女神「あなたは勇者となって世界を救うのです」(8)

この世界は腐っている。
一年中戦争が起こり、一日に何百人も餓死者や戦死者が出る。
その一方で、貴族たちは女を侍らせ、うまい飯を食ってぶくぶく肥えていく。
だから、魔王が侵略しに来たと聞いたとき、俺は小躍りした。
こんな腐った世界は侵略されるか人間が殲滅されたほうがいいからな。
昔話に伝説の勇者がいたが、所詮はお話。
本当にいるわけがないと思っていた。
だが、俺の目の前にいきなり現れたこの女は何て言った?
勇者?
俺がか?

女神「聞こえなかったんですか? 勇者になれ、と言ったんです」

男「いきなり現れて何を言っているんだ? そもそもお前は何者だ?」

女神「私は女神。勇者の素質を持ったものを導くことが使命です。」

男「何で勇者の血筋でもないしがない一傭兵が勇者になるんだよ……」

女神「知りませんよ……私は勇者をサポートするのが役目。勇者を決めるのは私の上司ですから……」

男「神にも上司があるのか……ってそれはどうでもいいが俺は勇者なんかやらねえよ。こんな世界救う価値はねえだろ」

女神「確かに……ですが勇者にはメリットだらけですよ?」

男「……例えば?」

女神「勇者と聞くだけで女の子がキャーキャー言います。タブン」

男「それだけか?」

女神「世界を救えば英雄として一生遊んで暮らせます」

男「んな訳ねーだろ……世界なんか救ったら戦争に引っ張りだこだ」

男「それを差し引いたとしても死と隣り合わせっていうデメリットがついて回る。勇者になってもいいことなんて一つもねえよ」

女神「では、勇者にはならないと?」

男「ああ」

女神「そう……ですか……」シュン

男「な、なんだよ急にしおらしくなって……」

女神「実は……あなたを勇者にしないと、私の存在が消えてしまうのです」

男「へ?」

女神「神界にはノルマがあって、それを達成できないと消されてしまうのです」

男「なんだよそれ……酷いな」

女神「でもあなたが勇者にならないと言うなら仕方ありません……さようなら……」

男「お、おい」

女神「あーあ、もっと生きたかったなぁ……」ボソ

男「!」

『もっと……お兄ちゃんと一緒にいたかったよぅ……』

男「っ!」

男「……わかった」

女神「え?」

男「勇者になる」

女神「ほんとですか!?」パアァァ

男「あ、ああ」

女神「あ、ありがとうございます!」

男「……で、どうやったら勇者になれるんだ?」

女神「私と契約し、この剣を受け取ればもう勇者です」

男「やけに簡単だな……」

女神「そうと決まったらほら早く! 契約契約ぅ!」

男「何でそんなに焦ってんだ?」

女神「あ、焦ってなんかないですよ!? あーあー」

女神『男よ……あなたは私と契約し、勇者となりますか……?』

男「はい」

女神『では、この剣を受け取りなさい……』

男「……」チャキ

女神『契約は終了……これからあなたは勇者です……』ピカアァ

パアアン!

女神「やったー! 契約とったどー! あ、勇者。これからよろしくね! 私魔法使いって名乗るから勇者もそのつもりで」

勇者「」

勇者「……色々言いたいことはあるが、とにかくこれでお前は死なないんだな?」

女神「え? あーそれ嘘だよ?」

勇者「は?」

女神「だーかーらー、それは勇者にするための嘘! まさか引っ掛かるとは思わなかったよー。これじゃ先が心配だね……」ハア

勇者「」スウゥゥ

勇者「詐欺だああああ!」

プロローグ 終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom