べる「ありがとう」 (30)

プリティーリズムレインボーライブのSSです
今回はリク(?)のあったべる様がメインです
時系列は44、45話のあたりです

それでは次からはじめます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424423173

オーバー・ザ・レインボーセッションまであと少し、私は練習後に少し考え事をしていました。

おそらくこの大会は一つの節目となるでしょう。プリズムクイーンを決めることも、りんねさんが帰ることも、だからこの大会には一切の悔い無く臨みたいのです。

私は何かやり残したことがあるのでは無いでしょうか?

私、そして私の周りの環境はこの一年で大きくその姿を変えました。

母親との関係、周りとの距離から生じたプレッシャー。それをごまかすために必死で作りあげた硝子細工の女王。ひとりぼっちになってしまった、いやひとりぼっちだと思い込んでしまった私の手を取ってくれたみんな。あんさん、いとさん、りんねさん、ヒロ、おと、わかな、なる。みんなのお陰で私は自分を取り戻し、更なる高みへと登ることが出来ました。

果たして自分を救ってくれたみんなに私は何か出来ているのでしょうか?

彼女たちのことです、「お返しなんていらない」とそう言うでしょう。

ですがこれほどのモノをもらったのだから何か返してあげたい。せめて感謝の、「ありがとう」の言葉だけでも。

だって…次の大会では彼女たちと本気の戦いをするのだから。

この気持ちをどう伝えるかは決めています。私は彼女たちのもとへと向かいました。


べる「ちょっといい?」

おとは「はい、なんでしょうか?」

わかな「ナニナニ~?メロンソーダでも奢ってくれるの?」

べる「あなた達に伝えたいことがあるの、だから、その、」

やはりかしこまって物を言うのは恥ずかしいわね。こう言う時なるだったら臆すること無く言えるのかしら?

べる「二人っきりで話したいの。あなた達の家に泊まらせてもらえないかしら?」

おとは「え?」

べる「ダメ、かしら?」

おとは「え、いや全然!ダメじゃないです!わたしの家でよろしかったらいつでも!」

わかな「いやー あんまり恐い顔で言うからまた何か無茶苦茶なこと言うもんだと…
そんなことなら全然OKニャ」

無意識だったんだけど、私は普段そんなに恐い顔しているのかしら?

べる「ありがとう 二人とも」

あら、感謝の言葉は少し早かったわね。

まず今晩はおとの家に泊まることになりました。

おとは父「いらっしゃ~い べるちゃ~ん」

べる「はじめまして、本日は急な訪問大変迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いいたします」

おとは父「あ~あ~そんなかしこまらないで~」

おとは「そ、そうですべるさん!わたしもべるさんが来て凄い嬉しいんですから!」

いけない、いきなりおと達に気を使わせてしまったわ。

べる「そうですか、それではお邪魔します」

おとは父「どうぞどうぞ~」

べる「そうだ、おと」

おとは「はい、なんですか?」

べる「今日は『べるさん』と『ごめんなさい』禁止ね」

おとは「ええ!なんでですかべるさん!」

べる「はい1アウト」

おとは「あっ」

べる「ふふっ そんな顔しないで、あなたずっと私のこと『さん付け』で呼んでるじゃない?だから今日くらいは呼び捨てにして欲しいのよ」

おとは「はい……」

べる「私、おとともっと仲良くしたいのよ、ダメかしら?」

おとは「そ、そんなダメじゃないです。わたしの方こそごめんなさい!」

べる「はい2アウト、ちなみに10アウトで私の言うこと一つ聞いてもらうわよ?」

おとは「はい……」

そして私はおとの家族と一緒に夜ご飯を食べました。…何より驚いたのはおとのお父様も「メルヘン」が口癖なのね…この口癖は遺伝なのかしら……


おとは「それじゃわたしはお布団で寝ますからべるさ、べるちゃんはベッドで寝てください」

べる「ふふっ、ここはあなたの部屋でしょう?なんでそうなるのよ」

おとは「ごめんな、いいえでも」

べる「今日は一緒に寝ましょう?おとと話がしたいのよ」

おとは「はい……わかりました……」

やっと二人っきりになれた、ここからが本番ね。おとへの感謝の気持ち、伝えきれるかしら?

べる「おと、今日なんでいきなり『泊まりたい』なんて言ったかわかるかしら?」

そう聞くとおとは目を閉じて一生懸命考え始めます。おとは本当に真面目ね。

おとは「ごめんなさい、わかりません…」

べる「別にそんな真剣に考えなくてもいいのよ?それと3アウトよ」

おとは「あっ」

べる「今日おとに家に来たのはね、おとに『ありがとう』って言うためなの」

おとは「どういうことですか?」

べる「最初に、おとには謝らなければならないわ。私はおとの好きなことを好きと言える素直さ、好きなことを貫き通せる強さに憧れ、嫉妬して、あなたへ辛く当たり傷つけたわ。そのことは本当にごめんなさい。」

おとは「はわわ そ、そんなことありません!こっちこそべるさんの気持ちに気付けずごめんなさぁーい!」

べる「そんな…おとが謝らなくていいのよ。
そしてこれからはおとへの感謝の気持ちを伝えるわ。少し恥ずかしいけどしっかり聞いてね」

べる「おとに初めて会った時はね、私は不思議だったのよ。なんでこの子は私のためにここまで尽くしてくれるんだろうって。私のスケジュール管理に紅茶作りまでやってくれるなんて普通じゃないわ」

べる「だけど最近やっと気付けたわ、おとは好きなものの為なら何でも出来る人なのね。おとのそういうところ、私大好きよ。そして私なんかのことを好きになってくれて ありがとう」

おとは「そ、そんな…べるさんにそこまで言ってもらえるなんて……」

おとは「わ、わたしだってべるさんにいっぱいありがとうって伝えたいんです!」

おとは「エーデルローズの試験の日、わたしに手を差し伸べてくれた。それだけじゃありません!
エーデルローズに入った後もわかなさんとべるさんがプリズムショーの練習に付き合ってくれたからこそ、わたしは大好きなプリズムショーに自信を持てるようになった。
だからわたしの強さはべるさんが与えてくれたものなんです!」

べる「おと……」

おとの話を聞いた私はベッドの上でおとから顔を背けました。だって

おとは「えっ、べるさんどうして?わたし何かしましたか……?」

べる「ごめんなさい、やっぱり涙を人に見せるのは少し恥ずかしいのよ……」

おとは「な、涙って」

ですがいつまでも泣いているわけにもいきません。今日はおとに伝えたい言葉があるのですから。
私は涙に濡れた顔を上げておとを抱き締めました。

べる「嬉しいのよ、おとにそこまで言ってもらえるなんて。私は本当に恵まれているわ。
ありがとう おとは」

おとは「ふあぁ… メルヘ~ン……」

べる「ふふっ いつまでもその口癖は慣れないわね。
それと、言わなかったけどもう10アウトよ。」

おとは「えっ!わ、わたしそんなに言ってたんですか!?」

べる「ええ、だから私の言うこと一つ聞いてもらうわよ?」

おとは「はい……」

べる「オーバー・ザ・レインボーセッション 全力で挑みなさい。私やわかな、なる達に遠慮して全力を出さないなんて許さないわよ?」

おとは「べるさん…
はい!わたし頑張ります!ぜったい、絶対お客さんも、べるさんも感動させる最高にメルヘンなプリズムショーをします!!」

べる「そう、それでいいのよ」

そうしておとはに伝えたいことを伝えた私はゆっくりと眠りにつきました。

めるへんで何でも解決したあの頃が懐かしい

一夜明け、今日はわかなの家にお邪魔します。わかなは私の言葉を素直に聞いてくれるかしら。

わかな「お母さん ただいま」

べる「お邪魔します」

わかな母「おかえりーわかなー
あっ、べるちゃんも よく来たニャー」

べる「えぇ、今日は一晩お世話になります」

わかな母「そーんなにかしこまらなくていーからいーから」

……わかなの母親、本当に変わったわね。

わかな母「そんでそんでー?今日はなんで来てくれたニャー?」

わかな「もう!お母さんうらさいって!」

わかな母「だってだって~わかなが~友達連れてくるなんてあんちゃん以来じゃないかニャ?わかなって友達少ないみたいだし~友達は大事にしなきゃ~」

わかな「ほんとにそう思うなら余計なこと言わないで欲しいニャっ!」

いや、変わったのは両方ね。わかなは家庭じゃおとなしいって聞いたけど、こんなに元気じゃない。
良かったわね。わかな

わかな「ほ~い、ここがアタシの部屋ニャ」

べる「それじゃあ

わかな「『一緒に寝ましょう』って言うつもりかニャ?」

べる「わかったの?」

わかな「おとはから聞いたー」

べる「じゃあ早速」

わかな「いーやーニャ」

まぁ断られることは読めていたわ。ここからどう説得するかが問題ね

べる「いいじゃない、私はずっとわかなと二人っきりで話をしたかったのよ」

わかな「枕元であんなこっ恥ずかしい話されたく無いニャ」

おとはどこまで話したのかしら?

べる「そう、じゃあ今日は別々に寝ましょうか」

わかな「ん? やけに諦め早いニャ
まいっか、そんじゃおやすみ~」

当然諦めたわけではありません。

電気が消され少し経った後、私は立ち上がりわかなのベッドへ潜り込みました。

わかな「……何?」

私はそっぽを向くわかなの背中に語りかけました。

べる「一人じゃ寂しくて眠れないの、だから一緒に寝させて?」

わかな「べるはそんな冗談を言うキャラじゃない」

べる「私も変わったのよ、強引な私は嫌いかしら?」

わかな「………好き」

べる「私ね、今まであなたに対して少し距離を持っていたの。この子は心の奥に踏み込まれたくないんだろうって。だからその気持ちを尊重していた。だけどそれは違ったのね。」

べる「あんさん、仁科さん、この二人はあなたの心の奥底まで踏み込んでいった。強引にね。あなたのことを本当に思っているからこそ二人はあなた自身を傷つけてでも近づいた。」

べる「だから私も少し強引にいかせてもらうわ。いいでしょ?」

わかな「……」

わかなはまだ私の方へ向いてくれません。

べる「私、わかなに感謝してるの。わかなは私がどんな辛い時でもそばにいて常に私と対等に接してくれた。」

べる「昔からずっとそう。あなたは私の『友達』で居てくれた。あなたが居たからこそ私はひとりぼっちにならずに済んだのよ」

わかな「……そんなアタシのこと拒絶したのは誰だったかニャ~?」

べる「…あの時のことは謝るわ。ごめんなさい」

そこから沈黙が続きます。これじゃいけない、私はわかなに「ありがとう」の気持ちを伝えなくちゃいけないのに……

べる「ねぇわかな、こっちを向いて。私の話を聞いて」

わかな「ヤだ」

べる「どうして?……もしかして私のこと本当は

わかな「そんなことないっ!」

べる「じゃあどうして!?」

わかな「だって……今振りかえったらいつもの『森園わかな』じゃいられなくなるもん」

わかな「いつもみたいにおどけて、ふざけてて、軽口を叩くアタシじゃ居られなくなるから……」

わかな「そんな姿をべるに見せるなんて恥ずかしいよ……」

べる「ふっ」

わかな「笑わないで!」

べる「ごめんなさい。だけど振り向かないのがそんな理由だったなんて、少し心配しちゃったじゃない」

べる「それじゃあ、今から私は目を瞑るわ。今は誰も見てない。だから素直な、本当の『森園わかな』を見せて?」

わかな「べるっ!」

前で人が動いた音がして、誰かに抱きつかれました。

わかな「私だってべるとおとはに感謝してる!二人がいて、楽しい時間があったから私は引っ越しを断ったの!」

わかな「二人といて凄い楽しかった!離れたくないと思った!だから……」

わかな「ありがとう」

べる「わかなの本当の姿初めて見ちゃった」

わかな「あっ……こっ、これは特別だからね!おとはとかあんとかカズキとかに言いふらさないでよ!」

べる「ふふっ、こんな素敵な女の子を一人占め出来るなんて最高ね」

わかな「べ、べるぅ~///」

べる「人をからかうのって面白いのね。あなたがいつもやってる理由がわかったわ」

わかな「もう……」

べる「でも、こうやってわかなとちゃんとお話出来て良かったわ。わかな、私にずっとついて来てくれてありがとう。これからもよろしくね」

わかな「ハイハイ、どこまでもついて行きますよ、べる様」


色々なわかなの姿を見て満足した私はゆっくりと眠りにつきました。

ピンポーン

なる「はーい、彩瀬です!」

べる「なるかしら?べるよ」

なる「あっ!べるちゃん来てくれたぁー!今ドア開けに行くねー!」

家の中からドスドスと言う音と何かぶつけたような音、そしてなるの「いったーい!」という声が聞こえた後、ドアは開きました。
大丈夫かしら?なる……

なる「いらっしゃい……べるちゃん」

りんね「よっ」

べる「だ、大丈夫?」

なる「あっ!だ、大丈夫大丈夫わたし家の中でよく転ぶもん、こんなの慣れっこ慣れっこ」

りんね「今月で 15回」

なる「もぉー!りんねちゃん数えてたのー!」

べる「お、お邪魔するわね」

相変わらずなるには驚かされるわ…

なる「じゃあべるちゃん一緒に寝よっか?」

りんね「寝よっか?」

べる「ええ、そうしましょう」

前の二人と違ってここはすんなりね。だけどやっぱり一つのベッドに3人は多いわね。

なる「それでそれで、べるちゃん今日は何で来てくれたの?」

りんね「来てくれたの?」

私を挟んで両側から同じ質問、これはある意味前の二人より疲れるかもしれない……

べる「あなた達に『ありがとう』って伝えたかったのよ、二人には沢山感謝しなくちゃいけないことがあるでしょ?だから来たのよ」

なる「うわぁ……はぴなるー!
わたしもね、べるちゃんといーっぱい、話したいことがあったんだ!ねぇねぇ?何から話そっか?」

べる「まずは、謝罪かしら。ドリーミングセッションの時あなたの手を払いのけてしまって、ごめんなさい」

なる「ふふっ、もうそのことはいいよ。
出会いがどうでもわたしたちは今こうやって仲良くなれたんだから」

べる「あの時の私にはあなたは眩し過ぎたの。あなたの無邪気な姿を見るたびにもう戻れない昔のことを思い出して…」

なる「そうだったの…」

べる「りんねさん、あなたにも迷惑かけたわね。あの時、私がずっと出来なかった4連続ジャンプを簡単に飛ばれて私は焦ってたのよ」

りんね「うん」

べる「でもあなた達二人は私を見捨てなかった。私が何も見えなくなっていた時にあなた達のきらめきが私を照らしてくれたのよ。ありがとう」

私がそう言うとなるは少し困った顔をしていました。私、何か変なこと言ったかしら……

なる「べるちゃん………あのさ」

りんね「べる、無理してる」

べる「えぇ!?」

私が、無理してる!?

なる「わわわっ、りんねちゃんそんな言い方したら。
だけどうん、わたしにもわかるよ。べるちゃんちょっと無理してない?」

べる「そんなつもり無いのだけれど……」

なる「ううん。べるちゃん今凄い不安そうな顔をしてるよ?」

べる「不安……」

『不安』その言葉を反芻すると私の中で一つの疑問が生まれた。

べる「私は、許されるのかしら」

べる「あなた達二人だけじゃない、わかな、おと、それ以外にも沢山の人に迷惑をかけたわ。
そんな私は今こうやって沢山の人から愛を与えられて幸せに過ごせている。
これは許されることなのかしら……」

なる「べるちゃん……」


べる「それだけじゃないわ、私はみんなに与えられてばかりで何も返すことが出来ていない。
なるが悲しんでいる時も私には何一つ出来ることは無かった」

べる「こう言えばあなた達は『そんなことない』と言ってくれるかもしれない。だけど私は、私がそんな自分を許せないっ!」

その時私の両方の手が同時に握られた。

べる「なる、りんねさん……」

なる「『何も返すことが出来ていない』ってそんなこと無いよ」

りんね「べると過ごすのは、楽しいから」

なる「そうだよ。あんちゃん、いとちゃん、おとはさん、わかなさんみーんながいるからはぴなるなんだよ?」

りんね「はぴなる」

べる「はぴなる……?」

なる「そうだよ。それにね今日までが辛くて許せなくても」

りんね「明日は変えられる」

なる「そう!もしべるちゃんが昔のことを後悔してるなら今日みたいに謝ればいいんだよ」

りんね「べるは一人じゃないから」

なる「そうだよ、いつだってべるちゃんには仲間が居るんだから不安な時はいつでも頼って」

りんね「泣いてる?」

べる「ええ、」

なる「ふふっ、もう大丈夫だよね?べるちゃんのその涙は嬉し涙だもん」

べる「ええ、嬉しくてたまらないわ。あなた達には助けられてばっかり、本当に本当にありがとう」

なる「ねっべるちゃん、もっと話そう?わたしべるちゃんともっともーっと話したいの」

りんね「だめ。早く寝ないと遅刻しちゃう」

なる「えー?今日くらいいいでしょりんねちゃーん」

りんね「だーめ、そう言っていつも遅刻するんだから」

べる「りんねさんの言う通りよ、もう寝ましょう?」

なる「べるちゃんまで~
じゃあじゃあこれからもみんなで一緒にいーっぱいお話しよ?」

りんね「うん」

べる「ええ」

なる「じゃあ おやすみなさーい」


過去のこと、未来のこと、私が不安に思っていたことは全て解決されました。
そして私は一つの決心をしました。私は真の女王になる。みんなの上に立ちみんなを導く真の女王。んなわ私の姿を見せることがみんなへの恩返しとなるでしょう。
そんな未来への夢抱き私はゆっくりと眠りにつきました。


おしまい

くぅ~疲れました。完結です。

べる様のSSってこんな感じでいいのでしょうか?謎です。
そろそろプリリズのSSが増えるころなんじゃないでしょうかね

それではHTML化依頼出してきます。読んでくれた方、レスをくれた方、ありがとうございます。

イケメンなべる様もそうじゃないべる様もたいへん良い
ありがとう

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