女「私はあなたのあられのない姿が見たいのです」(11)

女「見てください。劇的ビフォアアフターもかくや。あんなに汚かった、あなたの部屋が見違えるようでしょう」

男「たしかに部屋は綺麗になった。しかし、俺は問いたい。頼んだか?」

女「善行は頼まれてするものでしょうか」

男「もう一度、問おう。どうやって、人の部屋に入ったんだ?」

女「ピッキング技術でちょいちょいと」

男「こわ」

女「ところで、縄をほどいてくれませんか。拘束する必要がないことは知っているでしょう」

男「つい、身に染みついた、緊…捕縛術が炸裂してしまった」

女「緊縛と言おうとしましたね。意外な一面ですね。長い付き合いですが、知りませんでした」

男「ああ。知られたくない一面は誰にだって、あるもんさ」

女「いいから、解いてくださいよ。痛いんです」

男「ああ。だが、迷っているんだ」

女「迷うところがあるのですか?」

男「縄がお前の柔肌に食い込んでいるのは、とてもいいからさ」

女「こわ」

男「まあ、ほどくけどね」

女「ありがとうございます」

男「……」

女「腕についた、縄の跡を注視しないでください」

男「おっと、いけない。さて、どうしてこんなことをしたんだ?」

女「はい。私とあなたは長い付き合いですよね」

男「そうだな。幼なじみと言ってもいいんじゃないか」

女「過言ではありませんね。私はこれまでのあなたの日々を思い出していたのです」

男「へえ」

女「私はあなたのことが異性として、好きだと思い至りました。だからです」

男「……無断に部屋へ入る理由が?」


×あられ(の)ない
〇あられ(も)ない

女「はい。私はあなたの部屋がとても汚かったことを思い出しました。片付けを行えば、あなたは私に感謝をするのではないかと考えたのです」

男「そうか。だがな、俺は汚い部屋が良かったんだよ」

女「見識の違いですね」

男「ああ。悲しいもんだな。」

女「まったくです」

男「まあ、理由は解った。ところで、俺と付き合おうってこと?」

女「……そう思っていましたね」

男「過去形なのか?」

女「過去形になったのには訳があるのです。これを見てください」

男「これは……俺のエロ本……」

女「はい。エッチな人はちょっと」

男「お前、不法侵入しておいて、その言い草か」

女「ちょっと、本多すぎじゃないですか」

男「そうか?」

女「数えたら五百冊ありましたよ。しかもsмばかり」

男「ああ。sмが好きなんだ」

女「きも」

男「見識のちがいだな。悲しいもんだ」

女「まったくです」

男「一応、隠しておいたんだがな」

女「私の清掃技術の賜物でしょうかね。それにしても、まあ、よくもこんなに集めたものです」

男「ああ。数年分の成果だ」

女「まあ、読めば、面白いと言えば、面白いですけど。こうしたことに興味があるのですか」

男「ああ。性的嗜好にびびっと来る。オナニーしまくりだ」

女「そうですか。良かったですね」

男「ああん」

女「身体を震わせて、どうしたのですか」

男「出た」

女「そうですか。良かったですね」

男「ああ。良かった」

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