクル「しかも…ミイラ化しとるで!」


ウォルター「恐らく死後半年は経過しているものと思われます!」


なんとそこで発見したのは死後半年を経過した男性のミイラ化した死体であった。

それにもうひとつ、そのミイラはある日記を持っていた。


竜馬「日記…こ…これは!?」


ウォルター「隊長、どうかしましたか?」


竜馬「急いで病院に戻るぞ!ゆかりちゃんが危ない!」


バイクル「血相変えてどうしたとね!?」


手紙を読んで急いで病院に戻ろうとする竜馬。

果たして何が起きつつあるのだろうか?



~病院~


直人「ゆかりちゃん、こんな遠いパリへ一人で来るだなんて怖くはなかったのかい?」


ゆかり「大丈夫だもん。
パパが言ってたの、ゆかりにはいつもナイトさまがついているって!」


直人「へぇ、ゆかりちゃんのパパがそんな事を言ってたんだ。」


ゆかり「そうだよ、そのナイトさまはいつもゆかりの事を助けてくれるんだよ!」


その頃、病院では直人がゆかりの心のケアを担当していた。

そんな時…突如異変が起きた。



ゆかり「あ…頭が痛い…痛いよ…」


直人「大丈夫かい?すぐにお医者さんを呼んでくるからね!」


ゆかりの容態が急変し、直人は急いで医者を呼びに行った。

だがそれと入れ替わりで怪しげな男がゆかりの病室へと入ってきた…


「…」


ゆかり「だ…誰…?」


ゆかり「え…何をするの?」


ゆかり「いやだ…やめて…!」


激しい頭痛に襲われるゆかりを気にもせず、

その男は何やら怪しげな機材を取り出してゆかりの身体に細工を施していた。



竜馬「急げ、何か胸騒ぎがする!」


ウォルター「ですが隊長、病院には直人さんが残っていますから危険は…」


バイクル「いや、わからんがね!
あのドジのおっちょこちょいの事だから何かやらかしとるかもしれんで!」


一方、ベルモン邸から急いで戻ってきた竜馬たち。

すると病院の玄関前で一人の男とすれ違った。

それは先程ゆかりの病室で出会った高岡だ。



高岡「おや、ウインスペクターのみなさん。どうしましたか?」


ウォルター「あ、実は…」


竜馬「ちょうどよかった。実はあなたに聞きたい事があるんですよ。」


高岡「私に…?」


偶然にも病院の玄関先で高岡と鉢合わせした竜馬たち。

そこで先程ベルモン邸での出来事を高岡に伝える事に…



高岡「そんな…博士が亡くなっていたとは…」


ウォルター「えぇ、そうです。私たちが行った時には既にミイラ化した状態でした。」


バイクル「酷いモンだったがね。」


竜馬「ところで高岡さん。
先程パリ大学で確認したのですがあなたはこの数年の間に何度か日本に戻っていますね。
それは何故ですか?」


高岡「急にどうしたのですか?
まあただの私用ですよ。今は亡き両親の墓参りにね…」


少し涙ぐんだ目でそう答える高岡。

だが竜馬の目は誤魔化せなかった。

長年刑事としての直感が、高岡が何か重大な事を隠しているのがすぐにわかった。



竜馬「ではもうひとつ尋ねたい事があります。
現在金属生命体Og9の研究を行っているのはベルモン博士ではなく…
高岡さん、あなたが行方不明になった博士に代わって行っているそうですね。
そのおかげであなたは大学でも相応の地位を獲得したと伺っています。」


高岡「まったく…あなたが何を言いたいのか理解に苦しむ。一体何が言いたいのですか?」


竜馬「それでは率直に言います。
シャルル・ベルモン博士を殺害したのは、高岡さん!あなたですね!」


ウォルター「なんと!」


バイクル「ほんまかいな!?」


シャルル・ベルモン博士を殺害したのは高岡だと言い放つ竜馬。

果たしてその理由は…?



高岡「面白い事を…確かに私には動機があるかもしれない。しかし決定的な証拠は?」


竜馬「今から半年前、
本間と松原という日本人の二人の男がこのヨーロッパで重傷を負った。
その時、NATOの要請で彼らに治療を行ったのがベルモン博士と高岡さん。あなただ。」


高岡「…」


竜馬「しかしそこで行われたのは治療などではなかった。行われたのは…」


高岡「人体をサイボーグ化する改造手術だった。あれは酷かったな。」


ウォルター「まさか…こいつ…!」


バイクル「自白しとるんかね!?」


ウイスペクターに追い詰められ諦めたのか高岡はある事を呟き始めた。

全ての発端は今から半年前に遡る…



高岡「半年前、私と博士は…
NATOの要請である日本人の男たちを諜報用サイボーグに改造せよと命じられた。」


ウォルター「それがメサイヤ…いや松原と本間だったのか。」


高岡「NATOの要請を断る事などできるはずがない。
博士はその要請に従いまずはメサイヤ…いや…松原を諜報用ロボットへ改造した。
その際にOg9の技術を流用してな。」


竜馬「メサイヤにはOg9の技術が流用されていたのか!?」


高岡「そうだ、しかしOg9の全容を知るのはあの当時は博士だけだった。
松原は人間としての記憶を失い諜報用ロボットにされた。
私はそんな彼を不憫に思い、密かにある細工を施した。」


バイクル「細工って一体何だがや?」


高岡「人間としての記憶を蘇らせる細工さ。
結果、彼は人間の記憶を取り戻して日本へ逃亡した。
だが…無事に家族と再会する事はできなかったらしいが…」


竜馬「…」


チラリと竜馬を睨みつける高岡。

メサイアを家族に再会させなかった責任の一端を責めるかのような眼差しであった。



高岡「そして次に本間の番がきた。
彼もまたNATOの諜報用ロボットに改造されようとするまさにその寸前。
だがここである転機が訪れた!」


ウォルター「転機とは一体…?」


高岡「研究者というのは因果なものでな、博士は本間をOg9の人体実験に利用したんだ!」


竜馬「なんだって!?」


高岡「数年前、博士は日本でバイオロンからの援助を受けてOg9を開発していた。
だがその間にもバイオロンが滅びて研究も何度か中断する事態に見舞われたが…
博士はそれでも諦めなかった。」


バイクル「なんちゅー執念や!」


ウォルター「つまり博士は日本にいる間はバイオロンの協力者だったのか!」


高岡「そして半年前になりようやく人体実験の段階にまでたどり着けた。
さすがに気が引けた私は博士を止めた。
だが博士は科学の進歩がどうだとか戯言を抜かして聞く耳を一切持たなかった。
だから私は…」


竜馬「博士を殺害したんだな。
屋敷を荒らした形跡がなかったのは助手のお前が博士と顔見知りだったから…
博士もまさか助手であるお前に殺されるとは夢にも思わなかったのだろう。
全ては博士の日記に記されていた。NATOの事やメサイヤの事もな…
高岡隆一、お前をシャルル・ベルモン博士殺害の罪で逮捕する!」


事件を暴いたウインスペクター。

彼らは早速高岡を逮捕しようとするのだが、

しかし高岡はそれに抵抗する事もなく竜馬たちにある質問をした…



高岡「私を逮捕するのか、それは構わんが…それで終わりか?」


竜馬「どういう意味だ?」


高岡「そもそもこの事件の発端は、
NATOが身元不明の外人を諜報用ロボットに改造した所為だ!
この私を逮捕したところでヤツらを咎める事などできんぞ!
それとも全ての罪を私に着せるつもりか?
かつてお前たちによって濡れ衣を着せられ惨めに死んだメサイヤ…
いや…あの松原のように!!」


竜馬「あ…あぁ…」


高岡は竜馬たちを前に反論を唱えた。

自分を逮捕するという事は、

メサイヤたちを諜報用ロボットに仕立てたNATOの上層部も同罪であると!

だがそれは難しい事だ。

仮にも国際機関がそのような非を認めるはずがない。

もしもそうなれば重大な国際問題に発展するのは明らかであった。



高岡「フンッ、どうやらその顔は図星のようだ。
肝心の根っこを咎める事もできず何が正義だ!お前たちの正義など所詮偽りなのだ!!」


竜馬「ちがう…そんな事は!?」


高岡「ならばもうひとつ、面白い余興を開いてやろう!!」



((ドッガァァァァァンッ!!))



ウォルター「爆発だ!」


バイクル「あそこは…ゆかりちゃんの病室からだで!」


竜馬「なんだと…急ぐぞ!」


竜馬は着化して急いでゆかりのいる病室へと向かった。

するとそこにいたのは…



ジバン「来たかウインスペクター、待っていたぞ。」


ファイヤー「あなたは…機動刑事ジバン!」


ウォルター「ジバン、何故あなたがここに?」


バイクル「それよりも二人とも…あれを見るがね!とんでもない事になっとるで!?」


病室にいたのはウインスペクターよりも一足先に駆けつけたジバン。

それにもうひとつ…得体の知れない化物が…

いや、よく見ればそれは化物などではなかった。

それは先程まで、この病室にいたあの少女だった。



ゆかり「私…一体…どうしちゃったの…?」


ファイヤー「ゆかりちゃん!一体何があったんだ!?」


ゆかり「わかんない…
急に頭が痛くなって…気づいたら身体が機械みたく硬くなっちゃったの…」


バイクル「何がどうなっとるんや!?」


ウォルター「わからん…さっぱりだ…」


ゆかりは身体がまるで鋼のように硬質化していた。

一体この少女の身に何が起きたというのだろうか?



高岡「フフフ、どうやら実験は大成功のようだ!
Og9、未完成ながら人体をここまで変貌させるとはさすがだな!!」


ファイヤー「高岡…これは一体どういう事だ!この子をどうする気だ!?」


高岡「復讐だよ…」


ウォルター「復讐…?」


高岡「そうだ、復讐だ!この娘の父親は無実の罪で殺された!
ならば父親の無念を娘であるゆかりが晴らさなければならないのだ!!」


ファイヤー「高岡…お前は一体何を言っているんだ!?」


まるで狂気に憑かれた目でそう高らかに叫ぶ高岡。

何故この少女を復讐に駆り立てようとするのか…

ファイヤーにはそれがわからなかった。



ゆかり「パパが…一体…どうしたの…?ねぇ…パパは一体どうなったの?」


ウォルター「それは…」


バイクル「おみゃーさんのパパはのぉ…」


高岡「殺されたんだよ!ここにいるウインスペクターとそれにNATOの連中によってな!」


ゆかり「そ…そんな…いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


ゆかりにとって残酷な真実が告げられた。

大切な父親は既に死んでいた。

その真実を知った時、ゆかりの心を深い悲しみが襲った…



ジバン「まずいな、このままではOg9があの少女を蝕むのは時間の問題だ。」


ファイヤー「それではどうすればいいのですか!」


ジバン「決まっている、あの少女を始末するしかない。手を貸してくれファイヤー!」


ウォルター「何をバカな事を言うんです!ジバン、あなたは正気ですか!?」


バイクル「そうや!まだ何か助ける方法が残っとるはずだで!」


ジバン「そんな方法はない。
私はあの少女が最初から悪に利用されると懸念して抹殺しようとしたんだ。
あの子は既にバイオロンと同じだ。
ウインスペクター、私と一緒にあの子を始末するぞ!」


そしてジバンは自身の銃を取り出し、ゆかりを目掛けて撃ち込もうとしていた。



バイクル「やめたってや!相手はまだ子供だで!」


ジバン「そんな事を言っている場合ではない!
早くあの少女を抹殺しなければこのパリで大爆発が起きてしまうのだ!」


ウォルター「それはどういう事なのですか!?」


高岡「私が説明しよう。
あの少女は死んでも父親の復讐を果たさせるために、
Og9の細胞に自爆プログラムが組み込んである。
タイムリミットは明日の午後0時。
その時刻が過ぎれば、
ゆかりの体内にあるOg9が連鎖反応を起こして半径5キロに渡り大爆発を起こすだろう!」


ファイヤー「なんという事を…これでは同じだ…あのメサイアの時と何もかも…」


ゆかりを抹殺しなければこのパリで半径5キロに渡る大爆発が起こる。

その事実を聞かされ、竜馬は改めてゆかりを見た。

まさかゆかりが父親と同じ境遇に陥るとは…これも運命なのだろうか?

そしてこの事態が最早どうにもならないと悟ったファイヤーもまた自らの武器を手にした。



ファイヤー「ギガストリーマー…」


バイクル「隊長!撃つのは待ってちょ!?」


ウォルター「そうです!まだ何か手が…」


ジバン「そんな猶予はない、ファイヤー!人命を尊重するのなら大勢が生き残る方を選べ!」


ファイヤー「確かにジバンの言う事は間違ってはいないのだろう。だが…」


ギガストリーマーをゆかりに向けて撃とうとするファイヤー。

だが、引き金を引こうとしたその時であった。



ファイヤー「どうしたんだ…?」


ジバン「何をしているファイヤー!早くあの少女を撃つんだ!」


ファイヤー「わかっている…わかっているんだが…」


ファイヤー「引き金が…重い…」


ファイヤー「こんな事は初めてだ…一体どうしたというんだ!?」


ギガストリーマーの引き金を急に引けなくなったファイヤー。

しかしそれでもゆかりに銃口を向けている事に変わりはなかった。

これが思わぬ事態を招く事になる!



ゆかり「いや…いや…」


ゆかり「「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!???」」


ファイヤー「なっ…これは!?」


ジバン「どうやらあの少女の心に恐怖が芽生えて動揺しているんだ!」


高岡「いいぞ!さぁ、何もかも破壊してしまえ!
全てはヤツらが招いた結果だ!その報いをこれから受けてもらうぞ!!」



((ドッガァァァァァァン!!))



そして次の瞬間、ゆかりはOg9の力を暴走させて病室は大爆発を起こした。

ウインスペクターは、それにゆかりの運命は如何に…





……

………


竜馬「う…うぅ…」


バイクル「お、隊長の意識が戻ったでね!」


ウォルター「隊長、大丈夫でしたか?」


直人「竜馬さんはあれからずっと意識を失っていたんですよ!」


竜馬「あぁ…ところであの後一体何が起きたんだ…?」


あの爆発の後、病室にて意識を取り戻した竜馬。

どうやらあれから既に1日経過していたようだ。

その間に高岡はゆかりを伴って逃走。

ジバンも何処かへいなくなってしまったとの事であった。



直人「あの後、このパリは厳戒態勢に入りました。
だからまだ高岡たちがパリに留まっているのは間違いありません。
ついでに昨日に発生した火災があったパリホテルで行われるはずだったNATOの会議も、
ICPO本部で行われるそうです。」


竜馬「なんという事だ。俺が意識を失ってから既に1日が経過していたなんて…」


バイクル「それだけじゃないでね。あの爆発でクラステクターが…」


バイクル「野々山さんがすぐに応急修理をしてくれました。
しかし…クラステクターを装着できるのは恐らくあと1回だけだそうです。」


竜馬「あと1回だなんて…それではもう失敗は許されないという事か…
新装備もまだ開発中で期待はできない。現状の装備で解決しなければならないのか…」


高岡はゆかりを伴い逃亡中。

そのゆかりも体内にOg9の強力な爆弾が組み込まれている。

なんとかして二人を見つけなければこのパリが危ない。

竜馬はゆかりを撃つ決意を新たにする。



竜馬「今度こそ失敗は許されない。
俺はゆかりちゃんを撃ち…なんとしてもこのパリの大爆発を食い止めなければならない!」


ウォルター「隊長、それは本当に我々がやらなければならない事なのですか?」


バイクル「ワシら…そんな事やりたかないがね…」


竜馬「何を言っているんだ!あの子が危険なのはお前たちも知っているだろう!
ならば躊躇する事は許されない。なんとしても…」


ウォルター「しかし…あの子には何の罪もありません!」


バイクル「そうだがね!
あんな年端もいかない子供を始末するなんて…ワシらには…できんがね…
隊長は変わってしもうたわ…以前ならこんな事絶対に言うはずあらへんのに…」


ウォルター「いくら任務とはいえ…最近のあなたは命を軽んじている。
私たちは今のあなたの命令など聞く事はできない…」


そう言い残してウォルターとバイクルは竜馬の病室から出て行ってしまう。

『最近のあなたは命を軽んじている。』

この言葉を突きつけられ落ち込む竜馬…



直人「竜馬さん…大丈夫かい?」


竜馬「ウォルターとバイクルの言う通りかも知れない。
確かに俺は海外で活動していくうちにどこか命を軽んじてしまうようになってしまった…」


直人「そんな事は…」


竜馬「世間からは海外で華々しく活躍するウインスペクターなんて言われているけど…
実際はそうじゃない。
この海外では日本以上の悪の犯罪組織が暗躍していた。
そんな連中を相手に時には非情な選択もやむを得ないと思った事が何度もあった。
いつの頃からか…心に余裕すらなくなっていた。」


竜馬が初めて語った本音…

海外での活動は確かに日本での事件よりもはるかに難易度が高い事件の連続だった。

凶悪な犯罪者、それに想像を絶するレスキュー活動。

そんな過酷な状況下において当初の理想を貫くという事は至難の事で、

いつしか竜馬も時には非情でなければならない時もあると割り切るようになってしまった。



直人「なぁ…竜馬さん…
僕はあなたに明確な答えを伝えられるような立場じゃない。
けど少しアドバイスをさせてもらえないか?」


竜馬「アドバイス?」


直人「迷ったのなら…その時は原点に立ち戻るべきだ。
ほら、よく言うだろ。『初心忘るべからず』ってね。
竜馬さんはウインスペクターに入隊する時、一体何を思ったんだい?
それを思い出せたら自分が本当は何をすべきなのか自ずと見えてくるはずさ。」


竜馬「俺の原点か…」


直人「それじゃあ僕はもう行くよ。まだデスクワークが残っているんでね。」


こうして直人も病室から出て行った。

残った竜馬は直人が残した言葉に何かを思いながらも、

傷ついた身体を押して高岡とゆかりの追跡を開始する。



~ウインスコード~


竜馬「うぅ…傷が痛むな。
だがそんな弱音ばかり吐いていられない。急がなければこのパリが…」


竜馬「だがヤツは一体何をする気なんだ?
ゆかりちゃんに父親の復讐をさせたければ俺たちを狙えばいい。
だがヤツは俺たちにトドメを刺さずにいなくなった。」


竜馬「あの時、俺は意識を失っていたはず。
ゆかりちゃんの復讐を果たさせるなら絶好の機会だったはずだ。
それなのに何故…?」


竜馬「もう一度よく思い出すんだ。
ヤツがゆかりちゃんの憎しみを利用して、
攻撃する相手は本当に俺たちウインスペクターなのか?」


ウインスコードで高岡たちの追跡を開始した竜馬。

だが一体どこを探せばいいのか見当もつかない状況であった。

そんな時、高岡が言っていたある言葉を思い出した。




『全てはヤツらが招いた結果だ!その報いをこれから受けてもらうぞ!!』



竜馬「そういえば高岡はあの時…
俺たちの事を『ヤツら』と言った。
おかしいぞ、俺たちが目の前にいるのにまるで他の者を指して言うだなんて?
もしや…高岡の狙いは…
ゆかりちゃんを使って俺たちではなく他の者たちへの攻撃する事では!?」


竜馬「待てよ?そもそもこの事件の発端となったメサイヤ事件…
あの事件の被害者である松原を諜報用ロボットに改造したのはNATOだ。
つまり高岡の狙いはゆかりちゃんを使ってNATOの者たちを攻撃する事なのか!」


竜馬「いけない…急がなければ!」


竜馬はウインスコードのアクセルを思い切り踏み、急いである場所へと向かった。

果たして高岡はゆかりを利用してこのパリで何を行う気なのだろうか?



~ICPO本部~


「…」


「……!」


「………!?」


正木「まったく、お偉いさんたちは文句ばかりで物事を決めるのが遅いな。」


ここはICPO本部で行われているNATOによる国際会議。

厳重なる警備が敷かれ、

NATOの上層部や各国の警察機関の代表による会議が行われていた。

その中には正木本部長やこの国際会議を中継しようと各国の報道陣も押し寄せていた。




((ドッガァァァァン!))



「何だ!この爆発は!?」


「見ろ!会場に変な連中が居るぞ!」


「あの者たちは一体何なんだ!?」


「警備は何をしていた!?」


会場に轟く爆発音。

さらにその爆発のあった場所から一人の男が現れた…



高岡「お集まりのみなさん、ごきげんよう。私の名は高岡龍一、以後お見知りおきを。」


正木「お前は…竜馬たちからの報告にあった高岡龍一!何故ここにいる!?」


高岡「実は今日こちらに出向いたのは、みなさんに会いたいという少女がいましたね。
この場に連れてきたんですよ。
ご紹介しましょう、NATOの方々よ!
あなた方が諜報用ロボットとして改造したメサイア…いや…松原の娘だ!!」


((ガシャッ!)) ((ガシャッ!))


金属音の足音を響かせながらこの会場に全身金属の奇妙な化物が現れた。

だがこれはただの化物ではない。

その正体は…!



Og9『ヨクモ…パパヲ…オマエタチ…ユルサナイ!』


正木「これは…まさか…報告にあったOg9に感染された少女か!?」


高岡「その通り!
この少女こそかつてあなた方NATOが作り上げた諜報用ロボットメサイアの実の娘だ!
私はこの少女に全ての真実を話した。
父親がNATOで改造され人間の記憶を失い、そして最期は自爆して死んだ事をな!!」


高岡に連れ添われて会場に現れたのは、

既に全身を金属生命体Og9に侵食されてしまったゆかりであった。

高岡から真実を聞かされ心を激しい憎しみに駆られるゆかり。

今のゆかりはまさに復讐の鬼と化していた!




((ブォォォォンッ!))



ファイヤー「ゆかりちゃん!高岡!」


正木「ファイヤー!来てくれたか!」


高岡「フンッ、ウインスペクターか。よくぞ私たちがこの場所に現れると気づいたな。」


ファイヤー「ゆかりちゃんの父親であるメサイア…
いや、松原を改造したのはここにいるNATOの上層部の人たちだ。
この前のホテルの火災事故、
あれはお前がこの会議をICPO本部で行わせるために仕組んだ事だったんだな!」


高岡「その通りだ、これでお膳立ては全て整ったわけだ!」


この場に駆けつけたのは、

ファイヤースコードで会場に突進してきたファイヤーであった。

だが高岡は自らの企みを暴かれても平然としていた。

いや、むしろこれこそが計画であると余裕の表情を浮かべていたのだ!

するとそこへファイヤーの他にもう一人、駆けつけた男が…



ジバン「ファイヤー、どうやら二人を追い詰めたようだな。」


ファイヤー「ジバン!あなたも高岡の企みに気づいたのか!?」


ジバン「そんな事はどうでもいい。
それよりもギガストリーマーを取り出せ。
そしてフルパワーであのOg9に侵食された松原ゆかりを抹殺するんだ!」


ファイヤー「どうしても…やらなければならないのか…」


再度現れたジバン。

そしてジバンはファイヤーにゆかりを撃てと命じる。

そうしなければ大爆発が起こるのは間違いないからだ。



高岡「さて、報道関係者の方々よ!
我々に注目して頂きたい、何故私たちがこのような行為を行うのかこれよりお話しよう!」


「何だ…?」


「ヤツは何を言う気なんだ!?」


正木「報道…そうか!高岡がこの会議場に現れた目的がわかったぞ!?」


そして高岡は各国の報道陣の前で真実を告げた。

自分たちがこの場に現れたのは今は亡きゆかりの父であるメサイアの死の真相、

それを隠蔽したのがこの場に集まったNATO首脳陣である事を…



「これが事実なら…」


「NATOは明らかな犯罪行為を行った事に…」


「なんてヤツらだ!」


「あぁ…なんという事を…」


「我々は失墜だ…」


正木「高岡の目的はNATOの罪を暴く事だったのか。
この各国の報道陣の集まった国際会議の場はまさに注目の的…これがヤツの計画か!」


真実を暴かれ狼狽えるNATO首脳陣。

その失墜はまさに自業自得であった…



ファイヤー「高岡!これで目的は果たせたはずだ!今すぐ自首しろ!」


高岡「いいや、ダメだ。
こんなモノは松原が受けた死の苦しみの比ではない!
やはりお前たちには死んでもらう!!」


正木「なんだと!?」


ジバン「やはりか…
最早何を言っても無駄だ。ファイヤー、あの少女を抹殺しろ!
そうでなければ大勢の人間が死ぬ事になるぞ!!」


ファイヤー「あ…あぁ…ギガストリーマー…マキシムモード…」


「おい…ウインスペクターがあの少女を撃つぞ!」


「カメラを回せ!」


ファイヤーはギガストリーマーの発射態勢に入った。

すると報道陣がファイヤーとOg9に侵食されたゆかりにカメラを向けた。

その時、本部長が何故高岡がこんな大掛かりな仕掛けを施したのがかようやくわかった。



正木「そうか、これが高岡の真の狙いだったのか!
ヤツの目的はゆかりちゃんにNATOへの復讐をさせるだけではない…
メサイア事件の事実を公表しなかった我々警察を貶めるためでもあったのか!」


高岡「その通り、ウインスペクターがゆかりを撃ってもそれは構わん!
だが世間の人々はこの光景をどう思う?
父親が無実の冤罪で殺され、そしてその娘もまた同じ死に方をした。
そうなればお前たち警察の信用など地に落ちたも同然!」


ファイヤー「おのれ高岡!なんというヤツだ…!?」


ジバン「構うな!ヤツがどう思うがそんな事は関係ない!
今はギガストリーマーの一撃であの少女を抹殺する事だけを考えるんだ!!」


ここにきて遂に高岡の企みが明らかになった。

だがそんな企みなど既にどうでもよい事だった。

どうであれゆかりを抹殺しなければいけない事に変わりはなかった。

だが…そんなファイヤーにもまた…心の中である異変が起きていた。



ファイヤー(やはりギガストリーマーの引き金が重たい…
今までギガストリーマーを使い続けてきたが…こんなに重たかったか…?)


ファイヤー(まるでギガストリーマーがゆかりちゃんを撃つなと警告しているみたいだ。)


ファイヤー(だがやらねば…
ここで俺が撃たなければ大勢のパリ市民が犠牲になってしまうんだ!)


自らにそう言い聞かせるファイヤー。

その時、ふとある事を思い出した。

それは先程病室で聞いた直人の言葉であった…




『迷ったのなら…その時は原点に立ち戻るべきだ。』



ファイヤー(原点…)


ファイヤー(俺にとって原点とは何だ?)


ファイヤー(俺たちウインスペクターは…
平和を愛し、友情を信じ、人の命を守る為犯罪に立ち向かう存在だ…!)


ファイヤー(そうだ、俺たちがすべきはこんな罪もない少女に銃を向ける事じゃない!)


ファイヤー(もしかしたら助かる可能性なんてゼロに等しいのかもしれない…
だが俺は諦めるべきじゃない!
この少女を守るためにウインスペクター隊長として…いや…俺は…一人の人間として…
最後までゆかりちゃんの命を守らなきゃいけないんじゃないのか!!)


((ガシャンッ!))


正木「ファイヤー…ギガストリーマーの銃口を下げたのか?」


ファイヤーはギガストリーマーの銃口を下げた。

同時にクラステクターのヘルメットを取ると着化を解除して本部長とジバンにこう呟いた。



竜馬「すみません本部長、俺にゆかりちゃんは撃てません。
けど、お願いがあります。あの子を救うためにもう少しだけ猶予をください!」


正木「うむ、それでいい。人命を尊重する、それでこそウインスペクターだ!」


高岡「まさか…撃たないとは…これは意外な展開だな。」


本部長にゆかり救出を進言する竜馬。

だが高岡はまるでそれも当初の計画通りだというような顔でいた。

そんな時…



ジバン「くだらない!既に時間がない!
退けウインスペクター!お前たちがやらないのなら俺があの少女を撃つ!!」


竜馬「やめろ!ジバン!?」


正木「そうだ!まだ何か手が…」


ジバン「手などない!一度悪に堕ちた者に容赦する必要などないのだ!!」


ジバンは銃を取り出しゆかりを撃ち抜こうとした。

だが…その時であった!




((ダァァァァンッ!))



ジバン「ぐはぁっ!?」


竜馬「ジバンの顔に銃弾が当たった!」


正木「しかもヤツの顔が世にも邪悪な顔に変貌していくぞ!」


高岡「まさか…そんな…!?」


ここにきて初めて動揺を見せる高岡。

それに被弾したから顔から何やら凶暴な顔つきを見せるジバン。

そんな時、会議場の奥から何やら男の声が聞こえてきた。

それは…



「対バイオロン法…」


「第1条:機動刑事ジバンは、いかなる場合でも令状なしに犯人を逮捕する事ができる。」


「第2条:機動刑事ジバンは、
相手がバイオロンと認めた場合、自らの判断で犯人を処罰する事ができる。」


「補足、場合によっては抹殺する事も許される。」


「第3条:機動刑事ジバンは、
人間の生命を最優先とし、これを顧みないあらゆる命令を排除する事ができる。」


「第5条:人間の信じる心を利用し、
悪のために操るバイオロンと認めた場合、自らの判断で処罰する事ができる。」


「第6条:子どもの夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い。」


「第9条:機動刑事ジバンは、
あらゆる生命体の平和を破壊する者を、自らの判断で抹殺する事ができる。」


『対バイオロン法』

それは犯罪組織バイオロンを取り締まるために、機動刑事ジバンにのみ与えられた権限。

その条文を読み上げながら一人の男が会議場に姿を現した。

金属音の足音を響かせ、銀色に光るメタルボディ。

そして胸には正義を表す星のマーク。

そう、この男こそ…!



ジバン「機動刑事ジバン!」


正木「機動刑事ジバンだと…?」


竜馬「それでは…こっちのジバンは!?」


ジバン「今までゆかりちゃんの命を狙っていたのは…私の偽者だ!」


ジバンノイド「うぅ…まさかここにきてまさか本物が現れるとは!?」


高岡「おのれ…ジバン!」


竜馬「高岡が悔しがっている…?
そうか、高岡と偽ジバンはグルだったんだ!
だから偽ジバンは俺に必要以上にゆかりちゃんを撃てと誘っていたんだな!?」


正木「全てはウインスペクターにゆかりちゃんを撃たせ警察の信用を失墜させるためか!
高岡め…よくもこんな手の込んだ真似をしてくれたな!?」


全ては高岡とジバンノイドの企みであった。

警察組織の信用を失墜させるためにゆかりをウインスペクターに抹殺させようとした高岡。

だがそれも本物のジバンの登場で阻止された!



高岡「だが最早手遅れだ!
いくら真相を暴こうともゆかりの自爆は止まらない!
あと5分以内にこのパリ半径5キロは大爆発を起こすだろう!!」


竜馬「そうなればお前も死ぬんだぞ!わかっているのか!?」


高岡「フフフ、お前たちは本当に愚かだ。何故なら私は…」


ジバン「まさかこいつ…マクシミリアンガン!ラストシューティング!」


((ダンッ!))


高岡に銃弾を撃ち込むジバン。

するとどうだろうか?

なんとこの場にいた高岡はロボットだった。

最初から本物の高岡はこの会議場にはいなかったのだ。



正木「そうか…道理で大掛かり過ぎると思った。この事件は最初から陽動だったんだ。
本物の高岡は今頃このパリを逃亡して遠くへ逃げ延びたにちがいない!」


竜馬「おのれ高岡!ヤツはいずれ俺の手で逮捕してみせる!」


ジバン「今はヤツの事など後回しにしろ!それよりも…」


Og9『ア゛アァァァ…!』


ジバンノイド「正体がバレたが…こうなればお前たちを道連れにしてやる!」


高岡がいなくなってもOg9に侵食されたゆかりは健在だった。

それに正体を暴かれたジバンノイドがこの会議場にいる者たちを襲い始めてきた!



ジバン「バイオロンを倒すのは俺の使命だ。
俺はジバンノイドを倒す。ウインスペクター、キミたちはゆかりちゃんを助けるんだ!」


正木「だが…Og9に侵食されたゆかりちゃんをどうやって助ければいいんだ?」


ジバン「それについては分析が終わっている。
高岡がゆかりちゃんに施したOg9はどうやら未完成だったようだ。
恐らくOg9とゆかりちゃんは完全には融合していない。
Og9が爆発する0.1秒前の一瞬だが彼女とOg9の融合が解ける瞬間が来る。
その0.1秒の間にゆかりちゃんを救出し爆破も阻止する事ができる!」


竜馬「0.1秒…まさに一瞬だ。
もし失敗すればゆかりちゃんを助けられないどころか、
この会議場の半径5キロが火の海と化して大勢の人々が死ぬだろう…」


ジバン「そうだ、だがそれでもやるしかない!」


竜馬「ゆかりちゃんを助けるためにも…このチャンスに賭けるしかない!」


そして竜馬はウインスコードに乗り込み再び着化しようとした。

だがそれを本部長に止められてしまう。



正木「待て竜馬!
さっきの着化でお前のクラステクターはもう…これ以上の着化は無理だ!?」


竜馬「止めないでください本部長!俺は…俺は…!」


正木「竜馬…どうしてもやる気なのか?」


竜馬「はい…かつて俺は大勢の命を救うためにゆかりちゃんの父親を犠牲にしてしまった。
その罪はこれから先一生償えるモノではないはず…
けど…あの子だけは!メサイヤ…いや…松原が遺したあの子だけは…!
俺は過ちを二度と繰り返さない!もう俺の目の前で誰も死なせたりはしない!!」


正木「わかった、もう何も言わん。責任は私が持つ。だから最後までやり遂げるんだ!」


竜馬「ありがとうございます本部長…」



竜馬「「着化!!」」



そして再び着化する竜馬。

装着されたクラステクターからは限界なのか既に関節部から蒸気が吹き出していた。

クラステクターの内部は既に冷却装置が効かないため高温を発しており、

常人ではこの熱気に耐えられるはずなどない…

だがそれでも竜馬のゆかりを救いたいという想いは変わらなかった。




ファイヤー「「特警ウインスペクター隊長ファイヤー!」」



ジバン「「警視庁秘密捜査官警視正、機動刑事ジバン!」」



ファイヤー&ジバン「「この事件は俺たちが解決してみせる!!」」


並び立つ両雄。

残り時間、わずか5分…

特警ウインスペクターと機動刑事ジバンの共闘が開始された!



ジバン「バイオロンが生み出した最後のバイオノイド、
そして俺の姿を真似たジバンノイド!よくも機動刑事ジバンの名を汚してくれたな!
お前だけは絶対に許さない!!」


ジバンノイド「おのれ…ジバン!お前さえ現れなければ…!?」


ジバン「黙れ!本物の機動刑事ジバンは如何なる事があろうと決して子供を襲わない!
お前のように高岡と手を組んで子供を利用するヤツを俺は絶対許さない!」


ジバン「マクシミリアンソード!ジバンエンド!!」


((ズバッ!))


ジバンノイド「うぎゃぁぁぁぁ!?」


一人の少女の心を操ろうとしたジバンノイド。

だがそんなジバンノイドなど正義の怒りに燃えるジバンの敵ではなかった。

必殺技ジバンエンドの斬撃が決まりジバンノイドは吹っ飛ばされた!



Og9『パパヲ…イジメタヤツラヲゼッタイニユルサナイ…!』


ファイヤー「もうよすんだ!これ以上暴れればキミの身体は…」


Og9『ウルサイ!オマエタチノセイデパパガシンダ!
パパハワルイコトヲシテナイノニ…ヨクモ…ヨクモ…!』


ファイヤー「そうだ、確かにキミのお父さんを死なせたのは俺たちだ。
今更どう謝っても取り返しのつく事じゃないのはわかっている。だが…!」


Og9『ウルサイ!ウルサイ!オマエモシンジャエ!!』


((ドシュッ!))


ファイヤー「くっ…!」


Og9の液体金属が鋼の触手に変化しファイヤーを襲った。

一撃でも当たればクラステクターといえどひとたまりもない…

しかし既に限界寸前のファイヤーに避ける事など不可能であった。



((ガキィッ!))


バイクル「バイスピア!」


ウォルター「ディスライダーシールドモード!
お待たせしました隊長、怪我はありませんでしたか?」


ファイヤー「バイクル、ウォルター!だがお前たちどうしてここに…?」


バイクル「ワシら…命を軽く見る隊長は好かへん…けど命を大切にする隊長は大好きや!」


ウォルター「私たちはどんな時でも人命を尊重する隊長にこの命を預ける事ができます!」


ファイヤー「二人とも…ありがとう…!」


正木「これで全員揃ったか。
よし、これがウインスペクター最後の事件になるかもしれん!
みんな、なんとしてもこの少女を救い出して希望を守るんだ!!」



「「「了解!!」」」



間一髪、ファイヤーの危機に駆けつけたバイクルとウォルター。

遂に集結したウインスペクターが総力を挙げてゆかりの救出に入った!

だが爆発まで残り1分、果たして間に合うのか?



ファイヤー「ゆかりちゃん!
キミのお父さんは日本に帰ってからキミに会うチャンスは何度もあった。
だが…何故会いに行かなかったかわかるかい?」


Og9『ソレハ…パパニバクダンガツイテタカラ…』


ファイヤー「そうだ、日本に帰ってきたお父さんが姿を現さなかったのは爆弾の所為だ!
それはつまりキミを巻き込みたくはなかったからだ!」


Og9『ソレガイッタイドウシタ!』


ファイヤー「俺はキミのお父さんの最期を知っている。
キミのお父さんは俺の後輩である西尾大樹が撃とうとした。
しかし彼はキミのお父さんを撃てなかった。お父さんは被害者だったからだ。
そしてそんな大樹の気持ちを汲んでか…お父さんはその後人気のない場所で爆破した…
それについてはすまないと思っている。
だが…何でお父さんが最期に誰もいない場所で死んだ!それは何故だと思う?」


Og9『ウ…ウゥ…』


ファイヤー「お父さんは最期に守りたかったのは自分の命ではなく…
ゆかりちゃん。キミの事を自らの爆弾から守りたかったからだ!
あの時、ギリギリの状況下でお父さんは自分よりもキミの命を大事にした!」


バイクル「そうやで!親父さんはおみゃーさんの事を最期まで想ってたわ!」


ウォルター「目を覚ませ!
彼が命懸けで守ったキミの命をキミ自身が犠牲にしてはお父さんは浮かばれないぞ!」


Og9『ウ…ウゥ…ウグゥ…!』


ウインスペクターによる必死の説得。

その説得が通じたのかOg9にある変化が起きた!



ゆかり「あ…あぁ…パパ…」


ファイヤー「ゆかりちゃん!」


ウォルター「私たちの説得が通じたんだ!
ゆかりちゃんの心がOg9と決別して分離しようとしているぞ!」


バイクル「けど時間がないでね!あと0.1秒しかないがね!?」


ファイヤー「それだけあれば十分だ!ファイヤー高速移動!」


((ガシィッ!))


ゆかり「きゃっ!」


ファイヤー「もう大丈夫だ、お父さんに代わって俺たちがキミを守る!
この化け物め!ゆかりちゃんを返してもらう!マックスキャリバー!レーザーソード!!」



((ズバァァッ!))



まさに0.1秒というギリギリの状況…

だがその状況でファイヤーはクラステクターの全パワーを使い瞬時にゆかりの救出に成功。

ゆかりとOg9を切り離し、分断させたのだ。



ジバン「やったな、ファイヤー!」


ファイヤー「ジバン、そちらもジバンノイドを倒せたようですね。」


バイクル「これで一件落着だがね!」


ウォルター「いや待て!安心するにはまだ早いぞ!」


正木「そうだ、あれを見ろ!
行き場を失ったOg9がジバンノイドと融合を始めている!?」


なんという事であろうか。

ゆかりの身体を失ったOg9が次に寄生したのは先程倒されたジバンノイドの肉体であった。

Og9に侵食されていくジバンノイド…

そして変わり果てた姿がこれだ!



ジバンノイドog9『アガァァァァッ!』


正木「なんという事だ!ジバンノイドとOg9が融合してしまったぞ!?」


ジバン「ヤツは危険だ、これ以上被害を広めないためにも一撃で倒すしかない。」


ファイヤー「だが…俺の…クラステクターのエネルギーは…
先程ゆかりちゃんを助けるためにクラステクターの全パワーを使ってしまった。
これ以上動く事はできない…」


既にファイヤーのクラステクターが限界を突破していた。

最早立つのもやっとな状態ではジバンノイドog9を倒す事など不可能であった。



バイクル「隊長…ワシらのパワーを使ってや!」


ウォルター「私たちは最後まであなたと共にいます!」


ファイヤー「バイクル…ウォルター…
しかしこの限界寸前のクラステクターにエネルギーを供給したらお前たちに影響が…!?」


正木「竜馬、彼らの心意気を汲んでやれ。
お前たちは魂の兄弟、今こそ力を合わせてこの困難に打ち勝つんだ!」


バイクルとウォルターのエネルギーがファイヤーに送られてきた。

そしてフルパワーになったファイヤーは再びギガストリーマーを手にした!


ファイヤー「不思議だ、さっきまで重かったはずのギガストリーマーが軽い!」


ジバン「それはギガストリーマーが命の貴さを改めて知ったキミを認めたんだ!」


ファイヤー「そうか、これまでギガストリーマーは警告していたんだ。
命を軽んじてこのギガストリーマーを撃つべきではないと…すまなかったな…」


ファイヤー「それにクラステクター、今までありがとう。
けどあともうひと踏ん張りだ。最後まで一緒に付き合ってくれよ!」


ギガストリーマーの戒めは解かれた。

最早遮るものは何もない!

特警ウインスペクターと機動刑事ジバン!今こそこの戦いに終止符を打つ時だ!!




ファイヤー「ギガストリーマーマキシムモード!」



ジバン「オートデリンガー!ファイナルキャノン!」



ファイヤー「プラズマ光破弾発射!!」


ジバン「ファイヤァァァァァッ!!」



((ドッガァァァァァン!!))



ジバンノイドOg9「「ギャァァァァァッ!?」」



二大ヒーローによる最強の必殺技が炸裂!

ジバンノイドOg9は跡形もなく破壊されこのパリを襲った脅威は全て排除された。



竜馬「ハァ…ハァ…」


バイクル「隊長!大丈夫かや!?」


ウォルター「まさに間一髪だったな。」


ゆかり「竜馬さん…助けてくれて…ありがとう…」


着化タイムリミット限界を突破した竜馬は、

ボロボロになりながらもゆかりの救助に成功した。

しかしそこへNATOの高官たちが…



「この娘の所為で我々は大変な目に!」


「よくもやってくれたな!」


正木「いい加減にしろ!
元はといえば今回の事件の発端はあなた方NATOが何の罪もない一般人を改造したからだ。
あなた方にも責任を取ってもらうぞ!」


竜馬「そうだ、松原さんを改造した罪は重い。逮捕する。ハンドワッパー!」


ジバン「フッ、どうやら原点に立ち戻って大事なモノを思い出せたらしいな。
初心忘るべからず、これからもその心を大事にしてくれよ。ウインスペクター!」


竜馬「ジバン…?」


そんな言葉を言い残して去っていくジバン。

こうしてウインスペクターにより逮捕されるNATO上層部。

一連の事件の幕が閉じた…はずなのだが…



~廃工場~


高岡「フンッ、どうやらパリでの事件は失敗に終わったか。」


高岡「だがそのおかげでヤツらの注意を引きつけ私は日本に逃亡できた。
全ては陽動、本番はこれからだ。楽しみにしているがいい!!」


本間「…」


その頃、日本にある廃工場では今回の事件の首謀者である高岡ともう一人…

ベルモン邸にあったカルテに記載されていたもう一人の人物である本間の姿があった。

ゆかりを利用したのは高岡がこれより日本で行う自らの計画を進行させるためだった。



~空港~


正木「さぁ、行くぞ竜馬。」


竜馬「それじゃあ行ってくるよ。」


バイクル「寂しいわ…隊長がいなくなるなんてなぁ…」


ウォルター「まったくだ。」


事件から1週間後、空港には竜馬たちウインスペクターの姿があった。

竜馬はICPOの命令により、単身日本へ渡り高岡の捜査と、

それに日本で開発中の新装備の受け取りも兼ねて正木本部長と一緒に帰国する事になった。



直人「竜馬さん、早く高岡を逮捕して戻ってきてください。」


竜馬「直人さん、ありがとう。
けどこっちには直人さんがいるから安心して任せられるよ!」


ウォルター「直人さんが…?」


バイクル「こんなおっちょこちょいの直人さんじゃ隊長の代わりは務められんわい!」


竜馬「ハハ、初心忘るべからずでしたね。直人さん、いえ…機動刑事ジバン…」


直人「えぇっ!な…何を言ってるのやら…!?」


耳打ちで直人にこっそりその正体を告げる竜馬。

あの共闘の時、竜馬には直人の正体が密かにわかっていた。

それにもう一人、竜馬の旅立ちを見送る者がいた。



ゆかり「竜馬さん!パパの無実を証明してくれてありがとう!」


竜馬「ゆかりちゃん、身体はもう大丈夫なんだね。」


直人「そうですね、精密検査じゃもう何の異常もないとの事ですよ。」


ウォルター「あのOg9が未完成だったのが幸いだった。」


バイクル「子供は元気なのが一番だで!」


ゆかり「パパが言ってたわ。
ゆかりにはどんな時も守ってくれるナイトさまがいるって!
それが竜馬さんだったのね!」


竜馬「俺が…ナイトさま…?」


ナイト、その言葉を聞いた本部長はある事を思いついた。



正木「ナイトか…
それなら新しい装備のコードネームはゆかりちゃんのナイトさまをもじって、
『ナイトファイヤー』というのはどうだろうか?」


直人「つまり炎の騎士って事ですか?そりゃ竜馬さんにピッタリですね!」


竜馬「ちょっと恥ずかしい気もするが…」


バイクル「そのくらいカッコつけるのがちょうどええがね!」


ウォルター「そうですよ!その名に恥じぬ活躍をしてください!」


楽しげな話題で盛り上がる一同。

しかし竜馬にはこの事件である疑問が残っていた。



竜馬「それにしてもまだひとつだけ気になる事がある。
何故、高岡は今回の計画にゆかりちゃんを利用したんだ?」


直人「言われてみればそうですね。
こんな小さな子を犯罪に利用するなんてリスクが高いし…」


ウォルター「下手をすれば失敗する危険だってあります。」


バイクル「ワシは適当かと思っとったけど理由があるんかいな?」


ゆかり「たぶんそれは、高岡さんも私と同じだからだと思うの。」


竜馬「ゆかりちゃんと同じってどういう事だい?」


ゆかり「高岡さんが少しだけ話してくれたの。
自分も子供の頃に大切なパパを亡くした事があるからゆかりの気持ちがよくわかるって…」


正木「なるほど、それなら納得がいくな!
実は高岡の経歴を調べたんだがヤツは養子だったんだ。
元々ヤツの父親は会社を経営していたんだが、
会社を乗っ取られてしまいその時に父親が一家心中を図った過去がある。」


竜馬「つまり、高岡もゆかりちゃんと同じく幼い時に父親を失った過去があるんですか?
なるほど、ヤツを尋問した時に両親の墓参りと言っていたがそれは本当の事だったんだな!」


今回、高岡がゆかりの復讐を手助けした理由。

それはかつて高岡自身も幼い頃に父親を失った過去があるからだ。

恐らく高岡はゆかりにかつての自分の姿を重ねたのだろう…



ゆかり「竜馬さん、高岡さんを捕まえて!
あの人もきっと本当は…パパが大好きだったから…」


直人「そうだね、最初から悪人だった人間なんて誰もいやしないんだ。」


正木「ゆかりちゃんの言う通りだ、高岡は我々の手でなんとしても止めなければならん!」


竜馬「そうですね…ヤツは恐らく気づいていないんだ。
こんな復讐ばかりを繰り返せば…
第ニ、第三の父親を失った自分と同じ境遇の哀れな子供が出てくる事を!
俺たちレスキューポリスが必ずこんな憎しみの連鎖は断ち切ってみせる!!」


こうして新たなる決意を胸に秘め、パリを発つ竜馬。



これより高岡は九州の地でソルブレインと戦う事になる。

だがそこへ新型ソリッドスーツであるナイトファイヤーを装着した香川竜馬が参戦!

これ以降、竜馬は高岡逮捕のために日本に留まり高岡との本格的な戦いが始まる。

こうしてかつてのメサイヤ事件を巡る因縁は解決された。

だが、悪の犯罪は何時如何なる場所で行われるかわからない。

これからも、平和と安全のために戦い続けてくれ。

頑張れ!特警ウインスペクター!!機動刑事ジバン!!

(ナレーション:政宗一成)


~終わり~


特警ウインスペクターvs機動刑事ジバン 【完】

これにてこのssは完結です。

今回の物語はソルブレイン23話『竜馬から大樹へ!』の後日談兼34話『新英雄(ニューヒーロー)九州へ!』の前日談になります。

何故こんなssを書いたかというと、

あのソルブレインのメサイヤ編であの竜馬さんがロボットとはいえ殺そうとする話に納得がいかなかったからです。

誰もが救いようのなかった話なのでssでもいいから何か報われる話を書きたいなと思って…

ちなみに今回同じくウインスペクターメンバーの純子さんとデミタスが不在だったのは別件で不在だったからだと思ってください。

しかしウインスペクターのssは難しい。

何が難しいかというとバイクルの名古屋弁を書かなきゃいけない事です。

名古屋弁なんかわからんよと…

それではまた何か書く時はよろしくお願いします。

てつを「ずっとスタンバってました」手にはリボルケイン持って
ソルブレイバー「同じくスタンバってました」手にはパイルトルネード持って
シンクレッダー「同じくスタンバってました」手にはベビーサイクロン持って

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom