凛「西木野☆星空シアター!2本目!」真姫「お楽しみはこれからよ!」 (981)

真姫「このスレはSSスレ『真姫「西木野☆星空シアター!」凛「二本立てにゃ!」(真姫「西木野☆星空シアター!」凛「二本立てにゃ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420381422/))』の続きにあたるスレよ」

凛「どういう内容のSSかは前スレ参照にゃ」

真姫「それだけだと寂しいから簡単に説明すると」

真姫「安価しない真面目でシリアスな愛と絆の物語と、安価するアホでカオスでワケワカンナイ話の二つを交互に織り交ぜて」

真姫「読者を混乱させるSSよ」

凛「全く毛色の違う二つのSSを同時にやっていくスタイルってことだよ!」

真姫「一応混乱しないように名前欄に今どの話をやっているかを逐一書いていくけど」

真姫「こっちもよく混乱してるから間違ってたら教えてね」

凛「そして凛たちはその二つの物語をモニターで見ているって設定の進行役ね」

真姫「そろそろいらない子という噂もチラホラ出てるけど気にしないわ」

凛「そんなことないよ!それじゃ…、西木野☆星空シアター!」

真姫「開幕よ!」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424960858

真姫「スレタイが何も思い浮かばなかったわ。遊戯王とのクロスSSだと勘違いしてくる人がいなければいいけど」

凛「んまー、時々遊戯王ネタも使わないこともないから少しでも興味持ってくれたならいいんじゃない?」

真姫「そうね」

真姫「じゃあ早速だけど、今日はうろ覚えラブライブ!通称うろライブ!2期の第六話をやっていくわ」

凛「アニメラブライブ!2期の第六話と言えば…」

真姫「アイドルマスターミリオンライブをやる話だったわね」

凛「いや全然違うよ!?その…、そのGREEじゃないからね!?」

真姫「わかってるわ。いわゆるライブお披露目のための休憩回のようなものよね」

凛「いやいや…、休憩っていうけど凛たちも色々大変だったじゃん」

凛「というか今思い出しても意味わかんないよ…。なんであんなことやったんだろう凛たちは…」

真姫「その本編ですらイミワカンナイな内容の第六話。一体うろライブ!ではどうなっちゃうのかしら?」

凛「じゃー、前回の忘却のおさらい!六話はこれといって目立つ人がいないからってことでランダムで決めたんだったっけ」

真姫「その結果忘れた3人はにこちゃん、花陽、穂乃果ね」

凛「にこちゃんの忘れることは…、断るということだね」

真姫「これからどんな要求にもイエスと答える究極のイエスマンになっちゃうのね」

真姫「…なんだか卑猥な妄想が脳裏をよぎったけれど気にしないことにするわ」

凛「何をする気なの…」

真姫「そして花陽。花陽は漢字を忘れるのよね」

凛「で、でもかよちん元から漢字読めないキャラだったのにさらに忘れちゃうって…」

真姫「ついに花陽は『えっと、これなんて読むんだっけ…』から『え、なにこのよくわからない記号』って反応になっちゃうのよね」

凛「逆さまにしてもアイシテルのサインにはなりそうにないにゃ」

真姫「そして最後、穂乃果は…」

凛「絵里ちゃんにゃ」

真姫「ついに来たμ's…もといアネックス1号メンバーの忘却。前回はこれのおかげで難儀だったわ」

凛「このお話の中で友情を深めていけたらいいね」

真姫「そううまくいけばいいけど…。じゃ、そろそろ始めますか」

凛「うろライブ!第六話~…、スタートにゃ!!」

>>6 満足ってなんだ?

穂乃果「前回のラブっ…、が、な…ない、だと…!!?」

絵里「いきなりどうしたのよ穂乃果…」

穂乃果「は?誰?」

絵里「えっ」

穂乃果「えっ」

希「なんやいきなりこじれそうな始まり方を…」



ファーストフード店


数分後…


絵里「…で、私がその元生徒会長の…」

穂乃果「えぇぇぇっ!!!?元生徒会長さんだったんですか!?ビックリ…」

穂乃果「あれ、じゃあ今の生徒会長って…?」

にこ「あんたよ」

穂乃果「なん…だと…!?」

真姫「そこもなんだ…」

穂乃果「でーでー?なんでその元生徒会長さんが私たちと一緒に…」

花陽「それは最初に言ったでしょ!?絵里ちゃんも私たちアネックス1号のメンバーで…」

穂乃果「そ、そうだったのかあぁぁ…!まさか私たち…」

穂乃果「が火星に行く選ばれしメンバーだったなんて…!」

凛「それは違う話だにゃー!!」

穂乃果「あ、花陽ちゃん!先輩にはさんをつけないとダメなんだよ!ね?絵里さん!」

希「せ、先輩禁止…」

真姫「どこまで忘れれば気が済むのかしらね」

絵里「…ねぇ、もうそろそろ話戻していい?」

にこ「いいんじゃない…。穂乃果に説明してたらいつまで経っても前に進まないわ…」

絵里「そうね…」

絵里「…あれ、なんの話だったかしら」

凛「ほぇー?そ、そういえば…」

希「んんん…、なんだったか…」

絵里「あ、そうそう!」

絵里「>>10の話をしてたんだっけ!」

遊戯王

絵里「遊戯王の話をしてたんだっけ!」

真姫「そうだったかしら…?」

絵里「えぇ、確かゴースト王-パンプキング-を使ったデッキの話をしていたはずだわ…!」

凛「めっちゃ昔のカードだにゃ!たぶん凛たちが生まれてないくらい」

花陽「流石にそこまでではないと思うけど…」

絵里「実は最近ゴースト姫-パンプリンセス-というカードも登場したのよ!こっちは厄介なカードでね…」

希「いやそんなんどうでもええわ!うちカードには興味ないし…」

穂乃果「えっ!?希ちゃんタロットに興味なくなっちゃったの…!?そんなのダメだよ!」

希「いやそういうわけじゃ…」

穂乃果「希ちゃんからタロットを取ったらそれはもう脂肪の塊だぐぶふぅぅっ!!!」

希「…殴るよ?」

花陽「もう殴ってるよ」

絵里「ほら見てごらんなさい!店内もこんなにカボチャで彩られて…」

絵里「どうして店内がこんなにカボチャ一色に!?」

にこ「ハロウィンだからよ」

絵里「あそっか、ハロウィンの話をしてたんだったわね。失敬失敬」

真姫「…やっと本編が始まるわ…。長い…」



穂乃果「ハロウィンイベント…?」


絵里「えぇ、みんなハロウィンは知ってるでしょ?」

穂乃果「知らない」

にこ「名前は知ってるけど」

凛「んー…、よくわかんないにゃ」

花陽「お米食べたい」

希「まさかにこっちに妹がいたなんてなぁ…」

真姫「またこじれるのかぁぁあぁっ!!!!」

絵里「真姫が猛っている…!でもみんながこんな反応を示すのは想定内よ!」

絵里「さぁ真姫!ハロウィンについて説明しなさい!」

真姫「え、わ、私がぁ…!?え、えっとねぇ…。ハロウィンっていうのは…」

真姫「みんなで一斉に>>14をして盛り上がるイベントなのよ」

真姫「合言葉はトリックオア>>16、これは>>17をくれなきゃ>>19するぞ、って意味なのよね」

デュエル

サティスファクション

カード

滅びの爆裂疾風弾

真姫「ハロウィンっていうのは」

真姫「みんなで一斉にデュエルをして盛り上がるイベントなのよ」

真姫「合言葉はトリックオアサティスファクション、これはカードをくれなきゃ滅びの爆裂疾風弾という意味なのね」

にこ「やっぱり遊戯王の話だったのね…」

凛「なにそれ!面白そう!アンティルールとか設けられてるのかな!」

花陽「何枚かのカードを集めると決勝戦の場所がわかる的な…」

絵里「いたずらか満足かってもうどっちも嫌な選択肢でしかない気がするわ…。普通なら満足はとてもいい言葉のはずなのに…」

穂乃果「もう何の話かさっぱりだよ」

希「うちも…。滅びの爆裂疾風弾って何よ…」

真姫「…っは!?わ、私ったら一体何を…」

真姫「こじれるから普通のことを言おうとしたはずなのに…、ぐっ…、謎のフィールの影響だわ…」

凛「フィール怖いにゃー」

真姫「もう遊戯王はどうでもいいのよっ!えっとね、ハロウィンっていうのは…」



穂乃果「ほうほう、ハロウィンとはそういうイベントだったのかー…」

絵里「そう。実は今年、アキバをハロウィンストリートにするイベントがあるらしくてね」

凛「あ!クッキーモンスターが好きだったにゃ~!」

にこ「それはセサミストリート…」

絵里「…それで、地元のスクールアイドルであるA-RISEと、アネックス1号にも出演依頼が来ているのよ」

穂乃果「ほぇー…」

穂乃果「…あらい…」

真姫「A-RISE」

穂乃果「…あらいず、へぇ…」

花陽「A-RISEの事覚えてないよねこの反応」

希「穂乃果ちゃんはもう放っておこう」

真姫「…で、それって歌うってことでしょ?ありがたい話だけど、この前のふぁっそんそーといい、そんなことやってていいの?」

真姫「えー…、最終…、昆虫採集も近いのに!」

凛「小学生か」

にこ「最終予選でしょ!私たちの目標はラブライブ優勝なのよ!」

絵里「確かにそうだけど、こういう地道なカツ丼も重要よ」

花陽「カツ丼…!じゅるっ…」

絵里「お弁当には、テレビ局の主菜も来るみたいだし!」

花陽「お、お腹が…」ギュルルルル…

真姫「お腹すいてるならなにか頼みなさいよ…」

にこ「テレビ!?」

希「今の情報から正確な部分を抜き出した反応やね」

にこ「テレビってあのテレビよね…!?」

にこ「ってことはにこたち…、全国区に>>25しているところを放送されかねない…!?」

リミットオーバーアクセルシンクロ

にこ「リミットオーバーアクセルシンクロしているところを放送されかねない!?」

凛「何に乗るつもりにゃ…」

にこ「つまるところ金色に輝いているにこたちがお茶の間に流れるのよ!?」

にこ「それってなんか…、恥ずかしいじゃない!」

絵里「今更にこが恥ずかしさを語るのね」

にこ「ぐぅぅぅ…!アイドルとして目立ちたい気持ちはあるけどバイクに乗って金色に光るにこを目撃されるのは少々…」

希「にこっちの中では光るのは恥部を晒す程度に恥ずかしいんやね」

にこ「だってあんなに光るとか…///鼻血ものだわ…。召喚口上も長々と喋る必要あるし…」

凛「でもにこちゃんバイクの免許持ってないし関係ないと思うよ」

にこ「あ!そ、そういえばそうだったわ…!なら心配ないわね!テレビ局バッチこいよ!」

穂乃果「手のひら返しが素早い!さすがデュエリスト!」

花陽「それはさておき…、A-RISEと一緒ってことはみんな注目するよね…」

花陽「…浣腸しちゃうなぁ…」

凛「へ?浣腸?」

真姫「…そういえば花陽はそっちの趣味が…」

花陽「き、緊張を噛んだだけだから!そんな…衆人環視でおもらしなんて…でゅふふ…」

にこ「あのA-RISEよりインパクトの強いパフォーマンスをすれば、お客さんの脳裏に私たちの存在が焼き付くはず…!」

にこ「あぁでもA-RISEに勝つなんてにこたち程度には恐れ多い…!…諦めましょう!」

絵里「どうして諦めるのよそこで…。頑張りましょうよ」

花陽「い、インパクトの強いパフォーマンス…!!ゴクリッ…!!」

真姫「やめろ」

穂乃果「そっかー…。インパクトねー…。これからはインパクトの時代だよね!」

穂乃果「もうメガネは古い!」

希「たぶん穂乃果ちゃんの言ってるのはコンタクトやと思うわ」

真姫「…ところで穂乃果」

穂乃果「ほぇ?」

真姫「あなた、こんなところにいていいの?」

花陽「性奴会長の仕事は?」

にこ「っ!それなんてエロゲ!?」

希「生徒会長の仕事ね」

穂乃果「生徒会…、っは!!」


スタスタ…


海未「>>31

ことり「>>32

ポケモンしますよ!

デスアローシュート!!

海未「穂乃果、ポケモンしますよ!ポケモン!」

穂乃果「う、ぇ海未ちゃんっ!」

絵里「どういう名前の発音!?」

希「ぅ絵里ちゃんに対抗したんかな?」

海未「ふふふふふふ、最近と言えば生徒会の業務をサボってポケモンづくしなのです」

海未「さぁ今日も厳選作業と行きましょう穂乃果!!」

穂乃果「いやだぁっ!!もうあんな上下左右に行ったり来たりするだけのゲームなんてしたくないよぉっ!!!」

海未「くっ…、ならば仕方ありませんことり!私が直々に伝授したあの技で!」

ことり「ラジャー!はぁぁぁっ…!!」

ことり「デスアローシュート!!」ズギュゥゥゥゥゥゥンッ!!

穂乃果「おどししっ!!!?」ズゴォォッ!!

真姫「神速の貫手が穂乃果のみぞおちに…!」

ことり「デスアローシュート!!デスアローシュートっ!!」ズゴォォ!!

穂乃果「まりるっ!!?むうまあじっ!!?」

凛「もうやめて!穂乃果ちゃんのライフは0だにゃ!」

花陽「そろそろ許してあげてよ…」

にこ「許してくださいってかぁ?許してやるよォ!」

希「(これ以上パロは)やめろリリエル」

真姫「もうナニコレイミワカンナイ!!」


穂乃果「ぐぅぅぅ…」

海未「失礼しました、それでは穂乃果は私たちが責任を持って持って帰ります。よいしょっ」

ことり「次は両刀ムクホークの厳選しようね~」

穂乃果「む、むり…ガクッ」




絵里「なんだったのかしら…」

希「とりあえずサボりはいかんってことやね」

凛「生徒会役員全員が機能してない時点でサボりとも言えない気がするにゃ…」




うろ覚えラブライブ! Forgotten Idol Project

第六話「かぼちゃパンツ祭りってあったら楽しそう」



部室


カボチャ「うぅぅん、インパクトかぁぁぁ…」

カボチャ「虫はボク嫌いだよぉぉ…、お顔もほら、穴だらけだぁぁぁぁ」

幽霊「それはインセクトだよ穂乃…、カボチャくん!」

幽霊「今回は大会じゃないから、優劣をああメンドクセェ後頼んだ」

骨「ちょっ…、こと…、幽霊君!地声出てる地声!」

フランスパン「確かに採点も順位もないけど、お客さんの印象に残ったほうが」

骨「なんでアンタフランスパンなのよ!?」

フランスパン「これしかなくて…」

カボチャ「なるほどー…」

幽霊「お前話聞いてないだろ」

骨「とどのつまり!目立てば最終予選も有利に働くってことよ!」

フランスパン「そのとおりよ!」

絵里「それにA-RISEは前回の…もぐっ、もぐもぐ、優勝者」

フランスパン「ちょっ!食べないでよ!これ私の!」

絵里「印象度では向こうが圧倒的に上よ!」

幽霊「シロウトにしかみえないー」

絵里「それどこまで広がってんのよクソがっ!!ってかこんな大事な話をしなきゃいけない時に…」

絵里「一体何やってんのよ!?」

穂乃果「ちょっとハロウィンってやつを体験したくてー…」

ことり「シロウトにしかみえないー」

絵里「やめろ」

真姫「…実はこの世界線では絵里はそのセリフを言ったことはないのよね」

にこ「え、真姫ちゃん今なんて?」

真姫「ん?私なにか言ったかしら?」

にこ「いや、別に…」

絵里「…はぁ。たとえ同じことをしてもあっちは前回の優勝者だから有利」

絵里「じゅじゃいしゅるがわだってまじゅはありゃい…えぇいこのっ!!」

ことり「じゃあ私たちの方が不利ってこと?」

にこ「今のでよくわかるわね…」

絵里「そうなるわね。だからこそ印象的なパホーマンシュで…うん、もういいや」

真姫「噛んだからってあきらめないでよ…」

絵里「あぁもう真姫かわいい。私この時空ではえりまきを目指すわ」

真姫「ハァッ!?」

ことり「A-RISEよりも印象に残るって…」

穂乃果「どうすればいいんだろう…」

にこ「だから何回も言ってるでしょ!とにかく>>38せつなのはイン>>39よ!」

たい

にこ「とにかく大切なのはイン鳥よ!」

穂乃果「イン鳥って何!?」

真姫「イン鳥…、つまりことりをなにかにブチ込むってことね」

ことり「えっ…」

絵里「待って、それだと鳥インなにかになっちゃうわ」

絵里「つまりイン鳥とはことりの中に何かを入れるってことになるのよ」

ことり「待て待て待て」

穂乃果「ナニかを、挿入(いれ)る…!?」

ことり「ねぇ?もうほらすぐそういう発想に行っちゃう」

ことり「にこちゃんっ!そういうことじゃないんでしょ!?本当は…」

にこ「そういうことよ!鋭いわねみんな!」

ことり「正解かよっ!!」

にこ「さぁことり…、このぶっといアレを一気にブチ込んであげるわ…!」

ことり「ひっ…!!?いやそんな腕より太いモノ…!」

穂乃果「ことりちゃん!これもみんなラブライブのためだよ!」

真姫「ガマンして受け入れるのよ!」

絵里「安心して、痛みは一瞬よ!」

ことり「そんなわけあるかぁぁぁぁぁっ!!」

にこ「さぁ行くわよ…!ふっ!!」ズニュッ

ことり「おふぅっ」




なんか取材会場


レポーター「さぁ!というわけでイエイッ!今日から始まりましたアキバハロウィンフェスタ!」

レポーター「テレビの前のみんなぁぁぁぁ!?はっちゃけてるかぁぁぁいっ!!」



穂乃果「あの人、私たちよりインパクトあるねー」

凛「あのー、ところでことりちゃんはその後…?」

にこ「気にしないで、これが後々私たちを有利に進めてくれるのだから…!」

凛「いやでも…」



レポーター「ご覧のとおり、イベントは大盛り上がり!仮装を楽しんでいる人もたくさん!みんなもまだ間に合うよ!!」

レポーター「そしてそしてなんと!イベントの最終日には!スクールアイドルがライブを披露してくれるんだぁああははははははやっほー!!はっちゃけてるぅぅぅ?」

穂乃果「なんだテメェ殺すぞ」

レポーター「ライブにかけての意気込みをどうぞ!」

穂乃果「なっ!急な脅迫にも屈せず自らの任務を全うするその姿勢…!…負けたよ」

レポーター「いやいいから意気込み!!はよ!」

穂乃果「え、えーっと…>>43

凛「>>44

にこ「>>45

リリカルマジカル頑張ります☆

アストラエアの白き永遠よろしくおねがいします

ハラショー

穂乃果「リリカルマジカルがんばります☆」

レポーター「うわ古っ!古すぎてお姉さん引いちゃうよー!キミ何歳?」

穂乃果「えっと中の人は…」

レポーター「さぁ爆弾発言が飛び出さないうちに次のキミにも聞いちゃうぞ!!」

凛「穂乃果ちゃんが主題歌とヒロインの一人を担当しているアストラエアの白き永遠よろしくおねがいします」

レポーター「おぉ!?何かよくわかんないけどそっちの子はお仕事も兼任してるのかー!みんな、帰ったらパソコンでチェックだ!」

穂乃果「ねぇ凛ちゃん、今はそういうのやめ…」

にこ「私も!にっこにっこ…」

にこ「と見せかけてのここはハラショー!!どう?あえて他人のネタをパクるというこの高等…」

レポーター「さぁというわけで音ノ木坂学院スクールアイドルでしたー!」

にこ「おぉぃ!」

レポーター「そしてそしてぇっ!」


モニター『ピッ』


レポーター「ぬぁぁんとっ!A-RISEもライブに参戦だぁぁぁぁぁぁっ!!」


キャァァァァァァァッ!!


ツバサ『えと、これ高坂さんも見てるの?見てるのよね』

英玲奈『おいツバサ、もう始まって…』

ツバサ『イエー!マイスイートハニー穂乃果高坂!アイラービューフォーエバー!!』

あんじゅ『はいここカットねー』

ツバサ『させるものですか!私の高坂さんへの愛をこうやって全国に…』

英玲奈『たぶん高坂さんには英語は伝わってないぞ』

ツバサ『なんですって…!?アホとは聞いていたけどまさかそこまで…!仕方ないわ』

ツバサ『セックスしましょう、高坂さ』プツッ


シーン…


レポーター「えー…、すいませーん…。映像を間違えたそうでーす…」

レポーター「はい気を取り直してぇっ!!本来の映像はこっちだぁっ!!」


(中略)


ツバサ『ハッピー、ハロウィーンッ!!』キラーンッ

パパパーンッ!!


レポーター「なんということでしょう!さすがA-RISE!いろんな意味でものすごいインパクトぉっ!!」

レポーター「このハロウィンイベントォ!目が離せないぞぉ!!」



穂乃果「お熱いなぁ…、綺羅オデコさん…」

凛「ブッ」

にこ「…不意打ちはやめて」

穂乃果の部屋


凛「うわー…、結構ダイタンな本も持ってるんだねー…。うわっ…、うわー…」


にこ「もー!A-RISEに完全に持ってかれたじゃない!」

穂乃果「あれは仕方ないよもう。あれ以上は脱ぐしかないって」

にこ「くっ…、なら脱げば良かったわ…!!にこにーの超絶せくしーぼでーなら最高のインパクトが…」

凛「にこちゃんの裸見て喜ぶのは一部のペドフィリアだけ痛ァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

にこ「誰が洋ロリよ!」

凛「おごぉぉぉ…!!欧州成分を付け足したつもりは微塵もないにゃぁ…!!」

にこ「とにかくこれは問題よっ!このハロウィンイベントをモノにしないと、最終予選を勝ち抜くのは難しくなるわ!」

にこ「あのお客さんの盛り上がり、見たでしょ!?」

穂乃果「盛り上がりっていうかドン引いてた気もするけど、確かに…」

凛「その通りにゃ、わかるにゃ」

にこ「あれだけの実績を残しながら、現状に満足せず努力している!」

凛「そうにゃそうにゃ!」

穂乃果「やっぱり…えー…、何言おうとしてたんだっけ」

凛「そのとおりにゃ!」

にこ「…」

穂乃果「…」

凛「わかるにゃー!」

にこ「最近お金がなくて困ってるのよね」

穂乃果「私も」

にこ「凛、ちょっと財布いじってもいい?」

凛「やれやれ!そこにゃ!」

穂乃果「ありがとー…、うわ、少な…」

凛「余計なお世話にゃ!」

にこ「いくらかもらっておくからねー」

凛「いいけど明日までに50倍にして返すにゃ!」

にこ「って聞いてんじゃないのよ!!」

穂乃果「漫画読みながらこっちの話も聞いて器用な真似するんだね…」



中庭


穂乃果「うーん、インパクト、インパクト…」

ことり「スーパーロボット大戦impact…、一時間でクリア…」

海未「それは確かにインパクトあるでしょうが…いや何の話ですか」

穂乃果「今の私たちにはインパクトがない!」

ことり「でもインパクトって云々」

穂乃果「あー…、なるほど…」

海未「何がわかったんですか今ので…。とにかく、まず>>50を変えることから始めるべきかもしれません」

中の人

海未「まず中の人を変えることから始めるべきかもしれません」

ことり「えっ…」

穂乃果「中の人…」

海未「最近思っていたのですが、我々の中の人は少し知名度に問題があると思うのです」

ことり「あの、海未ちゃ…」

海未「いえまぁ私は?私はほら、あれがあるじゃないですか。ミルキィなんとかホームズが。すっごい有名ですよ」

海未「それに比べて…ことりは何がありますか?あびゃーとか意味不明なこと喚き散らしているだけではないですか」

ことり「いきなり何を…」

海未「穂乃果も穂乃果で最近声に勢いがありません。しかも名義を変えてエr…」

穂乃果「それ以上はアウト」

海未「そろそろ私たちの中の人も世代交代をするべきだと思うのです。絵里だってこの中で一番有名だと思いますが少し疲れが見えますしお寿司」

海未「いっそこの際今一番勢いのある若手声優さんたちに交代を頼むのはどうでしょう!例えば洲崎…」

ことり「海未ちゃんが壊れちゃったぁぁっ!!中の人とか意味わかんないこと言い出したよ!?」

穂乃果「一種の混乱だようんきっとたぶん!衝撃を与えて忘れさそうもとい正気を取り戻そう!」

ことり「うん!オラァ海未公なにワケわからんことほざいてんじゃワレェ!!」

海未「っ!」ビクッ

海未「こ、ことり…、っは!私は今まで一体何を…」

ことり「よかった!海未ちゃんが元に戻った!」

穂乃果「…ふぅ、もう少しで海未ちゃんまで『こちら側』に来る所だったよ…」

ことり「えっ」

穂乃果「ナンデモナイノヨナンデモ」

海未「そ、そういえば何の話でしたっけ」

ことり「え?えーっと…、確かこのままじゃいけないって話をしてたんだよね…?」

穂乃果「そうそう!インパクトがないから…、なにかしようってことで!」

海未「なにか、ですか…。そうですね…」

海未「では色んな>>53(ex.部活)の>>55(ex.服を着る)というのはどうでしょう」



※上のフォーマットにあった感じの安価でお願い

テイルズキャラ

キグルミ

真姫「というわけでもう起きてる人も少ないだろうし今日はここまでね」

凛「これからも夜遅くまで付き合ってくれるとありがたいにゃ」

真姫「そして最後はテイルズとはね…。わかるっちゃわかるけどまたパロディになっちゃうわね」

真姫「いけないとは言わないけど、あまりにパロディが多すぎるとわからない人が付いてこれないかもしれないのよね」

凛「って言いながらもこっちもパロディ多用してるよ」

真姫「それはまぁ…、サッと流すからいいのよ。うん」

凛「いいのかな…」

真姫「なるべく、わかる範囲のパロディは濃い目にやるからあまり連続して安価を取るのは遠慮してもらいたいっていうのが本音ね」

凛「一回の更新につき一回分くらいならちょうどいいかもね!」

真姫「ま、強制はしないわ。ここでこのネタぶっこむと面白いって思ったなら遠慮なくちょうだいね」

凛「みんなのボケも期待してるにゃー」

真姫「じゃ、今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

凛「次に超振動を起こして街一つ崩壊させて師匠に責任を押し付けて仲間から総スカン喰らった挙句に自分はレプリカだという事実を突きつけられるのはあなたかもね?」

真姫「長い」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!」」

すまんな またこんな時間だけどやっていきます
パロディは控えめに やる分には徹底してやるけどな

海未「色んなテイルズキャラのキグルミを着るというのはどうでしょう」

ことり「テイルズ…?」

海未「旧ナムコやバンダイナムコゲームズから発売されている国産ARPGの最大手シリーズです」

海未「一貫して異世界風の幻想的な世界観のもと、大抵世界を滅ぼす巨悪に立ち向かうためのストーリーが展開されます」

海未「特徴的なのはその戦闘システムで、エンカウント方式ですが戦闘はアクションゲームのような爽快感にあふれているのです」

海未「近年ではただ特技を連発するだけでなく、特定のルートでのみ繋がるコンボを研究するもの楽しみのひとつになっていますね」

ことり「はぁ…」

穂乃果「アリだね!バンナムつながりで!」

ことり「どこも繋がってないよ!?」

海未「では早速用意しましょう!各シリーズからそれぞれ一人ずつ…」

ことり「えぇぇぇぇぇぇ…」



グラウンド


穂乃果「私は…、ダオスをだおす!」

穂乃果「クレス・アルベイン!」キラーン


真姫「なに、気にすることはない。リミッターを外させてもらうわ!」

真姫「ウッドロウ・ケルヴィン!…ぐふっ、あとは頼んだわよ…」バタリッ


花陽「いんふぇりあ!せれすてぃあ!どっかーん!ばいば!」

花陽「メルディだよーっ!」クィッキー


希「闇の炎に抱かれて馬鹿なっ!ダークフレイムマスターちゃうよ!?」

希「ジューダスやん!」リオーン


海未「…教室に戻ります。ここにいると馬鹿な発言にイライラさせられる」

海未「ジェイド・カーティス!…急に飛びましたね」ショアクノコンゲーン


ことり「穂乃果穂乃果穂乃果…バカみたい」

ことり「サレ!…あ、誰に向けて言ったとかはないから」グミナラボクモモッテルーン


凛「天光満つる所に我はあり!黄泉の門ひらく所に汝あり!出でよ、神の雷!!」

凛「子供だと思ってナメないでよね!ジーニアス・セイジ!!」インディグネイショーン


絵里「選ぶんじゃない、もう選んだのよ。…これいいセリフね」

絵里「ユーリ・ローウェル!融合次元は関係ないわ!」ババババーン


にこ「創世力は噛み心地がいいわん」

にこ「ケルベロスだわん」イヌーン


一同「私たち!世界を救うRPG系アイドル!アネックス1号です!」デンッ



にこ「…って!?私だけ立ち位置微妙過ぎない!?」

ことり「もはや誰が分かるのこれ…」

希「いつもと違って新鮮やね」

穂乃果「うんうん!」

絵里「問題があるとすれば全員キグルミのせいで誰が誰か全くわからないってことくらいね」

穂乃果「だよねだよね!」

絵里「ってそれもう私たちである必要性ないわぁぁっ!!!」

花陽「名前もキャラクターの方叫んだら意味がないんじゃぁ…」

にこ「顔も名前も覚えてもらえないじゃない!」

穂乃果「そんなことないよ!ほら、気合さえあれば自分の顔くらい空中に浮かべて会話が…」

海未「あぁセレクトボタンを押せば…、いやそれゲームの中だけですから」

真姫「てゆーか!そもそもこれでステージに上がるなんてありえないでしょ!」

真姫「動きづらすぎるわよ!」

穂乃果「え!でもこれはショーとかで使われるキグルミだって海未ちゃんが…」

真姫「それはショーだから!私たちがやってるのはなに?」

穂乃果「え…?えっとー…、学生?」

絵里「確かに」

真姫「アイドルよアイドルっ!!」

穂乃果「あい、どる…?」

希「もうええわ」



部室


にこ「一体これのどこが…、が…」

にこ「にこたちは何を求めていたのかしら……」

ことり「たぶん…、インパクト?」

にこ「あそうそう!インパクトはあるけど、こんなんじゃ意味ないっての!」

海未「すみません…、提案した私が愚かでした…」

希「でもちょっと楽しかったね」

にこ「あ、そ、そうね…。って、そんなこと言ってる場合じゃなくて!」

にこ「A-RISE様はこうしている間にも日々進化を遂げておられるのよ!?」

絵里「なんでそんな崇拝してるのよ…」

花陽「一回忘れちゃったぶん反動がすごいんですよ…」

穂乃果「うーん、そうだよねー…。綺羅さんとセックス…、綺羅さんとセックス…」

凛「もうそれは忘れた方がいいと思うにゃ」

希「じゃあうちがなんかカードの調べ的なアレでアレするわ」

真姫「わぁめっちゃアバウト」

希「ふにゅにゅにゅにゅ…!ていやっ!!」

希「こ、これは…>>8(英単語)!」

あ、ゴメン 安価ミス
>>80

fuck

希「こ、これは…エフユーシーケー…!」

希「つまりファック!!」

絵里「なんて単語がタロットの中に!」

希「もうこれは…するしかないんと違う…?」

一同「…」ゴクリッ



ラブライブ!(アイキャッチ)



屋上


穂乃果「…」ドキドキ

穂乃果(き、きっと屋上ではみんなが…)

穂乃果(あえてその気なんか全然ないですよー、的な感じで入って…)

穂乃果(最初は嫌々ながらだんだんとその気になって最後は自分から腰を振る清純派ビッチのパティーンで行こう…!)

ガチャッ!!

穂乃果「お、おはようございまーす!!」

ことり「こーん!」

穂乃果「は?」

ことり「こんこーん!油揚げー!おいなりー!!」

穂乃果「あの、ちょっと…」

海未「ピー…、ガガガガ…。ピー…、ガガガガ…」

海未「あ、写真が印刷されてきました。ピー、ガガガガ…」

穂乃果「えっとー…」

凛「ベーコンレタスバーガーとポテトのお客様ー?ベーコンレタスバーガーとポテトのお客様はおられますかー?」

穂乃果「い、いきなりなに!?あ、私自分から脱いだほうがいいかな」

真姫「一億円拾うとか幸運だわー。まじ☆幸運だわー、つらいわー。幸運すぎて辛いわー」

穂乃果「一億円!?しょごい!」

花陽「カタカタカタカタ…、ふっ、こんなセキュリティじゃやってないのと同じようなものだぜ…」

花陽「個人情報を抜き出して悪いことしてやるぜ…カタカタカタカタ」

穂乃果「わぁーそれに関する知識がない感じが前面に出てる」

にこ「感想はお肌の大敵!ちゃんと潤い素肌を大切にしないと!」

にこ「にこがおすすめするのはキュウリ!こうやって薄切りにしてー…」

穂乃果「合宿で前見た」

希「キングは一人!このうちや!」

穂乃果「もうパロはやめろ!」

絵里「こ、これは…」

絵里「誰ひとりとして英単語を理解できていないわ!」

穂乃果「誰がどんな単語と勘違いしてるかは各自で考えてね」

部室


穂乃果「はぁー…、9Pしたかったなー…」

凛「マヨネーズかにゃ?」

真姫「純粋な凛は知らなくていいことよ」

ことり「そ、それより…、このままじゃ時間がどんどんなくなっちゃう…」

海未「結局、何も変えられないままですね…」

絵里「ねぇ、ちょっと思ったんだけど…」

絵里「いっそのこと一度アイドルらしいってイメージから離れてみるのはどうかしら?」

穂乃果「あ、そ、そうですね…。いいと思います…」

絵里「やめて!そのあまり親しくない先輩感出すのやめて!」

穂乃果「そ、そんなこと言われても…」

希「親しくなるためにえりちと穂乃果ちゃんはイチャイチャしてればいいんちゃう?」

穂乃果「えぇぇぇっ!!?こ、この人と…!?」

絵里「この人って…。あ、でもそれはアリね!さぁ穂乃果…!ふんすかふんすか…!」

穂乃果「鼻息荒い!キモいよぉぉぉぉ!!」

にこ「なに!?百合の気配!?にこも混ぜなさい!」

絵里「あなたは下がってて」

にこ「あ…、うん…」ションボリ

凛「なんかにこちゃん素直に引き下がるにゃー」

花陽「いつもは抵抗するのにね」

にこ「…なんか、断れなかったのよ」

花陽「で、えーっと…、絵里ちゃんが言ってたのって…」

凛「アイドルらしさ?をなくす…意味わからないにゃ」

花陽「ほら、かわいいじゃなくてカッコイイ、みたいな?」

ことり「でも、カッコイイってどんな感じ?」

真姫「例えば…>>86とか?」

希「>>87とか?」

海未「>>88とかでしょうか」




絵里「穂乃果ぁぁ~…!もっと仲良くしましょうよ~」

穂乃果「いやぁぁぁ!!!性的なお付き合いだけならよろこんで!!」

絵里「セフレ!?…悪くないわね」

ハードボイルドガンアクション

荒ぶる鷹のポーズ

カレー

真姫「例えば…ハードボイルドガンアクションとか?」

希「荒ぶる鷹のポーズとか!」

海未「カレーとかでしょうか」

ことり「海未ちゃんの中では一体カレーがどういう存在になってるのかな」

にこ「うー…む、じゃあその3つを組み合わせれば最高にカッコイイものが完成するわね!」

凛「そんな単純なものかにゃー?」

にこ「そうに違いないわ!だとすれば…!」



穂乃果「どう!?絵里ちゃんこれはどう!?」

絵里「あぁんっ!穂乃果のアレがアレして…!たまらなく快感だわ!」

絵里「おぉ…おぉぉ…!!は、ハラ…ハラ…」

絵里「原敬!」

穂乃果「え、誰?」

校門前


ヒデコ「んじゃーねー」

フミコ「バイバイーイ」

ミカ「また明日ねー」



バンバンッ!!


ヒフミ「「「な、なに!?」」」


希「はぁっ!逃がさんよ!」バンバンッ!!

にこ「くっ…、させないわ!バンバンッ!!」

ことり「隙有りちゅんっ!!」ヒュンヒュンッ!!

にこ「まずい!カレーを投げられたわ!!くっ、やられるっ!」

ガキーンッ!!

にこ「っ!」

穂乃果「にこちゃん、大丈夫?」

にこ「穂乃果!そのカレー皿は…!」

穂乃果「おやっさんの形見…!ここで使うときが来るとはね!」

穂乃果「さぁ相棒!背中は任せたよ!」

にこ「…えぇ、こっちこそ!」

ほのにこ「「うおぉぉぉぉぉっ!!!」」バンバンバンッ!!

ことり「ぐわぁぁぁっ!やられたぁぁぁっ!!」バタリッ

希「な、なんじゃこりゃあああああああああ!!」バタリッ

ほのにこ「「…」」

穂乃果「わかってるよね?戦場で立っていられるものはただひとり…」

にこ「決着をつけましょう、穂乃果…!」

穂乃果「3歩進んで、ってやつだね…。わかった…!」

穂乃果「1…」

にこ「2…」

「「3!」」

穂乃果「荒ぶる鷹のポーズ!!」ジャキンッ!!

にこ「荒ぶる鷹のポーズ!!」シュバッ!!

「「…」」

にこ「…負けたわ」

穂乃果「あばよ…、相棒」パンッ

にこ「うっ…」バタリッ

穂乃果「…」

穂乃果「…って感じのスクールアイドル、アネックス1号をこれからも…」

ヒフミ「「「きゃああああああああああ!!!!人殺しいいいいいいいいいいい!!!!!」」」ダダダダダダッ…



穂乃果「…ありゃ?」

理事長室


理事長「…」


一同「…」


理事長「…説明してもらえるかしら」

穂乃果「海未ちゃんがやれって言ってました」

海未「責任転嫁!?ひどい!」

絵里「りじじょう!!ちぎゃうんれしゅ!!ふじゃけれいらわけれはないんれす!!」

理事長「…日本語で話して」

ことり「ふざけてたわけじゃないの!ラブライブに出るためにはどうしたらいいかってことを話し合って…!!」

穂乃果「ことりちゃん、理事長だよ。敬語使おう」

ことり「親子だよ!このくだり二回目だし!!」

海未「今までの枠がどーたらこーたら」

穂乃果「そうなんです!海未ちゃんは説明にやる気がないけど私たちは本気だったんです!怒られるなんて心外です!!」

凛「そうだにゃそうだにゃ!!」

理事長「…本気だったせいで」

理事長「瀕死の重傷者が2名も出たそうですが…」

穂乃果「そ、それは…」

海未「何故か穂乃果の拳銃だけ実弾だったせいで…」

花陽「え!?そうだったの!?」

絵里「希とにこにもう…アイドルは無理よ…」

穂乃果「…ごめん、にこちゃん…。希ちゃん…」

穂乃果「あなたたちの分まで、私たちはがんばります…」

理事長「いや逮捕よ。殺人未遂で」

穂乃果「えっ」



ファーストフード店


穂乃果「…こうして穂乃果は暗い牢獄へ閉じ込められてしまいました」

穂乃果「おしまい」


にこ「ってことになりかねないでしょ!?…その計画はナシよ!」

海未「そうです!始末するならもっと足のつかない方法で!」

希「え、うちら始末されるの…?」

穂乃果「最初に海未ちゃんがテイルズのコスプレしようってなったから悪いんじゃん!」

海未「責任転嫁!?こっちでもですか!?言わせてもらいますがそのあとは穂乃果たちもでしょう!」

希「それはそうやけど…」

にこ「変な仮面をつけたやつに拉致されてキチガイじみた…」

真姫「もうそれはいい」

ことり「責任のなすりつけあいしててもしょうがないよ…」

穂乃果「お股のなすりつけあいはしたいけどね…」

真姫「そうよ。それより今は…って違う!今のタイミングだと私がお股のこすりつけあいしたいみたいじゃない!」

真姫「そうじゃなくて…あー、だから違うんだってぇ!!」

凛「誰も気にしてないからはよ続き」

真姫「あ…、うん。…具体的に衣装をどうするかを考えるべきだって思ったの」

ことり「…」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「一応考えてはみたんだけど…」

ことり「…考えたんだけど、思い出せないの」

海未「通常運転ですね」

ことり「もうここは原点に戻って全裸で行ったらいいんじゃないかなぁ」

にこ「それじゃA-RISEには…!」

穂乃果「え、それでも勝てないの!?」

ことり「…あ、でも裸になったら挿入れられちゃったアレが抜けちゃう…」

絵里「まだ挿入ってたの!?」

凛「何がどこに入ってるのかすごい気になるにゃ…」

花陽「ほんのりアダルトな香り…///」

真姫「ほんのりどころじゃないわよ」




店外


花陽「あー…、今日も無駄な時間を過ごした感じがするぅぅ…」

絵里「それはまた明日も同じことよ。それより衣装作りだけでも始めていかなくちゃね」

凛「あれ、穂乃果ちゃんは?」



穂乃果「…」


海未「穂乃果、おいていきますよ?」

穂乃果「あ、ゴメン」

穂乃果「…ハロウィンって」

穂乃果「昼と夜とじゃ、>>94だね」

般若心経

穂乃果「ハロウィンって昼と夜とじゃ般若心経だね」

穂乃果「穂乃果、心の一句」

海未「どこからどこまでが5・7・5なんですか。あと声に出してるので心の一句ではないです」

穂乃果「はんにゃーはーらーみーたーじー…」

海未「帰りますよ」

絵里「行くわよ、遅くなるわ」

穂乃果「ふーしょーふーめつふーくーふーじょーふーぞーふーげん…」

海未「そうですね、お腹すきましたね」




ことりの部屋


ガガガガ…

花陽「エンッ…、指刺したァ…」

にこ「な、何その喋り方…」

にこ「って、おかしいと思うんだけど!なんで私たちが衣装作りやってんの!?」

花陽「クィーンが、新入りの仕事だって言ってたよ」

にこ「誰!?クィーン誰!?」

にこ「く、くだらないことで時間使っちゃったせいよねこれ!」

ことり「レイチェルは今頃歌の練習してるわ。何度も何度もね、声帯から血が出るまで」

にこ「え、何新キャラ?」

ことり「そもそもレイチェルがいなきゃ、私たちはシカゴに行けなかった。リスペクトしないと」

にこ「いや、行った記憶ないけど…。私が忘れてるだけ?」

ことり「役目がある。チームに尽くせば、今にソロで歌えるわ」

にこ「え、ソロ活動したいの?」

ことり「全米を制覇したチームとして来年を迎えられるかもよ」

にこ「目標高いわねアンタ…。でもにこに来年はないし…」
 
ことり「この衣装はあなたのよ。私はよろこんで縫うわ」

ことり「みんなが集まって、力を合わせることでチームは輝くのよ」

にこ「こ、ことり…!あんためっちゃいいこと言うじゃない…!!」

にこ「感動したわ!衣装作り頑張るわよ!」




希(…なんかそのセリフどこかで聞いたことある気がするわ…)

希(いやいや、気のせい気のせい…)

アキバハロウィンフェスタ最終日

秋葉原


レポーター「トリックオアトリィィィィィトォォォォォォ!!!」

レポーター「イヤッホゥ!はっちゃけてるー?連日すごい盛り上がりを見せているアキバハロウィンフェスタ!」

レポーター「みんなも盛り上げに来てくれてるよー!!」

レポーター「でもなんとぉ!今日がイベントの最終日!じゃんねん!」

レポーター「でも落ち込まなくってオッケー!今日はスクールアイドルのスペシャルライブが見られるよ!」



スタスタ…

穂乃果「…い、いよいよだね」

絵里「ねぇ穂乃果…。そろそろ距離詰めてくれてもいいんじゃない?」

穂乃果「う、うん…。ごめんね、まだ少し緊張してて…」

絵里「もう、穂乃果ったら。そんな初対面の人と緊張するような性格じゃないでしょ?」

穂乃果「べ、別に緊張はしてないよ!?あ、でもライブが近いっていうのはあるかも…」

絵里「ふふ、それはあるかもね?でも楽しんでいきましょう。みんなもほら、楽しそうよ」



凛「わー、見てー。おっきいおっぱい!」

花陽「凛ちゃんすごい!何カップ!?」

真姫「風船胸に入れて遊ばない」



穂乃果「そ、そだね…。うん…」

絵里「どうしたのよ。そんなに私といるのが嫌?」

穂乃果「うぅん、そうじゃなくて…ねぇ、絵里ちゃん」

穂乃果「私…、私ね」

絵里「うん」

穂乃果「絵里ちゃんのこと…、好きになっちゃったかも…」

絵里「うんうん」

絵里「…」

絵里「…」

絵里「へぇぁ?」

穂乃果「スタイルもよくて、美人さんで…、嫌なところなんか一つもなくて」

穂乃果「どぎまぎしてる私に優しく声をかけてくれて…、モロタイプなんだ…」

穂乃果「照れ隠しで変なこと口走ったりしてたけど…、でも、そろそろ自分の気持ちに正直になるべきだと思うの」

穂乃果「絵里ちゃん、大好き…」

絵里「…あ、あの、えっと…」

絵里(穂乃果の私に対する記憶がゼロになったせいで変な恋心を持ってしまった!?)

絵里(どうする私!?どうする、なんて答える!?えっと、えっと…)

絵里「>>98

okok 突きあいましょう

絵里「okok 突きあいましょう」

穂乃果「ホント!?じゃあ今すぐキスを…」

絵里「ち、違うわ、この場合の突きあうはその、棒状のものでお互いの股ぐらをエイヤホイヤすることを意味して…」

絵里「つまりアレよ、セフレをキープってことよ。アーユーオケー?」

穂乃果「えー、じゃあ彼女にしてくれはしないの?」

絵里「そ、そうなるわねー…。私はまだ心の準備が出来てないから…」

穂乃果「ふーん、そっか…」

絵里(と、とっさの判断でセフレに抑えたけど…、良かったのかしら)

絵里(とんでもなくヤバいことをしてしまった感じもあるわ…)

穂乃果「でも、私諦めないから」

穂乃果「絵里ちゃんが振り向いてくれるまで、ずっとずっとアピールしていくつも」

穂乃果「そんなアネックス1号が好き!」

絵里「え、何いきなり…」

穂乃果「でしょ?」

絵里「え、えぇ…。そうね、私もよ…?」

海未「絵里?穂乃果と何の話をしてたんですか?」

絵里「って、海未っ!?いつの間に…」

海未「いえ、なにかきな臭いものを直感で悟ったので…」

穂乃果「海未ちゃん…!どうしてここに…!!」

海未「いや今日はライブなんですから一緒にいるのは当たり前でしょう…」

穂乃果「そうだっけ?」

海未「全く穂乃果は…。あちらに美味しいドーナツがありましたよ。行きましょう」

穂乃果「ドーナツ?いくいく!」

海未「さ、絵里も」

絵里「え、えぇ…。行くわ」

絵里(な、なんだったのかしら急に話を変えて…。いつもとは雰囲気が違…)

絵里「っ!」


穂乃果「…」チラッ

穂乃果「…しー。ふふふっ…」


絵里「な…!」

絵里(ま、まさか海未が近づいていることを察して、悟られぬよう一瞬で話題を変えた!?)

絵里(なんて策士…!でもひょっとしたらいつものあのとぼけた穂乃果って…)

絵里(もしかして全部わかった上で…!?)

絵里「だとしたら…!こ、怖すぎるわ穂乃果…!」

絵里「…い、今からライブだっていうのに、なんてこと考えさせてくれるのよ。穂乃果ぁ…」

ライブ終わり


穂乃果「よーしっ!絶対にラブライブで、優勝するぞーっ!!」

一同「おー!!」

絵里「お、おー…」

絵里(心労が酷くてそれどころじゃなかった…)

希「どうしたんえりち?元気ないね?」

絵里「え!?い、いや別に!?私普通だし!なんでもないからなんでも!あははははは!」

希「そう…?ならいいけど…」

希「…」





穂乃果の部屋


雪穂「よいしょっと…、巻数バラバラ…。続き読みたいのに…」

雪穂「よくこれで生徒会長が務まってるなー…。ん?」

雪穂「あーもう…。信じらんない、こんな書類まで散らかして…よし、帰ったらお説教だ!」

雪穂「…」

雪穂「中身見るくらいはいいよね?」



雪穂「はわわわわわわわわ…!」

雪穂「やっぱり…!!」

雪穂「やっぱりここは弄りづらい…!」






うろライブ! 第六話

おわり

凛「なんか最後雪穂ちゃんじゃない意思が混じってた気がするけど」

真姫「気のせい気のせい。というわけで第六話だったわ。どうかしら」

凛「今回はほのえり時空かにゃ…!なんたることだ…」

真姫「将来的にどうなるかは未定だけどね」

真姫「穂乃果は全部わかっててやってるんだよ疑惑が出たけど『緊張するなぁ』って言ったすぐ後に『緊張はしてないよ!?』っていう子が本当にそうなのかしら」

凛「それはただの書いてる側のミスだよ」

真姫「気にしないでね」

凛「かよちんの漢字忘れるが全く使えなかったにゃ…」

真姫「これはまぁ…、いずれ使いどころが出てくるでしょう。いいのよ、穂乃果の絵里を忘れるは活用できた気がするから」

凛「ほのえりにしたいがためのテキトーな理由付けにしか見えないにゃぁ…」

真姫「そんなことないわよ。ほら、にこちゃんが一度忘れちゃったA-RISEを必要以上に崇拝しているシーンが伏線になってるのよ」

真姫「完全に忘れちゃったものは反動でさらに好きになるみたいな感じで」

凛「それ今思いついただけだよね」

真姫「まぁね」

真姫「にこちゃんの断ること、も…誰かがにこちゃんに無理難題を押し付けるシーンがあれば簡単なんだけどね」

凛「これも未来的にまた使えればいいね!」

真姫「課題を次へ次へ回していくわね。困るのは未来の自分なのに」

凛「誰の話だよ」

真姫「じゃ、次回の忘却を懲りずに決めていきましょう!」

凛「えー…、次回はダイエット回だね」

真姫「否応無しに穂乃果と花陽は決定ね」

凛「かよちん2連続にゃ…」

真姫「そして残る一人は生徒会の二人のうちのどっちかにしようと思うんだけど…」

真姫「ここは本編にも関わらずやらかしてしまったことりにさらに重荷を与えてあげようかしら」

凛「鬼畜だにゃ」

真姫「忘却も決まったところで次回更新はもしライブ!第五話になるけど…」

真姫「8話までは構想あるよ、といったけど5話何書くかが思いつかないわ」

凛「どういうことですか…」

真姫「もともと5話で描こうとしていた話をよくよく考え直すとちょっと暗すぎるかな、って思ったのよ」

真姫「具体的に言えばいじめを題材にしようかと」

凛「そ、それはねぇ…」

真姫「だから次回更新は話を思いついたらね」

凛「じゃ、今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

真姫「次に上靴に画鋲をてんこもり入れられるのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!」」




穂乃果の忘れること >>104

花陽の忘れること >>105

ことりの忘れること >>106

ことり以外への興味

雪穂のことを忘れて真姫ちゃんを妹だと思う

ポジティブシンキング

なんも思いつかないけどノリで更新する
書き始めたら意外と行けたパティーンに期待するしかない

真姫「こんばんは、今回はもしライブ!5話ね」

凛「さーて…、雲行きが不安すぎるけど今回はどんなお話になるのかにゃー?」

真姫「それは見てからのお楽しみ」

凛「ちなみにプロットは1行しかないよ」

真姫「やるしかないのよ。そう言い聞かせるようにそっとつぶやくの」

凛「ゴールデンタイムはとっくに過ぎたよ」

真姫「うだうだ言うくらいならとっとと始めるわよ!」

凛「じゃあもしライブ!第5話…スタートにゃ!」

前回のもしライブ!(CV園田海未)デン


歌の練習をするために音楽室を借りたい真姫たち。

けれどそのためには部への所属が必要だった!



真姫(部活の設立の問題…。ここもμ'sと同じね…)

真姫(また壁が立ちふさがってしまった…。どうしようかしら)



それと同時に、真姫たちは私をスクールアイドルに勧誘する計画を立てる。

メイドカフェで私に直談判をしに来るも…。



海未「私の休憩時間も残り少ないですし、今日はお引取りを」スクッ

真姫「ちょ、待ってよ!」

海未「お引取りを!!」



翌日真姫たちは謎のアイドル応援部を訪れ、そこが3年生の東條先輩の部活だと知る!

所属する部を見つけ、さらに私にアイドルになりたいと思わせるためのライブに向け一歩前進した真姫たち!

ですが、そのライブ当日…!



絵里「いますぐ、アイドル活動をやめなさい」



A-RISE候補生の育成者、絢瀬絵里さんに捕らえられた真姫。そのピンチを東條先輩がなんとか救いました!

しかし真姫はライブには間に合わず、二人で決行!それでもライブはなんとか成功に終わりました。

二人の輝き目を奪われた私。サングラス越しでも伝わる光に、私は惹かれ、

ついに、私も彼女たちと共にアイドルをすることになったのです!

そして生まれた新生スクールアイドル、C☆cute。

これからどうなっていくのでしょうか…。





海未「前回いろんなことがありすぎてあらすじに収まりきりません…」

アイドル応援部 部室


花陽「は、はわわぁぁ~~…!」


ガチャッ

ことり「こんにちはー」

真姫「あ、ことり。おはよう」

ことり「真姫ちゃん、おはよー。…花陽ちゃん?もしかしてまた?」


花陽「むふふふふ~…!」


真姫「…えぇ、また」

ことり「飽きないねー」

真姫「それだけ嬉しかったんでしょ」



真姫(あれから2週間)

真姫(花陽は少しの暇さえあればパソコンや携帯から…)

真姫(自分たちのライブ映像を眺めていた)

真姫(あの日、店員のメイドさんにお願いしてハンディカメラで撮影してもらっていたものを動画サイトにアップして)

真姫(再生数や付いたコメントを見返しては悦に浸っている)



花陽「か、かわいい…、だなんてっ…!恥ずかしぃ…!!」

真姫「その反応何回目?そろそろ海未も来るし、練習始めるわよ?」

花陽「もうちょっと…!ぬふふふ…!」

ことり「笑い方…」

真姫「…はぁ」

真姫(でも、花陽が喜んでる中悪いけど)

真姫(私が予想してたよりか、再生数は少なかった)

真姫(演出や歌は私の思う最前を尽くして、時間がない中でのベストだったと自分では評価しているんだけど)

真姫(それでも、思ってたよりずっと…、伸びない。もっと行ってもいいと思うんだけど)

真姫(やっぱりそれって…)

ことり「えへへ、この時は緊張したねー」

花陽「はい…!死んじゃうかと思いました…!タイトルも間違えられちゃったし…」

ことり「私は告白日和、ってだけより好きだけどねー。真姫ちゃんはどう思う?」

真姫「…ん、私?…そうね、いいと思う」

花陽「そ、それならいいけど…」

真姫「あ、そうそう。そろそろ次のライブのことも考えておきたいんだけど」

真姫「まだ海未は来てないけど…、まぁ、いいわよね」

ことり「もう次?早いねー」

真姫「一応次の曲も出来てはいるのよ。海未にも渡してある」

真姫「今は曲もそうだけど…、魅せ方が重要よね」

花陽「魅せ方?」

真姫「そう。この間のライブに関しては、ダンスも歌も、私はとても良かったと思うの」

真姫「だけど衣装はよくあるメイド服だったし、ステージは小さいお立ち台」

真姫「カメラも一台だけ、一発取りの映像」

真姫「これじゃ普通過ぎるの。どれだけ歌やダンスが完璧でも魅せ方が単純すぎるとその魅力が画面越しには伝わらない」

真姫「今のままじゃ、A-RISEに追いつくほどのアイドルになれる人気を得るのは、難しいわ」

ことり「はー…、なるほどー」

ことり「よくわかんない」

真姫「おい」

ことり「つ、つまり次のライブは衣装やステージをもっと派手にね!ってことでしょ?」

ことり「わかってるわかってる!すっごいキュートな衣装、考えるから待っててね!C☆cuteだけに!」

花陽「んー…、衣装はことりちゃんでいいとして、でもステージは私たちズブの素人だからなぁ…」

真姫「い、言い方が古風ね…」

花陽「誰かそういうのに詳しそうな人は…」



ガチャッ


海未「お、遅れました…。すみません」

ことり「あ、海未ちゃんおはよー」

真姫「…ステージ」

真姫「ステージと言えば舞台、舞台と言えば演劇」

真姫「演劇と言えば…」

海未「…はい?」

海未「舞台美術ですか…?」

花陽「はい!演劇学科なら詳しいと思って!」

海未「…申し訳ありませんが、私はそこまでは」

海未「基本的に、演劇舞踊としての役者、それと脚本家を専攻しているので、舞台美術のことはあまり学んでいません」

ことり「ダメかー…」

海未「やはり、アイドルのそれを参考にしてはいかがでしょう」

海未「私たちがゼロから考えるよりはいいのでは?」

真姫「普通はそうなんだけど…」



真姫(でも、μ'sと違ってここでは私たちは…)

真姫(…お金がない)

真姫(いつもなら親の金で好き勝手できたけど、今の私は家なき子)

真姫(ほぼ無一文と言って差し支えないわ。一応生活費程度ならポケットマネーで凌げるけど)

真姫(他のみんなも私ほどではないにしろ、使えるお金はそれほどないでしょうし)

真姫(プロのアイドルを真似るには、財力が足りなさすぎる)

真姫(そして他のスクールアイドルと同レベルじゃ、A-RISEを超えることなんて夢のまた夢)

真姫(だからここは、発想で勝負!…したいところなんだけど)



真姫「…私たちもそこまで発想に自信があるわけでもないし」

海未「A-RISEは学校の全力サポートがありますからね…。正直他とは比べ物にならないでしょう」

花陽「それと人員も豊富です!なにせアイドル専攻の人たちもいますし…」

真姫「そして、絢瀬絵里の人脈もね…。ここにはA-RISEに憧れる人が多い」

真姫「権力を持つ彼女が少しでも手伝って?って言えば手伝ってくれる人がたくさんいるわ」

ことり「それに比べて私たちは全部自分でやる必要があるんだよね…」

花陽「か、考えれば考えるほど、A-RISEを超えるなんて無理だって思えてくるね…」

海未「そ、そうですね…」

真姫「弱気になっちゃダメよ!花陽には目標があるでしょう!ことりも、海未も!」

真姫「絶対に掴み取るの、頂点を!そして欲しいものを手に入れるのよ!でしょう?」

花陽「…うん。だよね!」

ことり「こんなところでくじけちゃダメ、だよね」

海未「…わ、私は二人ほど強い決意があって始めたわけでは」

真姫「うるさい!あなたもことりと同じようなものでしょ!穂乃果との日々、やり直したくないの!?」

海未「それは…。…えぇ、私もやり直したいです!」

真姫「なら前を向く!なんとかなるって思えばなんとかなるのよ!」

真姫(…私も、いつまでもあなたたちを応援できるわけじゃないしね…)

真姫「さ、練習よ!魅せ方もあるけど、自分たちが完璧でないと意味がないんだからね!」

ぱなことうみ「はい!」

真姫(いつもは、どうしてたんだっけ…)

真姫(私の役割は、作曲って割り切ってたせいで)

真姫(その他のことに関してはさっぱり、わからなかった)

真姫(改めてみんなに支えられてきたんだな、って実感する)

真姫(今度は私が、なんとかしないと)

真姫(次の壁は、『ライブの魅せ方』)

真姫(これを乗り越えないと、先はない)




1年E組


真姫(朝練を終え、いつもの孤独な授業)

真姫(まだ学内で、私たちがアイドルをやっているという噂は一切流れていない)

真姫(宣伝しようって花陽は言ったんだけど…)



~回想~


花陽「私たちがアイドルやってるって宣伝しよう!そうすれば…」

真姫「…いえ、まだダメ」

花陽「え、ど、どうして?」

真姫「考えてみなさい。ここはUTXよ?いくらまだ生まれたばかりの弱小スクールアイドルにしろ…」

真姫「ここにはA-RISEファンが大勢いる。そんな中別のスクールアイドルを宣伝しても無視されるか…」

真姫「…下手すれば、潰されかねないわ」

ことり「そ、そうかも。特にアイドル専攻の人たちは過激だし」

真姫「仲間を増やすなら徐々に。擁護が一人もいない中で宣伝するのは勇気がいるわ」

真姫「せめて次のライブまでに応援してくれる人を増やしてからにしましょう」

花陽「そ、そだね…」


~回想終わり~



真姫(て言っても、応援してくれる人ね…)

真姫(ほとんどがA-RISEファンのこのUTX学院で、私たちを応援してくれる人…)

真姫(…心当たりはないでもないけど、でもねぇ…)

真姫(仕方ないわ。それはまたにして…、今は魅せ方よ、魅せ方)

真姫(衣装はことりが頑張ってくれることを期待して、今はステージの作り方…)

真姫(どこで、どんな演出で舞台を作るか…。今まで他人任せで考えたこともなかったけど)

真姫(ここに来て頭をひねらせることになるとは、ね…)

真姫(授業中は先生の話を聞かずに、ずっとノートに演出案を書き連ねるばかりだった)



食堂


ことり「花だよ!花」


真姫「…花?」

ことり「私たちには花が足りないと思う!」

海未「鼻、ですか…?あ、つけ鼻をするということですか!?」

海未「確かに鼻が高いと美人になるかもしれません…!ナイスアイデアです!」

ことり「違う!フラワーの方だよ!」

海未「あ、そうですか…。ノーズではないのですね…」

真姫「相変わらず少しボケてるのね、海未…」



真姫(いつものように花陽は親衛隊に囲まれご飯を食べている)

真姫(仕方ないので私たちで集まってお昼ととることに)

真姫(希も誘いたいんだけど、彼女はお昼はひとりで食べるのが落ち着く、って言って)

真姫(ただひとり、部室で黙々とお弁当を食べているみたい)

真姫(まぁ…、私もこんな人の多いところでご飯を食べるのは、あまり好まないんだけど)

真姫(でもUTXの食堂のご飯は美味しすぎるから仕方ないわよね。毎日食べても飽きない)

真姫(閑話休題。…そんなこんなで集まった3人で、次の舞台の演出案を考えようと話をしていた)



真姫「で、フラワーがどうしたのよ」

ことり「だから、ばっさー!ってお花を散らして、華々しいステージを作る!」

海未「ふむふむ」

ことり「衣装もお花であしらってカワイイのにしようと思ってるの!どう?」

海未「…花粉症になりそうで怖いですね」

ことり「え、そこ?」

真姫「…悪くないけど、そんなステージを埋め尽くすほどのお花、どこから持ってくるのよ」

真姫「お花屋さんじゃ大きな花束一つでも結構するわよ?」

海未「よくある祝い花でも、安いもので1万円ほどすると聞いたことがあります」

ことり「い、一万…」

真姫「それをステージ全部埋め尽くすほどだったら…、100個くらい必要かしら?」

ことり「ひゃくまん…えん」

海未「それはさすがに…、無理でしょうね」

ことり「うぅ…、いいと思ったんだけどなぁ…」

真姫「衣装に花を使う、なら私もいいと思うわ。…二番煎じ感が強いけど」

ことり「え」

真姫「何でもない。…で、海未はなにかある?舞台案」

海未「あまりお金を使わない方向で…ですか」

海未「となると…元からあるものを活用するのはいかがでしょう」

海未「今は紅葉の季節ですし、綺麗な赤をバックにステージを作る、というのもおつですね」

真姫「えぇ、悪くないわね。あー、でもそうなると和風なイメージよね…」

海未「今の曲では合いませんか?」

真姫「まだ今の段階なら作り直せばなんとかなるけど…。でもまだそれで決定ともいかないから本格的に作り直すわけにも…」

ことり「あ、あと…そうすると場所はどうなるのかな?」

ことり「紅葉が綺麗でステージを作れるくらいのスペースがあって、貸しきれて…」

海未「う、そうなるとやはり、お金が…」

真姫「少しくらいなら部費でなんとかなるって!」

ことり「それなんだけど、希ちゃん先輩に聞いたら…」



(希「部費?最近活動してなかったから、今月いっぱいは全く出ないみたいやねー」)

(希「支給されるのは来月からかな。それまでは自分たちのお金でなんとかしないとね」)



ことり「…って言ってた」

真姫「ぐぬぬ…」

海未「私たちの貯金だけでやりくりですか…」

真姫「次からは少しは融通が効くけど、今回ばかりはあるものだけでやりくりしないといけないのね…」

海未「来月までライブを引き伸ばしますか?それなら…」

真姫「そんな悠長な事言ってられないわよ。…A-RISEに勝つためには」

真姫(μ'sにも勝るペースで曲を出しつづけないといけない…。少なくとも月に1回はノルマよ)

ことり「でもあり合わせって言ってもね…。私たち、何がある?」

真姫「私は…、何も」

ことり「あ!海未ちゃんは家があるじゃない!あそこで…」

海未「や、やめてください!怒られますよ…」

ことり「そ、そうだよねー…。あはは…、はぁ…」

ことり「…どこでやるかを考えるだけでも一苦労だね」

海未「そう、ですね…」

歌手専攻

授業前


花陽「ステージかぁ…」

真姫「そう。意見はない?」

花陽「んー…、ワガママ言ったら、そういうライブステージを借りたいけど…」

花陽「それはお金もないし、誰でもやってることだもんね」

真姫「そうね。私たちにしかないもの、が欲しいところね」

花陽「えー…、私たちにしかないものかぁ…。なんだろう…」

花陽「…真姫ちゃんは、自分にしかないもの、ってある?」

真姫「え、わ、私?」

花陽「うん。身近な例として参考にしようかなって」

真姫「え、えっと…」

真姫「類まれなる作曲センス!…かしら」

花陽「ま、まぁ…それもそうかもね」

花陽「…考える上で参考にしづらいよ…」

真姫「ご、ごめんなさい」

花陽「それで言うなら私はー…、歌声?」

花陽「…でも、他の人よりちょっと上手って言っても、その程度だよね、私なんか…」

真姫「そ、そんなことないわよ!花陽の歌は唯一無二だと…」

真姫(…でも私の作曲能力も他で替えがきかないこともないのよね)

真姫「あ!花陽はアレがあるじゃない!ほら…」

花陽「アレ?」

真姫「小泉花陽親衛隊!!」

花陽「えっ…」


親衛隊ズ「「呼んだ!?」」


花陽「わぁ!?呼んでないよ!?」

真姫「これだけは誰にも負けないと思うけど」

花陽「で、でも…だからってどうしろと…」

真姫「…そうよね。あ、彼女たちに応援を頼むのは?」

花陽「ち、ちょっと怖いかな…。アイドルにあんまり興味ない子も多いし」

花陽「親しい子から順に明かしていこうと思うの。ダメ?」

真姫「そうね。一気に広まると怖いところがあるし」

真姫(前の3人みたく、親衛隊といいつつ花陽を快く思ってない人も、いるかもしれないし)

真姫(そういえばあの3人は…)

真姫(あの日以来、花陽を囲っていじめていた3人は、花陽とあまり会話することがなくなっていた)

真姫(今も花陽から離れた場所で、3人で集まって会話をしてる)

真姫(正直、いじめを止めに入った報復が何かしら来ると思ってたけど)

真姫(特にそれらしいことは一切なくて、ちょっと意外だった)

真姫「…腐ってもお嬢様学校の生徒、ってこと?」

真姫「でもアイドル専攻はドロドロの争いがあるって聞くし…」


親衛隊D「ねぇ、西木野さん。そろそろ花陽ちゃんを貸してくれてもいいんじゃない?」

親衛隊E「い、いくら…その…好き同士でも…、ね?私たちも小泉さんと話したいし」


花陽「へぇっ!!?」

真姫「あの、今なんて…」

親衛隊F「花陽ちゃんと真姫ちゃんって、付き合ってるんでしょ?噂んなってるよ?」

真姫「つ、付き合ってる!?私と花陽がァ!?」

親衛隊E「だだだ、だって…!小泉さん、西木野さんと一緒にいるとすっごく幸せそうだし…」

親衛隊D「花陽ちゃんも、私といるときは西木野さんとの話ばっかりだもん。嫉妬しちゃうよ」

親衛隊F「だから、きっと真姫ちゃんと花陽ちゃんは付き合ってるんだって親衛隊一同は結論づけたわけですよ」

真姫「いやいやいやいや!!付き合ってないし!っていうかあんたたちはそれでいいわけ!?」

真姫「親衛隊なんだから阻止とかしないの!?」

親衛隊D「私たちはほら…、花陽ちゃんを見守るための小泉花陽親衛隊だし。花陽ちゃんが西木野さん好きならそれもいいかなって…」

親衛隊E「わ、私は個人的には…、すっごく応援してる…!!しし、幸せになってね…!」

真姫「頬を赤らめるな!そういう事実は一切ないからね!?」

花陽「そ、そだよ…。わ、私と真姫ちゃんが…、なんて…ぬふっ…。あるわけないよぉ…。にへへぇ…」

真姫「ダメ…!この子顔とセリフが一致してない…!!満面の笑みだわ…!!」



真姫(それまで考えていたこと全てを忘れて、授業が始まるまで彼女たちを必死に説得した)

真姫(特に花陽の緩んでしまった頬の筋肉を引き締めなおすのは、大変な苦労だった…)

放課後

1年E組


アリガトウゴザイマシター


真姫「…はぁ、やっと授業が終わった」

真姫(私にとってもはや数ヶ月前に習い終えたことの復習でしかない授業は、ただただ退屈で)

真姫(その間ずっとステージ案を考えていたけど…)

真姫「ダメね。どれも現実的じゃない」

真姫「…金銭的余裕がないと、こうもやりくりが大変だなんて」

真姫(思いつくものはどれもお金がそれなりに必要で)

真姫(私たちの少ないお財布事情でどうにかするには、無理があるものばかりだった)

真姫「んー…、どうすればいいのよ…。くっ…」

真姫「派手なパフォーマンスをしようとするとお金が必要…」

真姫「お金を節約しようとするとどこにでもあるものに…」

真姫「なんという二律背反…」

真姫(予想してたとおり、私の進もうとしている道は、μ'sが歩んできたものよりもはるかにハードルが高いらしい)

真姫「…うぅん。私も今までステージ制作に携わったことが少ないから詳しくないのよね…」

真姫「もっとこういうことに長けた人、誰かいないかしら…。誰か…」

真姫「…あ」




アイドル応援部 部室


ガチャッ

真姫「希!あなた、過去にアイドル応援部でステージを作ってたって…」


ことり「あ」 海未「あ」 花陽「あ」

希「んふ、これで4人目やねー」


真姫(どうやら私以外の3人は先にそこに至ったらしい)

真姫(これから講習会でも始まるかのように椅子を並べて希の前に座っていた)


希「そういうことでなんで真っ先にうちを頼らんかなー?」

真姫「…ゴメン、正直忘れてたわ」

希「心外やねー。ま、うちは寛大やから許すけどね!」

花陽「真姫ちゃんも、ここに座って話聞こ」

真姫「そうさせてもらうわ」

希「話を聞くと、なんでも次のステージは安くついて個性的なもの、らしいね」

真姫「えぇ、そんな感じ。希は今までそんな感じで作ったことはあるの?」

希「んふ、実はないんよね。A-RISEは学校側のサポートを受けてるってのは知ってるよね?」

海未「えぇ、ですからそれほどお金には苦労しないのではないかと」

希「そのとおり。うちが知っている中でA-RISEの舞台のセッティングにお金が足りない、ってことはなかった」

希「って言っても、上限がないってことはなかったんやけどね。限られた金額の中からではあったけど、それでも十分に余裕はあった」

ことり「じゃあやっぱり…、そんなに参考にならない感じですか?」

希「うちの実際の経験からしたらそうなるねー。でも経験は経験」

希「体験したことがないことでも、経験則、ってものがあるんよ」

花陽「おぉ!なんだかカッコイイです!」

希「ふっふっふ。うちに言わせれば、真姫ちゃんたちには致命的に欠けているものがあるのだ!」

真姫「致命的に欠けているもの…!?」

ことり「なーに?」

希「それは…知識!」

海未「えらく根本的ですね…」

希「魅せることに関する知識が、真姫ちゃんたちには足りてないんやと思う。だからどうしてもよく知っているアイドルを参考にしちゃう」

希「プロのアイドルやA-RISEは、もちろんお金をかけてステージを作ってるんやから、参考にすればどうしたってお金がかかる」

希「安く、尚且つお客さんを魅了するなら、別のところから知恵を引っ張ってこないと!」

花陽「つ、つまり…!?」

希「ここで、部長のうちから部員のみんなに指令を与える!ででんっ!」

ことり「ほぉわ!指令!つまり希ちゃん部長は長官でありますか!」

希「せや!」

真姫「ノリノリね…」

海未「で、指令とは…?」

希「ふふふ、アイドル応援部、久々の部活動やよ…!」

花陽「部活動…って、アイドル応援部の活動って何するんですか…?」

希「今回の指令の内容、それはっ!!」

一同「…」ゴクリッ



希「取材やぁぁっ!!!」

一同「し、取材っ!?」

てなわけで今日はここまでやねんよ 書いてたら本当に思いついたわラッキー
そして次回は取材するけど書いてる側はもちろんそんなことしないので付け焼刃とでっちあげの知識のオンパレードになると思われます
あと告白日和、です!を使ってから言うのもなんだけど、C☆cuteが使用する楽曲はアニメで使ってないμ'sの曲もあれば完全オリジナルの曲名もあると思います
μ'sが何を作ってて何を作ってないのかは決めてないけどそこのところよろしくね ほなな

正直ヘコむけど素直な感想はありがたいです
ネタのセンスの枯渇は自分でも自覚してる 別方面のそれも模索してみます
展開に関しては僕の趣味でやってることなので趣味が合わないならそれは申し訳ない ほのりんも将来的には見せ場あると思うよ 絵里は…うん
でもなんだかんだ激励してくれてるんだと受け取っておきます 期待してくれてありがとう じゃ、続きやっていきますね

海未「取材って…、あの取材ですか?」

花陽「される方じゃなくて、まさかのする方…?」

ことり「アイドルが取材…。新しい!」

真姫「っていうか、どこに取材に行くのよ?まさかプロのアイドルにとか?」

希「ちゃうちゃう。アイドル以外の知識が乏しいって言ってるんやから、もっと他の分野でないと」

海未「他の分野…。と言われても」

ことり「魅せることに特化した分野って何があるのかな…?」

真姫「考えればそりゃあるでしょうけど、いちいち取材許可を取るの?」

真姫「あちらの都合もあるだろうし長々とやってちゃ今月が終わっちゃうわよ!」

希「ふふふ…、何も外に出ていく必要なんてあらへんやん?」

花陽「外に出ていく必要はない?…あ!そ、そっか…!」

花陽「ここだよ、UTXだよ!」

ことり「え?…ああ!」

海未「このUTX学院には様々な学科、専攻が存在する…。それはつまり、他方の分野のプロフェッショナルが集まっている!」

海未「UTX学院こそ人材の宝庫ということですね!」

希「せやね。UTXの先生方なら真姫ちゃんたちの知りたいこと、いっぱい知ってるかもしれんよ?」

真姫「なるほど…。さすが部長ね。なかなかいいアイデアじゃない」

真姫「そうと決まれば、職員室へ向かうわよ!」




職員室


先生「専攻の先生たちへ取材?うーん…」

先生「ごめんなさい。一応聞いてみるけど、でも専門職の方たちだから、放課後は帰ったり自身の研究で忙しい方が多くて…」

先生「都合がつくのは難しいかも知れないわね…」




希「…」

真姫「どういうことよ」

希「てへっ」

真姫「この役立たずっ!」

花陽「さすがにひどいと思います」

海未「そうでした…。専攻の先生方は非常勤の方が多いのでしたね」

ことり「本職はやっぱりプロの人たちだから外で取材するのと一緒だよね…」

海未「やはり取材は断念するべきでしょうか…」


希「まだやっ!まだ道はある!」


真姫「何よ。取材できる先生はいないのに他にどうしろって言うの」

希「ふふふ、それやから真姫ちゃんはあまちゃんやねん。あまきちゃんやねん」

真姫「誰よ」

希「プロの方々がおらんでも、そのプロに教えを乞うてる人たちならいっぱいいるやん?」

花陽「生徒、ってことですか?」

ことり「UTX生に取材?」

希「せやね」

海未「それは大丈夫なのでしょうか…。アイドルとしての魅せ方を聞いていくわけですよね?」

海未「下手すれば私たちがアイドルをやっていると広まるのでは…」

ことり「普通ならありがたいんだけどちょっと不安だよねー」

希「んー、でも平気やと思うよ。意外とみんな、他人が何やってるかなんて興味薄いもんやって」

希「それに、聞くのはアイドルとして、ではなく、その分野特有の魅せ方。それを応用してアイドルの活動に活かそうって話やし」

真姫「まぁ、大体はわかったわ。…でも今のこの時間、専攻の人たちで集まることなんかほとんどなくない?」

花陽「みんな部活やそれぞれのサークルに行ってますよね…」

希「あー…、せやねー」

希「あ!だったらこうしよう!専攻の人たちへの取材は後回しにして…」

希「今からするのは、それぞれの部活への取材!」

希「どうしたら美しく見えるか、っていうポリシーは部活でも持ってるかもしれんやん?」

希「それを聞きまわろう!」

海未「それならこの時間でも可能かもしれませんね」

真姫「最初の計画とは結構かけ離れちゃったけどね」

ことり「でもUTXの部活ってかなり数多いよねー…」

花陽「自由な校風が売りだから生徒それぞれが自分たちで部活を立ち上げることが多いんですよね」

希「このアイドル応援部もその一つやからね」

真姫「テキトーに面白そうな部活を覗いていく感じでいいんじゃない?それに野球部とかサッカー部とかは私たちが考える魅せ方からは遠いものがあるでしょうし」

海未「魅せ方を応用出来そうな部活をピックアップしていけばいいんですね」

真姫「この計画がどれほど効果を持ってるかはわかんないけど…、何もしないよりはずっといいわ」

ことり「じゃ、次は生徒手帳から面白そうな部活を探すこと、だねー」

真姫(こうして改めて部活を見直してみると…)

真姫(半端ないくらいに多いのね…)

真姫(設立にはそれぞれ少なくとも5人ずつは必要だから単純計算しても…)

真姫(…この学校、人多すぎ…。音ノ木坂にもちょっとは分けてあげて欲しいわね)

真姫(それはさておき、私たちはまず、わかりやすく、美しさを求めてそうな部活を探してみた)

真姫(そして最初に訪れたのが…)




パーツモデル部


ガチャッ

花陽「あのぉ~…、失礼しま…」


パーツモデル部部長「何!?新入部員!?」ダダッ


花陽「ひっ!ご、ごめんなさい!」

真姫「取材です」

パーツモデル部部長「…取材?」



真姫(パーツモデル部。部員約13名)

真姫(全身ではなく、体の部位の一つのみを徹底的に美しく磨き上げるパーツモデル)

真姫(それを目指す人々の部活…らしい)



パーツモデル部部長「アイドル応援部?…初めて聞く名前ね」

海未「せ、先日から活動を再開したんです」

パーツモデル部部長「ふぅん…、もの好きな部もあったものねぇ」

ことり「あの、それで…なにか美しく魅せるコツ、ってありません?」

ことり「パーツモデル部さんならなにか知ってるんじゃないかと」

パーツモデル部部長「それが取材?んー…、そーねー…」

パーツモデル部部長「やっぱり日々のたゆまぬ努力?健康?エステ通い?」

パーツモデル部部長「ていうかあなた…、滅茶苦茶肌キレイね!モデル専攻の子?」

真姫「えっ…!あ、いや…、私歌手専攻…」

パーツモデル部部長「えぇぇ…、もったいない…。羨ましいわ、その肌」

パーツモデル部部長「なんならうちの部に入らない?きっとあなたは輝ける!」

ことり「逆に勧誘されてるよ…」

花陽「だ、ダメですっ!真姫ちゃんはアイドル応援部の一員なんですから!!」

真姫「…この学校こんなのしかいないの…?」

パーツモデル部部長「だけどあなたたち、よく見るとみんな肌きれいね…。嫉妬しちゃう」

海未「ど、どうも…」

花陽「他には魅せ方でこだわっている点とかありませんか?写真を撮るときとか…」

パーツモデル部部長「写真…、写真ね…。アタシたちいつも撮影は写真部の子に一任してるから…」

パーツモデル部部長「そっちの技術に関しては写真部に行ってくれたほうが詳しく聞けるわ」

真姫「写真部ね…。ありがとう、後で行ってみるわ」

パーツモデル部部長「アタシたち自身が写真を撮る時に気を使うことといえば…」

パーツモデル部部長「…ズバリ、角度ね」

ことり「角度?」

パーツモデル部部長「顔写真を撮るとき、キメ顔ってあるじゃない?この角度で取ればすごい綺麗に写る、ってやつ」

パーツモデル部部長「あれと同じで、手や足を撮るときにも角度は大切なのよ。ちょっとした違いで印象が随分変わってくるんだから」

海未「これはわかります。演劇でも上手下手面奥の位置や、顔の向きなどで人に与える感情が変わってくるものだと言いますから」

パーツモデル部部長「その通り。あとは照明の当たり方ね。暗すぎず、明るすぎずの絶妙な明るさ、これがベスト」

パーツモデル部部長「まぁここらへんはモデル専攻の子なら誰でも気にしてることかも」

花陽「角度と照明…。単純だけど奥深いです…」

真姫「…」

真姫(それはライブでも同じね…。単純だけどやっぱり大事なこと)

真姫(特に角度は必須。私たちは歌って踊るモデルのようなものなんだから)

真姫(…だけど今、私たちが持ってるカメラは部のもの一つだけ…。同時に多方向から撮ることは不可能)

真姫(どうしてもベストな角度を持ってくるのには限界がある。…これも財力の問題ね)

ことり「あのー…、ところでなんですけどー」

ことり「…他の部員の方々は?」

海未「そういえば部長さん以外、誰もいませんね」

パーツモデル部部長「あぁ、うちの部員?それがねー…」

パーツモデル部部長「一度撮影の日程決めちゃうとここに集まる意味があんまないっていうかさー…」

パーツモデル部部長「みんな自分の思い思いにやっちゃうから集まんなくて。部長としては指導したいこともあるんだけどねー」

パーツモデル部部長「…って言っても、アタシより手とか足綺麗な部員とかいるし、説得力ないっていうかさ…」

パーツモデル部部長「ま、そんなわけで孤独なのよ。一瞬新入部員が入ってきてくれたのかと思って喜んだアタシを返して」

花陽「ご、ごめんなさい…」

パーツモデル部部長「アハハ、冗談だって。ま、取材でもなんでも久々に語る相手が出来て嬉しかったよ。いつでもおいで」

真姫「うん、ありがとう。また機会があったら訪ねさせてもらうわね」

パーツモデル部部長「あいよー。アンタはちょーっとナマイキで気に入らないけどねー。お肌が綺麗だから許しちゃうけど」




ことり「えへへ、真姫ちゃん言われちゃったね」

真姫「…やっぱりタメ口キャラは正すべきかしら…」

海未「気にしてはいるんですね…」

花陽「でも、優しい人でよかったね」

真姫「そうね。…じゃ、次は部長さんが推してくれた写真部かしら」

写真部


写真部部長「…取材ー?へー…、そんなことしてんだー…」

ことり「はい。そうなんですよー」

写真部部長「新聞部すら私たちに取材来たことなんてないのにー…、物好きねー…」

花陽「あははは…、また言われちゃった」

真姫「物好きでもなんでも構わないわ!なにか美しく魅せるコツ、ないの!?」

写真部部長「美しく…。んー…、そうねー…」

真姫(眠っちゃいそうな喋り方ねこの人)

写真部部長「…写真はー…、心…」

海未「はい?」

写真部部長「心が、大事なのよー…」

写真部部長「撮る側にスピリットが宿ってないと、写真も応えてくれないー…」

写真部部長「彼女は何よりも美しいー…。そう思えば、木も花も、全てが美しく写ろうとしてくれるのー…」

花陽「は、はぁ…。そうなんですかー…」

真姫「スピリチュアル、…ね」

海未「ふむ…。しかしいまいち掴みきれませんね…。具体的にはどういった感じで…」

写真部部長「仕方なしー…。例を見せたげるー…」

写真部部長「ここにー…、筆箱がありまーす…。あ、これをー…」

写真部部長「ふっ!」シャキンッ!!


真姫「なっ!カメラを構えた途端…」

花陽「目つきが変わった!」


写真部部長「あはーんかわいいかわいいそうそうその笑顔いいよそれそれ!んーバッチリ!!」パシャパシャ

写真部部長「あーんだめだめそうじゃないのあなたのかわいさはもっと心を開いたその先にあるのほら自分をさらけ出して全開に!」パシャパシャ

写真部部長「イエスイエス!ラブリーベリーキュート!!んー愛してる!好き好き超好きもう離さないんだからー!!んふっ」パシャパシャ

写真部部長「…」スッ…

写真部部長「とまぁこのような感じでー…」

真姫「キャラチェンジしすぎでしょ…」

ことり「それだけ心を込めて撮影に挑んでるんですね!憧れます!」

海未「撮影に魂込め過ぎているせいで普段はこうなのでしょうか…」

花陽「と、とりあえず…ありがとうございましたー!」

映画研究部


映研部長「美しく魅せるねぇ…。なんだろう…」

海未「舞台演劇とはどのように違うものか、個人的にもお聞かせ願いたいものです」

花陽「なにかありませんか?」

映研部長「…気にしたことねーや!あはは!」

真姫「ちょっ…」

映研部長「センスよセンス!個人の感覚がモノを言うの!」

映研部長「自分がやりたいこと貫き通す!他人に合わせちゃそれは自分の作品じゃねーのよ!」

映研部長「映画ってーもんはそんなもんなのよ!」

ことり「か、かっこいい…!」

海未「惚れます」

真姫「…参考にはなりそうにないわね」




合唱部


花陽「ひゃあああああああああ誰か助けてえええええええええええええ」

親衛隊ズ「「どうして花陽様が合唱部に!?もしかして入部希望ですか!?」」

花陽「違うからあああああああああああああああ」

親衛隊ズ「「待ってください花陽様あああああああああああああああああああ」」


合唱部部長「あー…、あれが一年で噂の小泉クンか…。カワイイしいい声で啼く…。うちにも欲しい…」

合唱部部長「あ、取材だったな。美しく魅せる…か。難しいな」

真姫「そうなの?」

合唱部部長「我々合唱部は歌で魅せてこそだよ。姿なんて二の次だ」

合唱部部長「といっても最低限の身なりは整えておかなければいけないがね」

合唱部部長「あと歌に感情を乗せることも大事だね。歌の世界に没入する…」

合唱部部長「美しく魅せる、とは少し違うかもしれないけど、私が気をつけているのはそのくらいかな」

海未「ありがとうございます。忙しい中取材に答えていただいて」

合唱部部長「いや、いいんだ。…それより物は相談なんだが」

合唱部部長「…あの小泉クンを少し貸してくれないかな?なぁに、悪いようにはしないよ…フフフ…」

真姫「なんか怖いからダメ!」




ガンプラ部


真姫「…なんでこんなところにまで…」


ガンプラ部部長「美しく魅せる!?たわけっ!!」

ガンプラ部部長「ガンプラはありとあらゆるモノ全てが美しい!美しくないガンプラは存在しないっ!!」

ガンプラ部部長「なぜなら、ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいからだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ガンプラ部部長「…真面目に答えると塗装の時はまずサフを前面にまんべんなく…」

吹奏楽部


吹奏楽部部長「ふむー…、美しくかー」

ことり「衣装とか、どんな風に考えてるんですか?」

吹奏楽部部長「んー、そりゃまあ曲のイメージに合った服だけど…」

吹奏楽部部長「でも美しく魅せる…あまり考えたことなかったかも…」

花陽「え、そうなんですか?」

吹奏楽部部長「でもこれ大事なことだよね!いいこと聞いちゃった!」

吹奏楽部部長「明日からそれについても考えてみるよ!サンキュ!」

海未「…相手を学ばせてしまいましたね」

真姫「学びたいのはこっちなのに…」


花陽「…ん?これ…」

ことり「どうしたの?」

花陽「ここに無造作に置いてある楽器は…」

吹奏楽部部員「あー、それは壊れちゃった楽器よ」

吹奏楽部部員「回収してもらうのにもお金かかっちゃうからある程度貯まるまで放置してるの」

花陽「そうですか…」

花陽「なんだから捨てられてるみたいでかわいそう…」

真姫「実際捨てられてるんだけどね」

花陽「そ、そういうことじゃなくて…」

花陽「役目が果たせなくなると無残に捨てられるのって、なんか寂しいなって思って…」

海未「ですが吹けなくなった楽器はどうしようもありませんからね」

海未「それまで頑張ってきてくれたのです。眠らせてあげている、と考えましょう」

花陽「う、うん…」

演劇部


真姫「海未が舞台美術に詳しくないなら、やっぱりここに頼るしかないでしょ!」

花陽「ここって演劇学科とどう違うんですか?」

海未「学科の方は学校から用意された演劇をこなすのが主な活動になりますね」

海未「演劇部は演出、脚本から舞台や小道具の作成、多方面への制作や公演日程に至るまで全て生徒の力でこなすようです」

ことり「学生にしてプロと同じ領域…!もうここはプロの巣窟だよ!」

真姫「それはさすがに言いすぎでしょ…。あくまで学業の合間にやってることなんだし」

海未「では、舞台班の方に話を聞きに行きましょう」

ことり「じゃあ私衣装さんに~」

花陽「え、別行動?」

真姫「いいじゃない。いろんな人から話を聞くのはいいことだわ。私たちも手分けして取材しましょう」

真姫「じゃあ私は…、演出さんかしら」

花陽「えっ…、えーっとじゃあ私はー…」

花陽「役者さんかな…?」



~数分後~



真姫「…」

ことり「あ、真姫ちゃん…。どうだった…?」

真姫「なんで…」

真姫「なんで演劇やってるやつはあんなヘンタイばっかなのよ!?」

真姫「意味不明のこだわりやら挙句の果てにフェチについても聞かされたわ!」

ことり「わ、私も…。誰それの腰周りがエロいとか…」

海未「舞台美術も熱く語られましたが早口すぎて理解が…」

真姫「…そういえば花陽は?」

ことり「まだ帰ってきてないね…」

海未「なにかあったんでしょうか」





花陽「おぉ…、おぉロミオ!ロミオぉぉっ!!」

親衛隊M「きゃー!花陽ちゃん似合ってるー!」

親衛隊P「次私!私がロミオね!」

親衛隊W「だめー!まだ私がロミオなの!」


花陽「…こ、こんなところにまでぇぇぇ…」

真姫(その後も私たちは様々な部やサークルに取材を続けた)

真姫(ダンスサークルやバレーボール部…、手芸部にアニメ研究部にマヨネーズ同好会…)

真姫(確かにいろんな部活のいろんな魅せ方について知ることはできたけど…)

真姫(これって本当に私たちの役に立つの…?)



アイドル応援部


真姫「つ、疲れたぁぁ~…」

花陽「あっち行ったりこっち行ったりで、いつもの練習より体力使うよぉぉ~…」

希「んふ、おつかれさん。そろそろ帰ってくるやろ思ってお茶とお菓子用意してたよー」

海未「こ、これはっ…!穂むらの揚げ饅頭!大好物です!」

ことり「わー…、わざわざありがとうございます」

希「長官やからね。これくらいしないと」

希「それで、成果はどう?」

真姫「んー…、まずまずね」

真姫「これを参考にしつつ、としたいところだけど…」

真姫「本当にその部独特のものが多すぎて、使い道に困るのもたくさん…」

真姫「…これでいいのかしら?」

希「うんうん、上々やんっ」

希「その積み重ねが、いつか真姫ちゃんたちを救ってくれるんよ」

真姫「そうだといいけど…」

花陽「今は考えるより、甘いもので疲れを吹き飛ばそう!はい、あーん」

真姫「あ、あーん…もぐっ」

真姫「ふぅ…、甘い…」



真姫(まだまだ先は長いわね…)

多目的ホール


絵里「ワンツースリーフォー…」


ズルッ

にこ「ぎっ…!」バターンッ!!


絵里「…矢澤さん」


凛「あははは!!にこ先輩またこけてるー!運動不足かにゃー?」

にこ「過労なくらいよ…。はぁっ…!」

穂乃果「休憩は十分足りてると思うんだけど、…ちゃんと寝てるよね?にこちゃん」

にこ「もちろんだわ…。夜は安眠MAXよ…、ふぅっ…、ふぅっ…」


絵里「でも明らかに息切れが多くなってきてるわ。少し、考え直す必要もあるわね」


にこ「そ、そんなっ…!私はまだっ!!」

絵里「とにかく、時間も時間だし今日はここまで。…まだやれるなら、矢澤さんは居残りね」

にこ「く、ぅっ…!」

凛「じゃー凛は一足お先に帰るね?にこ先輩、頑張って!凛の足だけは引っ張らないで欲しいにゃー」

凛「穂乃果先輩もお疲れ様ー!にゃんにゃんにゃーんっ」

にこ「はぁ…、はぁ…。何よ、あいつ…」

にこ「あれだけの練習の後だってのに…元気すぎでしょ…」

穂乃果「…そだね。羨ましいよ…」



凛「ふんふんふーん…。あと少しで凛はA-RISE~…」

凛「歌うこともできちゃう…!ふふふ、楽しみにゃー」


女学生「待って!!」


凛「にゃ?…あー、誰かと思えば二年の先パイじゃないですかー。どうしたんですか?」

女学生「なん、でっ…!」

女学生「なんで二年でダンス専攻トップの私よりっ…!あんたが次のA-RISEなのよっ!!」

女学生「おかしいでしょ…、そんなの…!!私のこの2年間はなんだったのよ!?去年はこのままいけばバックダンサーだって期待されてたのに…」

女学生「アンタがいるせいで…!アンタのせいで私はこんな惨めな思いをっ…!」

凛「だから何?」

凛「そんなこと凛に言ってどうしたいのさ。同情でも買ってバックダンサー譲って欲しいの?」

凛「そんなに悔しいなら、凛に一度でもダンスで勝ってから言って欲しいな。そしたら凛も嫌々ながら譲ってあげるけどー」

女学生「…くっ…!!」

凛「できないんなら、黙っててよ」

凛「あ、それじゃ!にゃんにゃんにゃーん…」テテテテ…



女学生「この…、バケモノがっ…!」

今日はここまでっす 5話はいつものもしよりかは短くなるかもね
しかし次回はうろ7話 頑張って面白くしたいぜ ほなな

逆転裁判やってて間空きましたがやっていきます 自分もこんな取っ付きやすい推理モノを書いてみたいものだ
書いたやつではMuseのHEROが一番それっぽいかな いつもより少しだけ早めだけど人来ますように

真姫「今日はうろライブ!第七話をやっていくわね」

凛「ダイエットの話かと思ったらいつの間にか生徒会運営の話にシフトしていたやつだね」

真姫「グータラ穂乃果としっかりした穂乃果の対比を描いた話ってことでしょうね」

凛「うろライブ!の世界で果たしてしっかりした穂乃果ちゃんは見ることができるのかにゃー?」

真姫「じゃ、忘却安価のおさらいと行きましょう。今回忘れる3人は穂乃果、花陽、ことりだったわね」

凛「かよちんの忘れる量がトップクラスだにゃ…。えっと、まずは穂乃果ちゃんからだよね」

真姫「穂乃果はえー…、『ことり以外の興味』だったわね」

真姫「前回の最後に匂わせておいたほのえりは死んだわ」

凛「あからさまに↓の人はほのまきを狙ってきたし穂乃果ちゃんはいろんな人に好かれて大変だね」

真姫「で、その下…、つまり花陽なんだけど…」

凛「一期うろライブ!の穂乃果ちゃんの安価と同じ内容だからその下じゃない?って話になってたよね」

真姫「そうね。一期と同じ内容は出来るだけ避けたいからって理由で同じ安価は控えめって注意を以前してたから」

真姫「これに関しては最初はまーいっか、くらいで採用するつもりだったけど、そうなるとまた一期の時に使用された安価を取る人が出てくるかも知れないし」

真姫「それは面倒だから、ごめんなさいだけどその下に繰り下げさせてもらうわね」

凛「その下は確かもともとことりちゃんが取るはずだった安価の…ポジティブシンキング」

真姫「本音を言えばこれを花陽が取ったほうが面白そうだから大義名分のもと下げさせてもらったわ」

凛「正直すぎるのもどうかと思うよ」

真姫「で、ことりはさらに下のそれ、ということで…」

真姫「人としての尊厳を失ってしまうわね」

凛「もう何だか嫌な予感しかしないよ」

真姫「ふふ…、もうどうなってもいいやの精神でやっていきましょう」

凛「じゃあそんなわけで、うろライブ!第七話!スタートにゃー」

前回のラブライブ!デン


真姫「やっぱり2回聞いちゃうと結構覚えちゃうから1度だけにしてみたわ」

真姫「今回長いから行けるかしら…。んんっ、それじゃ、行くわよ」

真姫「えー…、いきなり出てこない。なんだったかしら…、ハロウィンがどうのこうの!」

真姫「(穂乃果の声真似)やっぱりインパクトだよ!」

真姫「でもA-RISEの、あと…、お尻を?追いかけるだけでなんか…、良くない、みたいな?」

真姫「新たなアネックス1号を見ていくがいいー!」

真姫「(絵里の声真似)ふじゃけていたわけじゃないんでしゅ!」

真姫「んー…、で、そう…、えっと…、やっぱりアネックス1号は今のままがいいよねって話になって」

真姫「(穂乃果の声真似)私、今のアネックス1号が好き!」

真姫「でも恐ろしいことが起きようとしている気がするわよー…!」



(見返しタイム)



真姫「ハロウィンとか一切言ってなかったわ…」

真姫「説明セリフよりみんなの声のほうが記憶に残りやすいからね仕方ないわ」

真姫「そもそも前回こんな話じゃなかったから間違ってても問題ないわね」カミノケクルクル

穂むら


ほのママ「こんなことになっていたなんて…!」

雪穂「これってマズいよね…」

ほのママ「えぇ、マズいってもんじゃないわ…!もう、手遅れね…」

雪穂「お母さん、そんなぁっ…!!」


ガララッ

穂乃果「おはよー!」


ほのママ「穂乃果…っ!」

穂乃果「あ、それ…身体測定の紙。誰の?」

ほのママ「えっ…、いやこれは…」

穂乃果「見せて見せてー。ふむふむ、身長157cm…。まぁ普通かなー」

穂乃果「で体重…。えっ…!」

穂乃果「ちょっwwwwwwww身長コレでこの体重とかwwwwwwwワロタwwwwwwwクソデブwwwwwwww」

雪穂「それお姉ちゃんのだよ」

穂乃果「」バタッ

ほのママ「ショックで倒れたわ!?」

雪穂「…いつもどおりだけどね」




うろ覚えラブライブ! Forgotten Idol Project


第七話「なんとかなるでしょ」




生徒会室


海未「だらけている証拠ですっ!!書類もこんなに溜め込んで、全てに対して…」

穂乃果「ことりちゃぁぁ~ん、海未ちゃんがいじめるー」

ことり「うんうん、怖いよねー」

海未「聞いてるんですか!?大体今日体重報告しに来た時も笑いながら『これ見てこれ!めっちゃデブったよ!』って溌剌と…」

海未「元気なのは構いませんが恥ずかしくないのですか?!」

穂乃果「いいのいいの~。自分のことよりー、ことりちゃんさえいればそれでー」

ことり「んふふふふふ…、穂乃果ちゃんってば急に積極的になって愛いやつよのー。ナデナデ」

穂乃果「むふふ~」

海未「し、しかも…ことりといつの間にそんなに仲良く…!!」

海未「>>175です!!」

あなたは、最低です (腹パン)

海未「あなたは、最低です!!」ドゴォッ

穂乃果「おぶぅっ!!」

穂乃果「お、おぐぉ…!吐きそう…」

ことり「ちょっと!酷いよ海未ちゃん!」

海未「これくらいやらねば今の穂乃果の心には届きません!」

海未「さぁ、私の愛を受け入れてくれましたか!私ともイチャイチャしてください!!」

ことり「あれ?目的変わってない?」

穂乃果「ぐ、うぅ…!!へんだっ…。私にはことりちゃんがいるからいいもん…。痛さもヘッチャラさ…」

海未「くっ…!これほどやっても…。そんなだらけていてはいずれブヨブヨになってしまいますよ!」

穂乃果「へっ、デブってもモブ子ちゃんには関係ないことでしょー」

海未「誰がモブ子ですか!?確かに園田ではありますが…」

穂乃果「今の私にはことりちゃん以外みんな同じ顔に見えるんだもーん。モブと変わりないよ」

海未「な、なんですって…!」

ことり「うーん、穂乃果ちゃんが懐いてくれるのは嬉しいけど…。デブはヤダなぁ…」

穂乃果「えー、そんなこと言わずにー。言ってもそんなに変わってないってー!」

海未「…はぁ。どうやら現実を知ったほうが良さそうですね」

穂乃果「ほぇ?」

ことり「現実?」



海未「はい、これです」

ことり「これって…」

穂乃果「>>178の衣装…?」

夏色

穂乃果「2011年8月24日にリリースされた3rdシングル、夏色えがおで1,2,Jump!で使用されたPVの時に着ていた衣装…?」

ことり「詳しい説明乙だよ」

海未「いや、そもそも3年前に私たちスクールアイドルやっていませんし…。これは夏合宿の時の水着です」

穂乃果「なんで?」

海未「いいから!黙って着てみてご覧なさい」

穂乃果「えぇー」


バタンッ

海未「私の目が間違っていなけ」

ことり「二人きりになれたね…」

海未「は?」

ことり「穂乃果ちゃんもいいけどやっぱり海未ちゃんも捨てがたいから」

海未「あの、何を…」

ことり「さぁ、準備はバッチリだよ!」バッサァッ!!

海未「何ワイシャツはだけているのですか!?二人きりと言ってもここ廊下ですよ!?オープンスペースですよ!?」

ことり「いいのいいの。いざとなればみんなを含めて…」

海未「しっかりしてください!こ、ことりまでいつも以上におかしく…」

海未「こうなれば…、あなたは最低です!!」ドゴォッ

ことり「おごぉっ!!」

ことり「ぐ、ぐふぅっ…、体重の乗ったいいブローだ…、ちゅんっ…」バタッ

海未「ふぅ…、危うくケダモノに落ちぶれたことりに襲われるところでした…」

海未「…あれ、そういえば私は何故生徒会室の外へ…?」

海未「おかしなこともあったものです。部屋に入りましょう」ガチャッ


穂乃果「えっ」

海未「おっ」


穂乃果「う、海未ちゃん…。まだ着替えてる途中なんだけど…」

海未「ほ、穂乃果ァっ!!?どどど、どうして水着に着替えているのですか!?今はそんな季節では…」

穂乃果「そっちが着替えろって言ったんじゃん!」

海未「わ、私が?そうでしたっけ…。…し、しかしその体勢…!も、モロ見えです…ぶふっ!」

穂乃果「わわ!まだ下履いてなかったから…もー!!海未ちゃんのヘンタイーーーー!!」



穂乃果「うぅっ…、グスッ。大事なとこ見られちゃった…。もうお嫁にいけないよ…」

ことり「いいんだよ、穂乃果ちゃんはうちで面倒見てあげるから」

海未「じ、事故です。すぐに忘れますから…。そ、それよりも!」

海未「その水着を着てみて感じたことはありませんか!?」

穂乃果「え、水着を着て感じたこと…?んー…」

穂乃果「少し>>182かなー」

胸が大きくなった

穂乃果「少し胸が大きくなったかなー」

ことり「あ、あぁ…。うん、そうだねっ!胸大きくなってる…よ!」

穂乃果「でしょでしょ!?いやぁ、ちょっぴりオトナに成長しちゃったのかなー?」

ことり「えー、うん…。胸…も、大きく…」

穂乃果「ほえ?」

海未「ことり、気休めは本人のためになりません。正確に言ってあげてください」

海未「胸もですがそれ以上に、お腹が出ています。だっぷりと」

穂乃果「えー、いやそんなそんな、まっさかー…」プニッ

穂乃果「うっ、この感触…。希ちゃんを思い出す…」

ことり「それは希ちゃんに失礼だと思うよ…」

海未「なんですかこのっ…、性的な下っ腹は!このっ、このっ!」プニプニッ

穂乃果「ひ、ひっぱらないでよー!!やーめーてー!!」

海未「体重の増加は、見た目はもちろん動きのキレをあーだこーだパフォーマンスがどーのこーの、穂乃果はリーダーでうんたらかんたら」

ことり「海未ちゃんも言葉のキレを良くしようね」

海未「つまりっ!ラブライブに向けて、ダイエットしてもらいます!!」

穂乃果「ラブ…、ライブ…?」

ことり「また始まったよ」



部室


花陽「収穫の秋!秋と言えばなんといっても>>184の季節です!」

花陽「収穫の秋!秋と言えばなんといっても」

花陽「鬱の季節です!…あー、かったるなぁ。死のう」

凛「なんでそうなるの…」

真姫「でも実際に鬱病患者は11月から12月にかけてが多いらしいわね」

凛「冷静な判断は今はいらないよ!」

花陽「最近何事も楽しく考えられなくなってきて…。ご飯も少ししか喉を通らなくて…もぐもぐ…」

真姫「その巨大おにぎりをひとりで全部食べられるなら何の問題もないと思うわ」

花陽「ホカホカでツヤツヤの新米ならあとこれを同じものを3つは行けるのにひとつだけ…。はぁ…、辛いなぁ…」

花陽「あー…、ん?」

穂乃果「じー…!美味しそう…!!」

花陽「…食べる?」

穂乃果「え!いいの?」

海未「いけません!!」スッ…

穂乃果「うっ…!」

海未「それだけの」ドゴォッ

海未「炭水化物を」ズゴォッ

海未「摂取したら」ゴスッ

海未「燃焼にどれだけ」ベゴォッ

海未「時間がかかると」ガゴォッ

海未「思ってるんですか!」ホニャァッ

穂乃果「うべらぁっ!!」

真姫「あの短時間に強烈な腹パンを6発…。私でなきゃ見逃しちゃうわね」

穂乃果「ごほォっ…!胃が縮む…」

凛「もしかしてダイエット?」

穂乃果「うん、ちょっとね…。最終予選までに減らさなきゃって…」

花陽「それはつらいよね…。私もごはんが食べられないって思うと…はぁ…。もぐもぐ…」

海未「さぁ、ダイエットに戻りましょう」

穂乃果「酷いよモブちゃん…」

海未「だから誰がモブですか!仕方ないでしょう!可哀想ですがリーダーたるもの自分の体調を管理する義務があります!」

海未「それにメンバーの協力があったほうがダイエットも効果が上がるでしょうから」

穂乃果「あれ…、真面目なことしか言ってない…。モブ未ちゃんらしくないよ!」

海未「もうネタ切れです!そしてモブ未って誰ですか!?」

花陽「これから練習時間も増えるし、いっぱい食べないと…もぐもぐ…、ひぇんきへない…もぐもぐ…」

海未「それはご心配なく!穂乃果の食事は私の手作りです!愛妻弁当なら穂乃果もよろこんで食べてくれるでしょう?」

穂乃果「モブ未ちゃんごときが愛妻とか笑わせないでよ!そもそも海未ちゃんはいっつも霞食べて生きてるんだから人間の私には早いよ!」

海未「私は仙人かなんかですか!?ちゃんとバランス栄養食を摂っています!」

真姫「それだとカロリーなんとかばっかり食べてるみたいに聞こえるわよ…」

花陽「でも食べたい時にたべもぐもぐられないのはもぐもぐ」

凛「…」

真姫「…」

花陽「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

凛「かよちん…」

花陽「もぐもぐ?」

真姫「気のせいかと思ってたんだけど、あなた最近…」

花陽「もぐ?」



花陽「あんぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



屋上


花陽「おち◯○ん!ま○こまん○ま○こぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」

花陽「新米ごはんぱくぱくもぐもぐwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


絵里「花陽が壊れてしまった…」

花陽「あびゃー」

穂乃果「ぬねぇぇぇ…」

希「まぁ二人共、育ち盛りやから、そのせいもあるんやろうけど…。あ、ところでパフェ食べにいかん?」

絵里「は?」

にこ「でもほっとけないレベルなんでしょう?」

絵里「なんで今パフェ…?」


ほのぱな「「うぅぅぅぅ…」」

海未「!」ダンッ

海未「これが、今日からのメニューです!ででんっ!」

穂乃果「っ!夕飯これだけ!?」

花陽「おめこが…あ、違った。おこめが…」

海未「夜の食事を多く摂ると体重増加につながります」

海未「その分>>188ので、ご心配なく」

朝昼抜き

諸事情により早いけど今日はここまで やる気があれば今日の夕方頃からやるかもしれません ほなな

遅めになったがはじめます

海未「夜の食事を多く摂ると体重増加につながります」

海未「その分朝昼抜きなので、ご心配なく」

穂乃果「なるほど!それなら良…」

穂乃果「くないよ!?朝三暮四ってレベルじゃねぇぞ!」

花陽「え、穂乃果ちゃん靴ズレ?ダンスに響くから買い換えたほうがいいよ?」

海未「たぶんそれは外反母趾です。しかし穂乃果が朝三暮四なんていう単語を知っていたなんて…」

穂乃果「夕食少なめで朝昼抜きとか死ぬわ!いくら穂乃果がバカでもそれくらいは理解できるよ!」

海未「…くっ。穂乃果もそこまでではありませんでしたか」

穂乃果「当たり前だよ!ったく…。はぁ、でも朝昼あってもこれはキツイなぁ…」

花陽「もう死ぬしかないよ」

穂乃果「は、花陽ちゃん!?」

花陽「お米の少ない人生なんて私の人生なんかじゃないもの…。ノーライスノーライフだよ…」

花陽「だからこんな世界とは早々におさらばして私はお米だけの楽園『コメトピア』に向かうんだ…」

穂乃果「待って待って!柵にかけた足を今すぐ下ろして!早まるな!」

穂乃果「あの世に行ったってお米なんてほとんどないんだよ!全世界を含めれば米食よりパン食のほうが圧倒的に多いんだから!」

穂乃果「どうせ死んだところで待ってるのはお米天国じゃなくてパン天国だって!」

穂乃果「あれ?だったら私が死んだほうがよくね?」

海未「良くないです」

花陽「…お、お米ないのかぁ…。だったらやめよう…」

穂乃果「それに、ほら!花陽ちゃんも一緒で良かったよ!私と同じ境遇の仲間がもうひとりいてくれて!」

花陽「いや仲間とか…。私ごときがアネックス1号リーダーの穂乃果ちゃんと仲間なんてありえないよ…」

花陽「むしろ下僕…。うぅん、ご飯を食べるだけしか能のない家畜でしかない…」

花陽「そもそも私がアイドルなんておこがましいし、こんな私の歌や踊りなんて誰も見てやくれないから…」

穂乃果「ちょいちょいちょーい!凹みすぎだよー!は、花陽ちゃんは立派なアネックス1号の仲間だから、ね?元気出して。おっぱいも出して」

海未「どさくさにまぎれて何を要求しているんですか」


ガチャッ

モブA「あの、いま休憩中…、込み入ってます?」

海未「いえ、いつものことですので気にしないでください」

モブB「あ、そうですか…。えっと、サインいただけますか」

穂乃果「あなたたちは?」

モブC「私たち、この前のハロウィンライブ見て感動して!」

絵里「ありがとう!嬉しいわ。穂乃果、どう?」

穂乃果「>>203

もうしたよ。
あなたのほっぺに

穂乃果「もうしたよ。あなたのほっぺに」

モブA「ほっぺ…?」

モブB「あ!モブAちゃんのほっぺたにいつの間にかサインが!」

モブC「モブBちゃんのほっぺにも!?」

モブA「そしてモブCのほっぺには…、き、キスマークも…!」

絵里「な、なんですって…!全く見えなかった…」

にこ「なんて早業なの…!まさにプロ級…」

穂乃果「ふう…。これくらいできないとアイドルはやっていけないっすよ」

モブABC「きゃー!カッコイイー!!穂乃果先輩、抱いて!」

穂乃果「ダメダメ。私には…」

穂乃果「…ことりちゃんしか、いないんだからねっ☆」

ことり「ほ、穂乃果ちぇん…!ステキ!」



ことり「えへへへへ~…!なんてことになったらいいなぁ…」

凛「こ、ことりちゃん?顔からお汁が吹き出してるにゃぁ…」

真姫「キモイ」

穂乃果「サイン?もちろんいいよ!」


モブA「うわー!ありがとうございます!実は私、園田先輩みたいなスタイルに憧れてたんです!」

海未「そ、そんな、スタイルだなんて…」

凛「海未ちゃんはスタイルっていうかタイルみたいな胸だと痛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

海未「余計なことを言いますとその目を潰しますよ」

凛「お、おごぉぉぉ…!だけど凛諦めないにゃぁ…!」

モブC「私、ことり先輩のすらっとしたところがきれいだなぁって!」

ことり「えへへぇ…、穂乃果ちゃぁぁぁん…。犬のようにさかりあお…え?なにか言った?」

希「今はすらっとっていうか顔から液体がダラッとしてるね」

モブB「私は穂乃果先輩の…!」

穂乃果「の!?」

モブB「え、えっと…元気なところが大好きです!」

穂乃果「元気…!つまり痩せてるってことか!」

海未「どう解釈したらそうなるんですか…」


廊下


穂乃果「…くっ、みんなも穂乃果がデブってるって思ってたのかぁ…」

穂乃果「いやむしろデブアイドルを目指すのはどうかな!?ポッチャリしたお腹をセックスシンボルとして大々的に…」

海未「ごく一部にしか需要がありません」

ことり「さっきの子たちには少なくとも受けないと思うなぁ」」

海未「しかし、これでより、『生きねば。』と思えたでしょう?」

穂乃果「飛行機はそんな簡単に作れないよ…」

生徒会室


ガチャッ

穂乃果「ただいまー…。っは!ナニコレ!」

穂乃果「なんか大量の書類的なもの!ま、間違えました!」バタン

海未「あってます」ガチャッ

ことり「現実逃避はやめようね」

海未「そろそろ予算会議ですからね。各部から予算の申請が集まっているんです」

海未「こっちは私とことりで整理しておきますから、穂乃果はまず…」

海未「>>206を処理してください」

卵孵化最低100個

海未「卵孵化最低100個を処理してください」

穂乃果「また厳選…!!何が楽しいの!?私がそっちやるから海未ちゃんがシャトルランしてればいいじゃん!!」

海未「穂乃果は単純作業ならバッチリできますからね。指を数秒ごとに数センチ移動させるだけです」

穂乃果「やだよ…。私にとって無意味すぎるその行動もだけど何よりやっと生まれたと思ったらクソ個体だった時に捨てられる命を大量生産するのが虚しいよ…」

海未「所詮データの塊です。さぁ早く」

穂乃果「これも世の常か…」

ことり(あー、どうでもいい話してるなぁ)ボー…


ガチャッ

モブD「あのー、すみません。美術部なんですけど」

モブD「急いだほうがいいと思って直接予算申請書を持ってきました」

ことり「あ、ありがとー」


海未「んー…、はい。問題ありません。ありがとうございました」

モブD「じゃあお願いします」スタスタ

海未「はい、ことり」スッ

ことり「うん」

海未「あ、内容に問題がないだけであって承認するかどうかはまだ決定したわけではないのでちゃんと管理しておいてくださいね」

ことり「わかってるってー」ポイ-



神田明神


モットモットオードラセテー

一同「わぁぁ…!すごーい!」

絵里「ものすごいサイ・サイシーね…」

にこ「ドラゴンガンダムのパイロットを何故ここで…」

絵里「再生数を噛んだのよ!」

海未「A-RISEに強力なライバル出現…!」

真姫「最終予選は見逃せない…って」

希「どうやら今までどおりの自分たちのスタイルでいって正解やったみたいやね!よし、パフェを食べに行こう!」

絵里「えっ」

凛「よーし!最終予選も突破してやるにゃ!」

絵里「どうして今パフェを…。ま、まぁいいわ。それまでに二人にはしっかりしてもらわないとね」


ほのぱな「はぁ…、はぁ…!!」

花陽「な、なにこれ…!」

穂乃果「どうして穂乃果たちだけ、こんなランニングさせられてるの…はぁ、はぁ…」

海未「ですからダイエットだと何度も…」

穂乃果「で、でもここの階段いつの間にか段数増えてるよ…。こんなにしんどくなかったもん…」

にこ「それはあんたたちは今、>>209して走ってるようなものだからなのよ。当然でしょ」

エスカレーターを逆走

にこ「あんたたちは今エスカレーターを逆走して走ってるようなものだからなのよ。当然でしょ」

花陽「え、エスカレーターを逆走…!?そ、そうだったの…!?」

穂乃果「てことはここの階段がいつの間にか電動式になってたってこと!?いやぁ神社も近代化の煽りを受ける時代になってきたんですね」

絵里「いや、にこのそれは例え話でしょ…。正確とも言い難いけど…」

花陽「例え?…っは!じゃあ誰かが私たちを一瞬で階段の下まで運んでるってこと!?」

穂乃果「催眠術だとか超スピード的なもので…?」

花陽「うぅん、そんなもチャチのじゃあ断じてない、もっと恐ろしいもののはずだよ、きっと…」

海未「さっきから無駄に深い考察してますが違います!単純にあなたたちの体重が増加したために階段の昇り降りがキツくなっているんです」

穂乃果「それじゃ私たちがデブみたいじゃん!」

海未「デブなんです」

花陽「なん…だと…」

海未「はい、じゃあこのままランニング5kmスタート!」

ほのぱな「えぇぇっ!!」

海未「それだけ大きな声が出せているならまだ体力も十分に有り余っているでしょう!さぁ何してるんですか!早く行く!」

穂乃果「もー!海未ちゃんのタイル胸!」

花陽「園田ちっぱい」

海未「ぬぁんですってぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

ほのぱな「ひゃー逃げろー」


真姫「…なんだかんだ楽しそうに見えるんだけど」

穂乃果「ふっふっ…」スッタカター

花陽「はっはっ…」スッタカター

穂乃果「ふっふっ…」

花陽「はっはっ…」

穂乃果「ふっふっ…(あ!定食屋…)」

花陽「はっはっはっ…(ほ、穂乃果ちゃん?何してるの?)」

穂乃果「ふっふっ…(の、チラシのこのゴハンの顔カワイイ…。ね!花陽ちゃん!これどう思う?)」

花陽「はっはっはっ…!?(ほ、穂乃果ちゃんまさかランニングをサボって定食屋に入ろうと!?)」

花陽「はっはっはっ…!(確かにそれはアリ…!!)」キラキラ…!!

穂乃果「ふっふっふっ…!(あ、花陽ちゃんの顔が輝いた!花陽ちゃんもカワイイって思ってるんだ…)」

穂乃果「ふっふっ…(私たちもゴハンのキャラに扮するとかどうかな?)」

花陽「はっはっはっ!!(う、うぅんっ!やっぱりダメ!!そんなことしたら怒られちゃうよ…!)」

花陽「はっはっ!(腕でバッテンを作ってダメだって強くアピールしないと…)」

穂乃果「ふっふふっ…?(ん?なにあれ、必殺技のポーズのつもり?やられたフリしたほうがいいのかな…)」

穂乃果「ぐっふぅぅぅっ!!(うわー、やられたー!)」

花陽「っ!!?はっはっはっ…!(穂乃果ちゃんすごくショック受けてる!?そんなに定食屋に入りたいの…?)」

穂乃果「ふっふふふふっ…!!(よくもやったなー!だが私を倒せばこの店にいるやつらも木っ端微塵だー!)」

花陽「はっはっはっ…!(ま、まだ諦めないの…?店に向けて指をさしてる…。そこまで入りたいんだ…)」

花陽「はははっ!!(でもダメなものはダメ!これ以上太ったら…)」

穂乃果「ふっ…!(さっきより強く腕をクロスした!?これはパワーアップした必殺技なのかぁ…!)」

穂乃果「ぐふふふぅぅぅっ!!!!(ぐっはー!!そんな技がー!!)」

花陽「っ!!?は、はっはっ…!(えぇぇぇぇぇぇっ!!!!?盛大に吹っ飛んだっ!!?)」

花陽「はわわわっ…!!(私の意思が質量を持つほど強かったせいで穂乃果ちゃんが…ごめんなさいっ!)」ダダッ

穂乃果「ふっふっふっ…!(逃がさないよー!ほら、今度は穂乃果の反撃!)」ガシッ!!

花陽「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!(笑顔で首根っこ掴まれたぁっ!!これは酷い返しを覚悟するべきか…!)」

穂乃果「ふっふふふふっ…!(あの店でケリをつけよう!)」

花陽「ははっ…?(のぼりを指さしてる…?そこに書いてあるのは…)」

花陽「…?(『黄金米』?…何語?)」

(※かよちんは現在漢字全般を忘れているのだ!)

花陽「はっはっはっ…!(で、でもあの文字から感じるエネルギー…!なんだかとっても惹かれる…!)」

花陽「はぁぁぁぁっ…!!(体を委ねてしまいたぁぁぁいっ!!)」

穂乃果「ふふふぅぅっ!!(お、やる気になったね!よっしゃお店の人も含めて乱戦…)」

ウィーン

穂乃果「ふ?(あれ?そういえばなんで必殺技ごっこの流れに…)」

店員「いらっしゃいませー。食券をお買い求めくださーい」

穂乃果「は!ご飯がある!食べよう!」

花陽「うん!」

1週間後


穂乃果「いってきまーす!行くよ花陽ちゃん!」スッタカター

花陽「はいっ!」スッタカター


凛「頑張ってるにゃー」

絵里「順調そうね、ダイエットも」

海未「…そうでしょうか」

絵里「えっ」

海未「この一週間、>>213>>214だけは妙に積極的な気がするのです…」

ことり

海未「この一週間、ことりのビリーズブートキャンプだけは妙に積極的な気がするのです…」

にこ「…そんなことしてたの?」

真姫「というか、ことりがしたブートキャンプならビリーズではないと思うわ」

希「つまり、ことリーズブートキャンプってことやね」

凛「もしくは本当はことりちゃんの名前はビリーだったとか?」

海未「そんな事実はありませんか、…うーん、一体どうして」

ことり「…」



~回想~


ことり「はいワンツーワンツー!もっと腕を大きく振って!」

穂乃果「おっひょぉっ!!ことりちゃんのおっぱいめっちゃ揺れてる!たまらんねこりゃ」

花陽「お、おっぱいなら私のほうが揺れてるもん!」


~回想終わり~



ことり(…穂乃果ちゃんが着々と私の虜になろうとしていることを海未ちゃんは気づいていないのだ…!ふふふ…!)

海未「ま、いいでしょう。穂乃果たちも頑張っていることですしね」

ことり「そうだよー」ダラダラ…

海未「…どうしてヨダレをそんなに垂れ流しているんですか」



一方その頃


穂乃果「いやー今日も美味しかったねー!チョロいチョロい」

花陽「見てみて!今日でサービススタンプ全部たまったよ!」

穂乃果「えぇぇっ!!?そんなのあったの!?気付かなかった…」

花陽「これで次回はご飯大盛り無料!」

穂乃果「え、ご飯おかわり自由じゃなかったの…?」

花陽「え、違うよ…?」

穂乃果「嘘…!おかわり自由だと思ってたから毎回10杯は頼んでたのに…」

穂乃果「道理で私だけ会計がヤバいことになってると思った…」

穂乃果「もう全財産スっちゃったよ…」

花陽「えぇぇ…」

穂乃果「…」

穂乃果「まぁゴハンが美味しかったら問題ないよね!」

花陽「そうだね!私関係ないし!!」

ほのぱな「あははははははははははははは!!」



ラブライブ!(アイキャッチ)

部室


海未「…」


ほのぱな「…」


海未「…どうして」

海未「どうして二人共体重がさらに増えているのですかぁぁっ!!!!」

穂乃果「わかんない…。ちゃんと運動してるはずなのに…」

花陽「さっぱり心当たりがないよ…」

絵里「傍目からでも確認できるくらいデブってきてるわね…」

にこ「特に穂乃果…。下っ腹が…」

海未「エロすぎです!揉みしだきたい!!」

ことり「この前から思ってたけどもしかして海未ちゃんデブ専?」

海未「うっ…!そ、そんなことはありません…」

海未「デブなんて世間一般では忌み嫌われるものです!ちゃんとメニュー通りトレーニングしているんですか!?」

穂乃果「してるよ!たぶん!」

凛「たぶんって」

花陽「明日には大抵忘れてるからねー」

海未「…昨日ことりから>>220を貰っていたという目撃情報もありますが」

サルミアッキ

海未「…昨日ことりからサルミアッキを貰っていたという目撃情報もありますが」

花陽「え?アルミサッシ?」

にこ「穂乃果あんた…、アルミサッシを食べたの!?」

絵里「それを与えることりもどうなのよ?!食べてるの見てないで止めなさいよ!お腹壊すわよ!」

ことり「えー?そんなのあげた覚え…」

穂乃果「な、なんか貰ったっけ…」

希「二人共忘れてるやん…」

海未「アルミサッシではありません!サルミアッキです!」

凛「なにそれ?」

海未「世界一マズい飴と呼ばれるものだそうです。アンモニウムが含まれるのだとか」

真姫「…くさそう」

ことり「あー。それならあげたよ。マズくてとても食べられそうにないから穂乃果ちゃんに全部」

絵里「そんなもの全部食べちゃったの!?どっちにしろ穂乃果お腹壊したんじゃ…」

穂乃果「あー、あれかー。意外と美味しかった」

凛「美味しかったんだ…。マズくてとても食べられそうにないもの…」

にこ「てかそんなもの穂乃果に渡すことりもことりよね…」

海未「あと!雪穂からおだんごを食べたとかケーキを食べたとか聞いていますが!!」

穂乃果「えぇっ!?そんなの食べた覚えないよ!」

希「覚えがないだけやろうけどね」

海未「…ほ、穂乃果がそういうのなら雪穂の思い違いなのでしょうね」

凛「なんか海未ちゃんあまあまだにゃ」

真姫「もしかして、本当にデブった穂乃果のボディが好きなんじゃ…」

海未「ち、違います誤解です!!そんな体じゃラブライブに出ること能わずです!やる気あるんですか!?」

穂乃果「やる気ー…?あ、あると思う…」

海未「な、ならいいのです…」

凛「…いいの?」

真姫「海未は穂乃果のことになると、特別甘くなるからね」

凛「あれだけ甘やかしてると、逆に穂乃果ちゃんのこと嫌いなのかと思ってくるよ」

ことり「…皮肉だね」

海未「穂乃果!…しかしやる気があってもそのボディは如何ともしがたいものがあります!!せめてローラーでこう…、脂肪を胸の方に!!」

穂乃果「絶対痛いじゃんそれー!!」

真姫「…穂乃果も大変ね」


ガララッ


ヒデコ「あのー…」

穂乃果「ほぇ?どったの?」

ヒデコ「それが…」

生徒会室


穂乃果「えぇー!?承認された!!?」

ヒデコ「うん、美術部の人、喜んでたよ」

穂乃果「な、何が承認されたの…?」

フミコ「いやだから予算が…。予算会議前なのに…」

海未「そんなことありえません!!ちゃんときちんと、念を押して!絶対に承認するなとことりにも言っておいたのに!」

ことり「…」

海未「そこまで言ってことりがまさか承認するわけないので、なにか他に原因が…」

ことり「…う」

海未「ことりも文句を言ってあげてください!自分は潔白だと…」

ことり「や、やっちゃった…」

海未「ハァッ!?」

穂乃果「あ、なにこの紙。承認のとこにハンコついてる」

ことり「…」

海未「どどど、どうして!?ダメだと念を押したのに…」

ことり「聞いてなかった…」

海未「ファーwwwwwwwwwwwww」

穂乃果「う、海未ちゃんがおかしくなった…。と、とにかく美術部に話に行こう!!」



モブD「えぇー!?!今更言われても困るよ!そっちが承認してくれたんでしょ!?」

海未「いや、ですから…」

海未「>>223

わかりました 美術部は廃部です

海未「わかりました。美術部は廃部です」

モブD「えっ、ちょっ…!何それ!?」

海未「そちらが飲み込めないのであれば生徒会側もそれなりの処置をせざるを得ません」

穂乃果「う、海未ちゃん、何もそこまで…」

モブD「自分たちのミスをこっちに擦り付ける気!?ふざけないでよ!!」

モブD「最低!だったら今の生徒会こそ解体すべきでしょ!生徒会長は前生徒会長推薦だかなんだか知らないけどポンコツだし!」

穂乃果「だ、誰が豚のスープだよ!」

ことり「それトンコツ」

モブD「聞いた話だと生徒会業務をサボってポケモンやってるって聞くし!もうそれ生徒会としてどうなの!?」

モブD「そっちがその気ならこっちだって本気だよ!全面攻勢だ!」

海未「いいでしょう!受けて立ちます!!絶対に美術部を廃部に追い込んでやりますから!!」



生徒会室


希「…面倒なことになったね」

絵里「もう面倒ってレベルじゃないわよ。なんで予算云々の話が美術部を廃部に追い込むか生徒会を解体するかの話に飛躍してるの」

穂乃果「すみません…」

海未「注意していたつもりだったんですが…」

ことり「海未ちゃんが悪い(確信)」

海未「ハァ!?元はといえばことりが話を聞いてなかったのが悪いんでしょうが!!」

穂乃果「いや、絵里ちゃんが悪いんだよ」

絵里「そうそう…ってオイィッ!!どうしてそこで私が出てくるの!?」

希「その話は後や。今はパフェを食べに行こう」

絵里「なんで最近そんなパフェ推しなのよ!?廃部と解体のことをどうにかするのが先でしょ!」

絵里「3年生に美術部のOGの人がいるから、私からちょっと話してみるわ。廃部は失言だったって」

希「せやね。パフェ食べたいね」

絵里「…そうね。今日食べに行きましょうね」

海未「すみません。手間をかけてしまって」

穂乃果「…でも」

のぞえり「ん?」

穂乃果「…生徒会の実情は、どうしようもないよね」

ことり「穂乃果ちゃん…」

穂乃果「自分たちが機能してないんだもん。私たちじゃどうしようもないよ」

穂乃果「今の生徒会なんてもう、私たちやってないみたいなもんだから」

絵里「でもっ…!」

希「えりち」ポンッ

絵里「…?希…」

希「パフェ食べに行こう」

絵里「もう黙れお前」

絵里「あーでこーで、こういうことなので、なんとか説得お願い…」

美術部OG「わ、わかった…。あなたも大変ね」



夕方

校門前


絵里「…はぁ」

希「気になる?」

絵里「えっ、あ、まぁ…、ね。あれじゃホントに、生徒会解散しかねないかもだし…」

希「帰り、パフェでも食べてこうか」

絵里「うん、そうね…。わかったからもう…」

希「うちらが卒業したら、3人でやっていかなきゃいけないんやから」

絵里「…」

希「行こ?」

絵里「…うん」



生徒会室


穂乃果「うおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」スバババッ!!


海未「ほ、穂乃果がやる気になっています…!」

ことり「今まで溜まってた書類を光の速さで処理していく…!?」

海未「やはり穂乃果にはポテンシャルだけはあったのですね…」

ことり「感動だよ…!…あ」

ことり「やった!5Vのイーブイ出た!」

海未「なっ!しかも性格ひかえめ…!?シャワーズに使います!ください!」

ことり「だめだめー。6Vメタモンとならいいよー」


穂乃果(あの二人はもう頼りにならないっ…!私が頑張らなきゃ…)

穂乃果(集中すれば私はできる子…!誰よりも、頑張れる…!)

穂乃果(この調子なら、夜中までぶっ続けでやれれば…!)

穂乃果(…なんとかなるでしょ!)



廊下


先生「…ん?」

先生「…おーい、そろそろ帰れよ…」


ことり「すー…、くかー…」

海未「うぅん…、むにゃむにゃ…。ぽけもん、げっとれすぅぅ…」


穂乃果「ふぅっ…、こっちもやっと計算あった…。次は…」


先生(南と園田は寝るほど頑張ってたのか…。意外と生徒会もやるな…)

先生(高坂も二人の欠けた分を埋めようと頑張ってるし、そっとしておくか…)スッ…

数日後

屋上


真姫「いよいよね、予算会議」

花陽「…上手くいってくれるといいけど」

真姫「心配でしかないわ…」



予算会議してる部屋


穂乃果「…」


部長たち「…」


穂乃果「…くかー」

海未「ほ、穂乃果…。寝てはいけません」

穂乃果「っは!…ごめん。でも海未ちゃんたちがだらけてたから…」

ことり「ち、ちゃんと後からは手伝ったしー…」

海未「しかしどうしてそこまで…」

穂乃果「あ!にこちゃん!どうしてここに?」

にこ「当たり前でしょう!アイドル研究部の部長よ!?私は」

穂乃果「え、そんなアホみたいな名前の部の部長なの…?へー」

にこ「そんなアホみたいな名前の部員よアンタたちは!!」

穂乃果「そうだったのか…」

にこ「…それより、わかってるんでしょうね…!?」

ことり「部費アップ?任せといて!他の部の3倍はあげる!!!!」

にこ「大声で言うな!もっと控えめで…あとそれよりも…」

にこ「このままだと生徒会解散もあり得るんでしょ?なんとかなるんでしょうね…」

海未「わ、わかりません…」

穂乃果「…じゃあ、そろそろ行こうか」

穂乃果「では、えー…」

穂乃果「…」

穂乃果「…なんだったっけ」

ことり「か、各部の代表も揃ったようなので予算会議をはじめます!」

穂乃果「あ、そうそう。で、まず私から…」

モブD「はい!その前にまず、美術部の件と、生徒会の実情について説明してもらえますか?」

穂乃果「えっ…」


「そーだそーだー」「最近たるんでるって聞いたわよ」


ことり「え、えと…」

海未「>>228

全員地獄へ叩き込みますよ

海未「全員地獄に叩き込みますよ」


「なっ…!」「どういうことよそれ…!?」


ことり「海未ちゃん!?何を言い出してるの!?」

海未「言葉のとおりです。生徒会に歯向かう者は全てこの私が」

穂乃果「ふっ!」ズンッ

海未「こ、はっ…!?!い、いつの間に、こんな重いパンチを…」

穂乃果「…少し、頭冷やそうか。海未ちゃん…」

海未「うぐ、ふっ…」バタッ


シーン…


にこ「どどどど、どうするのよこの空気…!?」

ことり「今回の海未ちゃん、余計なことしかしないね…」

穂乃果「えー…、ごほん」

穂乃果「えっと、美術部廃部との発言の件ですが…」

穂乃果「それは全て園田さんの独断であり、生徒会としてその気はないことを主張します」

ことり「え、っと…よいしょっ!」

海未「うぅ…」

ことり「(海未の声真似)ソ、ソーナノデス。ワタシガヤッチャッタコトデース」


「…」


穂乃果「そして、美術部が提示してきた生徒会の解体ですが…」

穂乃果「正直に言ってしまうと、それまで生徒会は機能していなかったといっても過言ではありませんでした」

モブD「や、やっぱりそうなんだ…!それじゃ…」

穂乃果「で、ですがっ!そのことを深く反省し、その日から考え方を改め、今日に至るまでにそれまでに溜まっていた業務を全てこなしました!」

穂乃果「これからも生徒会をサボることをせず、真摯に活動に取り組んでいくと誓いますので、どうか解体のお考えは取り下げてもらえないでしょうか!」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん…」

穂乃果「…もしこんどまた、生徒会の活動を怠るようなことがあれば、そのときはすっぱりと解散致します」

穂乃果「…ですから」

海未「うっ…、うぅん…。ほ、穂乃果…?」

ことり「あ、起きた」

モブD「わ、わかったわよ…。そっちがやる気なら、それでいいんです。でも!」

モブD「美術部の予算についてはどうなってるんですか!」

穂乃果「それは…」

海未「>>234

書道部の予算から出します

海未「書道部の予算から出します」

書道部部長「えっ」

海未「あの時講堂を取られた恨み…、忘れませんよ…!!」

海未「あのせいで穂乃果は熱に倒れ、一度目のラブライブ出場権を失ったといっても過言ではありません…!!」

海未「書道部の今年度の予算はゼロ!そしてそこから美術部の予算へ継ぎ足し、残りは生徒会とアイドル研究部へと…」

穂乃果「もうっ!海未ちゃんは黙っててよぉぉっ!!」

海未「ほ、穂乃果っ…!しかしこれは穂乃果のためでも…」

穂乃果「1学期のこととかもう覚えてないし…。恨みとかないってば!」

穂乃果「それより今は、私に任せて欲しいの…。今の海未ちゃんじゃ、状況を悪化させるだけになっちゃうから」

海未「う、穂乃果…。…すみません。反省します…」

ことり「はいはい。海未ちゃんは私に言われたことだけ言おうねー」

海未「わかりました…」

書道部部長「で、今のは…」

穂乃果「もちろん彼女の独断です。生徒会は一切の関与を認めません」

穂乃果「そして美術部の件ですが…」



(本編と同じなので省略)



穂乃果「生徒会として、精一杯考えました!」

海未「至らぬところもあると思いますが…」

ことり「どうか…」

ことり「どうか、お願いしますっ!!」

ことほのうみ「「「おねがいします!」」」


「…」


にこ「…ふぅ」

にこ「>>236に賛成の人ー」

海未をリコール

にこ「海未をリコールに賛成の人ー」


シュバババッ!!


海未「手上がるの早っ!!?…それより、リコールとは…?」

にこ「解任よ」

海未「」

穂乃果「わかりました。意見を深く受け止め、検討したいと思います」

海未「え、あのちょっと…。まさか本当に解職なんてことにはなりませんよね…?」

ことり「ではそのまま、予算案に賛成の方は…」


シーン…


穂乃果「手が下がらない…。ということは…!」

ことり「や、やったね…!」

海未「あの、あのっ…!?」



校門前


花陽「ゾレ゙デヨ゙ザンドオ゙ジヂャ゙ッ゙ダノ゙ォ゙!?」

穂乃果「ほ、ホント危なかったー…!海未ちゃんが余計なことばっかり口走るから…」

ことり「でもうまくいって良かったね!」

にこ「私のおかげよ、感謝しなさい!」

穂乃果「ありがとー!にこちゃん!」

海未「…そ、それより、私が、解任って…」

穂乃果「あ、それなんだけど…」

穂乃果「さっき正式に手続きしてきたよ。海未ちゃんが生徒会副会長から解任されました」

海未「っ!ど、どど…どうして…!?私たちの生徒会を守るために奔走してくれたのではないのですか…!?」

穂乃果「えー?いやいや、私が守りたかったのは…」

穂乃果「…ことりちゃんとの平穏な日々だよ。ね?ことりちゃんっ」

ことり「うんっ!よく出来ました。穂乃果ちゃんっ」

海未「ま、まさか…!これはすべて、ことりの…!?」

ことり「うん、そうだよ」

ことり「フフフフ…。まんまと私の作戦に引っかかるなんて…。バカだなぁ…、海未ちゃん」

ことり「私が穂乃果ちゃんが頑張ってるのを尻目にポケモンに誘ったら、素直に食いついてきちゃって…」

ことり「そして今回の発言で各部の部長にも海未ちゃんのダメ加減が伝わったし…。ふふふ…、ざまぁみそだよ」

海未「ひ、酷い…!幼馴染としての情はないのですか!?」

ことり「…そんなの、とっくの昔に忘れたちゅん」

凛「でも海未ちゃんが仕事してなかったのは事実だしー、仕方ないにゃー」

希「諦めるんやね」

海未「そ、そんな…」

絵里「…で、でもそうなると…。副会長の席が空いたままよ?どうするつもり」

穂乃果「うん!そこは私…>>(1年生)を推薦しようと思うの!」

あ、安価ミス
>>241

真姫ちゃん

穂乃果「私…真姫ちゃんを推薦しようと思うの!」

真姫「ヴぇえええええええええええ!!?!!?わ、私!?どして!?」

穂乃果「え、だって真姫ちゃん一番しっかりしてるし。ことりちゃんとイチャイチャしてても文句言わなさそうだし」

穂乃果「仕事も頑張ってくれるかなーって」

真姫「私に仕事押し付けるの!?ふ、ふざけないでよ!」

海未「あの、待ってください。本気で後釜の話をするのは…」

花陽「でも…!私、真姫ちゃんが頑張ってるところみたい!頑張ってる真姫ちゃんが好き!」

凛「凛も凛も!クラスメイトが副会長なんて、自慢できるにゃー!」

真姫「やるわ」

穂乃果「よし、決まりね!」

海未「おぉぉぉいっ!!」

凛「そういえばいつの間にか穂乃果ちゃん激ヤセしてるにゃ」

穂乃果「あー、ひとりでやってたら頑張りすぎてカロリー使っちゃって。えへへー」

穂乃果「ていうか!ことりちゃんの作戦だとしてもひどいよ!ことりちゃんは途中から手伝ってくれたけど海未ちゃんはずーっと厳選作業ばっかりだったし!!」

海未「だ、だって…!だって6Vメタモンの厳選に必死でぇぇぇ~~…!穂乃果ぁぁぁぁ~~~!!!」

穂乃果「お、追いかけてこないでよっ!」



真姫「…ホントに、あなたたち仲がいいの…?」

ことり「んー…、どうだろう」

真姫「ずっと3人信頼してると思ってたんだけど…、考え方を改めたほうがいいのかしら?」

ことり「ふふ、でも…いいところも、悪いところも言い合ってちょっとずつ成長…」

ことり「自分で言ってて苦しくなってきたからやめるね♪」

真姫「…これからは副会長として宜しくね」



海未「お、お願いですっ!もう一度私を生徒会役員としてぇぇ~~~っ!!」

穂乃果「や、やめてよぉぉっ…!わ、わかったから…。もう穂乃果に変なことしない?」

海未「は、はい。もちろん!」

穂乃果「じゃあ生徒会雑用ね。それならいいよ!」

海未「うぅぅぅっ…。穂乃果ぁっ!それだけでも…、それだけでも穂乃果の隣にいられるならっ!」ギュッ

穂乃果「あーんもう…、海未ちゃんてば泣き虫さんだなぁ。生徒会以外だったらいつでも隣にいるのに」ナデナデ

海未「ぐすんっ…。あぁ、穂乃果ぁ…」

絵里「…」

希「生徒会、大丈夫そうやね」

絵里「…全然大丈夫そうには見えないんだけど。メチャクチャなのだけど」

希「…」


ヒュオォォォ…


希「…」

絵里「…今日は、ぜんざいでも食べに行く?」

希「…」

希「…そうやね」








希「いや、やっぱパフェかな」

絵里「もういいわどっちでも」




うろライブ! 第七話

おわり

凛「昨日早めに終わっちゃったせいで今日遅くなっちゃったにゃ」

真姫「それにも関わらず安価を出し続けてごめんなさい。見てくれた方々には感謝してもしきれないわ」

凛「そして第七話…。まさかの生徒会役員交代だよ」

真姫「ま、この話よりあとはほとんど生徒会は絡んで来ないし、いいんじゃないかしら」

凛「多少はあるけど、その改変を楽しんでもらえれば、だにゃ」

真姫「海未が抜けて私が加入…。まるでニコ生の変遷のようね」

凛「その理屈で行くと穂乃果ちゃん一人になってから希ちゃんが再加入だよ」

真姫「流石にそれはないでしょうけど。あ、あと海未がだいぶひどい目にあってるわね」

凛「別に海未ちゃんがキライでこんなことしてるんじゃないからね!」

真姫「ただ悲しんでいる海未…。そそるモノがあるわね」

凛「安易に慰めてるけど穂乃果ちゃんへの依存度がさらに増したんじゃないかと不安だにゃ」

真姫「そして今回は忘却は…、まだまともにストーリーに組み込めた気がするわ」

凛「穂乃果ちゃんがことりちゃんのために海未ちゃんを貶めたり、ことりちゃんは外道になってたりね」

真姫「…人としての尊厳ってそういう意味ではない気がするけど、まぁ…、いいのよ。うん」

凛「じゃあ次回の忘却!次回目立つのはもちろん!」

真姫「希、ね。くそっ、羨ましいわ。メイン回があって」

凛「でも次回は真姫ちゃんも主人公みたいな感じじゃん。わざわざ希ちゃんちまで行っちゃって」

真姫「じゃあその理論で行けば、最初に希の家にいる私と絵里、が残りの忘却でいいかしら」

凛「それで決定!いい感じにストーリーに組み込みやすそうな忘却をお願いするにゃ!」

真姫「それじゃ、今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

凛「次に生徒会副会長になっちゃうのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」



希の忘れること >>246

絵里の忘れること >>247

真姫の忘れること >>248

キャラを忘れて中二病になる

限界

人間だということを忘れて猫だと思い込む

今日やるつもりがこたつの中で丸くなってこんな時間だよ
気にせずやっていきますぜ

真姫(それから数日、私たちは様々な部へと取材を続けた)

真姫(最初はよくわからないことばかりだったけど、次第に魅せ方の応用も分かってきて)

真姫(走り回って部室に戻ってくる頃には、私の頭の中でイメージが作り上がってきていた)




アイドル応援部 部室


海未「運動部から文化部まで…、大量の部活を何度も行ったり来たりして集めた、美しく見せるやり方…」

ことり「玉石混交って感じだね~」

真姫「でも、それぞれ独特なものでも、組み合わせれば形になるわ」

花陽「ってことは、真姫ちゃんはなにか思いついたの?このたくさんの魅せ方を、ひとつにまとめる方法」

ことり「低予算でね」

真姫「えぇ!」

真姫(…二番煎じな気がしなくもないんだけど)

海未「では、次の曲のステージや衣装は、どんなものにするのですか?」

真姫「それはね…!」

真姫「ズバリ、テーマは『異世界』よ!」

ぱなことうみ「「「異世界…?」」」

真姫「ここに集まった凸凹な魅せ方たちを、同じステージに立たせるのはハッキリ言って不可能だわ」

真姫「だからそれを生かすため、一つの舞台じゃなくて、色々な舞台を転々としながら歌とダンスを繰り広げるのよ」

花陽「まっすぐな一つのテーマというよりも、いっぱいのテーマを合わせてひとつにする、って感じかな?」

真姫「うん、そんな感じ」

真姫(…このアイデアは既に、μ'sが使用したものではあるんだけど)

真姫(『これからのSomeday』…。あれも異世界をテーマとした曲よね)

真姫(少し違うのは、一つの異世界ではなく、いろんな世界を行ったり来たり、ってところかしら)

海未「しかし…、舞台を行ったり来たりはお金がかかるのでは…」

真姫「そこは平気よ!だって使うのは…」

希「…休日の学校、かな?」

真姫「せ、正解。そう、学校を彩ってステージを作るの」

ことり「そっか!それなら普通に場所を借りるよりも随分安くつくよね」

海未「なるほど…。しかし学校の中、といってもUTXは広いですよ?どこを使用するのですか」

真姫「うーん、まだそこまでは考えてないわ。でも、お金がない中で、私たちが最も輝けるいいアイデアだと思うんだけど…、どうかしら?」

花陽「うん!いいと思う。色んな世界を巡る旅、かぁ…。してみたいな」

真姫(…いつか、凛が迎えに来てくれたらさせてあげるわ)

ことり「私も賛成!…まぁ、他に思いつくものもないし」

海未「正直ですね…。私も、良いと思います。これ以上迷っている余裕もありませんしね」

希「一応うちも。いいかな?」

真姫「そうね!じゃあ決定!『異世界』を軸に、これから舞台を彩っていきましょう!」

一同「おー!」

真姫(そうしてやっと方向性が決まって、これから、ってとき)

真姫(ついに、いつか起こると思っていた事件が、起きた)



翌日 朝

1年E組


ガチャッ

真姫「おはよう…」


ガヤガヤガヤ…


真姫「…な、なに?」

真姫(なんだか、いつもの朝より騒がしい…?)


クラスメイトA「あ!西木野さん!おはよ!」

クラスメイトB「たたた、大変!これ見てこれ!」


真姫「ど、どれよ?」

クラスメイトA「この映像なんだけど…」

真姫「…っ!こ、これって…」

クラスメイトB「ね?ね?すごくない!?」

クラスメイトA「このメイドカフェで踊ってる子…、C組の小泉さんだよね!?」

真姫「…っあー…」



真姫(いずれは知られると思っていたんだけど)

真姫(…ついにバレてしまった。C☆cuteのファーストライブ映像)

真姫(花陽のいないE組でこんな騒ぎってことは、きっと花陽のクラスじゃ…)



クラスメイトA「西木野さん、小泉さんと友達なんだよね?これについて、なにか聞いてないの?」

真姫「えっ…!あ、あー…、そうね…。うん…」

真姫(この映像に私は映ってないから。まさか、同じアイドルだなんて思いつきもしないでしょうね)

真姫「まぁ、ちょっとくらいは」

クラスメイトB「えー!すごいよ!これってさ、つまり…、アイドルやってるってことだよね!?スクールアイドル!!」

真姫「えぇ…。まぁ…。…あの、ちょっといい?」

真姫「私、花陽が心配だから、行ってきていいかな…」

クラスメイトA「あ、そっか…。うん、わかった!」

真姫「ありがとう。…じゃあ」



真姫(…質問攻めにあって潰されてないか心配だわ)

1年C組


真姫「花陽っ…、うわっ!」

真姫(な、なにこの人口密度!!?ひ、人多すぎ…)

真姫「花陽っ!花陽…、あ!」

真姫(いた!…この大量の人の中心部、ポツンと佇んでいるわ)


花陽「は、はわぁぁぁ…!!」


真姫(涙目でプルプル震えてる…。気持ちはわからなくもないけど)

真姫(こんな人ごみに囲まれれば私だって泣き出すわ。果てない草原で風がビュビュンと吹いた時と同じくらい)

真姫(あれ、でも…)

真姫「…質問攻めに食らってる感じはない?ただ囲まれて困惑しているような…」

真姫「あっ…!」

真姫(よく見れば、花陽の周りにいる数人はみんな、見知った顔だった)

真姫(…つまり、小泉花陽親衛隊。彼女たちは花陽が押しつぶされないように、花陽を守っているんだわ)


親衛隊F「…あっ!真姫ちゃん…!」


真姫(親衛隊の一人と目があった。こちらを強く見つめてきている)

真姫(…彼女の言わんとしていることは大体わかった。私は大きく頷いた)

真姫「…うん」コクリ


親衛隊F「よしっ…。花陽ちゃん…!」クイクイッ

花陽「え…。あ…」


真姫(花陽に顎で合図をする。人ごみに気づかれないようにするため一度屈む花陽)

真姫(そして、人ごみの間を縫うように、私のもとへ現れた)


花陽「ま、真姫ちゃっ…」

真姫「しっ!気づかれないうちに…」ダダッ

花陽「きゃっ!」



真姫(とりあえず、予鈴のチャイムがなるまで、部室で身を潜めることとなった)

アイドル応援部 部室


ガチャッ ガチンッ


真姫「ふぅ…、ふぅ…。ここまでくれば平気でしょ」

花陽「あ、ありがと、真姫ちゃん…」

真姫「お礼なら、あなたの親衛隊に言ってあげなさい。…ホント、いい子たちね」

花陽「うん。ちゃんと説明もするつもりだよ。でも…」

花陽「…こうやって、真姫ちゃんに腕を引かれて逃げるのって、すごいドキドキした…」

真姫「えっ…」

花陽「まるで、王子様にさらわれちゃうお姫様って感じで…、今もまだ、胸が熱いの…」

真姫「は、花陽…」

花陽「ね、真姫ちゃん…」

花陽「ドキドキが収まるまで、花陽のそばに、いてくれる?」

真姫「…ば、バカ…」

真姫「それじゃ、いつまでたっても…、離れられないじゃないのっ…」

花陽「ふふ、そうかもね…」



希「んふー、青臭いお芝居やねー。120点」


花陽「ひょわぁぁっ!!!?の、希部長!?いたんですか!?」

希「ずっといたよ。でないとこの部室開いてへんしー」

真姫「…気づいてなかったのね」

花陽「さ、さっきの見られてた…!恥ずかしい…」

真姫「二人きりであんなこというわけ無いでしょ。芝居でもない限り」

花陽「くぅぅぅ…!乙女の心を弄ぶ真姫ちゃん、許すまじぃぃぃ…!!」

希「ええやん、羨ましいなー。うちも混ぜてほしいわ」

真姫「遠慮しとくわ。…で、花陽。さっきのアレのことだけど、やっぱり…」

花陽「う、うん。例のライブ映像の件で、質問攻めに…」

花陽「こ、怖かった…」

希「結構、広まってるみたいよ?その件」

希「うちのクラスでも、話題にしてる子いたし。『あの有名な』小泉さんがアイドルやってる、って」

真姫「…花陽の知名度半端ないわね」

花陽「わ、私が何したっていうのぉ…?」



食堂


真姫「ふーっ、ふーっ…、ずるずる…。もぐもぐ…、ごくんっ。…それじゃ、ことりも?」

ことり「うん。ちょっとはね…。でも…」

ことり「…花陽ちゃんほどではなかったかな。やっぱり、大人気だね、花陽ちゃん」

海未「歌声一本であそこまで人気が上がるのは正直驚きます。羨ましくもありますね…」

真姫「元メイドアイドルとして?そうね…。花陽は自分から人気をあげようなんてこと一切してないのにアレだものね…」

ことり「まさに天性のアイドル!なのかな?私が映ってるっていうのに、私そっちのけで花陽ちゃんの質問しに来た子もいたし」

真姫「花陽に直接聞かせてあげたい言葉だわ…。天性のアイドル、なんて」

海未「…ところで、その花陽はどこに?」

真姫「あそこ」クイッ

ことり「あー…、あの人だかり?」

真姫「いっつもあの位置で、小泉花陽親衛隊に囲まれて食事してるんだけど…」

真姫「今日はいつも以上に多いわね…。多分、親衛隊以外もいるんでしょうけど」

海未「というか、親衛隊なんていたんですね…。彼女はどういう立ち位置の人なのですか…」

真姫「…未だに私もわかりかねてはいるわ」

花陽「えと、えっと…、それからそれから…」

花陽「…とまぁ、色々な紆余曲折を経て今に至る、かな…?」


親衛隊ズ「「「おぉー!」」」パチパチパチパチ


花陽「や、やめてよぉ…。拍手するほどのことじゃないって」

親衛隊L「そんなことないってば、花陽!やるじゃん!」

親衛隊E「に、にに西木野さんも、アイドルなんだね…。い、意外かも…」

親衛隊P「それどころかかよちゃんをアイドルに誘ったのが西木野さんなんでしょ?驚きだよねー」

親衛隊I「熱血な面もあるんですね、真姫さん…。おとなしい子ってだけだと思っていました…」

花陽「結構アグレッシブな子だよ、真姫ちゃん…。付き合ってたらわかるけど…」

親衛隊T「え!?やっぱ付き合ってんの!?」

親衛隊Y「どっち!?どっちが攻め!?やっぱ西木野さんがガンガン行くタイプなの!?」

親衛隊F「私が思うにきっと花陽ちゃんがなんだかんだ真姫ちゃんのリードを引っ張るタイプのそれだと…」

花陽「ちちち、違うよ!?そういう付き合うじゃないって!!一緒にいたら、ってことで…」



ザワッ…



花陽「…?何?」

親衛隊D「後ろの方から、声が聞こえた…?」

親衛隊K「…いやむしろ、野次馬の声が消えた…?」



ザワッ… ザワッ…



「あー、そこどいてー。うんうん、ありがとー」



花陽「…っ!!この、声…」



「邪魔だなぁ…。どっか消えてってばー。ほら、あっち行って。シッシッ」




花陽(そんな声が何度か聞こえたあと、私の正面にいた人だかりは、綺麗さっぱりいなくなり)

花陽(ただ向かいの席にひとり、椅子に座っている子がいるだけでした)

花陽(その子は堂々と椅子にふんぞり返って、私を値踏みするような目で見つめて)

花陽(数瞬ののち、こう言いました)




凛「久しぶり、…小泉さん」

花陽「り、凛、ちゃんっ…!!」


親衛隊G「えっ…!!A-RISEバックダンサーの、星空凛ちゃん…!?ど、どうして…」

親衛隊W「小泉さんと、なにか関係あるの…?」

凛「…誰に向かって話しかけてるわけ?ルール違反なんですけど」

親衛隊G・W「えっ…」

凛「今凛は小泉さんに話しかけてるの。それ以外は凛とかに話しかけちゃダメって決まり、知ってるよね?」

親衛隊G・W「あ…」

凛「もー、しっかりしてよねー?レベルが低いんだからー」

凛「小泉さんも、相変わらずレベル低い子たちに囲まれて。女王さま気取りかにゃ?」

花陽「…っ!そ、…そんなんじゃ、ないよ」

凛「だよねぇー!女王さまならこんなみみっちい人たち囲んで満足するわけないもんね!アハハハ!!」

花陽「や、やめて…。私はいいから、みんなをバカにするようなことは…」

凛「そんなの小泉さんに咎められる筋合いないにゃー。凛がそう思ったから言っただけだよ」

凛「質の低いアイドルのもとには質の低い人間しか集まらない。まさに絵里センパイの言ってた通り…」

花陽「そんなこと言うために会いに来たのっ!!?」ダンッ!!

凛「…っ」

花陽「…あっ、ご、ごめん…。でも…」

凛「うぅん、こっちこそ。そうそう、わざわざこんなこと、言いに来たんじゃなかった」

花陽「何しに、来てくれたの…?」

凛「まぁ別に、用があったわけじゃないんだけど」

凛「聞いたよ?…スクールアイドル、始めたんだって?」

花陽「…っ。う、うん…。それで?」

凛「ふぅん…。それで?だなんて…。ププッ…、笑っちゃうにゃぁ…」

花陽「えっ…」

凛「だって…、くふっ…、あははははは!!なんにも悪びれずにやっちゃうんだね!スクールアイドル!!」

凛「せめて凛にお伺いを立ててから始めて欲しかったモンだけどなぁ…。ねぇ?」

凛「勝手に辞めた、裏切り者」

花陽「…っ!!!」

凛「凛言ったよね?謝りに行こ、凛も付き合ってあげるから、って」

凛「何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も」

凛「なのに…、なのに”かよちん”は動こうとしなかった。怖いからって、嫌だからって」

凛「だからもう…、小泉さんのアイドルに対する思いって、そんなものなんだって思って失望して」

凛「でも哀れんでもいたの。この子は弱い人間なんだ、だから仕方ないんだって、半分諦めみたいな」

凛「でもさぁ…。まさか、新しくスクールアイドル始めちゃうなんて思わなかったよ」

凛「それでね?凛…、哀れんであげたのが馬鹿みたいじゃんって思って、腹が立ったんだ」

凛「小泉さんは弱いっていうより、姑息で、卑怯な人間なんだって気づいたから」

花陽「ひ、卑怯って…!そんなこと、な…」

凛「卑怯じゃん!!辛いからって逃げ出して、嫌だからって今度は楽してアイドルやって!」

凛「一緒にやろうって言いだしたのはどっちだよ!?最初に諦めたのはどっち!!?」

凛「アイドルやりたかったらもう一回戻ってきてやればよかったのに、小泉さんなら十分にその資格があったのに!」

凛「…失礼だとは思わないの?『才能』を持ってない人たちにさ?」

花陽「さ、才能…?」

凛「小泉さん、歌、上手だよね。あの質の悪い映像だけでもよくわかるよ」

凛「多分、一年生じゃぶっちぎりで上手だと思う。きっと来年、頑張ればバックダンサーになれる資格が十分にある」

凛「でも頑張らない。才能を持ってるのに逃げ出して、チャンスをふいにしてる」

凛「それって、チャンスすら持たない人間に対して、どれだけ失礼な行為かわかってないのかな?…小泉さん」

花陽「だ、だけどそんなのっ…」

凛「え?口答えする気?できるとでも思ってるのぉ!?アハハハハ!!笑える!」

凛「かよちーん、これはイジワルでもなんでもないんだよ?れっきとした、事実なの」

凛「いつか身にしみる時が来るよ。自分がどれほど最低な人間なのか、ってさ」

花陽「…う、ぅぅ…!」

凛「…ま、そのくらいかな。もし自分がまだ、楽しくアイドルやれると思ってるなら、思い直したほうがいいよ」

凛「小泉さんは、絶対に、そんなこと、できないから。…じゃあね」スッ



花陽「ま、待ってよ!!」



凛「…どったの?」

花陽「…っ、う、ぐぐっ…!!」

花陽「わ、私っ…!!絶対に私、凛ちゃんに追いついてみせる…!!」

花陽「どれだけ酷いこと言われても、凛ちゃんはまだ私にとって、凛ちゃんだからっ…!!」

花陽「だからいつか、またっ…」


凛「黙れよ」


花陽「…っ!!」

凛「…ハァ?お、追いつく…?クハッ…、ア、ハハハ…!!」

凛「アッハハハハハハハハハハハハァァァァァァァアアアッ!!!なにそれ、超ウケる!!」

凛「小泉さんが、凛に、追いつくだなんて…ぇっへへへへ…!!冗談にしては、タチ悪すぎだにゃぁぁっ…!!」

花陽「冗談なんかじゃっ…!」

凛「…じゃあ、もっとタチ悪いね。そんなの、夢物語ですらない」

凛「ただの戯言だよ。無理に決まってるもの」

凛「一度諦めた人間が、諦めない人間に勝てるはずがない」

凛「…どれだけ、凛を見下せば気が済むの?ホンット、最低だね…」

花陽「う…」

凛「小泉さん程度の人間が、凛と同格だなんて、二度と思わないで」

凛「…不愉快すぎて、吐きそうだから」

花陽「ぅ、ぁ…」

凛「今日の日記には、こう書いておやすみするにゃー」

凛「『小泉花陽ちゃんは、凛の思っていた以上にクズで最低な子でした。それ以外は普通の日でした』ってねー」

凛「長話が過ぎたにゃー。じゃ、今度こそバイバーイ。あ、凛を嫌いになってもA-RISEは好きでいてね!よろしく!」スッタカター





シーン…



親衛隊D「…なにあれ、最低…」

花陽「やめてっ!」

親衛隊D「えっ…」

花陽「私が…、私が、いけないの…」

花陽「凛ちゃんを、あんなふうに変えちゃったのは…、私…」

花陽「弱くて、最低で…、傷つくのが怖くて逃げることしか考えなかった私が、ぁ…、あぁぁぁっ…!!」

花陽「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!」

親衛隊E「ちょっ…、小泉さっ…」

花陽「うぐぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

親衛隊N「えと、えっと…、その…」


真姫「…は、花陽っ!?なにが…」

ことり「ど、どど…、どうしたの!?」


親衛隊F「真姫ちゃんっ…!…お願い、今は真姫ちゃんしか、花陽ちゃんを救ってあげられないと思う、から…」

真姫「…!わ、わかったわ…。花陽。行きましょう」

花陽「ううぅぅぅぅっ…!!うあああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」







花陽(言えなかった)

花陽(ことりちゃんみたいに、かっこよく)

花陽(だからいつかまた…)

花陽(『もう一度、友達になろう』って)

花陽(それが、どうしようもなく悲しくて、悔しくて、虚しくて)

花陽(凛ちゃんから受けたどんな暴言よりも、深く胸に突き刺さった)

今日はここまででーす ゴメン、やっぱりいつもと変わらない長さになりそうですにゃ
もはや凛ちゃんの面影がないレベルでクズになってるけど凛ちゃん視点で見ればこうなったのも理解できないこともない程度だと思います
私の性格が捻じ曲がっているせいで凛ちゃんのセリフ書くの実に楽しいけど凛ちゃんに対しての暴言は可哀想なのでやめてあげてね
私に対しての暴言なら甘んじて受けますのでよろしくお願いします ほなな

はいじゃあやっていきますらお
そういえば前回凛ちゃんが「謝りに行こ、凛も付き合ってあげるから」と言ってますが過去の回想では付き合ってあげてません
まごう事なきミスですがまぁ脳内で保管するか歴史が改竄されたとかにしておいてください

アイドル応援部 部室


花陽「うぅっ…、ふ、ぅぅふぅ…」

真姫「花陽…、もう大丈夫?」

花陽「…うん、ありがとう。真姫ちゃん、ことりちゃん、海未さん…」

海未「急に泣き出したときはどうしたのかと驚きましたよ…」

希「うちはお弁当食べてる時にいきなり花陽ちゃんたちが泣きながら部屋に入ってきてビックリしたわ」

ことり「あの、そろそろ何があったのか教えてくれる?」

真姫「…凛があなたの席の近くまで行ったのは知ってるんだけど、もしかしてアイツになにか…」

花陽「うぅん、違うの…。違くは、ないんだけど…、泣いてるのは、違う」

花陽「実はね…」



海未「そんなことを…」

ことり「凛ちゃんって少しワガママなところあったりして苦労してたけど、そんなこと言う子だったんだ…」

海未「そんな振る舞いをしてファンが離れていくとは思わないのでしょうか…」

希「…それ以上に、自分の才能に対して自信を持ってるんやろうね」

希「『UTX始まって以来の天才』、って呼ばれてもいるから、凛ちゃん」

海未「どれだけ不遜な行いをしても、ステージの上で華麗に踊る姿に人々は次第に魅了される…、そういうことでしょうか」

ことり「それにしたって酷いと思うよ…。聞く限りだと花陽ちゃんの心をへし折る気満々だもん…」

希「実際、そうするつもりなんやろうね。花陽ちゃん、今度は精神的に潰れんといいけど…」


真姫「…そう、凛が…」

花陽「凛ちゃん、昔はとてもいい子だったんだよ…。人の悪口なんか、ふざけてる時くらいしか言わないような…」

花陽「あれだけ凛ちゃんが歪んじゃったのはきっと、私が…」

真姫「…違うわ。凛が歪んでしまったのはあなたのせいじゃない」

真姫(あの凛の考え方から察するに、絵里の影響をモロに受けている)

真姫(歪んだ絵里が、さらに凛をも歪ませてしまった…)

花陽「私が直接的じゃなくても、少なくとも、原因のひとつであることは間違いないよ」

花陽「ずっと凛ちゃんのそばにいてあげれば、あるいは、道をそれることもなかったかもしれない」

花陽「…私が、逃げ出しちゃったせいで、凛ちゃんは…」

真姫「そんなこと言いだしたらキリがないでしょ!そのまま花陽がアイドル専攻を受け続けたら、もしかしたら花陽こそ歪んじゃったかもしれないんだし」

真姫「わ、私は…、今の花陽に出会えてよかったと思う。今の花陽が、その…、好きだからね」

花陽「…ふふっ」

花陽「真姫ちゃん、顔真っ赤だよ」

真姫「…うるさい」

6限 歌手専攻授業前

音楽室


真姫「…」

花陽「あ、あのっ!」


親衛隊ズ「…?」

親衛隊D「どうしたの?花陽ちゃん…」

親衛隊E「な、なにか言いたいこと、あるの…?」


花陽「え、えっと…」



~回想~


部室


真姫「…へぇ。親衛隊の子達にも説明したのね」

花陽「うん。真姫ちゃんがアイドルやってるってことも、全部」

花陽「みんな応援してくれる、って言ってたよ」

真姫「じゃあ…、大丈夫そうね」

花陽「ん?なにが?」

真姫「今後、ステージを組む時とかに人手は必要じゃない?そのための人員」

真姫「彼女たちになら、任せられると思うの」

花陽「あ、そっか…」


~回想おわり~



真姫(…歌手専攻にいる子たちが親衛隊全員ってわけじゃないけど、大部分は占めるし)

真姫(一度誰かが承認してくれれば、あとはなし崩しで、ってわけじゃないけど)

真姫(でも、花陽のことを誰よりも大切に思ってくれてる、っていうのは、朝のアレで理解できた)

真姫(きっと彼女たちなら、すんなり引き受けてくれるはず。問題があるとすれば…)


花陽「え、えと…」

真姫(頼みごとをするときの花陽のあがり癖、くらいかしら)

親衛隊F「ほら、リラックスして。ちゃんと聞いてあげるから」

花陽「う、うん。言うね。…あの、これから私…、私たちがライブするときとかに…」

花陽「ステージを作るの、手伝って欲しいな、って思ってて…。ダメ?」

親衛隊E「だ、ダメなんてことないよ…!もも、もちろん…」

親衛隊G「そーそー。みんなもそうだよね?」

親衛隊ズ「うんうん!」

真姫「そう…。よかった、じゃあ…」




「やめといたほうがいいと思うよ」

花陽「えっ…?」

真姫「だ、誰っ…?」


親衛隊A「私」


真姫「あ、あなたはっ…!」

真姫(…花陽をいじめていたうちの、ひとり。最近ほとんど花陽に絡んでなかったと思ったら…)

真姫(こんなところで一体何を言い出すの…!?)


親衛隊F「ちょっと!やめておいた方がいいってどういうことよ?」

親衛隊H「もしかして最近ハブられ気味だからって嫉妬してるのー?」

親衛隊A「そんなんじゃないって。善意だよ、これは」

花陽「ぜ、善意…?」

親衛隊A「小泉さんを手伝うことが、どういうことか理解して言ってるの?みんな」

親衛隊E「どど、どういう意味…?」

親衛隊A「彼女を手伝うっていうことは、彼女のスクールアイドルを手伝うってこと」

親衛隊A「新しいスクールアイドルを手伝うってことは、A-RISEに歯向かうってこと」

親衛隊A「アンタらにもA-RISE大好きな子もいるんじゃないの?」

親衛隊H「ま、まぁ…。好きだよね…」

親衛隊A「ここUTXはA-RISEの本拠地なわけよ?そこで別のスクールアイドルを応援するってなったら…」

親衛隊A「どんな扱いを受けるかわかったものじゃないわよ?」

親衛隊I「えっ…」

親衛隊A「特にアイドル専攻の子たちは過激だってよく聞くしね~。自分たちがアイドルになるのに必死だって」

親衛隊A「そんな中、勝手にアイドル始めようとしてる人たち見かけたら、どう思うかな?」

親衛隊A「私だったら、潰したくなると思う」

親衛隊ズ「…」ザワッ…

親衛隊A「スクールアイドル本人もだけど、それを応援している人にも被害が及ぶかもしんないんだよ?」

親衛隊A「うぅん。むしろ被害が最初に出るのは応援してる方かも。そっちの応援してるってだけで、話の輪からはじき出されたりして」

親衛隊A「だから、やめておいたほうがいいって言ったの。入るにしても、よく考えてからにしたら?」

親衛隊A「二つ返事で受け入れるのは、賢い選択じゃないと思うんだよね」


親衛隊ズ「…」シーン…


真姫「…あなた」

親衛隊A「あ、他の子達にも私が伝えといてあげるよ。あなたたちが手伝って欲しがってたって」

親衛隊A「もちろん、そのリスクも一緒にね。手間減らしてあげるんだから感謝してよね?」

真姫「…」

真姫「えぇ、ありがとう…」

親衛隊A「どういたしまして。…くくっ」

真姫(まさか、こんなタイミングで…)

真姫(私が花陽のいじめを阻止したことへの報復が来るなんて…)



親衛隊J「わ、私…。やっぱり、やめる…」


親衛隊D「えっ…!ちょっと!」

親衛隊J「だ、だって私…。A-RISEも花陽ちゃんと同じくらい好きだもん…」

親衛隊J「仲のいい友達にもA-RISEの熱狂的なファンもいるし、もしその子から敵視されちゃったら…」

親衛隊E「そ、そそ…、そんなことないと思う…、多分。みんな、優しいって…」

親衛隊L「…ゴメン。あたしもパス。部活も忙しいし…。多分手伝えないタイミングも多いし…」

親衛隊L「同じ部の子には、あんま評判良くないんだよね…。あなたたちのこと…」

真姫「…っ」

花陽「そんなっ…!」



真姫(それから次々と、「私も」「私も」と、手伝いを拒否する子たちが現れ始め)

真姫(残った子たちも「考えさせて」という子がほとんどで…)

真姫(結局、手伝ってくれる子はほんの少ししか残らなかった)

真姫(少しでもいてくれたのは嬉しいけど、…でも、やっぱりこの学校ではA-RISEの存在は大きいって実感した)



親衛隊P「ごめんね、かよちゃん、まきちん…。私も…」

花陽「ま、待ってみんな!もう少し話を…」

真姫「…やめておきなさい」

花陽「真姫ちゃんっ!!でもっ…」

真姫「今は…」


キーンコーンカーンコーン…


花陽「あっ…」

真姫「…授業が始まるわ。早く、席につかないと」

花陽「う、うん…」




真姫(改めて感じた、A-RISEに立ち向かうことのハードルの高さ)

真姫(だけどこれも、私の…、私たちの乗り越えるべき壁なのよ)

真姫(ここで信頼を勝ち取らないと、この先に進むことなんて到底できない)

真姫(また、頭を使いそうな事案が増えてしまった、…なんて思っていた矢先)

真姫(…あんなことが起きるなんて、予想もしていなかった)

数日後 放課後

アイドル応援部 部室


真姫「ふんふん…」カキカキ…


真姫(結局手伝ってくれるって言ってくれた子は、花陽と仲のいい3人だけだった)

真姫(A-RISEにケンカを売る片棒を担げ、って言ってるのにまぁ…その3人だけでも手伝ってくれるのはとてもありがたいこと)

真姫(そして今私は、早々にその3人を利用するため、ステージや舞台美術のイメージをスケッチしている最中)

真姫(歌やダンスに関しては、経験の浅い他の3人よりも早く習熟できるから、こうして練習の時間を構想に当てている)

真姫(普通は家でやることなんだけど、手伝ってくれる3人のためにいち早く完成させたいからね)

真姫(そんなわけで、今この部室には私と希だけがいて、鉛筆の擦れる音だけが静かに響いていた)


真姫「で、ここがこうで…」サッサッ…

希「…ふむふむ」

真姫「わっ。き、急に近づいてこないでよ」

希「ふふ、進捗どうですか、ってことで覗かせてもらったよ」

真姫「進捗?…まぁ、そこそこね」

希「ホント?」

真姫「嘘ついてどうするのよ。…でも、そこそこ以上ではないわ」

真姫「…なんか、もう少し欲しいのよ。もう1ランク上の、魅せ方が…」

希「1ランク上…。もっかい取材してくる?」

真姫「って言ってもほとんどのところ取材しつくしたし…。あと、残っているところと言ったら…」



コンコンッ

??「…いる?」



真姫「…?誰、お客さん?」

真姫(扉の外からドアをノックする音と、誰かの声が聞こえた)

希「さぁ…。うちは誰も呼んでないけど」

真姫「じゃあ他の誰かが呼んだのかしら…。今は音楽室なんだけど」


??「…いないんじゃないのか?」

??「えー、でも明かり付いてるし…」

??「鍵は…、かかってないみたいだけど」


真姫(外からの声はどうやら3人あるみたいだった)

希「あー、はいはい。今開けますーっと…」


ガチャッ


希「はいはい、どちら様…、えっ!」

真姫「…誰よ、こんな部活に…ぬぁっ!!?」




ツバサ「…こんにちは。アイドル応援部さん」

あんじゅ「へー、こんなところにいるんだー。あはは、狭っ」

英玲奈「…失礼だろう。すまない、急にお邪魔して」


希「いや、うちはいいけど…」

真姫「え、えぇぇぇぇぇ…!!?どどど、どうして…!!

真姫(どうして、A-RISEがっ!!?)

真姫(しかも一人ならまだしも、三人全員が揃って、この寂れたアイドル応援部に!?)

真姫(この学校の生徒が、この学校の部室に顔を見せる)

真姫(事実だけ述べれば何ら不思議ではない状況、しかしUTXではそうはいかない)

真姫(なにせ、A-RISEはこの学校の、スーパースター…)

真姫(学校側か絵里の策略かは知らないけど、同じ学校にいても遠い存在だと印象付けるために)

真姫(こちら側から話すことは基本的に禁止され、あちら側から話すことも、あまりないことなはずなのに…)


英玲奈「…それにしても、久しぶりだな。東條」

希「あ…、せやね。れなっちも、久しぶり」

真姫「は?」

あんじゅ「私はいつも会ってるよねー。希ちゃん」

希「まぁ…、あんじゅちゃんとは同じクラスやからね」

真姫「えっ」

ツバサ「去年までは、とてもお世話になってたわね。口じゃ言い表せないほど感謝してるわ」

希「せやね。…あの頃は、めっちゃ楽しかったわ。今も、めっちゃ楽しいけどね」

真姫「あぁ…」

真姫(…そうか。希は…)

真姫(希は、アイドル応援部部長なのだった)

真姫(これまた当たり前すぎる感想だけど、私たちのこのアイドル応援部と、過去のアイドル応援部とではわけが違うから仕方がない)

真姫(希の話だと、去年の秋頃まではA-RISEととても深い関係のある部活だったそうな)

真姫(それならば去年のA-RISE候補生で合った現A-RISEの3人とも顔見知りであることは何ら不思議じゃない)

真姫(それに部長であるということは、かなり重要なポジションなわけで…。それなりに親しくてもおかしくない、ってわけね…)

真姫(A-RISEの3人も3年だし…、しかし、それにしてもさっきの会話でちょくちょく気になるところが)


真姫「…あの、希?その…、統堂さんのこと、今…れなっちって言った?」

希「ん?せやね、れなっち。英玲奈の下の二文字取って、れなっちやね。ふふっ、こう呼ぶのも久々やん」

英玲奈「その呼び方にももう慣れたよ…。恥ずかしいって言っても変えてくれないからね、東條は」

真姫「な、仲はいいの?」

希「そこそこやったねー。A-RISEが今の体制になるまでは二人で遊びに行ったりもしたし」

真姫(…意外すぎるわ)

ツバサ「まぁまぁ、昔話もいいけど、立ちながらって言うのもどうなの」

あんじゅ「そうねー。別に昔のお話をしに来たわけでもないしー」

希「…わかった。じゃ、お茶用意するね」

真姫「…」


ツバサ「ふぅん…、えらく変わったわねー…。部室も…」

英玲奈「し、しかし…。壁と背中の距離が近いな…」

あんじゅ「私なんておっぱい挟まれちゃうわよー。もうちょっとなんとかならないのー?」


真姫(…ど、どうして私をお茶くみに行かせてくれなかったの…)

真姫(気まずすぎる)


あんじゅ「あ、真姫ちゃーん…だよね?」

真姫「え、えぇ…。そういえば、どうして名前…。この前も呼ばれたし…」

あんじゅ「んふ、どうやらあなたも結構な有名人らしいじゃない」

真姫「え、そ、そうなの…?」

英玲奈「こら、あんじゅ」

あんじゅ「あぁん、もう。…ごめんなさい。ま、そんなわけだから偶然知っちゃってね、これからも仲良くしましょ?」

真姫「は、はぁ…(意味わかんない)」

真姫「あ、あのぉ…。希とは同じクラスって…」

あんじゅ「うん、そうよ。今年はね」

あんじゅ「去年あんなことがあって、しかも同じクラスになるのは初めてだったからちょっと気まずかったけど、今じゃ時々お話するくらいのお友達よ」

真姫「へぇ…。そ、そうなんだ…」

ツバサ「ふふ、もっと気を楽にしていいのよ?今は誰も咎める人はいないんだし」

ツバサ「それにここはあなたの部室なんだし」

真姫「そ、そうですね…、はい…」


希「お、ちゃんとおもてなししてるー?お茶くんできたよー」

英玲奈「あぁ、ありがとう。はい、あんじゅ」

あんじゅ「どーもー。んぐっ…、んん、あったかい」

ツバサ「私にまで回してよ…」

希「はい、これ真姫ちゃんの…、どうしたん?汗ひどいけど」

真姫(…希が来てくれて助かった。正直…、緊張で死ぬかと思ったわ)

希「よいしょっ、と。じゃ、そろそろ話してもらえる?わざわざこの部室に来てくれた理由」

ツバサ「うん。でももう少し…、あともう少しで…」


ガチャッ!!

花陽「あ、A-RISEが来てるってホント…ってわぁぁぁっ!!!」

ことり「ほ、ホントにいる!?」

海未「ど、どういうことですか、これは…」


ツバサ「揃ったわね。新生スクールアイドルの皆さん」

真姫「全員いないと、できない話…?」

英玲奈「そういうことだ」

ツバサ「じゃあ、早速本題に移りましょう。単刀直入に言うわね」



ツバサ「今度の、アキバハロウィンフェスタ。…一緒に出てみない?」

途中集中力切れて遊んでたせいで今日はここまで
あと2回ほどかかると思われ 毎回もしの方が長くなるね! まぁいいや ほなな

だいぶヘイトを稼いでるようで嬉しいような悲しいような
今日もこんな時間です 次回で終わらない可能性大になってきた まぁいいや始めましょ 

花陽「え…?」

ことり「あきばはろうぃんふぇすた?」

海未「…に、一緒に?」


あんじゅ「そう!あ、アキバハロウィンフェスタのことは知ってる?」

あんじゅ「10月30日周辺の数日に渡って行われる一大イベント!たっくさんの人々が仮装して街を大行進!」

英玲奈「…日本じゃ考えられないほど大掛かりなイベントだな」

ツバサ「そのアキバハロウィンフェスタに、私たちA-RISEへライブのオファーが来ているの」

花陽「え、ライブするんですか!?」

ツバサ「うん。お祭りの最終日にね」

海未「それは理解しましたが…、一緒にってどういう…」

あんじゅ「んふ、簡単よ。あなたたちにもライブを披露してもらうってこと」

ことり「えぇぇぇっ!!?」

英玲奈「スクールアイドルなんだ。披露できる曲の一つくらいは持ってるでしょう?」

英玲奈「それを、私たちと共に行おう、と提案しているのよ」

真姫「…それは、どうして?」

花陽「そそ、そうですよ!まだ結成して日も浅い…どころかほとんど活動してないような私たちを!」

希「もしかして、アイドル応援部時代のよしみで、とか?」

ツバサ「ふふふっ、それもあるかもしれないけど、理由は違うわ」

ツバサ「素直に、応援したくて」

海未「応援、ですか…?」

ことり「アイドル応援部を、応援…。つまり綺羅さんはアイドル応援部応援部ですか!」

希「真面目な話してる時にボケない」

あんじゅ「そうよー?だって私たち3人じゃ新しい部活は作れないもの、ね?」

英玲奈「…お前も乗るな」ポコンッ

あんじゅ「痛っ!英玲奈がぶったー!」

ツバサ「あはは…。まぁつまり、私たちもUTX学院に新しくスクールアイドルができるのなら喜ばしいことだと思ってるの」

ツバサ「絵里は快く思ってないみたいだけど…。でも私たちはそうじゃないわ。ライバルとして、でも学院生として、仲間としても、支えていきたいって」

花陽「つ、ツバサさんっ…!!」

ツバサ「あなたたちはまだ目立つ活動は行っていないのよね?だったら、このハロウィンフェスタで一気に名を上げるチャンスじゃない!」

ツバサ「まだ正式に運営を通して話したわけじゃないから確約はできないけど、私たちからならきっと承諾してくれると思う。だから、どうかしら?」

ツバサ「私たちと同じ舞台で、踊ってみない?」

ことり「そんなの…、渡りに船ですよっ…!当然オッケーだよね?海未ちゃん!」

海未「当たり前です!こんな有名になれるチャンス、逃す手はありません!」

花陽「うんうんっ!!この前のライブ以上のお客さんの前でライブができるんだよ!うわぁぁ…、楽しみだなぁ…」

希「そういう話なら、うちも賛成かな。部員たちが有名になれるならそれに越したことはないし…」

英玲奈「決まりかな。それじゃ…」

真姫「ダメよ」



花陽「…え?」

真姫「…魅力的だけど、その誘い。乗るわけには行かないわ」

英玲奈「なっ…!」

あんじゅ「えー!なんでー?」

花陽「そそ、そうだよ真姫ちゃんっ!!!どうしてそんなこと…!」

海未「正気ですか!?」 ことり「熱があるの!!?」

希「…もしえりちの罠や、とか考えてるなら、心配いらないよ。ツバサちゃんたちはそんな…」

真姫「そういうことじゃない。私だって彼女たちに裏があるとは思ってないわよ」


真姫(…少なくとも、何もしなくても実力でこのUTXを勝ち上がった3人だし)

真姫(この場合の『何も』っていうのは、私たちμ'sの面々がUTXに介入しなくても、って意味ね)


花陽「だったら…」

真姫「…冷静になって、花陽。私たちがA-RISEにそこまでしてもらう義理がどこにあるの?」

花陽「え…?」

英玲奈「どういう意味かな?」

真姫「私たちはスクールアイドルよ。この日本に数多く存在する、そのうちのたったひとつ、唯一のチーム」

真姫「それ以外は他のどこのスクールアイドルとも変わらない。まだ、名前を知っている人もごくわずか」

真姫「それは、どこのアイドルだって一緒。なのに私たちだけ、偶然UTX学院で始めたからって、トップアイドルの手を借りてもいいの?」

花陽「あ…」

真姫「言い方は悪いけど、そうやって得られた知名度に、…価値はないわ」

真姫「そこから伸びた噂には必ずA-RISEの尾ひれがついて回る。どれだけ力を伸ばしても、決して離れることのない立派な尾ひれがね」

真姫「私の、私たちの目標は、打倒A-RISEなのよ。それすなわち…、スクールアイドルの頂点」

ことり「スクールアイドルの…」

海未「頂点…」

真姫「そして、全国のスクールアイドル共通の夢でもあるの。私たちだけが優遇されていい謂れはないわ」

真姫「あなたたちだって、そうやってトップを取ったわけじゃ、ないんでしょう?」

ツバサ「…そうね」

真姫「自分たちの力で成し遂げてこそ、頂点に意味があるのよ」

真姫「私たちが出場できる資格のないライブに誘われてる程度じゃ、ライバルとすら思われてないようなものだし」

真姫「…だから、ごめんなさい。気持ちはありがたいけれど…」

ツバサ「…」

花陽「真姫ちゃん…」

花陽「…すみません。私からも…、お願いします。断らせてください」

海未「は、花陽まで…」

花陽「真姫ちゃんの言いたいこと、理解したから…。そう、だよね…」

花陽「A-RISEに手伝って貰ってちゃ、もうそれは特別なんだ…」

花陽「…世界中の女の子に、夢を与えるためには…それじゃいけないんだよね」

花陽「い、一緒に踊れなくなるのはすっごく残念ですけど…!!でも、ごめんなさいっ!!」

ツバサ「…ふ」

ツバサ「ふふふっ…。…わかったわ」

ツバサ「こちらこそ、ごめんなさい。あなたたちのこと、よくわかってなかったみたい」

ツバサ「ちょっと、私も調子に乗ってたのかも。日本一のスクールアイドルに、名実ともになれたから」

ツバサ「去年の私の気持ち、忘れたりなんかして」

英玲奈「ツバサ…」

ツバサ「あの頃の私たちも、必死だったもんね。認めてもらおうって」

ツバサ「誰かが上から手を差し伸べてくれなんて、してくれなかったし、して欲しくもなかった」

ツバサ「私たちのありったけだけを、見せつけることだけでしか、満足できなかったんだよ、ね…」

あんじゅ「ツバサちゃん…」

ツバサ「…えへへ。ちょっと懐かしい気持ちになっちゃったかも」

真姫「…ぁ」


真姫(初めて見た、綺羅ツバサの子供らしく笑った顔)

真姫(こんな顔も出来る人なんだって…、ちょっとドキッとしてしまった)

真姫(それは私の横の花陽も同じだったようで)


花陽「お、おぉぉ…!!か、カメラが欲しい…!」

真姫「…自重しなさい。…私も我慢してるんだから」

ツバサ「?…何か言った?」

真姫「あぁ、いえ。なんでも」

英玲奈「…ふぅ。つまり、なんだ。結局私たちの誘いは無下にも断られてしまったということかな」

あんじゅ「うえー!!?残念すぎ!せ、せっかく新しい後輩のお友達が出来ると思ったのにぃ…」

ツバサ「まぁまぁ…。彼女たちも本気なのよ。そう、私たちと同じくね」

ツバサ「えっと…、真姫さん、だったかしら」

真姫「えぇ…、西木野真姫、…です」

ツバサ「西木野真姫さんね。…だったらこれからは、私たちは容赦なくあなたたちを跳ね除けるつもりで行くわ」

ツバサ「スクールアイドルとして、絶対に負けるわけにはいかない。王者の冠を被ったまま、私たちは卒業するのよ」

真姫「…」ゴクッ…

ツバサ「…でもね?」

ツバサ「少なくとも、UTX学院の一人の生徒として」

ツバサ「あなたたちを応援することくらいは…、許してくれるよね?」

真姫「…!えぇ…、もちろんよ!それなら何の問題もないわね!」

ことり「えっ!調子良すぎ!?」

海未「肝っ玉の太さが尋常ではありませんね…」

真姫「う、うるさいわね…。UTX生ならではの恩恵くらいいいでしょ!…多分」

ツバサ「なら、今度から困ったことがあったらいつでも訪ねてきて。個人として対応できる限りなら、快く協力するから」

ツバサ「あんじゅも、それでいいわよね?」

あんじゅ「なんてナイスな提案をするのかしらツバサちゃん!オッケーオッケー!!」

英玲奈「…ただし。あまり表沙汰にならないよう、ひっそりとな。うるさい奴がいるから…」

希「…えりちやね」

あんじゅ「今度希ちゃんに連絡先教えてあげとくから、必要なときはいつでもどうぞ?あ、だからって連絡しまくるのは他のファンと不公平だからダメだから!」

花陽「あ、A-RISEのみなさんの連絡先を教えてくださるのですかぁぁっ!!?」

真姫「これでも十分な贅沢ね…。…あ!」

真姫「だったら、早速で悪いんだけど一つ、頼まれてくれるかしら?」

ツバサ「何?」

真姫「今までしたくてもできなかった、各専攻への取材…。そのうちの芸能科トップクラスの3人なら、かなりいいことが聞けると思うの!」

海未「それなら確かに…!」

ことり「う、うわー!!贅沢だよー!」

花陽「でもUTX学院生の悲願でもあります!!」

希「A-RISEに取材を、か。ええんと違う?」

ツバサ「えぇ!なんでも、というわけにはいかないけど、答えられる範囲でなら、いくらでも!」

英玲奈「ただ、時間に限りはあるけどね」

あんじゅ「今からなら~…、30分が限度かしら?」

真姫「なら、それまで…、聞けることは聞いておきましょう!」

一同「うんっ!!」

真姫(それから30分間、私たちは彼女たちに対して、ひたすら取材を行った)

真姫(普段の生活からアイドル専攻の内容、ライブでの様子に至るまで。中には答えられない、ってものもあったけど)

真姫(アイドルをやる上での美しく魅せるコツ。欲しがっていたもう1ランク上が、ようやく手に入った気がする)

真姫(とても興味深い話も、聞けたことだし…)



海未「今日は、本当にありがとうございました!」

英玲奈「いや、こちらこそ。貴重な体験をさせてもらったよ」

あんじゅ「かわいい後輩に取材をねー。オジサン相手とはまた違ったものを感じたわー」

ことり「色々と…、参考にさせていただきます!」

真姫「そうね…。これなら、次のステージを完成させることが出来る…!」

花陽「A-RISEに失礼の無いような、とびっきりの舞台を作らないとね!」

ツバサ「えぇ。楽しみにしているわ。あ、それと…」

ツバサ「私の『秘密』については、絶対に喋っちゃダメよ?」

真姫「…えぇ。胸の内に秘めておくわ」

花陽「どこにも言わないし書きません!誓います!」

ツバサ「よろしい。…それと、もう一つ」

ツバサ「真姫さん。あなたの、『自分たちの力で成し遂げてこそ、頂点に意味がある』って言葉だけど」

真姫「え?えぇ…」

ツバサ「それはとっても正しいことのようで」

ツバサ「…でも、少し間違ってるわ」

真姫「えっ…」

ツバサ「希ならもうわかってることじゃない?」

希「…まぁね」

真姫「ちょっ…、どういうことよ希っ…!?」

ツバサ「それは自分で明らかにしないと。…それでこそ、意味があるのよ」

真姫「なっ…!」

ツバサ「ふふっ、なんてね?それじゃ、そろそろ戻らないと怒られちゃうわ」

英玲奈「さようなら。また、こうして話せる機会があることを望むよ」

あんじゅ「ツマンナイ与太話でもゼンゼン私はいいんだけどねー。じゃあねっ!」

花陽「はいっ!もう一回、みんなで…」

海未「えぇ、そうですね」 ことり「万感の思いを込めて!」 希「情緒も溢れて!」

希「ちょっ…、あぁもう…、今はいいわ…。そうね、最後にもう一度」

花陽「せーのっ…」




「「「「「ありがとうございましたぁっ!!」」」」」

部室


花陽「はわぁぁぁ…!最高の一日になったよぉ…!」

海未「あんなにA-RISEの人たちと話せるとは思いませんでしたね。学校から禁止令を出されてますし…」

ことり「とってもいい人たちでよかったねぇ…。すごく楽しかった!」

花陽「スクールアイドルやっててよかったって今までで一番思えたよ…!!はふぅぅ…!」

真姫「こら、花陽。こんなところで満足してちゃダメでしょ。あなたは、あの人たちを超えなきゃいけないんだから」


真姫(…それも、今年度以内に。もう10月も半ばだっていうのに、大丈夫なのかしら)

真姫(いざ本人と対面したら、勝てる気がしなくなって来たわ)


花陽「ま、真姫ちゃんだって不安そうな顔してるじゃない…。うう、そう思うと胸が痛いよ…」

海未「…痛いと言えば、アキバハロウィンフェスタを断ってしまったのは痛かったですね…」

ことり「私も少し後悔してる…」

真姫「だから!それはダメだって!フェスタ運営から誘われるならまだしも、A-RISEが誘引したりなんかしたら…」

希「それからずーーっと、A-RISEがきっかけで成り上がった、って思われるからね」

海未「…それは、そうかもしれませんね」

真姫「そう、だから私たちは私たちの力で…」

真姫「…そういえばこれ、間違ってるって言われたんだっけ」

真姫「ち、ちょっと希!これのなにが間違ってるって言うのよ!?あなたならわかるんでしょ!」

希「それは自分の力で。ツバサちゃんも言ってたやん?」

真姫「ぐぬぬ…」

ことり「それはいいとして!…イメージが固まったんなら、スケッチ、続けなくていいの?」

花陽「手伝ってくれる子が待ってるんだもんね」

真姫「…あ!そうね、よぉし!今日中に終わらせて、なんとか10月最後の日曜日までにはステージを仕上げるわよ!」

海未「それでは、私たちは練習の続きと行きましょうか。真姫に追いつかなくてはいけませんしね」

ことり「真姫ちゃんがサボってる間に、追い越しちゃうつもりでがんばろー!」

花陽「うんっ!!」

真姫(それから、ステージ案を大急ぎで作って、みんなに見せて)

真姫(材料費や規模のことも考えながら、改善点をみんなで考えあった)

真姫(結果納得のいくものができたってなったら、協力してくれる3人にそれを見せた)


親衛隊D「ほぅほぅ…、なかなか本格的だねぇ…」

親衛隊E「ここ、こんなの作れるかなぁ…?」

親衛隊F「任されちゃったんだからやるしかないって!真姫ちゃん、期待しててね!」

真姫「えぇ。私たちも負けないように頑張るわ」


真姫(最終的に、ステージを特設する場所は屋上になった)

真姫(UTX校内の数箇所を簡易ステージと見立て、最後は屋上で派手に、という計画)


真姫「完全にこれSomeのパクりじゃない!」


真姫(…これは計画を練ってる最中に叫んだ私の独り言)

真姫(でもいいの。だってこの世界ではまだ使われていないんだもの。誰も文句ないわよね)

真姫(肝心のステージや舞台美術の保管場所、だけど…)

真姫(そこは希が何とかしてくれた)


希「先生と話し合って、使ってないうちの部屋の一つを貸してもらったよ」

希「暗くて埃っぽいところやったけど、掃除すれば倉庫としては使えそうやね」

真姫「ありがとう。よかったわ。…それなら、部室の方も新調してもらえたりは…」

希「…検討中だって」

真姫「あぁ、そうなのね…」


真姫(衣装案も、ステージ案を参考にして作成)

真姫(低予算にしては綺麗に整った、立派な衣装を作れた)


ことり「ふふんっ!自信作!どや!」

海未「わざわざ授業で作成した過去の洋服などをアレンジしてくれたそうですよ」

ことり「あとは家にあったよさげなワンピースとかをね。可愛いでしょ~」

花陽「うんうんっ!うわぁぁ…!不思議なデザインだねぇ…」

真姫「『異世界』をイメージして作ってくれたみたいね」

ことり「今日はこれを着てダンスレッスンだゼーット!」

海未「おぉ…、ことりがいつも以上に元気ハツラツです…」


真姫(今まで取材してきた全ての魅せ方を駆使して、自分たちが持てる全てを出し切って)

真姫(私たちが納得できるものが、完成した)

真姫(あとは、数日後。10月最後の休日、撮影の本番を待つだけ)

真姫(計画は全て順調で、見事私たちは最高のライブを演出して終われると)





真姫(そのときは、誰もがそう思っていた)

真姫(…けれど、運命の車輪は残酷で)

真姫(思い描いた理想を、容赦なく…踏み潰していったのだった)

部室


花陽「ふふふ…、本番までもう少しだよ…!ドキドキするね…」

真姫「そうね。私も、こんなドキドキは久しぶり…」

真姫(いつもは曲作って終わりだったし…。こんなにプロデュースしたのはあっちの世界じゃなかったわね…)

真姫「今日はステージの仮組をして、リハーサルね」

花陽「こ、これで不具合が見つかったりとかしたらどうしよう…」

真姫「心配性ね。何度も組み立ててちゃんと踊れるってわかったんだから、平気よ、きっと」

花陽「そのきっとが怖い…」

真姫「あはは…。…それにしても、ことりたち遅いわね…。倉庫の鍵を取りに行くのにどれだけ…」


ガチャッ!!

ことり「ま、真姫ちゃんっ!」

真姫「ことり?どうしたのよ、そんなに慌てて…」

ことり「か、鍵がっ…!倉庫の鍵が…!!」

ことり「なくなっちゃったって!!」

真姫「えっ!!?」

花陽「う、嘘っ…!昨日、確かに返したはずだよね…?」

ことり「うん、受け取ったのは覚えてるって言ってたけど…。でもその後から行方がわからないって…」

ことり「と、とりあえず海未ちゃんが倉庫に行ってみようって!」

真姫「そうね…。もしかしたら刺しっぱなしなのかも…」

花陽「う、うん…」



倉庫


海未「あ!ことり…!」

ことり「海未ちゃん!鍵は…?」

海未「…いえ、ありません」

花陽「そんな…!」

海未「…ですが」

海未「開いて、いるのです…」

真姫「え…?」

海未「鍵が、開いています…。ドアの鍵が…」

ことり「え?ど、どうして…」

真姫「部屋には入ったの…?」

海未「…」フルフル

海未「何故か、…怖くて、入れませんでした」

ことり「いやいや…、そんな…!そんな、ねぇ…?」

真姫「…っ!開いてるなら、入るしかないでしょ…!海未、どきなさい!」

海未「…くっ」ササッ

真姫「一体、どうなって…!」


ガチャッ

真姫「えっ…」



暗くて、最初はよく見えなかったけど。



ことり「どうなってるの…?」カチッ



ことりが部屋の電気をつけた瞬間。



花陽「…っ!!!」



映し出された風景。



海未「…ぐ、ぐぅっ…!!」



予想はしたけど、でも、まさかと、考えないようにして。



ことり「ひ、ひどいっ…!!」



ここまで順調だったから、もう起こり得るはずがないと、心のどこかで決めつけていた。



花陽「わ、私たちの、私たちのステージが…、衣装が…!!」




そんな、どこにでもありふれた、悲劇。




真姫「…壊されてる」






私たちのステージは、衣装は、夢は。


誰かの手によって。


無残にも、打ち砕かれていた。

今日はここまで 自画自賛するような最悪の幕引きだぜやったね
ここでもしライブ!第四話終わり と行きたいところだけど 流石にそれは怒られる
どんな明日が待ってるのか、少しずつ手探りして待っててね ほなな

四話じゃなくて五話だったわ まだ五話

再開 なるべく今日終わらせられるように頑張ります
ちなみに舞台を3人とちょっとで数日で作るのは相当ハードだと思う ラブライブ!世界のモブは基本優秀だということで済ませましょう

花陽「…」

ことり「…」

海未「…」


真姫(…みんな、一様に言葉を失っている)

真姫(当然、私も)

真姫(考えたことがないわけではなかったけど)

真姫(実際に目の当たりにすると、途方もなくショックね…)

真姫(ただ、あまりのことすぎて逆に頭は冷静ではあった)



ことり「ステージが手当たり次第にボロボロにされてる…。衣装も…」

ことり「私の…、私が作った衣装が…。うぅぅぅ…」

花陽「もう、これ…、明日明後日じゃ、どうしようもないよ…」

花陽「材料だってないし、お金も…もう…」

海未「…いったい誰が、こんなことを…」

真姫「私たちを快く思ってない誰か…」

真姫「…おそらく、アイドル専攻の…、絵里の息がかかってる奴らの誰か、かしら…」


真姫(花陽やことりたちには手を出すな、とは言ったけど…)

真姫(こんな形で、阻止されるなんて)

真姫(…油断してた。まさか、絵里が学校内でこんな大事を起こすなんて思ってなかったから)

真姫(私たちを潰すためなら、手段は選ばない、ってことかしら…)


ことり「…これから、どうする?」

真姫「どうしようも、ないでしょ。とにかく、10月内での撮影はもう不可能よ」

真姫「また新しくステージ案を考えて…、来月は部費が出るから…それでなんとか、なるかもしれない」

花陽「…そうするしか、ないの、かな」

海未「…っ!でしたら、もう今月にできることがないのだったら、せめて犯人を捕まえましょう!」

海未「こんなことをしてっ…、人の気持ちを踏みにじるような人間を、のさばらせておくわけにはいきませんっ…!!」

真姫「そうね、私も賛成。…出来うるなら材料費を弁償させてやりましょう」

ことり「…でも、犯人の心当たりとか、あるの?」

真姫「それはわからないけど…、多分、絵里の息のかかったアイドル専攻の誰かがやったに決まって…」



「違うわ」



真姫「…えっ」

海未「だ、誰ですかっ…!」

ガチャッ…


花陽「あっ…!あなたたちは…」


親衛隊B「…」

親衛隊C「…」


真姫「花陽をいじめてた3人のうちの…。違う、ってどういうことよ」

ことり「あなたたちは犯人を知ってるの?」

真姫「…それとも何?あなたたちが犯人だって言うつもり?」

親衛隊B「それも違う。…私たちは、やってない。知ってるだけよ」

親衛隊C「…それを、やった人を、です」

海未「なぜあなたたちが…」

真姫「…っ!!ま、まさか犯人って…!あなたたちのうちの、もうひとり…!?」

親衛隊C「正解、ですわ…。彼女が…、やったんです」

親衛隊B「アイツが…、職員室から鍵を盗み出して、ここに入って…メチャクチャにしたの」

真姫「どうして…」


花陽「どうしてっ!!!!!?」


真姫「っ…!?」


花陽「どうしてそれを知っていて止めなかったのぉっ!!!」ダンッ!!

親衛隊B「…っ!」

親衛隊C「ひっ…!!」

花陽「なんで好きにやらせてたのっ!!?悪いことだって思わなかったのぉっ!!!?」

花陽「ひどいよそんなのっ!!ひどいっ…!!どうしてっ…、どうしてどうしてどうしてぇぇっ!!!!?!?!」


真姫(…花陽の、痛々しい悲壮な叫び声)

真姫(壁際に立つ親衛隊の二人の肩を押し込むように、涙ながらに花陽は訴えた)

真姫(こんな姿、彼女たちは初めて見たのでしょうね。…私だって、初めて見たんだから)


花陽「ねぇ…、答えてよ…。ひぐっ…、なんで、止めて…、くれなかったのぉ…?」

親衛隊C「止め、ましたわ…っ、私、だって…」

親衛隊C「…でも、こ、怖かったんですの…。あの子の、執念が…」

海未「執念…?」

真姫「どういう、こと…?」

真姫(確かに彼女は、他の親衛隊にC☆cuteを応援させないような発言をしていたけど…)

真姫「…もしかして、9月頭のことを根に持って…?私が花陽の間に割って入った…」

親衛隊B「そんなことじゃないよ…。もっと、根の深いものだって…」

親衛隊B「…小泉さん、あなたの…、あなたが原因なの…」

花陽「…えっ?」

親衛隊B「アイツは、あなたのことが憎くて…、こんなことをやったのよ…」

花陽「私が、憎い…?なんで、そこまで…」

ガチャッ

希「そっから先は、本人に直接聞き」


真姫「の、希っ…?」

真姫(後ろのドアから鍵を開けて入ってきた希)

真姫(そして、後ろ手に拘束された…もうひとり)


親衛隊A「は、離せっ…!!このっ…!」

希「この子がこの教室の鍵と…、衣装の切れ端持ってハァハァ言っててね」

希「あからさまに怪しかったから、取り押さえた訳。…まさか、こんなことになってるとは」

親衛隊A「痛いんだよこのっ…!!離せって!!」

希「そうはいかんなぁ。逃げられると困るし」

真姫「しかしまぁ片手で易々と…。本当に強いのね」

希「まぁねー」

親衛隊A「ぐぅっ…、この、怪力女がっ…!!」

花陽「…ねぇ」

親衛隊A「…あん?」

花陽「どうして…、ステージや衣装を壊したりしたの?」

花陽「私が憎い、って、どういうこと…?私が、何か悪いことでもしたの…?ねぇ、教えてよ…」

親衛隊A「…」

花陽「…答えてよっ!!黙ってないでさぁっ!!なんなの!?黙ってれば許されると思ってるのっ!!?」

花陽「ふざけないでよっ!!どれだけ真姫ちゃんやみんなが頑張って…、みんなの思いの結晶なんだよ!!なのにそれを…」

親衛隊A「うっせえなあ!!」

花陽「っ…!!?な、なにがっ…!」

親衛隊A「全部…、全部お前が悪いんだよっ!!お前が…、お前がぁっ!!」

花陽「わ、私が…?な、なにが悪いのっ!私が何したって…」

親衛隊A「…わかってないのなら、教えてやるよ。お前がそれだけ、ふざけたこと、してるか…ッ!」

親衛隊A「お前は知らないんだろうけど…、私はっ…。私は…」


親衛隊A「…最初、アイドル専攻だったんだよ」


花陽「えっ…?」

「昔っから歌が大好きで、歌うのが大好きで」

「その中でも好きだったのが、アイドルソングだった」

「男の子のアイドルも、女の子のアイドルも好きで」

「ありえないことだってわかってたけど、もしかしたら、っていつも思ってたんだ」

「…いつか、こんなふうに自分も、歌って踊ってみたいってさ」

「UTX学院を知ったのは、去年」

「どこに進学するかってなって、偶然見つけた、高校」

「ここしかないって思った。歌うことができる高校なんて、最高だって」

「しかも、もしかしたら…もしかしたら、アイドルになれるかもしれないって。淡い希望を持ってた」

「…私はUTXに入学して、すぐさまアイドル専攻を希望したの」

「一番初めの授業、先輩の前で歌を披露して、最初に言われた言葉がこうだった」

「『あなた、歌下手ね。才能がないわ』…だってさ」

「…ショックだったよ。せめて、ダンスを批判されるならまだしも、得意だと思ってた歌を否定されて」

「しかもさ、その時点で見限られて、2回目の授業を受けさせてすらもらえなかった」

「私、悔しくて、悔しくて…何日も泣いて…。今まで何のために生きてきたんだ、って本気で思った」

「…だけど、私の前に天使が現れたの。笑える表現かもしれないけど、その時の私はそんな気分だった」

「お前だよ…、小泉花陽。お前の…、あなたの歌声を聞いて私は…、一瞬で魅了された」

「歌の才能があるって、こういうことなんだって…、初めて理解できた。それは私だけじゃなくて、他の色んな人も一緒で」

「だからみんなで、この子を応援しようって…。歌手専攻一の歌姫を。そんな流れで、『小泉花陽親衛隊』は生まれたの」

「小泉さんがアイドル専攻やってる、って聞いたときも嬉しくて、この子なら…この子ならきっと、一番になれる。私にはできなかった…アイドルになれるって確信してた」

「…でも、ある日…、小泉さんは私たちにこう言った。アイドル専攻から、逃げちゃったって」

「他の親衛隊は残念そうに、でも慰めたり、元気づけたりしてる子ばかりだったけど」

「私は…納得できなかった。あんなに歌が上手なのに、なんで、って」

「私はひとり、必死で小泉さんを説得した。戻ったほうがいい、もったいないから。そう言った」

「でも、小泉さんは首を横に振るばかりで、戻る素振りを一切見せなかった」

「…そこからよ。私が、小泉さんに怒りを覚え始めたのは」

「私はどれだけ専攻の授業に行きたくても、才能がないって笑われて、切り捨てられて。でもなんで、才能があって、授業を受けられる小泉さんが、そんな簡単に諦めるの」

「何度も説得してるうちに、断るあなたが苛立たしくて」

「だけど、もう一度戻って欲しい、って気持ちはずっと変わらなかった。…結局、私の声は、あなたには届かなかったけど」

「あの日、西木野さんにやめろって言われて、実は反省したのよ。…悪いこと、しちゃったんじゃないかって」

「アイドルになる気がないのに、強要してたんじゃないか、ってさ…。思ってたのよ」

「…思ってたのに、さぁ…。なんで…、なんで、もう一回、始めてるわけ…?しかも今度は、アイドル専攻じゃない、って…」

「ふざけるなって思った!私があれだけ…、あれだけ必死に呼び止めたのに…、私の得られなかった権利を自ら捨てるような真似をしておいてっ!」

「今度は勝手に自分たちでアイドル…?なによそれ…、笑わせないでよ…!」

「だったらアイドル専攻の権利、私にちょうだいよ!!あなたなら行けるのに…、行ってトップになることだって簡単なはずでしょうっ!!」

「誰でもできるようなアイドルごっこやって見せつけるような真似してっ…!!それ、才能のない私たちに対するあてつけのつもりっ!!?」

「許せなかった…!お前は私の気持ちを裏切ったんだっ!!だから私も踏みにじってやった!!」

「お前が私の前で踏みにじったアイドル専攻の権利みたいに、お前にアイドルをさせる権利を、私があぁっ!!」

「ざまぁみろっ!!アハッ…、アハハハハハハハハハ!!アッハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!」

真姫「何よ、それ…」


真姫(逆恨みにも、ほどがある)

真姫(花陽がアイドル専攻に行けなかった苦悩を、この女は欠片も知りもしない)

真姫(自分の好きなアイドルを嫌いになってしまう恐怖が、花陽をアイドル専攻から遠ざけていたことを)

真姫(自分勝手な理想を押し付けて、勝手に嫌いになって。その上、自分の説得ではしなかったのに、いつの間にかアイドルやってたことに逆上して)

真姫(一方的な恨みで、花陽の夢を奪った…最低なヤツ)


真姫「…ふざけないでよ。あなたに、花陽の何がっ…!!」

親衛隊A「黙れっ!アンタにこそ私の何がわかるっ!!」

真姫「知るかっ!アンタが誰だろうと知ったこっちゃないわよ!!」

真姫「だからって…、だからって私たちの…、花陽の夢を奪っていい理由にはならないって言ってんのよ!!」

親衛隊A「うるさいうるさいうるさいっ!!私は、わたしはぁっ…!!」

親衛隊A「くそっ…!!くそぉぉっ!!!」ガンッ!!

希「あぎゅっ!!あ、頭が顎にクリーンヒット…!」

親衛隊A「…くっ!!」ダダッ

真姫「あっ!待ちなさいっ!!」ダダダッ…


海未「ま、真姫…」

ことり「行っちゃった…」

希「ご、ゴメン…。油断してた…」

花陽「…」

海未「花陽…。災難でしたね…、あんな逆恨みをされるとは…」

花陽「…私の…」

花陽「私の、せいだ…」

ことり「えっ…!!?」


真姫「ゴメン、見失った…。クソッ…、アイツ、明日にはとっ捕まえて…」


花陽「私のせいで…!私がっ…!!」

真姫「っ!!?は、花陽っ!?どうしたの…!?」

希「な、なんか…、さっきのでショック受けてる…?」

花陽「う、うぅぅっ…!!」

真姫「花陽っ!あ、あなたが気に病む必要なんてないんだって!悪いのは全部アイツなんだから…!」

海未「そうです!惑わされては…」

花陽「凛ちゃんが、言ってたことって、こういうことだったんだ…」

真姫「え…?」

花陽「あの時、凛ちゃんが言ってた…」


(凛「才能を持ってるのに逃げ出して、チャンスをふいにしてる」)

(凛「それって、チャンスすら持たない人間に対して、どれだけ失礼な行為かわかってないのかな?」)


花陽「『いつか身にしみる時が来るよ』って…、言われたの…」

花陽「…これは、私の…、私の、責任だよ…」

花陽「あの頃の私は、臆病だった」

花陽「自分の思い描いたアイドルとかけ離れた、本当の世界を目にして…」

花陽「いつか自分も、全てが嫌になってしまわないか、怖くて…、怖くて…」

花陽「凛ちゃんのことも、あの子のことも…、全てが信用できなくなってた…」

花陽「その臆病さが…、二人を傷つけちゃったんだ…!」

花陽「せめて…、せめて少しでもあの子のことを信用できていれば…」

花陽「私がどう思ってるかを相談して、あの子の気持ちも聞いていれば…」

花陽「少なくともこんな目には遭わなかった!!」

ことり「花陽ちゃん…」

花陽「…こんなのじゃ、『アイドルでみんなを笑顔に』なんて…、馬鹿げてるよね…」

花陽「誰でもない私の態度が…アイドルに夢見る子を、傷つけちゃったんだから…」

真姫「それはっ…、それはあなたが決意する前の話でしょう!?」

真姫「その頃の花陽と今は、別でしょ…」

花陽「…うん。だけど、それでもやっぱり…、私が逃げちゃったことが問題だから」

花陽「今でも過去でも、私がやっちゃったことはなくしちゃいけない…」

海未「だとしても、今自分が目指す夢を、過去の過ちで汚す必要はありませんよ」

海未「間違えたなら、これから正していけばいいのです。花陽の夢は、そういうことでもあるのでしょう?」

花陽「…そう、なの、かな…」

希「せやせや!花陽ちゃんひとりが背負い込む事ないんよ?」

希「間違った、って感じたなら、周りの子に頼ったらいい。みんな優しいんやし、助けてくれるよ!」

花陽「…」

花陽「…あ、ありがとう、ございます…。そう、だよね…。ここには、私一人だけじゃないんだよね…」

花陽「今度は逃げ出すより先に、誰かに頼れば…、いいんだよね…」

真姫「…そう。あなたが間違っても、私たちみんなが助けてあげるから」

花陽「ありがとう…、真姫ちゃん、みんな…。そうだ、私が今やることは、へこんでることじゃないんだよ…」

花陽「私が彼女を傷つけちゃったのなら、私ができることは…、それは…」

花陽「…」ブツブツ…

ことり「花陽ちゃん、今度はひとりでブツブツ言い始めたけど…。いいのかな?」

海未「何か考え事をしているようですが…。また一人で塞ぎ込むわけではないですよね…?」

真姫「ちゃんと一人だけで背負い込むのは良くない、って理解してたみたいだし、本当に困ったら頼ってくれるとは思うけどね」

真姫「…と、それより。気になってたんだけど…、そこの二人」

親衛隊B「え、私ら…?」

親衛隊C「な、なんですの…?」

真姫「どうしてあなたたちは花陽をいじめてたのかしら?アイツほど花陽を恨んでたってわけじゃないんでしょ」

親衛隊B「わ、私は…。私も小泉さんの歌声は素敵だな、って思ってたけど…。煮え切らない態度が気に入らなくなって、つい…」

親衛隊C「ワタクシはっ…!い、いじめてたつもりとかなかったんですの…。ホンキで善意で小泉さんにアイドル専攻に戻ったほうがいいと思って…」

親衛隊C「…おふたりが何故かその際にいやらしい笑みを浮かべていたので、私もやらなくてはならないのかと思って…」

真姫「…天然か」

希「ま、今はその子達は関係ないみたいやし、いいんやない?」

真姫「まぁ、そうね…。止めてくれなかったのを責めるほど、私たちに義理もないでしょうし」

海未「しかし、これからどうしましょうか…」

ことり「う…!それがあった…。えっと、どうしたらいいのかな…」

真姫「…ステージの修繕を今から始めても10月中に撮影することは不可能ね」

希「それ以前に材料を買い集めるお金ももうないんと違う?」

海未「確かに…」

「「「「うーーーん……」」」」



花陽「…」ブツブツブツブツ…


真姫「…って花陽…。あなたはいつまで一人でブツブツと…」

花陽「あ、真姫ちゃん…。ごめん、考え事してて…」

真姫「…もしかして、ホントにまた一人で塞ぎ込んでるの?」

花陽「う、うぅん。それはもう大丈夫…。もう一人で悩むようなことはしないよ」

花陽「みんなが力になってくれるんだ、ってわかったから」

真姫「えぇ、なんでも自分だけで解決できるほど、人は強くないんだからね。迷ったらすぐに…っ」

真姫「…」

花陽「…?真姫ちゃん?どうしたの…?」

真姫「…自分だけで、解決できるほど、強くない…」

真姫「これって、もしかして…。今の私たちにも当てはまるんじゃ…」

花陽「え?どういう意味…?」

真姫「つ、つまり…」



海未「とりあえず今は、一旦散らばった木材などを片付けましょう」

ことり「そだねー…」


ガチャッ…


海未「…ん?」 ことり「今度は誰?」

パーツモデル部部長「チョリーッス!頑張ってるぅ~?」



シーン…



パーツモデル部部長「…ありゃ?なんか空気読めてない系?」


海未「…な、なぜあなたがここに…」

パーツモデル部部長「いやー、部員がいなくて余りにも暇でね?リハーサルが今日ってこないだ言ってたじゃん?」

パーツモデル部部長「どうせなら見学に行こうかなー、って思ってたら…、なんじゃこら…。バラバラじゃん…」

ことり「…あ、えっと、これは…。その…」

パーツモデル部部長「…もしかして、抜き差しならない状況なのかな?」

海未「そう、ですね…。かなり危ないです…」

ことり「材料費も時間もなくて、これからどうしようかって迷ってるところです」

パーツモデル部部長「あぁ…、そうなんだ。材料って、木?」

ことり「はい?」

パーツモデル部部長「木材か、って聞いてるの」

海未「え、えぇ…。電飾もありますが大部分は木で作成して…」

パーツモデル部部長「あ、そう。よっと」サッ ピピピ…

パーツモデル部部長「…あー、もしもし?うん、アタシ。そうそうお嬢でーす」

パーツモデル部部長「あのさ、いきなりで悪いんだけどさ、今すぐ」

パーツモデル部部長「余ってる木、持ってきてくんない?」

ことり「…え?」

パーツモデル部部長「あー、いいからいいから。…うん、そう。うちの学校」

パーツモデル部部長「んー…、まぁいい感じの量で頼んます。ハーイ、ハイ、ハイ、それじゃー…」ピッ

パーツモデル部部長「はい、よし」

海未「あ、あの…、今の電話はいったい…?」

パーツモデル部部長「ん?あぁ、材料が足んないんでしょ?」

パーツモデル部部長「今、オヤジんとこの若い人らに持ってこさせるよう頼んどいたから」

ことり「えぇぇっ!!?!?」

海未「理解が、追いつかないのですが…」

パーツモデル部部長「うちのオヤジ、建築業だから。そこの偉いオッサンだから」

パーツモデル部部長「木材ならちょちょいって持ってこれるって話よ」

ことり「」ポカーン

海未「」ポカーン



(ツバサ「真姫さん。あなたの、『自分たちの力で成し遂げてこそ、頂点に意味がある』って言葉だけど」)

(ツバサ「それはとっても正しいことのようで、…でも、少し間違ってるわ」)



真姫「そうか…。少し、間違ってるの意味…」

真姫「…こういうこと、だったのね…!」

オッサンA「へいお嬢!これでいいっすか!」

オッサンB「不揃いっすけど大体使えるもん持ってきやした!!」

パーツモデル部部長「あー、ありがとっすー。そこ置いといてー」

オッサンズ「「ういっす!おつかれっした!!」」

ダダダダッ…



海未「…女子高ではありえない人たちが走り去っていきましたね」

ことり「それにしても部長さん、すごい人だったんですねー…」

パーツモデル部部長「んなことないって!」

希「せやけど、こんなにいっぱい、支払えるお金も持ってないよ?」

パーツモデル部部長「平気平気!ちょっとくらいなら私のモンのようなアレだから!遠慮なく使って!」

花陽「あ、ありがとうございます…。でも…」

ことり「…木材は足りても、ペンキや電飾が…」

海未「人手も圧倒的に足りません…。これでは宝の持ち腐れのような…」



真姫「頼るのよっ!!」



花陽「え?」

真姫「困ってるなら、自分たちだけでなんとかするのはやめましょう!」

真姫「恥も外聞も全て捨てて、頼みに行くのよ!手伝ってくださいって!」

ことり「ど、どこに…?」

真姫「今学校に残ってるのは部活動をしてる人くらいしかいないでしょ!つまり…」

真姫「このUTX学院の、他の部、手当たり次第によっ!!」


「え…」

「えぇええぇぇぇぇぇぇっ!!!!?!?」



希「…んふ、どうやら、気づいたみたいやね」




真姫(自分たちの力でできることには限界がある)

真姫(なら、周りの人に助けを求めればいい。私たちだけで塞ぎ込まないで)

真姫(私たちが他の部にしたことと言ったら取材くらいで、何かを手伝ったこともない)

真姫(もしかしたら、誰も手伝ってくれないかもしれないけど)

真姫(最初から諦めるより、全然いい。それに、きっと大丈夫。なぜなら)

真姫(ここは学校で、私たちはスクールアイドルなんだから)

疲れたんでここまで 次回やっと五話おわり ほなな

ラブライブ見たことないのにラブライブのSS見るってのも珍しいですね
じゃあ最近頭が回らないけれど始めます

真姫(部活の取材で鍛えたフットワークを駆使して、私たちは手分けして色んな部活に助けを求めた)



海未「お願いしますっ!どうか、少しだけでも…」

吹奏楽部部員A「…って言ってますけど…」

吹奏楽部部長「うーん、いいんじゃない?困ってるみたいだし」

海未「ほ、本当ですかっ…!!?ありがとうございます!」

吹奏楽部部長「いいのよ。…あなたたちが教えてくれた『魅せ方』のおかげで、こっちも助かってるんだから」



真姫(今まで様々な部を駆けずり回って集めたのは、ただそれぞれの魅せ方だけじゃないことに、そうして初めて気づいた)



映研部長「ほう、人手が足りねーってか!」

花陽「は、はいぃ…。あとはステージの装飾とかも…」

映研部長「よろしい!ならばやってやろうじゃん!困ってる奴に手を差し伸べるのが、真の女ってぇもんよ!なぁ野郎ども!!」

映研部員ズ「おぉー!!」

花陽「か、かっこいい…!…野郎は一人もいないけど」



真姫(ほんの少しの、繋がり。ただの顔見知りって程度の、小さなものだったけど)



ことり「人手が欲しいんですけど…」

演劇部衣装A「あ!首筋がエロい子!ねぇねぇ、もっかい触らせて!」

演劇部衣装B「南さんは首筋より足首でしょ!」

ことり「あのぉ…」

演劇部演出「あ、あなた真姫ちゃんと同じ部の子よね?人手がいるなら連れてっていいわよ」

ことり「い、いいんですか…?」

演劇部演出「うん。その代わり、もう一度聞かせてって言っておいて。…別世界にワープするクリニックの話をね」



真姫(たったそれだけが、私たちを助けてくれた)

真姫(顔も知らない誰かだったら、こんなことできそうもなかったから)

真姫(もしかしたら希は…こうなることも予期して、私たちを取材に行かせたのかしら)

真姫(…まさか、ね)



真姫「…お願いしますっ!」

合唱部部長「…フム。いいけど条件がある」

真姫「何かしら」

合唱部部長「今度でいいから、小泉クンを貸してくれ」

真姫「…」

真姫「…い、いいでしょう!!」ガシッ

合唱部部長「契約成立だっ!!」ガシッ

倉庫兼教室


ガチャッ

親衛隊J「花陽ちゃんごめんっ!」

親衛隊K「小泉さんたちが人集めてるって聞いて、やっぱり私たち手伝おうって…」

親衛隊L「…って、こ、これは…!!」


ガヤガヤガヤ…


親衛隊ズ「既にいっぱいいるっ!!?」



ガンプラ部部長「おうおう!ペンキはないけど塗装用のスプレーなら任せろ!」

演劇部部員A「いやペンキならこっちにあるからいいですよ…」

ガンプラ部部員A「部長はおとなしく衣装の手伝いしててあげてください!」

花陽「うぅん…。どうしても装飾のパーツが足りない…。あ!そうだ!あのっ!」

吹奏楽部部員B「はい?どうしたの?」

花陽「この間見かけた、壊れた楽器って貰うことってできませんか!?」

花陽「あれを装飾の一部にしたいんです!」

吹奏楽部部長「…へぇ、なにそれ。面白そうじゃない」

映研部員A「あ、だったらさ!うちの千切れちゃった映画のフィルムもどう?」

真姫「いいわねそれっ!装飾に使えそう!お願いするわ!花陽も、いいアイデアね、ナイス!」

花陽「えへへへ…」

合唱部部員A「うぅん…。あんまりカナヅチとか使ったことないから…難し…」コンコンッ…

パーツモデル部部長「もっと腰を入れる!真上から押さえつけるように叩く!あぁ角度がなってない!」

合唱部部員A「は、はぁ…」

パーツモデル部部長「何事も角度が大事なのよっ!」

ことり「えっと…、衣装の修繕は…」

演劇部衣装B「ねぇ南さん。もう使わなくなった衣装なんだけど…これらって使える?」

海未「じ、時代も世界観もバラバラのものばかりですね…。これでは…」

ことり「…う、うぅん!すごいよっ!これなら…!」

ことり「もっと理想の衣装が作れるかも!」

演劇部衣装B「ホントに!?よかった!」

海未「もっと理想の…。どんなものが完成するのでしょうか…。楽しみですね」



親衛隊J「なんか、いろんな部の人がいっぱい集まってる…。まるで文化祭みたいだね…」

親衛隊P「…あれ?あんたら…」

親衛隊B「よいしょっ…、あ!」

親衛隊C「あなたたち…手伝いに来たんですの?だったら話は早いですわ!」

親衛隊K「人手はまだまだ必要みたいだね…。それじゃ、いっちょやりますか!」

写真部部長「あっはいいわいいわその活力!んーもっと見せつけて!プリーズプリーズ!!」パシャパシャ

写真部部長「…ふぅ。みんなのやる気が伝わってくるいい写真が撮れたー…。新聞部に売るべし…」

真姫「ははは…、買い取ってくれるといいけどね」

映研部長「あ、西木野。あのさ、もしかしたらカメラで困ってるとかない?」

真姫「え?ま、まぁ…。安物のハンディカメラしかないって問題はあるけど…」

映研部長「おぉ、そーか!じゃあうちの撮影用のカメラどーよ!?バッチリ綺麗に撮れるぜ!」

真姫「えっ…!い、いいの…?」

映研部長「もうここまで乗りかかった船だ!できるとこまでやってやんよ!」

真姫「あ、ありがとう…ございますっ!」

映研部長「よせや気持ち悪い!西木野はタメ語が一番似合ってるぜ!」

真姫「そ、そう…?じゃあ…、ありがとう。遠慮なく、使わせてもらうわね」

写真部部長「…あ。じゃあじゃあ…、衣装が出来上がってからの全身撮影とかいかがっすかー…」

写真部部長「ライブ中の写真とかも、撮ったげるよー…」

真姫「あ、あなたまで…。そこまでしてくれなくても…」

写真部部長「あんまない機会だしー…、どうせ日曜ヒマだからねー…」

写真部部長「生ライブってのも、あんま見たことないしー…。見学代ということでどうよー…?」

真姫「…わかった。お願いするわ」

パーツモデル部部長「なによー、アンタ大人気じゃん。なんかアタシの立つ瀬なくねー?」

真姫「ふふ、そんなことないわよ。あなたがいてくれなかったら始まらなかったんだもの」

真姫「…そういえば、あなたはどうして手伝ってくれる気になったの?」

真姫「他の部の人は交換条件とかもあったりしたけど、あなたは無償で木材を提供してくれるなんて、太っ腹すぎると思うんだけど」

パーツモデル部部長「なにさ、アタシを信用してないっての?裏があるんじゃないかって疑ってる?」

真姫「そういうことじゃ…」

パーツモデル部部長「アハハ、わかってるって。冗談。…そうだね。まず一つ目に、部員がいなくて退屈だったからっていうのがあるかな」

パーツモデル部部長「なんだかんだ取材を受けてた時、アタシも満たされてるカンジ、したし」

パーツモデル部部長「もう一つは、アタシもオンナノコだからね。アイドルが好きなんだ。だから」

真姫「けど、それならA-RISEだって…」

パーツモデル部部長「確かに、A-RISEも大好きだよ。グッズだってたくさん持ってる。でもね…」


パーツモデル部部長「どうせ手伝うなら、アンタらの方が楽しそうじゃん、って思ったのよ」


真姫「っ…!」

合唱部部長「ふふ、そうだな。彼女の言う通りだ。あんな校内を駆けずり回るアイドルなんて、そうそう聞いたことがない」

吹奏楽部部長「必死で走り回ってる姿が妙に魅力的で、なんだか手伝ってもいいかな、って気持ちにしてくれるんだよね」

ガンプラ部部長「それにUTXは文化祭がないからな!こういうみんなで何かを作るってのはなんか…、新鮮だぁぁっ!!」

写真部部長「それもあるー…。インドアばかりでは錆び付くー…。これもインドアだけどなー…」

真姫「みんな…」

映研部長「A-RISEはもう完成されきってる感があるしな!それに比べお前らはまだまだみじゅーっく!!」

パーツモデル部部長「アタシらが背中押してやんのも、悪くないでしょ?」

真姫「…えぇ。そうね」

親衛隊A「…ちっ、あのまま帰るつもりだったのにカバン置きっぱなしだし…」

親衛隊A「はぁ…。アイツらに見つからなきゃいいけど…」


ガヤガヤ…


親衛隊A「…ん?なんか騒がしい…?さっきの教室からだ…」

親衛隊A「もしかして大事になってたりする?…ちょっとだけ覗いてみようかな」


チラッ

親衛隊A「何が起こって…、えっ…」



「これどこってー?」「あー、それそっち置いといてだって」「あいよー」



親衛隊A「なんでこんな人がいっぱい…。しかも親衛隊の奴らまで…」


花陽「…ん?誰か覗いて…、あっ!」



親衛隊A「げっ…!見つかっ…!!」ダダッ


タッタッタッ…

親衛隊A「クッソ…!覗きになんか行かなきゃ…」


タッタッタッ…

花陽「ま、待って…!」


親衛隊A「っ…!く、来んなっ!こっち来るなよっ!!」

花陽「お願いっ…、私の話を聞いてっ!少しだけでも、いいからっ…!あっ!」

ガッ

花陽「あぎゅっ!!」ズコッ

親衛隊A「あっ…!」

花陽「…い、痛ぁ…。こけちゃった…」

親衛隊A「…」

花陽「あ、止まってくれた…。よかった…」

親衛隊A「…なによ、話って」

親衛隊A「つまんない話だったら、ぶっ飛ばすからね」

花陽「うん、さっきの話の続き」

花陽「…あなたの思いに対して、私、何も言えてなかったから」

花陽「一言、言わせて」

親衛隊A「反論するつもり?何言ったところで今更…」

花陽「…ごめんなさいっ!!」

親衛隊A「…えっ」

親衛隊A「ごめんなさい…?」

花陽「私がダメだったせいで、あなたを深く傷つけた」

花陽「あの時私にもっと勇気があれば、こんなことにはならなかったのに、って思って」

花陽「…だから、ごめんなさい」

親衛隊A「…っ!」

親衛隊A「何がごめんなさいよっ!謝れば済むと思ってるの!?そういうナヨナヨしたところが嫌いなのよっ!!」

親衛隊A「じゃあ何!?反省したなら、アイドルやめてくれるの!?私にアイドル専攻受ける権利をくれるの!?」

花陽「…うぅん。それは、できない」

親衛隊A「できないんじゃん!!だったら軽々しくごめんなさいとか言ってんじゃねぇよ!そんなの自分がスッキリしたいだけなんでしょ!」

親衛隊A「謝る気持ちがあるくらいなら、私の前でアイドルを辞めるくらいしてよっ!!」

花陽「やめることは…、できないよ」

花陽「アイドルは、私の夢だから」

親衛隊A「夢って…!夢ならどうしてっ!!どうしてすぐに諦めたんだよっ!!」

親衛隊A「私だって夢だった!!なのに…、私には才能がないから…、できなかったんだよ…っ!!」

親衛隊A「でもっ!アンタはあったくせに捨てたんじゃないか!権利を!!それをどうして今になって!!」

花陽「私の夢はね…。みんなが憧れる、アイドルそのものになりたいの」

親衛隊A「はぁ…?」

花陽「華々しくて、楽しくて、心の底から笑顔になれるアイドルが、私の夢」

花陽「私が今目指しているのは、そんな、本当に夢物語みたいなものなんだ」

花陽「バカげてる、って思われるかもしれないけど、本気だよ」

花陽「アイドル専攻は、私にとっての夢の在処じゃなかったから」

花陽「次は、自分で見つけ出そうとしてるの。本当の夢の場所」

花陽「決して、アイドルごっこなんかじゃないよ。…だけど」

花陽「誰にでもできるんだって証明したい。私たちの力で、夢のようなアイドルを」

花陽「あなたを傷つけてしまったことは、その夢を裏切ったことになるから」

花陽「…だから今は、あなたの傷を癒したくて、そのために話がしたかったの」

親衛隊A「何よ…、何言ってんのよっ…」

花陽「私、今度は真剣にスクールアイドルをやろう、って決意したから」

花陽「アイドル専攻じゃないけど、誰にも負けない、みんなを笑顔にするアイドルになるって決めたから」

花陽「少し遅くなっちゃったけど…、これじゃ、ダメかな…?」

親衛隊A「…っ!!小泉、さん…」

親衛隊A「私はっ…、くっ…!!そんな、そんなのっ…!!」

親衛隊A「そんなの信じられるわけないっ…!!あんな弱々しかったアンタが、そんなの…!」

花陽「本当だよっ!あの時は一人だったけど、今はひとりじゃない!」

花陽「真姫ちゃんが、ことりちゃんが、海未さんが、希さんが…それに、みんながいるってわかったもん!!」

花陽「もう弱くなんかない。私は、夢を叶えるの」

親衛隊A「っ…!!…だったら、私はどうなるのよ…」

親衛隊A「そんなあなたの夢を、粉々に壊した私は、どうすればいいのよ…?」

親衛隊A「許されないことをした私を…、笑顔にすることなんて…」

花陽「…大丈夫。私は…、私は、あなたを…許したいと思ってるから」

親衛隊A「…え?」

花陽「真姫ちゃんや海未さんは許せない、って言うかも知れないけど。でも、私はあなたを責めたりなんかしない」

親衛隊A「な、なんでよ…。それこそ、意味わかんないわよ…」

親衛隊A「私はあなたの夢をメチャクチャにしたのに…、どうしてそれを許そうなんて思えるの…!?」

花陽「私だって、どうしようもないことされちゃったら、許せなかったかもしれない」

花陽「だけど、ステージも衣装も、みんなのおかげでなんとかなりそうだし」

花陽「それに、誰かがどこかで許してあげないと、ずっと憎しみが続いちゃうでしょ?」

花陽「私はあなたと、憎しみあいたくなんてないから」

花陽「私を好きでいてくれた人なんだもん」

親衛隊A「ぁ…」

花陽「仲直り、したいの」

花陽「あなたがステージや衣装を壊しちゃったこと、反省してくれるなら、私はあなたの味方になれる」

花陽「誰があなたを責めたって、絶対にあなたを守ってあげる」

花陽「それが、友達、だから」

親衛隊A「っ…!」

花陽「それで、あなたは笑顔になれるかな?」

花陽「もう誰かを憎んだり、しなくて済むのかな?」

花陽「私に、アイドルに幻滅しなくなれるのかな?」

花陽「…もしそうなら、それが」

花陽「私の、夢なんだよ」

親衛隊A「…ぁ、っ…!!」

親衛隊A「なんっ…、でっ…!!そん、なにっ…」

親衛隊A「優しく、なれるのよぉ…っ!!う、うぅぅっ…!!」

親衛隊A「うあ、ぁぁっ…あああぁぁぁぁっ…!!!」

親衛隊A「ごめんなさいぃっっ…!!ごめんなさい、小泉さんっ…!!」

親衛隊A「私ぃぃっ…!私っ…、あなたのことっ…!!う、うぎゅぅぅっ…!!!」

花陽「泣いちゃ、ダメだよ。こういうときは、笑おう?」

花陽「仲直りの秘訣は、笑顔から、だよ」

親衛隊A「うん、うんっ…!!ありがとうっ…、ありがとう…」

親衛隊A「花陽ぉっ…!!」








(泣きながら笑う私の前に、天使が微笑んでいた)

(笑える表現かもしれないけど、その時の私は本当に…、本当にそんな気分だったんだ)

真姫(集まってくれたみんなのおかげで、ステージの修繕は想像以上に早く終わった)

真姫(この修繕の最大の収穫は、足りなかったパーツを有り余りのもので補った結果、さらに良くなったってことかしら)

真姫(様々な部活から貰った、不要なモノやジャンクパーツをステージの飾りとして使用できた)

真姫(吹奏楽部の金管楽器たち、映画研究部のフィルム、演劇部の小道具など)

真姫(さらに、衣装の一部を演劇部の衣装の一部をまるごと移植、なんてことも。…これはことりのアイデアだけどね)

真姫(そのおかげでより一層、異世界…、様々な空間に放り出されたイメージを強めることに成功できた)

真姫(あらゆる時間、世界観、この世界だけでなく、平行する他の世界までも取り込んだ、ゴチャゴチャな、しかしながら統一されたステージ)

真姫(それはまさに私たちと同じようで、そして、このUTX学院をも象徴している)

真姫(趣味も、得意なことも、好きなものも嫌いなものも、住んでる環境や価値観だって誰ひとり違う)

真姫(下の階でやってる授業と、上の階でやってる授業は、全くかけ離れている)

真姫(そんな空間が混じり合って、なお共存している。UTXは、一つの異世界と言えるかもしれない)

真姫(このステージは、そのUTXをこれでもかと表現している)

真姫(私たちこそが、UTXの名を背負うものなのだと、声高に主張している)

真姫(なぜなら)

真姫(ここは学校で、私たちはスクールアイドルなのだから)

真姫(A-RISEだけが、スクールアイドルじゃない)

真姫(私たちこそが、UTX学院のスクールアイドルなのよ)




屋上


~♪


映研部長「…はいカットォッ!!お疲れっ!」



海未「ど、どうでしたか…!?どこか映像に不備は…!」

真姫「…うん、うん…。大丈夫!これなら完璧よ!!画質も最高レベルだわ!」

ことり「やったぁぁっ!!成功だぁっ!!」

花陽「うんっ…、よかった…!一時はどうなるかと思ったけど、本当によかった…」

海未「それにしても、協力していただいた部の皆さんには本当に、どれだけお礼を言っても足りませんね…」

ことり「まさか校内での撮影に部室まで貸してくれるとはねー。みんな優しい人ばっかり!」

真姫「えぇ、そうね。…彼女とも、もう争い合うようなことも、なさそうだし」

花陽「うん。今度から何があっても協力してくれる、って言ってた。…みんなも許してくれて、ありがとう」

海未「花陽は、少し優しすぎるかもしれませんけどね」

ことり「そこが花陽ちゃんのいいところなんじゃなーい!」

真姫「みんながみんなのいいところをカバーしていく、それがC☆cuteだからね」

花陽「あ、そうだ!今日希さんが撮影終わったらみんなでご飯食べに行こうって!」

真姫「あぁ、そういえば。…奢りですってよ、希の」

ことり「奢り!?これは行くしかないね!」

海未「元気ですね…とはいえ私も…、そう聞くとお腹が空いてきました」

真姫「じゃ、パーっと打ち上げと行きましょう!」

一同「「「うんっ!!」」」

真姫(撮影した映像を編集して、アップできるのは数日後くらいでしょう。おそらく、ハロウィン前後になりそう)

真姫(アキバハロウィンフェスタでのA-RISEと、どれだけ張り合えるか…)

真姫(けれど私たちなら…、きっと成し遂げられると信じている)

真姫(このライブが、革命の足がかりになれるって)



翌日 月曜日

1年C組前


花陽「…本当に、いいの?その気があるならあなたもアイドルに…」

親衛隊A「いいのいいの!花陽のおかげで許されたって言っても、私のしたことをなかったことにはできないし」

親衛隊A「それに、今はアイドルになるってより、もっと大きな夢ができたから」

親衛隊A「…絶対にあなたたちを、スクールアイドルの頂点に立たせるって夢。私がアイドルやるとしたら、その後よ、きっと」

花陽「うんっ、ありがとう!」

親衛隊B「ちょっと!小泉さんを独り占めはズルいわよ!私も話させなさい!」

親衛隊C「っていうかいつの間に呼び捨て!?ズルいですの!わ、私も…は、花陽…ちゃん」

親衛隊C「む、無理ですわ!神々しすぎて!」

花陽「あはははは…」


「…そこ、どいて。通行の邪魔」


親衛隊B「あ、ごめっ…、あっ!」

凛「…何?」

親衛隊B「…な、なんでも…」

花陽「…凛ちゃん」

凛「あれー?誰かと思えばクズの小泉さんじゃなーい。まだ学校来てたんだー」

凛「アイドルはまだやってるのー?凛の辛辣な激励でもうやめちゃった?」

花陽「…まだ、続けるよ。少なくとも、A-RISEを超えるまで」

凛「まだ、言ってるの?それ。…ハァ、懲りないなぁ…」

凛「小泉さんは弱い人間なの自覚してないの?あなたがA-RISEを超えるなんて夢のまた夢なんだよ?」

花陽「うん。私一人なら、弱い人間だよ。…でも」

花陽「私には助けてくれるたくさんの人がいるから。だから負けない」

花陽「必ず、勝つって決めたんだ」

凛「…なんか、違うね。こないだと、感触。…ま、いいけどねー」

凛「現実を見れないってのは幸せそうでいいにゃー。じゃ、凛はこれでー」

花陽「凛ちゃんっ!」

凛「…なに?」

花陽「…ハロウィンフェスタのライブ!私、絶対に見に行くから!頑張ってね!」

凛「…」

凛「…が、頑張るにゃ。応援ありがと…。ば、バイバイっ!!」ダダッ

親衛隊C「…なんですの?今の間…」

親衛隊A「多分、知り合いとしてかファンとしてかの扱いに迷ったんじゃない?」

親衛隊B「なんか照れてて笑えたねー…!ぷふっ…!!」

花陽「凛ちゃん、私、絶対に負けない」


花陽「もう諦めない。逃げたりなんてしない」


花陽「いつかあなたを、超えてみせる」


花陽「あなたが認めてくれるアイドルに、なってみせる」


花陽「だから、そのときは…」



花陽(…これは、受け売りだけど)

花陽(でも、どうしても言いたかった言葉)

花陽(私の、決意の言葉)



花陽「もう一度、友達になろうね」







もしライブ! 第五話

おわり

真姫「そんなわけで私が大活躍の第5話だったわね」

凛「どっちかってーとかよちん大活躍だにゃ」

真姫「最後は花陽ワッショイの連続だったわね。花陽可愛いわ花陽」

凛「あんなかよちんを愛でないとか向こうの凛は頭おかしい」

真姫「仕方ないわよ。あっちも色々とホンキみたいだし」

凛「あ、そういえば曲だけど!…何を歌ったの?」

真姫「…そうね。曲名を出してなかったわね…。別に忘れていた、とかではないのよ」

真姫「今回は完全にオリジナルな感じの曲でライブをやった、っていう設定なんだけど…」

真姫「…やっぱりオリジナルの曲名、ってなんか恥ずかしいじゃない」

凛「チキったにゃ」

真姫「う、うっさいわね!一応曲名案としては『Another World』をどこかしらにつける、ってくらいは浮かんでたけど…」

凛「基本曲名はキーワードを英翻訳するくらいしかパターンがなくて諦めたらしいね」

真姫「オリジナルで『もぎゅっと"Love"で接近中!』みたいなタイトルはどう考えても付けられる気がしないわ…」

凛「そして途中から希ちゃんの気配が消えていたにゃ」

真姫「…なんかゴメン。本来は終盤に取材させた理由の解説的なことをさせるつもりだったんだけど、私の脳内で大体済ませちゃった」

真姫「あと、最初親衛隊A~Cを本編におけるヒフミ的な存在にしようとして色々と名前考えてたんだけどボツになりました」

真姫「C☆cuteにおける神モブは親衛隊全員ってことにしましょう。多分超いい人たちな他の部の人はこれ以降あまり出ないだろうし」

凛「それにしても他の部の人たちが聖人すぎるにゃ。あそこまでするー?」

真姫「一応、様々な部を誘ってほとんど断られた上で集まったのがあの人たち、って設定ね」

真姫「私たちに協力してくれる理由は一応描写したつもりだけど余りにも都合がいい、って思う人もいるかもね」

凛「マヨネーズ同好会の人たちも実は影で手伝ってくれてたりもしたんだよ!…多分」

真姫「さて、今回はなんにも思い浮かばない中書き出した話だったけど、次回はお話を考えてるのよ」

凛「じゃあここで一発次回予告!」

真姫「次回、私たちはアイドルではなく、アイドル応援部として活動することになるわ!」

凛「取材じゃなくって?」

真姫「えぇ、ある人を助けるために奔走するのだけど…、どうなるかはお楽しみに!」

凛「そしてまさかのあの人が衝撃の事実を告白…!?」

真姫「と言っておいてこれは全て未定だから本当にこうなるかは知らないわよ」

凛「しかし今回の話にちょくちょく伏線は残してあるんだにゃー!」

真姫「多分次回やったところで誰も気づいてくれないんでしょうけどね」

凛「言わない言わない」

真姫「じゃ、今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

凛「次に天使と立ち会えるのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」

今までって朝起きたら~、からってことかな? それだと10個あるからわざわざ貼るのは面倒なので
http://ssmatomesokuho.com/trip/ss?id=Qe7X7xrNvI
SSまとめ速報のこのページの、現行除いた下から時系列順にやってってます このスレに関係あるのは西木野☆星空クリニック系列くらいだと思うけど
じゃあそんなこんなで最近脳みそ回らなくて死にそうだけどうろライブやっていきます 安価だけでもくだしあ

真姫「今日はうろライブ!第八話をお届け」

凛「私のかよちん、だったっけ?」

真姫「勝手にスポットあたる人物を変えるな。私の望み、よ」

凛「あからさまに希ちゃん回だとわかる感じのタイトルでなんか腹立つにゃー」

真姫「その前の回のラストも意味深な風に終わってたから予定調和ね」

凛「予定調和もこのうろライブ!ではメチャクチャになっちゃうにゃ。予定も調和もないんだよ」

真姫「主人公がまた変わることだってありえるかも…?それは流石にないでしょうけど」

凛「じゃ、今回の忘却おさらい。のぞえりまきの3人だったねー」

真姫「まず今回の主人公、希のそれは…、キャラを忘れて中二病になる、だったわね」

凛「この場合のキャラっていうのは、関西弁キャラってことになるの?」

真姫「それだと希が希でなくなってしまうから…。えー、スピリチュアルキャラってことにしましょう」

凛「漠然としたキャラクターだにゃ。で、絵里ちゃんが、限界を忘れる」

真姫「なんだかとても熱カッコイイ雰囲気のある忘却だけど、これはどう扱うべきか…」

凛「下手すると一期最後の方の穂乃果ちゃんみたくなっちまうかもね。で、真姫ちゃんが」

真姫「…に、人間だということを忘れて猫だと思い込む…」

凛「ふむふむ。真姫ちゃんがねぇ…ぷぷっ…、どうなるか見ものだね」

真姫「ま、待ちなさいよ!この忘却には主語がないわ!私自身を人間だと忘れるとはどこにも…」

凛「…ま、どうなるかは見てのお楽しみだにゃ。さーて、真姫ちゃんの醜態が楽しみー」

真姫「ちょっとぉぉっ!!!」

凛「じゃ、うろライブ!第八話!スタートにゃー」

前回のラブライブ!デン


花陽「えー、っと、暗唱すればいいんだっけ…?」

花陽「…あ、ダメだ。もう忘れちゃった。えぇい!勢いで言っちゃえ!」

花陽「お米の美味しい季節になってきた時、穂乃果ちゃんの体に異変が!」

花陽「(穂乃果の声真似)ひょえええーーーーーーーーーーーー!!!」

花陽「なんとデブってたの!瀕死の穂乃果ちゃんを笑っていた私だけど私もデブってた!」

花陽「(自分の声真似)死のう…」

花陽「なんやかんやダイエットすることになったけど、そんな時生徒会もミスをやらかす!」

花陽「(穂乃果の声真似)海未ちゃんが辞職するしかないよ」

花陽「結果的に丸く収まって大成功!もうどうだっていいや!」



(見返しタイム)



花陽「…穂乃果ちゃんの体に異変がくらいしか合ってねぇ」

花陽「というか自分の声真似って何…」

花陽「今日は最初から最後までヤケクソだったね…」カヨチーン

どっかの会場


レポーター「それでは、最終予選に進む最後のグループを紹介しましょう!」

レポーター「音ノ木坂学院スクールアイドル、アネックス1号です!!」


ワァァー


レポーター「この4組の中から、ラブライブに出場する一組が決まります!」

レポーター「では一組ずつ意気込みを聞かせてもらいましょう!まずはアネックス1号から!」

穂乃果「ぽけー…」ボー

レポーター「…おーい?聞いてる?」

穂乃果「はっ!な、なんですか!?今日の朝食はパンと納豆とチンジャオロースです!」

レポーター「そんなこと聞いてないよ!しかも食べ合わせ悪いな!意気込み!」

穂乃果「い、息ゴミ…!?私の息はゴミみたいなものだって言うんですか…!?」

穂乃果「確かに貴重な酸素を消費して有害な二酸化炭素を排出しているという意味ではゴミなのかもしれない…」

レポーター「話にならないので次!キミ!」

真姫「私は猫なんで話しかけないでもらえます?あ、にゃ」

レポーター「次!」

絵里「え、わ、私…!?えーっと…、が、頑張ります…!ハラミの塩!」

レポーター「お、おぉ!好きな焼肉の部位かな!?頑張れ!アネックス1号に拍手!!」


パチパチパチ…


にこ「こんなので本当に優勝なんてできるの…?」

花陽「不安しかない…」

希「…」

希「…ついに、ついにここまで来たんや…!!うちの左目、『ダークネス・レフト・ブリンガー』を解放する時も近い…」

にこ「何言ってんだこいつ…」



うろ覚えラブライブ! Forgotten Idol Project


第八話「私はスピリチュアル少女のぞみん」



部室


にこ「えー…」

にこ「…この間のなんか、インタビュー的なアレでは色々あったわね…」

穂乃果「なんかあったっけ?」

にこ「あ、あったはずよ!…多分」

花陽「確かー…、>>389ちゃんが>>391してたよね」

花陽

真姫ちゃんを凛ちゃんと間違える

花陽「確かー…、花陽ちゃんが真姫ちゃんを凛ちゃんと間違えてたよね」

絵里「花陽ちゃんってそれあなたよ」

花陽「ハッ…!そ、そういえばそんな気がする…!!」

海未「気がするどころでなく事実です」

穂乃果「でもどうして真姫ちゃんを凛ちゃんと間違えたんだっけ?全然似てないのに」

真姫「そうよ。私を凛と間違えるなんてイミフだわ。…あ、にゃ」

凛「それだよそれ!なんで語尾ににゃをつけようとしてるの!?付けられてないし!し、しかも…」

真姫「ふぅ、それにしても花陽の膝は落ち着くわね…。ごろごろ…」

花陽「あの、そろそろどいて…。重い…」

凛「かよちんの膝に乗るなんてズルい!!どけにゃ!!オラァッ!!」

真姫「フシャーッ!!」

凛「ひっ…、怖い…」

絵里「真姫がいきなりキャラチェンジを試みたようね…。気色悪いけど」

ことり「それよりも、他にインタビュー中になにかなかったっけ…?」

海未「…そういえば、A-RISEが…」



~回想~


ツバサ「この最終予選は、本大会に匹敵するレベルの高さだと思っています」

ツバサ「あとアネックス1号の高坂穂乃果さんは私のことが好きです。ゾッコンです」


~回想終わり~



穂乃果「はぁ…、そんなことが…。私ことりちゃん以外には興味ないんだけど…」

海未「酷い捏造です!これは我々に対する挑発と受け取るべきでしょう!そして私にも興味を持ってください!」

ことり「A-RISEぶっ飛ばす」

絵里「それはひとまず置いておいて、最終予選で歌う曲を決めましょう」

絵里「歌える曲は一曲だから、慎重に決めたいところね」

花陽「勝つために…」

にこ「私は>>393がいいと思うわ!」

穂乃果「じゃあ私は>>394かな」

ラブソング

探求dreaming

にこ「私はラブソングがいいと思うわ!」

穂乃果「じゃあ私は探求dreamingかな」

穂乃果「あ、これはもうラブソングでもある探求dreamingに決定だね」

にこ「全然決定してないわよ!その曲にラブ要素全く無いでしょうが!…し、知らないけど!!」

海未「というか、ソロで歌うつもりですかあなたは…」

凛「じゃあ探究dreamingはナシ!」

穂乃果「オイオイ!探究じゃなくて探求だよ!そんな書き間違えするとか笑えるんですけど!アハハ!」

海未「あなたの声が泣いてますよ」

絵里「となるとラブソング?」

ことり「でも私たちが今まで歌ってきた曲にラブソングなんてあったっけ?」

花陽「え、えーっと…、ススメ→トゥモロウ、START:DASH!!、これからのSomeday、僕らのLIVE 君とのLIFE…」

花陽「Wonder Zone、No brand girls、ユメノトビラ、Love wing bell、dancing stars on me!…」

花陽「確かに言われてみればラブソングらしい曲はないのか、な…?」

絵里「よ、よく今まで歌った曲なんて言えるわね…。すごい…!」

花陽「私もなんで言えたのか不思議だよ…」

真姫「ごろにゃぁ…、すー…」

花陽「…真姫ちゃん、膝の上で寝ないで」

希「…例えばやけど」

希「このメンバーでラブソングを歌ってみたらどうやろか?」

海未「だからさっきからそういう話をしてるんじゃないですかっ!」

花陽「なるほど!!」

海未「おいっ!」

花陽「アイドルにおいて恋の歌すなわちラブソングは…忘れた」

絵里「さっきのは言えてなんで自分の言いたいことは忘れるのよ…」

穂乃果「でもどうしてラブソングって今までなかったんだろう…」

ことり「それはー…」チラッチラッ

海未「な、なんですかその目は!」

希「海未ちゃんって恋愛経験ないんやろ?」

海未「なんで決め付けるんですか!あ、ありますよっ!!」

穂乃果「え、マジで?」

ことり「ほほぉ?じゃあ言ってもらおうか。どんな経験したんや?」

海未「え、えーっと…!っていうかその口調なんですかことり…」

凛「あるの!?」

花陽「あ、あるのっ…!?ま、真姫ちゃんどいてって…」

海未「そ、そうですね…。け、経験といたしましては…」

海未「>>399(詳しい状況)、という経験が…」

小学生のころ穂乃果に告白しフラレた

海未「し、小学生の頃、好きな同性に告白したことがあります…!」

凛「好きな同性…同性!?」

花陽「当たり前のように言われると異常に気づきづらいよ…」

ことり「それって、穂乃果ちゃんのことー?」

海未「うぎゅっ…!そ、そうですとも!」

穂乃果「えー?でも私と海未ちゃんが付き合った事なんてあったっけー?」

海未「あ、ありますよ!忘れているだけです!」

ことり「は?ないし。絶対ないし。穂乃果ちゃんはことり一筋だし」

海未「そ、そんなこともないです!」

ことり「正直にいいなよ。告白してオッケーもらえたの?ねぇ」

海未「うっ…!…ふ、フラレました」

凛「もうそれじゃあ恋愛経験ないのも同義だにゃ」

穂乃果「もー、ビックリさせないでよー。海未ちゃんと過ちを共にしちゃったのかとおもっちゃったじゃーん」

海未「くっ…!えぇ恋愛経験なんてございませんよ!バリバリの処女です文句あっかバカヤロー!!」

花陽「文句は別にないけど…」

海未「そんなこと言ったら穂乃果もことりも処女でしょう!?」

穂乃果「えっ…、わ、私たちは…、ね?」

ことり「…うん、アレは…、ね?」

海未「なんですかその意味深な『ね?』はっ!!や、やったんですか!?ちょっとぉっ!!?」

真姫「にしても、今から新曲はムリね。…あ、にゃああ」

希「えっ…」

絵里「うわ希がめっちゃ悲しそうな顔してる」

絵里「あ、諦めるのはまだ早いわ!」

真姫「え…、絵里…?」

希「そうやね!曲作りで大切なんは…、まぁアレやコレややろうし!」

花陽「ていうか真姫ちゃんいつの間に起きてたの…」

海未「アレやコレやとはなんですか…」

穂乃果「でもラブソングって要するに摩擦でしょ?つまり擦りつけ合うんでしょ?…今からやる?」

海未「ラブソングのラブはLoveであって摩擦のRubではありません…というかどうしてそんなことを知って…」

絵里「擦りつけ合うってそ、そういうこと…?いや…、流石にマズいでしょ…」

穂乃果「え!気持ちいいのに…」

凛「穂乃果ちゃん最近下ネタがキツいにゃ」

真姫「最近どころじゃないけどね。…にゃあ」

希「じゃ、Loveの方のイメージを高めるために…」

希「>>404してみるっていうんはどうかな?」

真姫ちゃんにマタタビあげる

希「真姫ちゃんにマタタビをあげるんはどうかな?」

にこ「どうしてそれがラブにつながるのよ…」

希「ふふふ、それはうちの『テンペスト・インフィニティ・エンペラー』が囁くんや…」

にこ「は?」

希「真姫ちゃんにマタタビをあげると面白いことになると!」

希「というわけで、はい」ヒョイッ

花陽「どうして都合よくマタタビが!?」

真姫「はぁ…?何よこれ、こんなもので私が…」

真姫「んにゃぁぁぁぁ…、らめぇぇぇ…」

凛「うわっ、一気に真姫ちゃんがいやらしい感じになったにゃ」

海未「頬を赤らめて…、セクシーですね」

ことり「でもこれ…、確かにラブっぽい?」

穂乃果「ラブっていうかメイクラブ!」

海未「最近英語勉強したんですか…?」

希「さぁ、こんな状況の真姫ちゃんに対してどうする!?」

希「きっとその時の生の反応がラブのイメージに結びつくと思うんよ!」

海未「なんだか偏ったラブになりそうなんですが…」

真姫「な、なんでもいいけど体が熱い…!んにゃぁぁぁぁ…」

希「さ、花陽ちゃん。介抱したげて」

花陽「えっ!私!?え、えと…、真姫ちゃん…」

真姫「花陽ぉ…、体が熱いの…。助けてぇぇ…」

花陽「えと、えと…じゃあ…」

花陽「>>410しようかな…」

首を撫でる

花陽「えー…」

花陽「なでなで…」

真姫「ふにゃぁぁぁぁ…」

希「ほぉほぉ…、小泉選手、首を撫でるところから始めましたねー。さてこれはどうなんでしょうか?解説の矢澤さん」

にこ「そうね…。首の付け根あたりというのはいわゆるって何実況解説始めてんのよ?!」

真姫「すぅぅ…」

花陽「あ、おとなしくなった」

希「チッ…。あのままハッテンしてれば…」

海未「どうしたかったんですか…」

穂乃果「それにいつの間にカメラを…。それ必要?」

希「そっちのほうが緊張感出るやろ?それに、記録に残して後で楽しめるし…」

穂乃果「楽しめる…!?そっか!希ちゃんもそっちなんだね!」

絵里「…多分なにか勘違いをしてると思うわ」

希「ほんなら次はー…」

にこ「こ、ここは私が行くしかないでしょ!」

にこ(真姫ちゃんとイチャイチャするこれ以上ないチャンスだわ…!)

希「うん、まぁいいけど…」


真姫「すぅ…、すぅ…」

にこ「…っ!」ドキドキ…

真姫「すぅ…、すぅ…」

にこ(や、ヤバい…!真姫ちゃんの艶やかな唇が…)

にこ(にこの心のアレを勃起させてしまう…!)

にこ(平常心を保って…、尚且つ真姫ちゃんとあーだこーだを…)

真姫「んっ…、んん…。あれ、にこちゃん…」

にこ「げっ、起きた…!」

真姫「私…、何しようとしてたんだっけ…」

にこ「あ、あぁ…。えっと、それはね…」

にこ「わ、私と…これから>>412するのよ!」

ゲーム

にこ「私とこれからゲームするのよ!」

真姫「ゲーム…?」

にこ「そ、そう…!」

真姫「…何のゲーム?」

にこ「それは…>>416よ!」

スクフェス

にこ「それはあれよ、スクフェスよスクフェス」

真姫「スクフェスといえば…、KLabGamesが開発しブシモが配信をしている音楽ゲームアプリ、ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルのこと!?」

にこ「そ、そうよ…。詳しいのね」

真姫「にこちゃんもやっていたのね…。猫ながら私もやってたりするのよ」

にこ「そうなのね!なら話が早いわ!一緒にポチポチするわよ!」

真姫「一人用のゲームだから別に二人でやる必要はないでしょ」

にこ「一緒にするのが楽しいのよ!ね、いいでしょ!」

真姫「仕方ないわね…。やってあげるわ」


ポチポチシャンシャン…


にこ「あ、ミスった…。もー、もう少しでフルコンだったのに…」

真姫「ふふ、私はフルコンしたわよ」



希「…」

希「…ただただスクフェスやってるの見せられてうちはどうしたらいいんよ…」

絵里「私たちもスクフェスをやってお茶を濁しましょう」



数時間後

校門前


穂乃果「結局今日はスクフェス漬けの放課後だったねー」

海未「そもそも何をする話でしたっけ…」

ことり「たしかラブソングがどうのこうのだったような…」

海未「ゔ、そうでした…」

真姫「やっぱり、ムリしないほうがいいんじゃない?次は最終予選よ?…にゃ」

海未「そうですね…。ラブソングは恥ずかしいですしやめましょう」

ことり「私も。男性との恋愛を歌うのはヤダなぁ」

花陽「えーと、理由は違うけど私も賛成かな…」

希「えぇっ…」

絵里「うわ希がめっちゃ悲壮感溢れた顔してる」

絵里「でももう少しだけ頑張ってみたい気もするでしょう!?するんでしょう!!?」

一同「えっ…」

真姫「絵里が必死だわ…」

凛「絵里ちゃんは反対なの?」

絵里「反対ってわけじゃないけど…」

絵里「でも>>420

面倒だしいっか

絵里「でもやっぱり面倒だしいっか」

絵里「新曲はやめにして…」

希「なんやて…」

絵里「ゔっ…希が怨念を込めたフェイスをこちらに向けてくる…」

絵里「…やはり今更の路線変更のほうが面倒だしこのままで行きましょう」

穂乃果「なんだか誰かに合わせてる気がするなぁ…」

海未「まぁ、難しいところではありますが…」

絵里「そ、それに、希の言うことはいつもよく当たるから…」

真姫「…」

穂乃果「じゃ、もうちょっとだけ考えてみようか」

海未「私は別に…(穂乃果とイチャイチャできるなら)構いませんが」

絵里「それじゃあ今度の日曜日、みんなで集まってアイデア出し合ってみない?うふっ」

絵里「資料になりそうなもの、私も探してみるから。希もそれでいいでしょ」

希「えっ?何の話?あぁ、最近のマイブームはアサイーやよ」

絵里「…誰も聞いてないわよそんなの」



カフェテラス的なところ


真姫「…おかしい。にゃんにゃん」ペチャペチャ

凛「ミルクをお皿についで舌でペロペロしてる真姫ちゃんのほうがよっぽどおかしいよ」

花陽「え?お菓子?私は肩揚げポテトが好きかなぁ…」

凛「意外と渋いとこ行くねかよちん…。てっきり甘い系かと…」

真姫「絵里がおかしいって話よ!あそこまで率先してラブソングにこだわるなんて」

花陽「それだけラブソングが好きなんじゃないかな?」

真姫「あの絵里がぁ…?似合わなすぎでしょ。もっと他に理由があるはずよ」

凛「希ちゃんのことが好きだとか?だから希ちゃんの案を採用してあげてる的な」

花陽「最初に提案したのはにこちゃんなんだけどね…」

真姫「ってことは絵里はにこと希のことが好き…!!?」

凛「ありうる!」

花陽「いい加減同性愛が当然みたいな空気やめようよ…」

真姫「でも穂乃果や海未ことりにこちゃんも大体そっちの気があるし…」

凛「当然と思うのも当然だにゃ」

花陽「メンバーの半分に女色の疑いがある時点でおかしいよ…」

真姫「でも証拠もないしね…。それは保留にしておいて、他の理由を挙げるとするなら…」

凛「はっ!もしかして!」

凛「絵里ちゃんは実は>>422で、アネックス1号を裏切っていた!?」

凛「そんで『>>424』という決め台詞とともに凛たちを絶望のズンドコに叩き落とす気なんだにゃ…!!」

ロシアマフィア

絵里ちゃんって言うな!

凛「絵里ちゃんは実はロシアマフィアで、アネックス1号を裏切っていた!?」

凛「そんで『絵里ちゃんって言うな!』という決め台詞とともに凛たちを絶望のズンドコに…」

花陽「ロシアマフィア…!?ハラショー…」

真姫「どうでもいいけど椅子に上がるときわざわざ靴脱ぐのって育ちの良さが出てるわね凛」

凛「もうダメだにゃ!きっと明日には脳天をマカロフで打ち抜かれてお陀仏にゃぁぁぁ…!!」

真姫「そんなことするならわざわざラブソングを提案するとかないでしょう…。回りくどすぎるわ」

凛「そこはIQ130兆の絵里ちゃんのことだから凛たちには掴みようのないとんでもない理由があるんだよ!」

花陽「絵里ちゃんがロシアマフィアにナチャーウなんて…。やっぱり絵里ちゃんって呼んでたのが気に障ったのかな…」

凛「今度からは敬意を込めてハイルエリーチカ!って言って腕をピンってしないとね!」

真姫「それドイツだから…。ていうか、ロシアマフィアなんて映画の中の世界でしょ。ありえないわ。…あ、にゃあ」

花陽「思い出したかのように付けなくていいって…」

凛「じゃあアレだよ!A-RISEに寝返ってるんだよきっと!あの3人に絵里ちゃんが加わったら絶対勝てないにゃー!」

真姫「そうね…。さらに穂乃果、凛、にこちゃんまで寝返ったとしたら勝ち目なんてないんでしょうね…」

凛「え、なんで凛と穂乃果ちゃんとにこちゃんがここで出てくるの?」

真姫「どこかしらから電波をキャッチしたのよ」

花陽「や、やっぱり…、あの優しい絵里ちゃんが人を裏切るなんてしないんじゃないかな…」

真姫「そうね。絵里は優しいから集団で拉致してスタンガンで拷問にかけるなんてするはずないわよねチクショウ」

凛「なんだかリアルな悔恨の念が真姫ちゃんから感じられるにゃ…」

花陽「うーん、じゃあ何かなぁ…」

真姫「わからないけど…、でも、なにか理由がある気がする」



街道


希「…えりち」

絵里「ん?どうしたの?」

希「…ごめん、何言うか忘れたわ」

絵里「あぁ…、そう…」

希「…」

絵里「…」

希「…」

絵里「…か、帰っていい?」

希「いいよ」




ラブライブ!(アイキャッチ)

今日はここまで
最近にしてはいいペースで行けてる気がするにゃ 面白いかは別として
じゃ、また次回をお楽しみに ほなな

こんな時間だけど再開します 過去作も読んでくれてありがとう
探求dreamingはえみつんがどこぞに送ったサイン色紙で間違えてたってネタです
穂乃果の絵里に対する思わせぶりは前話で使おうと思ってたら機会を逃したのでおそらくこれ以降触れられることはないでしょう
じゃ、やってくよ

穂むら


希「じー…」


穂乃果「…」

穂乃果「っ!好きだ!青姦しよう!」


一同「…」


穂乃果「うん、大方ラブソングのイメージとしては合ってると思う」

絵里「合ってないと思うわ…」

穂乃果「えっ。世の中のラブソングって野外で性行為を求める曲なのかと思ってたよ…」

絵里「どんな誤解よ…。ラブソングは結局のところ、好きという気持ちをどう表現するかだから…」

絵里「…性に奔放な穂乃果には、難しいかもね」

にこ「奔放というか、淫乱なだけよ!全くいつからそんなキャラに…」

希「って言ってるにこっちも、ノートに妄想シチュを書き連ねてるやん」

にこ「げっ…!わ、悪い!?さ、最近はほのぱながマイブームなのよね…」

花陽「友達をそういう妄想に使うのは良くないと思うよ…」

ことり「んー、じゃあやっぱりこういう時は普通の恋愛観を取り戻すことが大事だよね」

海未「そうですね…。私たちは少々ズレている気がしますので」

ことり「ここはとっておきの映画を借りてきたよ!」

海未「ほう、どんな映画ですか」

ことり「>>440(ジャンル)映画!」

ラブライブ劇場版

よく考えたらジャンルって書いてるのにジャンルじゃないの来てた
そのまま書いちゃったからいいけど

ことり「ラブライブ!劇場版!」

凛「まだ公開すらされてないはずのものなんだけどどうしてレンタルできたの…?」

花陽「スクールアイドルの祭典ラブライブが映画化してたの!?し、知らなかった…!」

にこ「そっちのラブライブじゃなくてー…ってこの会話メタいんだけど」

海未「…まずありえないもののはずなんですが、ことり…?」

ことり「えー、でもビデオ屋さんにあってちゃんとラブライブってパッケージに書いてたし…」

ことり「あ、よく見たらラブライブじゃなくてラブ○イブって書いてた。裏側は胸をはだけさせたコスプレのお姉さんがオジサンと…」

絵里「アウトーーー!!!ダメよっ!それは精神衛生上良くないわ!」

にこ「そうよ!男と女の絡みなんて見ても面白くないわ!」

絵里「そうじゃないっ!そういうことじゃなくて…」

穂乃果「せっかく借りてきたんだから見ようよ」

ことり「そうだねー。はい、カチャン」ガチャッ

絵里「あー…」

凛「なになに?何が始まるのかにゃー?」

真姫「…あなたは目を閉じておいたほうがいいわ。にゃあ」


数十分後…


ンアー オーゥ イエー


絵里「…っ!」ジー…!!

花陽「え、絵里ちゃんが一番熱心に見てるじゃない…!」ジー…!!

絵里「そういう花陽こそ…!」

ことり「い、意外と悪くない、かも…!」ジー…!!


凛「このお姉さんお股汚いにゃー」

穂乃果「お、お父さんのより大きい…!!」


にこ「ダダダ、ダメよこんなの!汚らわしいわ!ひーっ!!」

希「そんなこといいながらにこっち、胸のところとんがってるんと違う?」

にこ「ぐぬっ…!」

真姫「ふにゃぁ…。つまんない。にこちゃん、膝の上」

にこ「あ、はい…」サッ

真姫「のそのそ…ぐてー。すぅ…」

にこ「お、重い…」

海未「な、なんで皆さん平気な顔で鑑賞してらっしゃるのですか!?破廉恥すぎです!」

絵里「に、人間の神秘よ!」

ことり「そうそう、お勉強の一環、ね?」

花陽「ほら、やっと前戯が終わって本番に…!」

ことえり「「おぉー!!」」

海未「ひぇぇぇっ!!!無理無理無理ですっ!!こ、こうなったら…!」

海未「>>446して鑑賞を阻止します!」

穂乃果にキス

海未「ここはもう穂乃果に熱烈なキスをして注意をこちらに引き付ける他ありません!」

海未「てなわけで穂乃果、お願いします!私とキスを!」

穂乃果「ちょ、来ないでよ!いいところなんだから!」

海未「ほ、穂乃果まで破廉恥な!」

凛「キスを迫ろうとしてる人に言われたくないにゃ」

海未「お願いです穂乃果!んむー!ちゅーちゅー!!」

穂乃果「あーんもう鬱陶しい!そんなにしたけりゃこれでもどうぞ!」グイッ

海未「いいんですか!では遠慮なく、んちゅー…」

凛「えっ…、なんで凛の頭を押し付け…」


ブッチュゥゥゥ…


凛「…」

海未「ぷっはぁ…、ほ、穂乃果の感触、とても柔らか…」

海未「って凛んんんんんんんんんん!!!?!!??!?!」

凛「ぎにゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

花陽「り、凛ちゃあああああああああああああああああああああんっ!!!!」

凛「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ!!く、腐るにゃっ!!死ぬ…!!」

海未「り、り、凛の…、凛の感触が…!!うえぇぇぇ…」

絵里「ちょっ…!何があったの!?」

ことり「なにか楽しそう!!」

穂乃果「あーっ!ちょっと立たないでよ!画面が見えないじゃん!」

花陽「凛ちゃん!しっかり!唇が真っ青になってる!」

凛「も、もうダメ…。ぐふっ…」

希「あ、死んだ」

花陽「凛ちゃあああああああああああああああああああああああああああああん!!!!」


真姫「むにゃむにゃ…、うるさぁい…」

にこ「あ、起きた」




凛「…一瞬あの世が見えた」

花陽「どうだった!?天国ではごはん食はメジャーだった!?」

凛「そこまではわかんないにゃ…」

海未「け、結果的にAV鑑賞は阻止出来ましたが…、なんだか大事なものを失ってしまった気がします…」

にこ「にこ的には新境地を発見した気分だけどね。うみりんね、意外な組み合わせだわ…!」

ことり「海未ちゃん、凛ちゃんとしたんだー。見たかったなぁ」

海未「き、キスなんて人前でするものではありません!」

穂乃果「最初に誘ってきたの海未ちゃんのくせに」

絵里「ま、まぁ…。じゃあ、さっきの映画も一応踏まえた上で、もう一度みんなで言葉を出し合って…」

真姫「待って!」

一同「…え?」

真姫「>>450

次は私にして

真姫「次は私にして!」

海未「うわぁなんだか厄介なことを言い始めましたよ」

真姫「さ、海未…」

海未「え!私ですか!?」

真姫「にゃあ…、いいでしょ?見てたらやってほしくなって」

にこ「う、うみまき!これもなかなか新鮮ね…!」

花陽「安易なカップリングは怒られますよ!」

凛「真姫ちゃん、凛とキャラが被り出してからなんだか甘えんぼさんだにゃ」

にこ「はっ!でも真姫ちゃんを海未に取られるのはなんか癪ね…!に、にこがしてあげるわよ!」

真姫「いらない」

にこ「」

海未「で、ではおでこくらいなら…。ちゅっ…。こ、これでいいですか?」

真姫「…ふぅ、満足。じゃ、おやすみ」ゴロンッ

一同「…」

真姫「…じゃ、なかった。もう一つ言いたいことがあるのよ!」

真姫「もう諦めたほうがいいんじゃない?」

穂乃果「…何を?」

ことり「というかどうして穂乃果ちゃんちに集まってるんだっけ…」

海未「安易な百合をするためでないことだけはわかるのですが…」

真姫「えー…、アレよ!新曲!ラブソングを今から作って振り付けも練習もあーだこーだは大変って話!だからヤメ!」

絵里「で、でもっ…!」

海未「実は私も思ってました…」

絵里「えっ…」

海未「…正直、凛の感触は悪くなかったと」

絵里「知らないわよそんなの!」

凛「えぇ…、その気になられても困るよ…」

海未「あ、あと歌の件も私たちは私たちらしくすればいいと思いました」

穂乃果「そうだよね…」

にこ「相手はA-RISE、下手な小細工は通用しないわよ」

絵里「でもっ!!」

希「確かにみんなの言うとおりや。今までの曲で全力を注いで頑張ろ?」

絵里「希…?待って希、あなた…」

希「ええんや。うちの『ディザスター・オブ・エタニティ』の真の封印が解かれるのは、まだ先のことやし…」

絵里「先日から希の言ってることが時々理解できないんだけど!?」

希「それに、大事なのはアネックス1号やん?」

絵里「っ…」

穂乃果「?どうかしたの?生理?」

希「んーん、何でもない。じゃあ今日は解散して、明日からみんなで練習やねー」

穂むら前


穂乃果「じゃーねー!家帰ったら唇消毒したほうがいいよー!」


凛「そうするにゃー!バイバーイ!…ん?」

花陽「真姫ちゃん…?」


真姫「…」

真姫「凛、花陽…。先帰ってて」

真姫「砂場探してくるから」

凛「穂乃果ちゃんにトイレ貸してって言ってくるね」




スタスタ…

絵里「本当にいいの?」

希「ん?何が?あ、うちの『グラビティ・オン・ザ・ビーチ』の審判の話?あれは先週に…」

絵里「ら、ラブソングの話よ。そんなよくわからないなにかじゃなくて」

絵里「ちゃんというべきよ、希が言えばみんな協力してくれる」

希「うちにはこれがあれば十分なんよ」スッ

絵里「あぁ、カード…じゃない!?な、なに、それは…」

希「ん?これは>>453やよ」

希「これは金やよ」

希「世の中金があればそれでいいんよ。うちの提案が通らなかろうとそんなん問題やない」

希「ゼニがこの世界を牛耳ってるんよ…!金のためならなんだってどうだっていいんや」

絵里「希がいつの間にか銭ゲバになってる…!!?」

希「…っていうのはまぁ冗談として。でも実際お金がうちの心を癒してくれるからいいんよ…」

希「今日も奮発しよ」

絵里「…食い意地が張ってるのね」

希「えりちに言われたくないなぁ」

絵里「私そんなに食べないんだけど…」



真姫「…ふぅ、おしっこしたらスッキリしたわ」

真姫「そしてお金の匂いを嗅ぎつけた私こと遠坂真姫ちゃん。あ、西木野だったわ」

真姫「何の話してるのかしら…」



希「じゃ、また明日」

絵里「希…」


タッタッタッタッ…


真姫「待って!」

希「…真姫ちゃん?」

真姫「前に私に言ったわよね。面倒くさい人間だって」

希「そうやったっけ…?ゴメン、覚えてないわ」

真姫「た、多分言ってたと思うわ!…今更だけど訂正させてもらうけどね!」

真姫「私は人間じゃなくて猫だから!にゃん!!」

絵里「…」

希「…へぇ。そうなんや」

希「うちは気づいとったんよ。真姫ちゃんはケットシーの一族の血を引いてるんやないかと」

絵里「待って、その流れはおかしい」

希「でもうちはきっと真姫ちゃんが人間として生きていきたいんやないかと察して、あえて人間という言葉を使ったんや…」

真姫「あ!黒ネコ!!フシャーッ!!シッシッ!!」

絵里「…頭が狂いそうだわ」

真姫「あ、喉渇いた。牛乳が飲みたいわ」

希「じゃあうち来る?ホットミルク、作ったげるよ」

真姫「行くわ」

絵里「…もうどうにでもなればいいわ」

脳みそが働かないってレベルじゃないので早いけどここまでにします
どうせ今日中には終わらなさそうだしいいよね 次回には終われるといいね ほなな

はい再開します

希の家


希「ほら、遠慮せんと入って」

真姫「ただいま」スタスタ

絵里「遠慮なさすぎでしょ…。あなたの家なの?」

真姫「…なんだか一ヶ月以上居候している感じがして」



希「真姫ちゃんはミルクでいいよね?えりちはスピリタスやね」

絵里「当然のように度数の高いお酒を出そうとしないで。未成年だから」

真姫「…」

真姫(家に単身で住み込むことをなんて言うんだったかしら…)

真姫(久々に日本語を思い出せない…。えーっと…)

真姫「アサヒガラスなの?」

絵里「は?」

希「せやね…。就職するなら旭硝子かな…」

絵里「え、そうだったの!?」

真姫「就職するなら…、ってことはもう希は働いているのね!?」

絵里「どど、どうしてそうなるのよ!?」

真姫「だって希はこの家にアサヒガラスしてるんでしょう?ってことは就職しているってことで…」

絵里「旭硝子するってどういう動詞よ!?」

真姫「単身で生活してるってこと!」

絵里「はぁ…?ってそれ、一人暮らしだから!」

真姫「あ、そうそうそれそれ」

希「なんや、真姫ちゃんがうちの第一希望をどこかで知ったんかと」

絵里「そんなわけ無いでしょ…って希、あなたほんとに旭硝子に就職するつもりなの…?」

希「いやそんなつもりないけど」

絵里「…テキトーなこと言わないでよ」

希「ま、うちが一人暮らししてんのは両親が超ディープなネトゲのジャンキーでおじいちゃんの遺産を食いつぶしながら一年中…」

絵里「待って待って。初耳なんだけど」

希「嘘やからね」

真姫「どうして嘘つく必要があるのよ…」

希「かまってほしくてさぁ!」

絵里「やかましいわ。…希は転校が多くてね。音ノ木坂に来てやっと居場所ができたとかなんとか」

希「もうその話はええやん。それよりうちがネトゲのサーバーにハッキングして両親の10年分のデータを壊した話を…」

絵里「だからそれ嘘でしょ…」

真姫「嘘はいいから、ちゃんと話してよ。もうここまで来たんだから」

絵里「そうよ、隠しておいても…、ってそういえば真姫はどうして私たちを付けてきたの…?そもそも何の話を聞きたいのよ」

真姫「決まってるでしょ!>>467の話よ!」

ラブソング

真姫「決まってるでしょ!ラブソングの話よ!」

絵里「ラブソング…?」

希「…えーっと、なんやったっけ」

真姫「今日の出来事も忘れたの!?絵里が執拗にラブソングを推してたじゃない!」

真姫「それって希とも関係があるんでしょ!それを聞いてるの!」

絵里「あー、そのことね。そうね、別に言ってもいいんじゃない?」

希「…あー、うん、せやねー…。うんうん、アレね、アレ。うん、いいと思うよ?うん」

真姫「…」

絵里「そうよね。アネックス1号を結成してからずっと希、楽しみにしてたものね」

希「ん?んー…、せ、せやね」

絵里「だから、私希の希望を叶えたくて、ね?」

希「お、おうおう。えりちってば優しいんやからー」

真姫「いい加減にして!!」

真姫「…希、あなた覚えてないでしょ!さっきから生返事ばっかりじゃない!」

希「…」

真姫「希っ!」

希「…ごめんえりち…、うちにも何のことか教えてくれん?」

絵里「あー…、わ、わかったわ。えっと、簡単に言うとね?」

絵里「夢だったのよ、希の」

希「夢?」

真姫「ラブソングが?」

絵里「うぅん。大事なのは、ラブソングかどうかじゃない」

絵里「九人みんなれ、みんなで、曲をちゅくりた…作りたいって」

希「…」

真姫「…」

絵里「一人ひちょりの言葉を紡いで、思いをちゅむいで…、本当にじぇんいんれちゅくりあげた曲…」

絵里「しょんなきょきゅをちゅきゅりちゃい!しょんなきょきゅれらうらい…うああぁぁぁぁっ!!!この野郎っ!!!!」

真姫「絵里!落ち着いて!滑舌が大変なことになってきてるけど!わ、私はギリギリ内容を理解できてるから!」

真姫「アレでしょ!?去年の冬頃にエベレストを踏破したっていう…」

絵里「誰もそんな話してないわよ!?1ミリも伝わってないじゃない!!」

絵里「どうして私は真面目な話をすると口元が螺旋運動を開始するのよっ!!?もうヤダぁ!!おうちかえる!」

希「待って待って。ほら、ホットミルクできたから。これ飲んで舌を落ち着かせよ?」

絵里「希…。ごめん、私取り乱して…。いただくわね」ゴクリッ

希「えーっと、えりちの数少ない情報から察するに、うちはみんなで曲を作りたくてラブソングを提案してたみたいやね」

希「…ま、夢なんて大層なものやないと思うけどね」

真姫「じゃあなんなの?」

希「…」

希「…>>470

呪いかな

希「…呪い、かな」

真姫「呪い?」

希「うちに言わせれば、夢ってのは呪いと同じなんよ」

希「呪いを解くには夢を叶えないといけない」

希「でも、途中で挫折した人間はずっと呪われたままなんや」

希「…うちの苦しみは、えりちにはわからない」

絵里「どうしてそこで矛先が私に向くのよ」

真姫「夢じゃないって言っておいて夢の話をしているのもよくわかんないけどね」

希「つまるところ、アネックス1号の9人は、呪いだったから」

真姫「これまたえらく禍々しいものに例えられたものね…」

希「…うちにとって、アネックス1号は呪い」

希「あ、回想入ります」

~回想~


教師「今日からこのクラスに云々…」

教師「みんな、仲良くしてあげてね」



転校ばかりで、友達はいなかった…。



希「…」

ガキA「東條さん何読んでるのー?」

希「コーラン」

ガキB「は?」



当然、分かり合える相手も。



絵里「皆さん、初めまして。ただの人間に興味はありません」

絵里「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私のところに…」


希「はわぁぁぁ…!」



初めて出会った。自分を大切にするあまり、周りと距離を置いて、

みんなと上手く溶け込めない。ズルができない、まるで、自分と同じような人に。

思いは人一倍強く、不器用な分、人とぶつかって。



希「あのっ!」

絵里「…あなたは?宇宙人?それとも未来人かしら」

希「わ、私…、…っ!」

希「う、うちっ!スピリチュアル少女のぞみん!あなたのハートにラブラブキュンキュンっ!」

絵里「…合格よ!」グッ



それが、うちとえりちの出会いやった。



~中断~



絵里「待て待て待て待て。私そんなこと言った記憶ないから!捏造すぎるわ!」

真姫「うぅっ…、なんていい話なのぉ…」

絵里「今のどこに泣く要素あったの!?」

希「再開していいかな?これからいいとこやから」

絵里「せめて回想するなら正しくしてよ!?これじゃあ私どっかのラノベのヒロインだわ!」

希「はいはい。わかったわかった」

~回想再開~


その後も、同じ想いを持つ人がいるのに、どうしても手を取り合えなくて。



にこ「お願いしますっ!お願いしますっ!!…くぅっ…!!なんで、なんでよっ…!」

にこ「どうして私と百合ップルになってくれる人が一人もいないのよっ…!」



真姫ちゃん見たときも、熱い思いはあるけど、どうやって繋がっていいかわからない。



真姫「だってパーティ終わらないー!だってパーティ終わらないー!」

真姫「私の真姫シム!笑顔☆無双~!そんな気分でー!!ひゅぅぅーっ!!…あー、楽しかった。帰ろ」



そんな子が、ここにも、



花陽「ハァ…、ハァ…。お米って、順番変えるとエロいよね…!」

花陽「お米を、おめ…ひゃぁぁっ!むふふふふ…」



ここにも。



凛「凛って滅茶苦茶可愛いよなぁ…」

凛「この学校の連中が全員平伏しても勝てないくらい可愛いよなぁ…」



そんな時、それを大きな力で繋いでくれる存在が現れた!



穂乃果「やっぱりここはローレンツ力を用いて繋げるべきだよね!」

海未「いえ、この場合ファンデルワールス力のほうがより繋がりやすいかと」

ことり「うぅん、この間私たちが独自に発見したアパタイト・エヴァー・エクステンション力で強烈に繋ぐべきだよ!」



思いを同じくする人がいて、繋いでくれる存在がいる。

必ず形にしたかった。この9人で何かを残したかった。


~回想おわり~



希「…確かに、歌という形になれば良かったのかもしれない。でも、そうじゃなくても…」

真姫「おそらくあなたの回想全面的に間違ってる気がするわ」

希「この際うちの回想が間違ってるとかもうそんなんどうでもいいねん。結論的にアネックス1号は大きなもんをとっくに生み出してるよねって言いたかったの」

絵里「ここまで記憶違いが甚だしかったらその結論にも納得しかねるわ…」

希「まぁそんなわけでうちの夢はとっくに呪いになってるんよってこと」

真姫「いい話っぽかったのになんでそうなったの…」

希「だからこの話はおしまい。それでええやろ?」

絵里「…って、希は言ってるけど、どうする?」

真姫「>>477

だったら私も呪われているわね・・・

μ`sという絆に、夢に・・・

しまった忘れてた・・・orz

せっかくいい話風にしたかったのに・・・

もしできるなら>>477のμ`sはアネックス1号でお願いします

やってしまったorz

真姫「だったら私も呪われてるわね…」

真姫「μ'sという絆に、夢に…」

絵里「…ミューズ?薬用石鹸かしら」

真姫「え、あ、あぁ…。ごめんなさい。かっこよく決めようとしたら別次元の私と記憶がごっちゃになってしまったわ」

絵里「え、何?あなたもそっちなの?希と真姫で中二病に挟まれてる状態なの?」

希「そっか。真姫ちゃんもやねんね…。うちも時々USBメモリを武器に悪の組織と戦っていた記憶がちらほら…」

絵里「あーもうややこしいことになってきちゃったじゃない!」

真姫「希っ!あ、あなたもなの…!?私もそうなのよ…。あなたと一心同体になったりなんかして…」

希「そうそう、時には情報屋の穂乃果ちゃんをこの手で始末したり…」

真姫「にこちゃんが何人も出てきたりしてね…」

絵里「ヤバいわ…。この状況私だけじゃ収まりがつかない気がしてきた…」

絵里「でも私に限界はない気がするのよ…!なんでもできるような感じが…!」

絵里「何とかして二人の中二病を止めないと…!」



数分後



ピリリリ… 

絵里「…あ、私…うん。えぇ、今希の家なの…」

絵里「真姫と希がね?…うん、うん。お願い、助けて。私だけじゃ無理」

絵里「はい、はーい…。あ、お菓子?うん、まぁ…無くてもいいけどあっても別に構わないわ」

絵里「それじゃそういうことでー。あ、みんなも一緒に来てねー。うん、はいはい。はーい、ラブアローシュート」ポチッ



数十分後



穂乃果「えー!やっぱり作るの!?」

海未「…子供をですか?」

真姫「違う違う。新曲よ!」

絵里「さっきの会話からどうしてそうなったの…」

真姫「なんだかインスピリチュアレーションが湧いてきて」

凛「新しい英語だにゃ!」

花陽「そこそこ意味がわからないこともないのが怖いね」

ことり「希ちゃんって一人暮らしだったんだね」

海未「そういえば。道理であんなだらしない体け…ゲフンゲフン」

凛「だらし無さの欠片もない海未ちゃんが言ってもねぇ」

海未「あなたにだけは言われたくありません」

にこ「だらし無さの欠片もない海未が言ってもねぇ」

海未「死ね」 にこ「私だけひどくない?」

花陽「うーん、みんなで言葉を出し合ってかぁ…うん?」

花陽「あ、これって…」

凛「何見つけたのー?」

花陽「…>>485?」

ここあちゃん

>>483 ぐぬぅ

まさか自力で逃げ出s・・・(以下略)

花陽「…ここあちゃん?」

にこ「え!?ここあがここに!?」

凛「誘拐かにゃ!!?」

花陽「いやさすがにそういうわけじゃなくて…、写真だね」

希「あっ!ダメッ!!」モギュッ

花陽「の、希ちゃんが奪った!」

にこ「…あんた、なんでうちの妹の写真を大事に飾ってあるわけ?」

希「ち、違うよ!この子はにこっちの妹ちゃうから!別人やから!」

にこ「そう言われればそうかもしれないわね…」

ことり「苦しすぎる言い訳に納得しちゃうのもどうかと」

凛「まさかロリコンかにゃ!?ここあちゃんに恋をしちゃったの!?」

希「ぐっ…。そういう訳じゃ…ない、けど…」

花陽「じゃあどうしてここあちゃんの写真を持ってたの!?」

希「…じ、実は…」

希「>>490

理事長の忘れ物や

希「理事長の忘れ物や」

ことり「え…」

希「理事長がうちに家庭訪問しに来たときに偶然ぽっけから落ちた写真がそれやったんよ…」

にこ「ちょっと…、事態がさらに混迷を極めた展開になってきてるじゃない…!」

ことり「お、お母さんが、ここあちゃんの写真を…!!?」

凛「そういえば理事長、最近様子がおかしかったにゃ…。なんだかちっちゃい子を見る目つきがハンターのそれのような…」

ことり「嘘ぉっ!?」

花陽「もしかして理事長こそが、ろ、ロリコンさんなのぉ…?」

希(…ホントはうちの私物やけど、理事長には犠牲になってもらおう)

希(あぁここあちゃんかわいいペロペロペロペロ)

ことり「ま、待ってよ!よしんばそれが理事長の…、お母さんのだとしても!どうしてそれを希ちゃんが写真立てに入れて飾ってるの!?」

希「うっ…」

ことり「嘘ついて逃れる気でしょ!そうはいかないよ!」

希「ち、違うて!嘘やなくて、きっと大事なものなんやろうな、と思って次に来たときの為に大事に保管しといたんよ」

ことり「学校に行けばすぐ会えるんだからその時に渡せばいいことじゃない!なんでわざわざ来るかもわからない家庭訪問を待つの!?」

希「そ、それはー…」

絵里「暴れないの。たまにはこういうこともないとね」ギュッ

希「あはぁん、えりちの胸がうちの頭に…」

ことり「こういうことってどういうことやねん…」

凛「喋り方変わってるにゃー」

穂乃果「ん?あ、見てー!外、雪降ってる!」

花陽「あ、ホントだ!」

絵里「初雪ね…。ほら希、見て。雪が…」

真姫「あふぅ…、絵里の胸が頭にあたって…」

絵里「いつの間にか真姫にチェンジしてる!?こ、これは…」

海未「作画ミスですね」

にこ「メタいわ!」

凛「希ちゃんなら一瞬の隙をついて写真を抱えて出て行ったにゃ」

ことり「あいつ証拠を隠滅する気か!逃がさんっ!!」

穂乃果「あ、待ってよー!」


公園


ことり「はぁ…、はぁ…」

希「うわぁ…。雪綺麗…」

ことり「そんなことより!まだ話は済んでないよ!」

希「ええやん。争いなんかより、この雪を見てなんとも思わん?」

ことり「…あ。冷たくてふわふわの雪が…」

ことり「そうだよね…。こんな綺麗なのに、争いなんてしてる場合じゃないよね…」

希「そう。今はただ…、この美しさを楽しも?」

ことり「うんっ!」

希(ちょろい)

一同「はぁぁ…」


穂乃果「ほわぁぁ…」

穂乃果「あ、雪が手のひらに…」

穂乃果「…重い」

花陽「えぇっ!?穂乃果ちゃん雪で重いの!?どんだけ虚弱体質!?」

穂乃果「ち、違うよ!思い、だよ!なんかいいこと言う風な雰囲気醸し出そうとしてるのわかんない!?」

花陽「あぁ、そうですか…。えと、じゃあ…」

花陽「メロディ…」

凛「スキスキスー」

穂乃果「いちいちそういうの挟まない!」

海未「えー…」

海未「いよかん」

真姫「…ミカン類はキライだわ」

凛「んとー…」

凛「Who sing in?」

絵里「誰に歌うか、ね…。いいこと言うわね」

凛(不思議って言ったつもりなんだけどなぁ)

真姫「そうね…」

真姫「味蕾」

希「舌にいっぱいついてるやつやね」

ことり「ときめき…」

凛「メモリアル」

にこ「徳井…」

海未「今は夜空ですが」

絵里「気持ちいい…」

花陽「声がエロい…」



希「…」

希「…>>495(単語)」

すじこ

希「…すじこ」


穂乃果「すじこ、かぁ…」

穂乃果「>>499

花陽「え?まさかの二週目?」

花陽「んー、だったら…>>500

海未「>>501

凛「>>502

真姫「>>503

ことり「>>504

にこ「>>505

絵里「>>506


希「…なんなんこれ」

思い

焼きたてジャパン

ヒカルの碁

希望よりも熱く絶望よりもふかいもの

神魔の黙示録

仁丹

アリサ

穂乃果「じゃあ今度こそ…思い」

花陽「焼きたてジャパン」

海未「ヒカルの碁」

凛「希望よりも熱く絶望よりもふかいもの」

真姫「神魔の黙示録」

ことり「仁丹」

にこ「アリサ」

絵里「こ気持ち」


希「…で結局なんなんこれは」

海未「なるほど、これがいわゆるみんなで言葉を出し合う、ですね…」

海未「了解しました!私これら言葉を使って次の曲作詞します!」

希「えっ」

真姫「頼んだわよ海未っ!私も最高の曲を作るからね!」

希「なんだかとんでもないことになってきた気がするんやけど…」

絵里「平気よ。今回だってなんとかなるわ。…だって私たちに」




絵里「限界は、ないんですもの」


希「…忘れてるだけちゃうかなぁ」






うろライブ! 第八話

おわり

真姫「そんなわけで第八話だったわ」

凛「思ってたよりメチャクチャな回だったにゃ」

真姫「そうね…、もっとまともになると思ってたんだけど。AV鑑賞とか始めちゃうし」

凛「別次元とシンクロしてたりしたしね」

真姫「その言い方だとそこはかとなく日曜17:30っぽいわね」

凛「それは置いといて…、最後の単語の羅列だけどあれは…?」

真姫「海未が言ってたじゃない。…その言葉を使って次の曲を作詞するのよ」

凛「は?」

真姫「つまり…、今までなんだかんだμ'sの曲と同じ曲を作ってきたアネックス1号だったけど…」

真姫「ついに全く別の歌詞の曲ができてしまうってわけね!なんてこった!」

凛「いやいやいや!無理でしょ!?あれらの言葉を使った曲を作ったらすごいことなるよ!?畑亜貴に何があったんだって業界が騒然となるよ!?」

真姫「大丈夫。畑亜貴はそこそこ頭のおかしい作詞もしてるから今回もその延長だって思われるに違いないわ」

凛「それにしたってありえないでしょ…」

真姫「最初は希の一言だけをアクセントとして取り入れようかと思ったんだけどどうせなら9人分ヤッちまえってことで急遽2週目追加されたわ」

凛「2週目のほうは歌詞に採用するけど1週目はスペースの都合上はじかれるかもね…」

真姫「うん、どんな歌になるか今から楽しみね。あ、例えタイプミスでもネタになりそうなら採用していってやるわ」

凛「不安しかないにゃ…」

真姫「じゃ、次の忘却ね。次回の3人はわかりやすく2年生3人にしましょう」

凛「あぁ、吹雪で取り残される3人ね」

真姫「…そうとは限らないけどね」

凛「え?」

真姫「じゃ、そんなわけで今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

凛「次に作画ミスで別人になっちゃうのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」




穂乃果の忘れること >>518

海未の忘れること >>516

ことりの忘れること >>517

身だしなみ

この先のこと(二期全般の出来事)を忘れてたいたことを忘れて全て思い出す


だめでしたら真姫を猫であることを忘れミジンコだとおもいこむ

歩き方

>>1

ヒント:今の生徒会メンバーは?

じゃあこんな時間ですが眠気が取れたのでやっていきます
また途中で眠くなる可能性も十分にありえるけど

真姫「さて、もしライブ!…何話だったかしら」

凛「多分6話な気がするにゃ」

真姫「まだ6話なのね…。ふぅ、これからどうなるのか、先が思いやられるわ」

凛「リアルの都合で途中で打ち切られる可能性もなきにしもあらずだし」

真姫「まだ終わり方もハッキリしてないしね。不安だらけだわ」

凛「まーそんなことは今はいいとしてー、とりあえず始めるにゃー」

真姫「あ、今回は前回のもしライブ!はナシよ」

凛「特に理由はないけど最大9回しか使えない?からね」

真姫「節約もしていこうって感じよ。全員使えるかもわからないけど」

凛「それじゃ、もしライブ!第六話、スタートにゃー」

街道


レポーター「はーい!みなさーん、盛り上がってるかーい!!」


イエェェェェェェッ!!


レポーター「いい返事だー!ついにアキバハロウィンフェスタ最終日ー!んんー、楽しかったお祭りが終わっちゃうのは寂しいねー!」

レポーター「けど安心して!そんな寂しさを埋めるように、今日はスペシャルなゲストをお呼びしてるんだぁぁんっ!」

レポーター「みんなももう知ってるよねー?第一回ラブライブ優勝者、その名を全国に轟かせた、スクールアイドルの頂点!」

レポーター「今夜、A-RISEがハロウィンの終幕に華を飾ってくれるぜー!イェーフー!!」

レポーター「会場は混雑が予想されるからー、A-RISEが大好きだー、って人は早めに席に着いとくといいんだよー!」

レポーター「そしてそしてー、司会はこの私がやっちゃうよー!じゃ、そゆわけでまた会おうねー!」



花陽「つ、ついにA-RISEのライブが生で見られるんだよね…。ドキドキ…!」

海未「一介のスクールアイドルとは思えないほどの盛り上がりですね…。街の人たちもA-RISEに燃えています」

ことり「さっきのレポーターさんが言ってたように、見に行くなら早くに行ったほうが良さそうだね」

希「せやねー。いい席も確保しておきたいし」

真姫「一体どんなライブになるのか、期待と同時に、不安も大きいわね…」

真姫(今のA-RISEに、私たちが太刀打ちできるのか)

真姫(今日のライブは、それを見定めるいい機会になると思う)



真姫(先日アップロードした、私たちのライブ映像)

真姫(それは、最初のメイドカフェライブを大きく凌ぐほどの再生数の伸びを誇った)

真姫(まだアップして数日しか経っていないけど、既に前回の動画の再生数を越している)

真姫(動画内コメントはもちろん他の掲示板等にも、C☆cuteのことを書き込んでいる人も少なからず増えてきた)

真姫(これで、UTXに存在する、もう一つのスクールアイドルの存在が、前回以上に大々的に知れ渡ったと言えるわね)

真姫(もちろん、まだ賛否は分かれるところだけど、知られたってことは大きい)

真姫(少しだけでも私たちを知ってくれる人がいて、ファンでいてくれる人たちがいるかも知れないというのは、希望になるからね)

真姫(UTX生の中にも私たちの存在を快く思ってくれない人たちもいるけれど、このライブ映像を見て、彼女たちを見返せると嬉しいところね)

真姫(でも、このライブはA-RISEの今日のライブに対抗するためのものでもあるけど)

真姫(本当に彼女たちに傷跡を残すことができるかは、そのパフォーマンス如何によるわね)

真姫(下手をすれば、私たちが逆に大怪我を負いかねない。『やはりUTXはA-RISEしかいない』…とは思われたくないわね)

真姫(だから、このハロウィンフェスタの参加は、楽しくもあるけど…、それ以上に胸が締め付けられる思いでいっぱいだった)

真姫(お願いだから、彼女たちのパフォーマンスに片腕だけでも届いてくれたなら)

真姫(それをただただ、願うばかりだった)

ライブ会場


ザワザワ…


花陽「うわー…、人がいっぱいだぁ…」

海未「少し早く来すぎたかとも思いましたが、そんなこともなかったようですね…、これは…」

希「んんー…、席に座るだけでもえらく待ちそうやねー。どうしよっか?」

真姫「この調子だとまだ時間かかりそうだし、私が並んでおくからみんなは近くで休むか遊ぶか、してきてもいいわよ」

ことり「えー、悪いよー。真姫ちゃん一人に任せるなんて」

真姫「私はいいの。…フェスタはこれで二回目だしね」

ことり「え?」

真姫「なんでもなーい。ほら、あっちに美味しそうなカボチャのパンケーキ売ってたわよ?」

希「お!それ美味しそうやねー。じゃあ真姫ちゃんの分までみんなで買いに行ってあげよか!」

海未「そうですね、それならいいかもしれません」

ことり「そだね。じゃ、ここは任せたよ!」

真姫「えぇ。行ってらっしゃい」

花陽「あ、…わ、私は、真姫ちゃんと一緒に待ってるね。真姫ちゃんも一人ぼっちだと寂しいだろうし」

海未「そうですか、分かりました。では花陽の分も一緒に」

花陽「うん、ありがとう。いってらっしゃい」


真姫「…別に良かったのよ?」

花陽「え?」

真姫「私一人で並んでいても。花陽も行ってきてよかったのに」

花陽「うぅん、いいの。私は真姫ちゃんと一緒に居たかったから」

真姫「そ、そう…?ならいいんだけど」

花陽「それにしても楽しみだよねぇ…、ライブ!生ライブだよ!UTXにいてもなかなか味わえないよねー」

真姫「そうねー…、UTX生なんだからそこのところもっと優遇してくれてもいいのに」

花陽「ふふ、でも私たちはA-RISEと直接会って話したんだから、すごく恵まれてるよね」

真姫「それはそうだけど、他のファンの子たちにも、もっと触れ合える機会とかあってもいいと思うわ」

花陽「そうだねー、それは残念だよね。でもA-RISEファン全員と相手してたら今度はA-RISEのほうが大変だし、仕方ないのかな」

真姫「かもしれないわね。ここまで有名になっちゃうとただの女子高生ではいられないでしょうね」

花陽「ただの女子高生じゃないかぁ…。アイドルって憧れるけど、やっぱり大変なんだよね」

真姫「何を今更。十分わかってたことでしょ?」

花陽「あはは、そうかも。あ、でももしかしたらこの間のライブで私たち有名になっちゃってたりするのかな!?」

花陽「再生数もうなぎのぼりだし!知らないだけで結構巷で騒がれてたりしたり!?あ、マスクとサングラスしてくるべきだったかな!?」

真姫「…まだそんなに知られてるわけないから、安心しなさいよ」

花陽「そっかぁ…。それはそれでなんだか、しょんぼりだね」

真姫「まだたった二つだけしかライブを撮影できてないからね。良く言えば、これからよ。頑張りましょう」

花陽「うんっ。いつか有名人になれたらいいね」


希「ただいまー。買ってきたよー」

真姫「お帰りなさい」

花陽「あ、それがパンケーキ?美味しそう!」

ことり「でしょー?焼きたてのホカホカ!一緒に食べよ!」

花陽「はいっ!」

海未「あ…、わ、私もことりと食べたかったです…。仕方ありません、妥協して真姫、お願いします」

真姫「…あなたも結構失礼な人ね。いいわよ、妥協して付き合ってあげるわ」

希「もー、みんなで一斉にあーんしたらいいんと違う?」

花陽「五人であーん…!?なんだかすごく新鮮かもです…!!」

ことり「注目度がヤバいよそんなことしたら…」


ザワッ…


海未「あ、列が動き出したようです。入れそうですね」

真姫「はふはふっ…、ま、まだ食べてる途中なのに…」

希「んー、おいし。甘いものはいいねー」

ことり「希ちゃん先輩食べるのはやっ!もうほとんどない…」

希「こういう時はいかに素早く味わうかがコツやよ。心配しなくてももう一枚買ってあるしー」

真姫「どれだけ食べるつもりよアンタ…」

花陽「あち、あちっ…。ふー、ふー…。あわわ…、歩きながらは食べづらいね…」

海未「諦めて、席についてからゆっくりいただくとしましょう」

希「せやねー。…もぐもぐ」

ことり「言ってることとやってることが一致してないよこの人!」

ライブ会場内


ことり「ふぅ、やっと座れたねー」

海未「これは…。なかなかに広いですね…。ステージも豪華です…。ぐぬぬ…」

真姫「…羨ましい?」

海未「うっ…!そ、そうですね…!羨ましいです…!」

花陽「あはっ、海未さん、アイドルをやりたい気持ちが強いんですね!」

真姫「まだまだメイドアイドルは現役ってことね。安心したわ」

海未「こういうところを見るとウズウズしてしまいます…」

ことり「あの海未ちゃんがここまでアイドルやりたがるなんてねー…。人生何があるかわかんないものだよね」

希「…ま、それはうちらが一番良く身にしみてわかってることやね」

真姫「地味に深い言葉ね…。そうね、何があるかわかったものじゃないわ」

花陽「真姫ちゃんと出会わなかったら、きっとアイドルなんてやってなかっただろうしね…」

希「ここにいる子はみんな、真姫ちゃんと出会えてよかったって思えてるよ?ね?」

ことり「うん!」

海未「えぇ。本当に、感謝しています」

真姫「や、やめてよ…。…はぁ、わ、私も…、まぁ、あなたたちと会えてよかったって思えてるわ…」

ことり「おぉ!真姫ちゃんがデレた!」

真姫「うっさい!ほら、そろそろ始まるんだから精神統一!集中して見るのよ!」

海未「集中…、そうですね、これはただのライブではなく、私たちの倒すべき敵の視察とも言えますから」

花陽「倒すべき、敵…。うっ…、そう思うとなんだか緊張してきた…」

希「まぁまぁ、そう深く考えんでも、楽しむことが第一やん?」

ことり「そうだそうだ!まずは楽しも?」

真姫「…そうね」

花陽「それに、そろそろ始まるって言ってもまだ時間に余裕あるし、その間はリラックスしてよっか」

真姫「わかったわよ、ふぅ…」


真姫(花陽に言われたように、始まるまでのしばらくの間、みんなと話し合ってリラックスすることにした)

真姫(けど、迫り来るその時に、胸の高鳴りを抑えることはできず)

真姫(緊張がピークに達しそうな瞬間、ついに)



『皆さん、今日は私たちA-RISEのライブへようこそ!』


キャアァァァァァァァッッ!!



花陽「あ、綺羅さんのアナウンス!」

希「そろそろ、始まるかな…」

真姫「…っ」ゴクリッ

『アキバハロウィンフェスタ最終日、最後まで存分に楽しんでいってください!』

『それでは…、We are A-RISE!! Let's Party Time!!』


キャアァァァァァァァッッ!!



ことり「ひぃっ…!会場が揺れるほどの歓声…!」

海未「き、来ました!A-RISEです!その後ろには…」

真姫「…バックダンサー」



レポーター『ついに開幕!A-RISE、ライブinアキバハロウィンフェスタ!』

レポーター『聞いてくださいこの割れんばかりの歓声!圧倒的だねっ!』

レポーター『そしてそしてっ!ステージの奥からはA-RISEの3人が入場だぁぁあぁっ!!』

レポーター『もうみんな知ってると思うけど、それでも一人ずつ紹介していきましょうっ!!』

レポーター『その可憐なボディで広いステージを所狭しと舞い踊る!その姿はまさに妖精のごとくっ!』

レポーター『「ダンスの貴公子」こと、我らがA-RISEのリーダー!綺羅ツバサっ!』

レポーター『美しき長身と切れ長の瞳に魅了される殿方多数っ!泣きボクロがめっちゃセクシーっ!!』

レポーター『踏んでください女王サマっ!冷たきA-RISEのクイーン!統堂英玲奈っ!』

レポーター『ゆるふわヘアーのプリティフェイス!その実態はまだ誰も知らないっ!』

レポーター『歌唱力はナンバーワン!キャラクターはオンリーワン!優木あんじゅっ!!』

レポーター『A-RISEそろい踏みっ!今夜は一体どんなパフォーマンスを我々に見せてくれるんでしょうかっ!!』



花陽「れ、レポーターさんの司会にも気合が入ってるねー…」

希「…あれ、バックダンサーは紹介しないんやね」

海未「確かに…。穂乃果はどう紹介されるのかと少し期待してたんですが…」

ことり「仕方ないよー。バックダンサーを紹介するアイドルってあんまりいないだろうし」

花陽「でも、凛ちゃんは目立ちたがりだし、見えないところでふくれっ面してそう…」

真姫「かもしれないわね。そういうものだと割り切ってる穂乃果やにこちゃんならまだしも、凛は…」

真姫「…って、あれ?」




英玲奈「ふふ、熱い紹介をどうもありがとう!そして今日ここに集まってくれたみんなにも!」

あんじゅ「私たちのためにこんなにもたくさんの人が集まってくれるなんて、私感激です!」

ツバサ「それ以上の感動を、みんなに与えられるよう…、最高のパフォーマンスを、お届けするわ!」

ツバサ「まず最初は…、こんな曲、いかがかしら?We are A-RISE!ミュージック…」


「「「スタートっ!!」」」

~♪


花陽「こ、これっ…!新曲です!」

希「新曲のリリースがいつもよりも早いね…。それにこれ…」

ことり「いつものA-RISEと違って、なんだか…」

海未「とても、可愛らしいですね…。クールなイメージなA-RISEには珍しい…」

花陽「でもすごくいい曲っ…!いつもとは違うけど確かなA-RISEを感じるし…、真姫ちゃんもそう思うよね!?」

真姫「…」

花陽「…真姫ちゃん?」

真姫「え…、あ、あぁ…。そうね」



真姫(周りを見ても、特に反応はなかった)

真姫(やはりこの人たちは、『A-RISE』を見に来ているのだな、とそれで再確認できた)

真姫(そして、花陽たちも…)

真姫(この時期の新曲は、私たちの世界にもなかったこと。私の全く知らない、A-RISEの曲と言える)

真姫(花陽や海未たちの感想は確かに正しかった。私も、同意見なことには間違いない、…けど)

真姫(今はそんなこと、どうでもいいくらい…、気になることがあった)

真姫(私以外のほとんどが気にしていない、A-RISEから『喪失』したもの)

真姫(それまでの、ライブのパフォーマンスを気にしていたのはすっかり消え去り、そのことばかりを考えてしまっていた)



~♪…


パチパチパチパチ…!!


花陽「おぉぉっ!!すごぉいっ!!」

ことり「はわぁぁぁ…、可愛かった…!」

海未「く、悔しいですが…、完璧と言わざるを得ません…」

希「ここまでとは…、正直予想外やったかもね」

真姫「…どうして」

希「ん?どないしたん?」

真姫「どうしてよ…、なんで…」

真姫「…くっ」



真姫(そのあともライブは続き、ほんの数曲の短いライブではあったけれど、大盛況に終わった)

真姫(正直、出来は最高だったと言わざるを得ない。私たちのライブが、傷跡を残すのは…、難しいのかもしれない)

真姫(でも私は…、私はそのライブを、終始複雑な気持ちで見るしか、できなかった)

真姫(A-RISEとバックダンサー…、合わせて『5人』が、歌い、踊る、そのライブを)

翌日 放課後

アイドル応援部部室


花陽「はわぁぁぁぁぁ…、A-RISEのライブ、最高だったねぇ…」

真姫「…そうね。けど、喜んでばかりもいられないのよ」

ことり「そうだよ!れ、連休が終わっちゃったんだよぉぉ…!!悲しいよ…」

海未「そういうことではないと思いますが…。あのライブには圧倒されましたね…」

花陽「あれに立ち向かうのは相当骨が折れる、ってことだよ、ね…」

希「ふふ、まぁまぁ。確かに超えるのは大変やけど、でもうちらかて負けてない、って思うよ。うちは」

希「単体で強いA-RISEと、まだまだ未熟だけどみんなの応援が強くしてくれるC☆cute」

希「伸びしろならうちらのほうが断然やん!このまま前向きに突っ走ってればいけるいける!」

海未「…そう、ですね。落ち込んでいても前には進めません!A-RISEを打倒するならば、練習あるのみです!」

ことり「よしっ!今日も練習だね!」

花陽「うんっ!えいえいおー!」

真姫「…」

花陽「ま、真姫ちゃん?元気ないね…、どうしたの?」

真姫「え?あ、いや…。元気ないことはないんだけど。ごめんなさい、ボーッとしてたわ」

真姫「…そうね。パフォーマンスでは勝ててるとは言えなくても、負けてるってことは絶対にないわ」

真姫「まだA-RISEを凌ぐのは難しいかもだけど、追い付くならきっとすぐできると思う!頑張りましょう!おー!」

ことり「うん、その調子その調子!」

海未「次の曲もバシバシ作っていきましょうね!」

真姫「えぇ!」

花陽「ふふふ…、やっぱり真姫ちゃんはこうでないとね」

希「うんうん。元気でよかったよかった!」


真姫「…」

数時間後…

音楽室


真姫「…じゃあ、今日の練習はここまでにしましょう」


花陽「ふーっ、熱いよー…」

海未「もう冬も近いといえど、動くと汗をかきますね…」

ことり「窓開けるねー」ガラガラッ ヒュオォッ…

海未「うふぅっ…!さ、さぶいです…」

希「この時期は風邪を引きやすいから。気をつけなあかんよ?」

ことり「はーい。気をつけまーす」

希「うん、はいドリンク」

花陽「あ、ありがとうございます。…ごくごく、ふぅ、じゃ、そろそろ着替えて帰ろっか」

海未「いつまでも濡れた練習着では風邪を引いてしまいますからね」

真姫「…ごめん。先、帰ってて。私用事あるから」

ことり「え?そうなの?何の用事?」

真姫「ちょっと、私的なやつよ」

花陽「そ、そっか…。わかった。今日は先、帰ってるよ」



花陽「バイバイ、真姫ちゃん。また明日ね!」

真姫「えぇ、また明日」

海未「次の曲、早めに完成させてくださいね」

真姫「わかってるわ。ちゃんと考える」



真姫「…ふぅ」

真姫「さて、と…。はぁ…」

真姫「…何やってんのかな、私」

真姫「こんなことする意味、ないはずなのに…」

それから数時間後…

夜 多目的ホール



カツンッ… カツンッ…!!

ダンッ!!


「はぁっ…!はぁっ…!!や、やっと、できた…」

「目標の、ダンス、100回…、達成…。はぁっ…、はぁっ…」

「…早く帰って、寝ない、と…。はぁ、…っふ…」

「…」

「…あははっ…、もう、誰もいないわね」

「私が…、最後…」



キィッ… バタンッ


コツ、コツ…



「…夜の校舎って、キライ」

「お化けが出そうだもん」

「はぁ…、非常灯の光がやけに怪しく見えるのよね…」

「不審者に襲われたりしないかしら…」


真姫「…独り言、大きいのね」


「…きゃっ!?!だだだ、誰っ!!!?」


真姫「ごめんなさい、待ってたの。あなたを」

真姫「…すこしだけ、お話、いい?」

真姫「にこちゃん」


にこ「あなた…、たしか…、真姫ちゃん、だったかしら…?」

にこ「ど、どうして…、どうしてここにいるの?だ、ダメじゃないっ、もー、にこみたいなダメダメな子にもー、出待ちは禁止にこっ!」

にこ「…っぷはぁ、今は、こういうのもキツ…」


真姫「…ふふ、こんな時でもファンサービスは欠かさないのね。憧れちゃうわ」

真姫「なのに、どうして?…そうね、どうして、は、こっちのセリフ」

真姫「A-RISEのバックダンサーのはずのあなたが、どうして」


真姫「昨日のハロウィンライブに、いなかったの?」


にこ「…」

真姫(アキバハロウィンフェスタ最終日に行われた、A-RISEのライブ)

真姫(そのステージには、にこちゃんもいるはずだった)

真姫(けれど、6人が立つはずのそのステージには、何故か5人しかいなくて)

真姫(そのことが、昨日からずっと気になっていた)


にこ「…」

にこ「そんなの知って、どうするのよ」

真姫「…別に。気になるから、知りたかっただけ」

にこ「…そう。そっか」

にこ「いいわ、教えたげる。簡単よ」

にこ「下ろされたの。…バックダンサー」

真姫「っ…!な、なんで…?」

にこ「その実力に達していないから、って言われたわね」

真姫「そんなことっ…!!」

にこ「あーん、もう…、大きな声出さない。ホントはこんな遅くまで練習してちゃダメなんだから」

にこ「続きは、外のベンチで話しましょ」

真姫「…わかったわ」



ベンチ


にこ「…はい、コーヒー。あ、お茶がよかった?」

真姫「いえ。…ありがとう」

にこ「どういたしまして。…で、どこまで話したっけ。あ、そうそう、下ろされたってことだけだったわね」

真姫「実力に達していないって…」

にこ「最近、ダンスレッスンが失敗続きでね…。体力的についていけなくなってきて」

にこ「その無様な姿をお客さんには見せられない、って…下ろされちゃった」

真姫「今までは…、そんなことはなかったの?ダンス中に失敗って…」

にこ「ない、ってことはないわよ。まー、去年はすっごい頑張ってトップだったんだけど」

にこ「最近は無理が祟ったのかな、すぐバテるようになってきちゃって」

にこ「結局、このザマよ」

真姫「…そう。でも、なんでバックダンサーは二人だったの?にこちゃんが抜けたなら補填されるんじゃ」

にこ「モデル専攻は結構アイドル志望が少ないからね。私が抜けたのも最近だったし、お客さんに見せられるダンスができる子も少なかったってわけ」

真姫「へぇ…、だから二人で…。だったら他の専攻の子を入れてあげても…」

真姫「…」

真姫「…ん?」

にこ「どうしたのよ」

真姫「…あの、に、にこちゃん…。あなた、な、何、専攻って言った…?」

にこ「モデルだけど?」

真姫「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?!?!」

真姫(バックダンサーはA-RISE候補生であることから、選出もそのままA-RISEと同じように)

真姫(各専攻のトップがそれぞれメンバーとなる)

真姫(凛がダンサー専攻で、穂乃果が歌手専攻なんだから、必然的に残ったにこちゃんは、ってなるんだけど…)

真姫(今まで考えたこともなかったから…。ま、まさかにこちゃんが、も、モデル専攻…、だなんて…!)


にこ「な、何よ…。そんなに意外?まぁ、確かに…、私がモデルなんて笑えるでしょうけど」

真姫「い、いえそんなことは…。でもどうして…」

にこ「別に、モデルの方がライバルが少ないって思ったからよ。A-RISEになるための」

にこ「最もアイドル専攻志望が少ない専攻が、モデルだったからね」

真姫「そんな理由で…?」

にこ「私にとっては、本専攻はオマケよ。アイドル専攻が、私の目指す道」

にこ「なんとしても私は、A-RISEにならなくちゃいけないのよ。…それが私の、夢なんだから」

真姫「…にこちゃん」

にこ「そのために必死で頑張って、何度落ちても這い上がって、まさかのバックダンサーに選出されたときは、やった!って喜んだものだけど」

にこ「…また、落とされたちゃったわね。再び1からのスタートよ」

にこ「バックダンサーの空いた穴はすぐに埋まるわけじゃない。選出されるまでには少し余裕があるから」

にこ「それまでに先輩に認められるように、人一倍…、うぅん、人百倍は頑張らないと」

真姫「…諦めないのね」

にこ「えぇ、諦めてたまるもんですか。夢なんだもん」

にこ「もっかい上に行って、もっかい認められる。絶対に…、絶対に」

にこ「真姫ちゃんが私のこと気にかけてくれたのは、すごい励みになったわ。ハロウィンライブ、出られなくてごめんね」

にこ「でもでもっ!次のライブにはぜーったいに出てやるからっ!!凛や穂乃果にも負けないくらいっ…、うぅん、A-RISEにだって負けないダンスを見せたげる!」

にこ「だから、真姫ちゃんも応援よろしく!…あと、アイドル、頑張ってね」

真姫「あっ…」

にこ「驚いたわ。あなたまで、アイドルやってたなんてね。負けないんだからね?」

真姫「…えぇ。私も、負けない。A-RISEに追いつけるよう…、追い越せるよう、共に頑張りましょうね」

にこ「うん!じゃ、そろそろ時間だから帰るわね。バイバイ」

真姫「えぇ…。バイバイ」



真姫(そう言って去っていく小さい背中が)

真姫(なんだか、前よりずっとずっと、小さくなっている気がして)

真姫(そのまま、暗い闇に消えてしまいそうな気がして)

真姫(私は、言いようのない不安に襲われた)

真姫(とても強い心を持ったにこちゃん。今も気丈に振舞ってはいたけれど)

真姫(いつか簡単に、ポキリと折れてしまいそうで、私は…)

真姫(私は…)

今日はここまで
というわけで六話はにこ回だよ 次回をお楽しみに ほなな

漠然としかこれからの展開を考えてないけど書いてるうちになんとかなると信じてやっぱりこんな時間に更新します
今回はあらかじめ寝ておいたから頭スッキリだぜ! 筆が早くなるとは言ってない

数日後





花陽「あ、真姫ちゃん。おはよー。ね、聞いてよー!昨日ねー…」

真姫「あぁ…、うん…。おはよ」

花陽「あの、真姫ちゃん…?」

真姫「…何?」

花陽「いや…、何でもないけど…」



昼休み


真姫「…もぐもぐ」

海未「…」

ことり「…」

真姫「…もぐもぐ」

真姫「ごちそうさま」スッ


海未「…ひ、一言も喋りませんでしたね」

ことり「なんだか心、ここにアルカトラズって感じだね」

海未「は?」

ことり「…言わなきゃよかった」



歌手専攻 音楽室


親衛隊C「あ!西木野さん!今度手伝うのはいつごろになりそうですの?」

親衛隊B「また今月中に新曲出すの?」

真姫「今度手伝う日、か…。そうね…」

真姫「…」

親衛隊A「…ちょっと?」

真姫「…」

親衛隊A「おーい…、生きてる?」

真姫「…え?あ、あぁ…。ごめんなさい、別のことを考えてたわ」

真姫「次は大体…、えっと…」

真姫「…」

親衛隊C「ま、また止まってしまわれましたわ」


花陽「…」

放課後

アイドル応援部


花陽「…なんだか最近、真姫ちゃんの様子がおかしい」

ことり「ラノベのタイトルみたいだね」

海未「言っている場合ですか。あれでは腑抜けのようなものですよ」

ことり「うーん、そうだねー…。練習になると真面目にはなるんだけど」

花陽「夜のほうはどうですか?真姫ちゃんの様子」

希「ん?せやねー…、食事中もずーっと考え事してるみたいな顔してるね」

希「一度何かあったん?って聞いてみたりはしたけど、すぐにはぐらかしてきたし」

海未「また何か一人で抱えているのでしょうか…」

花陽「もう、真姫ちゃんったら!私には説教しておいて、私と同じことしてるってどういうこと!」

花陽「何か悩み事があったらちゃんと相談して欲しいよね」

ことり「私たちに言えないことなのかな?例えば…」

ことり「カレシさんができちゃったとか!」

海未「えっ…」

花陽「えぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?!ま、真姫ちゃんにカレシ!?」

花陽「ないないないないない!絶対にありえないですっ!!」

希「どうしてそこまで言い切れるんよ?」

花陽「だ、だって…、真姫ちゃんですよ!?ま、真姫ちゃんに彼氏なんて…そんなの、嫌だなぁ…って」

海未「感情論ですか…」

ことり「でもさ、最近用事があるからって私たちとは別々に帰ってるよね?」

希「うちのお家に帰ってくるのも、結構遅い時間やったりもするし」

海未「…そう考えると、あながち間違った意見ではないのかも」

花陽「え、えぇぇぇぇぇぇ…!?う、うぅぅ…真姫ちゃんに、彼氏…。彼氏だなんて…」

花陽「ぬぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!」

ことり「は、花陽ちゃんがすごい表情!」

希「クラスメイトの前で見せたら引かれそうな顔やね…」

花陽「だって、ま、真姫ちゃんは私と…、私とが…、ぬふっ…」

海未「今度はまた一段と気持ち悪い表情に…」

ことり「花陽ちゃんも意外と何考えてるかわかんない子だね」

希「んー、そんなに気になるんやったらそれとなーく、聞きだしたらいいんと違う?」

花陽「そ、それとなく…」

ことり「ソルトレイクシティ!」

海未「いきなり何を言い出すんですかあなたは…」

ことり「語呂が似てるよねって。面白くない?」

海未「…どうでもいいです」

花陽「…でも、真姫ちゃんが何を考えているかは、彼氏の有無関係なく知りたいですよね…」

花陽「で、でももし真姫ちゃんが彼氏持ちだなんて発覚しちゃったら…!!う、うぅぅぅぅぅぅぅっ…!!!」


ガチャッ

真姫「…何の話題で盛り上がってるの?」

花陽「ま、真姫ちゃんっ!」

海未「ど、どこまで聞いていましたか…?」

真姫「…別に、何も聞いてないわよ。盛り上がってるな、って思っただけ」

ことり「そ、そう…。ちょっと相談タイム!」

真姫「え?」


ことり「ど、どする?ついに来ちゃったけど…」

海未「やはり問いただすべきでしょうか…。か、彼氏のことについて」

花陽「直球ですか!?それは少し怖いというか…」

希「…となると、やっぱりソルトレイク…、それとなく、聞き出すのがいいのかな」

海未「…あなたまでよくわからないこと言い出さないでください」

ことり「よし!じゃあ回りくどい感じの質問で行ってみよう…!」


真姫「…?何の話を…」

ことり「ま、真姫ちゃん!」

真姫「はい」

ことり「え、えっとー…」

ことり「最近、色っぽくなったねー…、えへへ」

真姫「え?」

希「そ、そうかも!なんだか、えー…、肌に艶が出てきたというか」

海未「夢現といいますか…」

花陽「とにかく、可愛くなったよね!」

真姫「…わ、私が?」

真姫「へぇ…、そう、見えるのね…。そっか…」

真姫「…」

花陽(…え!?何その反応!?)

海未(これはもしかするともしかして…!)

ことり(マジなのかな!?)

希(ここは一発、直球を放ってみるんや!花陽ちゃん、行こ!)

花陽(わ、わわ、私っ!?う…、えぇい、ままよっ!)

花陽「真姫ちゃんっ!!」

真姫「ひぇっ!?な、何…」

花陽「ま、真姫ちゃん…!!う、うぅぅっ…!!」

花陽「うぇぇぇぇぇぇぇんっ!!ヤダよぉぉぉっ!!真姫ちゃああぁぁぁんっ!!」

真姫「はぁあっ!?なんでっ…、なんでイキナリ泣き出してんのよ?!」

花陽「せめて付き合うなら女の人とでお願いぃぃぃぃぃ…、…あ、でも彼氏とはまだ決まってないんだっけ…」

花陽「んんんん…、でもやっぱり別の人と付き合うのは嫌だよぉぉぉぉぉぉ…!真姫ちゃあぁぁぁぁ…」

真姫「…な、何の話ぃ…?」

数分後…


真姫「…はぁ、なるほどね。それで私に彼氏ができたんじゃないかと」

ことり「だって真姫ちゃん、最近上の空だから…」

希「男にうつつを抜かしてるんやないかと心配してたんよね。…主に花陽ちゃんが」

花陽「わ、私だけじゃないですよ!?」

海未「一番ハラハラしていたのは間違いなく花陽ですけれどね」

真姫「私が男の人と、ね…。っは、それはないわね」

真姫「大体アイドル始めようってときに男性と付き合ったりするわけないでしょ。自殺行為だわ」

花陽「っ!そ、そうだよね!アイドルはみんなのものだもん!いやぁ真姫ちゃんそういうとこわかってるなぁ!」

海未「急に元気ですね」

希「じゃあ結局、真姫ちゃんは何に悩んでるん?」

ことり「あ、そうだよ!それが肝心なんじゃない!正直に言ってよ!」

真姫「あっ…」

真姫「…」

海未「まただんまりですか?…花陽、言ってあげてください」

花陽「は、はいっ…!真姫ちゃん!私たち、友達でしょ!」

花陽「悩み事があるなら、みんなで共有しようって言ったのは真姫ちゃんじゃない!忘れたの!?」

真姫「あ、あぁ…。そうね…。うーん…」

花陽「真姫ちゃんっ!」

真姫「…はぁ。わかった、わかったわよ。言うわ、私が何考えてるのか」

真姫「なんで言いたくなかったのか。全部、言うから」

ことり「うん…」

真姫「…っていうかあなたたち、この間のハロウィンフェスタのライブで気づいたこと、ないの?」

希「気づいたこと?」

海未「え、えっと…、何かあったでしょうか…」

真姫「やっぱり、あまり注目されてないのね。いえ、あなたたちの場合は他に注目すべき人がいるからかもしれないけど」

真姫「この間、あのステージにいたのは5人だったのよ」

花陽「5人…、あっ!ひ、一人足りない…?」

真姫「…そう。バックダンサーが一人、ね。矢澤にこちゃん…、知ってるでしょ?」

希「…!に、にこっち…!」

海未「矢澤さんが…、まさかいなかった、ということですか!?」

真姫「そういうこと。やっぱり、気づいてなかったのね」

ことり「うーん…、A-RISEや穂乃果ちゃんのことばかり目で追いかけてたから、あんまり気にしてなかったかも…」

花陽「私は凛ちゃんを…。でも気づいてもいいよね…、一人足りないんだから」

希「いきなりの新曲で熱狂的になってたから、気づきづらかったのかもしれないね」

真姫「まぁ多分、向こう側もそれを狙ったんでしょう。A-RISEに注目させておきたかったのね」

海未「はぁ…。つまり真姫は、そのことについてずっと悩んでいた、ということですか?」

真姫「えぇ。そういうこと」

希「せやけど、どうして言いたくなかったん?」

真姫「それは…」

真姫「…私、最近ずっと帰るのを遅くして、にこちゃんと会ってて…」

真姫「彼女はバックダンサーとしての不振が理由で下ろされて、私、彼女を支えてあげたい、って思ったんだけど」

真姫「…でも彼女は、私たちにとっては…、敵、だから…」

海未「敵…」

ことり「A-RISE候補生だから、ってこと?」

真姫「…えぇ。それに、彼女を手伝ってあげて、私たちのスケジュールに支障が出るのも避けたいことだったし…」

真姫「やるなら、私一人でやりたい、って思ってたの。私はあなたたちより…、余裕があるからね」

花陽「だ、ダメだよ!一人でやろうって思うのはいけないって真姫ちゃんも言ってたのに…」

真姫「…そうね。自分で言ってたことなのにね…」

海未「しかし、どうしてそこまで彼女のことを…?」

真姫「えっと、それは…あ、憧れてるのよ。彼女に」

ことり「なんと!真姫ちゃんはにこちゃんファンだったの!?」

真姫「…そ、そうね。そういうことになるわね」

希「…手伝う、って具体的にどういう風に考えてるん?」

真姫「まだ、何も…。一人で頑張ってる彼女に言い出せなくて」

真姫「そんなのいらない、って言われそうで」

ことり「ふぅん…、そっかー。つまり、真姫ちゃんはにこちゃんのこと、好きってことだね」

花陽「えぇぇっ!!?なんでそうなるの!?」

ことり「だって断られるのが怖くて言いよどんでるんでしょ?告白前のオンナノコの心境と同じじゃないかな」

海未「そういうものでしょうか…」

真姫「…ふふ、そうかもしれないわね」

真姫「トップで有り続けるために、必死で食らいつくその姿に…私は心を打たれたのよ」

真姫「だから、いつか折れてしまうかもしれない彼女を、支えてあげたいの」

花陽「真姫ちゃん…」

希「んー、なるほどねー…」

希「…となると、やっぱうちらに早く相談するべきやったね」

真姫「えっ」

希「真姫ちゃん一人にできることは限られてる。だけどうちら全員ならそれ以上のことができるやん?」

真姫「だけど彼女は私たちが倒すべき敵で…」

希「今のにこっちはA-RISEでも何でもない、ただのアイドル専攻の一人でしょ?なら敵って言うんは少しおかしいんと違うかな?」

真姫「でも、彼女は…彼女をまたバックダンサーに押し戻せば、将来的に私たちを阻む大きな壁になる…」

真姫「それは、確信を持って言えるわ。だから…」

希「そんなの、真姫ちゃん一人が支えてあげて、バックダンサーに戻ったとしても結果は一緒でしょ?」

真姫「そ、それは…そうだけど」

希「どうするか悩んで、結局どっちつかずになるのは一番良くないことや。なら、最初から全力でサポートしてあげようよ」

希「アイドルを目指す女の子に、敵も味方もないんやし」

真姫「…」

希「そーれーに、A-RISEのことを思い出して?彼女たちはうちらを手伝ってくれたやん。取材に応じてくれた。将来は強大な敵になるかもしれんのに」

希「それと同じことを、うちらがにこっちにやる。それでいいやん!なんせうちらは…」

希「アイドルを夢見る少女を応援する、アイドル応援部なんやから。ね?」

真姫「…!」

海未「…真姫は、優しいですからね。矢澤さんが困っているなら、助けてあげたいと心から思ったのでしょう」

海未「しかし、彼女はA-RISEのバックダンサーであり、強大な敵になりうる。その二律背反に悩んでいたのですね」

海未「…悩むことなんてありませんよ。彼女を助けたいと思ったなら、助けましょう」

海未「もしその結果、強大な敵となったのなら、それすら追い越せばいいことです。全力でないA-RISEを超えても、意味ないですしね」

花陽「真姫ちゃんはバラバラだった私達をまとめあげて、最初は無理だって思ってたスクールアイドルの結成まで成し遂げちゃったすごい子だもん」

花陽「そんな真姫ちゃんがやりたい、って思ったことなら、きっとそれは正しいことだと思うよ」

花陽「それに、何回でも言うけど、私たちは仲間でしょ?やるならみんな一緒に。だよね?」

ことり「…えーっと、大体のこと、言われちゃったなぁ…」

ことり「わ、私もそう思う!真姫ちゃんファイト!」

真姫「みんな…」

真姫「…えぇ、そうだったわね。悩んでたのがバカみたいだわ」

真姫「にこちゃんをもう一度、バックダンサーまで押し戻す。それが今、私のやりたいこと」

真姫「この行動に私たちにとっての利点はないわ。デメリットの方が大きいとさえ言える」

真姫「それでも、一緒についてきてくれるのね?」

花陽「もちろん!」

ことり「うん!」

海未「当たり前です」

希「むしろそれこそが、アイドル応援部の真の活動やん!」

真姫「…ありがとう。みんな」

真姫「じゃあ、やりましょう。次のアイドル応援部の活動は、にこちゃんの応援よ!」


ことり「…とはいったものの、応援って具体的にどんなことをすればいいのかな?」

花陽「んーと、やっぱり練習のお手伝い?効率的に練習が出来るような…」

海未「しかし、私たちがアイドル専攻に勝るようなレッスンをしているとも思えませんが…」

真姫「にこちゃんがバックダンサーを降ろされたのは、体力が足りなくなってきたから、って言ってたわ」

真姫「バテるのが早くなってきて、それでダンスについていけてないんだとか」

希「ふむふむ…、なるほどねー…」

希「…にゅふふ、ならうちにいい考えがあるよ~?」

海未「…なんだか、少し怖いのですが」

希「遠慮はいらんて!うちに任せておけば万事解決や!」

真姫「ホントかしら…?」

希「なんてったって元生徒会長サマやもんね。ま、今はにこっちもアイドル専攻の授業中やろうから、どうしようもないし…」

花陽「私たちも練習ですか?」

希「せやねー。頑張って!」

真姫「わかったわ。音楽室へ向かいましょう」

数時間後 夜

多目的ホール


にこ「…ふぅ」ガチャッ

にこ「戸締りも済んだし、忘れ物もない…わよね?」

にこ「うん、大丈夫。帰りましょう」


カツ… カツ…


にこ「はぁぁ…、今日も、疲れたわ…。明日も朝から夕方まで練習…」

にこ「帰ったらご飯食べて、お風呂入って寝るだけ…」

にこ「こころもここあもこたも、帰る頃には寝てるし…」

にこ「…はぁ。辛い…けど、頑張らなくちゃ!」

にこ「…」

にこ「確かに私って、独り言、多いかも…」



UTX学院 改札前


ピッ

にこ「…ん?あ…」


真姫「こんばんは、にこちゃん」


にこ「真姫ちゃん!今日もいたのね…。だから出待ちはダメだって言ってるニコ!」

真姫「今はバックダンサーじゃないから、特別よ?って言ったのはあなたじゃない」

にこ「そういえばそんなことも言ってたわね。…で、今日もお話?」

真姫「えぇ。そうなるわね」

にこ「そっか。じゃあまたあのベンチに…」

真姫「いえ、ベンチは寒いから、別のところへ行きましょう」

にこ「別の?屋内ってこと?どこに行くの?」

真姫「…とっておきの場所、よ」

ガチャッ

真姫「さ、入って」

にこ「こ、ここって…?」

真姫「いいから、早く入りなさい、よっ!」グイッ

にこ「ひゃんっ!」


にこ「ととと…、え…」

希「やっほ、久しぶりやねー。にこっち」

にこ「の、希…、さん!?」

海未「矢澤さん、こんばんは」

ことり「あんまり顔合わせたことないけど、同級生だよー」

花陽「わ、私っ…!にこにーのキャラ大好きなんです!応援してます!!」

にこ「え、え、えぇぇっ!!?な、何よこれ…」

にこ「というか結局、ここはなんなのよ!?」

希「ここはうちの家やよ。よくUTXの生徒を泊めることで有名な」

にこ「知りませんよそんなの!真姫ちゃん、なんで私ここに連れてこられた訳!?」

真姫「…そこの、アイドル応援部部長さんのアイデアよ」

真姫「にこちゃんへの、おもてなし」

にこ「おもてなし…?」

希「にこっち、覚悟してよ~?」

にこ「へっ…?」

希「それっ!わしわしわしぃぃ~~!!」

にこ「にぎゃあぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっ!!!!な、何するのよぉぉっ!!」

希「うん、うん…。なるほどなるほど…」

にこ「はぁっ…、はぁっ…!せ、先輩だからってやっていいことと悪いことがあるわよ!」

希「にこっち、やっぱり筋肉が凝り固まってるね。疲労が全身に溜まってる」

にこ「えっ…」

希「いつもの休息じゃ、疲れが取れてないって証拠よ。ただ寝てるだけになってる」

真姫「だから、今日ここで、正しい休息を学びましょう、ってこと…らしいわ」

にこ「ここで、ってもし、かして…」

ことり「はい、にこちゃん!これ、私のだけど…、サイズはちょっと大きめだけど、多分大丈夫!」

にこ「こ、これは…!」

海未「食事も、疲労回復に滋養強壮など、体に良い効果のあるものを使った料理を用意しています!」

にこ「あ、あの…!」

花陽「お風呂も、元気になれる香りの入浴剤を買ってきました!」

希「寝る前にちょっとしたゲームとかも疲労回復には有効やよ!」

にこ「これって、つまり…」

真姫「…パジャマパーティ、するんですって」

にこ「…え」

にこ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?!」

今日はここまで 寝落ちじゃなくてストーリー考えてたのと集中力の欠如のせいで1レスが半端なく長くなってただけだよ
次回はうろ!…と言いたいところだけど、最近もし!が長くなりがちなんで、もっかいもしの方をやってからにします
じゃあ次回をお楽しみに ほなな

遅くなったが再開 当たり前なんだけど夜になると眠くなって書けない
今日はちょっと寝たからいけるはず じゃ、やっていくよ

にこ「…うん、そう…、えー、っと、友達の家」

にこ「わかってる…。うん、明日は休みだし、大丈夫よ。迷惑もかけないから…」

にこ「はい、うん…ありがと、ママ。それじゃ、おやすみなさい」ピッ



にこ「…はぁぁぁ」

希「どやった?おうちの人の許可、取れたかな?」

にこ「いい、って言ってくれました。…大丈夫ですよ」

ことり「そっか!よかったー」

にこ「…良くないわよ」

ことり「え?」

にこ「なんなのよコレ!?意味わかんないまま先輩の家に連れ込まれるってどんな状況よ!?」

にこ「しかもほとんど喋ったことのない同級生のパジャマ押し付けられて…ここで寝泊り!?」

にこ「無碍に断るのは失礼かも、って思って親の許可は取ったけど…、私の意見ガン無視だし」

にこ「…どういうつもりなの、真姫ちゃん。それとも希さんが言い出したことなの?」

希「え、あー…、うちは…」

真姫「ごめんなさい。これは私が言い出したことなのよ」

真姫「バックダンサーに戻ろうとしてるにこちゃんのお手伝いがしたくて、みんなに手伝ってもらったの」

にこ「お手伝い…?」

にこ「な、なによ、それ…。余計なお世話よ!」

花陽「そ、そんな…、真姫ちゃんはにこにーのことを思って…」

にこ「もしかして、今まで私が真姫ちゃんをファンとして大事に扱いすぎちゃったから勘違いしちゃったの?」

にこ「でも、…真姫ちゃんはあくまでファンの一人よ。お手伝いなんて、そこまでしてもらう筋合い、ないわ」

にこ「しかもあなたたちは…A-RISEの敵じゃない。ふざけてるわけ?」

海未「うっ…。た、確かに、そう捉えられてもおかしくはありませんね…。むしろ自然です…」

にこ「ねぇ、真姫ちゃんっ…、悪気は無いのかもしれないけど、これじゃ私、舐められてるって感じるんだけど…!」

にこ「どうなの?真姫ちゃん。…何か、答えてよ」

真姫「…私は、私は…、あなたの…、にこちゃんの前に進もうって気概が、好きなのよ」

真姫「何があっても決して諦めない心。それはきっと…、スクールアイドルの中の誰よりも強いものを、あなたは持っていると思う」

真姫「だけど、このままじゃ、あなたはいつか折れてしまうって思ったのよ。孤独なにこちゃんのままじゃ」

にこ「私が、諦めるってこと…?何の根拠があってそんな…」

真姫「根拠はないけど!ただ、そんな気がするってだけ、だけど…」

真姫「でももし折れてしまったとしたら…、私、そんなあなたを見たくないのよ」

真姫「…あなたは、いつまでも、スクールアイドルであってほしい。それが何よりの、私の願いなの」

真姫「あなたの一人のファンとして…、そして、ライバルとして」

にこ「…」

希「まーまーにこっち。そうピリピリせんと」モミッ

にこ「ひっ!だから胸を揉むのはやめっ…!」

希「真姫ちゃんだってにこっちを舐めてる訳やないことくらい、にこっちでもわかってるでしょ?」

希「心配やから協力したい、ただそれだけのことやん。何を疑問に思うことがあるんよ」

にこ「…それは、そうかもしれないですけど」

希「あとね、うちも含めて、ここにいるみんなはアイドル応援部やん」

希「応援部の活動は、にこっちならよーくわかってることよね?」

にこ「…元部員、ですからね」

花陽「えっ!そ、そうだったんですか!?」

にこ「そ、そうよ!アイドル専攻の傍らでA-RISEにできるだけ近づきたくて…結局一言も話せないまま退部したけど…」

にこ「って!そんなことどうでもよくて…」

希「あの頃の応援部みたく、頑張ってるスクールアイドルの応援をするのがうちらの活動や」

希「それでも、にこっちはダメって言うんかな?」

にこ「…」

にこ「あぁもうっ…、言えるわけないじゃないですか!背後から得体の知れないプレッシャーかかってるし…」

ことり「大きいおっぱいが押し付けられてるもんね」

にこ「そういうことじゃないっ!」

希「ま、それに何も練習そのものをどうこうしようなんて言ってへんやん?」

希「にこっちに正しい休息の仕方を教えるってだけ。これなら直接アイドル活動をサポートしてるわけでもないし、文句ないでしょ?」

にこ「はいはい、わかりました…。で、正しい休息って一体…」

希「簡単なこと。栄養たっぷりの美味しい食事を食べて、あったかいお風呂に入って、楽しくおしゃべりをして、疲れたら寝る」

希「それだけよ」

にこ「それだけって…、それなら私だって…」

真姫「いいからっ。どのみち今日は帰らないってお母さんには言ってあるんでしょ?なら…」

海未「矢澤さん…いえ、にこには言いなりになってもらいますよ。さ、まずは食事からです!」

希の家 ダイニング


グツグツ…


にこ「うっ…、キッチンの方から何かが煮える音が…。いい匂いもするし…」

グギュルルル…

にこ「…」

ことり「わー、にこちゃんのお腹、凄い音…」

にこ「う、うっさいわね!もうこんな時間なんだから、しょうがないでしょ…」

花陽「でも私たちもお昼から何も食べてないし、運動もしたからお腹ペコペコです…」

真姫「にこちゃんはいっつも夜ご飯を食べるのはこんな時間になるの?」

にこ「いつもじゃないけど、最近はそうね…。最後まで居残りを義務付けられてるから」

花陽「トップから下位へ落ちちゃった人へのペナルティ、ですね…」

ことり「ご飯は買い置きのものを食べてるの?」

にこ「うぅん。ママが作っておいてくれたものを温めてるの。うちのママ、料理上手だからチンしてもすごく美味しいのよ」

真姫「でも、夜ご飯はいつも一人なのよね?」

にこ「ま、まぁね…。うちには下のきょうだいがいるし、ママもそっちの方で手一杯だし…」

にこ「疲れを取るためにはすぐ寝なきゃって思ってるから、すぐ食べてすぐお風呂入って、って感じで、会話もほとんどできないわね…」

希「んー、それはあかんねー。健全な精神はまずコミュニケーションを行うことで形成されるんよ」

希「会話が少ないと引きこもりのオタッキーな人になってまうでー?」

ことり「それは少し言いすぎなんじゃ…」

希「あと、ご飯は楽しく食べることが大切や!なんでも胃に流し込めばいいってものじゃないんよ!」

希「というわけで海未ちゃん?そろそろできた?」


海未「はい!ただいまお持ちします!」グツグツ…


海未「できました!園田海未特性、体の芯まで温まるホカホカ鍋です!」ドスッ

花陽「うわぁぁっ…、すごい、具沢山…」

真姫「これ10人前はあるんじゃないの…」

海未「色々な体に良いものをたっぷり入れてこれでもかというほど煮込みました!熱いので気をつけて食べてくださいね!」

にこ「まだ鍋の季節には少し早いと思うんだけど…」

希「みんなでワイワイ食べるにはこういうのが一番やよ?それに…」


グギュルルルルルルル…


真姫「う…」

花陽「あは…」

ことり「えへへ…」

海未「ぐぅ…」

にこ「…くっ!悔しいけど…、メチャクチャ食欲がそそられるわ…!!」

希「もうみんなのお腹は準備万端ってことやね。それじゃみなさん、手を合わせてー…」


「「「「「「いただきますっ!」」」」」」

花陽「ふーっ…、ふーっ…。はむぅっ…、もぐ、もぐ…」

花陽「はぁぁぁぁ…!美味しいぃぃっ…!」

ことり「疲れた体に染み渡るねぇぇぇ…」

希「お肉がいい味出して…、あ、これも貰い!」

にこ「ちょっ…、それ私が目付けてたのにっ!」

真姫「というか、これ何が入ってるのよ…。牛豚鳥に、魚もたくさん入ってるわよね?」

海未「買い出しの際に美味しそうなものはとにかく買ってきてみました。あ、お肉ばかりでなくお野菜も食べなくてはダメですよ!」ドサッ

ことり「わぁぁっ!海未ちゃん、白菜大量に持ってこないでよぉっ!」

花陽「でも野菜もおダシが染み込んでいてご飯が進みます…!んふーっ、キャベツがうまいっ!」

ことり「はっ…!なんだか懐かしい響き…!私も!」

ことり「うーん、今日も白菜がうまいっ!」モグモグ

にこ「なんなのよそれ…」

真姫「お約束みたいなものよ。はい、にこちゃんも野菜」ポイッ

にこ「ぬあっ…!って!真姫ちゃんのお皿お肉とお魚ばっかりじゃない!野菜押し付けないでよ!」

真姫「あー、今日も鱈がうまい」

にこ「聞いてないしっ!」

希「もー、しゃあないなー。はい、にこっちにも肉厚なコレ」

にこ「あ、ありがとうございま…、ってぇっ!!これしいたけぇぇぇぇぇぇっ!!!」

海未「まぁ確かに肉厚ではありますが…」

にこ「ちょっと!これ私の疲れを取るための食事じゃないの!?どうして私にお肉が回ってこないのよ!」

希「アイドルも鍋も、実力主義の世界なんよ…!周りに遠慮しているようじゃ強くなれんで…!」

にこ「ぐっ…!そうは言ってもあんたら遠慮なさすぎでしょ…!」

にこ「いいわ!いつまでもゲストのつもりじゃ勝ち残れないってわけね…!やってやろうじゃないの!」

にこ「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」




にこ「…うぐっ、結局そんなにお肉食べられなかった…」

海未「お魚はたっぷり食べてたじゃないですか」

ことり「そうそう…げぷっ。うぅ、お腹いっぱいぃ…。もう食べられないよぉ…」

にこ「そりゃお魚も美味しかったけどなんだか物足りないっていうか…」

真姫「仕方ないわね。はい、これ」

にこ「はっ!ぎ、牛肉!いいの?」

真姫「えぇ。たっぷり取り込んでおいたやつだけど」

にこ「お肉食べられなかったのあんたのせいかよっ!なら遠慮なくっ…、はぐっ!」

にこ「んん~っ!やっぱりお鍋はお肉よねぇ…」

花陽「あの!残り汁で雑炊っていうのは…」

ことり「アリ!断然アリだよ!」

海未「もう食べられないとはなんだったんですか…」

希「そう言うと思って…、用意しておいたよ~」

真姫「よしよし…、第二ラウンド開始ね…」

にこ「まだやり合う気なのね…」

希「げふーっ…、さ、さすがにもう入りそうにないね…」

にこ「そうですね…。う、吐きそう…」

花陽「そうかなー?私はまだ行けますよ?」

海未「これ以上食べれるのですか…。どんな胃袋をして…けぷっ」

ことり「やーんっ!海未ちゃんのげっぷなんかかわいい!」

海未「そんな所褒められても何も嬉しくないです」

真姫「さて、じゃあ次はお風呂だけど…、誰から入る?」

にこ「私パス…。今は動ける気がしないわ…」

希「うちも…」

海未「では、私が一番でよろしいでしょうか。鍋で汗もかいてしまいましたし…」

真姫「えぇ、いいんじゃない?花陽はどう?」

花陽「うん、私もいつでもいいかな」

海未「ありがとうございます。では…」

ことり「じゃ、お風呂行こっかー」

海未「そうですね。一緒に…って、えぇっ!?」

ことり「ん?どったの?」

海未「いやいや!一般家庭のお風呂に二人で入るつもりですか?!」

ことり「だってそうしないと後がつっかえちゃうよー?」

海未「ま、まぁ、それはそうですけど…」

ことり「ちっちゃい頃はいっつも一緒だったじゃない。ほら、あの頃をやり直すためにもね?」

海未「どこまで退行するつもりですか…。わ、わかりました。あくまで後の人たちのためですからね?」

花陽「…っ!一緒に、お風呂…!」

花陽「真姫ちゃん…、予約…いいかな」

真姫「…はいはい」



『はーい、じゃあ次は海未ちゃんの番ねー』『わかりました。では背中をこちらに…』


真姫「楽しそうに入ってるわね、二人共」

花陽「一緒にお風呂かぁ…。何年ぶりかなぁ…」

真姫「中学生の時に凛と一緒に入ったりはしなかったの?」

花陽「えっ…?あー、銭湯に行ったことならあった気がするけど、バスタブのお風呂に一緒に入るのは…、小学生以来かな」

真姫「ふーん…、そうなんだ」

希「あ、にこっちー、ぎゅっ」

にこ「ひょわっ!?な、なんですか唐突に…!」

希「お鍋どうやったー?美味しかった?」

にこ「ま、まぁそこそこ…」

希「んふっ、それはよかった。どう?みんなでワイワイいただくんも悪くないでしょ?」

にこ「…そうかもしれないですね」

風呂


海未「ふぅぅ…、あったかいです…」

ことり「あー!海未ちゃん先にずるーい!私も入る!」

海未「そんな穂乃果みたいなこと言わないでくださいよ…」

ことり「うっ…、い、今は穂乃果ちゃんこういうこと言わないもん!」

ことり「一緒に入るよ?せーのっ…、じゃぽんっ!」

海未「わわっ、ホントに…、ことり!」


ザッパーンッ


海未「うぶぅっ…!」

ことり「うわー…、お湯たくさん溢れちゃったねー…」

海未「…希に怒られますよ」

ことり「えへへへ…」

ことり「…ね、海未ちゃん」

海未「なんですか?」

ことり「ちゅーしよっか」

海未「ブッ」

ことり「ほーら、ちゅー…」

海未「どうしてそうなるんですか!?」

ことり「だってなんかこうやって一緒にお風呂入ってると昔のこと思い出してー…」

ことり「昔はふざけてちゅーし合ったりしてたよね、って」

海未「いつの話ですかそれはっ!は、恥ずかしいですよ…」

海未「あなたのあの頃をやり直す、って言葉は、そういう意味だったんですか…?」

ことり「んー…、ま、そういうところも部分的には含まれちゃうのかなー?」

ことり「でも、やっぱり穂乃果ちゃんが欲しいところですねー」

海未「…そう、ですね。穂乃果とも、またこうして湯船に一緒に浸かりたいものです」

海未「…っ、穂乃果…っ」

ことり「海未ちゃん…」

ことり「…大丈夫だよ。絶対、穂乃果ちゃんと仲直りしようね」ナデナデ

海未「も、もちろんですっ…!もちろん、ですとも…」

海未「ひっぱたいてだって、友達になってやるんですから…!」

ことり「お先でしたー!気持ちよかったー」

真姫「あぁ、お疲れ様…海未、なんだか鼻の頭赤くなってない?」

海未「の、のぼせたのです。では次の方、どうぞ」

花陽「じゃ、真姫ちゃん!行こっか!」

真姫「わかったわよ…」



風呂


真姫「…」

真姫「なんかバスタブのお湯少ないんだけど」

花陽「これ入っても胸のあたりまでしかお湯登ってこないよね…」

真姫「仕方ないわね。二人で入れば多少はマシでしょ」

花陽「えぇぇっ!!?!?二人でバスタブに!?」

真姫「なんでバスタブに入るのはそんなに躊躇してるのよ…。一緒に入ろうって誘ったのはそっちでしょ」

花陽「そ、そんなに肌を密着させる予定はなかったから…」

真姫「積極的なのか消極的なのかわかんないわね、あなた…」


花陽「えへへ~、こうやって誰かの背中を流すの、ちょっとやってみたかったんだよね。気持ちいい?」シュリシュリ…

真姫「えぇ、上手。これなら夜でもやっていけ…なんでもない」

花陽「ん?…それにしても真姫ちゃん、痩せて見えるのに脱ぐと意外と筋肉あるよねー…。希さんの言ってた通りだ」

真姫「まぁ、鍛えてたからね」

花陽「ふぅん…。サバゲだったっけ?今度私もやってみたいなぁ」

真姫「き、機会があればね。…でも、今はアイドル活動で忙しくてできそうにないかも」

花陽「あ、そっかぁ…。真姫ちゃんの理想は一ヶ月に一回の新曲リリースなんだっけ…」

花陽「それだと趣味に休んでる時間もないよね…大変だ」

真姫「でも、一度くらいみんなで旅行、とかもいいかもしれないわね。思い出作りに」

花陽「あ!それいい!いつか行こうね、絶対!」

真姫「…うん、行きましょう。必ず」

真姫(私が、この世界にいられるうちにね)

花陽「じゃ、次は真姫ちゃんが背中…」


ジャプンッ

花陽「ふぅー…、二人で入るとちょうどいい感じだね」

真姫「多分あの二人も一緒に入ったんでしょうね。だから水かさが減ってたんでしょ」

花陽「海未ちゃんとことりちゃんがかぁ…。すごく仲いいよね、あの二人」

真姫「幼馴染だからね。それに、ことりは海未が鬱だった頃から海未のことをとても気にかけているみたいだし」

真姫「今でも海未の保護者であり続けてるんじゃないかしら、ことりは」

花陽「保護者かー…、そっかー。やっぱり、リアルじゃそうそうないのかな?」

真姫「何が?」

花陽「女の子が女の子を好きになる、っていうの…。恋愛感情を持つっていう…」

真姫「そりゃ、そうそうあったらもっとマジョリティになってるでしょ」

花陽「まー、そうだけどねー…」

真姫「…花陽。あなたの趣味にとやかく言うつもりはないけど、趣味は趣味のうちに留めておいてね」

花陽「えぇっ!?あ、わ、私がそういうそれってわけじゃなくて、あの…、ていうかそんな趣味ないよ!」

真姫「今更言い逃れもどうなのよ。…わ、私も少しゆ、百合とか嫌いじゃないし…。共感できるけど」

花陽「真姫ちゃんもなの!?あ、も、っていうか…真姫ちゃんそうだったんだ…」

真姫「だけど、あくまで二次元の話!リアルまで持ち込むのはどうかと思うわ」

花陽「わ、わかってるよ。うん…。私も真姫ちゃん好きだけど、友達としての好き、だからね?引かないでね?」

真姫「大丈夫。私も好きよ、花陽」

花陽「ぶっ…!い、イイ…!もう一回言って!」

真姫「…反省してないわね」




希「というわけで最後はうちらやねー」

にこ「どうして希さんと一緒に入らないといけないんですか…」

希「時短よ時短。お風呂のあとは楽しいおしゃべりタイムが待ってるんやからー」

にこ「寝たいんですけど…。もう11時だし…」

希「寝るだけじゃ体力は回復しないんよ!楽しいことを溜め込んで寝ると、それが身体を癒してくれるんやよ」

にこ「説得力ないわね…」


希「じゃ、背中流そっかー」

にこ「え、先輩に先やらせるなんて悪いですよ…」

希「ええのええの。実際はうちとにこっち同い年やねんし」

にこ「そ、それはそうですけど…」

希「留年してまでUTX入るとか、すごいよねー。そんなに入りたかったん?」

にこ「えぇ…、そうですね。A-RISEが好きだったから、絶対にUTX、って決めてて…」

にこ「正直一年目で落ちた時はすごいショックで、終わったって思いましたけど…」

にこ「両親に留年したいって伝えたら承諾してくれて…、ホント、感謝してもしきれないくらいです」

希「なんかにこっちの敬語気持ちわるいなー。同い年やしタメ語でいいよ?」

にこ「私の話に反応はナシなのっ!?」

希「あ、そんな感じ。いや、そういえば前も聞いたな、って思い出して」

にこ「…そういえば言ったわね。だから私が留年してるって知ってるんでしょ」

希「せやったせやった。はー、留年せんかったらにこっちと同級生やったのにねー。もったいない」

にこ「もったいないってどういう意味よ」

希「もっと早くに知り合えたらよかったな、ってことやん。そしたら仲のいい友達になれたと思うんよ」

希「や、もっと仲のいい友達に、かな?」

にこ「それなら、よかったかもね。…でも私、正直留年してよかったって思ってる」

希「なんで?」

にこ「…今年のA-RISEには、多分、どうやっても入れなかったと思うから」

にこ「綺羅さんも、統堂さんも、優木さんも…、私とはレベルが違うって感じるわ」

にこ「あぁいうのを天才、っていうんだなって…近くで見てわかったもの」

希「…そっか」

にこ「…そういえば、なんか浴槽のお湯少なくない?」

希「あー、これは多分真姫ちゃんがことりちゃんと海未ちゃんのお出汁が取れたお湯やからって飲んじゃったんかな」

にこ「え、そんな子なの!?」

希「冗談やって」

にこ「…なんだ」

希「そのままやとにこっちじゃお腹くらいまでしかお湯届かんし、ま、一緒に入ろか」

にこ「い、一緒に…」


希「ふー…、狭くてごめんね?」

にこ「この状態でもうちのお風呂とそんな大差ないわ。…それより」

にこ「そのでっかい胸はなにしたらそんなに大きくなるのよ…」

希「んふ、羨ましい?」

にこ「…羨ましくはないけど」

希「にこっちのちっちゃいカラダに大きい胸は似合わんしね。そのつるぺったんがお似合いやよー」

にこ「…っ」

希「あれ?もしかして傷ついた?じ、冗談やよ?」

にこ「な、なにホンキで心配してんのよ!気にしてないわよ!」

希「そ、そっか…。ならいいけど」

希「あ、にこっちは学校では上手くやっていけてる?あれから一度も相談に来てないけど…」

にこ「え…、あ、あぁ…。平気よ。うまくやっていってるつもり」

希「そう、それはよかった」

にこ「…」



希の家 リビング


にこ「う、ちょっとブカブカだけど…着れないことはないわね」

ことり「きゃー!にこちゃんカワイイ!えへへー、これことりのお気に入りなんです」

海未「花陽、その寝間着は…」

花陽「え、ネグリジェですけど…」

海未「そ、そんな格好で寝るんですか…!?せくしーです…!」

真姫「そういう海未は浴衣なのね…。旅館か」

海未「私も…そういったネグリジェとやらを着てみたかったりします…。交換しますか?」

花陽「いやそれは…」

希「お!みんな着替えたねー。じゃ、いっちょ記念撮影といこか!」

にこ「なんで記念撮影…」

希「まーまー理由はいいやん!ささ、並んで並んでー…カメラを置いて…」

花陽「ち、ちょっと急すぎないですか…。えと…」

希「はよはよ!もうタイマーの時間くるよー!せーの、はい、チー…」

パシャッ


希「あ」

真姫「…多分中途半端な顔になってるでしょうね」

今日はここまで とりあえず思いついた文章書き連ねていったら全然話進まねーでやんの
和気藹々とした空気感を楽しんでいただければ幸い 和気藹々…、してるかなぁ?
次回うろライブ! お楽しみに ほなな

そうだよ浪人だよ! たまによく間違える
今日は12時以前に始めるつもりだったけど脳みそが働かなくてボーッとしてたらこんな時間に
短めになるかもだけどよければお付き合いください

真姫「今回はうろライブ!第九話ね」

凛「俗に言うところのスノハレ回だね!」

真姫「私この回、2年生が吹雪に巻き込まれるのとライブシーンしか覚えてないんだけど」

真姫「それ以外になにやってたっけ…」

凛「えーっと、なんだったかにゃー…」

凛「あ、そうそうあんじゅちゃんの完全にストレートフラッシュがあったね」

真姫「なんか違う気がするけどまぁいいわ」

真姫「じゃ、今回の忘却。わかりやすく2年組の3人だったわね」

凛「個人を狙った安価を狙われづらいように安価の順番をややこしくしておいたにゃ」

真姫「おかげでこっちもややこしかったわ。で、穂乃果は…」

凛「歩き方…。なるほどねー」

真姫「これまた表現しづらそうね…。で、次、ことりが…」

凛「身だしなみ…。これはまた、酷いことになっちゃいそうだね」

真姫「しかし文章で表現するのはこれまた難しいものよね…。何とかしてみましょう。次、ことり」

凛「その安価だけど、なんか一個目のそれがちょっとよくわかんなかったにゃ」

真姫「多分二期全般のことを思い出す…、まぁつまりチートモードになるんでしょうけど」

真姫「一期とは違ってこのまま行けば順当にラブライブ優勝するってこと分かっちゃってるし」

真姫「後々のシーンとかで感動を共有できなさそうな空気読めない子になっちゃいそうだし、やっぱりナシってことで」

凛「じゃ、その下の真姫ちゃんのことをミジンコ云々かな?」

真姫「まぁ、元々自分を猫だと思い込んでるのはあっちの私だけで、他のメンバーには伝わってないから、ことりが私を猫だとは思ってないんだけどね」

真姫「もう再安価も面倒だからストレートに私をミジンコだと思ってくれればそれでいいわ」

凛「人間大のものをミジンコだと思い込むってそれはまぁ…どんな精神状態なんでしょうか」

真姫「さぁ…。うまく使えるかは神のみぞ知るってところ。じゃ、やっていきましょうか」

凛「うろライブ!第九話、スタートにゃー!」

ゴメン二番目が海未ちゃんね
文中でもミスやらかす可能性大です 眠くて

穂むら


雪穂「わはー!真っ白!すごいねー、雪…」

ほのママ「もう、見てるだけじゃなくて手伝ってよ!」

雪穂「お姉ちゃんは?」

ほのママ「まだ寝てるんじゃない?ゆうべも早かったわよ。しっかり休んで、体力整えておくって言ってたから」

雪穂「おぉ…!お姉ちゃんらしくない…!!」



穂乃果の部屋


穂乃果「じゅじゅじゅっ…、うぅ…、前回のラブライ…あれ、今日はないんだ…」

穂乃果「じゃあ寒いし寝よ…あと五日だけ」コテッ


『お姉ちゃんっ!!』


穂乃果「はっ!ツナマヨ地獄!?…なんだ夢か」

穂乃果「って今の声は…」マドガラッ


雪穂「今二度寝しようとしてたでしょ!」


穂乃果「えー…」

穂乃果「…近所の中学生?」


雪穂「同じ家の中学生だよ!妹だよっ!!」


穂乃果「ハッ!そういえば私には妹がいたんだった…!」


雪穂「はぁ…。…いよいよ今日だね!最終予選!頑張ってね!うぅっ…、さぶいもう無理…」スッタカター

ほのママ「あ!手伝いなさいよー!」

雪穂「寒くて無理ー!」

ほのママ「こら雪穂ー!」


穂乃果「…そう、そう…雪穂だったっけ」

穂乃果「おや?向こうから来るのは…ことりちゃんと海未ちゃん」

穂乃果「そしてふと空を見上げると…、なんということでしょう。雪が降っているではありませんか!」

穂乃果「神様のイタズラかな…」

穂乃果「…いや、これだと普通すぎるなぁ…。もっとセンシティブでエッセンシャルな穂乃果チックな文章で表現するとしたら…」

穂乃果「神様と運命革命のパラドクスかな…」



海未「なんだか上の方で一人でブツブツつぶやいているのは何なんでしょうか…」

ことり「ねぇ、なんで今日はブレザー腰に巻いてスカート頭に被ってるの?それが最先端なの?パンツ丸見えだよ?」

うろ覚えラブライブ! Forgotten Idol Project


第九話「味蕾マイメロディ」



絵里の家


絵里「…」シュルシュル…


ガチャッ

亜里沙「お姉ちゃんっ!」


絵里「あら、亜里沙…。おはよう」

亜里沙「おはようじゃないよ!行かなくていいの!?穂乃果さんたちは…」

絵里「大丈夫よ。穂乃果たちは学校説明会で挨拶しなきゃいけないから、一度学校に行って…」

亜里沙「穂乃果さんが歩き方がわかんないって行って海未さんとことりさんで学校まで運んでるって言ってたよ!?ホントに助けに行かなくていいの!?」

絵里「それはちょっと予測してなかったわ…。相当ヤバそうだけど…」

絵里「で、でもまぁ、海未とことりなら大丈夫でしょ…。多分」

亜里沙「いいのかなぁ…」

絵里「ふっ…、んんっ…!でも、まさか雪がこんなに積もるなんて、困ったものね」

亜里沙「…お姉ちゃん」

絵里「ん?」

亜里沙「緊張してる?」

絵里「え?なんで…」

亜里沙「だって…」

亜里沙「お姉ちゃんが頭に巻いてるそれ、亜里沙のパンツだよ…」

絵里「…これはお守り代わりよ」

亜里沙「恥ずかしいからやめて」

絵里「ごめんなさい」

亜里沙「みんなの前ではちゃんとしてね!?亜里沙はお姉ちゃんの味方だから!」

絵里「あ、ありがとう…。みんなの前では比較的まともな人間のはずだから…」

亜里沙「心配だなぁ…」


ピンポーン


絵里「ん?」


希「おはよ」

絵里「希…」

希「まだ着替えてなかったん?」

絵里「あぁ…、妹のパンツを頭に巻くのに夢中で…っと、これは言っちゃいけなかったんだわ」

希「えりち…」

絵里「ん?」

希「もしかして…>>595?」

パフェ食べに行きたい?

安価待ってる少しの時間目をつぶってたらこれだよ 申し訳ない
今日のうちの眠くない時間に再開するかも しないかも ほなな

今なら眠たくないからいける!
人いるかは微妙だけど春だし大丈夫だよね!

希「もしかして…パフェ食べに行きたい?」

絵里「最近言わなくなったと思ったらまたそれなのね…」

絵里「こんな寒い中パフェなんて食べたいわけ…」

希「パフェ」ズッ

希「食べに」ズズッ

希「行きたい?」ズズズッ

絵里「…すごく行きたいわ。今すぐ行きましょう。だから顔を近づけるのやめて」



西木野家前


凛「寒いにゃー!これでホントにライブなんてやるのー?」

花陽「予定通りあるみたいだよ」

凛「えぇっ!!?…何が!?」

花陽「いや、だからライブ…」

凛「あぁ…ライブマン…」

花陽「なんでそこで超獣戦隊!?関係ないでしょ!」

花陽「えっと、昼から晴れる予報だし、大丈夫じゃない?」

凛「寒いだけでも辛いにゃー!君には聞こえないのか!激しい風の囁きが!」

花陽「えらくライブマン推すね…。で、でも凛ちゃん…」

凛「ん?」

花陽「頑張ろうね!」

凛「お、おう…」

花陽「幼馴染が乗ってくれません…」

凛「ところで凛たちはどうしてこんなところにいるんだったっけ…」

花陽「え、真姫ちゃんが出てくるのを待ってる…」


ガチャッ

真姫ママ「…あら?あなたたち…」


花陽「あ…、真姫ちゃんの…」

凛「えー!真姫ちゃん…、いつの間にそんなに老けたの!?」

真姫ママ「…真姫の母ですが」

花陽「凛ちゃん失礼すぎるよ!え、えと…真姫ちゃんまだですか…?」

真姫ママ「あの…。真姫ならもう出たわよ?学校に行かないといけないからって」

凛「なんだってー!?そ、そういえば真姫ちゃんは副生徒会長だったんだっけ…」

花陽「じゃあわざわざ待つ必要なかったね…。行こっか…」

真姫ママ「あ!待って…、だったらこれ。カツサンド作ったから、みんなで召し上がってください」

凛「カツサンド!?うわー!ありがとうございます!」

花陽「おにぎりがよかったなぁ」

凛「かよちん最後の最後で失礼だよ!」

矢澤家


ここあ「にっこにっこにー!」

こころ「にっこにっこにー!」

にこ「え、なにそれ…寒…」

ここあ「えぇぇー!!!?」

こころ「お、お姉さまぁ…!そ、それは本気で仰られているのですか…?!」

にこ「う…」

にこ(なんだか妹たちが途方もなくショックを受けている…)

にこ(よくわかんないけど見よう見まねでやってみましょ)

にこ「に、にっこにっこにー!」

ここあ「…なんか前より微妙になったね」

こころ「きっと疲れておられるんですねお姉さま!こころたちがエールを送ります!」

こころ&ここあ「「にっこにっこにー!にっこにっこにー!」」

にこ「…」

にこ(くっ…、妹たちが無性に苛立たしいポーズをしてくるわ…)

にこ(正直今すぐやめてほしいけど二人共悪意はないみたいだし…)

にこ(ここは姉として二人を褒めてあげなくちゃ…!)

にこ「>>604

そんなんじゃまだまだ甘いわ

にこ「そんなんじゃまだまだ甘いわ!」

ここあ「えっ…」

こころ「お姉さま…」

にこ「も、もっと腕のキレをあーだこーだして、若干キレ気味で発声するのよ!」

ここあ「おー!お姉ちゃん直々のアドバイスだー!」

こころ「わかりました!こ、こうですね!」

こころ&ここあ「「にっこにっこにぃっー!!にっこにっこにぃー!!」」

にこ(う、まだウザい感じだわ…。というかこれ褒めてないし)

にこ「えーっと、そうじゃなくってそうね…」


数分後


こころ「にっこにっこにー!」シュバババッシュバババッ!!

ここあ「にっこにっこにー!」シュババンバシュババシュッ!!

にこ「あーいい、そんな感じそんな感じ」

にこ(そのまま手のひらを上に掲げて天に輝く五つ星とか言いそうな動きになったけどまぁいいでしょ)

こころ「はぁっ…、はぁっ…。お、お姉さまがホンキを出せばこんな動きも易易と可能になるのですね…」

にこ(あなたたちができたのがビックリだわ)

ここあ「さすがアネックス1号のセンターだね!」

にこ「えっ…、あ、あぁ…、そうね!当然当然!!わ、わわわた、私がいないとはじ、はじまらなな、ないんだから!」

こころ「お姉さまどうしてそんなに動揺してらっしゃる…」


ガララッ!!


にこ「ひっ!!こ、虎太郎…?」

ここあ「静かにしなよ!」

こたろう「そっちのがうるさかったし…。…できた」

にこ「へ?」


にこ「これって…」

こたろう「あねっくす…いちご…」

にこ「雪…ユキメノコってやつね!ありがと!」

ここあ「なんか違う」

にこ「お母さんに、会場に連れてきてもらいなさい!私がセンターで思いっきり歌うから!」

こころ「うわぁぁ…!」

ここあ「ホント!?」

にこ「ゴメン嘘!実は穂乃果がセンターなの!」

こころ「…」

ここあ「…」

にこ「でもアネックス1号はみんながセンターっていう…あれ、どうしたの?」

こころ「お姉さまはデリカシーがありません…」


ピンポーン


にこ「あら?」

にこ「うぅ…」


希「にこっち、おはよ」

にこ「どちら様でしゅか…」

にこ「キャッチセールスはお断りよ!」ガタンッ

希「させるか!」ヒュッ!!

ガコンッ

にこ「はっ…!これはフットインザドア…!セールスマンの手法から転じて承諾しやすい要求を先に了承させてから本命の…」

絵里「なんでそんなことばっかり詳しいのよあなた…」

にこ「くそ!なんなのよ!なんなのよあんたたち!」

絵里「…希がね、>>608したいって」

にこにーからわしわしされたい

絵里「希がね、にこにーからわしわしされたいって」

にこ「な、なんですって…!」

希「え、うちそんなこと言ってな…」

にこ「盲点だったわ…!にこのぞの組み合わせ…!」

にこ「普段攻め側の希があえて私に対して誘い受けに回る…」

にこ「大いにアリね!いいわ、存分に揉みしだいてあげる!」

希「なんかえりちの発言でとんでもないことになってるんですけど」

絵里「いいじゃな~い、いっつもしてるんだからやってもらいなさいよっ」

希「ぐ、ぐぬぬ…」

にこ「さぁ希…!寒さも忘れるくらいの熱いわしわしをお見舞いしてあげるわ…!」

希「ちょっ…!そ、それ以上近づくとうちが先にわしわしするよっ!?」

にこ「そ、そんなっ…」

にこ「くっ、誘い受けに回ると見せかけておいてのやはりオーソドックスな攻め…」

にこ「王道だけどあえて回りくどい方法を取ることによって新鮮さを増す作戦ってことなのね…」

にこ「仕方ないわね!にこ攻めも惜しいけどのぞにこは正義だからね!ほらカモォン!」ガバァッ

希「逃げ場がないんやけど!?」

絵里「ふふふ、楽しそうじゃない。あー、羨ましいわねー」

にこ「え、そう?じゃあ絵里も…」

絵里「えっ…」

にこ「えりのぞにこの三角形か…。かなり来るものがあるわね…」

絵里「ちょっと待ってちょっと待ってお姉さん。三角形ってなによ」

にこ「教えてあげるから…、中に入りなさい!3人で熱く絡み合いましょう!」

絵里「…失言だったわ」



学校


穂乃果「うわぁ…!こんな天気なのにたくさん来てくれてる…!」

穂乃果「…なんで?」

ことり「なんでだろうねー」

穂乃果「こんなに寒いんだから家にいればいいのに、不思議なこともあるもんだね」

海未「私たちのこの1年の成果なはずなんですけどね…」

海未「それより、そろそろ講堂へ向かいましょう」

真姫「…あの、海未」

海未「はい?」

真姫「あなた生徒会の雑務なんだから先に会場に向かってていいってあれほど言ったのに…」

海未「嫌です嫌です!穂乃果のそばを離れるなんて絶対に嫌なんです!!」

穂乃果「またダダこねてるし…。そういうのナシにしてって散々言ったでしょ!ほら、絵里ちゃんたちと合流しなさい!」

海未「う、うぅ…!歩けない穂乃果をここまで背負ってきたのは私なのに…」

真姫「じゃ、講堂に行きましょう。海未の仕事は私が引き継いでおくから」

ことり「でっかいミジンコが喋った!」

真姫「えっ」

ことり「…突然変異種かな?」

真姫「何言ってるのこの人…」

穂乃果「えぇっ!?一時間も開始遅れるんですか!?」

先生「仕方ないだろ。この調子じゃ…」

ことり「どの調子?」

海未「あれでしょうか、千葉県の端っこの市」

真姫「大雪だからってことでしょ!あと海未はとっとと出て行け!」

海未「…ぐすん。もっと穂乃果といたいです」

海未「なんだかこれが最後になりそうで…」

穂乃果「そんなわけないじゃん!説明会終わったらすぐ駆けつけるから、海未ちゃんはベンチを温めておいてね!」

海未「どこのベンチを温めるんですか…。それだと私がずっと補欠のまま出番がないみたいなんですけど…」

ことり「いいからいいから。はい、いってらっしゃい」



絵里「…そう、それは仕方ないわね」

穂乃果『理事長は説明会を欠席してもいいって言ってくれてるんだけど、そういうわけにもいかないし…』

絵里「どうしてそういうわけにもいかないの?」

穂乃果『えっ…』

絵里「説明会なんて学校側の行事なんだから生徒である穂乃果がわざわざ参加する必要もないと思うの」

絵里「今日は大切なライブの日なんだし、雪が降っていることもあるし大事をとって早めにこちらへ向かうほうがいいと思うんだけど」

絵里「保護者の方々も別に生徒会長が欠席してるからといって学校に対する不信感が増すわけでもないと思うし」

絵里「欠席してもいいんじゃない?」

穂乃果『え、えっと…、そこまで早口でまくし立てられるとそんな気がしてこなくもないんだけど…』

穂乃果『でもそういうわけにもいかない理由があるんだよ!』

絵里「どういう理由なのよ?」

穂乃果『それは…』

穂乃果『…>>613だから?』

学校が大好きだから、みんなにも学校を好きになってほしい

穂乃果『学校が大好きだから、みんなにも学校を好きになってほしいの』

穂乃果『傲慢かもしれないけど、私たちが守ったって言える、この音ノ木坂学院を』

穂乃果『いっぱいいっぱい、いいところで溢れているこのオトノキを』

穂乃果『私の口で、どういうところか説明したい』

穂乃果『伝えきれないほどの大好きを、伝えられる限り伝えたい』

穂乃果『だから、欠席するわけにはいかないんだ』

穂乃果『ここまでしなきゃ、目標を達成したって、言えないからね』

絵里「穂乃、果…」

絵里「うぅっ…、ぅぅ…!あなた、そこまで…!!」

絵里「それならもう仕方ないわぁっ!仕方ない中の仕方ないでしかないわぁっ!!」

絵里「その結果最終予選に間に合わなくても許せるレベルで仕方ないわね!!」

穂乃果『縁起でもないこと言わないで』

絵里「ご、ごめんなさい。じゃあ私から事情を話して、5人で進めておく」

絵里「え、海未もこっち来るの?あぁ、じゃあ6人でね。うん、それじゃあね。バイバイ」ピッ

絵里「ひとまず、控え室に…」

凛「絵里ちゃん、そこはバイバイじゃなくて『ダスヴィダーニャァァァ…』って言わないと。キャラが薄いよ?」

絵里「そんなロシア語多様するキャラじゃないから私。そしてそんなにねっとりした喋り方じゃないわ」

凛「喋り方ジャナイワァァァ…」

絵里「殴るわよ」


にこ「うぅぅぅわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


絵里「にこ…?ん?」



学校


穂乃果「こんにちはー!足元の悪い中ありがとうございまーす!すみません!一時間遅れての開始予定です!」

ピリリリリリ…

穂乃果「あーもう…何度もなに!?あ、ちなみにさっきのセリフは98%テキトーだよ!」

絵里『ごめんなさい、今会場の前に着いたところなんだけど…』

絵里『>>616が予想以上に>>618でびっくりしちゃったの…』

a-rise

クレイジー

絵里『A-RISEが予想以上にクレイジーでびっくりしちゃったの…』


ツバサ「高坂さんはどこ!?高坂さんを出して!出してぇぇぇぇぇぇぇええぇぇっ!!!!」

にこ「わ、私に言われてもっ…!?!そ、そんなに揺らさないでぇぇええぇぇえぇぇえぇええぇ…」

英玲奈「こらこら、そんなことをしちゃいけないよ」

あんじゅ「完全に…、完全に…、なにがいいかしら…。うーん、完全にゴッドファーザー?いや、違うか…」

花陽「最終予選のステージにビビってたけどそんなの吹き飛ぶくらいの衝撃だよ…」

凛「オデコ綺羅綺羅センセーションのクセに自分のことイケてるとか勘違いしてそうだにゃ、笑える」

ツバサ「誰のオデコがキラキラですって!?殴殺するわよ!」

希「もう凛ちゃん!いくらライバルやからって挑発はあかんよ。ほら、こういう時はうちの水晶占いで…」

凛「わー、ツヤツヤして綺麗な水晶だにゃー」

ツバサ「それ私の頭なんですけど!ふざけないでよ!もう怒ったわ!!何があってもあなたたちを許さないから!!」

英玲奈「高坂さんを連れてきてさえくれれば許すそうだ。顔チラだけでいいから」

花陽「ど、どうもすいません…」

あんじゅ「完全にXファイル…。うーん…これもどうかと…」


絵里『えー、そんなわけだから終わり次第こっちに急いでね』

穂乃果「は、はぁ…」ピッ

真姫「なに話してたの?」

穂乃果「あー、ごめんごめん。何話してたかはもう覚えてない」

ことり「来た人たちの案内終わったよ」

穂乃果「北の人たちへの案内か…。じゃああとは南の人たちへの案内だね」

ことり「え、南の人?私のことかな」

真姫「東と西の人も忘れちゃいけないわね」

穂乃果「うん!」

真姫「…ツッコミ不在って怖い」

ことり「ミジンコが立ってる…。すげぇ」



校門前


穂乃果「おーーーーーいっ!!」


ヒデコ「ん…、穂乃果?」

穂乃果「手伝うよ!」

ことり「どこから手伝えばいい?」

ヒデコ「何言ってんの!」

フミコ「そうよ、あなたたち今日なんの日だと思ってるの?」

ミカ「最終予選でしょ!忘れたの?」

真姫「最終予選…。えー…、そうだったかしら?」

穂乃果「そもそも何の予選の話?」

ヒデコ「忘れてるみたいよ」

ミカ「…もうダメかも」

フミコ「ラブライブの最終予選だよ!」

ヒデコ「こんなところで体力使っちゃダメよ、ってこと!さ、行った行った」

穂乃果「そっかわかった!ありがとう!じゃあ休んどくねー」

ミカ「ちょっ、もう少し待ってよ…」

ヒデコ「私が今からいいこと言うんだから!」

ことり「めんどくさい性格してるね」

ヒデコ「あんたたちに言われたくないわ…」

ヒデコ「えー…、ごほん。穂乃果たちは、学校のためにラブライブに出て、生徒会もやって」

ヒデコ「音ノ木坂のために働いてきたんでしょ?」

フミコ「だから、今日は私たちが助ける番」

ミカ「私たちも協力したいから!」

ヒデコ「私たちだけじゃない。音ノ木坂生のみんなもだよ」

ヒデコ「…っていつの間にか穂乃果たちいないし!」

フミコ「話聞かずに学校戻っちゃった…」

ミカ「ま、まぁ説明会と予選のことだけ考えてくれればそれでいいんだけど…」

ヒデコ「なんか釈然としないなぁ…」



予選会場


凛「はわわぁぁ…!」

花陽「すごい…!今からここで歌うなんて…」

凛「雪降ってる!」

花陽「そ、それは朝から降ってたよね…?」


海未「は、はぁっ…、はぁっ…。園田海未、ただいま合流しました…」

絵里「あぁお疲れ様…ってあなたその格好…」

海未「はい?なんでしょうか…」

希「>>622>>623>>624って…けったいな格好してるね」

ニーソ

水着

希「ニーソと水着と猫耳って…」

花陽「その格好で寒くなかったんですか!?」

海未「正直すっごい寒かったです…。でもみんなのテンションをアゲアゲにしようと思って頑張りました」

にこ「すっごいパッツンパッツンなスク水だけど…それいつの?」

海未「押し入れにあった小学生の頃のものです。その気になれば着れるものですね」

凛「下手したら海未ちゃん捕まってたよそれ…」

海未「にこも言っていたではないですか!インパクトです!」

絵里「それはもう三話くらい前に普通でいいってことで解決してるの!」

希「寒いやろからこれ、羽織っとき。唇が蒼の神話通り越してバイオレットムーン状態やから」

海未「紫ならむしろ赤みがかっているから青より正常なのでは?」

花陽「冷静にツッコミを入れなくていいから…」


ツバサ「あ、また会ったわね」

絵里「あぁ、どうも」

あんじゅ「ぶっ…!!あ、あなたその格好何!?あはははははっ!!カワイイ!面白い!」

海未「ど、どういたまして…」

凛「口回ってないにゃ」

にこ「あ、あんじゅに笑われてる…!羨ましい…!私もその格好すればよかったわ!」

花陽「迷走してた頃に逆戻りになっちゃうよ…」

英玲奈「どうやらまだ全員揃ってないようだが…」

ツバサ「あ、そうよ!高坂さんはまだ!?」

絵里「あ、えぇ…。穂乃果たちは学校の用事があって遅れて…」

ツバサ「ぬぁんですって!?ちょっと!まさか来ないなんてことないでしょうね!」

絵里「ほ、本番までにはなんとか来られると思いますけど…」

ツバサ「…そう」

希「あ、なんか冷静になった」

ツバサ「じゃあ…ほ、穂乃果さん達にも、特に穂乃果さんに伝えておいて」

ツバサ「今日のライブで、この先の運命は決まる。互いにベストを尽くしましょう」

凛「さっきとは打って変わってクールだにゃ…」

花陽「これが本当のA-RISEなんだよ…」

ツバサ「でも…私たちは負けな」

ツバサ「穂乃果さん愛してる」

にこ「ボロが出たわ」

ツバサ「やーんもう、ほ、穂乃果さんとか、名前で言っちゃった…!恥ずかしいっ…!!」

海未「なっ…!だ、誰の許しを得てそんな風に馴れ馴れしく呼んでいるのですか!」

ツバサ「あぁん?何かしらこの淫乱スク水猫耳女は」

海未「だ、誰がスク水猫耳ですか!」

凛「何も間違ってないよ」

にこ「むしろ淫乱は訂正しないのね…」

ツバサ「そうだわ。ついでだからあなたにも言っておいてあげる」

ツバサ「>>627

海未「なっ…!」

穂乃果は私のモノよ!

ツバサ「穂乃果は私のモノよ!」

海未「なっ…!」

海未「言うに事欠いて今度は呼び捨て…!許せません!!」

海未「あなたは最低でっ…」

にこ「わぁぁっ!だ、ダメよ暴力沙汰は!」ガシッ

海未「離してくださいにこっ!私は…、私はあの女にあなたは最低ですをしなければ気がすまないのです!」

絵里「もう必殺技名みたいになってるわよ!?」

ツバサ「ふっ…、悔しかったら私たちに勝ってみなさい?」

ツバサ「まぁwwwwwwwwww無理でしょうけどwwwwwwwwwwwwwww」

海未「ぐ、ぐぬぬぬぬっ…!!」

英玲奈「そのへんにしておけツバサ。敗北フラグが着実に積み上げられている」

あんじゅ「ねぇねぇツバサちゃん!今度の衣装あのスク水猫耳ニーソにしない?」

ツバサ「それは嫌。…仕方ないわね」

ツバサ「じゃあね、負け犬さん。いつまでも地べたに這いずり回っているがいいわ」スタスタ

英玲奈「おいそれも負けフラグ…」スタスタ

あんじゅ「えー!じゃあうさみみ!」スタスタ


凛「…なんかすごい人たちだったね」

花陽「穂乃果ちゃんも、あんな人…たちに迫られて大変だなぁ…」



音ノ木坂学院 講堂


『理事長、ありがとうございました』

『では続いて、生徒を代表して、生徒会長挨拶』


亜里沙「ドキドキするねー…」

雪穂「う、うん…、いろんな意味でドキドキするよ…」


穂乃果「…すうっ」

穂乃果「みなさん、こんにちは!私、生徒会長の…」

穂乃果「高坂穂乃果ですっ!」



ラブライブ!(アイキャッチ)



穂乃果「…ボケたほうがよかったかなぁ…」

最終予選会場 控え室


希「…雪、止まないね」

にこ「BiBiの新曲のタイトルはそれにしましょう。夏、終わらないで。のアンサーソング的な感じで」

海未「自身のユニットのアイデア捻出に旺盛なのは結構ですが今はそれどころではないと思いますが」

凛「うーん、晴れるって言ってたって言ってたのにねー。かよちんの嘘つき」

花陽「責めるなら天気予報に言ってよ…。穂乃果ちゃんたちは大丈夫なのかなぁ…」

絵里「えっ!?動けない!?」



ことり「そうなの!穂乃果ちゃんがまた歩き方をど忘れして…」

絵里『じゃあ背負ってでも連れてきなさいよ!』

ことり「それだけじゃなくって電車も止まっちゃって…」

絵里『そんな…間に合うの?』

ことり「今、穂乃果ちゃんのお父さんに車出してもらおうと…」

穂乃果「ダメ!道路も全然動かないって!」ノソノソ

ことり「うわぁっ!!エクソシストみたいに近づいてこないで!キモい!」

真姫「それじゃあ移動手段が…」



凛「…」

花陽「…」

海未「来られないのですか…?」

絵里「う…」



穂乃果「…」

穂乃果「こうなったら…」

穂乃果「>>631しかない!」

スノーモービル

真姫「アイキャッチ過ぎたし今日はここまでね」

凛「久々に中断時にも凛たちに出動要請がかかったね」

真姫「特に理由はないけどね。まじえんじぇーしたかっただけよ」

凛「じゃあ今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

真姫「次にスク水猫耳ニーソで街中を走り回るのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」

こんにちは ただいま外出中です
が、最近更新頻度が減ってきてるので久々に真っ昼間から更新してみようと思うます
ただ、外なのでうろの続きはできそうにないので
これまた久々に西木野☆星空クリニックでもやってみようかと
タイプ速度がかなり遅いのでゆっくりになるけど、まぁなんとかなるでしょう
じゃ、こんなタイミングでなんだけとどやっていくよん

真姫「こんにちは、西木野☆星空クリニック院長のドクター真姫よ」

凛「べーたかよちん!ナース凛だにゃ!」

真姫「この挨拶もなんだか久しぶりね」

凛「そんなことより隣の人からこれを見られてないかと心労が激しいにゃ」

真姫「ただいま私たちは某ファーストフード店に来ているわ」

凛「出張版って名目だけど…、こんなん他人に見られたら恥ずかしくて[ピーーー]るよね」

真姫「恥ずかしがってちゃSSなんて書けないのよ!むしろ見せびらかす勢いでやってやりましょう!」

凛「自殺志願者かよ」

真姫「まぁ、前置きもこのあたりにしてそろそろ始めていきましょうか」

凛「そだねー。うろライブ!の途中ではあるけどCMのつもりで見てね」

真姫「それじゃ…、西木野☆星空クリニック!開院よ!」

ここは星の見える丘。そこに建てられた一軒の診療所。
今日も二人の女の子が暇を持て余しています。


真姫「そういえば西木野☆星空クリニックってなんだよって人も居るかもしれないわね」

凛「このスレの二つのSSはどっちも西木野☆星空クリニックから派生したものではあるけど一応説明しとく?」

真姫「面倒だからやめましょう」

凛「えっ」

真姫「わからなかったら西木野☆星空クリニックでググれば超面白いSSあるからよろしく」

凛「厚顔無恥な自画自賛宣伝乙にゃ」

真姫「で、始めたはいいものの何するの?」

真姫「急に始めたから患者も用意してないでしょ?」

凛「うん、まぁそうだけどね」

凛「でもやることは一応考えてるんだよ!」

真姫「ほう、何かしら」

凛「凛ってば、ナースとは言いつつこのクリニックでひたすらお薬を作ってきたよね」

真姫「そうね、キチガイじみたお薬ばかり作ってきたわね。他のSSなら私が担当しそうなポジションなのに

凛「だけど、そろそろ薬を作るのにも飽きてきたってカンジ!」

凛「だから今日は実験がてら薬とは違う何かを工作してみよう!って企画なの」

真姫「呆れ返るくらいクリニック関係ないわね。…で、何を作りたいの?」

凛「そうだなぁ、じゃあとりあえず」

凛「ミスったにゃ」

真姫「とりあえずなんなのよ」

凛「途中で送信しちゃったの!なれてないんだから」

凛「じゃあ仕切り直して、とりあえず…」

凛「>>643を作ってみよっかな!」

わら人形

凛「藁人形を作ってみようかな!」

真姫「藁人形…?いわゆる藁で作られた人形よね?」

凛「一般的に言うところの藁で作られた人形だけど何か」

真姫「…あまり、使用方法にポジティブなものを想像できないんだけど」

真姫「それを使って何をするつもりなのよ」

凛「それはー…、>>646

真姫ちゃんに呪いをかけようと思って

凛「それはまぁ、真姫ちゃんに呪いをかけようかと」

真姫「それをぬけぬけとまぁ呪いをかける相手の前で言えたものねあなたは…」

凛「およ?ダメかにゃ?」

真姫「ダメに決まってるでしょ!なんで呪いかけられることを事前に告知されてそれを黙って見過ごせるってのよ!」

真姫「スピリチュアルドMか!」

凛「新次元の性癖かにゃ!?まぁまぁ真姫ちゃん落ち着いて」

凛「真姫ちゃんは勘違いしてるにゃ」

真姫「勘違い?なんの話よ」

凛「おそらく真姫ちゃんの言ってるそれはのろいのことでしょ?」

真姫「それ以外になにがあるってのよ」

凛「凛がかけるのは、のろいじゃなくって『まじない』のほうだよ!真姫ちゃんにステキなおまじないをプレゼントしようかと」

真姫「な、なるほど…。それは盲点だったわ。確かにのろいとまじないって文字の上では同じだものね」

真姫「もー、凛ってば回りくどいわねー。私を幸せにしてくれるならそうと言ってくれればいいのに」

凛(こいつチョロいわ)

凛「まぁ仮にのろいだとしても、藁人形で呪いをかけられるかどうか試してみるのも面白いと思うんだよね!」

真姫「そうね、言えてる。私以外の人には積極的に悪用していきましょう」

凛「自分以外の人間はどうなってもいいとか真姫ちゃんは相変わらずとことんクズ人間だね」

真姫「よしなさい、誉めてもなにもでないわよ」

凛「これっぽっちも誉めてねーよ」

真姫「じゃあ早速藁人形作りに取りかかるとして…、藁人形の工作には何が必要なのかしら」

凛「そうだねー…、まず藁は必須としてぇ…」

凛「あとは>>649>>650があればなんとかなるんじゃないかな」

真姫ちゃんの髪の毛

体液

凛「真ちゃんの髪の毛と体液さえあればなんとかなるんじゃないかな」

真姫「わぁなんてリーズナブル…なのはいいけど、髪の毛と体液って…」

真姫「なんか変態的な匂いがするんだけど大丈夫なの!?」

凛「ノープロにゃ。髪の毛は細く結って藁を括るための紐にするの」

真姫「じゃあ体液は何に使うのよ」

凛「それはアレだよほら…、媒体的な?」

凛「呪いの対象を決めるために必要なの!」

真姫「あぁ、よく聞くけど…。体液ってなんでもいいの?」

凛「まぁいいんじゃないかな。真姫ちゃんの好きな方法で垂らしてくれて構わないよ」

真姫「なんか表現が嫌…。んーと、じゃあ>>653から分泌される体液をあげるわ」

膀胱

真姫「じゃあ膀胱から分泌される体液をあげるわ」

凛「え、それって…」

真姫「凛、そこに跪いて顔をこちらに向けて口を開けなさい」

凛「うぉいっ!そ、そんなプレイはいくら真姫ちゃんといえども勘弁だよ!」

真姫「プレイじゃないわよ。いい感じの容器がないから凛が代わりに…」

凛「どっちにしろお断りにゃ!別に膀胱から分泌される体液でもいいけどそんな大量にはいらないからね!」

凛「テキトーにスポイトでも突っ込んでチューってすればそれで十分だよ」

真姫「なるほど、凛はそういうプレイがお好みなのね。…今度拡張してくるわ」

凛「この人もうヤダ」


数分後


真姫「はい、スポイトで吸ってきたわよ」

凛「おぉ、澄みきった綺麗な色の…いやいや、そんな分析はどうでもいいや」

凛「こっちも藁を用意したよ。あとは髪の毛をちょびっとくれればそれで」

真姫「仕方ないわね。んっ…」チョキンッ

真姫「はいこれ。大事に使ってね」

凛「これまたすごい色艶の髪の毛だにゃー…。オクに出したらそこそこの値で売れそう」

真姫「そんな物好きいないわよ。…いないわよね?」

凛「そうとは限らないかもよ?じゃ、早速作っていくにゃー!」

凛「できたにゃー!」

真姫「早っ!せめて『数分後』くらい挟みなさいよ」

凛「珍妙な効果のお薬を短時間で作れる凛にこの程度は造作もないにゃ」

凛「んじゃー、藁人形も完成したことだし、真姫ちゃんに呪いをかけていこっかなー」

真姫「お、ど、どんなステキなおまじないをかけてくれるのかしら…。ドキドキするわね

凛(まぁもちろん凛の言ってる呪いは『のろい』のほうなんだけどね)

凛「じゃあ…真姫ちゃんにかける呪いはー…」

凛「>>656したら>>658になっちゃう呪いだにゃー!」

凛以外と会話

相手が凛

凛「凛以外と会話したら相手が凛になっちゃう呪いにゃ」

真姫「え、なにそれ…」

凛「それに決定!喰らえぶっとい五寸釘!」ズコォッ

真姫「うぶふっ…!?い、今藁人形に釘が刺されたところと同じ部分に鈍痛が…!」

真姫「あなた何をっ…!」

凛「ふふふ、これでもう真姫ちゃんは凛としか話せなくなったにゃ」

凛「何せ凛以外と話せばその人も凛になっちゃうんだからね!」

真姫「なっ…、そんな酷い…!それじゃまじないじゃなくってのろいじゃない!」

凛「もうさっきからひたすら呪いだって言ってんのに気づかない真姫ちゃんが全面的に悪いにゃ」

真姫「くっ、そういえばっ…!字面が一緒だから気づかなかったわ!」

凛「ふふふ、覚悟するにゃ真姫ちゃん!」

真姫「でも今ここには凛しかいないし全く関係ない呪いよね」

凛「あ」

真姫「…さて、あなたが呪ったんだから、次は私の番よね」

凛「げっ」

真姫「安心しなさい…。特別な呪いをあなたにあげるわ。あったかいんだから」

凛「ここぞとばかりに流行を取り入れていくスイーツ精神には感服するけど…」

凛「や、やヴぁいにゃ…。このままだと凛の方がエグい呪いをぶっかけられそう」

凛「どどど、どうすれば…」



そこで問題だにゃ!この状況で真姫ちゃんの呪いから逃れる方法は?
三択-ひとつだけ選びなさい

①まじえんじぇーな凛は突如反撃のアイデアをひらめく
②μ'sの仲間が来て助けてくれる
③呪われる。現実は非情である


答え>>702

凛「何をとちくるったか40レスも先に安価してもたにゃ」

凛「時間とごっちゃになっちゃったんだね」

凛「そんなわけで>>663に変更にゃ」

2

真姫「覚悟しなさい凛っ…!」

凛「ひっ…!」


バタンッ!!


「ちょっと待って!」


真姫「なっ…、あなたは…!」

凛「た、助けに来てくれたの…!?>>665ちゃん!」

かよちん

花陽「ちょっと待って!」

凛「かよちんっ!助けに来てくれたの!?」

花陽「うん、凛ちゃんがピンチだってお米の知らせで!」

凛「ありがとうかよちんっ!へへんっ、これで逆転だね!」

真姫「ハッ、何が逆転よ。花陽なんか無視して凛に呪いをかければいいだけの話じゃない」

凛「それはどうかな?さぁかよちん、あとは頼んだにゃ!」

花陽「ま、真姫ちゃん!どうして凛ちゃんをいじめるの!かわいそうだよ!」

真姫(凛の方から仕掛けてきたんだけど…)

真姫「あのねぇ…っは…!」


真姫(だ、ダメだわ…!今花陽と話しちゃったら彼女は凛になってしまう…!)

真姫(そうなると凛が二人…!)

真姫(それはもうこの上なくウザい状況だわ…!それだけはなんとしてでも避けないと)


花陽「答えてよ真姫ちゃんっ!凛ちゃんのことは大事じゃないの!?」

真姫「う、うぐっ…」

花陽「そうやっていいよどんでるってことは…、ま、真姫ちゃんひどいよぉっ…!」

真姫「ち、ちがっ…」

花陽「かわいい凛ちゃんをいじめるなんて真姫ちゃんの人でなし!唐変木!チャン・ドンゴン!」

真姫(どういう暴言よそれっ!?)

真姫「く、このままじゃ埒が明かないわ…ここは…」

真姫「>>667して活路を開くしかない…!」

花陽を先に呪って

真姫「ここは心苦しいけれど、花陽を先に呪って活路を開くしかないわね…!」

花陽「ま、真姫ちゃんっ…!?なにする気…!」

真姫「ごめんなさい…!えいっ!」

花陽「いたたたた!髪の毛引っ張らないでぇ!」

真姫(この隙に痛みで分泌された花陽の涙を藁に染み付ける…!)

真姫(髪の毛を何本か引っこ抜いて…えい!)

花陽「うぎゅっ!は、ハゲちゃう…」

真姫「これで藁人形を作り…」

真姫「できた!」

花陽「は、早い…!なに作ってるか知らないけど」

真姫「あなたにかける呪いはっ…!」

真姫「重度の>>依存症になる呪いよ!」

真姫「またしくじったわ」

真姫「てなわけで>>671お願い」

カレーパン

真姫「極度のカレーパン依存症になる呪いよ!」

花陽「えっ…」

花陽「…!?じゅるっ…」

花陽「カレーパン…、カレーパンが…」

花陽「史上最高にハゲしくアツかりしカレーパンが食べたいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」

ダダダダダッ…



真姫「ど、どうやら花陽は去ったようね…。その後どうなるかは知ったことではないけど」

真姫「さぁ凛!もうあなたを助けてくれる人は…っていない!?」

真姫「クッソ…、花陽と話してる隙に逃げやがったわね…!」

真姫「いったいどこに…、うっ…!?」

真姫「胸に鈍痛…!しかも、うぐっ…!な、何度も…!これは…」

凛「ふっふっふっふっ…気づくのが遅いにゃ…」

真姫「り、凛っ…!」

凛「真姫ちゃんがかよちんとイチャコラしてる間に様々な呪いを真姫ちゃんにかけさせてもらったにゃ…!」

真姫「ぐ、卑怯な…」

凛「これで真姫ちゃんはもう誰かとしゃべるどころか誰かの目に触れただけでその人は凛になっちゃうの

凛「真姫ちゃんは一生このクリニックで凛とずーっと一緒に過ごすことになるんだよ!さもないと…」

凛「世界中の人間が凛になるかもしれないよ…?」

真姫「なにそれ…、最高…もとい、最悪じゃない…!」

凛「さぁ、真姫ちゃん!オチもなくここでラブラブするか、オチを求めて逃げ出すか、どっちを選ぶにゃ!」

真姫「くっ…、この選択が時間的に最後の選択…!ならば私はっ…!」


①オチをぶん投げて凛とイチャイチャする
②オチを求めて外へ飛び出す



真姫「>>673を選ぶわ!」

2

真姫「このままオチなくイチャイチャするとか糞SSの烙印を押されかねないわ…!」

真姫「私は…自由を求める!」ダダッ

凛「あ、逃げた!逃がすかー!」


それから私は、凛の追走からいつまでも逃げ続けた…。

逃走する私は当然目立ち、様々な人の目に触れてしまった。

瞬く間に、街は大量の凛で溢れ返り、そして…。



数日後


真姫「くっ…。もうこの街も凛に浸食されてしまったわ…」

真姫「見つかるのも時間の問題…」

凛A「あ、真姫ちゃん見っけ!」

真姫「ぐっ…」

凛B「もう逃がさないにゃ」

凛C「観念して凛たちとイチャイチャするにゃ」

ウジャウジャウジャ…


真姫「うわぁ…。蜘蛛の子のように大量の凛が…可愛キモい…」

真姫「でも、これだけの量、もう私にはどうしようも…」

凛ズ「真姫ちゃーーーーーーんっ!!」

真姫「む、無念っ…!」




その時、不思議なことが起こった!

真姫の念じる力が、過去の世界とのワープゲートを生成したのだ!

するとそこから現れたのは…!



真姫ズ「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」


真姫「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!わ、私もいっぱい!?」

真姫「こ、これは…!以前あんじゅの妄想により誕生したガチムチ連中を駆逐するために生まれた凛の妄想の私…!」

真姫「神をも凌ぐ力を持つこの子達なら、大量の凛とも戦える…!」


真姫ズ「…」ジリジリ…

凛ズ「…」ジリジリ…


真姫ズ「凛っ!!」

凛ズ「真姫ちゃんっ!!」


真姫ズ「イチャイチャするわよ!」

凛ズ「喜んでにゃ!」



真姫「…」

真姫「は?」





結局大量の私と大量の凛は、

世界規模のスケールになってもイチャイチャしかしなかったのだった。





凛「真姫ちゃーん!うりゃ~、ほっぺすりすり!やっぱり真姫ちゃんには凛しかいないにゃー!」

真姫「あーうっとうしい!っていうか、あなたは本当に凛なの!?呪いで凛になった別人なんじゃ…」

凛「さぁ、もうわかんない。そもそもあなたも真姫ちゃん?」

真姫「え、私はっ…」

凛「自分が妄想で生まれた存在じゃないって、間違いなく本物だって、言い切れるかにゃ?」

真姫「…」

真姫「…ふっ、そんなの、もうどうだっていいじゃない」

真姫「私は私で、あなたはあなたなんだから…」

凛「そうだね…。それじゃ、いつまでーも、イチャイチャしてよっか」

真姫「…えぇ」




これを読んでいるあなた。

自分は間違いなく自分だって、確信できますか?





おわり










その頃花陽は某カードゲームの大会でカレーパンの匂いがついたデッキで優勝していた。


おわり(おわり)

凛「そんなわけでなんかよくわからん感じの久々クリニックだったにゃ」

真姫「お粗末な出来でごめんなさい…。正直オチは投げたわ」

凛「今日の夜も更新できないかもだからしばらくはこれで我慢してね」

真姫「今後も暇というか余裕ができたら唐突にクリニックをぶちこんでいく可能性があるわ」

凛「なるべく話の節目とかにするけどね」

真姫「じゃ、今日の西木野☆星空クリニックはここまで!」

凛「次に増殖するのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」

かなり遅くなったけれどやっていきます 今日だけじゃ終わらないかもね
オチが思いつかないときにホラーになるのはよくあること パンデミック然り人類滅亡然り

穂乃果「スノーモービルしかない!」

真姫「相撲伸ーびる?力士が伸縮可能になる何か?…あ、忘れてたけど、にゃあ」

穂乃果「スノーモービルだよ!」

ことり「スノーモービルってなぁに?」

真姫「もしくは相撲の中継が延長されて深夜番組に影響が出る的な…」

穂乃果「スノーモービルっていうのは、雪の上でもぎゅるるるっ…、ばばーん!って運転ができるやつ!」

穂乃果「こうバイクみたいにまたがって…エンジンぶるんぶるん!どがー!はい着いたー、みたいな」

真姫「わかるようなわかんないような説明ね」

ことり「で、でもそれがあれば会場まですぐってことだよね?」

穂乃果「そうそう!楽勝だよこんな雪くらい!」

真姫「すごいわ穂乃果!そんな名案を思いつくなんて!」

穂乃果「でしょでしょ?もっと褒めて!」

ことり「それで、そのスノーモービルってどこにあるの?」

穂乃果「え。…あー」

穂乃果「真姫ちゃん持ってない?」

真姫「持ってるわけないでしょ。…にゃにゃん」

ことり「ミジンコが否定した…生意気」

穂乃果「…誰も持ってないんじゃ無理かな」

真姫「そんなこったろうと思ってたわよ」

ことり「穂乃果ちゃんの言った提案は空飛んでいこうとおんなじくらい無謀なものだったってことですね」

穂乃果「もういいや。考えんのめんどいし走ってこ。走り方なら覚えてるから」

ことり「えぇ…、でもこの雪だし…。冷たいよ…」

穂乃果「大丈夫!まだ開演まで…えー…、4時間くらい?あると思うから!」

真姫「そんなに余裕あったら歩いてても間に合うわね。あと1時間くらいよ」

穂乃果「じゃあ想像してたのの4倍の速度で走れば間に合う!多分時速50kmくらいで!」

ことり「遅刻確定じゃん…」

真姫「穂乃果の計算なんかアテにならないのは自明の理でしょ。結局ここでウダウダ言ってても始まらないわ」

ことり「ミジンコのくせに正論…、意外と頭いいね」

穂乃果「そんじゃもう行こう!ね!」



穂乃果「よし出る準備も出来た…、けど」

穂乃果「雪かきしたのにもうこんなに積もってる!」

ことり「しかも吹雪が激しくなってる!」

真姫「これじゃ向かっても間に合うかどうか…。誰よ雪止むとか言った奴…」

穂乃果「…やっぱやめとこっかな。寒いし」

ことり「…」

ことり「>>694!穂乃果ちゃん!」

諦めたらそこで試合終了だよ

ことり「諦めたらそこで試合終了だよ!穂乃果ちゃん!」

穂乃果「ことりちゃんっ…?」

ことり「こんなところで諦めちゃったら、アネックス1号のみんなの夢も潰えちゃうんだよ!?」

ことり「穂乃果ちゃん一人でも欠けちゃったら、そこでおしまいになっちゃうの!」

ことり「そんなの許せないよ!穂乃果ちゃんの為にアネックス1号があるんじゃない!アネックス1号の為に穂乃果ちゃんがいるの!」

穂乃果「はっ…!」

ことり「ここから走って間に合っても、体力も削られてるし、A-RISEには勝てないかもしれない、でも…」

ことり「『負けたことがある』っていうのが、いつか大きな財産になると思うから…!だから、行こう!」

穂乃果「こ、ことりちゃんっ…!なんていいこと言うんだ…!感動したよ!」

穂乃果「こんなに感動したのは井上雄彦のバスケ漫画読んだ時以来かもね!」

真姫「だったら気づいてもいいのにね」

穂乃果「よっしゃやる気出てきた!いくぞー!」

穂乃果「うおぉぉぉぉっ!!」ダダダダッ!!

真姫「あ、行っちゃった…」


穂乃果「うりゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」ダダダッ…

バヒュゥゥゥッ!!

穂乃果「はひぃっ…!すごい風がぁっ…!」バタリッ


ことり「穂乃果ちゃんっ!!」ダッ

穂乃果「あややや…、ちべたい…。顔に白いのがべったりだよ…。これはいわゆる神様の顔射」

ことり「結構余裕だね」


真姫「あ、わ、私も…ととと…」



ビュヒュゥゥゥゥゥゥッ…!!



穂乃果「ぐぬぬぬぬっ…!」スタ、スタ…

ことり「うぎゅぅぅっ…」スタ、スタ…

真姫「なんで、こんな勢いの吹雪がぁっ…普通じゃありえない…!」スタ、スタ…



穂乃果「はぁっ…はぁっ…」

バヒュゥゥゥゥゥゥッ!!!

穂乃果「おぐふぅぅっ…!行く手を阻むかのような風がぁっ…!アゲンスト!」

ことり「あ、諦めたらそこで試合終了…」

真姫「もうそれ二回目なんですけど!」

穂乃果「だだだ、大丈夫…!ま、まだあわあわてるような時間じゃあわわわわわわわ…」

真姫「口が慌てすぎよ穂乃果っ!…くっ!私だって…」

真姫「私だって>>697!」

諦めたくない

真姫「私だって…私だって諦めたくない!」

真姫「やりたいのよ!私だって、ラブライブに出たい!」

真姫「9人で最高の結果を残したいのよ!だからっ…!」

真姫「行きましょう!穂乃果ぁぁっ!!」

穂乃果「え、なんて?風がうるさくて聞こえなかった」

真姫「たまにいいこと言ったらこれかぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

ことり「私には聞こえてたよ。魂がこもってていいね、真姫ンコちゃん」グッ

真姫「変なあだ名つけるのやめて」

穂乃果「でもなんやかんや二人の気持ちも伝わってきてこれはいけ…」


ドヒュオォボヒョォォォォォォッッ!!


穂乃果「うぎゅぅぅっ!!!ダメだぁぁぁ…!ゴルフやったら飛距離がマイナスになりそうな向かい風が顔を叩きつけるぅぅっ…!!」

ことり「い、異常すぎるよぉぉぉっ…!こんな、こんなのぉっ…!」

真姫「これ以上は、もう…ダメ……!」


ヒュッ…


穂乃果「…あれ?」


真姫「風が止ん…」

穂乃果「わっ!すごい!あれ見て!」

ことり「え?あっ…!先の道が、綺麗に雪かきされてる…」

穂乃果「どういうこと…?」



ヒデコ「遅いわよ!」



穂乃果「ひょえっ!?」


ミカ「また少し積もっちゃったじゃない!」

穂乃果「もしかして、これ、みんなが…!?」

ヒデコ「えへへへ…」

ミカ「にひひひ…」

フミコ「はい、スノーブーツ。サイズ合わなくても多めに見てね」

ミカ「心配しないで!」

フミコ「会場までの道は私たちがサポートするよ!」

ヒデコ「電車が止まったって聞いたから、みんなに呼びかけたの。穂乃果たちのために集まってって」

ヒデコ「そしたら来たよ。…全校生徒が」

穂乃果「みんな…!」

フミコ「さ、走って!」

ミカ「音ノ木坂のみんなで作った道を!」

穂乃果「…っ。…みんな」

穂乃果「みんな…、>>699だよ…!」

バカ

穂乃果「みんな、バカだよ…」

穂乃果「こんな大変なことやっちゃうなんて、ホントに…バカじゃん…」

穂乃果「私や、ことりちゃんや真姫ちゃんや…私たち以上に大バカだよっ…!」

ことり「…だね」

真姫「えぇ…」

穂乃果「だからこそ愛してるっ!大好きだぁぁっ!ばんざーい!!」

ことり「行こう!今なら行けるよ!」

穂乃果「うんっ!!」ダダッ

ヒデコ「あ、ブーツ…」

ミカ「履かずに行っちゃった…」

フミコ「ごめん、これ穂乃果に届けてくれる?」

ことり「うん、おーい!穂乃果ちゃーん!忘れてるよー!」ダダッ

ヒデコ「って南さんも履くの忘れてるーっ!!」

フミコ「やっぱり私たちよりバカだよね…」

ミカ「ま、真姫ちゃん…」

真姫「…とりあえず、先にブーツを履くべきね」ハキハキ…

真姫「しっかし…」

真姫「あの異常気象がどうして急にピタリと止んだのか…。謎すぎるわ」

真姫「みんなの思いが奇跡を起こした…的な?はは、まさかね…」


真姫「よし、準備オッケー!ことり、あなたの靴も持って行くわよ!」ダダッ!!


ヒデコ「いっけーーー!!」




穂乃果「っと、よし履けた」

ことり「あ、真姫ちゃん…。それ私の?」

真姫「そ。早く履きなさい。みんな見てるわよ」

ことり「わぁ恥ずかしい。よいしょっ…」ハキッ

ことり「うん、履けた!じゃ、今度こそ…」

穂乃果「行こうっ!」ダダッ!!



穂乃果「はぁっ…、はぁっ…!!」タッタッタッ…


「全力で走れーー!!」


ことり「はぁっ…、はぁっ…!!」タッタッタッ…


「がんばれー!」「足元気をつけてー!」


真姫「はぁっ…、はぁっ…!!」タッタッタッ…


「間に合うよー!」「慌てないでー!」

「こっちこっちー!」「そのまままっすぐー!」



穂乃果「はぁっ…、はぁっ…!み、みんなっ…!!」



「がんばってー!」「はしれー!」「落ち着いてー!」「ちゅんちゅんっ!」「道間違えちゃダメだよー!」

「転ばないでー!」「いっくにゃー!!」「絶対勝ち上がって!」「負けないでー!」「滑るから気をつけてねっ!」



ことり「みんなの応援が、力になるっ…!」



「この先左ー!」「信号無視はダメだからね!」「…ま、頑張ってね」「声出してこー!」「き、きっと大丈夫、ですっ…!」

「ファイトだよっ!」「おーい!こっちだよー!!」「負けたら承知しないから!」「ハラショー!」「応援してます先輩っ!」



真姫「奇跡を起こしたみんなの声で…っ、心が熱くなるっ…!」



「もうちょい!」「あなたたちなら行けます!必ず!」「レッツゴー!」「私たちも頑張ったんだから、あなたたちもね?」「アイドルの意地、見せなさいよっ!」

「東だよー!」「橋の下渡ったらすぐだからっ!」「もうちょっとやよ!」「ガンバガンバ!」「…みんなが、待ってるから!」




タッタッタッ…


穂乃果「はぁっ…、はぁっ…、はぁっ…!!」

ことり「あっ…!」

真姫「み、見えたっ…!!みんなっ…!」



凛「おーいっ!こっちにゃー!!穂乃果ちゃーんっ!」

花陽「間に合ったっ…!!」

希「よかったっ…!」


穂乃果「はぁっ…、はぁっ…、みんなぁっ!!」

穂乃果「うあぁーっ!!」バッ


絵里「穂乃果っ!」バッ


穂乃果「絵里ちゃーーーーんっ!!」ダッ



海未「させるかぁぁぁぁぁぁっ!!!!」ドシャァァッ!!


絵里「おうふっ!」ドサァッ…


海未「穂乃果あぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっ!!」ギュッ!!

穂乃果「うえぇぇぇぇぇっ…!絵里ちゃぁぁぁ…うあわぁぁぁぁぁぁん…」

穂乃果「寒かったよぉぉっ、怖かったよぉぉぉ…!これでおしまいなんて…、ん?…くんくん」

穂乃果「…絵里ちゃんの匂いじゃないぞこれ」

海未「穂乃果…、辛かったんですね、寂しかったんですね…。わかります…」ナデナデ

穂乃果「う、海未ちゃんっ!?いつの間に…え、えーっと…」

穂乃果「>>703

くっさ

穂乃果「くっさ」

海未「え」

穂乃果「体臭もさる事ながらなんか…塩素の臭いも相まってエグいこれ…。うぇっぷ…」

穂乃果「そんでもってなんでそんな変な格好してるの!?うさ耳スク水ニーソって!」

海未「こ、これはその…、私なりの正装といいますか…。ほら、さっき猫耳からうさ耳にチェンジしてきたんです!」

穂乃果「どうでもいいわそんなん!何年物のスク水だよこれ!うぇっ…、臭い移っちゃったかも…」

海未「私そんなに体臭いますかね…。しかし穂乃果に私の体臭をマーキング出来たと考えればあながち悪くはない気がします…」

穂乃果「キモいよ海未ちゃん…。帰ったら身体30回くらい洗お」

絵里「…あの、誰か。突き飛ばされた拍子に雪へ突き刺さった私を助けて」

凛「ラブマージナルの歌詞かにゃ?雪に突き刺さった私を助けて~恋人たちは引き合うものだと~♪」

花陽「なんかレアだね、凛ちゃんが歌ってるの」

にこ「ボケたり歌ったりしてる場合ぃ~?」

希「身体、ウズウズしとるよ?」

にこ「私はツッコミ担当だから。…希こそ」

希「羽毛」

にこ「…ちょっとそれはわからないわ」

希「うん、もう、の略やよ」

にこ「わかるかそんなもん!」



モブ共「ざわざわ…」


穂乃果「あ、みんな!」

海未「みんなにお礼をしなければ、ですね」

穂乃果「うんっ!」

絵里「その前に私を誰か…」

穂乃果「みんな、本当に…」

絵里「あ、スルーですかそうですか」

穂乃果「みんな本当にありがとう!」

穂乃果「私たち、一生懸命目立ちます!…じゃない、歌います!」

穂乃果「今野のこの気持ちを、有野のママに!」

穂乃果「大輔を、大輔のママ…大豆切って上手い鱒!」

穂乃果「絶対、愛撫性交させるね!」

ことり「台無しすぎるよ…」

真姫「料理中の有野大輔の母親に今野さんの情事に持ち込みたいって気持ちを伝えるのかしら。成否が気になるところね」

にこ「真剣に考えなくていいから!!」




ツバサ「…間に合ったようね」クチュクチュクチュクチュ…

英玲奈「おいやめろ。今すぐその手を止めろ」

ツバサ「ふっ…、それでこそライバルというものよ」クチュクチュクチュクチュ…

ツバサ「うっ」プシッ

ツバサ「もうライブとかどうでもいいや」

あんじゅ「…これ負けちゃったかな」

ライブステージ


ヒデコ「がんばれー!」

フミコ「いっけぇー!!」

ミカ「ファイトー!!」


亜里沙「アネックス1号ー!」

雪穂「お姉ちゃーん!」

ほのママ「穂乃果ー!」


コトリチャーン!!ウミー!!ハナヨー!!リンチャーン!!ノゾミー!!エリー!!マキチャーン!!ミモリーン!!ロクサキコニ-!!



穂乃果「…すぅっ」

穂乃果「みなさん、こんにちは!」

穂乃果「これから歌う曲は、この日に向けて、新しく作った曲です!」

穂乃果「たくさんのありがとうを込めて、歌にしました!」

穂乃果「応援してくれた人、助けてくれた人がいてくれたおかげで、私たちは今、ここに立っています!」

穂乃果「だからこれは、みんなで作った曲です!」

一同「聞いてください!」



絵里「…」

絵里(…えーっと、ここ、何言うんだっけ)

絵里(というか目をつぶって何かを考えるだけなんだから別になんでもいい気がするけど)

絵里(そうね、なんでもいいわよね)

絵里(>>706

真姫(>>707

にこ(>>708

凛(>>709

花陽(お米が大好きで)

希(>>710

海未(穂乃果が大好きで)

ことり(私のいいなりになる穂乃果ちゃんが大好きで)

穂乃果(>>711が、>>712だったから)

後で海未に仕返ししてやる

音楽が大好きで

百合

こたろうってなんで家にいるのかしら

あれ、出だしの歌詞なんだっけ

やばい、おしっこ漏れそう

限界

絵里(後で海未に仕返ししてやるんだから)

絵里(肥溜めに突き落とすのとかアリね。体臭が多少はマシになるわ)

真姫(音楽が大好きで)

真姫(…ライブ前だし真面目にならないと。みんなも真剣そうな顔してるし)

にこ(百合)

にこ(百合)

凛(こたろうってなんで家にいるのかしら)

凛(…っは!?な、なんか電波的なものが凛の頭にねじ込まれたにゃ…!?)

凛(まるで何か一つのことしか考えてない人の頭から言葉がはじき出されて凛に向かってきたかのような…)

花陽(お米が大好きで)

花陽(大好きすぎてお風呂は毎日おかゆ風呂、家にある食器から筆記用具まで全部米製、もし仮に起きたら枕元に米俵が積まれでもしたら…)

花陽(歓喜しすぎで死ぬ…)

希(あれ、出だしの歌詞なんだっけ)

希(『いぇーねばせーいだーい』だったっけ、あ、違う。『セロリ上手いし』だったかな)

海未(ちなみに皆の言葉を無理やり歌詞にねじ込むのは苦労しました)

海未(全編意味の通る歌詞にしたかったのですがさすがに無理がありましたから、大目に見てください)

ことり(あ、メロディとかダンスは基本的に本家スノハレとなんら変わりないよ。衣装もね)

ことり(…って私何考えてるんだろ。集中集中…)

穂乃果(やばい、おしっこ漏れそうが、限界だったから)

穂乃果(もう文脈意味わからんくらいおしっこ漏れそう)

穂乃果(でもこんな白と青の照明しかない場所で漏らしたりなんかしたらバレバレだよ…)

穂乃果(くっ…、ガマンして踊るしか、ないっ…!!)

テンテレレレテンテテーン…テレレレーレレーン…テーンテーンテーン…♪


穂乃果(あ、ヤベ。曲始まっちゃったよこれもうやるしかねぇな)

海未(正直自分でも意味わからない歌詞ですから脳内で解説しながら歌いましょうか)



穂乃果「すぅっ…」



「  Who sing in? Damn man. こ気持ちいい  」

「  空から降ってきた徳井  」



観客「…っ!?」

ザワッ…



海未(最初の英文は『誰に歌ってるの?バカな人』と訳します)

海未(一旦Damnで区切りながら歌うのがポイントです。残りの歌詞が意味深に聞こえます)



「  特別な亜里沙の色が ときめきメモリアル  」



亜里沙「…え?」

雪穂「今亜里沙の名前…」



絵里(特別な亜里沙とかもう…私のための歌でしかないわね)

海未(メモリアルは凛が言ってたので入れました。無駄に)



「  初めて味わったときから いよかんに騒ぐ味蕾マイメロディ  」



真姫(柑橘類キライな私の気持ちが如実に表れているわね)

海未(マイメロディは凛がスキスキスーとか言ってたから入れました。無駄に)



「  止められない 止まらない  」


「  仁・丹  」



穂乃果(今は私の尿意が止められない止まらないだよ。かっぱえびせん状態だよ)

凛(仁丹って聞くとあの花思い出すね。『あの日見た花陽の性癖を凛はまだ知らない』とかいうタイトルのやつ)



「  急いでいつの間にか 大きくなりすぎた  」


"  T  r  u  e     e  m  o  t  i  o  n  "
「  希望よりも熱く絶望よりもふかいもの  」



海未(もうこことか観客には全く歌詞伝わりませんね。当て字ってレベルではないので)

希(出だしから口パクでなんとか凌げてる。私天才だね)

「ど、どういう歌詞…?」「さぁ…」

「でもダンスはすごくカッコイイし…」「多分すごい深いこと言ってるんだよ…」




「  ラノベだけ見てるようじゃ キモいよ  」

「  ヒカルの碁 読めっていいたい  」



海未(やはりヒカルの碁は頭脳戦を上手く描いた最高傑作だと思います)

海未(世のラノベばかり読んでる人たちには是非とも参考にしていただきたいものです)



「  ヲタクの目が 戸惑ってる重いよ  」

「  このまま一気に通報 預けてPlease!!  」



にこ(ふぅ、一段落着いた…。どこかににこの好みの女の子いないかしら…)

にこ(はっ!あそこに女子二人組…ってあれは穂乃果と絵里の妹…)

にこ(…いえ!アリだわ!ゆきあり…、むしろ最高とも言えるわね…。今夜のオカズは決定だわ)


穂乃果(い、イントロに入ったけど…!もう、もう無理もう無理!決壊寸前10秒前くらい)

穂乃果(アネックス1号のみんなに見られたらこれはもう…一生『漏れ坂尿乃果』扱いされるわこれ)

穂乃果(な、ならせめて…漏らすならダメージが最も少ない時点で…)

穂乃果(そう、ラスサビに入る直前は穂乃果以外は目を閉じていて見えないはず…っ!そこですればいいや!)

穂乃果(シャンシャン言って耳に手を当ててる…!も、もう少し…!これが全員終わった瞬間に…!)


シャンシャンシャンシャンシャンッ…


穂乃果(今っ!)ジョジョジョッ…



「  届けて切なさには 名前を付けようか  」


"  S n o w h a l a t i o n  "
「   神  魔  の  黙  示  録   」



穂乃果(奇跡が起こった)

穂乃果(私がおしっこ噴射したその瞬間)

穂乃果(今まで白銀の世界を模した青白い照明たちが…)

穂乃果(一瞬にして、穂乃果のおしっこ色になったの!)

穂乃果(おかげでメンバーのみならず、観客にもその色に紛れて私のおしっこは気づかれてない!)

穂乃果(そっか、そっか…!これがっ…)

穂乃果(『Snow halation』なんだねっ…!!)

海未(違います)

穂乃果(イントロじゃなくて間奏だった。冷静になって言い間違いに気づいたよ)

ことり(この照明演出私が考えたんだ~。綺麗だよねー)

穂乃果(それにしても見事な穂乃果のおしっこ色だなぁ…)

海未(後で舐めとっておいてあげましょう。幸い私以外は誰も気づいてないようですし)



「  思いが重なるまで 待てずに  」

「  悔しいけど すじこって純情  」



海未(もうこの辺は9割ヤケクソです。すじこが純情とかイミフすぎです)

凛(深い歌詞だなぁ)



「  微熱の中 ためらっても駄目だね  」

「  焼きたてジャパンはサンデー まもなくStart!!  」



花陽(お米で作ったパンってほのぱなの究極形態だよね。実は裏で穂乃果ちゃん狙ってることは知られてはいけない)

海未(まもなくスタートどころかとうの昔に終わってます。なぜ小学館の宣伝なんかしているんでしょうか私は…)




テーン…



穂乃果(…)

穂乃果(優勝は貰ったかな)ドヤァ…







うろライブ! 第九話

おわり

真姫「…」

凛「…」

真姫「…次回あたり最終回かしら」

凛「えぇぇぇっ!!?まだ三話分残ってますけど!?」

真姫「こんなんで本戦出られるわけ無いでしょ」

真姫「穂乃果も予選にも関わらずこれで優勝もらったとかほざいてるし」

凛「じ、自信たっぷりなのはいいことにゃ。…ね?」

真姫「もはや何も言うまい。感想はあなたたちに任せるわ…」

凛「えー…、では次回の忘却」

真姫「次回、10話はお正月にみんなで集まってなんかする話だった気がするけど、特に誰かが目立ってた記憶はないわね」

凛「いやもっと大事なシーンがあったよね…別にここで言う必要はないけどさ」

真姫「というわけで次回はランダムにしましょう。10分の1の確率で全員忘れるというギャンブル付きの」

凛「全員忘れるということは一切それに触れることができなくなるから安価的にはいろんな意味でハズレだよ」

真姫「じゃ、そんなわけでこんな時間だけど一応最後までやれたわね」

凛「最後までわざわざ付き合ってくれた人には感謝感激ラーメンつけ麺だにゃ」

真姫「そんなもん降り注いだら火傷しちゃうわよ」

凛「このSSが火傷みたいなもんだにゃ」

真姫「言えてる。…じゃ、今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

凛「次に衆人環視の中おもらしするのはあなたかもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」



安価先のコンマ以下一桁が

1 穂乃果
2 海未
3 ことり
4 真姫
5 凛
6 花陽
7 にこ
8 絵里
9 希
0 全員


一人目の忘れること >>725

二人目の忘れること >>727

三人目の忘れること >>729

最初から最後まで笑ったわ……

身体に纏うもの全て

メンバーの顔

はーいこんばんは もしライブ!6話の続きやっていきたいところですが
間を開けたせいか書きたいことが浮かんでこない状況 このままだと一生書けそうにない気がするので自分を追い込むためにとりあえず続き書く宣言します
1レスに1時間かけたり一回の更新でほんの数レスしかできないかもしれないけどご了承くだしあ じゃ、やってくぞオラァ!

海未「それでは、まず布団を敷いておきましょう。いつ眠くなるともわかりませんからね」シキシキ

ことり「わぁ、おふとんふかふかですべすべ~!はぁぁ…、気持ちいい…」グテー

海未「こ、ことり…。まだ敷き終わってないので寝転がるのはやめてください…」


にこ「…」

にこ(なんか真姫ちゃんと希さんに押し切られて流れでお泊りすることになっちゃったけど…)

にこ(私がここにいていいのかな…)

にこ(なんか、場違いな気がする)

にこ(確かに大勢で食べるご飯は美味しかったし、お風呂も気持ち良かったけど…)

にこ(ゆったりしすぎたせいでいつもならもうとっくに寝てる時間を越しちゃってるし…)

にこ(なのにまだなんだか寝る空気じゃなさそうだし…)

にこ(ホントにこれで疲れが取れるのぉ…?いつもよりヘトヘトになるんじゃ…)


希「…にこっち?」

にこ「ふわっ!!?な、なによ…」

希「なーんかボーっとしてるなーって。眠い?」

にこ「眠いかって言われれば…そうでもないけど」

希「そう。眠くなったら素直に言いよ?」

花陽「あの、それでこれから何するんですか?もうご飯もお風呂も済ませちゃったし…」

真姫「あとは寝るだけじゃないの?」

希「いやいやー、これからがお楽しみなんやないの」

ことり「お楽しみ?」

希「こうやって寝る前に円になって枕を抱えながらいつもじゃ出来ないアレやコレやを語り合う…」

希「合宿の一大イベントの一つやん!いわゆるピロートークってやつやね!」

海未「ほう…、これが巷に言うところのピロートークなのですか…」

花陽「違うよ!?枕を抱えるからって意味じゃないからね!?」

真姫「どちらかといえば…女子トークね」

ことり「じ、女子トーク!んふふ、なんだか甘い話も期待できちゃうのかなぁ?」

海未「この5人で甘い話を期待するのは難しいと思いますが…一部を除いては」

花陽「はっ…!視線を感じる…!」

希「海未ちゃん、5人やなくて6人やよ?今日はにこっちも来てるんやから。ね?」

にこ「え?あ、あぁ…。そう、なのかしら」

真姫「…で?結局何を話すのよ」

希「んー…、せやねぇ…」

希「特に決めてないわ」

真姫「おいおい…」

海未「自然に集まるならまだしも、こうして急に何かを話せと言われると…」

ことり「何を話したらいいのかわかんないね」

花陽「そもそもいつもじゃ出来ない会話って…どんな会話?」

真姫「私たち基本的にそんなに隠し事といった隠し事があるわけでもなし…」

海未「企画倒れでは?」

希「ぐぬっ…!そう言われるとキツいかも…」

にこ「…じゃあもう寝たらいいんじゃないの?」

希「そ、それもなんか寂しいやん!くっ…、こうなったら最終兵器…!」

希「じゃじゃん!これからの人生を占う、スピリチュアルなボードゲームも用意してあんねんよ!」ババーン

希「話題が尽きれば出そうと思ってたんやけど、まさかこんな早くに出すことになろうとは…」

花陽「どれだけ夜更かしする予定だったんですか…」

にこ「ていうか、あんたたちも明日朝から練習なんでしょ?こんな遅くまで起きてていいの?」

海未「いいのかと言われるとそうでもないのですが…」

ことり「別に寝てもいいんだけどね」

にこ「でしょ?だったら…」

希「もー、にこっちー!!今日はお泊まり会やねんから、空気感を楽しもよ!」

にこ「って言われても、何か話せって言われても私は…」

にこ「…あなたたちと共通の話題とか、少ないと思うし」

にこ「なんなら私だけ先に寝て、後はあなたたちで…」

真姫「…あ。あるじゃない、共通の話題」

にこ「え?」

真姫「アイドルよ。スクールアイドル」

真姫「ここにいる6人…いえ、希を除いた5人は、偶然にもスクールアイドルなわけじゃない?」

希「ありゃ、今度はうちが除けもん?」

真姫「…アイドル応援部ってことも含めれば、全員がスクールアイドルに何らかの関係があるわけでしょ」

ことり「偶然っていうか、真姫ちゃんが集めたんだけどね。私達を」

真姫「そうでもあるけど、えー…そういうわけだから、何かアイドルにまつわる話なら盛り上がるんじゃないかしら」

花陽「アイドルにまつわる…」

海未「プロのアイドルや他校のスクールアイドルに関しては花陽は詳しいでしょうが、私たちはまだそれほど知っているわけでも…」

真姫「んー…、だったら自分の話。自分がスクールアイドルであることに対して、何か思うことを発露していくとか、ね」

ことり「思うことかぁ…。それならあるかも」

真姫「にこちゃんも、いっぱい言いたいことあるんじゃないの?もしよければ教えて欲しいんだけど」

にこ「私も?」

真姫「ここにいる誰よりも、スクールアイドルを目指している期間は長いんだから。みんなも興味があるでしょう?」

花陽「うんっ!にこにーのアイドル観については日頃から気になっていて…」

真姫「…特にこの子がね。どう?にこちゃん」

にこ「…」

にこ「…はぁ。いいわよ。乗り気ではないけど…寝るのは後にしてあげるわ」

希「じゃあ結局うちはスクールアイドルやないし、ハブられてるんやね…」

真姫「えっと、それは…」

希「いいもん!だったらうちはうちで、女子トークの進行役を務めさせてもらうのだ!」

希「てなわけでー、最初に語るのは誰かな誰かな~?場をあっためてくれる最初の語り部は~?」

一同「…」

希「おや?誰も手が挙がらんね」

花陽「最初と言われると緊張するから…」

ことり「私も…」

海未「私もです…」

にこ「わ、私も」

希「仕方ないなー。じゃあここは司会進行役のうちが独断で決めさせてもらおっかなぁ~ん…」

希「最初の語り部はぁ~…」

真姫「…私、でしょ?」

希「お、なんでわかったん?」

真姫「なんとなくあなたの醸し出す空気でわかるわよ。…ま、私から言い出したことだし」

真姫「じゃ、私からね。えー…、ごほんっ」

真姫「私はこうして、花陽、ことり、海未を集めてC☆cuteを発足した張本人ではあるんだけど…」

真姫「元々、私はそんなことをするつもりなんてなかった」

真姫「この世界…、この学校で、ただ静かに時が過ぎるのを待つ…。そうするつもりだったの」

花陽「それは、出席日数的なこと?」

真姫「え、ま、まぁ…。そんなところね。そろそろアブないと思って」

真姫「でも、そんな私を動かしたのは、花陽の涙だった」

真姫「理想を打ち砕くような現実を目の当たりにして、行く道を失ってしまった花陽のあの顔」

真姫「…きっと一生忘れられないと思う」

ことり「花陽ちゃんの泣き顔かぁ…。この前の凛ちゃん襲撃とはまた別の?」

真姫「まぁね…。あれはパニックだったけど、あの時のは…。見ているこちらも心を締め付けられそうな…」

花陽「や、やめてよ…なんか恥ずかしいよ…」

海未「しかし、事勿れ主義を貫こうとしていた真姫にそこまでさせるほどの泣き顔とは…」

真姫「それだけ悲痛だったのよ。だから私は、花陽に花陽の夢見たスクールアイドルを見せたくて、C☆cuteを結成したの」

真姫「花陽が凛のために、ことりと海未が穂乃果のために、と同じように、私のスクールアイドルとしての行動原理は花陽のため、ってことなのよね。実は」

真姫「体のいい言葉を並び立ててことりや海未を勧誘したけど、本音のところはそういうことだから、っていうのをわかっておいて欲しくて」

ことり「つまり真姫ちゃんはいざとなれば私や海未ちゃんより花陽ちゃんを取るってこと?」

真姫「そう…、なるわね。あまりそんな事態にはなってほしくはないけど」

海未「いえ、それでいいと思います。どちらも取ろうとして捨て鉢になるより、ずっといい選択だと思いますよ」

ことり「…そうだね。うん、そうだよ!もしどちらかを見捨てちゃっても、また後になって取り戻せばいいんだもんね!」

真姫「ありがとう。じゃあ私からはこれくらいね。これで場は温まったかしら?」

希「んー、いい感じいい感じ!じゃあ次は~…」



にこ「…誰かのために、スクールアイドルを…」

希「じゃ、加入順で行こかな。次花陽ちゃん!」

花陽「あ、私…えーっと、私はその…真姫ちゃんみたいになんだか深いことじゃないけど…」

真姫「別になんだっていいわよ。言いたいことなら」

花陽「そう?じゃあ言うね…」

花陽「私、最初真姫ちゃんにスクールアイドルはじめようって言われたときはすごく不安だった…」

花陽「本当にそれで私の目指すスクールアイドルになれるのかな、って…」

花陽「真姫ちゃんに説得されて、それなら…って決意した後も、ほんのちょっぴり」

花陽「でもね!でもっ…、今私、とっても楽しい!」

花陽「みんなで一から何かを作り出していくっていうのが、なんにも縛られずに自由な発想でステージを作り上げていくのが!」

花陽「まだほんの少しだけだけど、真姫ちゃんの言ってくれたとおり、私の夢は叶い始めてるんだと思う…」

花陽「あとは、誰もが憧れるような、そんなすごいアイドルになれれば…私の夢は叶うの」

花陽「えと、だからその…えーっと…」

花陽「ここ、これからもよろしくお願いします!」

真姫「え、よ、よろしくね」

花陽「…い、以上です」

海未「あ、終わりですか…。花陽らしい尻すぼみな語りでしたね」

ことり「でも花陽ちゃんの夢は着々と達成しつつあるんだよね。いいなぁ」

花陽「えへへ…。あ、じゃあ次はことりちゃん?」

ことり「あ、私かぁ…。んーっと、そうだなぁ…」

ことり「私は海未ちゃんの笑顔が見れて、とりあえずすごい幸せだなぁって」

海未「え…」

ことり「誘われたときは必死になって悩んで、ずっと立ち止まったままを選択しそうになってたけど」

ことり「いざ選んでみたらなんてことなくって…、こっちの道のほうがぜーったい楽しい道だったって確信を持って言える!」

ことり「穂乃果ちゃんの顔色を伺わずに済むしね。それは少し寂しくもあるけど」

ことり「だけどいつか、またあの頃と同じ日を取り戻すって決めたんだもん。後悔なんて、一つもないよ」

ことり「あとは衣装!自分で作って自分で着られるのはすごいいい!これは思わぬ楽しみでしたなぁ」

ことり「とまぁ、これくらいかな?はい、海未ちゃんどうぞ」

海未「えっ…、あ、はぁ…。えらくあっさりしてますね…」

海未「えーっと、私は…、なんといえばいいのか…」

海未「その…言いたいことはたくさんあるのですが言葉にすればとても長くなってしまいそうで…」

花陽「が、頑張って…!一番言いたいことをスッて言えばそれでいいんです!」

海未「そうですか…?で、では…っ!」

海未「わ、私はっ…、もっと大きな場所で、大勢のお客さまの前で歌ってみたいですっ!」

海未「この間のA-RISEのように…、たくさんの人々に囲まれて…!」

海未「今は穂乃果より何より…、これを一番の念頭において、スクールアイドルをやっています…!」

希「ほうほう…。海未ちゃんは思ってたより目立ちたがり屋やねんね」

海未「ぐっ…、恥ずかしながら…。メイドの頃の演じていた私は、やはり内なる欲望だったのでしょうか…」

真姫「恥じることなんてないわよ。その気概があれば、どんな壁も乗り越えていけるはずよ。海未」

海未「そ、そうであればよいですね…。うぅぅ…」

希「それじゃ、うちは飛ばして…最後、にこっち。何かある?」

にこ「…」

にこ「…」

ことり「にこちゃん?もしかして何もない?」

花陽「なければ無理して言わなくても…」

にこ「…いえ。そうじゃないの」

にこ「圧倒されて、っていうのかしら…。なんだか…、とても驚いちゃって」

海未「驚く?」

にこ「心の底から楽しいって言えたり、幸せだって言えたり…。まぁ目立ちたいのは私も一緒だけど」

にこ「なにより、誰かのためにスクールアイドルをやっているっていうのが、ビックリよ」

にこ「私は、私のためだけにスクールアイドルをやっているから」

真姫「…私以外は、ただ誰かのためだけってわけでもないんだけどね」

真姫「友達ともう一度友達になりたい、っていう、自分の願いの為でもあるから」

にこ「それでも、スクールアイドルになりたい、ってだけじゃ…ないのよね」

にこ「…なんだか、羨ましいわね」

希「羨ましい?」

にこ「私にはずっとそれしかなかったから」

にこ「嫌なことがあっても、不幸だって思えても、隅に転がってる石ころのような扱いを受けていても」

にこ「私はただスクールアイドルのことだけを考えて、頑張ってきたから」

にこ「あなたたちみたいに思えるのが羨ましくて」

真姫「…やっぱり、アイドル専攻は大変?」

にこ「えぇ、すごく。今までトップを維持できてたのが信じられないくらいね」

にこ「毎日毎日、蹴落とし合い。自分が上に上がるために、他人の心を折ることを一切厭わない」

にこ「正直…嫌気がさしてたまらないわ」

真姫「…」

海未「アイドル専攻…。聞いてはいましたが、やはり壮絶な場所、なのですね」

花陽「あ、だ、だったら…!」

花陽「にこにーも、その…うちに来ませんか!?アイドル専攻やめて、C☆cuteに!」

にこ「ここに?…ふふっ、そうね…」

にこ「…それだけは、絶対にありえないわ」

花陽「えっ…、ど、どうして…。にこにーも目指すところは同じなんですよね!?スクールアイドルの頂点!」

花陽「なら私たちと一緒に目指すのも…」

にこ「今の私は、もうただのスクールアイドルを目指している私じゃない」

にこ「私が目指しているものは一つ…。A-RISEなの」

ことり「A-RISEにそこまで執着してるの?どうして?」

にこ「簡単な話よ。子供が特撮番組見て、アレになりたいって思うのと一緒」

にこ「初めて見たA-RISEが、私にとっては衝撃的で…、私もこうなりたいって思ったの」

にこ「だから親に無理言ってUTXに入学させてもらったし、そばでA-RISEを見ることで、これ以外は考えられないってずっと思ってる」

にこ「A-RISEは私の…憧れなのよ」

花陽「憧れ…」

真姫「それは、ただのスクールアイドルじゃ満足できないほどに、大きいものなの?」

にこ「うん。UTXで過ごしているうちに、どんどん大きくなっていった気持ち」

にこ「ただのアイドルじゃない、トップアイドル」

にこ「圧倒的とも言える、スクールアイドルの頂点としてのシンボル」

にこ「私の中のA-RISEは、最強の代名詞なの」

海未「しかし、私たちもトップアイドルを目指しているのは同じです。それでも加入を嫌がるっていうのは…」

ことり「私たちはその器じゃない、って思ってるってこと?」

にこ「そ、そういうわけじゃなくて…。私は絶対王者としてのA-RISEがカッコイイって思ってるから」

にこ「私もその中に名を連ねたい。この先、生きていく上での勲章にしたいのよ」

真姫「トップアイドルだけでも、A-RISEだけでもなく…、トップアイドルのA-RISEがにこちゃんにとっての憧れなのね」

にこ「そういうこと。それに一度はトップを獲れるところまできたんだし、今更諦めたくないわよ」

にこ「…そう、今更諦められない。どれだけ辛いことがあっても…」

希「…」

花陽「強いんですね。私は、諦めちゃったから…」

にこ「そんなこと、…うぅん、そうよ。私は強いの」

にこ「強いって思わなくちゃ、やっていけない」

にこ「…少しでもダメだと思うと、心が折れてしまうから」

真姫「…」

真姫「ねぇ、にこちゃんは…今のアイドル専攻のやり方でいいと思ってる?」

真姫「他人を踏み台にして頂点を掴もうとする今の体制で」

にこ「それは…、私は、好きじゃない」

にこ「練習が厳しすぎて、アイドルを嫌いになっていった子を何人もこの目で見てきた」

にこ「いつか自分もこうなるかもしれないって恐怖に耐えながら、それでも我慢してここまで登ってきた」

にこ「だけど、こんなことは終わらせるべきよ。他人を蹴落とすより、真に自分を輝かせる人が、最もアイドルに相応しいって私は思ってるから」

にこ「だから尚更、A-RISEを諦めるなんて出来ない!誰かが夢見たアイドルを、嘘のまま終わらせたくない!」

にこ「A-RISEは、私が変える。頂点まで勝ち上がって、内部から」

花陽「内側から…」

花陽「…私と、まるで逆だ…」

真姫「そうね…」


真姫(花陽とにこちゃんは似ている。全てが華やかだと思っていたアイドルの現実に傷ついて)

真姫(その上で諦めた者と、諦めなかった者)

真姫(別の道から夢を叶えようとする花陽と、飽くまで自分の道を突き進み、醜悪な現実を自らの理想で塗り替えようとするにこちゃん)

真姫(どちらも楽な道ではないけれど…)


花陽「傷つくことから一度も逃げなかった…。すごいな…」

花陽「…にこ先輩はやっぱり、すごいアイドルだと思います」

花陽「こんな人がA-RISEになっちゃったら、私たち本当に勝てるのかなぁ…」

真姫「それは私も…不安なところね」

にこ「ふふ、照れること言ってくれるわね。…でも」

にこ「覚悟がどれだけ強くても、今のザマじゃあね…」

にこ「今までだって、穂乃果や凛になんとか付いていってたくらいだったし…」

海未「穂乃果…、やっぱりすごいんですか?」

にこ「えぇ、すごい…。なんていうかオーラが違うわよね…」

にこ「人を惹きつける才能っていうのかしら…。ステージ上でのあの子にはいつも驚かされる」

にこ「そして同時に、普段は人を寄せ付けないオーラを放って…、かなり怖いわね」

ことり「昔は穂乃果ちゃん、誰とでも仲良くなれる子だったのにね…」

にこ「優しくないってわけじゃないんだけど…、むしろ気を遣ってくれるいい子ではあるんだけど」

にこ「言葉の端々から冷徹さを感じるのよね…。感情が凍りついてるような」

にこ「…ステージの上の穂乃果は好きだけど、それ以外は…私はアイドルとしては、好きじゃないわ」

にこ「もっとアイドルは、普段からにこやかであるべきだもの!にこっ!…みたいなね?」

希「うんうんその笑顔その笑顔!にこっちも話せるようになってきたやん!」

にこ「あ、あはは…、まぁね…。で、そう…。凛も…」

にこ「…あの子は、色々と規格外過ぎるわ。あんなハードな練習をほぼ完璧にこなして、全然元気なんだもの」

にこ「弱音も吐かないし、泣いてるところも見たことない…。でも多分、最初からそうじゃなかったんだと思う」

にこ「…どこかで、タガが外れちゃって…、限界以上の力が凛を支えてるんだと思うわ」

にこ「いつか凛は…壊れちゃうんじゃないかって心配」

花陽「えっ…!凛ちゃんが…?」

にこ「わ、わかんないけどね?私の勝手な考えってだけだし…」

にこ「あ、でもあの生意気な性格は直すべきだと思うわ!人を敬わないのはアイドルとして致命的だもの!」

真姫「それには私も同意ね…。あの子には優しい凛に戻ってもらいたいものだけど…」

ことり「だけどにこちゃんもそんなすごい二人についていけるだけの地力はあるんでしょ?全然すごいよ!」

希「せやよ。あとはうまーく身体をリラックスさせれば簡単にまた上へ登っていけるって」

にこ「リラックスって…ホントにあなたを信頼してもいいの?逆に疲れさせようとしてるとか…」

希「おやぁ?うちを信用してない…?元部員ながらこれはちょっと許せませんなぁ~…」

希「おしおきの~…わしわしをくらえっ!」ガバァッ!!

にこ「んぎゃぁぁっ!!ちょっ…ひぃっ!!助けっ…あんっ」

ことり「はっ!甘い声!もしかしてそれ気持ちいい?」

にこ「そんなんじゃ…きゃうんっ!!にゃ、にゃいからぁっ…!ひゃんっ!」

花陽「は、破廉恥です…!」

海未「この程度ならアリじゃないですか?」

真姫「…なんだか色々いつもと違って面白いわね…」

にこ「はぁっ…、はぁっ…!」

希「うんうん、揉み心地も良かったし疲れ取れてきてるん違う?」

にこ「ウソでしょっ!?今のでまた疲れたわよ!」

希「まーまー。さ、お話の続き。みんなにこっちの話を心待ちにしてるよ?」

にこ「えっ、いやそんな…」


一同「じー…」


にこ「な、なんでそんな興味津津なのよ…」

花陽「にこ先輩のお話…、聞いてて飽きないです!」

海未「アイドルの姿勢に関してはとても参考になります」

ことり「声が好きかなぁ」

真姫「まぁ、にこちゃんのお話聞きたいし」

にこ「なんか一人だけ趣向が違う人いたんだけど…いやいいんだけどね」

にこ「でもこれ以上何を語れと…」

希「じゃあ…にこっちの好きなA-RISEについて何かないかな?」

にこ「A-RISEね…。それならたくさんあるわ」

にこ「私が憧れたA-RISEは過去のA-RISE…、今のA-RISEの先輩にあたる人なんだけどね」

にこ「その人たちもすごかったけど…、でも今のA-RISEもそれに劣らずすごいのよ!」

海未「ほ、ほう…、そうなのですか。どのように?」

にこ「きっと私がこの年のアイドル専攻だったら絶望してたってくらいに、みんなレベルが段違いでね…」

にこ「まず歌手専攻の優木あんじゅ…。歌が上手なのもあるけど、何よりそのキャラクター性が抜群!」

にこ「いつもおっとりしてて守ってあげたくなるようなお姫様キャラ…かと思えばそれは計算尽くで…」

にこ「と思いきややっぱり天然?って思わせるような、そこの見えない独特の雰囲気に魅了されるファンは多数なの!」

ことり「へぇ…」

にこ「そしてモデル専攻の統堂英玲奈!私の直属の先輩になる彼女だけど…」

にこ「切れ長の瞳と学生とは思えないそのスタイルで他を圧倒する姿はまさに女王の異名にふさわしいと言えるわ…」

にこ「既にスクールアイドルを特集する雑誌のみならず、一流のファッション雑誌のモデルを務めるほどの知名度を持つ、まさにトップアイドルなのよ…!」

花陽「なるほどぉっ…!!」

にこ「そしてなんといっても…ダンサー専攻の綺羅ツバサ!ツバサ様!彼女は最高よ!!」

にこ「その小さい体からはじき出されるバネのような機敏な動き!ダンスの貴公子の称号は伊達じゃないわね!」

にこ「穂乃果以上に人を惹きつけるカリスマ性を持っていて、あらゆるスクールアイドルの中で最たる人気を誇る私が尊敬してやまないお方なの!」

にこ「もうなんていうか何から何までカッコいいのよ…!全部完璧で隙がないっていうか…、それでもファンとの接し方はとっても紳士的で…!」

真姫「…ふぅん、ダンスね…」

にこ「私がこの年にUTXにいられたことを誇りに思うくらい、今のA-RISEを尊敬してるのよ!」

にこ「はぁぁ…!憧れられる身分で良かった…!もし私が浪人してなかったら…」

ことり「え、ロウニン?」

にこ「おっと何でもない!とにかく、私じゃ追いつけないレベルですごい人たちなのよ!」

にこ「世間での評価もこれまでのA-RISEを上回るもので、今じゃグッズの売上は…」

希「…にこっちにこっち」

にこ「なに!?」

希「声、大きい。もう夜やから、もう少し下げて」

にこ「…あ、ご、ごめんなさい…」ショボン

真姫(にこちゃんのA-RISE話はそれからも、声のボリュームを少し下げて続いた)

真姫(花陽との熱いトークにさすがに付いていきづらくなった私たちは…)


希「んー、じゃここらでついに出しますか!ででん!これからの人生を占うスピリチュアルなボードゲーム~!」

ことり「略して人生ゲームだね」


真姫(もう真夜中って時間からボードゲームに勤しむことに)

真姫(でもこれがなかなか盛り上がって…)



海未「1,2,3…あ、子供が生まれました」

にこ「また!?」

花陽「どれだけご祝儀を毟り取れば気が済むんですか!?」

海未「こちらも養育費が大変なんです!さぁ早くお金を!」


ことり「きたっ!転職だよ!」

真姫「まさかここに来て弁護士ですって…!?」

ことり「ふふふ、これからは勝ち組の人生だね…!」

海未「辛すぎます…。早く芸人から脱却したいです…」

にこ「私なんてギャンブラーよ…」

希「無職楽しー」


ことり「物件物件!えへへー、これだけ貯めてれば…」

希「1,2,3,4,5…あ、バブル崩壊。物件の価値が大幅に暴落…」

ことり「あんぎゃああああああああああああああああああああ!!!」

花陽「しー…静かにー…」

にこ「へへん!溜め込んでるからよ!ざまぁみろっての!」

真姫「これでほぼことりは無一文…。人生って怖いわね」

ことり「自殺ってコマはないですかー?」


花陽「つ、ついに息子が独り立ち…!親元を離れる時が来たんですね…!」

ことり「産毛の小鳥にもいつか空に羽ばたく時が来るんだよぉっ…!」

にこ「うぅ…!他人の子だけど今まで大変なこともいっぱいあったものね…。なんだか泣けてきたわ…」

海未「わ、私の子供たちが一向に働いてくれないんですが…。もう家計が火の車ですよ…」

希「無職は楽しいからね仕方ないね」


にこ「一着は私か海未ちゃんのどちらかに委ねられたわね…!」

海未「次のにこの出目で全てが決まります…!」

にこ「こ、来いっ!」カラカラカラ…

にこ「来たっ!10だわ!これで…」

希「あ、このゲームゴールするときはぴったり止まらないとその分逆走するから」

にこ「なん、だと…!?」

花陽「逆走する人生ってなんなんですか…」



真姫(結果的になんやかんやあって、株を一番所有してた花陽の優勝だったわ)

真姫(ちなみに最下位は…、私だった)

真姫「な、なんで私が…特に波風なく進んだはずなのに…」

にこ「劇的なドラマがない人生なんてそんなものってことよ!」

花陽「言えてるのかそうでないのか…」

海未「結局私が死ぬまで子供たちには脛を齧られっぱなしでした…。ゴール順位のおかげで資産はそこそこありましたが」

ことり「海未ちゃんはそこが痛かったねー。私は資産額がぁ…」

希「逆に株価が大幅に急上昇したからそんときに花陽ちゃんが差をつけたって感じやったね」

花陽「よ、よくわかんなかったけど買っておいて良かったぁ…!」

海未「さて、そろそろ…眠たくなってきましたね」

ことり「ふわぁぁぁあぅ…、うん、そうかも…」

にこ「うげっ!もうこんな時間…!?いつもより何時間も遅いんだけど…」

真姫「私たちも明日は早朝からの練習よ。さすがに寝ましょうか」

希「せやねー。じゃ、お布団に包まれて寝よう!」




モフッ…

花陽「はわぁぁ…、気持ちいい…」

ことり「毛布すべすべぇ…あったかぁい…くかー…」

海未「寝るの早いですね…。こんなところまで以前の穂乃果そっくりになって…」

希「じゃ、電気消すねー」ポチッ

にこ「きゃっ…、真っ暗…」

真姫「そりゃあ電気消したんだからそうでしょ」

にこ「全部暗いのは慣れてないのよぉ…!の、希さん、豆電気だけでも…」

希「ごめーん、うちのそれそういう機能ついてないやつなんよー」

にこ「ぬぁっ…!」

希(嘘やけど)

真姫「まぁいいじゃない。目をつぶれば一緒よ」

にこ「う、うん…。そうね、そう…」

にこ「…」

希「ちゅっ」

にこ「ひぃぃっ!!首筋ぞわっとした!」

希「にひひひひ、にこっち驚き過ぎー」

にこ「ちょっと!?なにして…」

真姫「つつつー…」

にこ「にひゃんっ!!ほっぺ!」

真姫「ふふ、暗いと敏感になるのね」

にこ「もうやめっ…」

希「わしわし」

にこ「だぁっ!!だからやめてって言って…」

海未「明日は早いんですからおとなしく寝てくださいぃっ!!」

のぞにこまき「「「はい」」」

「すー…、すー…」




にこ「…」

にこ(こんな時間に寝て明日、…っていうか今日、大丈夫なのかしら)

にこ(もう随分と夜中…。こんなに遅く起きてたのっていつぶりかな…)

にこ(希さんってば、疲れを取るって言ってたけど、逆に疲れがたまったようにしか思えないんだけど…)

にこ(ご飯をたっぷり食べてお腹膨れて、アイドルのことをいっぱい喋り倒して、ボードゲームで盛り上がって…)

にこ(練習後とは思えないくらい、騒いで…)

にこ(…でも)


希「…にこっち」

にこ「…」

希「にこっち、起きてる?」

にこ「なによ。もう寝なさいって言われたじゃない」

希「んふ…、せやけどね。ま、一つだけ」

希「にこっち…」

希「…楽しかった?」

にこ「…」

にこ「…えぇ。とても、楽しかったわ」

にこ「こんなに楽しかったのは…久しぶり」

希「そっか…。それなら良かった」

希「にこっち連れてきて、正解やった…」

希「明日も、頑張ってな…。にこっち…」

にこ「ふふっ、もう明日じゃなくて今日…」

希「すぴー…くかー…」

にこ「…ったく、こっちが喋ろうとしたらすぐ寝るのね」

にこ「…ばか。聞こえてないから好き放題言ってやるわ。ばか、ばーか、あほー」

にこ「それから…」

にこ「…ありがとう」

希「くかー…」

にこ「…おやすみ」

にこ「んすぅ…」



真姫「…」

翌朝


ピピピピ… ピピピピ…


にこ「ん…んんっ…!ふぅっ…」ピピピ…カチャッ

にこ「ふわぁぁぁぁぁ…やっぱ眠ぅ…」

にこ「早く、着替えて行く準備しなきゃ…」ノッソノッソ…


希「あ、にこっちおはよ」


にこ「あ、希さん…」

希「早いねー、もう出るん?」

にこ「8時集合だからね…。アンタたちはゆっくりでいいわね…」

希「この子たちは10時からスタートらしいから。うちはそのためのサポートやよ」

にこ「…もしかして、お弁当作り?」

希「まぁねー。身体にいいもの、摂ってもらわないとね」

にこ「へぇ、さすがはアイドル応援部部長さんね…」

希「にこっちの分も用意してあるよ」

にこ「え、そこまでしてくれなくてもいいのに…」

希「ダメダメ!ここまでしないと応援部部長の名が廃るってものやん!」

希「さ、朝ごはんもあるから、とっとと顔洗ってきぃね?」

にこ「わかった…わかりました」



にこ「うわ…。これ朝ごはん…?」

希「そ。はちみつとお砂糖たっぷり、フレンチトーストとホットケーキやよ」

にこ「ちょっと多くないかしら…」

希「朝たっぷり栄養を摂ることがスタミナを長持ちする秘訣なんよ!ささ、牛乳もあるし、お食べ」

にこ「じゃあ、いただきます…。もぐっ…」

にこ「…あ、美味しい」

希「せやろ?遠慮せずに、ぜーんぶ食べよ?」

にこ「うんっ。もぐもぐ…ごくんっ…」


にこ「ふぅっ…。お腹いっぱい…。ごちそうさまでした」

希「はい、にこっちの制服と、洗濯しておいた練習着。まだちょっと湿ってるかもやけど」

にこ「いつの間に…。あ、ありがとうございます」

希「何のこれしき。うちのお仕事やから気にせんとって!」

にこ「土曜日に制服っていうのもおかしな話ね…」

希「ま、お泊りやし仕方ないよね。はい、これお弁当」

にこ「本当に…。何もここまでしてくれなくても…」

希「だから、これがうちのお仕事、ひいては部活動やねんし!気にせんといて!」

にこ「わ、わかりました!じゃあ…美味しくいただきます」

希「それでよろしい」

にこ「そ、それじゃ…行ってくるからね!」

希「ん、行ってらっしゃい。…あ、にこっち」

にこ「な、なに?」

希「疲れ、取れたやろ?」

にこ「えっ…、あ…」

にこ「…そうかも」

希「ふふ、良かった」

にこ「なんか不思議ね…。あんなに騒いでたのに…」

希「これがうちのスピリチュアルパワーやよ」

にこ「そ、そうなんだ…」

希「…にこっち。また、大変だな、辛いな、って思ったら、いつでもおいで」

希「それまで、お弁当箱は持ってていいから。今度ウチくるときがあったら、返してね」

にこ「…うん。そうさせてもらうわ。じゃ、そろそろ時間も時間だから…」

にこ「行ってきます」ガチャッ



希「…うん、いってらっしゃい」


真姫「どうやら、元気になったみたいね。…安心したわ」

希「あ、真姫ちゃん。起きてたんや」

真姫「これでにこちゃんも、またバックダンサーに就けるはず。…ありがとう、希」

希「いやいや、これも真姫ちゃんのおかげやよ」

真姫「私の?」

希「うん。…にこっちのこと、よく見てくれたから」

希「この計画を立てる前、真姫ちゃんがここ数日にこっちの動向を見て気づいたこと教えて、ってうちが言った時」

希「『独り言が大きかった』って教えてくれたおかげで、万全な対策ができたから」

希「独り言が大きいっていうのは、日頃から誰かとの会話を欲しているって心のサインなんよ」

希「つまり、にこっちは身体より、ストレス…心の疲れを日々感じてた」

希「だからこうして、無理矢理にでも誰かと話して、遊んで、盛り上がる機会を設けてあげれば元気になれるって思ったの」

希「日々の辛い出来事も、こういう場所があるって知れたら、頼れる場所があるってわかったら、より耐えられるようになれるし、ね」

真姫「…やっぱり、あなたのおかげだわ。私の情報だけで、そこまで的確に解決法を探し出せるんだもの」

希「まぁ、色々勉強したから。ホント、色々ね…」

真姫「ふぅん…。アイドル応援部もなかなかにすごいところだったのね。そこまでのことを…」

希「…でも、もしにこっちにまだ……があれば、その時は…」

真姫「え?なんて…?」

希「…うぅん!何でもない!さ、真姫ちゃんたちもそろそろ朝ごはんの時間やよ!みんなを起こしてきて!」

真姫「はいはい、わかったわよ」

今日はここまで
お泊り編は要点だけ書く予定が思いつく限りのこと書いてたらクッソ長くなってしまった…
これからも少々長くなるけどお付き合いください ほなな

最近更新遅くてゴメン やっていくよ
汗で体調管理できるのかと質問がありましたが僕が聞きたいくらいです
イタリアのマフィアやそれに準ずる人なら出来るかもしれません



学校 多目的ホール


にこ「ふっ…、ふっ、はっ…」タンタンタタンッ…


絵里「それじゃ、お昼休憩にします。30分後に練習を再開するから、それまでに昼食、水分補給を済ませること」



にこ「ふぅ…」

にこ(不思議ね…。昨日あれだけ騒いでたのに今は疲れを感じない…)

にこ(いつもより身体が軽く感じるわね)

にこ(凝り固まってたものが解きほぐされたっていうのかしら、そんな感じがする)

にこ(さてと、じゃあせっかくもらったものだし、お弁当、いただきますか)

にこ「えっと、ここに…」モソモソ

にこ「あった。ってよく見ると、可愛らしいお弁当箱ね…。あの人らしくない」

にこ「別になんだっていいけど…じゃ、いただきます」カパッ

にこ「中身はバランスの取れた感じの…あむっ、もぐもぐ…」

にこ「…うん、おいしい」

にこ「…」モグモグ…


女生徒A「…」スタスタ…


ガツンッ

にこ「痛っ…」

女生徒A「あら矢澤さん、いたのね。そんなところで縮こまってるから見えなかったわ」

にこ「…」

女生徒A「元々小さいあなたが座ってたらそれこそ豆粒みたいで目に止まらなくて」

にこ「…」


にこ(この女は私と同じ、モデル専攻からのアイドル専攻)

にこ(スラっとした体型が自慢で、小さい身体のにこをいつもバカにしてる)

にこ(そのくせこいつ自身は一度も上にあがれてないから、私を僻んでいるってことみたい)


女生徒A「ぶつかったついでに聞いておきたいんだけど、最近どうなの?調子は」

女生徒A「必死で入ったバックダンサーを下ろされて、来年A-RISEになれるか心配で心配で仕方ないのかしら?」

女生徒A「安心して。あなたがバックダンサーに戻れることなんて二度とないから」

女生徒A「そもそもあなたがトップにいられたことがおかしかったのよ。発育不全の未熟な身体で恥ずかしくないの?」

女生徒A「チビはチビらしく一生…」

にこ「おしゃべりは上手なのね。それをもっとアピールしてきたら少しは上にあがれるんじゃないの?」

女生徒A「はぁ…?」

にこ「口のキレくらいダンスもキレが良くなるといいわね。ついでに頭の回転もね」

女生徒A「なんっ…!」

にこ「…私のことはどうでもいいけど、あなたは背の低いファンに対してもそんな言葉を吐くつもりなのかしら」

にこ「だとしたら、最低。自分が何のためにアイドルになりたいのか、もう一度考えてみなさい」スタスタ…


女生徒A「…っ」ピキッ…

にこ(口だけ達者で、自分を磨こうとしない奴が、このアイドル専攻にはたくさんいる)

にこ(辛い練習を乗り切って、自分は努力してるって、それで満足してる奴らが、いっぱい)

にこ(努力は大変だから、他の奴を蹴落として上に昇って)

にこ(アイドルが何かって、A-RISEの名前がどういうものかって理解できてない愚か者が、ほとんど)

にこ(そんなやつに、負けたくない)

にこ(何を言われようと、何をされようと、私は私の夢に向かって突き進むのみ)

にこ(その決意は曲げない。曲がったりしない)

にこ(今までは孤独で、誰にも理解されなかった私のこの思いだけど)

にこ(分かってくれる人がいるって、昨日理解できたから)

にこ(…もう、ひとりじゃない。応援してくれる人がいるし、同じゴールに向かって争い合えるライバルができた)

にこ(彼女たちの思いに応えるためにも、私はやる)

にこ(もう一度、バックダンサーに舞い戻るっ…!!)




夕方


にこ「ふっ…!だぁっ…!!」タタンッ!キッ!!

にこ「はいっ!」ダンッ!!


絵里「…」


にこ「…ふぅ。どう、ですか…」

絵里「どうって?」

にこ「前より良くなったと、私は思うんですが」

絵里「えぇ、すごく良くなったわ。かなりキレが出たわね、以前と比べて」

にこ「バックダンサーに追いつけたと思うんですけど!」

絵里「それは思い上がりよ。凛にも穂乃果にも追いついたとは言い難いわ」

にこ「…そう、ですか」

絵里「…けれど、再考の余地は大いにありね」

にこ「え?」

絵里「A-RISEの新曲のダンス、明後日までに完璧にしてきなさい」

絵里「明後日、一度で完璧に踊りきれたら、…もう一度バックダンサーに戻してあげる」

にこ「…!本当ですか!?」

絵里「えぇ、本当よ。ただしチャンスは一度きり。それを逃せば…もう次はないと思いなさい」

にこ「わ、わかりましたっ!ありがとうございます!!」



にこ(やった…!チャンスを与えられたっ…!)

にこ(以前ならどれだけ手を伸ばしても届かなかったチャンスが…!)

にこ(まさか本当に、一晩でこんなに変わるなんて…!)

にこ(真姫ちゃんと希さんには、感謝してもしきれないわねっ…!)

絵里「それじゃあ、今日はここまでね。自分に足りていないと思うところがあるなら、自主練習を欠かさずに」

絵里「最後の人は戸締りをきちんとすること。私は帰るから、用事がある人はそれまでにね」



ロッカールーム


にこ「よいしょっ…と、じゃ、お疲れ様でした」


凛「あれ?にこ先輩もう帰るの?今日は居残り練習じゃないんだねー」

にこ「凛…、そうね。あなたと一緒なのは久しぶりね」

凛「聞いたよー?明後日ダンスの試験を通れば戻ってこられるんだってね!」

にこ「…なんで知ってるのよ」

凛「乙女の噂はすぐ響き渡るものなんだよー。で、それなのに残らないんだ。バカ?」

にこ「バカって…。…今日は夕方に帰れるから、妹たちと一緒にご飯を食べるの」

凛「おぉ!家族思いだね!油断して足を掬われたらいいのに!」

にこ「キツいこと言うわねあんたも…。平気よ」

にこ「新曲のダンスならもう完璧に頭に入ってるから」

にこ「…あとは、身体が持つかどうか。それだけよ」

凛「ふーん。えらく自信満々だね。面白くないにゃー」

凛「ま、せいぜい頑張ってね!応援してるにゃ!バイバーイ!」ポンッ

にこ「あいたっ…この、一応先輩…って早っ…、もういないし」

にこ「…でもこれも、凛なりの励ましだと思いましょう」



帰り道


スタスタ…


にこ「あ、そういえば…」

にこ「希さんにお弁当箱、返さないと…」

にこ「…でも確か…」



(希「…にこっち。また、大変だな、辛いな、って思ったら、いつでもおいで」)

(希「それまで、お弁当箱は持ってていいから。今度ウチくるときがあったら、返してね」)



にこ「…」

にこ「そうね。まだ…持っておきましょう。それに、ちゃんと洗って返さないとね」

にこ「あ、そうだ!…」ポチポチ プルルル…

にこ「…ママ?あのね、今日の晩ご飯なんだけど…」

ロッカールーム


絵里「…」ヌギヌギ…


穂乃果「先輩」


絵里「…なに?ていうか、着替え中なんだけど」

穂乃果「用事があるなら帰るまでと仰られてましたので」

絵里「そうだったわね。…でも少し待って、せめてスカートを履き終えてからにして」ハキハキ…

絵里「…で、何か?」

穂乃果「聞きました。にこちゃん…、矢澤さんの件」

絵里「あら、もう伝わってるのね」

穂乃果「…特例過ぎませんか。そんなすぐに、バックダンサーへの復帰試験だなんて」

穂乃果「本来ならもう少し、ちゃんとした手順を踏んで、きちんとするべきです」

絵里「何?矢澤さんが復帰するのが不満なの?」

穂乃果「そうじゃなくて…、何事にも特例を作りたくないだけです」

絵里「融通の効かない性格ね。いいじゃない、少しくらい」

穂乃果「何事にも厳格であれと、そう言ったのは先輩でしょう!?」

絵里「実直すぎるのもつまらないわよ」

穂乃果「…話になりません」

絵里「あぁん、…わかったわよ。もうふざけないから」

絵里「矢澤さんは元々バックダンサーだったのだし、それなりの実力は既に折り紙つきでしょう?」

絵里「なら多少の試験の省略は効率を考える上でも有効だわ。それに…」

絵里「見込みなし、と判断したのは私の間違いだったのかもしれないしね。挽回のチャンスを与えてあげるくらいは許される範囲内でしょう」

穂乃果「…」

絵里「納得した?」

穂乃果「…理解はしました。納得はできないですけど、あなたがそうするというのなら…私はそれでいいです」

穂乃果「お着替え中、失礼しました。…では」ガチャリッ バタンッ


絵里「…」

絵里「なんて、これが建前だなんていうのは…あなたも気が付いているんでしょう?」

絵里「確かに、にこのダンスには目を見張るものがあった。…ああは言ったけど、本当はバックダンサーのレベルに十分に近づけてると言えるわ」

絵里「でもそれが、あの子本来の力なのか、それとも…」

絵里「風前と灯火の、最後の輝きなのか…。ふふっ…、それをこの目で確かめたいだけよ」

絵里「…風前の灯火だったわ。こんなところでまで噛むなんて不覚過ぎる」

矢澤家


こころ「…」ポカーン…

ここあ「…」ポカーン…

にこママ「…」ポカーン…

こたろう「…」モグモグ…


にこ「はふはふ…、あぐっ…もぐもぐ…!ごくんっ…がつがつっ…!」


ここあ「おねーちゃん、めっちゃ勢いよく食べてる…」

こころ「お姉さま、もっと落ち着いて食べないと…」

にこ「んぐっ!?うぐぐぐ…」

こころ「ほらぁっ!!?ここあ!お水お水!」

ここあ「はい!」

にこ「ごくっ…ごくっ…ぷはーっ…、あ、危なかった…」

こころ「どうしたんですかお姉さま…?そんなにたっぷり食べて…いつもは疲れてそれほど召し上がらないのに…」

にこママ「急に今日の晩御飯はお野菜たっぷりのお鍋にしてって言うし…明日の朝はフレンチトーストとホットケーキだって」

ここあ「おねーちゃんお泊りしてから変!」

こたろう「なにかあったー…?」

にこ「ん?…ま、まぁね!たくさん食べないと元気出ないのよ?ほら、こころたちも!」

こころ「わ、わかってます!ここあ、お姉さまに負けないくらい、たくさん頂くのよ!」

ここあ「うん!負けないかんな!」

にこ「えぇ、…もぐっ、もぐもぐ…」

こたろう「…バックダンサー」

にこ「ん?」

こたろう「ばっくだんさー…、どう?」

ここあ「こたろーはバカだなー。おねーちゃんはもうバックダンサーじゃないって前…」

こころ「こ、こらここあ!」パシンッ

ここあ「いたっ!なにすんだよー!」

こころ「ごご、ごめんなさいお姉さま!ここあが気のきかない発言を…」

にこ「…ごくんっ。うぅん、いいの。お姉ちゃんね、また…バックダンサーになれるかもしれないから」

こころ「えっ…」

ここあ「本当!?」

にこ「うん!試験に合格すればだけどね。それで体力つけるためにお鍋をね!」

こころ「そうだったのですか…!お、お姉さま!お気をつけて!」

ここあ「負けるなー!」

こたろう「がんばれー…」

にこ「…うん。お姉ちゃん、頑張るからね。絶対に…負けない」

希の家


海未『あははははは!も、もう一回…!もう一回お願いします…!!』

真姫「だ、だからぁ…。咄嗟に忘れ薬を飲んだ振りをしたナースにドクターは騙されて…」

海未『そしてめ、眼鏡爆発薬を…あっははははは!!そ、そんな…!あははははは!!』

真姫「笑いすぎでしょ…。逆に引くわ…」

海未『いえ、その…ぷふっ、あまりに真姫の話が面白くてつい…』

真姫「ことりが見たら感涙して気絶しそうね…」

海未『そうですね…。いやぁ、真姫は作り話がお上手だったんですね。驚きです』

真姫「…えぇ、まぁ」

真姫(実際にあったことだなんて言えまい)

真姫「というか、いつの間にそんな話になってるのよ!?次の曲の作詞の話だったでしょ!?」

海未『あぁそういえば…。えっと…か、考えておきます!では!』ピッ

真姫「あっおい…、切りやがったわね…。まぁ、海未ならなんとかするとは思うけど…」


希「真姫ちゃーん、お風呂空いたよー?」


真姫「あ、うん。入るわ」

希「はいはーい。…海未ちゃんと話してたん?」

真姫「えぇ、作詞の話でね。いつの間にか笑い話になってたけど」

真姫「あ、そうだ…にこちゃん、大丈夫だったかしら」

希「ん、にこっち?せやね…、どうなってるか…」

希「でも考えてても仕方ないやん。にこっちも頼れるものができたってわかってくれたやろうし、もし何かあったらこっち来てくれるって」

真姫「そうね。一番は、もう二度と私達を頼ってくれないこと、なんだけどね」

希「うんうん、吉報が届くのを待とう」

真姫「それが一番ね。…頼ってる、といえば、私もいつまでもこうして希に頼りっぱなしはいけないわよね…」

真姫「もう既に2ヶ月経ってるし…。いつかお家に帰る勇気が出れば…」

希「えぇよえぇよ。真姫ちゃんは心ゆくまでうちにいてくれたらいいから!」

真姫「って言っても…」

希「だって真姫ちゃん」



希「帰る家なんて、ホントはないんでしょ?」

真姫「…え?」

希「真姫ちゃんがうちにおるホントの理由は、家に帰りたくないからじゃない。…だよね?」

真姫「希…?」

希「多分サバゲーをやってたってのも嘘やね。筋肉が全身に均等に付きすぎてる。身体全体を激しく動かすようなこと、やってた証拠」

希「例えば…アイドルとか」

真姫「…」

希「他の子に比べて習得速度が早かったり、理解力があったり…どう見ても経験者のそれなんよね。真姫ちゃんは」

希「しかも、半年やそこらやないね。少なくとも…一年近くはやってる」

希「でもそれじゃおかしい。夏休み前からどころか、UTXに来る前から真姫ちゃんはアイドルをやってるってことになる」

希「ってなると、必然的にね」

真姫「あなた…、一体…」

希「うちはただのアイドル応援部部長やよ。一体なんなのか、それは…真姫ちゃんの方やないかな?」

真姫「ぅ…」

希「…なんて、別にうちは真姫ちゃんをどうこうしようなんて思ってるわけやないけどね!」

希「さっき言ったように、真姫ちゃんがうちを必要としなくなるまでいてくれていいから」

真姫「…怪しまないの?私が…、何者だ、とか…」

希「うちが怪しんだら、真姫ちゃんは喜ぶん?」

真姫「そうじゃ、ないけど…」

希「だったらそれでいいやん!うちは誰かが困ることしたくないし、うちを頼ってくれる人がいるなら、それに応えてあげたいんよ」

希「うちができることならなんでも。…ね」

真姫「…ありがとう。いつか…いつか本当のこと、話せる時が来るといいけど」

希「うん、気長に待ってる」

明後日 放課後

多目的ホール


にこ「それで、ダンスはいつから…」

絵里「練習終わりよ」

にこ「うぇ…」

絵里「当然でしょう。ノルマを達成してから与えられるものよ、チャンスっていうのはね」

にこ「…わ、わかってます」

絵里「あなたは元々体力不足で落とされたんだから、ヘトヘトになった状態でも踊れないと意味がないんだし」

絵里「理解したなら、準備運動を始めなさい」

にこ「…はい」



絵里「ワンツースリーフォー…」


にこ「ふっ…、はっ…」タンタンッ


女生徒A「…」




にこ「はぁっ…、はぁっ…!」


絵里「では今日はここまで。…矢澤さん、来なさい」

にこ「…っ。はいっ…!」



絵里「…本来のライブは息をつく暇もなく続けられることだってしばしばあるわ」

絵里「呼吸の整わない今の状態で、完璧なパフォーマンスを見せられるか、それが合格の条件よ」

にこ「はいっ!!」

絵里「それでは始めます。…音楽が鳴り始めたらスタートしなさい」

にこ「…」ゴクリッ


~♪


にこ「はぁっ…!」タンタタンッ…


絵里「…」


にこ「ふっ…、んんっ…!」タタタンッ…

デーン…


にこ「…ふっ!」ビシッ!!


絵里「はい、終わり」


にこ「はぁー…っ、はぁー…っ」

にこ「どう、でしたか…」


絵里「…」

絵里「…ふふっ」

絵里「どうやら…見込み違いだったようね」


にこ「なっ…」

にこ「それじゃあ…」


絵里「…あなたは」

絵里「あなたはもっと、弱い人間だと思ってたけど」

絵里「考えを改めないといけないみたい」


にこ「…え」


絵里「あなたの実力は本物よ」

絵里「素晴らしいわ、矢澤さん」

絵里「…明日からあなたは、バックダンサーに復帰よ」



にこ「…っ!!」

にこ「あ、ありがとうございますっ!!ありがとうございますっ!!」



にこ(やった…!!やったぁぁっ!!)

にこ(戻れたっ…!私の夢に、また片腕が近づいたんだ!)

にこ(よくやったわにこっ!!あなたはっ…あなたは最高よ!)

にこ(そして、ありがとうっ…!本当にありがとう!)

にこ(真姫ちゃんっ…!希さんっ…!!私を応援してくれた、みんな…!)



にこ「うぅっ…!」

絵里「ほら、なんて顔してるのよ。着替えてきなさい」

にこ「はいぃっ…!!ぐしゅんっ…ずずっ…」スタスタ…


絵里「…」

絵里「さぁ、本題はこれから。…私のA-RISEにとって、プラスに働いてね。にこ…」

あともう少し書きたかったがもう眠いのでおしまい 今日の夕方頃に続き書けたらそれは僕の奇跡
よからぬことを考えている時が一番楽しいです ほなな

夕方更新とかなかった 今日もこんな時間からやっていきますよ
最初の数レスは頭を温めるのに時間を要するので多少間が空くかもしれません もしかしたら寝てるかもだけどな

翌日

1年E組


花陽「ねぇ真姫ちゃん!聞いた!?」

真姫「ど、どうしたのよ…。朝から教室まで来て…」

花陽「にこ先輩が、にこ先輩がっ…!」

花陽「バックダンサー、復帰するんだって!」

真姫「なっ…、そうなの?それどこで…にこちゃんから直接?」

花陽「うぅん。直接本人に聞いたわけじゃないけど、なんだか噂になってるみたい」

花陽「昨日の放課後にダンスの試験があって、それに合格したから、とかなんとか…」

真姫「へぇ…でも所詮は噂だし、本当かどうか…」

希「本当やよ」ヌッ

真姫「うわぁっ!?!急に出てこないでよ!」

花陽「希さん?本当って…」

希「今日の朝、にこっちから直接聞いたんよ。真姫ちゃんや花陽ちゃんにも礼を言っておいてって言われて」

真姫「ということは…」

花陽「本当ににこ先輩、バックダンサーに戻れたってことですよね?!」

希「そういうことになるね」

花陽「よかった…!あの作戦がうまくいったのかなぁ?」

真姫「ふふ、そうだといいわね。でも、私たちにとってはあまりよくないかも知れないわよ?」

真姫「なんて言ったって、強力なライバルを復活させちゃったんだから、ね」

花陽「そんなこと言って、真姫ちゃん声が喜んでるよ!相当嬉しいんだよね?」

真姫「えぇ。にこちゃんのような人がアイドルになってくれるのはUTXにとってもいいことだし」

真姫「何より、私も彼女のファンであることには変わりないからね」

花陽「うんうん!あぁ、でもバックダンサーに戻っちゃったらまた前みたいに気軽に話しかけられなくなっちゃうのかな?」

花陽「それは少し残念だね。そうだ、海未さんとことりちゃんにも伝えてあげよう!協力してくれたんだし!」

真姫「はいはい、そうね。もう…花陽、少し落ち着きなさいよ」

花陽「落ち着いてらんないよ!行こ!」タッタカター

真姫「あぁ…希も、ことりたちににこちゃんからのお礼、伝えに行くんでしょ?行きましょ」

希「ん?あぁ…せやね」

希「…うん、行こか!」

にこ「でゅふふふ…!」

にこ「…っは、いけないいけない」


にこ(昨日の夜からニヤケ面が止まらない)

にこ(当然よね。まさかこんなに早くバックダンサーに復帰できるなんて、考えもしてなかったから)

にこ(まさかあの絵里…先輩が、こんな機会を与えてくれるなんて)

にこ(アイツのやり方はキライだけど、従わないとA-RISEになれないのが癪よね)

にこ(でもいいの!実力さえしっかり見てくれるなら、私はずっとトップで有り続けられれば!)

にこ(そうすれば、半年後には私は…A-RISEになれるの!)

にこ(長い間、夢にまで見た私の最高のアイドル…、一年浪人までして入学したUTXでしか得られない名誉…!)

にこ(この私が、ついに…!)

にこ「ぬふふふ…」


教師「…あの、矢澤さん。私の授業、そんなに面白い…?」



昼休み


にこ「また穂乃果や凛と一緒に練習することになるんだし…」

にこ「たっぷり食べて栄養取らないと!」

にこ「ということで、今日は少し奮発してAランチ特盛にしちゃったわ…!」

にこ「ふふっ、いただきまーす!」

にこ「もぐもぐもぐ…んんー!おいしー!」


にこ(やっぱアレねー。いっぱい食べないと元気が出ないんだわ!)

にこ(もう今はどんなものも美味しく感じる!)

にこ(この上なく、幸せって感じがする!)


にこ「もぐもぐもぐっ…ごくんっ!」

にこ「ごちそうさま!」


にこ「るんるんるるーんっ♪」タッタカター




「い、今の人って…」

「確か…、矢澤にこさん、だったっけ?あのAランチ特盛を一瞬で…」

「やけに楽しそうだったねー…。やっぱりあの噂は本当だったのかな?」

「それもそうだけど、お昼ご飯一人って…友達いないのかな?」

「一人でも本人が楽しそうならいいんじゃないの?」

モデル専攻授業


教師「…以前行った実技のテストの結果を発表します」

教師「出席番号順に並んで取りに来てください」


ゾロゾロ…


にこ(実技のテスト…。実際の撮影を行ってポージングなどのモデルとしての技術を図るものだけど)

にこ(写真写りや表情も見られて、結構高得点を取るのは難しい)

にこ(テストが行われた頃のにこはA-RISEの新曲ダンスに必死だったから、尚更かも)

にこ(それに関しては平均点程度を取れていればアイドル専攻の方には影響ないからいいんだけど…)

にこ「こうやって並ぶとねぇ…」

にこ(モデル専攻はほとんどが高身長の生徒)

にこ(その中に私が紛れるとなんていうか…)

にこ「…チビ」

にこ(…もうさんざん聴き慣れた言葉)

にこ(アイドル専攻の子が私を罵倒するときに必ず耳にする単語)

にこ(今更、何の感慨も起きない)


教師「はい、矢澤さん」

にこ「…どうも」

教師「はい、渡部さん」


にこ「あ…思ってたよりかはマシね」

にこ「ふふ、腐ってもアイドル専攻だもの。そうそう負けるわけには…」



「うっわー…、ヤバいよウチの点数。見てコレ!」

「えー!全然いいじゃん!私なんかこれだよー?」

「いやそれヤバすぎじゃない?だってほら…矢澤より下じゃん?」

「うわそれキツ…!ちょっとサボりすぎたかなー…」



にこ「…」

にこ(モデル専攻じゃ当然、私は浮いた存在)

にこ(侮られたり、見くびられたり、見下されたりはしょっちゅう)

にこ(だけど私だって…成績が悪いわけじゃない。テストで見るのは技術であって、身長じゃないし)

にこ(小柄なモデルだって、世の中にはたくさんいるし)

にこ(…にこほど小さい人は、そんなにいないかもだけど)

にこ「…フン」

にこ(いいの。そんなことはどうだって)

にこ(私にとってモデル専攻は二の次。本専攻であるアイドル専攻でなら、私はトップなんだから!)

にこ(モデル専攻の誰も私に追いつけない。にこはすごいのよ!)

放課後

廊下


スタスタ…


にこ(あー、ドキドキする)

にこ(こんなにドキドキするのは、バックダンサーに選ばれて初めて練習に向かう日以来)

にこ(A-RISEになれる第一歩を踏みしめた日)

にこ(一度は下ろされて、逸れてしまった夢への道だけど)

にこ(今日再び、私は夢に向かって歩みを進めるの)

にこ(これまではずっと一人で歩いてきた道にも)

にこ(私以外の誰かがいるんだって、わかったんだし)


にこ「このロッカールームの扉もなんだかいつもとは違って見えるわね…」

にこ「…ぅよし、入ろう」


ガチャッ


にこ「おはようございまーす…」ソソッ…

にこ(…ってなんで人目を避けるような入り方…。もっと堂々と入ればいいのに!)

にこ(バックダンサーに戻ったっていうのにまだ…)



ザワッ…



にこ「ん?」

にこ(…なんか、私が入ってきてから空気が変わった?)

にこ(何かしら。まさかみんな私に気圧されてるとか?)

にこ(なーんて、そんな…)

にこ「…」

にこ「…ぇ」


にこ(私がロッカールームに入ってきてざわめいた理由)

にこ(それは、自分のロッカーの前まで来てすぐに理解した)

にこ「なによ、これ…」

にこ(私のロッカーに、…酷い落書きが)

にこ(私を罵る汚い言葉が、つらつらと。その中には、嫌というほど見慣れた『あの言葉』も、当然のように)

にこ「…っは!まさかっ…!!」ガタンッ

にこ(嫌な予感がしてロッカーを開けたら…)

にこ「や、やっぱり…!」

にこ(予備の練習着やタオルが、全部ズタボロに…)

にこ「…っ!誰が…」

にこ「誰がやったの!?これっ!!」

にこ(私の問いに、答える人なんて誰もおらず)

にこ(厄介事から目を背けるように、一人、また一人とロッカールームを抜け、練習場へと出て行った)

にこ(そして最後に、私だけがロッカールームに取り残された)

にこ(…と、思ってたら)


「それやったの、私」


にこ「っ!」

にこ(私の後ろから、話しかける声)

にこ(振り向いて、そこに立っていたのは)


女生徒A「…やぁ。バックダンサー復帰おめでとう」


にこ「あんたっ…!」

女生徒A「どう?汚らしいロッカーが少しは見栄え良くなったんじゃない?」

にこ「ふざけないでっ…!!こんなことしてただで済むとでも…!」

にこ「私の心に負担かけてトップから引きずり下ろすつもりかなんだかしんないけど、こんなことしたらあんたの方が…」

女生徒A「あぁ私?…いいのいいの、もう」

女生徒A「アイドル専攻、やめたから」

にこ「…え」

にこ(そういうそいつの服は、確かに練習着ではなく制服のままだった)

にこ「どうして…」

女生徒A「私ね、あなたに言われて自分がどうしてアイドルになりたいのか考え直したの」

女生徒A「私の小さい頃の夢でね。よく公園でアイドルごっことかやってたなぁって思い出したの」

女生徒A「この学校に来たのもすごいアイドルになれるかもって考えて、練習も辛いながらも頑張ってきたんだけど」

女生徒A「いざ考え直したら、もうどうでも良くなってきちゃった。だって二年生のこの時期に、私は一度も上にあがれていないんだし」

女生徒A「例えいくら頑張って上に行ったところで、あなたには絶対に敵わない」

女生徒A「じゃあもうやる意味ないじゃんって思って。だからやめた」

にこ「なっ…」

にこ「ゆ、夢なんでしょっ!?どうして諦めようとするのよっ…」

女生徒A「…夢だった、ってだけ。もう疲れたし、しんどいし、そもそもアイドルとかバカバカしいじゃん」

女生徒A「ていうわけでー、やめることとなったわけですよ」

女生徒A「でもさー、ただ辞めるだけじゃつまんないでしょー?だから最後になんか残そうと思ってさぁ」

女生徒A「一番ムカつくヤツのロッカーにカワイイお絵かきしてオサラバしようって」

女生徒A「じゃあそういうことだから。気に入らなかったら消しといていいよ」スタスタ…

にこ「っ…!待っ…」

女生徒A「あ、最後にもう一つ」

女生徒A「…すぅっ」

女生徒A「ずっと目障りだったんだよクソチビがぁっ!!!アンタのせいで私の夢は台無しだよボケがっ!!」

女生徒A「消えろ消えろ消えろ消えろ!!死ね死ね死ね死ねチビがぁっ!!ウザいしキモいしっ!!」

女生徒A「アンタみたいなチビがアイドルになれるわけねぇだろバーカッ!!せいぜい束の間のアイドルごっこをお楽しみにね!!」


ガチャッ バダンッ!!


にこ「…」

にこ「…」

にこ「なにがッ…!」

にこ「私のせいで、よっ…!!」

にこ「アンタが努力しないのが悪いんじゃないっ!!!勝手に人のせいにしないでよっ!!!」

にこ「私よりずっと恵まれた身体してるくせにっ…!!このっ…」

にこ「くあぁぁっ!!!」ドゴォッ!!


にこ(苛立ちを拳に乗せて、ロッカーに思い切りぶつける)

にこ(硬いロッカーがほんの少し凹んで、代わりに私のげんこつから血が)

にこ(…こんなことしたって何も変わんないってこと、わかってる)

にこ(こういう嫌がらせや罵倒を受けるのだって、今年に入ってからもう何度も体験した)

にこ(それらの全てが、夢に敗れていった人の憂いが怨恨へと姿を変えたものだってことも、わかりきってる)

にこ(みんな、最初は私と一緒だったって…知ってる)

にこ(だから、今更何も感じない。こんなのは当然なんだ、って)

にこ(そう決めつけて、心を雁字搦めにして…)

にこ(…うん。今はそれより、練習が第一だから)

にこ(あんなことに付き合ったせいで、かなり時間を取られた)

にこ(早く着替えて、練習場へ行かないと…)


にこ「…」キガエキガエ…






にこ「…えっ?」

にこ「気の、せい…?」

にこ「…そうよね。もうロッカールームには私以外誰もいないんだから」

にこ「声がするわけ、ない…」

多目的ホール


にこ「すみません、遅れましたっ!」


にこ(とはいえギリギリ授業前ではあるけど)

にこ(もちろんそんな理屈は、このアイドル専攻では通用しない)



絵里「…矢澤さん。バックダンサーに戻った途端これ?」


にこ「ごめんなさいっ!急いで準備運動に入ります!」

絵里「はぁ…。いいわ、早くなさい」

にこ「はいっ!!」



にこ(テキトーに空いてる場所で、一人で柔軟体操を始める)

にこ(あとは発声も)



にこ「ふっ…、ふぅっ…!!よいしょっ…!」

凛「あー、にこ先輩遅刻かにゃー?ダメなんだー」

にこ「凛。…ちょっとワケがあって、ね…」

凛「うん知ってるー。ロッカーでしょ?酷いねー」

にこ「…えぇ、そうよ」

凛「ま、あんなの気にしてたら話になんないにゃ。下駄箱に虫入れられるくらいじゃなきゃ」

にこ「…はは。そうね」


にこ(凛も、そしてもちろん穂乃果も、私と同じ、もしくはそれ以上の嫌がらせを受けてる)

にこ(凛が今言ったのだって、多分体験談なんでしょう)

にこ(それが日々続けば、一々そんなものにショックを受けていられないから)

にこ(心が捻じ曲がってしまうことも、当たり前…なんでしょうね)

にこ(そして、それに耐え切れなくてって例も、今まで何度も見てきた)

にこ(…あれを見てしまうと、相当覚悟を強いられる。覚悟をした上で、こうしてアイドルを目指している)

にこ(そうやって凛も穂乃果も…、私も、強いスクールアイドルへと成長していく、…のかな)


凛「準備体操も一人でやるより二人でやったほうが効率いいよ!ほらほら、うり~!」グイグイ

にこ「痛い痛い!やめなさいよ凛っ…!!」

凛「えへへ!あ、にこ先輩復帰おめでと!本当に戻ってくるとは思わなかったよ、にこ先輩のくせに!」

にこ「い、祝ってるのかバカにしてるのかどっちなのよ…!いちちち…」

凛「もっちろんバカに…じゃなくて!祝ってるって!にこ先輩は頑張る人だからねー」

凛「実を言うと凛はどっちかって言えば、穂乃果先輩よりにこ先輩のこと尊敬してるんだよ?…なんてね!」グイグイ!!

にこ「うぎゃぁぁぁっ!!痛いからぁぁぁぁっ!!」



にこ(…でも、そうやって強いスクールアイドルになっても)

にこ(そこに夢が溢れてるなんて、私には思えそうになかった)

にこ(準備体操が終わり授業が始まると、まずはじめに基礎練習を行う)

にこ(これはA-RISE以外のアイドル専攻全員が行うことだけど)

にこ(それが終わると次はバックダンサーのみの練習が始まる。他のアイドル専攻生は絵里先輩の代理の後輩が指導している)

にこ(私たちがするのは、鏡の前に立って、ダンス全般からフォーメーションの動きの確認など)

にこ(ここに戻ってくるのは、実に2週間とちょっとぶり…かしら)



穂乃果「…」

にこ「こ、こんにちは、穂乃果。…戻ってきたわよ」

穂乃果「…ん。こんにちは、にこちゃん。おめでとう」

にこ「ど、どうも…」

凛「穂乃果先輩はにこ先輩の復帰に不本意だから今日はあんまり話しかけない方がいいと思うにゃ」

にこ「え、そうなの…!?」

穂乃果「…別に、不本意って訳じゃないから。無駄話は好きじゃないってだけ」

凛「んー、穂乃果先輩はいつもクールだねー」

穂乃果「…はいはい」


絵里「はい、おしゃべりはそこまでにしなさい」

絵里「久しぶりの三人での練習だけど…矢澤さん、ついてこられるわよね?」

にこ「は、はいっ!そのためにやってきたので!」

絵里「よろしい。では今日の練習だけど、そろそろバックダンサーも前面に押し出して…」


にこ(今回の練習の趣旨が伝えられる)

にこ(バックダンサーを次期A-RISEとして宣伝していく、というものだった)

にこ(ハロウィンライブが新曲のお披露目となったものの、まだライブをする機会はいくらでもある)

にこ(だからその時は、ダンサーが目立つ場面も取り入れていこう、ってことみたい)

にこ(つまり私たちが次のA-RISEになるって話が、いよいよ現実味を帯びてきたってこと…!)

にこ(復帰第一発目でこれはかなりのプレッシャーだけど、その分期待もされてる…!)

にこ(なんとしてもこのチャンスをモノに…)



キィィン…



にこ「…えっ?」クルッ


絵里「どうしたの?矢澤さん。まだ話の途中なんだけど」

にこ「…あ、ごめんなさい。なんでも、ないです」

穂乃果「しっかりして、にこちゃん。集中力ないよ」

凛「またバックダンサー下ろされちゃうよー?」

にこ「え、えぇ…、気をつけるわ」


にこ(また、声が聞こえた気がして)

にこ(咄嗟に振り向いたけど、誰もいなかった)

絵里「…というわけで、従来のダンスにアレンジを加える形となるわ」

絵里「それぞれのダンスにソロパートを追加。場合によってはA-RISEと一緒に歌うことも視野に入れてね」

凛「歌っ…!やっと歌える…!?」

絵里「えぇ。けどソロパートは今までよりもかなり激しいものとなるから、浮き足立たないで」

絵里「歌いながら踊る大変さはこれまでに練習を重ねてきたあなたたちなら理解できると思うけど」

絵里「実際のライブでこなすとなると、想像以上の重圧が降り注ぐわ。気合を入れなさい」

にこ「は、はいっ!!」

穂乃果「…はい」

凛「はーい!」

絵里「じゃあまず、今までのダンスのおさらいを。これができなければ話にならないわ」

絵里「3人が完璧に息を合わせられるまで、ノンストップでこなしていくわよ」



にこ(そうして3人でのダンスレッスンが始まった)

にこ(もちろん私単体では完璧に踊れるんだけど)

にこ(3人で合わせるとなると、これが上手くいかない)

にこ(歩幅やわずかなテンポのズレ…。それを修正しようとすれば他が崩れ出す)

にこ(完璧に合わせようとなると、かなりのレッスンを継続する羽目になる)

にこ(それをノンストップ…休憩一切なしで行う…)

にこ(体力的にも精神的にもかなりの負担だけど…、これをクリアしないと本番は望めない)

にこ(弱音なんて吐いてる場合じゃないの!二人に負けないようにちゃんと息を合わせないと…!)



穂乃果「ふっ…、はっ…!」

絵里「穂乃果、顔が笑えてない。…もう一周」


凛「よっ、たぁっ…!」

絵里「星空さん、動きすぎ。二人に合わせるよう抑えて。…もう一周」


にこ「くぅ…、ふっ…!」

絵里「矢澤さん、ワンテンポ遅い。…もう一周」



穂乃果「ふぅっ…、はぁっ…はぁっ…」

絵里「穂乃果、休んでいいとは言ってないわよ。音楽が鳴り始めたら姿勢を整えなさい」

穂乃果「はいっ…!」


にこ(あの穂乃果でさえ肩で息をしてる…。私も、かなり疲れてきてる)

にこ(…凛は驚く程平静だけど、疲労は多少溜まってるでしょう)

にこ(だけどこんなところで倒れるわけにはいかないっ…!)

にこ(意地でも、着いてい…)



キィィィンッ…


にこ「…っ!!」

にこ「ぅ、ぁ…っ!?」


絵里「…矢澤さん、何に気を取られてるの?集中しなさい。…もう一周ね」


にこ「は、はいっ…。すみません!」

穂乃果「はぁっ…、くっ、いい加減に、してよっ…!」

にこ「ごめ、ん…」



にこ(また、聞こえた)

にこ(今度は更に、大きく)

にこ(でも私の後ろには誰もいない)

にこ(目の前の鏡には、私たちしか映ってない)

にこ(でも確かに聞こえたの)

にこ(…なんて聞こえたのか)

にこ(か細い、消えるような声だったけど、私にはなんとなくわかった気がする)



にこ「だぁっ…!あぁっ…!」

ダンッ…タタンッ…!!


絵里「矢澤さん、遅れてる。…もう一周」



にこ(聞こえないように、気にしないように心がけて、ダンスに集中する)

にこ(でも、聞こえてしまう)

にこ(だんだん近づいて来る)

にこ(か細く消えるような声は、次第に大きくなっていって)

にこ(四方八方から、私に語りかけてくる)

にこ(だからどうしても、それに気を取られて)

にこ(身体が一瞬、遅れてしまう)

にこ(何度も何度もやり直して、もう何十分も踊り通して)

にこ(それが続くうちに、声は強くはっきりとしたものとなっていった)

にこ(耳元で叫ばれている。もう周りの雑踏も、音楽すら聞こえないほどに、その幻聴は大きく)

にこ(大きく、大きく、大きく)

にこ(うるさくてうるさくてうるさくてうるさくてうるさくて)

にこ(何度も黙れと頭の中で叫んでも誰もその声を聞いてくれなくて黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)

にこ(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)

にこ(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)

にこ(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)

にこ(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)

にこ(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れもうその言葉は聴き飽きたから黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ)

にこ(なんて言われてるか?)



『チビ』

『チビ』『チビ』『チビ』


にこ「う、あ、ぁ…」

にこ(鳴り止まない声)

にこ(私を端的に表した言葉を繰り返す声)

にこ(耳をふさいでも、目に張り付いたようにへばり付く声)

にこ(声が、聞こえる)



穂乃果「はぁっ…、はぁっ…。もう、一周…、ぅ…っ!」

絵里「…ふふっ」

穂乃果「…へぁ?」

絵里「いいわ、一旦休憩。今のうちに水分補給を済ませなさい」

穂乃果「え…、はい…」


絵里「思ったより、早かったわね」



『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』



にこ(その言葉以外、聞こえない)

にこ(今まで私にその言葉を投げかけてきた人の声が、頭の中で鳴り響く)

にこ(これは、今までの恨み)

にこ(夢が形にならなかった恨みを、私に投げかけた時の、声)

にこ(声が、聞こえる)

にこ(声が、聞こえる)



にこ「はぁっ…!はぁぁぁっ…!!」ダンッ…ダンッ…


穂乃果「…にこ、ちゃん?休憩、だよ…?」

凛「にこセンパーイ!いくら必死だからって休憩するときはしないといけないにゃー」


にこ「うぁぁっ…!あ、あぁぁぁっ…!!」タン、タタンッ…


穂乃果「にこちゃん…?」



にこ(聞こえない)

にこ(声だけが、耳を食べて)

にこ(耳の中で声が巣を作って)

にこ(話しかけた声も、何も)

にこ(気づくと視界すらも声が埋め尽くす)

にこ(『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』)

にこ(見えない、見えない)

にこ(唯一見えるのは、鏡の中の自分だけ)

にこ(鏡の中の、にこ)

にこ(そのにこが、私に話しかけてくるの)

『小さくて無様なにこ。どうして踊っているの?』


どうしてって、私は…私はアイドルになりたいから…!


『小さくて哀れなにこ。どうしてアイドルになりたいなんて思っちゃったの?』


思っちゃった…?


『小さくて不憫なにこ。あなたにアイドルなんて無理よ』


なんで…。


『小さくて愚かなにこ。だって弱いんだもの。だって弱いんだもの』


『小さくて弱いにこ。だってチビだもの。だってクソチビだもの』


『小さくて浅ましいにこ。叶わぬ夢を夢見たにこ』


『あなたはバカな子。テレビの中の世界が本物だと思った脳無し』


『夢の世界なんて実在しない、そんなの今時小学生だって知ってる』


『不思議の国のアリスからは卒業しましょう。もう大人なんだから』


『頭は大人でも身体は子供のままのにこ。卒業しましょう』


『アイドルはもう、やめましょう』



嫌っ…!いやぁっ…!!


私は、アイドルに…!


A-RISEに、なるのっ…!!



『小さくて我が儘なにこ。叶わぬ夢と分かっても尚夢見る無様で哀れで不憫で愚かしいにこ』


『小さいあなたに、夢なんてない』


『小さい私に、未来なんてない』


『小さいものは、踏まれて潰されてぺしゃんこにされて』


『それで、死ぬの』



そこまで語った鏡の中のにこは、

上から降りてきた、大きな足に踏まれて、

踏まれて、潰されて、ぺしゃんこになって、血が飛び散って内臓が破裂して脳みそががががががががががggggggggggggggggggggg



「いっ…」



「いやあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」

にこ「いやあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」




穂乃果「っ…!?」

凛「に、にこセンパっ…!?どうしたの急に…」



にこ「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!嫌ぁぁぁっ!!いやぁぁぁぁぁぁあぁっ!!!!」

にこ「あぐ、ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

にこ「やだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」


凛「に、にこせんぱい…?あの…ち、ちょっと…」

穂乃果「に、にこちゃんっ!!しっかりして!」

にこ「うあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁっ…!!あ、あぁぁぁぁ…!!」

穂乃果「凛ちゃん!にこちゃんの手を押さえて!」

凛「えっ…な…」

穂乃果「早く!!」

凛「は、はいっ…!」グッ


にこ「ああぁぁぁああぁぁぁぁあぁあぁぁっ!!ひいいぃぃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」


凛「ち、力強っ…!なんでこんなっ…」

穂乃果「にこちゃんっ!自分を傷つけちゃダメっ…!!ダメだよっ…!!」

穂乃果「落ち着いてぇぇっ…!」




絵里「…にこ。やはりあなたは私の思ったとおりの人間だったわ」

絵里「弱い、人間」

穂乃果「はぁっ…、はぁっ…、はぁっ…!」


にこ「ぅ、あ、ぁ…」


凛「お、収まった…?」

穂乃果「みたい、だね…」

凛「よ、よかったにゃぁ…。にこ先輩になにが…」


絵里「…きっと昨日の試験に力を使いすぎたのね」

絵里「だから、疲労が彼女を追い込んでしまったのよ」


穂乃果「…ぇ?」

凛「でもにこ先輩、この前ダンスは完璧だって言って…」

絵里「精神をすり減らしていたのよ。仕方ないわ」

絵里「今日のところは大目に見てあげましょう。医務室で寝かせて、起きたら家に帰してあげましょう」

絵里「それが彼女のためだから」

凛「わ、わかりました…」

穂乃果「…」




医務室



にこ「…」


にこ「…ん、ぅ…」

「あ、起きましたか?」

にこ「…あれ、私…。ここは…」

「ここは医務室です。矢澤先輩は倒れられて、ここで休まれていたんです」

にこ「倒れ…?って、あなたは?」

生徒会A「私は生徒会長の補佐をしてます。穂乃果さんに矢澤先輩を診ていて、と頼まれて」

生徒会A「アイドル専攻の方は練習でお忙しいということなんで、穂乃果さんが、頼れるのは生徒会しかない、と」

にこ「そう…」

にこ(…私、どうして倒れたの?覚えてない…)

にこ(覚えているのは、必死に着いていこうと踊っていたところまでで…)

生徒会A「あの、それで…穂乃果さんが絵里先輩から、今日はもう帰して構わないと言われた、と」

にこ「え、わ、私のことを…?」

生徒会A「はい。大事が無いよう、今日はゆっくり休まれた方が良いとのことで…」

にこ「そ、そんなっ…!休めるわけないでしょっ!」

生徒会A「し、しかし…、病み上がりですし急に動かれるのは…」

にこ「もう私は元気よっ!なんと言われたって行くからねっ!」

にこ(そう言って医務室のベッドから立ち上がって、部屋から出ようとしたとき)

にこ(医務室に置いてある、姿見の中から)

にこ(血まみれのにこが、こっちを覗いていた)


『小さくて可哀想なにこ。私は痛くて痛くて怖いの』

『死んじゃう。私は潰れて死んじゃうから』

『あなたも、死んじゃうの』


にこ「ひっ…!!」

にこ「きゃああぁぁぁぁぁっ!!!」

生徒会A「ど、どうされました!?」

にこ「かがみぃ…!鏡からぁぁぁっ…!にこが、にこがぁぁっ!!」

生徒会A「鏡…?鏡がどうかされましたか…?」

にこ「嫌っ…!やだぁぁっ…!!こないでぇぇっ!!こっち来ないでぇっ!!」

生徒会A「何も来てないですけど…」

にこ「いやぁ…!嫌なの…!!鏡…!嫌…!!」

生徒会A「か、鏡がダメなんですか?わかりました、では…」


にこ(そう言って生徒会の子は姿見を私からは見えないところに隠した)

にこ(私を恨めしそうに睨んでいた血まみれのにこは、もういなくなった)


にこ「はぁっ…!はぁっ…!」

生徒会A「大丈夫ですか…?やはりお帰りになられた方が…」

にこ「…だ、ダメ…!ダメよ…!!これ以上遅れを取るわけには…!」

にこ「お願い、行かせて…!どうしても行かなきゃならないのよ…!」

生徒会A「しかし…」

にこ「お願いぃっ!」

生徒会A「…わ、わかりました。でも、さっきのようなことが起こっては困りますので…」

生徒会A「私も同行します。そして、先ほどのような事態に再びなった場合、…次こそ、お帰り願います」

にこ「わかったわ…、それで、いい…」

多目的ホール前


にこ「…っ」ゴクリッ


にこ「い、行くわ…」

生徒会A「…はい」

にこ「…」

ガチャッ



穂乃果「…あ」

凛「にこ先輩…!?大丈夫なの…?」



にこ「穂乃果、凛…」

にこ「ごめんなさい、迷惑かけ…」

にこ「う…っ!!」


にこ(…そうだ、ここには…)

にこ(自分のダンスを確認するための、大きな鏡が…)


にこ「う、うあああぁぁぁっ!!」

穂乃果「にこちゃんっ!?」


にこ(鏡からはまた、血まみれのにこと…そして)

にこ(今まで私に嫌がらせをしてきた人たちが、こちらを見ていた)

にこ(皆一様に、にこに向かって呟く)


『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』


にこ「う、うるさいっ…!うるさいぃいっ!!」

生徒会A「い、いけない!またっ…!」


『痛い、痛いよ…。にこ、死にたくない…!』

『死ぬのは、あなただからぁぁぁぁぁぁ…!!!!』


にこ「嫌だぁっ!私はし、死にたくなんか…!」

穂乃果「に、にこちゃんをここから連れ出して!」

生徒会A「は、はいっ…!!」

にこ「あ、あぁぁぁ…っ!!来るなぁぁっ…!!うわぁぁぁぁっ…!」

多目的ホール前


にこ「はぁっ…、はぁっ…!」


生徒会A「矢澤先輩、やはり、取り乱してしまいましたね」

穂乃果「…帰して、って言ったのに」

生徒会A「本人がどうしてもと言われたので…すみません」

穂乃果「うぅん、あなたのせいじゃないよ。…にこちゃん」

にこ「はぁっ…、え?な、何…」

穂乃果「…今日は、帰って。みんなの練習の妨げになるから」

穂乃果「今もこうして、凛ちゃんや私に心配をかけて、練習時間を削ってる」

にこ「う…」

凛「り、凛は…心配なんかしてない、し…」

穂乃果「なら練習に戻ろう。にこちゃんは放っておいて」

凛「それは…ぅ」

にこ「…」

にこ「…わかったわ。帰る…」

穂乃果「うん、そうして」

にこ「で、でも…明日からは…?」

穂乃果「絵里先輩は、体調が良くなれば来てもいい、って」

にこ「本当…?」

穂乃果「でも、…数日経ってもダメなようなら、容赦なく…って」

にこ「…う」

穂乃果「とりあえず、今日はもう帰って安静にしてたほうがいい。わかった?」

にこ「…うん」

穂乃果「…あとは、よろしくね。それじゃ凛ちゃん、戻ろう」スタスタ…

凛「にゃぁ…、に、にこ先輩…」

にこ「…」

凛「…げ、元気になってよね。いじけたまんまだと、張り合いがない、にゃ…」

にこ「…」

凛「…ば、ばーかばーか!そのままドロップアウトしろにゃ!ふーんだ!」プイッ


ガチャッ… バタンッ


にこ「…」

生徒会A「…帰りましょう。家まで送ります」

にこ「…お願い、するわ」

矢澤家


ガチャッ…


にこ「…ただいま」


こころ「お、お姉さま!?今日はどうしてこんなにお早い…」

ここあ「おねーちゃん!今日も早いの!?やったー!ねーねー遊ぼー」

こたろう「遊ぶー…」


にこ「…ゴメン、今日は…ダメなの。部屋でゆっくり休めって言われたから」

こころ「そうなのですか?それなら仕方ありませんね…」

ここあ「残念だなー」

こたろう「ぶー…」



にこ「…」スタスタ…

にこ「…」ガチャッ…

にこ「…あ」ピタッ

にこ「駄目だ…」


こころ「お姉さま?どうされたのですか?部屋の前で立ち止まって…」


にこ「…こころ、お願いがあるんだけど…」

にこ「お姉ちゃんの部屋の鏡…片付けてくれない?」




にこの部屋


にこ「…」


にこ(黄昏に染まる部屋の中、膝を抱えて一人蹲る私)

にこ(鏡はもうないけれど、時々彼方から幻聴えてくる、あの言葉に)

にこ(心臓が締め付けられるような、緊張が走る)

にこ(…どうして、こんなことになっちゃったの?)

にこ(なんで…せっかく掴んだと思った、夢の端っこだったのに…)

にこ(神様は、そんなに私のことが嫌いなの…?)

にこ(意味分かんないわよ…。どうしてよ、どうして…)

にこ(誰か…、助けて…)

にこ「…」ギュゥッ…!!


にこ(…誰か?)

にこ(あ…、そうだ…)

ロッカールーム


絵里「ふふふ…」キガエキガエ…


穂乃果「…どうしてそんなに楽しそうなんですか」


絵里「…穂乃果。なに、いきなり。お着替えを鼻歌まじりにすることが行けなかったかしら」

穂乃果「にこちゃ…矢澤さんが、メンバーの一人があんなことになったのに鼻歌を歌っていられる考えが理解できません」

絵里「いいじゃない。彼女はもう…ダメよ」

穂乃果「…っ!どういうことですか…!」

絵里「もうおしまい、ってこと。あなたもあぁなった人たちは何度も見てきたでしょう?」

絵里「彼女たちと、同じよ。にこも、ね」

穂乃果「ならどうしてっ!どうして明日もまた来ていい、だなんて言ったんですか!?」

穂乃果「もう希望がないなら素直に切り捨てればいい話じゃないですか!」

穂乃果「それはにこちゃんにまだ希望があるからじゃ…ないんですかっ!?」

絵里「いえ、にこに希望なんて、もう一雫も残されてない」

絵里「…あとは、ただその身を削り生まれる絶望だけ」

穂乃果「っ…!」

絵里「でもそれが…それがあなたたちの養分となるのよ。類まれな才能が枯れゆく、その様が」

絵里「あなたも彼女がじわじわと絶望に身を焦がす様子を観察しておきなさい」

絵里「そうすればきっと、私の言いたいことがよくわかるはずだから」

穂乃果「…くっ!あなたはっ…!」

穂乃果「…失礼します!」

ガチャッ バタンッ!!



絵里「…」

絵里「…ふふ、自分で言うのもなんだけど」

絵里「私って…最低ね」

絵里「でも、それが私の…最強のA-RISEのために、必要なことだから」

希の家


ガチャッ…

真姫「ふぅ、ただいま」

希「うん、おかえり」

真姫「いや一緒に帰ってきてるんだからあなたもただいまでしょう」

希「今のは我が家の気持ちを代弁して言ってあげたことやん。あー、マイホームただいまー」

真姫「…はぁ、疲れるわ。ただでさえ身体を酷使して疲れてるってのに」

希「そうやね。じゃ、真姫ちゃん先お風呂、どうぞ?うちお料理作っとくから」

真姫「そうさせてもらうわ。…ふぅ、今月中に新曲、作れるかしらね」

希「んー、ちゃんと部費は入ってきてるし、先月ほど無茶なステージ作りはせんでいいとは思うけどね」

希「手伝ってくれる子もいることやし」

真姫「あとはアイデアのみってとこね。…ま、そこはシャワー浴びながら考えるとしましょう」

希「うちも考えとくからねー」

真姫「お願いするわ」



シャー…

真姫「ふー…」



希「さてと…、真姫ちゃんもお風呂中やし、晩ご飯の支度っと…」

希「うーん、今日は何にしよっかなー…。昨日はお肉たっぷりのカレーライスやったから…」

希「あ、そうそう、カレー残ってるやん。これ使わないと」

希「じゃあカツを揚げて昨日とは一味違うカツカレーってことに…」


ピンポーン


希「…ん?」


真姫『誰か来た?』


希「そうみたーい。誰やろ、こんな時間に…」


ピンポーン


希「はいはーい、今出まーす…と」

ガチャッ


希「…あ」


にこ「…」

希「にこっち…、どうして…」


にこ「…お弁当箱、返しに来たわよ」

てなわけで今日はここまで 相も変わらず誰かが酷い目に合うSSで本当にすまないと思っている
昨日は寝落ちしたんじゃなくて実は集中途切れていくら考えても書けなかったんです 今日はスラスラ書けてよかった
そして今日このタイミングで今まで考えてなかった結末を思いつきましたやったね いつ書けるかは未定
ここまで来たなら最後まで付き合ってね ほなな

最近隔日更新が癖になってきてしまったのでこんな時間だけど頭も冴えてるし短めにやっていきます
ここまで来たなら、は「話広げすぎて引っ込みが付かない」って意味なのでまだまだ続くよ ふふ、キツいぜ
ここまでクズに書いておいてアレだがえりちにヘイトが溜まってるのを見ると悲しくなってしまう… 悪役の性やね

リビング


ガチャッ


真姫「ふー…、いいお湯だったわ。希、ご飯できて…」



にこ「あ、真姫ちゃん…」

真姫「…に、にこちゃっ…!?」

にこ「どうも、お邪魔してま…ってなんて格好してるのよ!?」

真姫「あぁごめん!もう希の前ではタオル一枚でも平気になっちゃって…」

にこ「女性としてそれはどうなのよ…」

希「はい、真姫ちゃん着替え」

真姫「あ、ありがと…、向こうで着替えてくるわね」


真姫「…で、どうしてにこちゃんがまた希の家に?」

にこ「…」

真姫「やっぱり、また何か悩み事?」

にこ「…えぇ、そんな、感じかな」

真姫「そう…。ま、まぁでも!私に任せてくれればなんとかなるわ!ね?」

にこ「う、うん…」

希「…とりあえず、今はにこっちも来てくれたことやし、ご飯にしよか」

希「おうちの人には言ったん?出てくるって」

にこ「えぇ…。今日も、泊まらせてもらう、って」

真姫「へぇ…」

希「じゃあやっぱり、晩御飯は必要やね。大丈夫!今日はたっぷりあるから安心して!」

真姫「昨日の残りでしょ。作りすぎたって言ってたし」

希「…プラスカツもつけるよ!」

にこ「た、食べられるものならなんでもいいけどね…」

希「はい。うち特性スピリチュアルカツカレーやよー。さ、遠慮なくお食べ!」


にこ「いただきます。…もぐ」

にこ「うん、おいしい」

真姫「ホント、希は万能よね…。カレーもこんな美味しく作るなんて」

希「カレーなんて誰が作ってもおいしいものやん。うちの実力違うよ?」

真姫「…ふ、私の前でそれは言わないことね」

希「あー…、察したわ」

にこ「ふふふ…」

真姫「な、なによ!?料理出来ないのがそんなに可笑しい!?いいじゃない私は料理作れる人と結婚…」

にこ「うぅん、そうじゃなくて…」

にこ「あなたたちのところに来て良かった、って。こうしてる時間もすごく楽しいから」

にこ「…嫌なことを、少しの間でも忘れられる」

真姫「…」

真姫「にこちゃん、そんなに…重いことなの?今日ここに来たのは…」

希「真姫ちゃん。その話は…後にしよ」

希「今は楽しく!ご飯の時間やよ」

真姫「あぁ…そ、そうね!食べる時間くらい楽しくしないと!」

にこ「…うん、ありがとう」

真姫「えー、あ、ところで希。あなた、お昼ご飯はいつも部室で一人なのよね」

希「ん?うん。お弁当だし、食堂に行くこともないかなって」

真姫「花陽は親衛隊に囲まれて無理だけど、いつも私とことりと海未でお昼食べてるから来ればいいのに」

真姫「一人じゃ寂しいでしょ?」

希「んー、それもいいんやけど…うち、周りが騒がしい場所でご飯食べるのは苦手だから」

希「静かな場所で、わいわい食べるのは好きなんだけどね。だから部室で」

希「それに、一人でのご飯も別段、寂しいものでもないよ。…ね?にこっち」

にこ「え、私…?そ、そうだけど…なんで私が一人でご飯食べてるって知ってるのよ…」

希「にこっちに友達がいないのは把握済みだからね」

にこ「相変わらず痛いとこ突いてくるのね…。確かに一人でも寂しくはないけど…」

にこ「…私は好きで一人なわけじゃないし」

真姫「…な」

真姫「なんだかまた暗い方向に行っちゃいそうなんだけど」

希「あかんあかん…。よーし!テレビでも付けよか!」

にこ「なんかゴメン…」

真姫「いやにこちゃんのせいじゃないけど…」

数十分後


にこ「…ごちそうさま」


真姫「ふぅ…、二日続けても飽きないわね。希のカレーは」

希「ふふ、それは光栄やね」

真姫「あ、にこちゃん…まだお風呂入ってないわよね?練習で汗かいてるだろうから、お風呂入ってきたら?」

にこ「え?あぁ、そうね。そうさせてもら…」

希「待って」

真姫「え?」

希「…鏡、あるから。なんかダンボール紙か何かで隠してくるわ」

にこ「あ…、そっか。ありがと、希さん…」

真姫「え、え?どういうこと…?なんで鏡が…」

希「…あとで話すから」

にこ「…」

真姫「あ、あぁ…。わかったわ」



数分後

バスルーム


希「はい。脱衣所と、お風呂の中の鏡、塞いでおいたから」

希「不便かもしれないけど…仕方ないんよね」

にこ「…えぇ。汗が流せれば、それでいいわ」



リビング


希「…お待たせ。塞いできたわ」

真姫「えぇ、お疲れ様。それで、話してくれるのよね?…鏡の件について」

真姫「どうして塞ぐ必要があるのか」

希「うん。…真姫ちゃんがお風呂に入ってる間に、にこっちから聞いた話やねんけど」

希「今日の放課後にあったこと、全部教えてくれた」

真姫「今日の放課後…?一体なにがあったのよ…」

希「それはね…」

真姫「な…!」

真姫「なによ、それ…!」

希「…」

真姫「本当のことなの?それ…」

真姫「幻聴が聞こえたり、鏡の中の自分が血まみれだったり、って…」

真姫「それで発狂して穂乃果と凛に抑えられたって…」

希「うちが実際に見たわけじゃないから、本当か定かではないけど」

希「ここに来てからにこっちは、異様なまでに鏡を恐れてた」

希「机の上にあった手鏡を見ただけで、飛び退いたくらいやったし」

真姫「じゃあ…戯言でもなんでもなく…事実なのね。それは…」

希「そう、やろね…」

真姫「…どういうことなの、一体…」

真姫「もしかして、何かの病気?そういう、幻覚が見えるっていう…」

希「…」

希「いや、違う」

真姫「え…」

希「病気やないよ」

真姫「だ、断言するってことは…希はわかるの?」

真姫「にこちゃんを苦しめているものについて…」

希「…うん」

真姫「なんなの?それは…」

希「それは…」


希「…にこっちの、心」


真姫「こころ?…にこちゃんの妹の話?」

希「そうじゃなくて、にこっちの精神…メンタルが、他人の声や鏡の自分の姿となって現れてるんよ」

真姫「えっ…」

希「今まで押さえ込んでいたものが、耐え切れなくなって…暴れだした」

真姫「待って、それじゃあ…!」

希「にこっちの心は…」

真姫「それって…っ!!」

希「…もう、折れてしまった」

真姫「…っ!!」

真姫「お、折れた、って…どうして…」

希「今のアイドル専攻のことは、真姫ちゃんもよく知ってるよね」

希「誰しもがトップに行くために、他人の妨害をして這い上がろうとしているってこと」

真姫「え、えぇ…。花陽の話で聞いたくらいだけど」

希「そういうのは特にトップ…、A-RISE候補生が一番受けやすい。まぁ、当たり前やけどね」

希「もちろんにこっちも例外じゃなく、そして歌手とダンサーのトップである、穂乃果ちゃんと凛ちゃんも当然、受けてたやろう」

希「その結果穂乃果ちゃんも凛ちゃんも、信頼できる者以外に心を開かなくなった」

希「自分が身を置くアイドル専攻と言う状況、その厳しさを理解できている人たちにしか、ね」

真姫「だから穂乃果は、アイドルを理解できなかった海未を否定し…凛は一度諦めた花陽を見下した、ってことよね」

希「うん。寛容な心…豊かな心を無くして、冷たい心へと変えてしまった。心を閉ざした、って言ってもいいかな」

希「そうしなければ、嫌がらせの横行するアイドル専攻の中で、正気を保つことなんて出来はしないから」

希「…そしてそれは、にこっちも同じだった」

真姫「え…?同じ、って…」

希「にこっちは、心を閉ざしてたんよ」

真姫「つまりそれは、穂乃果や凛と同じように…心が変貌していた、ってこと?」

希「せやね」

真姫「お、おかしいわよ!だってにこちゃんは…」

真姫「…にこちゃんは、変わってなかった。優しいにこちゃんだったわ。一度街で話したときも、アイドル然として純粋な」

希「傍目から見たらそうかもしれない」

希「…でも、普通の心を持ってる人間が、アイドル専攻でずっと生き残れるとは思えないんよ」

真姫「う…確かに」

希「本当のにこっちは、誰も彼もを見下して、自分は特別だと思っている人間だった」

希「一人も信頼できる人間がいない、自分を孤独って檻に閉じ込めて、それで正気を保っていた」

希「でも、表で純粋なアイドルを目指す少女を演じすぎたせいで、そのことすら、忘れてしまった」

希「自分で追い込んだ孤独の檻にストレスを感じ、そのストレスが肉体を縛り…」

希「…体力不足に陥らせた」

真姫「そして、そのせいでバックダンサーを下ろされて…」

真姫「それを見た私が…」

希「…うん。なんとかしてあげたいって思ったんやね」

希「にこっちの体力不足の原因が孤独によるストレスにあるって見抜いたうちは、C☆cuteのみんなでパジャマパーティを開催した」

希「みんなで騒ぐことで孤独感を払拭し、信頼できる人間がいるって理解させることで、ストレスから解放させた」

希「おかげで体力不足問題からはあっという間に解決」

真姫「…ねぇ、希…。つまり、つまりさ…それ…」

希「…でも、にこっちのストレスの原因…孤独の檻は」

希「元々は、にこっちの正気を保つために存在していたものだった」

真姫「ねぇっ!!希!それじゃあ、私たちのしたことって…!!」

希「…その檻から解放され、アイドル専攻の激しい嫌がらせという、更に大きなストレスに晒されたにこっちは…」

真姫「にこちゃんを…!!」


希「…あっけなく、壊れてしまったんよ」

真姫「私たちが…にこちゃんを壊してしまった…?」

希「…結果的には、そういうことになるね」

真姫「嘘、でしょ…?嘘って言ってよ希!!」

希「これは、うちの推論やから、本当にそうとは言えないけど…」

希「…でも、にこっちの今の精神状態は、うちが今まで散々見てきたものにとてもよく似ているから」

真姫「なに…、なにに似ているの…?」

希「…夢に敗れて、アイドル専攻をやめていった人」

希「大好きだったアイドルを、大嫌いになってしまった人に」

希「…似ているんよ」

真姫「っ!!」



(花陽「もうその次の日から、アイドルなんて嫌い、って…」)


(にこ「練習が厳しすぎて、アイドルを嫌いになっていった子を何人もこの目で見てきた」)



真姫「にこちゃんが…そうなってしまった…?」

希「…うちも、危惧はしてたんよ」

希「解きほぐされた心には、必ず隙ができる」

希「にこっちにもしまだ、何かストレスを抱える要因があれば…こうなってしまうんやないかって予想は、できてた…」

真姫「だ、だったら…っ!ならどうして…!!」

希「うちは、にこっちは強い子やって思ってたんよ!どんなストレスにも耐えられる、強靭な心の持ち主だって…」

希「そんなん、ありえないのに…でも、にこっちなら…大丈夫やって思ってた…」

真姫「う…」


真姫(…私も、彼女なら大丈夫だって思っていた)

真姫(何事にも屈せず、今のアイドル専攻を内側から変えられる…誰よりも強い心を持っているって)

真姫(だけど、それは…折れそうな心を支えるための…演技でしかなかった…)


希「…どちらにしろ、ストレスを解消しなければ体力の消耗からは避けられない」

希「いずれにこっちは、アイドル専攻全体から遅れを取るはめになってたやろうね。…あのままだったら」

真姫「ぐ、ぅっ…!」

真姫「…あの時あぁしていたら、なんて…もう起こってしまったことに対してくよくよしても、どうしようもないわ」

真姫「私たちが良かれと思ってしたことが、結果的ににこちゃんを壊してしまったのだとしたら…」

真姫「…なら、次はそのにこちゃんを助ける手を考えればいいだけよ!でしょう?」

希「…」

真姫「希っ!!答えてよ!」

真姫「今度もあなたの提案で、にこちゃんを助け出せるんでしょう…!ねぇ!?」

希「…うちには」

希「ゴメン、真姫ちゃん…」

真姫「っ…!!どう、して…」

希「今までそうやって心を崩壊させてしまった子と、長く触れ合っては来たけど」

希「その一度もうちは、どうにかしてあげることができなかった」

希「『気が楽になりました』って言って…、でも、それだけで」

希「根本的に解決できたことなんて、…一切なかったんよ」

真姫「…そんな」

希「心を縛っているものをどうにかすることはできるけど」

希「壊れてしまった心を治すのは、一筋縄ではいかない」

希「長い時間をかけてゆっくりと、それでも治るのはほんの少しだけ」

希「すぐに心を元に戻すなんて…無理、やよ」

真姫「ど、どうにかならないのっ!?今の状態のにこちゃんじゃ、バックダンサーなんて明日にでも下ろされて…」

希「諦めるつもりはないけど、…でも」

希「あ、だけど…明日に下ろされる、ってことはないと思うよ」

真姫「え…?」

希「…多分だけどえりちは、こうなった人にはもう何も言わない」

希「ひたすら悩みに悩ませて、自ら壊れていく様をただ眺めるだけ」

真姫「な、なんで…?彼女は役に立たないものは切り捨てるとか…そういう主義じゃないの?」

希「普段はそう、なんだけどね…」

希「彼女曰く…これが『才能を糧とする方法』、らしいよ」

真姫「糧…」

希「才能を持つものは、散り際も大きく燃え上がる」

希「己が才能故に、力なき自分を呪い、徐々に崩れてゆく」

希「絶望の炎に身を焦がすその様は、見るものに恐怖と焦燥を与える」

希「強い才能を持つものにとってはそれは未来の自分が成りうる姿でもあるから」

希「こうはなりたくない、ある意味では死よりも恐ろしい、その恐怖こそが、心を、そして肉体を強くすると」

希「…まだアイドル応援部に身を窶していた頃のえりちが、語ってくれたことがあったよ」

真姫「にこちゃんは…穂乃果と凛を育てるための…餌」

真姫「そういう、こと…?」

希「うん。…多分そういうこと」

希「壊れてしまった心でなんとかやり直そうと立ち上がって」

希「でも当然のように倒れてゆく」

希「それをただ何もせず、見せつけることで…」

希「穂乃果ちゃんと凛ちゃんを、強くさせる」

希「えりちはそれを目的として、壊れちゃったにこっちを放置しておくやろうね」

希「結果、渇望する夢から伸ばす手を引き下げ、自ら最も欲するものに背を向ける、その時まで」

希「…今までも、ずっとそうやってA-RISE候補生を育ててきたから」

真姫「…ッ!」ギリッ…!!

真姫「え、りィッ…!!」


真姫(…いくらなんでも、酷すぎる)

真姫(人間を、その人の才能を、餌としてしか見ていないなんて)

真姫(絶対に…許せないっ…!!)

真姫(この手を汚してでも、彼女を止め…)


希「…真姫ちゃん、人には見せられないよ。その顔は」

真姫「…っ」

希「前、真姫ちゃんがえりちを、殺すから、って脅したことがあったけど」

希「…今の真姫ちゃんなら、本当にやりかねないかもしれないね」

真姫「…そう、でしょうね」

希「うちは、真姫ちゃんを人殺しにはさせたくない」

希「…えりちにも、死んで欲しくない。願うなら、優しいえりちに戻って欲しい」

真姫「…」

真姫「…えぇ。そうね」

真姫「私も…それが一番だと、思うわ」

希「にこっちを餌にさせない方法。それはもう、ひとつしかない」

希「…なんとかして、にこっちの壊れた心を元に戻す」

希「しかも、遅くても数日以内に」

希「でなければ、もう二度とバックダンサーに戻ることはできなくなるから」

真姫「…それが、できるの?」

希「…うち一人だけなら、断言できるけど」

希「絶対にできないと思う」

希「でも、もうアイドル応援部はうちだけやない」

希「真姫ちゃんも、花陽ちゃんも、ことりちゃんも、海未ちゃんもいる」

希「…これだけいれば、出来ないことなんてないってうちは信じてる」

真姫「なら、できるってことね」

希「…うん」

真姫「…ありがとう。じゃあやるしかないわね」

真姫「アイドル応援部…、新たな活動は」

真姫「にこちゃんの心を取り戻す」

希「…やろう。絶対に」

希「うちができなかったことを、みんなで…!!」





リビング越しのドア前


にこ「…」

にこ「…私の、心」


『チビ』


にこ「…ぅ」

にこ「うるさい…!うるさいっ…!!」

にこ「もう、やめてよっ…!」

はいここまで 驚く程スラスラ書けたわー
自分がクズなのもあって突き抜けたクズな悪役大好きだからか読者との意見に乖離があるようやね
悪役じゃないけどTOXのアルヴィン好き そう思うと仕方ないね アルヴィン滅茶苦茶嫌われてるし
あと真姫ちゃんと希がどうしても話の中心になってしまうのが残念だ 特にことうみが目立ってないからもっと目立たせたいところです
おかげでまだまだ長くなりそうだ まだ6話は終わりそうにないけど次回もお楽しみに ほなな

今日は更新する気なかったのにそんなこと言われたら更新するしかないじゃないですかー
感想はすごく嬉しいが特に考えてないところを言及されたり期待されたりするとドキッとしちゃう いつか思いつくだろう多分
今日こそかなり短くなると思うけどやっていきます

ガチャッ…

にこ「上がったわよ」


希「あ、あぁにこっち」

にこ「希さんはまだ入ってないんでしょ?お皿の片付けとかは私がやっておくから入ってきたら?」

希「え、別にいいよ、そんなの」

にこ「この前もお世話になりっぱなしだったし、今日も何もしないってんじゃ私の気が引けちゃうわ」

希「んー…、じゃあ、そこまで言うならお願いしちゃおう。言うてそんなにないしね」

にこ「うん」

真姫「…あの、にこちゃん…」

にこ「なぁに?どうしたのよ、そんな怖い顔して」

真姫「え、っと…」


真姫(…本人の前であまり気の重くなるような話はやめたほうがいいかしら)

真姫(そうよね、にこちゃんがここに来てるのは気を楽にしたいからなんだし)

真姫(少しでもにこちゃんを楽しませてあげないと)


真姫「…に、にこちゃん!」

にこ「な、なに…?」

真姫「か、かか…」

にこ「か?」

真姫「…肩、揉んであげる」

にこ「…は?」

真姫「練習で疲れてるでしょ!?皿洗いしてある間にもみもみしてあげるから!」

にこ「いや意味わかんないんだけど!?そんな凝ってないし別に…」

希「おー、なになに?お熱いねー。んもー、じゃああとはお若い二人にお任せしてうちは退散しますかなー」

にこ「え、ちょっ…希さん放置しないで!お風呂に入るのはちょっと待ってあー…行っちゃった」

真姫「さ、さぁ…肩を…肩を出すのよ…!」

にこ「ひぃっ!?さっきとは別ベクトルの顔の怖さ!ていうか肩もみは服の上からでもできるでしょうが!」

真姫「生でやったほうが気持ちいいのよ!さぁ、生でしましょう!」

にこ「なんだか卑猥な意味に聞こえなくもな…ってわぁ!無理やり脱がさないできゃあぁぁぁぁやられるうぅぅぅうぅぅぅぅぅぅ…」

にこ「…あっすごい気持ちいい」

真姫「でっしょー?」

ジャー…


モミモミ…



にこ「…なにこの状況。お皿洗いしながら肩もみされてるって意味わかんないわよ」

真姫「イミワカンナイ!!」

にこ「い、いきなり変な声あげないでよ、びっくりするじゃない」

真姫「…ごめんなさい。つい反応しちゃって」

にこ「は、はぁ…。何に反応しているのやら…」


にこ「…ふぅ。本当に大した量なかったわね。皿洗い終わり、っと」

真姫「じゃあ肩もみも終わりね」

にこ「うっ…、いざされなくなると肩が寂しい…」

真姫「じゃあまだする?」

にこ「うーん…、でもやっぱりもういいかな」

真姫「もう、どっちなのよ」

にこ「…ふふっ」

真姫「ん?どうしたの」

にこ「うぅん…、何でもない。ただ…やっぱり真姫ちゃんと一緒にいると楽しいって思って」

にこ「ユーモラスよね、あなたって」

真姫「そ、そうかしら…」

にこ「えぇ、学校でも人気者でしょう?」

真姫(一学期上旬はぼっちだったなんて言えない)

真姫「そうね、大スターだわ。大スター西木野として音ノ木坂では…」

にこ「オトノキ?」

真姫「オーソーリー、ナンデモナーイ。とにかく人気者よ!…休学してたけど」

にこ「え、そうだったの?なにがあって…」

真姫「…わ、忘れたわ。過去のことは振り返らない主義なのよ」

にこ「そうなのね…。でもそんなに明るい性格なのに休学って…それとも休んでる間に何か劇的なことがあってそうなったとか?」

真姫「も、もうなんか色々あったのよ!いいでしょ、私のことは」

にこ「私は、もっと真姫ちゃんのこと、知りたいんだけど」

真姫「って言われても…あ、そうだわ!」

真姫「過去のことは言いたくないけど代わりに…」

真姫「とっておきの作り話、聞かせてあげる」

にこ「作り話…?」

寝室


真姫(今日は希の寝室で、布団を二つ並べてる)

真姫(私とにこちゃんはそこに潜って、私が作り話、という名の実体験を話す)


真姫「…でね、その患者さんは風邪で声が出なくなったんだけど、ナースはすごい薬で解決を図ろうとしたの」

にこ「それって?」

真姫「なんとね…、口の代わりに、お尻で喋れるようになる薬なの!」

にこ「ぷふっ…えぇ、なによそれ」

真姫「しかも、喋ろうとすると必ずおならが出ちゃう薬で、実質おならが声みたいな?」

にこ「そんなの可哀想すぎでしょ…」

真姫「でも声を出すためには仕方ないし、嫌々そのお薬を飲んだ患者さんだったんだけど…」

真姫「いざ喋ったら…ぷふふ…お、おならっ…!あはははっ!!」

にこ「もー真姫ちゃーん!話してる方が笑ってどうするのよ!」

真姫「だ、だってぇ…、面白くて…お、思い出し笑い…くふふふっ…」

真姫「と、とにかく…なんとなく予想はつくでしょう?」

にこ「ま、まぁね…」

真姫「もうそれでナースもドクターも大爆笑!怒った患者さんは二人にキツいゲンコツを食らわせて帰っちゃいましたとさ」

にこ「えー、それでおしまい?」

真姫「まだこの先にも続きはあるけど…、汚いオチだから割愛。どう?面白かったかしら」

にこ「うん、面白かったわ。まるで本当にあった話みたいで。話の内容はありえないはずなんだけどね」

真姫「えぇそうでしょう。なぜか現実味を帯びていてそれが面白いって海未にも言われたわ」

にこ「そうね…、作り話のはずなのに既に続きに汚いオチしか用意されてないのもなんだかリアルよね」

真姫「痛いとこつくわね…。まぁそこも一つのお話として完成されてるってことで」

にこ「ふふ、完成されてるのに未完成を話したの?なんだか変な話ね」

真姫「あー…、そうね。じゃあ次はそうね…。今度はそのドクターとナースが異世界に行っちゃうお話を…」

にこ「…ねぇ、真姫ちゃん」

真姫「ん、なに?もしかしてリクエストかしら?結構なんでもあるからどんなリクエストでも…」

にこ「…私、もう、無理だと思う」

真姫「…え?」

にこ「私がずっとアイドル専攻で見てきた、幾人の人たちみたいに…私の心も壊れちゃったんでしょ?」

にこ「…だったらもう、無理よ。真姫ちゃんが私のために頑張ってくれるっていうのは、嬉しいけど」

真姫「聞いて、たの?希との会話…」

にこ「うん、途中からだけど」

真姫「…無理なんかじゃないわ。心が壊れようとも、私が、私たちが治してあげるから」

にこ「治るかもしれないけど…それは膨大な時間をかけて、でないと不可能よ」

にこ「壊れた心の治癒なんて…一朝一夕でできることじゃないわ」

真姫「するのよ!しないと…そうでないと、にこちゃんは…」

真姫「…夢を、諦めることになっちゃうじゃない…!」

にこ「…」

真姫「この前この家で話してくれたアイドルへの憧れはどうしたのよ…!」

真姫「A-RISEを変えるんじゃなかったの!?絶対に諦めないんじゃなかったの!?」

真姫「そんなこと言うなんて…にこちゃんらしくないわよ…」

にこ「…」

真姫「安心して。私が必ず、にこちゃんの心を取り戻して…」

にこ「じゃあ、真姫ちゃん」

にこ「もし私の心が、数日どころか、数週間…うぅん、数ヶ月、数年経っても治らなかったら?」

真姫「ぇ…」

にこ「それでも真姫ちゃんは、私の心が治るまで、私のために尽くしてくれるの?」

真姫「っそ…」

真姫「…それは」

にこ「うん、そうよね。…できない、わよね」

にこ「真姫ちゃんにも、真姫ちゃんの人生があるんだもの」

にこ「私程度に、その一生を捧げたくなんか、ないわよね」

真姫「そ、そんなことっ…!」

にこ「やめてよっ!!」

真姫「っ…!」

にこ「軽々しく同情したような口利かないでよ!!真姫ちゃんにとっては安い人助けのつもりかもしれないけどっ…!!」

にこ「もし解決しなかったら…私はどうなるのよ…?」

にこ「ダメだったね、で終わって…それからの人生、鏡すら、見れないのよ…?」

にこ「ずっとこの耳障りな…声を聞いていなきゃいけないのよ」

真姫「だからって…最初から諦めたら…」

にこ「…治るかもって希望を抱いて、もしダメってなったら…」

にこ「その時の傷は今より、もっと大きくなるわ」

にこ「淡い期待なんかするくらいなら…諦めた方がマシよ…」

真姫「…にこ、ちゃん…」

にこ「だからね、真姫ちゃんは…自分のスクールアイドルのことを一番に考えて」

にこ「私ができなかったことを、真姫ちゃんたちがやってくれれば…私はそれで…」

にこ「それで…」

真姫「…それでいいって、本当に言える?」

真姫「諦めた方がマシって、本当に…思ってる…?」

にこ「…」

にこ「本当に…思ってるわけ…」

にこ「ない…、じゃないぃっ…!!」

にこ「でも、でも私ぃっ…!!わたしぃぃぃぃっ…!!」

にこ「こわくて…これ以上壊れるのなんて…耐えられない…!」

にこ「だからっ…だけどぉっ…!!う、うぅっ…!」

にこ「うあああぁぁぁああぁぁぁぁあっ…!!うわぁぁぁぁぁんっ!!」

真姫「…っ」

にこ「嫌だぁっ…!!諦めたくないっ!絶対に…アイドルになりたいのにっ…!なりたぃ…の、に…!」

にこ「うああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!ぁぁ…!!」

真姫「…にこちゃんっ」ギュッ…

真姫(切望と恐怖に挟まれて泣きじゃくるにこちゃんを、私は強く抱きしめた)

真姫(アイドルへの憧れと、自分の心がおかしくなってしまう恐怖を、私の胸の中でにこちゃんは、延々と吐露し続けた)

真姫(その言葉はとても重く、私の心にも、深く響いて)

真姫(こちらまで、折れそうになるほどの悲痛さを帯びていて)

真姫(彼女の苦しさが、望みが、痛いほど伝わってきた)

真姫(そうして何分かが経過した頃)

真姫(にこちゃんは泣き疲れたのか、静かな寝息を立てた)

真姫(最後に言った、唯一、私に対しての言葉)

真姫(『助けて、真姫ちゃん』…の一言を、残して)


にこ「…すぅ、…すぅ」

真姫「助けて、…ね」

真姫「…あの事件を思い出すわね。神様の願望機…」

真姫「あの時は無限かと思える程の時間があったけど、今回はそうはいかない」

真姫「でも、やっぱり安心して、にこちゃん」

真姫「…あなたは、私が必ず」

真姫「助けてみせるから」

真姫「だからにこちゃんも…少しの間だけ」

真姫「少しの間だけ…我慢しててね」

真姫「…」スッ

ポチポチ…


真姫「…私、うん、夜遅くにごめんなさい。…明日の放課後なんだけど」




リビング


ガチャッ

真姫「…あ」


希「話は終わった?」

真姫「…ごめんなさい。あんな状態じゃ部屋入りづらいわよね」

希「うん、それと誰かと電話してたみたいやけど」

真姫「えぇ、C☆cute…アイドル応援部のみんなにね」

真姫「…明日の放課後は、にこちゃんを助けるために力を貸して欲しいって」

希「ついに、アイドル活動を犠牲にしても、ってことかな」

真姫「…ほんの少しの間だけよ。否定意見も、もちろんあるでしょうけど」

真姫「それでも私は、今持てる全てで、彼女を救いたいから」

真姫「なりふり構ってられないの」

希「まぁ…うちはなんも言わへんけど…。それも含めて、真姫ちゃんの覚悟、やねんね」

希「…なら、今日は明日に備えて寝ようか。真姫ちゃんの心も相当お疲れやろうし」

真姫「えぇ…、そうね。お休みなさい、希」

希「ん、おやすみ。うちも…寝るわ」

じゃ、ここまで 今回は普通の真姫ちゃんというよりドクター西木野に焦点を当ててみたかった感じだよ
神様の願望機云々については私の処女作である『矢澤にこ「朝起きたら~以下略」』を見てね 姑息な宣伝
なんかシチュエーションがラストシーンと似てたんでつい じゃあ次回まで ほなな

ご丁寧に3回もどうも いつもどおり眠たいけどやっていきます

翌日

放課後 アイドル応援部部室



真姫「…」

花陽「あ、あのぅ…」


海未「…」

ことり「えっとぉ…」


希「…さてと、いつもどおり皆部室に集まってくれたわけやけど」

希「これから何する話だったんだったかな?」


真姫「…昨日、電話で話したとおりよ」

真姫「この放課後を使って、にこちゃんの心を立て直すための作戦会議を行いたいの」

希「…とのことやけど、これに関しての意見は?」

海未「…あります」

花陽「う、海未さん…」

海未「以前、私はあなたのやりたいことなら正しいことだと、そう言いましたが…」

海未「…しかし、今回ばかりはそうは行きません」

海未「夜中ならばいざ知らず、放課後のこの時間は私たちが練習することのできる数少ない時間なのですよ」

海未「それを消費してまで…他人を助けるのは、あまり気が乗りません」

海未「取材のように私たちに利得があるならばまだしも、そういうわけではないのですから」

花陽「で、でも…これも立派なアイドル応援部の活動で…」

海未「私たちは確かに応援部ではありますが、それはC☆cuteとして活動するための必要だったというだけです」

海未「部活動にうつつをぬかし、アイドル活動が疎かになってしまうのでは本末転倒と言えるでしょう」

花陽「うぅ…正論です…」

ことり「…そもそも、夜中にまた誰かの家に集まって、じゃダメなのかな?もしくはアプリ通話で、とか」

真姫「にこちゃんは私にあまり関わって欲しくないみたい。話し合いをするところを見せることはできないわ」

ことり「うぅん…、そっかぁ…」

希「ここまでの会話から花陽ちゃんは賛成派、海未ちゃんは反対派として…」

希「ことりちゃんはどっち派なん?」

ことり「私は…どちらかといえば反対、かなぁ」

ことり「助けることはいいことだと思うけど、貴重な時間を削られるのはあんまり…」

ことり「それに、心の病を短時間でどうこうしようなんて、私は無謀だと思う…」

ことり「…海未ちゃんを助けるのにだって、一学期分かかったんだし」

海未「私も、自身の体験を基に主張させていただきます」

海未「一度壊れてしまった心を元に戻すには少なからず時間が必要であると」

海未「…私たちは、そこまで付き合うことはできません」

海未「スクールアイドルで頂点を取り、各々の夢を叶えることが、我々にとっての第一目標なのですから」

海未「あなた一人に付き合って、それを逃すのは愚行だと、私は考えます」

真姫「…」

希「それに関して真姫ちゃん、何か言いたいことは」

真姫「…時間は、かけない」

真姫「だからほんの少しだけでいいからっ…!あなたたちの知恵と時間を貸して欲しいの!」

真姫「にこちゃんが夢を諦めないための、手助けを…!」

海未「時間はかけない、といいますが、では何日でこなすつもりですか」

真姫「…それは」

海未「にこの心が癒えるまで、なぁなぁで日を先延ばしにするつもりではないのですか」

真姫「それは…っ、ない…」

真姫「…と、思う」

海未「…話になりません」

海未「あなたの心は揺らぎきっています。それではにこを助けるどころか、逆に大きく傷つけてしまいますよ」

真姫「…ぅ」

ことり「あの、そもそも真姫ちゃんはどうしてそんなににこちゃんに固執するの?」

ことり「…ファン、って言っても、真姫ちゃんはにこちゃんのことを知ったのは少なくとも復学してから、なんだよね?」

ことり「だとしたらそこまで思い入れがあるのはどうしてなのかな…って」

真姫「思い入れ…」

海未「そうですね。それも気になります」

海未「A-RISEに衝撃を受けてファンになる方は多いでしょうが、バックダンサーの一人であるにこに対してそこまで必死になれるのは不思議です」

海未「…彼女に、何かあるのですか?」

真姫「にこちゃんに…」


真姫(…私は、にこちゃんに憧れている)

真姫(スクールアイドルとしての彼女は、私にとっての理想像だと思う)

真姫(でも…それは私の世界の彼女)

真姫(この世界のにこちゃんを、私はまだほとんど知らない)

真姫(彼女が中学卒業からの3年間、どんな思いで、どんなことをして過ごしてきたかなんて)

真姫(…なのに彼女を、貴重な時間を犠牲にしてまで救いたがるのは何故か)

真姫(にこちゃんだから…?)

真姫(…)


真姫「…ッ!」


真姫(いえ、違う…!)

真姫(私は見たのよ…!あの日、花陽との秋葉原巡りの日…)

真姫(彼女の中に宿る、確かな煌きを…!!)

(にこ「ずっとやりたかった。子供の頃からの、今も変わらないただ一つの夢」)

(にこ「どれだけ練習が辛くても、どれだけ他の人に憎まれても、その夢は裏切れない」)

(にこ「アイドルをやりたいっていう、その夢のためだけで、にこは頑張れるの」)

(にこ「何があっても、笑顔と夢は忘れない、って決めてるから」)



真姫(…彼女は、忘れてしまっていた)

真姫(自分の孤独が、自分自身が陥れた、心を守るための牢獄だったということに)

真姫(健気な少女を演じすぎたせいで、歪に変質した心すら、忘れて)

真姫(けど彼女は…)

真姫(…何があっても、笑顔と夢は忘れないって、そう言ったのよ)

真姫(己の心すら忘れてしまっても、決して忘れなかった…その二つを)

真姫(今度こそ彼女は、失おうとしている)

真姫(なら、私は…)



真姫「…私は、にこちゃんのことに詳しいわけじゃない」

真姫「もしかしたら、私は彼女に、別の誰かを重ねて見ていたのかも、しれない」

真姫「…けれど」

真姫「私の目の前で、私の知ってる人がっ…!」

真姫「笑顔で夢を語ってくれた人が!」

真姫「それを、諦めようとしているのよっ!!」

真姫「諦めなきゃ、いけない状況に追い込まれているのっ…!」

真姫「なら理由なんかいらない!私は彼女に手を伸ばしたい!」

真姫「孤独のまま深淵に飲み込まれていくなんて、そんなの悲しすぎるからっ!!」

真姫「この感情は理屈でどうこう言えるものじゃないっ…!わかってもらえるとも思ってない…!」

真姫「私の、ワガママだからっ…!!」

真姫「だから、お願いっ!あなたたちに得なんてない、ただ無駄に時間を浪費するだけのこと…」

真姫「それを承知の上で、私に力を貸してっ!」

真姫「彼女を助けたいって…心が疼くからっ…!」

真姫「お願いします…!お願いします…っ!!」

海未「…」

花陽「ま、真姫ちゃん…」

海未「…ふぅ」

海未「結局は、感情論ですか」

真姫「…」

海未「理屈で丸め込むのは難しいから、我が儘を押し通すと」

海未「結果私たちに不利益が被ろうと、それは知ったことではない、と」

ことり「海未ちゃん…さすがに言い過ぎじゃ…」

海未「それをあなたも理解した上で、そうやって机に額を押し付けて、私たちに助けを乞うているのですね」

真姫「…えぇ」

海未「…厚顔無恥、ですね。こちらのことを考えず、ただ自らの思うままに行動する」

海未「実に愚かしい行為です」

真姫「…」

海未「…しかし」

海未「本当にやりたいこと、というものは得てして、そういうものなのかもしれませんね」

ことり「え?」

海未「顔を上げてください、真姫」

海未「生半可な気持ちなら断るつもりでしたが、そこまでされてはいいえとは言えませんよ」

真姫「え、じゃあ…」

海未「あなたにも、覚悟があってのことだと理解しました」

海未「でしたら、ほんの少しだけなら、お力添えさせていただきます」

花陽「ほ、本当ですか?!」

ことり「いいの?さっきまで反対だったのに…」

海未「えぇ。…迷惑を顧みず、自分のやりたいことをやる、だなんて」

海未「どこかの誰かを思い出して、少し懐かしい気分にさせてもらいましたし、その見返りと思えば」

真姫「あ…」

海未「…しかし、やはり日数をだらだらと引き伸ばすことはできません」

海未「しかも、引き伸ばす猶予すらほとんどない。ならばいっそ極端に目標を定めたほうが効果的と判断します」

海未「ですので、にこの心を治癒するための期限は…明日までとします!」

花陽「あ、明日!?」

真姫「活動時間で言えば、もう24時間も残されてないってことね…」

海未「彼女はもうまともにアイドル専攻を受けることすら出来ない体なのでしょう?」

海未「それならば、3日4日放置していれば確実に彼女はバックダンサーから再び下ろされてしまうでしょう」

海未「やるならば、速攻で。でなければ意味がありません。…ことりも、これならばいいでしょう?」

ことり「う、うん…。でも、明日までに心を治す、なんて…本当にできるの?」

真姫「…やるのよ。海未の言う通り、それ以上時間をかけることは、私たちにとっても向こうにとっても難しいことでしょうし」

ことり「そっかぁ…。明日…、厳しいね」

花陽「そもそもにこ先輩は大丈夫なの…?今日もアイドル専攻の授業を受けてるんだよね?でも…」

希「きっとにこっちも必死に耐えてるはず…。襲い来る恐怖と戦ってるんよ」

同時刻 多目的ホール


にこ「…ッ」ブルブル…


絵里「さぁ、矢澤さん。落ち着いて」

絵里「大丈夫、あなたなら出来るわ。ほら、鏡をよく見て」

絵里「ちゃんと自分がどうやって踊っているか…」


にこ(絵里の声はもう聞こえない…)

にこ(私の耳には、誰かの声が延々と響き続ける)


『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』『チビ』


にこ(目の前の私は、昨日と同じく血まみれで)

にこ(呪詛を込めた瞳で私を睨んでくる)


『小さくて惨めなにこおぉぉぉぉお…!』

『あなたが代わりに死んでぇぇぇぇえぇぇ…!!』


にこ(震えが止まらない…!)

にこ(幻聴が、幻覚が、私を押し潰そうとしてくる…!)

にこ(怖くて、怖くて、今すぐ逃げ出したい…!!)



にこ「…ぅ、が、ぁっ…!」


絵里「どうしたの矢澤さん?出来ないのかしら」

絵里「ねぇ…できないのなら…」


にこ「…やり、ますっ…!!」

絵里「…あら、そう」


にこ(…でも、逃げ出すなんて、出来ないっ…!)

にこ(私の夢だから…!でも、でもっ…)


にこ「…」ガクガク…ブルブル…


にこ(踊ろうとしても足が震えて、上手く踊れない)

にこ(今少しでも動けば、すっ転ぶ自信がある)

にこ(でも踊らないと…!動け、動け…動けぇぇぇぇっ…!!)



穂乃果「…にこちゃん。今日も休んだほうがいいよ」


にこ「…っ」

穂乃果「絵里さんも、それでいいですよね?」

絵里「…」

絵里「…仕方ないわね。でも、こんなことが続くと…」

絵里「もう、後がないわよ?」

にこ「う…、っはぁぁっ…。あ、ぅ…!」

穂乃果「…」

にこ「…ごめん、なさい…。また、心配かけさせて…」

穂乃果「そうだよ」

穂乃果「私は、これが最後。…もうこれ以上、あなたには何もしてあげられない」

穂乃果「弱い人間と付き合うと、私まで弱くなっちゃうから」

にこ「…よわい…にんげん…」

穂乃果「あなたがここで終わるような人なら、私は容赦なくあなたを見捨てる。踏み付ける」

穂乃果「あなたに構って、私まで立ち止まるわけにはいかないから」

にこ「…わかって、る…」

にこ「私だって…こんなところで終わり、たくない…!」

穂乃果「なら早く立ち上がって。そして追いついてきて」

穂乃果「私は、少しだって待つつもりはないから」

穂乃果「じゃあね。…明日は自分ひとりで、なんとかしてね」

にこ「…えぇ」



ロッカールーム


にこ「…」キガエキガエ


凛「…にこ先輩」


にこ「凛…」

凛「もう、帰っちゃうんだ」

にこ「…」

凛「…歌うの、楽しいよ」

凛「ほんのワンコーラスだけでも、本当のアイドルになれたって気がして」

にこ「…」

凛「羨ましいでしょ。にこ先輩、まだ歌えてないもんね」

凛「ダンスは穂乃果先輩とはもう完璧に合わせられるようになったからあとは…」

凛「…」

にこ「…ごめんなさい。足、引っ張っちゃったわね」

凛「…ほんとそれ。ふざけないでよ。バカ。大嫌い。しね」

凛「二度と、そんなしょぼくれた顔見たくない」

凛「どっか、行ってよ…」

にこ「…えぇ。さよなら」スタスタ…


ガチャッ バタンッ


凛「…」

凛「大っ嫌い…!弱い人なんて…!」

アイドル応援部 部室


希「それじゃまあ、話もまとまったところでにこっち救出?作戦を立てようと思うけど…」

希「真姫ちゃんはなんか得策とか考えてないん?」

真姫「ないわ」

ことり「即答!?」

真姫「少しは考えてみたけど、得策ってほどいいものは思いつかなかったわね」

花陽「例えばどんな…?」

真姫「とにかく応援しまくるとか」

海未「明らかに逆効果ですね…」

希「本人は頑張ってるのにガンバレはねー」

真姫「わ、私の足りない頭じゃこれが限界だったの!だからみんなの力を貸して欲しくて…」

ことり「うーん、でもねぇ…」

花陽「ことりちゃんはその…海未さんの時はどんなことをしてたんですか?」

ことり「海未ちゃんの時?えっとねー…」

海未「う、じろじろと見ないでください…。知られたとはいえあまり思い出したくない過去ではありますし…」

ことり「何もしなかったかなぁ…」

花陽「何も?」

ことり「うん…。私じゃ無理だ、って思って…」

ことり「とにかく海未ちゃんのところへ行って穂乃果ちゃんのことを報告するだけ」

ことり「海未ちゃんにとって穂乃果ちゃんはかけがえのないものだったから、その喪失を埋めるためには穂乃果ちゃんしかないのかな、って思うとね」

ことり「だから、そうやって時間が解決してくれるって信じて私は海未ちゃんの回復を待ったかなぁ」

真姫「時間…ね。今回最も使えないもの、ね」

ことり「うん。だから私の体験はアテにしないほうがいいかも…」

希「じゃあじゃあ、海未ちゃんはどうなん?自分が鬱から回復した時、どんな感じだったとか」

海未「ぐぅっ…!触れられたくないと言っているのにズカズカと入り込んでくるとは…さすが容赦がないですね」

海未「私は…そうですね…。えー…」

海未「…覚えていません」

花陽「え…」

海未「ほ、本当なんです。どうして自分が立ち直れたとか、気にしていなくて」

海未「やはり、時間が心を癒してくれたのだと…おそらくですが」

真姫「あぁ…そう」

海未「ガッカリしないでください…」

ことり「海未ちゃん立ち直ってからどこかおまぬけさんだからねー。覚えてなくても仕方がない!」

海未「そういうあなたはおちゃらけさんではないですか」

ことり「それは海未ちゃんを笑わせたいがためでー…あ!それがあった!」

ことり「笑わせるようなことをすれば心も癒されるんじゃないかな!?」

真姫「…それは昨日やった。そもそもにこちゃんは普通に笑えてたわ」

ことり「あ、なんだ…」

海未「そもそも私とにこでは症状が違いすぎて比較対象にならないのでは…」

花陽「心の病って言っても色々と種類があるもんね…」

希「海未ちゃんは笑うことすらできなくて常に錯乱状態、だったんだっけ」

ことり「うん。…あれは見てて辛かったなぁ…」

真姫「対してにこちゃんは、日常生活は普通に送れているけど…時折幻覚や幻聴が、だったわね」

花陽「幻聴?ってどんな?」

真姫「え、どんなって言われても…希、聞いてない?」

希「え、あー…せやね…。幻聴としか聞いてないわ」

海未「ど、どうして先に具体的に聞いておかないんですか…」

真姫「だって本人が触れて欲しくなさそうだったし…」

海未「治癒に本気ならそういうところを甘くしてはいけません!きちんと細部まで聞いておいてください!」

真姫「…ごめんなさい。帰ったら聞いておくわ」

ことり「海未ちゃんきびしー」

希「あ、でも幻覚の内容と幻覚が見える条件なら聞いたわ」

真姫「それはどんな?」

希「なんでも…血まみれのにこっちが鏡の中から睨んでくるんやって。死んで~…とか言われるらしいわ」

希「で、見える条件が鏡を見たとき、だったかな。伏せてある手鏡にも過剰反応してたわ」

真姫「あぁ…、そうだったわね。脱衣所やお風呂の鏡すらダンボールで封をして見るのを拒否してたわね」

ことり「うわぁ…怖いね、それは」

花陽「え…!?でもアイドル専攻で使ってるホールには…」

希「うん。大きな鏡がある。にこっちはあそこに入ると否応なしに幻覚に苛まれることになるね」

海未「それではやはりアイドルの練習などままならないのでは…。彼女を救い出すためには一刻も早く解決法を見つけ出さねばなりません」

海未「ともすれば、明日を待たずとも、彼女の心の方が先に壊れてしまう可能性も…」

真姫「それは避けたいところね…」

ことり「じゃあ、まずは鏡を見ることを克服すればいいんじゃない!?」

ことり「幻覚を見ないで済むようになれば、バックダンサーから下ろされる可能性も少なくなるだろうし」

ことり「とにかく、ちょっとでも我慢できるようになれば。根本的な解決とは行かないだろうけど…」

希「そっか、それはアリやね。病的に鏡を避けてばかりじゃそれに対する免疫もつかないし」

真姫「鏡を見させて免疫を…。わかった、帰ったらやってみるわ」

海未「先程から帰ったら、と言っていますが、そもそもにこは今日も部長のお家へ来るのですか?」

真姫「え…」

花陽「え、確信してないの?」

真姫「…帰ってくる前提で話してたわ。ど、どうしよう!もし来なかったらこの会議が結構無駄なことに…」

希「大丈夫や。にこっちは今日も帰ってくるよ」

ことり「え、どうして言い切れるんですか?」

希「ふふ、お弁当渡すときに言っておいたんよ」

希「ちゃんと今日、お弁当箱返してね、ってね」

真姫「…根回しが早いにも程があるわね。うちの部長さんは」

真姫「んーっと…、とりあえずそれはそれとして…他に何かないかしら。対策」

ことり「う~ん…そうだなぁ…」

花陽「あ、あの…」

希「はい花陽ちゃん!」

花陽「そもそも、どうしてにこ先輩の心は壊れちゃったんだっけ…」

真姫「え」

海未「あぁ、そういえば詳しく聞いていなかったような気が…。まさかそれも知らないとかいうのでは…」

真姫「え、えっとぉ…希の推理によればね…」

真姫「私たちが先日行ったパジャマパーティ。あれによってにこちゃんは一人きりで頑張ることから解放された」

真姫「孤独によって感じていたストレスは解消され、ストレスで減少していた体力も元通り、…までは良かったんだけど」

真姫「実はその孤独、っていうのはにこちゃんがアイドル専攻の嫌がらせによるストレスから心を守るために、自らに課した牢獄、だったっけ?」

希「うん。誰も彼もを見下して、この世界には自分ひとりしかいない。そう思えば他人の声なんて心には響かないんと違うかなって」

ことり「え…?にこちゃんが他人を見下してる…?そんな子じゃないふうに見えたんだけど…」

真姫「えぇ、私も。でも希が言うには、それは演技なんですって。多分スーパーアイドルはプライベートも完璧にしたかったんでしょう」

海未「ファンにも笑顔を届けるため、ですか…」

真姫「…うん。あぁ、でも、あなたたちが見たにこちゃんはもうすでにそうじゃなかったのかも」

海未「はい?」

真姫「おそらく、彼女は完璧なアイドルを演じすぎたせいで、歪んだ心を忘れてしまっていた」

真姫「プライベートを完璧にスーパーアイドルとして過ごしていくうちに、浄化された、って言ってもいいのかもね」

真姫「でもそのせいで孤独がストレスと感じ始めた。それは自分を守るための檻だったのに」

海未「…なるほど。そしてそれが解消されたゆえに…」

真姫「えぇ、それ以上のストレス…、アイドル専攻の嫌がらせのストレスが彼女を襲った、のかしらね」

花陽「うぅ…、嫌がらせで、かぁ…。まさかにこ先輩も、そうなっちゃうなんて…」

真姫「あ、そっか…。花陽の友達も嫌がらせでアイドルが嫌いになっちゃったんだっけ」

花陽「…うん。それと、厳しい練習量に耐え切れず、かな」

ことり「私もよく見たよ。服飾でホールに出入りしてたときに、泣きながらホールを出て行った人とか…」

希「そういう人は、諦めた弱い人、としてあっけなく切り捨てられるのが今のアイドル専攻の現状やね」

真姫「何度聞いてもゾッとしないわね…。それでも人が集まるんだから恐ろしいわ」

海未「…あの、少しいいでしょうか」

希「はい海未ちゃん!」

海未「先ほどのにこが心を病んだ理由ですが…」

海未「…結局のところ全て部長の推測なのですよね?」

真姫「あー…そうね。本人には聞いてないんだし」

海未「だからそれも聞いてくださいと…」

真姫「ご、ゴメン…。踏み込んだ話は難しくて…。これも聞いておくから…」

花陽「あ、でもそうすると…もしかしたら今の話の中で、間違ってるところもあるかもしれないってことだよね?」

ことり「間違ってるところ?」

花陽「うん。例えば、にこちゃんは嫌がらせで心を病んじゃった、って言ってたけど、私の友達はそれに加えて練習量の多さでくじけちゃってたし…」

花陽「もしかしたらにこちゃんは嫌がらせ意外にも、心を病む理由があったのかも…」

希「うちの推理との相違点もあるかもしれない、か…。せやね、それもあるかもしれない」

真姫「しかしそうなると…やはり本人との会話が重要になってくるわね…」

海未「そういえば先程からにこちゃんにこちゃんといつの間にか馴れ馴れしいですね…」

花陽「…っは!ごめんなさい!ついうっかり!」

ことり「仕方ないよね。もう私たちの呼称の仕方メチャクチャになってるもん」

真姫「あと細かいけど『嫌がらせ意外』じゃなくて『嫌がらせ以外』だからね。訂正ついでに訂正しておいたわ」

海未「もう一つの課題は、短時間で心を癒す、ですね」

ことり「…私、それが一番無理なんじゃないかって思ってるよ」

ことり「明日まで、だよ!?心を癒すのにそんな短時間でどうこうできるとは思えないよ…」

花陽「骨折を明日以内に完治させよう、って言ってるようなものですしね…」

真姫「か、簡単よ!骨が折れたなら新しい骨と交換すればいいの!それなら一日で治るでしょう!」

海未「そんな馬鹿な…」

希「…いや、一番現実的なのがそれかもね」

海未「えっ」

真姫「えっ」

花陽「なんで真姫ちゃんまで驚いてるの…」

真姫「まさか採用されるとは」

ことり「もしかして…折れた心を入れ替える、ってことですか?」

希「心を入れ替える…とはまたちょっと違うかもしれへんけど」

希「今のにこっちの心は守ってくれるものを無くしてバラバラの状態」

希「だからもし一度組み立て直しても、その支柱がなければ再び崩れてしまう」

希「うちが入れ替える、って言ってるのは、にこっちの心を支えてくれるもの」

真姫「今で言うところの…孤独ってことかしら」

希「そう。孤独に守られていたにこっちは孤独を失った。そのせいで外部からのストレスで揺らいでしまったけど」

希「一度、ガタガタでもいい、もっかい心をひとつにまとめて、それをガチガチに縛ってくれる何かさえ見つかれば…」

花陽「心が治るまで、ギプスの役割をしてくれる…ってこと…?」

希「うん、いい喩え!そういうことやね」

真姫「心を縛ってくれる、心を支えてくれる何か…?孤独の代わりになるような…」

真姫「あぁぁっ!!そんなの言われてもどうすればいいのよっ…!」

希「焦らない焦らない。焦れば全てを逃してまうよ」

真姫「…わかってるわ。急いで、心は冷静に、ね」

ことり「んーと、それじゃあそのことについて議論していこっか」

真姫「そうね、えっと…」



・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・

真姫(結局下校時間まで話し合ったけど)

真姫(それ以降は特にこれといった成果もなく)

真姫(私たちは解散することとなった)



下校中


真姫「…はぁ。こんなので本当に大丈夫なのかしら」

希「真姫ちゃんが自分を信じないでどうすんの。にこっちも真姫ちゃんのこと信じてくれなくなるよ?」

真姫「そ、そうね…。よし、にこちゃんを助けるわよ!ファイト!」

希「うんうん、その粋や」



希の家前


真姫「…あ」


にこ「…あ」


希「んー、どうしたんにこっち。お弁当箱ドアノブに引っ掛けて」

希「まーさーかー、それで返したつもりやったんかなー?」

希「そしてそのまま帰っちゃうなんてこと、ないよねー?」

にこ「し、しまったわ…!もう少し早く来るべきだった…!」

真姫「今日は、泊まるつもりはないの?」

にこ「…」

真姫「にこちゃん、お願い。今日も泊まっていって」

真姫「…あなたを助ける、手助けがしたいの」

にこ「ま、まだそんなこと言って…!」

真姫「助けて、って言ったのは、あなたでしょ!」

にこ「私が…?」

真姫「泣きつかれて覚えてないのかもしれないけど、寝る寸前に私に言ってくれた」

真姫「助けて、って。にこちゃん、心の底では確かに助けを求めているんでしょ」

にこ「…」

真姫「…そうでなくても、一緒の部屋で寝るのは楽しいものよ」

真姫「今日が最後でいいから。…ね?」

にこ「…はぁ」

にこ「わかった。…パジャマと制服、取りに帰るから待ってて」

希「おっと、そんなこといって二度と帰ってこないつもりじゃ?」

にこ「そんなことない。本当よ」

にこ「…ど、同年代の子と同じ部屋で寝るのが気に入っちゃっただけだから」

希「んふふー、その返答もどうかと思うわー」

希の家


真姫「…ごちそうさまでした」

にこ「ごちそうさま」


希「はい、お粗末さま~。どう?美味しかった?」

真姫「えぇ~、美味しかったわ。『カレーうどん』」

希「…まだルー余ってるんやもん仕方ないやん」

真姫「3人で三日食べてそれでもまだ尽きないってどれだけ作ってんのよ!?明日もカレーなにかになるのね…」

にこ「ふふ、でも普通に美味しかったわよ。真姫ちゃんの言ったとおり、二日続けて食べても飽きないわね」

希「せやろせやろ~?」

真姫「…4日目はさすがに飽きそうだわ」

希「じゃ、今日こそうちが洗い物してるから、にこっち、お風呂入ってき」

にこ「え…。あ、わ、わかったわ。汗、かいちゃったしね。今日も」

にこ(脂汗だけど)

にこ「…あ。その…鏡は…」

希「昨日のままやよ。大丈夫」

にこ「そ、そう…よかった」

真姫「そんなに鏡を怖がって…もしかして朝から一切鏡を見てない、とか?」

にこ「えぇ…。実は」

真姫「え、本当に!?髪のセットとか化粧とかどうしたの…?」

にこ「髪は感覚でやって、ちゃんとできてるか妹たちに確認してもらって。…化粧は、今日はしてないわ」

真姫「それを、毎日続けるつもり…?」

にこ「う、うっさいわね…。怖いんだから仕方ないでしょ!」

にこ「潰されて血まみれの私が、こっちを覗いてくるのよ…!?体験してないあなただから言えるのよ!」

真姫「…うぐ」

にこ「…い、いつか…いつか克服するつもりだけど…。ゴメン、今はまだ、怖くて」

真姫「…」

にこ「お、お風呂行ってくるわね!」スッタカター

真姫「にこちゃん…」

希「いつか、じゃ真姫ちゃんには遅すぎるんよね」

希「…にこっちの心を癒すピースを本人から集められるのは、この夜が最初で最後」

希「悔いのないように、過ごすんやよ」

真姫「…はは、死刑前日みたいだわ。笑えない」

寝室


真姫「…ふぅ、いいお湯だったわ」

にこ「そ。じゃあ真姫ちゃん、一緒に寝ましょう。はい、ぽんぽん」ポンポン

真姫「そうやって布団をぽんぽんするジェスチャーはやめて。興奮するから」

にこ「予想外の反応でビックリだわ…」

真姫「…あと、私はまだ寝るわけには行かないの。にこちゃんの心を癒すために色々しないといけないから」

にこ「えぇ…いいって言ってるのに…」

真姫「助けて欲しがってる人をみすみす見過ごせないわ。お人好しだからね」

にこ「ホント、お人好しすぎるわよね…。おせっかいとも言うわ」

真姫「それでもいいから。あなただって助かりたいんでしょ」

にこ「…わかったわよ。で、どうすればいいの?」

真姫「色々聞かせて欲しいの。その幻聴や幻覚の症状について、詳しく」

真姫「まずは幻聴。…具体的にどんなことが聞こえるの?」

にこ「…今まで私に嫌がらせをしてきた奴らの声が聞こえるのよ」

にこ「私を罵倒する声」

真姫「罵倒…」

にこ「これは一日中、ってわけじゃないけど、気を抜いたらすぐに聞こえてくる」

にこ「何も考えてないときとか、特にね」

にこ「酷い時は周りの音を全てかき消すくらいの大きな声が耳元でするのよ」

にこ「…気が狂いそうになるわ」

真姫「おもってたより、キツそうね…」

真姫「じゃあ次は幻覚…たしか血まみれのにこちゃん自身が見えるのよね?」

にこ「えぇ…決まって鏡の前で、ね」

にこ「私に死ねとかなんとか、呟いてくるのよ」

真姫「死ね、って言われるの?他には?」

にこ「他には…、えっと…」

にこ「そう、私に向かって喋る時に一々こういってくるのよ」

にこ「『小さくてなんとかなにこ』って感じで。なんとかには寂しい、とか哀れな、みたいなネイティブな形容動詞入れてきて」

真姫「…」

真姫「…ネガティブ、かしら」

にこ「あ、そ、そうそう、それよ」

真姫「あとそれは形容詞ね」

にこ「ど、どうでもいいでしょそんなこと!私の頭が悪いことくらい重々承知よ!」

真姫「それは鏡を見てる時は必ず?」

にこ「え、えぇ…。ホールに行けば大きい鏡があって、見たら絶対に出てくるの…」

にこ「それが脳みそを引っかき回されるような不快感と恐怖で…ホント、最悪よ」

真姫「…やっぱり、アイドルとして鏡を見ることができないっていうのは致命的ね」

真姫「だから…こうするしかないと思うわ」スッ

にこ「え、何っ…ってぎょわぁぁぁっ!!なに出してんのよ!?」

真姫「…手鏡よ」

にこ「こ、怖いって言ってるでしょ!やめてよ!」

真姫「いつまでも怖がってられないでしょ!克服するための練習も必要よ!」

にこ「そんなこと言ったってぇぇ…!夜は安らかな気持ちでいさせてよ!」

真姫「そうやって逃げてたらいつまで経っても改善なんか見込めないわよ!」

にこ「昼なら…昼にやるから!」

真姫「今私が居る前でやって!そうでないと信用できないわ!」

にこ「ちょっ…、自分を信じてとか言っておいて私のことは信用できないのね!?」

真姫「にこちゃんはそういうところはぐらかす…ような気がするから!」

にこ「私の何を知ってるって言うのよ!?と、とにかくっ…鏡はナシっ!」

真姫「ダメぇぇっ!!」

にこ「そ、そんなに大きな声で叫ばなくても…」

真姫「このままずっと鏡を見なかったら…にこちゃんは笑顔を忘れちゃう…!」

にこ「えっ…」

真姫「自分の笑った顔を見れないなんて、寂しいでしょ!?」

真姫「にこちゃんは自分の笑った顔、好きなんじゃないの!?」

にこ「それは…」

真姫「毎日鏡の前で、笑顔を作ってにこにこにー、って」

真姫「そうやって妹さんたちも、笑顔になれているんでしょ」

にこ「ど、どうして真姫ちゃんが私の妹のこと、知ってるのよ…」

真姫「ずっと笑顔を見なければ、いつか笑顔の作り方すら忘れてしまう」

真姫「自分では笑ってるつもりでも、笑えてないかもしれなくなる」

真姫「そんなのっ…、嫌じゃない!」

にこ「…っ」

真姫「…せめて、自分の顔だけでもわかるようになりましょう」

真姫「妹さんたちにとって、あなたはもう最高のアイドルなんだから」

真姫「笑顔をなくすなんて、しちゃいけないわよ」

にこ「…」

にこ「こころ…、ここあ…、こたろう…」

にこ「…こうしてる間にも、あの子達は私のこと、心配してるのよね…」

にこ「そう…。ならせめて、笑顔でいないと…」

にこ「少しでも心配かけないように、にこにこにーで笑顔にならないと…!!」

にこ「真姫ちゃん…、それ、貸して」

真姫「手鏡?…はい」スッ

にこ「…!目をつぶって、集中…」

にこ「怖くない、怖くない、怖くないぃぃ…!!」

にこ「血まみれの私なんか笑顔で…に、にっ…!!」

にこ「にっこにっこにー!!」

真姫(つ、ついに鏡を、見たっ…!!)




にこ「…あれ」

真姫「へ?」

にこ「普通…だわ」

にこ「普通の私が…普通に笑顔で映ってる…」

真姫「え…?どういう、こと…?」

にこ「あれー?おかしい…」

にこ「あ!もしかしてもう私治った…?」

真姫「いやいやいや…、そんな簡単に治ったら私のこれまでの苦労は一体…」

にこ「っ…!!」

にこ「クッソ…、治ったと思ったけど…、ダメだったわね」

真姫「え?もしかして幻覚が…?」

にこ「ち、違うの…。幻聴の方よ。…また耳元で声が…」

にこ「ったく、うるさいのよ…。『チビ』『チビ』って…」

真姫「…チビ?」

真姫「にこちゃんへの罵倒って…チビなの?」

にこ「そうよ!私が幼い頃から幾度も投げかけられた罵倒!」

にこ「脳みそに染み付いて、離れない…言葉よ」

真姫「…」



(にこ「潰されて血まみれの私が、こっちを覗いてくるのよ…!?」)


(にこ「『小さくてなんとかなにこ』って感じで」)



真姫(潰される…。小さい…)

真姫(そして…チビ…)


にこ「でもどうしてかしら…。今まで鏡はダメだったのに、急に見れるようになって…」

真姫「にこちゃんっ!」

にこ「は、はいっ!?なにかしら…」

真姫「その幻覚の症状が出てから、今までホールの鏡しか見てこなかったの!?」

にこ「え、そんなことないけど…」

真姫「じゃあ家の鏡とかは…」

にこ「それは怖くて見れなかったわ…。自分の部屋の鏡もこころに片付けてもらったし…」

にこ「そういえばホール以外で鏡を見たのはほとんどないかも…唯一見たのが…」

にこ「…医務室の、姿見…」

真姫「…っ!!やっぱり…!」

にこ「え、やっぱり…?」

真姫「繋がったわ…!花陽の言ってたとおり…!」

真姫「原因は、嫌がらせだけじゃなかった…!!」

にこ「ど、どういうことよ…?私にもわかるように説明して?」

真姫「…おそらくだけど、にこちゃん、あなたは…」




真姫「身長に、コンプレックスを抱えているのね」

にこ「え…」

真姫「自分が小さいってことを気にしている。そうでしょ?」

にこ「そ、そうでしょ、って…。そんなの昔から気にしてるけど…」

にこ「今更だわ。もう慣れたわよ、身長の差なんて…」

真姫「…いえ、違う。あなたは今も気にしているのよ。自分の身長の低さを」

真姫「今まであなたが見てきた幻聴、幻覚、その全てがそれを指し示している」

にこ「え…?」

真姫「今まで多くの嫌がらせを受けてきて、様々な罵倒を投げかけられたことでしょうけど」

真姫「その中でも最も心に残ってるのが、『チビ』って言葉」

真姫「そしてあなたの頭に響く幻聴は、全てその『チビ』で埋め尽くされているわ」

真姫「他にも多々、嫌な言葉はあったのに、そればっかり」

にこ「それは…、今まで一番多く投げかけられた言葉だからであって…」

真姫「そして幻覚で生み出される血まみれのにこちゃん。あなたは彼女を『潰された』といったわね」

にこ「え、えぇ。一番最初に見た幻覚で、大きな足に潰されて…」

真姫「それは自分が踏み潰されるほど小さい存在であることを自覚している象徴」

真姫「鏡の中のあなた自身も、あなたに対して『小さい』と呟いている」

真姫「それほどまでににこちゃん、あなたは小さい自分に対して敏感なのよ」

にこ「…」

真姫「そして、何より」

真姫「今見た手鏡で、血まみれのあなたが見えなかったこと」

にこ「そ、そうよ、それよ…。どうしてこれだけ…」

真姫「答えは簡単よ」

真姫「あなたは、鏡そのものを恐れていたわけじゃない」

真姫「『全身が映る鏡』を恐れていた」

真姫「『鏡に映った小さな身体の自分』に、恐怖を抱いていた」

真姫「だから顔だけ映る鏡には、血まみれのあなたは映し出されなかった」

真姫「血まみれのにこちゃんは」

真姫「あなたの、身長に対するコンプレックスの象徴よ」

にこ「…っ!」

『矢澤さんって、いっつも一番前なのね』

『前ならえの時、楽そうで羨ましい』



私からすれば、あなたたちが羨ましかった。

ずっと、腰に手を当ててばかりで。

一度くらい、手を前に出したかった。



『あら、1年生?』

『おつかい上手ね。はい、どうぞ』



私はもう、6年生だ。

妹の面倒だって見れる、立派なおとな、なのに…。




『え、黒板の文字見れない?』

『先生に言って前に席移動してもらえば?』



うるさい、あんたがデカイから悪いのよ。

もう前の席なんか、行きたくない。



『あなた、モデル専攻なの?』

『あははははは!!無理無理!やめといたほうがいいよー?』

『せめて歌手とかさ~。他にも色々あったでしょ?』

『どうしてモデル選んじゃったの?』



私はモデルなんか目指してない。

ただ、アイドルになりたいから。

そのために一番敵の少ない、ここを選んだだけ。

そう、それだけ。

たったそれだけ。

別に…


身長が高くなるかもしれないから、なんて。

考えて、ないんだから。




『あなたには無理だよ』

『だって』

『チビなんだから』

にこ「…!」

にこ「…そう、だった」

にこ「私は…小さい自分が、嫌で嫌で仕方なかったんだ…」

にこ「だから…モデル専攻に入って…、大きくなれればって思って…」

にこ「でも…そんなの叶わぬ夢で…」

にこ「それをごまかすために、モデルは私にとっては二の次、なんて…」

にこ「私…私…、そっか…。そう、だったんだ…」



真姫(…にこちゃんは小さい自分が嫌いだった)

真姫(どうやらそれは間違いないらしい)

真姫(にこちゃんの心が崩れた原因、コンプレックス)

真姫(それを見つけることはできた…)

真姫(…けれど)



にこ「…でも、だったらどうすればいいのよ」

にこ「この身長をどうにかすることなんて今更出来ない!」

にこ「小さい私はどうやったって、もう私でしかない…!」

にこ「逃れることなんてできないのよ!!」

真姫「にこちゃん…、だったら今から、好きになればいいじゃない」

真姫「小さい身体も自分の個性だと思えば…」

にこ「思ってきた!小さい私だからこそ、愛されるキャラクターでいようって!」

にこ「ずっと思ってきた結果が、これよ…!?」

にこ「心にしこりが残り続けたせいで、私は自分の姿を見ることが出来ないくらい、自分が嫌いになってる…!」

にこ「じゃあどうしろって言うのよ!?どうすれば私は私を好きになれるの!?」

にこ「教えてよっ!!私は…私はどうしたらいいのよぉっ!!」

にこ「おしえなさいよぉおぉぉぉおぉっ!!!!」

真姫「うっ…」

にこ「あなたにはわからないっ!私の痛みがっ!苦しみが!!」

にこ「ずっと小さいって虐げられてきた辛さが!」

にこ「あなたにはその経験がないからぁっ!!」

にこ「わかるわけないのよっ!!」

真姫「…」

にこ「…結局、真姫ちゃんじゃ、私を癒すことはできなかった」

にこ「でもありがとう。おかげで…鏡を見るくらいはできるようになったわ」

にこ「これで妹たちに、心配かけずに済みそう」

にこ「…笑顔のまま、アイドルをやめられるわ」

真姫「っ…!待って…!まだっ…!!」

にこ「おやすみ、真姫ちゃん」

にこ「…さよなら」

真姫「に、こ、ちゃ…ぁ…」

真姫(私の持てる全てを以て、にこちゃんの心のピースを探して)

真姫(彼女を苛む原因は突き止められたけど、結局そこまでだった)

真姫(私には、彼女を救う手段が、ない)

真姫(私には彼女の痛みが、共有できない)

真姫(おそらく、C☆cuteの誰も)

真姫(仮ににこちゃんと同じ経験をした人がいたとして)

真姫(その人ににこちゃんを説得してもらったとして)

真姫(その言葉がどれだけ彼女に伝わる?)

真姫(ただ、虚しいだけ)

真姫(傷の舐め合いにしかなりはしない)

真姫(彼女の心を、ガチガチに縛ってくれるもの)

真姫(そんなもの…どこにあるって言うの?)




翌日

1年E組


真姫「…」


真姫(机に突っ伏して、ひたすら考える)

真姫(昨日の晩から、寝ずに頭を働かす)

真姫(にこちゃんを救えるものを、私は持っていないかと)

真姫(私だけじゃない。花陽、ことり、海未、希…)

真姫(彼女たちににこちゃんを救える何かは、ないか)

真姫(考えて考えて考えて)

真姫(そして未だ、何も浮かばず)

真姫(タイムリミットは、今日まで)

真姫(正確には、にこちゃんと話せる、今日の放課後まで)

真姫(それまでに、私は…)


「…どうしたの?眠たい?」


真姫「…ん?」

真姫(声をかけられ、顔を上げると…)

親衛隊A「うわ、すごいクマ出来てるよ…?寝不足?」

親衛隊C「アイドルがそんな不摂生では支障が出ますわよ?」

親衛隊E「じ、授業中に寝るのも、あまりよくない、…ですよ」

真姫「わかってるわよ…。…って、あんたたち別の教室でしょ。どうしてここに…」

親衛隊C「ん?あぁ、それは彼女が西木野さんを心配…」

親衛隊A「わぁぁっ!!言わなくていいって…ひ、秘密だよ、秘密」

親衛隊E「そそ、そうそう!ひ、秘密、です!」

真姫「…?あっそ、秘密…ね」

真姫「秘密…」

真姫「っ!!」


真姫(コンプレックス…)

真姫(彼女の心を支えるもの…)

真姫(そして、『秘密』…)

真姫(私の脳内を電流が駆け巡る)

真姫(心臓が昂ぶり、血液が全身を震え立たせる)

真姫(忘れていたものが、瞬時に掘り起こされる)

真姫(あった…)

真姫(あった)


真姫「あったぁぁぁっ!!!!」


親衛隊ズ「「「!?」」」



真姫「これ、これだわっ!!これなら、彼女の心を埋めてくれるかもしれないっ…!!」

真姫「私にはまだ、残っていた…!」

真姫「最強にして最大の、私の持てる力!」



親衛隊A「ど、どうしたの…?」

真姫「こうなったらじっとしてなんていられないわ!」

真姫「今のうちに、できるだけ早く!早くっ!!」ダダッ

親衛隊C「え、ちょっ…!どこへ行くんですの!?」

親衛隊E「い、行っちゃいましたね…」

親衛隊A「なんだったんだアイツ…。元気ないと思ったら急にピンピンして」

親衛隊C「きっとあなたの応援が彼女にも伝わったんですわ」

親衛隊A「私なんもしてないんだけど…」

親衛隊E「と、とりあえず西木野さんもいなくなっちゃったし…教室戻ろっか…」

親衛隊A「う、うん…」

というわけで今日はここまで 次回終われるといいね
何かに気づいても決して書いちゃダメだぜ ほなな

やっていきまし 長々やってたつもりのもしライブ!がこのスレで2話分しか進んでいない衝撃
ホントに完結させられるのかがマジで心配 今日はオチまで持っていけるといいな!

放課後

多目的ホール前


にこ「…」


真姫「にこちゃんっ!!」


にこ「…真姫ちゃん?」

真姫「に、にこちゃんっ!!」ガシッ

にこ「きゃっ…!?な、なによいきなり…肩掴まないでよ…」

真姫「やめちゃダメっ!」

にこ「えっ…」

真姫「わ、私っ…!見つけたの!にこちゃんを助けられる方法!」

真姫「にこちゃんの心を支えてくれるもの…!」

真姫「だから、アイドルを諦めちゃ…ダメなのよ!」

真姫「お願い、だから…」

にこ「…離してよ」

真姫「にこちゃんっ!」

にこ「離してって!」

にこ「…別に!やめるつもりなんてないってば!」

真姫「…え?」

にこ「今日も、ちゃんとこうしてアイドル専攻受けに来てるの見ればわかるでしょ」

真姫「で、でも…昨日の夜、これで笑顔でアイドルをやめられる、って…」

にこ「本当にどうしようもない時になったら、ってことよ。…言葉足らずだったかしら?」

にこ「私はまだ諦めるつもりは、ないわ」

真姫「…よ、よかった…。私はてっきり絵里に専攻をやめることを伝えるためにここまで来たのかと…」

にこ「…私は自分がどうであろうと、心がどうなろうと突き進むつもりよ。で、さっき気になること言ってたけど」

にこ「私を助けられる方法…って」

真姫「あ…、そう、それよ!一番重要なこと!」

真姫「にこちゃんの支えになるかもしれないもの、用意したから」

真姫「練習が終わったら希の家への下校道にあるベンチに来て」

にこ「え、なにがある…」

真姫「そういうわけだから!ちゃんと最後まで専攻を受けて来てね!居残りもナシだから!」ダッ

にこ「あ、ちょっと!…なんなのよ…」

にこ「心の支え…?ずっと自分の体型を好きになれなかった私に、今更何を…」

にこ「…」

にこ「…でも、何もやらないよりかは…マシ、ってことかしら」

にこ「仕方ないわね。…行ってやるわ」

にこ(だけどまずは…今日のこの時間を乗り切ることが先決…!)

にこ(ここでまた倒れでもしちゃったら…再び下位落ち…)

にこ(居残りで夜中までいることになっちゃう上に、もう戻れる可能性は絶望的…!)

にこ(とにかく根性見せろ、矢澤にこ!ここじゃもう、誰も助けてくれないんだから!!)

にこ(死ぬ気で、頑張るの…!)



多目的ホール内


絵里「ではまず、準備体操から。それが終わったら各自発声を」


にこ「…ふ、ぅっ…!」

にこ(準備体操ではとにかく鏡は見ない…!幻聴にもひたすら耐える…!!)

にこ(凛でも来て背中押してくれればちょっとは気が紛れるのに…)

にこ「こんな時に来ないって…くぅっ…!」

にこ(…うぅん!もう誰の手も借りないって決めたんだから…!)



絵里「…3人、揃ってるわね」

絵里「それでは、今日こそダンスを完璧に合わせるためのレッスンを始めるわ」

絵里「矢澤さん。…今日合わせられなかったら…、わかってるわね?」

にこ「…わかってます」

絵里「よろしい。じゃあ始めます」

絵里「ちゃんと、自分の動きを確認しながら踊ること」

穂乃果「はい!」

凛「にゃ!」

にこ「はいっ!」

絵里「…音楽、スタート」


にこ(私の前には、大きな鏡)

にこ(話しかけてくる、潰されたにこ)


『小さくて愚鈍なにこ。まだ運命に抗おうとするの?』

『小さくていじましいにこ。そんな努力はただ無駄なだけ』

『終わりなさい。消えなさい』

『あなたに大きな舞台は似合わない』

『だって、小さいんだもの』


にこ「う、うぅっ…!」

にこ(…聞くな。私には鏡に映る自分しか見えない。幻覚なんて…ない)

にこ(そう言い聞かせても、私に見えるのは血まみれの私)

にこ(こんな状態じゃ、まともに踊るなんて、無理…)

にこ(…だけど!)



絵里「…おや?」

にこ「ふっ…!はぁっ…!!」タン、タタンッ…!!



絵里「…ついていけてるわね。急にどうしたのかしら」



にこ(無我夢中でダンスを踊る。鏡の自分すら見ないようにして)

にこ(でも、ただムチャクチャに踊ってるわけじゃない)

にこ(今日、休み時間、ひとりの時間をフルに活用して)

にこ(携帯に保存してあるA-RISEのダンスをすり切れるほど頭に叩き込んだ)

にこ(これを脳内で自分に変換する…!)

にこ(記憶の動きを一つ一つトレースするように身体をなぞらせる…!)

にこ(他人の動きも自分の動きも見ず、ひたすら集中して妄想する…)

にこ(私が考えついた、幻覚への対策…!)



にこ「ふぅっ…!た、あぁぁっ…!!」


絵里「矢澤さん、テンポ遅い。顔も笑えてないわ。もう一周」

にこ「はぁっ…!」



にこ(神経をすり減らして踊るから燃費は最悪…毎日こうやって踊ってれば、いつか限界はくる)

にこ(継続してこんなことやっていても、私の目指すアイドルに届くとも、思えない)

にこ(…けど、せめて今日だけ)

にこ(今日だけでも、耐えて。私の身体、精神…!)

にこ(どんなものかは知らないけど、真姫ちゃんが私のために用意してくれた希望)

にこ(それを見ずに終わってしまうなんて…)

にこ(…ファンに対して、失礼だからね!)

にこ(さぁ、動いて!精確に、優雅に、けれど笑顔で!)

にこ(頭の中の私は、まごうことなくスーパーアイドルなんだから!)

にこ(行くわよっ…!)

にこ(にっこにっこにー!!)


にこ「はぁぁぁっ…!!」タタタンッ…

にこ「はっ!」タタンッ!!

音楽室


海未「…真姫、動きが鈍くなっていますよ」

真姫「え、あぁ…ごめんなさい」

花陽「やっぱり心配?にこ先輩のこと」

真姫「…うん、そりゃあね」

ことり「聞いた話だと、昨日も専攻を途中退場だったって」

希「それでも専攻をやめずに済んでるのは、えりちのいたぶりによるものやろうけど…」

海未「…さすがに二日続けて、となってしまえば…どうなることか」

真姫「でも、その絵里の腐った教育のおかげで、まだなんとか繋げてる…!」

真姫「私の用意した最後の切り札…。今日を乗り切り、それが有効に決まってくれれば…」

真姫「にこちゃんは復活できる…、はず!」

ことり「…だと、いいね」

花陽「うんっ…!」

海未「信じているならこちらも集中しましょう。心配はにこに失礼ですよ」

真姫「…そうね。彼女ならきっと…やってくれるもの」




多目的ホール


にこ「はっ!」タタンッ!!


絵里「…よろしい。完璧に揃っていたわ」

絵里「よくやったわね。矢澤さん」

にこ「は、い…」

絵里「それじゃ、長いこと踊り続けただろうし一度休憩ね」

絵里「…私も一度、失礼させてもらうわ」スタスタ…


にこ「はぁっ…、はぁっ…!」

凛「やっ…やったねにこ先輩!あんなにキリキリ踊れるなんて昨日の醜態からじゃ想像できないよ!」

凛「やればできるんじゃん!よかったー…、これで一緒に歌え…おっとっと!別に凛は喜んでなんか…」

にこ「絵里は…行った、わね…」

凛「えっ…、うん…」

にこ「うっ…」フラッ


バターンッ!!


凛「にっ…!にこ先輩!」

にこ「ぐ、うぅっ…!!」


にこ(思ってたより、キツい…!)

にこ(あと1周多く踊ってたら…途中で倒れてたかもしれない…!)

にこ(でも、これで今日のメインのダンスレッスンはこなした…!)

にこ(なんとか…、耐え切った…!!)

多目的ホール前


絵里「…」

穂乃果「…何か嫌なことでもあったんですか?」

絵里「っ…、あら、穂乃果…いたのね。どうしたのよ、わざわざ外まで出てきて」

穂乃果「中だと熱気がこもって暑いので。それよりも先輩、随分と苛立っているようですけど」

絵里「そう見えるかしら?そんなつもりじゃないんだけど」

穂乃果「…そうですか。なら、いいんですが」

穂乃果「綺麗な爪なのに、そんなに噛んだら傷が付いちゃいますよ」

絵里「…」

穂乃果「…クールダウンが済んだので中に戻ります」

絵里「…えぇ、そうしてちょうだい」

穂乃果「…あぁ、もう一つ」

絵里「なに?」

穂乃果「…私、あなたの教育方針には賛同してきました」

穂乃果「強くあるには弱いものを踏み台に育っていくことが必要だと」

穂乃果「頂点に輝くために、犠牲はつきものだって」

穂乃果「…でも初めて、あなたに賛同できないことがあります」

穂乃果「にこちゃんは…強い子だと私は思います」

穂乃果「彼女を踏み台にするのは…間違ってる」

絵里「…」

絵里「…言いたいことは、それだけ?」

穂乃果「…はい。生意気なことを言ってしまってすみません。…失礼します」スタスタ…



絵里「…」

絵里「…ッ!!」ダンッ!!

絵里「あなたに、なにがぁっ…!!私は、間違って…!ぎぃぃっ…!!」

絵里「…く、はっ…」

絵里「…はぁー…。そう、間違ってなんか、ないわ…。私は、私の目的のために…!」

絵里「ふふっ…、にこ…。今はなんとか耐えとどまっているようだけど…」

絵里「そう遠からず彼女は崩壊する…!そして穂乃果、凛…!あなたたちは強くなるのよ…」

絵里「私の理想とする、最強のスクールアイドル…。それを達成するための駒として」

絵里「『強くあれ。それ以外に価値はない』…そうでしょう?」

絵里「…おばあさま」

数時間後


絵里「…では、今日はここまでとします。明日は朝からなので遅れずに来るように」

絵里「じゃ、解散ね。目標に達していないと感じている人は居残って練習するように。戸締りは最後の人がきちんとしておいてね」


にこ「くっ…、はぁっ…!」

凛「だ、大丈夫…?」

にこ「平気…。ダンスのあとは歌の練習だったおかげで、体力は持ってくれたわ…」

凛「でもそんな調子じゃ、明日は…」

にこ「そうね…。明日は今日よりずっと長いから…、このままだと…」

穂乃果「凛ちゃん。無駄話はそこまで」

穂乃果「にこちゃんも、帰って身体を休めないと。待ってる人もいるんでしょ?」

にこ「えっ…どうして真姫ちゃんが待ってるって…」

穂乃果「え?家族が待ってるって言いたかったんだけど…」

にこ「え、あ、あぁっそうね!早く帰ってこころたちに元気な顔見せてあげないと!」

にこ「じゃあ私着替えてくるわ!」


穂乃果「…」

凛「ホントに大丈夫なのかなー…ま、まぁ凛には関係ないことですけどー」

穂乃果「…どうして」

凛「へ?」

穂乃果「どうしてそこで、西木野さんの名前が出るの…?」

穂乃果「…まさか」

凛「どったのー?」

穂乃果「…うぅん、何でもない。私たちも着替えて帰ろっか。凛ちゃん」

凛「うん!」

下校道


テクテク…


にこ「…うぅっ、さぶっ…」

にこ「そろそろ冬も近づいてきちゃったし…練習後だと身体が冷えるわね…」


にこ(…なんとか耐え切ったとは言え、疲労はいつも以上に溜まっている)

にこ(明日もこの調子だと…どうなるかわからない)

にこ(となるとやっぱり…)


にこ「真姫ちゃんの助けに頼るハメになっちゃう、のかしら…」

にこ「…なんだか悔しいけど。けどあの子も私のためにやってくれてるのよね…」

にこ「こんな、私のために…」

にこ「…っと、いけないいけない。また思考がネイティ…ネガティブに走るところだったわ」

にこ「さて、そろそろ言ってたベンチが見える頃だけど…真姫ちゃんが待っててくれるのかしら」

にこ「…ん?あ、ベンチに座ってる人影が…。暗くてよく見えないけど、真姫ちゃんかしら…?」

にこ「真姫ちゃーん?」


にこ(私が呼ぶと、人影は立ち上がってこちらに腕を振った)

にこ(どうやら真姫ちゃんのようだわ)

にこ(確認も取れたので小走りで彼女の元へと近づいた)


にこ「もう、なによ。わざわざこんなところまで…」タッタッタッ…

にこ「…え?」

希の家


ガチャッ


真姫「ただいまー!」

希「はい、おかえりー。んで、我が家、ただいまー」

真姫「はいはい…。ふぅ…、今日も疲れたわね」

希「そんな疲れた身体を癒す今日の晩御飯はー?」

真姫「うっ…、またカレーだった…。嫌なこと思い出してしまったわ」

希「美味しいものは何日食べても飽きんものやよ。と、そういえば…」

希「思い出すといえば、にこっち…、今頃例の『切り札』とご対面中なんかな?」

真姫「…あぁ、そうね…」

希「いいの?二人きりで」

希「あっちも急に頼まれてびっくりしてると思うし、状況説明に真姫ちゃんもおったほうがよかったん違う?」

真姫「いいのよ。きっと彼女なら、やってくれるはず」

真姫「彼女には、にこちゃんの気持ちが私たち以上に理解できているはずだから」

真姫「公に明かしたくない『秘密』を持ちながら、それでも頂点へと輝いた」

真姫「…ダンスの貴公子サマ、ならね」





ベンチ前


にこ「…な、な…!!」

にこ「なんで…!」


「…ごめんなさい。真姫さんでなくて」

「でも彼女に頼まれちゃって。ここであなたを待っていて、って」



にこ「なんで、あなたが…!?」

にこ「綺羅、ツバサ…、さん…っ!」



ツバサ「こんにちは、矢澤にこさん」

にこ(意味がわからなかった)

にこ(真姫ちゃんに呼ばれて行った場所に、まさか…)

にこ(私の憧れの…ツバサ様がいるなんて!)

にこ(アイドル専攻、しかも私のようなA-RISE候補生ですらまともに一対一で会話なんてしたことない…!)

にこ(それほどA-RISEっていうのは特別な存在だと位置づけられているのに!)


ツバサ「…まぁ、突然で驚いてるかもしれないけど、とりあえず座ってお話しましょう」

にこ「は、はい…」スワリ

にこ「あの、真姫ちゃんに頼まれて…ってどういう…?」

ツバサ「ん?あぁ…、以前ちょっとした用事で彼女のアイドルグループ…C☆cuteさん、だったかしら」

ツバサ「あの子たちへ共演の依頼をしに行ったんだけど、断られちゃって」

ツバサ「だけどその時に親睦を深めて、困ったことがあったら頼ってね、って言ってたから」

ツバサ「まさか、こういう形で頼られるなんて思ってなかったけど。あはは…」

にこ「ま、真姫ちゃんにそんな特権がぁっ…!?う、羨ましすぎ…!」

ツバサ「私としてはもっと下級生たちと仲良くなりたいんだけど、A-RISEという立場上難しいから」

ツバサ「逆にこうやって触れ合える場を設けてくれることは嬉しいことよ」

にこ「で、でも私ごときにっ…!あ、えと…、というか私どうしたら…」

ツバサ「ふふふ、楽にしてくれていいから。今日はA-RISEのツバサ様、じゃなくて、一生徒としての綺羅ツバサ…」

ツバサ「…うぅん、一人のアイドルを目指す少女としての、ツバサとして話し合いたいから」

にこ「あ…、わ、わかりました…」

ツバサ「…で、たしか…真姫さんから聞いた話によると、アイドルが続けられなくなるかどうかの瀬戸際、って聞いたんだけど」

ツバサ「それを助けるために力を貸して欲しい、って言われて。詳しい事情も一応聞いたけど」

ツバサ「確認したいから、あなたの口で今、自分はどういう状況か、教えてもらえるかしら?」

にこ「は、はい…」



にこ(私は自分の置かれている状況を逐一ツバサさんに報告した)

にこ(幻覚、幻聴のこと。その原因が身長へのコンプレックスにあること)

にこ(自らのことだけじゃなく、アイドル専攻全体に渡っても)

にこ(厳しい練習量に耐え切れず辞めていく者、嫌がらせをしてのし上がろうとする者)

にこ(そういう人たちが今のアイドル専攻に蔓延っていると、伝えた)

ツバサ「…そっか。今、アイドル専攻はそんなことになってるのね…」

にこ「知らなかった、んですか…」

ツバサ「知らない、ってことはないわ。でも、思ってたより深刻なのね」

ツバサ「私がアイドル専攻でA-RISEを目指していたときはそんなに殺伐としてなかったんだけど」

ツバサ「いつからそんなふうになっちゃったのかな…」

にこ「…それは多分…絵里が関わってきてから…」

ツバサ「…そうね。彼女の影響が強いところもあるわね」

ツバサ「けど、彼女が育て上げた穂乃果さんや凛さんは私たちA-RISEに匹敵するほどの力を秘めている」

ツバサ「しかも、まだ成長してる…。このまま行けば、来年には私達をゆうに超える…」

ツバサ「…あ、もちろん矢澤さん。あなたもね」

にこ「お、お気遣いありがとうございます…」

ツバサ「あははっ、本音だってば。…うん、バックダンサーのあなたたちはとても強い子だと思う」

ツバサ「でも、争いあって心を傷つけて…アイドルを嫌いになってしまうような環境は…嫌だな」

にこ「…」

ツバサ「アイドルっていうのはもーっと、プライベートまで華やかなものであってほしいと思わない?」

にこ「えっ…」

ツバサ「朝はピンク色の馬車に乗って登校してきて、ごきげんよう、ってみんなに挨拶して…」

ツバサ「お昼はシェフの方が作ってくれた豪華なイタリアン!放課後にはお洒落なカフェでお友達と一緒に紅茶にケーキ…」

ツバサ「…ってこれじゃ、アイドルっていうよりお姫さまだけど。でも私、小さい頃はアイドルってリアルもそんなものだって思ってたの」

ツバサ「ふふふふ…、バカみたいでしょ?私にもそんな頃があったんだけ…」

にこ「そ、そんなことないっ!」

ツバサ「わっ」

にこ「私もっ!私もそう思ってたの!」

にこ「華やかなドレスに身を包んだ現代のプリンセス!それがアイドルだって!」

にこ「毎日笑顔で周りの人を幸せにして、歩いたところからは七色のお花が咲き乱れ…」

にこ「…あ」

にこ(わ、私ってばツバサ様の前で何言ってるの!?共感できることがあるとつい…)

にこ「ご、ごめんなさい…変なこと言っちゃって」

ツバサ「ふふ…いえ、やっぱりそうよね。アイドルってそんなものだって思っちゃうわよね」

ツバサ「けど、現実は違う。厳しく辛い世界を勝ち抜いて、そしてみんなを笑顔にする仕事」

ツバサ「たとえリアルがどれだけ悲哀に満ち溢れていても、楽しく幸せいっぱいに振舞う」

ツバサ「そんな…極端に表せば、みんなを騙すお仕事。それが、アイドルなのよ」

にこ「騙す…仕事…」

ツバサ「言い方が悪いけどね。…でも私は、そんなアイドルが好き」

ツバサ「正しく、夢を与えられる仕事だと私は思うから」

ツバサ「辛いことなんて何もない、いいことだらけの世界を夢見させてくれる…トリックスターっていうのかしら」

ツバサ「私の思うアイドルの本質は、そういうものなの」

にこ「…」

無念 終われなかったにゃ
続きは明日ってか今日中に ほなな

ごめんぬ…集中力不足で書けなかったよ
毎度夜更かししてまで見てくれてる人は申し訳ぬ 明日は絶対書きます たぶん

再開します 最初からクライマックス

にこ(その考えは、私とは少し違う)

にこ(私はやっぱり、アイドルとは全て楽しいものだって、そう思ってるから)

にこ(辛いことがあっても、楽しさで上書きできる…それがアイドル)

にこ(私はA-RISEとして上に立って、アイドル専攻を楽しいものに塗り替えたい)

にこ(それが私の理想)

にこ(…けど、ツバサさんの考え方も、私にとっては新鮮で)

にこ(辛い現実から欺いて、人を楽しませるトリックスター…)

にこ(無視することのできないコンプレックスを持つ私には、もしかしたらこっちの方があっているのかもしれない)

にこ(…でも)


ツバサ「あなたは…自分の身体にコンプレックスを抱いている、のよね?にこさん」

にこ「えっ…、あ、はい」

ツバサ「小さい身体の自分が嫌いで、ずっとストレスに感じていた」

ツバサ「好きになろうと努力してみたけど、でもそうはならず、結局積り積もったストレスで、心が崩壊してしまった…」

ツバサ「あなたのコンプレックスが、実態を持って自身を襲うようになった…のよね」

にこ「…はい」


にこ(そう…。好きになろうとした)

にこ(小さくて可愛いにこ。マスコットのように愛されるにこを好きになろうって)

にこ(…でも、できなかった。ずっと心の奥底で嫌悪しつづけ、小さい自分から逃げ続けた)

にこ(自分すら騙すことのできない自分…。そんな私に、人を騙すことなんて…)


ツバサ「…嫌いなら」

ツバサ「ずっと嫌いでいいと思う」

にこ「はい…?」

ツバサ「自分の気持ちって自分が一番よくわかってるでしょ?」

ツバサ「そんな自分を騙すことは、誰かを騙すよりずっと難しいこと」

ツバサ「なら小さい自分は嫌いでいいじゃない」

にこ「え、それはつまり…コンプレックスは無視して、他の技術に誇りを持つ…みたいなことですか?」

にこ「小さい身体って不利があるなら歌やダンスで…」

ツバサ「…うぅん。そうじゃないわ。その逆」

ツバサ「嫌いな部分を、見せつけていく」

ツバサ「そう、あたかもそれが自分の強みであるかのように」

ツバサ「そうやってみんなを『騙す』。自分の嫌いな部分が高評価されると、それは自信になっていく」

にこ「騙す…で、でもそんなに上手くいく…?嫌いを嫌いのまま、得意に見せる、なんて…」

ツバサ「うん」

にこ「どうして、そう言い切れるの…?」

ツバサ「だって、私がそうだから」

にこ「へ?」



ツバサ「私ね」

ツバサ「ダンス、大嫌いなの」

にこ「はぁっ…!?」


にこ(綺羅ツバサから語られた一言)

にこ(それは私にとって…うぅん、全A-RISEファンにとって、衝撃すぎる言葉で)

にこ(だって…だってツバサは…)


ツバサ「ダンサー専攻トップの私がこんなこというとおかしいって思われるかもしれないけど」


にこ(そう…、彼女はダンサー専攻なのに)

にこ(しかも、そのダンスも高く評価されて、『ダンスの貴公子』なんて異名がつくほど)

にこ(そんな彼女が…ダンスが、大嫌い…?)


にこ「じ、冗談でしょう…?」

ツバサ「いえ。本音よ」

ツバサ「昔っから、ダンスが苦手でね。振り付けを覚えても身体が言うとおりに動いてくれなくて」

ツバサ「何度やってもカクカクした動きで、自分でも相当センスないんだなって、自分に幻滅して」

ツバサ「一度は本気でアイドルをやめて、歌手を目指そうかって考えもした」

ツバサ「…でも、それじゃいけないんだって思い直した」

ツバサ「嫌いなものから逃げ出しても、何も得られない」

ツバサ「進化を求めるなら、立ち向かわないといけない」

ツバサ「ダンスから逃げようとする、嫌いな自分と」

にこ「嫌いな、自分…」

ツバサ「認められるまで、人並みに…うぅん、人並み以上に踊れるようになるまで、私は必死にダンスの練習を続けた」

ツバサ「これで習得も上手になれば、好きになれたかもしれないけど」

ツバサ「私の身体はいつまで経ってもすんなりダンスを踊らせてくれなかったの」

ツバサ「でもそのおかげで、いつまでもダンスを嫌いでいられた」

ツバサ「今回の曲のダンスだって、必死になって覚えて、血反吐を吐いて二人に合わせた」

ツバサ「ふふ、そう…私、英玲奈やあんじゅより、ダンス下手っぴなのよ。ダンス専攻なのにね」

ツバサ「だけど、そうやって努力を続けて、周りから私のダンスが評価されたとき…」

ツバサ「世間が、私に『騙された』とき、最高に気持ちいいって感じるの」

ツバサ「私の嫌いな私を、みんなが好きと言ってくれる」

ツバサ「それは表現者として、夢を魅せられるものとして、この上ない喜びだから」

ツバサ「…これが、私の『秘密』」

ツバサ「ほんの少しの人しか知らない、私の…ちょっぴり、恥ずかしいこと」

にこ「…」ポカーン…

ツバサ「いきなりこんな話して、ごめんなさいね。驚いちゃったかな?」

にこ「そ…、そりゃあ驚く…っていうか…」

にこ「その話を私に、どうして…」

ツバサ「あなたにも、嫌いな自分がいるのなら」

ツバサ「それは弱さじゃない、誰にも負けない、とっておきの強さになれる」

ツバサ「あなたを責める影じゃなくて、ともに競い合えるライバルになれる」

ツバサ「私も、同じだから」

ツバサ「私の思いが、あなたの心を支える柱になれるなら、って思って」

にこ「…!」

ツバサ「ふふっ…、私のこの秘密は、別に絶対に知られたくないってことじゃないの」

ツバサ「だから、少し前に真姫さんたちにも同じことを話しててね」

ツバサ「つい今日の朝…このことをあなたに話してくれないか、って真姫さんから直々に頼まれて」

ツバサ「あなたの心を癒す一因になれるはずだから、って」

にこ「ま、真姫ちゃん…、私のために、そこまで…」

ツバサ「そうね。あなたのために、ここまでしてくれる人なんてそうそういないわ」

ツバサ「これは多分、あなたのアイドルへの思いが、彼女を動かしてくれてるのだと思う」

ツバサ「だからやっぱり、あなたはアイドルにふさわしい人間なんじゃないかしら」

ツバサ「こんなに愛されるなんて、羨ましいくらいだもの」

にこ「…」

ツバサ「誰にも話しちゃいけない、って言ってたから、真姫さんも私に頼むしかなかったんでしょうね」

ツバサ「あなたも、このこと誰かに話すのは御法度よ?」

にこ「は、はぁ…」

ツバサ「…さてと、こんなに誰かと二人きりで話をしたのは久しぶりだったわ」

ツバサ「でも、そろそろ時間も時間だから。…矢澤にこさん」

にこ「は、はいっ…!」

ツバサ「私のこの考え方が、あなたを進化させてくれますように」

ツバサ「そして、もし登ってこられたのなら…A-RISEの名に恥じないよう、みんなを笑顔にさせてあげてね」

にこ「っ…!!わ、わかりましたっ!!」

ツバサ「うん、いい返事だわ。それじゃ私はこれで…」

にこ「あ、あのっ…!最後に一つだけ、いいですか…?」

ツバサ「ん?なぁに?」

にこ「さっき、そんなに知られたくないことじゃないって言ってたのに、誰にも話しちゃいけないって…どういうことなんですか?」

ツバサ「あぁ、そのこと。ふふ、簡単よ」

ツバサ「そんなに知られたくない、っていうのは、自分から話すときだけってこと」

ツバサ「私のことダンスが好きだって思い込んでる誰かに、このこと明かしたときの…」

ツバサ「驚いた顔を見るのが、楽しくてしょうがないから!」



にこ(そう言って笑う彼女の顔は、無邪気ないたずらっ子のようで)

にこ(けれど、見たものすべてを喜ばせることのできる、そんな、優しい笑顔だった)

翌日

神田明神


海未「あと10往復ー!」


花陽「は、はいぃぃっ~~…!!」タッタッタッ…

ことり「ふぅっ…、ふぅっ…!!」タッタッタッ…

真姫「よっとっはっ…」タッタッタッ…


花陽「はぁ…はぁ…。ぜ、全然スタミナ増えてる感じしないよぉ~~…」

海未「そんなことありませんよ。みんなが同じようにタフになってきているので、差を感じられないだけでしょう」

真姫「そうね…。私も結構追いつかれている感じあるもの」

ことり「そっかー!じゃあいつか追い越しちゃうぞー!」

花陽「こ、ことりちゃん元気だなぁ…」ヘトヘト…


希「お、やってるやってる」

ことり「あ、希ちゃん先輩。バイト終わりですかー?」

希「うん。午前中だけだったからね」

花陽「はっ!もう正午…!意外と走ってたんですね…!それなら思ってたより疲れてないかも?」

海未「ほら、言ったでしょう?」


真姫「…そういえばアイドル専攻のほうも休憩に入ってる頃だろうけど」

真姫「にこちゃん…」

希「…やっぱり心配?」

真姫「そりゃ、少しはね。私の切り札が上手く働いてくれたかどうか…」

希「せっかくの協力者をそういう風に呼ぶんはどうかと思うよ~?にしし」

真姫「う…、まぁそうかもだけど」

希「まぁうちも多少気になるのは確かやけど…」ブルルルル…

希「あ、メール来た。…なになに」

希「あ…」

真姫「ん?誰から?」

希「…どうやら、心配しなくても良さそうやね」

真姫「え?」

その日の早朝

学校 多目的ホール


絵里「…じゃあ昨日のおさらいよ。一度完璧に踊れても、翌日も踊れないと意味がないからね」


にこ「…」ブルブル…

凛「にこ先輩…」


にこ(私の前には、大きな鏡。そこに映るのは、やはり血まみれのにこだった)



『小さくて鬱陶しいにこ。まだ諦めないの?』

『小さくて小賢しいにこ。どうして諦めないの?』



にこ(呪詛の念を私に向けて吐き出す、鏡の中の私)

にこ(周りでは私を一色の嘲る声、チビ、チビ…)

にこ(今日もまた、見ないように、聞こえないようにすれば、踊ることは可能なのかもしれない)

にこ(…けど)

にこ(進化を望むなら、逃げちゃいけない。鏡の中の私は、私の嫌いな私の象徴なんだから)

にこ(立ち向かって、あなたに打ち勝つ。そして…)


にこ「…大嫌い」


『えっ?』


にこ「私の心の弱さが生んだ、血まみれの私…。小さい小さいって、一々言わなくてもわかってるのよ」

にこ「私はちっちゃいの!わかりきってること言うなこのバカ!」

にこ「アンタがどんだけ私をバカにしようと、アイドルをやめさせようとしたって、私は…!」

にこ「…にこはっ!アイドルになってやるの!!」

にこ「そんでもって…あなたを」

にこ「小さくて可愛いにこ!私の嫌いなあなたを…世界中のみんなが大好きって言ってくれる、そんなスーパーアイドルにしてみせる!」


『私が…アイドル?』


にこ「…そう。そんなところで血まみれで倒れてるなんて、勿体ないでしょ」

にこ「あなたは小さくて、最高に可愛らしいんだから。…私は嫌いだけどね」

にこ「だから立って。そして一緒に競争しましょう」

にこ「にこと、にこ。どちらが早くスーパーアイドルになれるか」

『…』

『…そんなの、どっちが勝ったってあなたが喜ぶだけじゃない』

にこ「そうよ!」

『…ぷっ』

『あははは…』

にこ「あはははははっ!!」



にこ(そして、にこの嫌いな、にこと)

にこ(唯一無二のライバルに、かけがえのない友達に、なるんだから)

にこ(ひとしきり笑って、笑い合って)

にこ(そして、目を開けて)


絵里「…どうしたの、矢澤さん。さっきからボーッとして」

絵里「やる気がないなら出て行ってもいいのよ?」


にこ「…いえ、やります」


にこ(目を開けた、そこには)



にこ「…私だ」



にこ(練習着を着た、にこがいた)

にこ(鏡に映った、ちっちゃい私)

にこ(嫌いな、私)


にこ「…うん、行ける。やれる。できる」

にこ「声ももう、聞こえないから」


にこ(音楽と共に、私は踊り始める)

にこ(穂乃果と、凛と…そして、鏡の中の私と一緒に)

にこ(今のにこは絶好調よ?あなたに追いつけるかしら?)

にこ(向こうの私に、問いかける)

にこ(彼女は心なしか、挑戦的に笑ったような気がした)





絵里「…じゃあ、お昼になったので一旦休憩ね。水分補給と昼食を済ませるように」



にこ「…ふぅ」

凛「す、すっごいにゃー!!にこ先輩昨日より断然身体のキレが良くなってる!」

にこ「…そう?」

凛「うんうん!凛にも追いつく勢いだよー!ねぇねぇ、どんな魔法を使ったの?」

にこ「魔法なんて…ただ考え方を変えただけよ」

凛「えー嘘ー!ドーピングでもしてるんじゃないのー?」

にこ「あはは、そんなまさか…」

凛「信用できないにゃー。あ、じゃあ凛はお友達とご飯食べてくるねー」スタスタ…

にこ「あっ…、け、結局ボッチなのね…。あの野郎…」

穂乃果「…お疲れさま、にこちゃん」カタポン

にこ「あ、ほ、穂乃果…!あなたまさか…」

穂乃果「じゃあ私も昼食食べるから。バイバイ」スタスタ

にこ「あなたもかっ!くおぉぉっ…!」


穂乃果「…ふふっ」

にこ(今日もホールの隅でお弁当を一人、黙々と食べる)

にこ(いつもどおりの光景で、いつもどおりの習慣だけど)

にこ(けれど、頼ることのできる人たちができた)

にこ(負けられない人たちでもあるけれど)


にこ「ふふっ…。よし、これで送信…っと」ポチッ

にこ「ここまでしてもらって、ダメでしたなんて言えないわ」

にこ「もう誰にも、負けられないんだから」

にこ「もちろん、あなたにもね。…小さくて可愛げのない、可愛いにこ」



神田明神


希「どうやら心配しなくても良さそうやね」

真姫「え?」

希「にこっちからメール。…はい」

真姫「にこちゃんから…?えーっと、なんて…」




件名 ありがと

本文


でも絶対後悔させてやるんだから!


P.S.

真姫ちゃんたちにもヨロシク言っておいてください




希「…どう?」

真姫「…ふふっ、にこちゃんったら」

真姫「人を散々心配させておいて…でもこのふてぶてしさが彼女なのかも、ね」

希「うん。…これがいつもどおりの、にこっちや」

真姫「…色々波乱もあったけど、これで一件落着ってとこかしら」

希「まだまだこれからやよー?なんせアイドルで一番目指す言うんやからね!」

真姫「…そうね!よーし!みんなー、次はこれまでの曲のおさらいよ!!」

花陽「えっ、休憩はっ!?」



真姫(後悔なんて、するわけない)

真姫(私たちも、負けるわけにはいかないんだから)

真姫(全力のあなたたちを打ち破ってこそ、笑顔のスクールアイドルが証明できる)

真姫(いつか必ず、C☆cuteは頂点を獲ってみせるわ)

真姫(だからひとまずは…どういたしまして、ってところかしらね)

ガチャッ…




真姫(これでひとまずは、波乱は去ったって)


真姫(そう思っていたけれど)


真姫(今までの出来事なんて比べようもないような波乱が近づいていることに)


真姫(まだ、私たちは気がつく余地もなかった)



バタンッ…



真姫(そして、私)


真姫(既にこの世界に組み込まれた歯車の一つの、私)


真姫(だから、忘れていたのかもしれない)


真姫(私は、『いつか』なんて考えられるような身分では、ないということを)


真姫(私がこの世界からはじき出されるタイムリミットは)


真姫(刻一刻と、足音もなく近づいていた)






「いってきます」








もしライブ! 第六話

おわり

真姫「というわけで…今回も滅茶苦茶長かったもしライブ!第六話だったわ」

凛「いやー!意外とあっちの凛も悪くないね!」

真姫「は?」

凛「にこちゃんに優しいところもあるんだねー。ただのクズとは違うかったにゃ!」

真姫「…あぁ、そういうこと。そうね、にこちゃんには優しいわね」

真姫「穂乃果と凛は誰に対しても冷たいわけじゃなくて、信頼している者に対しては心を開いているからね」

真姫「中でもにこちゃんは努力で頂点まで登ってきた実力者だから、穂乃果や凛も一目置いてるんじゃないかしら」

凛「なるほどねー。だからあっちの凛も結構人情に厚いところが…」

真姫「けど信頼してない者に対してはまさしくゴミでも見るような扱いをするから結局はクズよ」

真姫「仮ににこちゃんが諦めてたら10秒悲しんでその後から『あ、矢澤さん。消えてよ』的な発言をしてたでしょうね」

凛「血も涙もねぇ…」

凛「でもそんな凛にも友達が…」

真姫「一話で自分から言ってたように使えると思った人を選別してパシリにしてるだけだけどね」

凛「あっちの凛は滅ぶべきだと思います」

真姫「…というのは私の推測だから本当にそうかはわかんないけど」

真姫「えー、そんなわけで6話は割とA-RISE側にも焦点を当てた話だったわね」

凛「変わっちゃった凛たちにも一応仲間を想う心は残ってたってわかってくれたかにゃ?」

真姫「絵里は知らないけど」

凛「そしてまさかの綺羅ツバサ登場にゃ!UTXではトップスターのように扱われる彼女がにこちゃんと対面…」

真姫「前回5話で語った『秘密』をにこちゃんに明かす形になったわね。伏線だったけど誰か気づかないかヒヤヒヤしたわ」

凛「なんせ秘密でスレ内検索すればピンポイントでその伏線の位置に飛ばされるしね」

真姫「さすがにそこまで深く読み込んでくれる人はいないと安心したと同時に少しくらい『あー、なるほどねー』とか言ってくれる人がいてもいいじゃないと思ったわ」

凛「大した伏線じゃないから期待するだけ無駄にゃ。今回もバラマキまくったけど」

真姫「じゃあまあ今回はこのくらいでいいでしょう。次回は次スレでね」

凛「まだまだ終わりそうにないにゃ…。凛はもう疲れたよ真姫ラッシュ」バタリッ

真姫「立ちなさい。真姫真姫ラッシュ食らわせるわよ」

凛「一回真姫が増えるだけでパンチの応酬が待ってそうになったにゃ。怖いから立つ」スッ

真姫「それじゃ、今日の西木野☆星空シアターはここまで!」

凛「次の燃えるゴミは月・水・金かもね?」

真姫・凛「「まじ☆えんじぇー!!」」

チョリース 明日に向けて何かしたかったけどまだ特に何もしていない体たらくっぷり
もしかしたらラ!板でなんか書くかpixivに絵を載せるかするかもね 全くの無計画だけど!
去年の今頃にはことほのうみの乱交を書いていたと思うとなんか感慨深いようなやるんじゃなかったような
てなわけで今から最初の文面考えて新スレ立ててくるので少々お待ちを

建てました

真姫「西木野☆星空シアター!3本目!」凛「まだまだ終わらない!!」
真姫「西木野☆星空シアター!3本目!」凛「まだまだ終わらない!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429368032/)

コンゴトモ ヨロシク

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月13日 (金) 23:48:30   ID: gCINIqjW

期待

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