エレン「…」 ヒストリア「…」 (12)

ヒストリア「…」エレン「…」
の同シリーズ

※67話までのネタバレあり



リヴァイ班はエレンとヒストリアの奪還に成功した。しかし、ロッド・レイスが巨人化し人の密集する中央の都市へ向かっていた。
調査兵団は迎撃に備えまずは帰還し休息をとることになった…





―調査兵団拠点

ヒストリア「…」

エレン「…」

ヒストリア「…」

エレン「…」

ヒストリア「っああああっほーー!!やっと解放されたああああ!!!」

エレン「うお!!?」ビクッ

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エレン「急にデカイ声出すなよ、ビックリするだろ!」

ヒストリア「いやぁ、ごめんね~。元気に話すの久しぶりだからさ。確か最後に元気よく喋ったのがユミルといたときだから…1ヶ月足らず前くらいか」

ヒストリア「うん、実に1ヶ月ぶりに叫んだからね。なんか1年半くらいたった気分だけど」

エレン「相変わらずメタ発言好きだなお前は」

ヒストリア「色々あったね…ユミルが巨人化してライナーとベルトルトが巨人化してエレンが拐われてユミルがあっちに行っちゃって、私発狂して無口になってね」

エレン「ああ、色々大変だったな…」

ヒストリア「あとエレンに気持ち悪いって言われたり普通の奴だって言われたり、中央憲兵が来たから『鈴木花子です』って追い返したり」

エレン「ああ…あったな」

ヒストリア「ミカサと芋を食べたりアルミンと夜中に野外トークしたりしたし…」

エレン「ああ、そんなこともあったな…」

ヒストリア「私を抱き締めたお父さんを『セクハラ』って拒否したり、もうやってらんねかったりしたし、エルヴィン団長に求婚されたりもしたし、巨人化して世界も救ったなぁ…」

エレン「え?なんだそれ?」

ヒストリア「気にしないで」

エレン「…」


ヒストリア「でね、まあ、色々わたくしも大変だった訳でしたけどね…やっと!やっと解放されたの!わたしが!」

エレン「おう」

ヒストリア「フリーダ姉さんから優しくしてもらった記憶のおかげ……いや、たまに怖かったけど」

エレン「たまに王の思想に支配されて人が変わってたんだっけ?」

ヒストリア「うん…普段は優しい綺麗なお姉さんなんだけどね。たまに怖い時の顔は本当におしっこちびりそうなくらいの表情だったよ」

ヒストリア「前なんかご飯食べてて『サクサクして美味しい』って姉さんに言ったら、『柵から出るなって言ったでしょ!!』って言われたからね。『サクサク』を『柵柵』と勘違いしたんだろうね」

エレン「柵は禁止ワードなんだな」

ヒストリア「そうなんだよ」

ヒストリア「そして何より…ユミル!そう!ユミル!ユミルッ!」

ヒストリア「かっこ良かったよぉ~」

――ユミル「お前…胸はって生きろよ」

キラキラキラ


ヒストリア「きゃあああ!!思い出しただけでかっこいいし恥ずかしい!赤くなっちゃう!なんかキラキラしてるし!!」

エレン「とりあえず落ち着け、な」

エレン「それにしても…今日のお前はよく喋るな」

ヒストリア「なに言ってるの。私は元からよく喋るよ」

エレン「…そうか」

ヒストリア「………まあ……なんていうかさ。エレン元気ないからさ…元気づけようと思ってはしゃいでんだけどさ」

エレン「え?あ…すまん」

ヒストリア「いや、謝らなくていいけどね」

ヒストリア「まあ…あんなこと知ったら普通じゃいられないよね」

エレン「ああ…」

エレン「レイス家がこの始祖の巨人の力を持ってたら初代王の思想に支配されてしまう。だから父さんはそれを変えようとしてレイス家を根絶やしにして力を奪い俺に託したんだろうけど…」

エレン「でもやっぱり力の無い人間やお前の姉さんを殺してたってのはいい気分じゃないし……それに俺に力が移ったせいでたくさんの人が死んだのも事実だ」

ヒストリア「まぁね……ほんと、エレンの気持ち考えたら重くて仕方ないよね…」

ヒストリア「でもさ、ここで諦めたりしたら、それこそ全部無駄に終わっちゃうよ。エレンのお父さんだって、本当は人殺しはしたくなかったと思うよ……でも今の世界を変えようとしてレイス家から力を奪ったのだと思うし、もしレイス家に力が戻ったらまた同じ事の繰り返しになる」

ヒストリア「辛くても前に進まなきゃいけない。でも大丈夫、私もミカサもアルミンも皆もエレンの味方だから!辛くてどうしようもないときは私たちに頼っていいんだよ!」

エレン「…うん、ありがとうな。今まで死んだ人の命を無駄にしないためにもな」

ヒストリア「少しはマシになったな」

エレン「…それリヴァイ兵長の真似か?」

ヒストリア「うん」

ヒストリア「で、話変わるけどさ。あのロッド・レイスの巨人さ…もし私が打ってたらあんな姿になってたんだよね」

エレン「そういう事だな」

ヒストリア「ホンッッット打たなくて良かったと心の底から痛感してるよ」

エレン「…俺は、かっこ良い巨人を選んでくれた父さんに感謝しなきゃいけないな」

ヒストリア「男の子の好みをよくわかってるね」

ヒストリア「私は女の子としてあんな[ピザ]デカ巨人は許せないわ。あんな巨人になったら嫌すぎて迷わず外の無知性巨人に自ら喰われに行くわよ」

エレン「ぶほっ!!」

ヒストリア「やっと笑ったね」

エレン「変なこと言うなよ」

ヒストリア「…ふう、話疲れたし、そろそろ明日の準備するかな」ガタッ
ヒストリア「よし、立体機動装置の調子はいい」

エレン「…!え?お前は安全な場所に避難って…」

ヒストリア「…じっとしてられないよ。これは私も向き合わなきゃいけないことだから」

ヒストリア「私は自分の運命と決着をつけに行く」

エレン「………」

エレン「だが、相手は…」

ヒストリア「わかってるよ」

ヒストリア「でも、私はいくよ………止めないで」

エレン「…」

ヒストリア「…」

エレン「……わかった…止めないよ」

ヒストリア「…」


ガチャッ

ミカサ「エレン、まだ起きてるの?」

アルミン「明日は早いからそろそろ寝て体を休めなきゃ」

エレン「!おう、アルミン、ミカサ…そうだな」

ヒストリア「あ、二人ともこんばんは」

アルミン「こんばんはじゃなくて寝なきゃ…って何その立体機動装置!?」

ヒストリア「なにって…ねぇ?兵士だし?」

アルミン「いや、ヒストリアは安全な場所にって…」

ヒストリア「止めないでよ。私も行くって決めたから」

ミカサ「…ヒストリアの目は本気…止めなられない」

アルミン「う…でも、リヴァイ兵長が…」

ミカサ「ヒストリア、明日リヴァイ兵長に何か言われても言い返してやるのよ。そして兵長を困らせてやるといい」

ヒストリア「いいねいいね!困らせちゃおう」

ミカサ「そう。困らせちゃおう」ニヤニヤ

エレン「すげぇニヤニヤしてんなミカサ」

アルミン「でもさ…やっぱり…」

ヒストリア「心配してくれてありがとう。でもここで大人しく引き下がったら私は一生後悔する」

アルミン「…わかった、僕も止めないよ」

ミカサ「大丈夫。エレンもヒストリアも死なせない」

ミカサ「ヒストリア。帰ったらサシャも混ぜて蒸かし芋パーティーをしましょう」

ヒストリア「うん、皆で生きて帰ろうね!」

アルミン「ははは…」

エレン「………」

エレン(もう誰も死なせたくない……俺の力で、必ず皆を守ってみせる…)


おしまい

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