姫「外の話を聞かせて?」 「ああ。昨日な――」(5)

ある王宮の一室。

姫「はぁ……」

そこに私はいます。

いつ頃からだろうか、あまり外に出られなくなりました。

姫「……」

父が亡くなった頃からでしたっけ。

退屈だったから、その日は少し、いたずらしたい気分になりました。

――

姫(今頃城は大騒ぎになっているでしょうね)

私は心の中で母に謝ります。

姫(ごめんなさい、でも退屈だったんです)

久しぶりに外に出たお陰で、清々しい気分です。

姫(……なんだか目立っているわね。地味な服を選んだつもりなのだけれど……)

さっきから注目を集めている気がしました。

今思えば軽率だったのです。

悪漢「お嬢ちゃんよォーーッ。金だよ金。あるんだろ? たんまりとよォ」

悪漢2「大人しくだせばよォォ、痛い目に遭わなくてすむぜェ?」

姫「……」

見るからに悪そうな三人の男の人に私は路地の奥まで追いやられ、とうせんぼされてしまっています。

姫(どうしましょう……お金なんて持っていません)

それ以前にお金を渡した所で無事に解放されるかどうかも怪しいものです。

「なにしてるんだ!」

路地に低い声が響きました。

悪漢「あァァ?」

強面の三人よりかは高い声でしたが――その声の主は、路地の向こうからこちらを睨んでいます。

悪漢3「兄ちゃんよォォォ。見てわかんねぇかなァァ、俺達今忙しいんだよォォ」

「その子を離せ!」

突然の乱入者は、困った様子の私を見てか一喝しました。

悪漢「おい」

悪漢2「……」

少しのやりとりの後、悪漢の一人がやってきた男の人に小走りで近づいていきました。

姫「私の事はいいですから、お逃げになって!」

私が言いますが、彼は動きません。

「…………」

悪漢2「この……、ガキがッ!」

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