扶桑「提督、今日も良い天気ですね」 (30)

扶桑「ほら、見て下さい。空があんなに青いです」

扶桑「雲一つない」

扶桑「どこまでも、どこまでも青い空」

扶桑「ずっと見ていると、引き込まれそうな感じがします」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「・・・さ、今日も頑張りましょうか」



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扶桑「今日は書類がいつもより多いですね」

扶桑「大変だわ」

扶桑「でも、頑張ります」

扶桑「・・・無理なんてしていないですよ?」

扶桑「そう・・・無理なんか・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「・・・提督、そろそろお昼ですので」

扶桑「少々、席を外しますね」

扶桑「1時間後に、ここに戻ってきます」

扶桑「今日の昼食は、何でしょうか」

扶桑「あ、山城・・・えぇ、行きましょうか」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「ただいま戻りました」

扶桑「今日は肉じゃが定食を食べました」

扶桑「とても、美味しかったですよ」

扶桑「山城も、私と同じものを頼んで」

扶桑「とても、美味しそうにしていました」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「・・・では、仕事に戻りますか」

扶桑「・・・はい?」

扶桑「あら、間宮さん・・・」

扶桑「え? 仕事の合間に甘い物でもと?」

扶桑「わざわざありがとうございます」

扶桑「えぇ、ありがたくいただきますね?」

扶桑「あ、緑茶も・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「そうなんですか」

扶桑「緑茶にはリラックス効果が・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「大量にあったはずの書類が」

扶桑「全て終わってしまいました」

扶桑「集中すると」

扶桑「これほど早く終わるものなのですね」

扶桑「今の私には、他にすることがないので・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「・・・少し、日記を書きますね」

扶桑「今日は晴天」

扶桑「午前に、時雨ちゃんが」

扶桑「夕立ちゃんと同じマフラーをして」

扶桑「お揃いだね、と夕立ちゃんに微笑みかけていました」

扶桑「提督があげたんですか? あのマフラーは」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「今日の昼食は、山城と一緒に」

扶桑「肉じゃが定食を食べました」

扶桑「とても美味しかったです」

扶桑「山城は、いつも私と同じメニューを選びます」

扶桑「それがなんだか、おかしくて・・・」

扶桑「おかしくて・・・・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「今日の午後は、第六駆逐隊の子達が」

扶桑「みんな仲良く、お菓子作りをしていました」

扶桑「一生懸命作るその姿は」

扶桑「とても可愛らしいものでした」

扶桑「出来上がったお菓子を食べさせていただきましたが」

扶桑「甘くて、とても美味しかったです」

扶桑「間宮さんが持ってきたお菓子は」

扶桑「あの子達が作ったものだと」

扶桑「聞かされました」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「そして、事務仕事が終わり」

扶桑「何もすることがなくなってしまいました」

扶桑「そう、何もないんです」

扶桑「提督、どうしましょうか?」

扶桑「この後は、何をしましょうか?」

扶桑「一体私は、何をすれば良いのでしょうか?」

扶桑「提督」

扶桑「提督・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「・・・すいません」

扶桑「日記の内容は、少し嘘があります」

扶桑「時雨ちゃんは、微笑んでなんかいなかったです」

扶桑「泣いていたんです」

扶桑「提督があげた、夕立ちゃんとお揃いのマフラーを手に」

扶桑「そんな時雨ちゃんを、夕立ちゃんは慰めていたんです」

扶桑「第六駆逐隊の子達が作ってくれたお菓子」

扶桑「甘くなんかなかったです」

扶桑「しょっぱかったです」

扶桑「食べているうちに、胸が苦しくなって」

扶桑「もっと、しょっぱくなりました」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「提督」

扶桑「貴方は今、どこにいるんですか?」

扶桑「まだ、海を彷徨っているのでしょうか?」

扶桑「私には、見つけることができませんでした」

扶桑「すいません・・・」

扶桑「本当に・・・」

扶桑「すいません・・・・・・」

扶桑「どうして私を庇ったんですか?」

扶桑「無許可でT-5を飛ばしてきて」

扶桑「敵艦載機の爆撃を食らって」

扶桑「爆発して、そのまま海に」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「提督、もう私はダメです」

扶桑「胸が張り裂けそうで、苦しいです」

扶桑「頭がおかしくなりそうです」

扶桑「提督が味わった痛みと同じように」

扶桑「私も辛いです」

扶桑「貴方がいないから」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「私達は、この後どうすれば良いのでしょうか?」

扶桑「私以外の娘も、もう限界です」

扶桑「みんな、笑顔など無く」

扶桑「悲しんでいます」

扶桑「泣いています」

扶桑「無表情の娘もいます」

扶桑「どうすれば良いでしょうか?」

扶桑「提督、教えて下さい」

扶桑「提督・・・」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「・・・もう、夕方ですね」

扶桑「少し、波止場に行きます」


― 波止場 ―


扶桑「・・・・・・」

扶桑「綺麗な夕陽ですね」

扶桑「今日は、こんなにも真っ赤で」

扶桑「・・・少し、夕陽が滲んで見えます」

扶桑「おかしいですね」

扶桑「・・・・・・」

扶桑「こんな綺麗な光景」





扶桑「提督と一緒に、見たかったです・・・・・・」




















― 洋上 ―


空母棲鬼「・・・・・・」チャプチャプ

空母棲鬼「・・・・・・扶桑」

駆逐棲姫「・・・?」

駆逐棲姫「扶桑ッテ、誰デスカ?」

空母棲鬼「俺にとって、一番大切だった娘の名前だよ・・・」

駆逐棲姫「ヘェー・・・」

空母棲鬼「・・・・・・」

駆逐棲姫「・・・・・・」

空母棲鬼「・・・さ、そろそろ帰ろうか」

駆逐棲姫「・・・ハイ」

空母棲鬼「・・・・・・」ザザ

駆逐棲姫「・・・・・・」ザザ

空母棲鬼「・・・・・・」

空母棲鬼「(・・・扶桑、俺のことはもう忘れるんだ)」

空母棲鬼「(新しい提督に従って、どうかこの戦争を生き抜いてくれ)」

空母棲鬼「(強く、強く生きてくれ・・・)」

空母棲鬼「(さようなら、扶桑・・・そして)」










空母棲鬼「(また戦場で)」










――― 終 ―――


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月19日 (木) 19:46:28   ID: o0vDaZHn

泣いた

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