商人「ちょっとそこの可愛いお嬢さん」僧侶「...」 (6)

商人「可愛いお嬢さん。うちの商品を見ていかないかい?」

僧侶「...」テクテク

商人「お嬢さん!」

僧侶「...」テクテク

商人「...ちょっと!!」ガシッ

僧侶「!な、なんですか」

商人「無視はだめだよお嬢さん」

商人「一人旅かい?」

僧侶「え...えっと、まあ?」

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商人「やっぱりそうかい。いやあ、何年も冒険者を見てると分かっちまうんだよねえ」

僧侶「はあ」

商人「そして、何年もここで商売をやってるからこそ分かる!お嬢さん、砂漠越えする気だろ?」

僧侶「...ええ。あの、急いでるのですいませんが」

商人「話は最後まで聞くもんだ。今からひ、じょ、う、に!重要なことを言うから」

僧侶「重要なことですか?」

商人「砂漠越えは諦めな」

僧侶「!どういうことですか?」

商人「お嬢さんの目的は知らねえが、今は時期が悪いんだ」

僧侶「時期?」

商人「そうさ。砂漠アリや泥龍の繁殖期でなあ、テリトリーに入れば殺されるぞ?」

僧侶「そうですか」

商人「おっと、そんなつらそうな顔をしないでくれ。実は一つだけ砂漠越えをする方法がある」

僧侶「方法?」

商人「この毒薬草を懐に入れておきな!そうすりゃ奴らは襲ってこない」

商人「本当は10万ゼニーだが、今日は4万ゼニーで売ってやろう。どうだい?」

僧侶「いらないです」

商人「は?何言ってんだお嬢ちゃん!あんたみたいなのが一人で砂漠に入れば死ぬだけだ!」

商人「しかもメイスを持ってるってことはあんた、僧侶だろ?」

商人「いいから買っていきな。なら3万ゼニーだ」

僧侶「あの、本当にいいです。それでは」

商人「なっ!おい...」

商人「くそっ、繁殖期がとっくに終わってることがばれてたのか?上手くいかねえなあ」




ーー砂漠ーー

僧侶「ふう、のどが渇いたので少し休憩しましょう」

僧侶「...一度も襲われませんでしたね」

僧侶「小作りの本番は人間でも魔物でも夜なのでしょうか?気性が荒くなるのも夜?」

僧侶「もしそうなら、日が昇っている間に野営の準備をしなければ」




僧侶「結局何も起こりませんでした」

僧侶「途中魔物と遭遇はしたけど、全く興味を向けられてなかった気が...」




ーー村ーー

僧侶「すいません、一晩泊めていただきたいのですが」

宿屋「おお!いらっしゃいませ、お好きな部屋をどうぞ」

宿屋「実はここ最近客が減ってしまってね...部屋に余裕があるんです」

僧侶「そうなのですか...」

宿屋「噂では、砂漠越えをしようとする冒険者にバカみたいに高価な商品を売りつけるやつがいるらしくて」

宿屋「その商品を買ったせいで金がなくなって、うちを利用することもままならない財布事情にさせられるらしくて...」

僧侶「高価な商品?どこかで...」

宿屋「そうだ、お食事はどうされますか?部屋にお運びしますよ」

僧侶「それでは、お願いしても構いませんか?」

宿屋「ええ、畏まりました」

僧侶「あの、お聞きしたいことがあるのですが」

宿屋「なんでしょう?」

僧侶「この村に『勇者』が訪れたことはありますか?」

宿屋「...何のために知りたいんですか?」

僧侶「申し訳ありません、それはお答えできません」

宿屋「なら私も答えられません」

僧侶「...そうですか」

僧侶「ではこの村の村長はどこにいらっしゃいますか?」

宿屋「村長ならあの丘の上の屋敷に住んでる」

僧侶「ありがとうございます。お昼までには戻ってきます、それまで荷物を見ていてください」

宿屋「いってらっしゃい」

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