理樹「二木さんが寝てる時だけデレる」 (47)

寮長室

シーン

カリカリ…

理樹(僕はいつもの様にリトルバスターズのため、恭介の計らいで二木さんと一緒に風紀委員の仕事をしていた)

理樹「二木さん、これ書き終わったら次は…」

佳奈多「そんな事も分からないの?まったく少しは自分で考えなさいよ」

理樹「ごめん…」

佳奈多「………そこにファイリングして右の方もやっていって」

理樹「うん」

理樹(恭介から手伝えって言われてるけど本人がこうも不機嫌じゃ、やる気もなくなるよ…)





キーンコーン

理樹「あっ、もうこんな時間だ。…そろそろ今日は終わりにする?」

佳奈多「……」

理樹「二木さん?」

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理樹(返事が無いのでファイルの山の向こうを覗いてみた)

佳奈多「………すぅ」

理樹「寝てる……」

理樹(二木さんの寝顔は意外と優しかった。てっきり僕は寝ている時も眉を寄せているものだと…)

佳奈多「直枝ぇ……」

理樹「おっ、起きてたっ!?」

理樹(急に名前を呼ばれたのでてっきり僕の考えがいつの間にか声に出ていたのかと思った。でも目は閉じている)

理樹「……寝言?」

佳奈多「直枝……ふふっ」

理樹(いったい何の夢を見ているんだろう…。その笑顔が怖くて堪らない)

理樹(とりあえず起こそう。あとでドヤされたらたまらない)

理樹「おーい二木さーん…」

佳奈多「……うん……っ」

理樹(ゆっくりと顔を上げた。髪に隠れて見えにくいけど注意深く見ると紙の跡が少し残っている)

佳奈多「…あら…私寝ていたのかしら…?」

理樹「うん…気付いたら」

佳奈多「ってまだこれだけしか終わってないじゃない!」

理樹(跡の元凶となった紙束を摘んでみせた)

佳奈多「ちょっと直枝理樹!どうしてもっと早く起こしてくれなかったのっ」

理樹「いやいやいや!眠っちゃった二木さんが悪いんじゃないかっ」

佳奈多「私はあなたとは違って暇じゃないの。保健室で少し横になる時もあるけど頭の容量はいつもあなたより何倍も詰まってるんだから!」

理樹「どんな理屈なのさ…」

佳奈多「……もういいわ。明日、今日より30分早くいけば済む話だから」

理樹(その日はそれで解散となった)

理樹部屋

真人「じゃあ消すぜ?」

理樹「うん」

パチッ

理樹「………」

佳奈多『直枝……ふふっ』

理樹(あれは結局なんだったんだろうな……。どんな夢にしろああいう二木さんの顔はなんというか、新鮮だった)






寮長室

佳奈多「ぐぅ……」

理樹(新鮮な顔を2日連続で見るとは思わなかった)

理樹「まさか来たらもう寝ていたなんて思わなかったなぁ…」

佳奈多「ん……ぃや…なにジロジロ見てるのよ…」

理樹「!?」

理樹(例にもよって目は薄いまぶたで塞がっている)

佳奈多「…こんなのが好きなの?…最低ね……最低…っ」

理樹「ぶっ!」

理樹(どういうシーンなんだ!?というか相手はいったい…。もしかして二木さんに彼氏でも…)

佳奈多「……直枝……」

理樹「って僕なの!?」

佳奈多「う…うぅ…」

理樹「わっ、起きる!」

理樹(急いでイスに座って作業に取り掛かった)

佳奈多「うんっ……はぁ…」

理樹「………っ」

カリカリカリ

佳奈多「あらいけない…早めに終わったからって油断してたわ。結局時間効率は一緒か…」

理樹「………」

カリカリカリ

佳奈多「あらっ?直枝じゃない、いつの間に来ていたの?」

理樹「えっ、気付いていなかったの?」

佳奈多「ええ、寝ていたから…」

理樹「へ、へぇ~寝てたんだー全然気づいていなかったや~」

佳奈多「……何よ、そのよそよそしい口調…。まっ、いいけどね。私たちってよそよそしいぐらいが丁度いいくらいの間柄だし」

理樹(……夢に僕が出てくるのを知ってから言われると二木さんが僕をどう思っているのか本当に分からない。…多分嫌ってるんだろうけど)

理樹「じ、じゃあポスター貼ってくるね!」

佳奈多「ええお願い。あと購買へ行ってガラス窓を補強するネジも注文してきて頂戴、多分言えばどんなものか分かってると思うわ。それとメロンパンも」

理樹「いや最後のはただのパシリだよね!?」

佳奈多「……お願いね」






ガラッ

理樹(結局買ってきてしまった…)

佳奈多「ちゃんと言ってきた?」

理樹「うん…はいこれ」

佳奈多「あら本当に買ってきたの?冗談のつもりだったんだけど」

理樹「なっ……」

佳奈多「冗談というのが冗談よ。はいお駄賃」

理樹「もうっ」

理樹(それにしても……)

理樹「寝るのは1日1回なのか…」

佳奈多「はあ?」

理樹「あっ、いや何でもないよっ!」

次の日



理樹「ふう長かった…!ねえ二木さ………また寝てる…」

佳奈多「………」

理樹(今日は時間に余裕もあるし少し二木さんを観察してみよう)




佳奈多「………」

理樹(二木さんは顔を横にして机に突っ伏した状態で寝ていた)

佳奈多「………」

理樹「今日は寝言はないのかな…」

佳奈多「むにゃ…」

理樹(来た!)

佳奈多「……トマトケチャップ増量…」

理樹「………」

理樹(………)




15分後

理樹「あ、いけない僕も眠たくなってきた…」

理樹(まあ少しくらい僕も眠っても大丈夫だろう。二木さんが先に起きたら起こしてくれるはず…)



…………
……

パシーン!

理樹「痛っ!」

佳奈多「お、起きなさい!」

理樹「いったい何するのさ!?」

佳奈多「……仕事が終わってないのに眠るなんてそれでも手伝いって言えるのかしら?」

理樹「そっ、そんな!二木さんだって寝ていたじゃないかっ」

佳奈多「私はもう終わっていたのよ。やっていたのは次の分の繰り越しよ」

理樹(理不尽な気がするけど口論で勝てた試しがないから今日は大人しく引き下がろう…)







またまた次の日

理樹「……」

佳奈多「………」

スヤスヤ

理樹(…昨日は寝耳に平手打ちだったんだ。少しビックリさせるぐらいはお返しのうちに入るさ)

ソロォ…

佳奈多「…直枝…もう少し居てくれないかしら……?」

理樹「えっ」

佳奈多「……お願い…。あなたがいないと困るわ…ぶってしまってごめんなさい…っ」

理樹「……これは…本音…?」

佳奈多「………ありがとう…っ…」

理樹「夢の中で僕が勝手に許しちゃった…!」

佳奈多「………もう…バカなこといって……えへ」

理樹「………」

ガラッ

理樹(帰ろう。サボりたかったからじゃない、僕には今から起きるであろう二木さんといつもの調子で接する自信がないからだ…)




佳奈多「ほら…起きて……」

理樹「……?……あ、ごめん」

理樹(いつの間にか寝ていてしまったようだ。しかしここは魔の部屋といってもいいかもしれない。お互いに話しかけないから静かだしポカポカした日差しが当たって単調作業なんかやっていたらあっという間に意識が無くなる)

佳奈多「い、いえ…いいのよ…」

理樹(二木さんが顔を赤くしている。もしかして僕が寝ていたところを見て自分が普段どんな姿でいるか自覚してしまったんだろうか)

理樹「それでこのピンは…」

佳奈多「ひゃっ…!」

理樹「?」

佳奈多「な、なんでもないからっ!」

理樹(今日の二木さんはどうもおかしい)

おやすみーん





カリカリカリ…


佳奈多「……」

チラチラ

理樹(さっきから作業しながらでも分かるほど目線が痛い…なんで睨まれてるんだろう。ちょっと顔を上げてみる)

理樹「……」

スッ

佳奈多「くっ…」

プイッ

理樹(逸らされた)




キーンコーン

佳奈多「それじゃ」

ガラッ

理樹「ま、待ってよ!」

佳奈多「……なによ?」

理樹「どうせ途中まで道は一緒なんだしちょっと待ってくれてもいいじゃないか」

佳奈多「あなたと過ごしていると髪が傷むの。今度から加湿器持参してくれるなら隣を歩いてもいいわ」

理樹「僕は硫酸ナトリウムか何かの…?」





後日


理樹「よしっ…しょっと!」

ドンッ

理樹(流石に重いなぁ…ここまで運ぶのに苦労したよ)

佳奈多「あてぃか……あてぃか…!」

理樹「また意味不明なことを……」

理樹(加湿器の電源を入れた)

ブフォー

佳奈多「…だめっ……こんなところで直枝ったら……や……っ」

理樹「聞かなかったことにしよう」

理樹「………」

カリカリ

佳奈多「…りきってよんでもいいかしら…」

理樹「好きにすれば…」ボソッ

理樹(これが僕だから良かったものの他の人にでもこんなことを聞かれたら二木さんの権威は著しく下がるような気がする)








グラウンド

さ「はあ…二木さんですか?」

理樹「うん、最近よく寝るんだけどクラスではどうかな~って…」

さ「私が見ている限り彼女に隙なんてありませんわ。それこそ寝ているところなんて見たことありませんの……というかあなた彼女とそんなことしていたのですわね」

理樹「うんまあ…」

さ「ま、私が推測するに二木さんは貴方に少なからず気を許している証拠だと思いましてよ?だからもう少しその心配そうな顔を緩めなさいな」

理樹「二木さんが……ぼくに?」






カリカリ

理樹(気を許してる……か。少なくとも好意はあるのかな?)

チラッ

佳奈多「……むっ」

ジロリ

理樹(ないない…)




1時間後

佳奈多「…直枝って好きな人とかいるのかしら……ぐぅ」

理樹(どっちなんだぁーっ!!)

ガラッ

あーちゃん「やっほー!はかどってるかい理樹くんー?」

理樹「寮長さん!」

あーちゃん「よーしかなちゃんは寝てるな~?」

理樹「ええ、実は最近よく寝ていて…」

あーちゃん「うんうん。今日来たのも実はそのことなの」

理樹「ええっ?」

あーちゃん「本当は今日の朝言うつもりだったんだけど当の本人が寝てるからいいや。実はそこの人が理樹君に話があるみたいなの、寝言のことで」

理樹「ふっ、二木さんが!?」

あーちゃん「しっ…起きちゃう」

理樹「あっ……」

あーちゃん「でね、呼び出すのは少し恥ずかしいからって私に伝言を伝えたのよ」

理樹「僕を呼び出してほしいと?」

あーちゃん「そっ。夜に裏庭でね」

理樹「裏庭……」

理樹(二木さん…もしかして誰かに寝言のことについて言及されたのかな……?それで散々僕についての寝言を言ってたことを聞かされて……)

理樹「と、とにかく行ってみます」

あーちゃん「……」ニヤリ

理樹(その日は夜ご飯がなんだったか分からないほど緊張しっぱなしだった)




裏庭

理樹「この辺りかな…」

佳奈多「…ここよ」

理樹(居た。声のする方向を見ると今日と変わらない服装で腕組みをしながらこちらを見据えていた)

理樹「二木さん…あの……!」

佳奈多「待って。何も言わなくていいわ。分かってる、あの寝言はお互いなかったことにしましょう」

理樹(やっぱり気づいたんだ…)

理樹「うん…その方が二木さんの為でもあるしね……」

佳奈多「…私のため?それどういうことよ…」

理樹「いやだってあんなこと誰かに聞かれたら僕は大丈夫だけど二木さんが噂されることになるし…」

佳奈多「はぁ?何よその言い方!元はと言えばあなたのせいじゃないっ!」

理樹「僕がって…君が僕に『側に居て』って頼んだんじゃないかっ」

理樹(二木さんが勝手に寝言を言っているだけなのに僕のせいだって?今のは少しムカッとした)

佳奈多「一言もそんなこと言ってません!貴方が『君と離れたくない』なんて小恥ずかしい文句言ったんでしょうがっ」

理樹「へっ!?」

佳奈多「その他にも色々あったわ…もし仕事をしているんじゃなかったらとっくに追い出していたわよ」

理樹「僕が…なんだって?」

「ぷっ…ふふふっ!」

佳奈多「誰かそこにいるの!?」

あーちゃん「あはははっ!もうダメ…堪えられない…っ!」

理樹「な、なんでここに…」

理樹(ベンチの裏に寮長が隠れていた…しかも大笑いしながら)

佳奈多「あーちゃん先輩…?どうしてここへ」

あーちゃん「ふふっ…はぁ…」

理樹(ようやく笑い終えるとまた喋り始めた)

あーちゃん「ごめんごめん、ちょっとからかってただけなんだけどまさか喧嘩するとは思わなかったわ…」

佳奈多「からかっていた?」

あーちゃん「その通り。もー見事に会話が噛み合ってないのが……クスクス」

理樹「どういうことか説明してください!」

あーちゃん「そう焦らないで。これは私が2人に茶々入れようとした時の話よ……」

………



数日前

あーちゃん「たまには2人に顔でも出そうかな~」


寮長室前

あーちゃん「よーし失礼しまっ…」

『直枝ぇ…ふふっ』

あーちゃん「!?」

あーちゃん「なっ、なに今の声!?絶対かなちゃんのだったよねぇ!まさか2人はもうそんな親密な関係に…」

チラッ

佳奈多「……」スヤスヤ

理樹「~~!」アタフタ

あーちゃん「………あー…なるほど、寝言って訳ね…びっくりしちゃった…やっぱり行くのは止めておこっと」






またある日

あーちゃん「さーて今度こそ…」

理樹『二木さん…君には僕の側にいてほしいんだ……』

あーちゃん「!?」

スッ

佳奈多『なっ…なんですって…!?』

理樹『君がいないと寂しいよ…』

佳奈多『あ、な…な…っ!き、急にそんなこと言われても心の準備が…』

あーちゃん「こ、これは…っ!」

理樹『……ぐぅ…』

佳奈多『……………寝言?』

理樹『むにゃ…』

佳奈多『この……っ!!』

パシーン!

あーちゃん「うわぉ…痛そっ」

理樹『痛っ!』

佳奈多『お、起きなさい!』

理樹『急に何するのさ!?』

あーちゃん「これは……」


……


あーちゃん「てなことがずっとあってさぁ~」

佳奈多・理樹「「私(僕)も寝言を!?」」

あーちゃん「にゅふふ!それであまりにもそれが面白いからレコーダーで撮ってみたの!聴く?交互に流すと会話してるみたいで面白いのこれが」

理樹(僕らが口を動かす前に再生ボタンを押した)


佳奈多『直枝…もう少し居てくれないかしら…?あなたがいないと困るわ…ぶってしまってごめんなさい』

理樹『…二木さん、僕は君がいない世界なんて考えられないんだ…これからもずっと一緒にこうやって話していたいな……』

佳奈多『…ありがとう…っ』

理樹『ほら…泣かないで…せっかくの美人が台無しじゃないか……ねえ二木さん…』

佳奈多『だめ…こんなところで直枝ったら…や……っ』




あーちゃん「まだまだあるけどまあざっとこんな物かな」

佳奈多「あ…そんな……」

理樹(二木さんは顔を真っ赤に染めて絶望した顔をしながら僕を見つめている。多分僕も同じような顔だろう。まさか僕も寝言を言っていたとは…)

あーちゃん「それでネタばらしする前に両方に『あっちが話があるんだって』って言って反応を伺ってたって訳。それじゃあ見るべき物は見たし私はもう帰るねー!」

佳奈多・理樹「「………」」

理樹(人とは見ていた夢をすぐに忘れるものだ。しかしこの状況は流石にひどい)

佳奈多「私…そんなこと言ってたのね…」

理樹「う、うん…」

佳奈多「……ごめんなさい、私今あなたにどんな気持ちを抱いているのか分からないわ」

理樹「僕もさ…」

佳奈多「ど、どうしようかしらっ…こんなのお互い好きだって告白してるようなものじゃない!」

理樹(本当に困ったような顔で僕に尋ねる。こういう時は…)

理樹「二木さん、こういう時はこうすればいいのさ」

佳奈多「?」

理樹「…僕はそんなこと言わなかったことにしよう、オーケー?」

佳奈多「お、オーケー…」

理樹「二木さんにそんなこと言われなかったことにしよう。うんっ、解決!」

佳奈多「……………帰りましょうか」

理樹「そうだね…」




これは佳奈多ルートで途中で合ったかもしれないお話

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