武蔵「どこを見ている、私は此処だぞ?」 (62)


私達の提督は盲目の提督である。病名は白内障、原因などはまだ判明されていない。何が原因か…何故…私たちの提督が…

提督「あ…ああそこか…悪いな武蔵」

武蔵「ふふ…なに、構うことではない。足元に気をつけろ」

提督「ああ、いやもう年だな最近体が思うように動かん」

武蔵「まだ四十代だろう、これからまだまだ提督は生きる」

提督「ありがとう」

そう微笑みかける笑顔は昔の提督のままだ

武蔵「私はお前の秘書艦だ。当たり前だろう」

提督「あ、今照れてるだろ」

武蔵「照れてなどいない」

提督「クク…そうかい」

武蔵「私は照れてなんていないぞ」

提督「何も言ってないじゃないか」

こんな彼でも、私の…提督だ

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提督「なぁ…俺は邪魔じゃないか?」

武蔵「何度も言っているだろう、私はお前じゃなければ嫌なのだと…私に限らず提督についてきた皆がそう思っているのだ…だが、お前が辞めたければそれでもいいんだぞ」

提督「おいおい俺が辞めるわけねえだろ。お前たちを置いて安全圏で黙って見てろと言うのか?目見えないけど」

武蔵「なかなか重いぞその自傷ジョーク…だがここも安全な場所だろう。私たちがいるのだから」

提督「はっは、鎮守府が襲撃されるのはこれまでもよく遭った事だ。それも元帥が仕切るような鎮守府でもだ」

武蔵「お前は私たちの力を信じていないのか」

提督「…目が見えないとな、不安ばっか過ぎるようになってな…信じたいけど目が見えないから…お前たちは絶対な…無茶なことするってわかってるから」

武蔵「…」

提督「そんな顔をするな」

武蔵「見えてもいないのに…適当なことを言うな」

提督「お前の沈んだ顔は見たくない」

武蔵「…ふん、私を誰だと思っている大和型のその二番艦だぞ」

提督「ククク、そうかい」

武蔵「そうだ…私は武蔵なんだから」


叢雲「あら、武蔵じゃない」

武蔵「叢雲か…」

叢雲「どうしたの?アイツに何かセクハラでも言われたのかしら。私がとっちめてあげるわ」

武蔵「ふふ…大丈夫だ、叢雲が心配しているようなことはない」

叢雲「…そう」

この叢雲は彼が提督になって初めての艦娘だ。その左手にはケッコンカッコカリの指輪が光っている。この指輪を持っているのは彼女だけだ

叢雲「もうお昼だから食堂に行ってきなさい」

武蔵「叢雲は?」

叢雲「アイツにご飯持っていくだけよ、私はもう食べたから」

武蔵「…そうかなら行ってくる、提督に食堂にいるといっておいてくれ」

叢雲「分かったわ、それじゃ」

叢雲は彼が盲目になってから秘書艦を私へ遷し仕事の世話は私が、それ以外の世話を叢雲がしている。彼女と彼の二人っきりの時間は割り込まないことがこの鎮守府の暗黙のルールだ。彼女の立ち去る後ろ姿は…秋のような寂しさと…寒さを感じた


叢雲「入るわよ」

提督「ん…やぁ叢雲、今日もきれいだな」

叢雲「はいはアンタはどんどん老けていくわね」

提督「仕方ないさ、人なんだから」

叢雲「あら、それじゃ私は人じゃないのかしら?」

提督「やめてくれよ、お前と口論で勝った事なんか一度もないんだから」

叢雲「あんたって語彙力弱いものね、昔なんかよっぽど」

提督「おいやめろ」

叢雲「作戦会議でどばーとかぐわーとか言う人初めてだったわ」

提督「言い表せなかったんだよやめろよ昔のことほりさげんの、泣くよ?」

叢雲「ふふふ…昔はよかったのにね…アンタの目も私を捉えて見えてたのに…今じゃ…」

提督「叢雲…」

叢雲「辛気臭いのはなしにしましょう。ほら口をあけなさいご飯かきこんであげるわ」

提督「…窒息しない程度によろしく」

叢雲「保証はできないわ」

提督「おい」

叢雲「ふふふ」


鳳翔「あら、武蔵さんおはようございます」

武蔵「おはよう鳳翔、A定食を」

鳳翔「ご飯戦艦盛りですね、少々お待ちください」

鳳翔、彼女も初期の頃からいるようだ、誰にでも優しく母性あふれる艦娘だ、料理もおいしい

加賀「武蔵さん、お早う」

武蔵「加賀かおはよう、いつの間に戻って来てたんだ?」

鳳翔「加賀さん、お早うございます。いつもので?」

加賀「おはようございます鳳翔さん、はいお願いします…ついさっきよ…報告に行こうかと思ったんだけど時間だったから先に補給しようと思って」

この鎮守府に初めて着任した正規空母加賀、彼女は提督の父の元で就いていたがその父が亡くなった後何名かがこちらへ移った一人である

武蔵「なるほど、なら今聞こう」

加賀「…それでもいいかもしれないわね。進行は上々よ、でも私はかすり傷…先に明石さんのところで治してもらったわ…そのほかは島風が無傷…中破2名、大破2名とこっちの被害も大きいけれど」

武蔵「いや、よくやってくれた…四人は」

加賀「今は入渠中よ」

武蔵「そうか…艦隊を変え次第もう一度出撃を頼む」

加賀「了解したわ」

鳳翔「はい、お待たせしました」

どんと山盛りの定食を話の区切りで丁度よく出来上がった

武蔵・加賀「ありがとう」

鳳翔「後でおかわりしてきてくださいね」

本当に鳳翔は頼りになる


今日はここまで


ドック

赤城「はぁ…最初に補給すればよかったかしら」

長門「大規模作戦以外での高速修復材使用は許可されていないからな…10時間以上が当たり前なのは少しきつい」

大井「いいじゃない。ああでもこの間にも北上さんとの二人っきりの時間が…」

木曾「…気にする所はそこか?」

大井「今少し使ってもばれないんじゃない?」

赤城「ダメですよ大規模作戦となると私たちはほぼ出撃の嵐…高速修復材でプールができるほどの量があっという間になくなってしまうのですから…少しだけという慢心はダメなんです…ええ…ダメなんです…」

長門「AL/MI作戦の時は本当にひどかったのだぞ?百数十個あった修復材が数個まで無くなったときは絶望だったのだから」

赤城「おかげで無事AL作戦はできました…AL作戦は」

木曾「MI作戦は上手くいかなかったのか…」

赤城「主力艦をALへ出撃させてしまったのがダメだったのよ…ああ、今思い返しても悔しさが残るわ…」

長門「我々はあれをALの悲劇と呼んでいる。その時の提督の顔は…なかなかに面白かったがな」

赤城「ええ、ええ。私も悔しさが出てると指摘されてましたが提督は本当に子どもの駄々っ子のようでしたね」

大井「ふーん、あんな見た目で…」

赤城「いいえもう少し若かったころのお話ですよ。今はもう…どんどんご老体ですが…昔はもう子供のようにそこらかしこを走り回っていたんですよ」

長門「喜怒哀楽が激しい時期だったな」

大井「それただの情緒不安定なだけじゃない?」

木曾「言いすぎじゃないか?」

大井「感想を言ってみただけよ」

長門「ふむ、確かにそうとも取れる」

赤城「でも…私たちもすごく笑ってましたよね」

長門「ああ」

大井「提督の行動が面白くてですか?」

木曾「姉さんさっきから酷い言い方じゃないか?」

大井「いいのよ、これより悪い言い方しても「ククク、大井は面白いなぁ」でいっつも返されるんだから…あの余裕な笑みが…」

赤城「ふふふ…そうね、彼の悲しむ姿なんか一度も見たことがないわね」

大井「そりゃ叢雲がそばにいるんだから幸せでしょうね」

赤城「いいえ…それだけじゃないのよ」


木曾「…どういう意味だ?」

赤城「…私達は元々彼の父親…元帥殿の元で戦っていたのは知ってますよね」

大井「…ええ、知ってます」

赤城「私達がここへ異動してきた理由…それもご存じでしょう?」

長門「彼の父親が指揮を執っていた鎮守府が襲撃を受け…元帥殿が爆撃により亡くなられた。彼の元で戦を共にした我々は他の鎮守府へ異動し何名かはここに来た。その時鎮守府は手薄のところを狙われたと報じられたが」

赤城「その時、艦娘全員が鎮守府を離れていたのよ」

大井「それって」

木曾「全員って…本当に」

長門「…全員だ。全艦娘の鎮守府からの外出理由はまちまちだが…元帥殿はまるで狙ったかのように我々全員を爆撃の嵐にさらされ何も残らなかった鎮守府から遠ざけた」

大井「来るのが分かっていたってこと?それなら皆で返り討ちにすれば」

長門「私達もそう思った…元帥殿の死体は跡形も残ってはいなかった。葬儀が行われ、元帥殿の息子…つまり今の私たちの提督が来た。その時彼は元帥殿の遺影の前でこういったのだ」

彼女たちはちゃんと守れた。安心して逝ってくれ父さん

赤城「その時にね私、提督に言っちゃったの『どうして私達と一緒に戦ってくれなかったんですか』って」

ーーーーーーーーーーーーーー

赤城『どうして私達を戦わせてくれなかったんですか!どうして…一緒に戦うことを選ばなかったんですか!』

提督『簡単なことだよ赤城さん…君たちでは父さんと一緒にあの廃墟の一部となっていたからだよ』

赤城『そんな、そんなことありません!私達は戦えました!これじゃ私達は何のために彼を守ると約束したんですか!』

加賀『赤城さん…』

提督『もう一つの約束を優先しただけだよ…「ならば、俺も君たちを守ること約束しよう」って』

赤城『!』

提督『言ってただろ?父さん帰ってきた後、なんて恥ずかしいこと言ったんだぁって悶えてたからよく覚えているよ』

赤城『なんで…なんで、笑えるんですか…貴方は』

提督『なんでって言われても…ほら、君達が代わりに泣いてるじゃないか』

赤城『…う…あ…』

提督『俺も父さんもね悲しいのは嫌いなんだよ。だから親子で決めたんだ別れ際は…笑顔でって』


ーーーーーーーーーーーーーーー

大井・木曾「…」

赤城「そして後日発表された敵艦隊の鎮守府襲撃の相手のリストを渡されたんだけど」

長門「見事に鬼、姫級の勢揃いだったわけだ。これだけの規模を一点に集める深海棲艦の動きは今まで前例がなかったものだ…確かに私達がいれば返り討ちは成功できただろう…だが、こちらの被害も尋常ではない。運が良ければ艦娘数名が虫の息で生き残っていたという予測が出ている」

大井「そんな…」

長門「…納得がいかないこともある。でもそれ以上に元帥殿の身一人と鎮守府一つでの被害しかこうむらず、その後における全鎮守府からの掃討作戦でこちらも被害受けたが轟沈した者はおらず見事に撃退してみせた。身を呈して避けた最大の被害、彼を英雄として呼ばずなんという」

赤城「彼が行った事は終戦への道を近づけることに他ならない。なんて言われてるわ…でもね…」

長門「…」

大井「…赤城…さん?」

赤城「なんで…元帥殿がやらなくちゃいけない事なの?提督から肉親を奪うには飽き足らず目の輝きまで奪うなんて…」

大井・木曾「…」

長門「目が見えなくなったときも提督は悲しまず、逆に悲しんだ我々を心配した。狂気といっても間違いではないな。なぜそんな考えが出せるのか。不安定で…いつ崩れてしまうか……怖い」

赤城「だからこそ…こんな気持ちを提督に与えたくない…彼の…いえ、私の自己満足の為に戦うと…もう私たちは間違えない」

大井「…えっと、その…ごめんなさい、理由もわからず色々と」

長門「いやいいんだ。むしろ彼はそれを楽しんでいるほうだ…と、長話している間に入渠時間がおわったようだぞ。先に上がるといい」

大井「…」

木曾「そうさせてもらいます。行こう姉さん」

大井「…ええ、それじゃお先に失礼します」

長門「ああ、補給もしっかりするんだぞ」

赤城「…提督は、今幸せなんでしょうか」

長門「分からない……そんなの」

赤城「…私達って…なんて無力なんでしょう」

長門「そんな私達でも助けになればと思ってここに来たんじゃないか…胸を張れ赤城、お前はちゃんと頑張っている」

赤城「…ありがとう長門」


武蔵はすでに着任済みな私です。今日は此処まで


大井「意外と時間経ってたのね」

木曾「ああ、それにしてもあんなことがあったとはな」

大井「ええ、英雄と呼ばれた元帥の息子とは周りから聞かされてたけどね」

木曾「俺と姉さんたちは一緒に着任したから提督の詳しい話は他の艦…いや、人から聞かないとわからないんだけど」

大井「赤城さんのように昔からいる人ははぐらかすか私達みたいに途中から着任した子もわからないようだし」

木曾「…初めて聞かされたな、提督の昔の話」

大井「さすがにこれは…たやすく話していいものじゃないわ…あれ?でも元帥の話聞いてる限りじゃ、恋人の話なんて一度も聴いたことないわよ」

木曾「…確かに、でも説明されていないだけなんじゃないか。そんな詳しく説明が行われる事じゃないだろ」

大井「まあそうなんだけど…もしかして養子とか」

木曾「可能性としてはあるな」

提督「実子だよ」

大井「きゃあ!」

木曾「てっ提督!?お、驚かさないでくれ」

提督「すまんすまんなかなか興味深いことを話してたからな。そっかぁ赤城と長門が話したのか…やるね、君達」

大井「はぁ…びっくりさせないでください」

提督「はは…ごめんごめん、さっきの話だけど、俺はちゃんと父さんと母さんから生まれたよ…奇跡的にね」

木曾「奇跡的?」

提督「まぁそれは秘密ね。聞きたかったら俺とケッコンカッコカリしたら教えてあげる」

大井「…ということは叢雲は知ってるの?」

提督「うん、あいつのあんな顔は今でも鮮明に覚えているよ…クク、それにしても君たちが初めてだよ、あの事件をここまで聞いたの…でもね、その話は誰にも漏らしてはいけないよ」

木曾「それはわかってる、この話はそうそう話していいものじゃ」

提督「違う違う、大井と木曾の身の安全のためだよ」



大井「えっ?どういうこと」

提督「それ…誰かに話したら、殺されるからね」

大井・木曾「!」

提督「それね機密扱い。マスコミに知られたら艦娘という存在が批判されるからね。だから真実を知る俺たちは必ず秘密を守ってくれる人にしか話してはいけないってことにしてるんだ」

大井「…なぜ、話すこと自体を禁止にしないんですか?」

木曾「ため込まないため」

提督「そう言うことだ。秘密を一人で抱えもむのは精神的にくるものがある…大井、木曾、お前たちは二人で聞いたからこそ二人で慰めあえる、だが叢雲はたった独りそれにたどりつき、真実に届いて一人でため込んだ。そんときはそれはひどかったんだぞ。だからこそそれを聞いたときここでのあの事件の決めごとをした。もちろん話が漏れる危険性は高まるけど、俺自身そんなことはどうでもいいと思ってるから…まぁだから叢雲があんな辛いとは思わなかったけど」

大井・木曾「…」

提督「そんな顔をするな、笑え」

大井「私達の顔を見えないくせに」

提督「分かるよ、俺には心の目があるからな、お前らの考えなぞお見通しだはっはっは~…まあ気楽にやれよ。俺の木曾と大井」

木曾「…本当、不思議な提督だな」

大井「そうね…さぁさっさと北上さんのところに行きましょ…こんなところでずっといないでさ」

木曾「あ、ああそうだな」

提督「…共犯者が増えたな…まぁ仕方ないか、万が一の時は俺の首でも差し出すか…どうせ近いうちに死ぬしな~…あっやべ、死んだあと漏れたらどうしよう…上に言っとこ」


翌日の朝

武蔵「…」

眠い、がそれを表には出さないようにはしてるのだが

提督「眠いなら仮眠しなよ?叢雲呼んだ後2時間寝てていいよ」

どうも提督の前でこういう隠し事は上手くいったためしがない

武蔵「いや、私用で寝不足なだけだ。今日は早めに寝るようにするから大丈夫だ」

提督「じゃあ寝不足の武蔵さん、今日出撃する人たち呼んで」

武蔵「…了解した」

この時の提督の笑顔は嫌な予感しかしない



加賀「旗艦の正規空母加賀、軽空母龍驤。駆逐艦島風、同じく雪風、戦艦陸奥、航空巡洋艦最上、揃いました」

提督「うん、ありがとう…さて今日はこのメンバーで出撃してもらうんだけど…えっと、寝不足の武蔵さん机にある資料彼女達に渡してあげて」

出撃メンバー(寝不足の武蔵?)

武蔵「…ああ」

くそっいやな予感が当たった。今日ずっとこのまま言い続けるか

武蔵「資料はこれだ」

加賀「あ、ありがとう…どうしたの?」

武蔵「別に…ただ仮眠をすすめてもらったのを断っただけだ」

加賀「なるほど…頑張ってね」

武蔵「…ああ」

提督「よし、それじゃ頑張ってきてくれ。あと寝不足の武蔵さんも眠気に負けるなよ!」

武蔵「ぐっ…」

龍驤「くぅふふふふ…」

島風「武蔵走る?眠気吹っ飛ぶよ!」

雪風「それ、走ってる時だけじゃ?」

最上「その後さらに眠たくなるよね」

陸奥「何だか私も眠たくなってきたわ」

提督「ほれさっさと出撃準備…これ以上寝不足の武蔵さんの眠気を与えられる前に」

加賀「フフ…ええ、ではいってきます」

提督「無事に帰ってくれ」

加賀「了解しました」

提督「…ふう、よしそれじゃ寝不足の武蔵さん、ご飯一緒に食いに行くか」

武蔵「え?いや、だが」

提督「いい、いい。あともう少しで叢雲来るから一緒に行こう」

武蔵「…うむ、だが、その…ね」

提督「やだ」

武蔵「…」

その笑顔は無性に腹が立つ

武蔵に膝枕されたい私です。今日はここまで。お休みなさい


食堂

叢雲「久しぶりに食堂で食べるんじゃない?」

提督「確かになー、前ここで食べたのいつだっけ…」

武蔵「ふむ、確か二週間前だったはずだ」

提督「ああ、そうそうさすが寝不足の武蔵、寝不足でも頭回ってるね」

叢雲「やめなさい…今武蔵がどんな顔してると思ってるの」

提督「素直に眠らない寝不足の武蔵さんが悪いのです」

叢雲「だからといって言い過ぎよ」

提督「残念はずれ」

叢雲「ちっ」

一つ確認を取って置く、我らが提督は重度の白内障を患っている。先が真っ白で何も見えないほど、それなのに

叢雲「ちょこまか逃げんじゃないわよ!ほんっと当らないわね!」

提督「ふっふーん、我に拳を当てれるなぞ数年先早いわぁ」

叢雲の繰り出す手刀を難なく避け続けている。本当に見えていないのか?

鳳翔「食堂内で暴れない!」

提督「あいたぁ!」

しかし鳳翔さんはさも当然のように提督の頭を小突いた

叢雲「あっ鳳翔、さん…おはようございます」

鳳翔「まぁまぁそんな固くならないで」

叢雲「は、はいあ、いえすみません」

鳳翔「もう」

叢雲と鳳翔さんの間に何があったかは謎だが何故か叢雲は鳳翔の前では緊張する

提督「鳳翔さんもうちょっと拳弱めて…」

鳳翔「何言ってるんですか、男ならしゃんとしなさい」

提督「厳しいっす」

鳳翔さんは提督とは慣れ親しんだような仲に見える。提督と話す時だけ鳳翔さんは時々だが、敬語が消える

武蔵「おはよう鳳翔」

鳳翔「はい、おはようございます。まったく朝から騒がしいですね」

武蔵「いや、いい目覚めになる」

提督「お、寝不足の武蔵さん頑張って睡魔と奮闘か」

鳳翔「…そう、昨日は深夜をすぎないようにといったはずなんですけど」

武蔵「あ、いや…なかなか区切りがつかなくて」

鳳翔「言い訳無用です、今日はおかわりはなしです」


武蔵「そんな…」

これなら意地じゃなく仮眠を取るんだった

提督「はっはっは、素直にならないからこうなるのだ、今からでも遅くないさっさと飯食って寝な」

武蔵「ふん、甘いな提督、私がたかが朝食のおかわり抜きになったところで言いなりになるほど堕ちてはおらん!」

鳳翔「昼食も夕食もおかわり無しでいいですか」

武蔵「提督のせっかくのご厚意に甘えねばな」

提督「折れるのはええ…」

叢雲「飯を食わねば戦はできぬ、よ」

提督「それちょっと微妙にちがくね?」

鳳翔「朝食は何にするの?提督」

提督「…おにぎりで」

鳳翔「おにぎり?」

提督「うん、久々に食べたいんだ」

鳳翔「…わかりました、少々お待ちくださいね、叢雲と武蔵さんは?」

武蔵「とんかつ定食空母盛りで」

叢雲「よく食べるわね、あっ私は野菜炒め定食で」

鳳翔「分かりました」

注文を聞くと直ぐに厨房のほうへ消えてしまった

武蔵「それにしても提督は小食だったか?おにぎりだけとは」

提督「え?あ、鳳翔さーん!ちゃんと味噌汁とおかずもお願いね~」

鳳翔「分かってるわよ~」

提督「ふう、ナイス武蔵」

武蔵「ふふ、これくらいどうってことない」


鳳翔「お待たせしました」

そういうとトレーの上にうまそうなご馳走が並んだ。むう…おかわり無しなのか

鳳翔「はいこれ、塩と海苔でよかった?」

提督「うん、ありがとう鳳翔さん…あっこの後話あるんだけどいい?」

鳳翔「?はい…いいです、けど」

提督「良かった、そんじゃまた後で」

鳳翔「ええ…話、何かな?」

叢雲「ほら、持つわよ」

提督「おう、ごめん…隣いいか天龍」

天龍「ふぇ!?あ、いいぜ当たり前だほら!」

龍田「あら~、珍しいですね、提督が私の天龍ちゃんに手を出すなんて~」

提督「龍田も一緒にどうだ?」

龍田「いいですよ?」

叢雲「だ、ダメに決まってるでしょ!」

提督「え?」

天龍「あら~…一緒にご飯はダメなんですかぁ?」

叢雲「え?あ゛…い、いいいいわよ別にそんぐらい」

提督「おやおや~?叢雲は何を想像したんだぁ?」

龍田「私も聞いてみたいですねぇ」

叢雲「ななな何でもないわよ!」

…二人の笑みに陰りがあるように見えるのは気のせいか?

天龍「?何言ってんだよ早く一緒に食おうぜ」




提督「おお~こうして一緒に食うのひっさびさだな、そうだな最近来てなかったしな」

天龍「全くだ、こっちはヘトヘトになって働いてるんだからちっとは天龍の為に一緒に食べろってんだ」

提督「おう、ありがとう天龍」

天龍「なぁ!?あああ頭撫でてんじゃねえよこら」

提督「え?可愛がってくれって言ったじゃねえか」

天龍「一言も言ってねえよ!」

提督「まあ後10分こうさせろ」

天龍「…好きにしろ」

いいな…は!いやいや何を考えてるんだ私は…

叢雲「ほらこぼすんじゃない、口にもついてるわよまったく」

提督「口のはさすがに取れるわ、お前は雷か」

叢雲「何言ってるの私は叢雲でしょ」

提督「おう、俺の叢雲だ」

叢雲「…そ、それでいいのよ」

…もしかして二人っきりの時ずっとこんな感じなのか?


そういえば武蔵ってでかいと思う私です…どこがとはいいませんがね。今日は此処まで


大淀「て…提督!」

ある程度食べ終わり、食後のデザートを食べていたとき、大淀が慌てふためきながら食堂に入ってきた

提督「うん?どうした、何か書類ミスでも」

大淀「違います!第一艦隊より入電!予想外の姫級、戦艦棲姫が現れました!奇襲にあい増援要請を受けています!」

武蔵「なんだって!?」

叢雲「まずいわ…彼女達なら平気なはず…だけど」

天龍「増援がほしいって言ってんだぜ?なんかまずいんじゃねえのか」

大淀「随伴艦として…レ級エリート、ヲ級フラグシップ改を捕捉」

武蔵「何てことだ…提督、私を向かわせてくれ」

天龍「手伝うぜ」

龍田「天龍ちゃんがいくなら私も」

叢雲「落ち着きなさい!…司令官」

提督「ほいほ~いちょっと待って」

…緊急事態であるにもかかわらず提督のテンションは変わらず

武蔵「…もっと気張る声を出せんのか」

提督「ええ~といってもなー」

叢雲「し・れ・い・か・ん?」

提督「はいすんません…姫か、いやいやレ級とヲ級フラレ改はだめでしょまったく…うん天龍と龍田はドックにいる赤城と長門に高速修復材使用して出撃準備を伝えてきて」

天龍「うっし、わかったすぐ言ってくるからよ!」

龍田「了解です」

提督「うん、メンバーは旗艦叢雲、随伴艦武蔵、赤城、長門、金剛、扶桑に決定!ただちに出撃準備」

叢雲「了解したわ」

武蔵「よし!行ってくるぞ」

間に合わせる!待っていろ加賀達よ

提督「…今加賀達はどんな状況か詳しく歩きながらでいいから話してくれ」

大淀「分かりました」

提督「ごめん鳳翔さん、食べたやつここにおきっぱで」

鳳翔「そんなのいいから早く行ってきなさい。一人も沈めちゃだめよ?」

提督「朝飯前だよ…あっでも朝飯食ったから朝飯後…」

鳳翔「早く行ってきなさい?」

提督「はい、はい行ってきます」

大淀「…ふふ、まったく提督は」

提督「よし、行くぞ」

大淀「はい!」


大淀「進撃していた第一艦隊は後ろから増援の奇襲を受けたようです」

提督「同航戦開幕からか。航空戦である程度相手を倒していたのはよかった。奇襲における損害は?」

大淀「島風が中破、陸奥が大破とのことです」

提督「雪風無傷か、やっぱ運いいな…あ~陸奥大破か、守りながらの戦いは厳しいな」

『こちら第二艦隊、出撃準備完了したわ』

提督「よし、今日はみんな帰ったら無事帰宅パーティだ!じゃんっじゃん祝いの砲撃を撃ってこい!」

『パーティですか!』

提督「おう!いっぱい飯用意して待ってるからな!」

『上々ねほうたのしみだヘイテートク!後でご褒美にハグしてネ~!さっさと並びなさい!』

提督「えーっと金剛、後でいくらでも抱きしめてやるから…皆、行ってらっしゃい」

『『行ってきます!』』

提督「…よし、具体的な作戦を用意する。加賀達に伝えてくれ」

大淀「了解しました!」


やっぱ武蔵の艦装ってでかいとおもう私です。ごめん今日はここまで


叢雲「まったく、私がいる前でなかなか度胸あるじゃない」

金剛「ヘーイマッキー!ハグぐらいアメリカじゃただの挨拶ネー」

叢雲「ここは日本よ」

扶桑「もうちょっとまじめにやりませんか?いま加賀達は危険にさらされてますし」

叢雲「…そうねでも今までと同じよ。私たちは敵を倒して加賀達と一人欠けることなく帰るだけよ」

長門「その通り、我々は助けたいではない、助けるんだ」

だが皆、はやる気持ちはある。間に合ってくれるかなんてわからないのだから

武蔵「ふん、何が来ようと我が砲撃で吹き飛ばしてくれよう。久しぶりの出撃だ」

叢雲「だからといって張り切って前に行って大破しましたなんてやめてよ?前みたいに」

武蔵「…」

扶桑「ふふふふ…ごめんなさい、でも、ふふ」

武蔵「ぐっ」

赤城「ふふ…!右舷に影あり!」

叢雲「扶桑!」

扶桑「艦載機お願いします!」

金剛「…どうネー?」

扶桑「まだ…!加賀達です!後方に敵艦あり!」

叢雲「!赤城、爆撃機用意!あなたのタイミングに任せるわ!」

赤城「任せて」

叢雲「長門と金剛は正面から行って!標的をこちらに移す!」

長門「任せろ!」

金剛「了解ネー!」

叢雲「私は第一艦隊の安否を確かめるわ、武蔵、扶桑は射程距離ギリギリからけん制して」

武蔵「ああ、だけど別に…あれを倒してしまっても構わんのだろう?」

扶桑「…いやな予感しかしません」

叢雲「出来るならやって構わないわ…散開!」

艤装やろ

×艦装(かんそう)
○艤装(ぎそう)


陸奥「なぁんで…私がいつも先に大破しちゃうの…かしらね」

加賀「そういう時もあるわ、もう少しの辛抱よ」

島風「うー…厳しいよー」

龍驤「応援まだかいなー?けっこうしんどいんやけど…!前方から爆撃機…これは!」

加賀「…赤城さん!」



赤城「お願いします、妖精さん」

金剛「全砲門ファイアー!」

長門「てぇー!」

雪風「金剛さん!長門さん!」

最上「ふぅーようやく来てくれたー」

陸奥「姉さん…」

長門「陸奥!後は任せろ!」

陸奥「…ええ」

叢雲「みんな無事ね」

加賀「ええ…それと提督から伝言があるわ」

叢雲「なんて?」

加賀「合流したのちそのまま全軍撤退せよと」

叢雲「鎮守府まで連れて行くつもり!?そんなことしたら」

加賀「いえ、撤退する場所は海上要塞基地」

叢雲「まさか…スター鎮守府?」

加賀「ええ…そちらへの撤退を言われたわ」

叢雲「迷惑じゃないかしら」

加賀「そういわれたから仕方ないわ、向こうへは提督が進言してくれるとのことよ」

叢雲「…わかったわ、行きましょう。全員、このまま撤退するわ!陣形は複縦陣!」

武蔵「了解した!…ぐうっ!」

叢雲「武蔵!」

扶桑「きゃあ!」

長門「ちっ!まだまだぁ!」

金剛「ふわー見事にフラグ回収したネー」

叢雲「馬鹿なこといってないでさっさと行くわよ!」


>>50>>51おお、ありがとうございます!艤装ですね

すいません遅くなりまして、やりたいゲームがたくさんあって何から手を出そうか悩んでた私です、今日はここまで


提督「やぁどうも久しぶりで」

??『久しぶりじゃないです!いきなり電話してきてあなたの艦隊がこちらへ来るから艤装して迎えてやってくれって、どう捉えても厄介ごとじゃないですか!』

提督「いやぁ面目次第もありません元帥殿~」

大和『大和でいいです。あなたがそんなこと言ってると鳥肌が立ってくるので』

提督「酷くない?…まあそんなことは置いといて、そっちに俺の叢雲達が来るから、怪我してたら優しくドックに放り込んでおいてほしいんだ」

大和『優しくない言い方ですね。了解しました…それでゲストの方は?』

提督「美しい姫とそれを守る鬼たちの織り成す超弩級重雷装航空戦艦の皆々方」

大和『なんでんすかそれ…はぁ、まったく』

提督「手を煩わせてごめんね?」














大和『作業ゲーにならないことを願ってます』

提督「…なんか大和とかがそういう言葉使っていると不自然」

大和『なにそれひどい』


叢雲「急いで!もうすぐだから」

まずい、叢雲も大破している、もうすぐなのに、

武蔵「くそ…」

…怒られそうだな、だがまぁ海の底にいれば怒鳴り声なんて聞こえないだろう

叢雲「!…武蔵!止まらないで!早」

武蔵「先に行くがいい、私はここで少し深海棲艦と戯れることにする」

龍驤「ダメやてそれは!このまま全員撤退や!一人も抜けたらあかん!」

武蔵「早く行け、止まっている時間が惜しい」

陸奥「なら、私もここに残るわよ?」

武蔵「そんなぼろぼろの体で何ができる」

扶桑「でも、あなたの体も…きゃあ!」

武蔵「急げ!止まっている時間はないぞ!」

叢雲「ならあんたも動きなさい!何のために私たちが来たと思っているの!代わりに沈んできたわけじゃないのよ!」

武蔵「…すまない」

??「おいおい、何かもたついてると思ったらそんなしけた事話してたのかよ…つまんねえなおい」


叢雲「え?」

加賀「!いつの間に」

武蔵「天龍?」

天龍「ああ、天龍様のお通りだ。つってもお前らんとこの天龍とはいろんな意味でちがうぜ。ていうかさっきからここにいたのに気付かなかったのかよ」

??「あなた早過ぎよ天龍、先に行かないでちょうだい」

天龍「わりぃな翔鶴、でもまぁ間に合ってよかったぜ、ここはまかせな」

叢雲「まさか二人だけで?無茶よそんな」

天龍「まあ気持ちはわかるぜ、でもさっさと行ってろ、な?」

叢雲「っ…下がるわよ皆」

武蔵「な…しかし」

叢雲「いいから!全員!」

翔鶴「…言い方が冷たすぎるわ天龍」

天龍「ああでも言わねえとてこでも動かねえだろアイツ」

翔鶴「まったく、どこかの誰かと似てるわね」

天龍「全くだ…えっと敵さんの数は5、戦艦3空母2って何だこりゃ」

翔鶴「叢雲さんの方じゃなくてあなたの事なんだけど…まぁいいわ、にしても」

天龍・翔鶴「「この程度?」」

天龍「弱ええ弱ええこの程度かよ、艦娘の質も落ちたもんだな」

翔鶴「これがゆとり世代なのね、こんなの暇つぶしじゃない」

天龍「んじゃまぁちょっくら、やるか」

翔鶴「…冥福を祈るわ深海棲む艦娘達、大丈夫よ…また会いましょう」


あ、どうもみなさんノートPCのファンの調子がやばい私です。
このSSには>>1の独自な設定がありますのでご了承ください。
ではここまで

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月14日 (土) 13:51:43   ID: TJd5N7mz

白内障なら日帰り手術、十万程度で治るがな

2 :  SS好きの774さん   2015年03月17日 (火) 01:23:50   ID: -ZFp3FEW

ま、まあ戦時中だから…

3 :  SS好きの774さん   2015年04月30日 (木) 06:54:13   ID: sJaAidtw

治るのかよw

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