魔王「貴様が異世界の巨人か?」ダイダラボッチ「巨神だ」(42)

魔王「ほう?神とな?」

ダイダラボッチ「まあ8000000体の中の一体だがな」

魔王「ハッハッハッ!面白い冗談を言うな、貴様はどう見ても化け物じゃないか」

ダイダラボッチ「……別に信じなくてもいい、それより早く元の世界に戻せよ」

魔王「それは出来ぬ、貴様には私の部下として働いて貰わなければならないからな!」

ダイダラボッチ「は?」

魔王「近々人間共と戦争をすることになっている、人間共に負ける気はしないが少しでも損害を減らす為に新たな兵器を導入することになった」

魔王「その兵器は異世界とこの世界を結ぶ物なのだがな、並大抵の物質じゃ亜空間に耐えきれず壊れてしまう」

魔王「そこで上層部は頑丈な怪物を召還することにしたんだ」

ダイダラボッチ「それで俺が呼ばれたと?」

魔王「イエスッ!」

ダイダラボッチ「ふざけんな」ピンッ

魔王「グキャッ!?」ドガッ

魔王「き、貴様!誰を殴ったと思っている!?私は魔界の王で魔の権化なのだぞ!?」

ダイダラボッチ「は?指で突いただけだぞ?」

魔王「!?」

ダイダラボッチ「お前が誰だかなんて知らないけどさ、客を招いたならそれなりの態度があるよね?」

魔王「ま、まあそうだが……」

ダイダラボッチ「初めて会ったのにいきなり上から目線だし、働けとか言うし……魔界じゃ王にまともな教育を受けさせないの?」

魔王「……」

ダイダラボッチ「まったく……親の顔が見てみたいよ」

魔王「お、親を愚弄するのは許さないぞ!」

ダイダラボッチ「あん?」

魔王「……何でもありません」

ダイダラボッチ「とりあえず帰してくんねえかな?俺も暇じゃないんで」

魔王「えっと、その、召還した物を返す兵器はまだ完成してないんですけど……」

ダイダラボッチ「えっ?本当?」

魔王「はい……あの、ですから完成する前に魔王軍が壊滅しちゃうと巨人さんも困るじゃないですか?」

ダイダラボッチ「まあ、そうだな」

魔王「でしょ!?だから我が軍が負けないように加勢して欲しいんです!」

ダイダラボッチ「合理的っちゃそうだが……、お前の軍は負けないんじゃなかったのか?」

魔王「すみません……、見栄張ってました……」

ダイダラボッチ「実際の勝率は?」

魔王「五割、いや四割……、もしかしたら三割かも……」

ダイダラボッチ「何で挑む気になったんだよ、それで」

魔王「いやぁ、ビギナーズラックに賭けようかと……」

ダイダラボッチ「素人かよ」

魔王「とにかく!利害が一致してるんだから協力して下さいよ!もうっ!」

ダイダラボッチ「逆ギレすんな」ピンッ

魔王「アウッ」メキャッ

ダイダラボッチ「つーか俺は人間と仲良くやってる神だし人間は殺さねぇよ」

魔王「ケホッ…べ、別にいいじゃないですか……異世界なんだし」

ダイダラボッチ「ポリシーの問題なんだよ、それに俺は信仰がなけりゃ消えちまうし」

魔王「信仰?ああ、神だからですか」

ダイダラボッチ「今はまだ大丈夫だけど一週間以内にある程度の信仰を集めないとマズいかな……」

魔王「! いっそ邪神になっては?」

ダイダラボッチ「嫌だ」

ダイダラボッチ「近々って言ってたけど戦争って何時開戦なんだ?」

魔王「明日、太陽が昇りきったらです」

ダイダラボッチ「お前なんでそんなに暢気なの?」

魔王「まあ、何とかなると思っています」

ダイダラボッチ「酷い王だ」

魔王「こう見えても父上からはカリスマと呼ばれているんですよ?」

ダイダラボッチ「ああ、それなら俺もお袋から小顔って呼ばれたことあるよ」

ダイダラボッチ「というか、お前本当に強いのか?」ぐりぐり

魔王「痛っ、痛い!痛い!止めて下さいよ!」バッ

ダイダラボッチ「お?闘るか?」

魔王「おのれぇ……、下手に出たら調子に乗りおって!後悔させてやる!!」シュイーン バチッバチッ

魔王(最終形態)「図に乗るなよ…デカブツ…!」ビリッビリッ

ダイダラボッチ「いきなり最終形態かよ……フンッ!」バリッ ゴキゴギッ ビキッ

ダイダラボッチ(第五封印解除)「ふーっ、やっぱり肩が楽になるなー、で、闘るかい?」

魔王(174cm)「なんでそんなにおーきいのー?」

ダイダラボッチ(500m)「それは山を動かしたり、ムシケラを潰す為さ」ニコッ

魔王「……」シュンッ

ダイダラボッチ「あれ?元に戻っちゃうのか?つまらん……」

魔王「……本当に巨人さんみたいなのが8,000,000体いるんですか?」

ダイダラボッチ「ピンキリだけどな」

魔王「何か自信無くしました……」

ダイダラボッチ「お前のは自信じゃなくて慢心だ」

魔王「……グスッ」

ダイダラボッチ「泣くなよ……」

勇者「強い魔力を感じて駆けつけてみたら……」

ダイダラボッチ「大人げなかったな、スマン」

魔王「謝るくらいなら協力して下さいよ!」

ダイダラボッチ「それは出来ん」

魔王「……うっうっ、巨人さんが虐めるよ~」チラッ

ダイダラボッチ「嘘泣き下手だな」

勇者「どういう状況だ、コレ」

魔王「あっ、勇者」

勇者「何してんだアンタら」

ダイダラボッチ「誰?」

魔王「勇者、簡単に言うとそこそこ強い人間ゾンビ」

ダイダラボッチ「ほう……」

勇者「おい!魔王!コイツは一体なんだ!?新手の魔物か!?」

魔王「カクカクシカジカ」

勇者「なるほど……」

ダイダラボッチ「おい、軍事機密漏らしていいのかよ?」

魔王「……しまった!」

勇者「あっーと、巨神様?」

ダイダラボッチ「何だ人間?」

勇者「もしよかったら我々の味方になってくれませんか?」

魔王「何ィ!?」

勇者「巨神様を元の世界に返す兵器は魔族の科学者を捕虜にすれば作れますし、巨神様が戦争で御活躍すれば信仰も集められると思いますよ?」

ダイダラボッチ「悪くないな…」

魔王「!?」

勇者「では早速我が国へ…」

魔王「ちょっと待てい!!巨人さんを召還したのは我々なんだぞ!?」

ダイダラボッチ「俺にも決定権はあるぜ?」

魔王「本当にお願いします!この戦争に勝たないと家族の命が……」

ダイダラボッチ「マジでか」

勇者「き、聞いてないぞ……」

魔王「えっ?人間の王は全人類の意志って言ってたけど?」

ダイダラボッチ「何かきな臭いな…、何でそんな条件を飲んだんだ?」

魔王「条件を受け入れれば魔族に対する迫害を弱めるって言ってたから……」

ダイダラボッチ「何だ?お前ら迫害されてんのか?」

魔王「魔族って言っても人間を襲うのは盗賊のような輩だけで、本当は気のいい連中なんです……品はないけど」

魔王「見た目の異形さと一部の偏見…、迫害されるには十分過ぎる条件らしいですよ」

勇者「嘘だ……、魔族は皆邪悪で残酷だと学校で……」

ダイダラボッチ「洗脳教育か、怖い怖い」

魔王「元々我々は魔界で平穏に……まあ騒がしかったけど、平和に暮らしてたんです、人間が来るまでは…」

魔王「人間は魔族に変装し、魔族に麻薬をタップリ仕込んだ肉を人肉として販売しました、麻薬に溺れた人たちは人間を襲いはじめ……」

ダイダラボッチ「盗賊に成り下がったと……」

勇者「嘘を吐くな!!魔王め!貴様はここで斬り捨てる!!」シャキンッ

ダイダラボッチ「落ち着け」ピンッ

勇者「グハァッ」バゴッ

ダイダラボッチ「俺が思うにこの戦争…いや魔族と人間の関係を裏で操ってる奴がいるな」

魔王「何ィ!?」

勇者「た、確かに情報操作をされてたみたいですしね…」スクッ

ダイダラボッチ「取りあえず一番怪しい国王の所に行くぞ」しゅるしゅる

勇者「小さくもなれるんですね」

魔王「私は?」

ダイダラボッチ「待てしてなさい」

魔王「……わん」

人間の国

国王「え?それマジ?」

勇者「どうやら本当っぽいですよ」

ダイダラボッチ「国王は黒幕じゃなかった……」

国王「勇者君、今すぐ魔王さんを呼んでくるんだ…話さなきゃいけないことが沢山あるからね…」

勇者「はっ!移動魔法!」ビシュンッ

ダイダラボッチ「なあ国王」

国王「何ですかな?」

ダイダラボッチ「魔族と人間が戦争して利益になる奴なんているのか?」

国王「……改めて指摘されると思い当たる節が一つもありませんね…」

ダイダラボッチ「もしかすると…もしかするかもな…」

国王「? 何の話ですかな?」

勇者「ただ今戻りました!」シュンッ

魔王「……」

国王「…まず初めに謝罪をさせてくれ、本当にすまなかった…」

魔王「……謝るくらいなら何故あんな条件をつけたのだ?」

国王「言い訳にしか聞こえんだろうが、あの頃のワタシは文字通りオカシかった……何かに取り憑かれたように魔族への憎悪が湧いてきた」

国王「自分でもオカシイとは思っていたんだが…、悩んでいるといつも誰かが頭の中に声をかけてくるんだ、とてもとても優しい声で…」

魔王「貴殿の本音ではないのか?」

国王「……」

ダイダラボッチ「それは違うぞ」

ダイダラボッチ「今から俺はこの一件の黒幕へ会いに行く」

魔王「!?」

勇者「誰だか分かったんですか!?」

ダイダラボッチ「まあな、でも行くのは俺一人だ」

魔王「…何故?」

ダイダラボッチ「決まってるだろ、こんな面倒なことに巻き込まれてムカついてるんだ、元凶は俺の手で懲らしめないと気が済まねぇ」

魔王「それなら私にも同胞の恨みが……!」

ダイダラボッチ「ウゼェな……俺の獲物だっつってんだろ…!」ギロッ

魔王「うっ……」タジッ

ダイダラボッチ「大体お前も元凶の一人なんだからな、デカイ顔すんな弱っちいクセに」

ダイダラボッチ「お前も王ならもっと暴君っぽく振る舞ったらどうだ?ま、甘ちゃんには無理か」

ダイダラボッチ「こんな面倒なこともう二度と起こさないように仲良くしろよ、じゃあな」ビシュンッ

魔王「チクショウ……ちくしょう……」グスンッ

勇者「あんな酷いこと言うなんて……良い神様だと思ってたんだけどな…」

国王「いや……お節介好きの良い神様だよ、彼は」

勇者「え?」

世界のどこか

ダイダラボッチ「…やっぱ嘘下手かな…俺」

神「下手だったね」

ダイダラボッチ「よう黒幕」

神「ようイレギュラー」

ダイダラボッチ「とりあえず殴らせろよ」

神「ハハッ!やだね!」ドゴッ!

ダイダラボッチ「グフッ……チッ!」ダンッ

神「あれれ?もしかして力が同等とか思ってた?」

ダイダラボッチ「………」

神「アハハハッ!8,000,000分の1程度の神が唯一神のボクに勝てるわけないだろ!?えっ!?」

ダイダラボッチ「……」

神「何か喋れよォ!化け物モドキがっ!」ガスッ!

ダイダラボッチ「…ッ!」ズンッ

神「アハハハハハァッ!!!みんな死ね!人間も!魔族も!みんなシネ!しね!死ね!死ねぇ!!」ガスッ! ガスッ! ガスッ!

ダイダラボッチ「黙れボッチ」ブンッ!!

神「う゛っ……!?」フラッ

ダイダラボッチ「あと四発だな」コキコキッ

神「な、なんで…急に?」

ダイダラボッチ「強くなったかって?強くなったも何も、今までのは演技だしね」

神「なっ!?」

ダイダラボッチ「どの程度の力か試してみたけど、大したことないのな」

神「う、嘘だ!信仰はボクのほうが上のはずだぞ!?」

ダイダラボッチ「この世界と俺の世界じゃ大きさの規模が違うんだよ、それに歴史もまだまだ浅いだろ?この世界は」

神「ボ、ボクをどうするつもりだ?」

ダイダラボッチ「四発殴ってから考えるよ」ヘラヘラ

神「ボクがその気になれば一瞬で大陸を……」

ダイダラボッチ(第四封印解除)「一発ゥ!!」ドグァッ!!

神「おっ……おのれぇっ……」

ダイダラボッチ(第二封印解除)「ワン、ツー!!」ギャリィィ! ドォガァ!!!

神「が………あが………ゲホッ……」

ダイダラボッチ「さーて、ラスト一発だー、歯食いしばれよーまあ頭ごと消し飛ばすつもりだけどな」ヘラヘラ

神「……どうせ殺せないんだろ?」ギロッ

ダイダラボッチ「殺すんじゃねぇよ、ただいらないものを整理するだけだ」

神「………もういい、疲れた…早くやっちゃってよ……」

ダイダラボッチ(最終封印解除)「あばよ、一人ぼっち!!!」ギュッ


         ドグァゴンッ!!!

人間の国

ダイダラボッチ「うぃっす」シュンッ

魔王「……」

勇者「御無事で何よりです、お怪我はありませんか?」

ダイダラボッチ「俺は大丈夫だけど……アイツ、まだ怒ってる?」ヒソヒソ

勇者「ええ、国王が説明したんですが納得いかないようで……」ヒソヒソ

ダイダラボッチ「やっぱバレてたか」ヒソヒソ

勇者「魔王は気付かなかったみたいですけどね…」ヒソヒソ

魔王「……巨人さんが謝るまで口ききませんから」

ダイダラボッチ「ほら、土産やるから機嫌直せよ」スッ

魔王「お土産?何ですかコレ?」ペラッ

赤ん坊「おぎゃー!おぎゃー!」

魔王「………」ぽかーん

勇者「えっ!?えっ!?」

ダイダラボッチ「ほら泣いてるぞ、あやせよ」

魔王「これは結婚しろということですか?」

ダイダラボッチ「いや、俺の子供じゃないからね」

ダイダラボッチ「ソイツ一応、元神だから扱いに注意しろよ」

魔王「巨人さんがやったんですか?」

ダイダラボッチ「こいつが生きてきた時間を殴り飛ばした」

勇者「スゲェ」

ダイダラボッチ「お前ら二人で立派な神様に育てろよ」

ダイダラボッチ「さて…、もう一仕事してとっとと帰りますか」

魔王「帰る方法を見つけたんですか!?」

ダイダラボッチ「俺自信を元の世界へ殴り飛ばす」

勇者「無茶苦茶だ」

ダイダラボッチ「神様なんてそんなもんさ」



ダイダラボッチ(第三封印解除)「さーて久しぶりにやりますか」

ダイダラボッチ「フンヌッ!!!」ズズッ ズズッ ズズッ ズズッ

ズズッ ズズッ ズズッ………

ダイダラボッチ「よーし新大陸完成!これでアイツらもお互いのことがよく知れるだろう」

ダイダラボッチ「じゃあ余所者はそろそろ……」

ダイダラボッチ「おらぁ!!」ドゴッ ギュゥーン

ダイダラボッチ「イテて……、さすが俺の拳は効くぜ……」

ダイダラボッチ「あ?何処だここ?」

異星人「お前が異星人か?」

ダイダラボッチ「異星神だ」



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