モバP「幻想公演企画会議」 (47)

Pが交渉して説得するだけ

島村卯月「この世界で平和の為に冒険する」
島村卯月「この世界で平和の為に冒険する」Part3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423232909/)
この作品の裏話的な内容でもありますが、単品でも読め……る、はず。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424711004

P「要するに、事務所で冒険モノのPV……? を撮るから、配役を探してください、と」

ちひろ「そうです! ついでに、物語も少し考えていただけると」

P「私に、ですか? ……どうして、私に?」

ちひろ「皆の事を一番分かってるのはプロデューサーさんですから」

ちひろ「それにお仕事じゃないです、事務所の動画チャンネルで配信する無料コンテンツですから、お気軽に考えてください」

P「……どこまでを私に?」

ちひろ「まずこちら。卯月ちゃん、凛ちゃん、未央ちゃんが過去の演技力レッスンの時に他の事務所の方と合同で行った――」

ちひろ「『公演の仕事を想定したフィクション映画』のデータです」

P「確か、以前撮影して……ショートドラマとしてチャンネル配信した」

ちひろ「それが一部の方にウケまして、続編を希望する声がありました」

ちひろ「ですがこれは合同で作ったもの、また他の事務所の方々を撮影するには難しい……」

ちひろ「というわけで我が事務所のアイドルを活かしたPVにしてしまおうと」

ちひろ「登場人物が全員アイドル、そして冒険モノ、ファンタジーな映画です!」

P「かなり大きなプロジェクトに聞こえますが」

ちひろ「大丈夫ですよ! それじゃ脚本と配役、お願いしますね?」

P「…………」

:島村 卯月:

卯月「はい、覚えてます!」

P「この映像、数週間前の合同レッスンの際に撮られたドラマ……この続きを作るというお話です」

卯月「わぁ、ドラマになるんですか?」

P「いえ、実際は事務所が配信する動画という形です。しかし、一般に公開されるものには違いありません」

P「それにあたり、既に撮影と役が終わっている三人に希望があれば、少し考慮させてもらうつもりです」

卯月「うーん……希望……以前の似たようなお仕事では私、勇者の役だったんですけど……」

卯月「今度は魔法使いになってみたいです!」

卯月「あ、でも私達は一応主役……って立ち位置になるんでしたっけ? それじゃあ魔法使いは地味ですか?」

P「いえ……主役が魔法使いというのは、他の作品にも見られる傾向です、種類は様々ですが……」

P「今回、ちひろさんには『気軽に、自由に』と伺っています。ならば、新しい試みに常に挑戦していこうかと」

卯月「じゃあ……魔法使い卯月、頑張ります!」

P「お願いします。……少し、主役らしく特別な特徴はあるかもしれませんが、出来るだけ希望を尊重したいと」

卯月「あ、あと一つ!」

P「なんでしょうか?」

卯月「えっと、ちょっと昔の一回だけの事だったので、お芝居の内容を覚えていないんです……もう一回、説明してくださいっ!」

P「分かりました、では――」

:十時 愛梨:

愛梨「願いが叶う本を持って、卯月ちゃん達が剣や魔法のファンタジーな世界を大冒険するお話、面白そうですっ!」

P「ありがとうございます」

愛梨「でも……私、こんな役で大丈夫ですか? ほとんど主役に一番近い……本の守護者なんて凄そうな役」

P「主役に近いからこそ、愛梨さんにお願いしたいのです」

P「三人は、ユニットです。かなり知名度も高い、人気のアイドルです」

P「そんな彼女達と並んでも何ら見劣りしない、強烈な魅力と強さが愛梨さんにはあります」

愛梨「そこまで言われると照れちゃいますっ、なんだか暑くなってきちゃいます」

P「落ち着いてください。 ……その癖は、公演では推していかない方針でお願いします」

愛梨「は、はいぃ……」

P「主役に近い立場上、出演回数も多く露出回数も……そちらの意味ではなく、多くなります」

P「慣れない撮影だとは思いますが、新しい挑戦だと思って……受けて頂けませんか?」

愛梨「も、もちろんです! 卯月ちゃんじゃないけど、頑張りますっ!」

P「お願いします。では、もう一度説明を。愛梨さんには、作中でもかなりの実力者、それなりの風格を持っています」

P「おそらく普段、求められることのない役と思います。……一度、やってみましょうか?」

愛梨「え? えっと、強くてカッコいい演技、ですか? えーっと……こほん」

愛梨「……『私はアイリ。……この経典を授けるに値する人物を探して旅をしています』」

P「…………」

愛梨「だ、ダメですか?」

P「いえ……行きましょう、これで。 私は少し、認識を間違っていたみたいです」

愛梨「ええっ!?」

P「悪い意味ではなく、愛梨さん。 この方向も……行けますね」

:渋谷 凛:

凛「卯月が決めたのなら、それでいいよ」

P「何も希望は?」

凛「特に、無いかな。もともと経験はあるとはいえ、詳しく知らないジャンルだからね、ファンタジーなんて」

P「では……以前の剣士から、少し趣向を変えてみようと思っていますがよろしいですか?」

凛「どんな風に? あまり、ファンタジーの職業は知らないんだけど……魔法使いとか?」

P「いえ、それは卯月さんが担当します」

凛「卯月が魔法使い……ありそうだけど、ちょっと怖いね。じゃあ私は、攻撃的な役割?」

P「はい、未央さんと並んで……ですが重複もしない、きちんと差別化します」

P「未央さんにはパワー型、凛さんにはスピード型、と言えばいいでしょうか」

凛「うん……確かに、未央はそっちの方が合っているかも」

P「そして作中の武器、として携帯するものですが……こちらです」

凛「……これは? 靴、ブーツ? みたいに見えるけど」

P「他の方が現実にも存在するような武器系統を持っているのですが、ここは思い切ってフィクションの武器を……」

P「ご覧の通り、ブーツです」

凛「へぇ……なかなか、なんていうか――」

:本田 未央:

未央「意外! 私ってそんなにごり押しみたいな性格に見えちゃう? うーん」

P「比較して、という意味では元気や活気を推している未央さんには、大きく外れない程度に奇を衒ったのですが」

未央「うん、面白いよ! こんな武器には見えない感じの武器ってのがいい! これってブレスレットだよねー」

未央「でもでも? ファンタジー世界の私は不思議な力でパワーアップ! こう、ビュッと腕を振り抜けば!」

P「どんな障害も、持ち前の勢いと力で押し通す……一直線に、攻撃的ですが……」

未央「真正面からぶつかっていく! うーん、分かってるねプロデューサー!」

未央「ところで主人公って主役パワーで思い切り無双したりするのがこんな物語の定番だと思うんだけど、その辺りどうなの?」

P「いえ、あくまで“主役”と銘打ってはありますが……“中心”と言った方が差し支えないかもしれません」

P「常に勝つ側でもなく……他の皆さんにも活躍の場が必要です」

P「どちらかというと、他より劣ったり苦戦する場面の方が多くなるかも――」

未央「ありゃりゃ……主人公補正なかったかー。私は人並み外れたパワー、しぶりんとしまむーは?」

P「卯月さんは、本人の希望で魔法に関する才に長けた人物です、そして凛さんは未央さんと対を成すスピード型」

P「どちらも、特徴が大きく……ですが、能力バトルにはならない程度の“極端に優れた基礎能力”で収まる範囲です」

未央「んー? ちょっとよく分からないけど……つまり?」

P「主役に大味な力は、物語が一辺倒になってしまいます。常識の枠内で、極端に優れている方が見せ方も増えます」

P「……少し、地味に思われるかもしれませんが」

未央「結構結構! で? で? 最初の撮影は前に終わっちゃってる感じだけど、次はどんなシーン? 私の出番は?」

P「次……新しく、映像作品として新規に撮影し始める人物の候補ですが――」

:早坂 美玲:

P「ありがとうございます、レッスンの成果が見えました」

美玲「……いやいやいや」

凛「どうしたの? いい動きだったと思うよ、私もそれくらい動けたら――」

美玲「ウチの役、野蛮じゃないか?」

P「そうですか? 卯月さんが持ってるお宝を、仲間の皆の為に奪う……敵ではありますが、悪意がある人の役ではありません」

P「一族の為に、進んで活動する立派な人物。友達思いで、少しやんちゃなところが、美玲さんにピッタリです」

美玲「……一族? なんだ? ウチって人外?」

凛「似合ってるよ」

美玲「褒められ……てるのか? よく分かんないぞ?!」

凛「この役を選んだ理由は?」

P「最初は、インパクトが大事です。それと、後にいろいろな役目も担える重要な役……敵でも、味方でも、どちらもこなせる人材です」

凛「絶賛だね。……でも、言われてみれば野蛮かな? 本当に動物みたいな動きと、武器も」

美玲「確かに爪とか牙とか言ってるけど……主役にぶつける当て馬じゃないのかウチ、出番も最初だし」

P「そんな事はありません。絶対に一度や二度の出番では終わらせない、脚本を任された以上は努力を惜しまない方向です」

凛「でも選ばれるのはすごいと思うよ、だって最初にプロデューサーが言ったから、『美玲しか居ない』って」

美玲「そ、そうか……? えへへ」

P(後に主役側にもなれる、そして他の子より“悪役”という雰囲気までは出さない、最初の対峙相手として最適でした)

:江上 椿:

椿「公演、ですか? お芝居のお仕事……」

P「そうです」

椿「でも私は、どちらかというと飛んだり跳ねたりそういったものは……」

P「いえ、芝居はファンタジーな世界観ですが、全部が全部バトルものではありません」

椿「確かに、この前の説明でお聞きしましたが……ほとんどの人物を私達で演じると」

P「全員が全員派手な役ではないという事です。が、目立たないというわけでもありません」

椿「内容は、仮に私が演じるのはどの役で場所ですか?」

P「椿さんは……卯月さん、主人公達が最初に訪れた村、そのお店の店長です」

椿「お店の……それは、大きな役には聞こえませんね」

P「普通の脚本ならそう思うのも仕方はありません、ですが……作ってるのは私です」

椿「…………」

P「幾らでも目立たせてみせます。それが今ではないかもしれませんが……」

P「……ここで大きな役を担うわけでもありません」

椿「全員……アイドルの皆で映像を撮るなら、いろいろな役も必要ですね、ふふっ」

椿「でも、聞いていいですか? 落ち着いた雰囲気の方は、他にもたくさん居ます。どうして私なんですか?」

椿「それこそ雪乃さんや礼子さんも、もっと向いている方がいるのでは?」

P「……もう少し、自信をお持ちになってもいいんですよ?」

:若林 智香:

P「それと、もう一つ伝える事が」

智香「プロデューサーさん!」

椿「あら……智香ちゃん?」

P「彼女も、同じ役です」

智香「似合ってる? えへへ、こんな冒険にでも出られそうな服装なんて慣れてなくて……」

椿「同じ店員と言いましたけど、ずいぶんと雰囲気が違いますね?」

P「智香さんは椿さんと一緒にお店を経営……ではなく、援助している人物です」

智香「応援だけじゃなくて、一緒に守るよ! この世界じゃ、アタシもそれなりに強い人の設定だよ!」

椿「なんだか、雰囲気が違いますね。とっても新鮮です、本当に物語の住人みたいで」

P「智香さんも含め、皆には普段と違った役を、新たな試みとして与えるつもりなのですが……」

P「椿さんに関してはこの手のお仕事自体が新たな試みなので、あまり派手ではない配役を担当してもらいます」

椿「それが、お店の店長ですか」

P「……どうですか?」

椿「プロデューサーさんが私に適役だと、選んでくれたのなら」

智香「一緒に頑張ろうね☆ 悪い人が来たら、ズバッとしちゃうから!」

椿「お願いしますね、智香ちゃん……えっと、お話ではトモカちゃん、かな?」

:大槻 唯:

唯「やるやる! 前はヤンチャで自由なパイレーツゆいだった、次は?」

P「その経験を活かして、同じように暴れまわる賑やかな役です」

唯「いいね! ゆいはお堅い役なんて似合わないよ、分かってるー☆」

P「ただ、前回と違うのが……主演またはそれに準ずるものでないという事」

唯「準ず……何て?」

P「要するに主役級でなくて、自由人となると味方側でない場合が多い、そして例外じゃなく」

唯「ゆい、悪い人? んー……」

唯「……うん、それもいいかも! 超大悪党の怪盗大槻唯なんて面白そう!」

P「あ、悪者と言っても幹部みたいな大きな立ち位置というわけでも無く」

唯「あれれれ、ゆい小物? ちっちゃい?」

P「悪の幹部に従う、最も身近な存在。武器は……海賊の時に慣れてるレイピアで」

唯「あの武器カッコいいよね! それでそれで、ゆいは誰の部下? 誰と一緒に暴れ回る役?」

:相川 千夏:

千夏「分かったわ」

P「……正直、断られると思っていましたが」

千夏「そう? いいじゃない、策を巡らす悪党の役も。テーマ、新たな挑戦でしょう?」

千夏「面白い役、主役に敵対するわけじゃないけど……主役の協力者、に見せかけた悪党」

P「物語で初めて明確に“悪人”と分かる立ち位置です。難しい役ですが――」

千夏「任せて頂戴、ここは私が演じきるから」

P「では……作中で近い役、他の出演者の説明ですが」

千夏「唯は聞いてるわ、真っ先に報告に来たのよ、まったく」

P「他の方のことも聞きましたか?」

千夏「ええ、だから今は簡潔に私が最初に何をする役なのかの説明をお願いしたいわ」

P「千夏さんは……間接的にですが、領土問題に関わる集落を落とす指示をする人物です」

P「そしてその指示は独断であり、自身の所属する組織の離反行為である……俗に言う、裏切り者です」

千夏「……妙にリアルね」

P「その試みは最終的に阻止されてしまうわけですが……最初のうちは明確な敵として作中で認知されるために、成功します」

千夏「集落ね……全員、アイドルで役者が統一されているのでしょう? その集落の長も、誰かが演じているのね」

P「はい、それは――」

:前川 みく:

みく「物申すにゃ!!」

P「なんでしょうか」

みく「ファンタジー! フィクション!」

P「そうですね、みくさんには隠れ住む獣人族の村の長を演じてもらいます」

みく「どうしてそこからみくの設定が『獣人を模倣する人間』になったにゃ! そこは普通に猫にして欲しいにゃ! そもそも必要な設定!?」

P「適役だと思いましたが」

みく「どのベクトルで。きっと芸人思考にゃ、そうに違いないにゃ」

P「いえ……憧れる姿を追いかけて、周囲の非難にも負けず決して曲げない……そんな芯の強さが物語の人物として現れています」

みく「…………そ、そう言われるとこっちが悪いみたいになるからズルいにゃ!」

P「美玲さんが同じ集落の出身の人物を演じるので、これからお仕事が同じになる事も多くなります」

みく「ふむ、あんまり関わる事が少なかったからにゃ、こうやって関係が広がっていくように采配するのはPチャンのいい所にゃ」

みく「この前の椿チャンも、そう狙ったんでしょ? コノコノー、仲人ナイスにゃ」

P「半分は……確かにそのような理由ですが」

みく「それで? 任されたからにはみくは全力にゃ、まずは何をすればいいにゃ? 村で美玲チャンと交流するシーンとか?」

P「まず……千夏さんと唯さんと一緒に撮影です」

みく「あの二人と? 確か二人は悪者役やるって聞いてるにゃ、もしかしてみくが討伐する? いきなり村の英雄かにゃ~」

P「最初のカットが終わった後、村の襲撃のシーンでアクションが――」

みく「村落ちてるにゃ!?」

:池袋 晶葉:

晶葉「どちらかというと裏方の方が向いているとも思うのだが……この役、かなり重要な位置だな?」

P「はい。この世界観では、三つの大きな環境の区域があります。そのうちの一つ……近未来のような区域が存在しています」

晶葉「国名は覚えていないが……そういう設定もあるんだろう。そして? 私に持ってきた配役というのが?」

P「国家の、代表です」

晶葉「言葉にされると重いな……本当に私で大丈夫か?」

P「他と違い、機械工学が優れている国という設定なので、適任かと」

晶葉「そう言われると望むところだな、何を作ればいい? 努力はしてみよう」

P「あの、実際に作るというわけではなく……役ですから」

晶葉「役でも、役に成りきる為なら自作品の方が思い入れも出るだろう、機能は芝居の嘘で誤魔化したとしても……造形くらいはな?」

晶葉「さぁ言ってくれ、私は確かに他の皆と比べ演技に向いていないかもしれない」

晶葉「だからこそ技術を活かせるなら、力を入れるべきポイントだ!」

P「……分かりました、では」

P「人型の、アンドロイドを」

晶葉「すまない、要求が想像を遥かに超えていた」

:高峯 のあ:

P「……どうですか」

のあ「どう……と言われても機械の経験が無いから……分からないとしか言えない」

のあ「求められている、私にその役が回ってきたのなら……実行するだけ」

P「晶葉さんと、一緒に撮影が多くなります。……あくまで、予定ですが」

P「新たな接点を持つ意味でも、そして以前にツアーの経験があるという意味で……推薦させていただきました」

のあ「いつか……私が何に見えるか、聞いた事があったわね……その答えが、この役?」

P「無感情、そう捉えているわけではありません」

P「常に平静、危機を事前に排除する……そんな縁の下のような役です」

のあ「過去に何度も……想定を上回る役を用意してきた」

のあ「徐々にエスカレートしている気もする一方で……私なら、出来ると踏んでいるなら」

のあ「貴方が私を、評価しているのなら……そこまで考慮しているのなら、私も答えなければならないわね」

P「お願いします。……国を守護する、人造アンドロイド、コンピューターNoA、さん」

のあ「…………ウイーン……」

P「そんなステレオタイプのロボットではなく……」

:上条 春菜:

春菜「眼鏡の専門店なんてどうでしょうか」

P「提案はしたのですが」

春菜「さすがプロデューサーさんです! それで、どうでしたか!?」

P「世界観に沿わないのは置いて、作品に関与が難しいとの事で……却下の形に」

春菜「いいじゃないですか! 長く映るよりも一回の伝説と、芸能界の名言があるとも聞いています!」

P「よろしいのですか?」

春菜「……何がです? 眼鏡に叶う目的なんて私には――」

P「一度の披露で、本当に春菜さんの考える眼鏡の広報は可能ですか?」

春菜「う……いや、何度も登場できるならばそれに越したことはありませんが」

P「そこで……以前、騎士という役で別公演に出た事がある経歴を活かして……かなり登場機会の多い役を推薦しました」

春菜「騎士ですか……いまいち眼鏡と関連が薄いのですが」

P「いえ、ただの騎士ではなく……付与術士という、特殊な効果を持たせた道具を戦闘に用いる人物です」

春菜「ほう?」

P「そして、その道具が――」

春菜「なるほど、なるほどなるほどですね! 分かりました! その騎士の役、私がお受けしましょう!」

P「ありがとうございます」

:岡崎 泰葉:

P「作中で、何度か登場する組織の構成員です」

泰葉「私にそんなイメージ、ありますか?」

P「イメージとは……?」

泰葉「この役は、人と関わる事を避けている人物と……台本を見て、思ったのですが」

P「……以前より、泰葉さんは人と関わる様子が増えたように感じていました」

P「しかし過去に、あまり深い接触を行おうとしなかった時期も……あったと思っています」

泰葉「そう、ですね」

P「その両方を知っているからこそ…… この劇中の彼女は『自身の存在を見い出せない人物』です」

泰葉「…………」

P「同時に『自身の存在意義を見つけた人物』でもある役です。とある人物との接触を境に、前へと進む、孤独だった魔術師」

P「この役目を担うのは、泰葉さんが適任だと思いました」

泰葉「……私にしか、出来ない?」

P「はい。……出過ぎた見解、解釈だったなら、謝ります」

泰葉「いや、そんな事は……分かりました、その役……きっと私が、上手く演じてみせます」

泰葉「ところで……私が演じる人が、変わる切っ掛けになる人物を演じるのは、誰なんですか?」

P「それは――」

:神崎 蘭子:

蘭子「いざ降臨せん……私は魔王ブリュンヒルデとして、勇者の冒険譚の終末に立ち塞がろう!」

P「申し訳ありませんが、物語の結末・終点に関わる役への起用は今回、見送りとなりました」

蘭子「えっ!?」

P「恐らくはそのような役を希望されるとは想定していました」

蘭子「ならば何故!」

P「今回のテーマは、新たな試みと挑戦でもあります。普段、大役を担当する事が多い蘭子さんには、あえての一般的な役を」

P「……ですが、全ての希望を却下する方針ではありません、」

蘭子「私の演者となる傀儡は……魔術師、くっくっく……この手から翼から生み出される大魔法が勇者を援助するか!」

蘭子「それとも、各地に災厄を振りまく悪姫となるか、望むところ!」

P「いえ、そうではなく……」

蘭子「えっ!?」

P「魔術師の見習い、強大な力を持つわけではない……今まさに、成長の一歩目を踏み出そうとする、一人の生徒の役です」

蘭子「見習い……修士? 私では力不足なのか……?」

P「成長の成果を表す階段を、限りなく高く登った経験のある蘭子さんなら……」

P「希望とは異なるかもしれませんが、上手く演じることが出来るはず、です」

蘭子「むぅ……」

P「それともう一つ。これは蘭子さんだからこそ、あなたという人物だからこそ出来るストーリーの脚本が、ここに一つあるからです」

P「神崎蘭子という特徴的な人物を、上手く起用した物語だと……思っています」

蘭子「それは……プロデューサーさんが考えた?」

P「この演出に、乗っていただけないでしょうか……?」

:西島 櫂:

櫂「ふーん……何だか、本当に『意外』って言われそうな役だね?」

櫂「あたし、そんなに武闘派に見える? それとも体育会系だから?」

P「……申し訳ありません」

櫂「あ、不満があるわけじゃないよ? 勘違いさせたらゴメンね」

櫂「ただ、案外あたし、水泳どころか運動系でも、そっちの方向で今まで売り出してなかったような気がして」

P「と、言いますと……」

櫂「急だね? と思った程度かな。 体動かすの、得意だからね、そういう仕事が増えても何も問題はないよ」

櫂「歌って踊れるのも勿論だけど、いろいろ多方面に活躍するってのも事務所の方針みたいだし!」

P「仰る通り、今まで体力系の活動は控え目の傾向がありました」

P「そんな時に、この映像作品の決定が決まり……作中で、実力が高い人物の役もさがす必要がありました」

櫂「で、あたしを?」

P「元の長所を、一気に広める好機です。……西島櫂は、これほどの動きも可能だ、と」

櫂「うん、最近は少し大人しいお仕事ばかりだったからかな」

櫂「ちょっと楽しみだね?」

櫂「頑張っちゃおうかな、あたし! で、その強ーい劇中のあたしは何をする人?」

P「……槍術士です」

櫂「それは何故?」

P「槍と言っても……デザインは小舟のオールを模した――」

櫂「名前のダジャレ!」

:古賀 小春:

小春「小春、お姫様の役ですか~?」

P「正確には違いますが、そう思って構いません」

小春「でも小春も、少しはレッスンの成果があるので~、もっと動く役も出来るんですよ~?」

P「……もう少し活動的な役の方が、よかったですか?」

小春「かといって思い切り走ったり飛んだりは、できませんが~」

P「そうですか……では、この役の説明ですが」

小春「ただのお姫様じゃないんですか~?」

P「小春さんは、若くして国の統括者としての地位を得た……回ってきてしまった、と言った方がいいでしょうか」

P「親兄弟を失くし、地位だけが残った幼い姫、です」

小春「なんだか~、すごいですね~」

P「しかし……普通、このような人物は多くの場合、不幸な境遇と化しますが……そうではありません」

P「その不幸不運があり、しかし民衆から慕われ、部下にも恵まれ、新たな繋がりも増える……そういった強く優しい人物です」

小春「小春、優しいですか? 照れます~」

P「小春さんはアイドルとしてユニットを組む時にも“不思議と皆の中心に居る”人物です」

P「ある意味で重い、しかし優しい。そんな役も、こなせるかと」

小春「分かりました~、小春、頑張っちゃいます~」

:輿水 幸子:

幸子「嫌です!!」

P「……理由をお聞きしても構いませんか」

幸子「分かってるんです! ボクはそういう扱いだとも、だから宝箱に入ってロクに台詞も言えない役もやりましたよ!」

幸子「あれは一回のバラエティですから、ボクが折れましたよ」

幸子「でもボクだって、いっぱしの役を……かませでも雑でもない、ちゃんとした一人の役になりたいんです!」

幸子「……もし、そうでない役なら、ボクは遠慮します」

P「ご期待に沿えるかどうかは分かりませんが、今回の案を……一応、説明させてください」

P「その上で不満な点があれば、お願いします」

幸子「聞くだけ聞きましょう!」

P「劇中で、特殊で希少な種族、としての役です」

幸子「種族? まぁ、ファンタジーな世界ですから人間以外も居るでしょうね」

P「幸子さんの種族は“天使”です」

幸子「天使? それってもしかして以前のライブの再来ですか? なんだか嫌な予感がしますが!」

P「いえ、恐らく幸子さんが思っているようなバラエティ色の強いものではないかと」

幸子「そうなんですか? というよりも、そうであって欲しいのですが」

P「並外れた、種族としての強靭さを強調し……普段の性格と、印象を照らし合わせて、幸子さんが適任でした」

幸子「それは、そうでしょう……! ボクは天使ですからね」

P「しかし、優れた資質を持ちながらも小さなトラブルに巻き込まれ――」

幸子「……ハァ、やっぱりそういう役なんですね?」

P「駄目、でしょうか?」

幸子「いいですよ、分かりました! そんな役を任せられるのはボクくらいでしょう!」

幸子「でも酷い扱いは抗議しますからね! そのつもりでお願いしますよ!」

P「……ありがとうございます」

:安部 菜々:

菜々「アニメですか?!」

P「実写作品です。 ……ですが、ファンタジーな世界観を想定しているもので間違いはありません」

菜々「うーん、実写のファンタジーって、あんまりいい印象は無いんですけど、昔から……」

P「昔?」

菜々「あっ、違いますよ! 少し前って事ですっ!」

P「……それで、菜々さんにお願いする役は、少々アウトローなのですが」

菜々「駄目ですよ、ナナは心の綺麗な十七歳なんですから! 不良少女みたいな印象は、めっ、です!」

P「華麗なモノに憧れを持つ、女性の役です」

菜々「な、なぁんだ、普通じゃないですか!」

P「常に限界を感じてしまう、弱き人間族という彼女が……ふとしたきっかけで手に入れた人智を超える力」

P「しかしその力は本来の持ち主が居るので、返却を迫られるわけですが」

P「憧れを手放したくはない彼女は、自信の理想の為に――」

菜々「重いですよおお!?」

P「光と闇を両方同時に表現するのは難しいのですが、菜々さんならきっと」

菜々「闇!? ナナに闇は無いです! 光り輝くリアルJKなんです!!」

:乙倉 悠貴:

悠貴「つまり、悪い人の役ですかっ?」

P「主役視点で見ると、そうなります」

悠貴「私、悪い人に見えちゃってますかっ?」

P「いえ、普段の印象から抜擢したわけではなく……」

P「私の考える、悪役というよりも……主役に立ちはだかる壁、ですが」

P「一見して、普段と差がある人物の方が向いている、と思っています」

悠貴「差がある……?」

P「悪役に当たる役ですが、特別な演技などは必要ありません」

悠貴「……? それって、どういう事ですかっ?」

P「いつも通り、楽しそうに笑顔で……という事です」

悠貴「でもっ、悪い人なんですよねっ? じゃあ、台詞と雰囲気が合わない事になりませんかっ」

P「はい。……ですが、そのままでお願いします」

悠貴「そのままって、普段通りの私でっ……?」

P「合わないほど、不気味に見える。そしてその印象が強いほど、役に嵌まります」

P「悠貴さんは、悪意ある人には到底見えません。だからこそ、です」

悠貴「それじゃあ私は、プロデューサーさんの為に……いつも通りの乙倉悠貴を頑張りますねっ!」

悠貴「いつもいつも、新たなチャレンジですっ! これを気にちょっと悪い子悠貴も得意に――」

P「本当に悪化しないようにだけは……お願いします」

:土屋 亜子:

P「他の皆様は、新たな方向に挑む要素が多いのですが、亜子さんには物語中でも二人の人物と合流します」

亜子「二人、って事は……まぁ、さくらといずみやなぁ、構いませんの? そりゃあ嬉しいですけど」

P「卯月さん達と、ちょうど対照の三人組として……ニューウェーブの三人を推奨しましたが」

亜子「しましたが? 何か訳ありだったりします?」

P「……まず亜子さん単独の話を。ほかの二人よりも先に、物語に登場する形になります」

亜子「先に? あれ、三人組と違いました? アタシの聞き間違い、なわけありませんよね」

P「はい、先に登場する理由は亜子さんが商人として顔が広く、方々での人物の説明に一役買う役でもあるから、です」

亜子「商人は人脈大切ですもん、分かりますわー。説明役なんて目立たない、と思われがちですけど失うと厄介な役ですから」

亜子「裏を返したら、早々にお役御免になる役では無い言う事ですわ!」

P「説明役に否定的なご意見を持つ方は多いですが……亜子さんは、そういった考え方ですか」

亜子「こう結論付けるって分かってたからアタシに白羽の矢が立ったんでしょう? やりますやんかー」

亜子「目立ってナンボですから、顔出しの機会が多い方が万々歳です。で、ちょっと気になることですけど」

P「さくらさんと、泉さんについてですか?」

亜子「そうです、もしかしてですけどさっき卯月さん達と対照って言いましたね?」

亜子「主人公として三人で協力して、成長する物語と聞いていますけど」

P「はい……その通りです」

亜子「そしてアタシ達は、登場がバラバラで元から三人組じゃなくて“合流”するんですよね?」

P「間違いありません。とある目的の為に、三人組として結成される事になります」

亜子「おぉ……ちょーっと、覚悟しないと駄目かもしれませんわ、あんまり聞くと楽しみが無くなりそうですけど一つだけ」

P「どうぞ」

亜子「アタシ達三人……仲悪い設定だったりします?」

:ケイト:

P「他にも何人か同じ所属の方がいます、そのうちの一人という配置です」

ケイト「つまり、アキハ演じる国のグループの一員、デスネ? 確か、ハルナが同じだったような覚えがアリマス」

P「このグループは当初その予定は薄かったのですが……その、私事なのですが、思ったよりも話の関連性を持ちやすい事が分かりまして」

P「これから、登場する機会が多くなります」

ケイト「goodデス、機会は多いに限る、デスネ」

P「それにあたって、様々な人が出てくるわけですが……基準は、やはり特徴的で、印象に残る人物です」

ケイト「ハルナ、確かにインパクトが有るデショウ。役も、上手く彼女に合っていると言いまショウカ」

P「ですが、強烈すぎる面々が集うと不都合もあります。勢いには、山も谷も必要です」

ケイト「私は、谷デスカ?」

P「いいえ、人物で山と谷を作るのは……個人の差を生んでしまいます、それは望ましくありません」

P「春菜さんには、とにかく自身のやりたい事を、望む事を思い切り主張できる位置の役です」

P「方向性が合っているからこそ、予想よりもいい画が撮れることも多く、好評です」

ケイト「好き放題してると聞きマシタガ、好評? oh……映像業界、よく分かりマセン」

P「しかし、役の彼女も、本来の彼女も、行き過ぎてしまうのが欠点です」

ケイト「本当、うまく役を当てマシタネ? という事は、私はハルナを?」

P「物語においても、ケイトさんは春菜さんの親友で同期、実力的にも地位的にも大きな彼女を冷静に抑える役です」

ケイト「谷とは、そういう事デスカ? 山を抑える人物デスカ?」

P「ただ抑えるだけでは弱いように見えますが、登場までに春菜さんには出来る限り暴れてもらいます」

ケイト「ホ、ホウ……」

P「その破天荒な人物と、釣り合いの取れる相方として……ケイトさんには、逆方向に暴れてもらいます」

ケイト「……知的に馬鹿に振舞えと、デスカ? なかなか、難しい……デスネ?」

:西園寺 琴歌:

P「……という内容です」

琴歌「私、挑戦事には慣れていますわ」

琴歌「それに、身分の高い貴族階級のお嬢様、いえ当主ですか?」

P「はい、しかし……決して綺麗、とは言い切れない、そんな貴族階級です」

P「要するに、上流階級にありがちな少しの闇が垣間見れる人物になります」

琴歌「悪いお方という事でしょうか?」

P「……一概に言い切れません」

琴歌「では、悪い人ではないはずですわ!」

P「いや……表はそう見えますが、裏には――」

琴歌「プロデューサー様、表や裏などではなく、どこか一面に“良い”と見える部分があれば、それはもう良い人ですわ」

琴歌「だって、良い人でなければ良い一面は、ありませんから」

P「それは……いえ、ですが役の彼女は」

琴歌「私の一面を、見つけていただいたからこそ、私はプロデューサー様を慕っております!」

琴歌「その方から渡されたお仕事であるならば、未経験の料理でも、西部劇の集落の族長でも、断る道理はありません」

P「……ありがとうございます。少し、私の評価が小さすぎたみたいです」

琴歌「必ず、満足の行くお芝居にしてみせますわ。今までは挑戦でも、演技は一度目ではありませんから……!」

P(……ここまでの決意を持っている人に、最後まで悪役は向いていませんね)

P(少し、脚本に修正を加える方針に……)

:木村 夏樹:

P「夏樹さんは過去に、それもこの手の公園の第一回のメンバーという事で」

夏樹「はは、懐かしいなー……で、台本読んだ感じ、アタシは今回どっちの衣装で出ればいいんだ?」

P「今回、初回の幻想公演の再登場……シリーズ初期のファンの方々に向けてのサービス演出で、夏樹さんは同じ衣装、似た役です」

P「そして義賊の役、前回で言う所の白の方の衣装で出演という形になります」

夏樹「良かった良かった、悪い方の役は最初、性に合ってると思ったんだけどな……」

夏樹「演じてみると、ちょっと違う雰囲気がしてさ。結局、白い方がアタシには合ってたよ」

P「それは何よりです、そして物語における夏樹さんは……」

P「義賊と言うと、人を助ける人物ですが……最初、ある人物の策略により夏樹さんは負傷した状態で始まります」

夏樹「負傷? 要するに、囚われの義賊か?」

P「まず……義賊が助けられるところ、から始まる訳です」

夏樹「なるほどね。で、アタシは誰に助けられるんだ? 主役の三人か?」

P「三人は関連しますが、夏樹さんには相方が居ます」

夏樹「そりゃいいや、義賊も一人じゃ孤独だ。見知ったパートナーが居なきゃな……誰か教えてくれるのか?」

P「はい、勿論お伝えしますが……早く知ろうとする理由は」

夏樹「別に仲が悪い人なんて居ないけどさ、相棒は良く知っておかないと駄目だろ?」

P「なるほど……ですが、特別改めて知る部分はないかもしれません」

夏樹「……?」

:多田 李衣菜:

李衣菜「私がなつきちと一緒に盗賊団!?」

P「正確には、夏樹さん単独の活動に惹かれて共に行動する盗賊団、です」

李衣菜「細かい事は気にしない気にしない、それで?」

P「今お伝えした通り、李衣菜さんは夏樹さんの相棒として参加してもらいます」

P「……細かい事とは言いましたが、後の為に経緯を説明しますと」

P「元々、李衣菜さんはそれなりの規模の盗賊団のリーダーとして存在する人です」

李衣菜「リーダー? おお、私強いじゃない? それに人望もあるなんて、最高じゃん!」

P「部下も存在しますが……とりあえず、現在の撮影方式では全て事務所のアイドルのみで脚本を進めるため……」

P「明確に何人の部下がいる、部下が集うようなシーンはありません」

李衣菜「ありゃりゃ……うーん、一回はやってみたかったなー、私には何万人の部下が居る、みたいな」

P「万単位には及ばないと思いますが……とにかく、映らない方針です」

P「その理由から、部下の多さなどの周囲の功績で李衣菜さんの特徴を出す事は出来ませんが……」

P「相方が夏樹さんであれば、信頼できる人物という方面でも李衣菜さんなら表現できるかと」

李衣菜「そ、そう見える? ふ、ふーん……そりゃあ私なら出来るよ、出来る出来る」

李衣菜「で? で? 私はどんな場面から登場するの?」

P「まずは……夏樹さんを救出に向かうところからです」

李衣菜「え? 捕まってるの?」

:黒川 千秋:

千秋「毎度の事だけど、新鮮な体験をさせてくれるのね」

P「皮肉でしょうか……」

千秋「いや、素直に褒めてるのよ。……今回は、前と似ているけど少し違う役ね」

P「全快、騎士ですか?」

千秋「その前、メイドの……西部劇の時よ」

千秋「味をしめたのかしら? それとも、私が奉仕している姿は様になっているのかしら」

P「もちろんそれもありますが、何事にも真剣に取り組み、しっかりと吸収していただけるので」

P「こちらとしても、未体験の様々な役を提供しよう、と思っていまして」

千秋「……その通りね。それで、同じ衣装に身を通すということは」

千秋「確か夏樹さんが前回の公演の衣装がどうこうと言ってたわね、私もその通りなのかしら?」

P「はい、これも先程仰った通り……西部公演の引用で」

千秋「なら、ちょうど一緒に出演したもう一人が居るはずだけど、つまりそういう事かしら」

P「察しが早いようで」

千秋「……同じ役?」

P「はい、ですので……千秋さんお二人は――」

:佐城 雪美:

雪美「使用人……?」

P「言葉を選ぶと、そうなります」

雪美「メイド、一回……やった……頑張った……」

P「はい、前回はカフェの店員でしたが、今回従属する相手は客ではありません」

雪美「……誰に、働く……?」

P「働いているというよりも、手元に置かれていると言った方が正しいですね」

P「千秋さんと一緒に登場し、同じような役になりますが……もっぱら千秋さんが中心として動きます」

P「雪美さんは過去に、千秋さんと唯一繋がりがあった人物……という設定です」

雪美「千秋……私と、お友達……」

P「そして、雪美さんの為に、千秋さんは……動いています」

雪美「私の為……」

P「千秋さんの役は、奴隷階級でありながら離反と脱走を繰り返す人物、そして同時に非常に優秀な人物でもあります」

P「その彼女を繋ぎ止める為に、唯一の接点がある雪美さんを使い、従わせています」

雪美「私……迷惑……?」

P「守るべき存在、です。 最下層の階級で生き残る術を心得ている千秋さん演じる彼女が……」

P「基本的に“誰も信じない”スタンスの彼女が、あなたにだけは、あなたの為に」

P「千秋さんが、それだけ感情移入できる相手は……恐らく、雪美さんだと思ったので」

雪美「千秋……やっぱり、友達……ここでも、お芝居でも……」

P「ええ、きっと」

:川島 瑞樹:

P「今回の役は、ニュースキャスター……ではなく、記者ですね」

瑞樹「あら、ファンタジーな世界観と聞いていたのだけど、報道機関があるの? 現実的ね」

P「細部の仕様は空想の仕組みですが、新聞やテレビに相当するものが存在します」

P「しかし充実しているわけではなく、瑞樹さんが唯一この手の仕事に取り組んでいるグループ、になります」

瑞樹「世界で唯一の報道機関、その代表? それは……重要なの?」

P「その仕事上でもありますが、そんな活動を続ける人物ですから……あちこちに出没し、首を突っ込みます」

P「情報筋も多く、物語の中心人物に関連する事も多くなります」

瑞樹「つまり、アドバイス役ね? 普段からそんなお姉さんに見えてる?」

P「助かってはいます」

瑞樹「良かった、この役もその賜物ね。でも、理由はそれだけじゃないでしょう?」

P「あらゆる内情を知りながらも、飄々と振舞う、常に余裕のある人物像が役として理想でしたので」

瑞樹「余裕……私、余裕あるように見えているかしら?」

P「はい、心の持ち用や……やはり、大人な女性ならではの、落ち着いた点が」

瑞樹「ああ、気持ち、気持ちね……」

P「……?」

瑞樹「内面の余裕……外面も、なんとかしなきゃね……」

:向井 拓海:

拓海「ハンターだァ? ……字面だけ見ると思いっきり悪人に見えるけどよ」

P「いえ、誤解されがちですが賞金稼ぎというのは悪人を捕らえる側であり、特別悪人側という訳では」

拓海「分かってるけどよ……なんか、イメージがあるだろ?」

拓海「そんな誤解されがちなところにアタシを持ってきて、誤解が進むぞ?」

P「心配はありません。拓海さんが、誤解されるようなイメージを今まで築いてはいませんから」

拓海「いや、アタシが言うのもなんだけど……経歴とか、その、見た目とかが」

P「見た目で警戒を抱かれるような衣装を選んだ覚えはありません」

拓海「……オイ、この為にわざわざ普段のあんな仕事か? これだけの為か!?」

P「違います、元々向いていると思ったからです。もちろん、手っ取り早く印象を払拭するには最適だった事も認めます」

P「どう見栄を整えても、内面は簡単には変わりません。ですが、拓海さんが変わったように見えたのなら」

P「それが本来の拓海さんということです。私は、元の内面を整えただけで」

拓海「本来の? ……小っ恥ずかしい格好ばっかりだった気がするけど、どうなんだ」

P「拒絶はされなかったでしょう?」

拓海「拒否はしたかったけどな」

P「人の言葉を借りるなら、つまりそういう事なんです」

拓海「どういう事だよ!?」

P「悪くは見られていない、という事ですよ。だから、誤解は起きません」

:片桐 早苗:

早苗「てっきり秩序を取り締まるような、それこそ警官みたいな役と思ってたんだけど」

P「拓海さんと、同じ役柄です」

早苗「そうみたいね、見てたし聞いてたから知ってる」

早苗「ただ……ちょーっと文句言っていい?」

P「……どうぞ」

早苗「拓海ちゃんはアレよ、いい方向に誤解されるタイプよ。こんな役でもキッチリ目立つでしょ、存在感があるもの」

早苗「あたしが目立たないつもりはないし、台本読んだけど目立つ内容だったわ」

P「はい。少し長い章の登場人物なので……」

早苗「たーだー、これを見た感じだと? 非っ常にー……なんというか“面倒な人”よ、これ」

早苗「そういう風に思われてた? お姉さん心外だわー、ねぇねぇどう見えてる?」

P「拓海さんと比較になってしまいますが……彼女はマイナスに見える役を、当人のプラスで補っている形です」

P「要するに“実は良い人”のような立ち位置です」

早苗「ちょっとちょっと、つまりあたしは? そういう役?」

P「……一見、良い人で、実際に行動も理念が伴っていて悪い方向には向かないのですが」

早苗「ですが? それって、あたしがさっき言った通り……?」

P「言った通りかどうかは、展開次第です」

早苗「じゃ……台本のこの部分見てみましょうか、拓海ちゃんと初遭遇。えっと、あたしは何するって?」

P「……拓海さんを見かけます」

早苗「次に?」

P「撃ちます」

早苗「あたしのイメージ!」

:伊集院 惠:

惠「てっきり、西部劇と同じ役と思っていたけど……違うみたい?」

P「役のイメージとしては似通っているので、同じ雰囲気で結構です」

惠「あの時は真っ向に対峙して……自分でも意外だったわ、なかなか評判が良くて」

惠「孤高の……孤独を好いているわけじゃないけど、私の雰囲気に合ってたみたい」

P「私に話していただいた……何にも縛られず生きる、という言葉が印象に残っていまして」

P「あの役から、さらに縛るものを消去していこうと、まず考えました」

惠「確かに、どこかの国に所属しているわけでも、仲間が居る訳でも、ましてや目的も?」

惠「そして前回と違うのが、私は“狙撃手”なのね」

P「距離を……相手と交戦する際に、自身の領域に踏み込ませない。そんな印象があったもので」

惠「知的な戦い方、そういうイメージが私にあるなら、喜ぶべきかしら?」

P「物語では、しばらく台詞はありますが名前が判明しないまま進みます」

惠「何故かしら、とは聞く必要は無いわね。狙撃手が、自分を教えちゃ意味無いもの」

P「……そういった、飲み込みの速さと理解力が、前回の公演にも良い印象を残した理由かと」

惠「なるほどね、分かったわ。そうと決まれば、雰囲気作りからよ」

惠「普段の生活も、少し地味目に抑えてみようかしら」

:服部 瞳子:

瞳子「私が? ……プロデューサーさん、大丈夫?」

P「どういう意味でしょうか?」

瞳子「私、こんな幻想的な世界の空気には合ってないと思うの」

瞳子「選んでくれたのなら、最大限努力はするわ、例えそれがその他大勢でも」

P「とんでもない、瞳子さんは……そのような端の役ではない、もっと大きな起用も十分にこなせる方です」

P「今までの衣装のイメージから、敵側組織の幹部という線も考えたのですが」

瞳子「どうも違う、みたいね。私には、主役を目立たせる階段の役目が相応しいと思ったのだけど」

P「悪い意味ではなく、私も瞳子さんがその立場に向いている、慣れているのが分かっています」

P「これは、他の方には真似の出来ない……経験という技量が理由の大部分を占めます」

瞳子「そうね……私は他の子以上に、成功も失敗も幅広く学んだと思っているもの」

P「瞳子さんが演じるのは、何者も通さない壁、護衛の役目です。その世界でも、少し名が広まっている程には」

P「知識も、計算も、技術も、判断力も、そして経験……なかなかに難しい役だとは思いますが」

P「その信頼性の高さに説得力を持たせるには、瞳子さんのような人物である必要がある、と思っています」

瞳子「……“私である”事に意味があって、選んでくれたのね?」

P「はい。どう、でしょうか」

瞳子「私の為に用意してくれた役目、断る理由なんて無いでしょう?」

瞳子「例え結末や扱いがなんだろうと、私は覚悟できる、私には出来るわ」

P「……ありがとうございます」

瞳子「皆に言っているでしょう? その言葉」

P「はい……」

瞳子「悪く言うつもりは無いわ、むしろ……ちゃんと言ってあげた方がいいわよ。……という私からの助言」

:安斎 都:

都「私にお話が来たという事は、そういう事ですねっ!?」

P「恐らく、珍しいくらいに“思っている通り”の役目、だとは思っています」

都「それはつまり……都が探偵役でしょう! 間違いありませんっ!」

P「その通りです」

都「うおー! やりました!! ついに私、都が物語に置いて探偵という地位を確固たるものにしました……!」

都「……しかし、ファンタジーな世界観における探偵の立ち位置とは、これまた稀有なものですね?」

P「はい、なかなかに想像しづらいものがあるとは思いますが、これも挑戦の一つです」

都「新たな挑戦に、私がいれば心強いと判断したわけですね! 名推理です!」

都「それでですね! 話を急かすようで、結論を急ぐのはお約束を破るようで探偵として不甲斐ないとは思いますがっ」

都「結論を、私は何を暴くための探偵なのでしょう!」

P「平常の活動内容は、未だに検討中ですが……登場時、既にとある事件と遭遇し、その解決に挑む、という形になっています」

都「おお、事件は現場で起きている……!」

P「被害者……これも事務所の誰かに頼む予定なのですが……あ、もちろん死亡したりはしません」

都「殺人事件ではない? 窃盗ですか!」

P「どう言えばいいのでしょうか……殺人、未遂?」

都「なるほど! 未遂でも事件は事件、犯人が存在します! その犯人を、都がズバっと言い当てて解決! ですね!?」

:小関 麗奈:

麗奈「……アタシが望んでたのと違うわ!」

P「撮影、ご苦労様です。……次の登場は、かなり先になるのでしばらくは――」

麗奈「ああそうね! 面倒な台本覚えとか『そっちの演技見せて』みたいな妙な絡みとも解放されるわよ!」

麗奈「ただ不満は残るわ! 最初に聞かされた役と違うじゃない! なんて言ってた!?」

P「平穏な生活を嫌って、自由気ままに活動する……」

麗奈「そうよね、そうよね!? よく聞けば間違ってないわ! でも説明不足マシマシじゃないの!」

P「何か誤解がありましたか?」

麗奈「大アリよ! てっきりアタシは大魔王とまではいかなくてもその幹部! 平和を乱す大悪党と思ってた!」

麗奈「例えばこう、以前の……アレの繋がりとかで炎! とか、二段でも三段でも十段階でも強化するようなとっても強い役!」

麗奈「蓋を開ければ何よ、最初の役が殺人未遂に巻き込まれて華麗に逃走!? マヌケもいいとこよ!」

P「初登場の一回だけの出番で全てを決めるのは……まだあなたが中心の章でもありませんから……」

麗奈「……フ、フン! で? このレイナサマが撤退するほどの相手を捕まえる? 無理よ無理!」

麗奈「というか確か、犯人この後逃げたわね、アーッハッハッハ! 逃げられてるじゃないの!」

麗奈「でも……確かその逃がした相手も誰か捕まえるのよね? ハァ、やっぱり駄目じゃない!」

P「……すぐに出るあたり、しっかりと台本を覚えていらっしゃるようで」

麗奈「!? ち、違うわよ! これは、その、相手の演技のミスを指摘するために――」

P「真面目に取り組まれていて、なおかつ全体の事も見えている」

P「今回は極端な例でしたが、直接関わる人物ではなく……周囲のアクセントとして、麗奈さんは非常に適役です」

麗奈「何よそれ、アタシが一番嫌いな正義の踏み台じゃない……」

P「いいじゃないですか、そうして持ち上げて」

麗奈「でも納得が行かない! アイツらばかり目立って――」

P「そうして持ち上げた相手が詰まった壁を、最後に……一気に、です」

麗奈「……なるほどそういう事ね! 最後の美味しいところは全部レイナサマが掻っ攫ってやるんだから!」

P(一気に……助けに向かう、とは言わない方がいいでしょうか)

:椎名 法子:
:松尾 千鶴:
:篠原 礼:
:脇山 珠美:
:野々村 そら:

P「本来は個別に役の説明と、お話を行うのですが」

法子「五人で何をするんですか?」

P「少し、大事な役の決定を……その結果によっては、以前にお話した役の経歴が少し変わるかもしれません」

千鶴「既に説明は終えているんですか? 私は聞きましたが」

珠美「礼さん! そのお姿は?」

礼「見た通りよ、仮装の姿のまま。ハロウィンの時の格好ね、これをそのままという事は?」

そら「そらちんはまみー? 包帯ぐるぐーる?」

P「そらさんは普通の衣装のはずですが」

そら「ありゃ?」

千鶴「それにしても、どうしてこのメンバーで集まったのでしょうか」

珠美「むむむ、何か問題がありましたか?」

P「皆さんは既にお話した通り、唐突に遭遇する旅人のような、単独で行動を行う人物です」

P「一度にこれだけの人数が同時に出る、その理由は……」

P「この五人が、事件の容疑者になるからです」

法子「容疑者?」

礼「物語は空想の話だと聞いていたけど……そんな、今みたいな事件も起きるの?」

P「劇中で、いろいろな話が出来るのも利点の一つで、飽きが来ないように……というのが主な理由です」

P「ただ、肝心の犯人役を……私の意向で決定してしまうのも、色々と問題があると思うので」

そら「じゃあ、恨みっこなしクジ引き一本!」

千鶴「え? そんな……適当に決めていいものなんですか? 脚本というのは」

P「……何事もプラスなハプニングで進めましょうか」

礼「決定しちゃうの……?」

法子「じゃあ、はいっクジ! これで当たりを引いた人が――」

珠美「犯人……この芝居の流れで言うところの、都さんに敵対する人という訳ですな?」

P「では、多少雑な運任せになってしまいますが……どうぞ」

:高森 藍子:

藍子「助手ですか?」

P「近いですが、違います。実際に店……写真に関する道具を扱う店舗を経営する人物です」

P「ただ、確かな技術が功を奏して、ある人物が贔屓にする人物となります」

P「その方の手助けをしようと、表向きの経営と共に機器を提供する人物です」

藍子「ただのお店の店員かと思っていたんですけど……裏でいろいろな事をしてる、努力家さんですね」

藍子「それで、その“ある人物”というのは……? カメラ屋さんが技術提供できる職業なんてファンタジーのお話では――」

P「お相手は、瑞樹さんです」

藍子「瑞樹さん? えっと……」

P「新聞記者、報道機関ですね」

藍子「という事は、私も報道機関の一人……?」

P「いえ、瑞樹さんの相方は他にいらっしゃいます、藍子さんにはあくまで援助をする方の……とはいえ、お手伝いもします」

P「それともう一つ、瑞樹さんは報道機関ですが……設立者でもあります、が、その事はあまり知られていません」

P「代表の下で働く一人、と思われています。名言していないだけで隠してはいないのですが……」

藍子「でも、秘密を知っている人って、なんだかドキドキしますね?」

P「その事を本人から教えられている、信頼されている人物……という雰囲気を出さなければなりません」

P「藍子さんは、他者へ秘密を漏らすような、野望のある方ではない……そんなイメージにも合う、配役を行いました」

藍子「口が堅いように見えますか?」

P「……というよりも、あの、不快に聞こえる可能性もありますが、なんというか……藍子さんなら」

P「そこから何かが原因で秘密が流出しても、許せる人物……その方向で、信頼を置けるといいますか」

藍子「許せる……? うーん……つまり? よくわかりません……」

P「何でしょうか……うまく言い表せないのですが、この空気感なんだと」

藍子「空気感、雰囲気ですか?」

P「……今のような、少し有耶無耶となる、緩い雰囲気ですね」

:棟方 愛海:

愛海「お山、登れますか?」

P「……どちらの意味ですか? ご希望なら現地で撮影も考えますが」

愛海「わざとだよね? そっちじゃないよ! いつもの! あたしが言ういつものはいつもの!」

P「そのような脚本は、周りから恐らく苦情の元になるので決定しかねますが……」

愛海「じゃあせめて偶然を装えるような流れのお話で行こうっ! 例えば、うーん……死にゆくあたしの最後の願いとか――」

P「たった一度の為にそこまでしますか……後の出番に支障が出ます」

愛海「そりゃあ何度も出来たら御の字だけど、何度も死ぬわけには行かないなら一回で我慢するしか……したくないけど!」

P「ふむ……何度も、ですか……」

愛海「ん? 何か思いついた? あたしの要望欲望通っちゃう?」

P「通りはしませんが……機会は増えるかもしれません、先程の例のシチュエーションが行える設定を組みます」

愛海「ええ!? いやいや、あたし死んじゃう! フィクションだけどさすがにそれは……」

愛海「いやでも、一回でも正当に登頂出来るならやぶさかでもない……うーん」

P「一回に、しなければいいんです」

愛海「でも絶体絶命なんて何度も味わうのは宜しくないと思うんだねー」

P「ですから、絶体絶命を安売りすればいいんです」

愛海「んん? どーいう事?」

P「死んでも死なない、そんな人物なら大丈夫なはずです」

愛海「それってつまりー……あたし不死身?」

:日野 茜:

茜「何でもできます! 出来ない事でも努力はします!!」

P「そこまで技術が必要な役は当てませんが、なんといっても活動的な茜さんなので」

P「中心の三人と同じような立場、まだ旅に出て新参の人物の役ですが」

P「指示に従い計画的に動く卯月さん達と比べて、先に行動する人物です」

茜「冒険初心者ですね! 私と同じです!!」

P「同じ……? ああ、茜さんは確かに冒険はしていませんが、現実ですから」

茜「綱渡りはたくさんしました!!」

P「……とにかく、卯月さん達と違うタイプの新参者として」

P「その違いが、良くも悪くも働き、良い対比になると考えています」

茜「難しい事は分かりませんが、とにかくなんとかしますね!!」

P「その意気です、小難しい演技……も学ぶ必要はありますが、まずはその気持ちを大事にしてください」

茜「はい!!!」

P「考えるより先に動いた方が、機を逃さない事が多いのも事実です」

茜「逃げる前に捕まえますからね! 逃げても追いかけますけど! ええ!!」

:的場 梨沙:

梨沙「晴と?」

P「以前、共演歴があったので、お互いの事をよく知っているかと」

梨沙「まぁ……知ってるわよ、で? 知ってなきゃ出来ない役なの?」

P「知っていた方が、向いている役ではあります」

P「内容が、お二人はとある人物の部下で、共に行動する戦闘員という事です」

P「ただ、外部からの干渉もあり……結果的に、様々な権力の間に挟まれる、要するに」

梨沙「苦労人じゃない!」

P「……なぜか、私でも疑問なのですがどうにも似合っているというか、こなせる役というか」

P「ジュニア組が背負う役職ではないと思ってはいるのですが、適任だと――」

梨沙「そんなに周りに振り回されてるように見えてるのかしらアタシ……」

P「……それと、もう一つ特徴があります」

梨沙「特徴? アタシ自身? それとも、この演じる役について?」

P「梨沙さんにはあまり関係のない事なのですが、恐らくは相方となる彼女から色々言われるかと」

梨沙「晴から? ……何関係かしら」

P「実際は、もう一人上官を加えての三人組で物語に登場するのですが、その三人はそれぞれ……」

P「卯月さん達の使用する戦法、得意分野、武器などが酷似しています」

梨沙「ふーん……それで?」

P「梨沙さんは、登場時に凛さんと同じ武器、戦法で戦います」

梨沙「なるほど、物語にはよくある“同じタイプの相手”ってわけね? ……で、それが何か不都合あるのかしら」

P「それは――」

:結城 晴:

晴「なープロデューサー、どうして違うんだ?」

P「違うとは?」

晴「前から言ってるじゃんかー、どうしてコレなんだって、これじゃ魔法少女じゃん」

P「いえ、衣装は違います、きちんと“カッコいい”という方針の元で作られたものです」

晴「それはいいけど……気に入ってるしさ」

P「前々からの活動で、活動的な部分はアピールしています」

P「その晴さんが持つのは、魔法型の武器と装備。そして役の人物の特徴が、前線も援護も可能な、万能型です」

P「その両方に説得力を持たせる人物として、晴さんは適切でした」

晴「分かるんだけどなぁ……やっぱり、やっぱりだぜ?」

晴「サッカーやってるしさ、ブーツの武器が欲しかったかな……」

P「靴の武器、凛さんですか?」

晴「なーなー、どうしてそっちの担当は梨沙なんだよ、オレのが絶対合ってると思うんだけどさ……」

P「理由は……後に分かります」

晴「後ー? オレは今知りたいよ、肝心のところは隠すんだからさぁ」

以上です。

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