妹「ねえねえお兄ちゃん、今日はどこ行くの?」(16)


兄「今日もそのへんをぶらぶらしようと思う」

妹「えぇ?またぁ?」

兄「嫌か?」

妹「嫌じゃないけど、何かもっと目標を持とうよ」

兄「そんな事言ったってもう持てないだろ。こんな身体じゃ」

妹「うぅ、そうだけどぉ…」

兄「わがまま言わない」

妹「はぁい」


兄「きょうも道に沿って歩こう」

妹「わーいやったぁ」

兄「こらこら、走り回るんじゃない。家の人に迷惑になるだろ」

妹「大丈夫大丈夫。聞こえないよお兄ちゃんっ」

兄「聞こえる。やめなさい」

妹「むぅ…。お兄ちゃんは、私が何かすると止めなさいってそればっかり」

兄「やんちゃな妹を持つと、口うるさくなっていけないな」

妹「えへへ。やんちゃなのはお兄ちゃん譲りなのだぁ」

兄「親譲りな」

妹「そうとも言うね」

妹「わあ…見てお兄ちゃん。あそこの家から人がたくさん流れこんでくる」

兄「本当だ。あそこに何かあるのかな」

妹「きっと居心地がいいんだよ。だからあんなに人が集まってる」

兄「そうか」

妹「うん。だから私達も行ってみよう」

兄「でも、家の人に迷惑にならないかな」

妹「ならないならない。私達は絶対に迷惑になりませんっ」

兄「あっ、こら待て妹」


妹「わぁぁ」

兄「へえ。なかなか大きなお屋敷じゃないか」

妹「いいねいいね。私も一度はこういうおうちに住んでみたい」

兄「広い家か」

妹「もちろんお兄ちゃんも一緒にね」

兄「いやぁ。俺達だけにこの広さは困っちゃうな」

妹「どして?」

兄「掃除に洗濯、維持管理。これらを全部俺たちがやるんだぞ」

妹「それもまたお兄ちゃんと親睦が深められそうでいいよ」

兄「はは」

妹「うわっ。お風呂は沢山の人でぎゅうぎゅう詰めだね」

兄「参ったな。これじゃあ通れない」

妹「仕方ない。ここは一旦外に出て別の道を探そう?」

兄「そうだな。そうしよう」

妹「結局お外の大通りを使うことになったね」

兄「そうだな」

妹「私的には、さっきのお屋敷とか狭い道とかのほうが面白いんだけどな」

兄「お前冒険好きだもんな」

妹「うんっ。お兄ちゃんと一緒に行く冒険は、すっごく楽しいよ」

兄「お前はほんとに死んでも素直だ」

妹「えへへ~」


兄「妹はどうして素直なままなんだ」

妹「うーん。どうしてかな」

妹「…やっぱりお兄ちゃんと一緒に楽しく旅できるからかな」

兄「俺と?」

妹「うん。お兄ちゃんと一緒に居られるのなら、私は何も怖くないし、要らないよ」

兄「そうか」


妹「そういうお兄ちゃんも、いつまでも元気で明るいよね」

兄「そうだろうか」

妹「そうだよ。やっぱりお兄ちゃんも私がいるからいつまでも元気なのかな?」

兄「ま、まさか。俺は」

妹「あ~、お兄ちゃん顔あかーい」

兄「俺は別に…」

妹「ムフフ。ブラコンシスコン、二人揃ってドウシヨウモナインジャー」

兄「戦隊風に言うの止めろ」

妹「はい出ました。お兄ちゃんの止めろ発言」

兄「くっ」

妹「えへへ、今日からお兄ちゃんの止めろの回数を数えるね」

兄「や、やめろよ」

妹「2」

兄「ぐ…」

妹「ニヤニヤ」

前かがみで、手をぶらぶらさせながら彷徨う人々

その列に入って妹と二人で道を通る。

生活している人がいるが気にしない。


兄「なあ妹」

妹「なあに。お兄ちゃん」

兄「前はさ、苦しくなかったの」

妹「何が?」

兄「だからさ。来るとき苦しくなかったのかって」

妹「あぁ。来るときね」


兄「どうだったんだ」

妹「そりゃあものすごく痛かったよ」

兄「おい大丈夫だったのか」

妹「何言ってるのお兄ちゃん。大丈夫じゃなかったからこうなってるんだよ」

兄「お、おう。そうだった」

妹「ふふっ。お兄ちゃんは、どうだった?」

兄「俺?俺はあっという間だったんでしばらくは分からなかった」

妹「私がお兄ちゃんを見つけた時に、やっと理解してたもんね」

兄「ああ」

妹「あのまま私が見つけてなかったら、お兄ちゃんはどうなっていたのかな…」

兄「今と同じように道を歩いていたさ」

妹「一人でも?」

兄「多分な」

妹「そっか。お兄ちゃんらしいね」

兄「それよりも、俺はお前がここに来たのが許せない」

妹「そ、それはもうたくさん謝ったじゃん」

兄「謝ったって元には戻らないんだ」

妹「私はこれでいいの!お兄ちゃんと一緒に居られれば、それで」

兄「はぁ…。全く困ったやつだ」

妹「まんざらでもないくせにっ」

兄「まんざらです」

妹「私は全然嬉しいよ。お兄ちゃんは違うの…?」

兄「嬉しい。ただ、おまえを自殺させてしまった自分に腹が立つ」

妹「それは仕方がないよ。一人のお兄ちゃんにはどうにも出来なかった」

妹「でも、こうして二人でいれば、何が起こっても怖くはないよ」

兄「……」

妹「わたしはこれでいいと思う。二人でいるから今のままなんだと思う」

妹「だから、このまま散歩を続けよう?」

兄「ああ、そうだな」


塩の香りが鼻を突く

これは海だな

もうそんなに歩いたのか


妹「うわあ、海だぁ」

兄「真っ暗だな。昼の間に着ければよかったんだけれど」

妹「だけど、人はいっぱいいるよ」

兄「だな」

妹「うーん。私も泳ごうかな」

兄「朝になって明るくなるまで待ってろよ」

妹「えー!やだぁ、待てないよぅ!」

兄「明るいほうが面白いよ。それまでは砂で城でも作って待っていよう。な」

妹「うぅ、はぁい」

妹「お兄ちゃんお兄ちゃん」

兄「ん?なんだ」

妹「穴を、そっちから掘ってくれない?」

兄「穴?トンネル作る気か」

妹「そう!トンネルが出来れば一段とかっこよくなるよ」

兄「はあ。いいけど、崩れても何も言うなよ」

妹「うんっ」

前に見たことあるんだが

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