お姫様が清楚で綺麗で可愛い女の子って誰が決めた (14)






~とあるファンタジー世界 家の中~





ギャルママ「おー、勇者の息子~」



勇者「……誰が勇者ですか」



ギャルママ「え。あんたのこと」



勇者「……僕はギャルママである貴方から生まれた一町民のはずですけど」



ギャルママ「あーごめんごめん。あんた実はうちの子じゃないんだわ~。今まで隠してたけど、実は勇者らしいよ?」



勇者「……はい?」



ギャルママ「いやー昔さあ、町長からの命令でアンタを育てることになったんだよ。ホラ、こんなギャルママが勇者育ててるなんて、魔物も思わないっしょ?」



勇者「……はあ」



ギャルママ「ま、そのおかげで?アンタもこの街も、今まで魔物に狙われることはなかったって訳よ~」



勇者「……」



勇者「まあ……生まれた時から妙に剣術とか雷魔法を使えるし、なんか心の中に強い正義感持ってたし、変だなとは思っていたんですが」



ギャルママ「あはは~、つー訳でえ~。あんたも16になったから旅に出なさいってさ」



勇者「……誰が?」



ギャルママ「んーとぉ、お城のぉ、パパ?」



勇者「せめて王様と言ってください」




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ギャルママ「そうそう! お城の王様ね! あんたやるじゃーん!」



勇者「……」



ギャルママ「ってー訳でえ~、とりま城行ってくんない? 私もうパチンコ行きたいし」



勇者「せめてファンタジー世界が崩壊するような言葉を謹んでもらえますか」



ギャルママ「まままま、ってことで、私の子育て終わり~~! バイバイキーーン」



勇者「え……あ、ちょっ」



勇者「……」



勇者「行ってしまった……」



勇者「しかし……この僕が、勇者?」



勇者「……まあ、悪い気はしないけども」



勇者「とりあえず、お城に行って王様に話を聞いてみようか」








~お城~




王様「おお! 勇者よ! ついに来てくれたか!」



勇者「……はあ」



王様「お主の父である勇者アモルからお主を授かり早16年! いやはや、よくぞ立派に育ってくれた!」



勇者「まあ、もう少しマシな親だったら、僕の筋肉に栄養が行き届いて、ここまで華奢にはならなかったんですけどね」



王様「まあみなまで言うな。ああせねば、この国自体が魔物の標的になったかもしれぬのだ」



勇者「……はあ……」



王様「時に勇者よ! 今この国が存亡の危機に貧しておることは知っておろう!」



勇者「…………いや、知りませんけど」



王様「なんと」





王様「主は号外や新聞を読書せんのか」



勇者「新聞にお金使うんだったら、うちはギャンブルでお金使ってましたね」



王様「ぬぬ……お主! それは勇者としてあるまじき行為ぞな!?」



勇者「僕じゃねえよ。あんたが僕を預けたギャルママのことだよ」



王様「そんなバカな……きゃつには愛人料……いや、君を育てるのに月20マンエンは渡しておったのだぞ!」



勇者「青少年も見てるかもしれねえから愛人とかいうな、リアルすぎるよパパ」



王様「むう、まあ良い! 簡単に説明するとこの国は今、狙われておるのだ!」



勇者「はあ……お決まりの魔王に狙われているとかいうパターンですかね?」



王様「いや、隣の国のガルパーン帝国にじゃ!」



勇者「戦車とか出てきそうだしモロパクリ名やめろや」





王様「むむ、主は何故それを知っておる! そうじゃ、戦車大国と言われるガルパーン王国のニシズシ王子が、この国を占領しようとしておるのだ!」



勇者「また強そうな流派の名前してんな」



王様「とにかくじゃ! ガルパーン王国の攻撃を受ければ、我が国はひとたまりもない!」



王様「つー訳で、旅に出てガルパーン王国滅ぼしてくんない?」



勇者「ちょっと待て。僕はそのために16歳になるまで育てられたのか」



王様「いやあ~、なんていうか~? 魔王に攻め込まれる前に他の国にうち取られたくないしィ~」



勇者「てめえうちの母親からギャル語うつってんじゃねーか」



王様「そんなことないしぃ~?」



勇者「…………」



王様「とりま、そういう訳で、旅に出てほしい。まあまあ待て待て。そんなに睨むんじゃない。ちゃんと仲間はおる」



勇者「…………仲間?」






王様「まあ、仲間というかなんというか」



勇者「?」



王様「いざとなったら、うちの姫を嫁に出してでも、戦争を止めねばならんのだ……ということで」



王様「きたまえ! 姫よ!」



勇者「…………姫?」





その時どこからか、世紀末に聞こえそうなバックミュージックが流れる



ダダダーーーン!! ダダダダーダダダダーッ ダーッ ダーッ ダッダッ



勇者「…………」



王様「…………紹介しよう…………!」



ダダダーーーン!! ダダダダーダダダダーッ ダーッ ダーッ ダッダッ



王様「わが娘である姫君!!」



王様「ケンスロウ姫じゃっ!!!」



ユーワッ シッヤアアア!





ケンスロウ「……お前はもう……生きている」



勇者「ちょっと待て」






ケンスロウ「……」



王様「…………何?」



勇者「いや、何じゃねえ」



ケンスロウ「……」



王様「…………何か?」



勇者「何かじゃねえコラ。ちょっと質問するから、正直に答えろギャル王」



王様「……口悪いなあ」



勇者「…………何なの? この人」



王様「えっ」



ケンスロウ「……」



王様「何って」



王様「私の娘で、お姫様ですけど」



勇者「いやいやいやいや」







ケンスロウ「…………」



ケンスロウ「……私は第77代ノース神拳伝承者…………」



ケンスロウ「ケンスロウだ」



勇者「あ、うん。ごめん、君ちょっと黙っててくれるかな?」



ケンスロウ「……」



王様「……」



勇者「……おい」



王様「……」



勇者「おい!!」



王様「あっ。はい」




勇者「……なんなの? この筋肉もりもりの人」



王様「……何って……」



王様「私の娘の、ケンスロウですけど」



勇者「……気のせいかな? 胸とは思えない筋肉の胸に、7つの傷があるんですけど」



王様「ああ、ケンスロウは修行が趣味でね。自分への戒めのために胸に7つの傷を負ったんだ」



勇者「いや、まあ。そこはいい」



ケンスロウ「……」



勇者「…………この人、男だよね?」



王様「な、何を言う! ケンスロウは立派な女の子であるぞ! なんたって姫だぞ!」



ケンスロウ「……今日よりも明日、久しぶりに良い言葉を聞いた」



勇者「いや誰もんなこと言ってねえ」





ケンスロウ「…………」



王様「……全く、何が言いたいんじゃ君は」



勇者「いや、僕はこの中で正常であり唯一のツッコミ役を担っていて、僕がいなかったら崩壊すんぞこの話」



王様「とにかく! この子は娘じゃ! ワシと妻との間にできた子供じゃーっ!」



ケンスロウ「……てめえらの……」



ケンスロウ「てめえらの血は何色だーーーっ!!」



勇者「赤だよ。赤以外何があんだよ。ていうか君さっきから言葉のチョイスが全部異常なんだよ。しかもそれ君が再現したいキャラの名言じゃねえよ。ツッコミ切れんわ」



王様「まあまあ。とりあえずケンスロウは間違いなく女子じゃ。困ったらケンスロウをニシズシ王子に嫁にやればよい」



勇者「ニシズシ王子絶対その条件受けねえだろ」



ケンスロウ「……」



勇者「て、ていうか君も何か言ったら? こんなお父さんの言うこと聞いてていいの?」



ケンスロウ「……」



ケンスロウ「オレの墓標に名はいらぬ」



勇者「もう最終シーンまでいってるじゃねえか。ていうか死ぬな。生きろ」





王様「てな訳でじゃあ、仲良くね」



勇者「おいコラ。まとめようとすんじゃねえ。全然まとまってねえ」



ケンスロウ「行こうバット。KINGがオレを待っている」



勇者「僕バットでもなんでもないんですけど。つか誰だよKINGって」



王様「……ていうか、君……」



勇者「……ん?」



王様「…………女の子だよね?」



勇者「はっ………………!」



勇者「はああああああ!?」



勇者「ぼ、僕は男だっ!」



勇者「僕は確かに細くて声も高くて胸もす、少し出てるけど……お、男だっ!」



王様「……ツンデレ、僕っ子か……やるな。ギャルママ」



ケンスロウ「……ユリア……」



勇者「僕はユリアじゃねえ! どっかのヒロインと一緒にするな! 僕は男だあっ!」






王様「……ちなみに、今日生理?」



勇者「あ、うん。ちょっとひどくってさー……」



王様「…………」



勇者「…………」



ケンスロウ「…………」



王様「女の子じゃん」



勇者「…………」



ケンスロウ「…………」



ケンスロウは勇者の肩を掴む



ケンスロウ「…………人は愛深きゆえに、愛を捨てる」



ケンスロウ「君は愛を捨てなくていいんだ。リン」



勇者「捨ててねえよ!! まだかろうじて持ってるよ!! ほんで誰がリンだ誰があ!!」



王様「…………じゃ、いってらっしゃーい」










こうして、なんやかんやあったが、勇者とケンスロウは旅に出発した






~道中~




勇者「…………うう…………最悪だ…………」



ケンスロウ「……」



勇者「僕は男……僕は男だ……」



勇者「女なんて……軟弱な生き物に……」



ケンスロウ「……どうしたのだ。ユリ子」



勇者「……なんですか。ユリ子って」



ケンスロウ「……君は、勇者様なのだろう」



勇者「……本当にそうか分かりませんけどね」



ケンスロウ「だから、頭文字のユを取って、ユリ子だ」



勇者「……」



勇者「いや、まあ……もうそれでいいですよ……」



ケンスロウ「……ふ」






勇者「…………ケンスロウさんこそ」



ケンスロウ「ん?」



勇者「本当は……お、男なんでしょ?」



ケンスロウ「……」



ケンスロウ「私は女だ」



勇者「……いや、そんな短髪で、マッチョで、下半身モッコリで、とてつもなく渋い声で言われても全く信憑性がないんですけど……」



ケンスロウ「……ユリ子。聞いてくれ。こんな言葉がある」



ケンスロウ「ならば神とも戦うまで!!」



勇者「いや……あなた女の子を突き通すために神と戦うんですか。どんだけですか」



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