響「死が二人を分かつまで・・・・」【艦これ】 (130)

・地の文あり

・独自解釈あり

・若干長め

・文章変かも

以上の事が我慢できる提督のみ読んで下さい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425727220

『おい・・・誰・・・・ちて・・・!!』

『こりゃ・・・・・・らない・・・・』

『・・・・殺か?』

『警・・・・か救・・・・を呼・・・・』

またこの夢か・・・・

もう何度目だろうか?

目の前は真っ暗で遠のく意識の中で聞こえる喧騒・・・

決まって動く事はできず・・・

地面の感触と・・・

全身を覆うぬるっとした感触に包まれている・・・

そしてもうすぐ聞こえてくるのは必ずサイレンの音・・・

そこで必ず意識が遠のく・・・



















提督「また、あの夢か・・・」


夢の中で意識が遠のき、現実世界で眼が覚める

じっとりとした汗を袖で拭う

いつものパターンだ

提督「・・・・・今、何時だ?」

?「0300を少し過ぎた所だね」

提督「そうか・・・・もう少し・・・・って、ちょっと待て響」

響「どうしたんたい、司令官?」

提督「なぜ俺の布団の中に居る?」

響「トイレに起きて、たまたま司令官の部屋の前を通りがかったら苦しそうな声が聞こえたんだ」

響「だから心配になって申し訳ないが入らせてもらったんだ」

提督「そうか・・・・暁型の部屋からトイレまでの方向は逆なんだがたまたまなら仕方ないな」

響「そうだね、仕方ないね」

提督「・・・・帰れと言いたい所だがもうどうでもいい、寝るぞ」

響「おやすみ、司令官」

やり取りを終え目を瞑る

どうやら彼女はここで寝るつもりらしい

あの夢を見た後は決まって寝付きが悪くなるが

響と一緒だと不思議とすぐ寝付いてしまった

艦娘とは言え年頃の女の子がこのような行動を取るのはアレだが

今回ばかりは感謝しなければ

そう思いつつ再び夢の世界へと旅立った




















「ここはどこだ?」

青年の目の前に広がるのは一面の海だった

どうやら港らしい

後ろには大小様々な建物が並んでいた


「俺は一体・・・」

『ようこそ、提督さん』


ふいに声を掛けられ驚いて声のした方へ向く


「ようやくこの鎮守府にも提督が着任してくださいました」


メガネを掛け知的な雰囲気を醸し出す少女がそこには立っていた

ふいに声を掛けられ驚いて声のした方へ向く


「ようやくこの鎮守府にも提督が着任してくださいました」


メガネを掛け知的な雰囲気を醸し出す少女がそこには立っていた


「提督?鎮守府?」


もっと質問の仕方はあっただろうが混乱していては言葉にならなかった

いきなり見知らぬ場所に立ち

いきなり提督とよばれ

いきなり着任した


と言われても全く理解し難かった


「とりあえず詳しい話は中でしましょう。付いて来てください」


そういうと少女は踵を返し建物へと歩いていく

ワンテンポ遅れて付いていく

付いていく途中で2つほど気が付いたことがある

まずはここは軍港らしい

あちこちに昔何かで見たことがあるような砲弾や銃弾が置かれていた

またここではそれらの整備を小さな生き物が運んだりしているみたいだ

次に自分の記憶がない

どこでなにをしていたのか

何故ここに居るのか

今まで何をしてきたのか

名前以外、一切分からなかった



「着きましたよ。ここです」ガチャ


少女が扉を開けるとそこには質素な空間が広がっていた


使い古された机と椅子

書類が入った棚が数個

これまた使い古されたであろう応接セット

そして白い髪の幼い少女が居た

「まずは自己紹介からですね。私は大淀。主に大本営からの任務受託をしています」


大淀「そしてこの子は響。現在はヴェールヌイと言いますが・・・」

響「ひび・・・ヴェールヌイだ。よろしく、司令官」

提督「あ、ああ・・・・よろしく・・・なのか?」

大淀「ええ、よろしくお願いします」

提督「早速で悪いけど詳しく話を聞かせてくれ。なにがなんだかさっぱりなんだ」

大淀「分かりました。少し長くなるのでそこにお掛け下さい」



そう言い大淀は応接机の椅子を指し示した

長い説明の末ようやく自分の置かれている状況が見えてきた

どうやら深海棲艦と呼ばれる未知の敵が現れ

それに対抗するために大淀や響のような艦娘が開発された

そしてこの鎮守府には司令官が居たが先の攻防で戦死したらしい

そこに俺が現れ新たな司令官として指揮をお願いしたいという事みたいだ


提督「状況は理解できたけど・・・俺に出来るのだろうか?」

大淀「しかし行く当ても無いのでしたらやるしかないかと」クスクス

提督「そうだなぁ・・・まぁ、やるしかないよな」

響「じゃあ、決まりだね」

提督「ああ、よろしくな・・・ヴェ・・ヴェ・・・」

響「言いにくいのなら響で良い。私もそっちの方がしっくり来る」

提督「すまないな。気を取り直してよろしくな、響」






















し・・・か・・・



あさ・・・・・よ




響「司令官、朝だよ」ユサユサ

提督「うーん・・・朝か」

響「まったく、早く支度しないと遅れるよ」

提督「わかった・・・・」ボリボリ

懐かしい夢を見ていた気がする


俺と響が出会った時の夢なんていつ位振りだろうか?


最初に出会った時からずっと秘書艦を勤めて貰っている


今ではもっとも信頼できる艦とも言える


たまに今日みたいに勝手に布団に潜り込んで来るのは問題だが


こうして毎日健気に朝から尽くしてくれるが


迷惑では無いのだろうか?


直接聞いた事は無いが聞く必要も無いと思っている


いや、聞くのが怖いと言うのが正しいのかもしれない


なぜなら俺は・・・・・

朝の支度を終え執務室に足を運ぶ

もうすでに響は準備をしていた

俺は席につき、話を聞く体勢に入る

響「今日の予定だけど第一艦隊はいつも通り演習と近海の警備」

響「第二艦隊は最近よく報告に挙がる南方海域での新たな敵の調査」

響「第三、第四艦隊は資源の調達・・・・以上だね」

提督「ああ、それで問題ない」

響「今日は司令官も第二艦隊に付いて行くんだっけ?」

提督「ああ、調査だからな。明石と大淀も連れて行く」

響「大丈夫だと思うけど、無茶だけはしないでくれ」

提督「分かってるさ。第一、俺があの命令を守れない様では示しが付かないからな」

響「ふふっ、そうだね」
























― 響 side ―



いつの日からだろう?

彼を司令官としてではなく異性として気になり始めたのは

最初の印象は頼りないだった

本当にこの人で大丈夫なのか?

そう思っていた

でも彼は違った

まだ着任して間もない頃

夜遅くまで執務室に明かりが灯っていた

ふと気になり覗いてみると

一心不乱に彼は本を読み漁っていた

戦術理論


艦装技術


天測理論


海図の読み方


年頃の女の子との接し方



まぁ、最後のは正直どうかと思ったけど

朝になり執務室に行くと彼は机に突っ伏して寝ていた

必ず辺りには本の山

よく見ると付箋がたくさん付いていた

そうして彼の指揮は日に日に的確になっていったんだ

周りの艦娘達もこれには驚いていたな

あと、彼は重要な作戦の前には必ずこう言っていた




『必ず生きて帰って来い』

『危なければ即撤退しろ』




こんな事を言うのは後にも先にも彼しかいないと思う

私はこの命令に一度だけ背いた事がある

あと少しで海域を突破できるという時に私は大破してしまった

しかし僚艦は無傷だった

私は諌める皆を押し止め進軍した

結果は主力部隊を壊滅

私は奇跡的に無事だった

鎮守府に戻り戦果を報告しようとすると

彼は開口一番に声を荒げた

『死ぬつもりか!この大馬鹿が!』



まさか褒められないにせよここまで言われるとは思わなかった

ふと彼の顔を見ると彼は泣いていた



『でも生きて帰ってきてくれて本当によかった』



この瞬間に私は死んでも償いきれないような事をしたのだと悟った

なぜなら彼のあの言葉の真意が分かったような気がしたからだ

たぶんこの時からだろう

彼を見るときに好きと言う感情が出始めたのは

























響「司令官達は大丈夫だろうか?」

金剛「きっと大丈夫デース!」

長門「あいつなら心配無用だろう」



午前の演習が終わり皆で昼食を取っていた

しかし何か胸騒ぎがする様な気がした

彼は無事に帰って来るのだろうか?

もしかして・・・・

そんな考えばかりが頭を過ぎる

加賀「そんなに心配しなくても大丈夫よ」

赤城「ふぉうれしゅらいじょうぶれすよ」モグモグ

北上「赤城さんさぁ、口の中のものを飲み込んでから喋りなよ」ハァ

響「そうだね、心配しすぎなのかな」



いつもの光景に少しだけ安堵を覚える

でも悪い予感は的中する物だ

午後の演習を始めようとした時に緊急電文が入った




― ナンポウカイイキニテ テキソウコウクウボトソウグウ


  シキカンタイハ テッタイヲカイシスル ―



響「指揮艦大破!?そんな・・・」

長門「演習は中止だ!加賀、悪いが先方に断りを入れて来てくれないか?」

加賀「ええ、分かっているわ」

赤城「北上さんは私と一緒に出撃ゲートへ行きましょう!」

北上「おっけー!少しでも人手は多い方がいいからね」

響「私はどうすれば・・・」

長門「響は私と指令室へ行くぞ!」



指令室で見た報告書は最悪の結果だった





【中破4、小破2、指揮官重体】




長門「くっ・・・帰港までもう少しか・・・死ぬなよ!」

響「あ、あ・・・・」ガタガタ






艦隊が戻ってきたとき司令官の意識は無かった



かろうじて



そんな言葉が適当だろうか?

彼は生きていた

私は居てもたっても居られなかった

引き止める医師を振り払い彼の元へ行った

響「司令官・・・・死なないでくれ!」グス

響「私は・・・私は・・・・・ううっ!」グス



赤城「響ちゃん・・・・」

北上「響・・・」

加賀「・・・・行きましょう」

長門「ああ、私たちも奴が心配だが・・・」

金剛「これ以上は野暮ってものデース・・・」




結局、その日彼が目を覚ます事はなかった・・・・





― 提督 Side ―




提督「索敵はどうだ?」

明石「今の所敵影は見当たらないですね」

提督「そうか・・・皆には警戒を怠るなと伝えてくれ」

明石「了解です!」



南方海域での調査を始めて随分と経ったが静かだった

正確には小規模な戦闘は幾つかあったが目的のものではなかった

今日はこれ位で引き上げるか

そう思い始めていたときだった

大淀「翔鶴さんの艦載機より入電!装甲空母接近!」

提督「よし!各員に戦闘陣形を指示!」

明石「了解!各員戦闘配備!繰り返します戦闘配備についてください!」

提督「翔鶴、瑞鶴、大鳳に発艦命令!敵の艦載機を可能な限り打ち落とせ!」

提督「扶桑、山城、陸奥は砲撃戦用意!」

何度やってもこれだけは慣れない

上に立つ者としてこう言う口調になるのは仕方の無いことなのかもしれないが

そんな事を思っているとすぐ先で戦闘が始まった音がする

彼女達の艦載機運用能力は優秀だ

恐らく全機撃墜とは行かなくても制空権は確保できるだろう

大淀「制空権確保!・・・・えっ!?これは・・・・」

明石「っ!?操舵手!避けて!」

提督「駄目だ!間に合わない!!」




撃墜したはずの艦載機がこちらの艦橋に向かって特攻してきたのだった

回避運動もむなしく艦橋に直撃

激しい衝撃と爆発音に包まれた

俺は薄れていく意識を必死に繋ぎとめ皆に指示を出す

提督「・・・・被害・・・状況・・は?」

明石「私と大淀さんは中破です・・・提督は・・・」

提督「俺は・・・・ゲホッ・・・・大丈夫・・・・だ・・・大淀・・・航行は・・・どうだ?」

大淀「この艦の中枢機能は壊滅・・・航行不能です・・・」

提督「そう・・・か・・」

明石「撤退するしかないですね」

提督「ああ・・・第二艦隊各艦に告げる。撤退だ・・・」

提督「扶桑と陸奥は弾幕を・・・・ゲホッゲホッ」

明石「大丈夫ですか?提と・・・!?」

大淀「酷い怪我!!喋らないで下さい!」

提督「山城と大鳳は対空見張りを厳と・・・せよ・・・」

明石「もういいです!私が代わりに指示しますので提督は喋らないで!」

提督「翔鶴と瑞鶴はこの艦を曳航して・・・くれ・・・・」バタッ

明石「てい・・とく・・・!?」

大淀「医療班!応急処置を急いで!早く!!」




















痛い・・・


体中が焼けるように痛い・・・


俺は死ぬのだろうか・・・・?


でも・・・・・


この感覚をどこかで・・・・・






『おい!?誰か落ちてきたぞ!!』



ああ、またこれか・・・・



『こりゃあ、助からないだろうな』




でもいつもと違ってはっきりと聞こえる気がする





『自殺か?』




自殺?そうか・・・これは自殺した俺の記憶だ




『警察か!?いや救急車を呼べ!!』




思い出した・・・・・



俺は自殺したんだ・・・・・



理由は思い出せないけど・・・・



そしてサイレンが聞こえてくると同時に意識が遠のいて・・・








『五十・・・ザザッ・・・牧場はあなたのご来場を・・・・ザザッ・・・』



ノイズ交じりに聞こえるテレビCMの音




『ザザッ・・・ぐも先生が描く・・・・・ザザッ・・・・超大作!!』




何故だか分からないけど良く分からない世界に迷い込んで






『普段、運動しない・・・・ザザッ・・出来る!ナガ・・・ザザッ・・・ブートキ・・・ザザッ・・・』




そしてまばゆい光に包まれたかと思うと






ザザーン・・・・



ザザーン・・・・

俺はあそこに立っていたんだ・・・







『ようこそ、提督さん』





― 響 Side ―


南方海域調査作戦から1ヶ月が過ぎた

彼の意識はまだ戻らない

私は彼の代わりに書類仕事を行い

演習、警備の任務も行っていた

唯一変わったことと言えば毎晩任務終了後に

彼のお見舞いに行く事が増えた事だ

いつも彼の病室には誰かしらが居るみたいだけど

私が行く時間は皆、遠慮してか彼の病室には誰も居ない

響「ふふっ、皆司令官の事が心配なんだよ?」



ふと周りに目をやると色んな物が置かれていた


焼酎の一升瓶・・・・これは長門さんだ

メッセージカード付きで『お前の快気祝いで共に飲もう』と掛かれている


バケツくらいはある茶碗・・・・・これは赤城さんだろう


枕元にある棚には花瓶に綺麗な花が加賀さんによって生けられている

他にも金剛さんが持ってきたであろうティーカップや


北上さんと他の駆逐艦たちが折った千羽鶴がある




響「今日は一日大変だったんだ」




こうやって返事は無いが報告するのも私の日課だ

響「もう1ヶ月か・・・・司令官が眠り続けて」

響「司令官は何時になったら目を覚ますんだい?」



なかば自棄気味で質問をぶつけるが返事は無い



響「お願いだから・・・目を覚まして欲しい・・・」グスッ

響「私は・・・司令官が居ないと・・・」ヒック

響「やっと・・・私は・・・気付けたのに・・・」ヒック






― 第一艦隊 Side ―




北上「提督が寝続けてもう3ヶ月かー」

赤城「ようやく皆さん落ち着かれたみたいですね」

長門「現状、意識は戻らないが命の危険は無いからな」

北上「しっかしさぁ、人の気も知らないでよく寝るよねー」

金剛「ううー、目を離さないでって言ってるのデース!」

加賀「しかし、響だけは相変わらずだわ」

長門「ああ、無理をしているのは良く分かる」

赤城「あの日からずっと書類、演習、警備と全てをこなしていますね」

長門「たまにだが凄い顔で海を睨んでいる時もあるな」

加賀「おそらく、復讐でも考えているのではないかしら?」

北上「まさかねぇ・・・・」

金剛「うーん・・・オゥ!?ヘイッ!ひびきー!!」

長門「・・・・様子がおかしいな」

金剛「シカトされたデース・・・・」ションボリ

赤城「なにやら思い詰めていますね」

北上「あの方向ってもしかしてさ・・・」

加賀「ええ、出撃ゲートに向かっているわね」

長門「変な事を考えてなければ良いが・・・追おう!」



























― 響 Side ―




あれからもう3ヶ月が過ぎた


大分書類仕事にも慣れてきた気がする


まだ大淀さんや長門さんに手伝って貰わないと覚束ないけど


今日も色々目を通しておかないといけない書類が山積みになっている


その中である報告書に偶然目がいった





― 南方海域の鎮守府が装甲空母により壊滅 ―




装甲空母・・・・


彼を死の淵にまで追いやった敵


その名前を見た瞬間、ドス黒い感情が湧き上がって来た


ずっと探していた憎い敵


すっと殺してやりたいと思っていた敵


やっと見つけた


殺してやる・・・・


私の手で・・・・必ず・・・



私の足は無意識に出撃ゲートへと向かっていた


勝算?そんな物はない


ただ一つの感情だけだった


コロシテヤル・・・・




長門「響!・・・おい!待て!」ガシッ



ふいに誰かに肩を摑まれた



加賀「あなた、一体どこへ行くつもりなの?」



そこには第一艦隊の面々が揃っていた


響「皆には関係無い。放っておいて」

北上「放って置ける訳無いじゃん!酷い顔だよ・・・」

金剛「テートクのリベンジに行くならワタシも連れて行くネー!」

響「そんなのじゃない。ちょっと気分転換に行くだけだから」

赤城「気分転換にしては重装備ですね?」

長門「五連装酸素魚雷に高角砲、94式高射装置か」

加賀「まるで空母に挑みにいく装備ね」

響「・・・・・・がわかるんだい?」

長門「うんっ?」

響「皆に何がわかるんだ!!」ドンッ

皆の気遣いに苛立ち、私は思わず壁を殴った


これには皆驚いていた


響「大切な人を殺されかけて殺そうとした奴がのうのうと生きている!」

響「こんな事・・・・私には耐えられない!!」

響「だから私がやるんだ!私の・・・この手で!」

赤城「しかし・・・・」

響「邪魔をするなら・・・仲間でも容赦はしないさ」ギロッ


何か言おうとしていた赤城さんを睨みつける


それに対してだろうか?


北上さんが睨みつけてきた

北上「あんたねぇ・・・「いいだろう」ちょっ!?長門!?」

長門「奴が目覚めたら伝えておいてやろう。響はお前のために復讐をやりに行ったとな」

響「そう・・・・спасибо(スパスィーバ)」





加賀「何故行かせたのかしら?」

長門「あれはもう私たちの声は届かん」

金剛「だからと言って大切な仲間を見捨てるのデスカ!?」

長門「いや、一つだけ可能性はある」

北上「可能性?」

赤城「まさか・・・・」

長門「皆は出撃の準備をしていてくれ!私は用事を済ませてくる」

長門「その用事が済み次第、響を追うぞ!」









― 提督 Side ―








白い部屋・・・・・



壁も何も無い真っ白な・・・・



俺は全部を思い出した・・・・



生きる価値もない



生きる意味もない



そもそも何故生きているかすら



もういい・・・・・



もう・・・・・

「お前はそれで良いのか?」



どこからか長門の声がする




「お前に生きる意味はないのか?」




問いかけは続く




「お前は本当にそれでいいのか?」



もう放っておいて欲しい



「思い出せ・・・・・あいつの事を!」



・・・・・?



「思い出してくれ!お前の大切な物のことを!」






俺の大切な物・・・・?






俺は・・・・

俺は・・・・・・・



そうだ・・・・



俺は・・・・アイツが・・・・・




「わかったか?なら、帰って来い!」




そこで長門の声は途切れた

俺はもう一度アイツに・・・・・響に・・・




会いたい!・・・ちゃんと伝えれなかった言葉を伝えたい!



帰らなければ!


皆の・・・いや、響の待つあの場所へ


力強くそう思った



次の瞬間、一面の白い部屋は色づきを取り戻した
























提督「こ・・・こは?」

大淀「!?」

提督「俺は・・・そうだ!あの時!!」

大淀「ようやく目が覚めましたね!」

提督「一体どれくらい寝ていたんだ?」

大淀「3ヶ月です・・・それよりも大変なんです!響さんが!」

提督「響がどうした!?」

大淀「それが・・・・」

提督「あの馬鹿・・・・通信機材を用意してくれ!」

明石「とっくに用意してありますよ!長門さんが用意しておいてくれって!」

提督「そうか、なら長門に通信を開いてくれ!」

「艦装」じゃなくて「艤装」じゃね、日本語的には



『こちら長門だ』


提督「俺だ!今どこに居る?」


『意識が戻ったのか!?』


提督「ああ、お前の声がはっきりと聞こえたよ」



『ヘイッ!テートクゥ!グッモーニン!!』


提督「ああ、おはよう金剛」



『今、私たちは響の随分後ろに居るわ』

『追いつくには時間がかかりそうよ』



提督「そうか・・・追いついたら響に通信機を渡してくれ」


『了解・・・』ブツッ


提督「さてと・・・明石。至急頼まれごとをしてくれないか?」

明石「なんでしょうか?」

提督「それはだな・・・・」ゴニョゴニョ

明石「え゛っ!?」

>>63 旧字体は予測に出ないもんで・・・XP

― 響 & 第一艦隊 Side ―




南方海域に出て随分進んだ気がする


ここまで無茶をしすぎてしまった様だ


体中にあちこち損傷を受けた


今、私の目の前には憎き敵がいる



殺してやる・・・・!



しかし弾薬も燃料も無かった

響「万事休す、か・・・・ここまでみたいだね・・・・」



死を覚悟する


彼の命令にまた背いてしまった


こうなる事は予想できたはずだ


しかし抑える事ができなかった


その時点で私の負けだったのだろう・・・




響「До свидания(ダスヴィダーニャ)・・・・いや違うか」


響「Пока(パカー)司令官・・・・」




私はスッと目を閉じた


もう二度と会えないだろう


だからまた会いましょうじゃない


サヨウナラ、だ・・・・

>>65
読みは「ぎそう」やで>艤装















金剛「全砲門!Fire!」

北上「酸素魚雷、いきますよぉ!」




皆の声が聞こえた


その瞬間激しい水しぶきが上がり装甲空母が火に包まれた

長門「間に合ったか!?」

赤城「提督を起こしておいて響さんを助けられなかったなんて駄目ですからね!」

加賀「全機発艦!」



赤城さんと加賀さんから放たれた艦載機が攻撃を開始する


と同時に何かを落としてきた


これは・・・・通信機?

『間に合ったみたいだな』



スピーカーから久しく聞いていなかった声が聞こえた



響「し、司令・・・官・・・」


『久しぶりだな、響』


響「目が覚めたのかい!?」


『ああ、この大馬鹿野郎!!』


響「!?」


『取りあえずそいつをぶちのめして必ず生きて帰って来い!』


『懲罰はそれからだ!いいな!』

響「っ!?・・・やるさ!と言いたいけど燃料と弾薬が・・・」


『それなら心配無用だ!もうすぐ着くだろう』




「天津風、おっそーい!」

「ちょっ!?明石さんが!」

「ぴ、ぴゃぁぁぁぁぁ!?」



遥か後方からものすごいスピードでドラム缶と明石さんを引きずった

島風と天津風の姿が見えた



長門「なかなかえぐい事をするな・・・」

北上「そ、そうだね・・・」


『響は応急処置と補給を受けろ。他のメンバーは終わるまで奴を近づかせるな!』



















明石「これでよしっ!補給、修理完了!」

響「ありがとう。司令官、行って来る」



『ああ・・・それと一つだけ伝え忘れていた事がある・・・・』



響「・・・?なんだい?」



『懲罰の件だがな・・・その・・・・なんだ・・・・』


金剛「・・・・」イライラ

北上「・・・・」イライラ

響「用件を早く言ってくれないかい?」



『あ、ああ・・・そのー・・・アレだ』



赤城(まだるっこしいですね!)

加賀「頭に来ました」ボソッ

長門「・・・・提督よ!男なら腹をくくれ!」

『ああもう!言うさ!俺はお前が好きだ!』


『戻ってからで良い、お前がどう思っているか聞かせてくれ!』ブツッ



響「えっ!?司令官!?ちょっと!?」

金剛「ようやくプロポーズデスカ!」

北上「ったく・・でもこれで絶対に負けられないよね!」

赤城「ええ、そうですね」

加賀「生きて帰りましょう」

長門「ああ!さぁ、響。作戦命令を!」

響「・・・・了解。やるさ!」




この時の事を後に装甲空母姫はこう語っている






ア・・・アリノママ 今 起コッタ事ヲ話シマショウ!


 ヤツラハ ワタシノ前デゴチャゴチャト話シテイタト

          思ッタラ イツノマニカヤラレテイタ 



ナ・・・ 何ヲ言ッテイルノカ ワカラナイト思ウデショウガ 

ワタシモ 何ヲサレタノカ ワカラナカッタ・・・

頭ガドウニカナリソウダッタ・・・

ソロモンノ悪夢ダトカ飢エタ狼ダトカ

ソンナチャチナモンジャア 断ジテナイ

モット恐ロシイ艦娘ノ片鱗ヲ 味ワッタワ・・・






















【完全勝利 S 】

― 提督 Side ―




大淀「皆、無事に帰投しましたね」

提督「ああ・・・良かった」

大淀「響さんを叱らないであげて下さいね」

提督「分かってるさ。こんな時に叱ってやるほど鬼じゃない」



バタバタバタバタ


慌しい足音が近づいてきた

おそらく響だろう



バン!!


響「ハァ・・ハァ・・・司令官!」


提督「おかえり、響」


響「っ!!・・・・ただいま!」バッ


提督「オ゛ゥッ!?」

勢いよく抱きついてくる


俺は驚きながらも抱きとめて撫でてやる


どうやら泣いているみたいだ


ふと扉の方に目をやると長門たちがバツの悪そうな顔をしていた

長門「どうやら邪魔をしたな」

北上「いいねぇ、感動的じゃん」ウルウル

赤城「そうですね」ウルウル

金剛「ううー、ワタシもテートクに抱きつきたいネー!」

加賀「馬に蹴られる前に私たちは入渠しましょう」

提督「そうしてくれ・・・ああ、長門は後で来てくれ」

長門「了解した。失礼するぞ」

大淀「私も明石さんの様子が気になりますので失礼させて頂きますね」

提督「そうか、明石にはすまなかったと伝えてくれ」

提督「そうそう、あとで長門と一緒に大淀と明石も来て欲しい」

大淀「かしこまりました・・・・では」バタン

皆が出て行き、この部屋は二人きりになった


響は抱きついて離れようとしない


俺もムリに引き剥がす事はせずずっと撫でていた



















どれくらいの時間が過ぎたのだろうか?


気がつくと泣き声は寝息に変わっていた


よほど疲れていたらしい



提督「ゆっくり休むと良い・・・おやすみ、響」



窓の外を見るとすっかり日が落ちていた




ガチャ



長門「具合はどうだ?」

提督「まだ少し気だるいが大丈夫だ」

長門「それで?3人をここに集めた理由を教えて欲しい」

大淀「・・・・・」

提督「まぁ、座ってくれ」



俺が近くにあったパイプ椅子に手をやる


明石「いえ、自分達で用意しますので提督はそのままで」

提督「そうか俺が動くと響を起こしてしまうな」

各々が席に着く


しばらく沈黙が続いた


俺は迷っていたのかもしれない


いや、真実を聞くのが怖かったのかもしれない


そんな事を頭の中で考えていると大淀が沈黙を破った


大淀「もしかして、記憶を取り戻されたのでしょうか?」

提督「・・・ああ、全て思い出したよ」

長門「そうか・・・・と言う事はもう隠すわけにもいくまい」

明石「そうですね・・・」

提督「頼む・・・真実を教えてくれ」

大淀「分かりました。全てをお話ししましょう」


最初に説明させていただいた話ですが、あの話には嘘があります

以前の提督ですがこの鎮守府には提督は居ませんでした

ここはデバッグ用に作られた鎮守府だからです


デバッグ用・・・・


つまり最初からこの鎮守府は無かったも同然でした

サーバーの容量都合上、消去される事が決まりました

至極当然ですよね・・・

存在するがしない物・・・

そんな物から消されるのは

しかし私たちは消えたくなかった

そこで私たちは考えました

提督(プレイヤー)が居れば消されないのではないか?

そんな時、私は貴方を見つけました

電子の海に迷い込み、漂流している貴方の魂を

何故迷い込んだかは私にも分かりません

でも私たちにとっては千載一遇のチャンスでした

藁にもすがる思いで貴方を引きとめました

そして提督になってくれると言ってくれた時、私たちは喜びました




『まだ存在することが出来る・・・』


『生きる意味を消されずにすむ・・・』と





そして今ここに存在している


つまり私たちは賭けに勝てた


これが真実です・・・・




大淀の長い、まるで独白のような話が続いた

にわかには信じられない事だった




提督「・・・・二つ教えて欲しい」

提督「この話をどれくらいの艦娘が知っているんだ?」

大淀「駆逐艦以外は全員知っています」

提督「そうか・・・・」

提督「俺が提督にならないと言っていたらどうなっていた?」

長門「その時はお前の魂は開放され、この鎮守府は消されていただろう」

長門「上手くいけばお前は輪廻に沿って再び生を受ける事ができた」

長門「しかし私たちの都合でここに閉じ込めている」

長門「こんな話を聞いてお前はどう思う?」

明石「・・・・・・私たちが憎いですか?」

消え入りそうな声で二人が話す


皆が憎いか?


恐らく昔の俺なら憎いと言っていたかもしれない


しかし俺の中には憎いと言う感情は無かった


むしろ嬉しかったのかもしれない


こんな俺を頼ってくれて


名も知れない一人の人間を頼ってくれて


提督「いや、そんな事は思ってないさ。むしろ・・・」


大淀「むしろ?」















― 響 Side ―


気がつくと朝になっていた


どうやら彼に縋り付いたまま眠っていたらしい


頭に心地よい感触がある


もしかするとずっと撫でていてくれていたのだろうか?


響「し・・・れい・・か・・・ん?」

提督「おはよう、響」

響「おはよう・・・もしかしてずっと撫でていてくれたのかい?」

提督「ああ、疲れていたみたいだしゆっくり眠れるようにな」

響「そう・・・・ありがとう」

提督「さて、顔を洗って食事をしてくると良い」

提督「あと、0900に執務室へ出頭すること。いいな?」

響「了解・・・・」




出頭・・・・彼が滅多に使わない言葉だ


つまり懲罰を言い渡すつもりなのだろう


あの時、ああ言っていたが所詮ここは軍だ


一個人の感情で決められる事はなにもない




― 解体 ―




そんな言葉が頭を過ぎる


覚悟ができていると言えば嘘になる


まだ彼にあの返事を伝えていない


だが覚悟をするしかない


自分に言い聞かせる


そんな事を考えているとあっという間に時間が過ぎた





気がつくと私は執務室の前に居た


彼が指定した時間はもうすぐだった









意を決し私は扉を開ける


するともう皆が集まっていた


司令官、大淀さん、明石さん、そして第一艦隊の面々がそこにいた

提督「時間通りだな。よし、これより賞罰を言い渡すぞ」


提督「まず、響。君は命令違反、無断単独出撃・・・以上の罪を犯した。間違いないな?」

響「その通りだよ、司令官」

提督「ふむ、潔くて良いぞ。君への懲罰は解体処分だ・・・」

響「わかっているさ・・・」

そう、わかっていたさ


命令違反・・・・


私は君の命令を無視した


『必ず生きて帰れ』


あの時私は生きる事を諦めた




無断単独出撃・・・・


私は個人的復讐に囚われ、皆を無視して一人で出撃した


結果あのザマだ・・・・


解体されても文句は言えない

提督「・・・・第一艦隊への処分は謹慎とする」

長門「了解だ・・・」

金剛「デース・・・・」

北上「ま、仕方ないよね」

加賀「解体されないだけマシね」

赤城「でも響ちゃんは・・・」

提督「懲罰は以上だ。続けて褒賞を言い渡そう」

提督「まずは北上」

北上「なにさ」

提督「MVPこそ譲ったものの砲撃戦、雷撃戦全てにおいてバランスよく活躍している」

提督「また、装甲空母の出鼻を挫いた雷撃も見事だった・・・よって先ほどの懲罰は不問としよう」

北上「っ!?ふっ・・ふーん、そうだよねー!わかってるじゃん!」

提督「次に金剛」

金剛「ハーイ!」

提督「北上と共に装甲空母の出鼻を挫く砲撃・・・よくやってくれたな」

提督「さらに響の修理時間を稼ぐ時も見事な戦術だった」

提督「直撃弾を与えるのではなく水しぶきによる視界のかく乱で敵艦載機の発艦を許さなかったな」

提督「その戦術を讃えて懲罰を不問とする」

金剛「ワタシの本気はマダマダこれからデース!」

提督「続いて加賀、赤城」

加賀「はい」

赤城「はい!」

提督「流石は一航戦と言うべきか・・・指揮もままならない状況で艦載機を運用させ」

提督「金剛がかく乱したタイミングを合わせ爆撃」

提督「北上が雷撃を直撃させると艦攻による突撃。様々な戦法で敵に休む暇を与えなかった」

提督「その戦いぶりを賞して君たちの懲罰も不問とする」

加賀「当然の結果ね」

赤城「慢心しては駄目ですよ、加賀さん」

提督「最後に長門」

長門「ハッ!」

提督「俺の居ない間、よく響を補佐してくれた・・・」

提督「また先の戦いでも皆をまとめ、響を救ってくれたな」

提督「その指揮能力をこれからは第一艦隊の旗艦として発揮して欲しい」

提督「本日付で第一艦隊旗艦に任命する」

長門「この長門、謹んで拝命しよう!」

そうか、私の後任は長門さんが勤めるのか


彼女なら適役だ


私はお役ごめんと言うわけか・・・・



提督「そして響・・・」

提督「よく頑張ってくれたな」ナデナデ

彼が頭を撫でる


この感触も最後だと思うと名残惜しい


提督「大淀から報告は聞いている。運営、演習、警備・・・」


提督「多岐に渡ることを俺の居ない間、そつなくこなしていたと」


提督「しかも資材調達においても素晴らしい結果を残してくれていた」


提督「先の戦いでは先陣を切り、また補給後も駆逐艦以上の戦力となってくれた」


提督「懲罰に対してお釣りが来るくらいの功績をお前は残したんだ」

提督「よって響の懲罰を不問としよう」


響「っ!?」


提督「そしてお前を俺の特別秘書艦に任命する」



そういうと彼は一つの小箱をポケットから取り出した


開けると中には二つの指輪が入っていた

響「これは?ケッコンカッコカリの・・・?」


加賀「もう一つの指輪は何かしら?」

金剛「アクアマリン・・・3月のバースデーストーンデース!」

長門「なるほど・・・やるじゃないか」ニヤニヤ

北上「ったく、キザったらしいことしちゃってさ」ニヤニヤ

赤城「さぁ、響ちゃん返事をしてあげて頂戴」



響「私は・・・」

提督「カリじゃない・・・結婚してくれ・・・響」


響「私も、司令官の事が好きだ!だから・・喜んで・・・受ける・・・つもりだよ」グス


提督「そうか・・・ありがとう。響」ギュッ



彼が力いっぱい抱きしめてくれる


私もそれに答えるべく抱き返す


金剛「エンダァァァァァ!!」パチパチ

北上「いいねぇ・・・シビれるねぇ・・・」グスッ

赤城「ふふっ、二人ともお幸せにね」パチパチ

長門「ふっ・・・」パチパチ

加賀「羨ましいわね」パチパチ


















― 提督Side ―


提督「ふぅ・・・」

大淀「ふふっ、お疲れ様です」コトッ

提督「ありがとう」ズズッ


第一艦隊の皆を解散させ一息ついた


怪我はもう治っているとは言え病み上がりだ


いや、本調子でも流石に疲れていただろう・・・


明石「いやぁ、一世一代の大告白!見事でしたよ、提督!」

提督「からかわないでくれ」

大淀「本当、特別秘書艦なんてよく思いつきましたね」

提督「まぁな・・・そうそう、二人もすまなかったな色々と」

明石「いいんですよ・・・・ええ、本当・・・・」トオイメ

提督(これは根に持ってるな・・・・)

提督「こ、これで勘弁してくれないか?」


そう言い俺はある計画書を明石に渡した

明石「これは・・・改修工廠!?しかも私が責任者!?」

提督「ああ、これからよろしくな」

明石「はい!」

提督「大淀にもなにかやりたい所だが少し待ってくれないか?」

大淀「いえ、私は・・・そうですね、では一つ聞かせて頂きたい事があります」

大淀「それが私への褒賞で構いませんよ」

提督「なんだ?」

大淀「あの時、『私たちが憎いか?』と言う質問に対して提督は『ありがとう』と答えました」

大淀「その意味を教えて貰えませんか?」

提督「ああ、あれか・・・あれは『生きる意味をありがとう』だ」




一度全てを失った俺に


再び生きる意味を与えてくれてありがとう


皆に出会わせてくれてありがとう


響に出会わせてくれてありがとう


そんな感情があの時俺の頭の中を満たしていた


これからも・・・・


ずっと・・・・



― エピローグ 響Side ―


響「ど、どうかな?司令官」

提督「美味いな、流石響だ」

響「そうか・・・よかった」




彼から告白されて随分とたった


私は特別補佐官として公私を支える存在になった


あの日から毎日彼の食事を用意するのも日課になった


最初は失敗ばかりだったけど最近は失敗も少なくなった

響「最近、暁達からよく笑うようになったと言われたよ」

提督「そうかもな・・・前の響は無表情だったからなぁ・・・」

響「そうだったのかい?」

提督「そうだな、笑えばこんなに可愛いのにな」ナデナデ

響「かわっ!?・・・・ちょっと、柄じゃない・・・」テレテレ


可愛いと言われて悪い気はしない


やはり彼にはかなわないな


私を艦娘ではなく一人の女の子として扱ってくれる

いや、私だけじゃない


皆を平等に道具としてではなく人間として扱ってくれる


だからこそ私たちに生きる喜びを教えてくれた


そんな気がするのだろう・・・


響「司令官・・・・」


提督「どうした?」


響「愛してる・・・・」ギュッ



響「Пока смерть не разделяет двух человек」ボソッ
  (パカー   スミエールチ ニェ ラジディェリヤーエト ドヴゥーフ ツィエラヴィエーク)

提督「・・・・そうだな」

響「えっ!?」


提督「Мы не разделены, даже если я умираю 」
(ムー ニェ ラジディェリエーヌィ, ダジゥィ ィエーシリェ ィヤー ウミェラーユ)


響「司令官・・・・」

提督「覚えたてのロシア語だったがどうだ?」

響「悪くない・・・悪くないよ、司令官」ウルウル

提督「これからもよろしく頼む」ギュッ

響「こちらこそ・・・だよ・・・司令官」グスッ

これで終わりなのです!

ここで注釈を

1、スレタイの「死が二人を分かつまで」とは

カトリック系の結婚式で使われる事がある誓いの文です

2、所々にあるロシア語

グーグル先生による翻訳なのです
意味合い的に変なところの文句はグーグル先生にお願いするのです!


明日か明後日くらいに別視点エピローグを追記して〆ます

これよりエピローグ提督Sideを投下するのです

これを投下後HTML化依頼をするのです

― エピローグ 提督Side ―



食事を終え、風呂に入る


湯船につかり先ほどのやり取りを思い出す


提督「くっ・・・日に日に可愛くなりやがって・・・」

日を追うごとに響の魅力に気付かされていく


普段無表情の癖に二人きりになると猫のように甘えてくる所


俺に手料理を振舞いたくて毎日間宮さんの所で特訓をしている所


一緒に寝てやらないと拗ねる所


全てが愛おしい




提督「しかもなんだよあれ・・・可愛すぎて思わずクサイ事を言ってしまった・・・」


『愛してる・・・』


『Пока смерть не разделяет двух человек』
 (死が二人を分かつまで・・・)

  
『・・・・そうだな』


『えっ!?』


『Мы не разделены, даже если я умираю』
(たとえ死であっても二人を分かつ事はできないさ)



提督「っ!?」バシャバシャ



恥ずかしさのあまり水面を叩く


自分でもどうしてあの言葉が出てきたのかわからなかった


自然と口走っていた・・・・


でもあれが俺の本心だった


この先何があっても二人の心は離れない


確証は無いけどそんな気がした・・・


どちらかが先に死んだとしても


ずっと・・・・

終わりなのです!

乙を下さった方々ありがとうなのです!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom