魔王「なぁ。」勇者「ん?」(73)

魔王「なぁ。」

勇者「ん?」

魔王「電車の中で化粧する女の子ってどう思う?」

勇者「どうって?」

魔王「嫌いなんだよね、化ける工程人に見せてどうすんだよ、みたいな。」

勇者「あーね、まー時間ないんだろ?しゃーないんじゃん?」

魔王「いや、でもさ」

勇者「俺むしろちょっと興奮するけどな。」

魔王「はい?」

勇者「だって女の子のすっぴんて全裸みたいなもんだろ?なんか全裸からおめかしする様子を見てるような気がしてさ。」

魔王「」

勇者「なぜジト目、ごめん俺魔王萌とか新ジャンル開拓する気は」

魔王「なんだ頭沸いてるだけか。」

勇者「世界征服目論んでる奴に言われたくないよね。」

勇者「ていうかさ。」

魔王「ん?」

勇者「何これ、どういう状況?」

魔王「魔王と勇者がだだっ広い城の中の隅っこに並んで体育座りしながら、電車内での女性の化粧について語り合ってる。」

勇者「うん、それがどんな状況だよって話しですよ。」

魔王「もう、考えるのやめようぜ?」

勇者「カーズ?!いやいや諦めんなよ色々と!」

魔王「もうえぇねん、なんもしたないねん。」

勇者「何そのエセ関西弁?!お前あれじゃん!三時間くらい前まで『よく来たな勇者よ!!余は魔王!世界を闇に葬るもの!!』とかノリノリで言ってたじゃん!!」

魔王「やめろよ黒歴史ほじくり返すとか質悪いぞ。」

勇者「黒歴史化するの早くね!?っていうか!口調とかさ!!」

魔王「ちょ、五月蝿いてやめて反響するんだから。ここ天井めっちゃ高いから反響すると頭がんがんするじゃん。」

勇者「『~じゃん』とか言うなよ魔王のくせに!!」

魔王「ごめん、ちょ寝ていい?」ゴロン

勇者「」

支援

魔王「あ、そうだ。」

勇者「なんだよ今度は。」

魔王「欠点のある女の子ってどう思う?」

勇者「その話題今するべきかなぁ?」

魔王「まぁいいじゃん、時間は腐るほどあるし。」

勇者「まぁな、だからと言ってさ」

魔王「惹かれるものがあるんだよねぇ、欠点のある異性。」

勇者「キャッチボール拒否だと。」

魔王「性格はちょっと勘弁だけどさ、身体的に惜しいパーツとかあるとテンション上がるんだよね。」

勇者「居酒屋だっけここ。」

魔王「例えばさ、ほとんどのパーツ全力でタイプなのにやたら鼻が低いとか。」

勇者「大学生だっけ俺ら。 でも、まぁーわからなくはないな。」

魔王「でしょ?!でしょ?!」

勇者「今日一のテンションだな。いやしかしわかるよ?あれだろ?超美女口説き落としていざベッドインしたらめっちゃ腋毛ぷちぷち生えてて興奮するみたいな事だろ?」

魔王「何それ変態じゃん。」

勇者「」

魔王「ちょ、引くわ何それ変態じゃん。」

勇者「なぜ二回言った。」

>>4 あざます!

魔王「いや、ないわーそれはないわー。」

勇者「何この仕打ち、いや関係性としては正しいのか。」

勇者「いや正しくねーよ!あっぶね!空気に飲まれつつあったわ今。」

魔王「なに?また変な性癖吐露すんの?」

勇者「しねーよ殺すぞ、正しく殺すぞ。」

魔王「今更余を殺したところで何も得せんぞ。」

勇者「んな事いうなよ、萎えるから。」

魔王「そもそもこの部屋から出れない時点で結構積んでるしな。」

勇者「つーかさ、なんか魔法とかでどかーんて壁壊せないの?」

魔王「出来るわけ無いだろう、魔王の間だぞ?退魔障壁が何重にもかかっとるわ。 しかも対人間用に魔力を下げる結界まで貼っとるわ。」

勇者「でもお前魔王だろ?人間用に作ったならお前効かないだろよ。」

魔王「余は混血だ、人間と魔族の。」

勇者「まじで?!」

魔王「マジだ、だから100%ではないが影響は受ける。 そして障壁は世界で最も魔力の高い余が全力を出して壊れないのが前提として作っておる。」

勇者「文字通り八方塞がりか。」

魔王「部屋四角だから文字通りなら六方塞がりだけどな、ぷぷぷwww」

勇者「もうお前黙れよ。」

魔王「わかった、では…」

勇者「ん?」

魔王「ゲームやるか。」

勇者「ヘイヘイヘイユー、ストップだユー。」

魔王「なんだいキャサリン。」

勇者「誰がキャサリンなのさボォブ!!なんか無駄にノリいいなお前。そんなことより衝撃なんだけど、なんで玉座にpsp収納されてんだよ。」

魔王「余は魔王であると同時にハンターでもあるのだ。」

勇者「現状の原因がお前にあることは良く分かった。」

魔王「」

勇者「あ…、なんかごめん…ただのツッコミのつもりだったんだけど。」

魔王「…。」

勇者「あぁ、やめて仮にも魔王なんだから!リアルorzの姿勢にならないで!!」

魔王「…。」ピロン

勇者「その流れでpspつけるのやめてもらえる?ごめんて、黙れとか言ってごめんて。」

魔王「いいよ、事実だし。どうせ余はクズだし。」

勇者「面倒くせっ!この魔王面倒くせっ!!」

魔王「あ、もう一人称『余』とか言うのもやめていい?なんか偉そうで世界に申し訳ない気持ちになる。」

勇者「最後の砦だからそこは頑張れ。」

魔王「なんでマントばさぁっドヤァ!みたいなことしてたんだろう、マジ死にたい。」

勇者「おい、完全にタダの鬱々しい新社会人みたいになってるから止めろ。」

魔王「暗黒とか絶望とか言っといたらカッコイイと思ってた時代が私にもありました。」

勇者「もぉやめろよおおおおおおおおおおおお!!!!居た堪れねーよおおおおおおお!!!」

魔王「いや、正直さ余の魔力だと普通の火炎魔法でもスゲー威力なのよ。」

勇者「え?急に自慢?」

魔王「まぁ聞け、でな?あまりにも威力が強いからタダの火炎魔法をたまに『蒼焔地獄乱舞(ブルーインフェルノ)!!!』とか言って放つ練習してた。」

勇者「かゆーーーーーい!!!かゆいかゆい!!やめて!!なんかあの日の自分を見てるようで全身が痒いよーーー!!」

魔王「どうでも良いが貴様もよっぽどノリノリだな。」

勇者「どうせもう戦う気ねーし、もー正直ちょっと前からもー居酒屋モードだし。」

魔王「うわぁ、暇って人をダメにするなぁ。」

勇者「全力でお前だけには言われたくないけどな。」

魔王「しかし」

勇者・魔王「暇だ。」

勇者「どんくらいたった?『アイツ』が知らせに来てから。」

魔王「さっき貴様が3時間くらいと言ってたではないか。」

勇者「何となくだよ何となく、だいたいそんなもんかなーって。」

魔王「時計などはないのか?」

勇者「ねーな、っていうかこの部屋時計もねーのかよ。」

魔王「こんな事態を想定していないからしょうがない。」

勇者「まぁそりゃそうだ。」

魔王「しかしまぁ、正直貴様が来ることが確定した時点で想定と覚悟はしていんだがな。」

勇者「え?」

魔王「まぁいい、貴様なんぞに話すことではないかもしれんが暇つぶしで聞け。」

勇者「なんの話だよ。」

魔王「昔話だ。」

魔王「さっきも言ったが、余は純粋な魔族ではない。」

勇者「それが?」

魔王「魔族でも人間でもない、しかし世界を灰塵に変えるほどの魔力のある者それが余だ。」

勇者「…。」

魔王「当然だが人間達と共生は出来ない、この禍々しい魔力は人外と取られ迫害される。」

勇者「そんなこと、やってみなけりゃ」

魔王「流石は勇者だな、魔王にすらそんな表情をするのか。 だが残念だ、余は幼少の折人間と共に暮らしていた。」

勇者「…。」

魔王「想像し難くはあるまい?酷いものだった、毎日毎日毎日毎日…耐えるだけの日々だった。」

魔王「村から逃れ、山奥に住んでも村人たちの迫害は止まらなかった、むしろ逃げたと捉えて更にヒドイものへとなった。」

魔王「そして、人間である母は遂に人間に殺された。」

勇者「…!」

魔王「よくある話しだろう?人間との共生が出来ない、と悟った瞬間だ。」

勇者「そうか…。」

魔王「ん?どのような優しい言葉をかけてくるかと思えばそれだけか?大した勇者だな。」

勇者「俺が、もし俺がお前と同じ状況に立たされたら。」

魔王「お前が魔王になってたとでも言うつもりか?」

勇者「いや、お前のように前を向くことは出来なかっただろうな、って。」

魔王「前を向く?何を言ってる、余はそれをきっかけに魔族に与し挙句魔王になったんだぞ?」

勇者「進んでるじゃないか、立ち止まらなかったんだろ?前がどこかなんて誰が決めるものでもないだろう。」

勇者「お前が歩いた、あぁいや、走ったーの方が合ってるかな。その方向が前じゃないのか。」

魔王「勇者がそんな事言っていいのか。」

勇者「さーね、俺は正直者なんだ。」

勇者「思ったことを口に出さないといられない質なんだわ。」

魔王「よくわからんな。」

魔王「しかし、まぁ礼を言おう。」

勇者「お前こそ勇者に礼なんて言っていいのかよ?」

魔王「よく考えれば、もはや余は魔王とは言えないからな。 貴様も余も今やただの捕虜のようなものだろう。」

勇者「まーな。」

魔王「潔く散るか。」

勇者「おいおい、自棄はよくねーぞ。」

魔王「仕方あるまい、今の装備で1人では勝てる見込みはない。」

勇者「共同戦線は張らないってことか。」

魔王「強敵に1人で立ち向かってこそ、戦いは楽しいのではないか。」

勇者「へぇ。魔王って言うより戦闘狂だなー、ちょっと意外だわ。」

魔王「誰か戦闘狂だ、言っただろう余はハンターだ!!!」

勇者「え?どっから?どっからモンハンの話しに?!」

魔王「やっぱジンオウガつえーな、やばいやばい死ぬ死ぬ。」

勇者「台無しだわ!!なんか色々台無しだわ!!返せ!!お前に向けたいろいろな感情返せ!!!!」

魔王「あー、やっぱ無理かー…。 やっぱ次課長井上ぱねぇなぁ…。」

勇者「いやいやいやいや。」

魔王「ん?まだ居たの?」

勇者「帰れるなら帰りたいです!!」

魔王「あんまり体力浪費しない方が良いぞ?」

勇者「誰が浪費させてるんだよ…でも確かに腹減ってきたな。」

魔王「確かにな、あと何日食えないかわからないが。」

勇者「一応外のゴタゴタが終わりゃ食えるんじゃない?」

魔王「そんなわけ無いだろう、貴様は勇者で余は前王だぞ?」

勇者「ですよねー、ところで『そいつ』豚の魔物だよな…。」

魔王「おいおい、それはない。それはないぞ。」

勇者「冗談だよ、流石にグロすぎる。」

魔王「それはそれで『奴』に失礼だろう。」

勇者「弔ってらやんとな。」

魔王「あぁ、『こいつ』はいい側近だった…優秀な部下だった。」

勇者「そっか。最期もこんだけボロボロになりながら現状を伝えてくれたんだし、慕われてたんだな。」

魔王「…。」

勇者「(ちょっとそっとしとくか。)」

魔王「なぁ。」

勇者「ん?」

魔王「豚トロってどの部分かなぁ。」

勇者「おいぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!」

勇者「流石にそりゃねーだろ!」

魔王「い、いや違うぞ!別に美味しそうだなーとかそんな考えが浮かんだわけd」

勇者「涎出てんぞ。」

魔王「…!」

魔王「ままままままままぁここここここここまでが一つのネタなわけだけどな!!」

勇者「お前…。」

魔王「やめろよそんな目で見るなよ!ついつい調子に乗って20代の部下に手を出してしまった部長40代
見るような目やめろよ!」

勇者「一緒にすんなよ、その部長40代にお前は土下座したほうがいいんじゃないか。」

魔王「まぁでもおっさんが20代女子に受けるのはわからんでもないわな。」

勇者「え?そっち広げんの?www」

魔王「やはり同年代の男より財力、ウィット、女性への対応力が違う。」

勇者「もはや独り言だよね、会話形式にしなければいいのに。」

魔王「それに30代~40代だったら大して衰えていないだろう?」

勇者「何そのゲスthe スマイル、いやぁーでもそんくらいになったら流石に衰えてるだろ?」

魔王「いやいや、まだまだきっと現役でいられるさ!!ねちっこくなって20代女子に新たな扉を開かせるんだって!」

勇者「お前それleonとかに出てるおっさんじゃね?」

勇者「実際のおっさん見てみ、中央線とか乗ってみ?」

魔王「レオン?チュウオウセン?」

勇者「いや、なんでもない。」

勇者「まぁ、つまりあれだ性欲過多なおっさんなんて大半脂ぎって禿げたケダモノみたいなんばっかだって事さ。」

魔王「というか貴様は何かおっさんに恨みでもあるのか?」

勇者「現実を述べた迄だ。」

魔王「あれか!!おっさんに襲われそうになったとかか?性的な意味で。」

勇者「」

魔王「そうか?!そうなのか?!」

勇者「え、やだ怖いこの魔王。」

魔王「いや、むしろ怖くない魔王のほうが嫌だろう」

魔王「で?どこで襲われたんだ?」

勇者「いや、さっきの沈黙はお前に引いてただけでそんな濃厚ホモネタは持ち合わせてねーです死ね。」

魔王「なんだ、つまらんなぁ脂ギッシュな禿げたケダモノに陵辱される勇者の伝説とか残せばいいのに。」

勇者「誰得?ねぇ、誰得なの?」

魔王「魔王的には面白いぞ。」

勇者「だろうね!!そうだよねー!!俺ら宿敵だもんねー!!」

魔王「悪いと思ってるので、その聖剣的なものにオーラ的なものを纏わせて構えるのやめてもらえますから?」

勇者「冗談だよ…、んな事で大事な体力消耗してたまるか。」

魔王「賢明だな、さて…。」

勇者「どこ行くんだよ。」

魔王「外の気配が静まった。」

勇者「もう終わったのか?」

魔王「余に付き従っていた兵は約500、その中には実力者もいるが…。」

魔王「謀反を起こしたのが最も力を持つ幹部勢+他の魔物1,000だからな。」

勇者「そらそーか、よっし!」

魔王「何をしている。」

勇者「じゅんびうんどー。」

魔王「何?」

勇者「やっぱ魔族同士でも人間みたいに惚れた腫れた的なのってあるの?」

魔王「え?今から恋バナ?」

勇者「気になっちゃったwww」

魔王「貴様も中々に空気が読めない男だな。」

勇者「俺ないんだよね、恋愛だけじゃなくて人と人との繋がりみたいなの。」
魔王「何だ童貞か。」

勇者「どどどどどどど童貞ちゃうわ!!」

魔王「そんな事より何故準備運動などと聞いているのだが?」

勇者「まーまー聞きなさいな、ほれさっき昔話してくれたろ?俺もしようかなって。」

魔王「さっきと今じゃ状況が違うだろう、いつ奴等が来てもおかしくないのだぞ?」

勇者「戦闘終了したかどうかもわからないだろ?大体城を抑えたんなら兵力の確認やら治療やら色々あんだろ。」

魔王「…まぁ良い、そのせっせとやっている準備運動の理由になるなら聞こう。」

勇者「むかーしむかしあるところに」

魔王「ボケがベタ過ぎるだろう。」

勇者「うっせーな、黙って聞け。 あーなんだ、まー俺孤児なんだわ。」

魔王「ほう。」

勇者「しかも運悪く盗賊に拾われてな。」

魔王「盗賊に育てられた勇者か、おかしな話しだ。」

勇者「だろ?まー良い感じにこき使われましたよねー、もー物心ついた頃にゃ完全に心ぶっ壊れてたんだよね。」

魔王「…。」

勇者「それが今や王国の認める勇者様だぜ?すっげー出世だと思わねー?」

魔王「そうだな、確かに。」

勇者「あー間省略しすぎて意味わかんないよな、でーまー10歳くらいの頃かな?まーそれも正確な年齢じゃねーんだけどな。」

魔王「まぁ、それはそうだろうな。」

勇者「俺が居た盗賊団が王国に討伐されたんだわ、もー塒も何もかも丸焼け!仲間…まー飼い主っつった方が正確かな?その人等も全員皆殺しよ。」

魔王「盗賊とはいえ、そこまでやるのか。」

勇者「んー俺もよく知らないけど、誘拐したみたいよ?なんかしんねーけど偉い人の娘を。」

魔王「なるほどな、それで王国も軍を動かしたという事か。」

勇者「そゆこと。」

勇者「んでまー俺は見事!どっかから誘拐されて良いように使われてたガキって事で人間らしい生活を取り戻したってー寸法ですわ。」

魔王「ふむ。」

支援ありがとうございます、仕事+加筆で朝になってしまった…。

お昼にちょろっと、最後〆で夜中に投下します。
お付き合い頂ければ幸いです。

魔王「しかしそれならば、繋がりはあるではないか。」

勇者「ところがどっこい、そうそう上手くは行かないのさ。」

魔王「…。」

勇者「言ったろ?俺は心がぶっ壊れてたんだ、一言も喋らなかったんじゃないかな一年位は。」

魔王「一年…。」

勇者「すげーだろ?最初は可哀想ー!って良くしてくれた人達も流石に気味悪くなったんだろうな、数ヶ月で腫れ物扱いだわ。」

魔王「ふむ。」

勇者「でも、一年を過ぎた頃に一人のガキと出会ったんだよな。 まぁ当時俺もガキだけどー。」

勇者「東の大陸の王子だった、最初は庭で見かけて『なぁ!案内してくれ!』とか言われたからガン無視してやったんだけどな?しつけーんだまたそいつが。」

魔王「王子相手にいい度胸だな。」

勇者「ガキだったしな、あーいや、んな馬鹿じゃなかったか…誰にどんな無礼を働いて、どんな罰を与えられようが興味なかったんだろうな。」

魔王「嫌なガキだ。」

勇者「うっせー同情しろw」

魔王「そうやって同情し甲斐が無いことを言うからだろう。」

勇者「性分でねー。 でな?そいつが『なぜ無視する!』とか『なんだお前喋れないのか??』とかもーずーーーーーっと付きまとうのよ。」

魔王「…。」

勇者「今まで一年以上喋ってなかったから、正直さ声の出し方とか忘れてたんだよなー。 だから第一声がさ城中に響き渡るような爆音で」

勇者「うるせぇ!!!!!!」

勇者「って叫んじまってさ。」

魔王「いや、五月蝿い。 五月蝿いなう。」

勇者「今のの十倍はデカイ声だったと思うぞ?」

魔王「なんだその声の爆撃機。」

勇者「んでまー、王子ぽかーんじゃん?俺自分でもびっくりして逃げ出したなよダッシュで。」

魔王「まぁそうなるだろうな。」

勇者「したらさ、王子も全力ダッシュで追ってくんのw満面の笑みで目キラキラさせながらwもう内心涙目マックスだったもん俺w」

勇者「んで、一年も運動してない俺はあっちゅー間に追いつかれてさ。」

魔王「…。」

勇者「嬉々として語ってくるの『お前凄いな!』『鼓膜が破れるかと思ったぞ!』『アレはどうやったのだ?!魔法か?!』って具合でなー。」

魔王「どんだけデカイ声だったんだ…。」

勇者「あー準備運動疲れた、こんだけ続けると準備じゃなくてただの運動だな。」

魔王「準備運動で体力消耗する奴初めて見た。」

勇者「うっせーおかげて体も温まったわ。」

魔王「続きは。」

勇者「ん?」

魔王「話の続きだ、話せ。」

勇者「何?気になっちゃいました??」

魔王「うっとおしい…。」

勇者「しゃーない、じゃ続きな。」

勇者「そんだけ質問攻めにされたのも始めてだったもんでさー、なんかテンパっちゃっていつの間にか普通に話してたんだよねそいつと。」

魔王「それでこんなおしゃべり糞野郎になったと。」

勇者「そゆことw」

勇者「んで、まぁそんな糞ガキに初めて出来た友達がその王子だったわけだ。」

魔王「…。」

勇者「王子の国にもわざわざ行ったよ、さんざん遊んだなー。」

魔王「王子がそのように自由に貴様のような得体の知れない者と戯れられるのか?」

勇者「東の国はな、ちっちゃいけど自然に囲まれた国でな。 人々も皆大らかだったんだよ。」

勇者「だからこそ、滅ぼされた。」

魔王「戦争か。」

勇者「そうだ、有り余る資源に目をつけた俺の国が攻め入ったんだ。」

魔王「…。」

勇者「その戦に、俺も参加したんだ。」

魔王「何故…というのは、まぁ愚問か。」

勇者「そうだな、愚問だ。 健康な、まぁ手前味噌だが剣の才のある若者が戦争に参加しない理由がないからな。」

魔王「だろうな、つまりは…武勲を上げたのだな。」

勇者「あぁ、もう何人切ったかなんてわかんねーくらいにな。」

魔王「そうか、それで貴様の『繋がり』とやらは切れたのか。」

勇者「あぁ、だからこそ俺は自分の国を守る必要がある。」

魔王「…。」

勇者「友との繋がりを切ってまで、自分を捨ててまで、何よりも優先した場所だからな。」


勇者「だからこその魔王討伐だった、ここに来るまでな。」

魔王「なぜだ?余は脅威になりうるだろう?」

勇者「お前、国を豊かにしたいか?」

魔王「…?勿論だ。」

勇者「その礎として、多くの犠牲があってもか?」

魔王「勿論、余は魔王だぞ?同情するとでも?」

勇者「あぁ、すると思う。」

魔王「…。」

勇者「だってさ、それが謀反を起こされてる理由だろ?」

魔王「腑抜けた魔王…か。」

勇者「まぁ前王がイケイケだったみたいだしなー。」

魔王「どこで聞いた?」

勇者「古い本読めば一発でわかるわ、お前が即位したとされる年から魔族からの侵攻はほとんど無い。」

勇者「ぶっちゃけ、うちの王様もお前が玉座にいる間に攻め落とそうって腹だったんだと思うぜ?」

魔王「腑抜け、と言われても仕方ないな。」

勇者「だってさ、それが謀反を起こされてる理由だろ?」

魔王「腑抜けた魔王…か。」

勇者「まぁ前王がイケイケだったみたいだしなー。」

魔王「どこで聞いた?」

勇者「古い本読めば一発でわかるわ、お前が即位したとされる年から魔族からの侵攻はほとんど無い。」

勇者「ぶっちゃけ、うちの王様もお前が玉座にいる間に攻め落とそうって腹だったんだと思うぜ?」

魔王「腑抜け、と言われても仕方ないな。」

勇者「政治はよくわかんねーけど、領土の拡大が全てじゃないって考えなんじゃねーの?」

魔王「無論そうだ、自国を耕す事が富を得る近道だと考えている。」

魔王「しかし、みなはそう思うまい。」

勇者「まぁな。」

魔王「で?それが何故準備運動なのだ。」

勇者「押すなー、準備運動。」

魔王「まだ全く納得がいかないぞ。」

勇者「だろうね、まぁお前が自国を豊かにする政策を取り続ける限り、俺にゃ戦う理由はないって事さ。」

魔王「で?」

勇者「だが今からやってくる奴らってのは俺らを殺そうとしてるわけだ。」

魔王「戦う理由があるという事か。」

勇者「そゆこと、それにさ。」

魔王「なんだ。」

勇者「あいつら多分、俺とお前が戦ってどちらかが死んでどちらかは疲弊しきってると思ってんだろ?

魔王「そうだ、だからここに貴様と余を閉じ込めたんだろう。」

勇者「てことは、勝機はあるだろ?」

魔王「…。」

勇者「いや、しかし良かったよなー戦う前に側近くんが知らせてくれてー。」

勇者「まず自分が虫の息なのに、健気だよな。」


魔王「あぁ、あのままだったらきっとどちらかがs」


勇者「なぁ?」


魔王「ん?」


勇者「今日からお前『魔王』って名乗るのやめろよ。」


魔王「は?」

勇者「ただの、魔族の王になれ。」

魔王「それが魔王だろう、貴様さっきから言ってる事が」

勇者「お前が。」

魔王「…。」

勇者「お前がただの王に慣れば、エンディングも文句ねーだろ。」

魔王「意味がわからん…。」

勇者「勇者の最終目標ってわかる?」

魔王「キャッチボールする気は…余が云えた義理ではないか。知らん、知りたくもない勇者の目的など。」

「うおおおおおお!!後残すは魔王のみだぁぁあ!!!!」

勇者「魔王討伐。」

魔王「あーそれで準備運」

「玉座から引きずり降ろせえええええ!!!!!」

勇者「それと!!それともう一つ。」

魔王「…。」

勇者「魔物に囚われた姫サマを救い出す、どっちかって相場が決まってるんだよ。」

魔王「…貴様。」

「真の!!魔族のみの世界を作る足ががりだああああああ!!!!!」

勇者「だから、ちょっとまーシナリオは違うけど。」

勇者「お助けしましょう、王女様。」

「あの不抜けた女を殺せええええええええええ!!!!」

魔王「…。」

勇者「来るぞ。」

魔王「本当に、貴様は何者よりも『勇者』なのだな。」

勇者「良いから、切り替えろもうすぐそこに来てんぞ」

魔王「なぁ?」

勇者「ん?」

魔王「最後にしっかり目に焼き付けておけ。」

勇者「馬鹿野郎、縁起でもねー。 最期なんて。」

魔王「愚か者『最期』ではない『最後』だ、余の魔王としての最後の大立ち回りだ!」

勇者「おっしゃ、良い中二っぷりだ!!!」

魔王「やかましい!」

魔王「…なぁ?」

勇者「ん?」

魔王「ありがとう。」

勇者「おうよ!さー、行くぞ!!」

魔王「あぁ!!」

昔々、あるところに不幸な勇者と不幸な魔王がおったそうな。

二人は共にただ「居場所」を無くしてしまう事が怖かった。

それ故二人は力を求めた、「居場所」を守る為の力を。

その二人の力は、本来ぶつかり合う筈のものだった。

しかし、その力は二つ合わさり世界中の誰にも届かない力となった。

そして、そこまで辿り着いて漸く気付いた事は…。

居場所なんて、いくらでも作れる。 なんて、至極簡単な事だったとさ。

めでたしめでたし。


おわり。

もし、こんな駄文を最後まで読んで頂けた方がいらっしゃるようでしたら
本当に心からありがとうございます。

あ、支援して頂いてた皆様も本当にありがとうございます。
昼投下できなくてごめんなさい(´・ω・`)

そして、すっげー短くてごめんなさい…短編だったら長い方かなーとか思ってました死にたい。


面白かったよ。最後もう少し盛って欲しかったけどなwwwwwww

>>1 乙
面白かった!が、途中で魔王が♀なのは気付いてしまったw

>>66
あざます! ですよねーん…ちょっと加筆してvipに投下しようかな…なんて。

>>67
あざます! ま、まじかorz ネタ仕込むの楽しかったからよしとしますわ(´・ω・`)

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