ぼくのお姉ちゃん (11)

姉はもう目を背けてしまっていたのだろう。

人に汚されてしまった姉はもうなるべく汚いものを見たくなくなってしまっているのか、外の世界と遮断してしまっている。

姉はいつもジャビット人形を尻に敷いていた。姉曰く「座り心地がいい」とのことだった。
いくら小柄な姉からでも毎日のように尻に敷かれていればジャビットくんは潰れて、ボロボロになりさらにすれて茶色く汚れていた。
それでも変わることなく毎日姉の尻に敷かれていた。

僕は悔しくて仕方がなかった。それは僕の大好きな巨人のマスコットが姉の尻に敷かれて、くたばってしまっているからではなく
関西の連続強奪未遂の人気と実力が伴っていないお笑い馬鹿球団を何故か応援してる筋肉馬鹿兄が
「真希は汚いものをみたくないんだろうなあ」とニヤニヤ嬉しそうに笑っていたからではない。

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それにどう考えても汚いのは阪なんとかいう犯罪者養成施設ではないのだろうか。
常に巨人の後をつき従順しているから、批判や中傷等を巨人を壁避けにしていれのだ。さらに許されないのは強奪強奪だと巨人を批判するが、阪神の方がマイシーズンなりふり構わず金をちらつかせ選手を獲得しようとしている。
魅力がないから誰も来ないだけで、阪神は巨人以上に金で選手を奪いとろうとしていたのだ。
巨人のように狙った選手を獲得できる人気がないから、そんな巨人を妬んでその怒りを巨人にぶつけているだけなのだ。
阪神ファンは阪神の弱さをなぜか巨人にぶつけている理不尽極まりない存在なのだ。そもそも阪神ファンはやたら巨人をライバル視しているが正直巨人は弱小阪神をあまり意識などはしていないのだ。

補強しても弱い、その補強すら最近はいや前からそうだったか本当に弱すぎてもう本当によくわからないんだけど、どこの球団よりもとにかく金をだしては振られ続き、もう普通の人間ならここを応援することが恥ずかしいお笑い球団となっているのだ。

そんな糞球団を応援しているから性格も糞なんだろう。
僕は兄の戯言など全く気にしていない、
じゃあ僕は一体何が悔しいのか、それは姉が尻に敷いているジャビット人形がなぜ僕じゃないのかだということだ。

人を傷付けたようなことがない引きこもりの姉からほぼ唯一といっていいほどに虐げられているジャビット人形、
監視カメラで見る姉の尻に敷かれているジャビット人形に自分を投身させて日々自慰に耽っているのだ、ああ、なぜ僕はあのジャビット人形じゃないのだろう。
なんて思っていた、何故かはわからないが、僕は興奮していた。そして姉は、ヤクルトファンだということがなぜか僕をもっと興奮させるようになった。
巨人がヤクルトに負けるとなぜか姉に虐げられているような気がして悦びを覚えたのだ。
ただ僕がMなのかといえばそういうことでもない。
結局、2014年も我が巨人がヤクルトや阪神等を粉砕しもちろん、クライマックスシリーズでも一方的な殺戮によってリーグ優勝し、日本シリーズでもソフトバンクを倒し日本一になったのだが。
姉の好きなヤクルトにし、自分の好きな巨人が苛められなかったことで残念とは思わなかったのだから
純粋に巨人の優勝を喜べたのだ

本当は僕はわかっていた。心の中ではわかっていた。それでも知らない振りをしていたのだ。
僕はなろうとすら思わなかったのだ、ただ見ているだけで幸せだった。
そんな中、姉はある男と出会って大きく変わったらしい。
その人が家にも来たことが何回かあった、最も最初は姉は彼を大きく拒絶し彼は玄関にすら入らなかった。

ただ何回も彼による訪問が続くうちに、姉には段々と笑顔が浮かぶようになっていった。
俺には最近みせたことのないような無邪気な笑みであった。
氷が溶けていくような感覚であった、姉が段々と人間らしさを取り戻していく所を間近で見せつけられた。

姉は、部屋からも出るようになった、彼と出会う時は髪を気にするようになった 見た目を気にするようになった。

しまいには化粧まで覚えてしまい僕は吐き気を催した。僕の中の姉が姉ではなくなってしまっていたのだ。

それでいいと思いながらもう1人の俺が必死に抵抗する。姉は1人の男によって救われるのだ、と安心する一方、姉が救われるのは許さない!と俺が喚いている

そして姉はついに外の世界へと飛び出しました。
僕は何も言えず姉へ伸ばした手を下ろしました。恐らく僕は手を伸ばしても触れることはできなかったと思います。
姉の鳥籠になろうとしてももうすでに飛びだったあとでした。

そして姉は、働きだしました。喫茶店のウェイターらしいです、その時にはもう姉の中に蔓延っていた闇は消えていたと思います。

もう僕たちが二人で誓いあったことも約束も、繋がった夜ですら彼女の中では葬り去りたい過去ということになってしまったのだと思います。

そして姉の近くにはあの男がいた。もう僕にとっての姉は終わってしまったのかと思ったのだが、そうではなかったのです。

姉は汚い物をみたくなかった、だが飲食店で働くには決して避けて通れない物があった。

それは検便であった。
姉は僕を疑うことはしなかった、それは罪悪感なのか、いや罪悪感すら彼女は覚えていないのかもしれない。

彼女はこんな僕をまだ信頼していたのかも知れない。

「ゆうちゃん、これどうするの?」

僕は変態だったのかもしれません。

彼女は検便というものを敬遠していました。「ええー…」と嫌そうな顔をします。だから、僕は、「代わりにとってあげるよ」と言いました。
ここでどん引きしないのが姉です、「本当に?ありがとー」といってくれました。

守りたくなるその笑顔、そう僕は結局は姉が大好きだったのです。ある日、トイレから姉が僕を呼ぶ声がして僕は行った。
トイレのドアを少しあけ、便器に座りながら姉は「ごめんねこれどうやるの?」と言い、検便の容器を僕に渡してきた。

「じゃあ俺とってあげるからいいよ」と言うと、姉は「ほんと♪サンキュー」と言って、そのまま立ち上がり下着とスカートを履いてすれ違い様に「よろしくね」と言ってこの場を去っていった。
僕の鼓動は高まる。 便器はしまっていた、ほのかな便臭が周りに蔓延っていたのが興奮を後押しする。

僕は便器の蓋をあける、そこには夢がつまっていた

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