モバP「セカンド・ファイト」 (22)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSスレです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424612129

千秋「もう…情けないわ、Pさん。そう何度もほしがっていたら格好悪いわよ」


P「む……そうかな」

千秋「そうよ、オトナなら、我慢することを覚えるべきよ」

P「ほう、その台詞……この間の誰かにも聞かせてやりたかったな」

千秋「……っ!!」カァッ

P「そうそう、千秋は知らないだろうけれど……先週末の晩、ちょうだいちょうだいっておねだりしてきた女の子がいてな」

千秋「な、な……」フルフル

P「確かに……すっごくはしたなかったな。ああ、勿論、オトナの千秋には分からない話だろうけど。しかもその娘――」

千秋「……止めて頂戴。本当に、お願いだから……その」プシュー

のあ「Pが欲望に流され」ピョーン


P「はぁ、はぁ……くそっ」ドタドタ

のあ「運命に抗う姿」ピョーン

P「掴まえ……ああっ!!」スカッ

のあ「ふふっ……滑稽以外のなにものでもないわ」ピョーン

P「待てー!!」

のあ「……そうね、滑稽。不可能を可能とする狩人の纏う――迷彩(カモフラージュ)」

のあ「思えばいつもそう……不可能の運命を穿つその目に――惚れたのだった」

のあ「――ならば、姿を現すのも、時間の問題? それもまた――問い」


のあ「さあ、捕まえてみなさい、P」つチョコ

P「ふうおおおお!!!」


P(なんで追いかけっこ?)

美優「想いを込めたのに…バレンタインのチョコレートは、大切な一個だけじゃないんですか…そういう人だったんですね」


P「ククク……今更気が付いたんですか。可愛らしいひとだ」

美優「ひどい……っ、私の想いを、弄んだんですね……ああっ?!」グイッ

P「……だが、あなたはもう離れられないはずだ」ギュッ

美優「ああ……いやっ、放して……んんっ」フルッ

P「俺がそういう風に仕込んだんですから――美優さんのココロもカラダも、もう俺なしじゃいられないようにね」

美優「ああ――嘘っ、そんな……嫌なのにっ、どうして……んんっ! ん……ぅ……!!」

P「さて……2個目のチョコレートがないならしかたありません……でも、代わりなら此処に」

美優「やっ、あっ、だめ…………ぇ!!」ヒクヒク


P(……変な本読んだのかな)

ありす「さすがに欲張り過ぎじゃありませんか? 大人なんですから、こういうことは節度を持って……」


ありす「全く……いつもは落ち着いた大人なのに、たまに子供みたいですよね」

P「いつもは大人……そうかな。あんまり変わらないと思うが」

ありす「そうです! 私をからかってみたり、名前を……あっ」

P「ん?」

ありす「いえ、その……会ったばかりの頃、名前、勝手に呼んだり。い、今は……好き、ですけど」プシュー

P「――そうだな、こそばゆい顔をするありすを見たかったのかもな」

ありす「意地悪ですね――もう、子供、みたい」

P「そうだな……確かに、ありすのことに関しては、俺は子供みたいだな。だって」ギュー

ありす「……あ、あうっ?! え、えと……」

P「『待てなかった』し。大人なのに」キュッ

ありす「は……はい」


ありす「Pさんは待てない人……よくばりさん、でしたね」キュゥッ

つかさ「分かってないな。同じこと二回やる奴は頭使ってないってことなんだよ」


P(異業種とはいえ社長に言われるとつらい。しかも女子高生)

つかさ「……んで。次は?」

P「次?」

つかさ「今お前、同じことやってアタシに蹴られたっしょ? じゃあどうすんのって話」

P(――こういう時、諦めるなんて言葉は期待していないだろうな)

P「……違うことやる?」

つかさ「そー。お前がやるべきは相手を浮つかせること。つまり、アタシが二回同じことしちゃうようにアプローチ掛けること」

P「つまり、2回チョコレートをあげちゃうくらいつかさを浮つかせるってことか」

つかさ「分かってんじゃん。ま、チョコが用意してあるかは知らんけど」

P「しかし、つかさが浮つくところか……ちょっと想像しがたいな」

つかさ「うん、アタシも。でも、不可能を不可能と決めつける奴はいらないけど、不可能を可能にしようと足掻く奴は好きだよ。そうじゃなきゃアイドル業まではアタシも――」

P「――アタシも?」

つかさ「いや、なんでもねーし。いいからさっさと頭使ってアタシを――」ボテッ

P「ん、ポケットから何か落ちて――」

つかさ「――」ササッ

P「……今何落としたんだ?」

つかさ「なんでもねーし」

P「今何拾って隠したんだ?」

つかさ「なんでもねーし!」

P「同じこと三回言ってるぞ?」

凛「プロデューサー、さすがに二個目はないよ。わかってるでしょ」

加蓮「ちょっとPさん、私、結構思い切って渡したんだけど……もっと乙女心を学んでよ、もう……」

奈緒「バレンタインのチョコは一個だけに決まってるだろ! だって……特別なんだぞ……バカ」


加蓮「そうそう、奈緒もこう言ってることだしね」

凛「まったく、奈緒の言う通りだよ」

奈緒「な?!」

加蓮「一個だけに決まってるじゃん、ね? 奈緒。だって大事なPさんへのトクベツな――」

奈緒「お、おい加蓮! お前だってあたしと同じ様なコト言って――!!」

凛「え? 奈緒、なんて言ったの?」

奈緒「聞こえてねえのかよ! じゃあなんで乗っかったんだよ?!」

凛「いや私には――ふふっ――チョコは一個だけってしか聞こえてないから。加蓮は?」

奈緒「途中笑っただろおい!」

加蓮「んー? あー、似たようなこと……言ったような言ってないような。最後の方ごにょごにょって感じだったし」

奈緒「ウソつけ絶対聞こえてただろ!」

凛「んー?」クスッ

加蓮「んー?」ニコニコ

奈緒「…………っ!!」


奈緒「……Pさん! チョコはないけど、あっちでおしるこ食べよ! ケチな二人はおいといて、な!」グイグイ


加蓮「な”!」

凛「な?!」

奈緒「ほらほら、べ、別にフツーのことだからな! おしるこいっしょに食べるのなんて、し、し、親しい仲だったら!」プシュー

奈緒「そういうフツーのことを重ねて二人は近付いていくんだからな!! イベントだけじゃないからな!! むしろ毎日ずっと一緒に――!!!!」ホカホカ

凛「ちょ、ちょっとプロデューサー? 奈緒が暴走してるよ?!」

加蓮「ほら、奈緒を止めないと! なんとか言ってあげてよ!」


P「…………」

P(そのあと皆に振る舞ったおしるこ――2400円 寒くなった懐に流れ込むアツいもの――プライスレス)

泰葉「一年で一度って言ったじゃないですか。それとも、私ってその程度の存在だったんですか…?」


泰葉「…………」

P「…………」

泰葉「…………言い訳も」

P「……?」

泰葉「言い訳も、してくれないんですか」

P「――許されるのなら」

泰葉「……聞くだけ、なら」

P「去年も、泰葉はチョコをくれたよな。それも何度か」

泰葉「……はい。去年は、そうでしたね」

P「今年もそうだと、思ってしまった。『ちょっとだけ特別なチョコ』」

泰葉「…………」

P「泰葉の言葉を借りるなら、俺は俺自身を、『その程度の存在』だと思っていた。でも――違うんだね」

泰葉「――――――!」

P「俺の思い違いなら、否定してほしい。泰葉にとって俺は――本当の『特別』に――」

泰葉「っ!」

ぎゅうっ、

泰葉「――気付くのが、遅いですよ……!」ギュ

P「……ごめん」キュッ

泰葉「……Pさんなんて、嫌いです……だいきらい……っ!」ギュー

ほたる「Pさん……私のチョコ、受け取ってくれたの、忘れてしまったんですか……」


未央「およよよ……ほたるん、残念ながら君の言う通りだよ」

ほたる「未央さん?!」

未央「どうやらP君は記憶をなくしちゃったようでね。さっきもらったチョコのことさえ覚えていないようなんだよ……ぐすん」

ほたる「うそ、そんな……何か方法は」

未央「めそめそ……古今東西、眠りし者の目を覚ますのは愛する人からのキスだと相場は決まっているが……記憶も、もしかすると」

ほたる「き、き、キスですか?!」カァー

未央「……なーんて、この欲張りなP君にはデコピンの一発でもお見舞いすればすぐに」ヤレヤレ

ほたる「は、はずかしい……でも、せっかく届けた私の気持ち、Pさんに思い出してもらわなきゃ……っ! ん~っ!」フルフル

未央「ちょ、ちょ、ちょっとすとーっぷ!!」アセセ


P(結局平謝りした)

このスレはここでおしまいにします。お読みくださった方ありがとうございました。

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