のび太「マイナーな女キャラを好きになっちゃったよ~!」(29)

~のび太の家~

のび太「うふふ……。アハハハ……」

ドラえもん「あれ? そのマンガは?」

のび太「しずちゃんに借りたんだよ。これがけっこう面白くてさあ」

ドラえもん「ふうん、きみがしずちゃんにマンガを借りるだなんて珍しい」

ドラえもん「あとでぼくにも読ませてよ」

のび太「いいけど、ぼくがぜんぶ読んでからだよ!」

……

……

のび太「ねえねえ、ドラえもん!」

ドラえもん「ん?」

のび太「この女の子のキャラクター、かわいいでしょ!」サッ

ドラえもん(う~ん、そうかなぁ……。地味な感じだけど……)

のび太「一話しか出てこない“モブ子ちゃん”ってキャラクターなんだけどさ」

のび太「こんなにかわいいんだから、きっとみんなにも大人気だよ!」

のび太「よぉ~し、あとでパソコンで画像を探してみよう!」

……

……

のび太「ドラえもぉ~ん!」

ドラえもん「どうしたんだい?」

のび太「モブ子ちゃん、出してよぉ~!」

ドラえもん「!?」

ドラえもん「いきなりそんなこといわれても分からないよ! ちゃんと説明してよ!」

のび太「うん……」

のび太「ほら、モブ子ちゃんってとってもかわいいけど」

のび太「ほとんど出番がないキャラクターじゃない」

のび太「いくらネット上を探してもなにも出てこないんだ!」

のび太「だからモブ子ちゃん出してよ~う!」

ドラえもん(う~ん、そうとう重症だな)

ドラえもん「自分で努力もせず、ぼくに頼ろうとするのはダメだよ!」

のび太「もちろん努力したよ!」

ドラえもん「ふうん、たとえばどんな?」

ドラえもん(どうせ、ちょっと検索しただけですぐ諦めたんだろう)

のび太「まず……色んな検索エンジンで画像を検索したよ」

のび太「海外のよく分からない検索エンジンまで使ってさ」

のび太「英語で検索してみたりもしたけど……ダメだった」

のび太「次にやったのは、匿名掲示板や画像掲示板への書き込みさ」

のび太「せめて同じような考え方の人はいるかなと思ったけど」

のび太「これもダメだった」

のび太「イラスト投稿サイトをのぞいてみても、結果は0件」

のび太「他にも、あのマンガのファンサイトをのぞいてみたりしたけど」

のび太「モブ子ちゃんファンは、一人もいなかったよ……」

ドラえもん「……けっこうがんばったね」

ドラえもん「しょうがない」ゴソゴソ…

のび太「モブ子ちゃん出してくれるの!?」

ドラえもん「いくらぼくでも、そんなことはできないよ」

ドラえもん「だから──」



ドラえもん「もしもボックス~!」

のび太「ドラえもん、なんでもしもボックスが出てくるのさ!」

ドラえもん「今のきみの話を聞いてると」

ドラえもん「ようするにモブ子ちゃんがもっと有名になればいいってことでしょ?」

のび太「そういうことになるね。 ──あっ、そうか!」

ドラえもん「こういう時だけは察しがいいね」

のび太「こういう時だけ、は余計だよ」



のび太「もしもモブ子ちゃんが大人気なキャラになったら!」

ジリリリリリリリ……!

のび太「さて、どうなったかな?」

ドラえもん「このマンガ、読んでみたら?」

のび太「どれどれ……」ペラ…

のび太「あっ、すごい! 出番が増えてる!」

のび太「主人公より目立っちゃってるよ!」

ドラえもん「おそらく、モブ子ちゃんが大人気になったから」

ドラえもん「作者が大幅に出番を増やしたってとこだろうね」

のび太「うわぁ、すごい、すごい!」

~本屋~

のび太「モブ子ちゃんが主人公のマンガがあるよ!」

ドラえもん「きっと、あまりにも人気になったから、彼女を主役にしたんだろうね」

ドラえもん「こういうのをスピンオフっていうんだよ」

のび太「へぇぇ……」

のび太「本編のマンガより巻数が多くなっちゃってるよ!」

~空き地~

スネ夫「モブ子ちゃんってかわいいよね~」

ジャイアン「ホントだぜ!」

ジャイアン「マンガのキャラにここまで惚れちまったの、はじめてかも」

のび太(うふふ……二人もモブ子ちゃんファンになってるぞ!)

スネ夫「あっ、そうだ! 実はぼくのパパがオモチャ会社の社長の友だちでさ」

スネ夫「今度発売される、新しいモブ子ちゃんのグッズを見せてあげるよ!」

ジャイアン「ホントかよ!」

のび太「わあい、わあい!」

ジャイアン「さっそく、スネ夫んちに行こうぜ!」

のび太「そうしよう!」

スネ夫「のび太はダメ!」

のび太「な、なんでだよ!?」

スネ夫「決まってるだろ? お前に見せたら、よごすに決まってるもん」

スネ夫「さ、行こう!」

ジャイアン「おう!」

のび太「ちぇ~っ!」

のび太(ふんだ! ぼくのおかげでモブ子ちゃんが大人気になったとも知らないで……)

のび太(まあいいや、家に帰ろう)

のび太(さっき買った、モブ子ちゃん主役のマンガも読みたいしね)

~のび太の家~

のび太「わぁ、すごいや、すごいや!」

のび太「モブ子ちゃんがテレビコマーシャルに出てるよ!」

のび太「しかも、モブ子ちゃんが主人公のアニメも放映されるみたい!」

ドラえもん「ふうん、よかったじゃないか」

のび太「動いてるモブ子ちゃんを見られるなんて、まるで夢みたいだよ!」

のび太「すごいすごい!」カタカタ…

のび太「パソコンで“モブ子ちゃん”を検索すると」

のび太「画像やイラストがた~くさん出てくるよ!」

のび太「モブ子ちゃんを題材にした小説を書いてる人もいる! すごいや!」

のび太「ありがとう、ドラえもん!」

ドラえもん「どういたしまして」

ドラえもん「…………」

……

……

のび太「ドラえもぉ~ん!」

ドラえもん「どうしたの?」

のび太「ぼく……ぼく……」

のび太「モブ子ちゃんが有名になって嬉しいはずなのに」

のび太「なんだか、だんだんちっとも嬉しくなくなってきちゃったんだよ~!」

のび太「モブ子ちゃんが主人公になって、グッズになって、イラストも描かれて」

のび太「ファンもいっぱいいる!」

のび太「なのに、すっごくモヤモヤするんだ!」

ドラえもん「そりゃそうだよ」

のび太「!」

ドラえもん「もしもボックスを使うまで、モブ子ちゃんに注目してたのはきみだけだった」

ドラえもん「それがいきなり、たとえ道具の力とはいえ」

ドラえもん「みんなが注目するようになったらモヤモヤするに決まってるじゃない」

ドラえもん「それにさ、やっぱりモブ子ちゃんは」

ドラえもん「ちょっとだけ出番のある脇役だからこそ、輝くキャラクターなんだよ」

ドラえもん「見てよ」



テレビ『あのモブ子ちゃんがいよいよアニメ化! 放送時間は──』



ドラえもん「こうしてアニメ化もされようとしてるモブ子ちゃん──」

ドラえもん「きみにはどう見えるかな?」

のび太(マンガのキャラクターだってのは分かってるけど……)

のび太「なんだか、とってもつらそうだ……」

ドラえもん「でしょ?」

ドラえもん「きみだって、もしいきなり国民的マンガの主人公になって」

ドラえもん「アニメ化されて、毎年映画にも出演してくれ、なんてことになったら」

ドラえもん「最初のうちは嬉しいだろうけど、だんだんつらくなってくると思うよ」

のび太「うん……」

のび太「そんなことになったら、ぼく昼寝できなくなっちゃうもの」

のび太「ママに叱られたりジャイアンに殴られるとこなんか、人に見られたくないしね」

のび太(そういえば……丸井マリや星野スミレさんも、大変そうだったもんなあ)

のび太「ごめんよ、モブ子ちゃん……」

のび太「ドラえもん、ぼく元に戻すことにするよ! もしもボックス出して!」

ドラえもん「よくいった!」

のび太「なにもかも元に戻して!」



ジリリリリリリリ……!

のび太「これで、なにもかも元に戻ったんだね」

ドラえもん「うん、モブ子ちゃんは元通り、一話限りの脇役になったはずだよ」

のび太「あっ、そうだ!」

のび太「このマンガ、しずちゃんに返してこないと!」

ドラえもん「いってらっしゃい」

~町~

のび太(おっ、いたいた!)

のび太「お~い、しずちゃ~ん!」



しずか「あら、のび太さん!」

出木杉「やぁ! のび太くん!」

のび太「や、やぁ(ちぇっ、なんで出木杉がいるんだよ)」

出木杉「これから二人で博物館に行くんだけど、きみも一緒に行かないか?」

のび太「い、いや、ぼくは用があるから……」

出木杉「そうかい、残念だな」

しずか「また明日、学校でね!」

のび太「う……ん」

~のび太の家~

のび太「ドラえもぉ~ん!」

のび太「しずちゃんの人気をなくして、ぼくだけのものにしたいから」

のび太「もう一度もしもボックス出してぇ~!」

ドラえもん「ちっとも分かってない!」






                                   ~おわり~

終わりです

スレタイが文字化けしてますが正しいスレタイは

のび太「マイナーな女キャラを好きになっちゃったよ~!」

です
前にも「~」がついたスレタイでSS書いたことがあったのですがなぜか今回は化けてしまったようです
(サブジェクトが長すぎで一回スレタイを訂正したのでそれが原因かも)

だとすると俺の専ブラ(jane)の問題かもしれない→「~」が記号と数字に化けてる
これで消えます
失礼しました

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