のび太「ドラえも~ん!」 ペルニダ「……」 (70)

BLEACHとドラえもんのクロスSSです。

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練馬区!
言わずとしれた都内! そして、日本屈指のいじめられっ子、野比 のび太が住む町である!

「うわあああああん!」

その日、のび太はいつもの様に、剛田 武――通称ジャイアン――にコテンパンにされて自宅に帰ってきた。

「くそう、こうなったらドラえもんに道具を借りてやる……」

彼は親友である、ねこ型ロボット、ドラえもんから未来の道具を借りての仕返しを企んでいた……
家に入ると、一目散に自分の部屋に向かう。

「ドラえもん! ドラえも……ん……」

だが、のび太の部屋にいたのはいつもの蒼く丸いロボットではなく、
全身をフーデットコートですっぽりと隠した人物であった。


「……」
「……」

コートの人物は、まるで当然と言わんばかりに、のび太の部屋の本棚の前に堂々と座っている。
確かにそこはドラえもんの定位置だ。彼はいつも、その辺りでマンガを読んでいる。
だが、今のび太の目の前にいる人物は、彼の知るドラえもんの姿とはかなりかけ離れていた。

「……」

のび太は考える。

(だ、誰だろうこの人。ママの知り合いだったら、下で待っているだろうし……ドラえもんの知り合いだったら、僕に何も言わないのも変だし)


失礼とは思いつつも、のび太は目の前の人物を観察することにした。
その人物の着ているコートは、非常に飾り気のないデザインでありながらも、
ファッションに疎いのび太でさえ、高級そうな生地を使っているということが理解できた。
そして、コートの左胸から腰にあたる部分には、まるで紋章のような五角形の星のような模様がデザインされている。
フードを被っているものの、顔にあたる部分はさすがに空いている。
しかし、その部分は異常なまでに陰になっていて、その中にあるであろう素顔は一向に見えなかった。

そして、のび太を注目させたのは頭の部分だ。

フードの上からでも、その人物の頭にあたる部分が妙に大きいのが感じられた。
通常の人間であれば、頭より体の方が幅があるわけなので、コートを着ても肩の部分は浮き出るはずである。
だが、その人物は肩ではなく頭が大きく浮き出ていた。
それを見て、のび太は一つの推測をした。

(もしかしてこれ、ドラえもんなのかな?)


奇しくも、彼の友人であるドラえもんも体より頭の方が大きい。
彼がコートを着たら、ちょうどこんなシルエットになるかもしれないと、のび太は考えたのだ。

(きっとこのコートはドラえもんの道具か何かなんだ)

そう考えたのび太は、コートの人物に訴えかける。

「聞いてくれよドラえもん! ジャイアンに仕返ししたいんだよ!」
「……」

コートの人物は一向に声を発さない。
のび太はコートの人物に近づいて顔を見ようとしたが、どうあっても顔は見えなかった。

「あ、あの、ドラえもんさん……?」
「……」

だんだんと不安になってきたのび太は、ひとまずこの部屋から出ようと考えた。


「ふん! ドラえもんが協力しないならいいよ! 僕が一人でジャイアンに立ち向かってやる!」

普段の彼なら絶対に口にしないであろう台詞を言って、立ち上がろうとしたその時、

「……」

コートの人物がものすごい勢いで、のび太に詰め寄った。

「え? な、なになに!?」

突然の事態に理解が追い付かないのび太だったが、なんとか言葉をひねり出す。

「え、えっと、ドラえもん。僕が一人でジャイアンに仕返しするから、君は休んで……」
「……」

だが、コートの人物はますますのび太に詰め寄ってくる。
ここまで近づいているのに全く顔が見えない人物に詰め寄られて、激しく恐怖したのび太は思わず口にした。


「ド、ドラえもんも、一緒に来てくれるかなぁ……なんて」

そう言うと、コートの人物はのび太から離れて、部屋のドアを開ける。
手を使っていないのに、ドアが勝手に開いたように見えたが、のび太は見て見ぬふりをした。

「え、えっと……」
「……」

コートの人物は早く来いと言わんばかりにのび太を凝視する。
仕方がなく、のび太はコートの人物と共にジャイアンのいる空地に行くことにした。
正直な所、のび太は思った。

(あれ、これドラえもんじゃないんじゃない?)

だが、「ドラえもん、ちょっとそのコート脱いでみてよ」とは怖くて言えなかった。


空地……
ここは、のび太を初めとする近所の子供たちが遊ぶ場所である。
ここで繰り広げられるのは、ある時は下手なドラマより感動的な友情劇であったり、
ある時は、地獄の鬼でさえ裸足で逃げ出すほどの惨劇でもある。
そして……この空地において、唯一であり絶対の存在であるのが、日本が世界に誇るガキ大将、ジャイアンであった。

「それでよぉ、のび太のやつをちょっと脅かしたら、うわああああん! って逃げて行ったんだぜ」
「あははは、のび太らしいや」

ジャイアンの隣にいるのが、超小学生級の腰巾着、骨川 スネ夫である。
この町で、この二人に敵うものはいないと思われていた。

だが、その幻想は今日打ち砕かれることとなる。


「それでよぉ、のび太のやつをちょっと脅かしたら、うわああああん! って逃げて行ったんだぜ」
「あははは、のび太らしいや」

ジャイアンの隣にいるのが、超小学生級の腰巾着、骨川 スネ夫である。
この町で、この二人に敵うものはいないと思われていた。

だが、その幻想は今日打ち砕かれることとなる。

「ねえ見てよジャイアン、のび太がやってきたよ」
「さては、またドラえもんに道具を借りてきやがったな。返り討ちにしてやるぜ」

のび太を見た二人は、またコテンパンにしてやろうと邪悪な笑みを浮かべる。

「おいのび太。お前ひとりなのか? ドラえもんを連れてこなくていいのか?」
「のび太ぁ、またドラえもんに泣き付いたんだろ? ドラえも~んって感じでさぁ」

のび太を嘲笑する二人だったが、彼が後ろをきにしていることに気づいた。

「おっ、さてはそこにドラえもんが隠れているんだな? おい! でてこい……よ……」

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