ちひろ「あ、お姉ちゃん」このみ「うん? あ、ちっひ」 (82)


このみ「ねぇプロデューサー。桃子ちゃんの報告書なんだけど」

グリP「あぁ。それはもう先の分まで書いちゃってください。具体的には次のテレビ出演まで」

このみ「りょーかい。……へー」

グリP「どうかしました? ……あぁ企画書ですか」

このみ「ずいぶんと大きい舞台ね」

グリP「取ってくるの大変でしたからね。企画書の中身も面白いですよ?
    今後の参考になるかも知れないから見てみますか?」

このみ「んー、一応見せてもらおうかしらね」

グリP「どうぞ」

このみ「どうも」


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このみ「……桃子ちゃんも凄いわねぇー」

グリP「このみさんも凄いですよ」

このみ「お世辞でも嬉しいな。ありがと」

グリP「いえ、お世辞でも何でもなくて。
    いきなりユニットリーダー任せてみたら全員完璧にまとめあげてみせて、
    ダブルミリオンライブ成功させてみせたじゃないですか」

このみ「ま、まぁお姉さんだからね。頼られたら何とかしてみせるわよ」

グリP「デビューして4ヶ月目で。いやぁ、ありがとうございました」

このみ「て、照れるわね。どういたしまして」

グリP「俺ほとんど何もしてないですし」

このみ「こら」


♪~

このみ「メールだ」

グリP「聞いたことありますねその曲」

このみ「”手紙でも書こう”よ」

グリP「メールで。何の皮肉ですかそれ」

このみ「好きなの。……ねぇプロデューサー、お休みの確認したいんだけど」

グリP「いいですよ。ちょっと待ってくださいね、スケジューラー立ち上げますから……どうぞ」

このみ「再来週の水曜日って確か予定入ってなかったわよね?」

グリP「ん~このみさんの予定は……そうですね。その日はオフです」

このみ「その日はお休み貰ってもいい?」

グリP「了解です。ちなみに何を? あ、答えなくてもいいですよ」

このみ「別にいいわよ。やましい事する訳じゃないし」


このみ「妹が久しぶりに遊びに行こうって誘ってきてね?」

グリP「へー。仲良しですね」

このみ「別に良しってほどじゃないわよ。1年に2、3回会う位だし」

グリP「俺は兄弟とか居ないんで分からないんですけど、そんなもんなんですか?」

このみ「どっちも社会人だからねー。そんなもんなんじゃない?」

グリP「ふーん。……1回会ってみたいですね」

このみ「……スカウトする気でしょプロデューサー」

グリP「あ、ばれました?」

このみ「あの子ギャンブル大嫌いだから、アイドルとかはやらないと思うわよ?」


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ちひろ「お疲れ様ですプロデューサーさん」

モバP「おっつおっつ」

ちひろ「……疲れてますね?」

モバP「一周してハイ」

ちひろ「もう一周する前に休憩しましょうか。ご飯もまだ食べてないですよね?」

モバP「もう食堂も、ここら辺の店もやってないよー」

ちひろ「なんと! 今なら食べ損ねた私のお弁当が100MCで!」

モバP「あ、金取るならいらないっす」

ちひろ「いっしょに食べましょうよー」

モバP「そーだねそうしよう」

ちひろ「何か飲むものも淹れましょうか?」

モバP「あ、棚の上にマイミソシル(コスト回復 10個300MC)があるんでそれでおなしゃす」


ちひろ「あれー? あれは何処にありましたっけ?」

モバP「左の棚ー。ちなみに紙皿はその2つ下ー」

ちひろ「あ、ありました。ありがとうございます」

モバP「ちっひもしーみそ飲むー?」

ちひろ「私はお茶があるから大丈夫です……その呼び方止めてくださいね?」

モバP「えー? かわいいじゃんちっひ」

ちひろ「お弁当あげませんよ?」

モバP「ごめん」


モバP「……」

ちひろ「いただきます。……あれ? 食べないんですか?」

モバP「いや、てっきりコンビニ弁当の残りだと思ってたんですが手作りのお弁当だとは」

ちひろ「嫌ですか?」

モバP「むしろありがとうございます。いただきます」

モバP「うん、やっぱり卵焼きはしょっぱいほうがいい」

ちひろ「おいしいですか?」

モバP「スタミナが全回復する勢いでおいしいです」

ちひろ「それは良かったです♪」

モバP「前卯月が作ってきてくれた卵焼きはあまーいやつで。
    まぁそれはそれで美味しかったんですけど。甘いもんでご飯食えないんですよ俺」

ちひろ「へーそうなんですか」

モバP「ん? どうかした?」

ちひろ「いえ、なんでも」


モバP「ほひへばふうかのほてい」

ちひろ「飲み込んでから喋ってくださいよ、もう」

モバP「んぐ……いやすいません。久しぶりに人の手料理食べたもんで、つい」

ちひろ「ふーん……あ、それで何ですか?」

モバP「大したことじゃないっすけど、再来週の水曜日休みでしたっけ?」

ちひろ「はい。最近出来たお店に姉と行こうかと思ってます」

モバP「あぁ、事務所の近くのあそこですか……ん? 姉?」

ちひろ「はい」

モバP「お姉さんがいたって話は初耳ですね」

ちひろ「あれ? そうでしたっけ? 大抵の話は話してる気がするんですけど」

モバP「ちひろさんが妹属性だったなんて初めて聞きましたよ」

ちひろ「別に妹属性ってわけじゃないですよ」

モバP「似てる?」

ちひろ「うーん、まぁそこそこ」

モバP「じゃあスカウトしたい」


ちひろ「会わせてあげませんからね」

モバP「けち! 鬼! 悪魔! ちひろ!」

ちひろ「それに結構年齢ありますよ?」

モバP「何を今更」

モバP「……あ、なんか女子寮の方から視線を感じる」

ちひろ「夜道は気をつけてくださいね」

モバP「見捨てないで!」


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このみ「それじゃプロデューサー、お疲れ様」

グリP「お疲れ様です。あ、送りますよ?」

このみ「大丈夫大丈夫。一人で帰れるよ」

グリP「夜道女性一人は危ないですよ」

このみ「プロデューサーまだお仕事残ってるんでしょ? 手伝えるなら手伝いたいけど」

グリP「打ち合わせですからね。……危ないと思ったら走って逃げるんですよ?」

このみ「はいはい。じゃあまた明日」

グリP「はい。お休みなさい、また明日」


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ちひろ「私は帰りますけど、プロデューサーさんはまだ残られるんですか?」

モバP「おう。というか帰りたくない夜道歩きたくない」

ちひろ「どこの子供ですか」

モバP「子供の心は忘れずに生きていたい」

ちひろ「はいはい。それではまた明日」

モバP「生きてればなー」


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ちひろ「あ、お姉ちゃん」

このみ「うん? あ、ちっひ」

ちひろ「中で待っていいよって言ったのに」

このみ「お天気いいから外で待ちたい気分だったのよ」

ちひろ「相変わらずだね」

このみ「その言葉の中に侮蔑のニュアンスが含まれてる気がするのは気のせい?」

ちひろ「気のせい気のせい。そんなこと気にしてると背が伸びないよ?」

このみ「やっぱり!」


ちひろ「お姉ちゃん聞いてよー」

このみ「嫌」

ちひろ「半年振りなのに酷くない?」

このみ「どーせまた彼の話でしょ? やきもち焼くのも大概にしたら?」

ちひろ「ぶー」

このみ「……とは最近も言えないんだけどね。
    でなに? アイドルのライバルが多すぎて勝てる気がしないよーって話なら聞かないわよ?」

ちひろ「……読心術?」


このみ「小さい」

ちひろ「お姉ちゃんに言われたくない」

このみ「そういう話じゃなくて。それはちっひの弁当が好みだってことの比較に出しただけじゃない」

ちひろ「だって私のお弁当食べる時に人のお弁当の話しなくてもいいじゃない」

このみ「大体お昼誘えなくて夜まで待ってるってなによ。乙女?」

ちひろ「乙女」

このみ「あーあーあーこの妹うるさい」

ちひろ「すれた姉を持つと大変だ」ピピピピピ

このみ「電話鳴ってるわよ?」

ちひろ「あ、本当だ。はいちひろです」♪~

ちひろ「」クイクイ

このみ「分かってるってば。はい、このみです」


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モバP『休暇中にすいません』

ちひろ「あ、プロデューサーさん。どうかしました?」

モバP『時間が無いので単刀直入に。今事務所の近くに居ます?』

ちひろ「はい、前お話してたお店に居ます」

モバP『歩いて10分くらいか……間に合うな。
    昨日俺が作ってた資料、共通サーバーにあるので10部ほど印刷して閉じてくれませんか?』

ちひろ「えーっと進行表、ですか?」

モバP『はい、休暇中に申し訳ないんですけどお願い出来ますか?
    何かで埋め合わせは絶対にしますので』

ちひろ「はーい」

モバP『場所はMBビルです。住所はメールで送ります』


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グリP『至急で、桃子の代役出来ます?』

このみ「……状況が分からないんだけど」

グリP『熱でダウン。進行分かる人いない。前読んでたのこのみさんだけ』

このみ「……進行は何となく分かる。でも後で確認させて」

グリP『出来ますか?!』

このみ「頼られたらね、何とかしてみせるわよ。進行はいいわ、無理やり覚えるから。
    ……でも、生ライブあったわよね? 私桃子ちゃんの歌歌えないわよ? 振り付けも」

グリP『今から交渉。水中キャンディで』

このみ「了解。お姉さんが何とかしてあげるから、ちょっとは落ち着きなさいよプロデューサー」


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このみ・ちひろ「ごめん(ね)、急用できた」

このみ「あら」

ちひろ「ん? ……じゃあ先に出るね!」

このみ「あっ、ちょっと! 会計!」

ちひろ「払っといてーっ!」


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グリP「概要はこんな感じです。詳細は控え室で」

このみ「おっけー。話聞くだけだと何とかなりそうね。いや、なんとかするんだけど」

グリP「休日に申し訳ありません。でもうちのせいで大穴開けるわけには」

このみ「いいからいいから。でも、今度何か奢ってね?」

グリP「心に彫っておきます。衣装ももうすぐ届きますので」ガチャ

モバP「ん? あぁ、お久しぶりです」

グリP「お久しぶりです。お元気そうで何よりです」

モバP「おかげさまで」

このみ「おはようございます」

モバP「はい、おはようごさいまず」


このみ「どなた?」コソコソ

グリP「346の方です」コソコソ

このみ「へー」コソコソ

モバP「お疲れ気味ですね」

グリP「あ、えぇちょっとバタバタしまして」

モバP「それじゃあこれ、差し入れです」スタドリ

グリP「ありがとうございます。それじゃあお返」スパドリ
♪~
モバP「来た!」



このみ「……嵐のように去っていったわね」

グリP「スパークドリンク(一個100コイン)渡しそびれましたね」

このみ「持ってったみたいよ?」

グリP「……いつの間に」


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モバP「すいません、助かりました」

ちひろ「いいえー」

モバP「頭の上で24時間の電子時計がカチカチいってましたよ」

ちひろ「Twenty Four?」

モバP「ミッションインポッシブルでもいいなぁ。
    あ、もうちひろさんは『ミッションコンプリートだ!』
    って感じで核爆弾の起爆を止めたのであれなんですけど」

ちひろ「どれなんですか」

モバP「この後どうします? 現場でも見ていきます?」

ちひろ「うーん、そうですね……時間も出来ちゃいましたし、そうしますか」

モバP「それじゃあ控え室に案内しますんで、そこで暫く待っててくださいな」

ちひろ「はい……なんですかそれ?」

モバP「ん? あぁこれですか? さっき765のシアター担当さんに貰いました」

ちひろ「ふーん」

モバP「目が怖いっすよ」


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このみ「うん、いけそうね」

グリP「……はぁー、よかったー」

このみ「大丈夫よ。心配しないの」

グリP「すいません、何から何まで頼りっぱなしで」

このみ「頼られるのは嫌いじゃないからね」

グリP「はぁ疲れた。……あ、このみさん何か飲みます? 持ってきますよ」

このみ「歌うから水でいいかな」

グリP「了解です。じゃあ自分は貰ったこれ飲んでみるかなー」コキュッ

このみ「栄養ドリンク?」

グリP「じゃないですか?」ゴクッ


モバP「すごい色してるなこれ。ピンクって」コキュッ

ちひろ「炭酸ですか?」

モバP「ですかねぇ。あ、控え室ここです」ガチャ

モバP「それじゃあいただきまーす」ゴクッ


モバ・グリP「……絶対体に悪いもん入ってるなこれ」

ちひろ「え、お姉ちゃん?」

このみ「うん? え、ちっひ?」

モバ・グリP「え?」


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ちひろ「なんでお姉ちゃんここにいるの?!」

このみ「こっちのセリフ!」

グリP「え? このみさんが二人居る?」

モバP「千川ちひろの分裂だ」

ちひろ「衣装!」

このみ「お姉ちゃんアイドルだもん!」

ちひろ「こんな子供にアイドルさせちゃだめでしょ!」

グリP「姉妹じゃないのかな?」

モバP「もっと小さい子も所属してるじゃんうち」

グリP「あ、うちもいるんで大丈夫ですよ」

このみ「誰が豆粒ドチビだって!!?」

ちひろ・モバ・グリP「いってね(ない)ーよ」


ちひろ「え? お姉ちゃん本当にアイドル?」

このみ「言ってなかったっけ?」

ちひろ「聞いてないよ!」

モバP「メジャーアイドルですけどね。ここ最近めきめき来てる」

グリP「どうも」

ちひろ「他の事務所のアイドルとか忙しくてチェックしてませんよ!」

モバP「こら事務員」

このみ「オリコン10位入ってたよ!
    私だって事務員とは聞いてたけど346さんだとは聞いてないよ!」

ちひろ「結構出てるよ! なぜか!」

モバP「なんでだろうなー」

ちひろ「貴方が無理やり出すからでしょ!」

グリP(……無理やりだったのか)


小鳥「ピヨッ?」


グリP「水着姿がネットにあがってますよ。ほらこのみさん」

このみ「み ず ぎぃ !?」

ちひろ「何で出すんですか?!」

モバP「ほら、こっちはブロマイド」

ちひろ「なんであるんですか!」

このみ「プロデューサー! 私も水着着たい!」

グリP「検討しときます」

モバP「うちに来れば着放題ですよ。冬でも南半球は夏ですから」

グリP「おいこら。
    あ、ちひろさんうちに来ればちゃんとした仕事できますよ」

モバP「おいてめぇ」


グリP「ちょっと聞いていいですか?」

このみ・ちひろ「何?! 今忙しいの!!」

グリP「ひっ」

モバP「こう言いたいんだろう? 「え? こっちが妹?って」」

このみ「……」

グリP「違いますからね」

ちひろ「」フフーン

モバP「俺はそう思っ痛!」

ちひろ「ちょ、ちょっと私のプロデューサーさんに何するんですか!」

このみ「頭に栄養回らなかったくせにぃ!」

ちひろ「キャンキャン鳴いてな」

グリP(怖い、なにこれ)

このみ「ふーん。今までの話を”私のプロデューサーさん”に聞かれてもいいんだぁ」

ちひろ「あっ」


このみ「ねぇねぇ346さん? 今なら妹の恥ずかしいはな」

ちひろ「どっせい!」

グリP「ぐはっ!」

モバP「おぉ、サマーソルトエクスプロージョンから担当アイドルをかばった。漢だ」

グリP「姉妹喧嘩後回し! このみさんそろそろ出番!」

このみ「えっ? あもうこんな時間!」


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モバP「かくして、グリPの尊い背骨を犠牲にして姉妹喧嘩は終戦を迎えたのであった」

ちひろ「……」

モバP「……えーっと、今からこのみさんのライブ取りですけど、見に行きます?」

ちひろ「……行きます」


グリP「はー良かった。衣装に汚れとかなくて」

このみ「ごめんプロデューサー」

グリP「大丈夫ですよ。怪我もないですから」

このみ「……事務員ねぇ」

グリP「ちひろさんが妹さんだったんですか」

このみ「まぁ一応ね。
    それじゃあ歌ってくるね。妹の前で失敗とか出来ないから」

グリP「はい。素晴らしい歌声、期待してます」


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このみ「ココロはマーメイドのように
    声も出せない 届けられない」~♪



モバP「先ほどはうちの事務員が申し訳ありませんでした」

グリP「いえいえ、お互い様です。
    ……ちひろさんは?」



このみ「鎖繋がれた 暗い海だって そう生きてゆける だけど
    ココロのポケットにまだ しまいこんでた 自由のチケット
    いつか答えに たどり着けたなら」~♪



モバP「あそこですよ。どうせなら近くで見たいって」

グリP「そうですか」



このみ「使えるのかな 使える時が来るかな?」~♪



モバP「……」

グリP「……」

モバP「苗字が違いますね」

グリP「そうですね」



このみ「いつかいつか行きたいな 声の届く場所へ
    もっともっと見てみたい 殻を破った自分を
    夢の中 彷徨うと 知っていても」~♪



モバP「いい歌ですね」

グリP「ありがとうございます」



ちひろ「……」


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ちひろ「報告書早く出してくださいって催促がきてますよー」

モバP「えー」

ちひろ「なにが「えー」ですかなにが」

モバP「ちひろさんも居たんですからちひろさん書いてくださいよー」

ちひろ「書けませーん」

ちひろ「……」

モバP「……」カタカタ

ちひろ「……楽しそうにアイドルしてましたね」

モバP「やってみます?」

ちひろ「ギャンブルは嫌いですから」

モバP「聞いていいですか?」

ちひろ「何ですか?」

モバP「苗字、違いますよね」


未来「お疲れさまでしたー!」
静香「お疲れ様」
星梨花「おつかれさまでしたー!」

グリP「はいお疲れさまー」

未来「ねぇねぇごはん食べに行こうよ!」
静香「なにうどん?」
未来「え? それ固定なの?」
星梨花「あ、このみさん。おつかれさまでしたー!」

このみ「あらお疲れ様、星梨花ちゃん」

未来「お疲れさまです! このみさん!」
静香「お疲れ様でした、このみさん」

このみ「はいお疲れ様、未来ちゃん、静香ちゃん。
    気をつけて帰るのよ?」

グリP「このみさんも帰りますか?」

このみ「そうねぇ、ちょっと経費資料作成したら帰ろうかな」

グリP「了解です。……いい加減そのPC新しくしてもらいましょうか?」

このみ「そうねぇ」カタカタ

グリP「……」カタカタ

このみ「……」カタカタ

グリP「」カタカタ

このみ「……聞かないの?」

グリP「何の話ですか?」カタカタ

このみ「苗字のこと」


ちひろ「お夕飯奢ってくれたら考えます」

モバP「行きますか。居酒屋」


グリP「興味はあります、でも簡単に詮索していい話ですか?」

このみ「事務処理の暇つぶし程度の話よ?
    別に、面白くもなんともない話だけどね」


ちひろ「ギャンブル狂の父親と」


このみ「頼りにならない母親の話よ」


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このみ「私は母方の姓なの」

グリP「……そうですか」

このみ「本当に、頼りにならない母親でね。誰かに依存しないと生きていけないような人だった」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ちひろ「父親はギャンブル狂で。いろんなところに借金してまで馬に自転車にボートに。
    借金もいっぱい」

モバP「ふーん」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

このみ「いつの間にか離婚して、知らない間に引き取られて。
    ……知ってた? 借金って財産なんだって」

グリP「どういうこ」
このみ「支払う義務は両者に発生するってこと」


ちひろ「借金は一本化して、支払うのは簡単なはずだったんだけど」

モバP「……だけど?」

ちひろ「私が二十歳になったとき、蒸発しました。
    ご丁寧にいろんなところから小銭摘んで、ね」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

このみ「もちろん母は働かない。色んな人のところを転々と」

グリP「それは……」

このみ「人ってぼかした言い方したけど、男のところね。
    こんな、何も出来ない人だったら、父親に引き取ってもらいたかったな」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

モバP「でも居なくなったんだったら厄払いって感じじゃないんですか?」

ちひろ「プロデューサーさん、知ってました?
    最近の厄って連帯保証承諾書ってお札なんですよ?」

モバP「……くずだな」

ちひろ「母親に引き取ってもらいたかったなー」


このみ「父親から貰ったものなんて何一つなかったけど、
    唯一置いてったものが麻雀の本だったの」

グリP「それで麻雀が好きなんですか」

このみ「それを見てる間は父親のことを思い出せたからね。
    思い出さないと忘れそうで」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ちひろ「だから私はギャンブルが大嫌いです」

モバP「……」

ちひろ「やっと半分返したんだから」

モバP(……もう鬼! 悪魔! ちひろ! とか言えない)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

このみ「もう麻雀に父親の匂いを感じることもなくなったけどね」

グリP「そう、ですか」


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このみ「でも皮肉よね」

グリP「何がですか?」

このみ「ギャンブルなんてしないで、堅実に生きていこうと思ってた私がアイドルよ?
    ギャンブルもいいところじゃない」

グリP「……いや、このみさんの素質と魅力があればギャンブルと」
このみ「ギャンブルよ。素質があるとか魅力があるとか、そんなの必要条件」

グリP「……このみさんは、ギャンブルは嫌いですか」

このみ「大嫌いよ」

グリP「……すいません。先に謝っておきます」

このみ「? なにかしら?」

グリP「これからも、僕は成功するか分からない橋を渡り続けます。
    お客さんは来てくれないかもしれません、舞台は成功するか分かりません、
    仕事も取ってこれるか分かりません」

このみ「……仕事のはな」
グリP「それでも、このみさんはついて来てくれますか」

このみ「……当然でしょ。何処までもついて行くわよプロデューサー」


:||━‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


モバP「……」

ちひろ「別に面白くもなんとも無いお話でした。
    さ、冷める前に食べちゃいましょう!」

モバP「ちひろさんギャンブル嫌いだったんですか」

ちひろ「大嫌いです」

モバP「うーん、それは残念だ。俺ちひろさん相手に賭けをしようと思ってたんですよ」

ちひろ「大嫌いだって、言いましたよね?」

モバP「まぁまぁ、話を聞くだけでも」

ちひろ「……何ですか?」

モバP「俺が勝ったら何かひとつ命令を聞いてくださいな。負けたらその逆」

ちひろ「ずいぶんと代償の大きい賭けですね。何ですか?」

モバP「コールですね?」

ちひろ「見です」


モバP「簡単な賭けですよ。
    ちひろさんの左手薬指にいつか指輪をはめてやろうっていう」

ちひろ「へっ……?」

モバP「……」

ちひろ「……」

モバP「……」

ちひろ「……」

モバP「……何か言ってくれないとぼくちん困っちゃう」


♪~

このみ「電話だ」

グリP「聞いたことありますねその曲」

このみ「”Calling You”よ」

グリP「……メールの着信音のときも思いましたけど、駄洒落好きなんですか?」

このみ「曲が好きなの。……ん? ちっひ?
    はいはいお姉さんですよ」

ちひろ『お姉ちゃん! 賭けに絶対勝つ方法教えて!』

このみ「……何があったのよ」

ちひろ『いいから!』

このみ「ある訳ないでしょそんなの。
    ……あ、無くはないかも」

ちひろ『どうするの?!』


このみ「んー」

グリP「? 何ですか?」

このみ「負けても後悔しない相手と勝負すればいいんじゃない?」


あっれ? このみさんとちひろさんが入れ替わってのてんやわんやを書くはずだったのに。どうしてこうなった。

http://mup.vip2ch.com/up/vipper45328.jpg
>>48
春日未来(14)Vo

http://mup.vip2ch.com/up/vipper45329.jpg
>>48
箱崎星梨花(13)Vo

http://mup.vip2ch.com/up/vipper45330.jpg
>>48
最上静香(14)Vo

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月07日 (土) 05:23:31   ID: lK2HYo29

若干雑だけど設定は好きですね。あと雰囲気

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