提督「えっ、デートに連れてけ?」 時雨「うん」 (51)

提督「野球がしたい」 【安価】
提督「野球がしたい」 【安価】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425576469/)

前スレの後日談となっております。遅筆で申し訳ないのですが、よろしければお付き合いください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425964527

時雨「この前のMVPの特権としてね。駄目かな?」

提督「いや、時雨がそれを望むのなら断る理由なんてないが」

時雨「じゃあOKってことだね」

提督「うむ。ただ、すぐにとはいかんな」

時雨「日程についてはまた後で相談しよう」

提督「ああ」

時雨「それじゃ、楽しみにしてるよ提督♪」ガチャ

提督「…デート、か。まったく…いい笑顔しやがって」フッ

提督(……時刻はハチマルマル)

時雨「提督、お待たせ」

提督「おう来たか…さ、助手席に乗ってくれ」

時雨「ごめんね。車出してもらっちゃって」

提督「なに、車で行った方が何かと便利だからな。第一これは時雨の『権利』のうちなんだから気にする必要なんてない」

時雨「それでも、さ」

提督「はは、時雨は律儀だな」



提督「シートベルトはしっかり締めたな?」

時雨「大丈夫だよ」

提督「よし、出発だ。まずは…」

マルハチマルマルな

>>4
いきなりやってしまいました。ご忠告ありがとうございます。

―――― 

提督「大人一人と子ども一人で」

「3000円になりまーす」

提督「はい、これで」

「ごゆっくりお楽しみくださいませー」

時雨(提督は大人、僕は子ども…少し壁のようなものを感じてしまうね)

提督「ん、ボーっとしてどうした?」

時雨「ああ、何でもないよ」

提督「しかし久しぶりだなー水族館なんて」

時雨「僕もさ。だからこそ今日来てみたくてね」

提督「ふむふむ…よし、じゃああっちへ行ってみよう」

時雨「うん」

――――

時雨「わあ…!」

提督「すごい大水槽だな…サメにエイ、カメもいる。そして何より…」

時雨「あの群れ…すごい数だね」

提督「あれはイワシか。あれだけの数いると、壮観だなぁ」

時雨「きれいだね」

提督「時雨の方がきれいだよ」

時雨「…もう、茶化さないでよ」

提督「はっはっは、そうだな。きれいっていうよりかわいいだな」

時雨「も、もうホントに提督ってば!」

提督「すまんすまん、気を悪くしたなら謝るよ」

時雨「…そんなことはないけど」

時雨(もう…ずるいなあこんなの)

――――

提督「ここには深海の生物たちが展示されてるそうだ」

時雨「深海の生物というと、グロテスクなものが多い印象だね」

提督「アンコウとかが良い例だな」

時雨「あっ、でもあれとか…」

提督「クラゲか。幻想的な感じが良いな」

時雨「小さなクラゲはかわいらしいね」

提督「ああ。エチゼンクラゲみたいなやつは勘弁だがな」

時雨「あそこにアンコウもいるよ」

提督「おっ、本当だ…しっかしこいつブサイクだなー」

時雨「提督がそれを言うのかい?」

提督「時雨!?」ガーン

時雨「ふふ、冗談さ冗談。提督はかっこいいから安心しなよ」

提督「…お、おうっ」モジモジ

時雨「えっ?や、やめてよ。僕まではずかしくなってくるじゃないか…」

提督「うっ…あっ、あそこ見てみろ!」

時雨「えっ…あ、クリオネ…かわいい」

提督(変な雰囲気になってしまったが、何とかなったかな?)

――――

時雨「あっ、見て。ラッコとアザラシだね」

提督「おお…ん?アザラシがこっちに近づいてくる…」

アザラシ「……」

提督(かわいいけど…そこはかとなくイラつく顔してんなこいつ)

アザラシ「ケッ」

提督「あー!?こいつ今、俺のこと鼻で笑いやがった!!」

時雨「はずかしいし、他の人もいるんだから静かにしてよ」

ラッコ「……」ブンブン

時雨「あ、ラッコが手を振ってる…ははっ」ヒラヒラ

提督「へえ~賢いんだな。お~い」ブンブン

ラッコ「……」プイッ

時雨「そっぽ向いちゃった…」

提督「俺がいったい何をしたというんだ…!」

――――

時雨「ここは何だろ?みんな、水槽に手を入れてるね。小さい魚がいっぱいいるけどいいのかな?」

提督「ふむふむ、なるほどなるほど…この魚はガラ・ルファ。別名ドクターフィッシュ。人の古くなった角質を食べてくれるから美肌効果があるらしいぞ」

時雨「へえ~そんな魚がいるんだ。おもしろいね」

提督「ではさっそく俺たちも手を入れてみますか」バシャ

時雨「うん」バシャ

時雨「…こそばゆいね。でも不快な感じは全然しない」

提督「ちょっと癖になりそうだなこれ」

――――

提督「ショーおもしろかったな」

時雨「うん、見応えあったよ」

提督「イルカのジャンプ力ってやっぱすごいな」

時雨「アシカも大したものだったよ。ラケットを口に乗せたままの逆立ちには驚いたなあ」

提督「ラケットの代わりにサッカーボールを使った芸で一回落としたのも、愛嬌があってよかったな」

時雨「ぼけーっとした顔してたよね、あのアシカ」

提督「ああ、あの抜けた顔ときたら…」ククッ

――――

時雨「一通り見終わったね」

提督「そろそろ昼時だな。さっきのフードコートで昼食を取って次の目的地行くか」

時雨「あ、それなんだけどさ…」

提督「うん?」

――――


時雨「はい、どうぞ召し上がれ」カパッ

提督「おお、サンドイッチか!ハム、たまご、ツナ、カツ…それにフルーツサンドだな!」

時雨「うん、たくさん作ったからいっぱい食べてね」

提督「いや~外に出てゆっくりできるところに行こうって言われたときはどうするんだろうって思ったけど…これは嬉しいな」

時雨「そう言ってもらえると、僕も少し早起きした甲斐があるよ」

提督「ありがとな。今日は時雨のための一日なのに…」

時雨「僕が作りたいから作っただけさ…ほらほらそんなことより早く食べてみて」

提督「ああ!」パクッ

提督「うまい!うまいぞ!」バクバク

時雨「大げさだよ。それと、もっとゆっくり食べ…」

提督「ングッ!?」

時雨「ああもう、のどに詰まらせて…はいお茶」スッ

提督「んぐんぐっ…ぷはぁ!た、助かった時雨」

時雨「どういたしまして。さて、僕も食べようっと」パクッ

どうも俺にイチャラブはハードルが高いようだぜ。おやすみなさい。

少しだけ書き溜めた分を投下します。
あと、このSSは前スレの後日談となっておりますが、前スレを見てないからといって弊害はないので、気軽に読んでいただけると嬉しいです。

――――

提督「ごちそうさま。ふう、満腹満腹」

時雨「お粗末さまでした」

提督「いや~本当に満足したよ」

時雨「ふふ、素直に嬉しいよ」

提督「すぐに出発してもいいけど…少しゆっくりしていこう」

時雨「そうしようか」

提督「…風が気持ちいいな」

時雨「うん、穏やかな気持ちになれるね」

提督「…いかんな。腹いっぱいになって少し眠くなってきた…」

時雨「この時間に?…満腹も原因の一つだろうけど、昨日ちゃんと寝た?」

提督「うっ…実は出かける前に完了しておかないとまずい作業があって…」

時雨「…その結果、寝不足ってわけかい?僕とのデートの日に」

提督「面目ありません!」

時雨「はあ…僕のことは気にしなくていいから、少し寝てもいいよ。三十分くらいしたら起こすからさ」

提督「うん?そうか?…それならお言葉に甘えてしまおうかな」

――――

提督「……んっ」

時雨「あ、起きたね」

提督(…時雨の顔が目の前に…それに、頭の後ろになにか柔らかい感触が…これは、何だ?)サワッ

時雨「ひゃっ…!て、提督、だめだよ!」

提督(ん?これは……まさか!)

提督「す、すまん!」バッ

時雨「起きたと思ったら、いきなりセクハラなんて…まったく」

提督「膝枕してくれてたのか…」

時雨「そのままベンチで寝るよりは良いかなと思ってね。少し体制を変えさせてもらったよ」

提督「ありがとな。おかげで気持ちよく寝られたよ。今の時間は?」

時雨「あれから一時間ちょっとくらいかな」

提督「なに、そんなに経ってるのか…どうして三十分で起こさなかったんだ?退屈だっただろうに」

時雨「ああ、それはいいんだよ」

提督「しかし…」

時雨「そもそも退屈なんてしてないさ」

提督「へっ?」

時雨(提督の穏やかな寝顔を見てたら…起こすのがもったいなくて、ね)

提督「まあ何にせよすまなかったな…行くか」

時雨「そうだね」

提督「次の行き先は――」

――――

提督「到着だ」

時雨「さすがに大きいね」

提督「この地域じゃ一番大きな百貨店だからな。いろいろ見て回るとしよう」

時雨「やっぱりデートといえばショッピングは欠かせないね」

提督「そんなもんなのか」

時雨「そんなものさ」

――――

時雨「この服かわいいね。提督はどう思う?」

提督「ああ、時雨によく似合うと思うぞ」

「お客様、あちらに試着室がありますので、ぜひご試着ください」

時雨「あっ、はい、ありがとうございます。ちょっと行ってくるね」タッタッタ

提督「おう」

「かわいい子ですね」

提督「ええ、本当に」

「…手、出してませんよね」

提督「そんな目で見ないでください。出しませんよ」

「ならいいんですけど…あっ、出てきましたね」

時雨「どうかな…?」

提督「ああ、よく似合ってるよ」

時雨「…それだけ?」

提督「…ははっ、とてもかわいいぞ」

時雨「うん…」

――――

時雨「ありがとね提督。あの服のお金出してもらっちゃって…」

提督「いいんだよ。何度も言うが、今日は時雨のための一日なんだから気にすることはない」

時雨「それでも本当に感謝してるんだよ」

提督「それで十分だ。何と言われようと今日の費用は全て俺持ちだからな」

時雨「いや、いくらなんでもそこまでしてもらうわけには…」

提督「なんだ?時雨は俺を甲斐性なしの男にしたいのか?」

時雨「そういうわけじゃ…」

提督「ならいいだろう?この話はお終いだ」

時雨「…提督には敵わないね。本当にありがとう」

提督「ああ」

――――

提督「ちょっと休憩がてらあそこの喫茶店に入ろう」

時雨「そうだね」



時雨「このガトーショコラ、おいしい」

提督「俺のチーズケーキもなかなかのものだぞ」

時雨「へえ、一口もらえるかい?」

提督「いいぞ…ほれっ、あ~ん」

時雨「…提督?」

提督「おう、どうした?」

時雨「…人前だよ?」

提督「そうだな」

時雨「提督は羞恥プレイがお好みなのかい?」

提督「女の子がそういう言葉を使うものじゃありません」

時雨「自分で食べさせてはもらえないのかな…」

提督「ほら、はやくはやくぅ」

時雨「…うぅ」

提督(少しからかいすぎたかな…)

時雨「……えいっ!」パクッ

提督「!?」

時雨「…うんおいしいね。じゃあお返しに…あ~ん」

提督「あ、あの時雨さん…?」

時雨「まさか僕だけにあんな恥ずかしいことさせる気かい?」

提督「うっ…」

提督(参った…これは想像以上に気恥ずかしいぞ)

提督「ええい、ままよ!」パクッ

提督「…うまいな、ガトーショコラ」

時雨「……」

提督「……」

時雨「…ふふ」

提督「…はは」

時雨「なんかバカみたいだね僕ら」

提督「ああ、まったくだ」

イチャラブとはどんな効果だ?いつ発動する?

ちょっとこれからの展開が浮かばないんで、今日は寝ます。

かなりの誰得展開とはなりましたが、全部書き終えたので投下しようと思います。
途中ミスに気付いたり、路線変更を思い立った場合は投下ができなくなるかもしれませんが、お許しください。

――――

時雨「ショッピングはこれくらいでいいかな」

提督「むっ、もういいのか」

時雨「十分回れたしね」

提督「そうか、それじゃ次は――」

――――

提督「どの映画が見たいんだ?」

時雨「えっと…これだよ」

提督「恋愛物か」

時雨「嫌かな?」

提督「まさか。俺もこういうのは好きだぞ」

時雨「よかった…」

――

時雨「はい、コーラ」

提督「おう、ありがとう」

時雨「ポップコーンは、普通の塩味とキャラメル味があって…迷った結果、キャラメル味にしたんだけど…」

提督「ああ、大丈夫だ。俺もそっちの方がいい」

時雨「提督は甘いものが好きだしね。こっちを選んでよかったよ」

――

提督「いや~おもしろかった」

時雨「本当にね。特に最後の別れのシーンはすごく良かった」

提督「時雨、少し涙ぐんでたもんな~」

時雨「…見てたんだ」

提督「悪い悪い、意図的に見たわけではないんだが」

時雨「うぅ…」

提督「俳優の演技も見事なものだったしな。感動するのは当然さ」

時雨「でも提督が泣いてる様子はなかったね。けっこう涙もろいと思ってたんだけど」

提督「おいおい…別に俺は涙もろくないぞ。もういい年だしな」

提督「それにあれはいつの日か再会を誓っての別れだから、ただ悲しいだけのものじゃなかっただろう?」

時雨「まあ、確かにね」

提督「あれが今生の別れって言うんだったら泣いてたかもしれんなー」

時雨「…そう。うん、そうなんだろうね」

――

提督「夕食を食べて帰るとしよう。なんか食べたいものあるか?」

時雨「なんでもいい…なんて言ったら困らせちゃうね。イタリアンなんてどうかな?」

提督「おっ、いいな。さっきの道中に良さそうな店があったし、そこに行ってみるか」

――――

「カルボナーラと野菜のペペロンチーノでごさいます」

提督「きたきた…カルボナーラは俺です」

時雨「おいしそうだね」

提督「前菜も良い味だったし、楽しみだ」



時雨「…おいしい」

提督「こっちもうまいぞ。こりゃ良い店を当てることができたな」



時雨(あ…提督の口に)

時雨「提督、ちょっと動かないでね」

提督「ん?……むっ」

時雨「これでよしっと」

提督「ソースが付いてたか。ありがとな」

時雨「ふふ、どういたしまして」

提督(…こういうのも悪くないな)

――――

提督「夕食もすませたし、あとは帰るだけだな」

時雨「そうだね」

提督「帰り道、どこか寄りたいところがあったら言ってくれ」



提督「今日は満月か」

時雨「……きれいな月だね」

提督「…………ああ、本当にな」

時雨「……」

――

提督「さて、着いたな」

時雨「…今日は本当にありがとう。とても…とても楽しかった」

提督「満足してもらえたようでよかったよ。俺も楽しかった」

時雨「満足……うん、大満足だよ」



提督「それじゃあまた明日な」

時雨「うん…おやすみ」

提督「おやすみ」

――

提督(明日からまた忙しくなるし、さっさと寝るとするか)

提督(…今日は楽しかったな。出費はけっこうな痛手ではあるけれど)

提督(でも…あの笑顔を見れるのなら、な)

コンコンッ

提督(ん?…こんな時間に珍しいな。いったい誰が…)

提督「入っていいぞ」

ガチャッ

時雨「……」

提督「なんだ時雨か?いったいどうしたんだこんな時間に」


時雨「……」スタスタッ

提督「…時雨?」

ギュッ

提督「!?」

提督(時雨が抱き着いてきた!?)

時雨「ごめん…提督」

提督「ど、どうしたんだ時雨!?ごめんって何があったんだ!?」

時雨「僕……もう抑えられなくなっちゃった」

提督「い、いったい何を…」

時雨「この気持ちを…抑えられなくなっちゃったんだ」

提督「……!」


時雨「今日、本当はここまでするつもりはなかった…デートして良い思い出を作ることができたら、くらいの気持ちでいたんだよ」

時雨「だけどデートが終わって、提督と離れたら…急に、このまま今日を終わらせたくないって思っちゃったんだ」

時雨「提督を僕のものにしたい、そう思ったんだ」

提督「……俺は」

時雨「さっき、ごめんって言ったのはね…本当はわかってるからさ」

提督「……何を」

時雨「提督はきっと僕の想いを…いや、誰の想いも受け入れない」

時雨「そのことをわかっていながら、こんな真似をすることに謝ったのさ」

提督「――――――」


時雨(…表情が強張った)

提督「なぜ、そう思う?」

時雨「気づいてるとは思うけど、この鎮守府の艦娘のほとんどが提督を慕ってる」

時雨「中には、今の僕のように想いを伝えた人も多くいたでしょ?」

提督「…ああ、身に余る光栄さ」

時雨「でも誰の想いも受け入れなかった」

提督「確かにそうだが…鎮守府の外に想い人がいる可能性もあるだろう?」

時雨「前に自分で、誰とも付き合ったことがないって言ってたじゃないか。それとも隠してただけで、本当はいるのかい?」


提督「…いや、いない。だが、それだけじゃ…」

時雨「提督は僕らを大事にしてくれてる」

時雨「けど、常に一線を引いてる…これ以上は踏み込まないってラインを設定してる。誰かに自分からアプローチをかけるようなこともしない。そうだよね?」

提督「……」

時雨「誰も提督の好みに合ってないなんて考えたこともあったさ…だけど、艦娘はみんな見目麗しいだけじゃなくて人格者ばかり…それで誰も好きにならないなんて俄かには考えられなくてね」

時雨「まるで、わざと誰も好きにならないように自戒してるみたいで。ケッコンカッコカリは性能上昇のためと割り切ってるんだろうけどさ」


提督「俺が自戒する理由はないとは思わんか?」

時雨「自分なりに二つまでその答えをしぼってみたんだけど、確証がなくてさ…今日来たのはそれを確かめるって意味もあるんだ」

提督「…その答えとやらを聞かせてもらえるか?」

時雨「まず一つ目は、提督を慕う艦娘たちの仲がこじれないようにするための配慮」

提督「…もう一つは?」

時雨「……怖いんじゃないかい?」

提督「……何、が」

時雨「深い関係になった艦娘が沈んでしまうのが、さ」

提督「――――――」

――

提督「……ああ、その通りだよ。俺は怖いんだ」

提督「深海棲艦との戦いで、大事な仲間である艦娘を沈めさせてしまうたびに、俺はこの身を引き裂かれるような思いをしてきた」

時雨「僕らの鎮守府では、提督のおかげで、よそと比べるとかなり轟沈は少ない…それでも」

提督「ああ、決してゼロではない」

時雨「僕も仲間を失うたびに悲しい思いをしてきた。でも、提督の悲しみは僕の比じゃなかったね」

提督「…お前たちの前で悲しむ姿を見せた覚えはないんだが」

時雨「確かに僕らの前では毅然とした姿でいたよね」

時雨「でも…仲間が沈んだ、ある冬の寒い日の夜…提督が外に出ていくのに気づいてね、こっそり後を追ったんだ」

提督「……」

時雨「そこで見たのは…仲間が沈んだ方向を見ながら、一晩中泣いてる提督の姿だった。その姿を見て、僕は声をかけることができなかったよ」

提督「…参ったな、気づかれてたのか」

時雨「誰も話題にはしないけど、僕以外にも気づいてる人はいるさ。誰かが沈んだ日の夜は必ずそうしてるんでしょ?」

提督「ああ。寝ようとしても寝られなくて…悲しさに耐えきれなくて、な」

提督「俺はあるとき思ったんだ。仲間を失うのはこんなにもつらい……なら、もしも愛した仲間が沈んでしまったら…二度と会えなくなってしまったら…そのとき俺の心は壊れずにいられるだろうかってな」


提督「それ以来、俺は艦娘を…お前たちを男女間の意味で愛するということがないように努めてきた」

時雨「だから誰の想いにも応えることはできなかった」

提督「ああそうだ。心が弱いんだ、俺は」

時雨「…優しすぎるだけなのさ」

提督「だから…俺は、お前の想いにも…」

時雨「…提督の苦しみはよくわかったよ」

時雨「なら…こういうのはだめかな?」

提督「?」


時雨「いつか全てが終わったら…そのときは僕の想いに対する提督の返事を聞かせてくれないかい?」

提督「…その言い方だと、俺には断る選択肢が残るけどいいのか?」

時雨「いいのさ。将来を誓うだけでも、提督を苦しめる枷になるだろうからね」

時雨「沈む沈まないに関係なく僕を愛せないというのなら、この場で断ってもいいし、それはそれで納得するよ。大泣きはするけどさ」

提督「…時雨は良い女だな」

時雨「ふふ、いきなりなにさ?」

提督「…約束しよう。全てが終わったとき、必ず返事をする、と」

時雨「…ありがとう」


時雨「ところで…今日はまだ終わってないから、僕の『権利』は有効だよね?」

提督「ん?…まあ、そうなるな」

時雨「じゃあ――――」

――

提督「…同衾ときましたか」

時雨「む、文句あるのかい」

提督「そういうわけじゃないが…明日は忙しいからさっさと寝るぞ」

時雨「わかってるよ」

――

提督「……」

時雨(……もう寝てるかな?)

時雨「…僕は沈まないよ提督」

提督「……」

時雨「僕は幸運艦…白露型二番艦、時雨さ」

時雨「必ず生き残って…提督の返事をもらうよ」


提督(……起きてるんだけどな)

提督(…いかん。時雨が愛しくてしかたがない)

提督(…俺の前からいなくなったりするんじゃないぞ時雨)

提督(俺の返事は…もう決まってるんだからな)

完!

どうしようもない駄文をお見せしてしまいました。
時雨編で発想が尽きたので、鳳翔編は書けないかもしれません。
お付き合いいただきありがとうございました。失礼します。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月18日 (水) 15:01:34   ID: Epk9zC0_

自分好みの甘さです!!
サイコーです!!

2 :  SS好きの774さん   2017年12月17日 (日) 14:58:43   ID: rby-y-IX

これだよ、俺はこういう純愛系が大好きなんだよ……!!
某眼鏡で傷付いた心が洗われていく。ありがとう……。

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