男「朝起きられない」(69)

男「めちゃくちゃ眠い……」

男「昨日そんなに遅くなかったのになんでかな……」

男「……今日の講義なんだっけ」




男「……今日はサボろう」

男「一日くらいたまにはいいよな」

男「あー身体重い……おやすみ……」

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男「3時か……」

男「寝過ぎたな……」

男「……腹減った」

男「確かまだ袋麺が残ってたハズ」

男「あったあった」

男「しかし寒いなー」

男「平日の昼間ってろくな番組やってないな」ズズズ

男「……今日は何して過ごそう」

男「出かけるのにも微妙な時間だよなー」

男「んー……寝過ぎたからか身体が重い」

男「こないだ買ってきた本でも読むかー」

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男「……」

男「……げ、また寝てしまった」

男「8時……」

男「やっちゃったなぁ……」

男「……とりあえず飯食おう」

男「袋麺あと一つ残ってたよな」

男「もうさすがに寝られないだろうな」

男「朝まで起きてそのまま学校行くかー」

男「朝まで何して過ごそう」

男「……久しぶりにゲームやるか」

男「そういやマーセナリーズはまだやってなかったな」

男「よっしゃ、今夜はマーセ攻略頑張るぞー!」

男「眠い……」

男「5時か……」

男「少しだけ仮眠とって、それから学校行こう……」

男「……8時」

男「……無理」

男「明日からまたいつも通り行こう」

男「今日までサボる」

男「おやすみ……」

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男「あー……寝過ぎた……」

男「……腹減った」

男「……もう袋麺無いぞ」

男「……外出るのめんどくさい」

男「……いやあんまり家に籠もってるのはよくないな」

男「外に食いに行こう」

ピンポーン


男「誰だろ?」

幼馴染「私ー。 開けてー」

男「あぁお前か」ガチャ

幼馴染「どうしたの? 二日も学校休んで」

男「いやちょっと体調悪くて」

幼馴染「大丈夫ー?」

男「もう平気。 今から外に飯食いに行くけどお前も行く?」

幼馴染「もう済ましちゃったよ。 今午後の3時だよ」

男「あ、そう。 じゃ俺一人で」

幼馴染「あ、でも行く。 コーヒー奢って」

男「はいはい」

男「チキンカレーと、食後にコーヒーください」

幼馴染「私はコーヒーだけで」

店員「かしこまりました。 コーヒーは二つとも食後にお持ちしますか?」

幼馴染「あ、私のも食後に一緒に持ってきてください」

店員「かしこまりました」




男「お前とここ来るの久しぶりだな」

幼馴染「男が誘ってくれないから」

男「誘ってもサークルかバイトかで断るだろ」

幼馴染「男とご飯食べる時間くらいある日もある」

男「俺はお前がいつ暇かなんて知らない」

幼馴染「聞いてよ」

男「やだよ面倒くさい」

幼馴染「えぇー……」

男「すみませーん、お冷ください」

幼馴染「じゃあ水曜の夜と金曜の夜は私基本的に予定無いからさ」

男「あ、ちょうどその日俺がバイトだ」

幼馴染「えぇー」

男「残念でした」

幼馴染「シフト変えろ!」

男「お前が変えろ」

幼馴染「それは難しい」

男「残念でした」

幼馴染「くそー……」

男「やっぱここのコーヒー美味いな」

幼馴染「男にコーヒーの違いなんてわからないでしょ」

男「ミルクと砂糖入れまくるお前に言われたくない」

幼馴染「頑張って水曜と金曜空けてよ」

男「昼飯はよく一緒に食ってるし別にいいだろ」

幼馴染「そりゃそうだけど……」

男「そういやお前今日バイトは?」

幼馴染「! もうこんな時間! ヤバい、コーヒーごちそうさま!」

男「まだ残ってるぞ」

幼馴染「奢ってもらっといてほんとごめん! 男飲んどいて! じゃ、また明日!」

男「また明日」

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幼馴染「あ、おはよー」

男「おはよ」

幼馴染「はい、これ」

男「あ、これもしかして一昨日のプリント?」

幼馴染「今日も使うから」

男「サンキュー」

男「なぁなぁこれどういうこと?」

幼馴染「あぁそれは二枚目のここに書いてある」

男「あ、ほんとだ」

幼馴染「私がいてよかったね」

男「ほんとに。 ありがとな」

幼馴染「……! ほ、ほら講義ちゃんと聞かないと!」

男「ちゃんと聞いてるよ。 一回休むと結構しんどいな」

幼馴染「……」

男「飯食いに行こうぜー」

幼馴染「今日は学食にする? それとも購買で何か買う?」

男「学食でカレー食いたい」

幼馴染「カレー好きだね」

男「あそこのカレーはじゃがいもも人参も入ってないから好き」

幼馴染「私野菜がごろっと入ったカレーが好きなんだけどなー」

男「カレーの具は玉ねぎと肉だけで良し」

幼馴染「それじゃ野菜の旨みが出ないよ?」

男「じゃあミキサーにかけてぶち込んどけ。 デカい野菜が皿の上に転がってると邪魔なんだよ」

幼馴染「ふーん」

幼馴染「じゃあ今度そういうの作ったげるよ」

男「え、マジで?」

幼馴染「台所貸してねー」

男「台所か……」

幼馴染「ちゃんと片付けてる?」

男「片付けてない」

幼馴染「部屋も汚そうだね」

男「まぁね」

幼馴染「掃除もしてあげよう。 その代わりお寿司奢って!」

男「回るやつな」

男「……なんかさ」

幼馴染「ん?」

男「……ちゃんと学校に通うって良いよな」

幼馴染「は?」

男「……」

幼馴染「……?」

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男「……眠い、ダルい」

男「……今日は休もう」

男「……3時だ」

男「また休んでしまった……」

男「先週休んだばっかりじゃないか……」

男「……ま、進級出来ればいいか。 割りと成績良いしどうとでもなるだろ」

男「しかし休んだ日の午後ってどうして過ごしたらいいんだろう……」

男「……何もやる気が起きない」

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幼馴染「男ー! ご飯食べよう!」

男「お、おう」

幼馴染「今日さー、バイト代わってもらえたんだ!」

男「あ、じゃあどっか飯食いに行く?」

幼馴染「そうじゃなくて私カレー作るよ! 今日は男もバイト無いでしょ?」

男「お、マジで? じゃあスーパー行く?」

幼馴染「もちろん。 鶏か豚か牛、どれがいい?」

男「鶏で」

幼馴染「よしきた!」

男「お前が持ってるのパプリカ?」

幼馴染「うん」

男「カレーに入れるの?」

幼馴染「美味しいんだなーこれが! ちゃんと細かくするから安心して!」

男「ふーん」

幼馴染「あ、セロリが安い! これも入れよう!」

男「ほんとに大丈夫か……?」

店員「1165円になります」

幼馴染「あーごめん、小銭無いや。 立て替えてくれる?」

男「いや俺が全部払うよ」

幼馴染「私も半分出す。 私も一緒に食べたいもん」

男「? もともと一緒に食べるつもりだけど」

幼馴染「あ、そ、そうなの?」

男「作ってもらえるんだから材料費くらい出すよ」

幼馴染「そ、そっか。 じゃあゴチになりまーす!」

なんだろう、そわそわする…

幼馴染「男の部屋入るの久しぶり」

男「俺ももうずっとお前の部屋行ってないな」

幼馴染「だいぶ散らかってる?」

男「まぁまぁ」

幼馴染「お邪魔しまーす!」

幼馴染「……微妙」

男「そう?」

幼馴染「片付け意欲がギリギリ涌かないくらいの散らかり具合」

男「別に片付けはいいよ。 カレー早く作ってくれ」

幼馴染「わかった」

幼馴染「男っ! 何よコレっ!!」

男「なんだよ」

幼馴染「台所がヌッメヌメ!!」

男「あーちょっと汚いかも」

幼馴染「ちょっとじゃない! 三角コーナーが腐海化してる!」

男「あーしばらく捨ててなかったからなぁ」

幼馴染「毎日捨てるの! こんな台所じゃ料理出来ないからカレー作りは1時間待って!」

男「えー」

幼馴染「食器も全部洗い直す! ここの食器で食事なんて出来ない!」

男「えー」

幼馴染「……ちょっとトイレ見させて」

男「? おう」

幼馴染「……汚い」

男「そう?」

幼馴染「お風呂場も汚い、部屋もよく見れば埃っぽい!」

男「掃除最近してないからなぁ」

幼馴染「物が散らかってないだけで立派に汚い部屋だった」

男「立派だなんてそんな」

幼馴染「今日はとりあえず台所だけ綺麗にする。 後日また大掃除に来るよ」

男「別にいいよ」

幼馴染「駄目。 こんな部屋に住んでちゃ身体壊すよ」

男「んー……じゃあ頼むよ」

幼馴染「回転寿司奢るだけで部屋が綺麗になるなら安いもんでしょ」

男「あ、やっぱ寿司は奢るんだ」

幼馴染「もちろん」

幼馴染「……昔はもうちょっと綺麗な部屋だった気がする」

男「……そうだっけ?」

幼馴染「……ま、いいや。 台所の片付け始めるよ」

男「俺も手伝う」

幼馴染「邪魔だからテレビでも見てて」

男「……あ、そ」

幼馴染「終わったー! さぁ、カレー作るよ!」

幼馴染「……あれ?」

幼馴染「何寝てんだコラ! 起きろ!」

男「ん……」

幼馴染「人が掃除してるのに自分だけ寝てるとは何事だ!」

男「だって手伝わなくていいって……」

幼馴染「手伝わなくてもいいけど寝られるのはなんとなく腹立つの!」

男「だってテレビのリモコン無くしちゃったんだもの……」

幼馴染「え?」

男「最近テレビ見てなくてさ、リモコンどっか行っちゃった」

幼馴染「……」

男「腹減ったー」

幼馴染「……はいはい。 急いでカレー作るよ」

男「頼んだ」

幼馴染「出来たよー」

男「いー匂い!」

幼馴染「注文通り具は玉ねぎと鶏肉のみ!」

男「あれ? パプリカとかセロリとか買ってたじゃん」

幼馴染「細かくした。 よく見たら入ってるよ」

男「あ、ホントだ。 ま、そんじゃいただきまーす!」

幼馴染「いただきます!」

男「! うめぇ!」

幼馴染「ほんと?」

男「想像以上だ……」

幼馴染「口にあって良かったよ」

男「お前いつの間にこんな女子力高くなったんだ……」

幼馴染「頑張ったからね」

男「……そうか」

幼馴染「……あのさ」

男「ん?」

幼馴染「なんかあった?」

男「……何も」

幼馴染「嘘」

男「嘘じゃない」

幼馴染「……さっきさ、ホールトマトの缶捨てるときに見ちゃったんだ」

男「……」

幼馴染「男、前はあんなにお酒飲まなかった」

男「……別にいいじゃん晩酌するくらい」

幼馴染「なんで晩酌するようになったの?」

男「お酒の美味しさに目覚めたから」

幼馴染「あんな安くて度数の強いお酒ばっかり飲んでて?」

男「俺はあれが好きなの」

幼馴染「絶対に、嘘。 ここんとこ週一、二のペースで学校休んでるよね」

男「……ただのサボり」

幼馴染「……私もそう思ってた。 男は休んでてもしっかり着いてきてるし、まぁそれもいいかななんて思ってた」

幼馴染「でも、もうかなり出席日数が危なくなってきてるんだよ。 男もわかってるでしょ?」

男「……」

幼馴染「それでも休み続けてる。 絶対におかしい」

男「……本当に、何もないんだ」

幼馴染「……私じゃ、相談相手にならない?」

男「……お前には言いたくない」

幼馴染「……そう」

男「……」

幼馴染「……カレー冷めちゃった。 温めなおしてくるよ」

男「……サンキュ」

男「美味かった! ごちそうさん!」

幼馴染「ごちそうさまでした」

男「コーヒー淹れるわ」

幼馴染「ありがとー」




男「ほい」

幼馴染「ありがと」

男「……」

幼馴染「……」

幼馴染「……言いたくないなら聞かない」

男「……」

幼馴染「……でも、言いたくなったらいつでも聞くよ」

男「……あぁ」

幼馴染「これは私のワガママだけど、男の悩みを聞くのは出来れば私がいいな……」

男「……」

幼馴染「明日の朝バイトあるから今日はもう帰るよ」

男「……ん、じゃあ送る」

幼馴染「いいよ、まだそんなに遅くないし」

男「そっか。 じゃあ気をつけてな」

幼馴染「うん。 また明日」

男「また明日」

幼馴染「あ、そうだ」

男「?」

幼馴染「なかなか予定合わないじゃん? 今度勝手に掃除しに行くから合鍵くれない?」

男「ん、いいよ」

幼馴染「えぇ、いいの!?」

男「おう」

幼馴染「合鍵ってそんな簡単に他人に渡すものじゃないよ!」

男「他人じゃないし。 ほい」

幼馴染「……じゃ、じゃあ遠慮なく」

男「おう」

幼馴染「……」テクテク

幼馴染「……男の悩み……何だろう」

幼馴染「……彼女がいて、関係が芳しくないとか」

幼馴染「……それなら私に言っても問題ないよね」

幼馴染「……単に私じゃ力不足ってこと?」

幼馴染「……考えても仕方ないか」

幼馴染「……心配だな」

支援

紫煙

━━
━━━
━━━━

幼馴染「男……来てない……」

幼馴染「今日来ないと留年だよ……!」

幼馴染「電話しなきゃ……」

プルルルル…

幼馴染「……」

プルルルル…

幼馴染「……出ない」

幼馴染「講義始まっちゃった……」

幼馴染「……最後までこなかった」

幼馴染「……」

幼馴染「……家、行ってみよう」

ピンポーン

幼馴染「……男ー?」

幼馴染「いるー……?」

幼馴染「……」

幼馴染「……入るよー」

ガチャ

男「あ……」

幼馴染「なんだいるじゃん……」

幼馴染「あのさ、今日講義出なかったけど……」

幼馴染「……手に何持ってるの?」

男「……」

幼馴染「……タオル?」

男「……」

幼馴染「……後ろにも何か持ってない?」

男「……」

幼馴染「……見せて」

男「……駄目」

幼馴染「見せてっ!」

男「お、おい」

幼馴染「……」

男「……」

幼馴染「……遺書」

男「……」

幼馴染「……そのタオルで死ぬつもりだったの?」

男「……」

幼馴染「……よく見たら結び目出来てる」

男「……解くの間に合わなかった」

幼馴染「……なんで…………」

男「……」

幼馴染「……ねぇなんで?」

男「……」

幼馴染「今度は、絶対教えてもらう」

男「……」

幼馴染「……」

男「……コーヒー淹れる」

幼馴染「……わかった」

男「……はい」

幼馴染「……ありがとう」

男「……」

幼馴染「……」

男「……朝、起きられないんだ」

幼馴染「……」

男「……もともと、朝は弱い方だった。 でも生活に支障があるレベルじゃない」

幼馴染「……知ってる」

男「……でも別に精神病とか、そういうのを患ってるわけでもない」

男「……今までは朝辛くても学校を休むという選択肢は無かった」

男「……でも、一回サボってしまった」

幼馴染「……」

男「そこからはよくサボるようになった。 明日から心を入れ替えようと決心しても、朝になるとやっぱりサボってしまう」

男「進級が危うくなってくれば必死になると思ってたけど、とうとう今日留年が決まった」

男「……自分がこんなクズだとは思わなかった」

幼馴染「……たったそれだけのことで?」

男「たったそれだけ?」

幼馴染「……」

男「学校さえまともに通えない奴が会社に勤められると思うか? 人から信用を得られると思うか?」

男「絶対に無理だ。 こんなクズがどうやって生きていくんだ」

幼馴染「……」

男「人が当たり前に出来ることが俺には出来ない。 生きてても親に迷惑かけるだけだ」

男「……こんな情けないこと、お前に言いたくなかった」

幼馴染「……なんで?」

男「なんでって……出来ることならお前に失望されたくなかったから」

幼馴染「全然失望なんてしてない!」

男「……」

幼馴染「ここからは私のターン!」

幼馴染「男が生きていけないと思った理由の一つは、会社勤めが出来ないからだよね」

幼馴染「じゃあ私と一緒に起業しよう!」

男「……は?」

幼馴染「朝起きられなくても、好きな時間に働ける会社を私と一緒に作ろう!」

男「……具体的には」

幼馴染「それはこれから一緒に考えよう!」

男「……」

幼馴染「それからもう一つの理由も私が解消する」

男「……もう一つ?」

幼馴染「その劣等感」

男「……!」

幼馴染「……お願いだから自分のことをクズだなんて言わないで」

男「……でも」

幼馴染「朝自分に負けてしまうなんて欠点、小さな小さなもんだよ」

幼馴染「私はその千倍男の良い所知ってる」

男「……」

幼馴染「……私も男に絶対言いたくなかったことがある」

男「え……」

幼馴染「でも、男に言わせておいて自分は言わないなんてフェアじゃないから言う」

幼馴染「……私さ、小学生のころ万引きしてた」

男「え……」

幼馴染「実家の近くに駄菓子屋あるでしょ。 そこで万引きしてた」

男「……」

幼馴染「スリルが楽しかったんだ」

幼馴染「同級生の男の子に万引き自慢してた子がいたじゃん?」

男「……いたな」

幼馴染「その子に男が激怒して、万引きがいかに駄目なことか延々と諭してた」

幼馴染「ほんと恥ずかしいんだけど、そのとき初めて自分が悪いことしてるって気付いたの」

男「……」

幼馴染「そのあとお店に謝りに行って、お父さんに盗んだ分のお金を払ってもらった」

幼馴染「お父さんは……怒らなかった」

幼馴染「……お店の人は許してくれたけど、罪悪感はずっと消えなかった」

カミングアウト

幼馴染「こんな思いはもうしたくないと思った」

幼馴染「だからそれから、何か思うたびに男に相談してきた」

男「相談? 受けたっけ」

幼馴染「イジメってどう思う? とか浮気ってどう思う? とか」

男「あぁ……」

幼馴染「その度に、男は私を納得させるだけの言葉を尽くして語ってくれた」

幼馴染「私が、万引き以来道を踏み外さずに生きてこられたのは男のおかげだ」

幼馴染「私は馬鹿だから、男がいなかったらきっと沢山の人を傷つけて生きていたと思う」

男「……」

幼馴染「……私も、男に失望されるのが怖くて今まで万引きのこと言えなかった」

男「……失望なんて」

幼馴染「……このように、男は素晴らしい人間なんだよ」

幼馴染「男が自分を卑下するなら、私はそれ以上に男を誇るから……」

幼馴染「……だから、死なないで…………」ポロポロ

男「……泣くなよ」

幼馴染「男も泣いてんじゃん……」

男「……あぁ」ポロポロ

幼馴染「うああああ……」

男「ごめん……ごめん……」

━━
━━━
━━━━

幼馴染「……」

男「……」

幼馴染「……コーヒー冷めちゃった」

男「……淹れ直す」

幼馴染「いい、私やる」

男「そっか、頼む」

幼馴染「はい」

男「サンキュ」

幼馴染「……今回のことさ、おばさんに報告しないわけにはいかない」

男「……うん」

幼馴染「……そしたら、一旦実家に連れ戻されると思う」

男「……だろうな」

幼馴染「……今日のことちゃんと全部話してさ、そんでまた来年から一緒に学校通おう」

男「……でも」

幼馴染「私が毎朝起こしてあげるから」

男「……!」

幼馴染「それでも駄目だったらそのときはもう起業しちゃおう」

男「……そんな迷惑かけられない」

幼馴染「迷惑じゃない。 今度は私が助ける番」

男「……」

幼馴染「だからさ……来年から……」

幼馴染「……一緒に住まない?」

男「は!?」

幼馴染「落ち込む暇もないくらい毎日ドタバタするからさ」

男「い、いやでも恋人でもない男と」

幼馴染「……彼女にしてくれないかな」

男「え!?」

幼馴染「……ずっと好きだった」

幼馴染「あ、別に彼女になれなくたって男を助けたい気持ちに変わりはないから! 電話しまくって起こすし!」

男「あ、いや……」

男「俺も……好きだった……」

幼馴染「!」

男「その……俺なんかでいいのか?」

幼馴染「これ以上ない最高のパートナーだよ……!」

男「……じゃあ、是非俺の彼女になってください!」

幼馴染「……喜んで!」

男「……これから沢山迷惑かけると思う」

幼馴染「……私も」

男「……また挫けることがあるかもしれない」

幼馴染「私も」

男「……でも、お前がいれば乗り越えられると思う」

幼馴染「……私も!」

幼馴染「じゃ、カレーでも作ろっかな!」

男「お、やったね」

幼馴染「男がゴロゴロ野菜のカレー嫌いだなんて知らなかった」

男「言ったことなかっけか」

幼馴染「これからさ、もっと男が喜ぶ料理を作りたい」

幼馴染「だから好みの味付けとかガンガン教えてね!」

男「……幼馴染」

幼馴染「?」



男「大好きだ」ギュッ

幼馴染「ふわっ!?」

男「大好きだ」

幼馴染「……男、大好き!」



fin

やはり幼馴染みは至高である

最高だった

起立性調節障害かな

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