【艦これ】浦風「姉さんが拗ねとる鎮守府」大鳳「最近私の影が薄い鎮守府」 (1000)

・引き続き終戦後の後日談を書いていきます

・リクエストを受け付けて、消化したらまた募集していきます

・設定から逸脱するようなものは、パラレル扱いにします

・エロも一応ありです

前スレは以下の4つです

【艦これ】大鳳「一度入ったら抜け出せない鎮守府?」

【艦これ】大鳳「一度入ったら抜け出せない鎮守府?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399761014/-20)

【艦これ】大鳳「出入り自由な鎮守府」

【艦これ】大鳳「出入り自由な鎮守府」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401844632/l20)

【艦これ】提督「鎮守府として色々不味いことになった」

【艦これ】提督「鎮守府として色々不味いことになった」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406746107/l20)

【艦これ】大鳳「浦風が可愛い鎮守府」提督「多分一応は鎮守府」

【艦これ】大鳳「浦風が可愛い鎮守府」提督「多分一応は鎮守府」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416478239/l20)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423975394

――――艦載機保管庫。

「ピカピカ、デキタ」

 今日も今日とてほっぽちゃんは艦載機を整備しながら、毎日必ず来る空母の誰かを待っています。

 そして、今日もまたドアの開く音に目を輝かせながらほっぽちゃんは振り向きます。

「オ菓子、置イテ……ケ?」




「――久シブリダナ、北方」



――――翔鶴、遠方偵察中。

(今日も異常無し。帰って瑞鶴にご飯作らないと)

「――あら? アレ、何かしら?」

 ――モウッ! 何デ私バカリ追イカケルノダコノ鳥達ハッ!

「……助けた方が、良いのよね?」



――――海岸。

「あ、あの、大丈夫?」

「腹減ッタ……死ヌ……」

「クッキーで良ければありますけど、食べますか?」

「食ウ!」

「ひゃあぁぁぁぁっ!? 指ごと食べないで下さいぃ」

「オイヒイゾ、コリェ」

「んぅ……指、離してもらえないでしょうか……」

「――ムグムグ」

「ひゃあぁぁぁぁっ!?」

(面白イカラモウ少シコウシテヨッカナ)

――――提督執務室。

(何だこの状況は……)

「北方、元気ニシテイタカ?」

「シテタ!」

「ソウカ」

「瑞鶴、そんなに似てる?」

「うん、翔鶴姉っぽい」

「勝手ナコトヲ言ウナ。似テナドイナイ」

(鳥に追い掛け回されてたところとか、そっくりだと思うけど)

「あの、私の指は食べ物じゃ……」

「ムグムグ」

「んぅ……やめて下さいぃ……」

(癖ニナッチマウナ、コレ)




――――港湾棲姫、空母水鬼、レ級がまとめてやってきました。

次のリクエスト受付に関するお知らせです

・16日マルマルマルマルより三つ、ヒトフタマルマルより三つ受け付けます

・今回は一番目、三番目、六番目の書き込みを採用します

・フライング含め、連投はなしです

以上、お知らせでした

「浦風、世の中って残酷ね」

「姉さん、元気出すんじゃ」

「私にも何かもっとこう、インパクトがあればいいのかしら……」

「姉さんは今のままでも十分魅力的じゃて」

「髪をお団子にしてみる? いえ、それだとあの強烈な個性の那珂と被るわ。それなら露出を多く――ダメだわ、雲龍みたいな服は羞恥心が邪魔してしまう……」

(姉さんがこのまま考え込んで突拍子もない色物になってしまうんは、うち嫌じゃ……)

「スク水空母、メイド空母、全身タイツ空母……どれもピンと来ないわね」




 今のままがいいと泣かれたので思い止まりました。

「これは、ありとあらゆる可能性を映し出す鏡」

「不幸だったり、幸せだったりするです」

「覗く、覗かない、自由です」

「見て嫌な気分になっても保証しないです。悪しからず」

「最初の実験台、誰がなるです?」

「秋月さん、決まりです」

「――エッチなのでも、最後まで見届けるですよ?」




――――まだ関係がそこまでに至っていない艦娘には、その場面しか映らない深刻なエラーが発生しています。

・秒読み

大鯨、雲龍、時津風

・まだ微妙

春雨、早霜、清霜、野分、朝雲、山雲、磯風、秋月

・そういう段階じゃない

香取、ユー

・むしろ嫌い

プリンツ


・ケッコンカッコカリ可能練度に達している艦(出来るとは言っていない)

大鯨、雲龍、春雨、時津風、清霜、野分、磯風、香取、プリンツ

・秋月『明日から顔が見れない』(R18)

・ヴェールヌイ『ハラショー、これは良い湯だな』

・空母水鬼&翔鶴『被害担当深海棲艦』

・朝潮『司令官と夜戦とはどういう意味なのでしょうか?』(R18風)

・漣&曙『二人で覗いたらどうなるのかなっと』(R18)

・五月雨『平凡な私の日常』

以上六本でお送りします

次からエロには制限をかけます、全部埋まったら流石に書くのが辛い……

~次回からの夜戦リクについて~

・当スレの内容に沿わない状況指定と複数人が絡むのは禁止とします

・一度のリクエスト受け付けで書くのは一つだけ、二つ目以降の夜戦リクエストは無効として下にずらします

・今後支障が著しく出るようなら、一切禁止にする場合もあります

以上、これからも続ける為の措置とご理解下さい

 “勿体無いですから”、そう口にしながら彼女はケッコンカッコカリすることを望んだ。冗談の様に聞こえるが、その言葉に嘘偽りは一切無い。

 ――もしまた戦いが起こった時、余分に燃料などを消費するのが勿体無い。

 ――今一歩踏み込ませてもらえず、最後の壁を越えられない時間が勿体無い。

 ――秘書艦日に一人で部屋に戻ると、光熱費が勿体無い。

 次々と並べられる“勿体無い”に、その精神を尊重すると言った提督が折れるまで、そう時間はかからなかった。
 この鎮守府に来て初めて、秋月が“欲しい”と口にしたもの。それは、彼との絆なのだった。




「暖房なんていりません。こうすれば、暖かいですから」

 ――少し欲張りになった彼女を、誰も責めはしない。

この続きは酉を変えて書け次第投下します

――――海上。

(今日も良いお土産が手に入りましたし、加賀が怒る前に急いで戻らないといけませんね。――あら?)

「アレは、対空射撃でしょうか……。あそこは無人島だったはずですが」

 何かトラブルかもしれないと、赤城はその無人島へと慎重に近付いて行く。万が一、また何かしらの施設が秘密裏に作られているなら、それを彼女が見過ごしておけるはずもない。

(音から判断するに一人、出来れば抵抗などはしないでくれると有り難いのですが……)

 終戦後も、最近までは戦いに身を置いていた赤城。たった一人相手に遅れをとることなど有り得ないが、同じ艦娘を攻撃するような事態は避けたいというのが本音だった。
 勿論、何らかの事情でここに流れ着いて出られなくなったはぐれ艦娘の可能性もあるので、警戒されないよう艦載機を発艦させずに音のした方へと近寄っていく。
 そして、少し開けた場所に出た赤城の視界に飛び込んできたのは――。




「お腹……空きましたぁ……」

 土で汚れ、木の枝でところどころ破けている緑色の着物を着た、自分に馴染みのある名前を持った艦娘のへたり込む姿だった。




――――対空射撃で鳥を落とそうとしていた天城が保護されました。

エロは時間がかかるので、骨休めに書いていく予定の目覚まし時計に艦娘の声を入れてみたシリーズをどうぞ

~雷の場合~

『司令官、朝になったわ。起きて準備してね』

『何? まだ起きてないの? 朝からそんなんじゃダメよ』

『司令官、朝よ! あ・さ! これでも起きて来なかったら起こしに行くわ。ホント、司令官には私がついていないとダメなんだから』




~如月の場合~

『司令官、朝よ、起きて?』

『司令官ったら、お寝坊さんなのね。そろそろ本当に起きないとダメよ?』

『起きないと今から行って、キス、しちゃうわよ?――なーんちゃって……するなら起きてから、ね?』




~雲龍の場合~

『提督、朝です』

『起きないの?』

『艦載機、全機発艦。今から起こしに行きます』




~山城の場合~

『提督、朝です。起きて下さい』

『早く起きてくれます? 姉様が待ってるんですけど』

『はぁ、不幸だわ……今から起こしに行きます。――行くまでは、起きないでいいですから』

~マックスの場合~

『グーテンモルゲン。提督、朝よ』

『まだ寝ているの? ふーん……そう』

『あなた、普段から無理をし過ぎなのよ。今から部屋に行くけど、起きるまで待つわ。……あまり、心配させないで』




~レーベの場合~

『グーテンモルゲン、提督、朝だよ』

『提督、まだ寝てるの? ボクの声だと起きれないのかな?』

『ボクはいいんだけど、ビスマルクがそわそわしてるし起こしに行くよ。――でも、まだ起きてなかったらボクも隣で二度寝しちゃいそうだ』




~ビスマルクの場合~

『グーテンモルゲン、良い朝ね。提督、早く起きなさい』

『提督、貴方も軍人なら時間は守るべきね。もう起床時間は過ぎているわ』

『この私を待たせるとは良い度胸ね。今から起こしに行くから覚悟しなさい!……そんなに眠いのなら、後で膝を貸してあげるわ』




~プリンツの場合~

『フォイヤー!』

『フォイヤーフォイヤー!』

『早く起きないとビスマルク姉さん連れて帰るから。もう一発フォイヤー!』



~ユーの場合~

『提督、朝、です』

『提督、ヤーパンは時間に細かいって聞いてたけど、違う?』

『あさだち? を、処理したら提督は起きられるの? 合ってる?』




※お手持ちのユーちゃんはこんなこと言いません。

~川内の場合~

『提督、朝だよ。私だってちゃんと起きてるんだから、ほら起きて』

『何? まだ寝てるの? ははーん、さては昨日夜戦したんでしょ? いいのいいの、隠さなくっても』

『やっぱり夜戦はいいよねー。提督、今から行くから私と夜戦、する?――って今は朝か。朝戦って、あるの?』




~神通の場合~

『あの、朝です。提督、起きて下さいね?』

『提督、起床時間を過ぎています。起きてもらえないと、その……困ってしまいます』

『昨日は寝るのが遅かったのでしょうか……。提督、早く寝るには、適度な運動が効果的ですよ。今から、お誘いしに行きますね』




~那珂の場合~

『艦隊のアイドル! 那珂ちゃんの目覚ましボイスだよっ、キャハ! 提督、早く起きて那珂ちゃんに会いに来てね?』

『那珂ちゃんはーアイドルだからースケジュールを守ってくれなきゃ困っちゃうんだよー?』

『仕方無いなー那珂ちゃんスマイルを朝一番に見たいなんてすっごく贅沢なんだよ? 次からはーちゃんと予約しておいてね? 色々予約特典付けて、あ・げ・る、キャハッ!』

・ヴェールヌイ『ハラショー、これは良い湯だな』、投下します

やっぱり姉妹

「司令官」

「んー?」

「どうして頭をポンポンしてるんだい?」

「髪を上げてるのが珍しかったんで手が勝手に、な」

「……司令官は髪を触るのが好きな変態さんなのです」

「グサッと来るからやめろ」

「冗談だよ、電に似ていただろ?」

「よく似てたぞ。二人から言われたみたいに思えて余計にキツかったぐらいには」

「そう拗ねないでくれ司令官。本当にそう思っているなら、こうして一緒に温泉に入ったりしないさ」

「――なぁ、ヴェールヌイ」

「何だい?」

「前は恥ずかしいって一緒に入るの嫌がってたよな?」

「そんな時もあったね」

「何で入ろうと思う気になったんだ?」

「見られても恥ずかしくなくなったからだよ」

「……普通、逆じゃないか?」

「未成熟な子供の身体を見て司令官が興奮するというなら、見せたかもしれないな」

「割と本気で悩んでる問題だからやめてくれ」

「……こうして意識してしまうと、流石に恥ずかしいな」

「ここに帽子は無いから、顔が赤いのは隠せんぞ」

「――司令官」

「何だ?」




「今にも逆上せそうだ」

「今すぐ上がれ、そんなハプニングはいらん」

「――どうだい、司令官」

「くるっと回ってポーズを決めたのが可愛かったな、もう一回」

「……夕食の準備が出来ているだろうから、早く戻ろう」

「浴衣姿も可愛いぞ」

「司令官、どうしても廊下で寝たいというなら止めはしない」

「照れ隠しに部屋を追い出そうとするのはやめろ。凍え死ぬ」




「ハラショー、コイツは料理人の腕を感じる」

「一応どっかの爺さん行きつけの旅館だからな。サービスから何から何まで一流だ」

「司令官、マグロとイカを交換しよう」

「別に構わんが」

「交渉成立だね――じゃあ、はい」

「……お前、交換がしたかった訳じゃないだろ」

「何の話だい? とりあえず、早く口を開けてくれると助かる」

「分かったよ、ほら」

「――うん、新鮮で美味しいな」

「・・・・・・仕返しか、おい」

「どうしたんだい、司令官」

「俺もしてやろうと思ったが、やらなくていいな」

「司令官、心の狭い男は嫌われるよ」

「嫌いか?」

「そう聞きながら準備する司令官は、嫌いじゃない」

「……ほら、イカだ」

「スパシーバ」




――――すぅ……すぅ……。

 ――――(二人きりになると途端に甘えてくる辺りは、姉にそっくりだな)

――――流石にそれは……恥ずかしいな……すぅ……。

 ――――……寝言、だよな?

~高雄の場合~

『提督、起床時間です。本日はどういたしましょう』

『えーっとえーっと、高雄、まだ待機していた方がよいでしょうか?』

『私の秘書艦日が、今日で良かったわ。提督、今から起こしに参ります』




~愛宕の場合~

『ぱんぱかぱーん! 提督、朝ですよ~』

『提督、ちょっと起きるの遅すぎじゃないかしらー?』

『んもぅ、提督ったら意外とお寝坊さんなんだから。新妻ルックで起こしに行くから、待っててくださいね?』




~摩耶の場合~

『おい、朝だから起きろ』

『チッ、起きろって言ってんだろ、クソがっ!』

『よーし、あたしに喧嘩売ってんだな? 今から起こしに行くから覚悟しとけよっ!』




~鳥海の場合~

『司令官さん、起きて下さい。朝ですよ?』

『私の計算では、これ以上寝ていると艦隊運営に支障が出てしまいます』

『この時間まで寝ているということは、司令官さんは相当お疲れなんですね。明石さん特製栄養ドリンク、お持ちします』

1のオリョクルが終わったら潜水艦スレは立てます、ちょっと今は余裕が無いので…

名前が決まらない…

空母水鬼→クウカク、スイカク

港湾棲姫→コー、ポー

レ級→レッちゃん、レッちん

良いのがあれば書いて頂けると採用するかもしれません

全員手のひら、妖精さんも手のひら

ほっぽは普通はコピーを飛ばす艦載機のオリジナルを飛ばして遊んでます(触れた艦載機は自由に飛ばせる)

クーやスイだとかぶりが発生するので悩み中です…(駆逐棲姫がクー、戦艦水鬼も出るかもしれない)

一日悩んだ結果

空母水鬼→スイカク

港湾棲姫→わんこ(愛称)、ポワン(自称)

レ級→レキ(通称)、レッキー(漣や金剛など)

御協力ありがとうございました、続き書きます

・空母水鬼&翔鶴『被害担当深海棲艦』 、投下します

五航戦が三人

「空母水鬼だから……スイ?」

「翔鶴姉、それだと似た名前の子が来たら紛らわしくない?」

「“子”トハ何ダ。子供扱イハヤメテモラオウカ」

「だって、アンタ達ちっこいし」

「黙レ、オ前ノ方ガ子供ダロウ」

「何ですって!?」

「瑞鶴、喧嘩しちゃダメよ?」

「だってコイツが私のこと子供って言うから……」

「ソウイウトコロガ子供ダト言ッテルンダ。モウ少シ落チ着キヲ持テ」

「ふふっ、瑞鶴に子供っぽいところがあるのは確かね」

「翔鶴姉までやめてよ、私もう子供じゃないってば」

「拗ネル辺リ、ヤハリ子供ダナ」

「何よ、鳥に追われて泣きべそかいてたのを翔鶴姉に助けられた癖に」

「誰モ泣イテナドイナイ。アノ程度、嵐ニ巻キ込マレタリ、漁船ニ轢カレカケタノト比ベレバドウトイウコトハナイゾ。全ク、何故私バカリガアンナ目ニ……」

(やっぱりコイツ、ちょっとだけ翔鶴姉に似てるかも)

「――スイカク」

「? 翔鶴姉、何?」

「その子の名前、スイカクっていうのはどうかしら?」

「翔鶴姉がいいって言うなら私はいいけど、アンタは?」

「スイカク、カ……何故カハ分カラナイガ、ソノ名ニ抵抗ハナイ」

「じゃあ決まりね、貴女は今日からスイカクよ。よろしくね、スイカク」

「名ヲ貰ッタコトニハ感謝シテオクガ、馴レ合ウ気ハ無イ。ソコハ勘違イシナイデキャンッ!?」

「五航戦の二人、空母水鬼を提督のところに連れて行く時間は既に過ぎて――?」

「ウゥ……痛イ……ドウシテ私バッカリ……」

「加賀さん、毎回だけどノックしてから入って来てくれない?」

「気配で私が来るのを気付けないようではまだまだね」

「スイカク、大丈夫?」

「大丈夫ナ、訳ガ、無イダロウ!」

「涙目で地団駄踏む翔鶴姉ってあんな感じなのかな?」

「また手のかかる子が増えるというの? 大概にして欲しいものね」

「手ニ持ツナ! 私ハ一人デモ大丈夫ダ!」

「その調子だと提督の執務室に着くまでに猫に追いかけられてしまいそうだけど、いいの?」

「……今回ダケダゾ?」




――――見た目が翔鶴で中身は二人を足した感じか、面白いな。

 ――――コンナ奴等ト一緒ニスルナ。

――――うふふ、スイカクったら。

 ――――(むぅ……)

――――(本当に、手間が増えそうね……)

~伊勢の場合~

『提督、朝ですよ。航空甲板も朝日浴びてピッカピカ!』

『まだ寝てるの? 寝入りが悪いなら運動がてら刀の素振りとかってどうかな? いける?』

『提督が寝坊ってどうなのさ日向――っていない!? 何でこんな時だけ素早いのよ、私が起こしに行くから日向はここで待っててってば!』




~日向の場合~

『提督、起きる時間だ』

『これからは早寝早起きの習慣が大事だな』

『君、まだ寝てたんだ。私に出来る範囲は済ませておいたから、後は自分でちゃんとやるんだぞ?』




~扶桑の場合~

『提督、朝ですよ。起きて下さいね』

『少し今日は寝坊されているのかしら? 妹の山城共々、待機しておきますね』

『あのー……提督? 提督ー?――扶桑、ここに待機しています。貴方の側に、これからもずっと……』

~陽炎の場合~

『おはよ司令、起きる時間になったわよ』

『司令、まだ寝てるの? あまり遅いと怒るわよ』

『司令、司令ったら!……ふんっ、いいわよもう……起きたらいっぱい話したいことあるから、付き合ってよね』




~不知火の場合~

『司令、起床時間です』

『不知火の起こし方に、何か落ち度でも?』

『やはり何か落ち度が……司令、ご指導ご鞭撻、よろしくです』




~黒潮の場合~

『司令はん、朝やで。起き~や~』

『司令はんはお寝坊さんやなぁ。ぼちぼち起きんとあかんよ~?』

『まだ寝とんのかいな、しゃあないなぁ。司令はん、一つ貸しやで?』

~島風の場合~

『提督起きるのおっそーい!』

『提督、まだ寝てるの? 私、待つのあんまり好きじゃないよ……?』

『おっそーい……おっそーい……遅いなぁ……ね、連装砲ちゃん。――アレ? 今何か爆発しなかった?』




~天津風の場合~

『あなた、朝よ? 起きなさい』

『島風も待っているわ。あの子が寂しがるから、早く起きて』

『あ・な・た? 島風が待っているって言ったの、聞こえなかった?――連装砲くん、ゴー』

「司令官、皆さんが司令官としている夜戦というのは具体的にどうすればいいんでしょうか。朝潮、いつでも受けて立つ覚悟です!」

「朝潮、とりあえず食堂でその話題はやめような。何人か大惨事になってるから」

 ――大井っちー、大丈夫?

 ――那智姉さん、どうしたの?

 ――村雨姉さん、大丈夫ですか?

 ――曙、はい、水。

 ――摩耶姉さん、ご飯粒を飛ばさないで下さい。

 ――利根姉さん、お茶です。

 ――山城、大丈夫?

「? では、この後司令官の部屋で教えて下さい」

(……刺さる視線と哀れみの視線と頑張れって視線が混じってるが、俺にどうしろってんだ)




 朝潮食堂夜戦発言事件。被害者は七名。加害者である朝潮がその意味に気付き、暫く食堂に立ち寄るのを控えるようになったのは、言うまでもない。

導入部のみ、続きは書けたらで

~加賀の場合~

『提督、朝食の用意が出来ています、起きて下さい』

『まだ寝ているの? 流石にそろそろ支障が出ます』

『また三週間寝続けるつもりですか?――まぁ、私の膝の上ならそれでもいいけれど』




~赤城の場合~

『提督、朝ごは――いえ、朝です。起きて下さい』

『一航戦赤城、如何なる状況にも即座に対応出来るよう、備えておきますね』

『提督が安心してお休みになっていられる平和な世界……私達が、これからも守ってみせます。――寝顔を眺めるぐらいの役得はあっても、いいですよね?』




~蒼龍の場合~

『提督、朝です! 早起きなら飛龍にも負けません!』

『あのー、そろそろ起きてくれないと朝御飯が冷めちゃうから……』

『やだやだやだぁ! 折角早起きして作ったのに食べてくれなきゃやだぁ!』




~飛龍の場合~

『提督、朝です。起きて顔洗ってきてね』

『ねぇ多聞丸、寝坊って軍人としてどうだと思う?』

『めっ! 早く起きないと蒼龍が拗ねちゃいますから!――それに、あんまり寝坊してるとまた物が提督に飛んでくようになるかもしれませんよ?』

~長門の場合~

『提督、起きる時間だ』

『疲れているのか? 分かった、このビッグセブン長門に任せておけ』

『私のコレクションを一つ貸そう、コレを抱いて寝ればよく眠れるはずだ。――なっ!?……私の抱き心地は、あまり良くないと思うのだが……』




~陸奥の場合~

『提督、朝よ? ちゃんと起きてきてね』

『夜更かしはお肌の大敵、提督もあまり遅くまで起きてちゃダメよ?』

『あんまり起きるのが遅いと……勝手に火遊び、始めちゃうかもしれないわよ?』

「では、お願いします!」

「いや、お願いしますって言われてもな……」

 ソファーに背筋を正して座り、指南を待つ朝潮。その真っ直ぐで純真な瞳に見つめられるのに堪えかね、提督は視線を逸らす。
 しかし、そうしたところで状況が改善するわけでもない。今後のことも考え、“夜戦”とは何なのかを説明する良い機会なんだと自分に言い聞かせ、彼は話すことにした。

「あー……朝潮、お前の言っている“夜戦”っていうのはな――」




「……」

「……」

 一通り夜戦についての説明が終わった後、訪れた長い沈黙。話が進むにつれ次第に俯いていった朝潮の顔は、今は熟れたトマトのようになっている。
 対する提督も、そんな彼女にどう言葉をかけていいものやらと頭を悩ませていた。

「――あの」

 先にこの沈黙を破ったのは、朝潮の方だった。依然紅潮している顔を勢い良く上げ、提督を真っ直ぐ見つめる。

「ご、ご命令とあらば、司令官との夜戦も、うっ、受けて立つ覚悟でしゅっ!」

(噛んだことにすら気付かないほどテンパってるな。さて、本格的にどうしたもんか、この状況)

 彼女が提督とケッコンカッコカリしてから数年。着任から数えれば、更に数年の月日が経過している。
 それだけの年数が経過しているということは、見た目が多少幼くとも、内面は十分に成長していたとして何らおかしくはない。
 これは朝潮だけに限らず他の多くの駆逐艦娘にも言えることであり、だからこそ提督は安易に断ることも受け入れることも出来ずにいた。

「や、夜戦がそういった意味だというのはたった今知りましたが、知識が無いわけでありません。ですから、その……本当に司令官となら、私は……」

「――朝潮」

「は、はいっ!」




「一緒に風呂、入るか」

 ちょうど良い温度の湯に浸かりながら、提督は浴槽に背を預けゆったりと寛ぐ。
 一方の朝潮はというと、借りてきた猫のように大人しく身を預けていた。

「朝潮、体勢しんどくないか?」

「大丈夫、です」

「……うりゃ」

「ひやっ!?」

 脇腹を軽くつつかれ、ビクリと身体を震わせる朝潮。この状態で夜戦に挑むなど到底無理だなと思いつつ、提督は苦笑する。

「司令官、い、今のはどういった意図があっての行為なのでしょうか」

「ただのイタズラだよ、そう構えなくても大丈夫だ」

「そ、そうですか」

「……なぁ、朝潮。怖いなら無理するな。別に今でなきゃいけない訳じゃない」

「いえ、かっ、覚悟は出来ています!」

「そうか。じゃあ――」

「っ……!」

 提督の腕が動くのに反応して、朝潮はギュッと目を瞑り、身を強張らせる。
 しかし、彼女に訪れたのは優しく包み込む様な感覚であり、若干の戸惑いと共に目を開いた。

「ゆっくりでいいんだ、ゆっくりで。ちゃんとお前のペースに合わせるから」

「司令官……んっ」

 ようやく力が抜けてきた朝潮の身体を抱き締めたまま、提督は見上げる彼女にそっとキスをする。
 それは、二人が逆上せかけるまで何度も何度も繰り返されるのだった。

ここで文章は途切れている…続きはもう少しお待ちを

今更ですが、朝潮『司令官と夜戦とはどういう意味なのでしょうか?』(R18風) 、最後の1レス投下します

 暖まった身体を冷やさないよう、二人は風呂を上がり身体と髪を乾かすと、早々にベッドへと一緒に入る。
 そのまま提督は寝ようと思っていたのだが、“もう少し続きをお願いします”という消え入りそうな声と、胸元を握る小さな手に阻まれることとなった。

「焦るな、って言ったはずなんだが?」

「……です」

「?」

「――好き、です」

 不意打ち、そう言い表す他に無かった。彼女の口からその単語が出たのは、これが初めてだ。
 最初に抱いたのは尊敬、それは次第に敬愛へと変わり、数年を経て正に今、自分の中で確かな愛情へと変わったのを朝潮は感じていた。
 だからこそ、そのたった一言に籠められた想いはとても強く、提督にもそれがしっかりと伝わる。

「……これだけは先に言っとく。俺はロリコンじゃない」

「ろり、こん?」

「分からんなら気にしなくていい。とにかく、だ。無理だと判断したらやめる。それでいいな?」

「はい――んっ」

 まずは、風呂場で何度もかわしたキスの続きから始める。一つ違うのは、今度は朝潮の方からも積極的に求めるようになっていることだ。
 たどたどしくも、懸命に、胸の奥から溢れてくる気持ちを伝えようと、息をするのも忘れて唇を突き出す。

「――っはぁ、はぁ……」

「朝潮、俺は逃げ――」

 言い切る前に、朝潮の唇は提督の唇へと再び重ねられる。
 息が苦しくなれば離れ、また息を吸い込み重ねる。それを幾度となく繰り返し、お互いの唾液がそっくりそのまま交換されたのではないかと思えるようになって初めて、彼女は一呼吸置いた。

「――満足、したか?」

 その問いかけに答えは無く、代わりに提督の両頬に朝潮の手がそえられる。
 そして、再び軽く唇が触れるようなキスをした後、にっこりと笑ってから――ストンと、眠りに落ちた。

(凄く満足そうな顔して寝ちまったな……初霜みたいに、朝潮も明日から物凄く甘えるようになったりするかもしれんのか……まぁ、今更悩むほどのことでもないな)

「――お休み、朝潮」




――――朝潮、起きた。起きたから一回ストップ。

 ――――何秒待機すればいいでしょうか?

――――何秒とかじゃなくてな? 着替えて顔を洗って朝食をだな……。

 ――――……ダメ、ですか?

――――(……前言撤回、これはかなり大変になりそうだ)

・漣&曙『二人で覗いたらどうなるのかなっと』(R18)、投下します

「漣、いつものふざけた感じはどうしたのよ」

「いやぁ……見ない、でっ……」

「クソ提督に気持ち良くされて、感じてるの?」

「ごしゅじっ、さまぁ……止めて、下さいっ……!」

「見られて興奮してる癖に、素直じゃないってあたしに言ってたの誰だっけ?」

「ごめっ、なさい……だから、見ないでっ!」

「嫌よ、そのままイクまでずっと見ててあげる」

「っ……あんまり調子にっ、乗ると、ぶっ飛ばし、まふあぁっ!?」

「調子に乗るってこういうこと? クソ提督に掻き回されて、あたしに敏感な場所を触られて、だらしない顔して言ってても迫力なんかこれっぽっちも無いわ」

「んあぁあっ!? 御主人様、御主人様あっ!」

「グチョグチョいやらしい音させて、もうイキそうなの? そんなにイキたいならもっと手伝ってあげる」

「そこっ、こね回しちゃだめ、だめぇぇぇぇっ!」

「クソ提督のをキツく締め付けて、そんなに中に出して欲しいの? だったら望み通りいっぱい出してもらいなさいよ」

「もっ、ダメ、イク、イクぅぅぅぅ――」




「轟・天・爆・砕!――ふぅ、悪は滅びましたねー」

「……」

「曙? 曙ちゃーん? ぼのぼのー? 今日の下着は――」

「どさくさに紛れてスカート捲んなこの馬鹿漣っ!」

「ウェイト、ウェイトです曙。放心してたから仕方無くやっただけですよ?……ピンク」

「さぁぁぁぁざぁぁぁぁぁなぁぁぁぁぁぁみぃぃぃぃぃっ!」

「ぶっ飛ばすのは好きですけどぶっ飛ばされるのは好きじゃないんですよねーって訳で御主人様のところにダッシュ!」

「待てって言ってんでしょこの馬鹿なみー!」

「磯波達の悪口、いくないよ曙ちゃん?」

「アンタのことに決まってんでしょー!」




――――鏡は永久に封印されました。

「北方」

「ンー?」

「誰モ、取ラナイ。ユックリ、食ベヨウ」

「ンー、ムグムグムグムグ」

「取ラナイト、言ッテイルノニ……」

「コラ、ソレハ私ノ菱餅ダ! 返セ鳥! 返セト言ッテイルダロー!」

「モゴモゴ」

「レキちゃん……あの……指をね?」

「……モゴモゴモゴモゴ」

「ひゃあぁぁぁっ!?」




 北方の菱餅を盗った提督は素直に出てきなさい。戦艦のNさんと空母のHさんが話があるそうです。

気弱系、駆逐艦、お茶にいたしましょうか、しばふ

寝ぼけて間違えました、お茶にいたしましょうかじゃなくて有給をいただいてもいいでしょうかの子です…

・五月雨『平凡な私の日常』、投下します

夕張特製音爆弾

「おはよ五月雨」

「涼風おふぁよぉ~」

「顔洗って目覚ましてきなよ」

「うん、そする……」




 ――ちょっ、まっ!?

 ――……アレ?

(あちゃートイレと間違えたか。とっととドアの鍵直してもらわないとなー)




「五月雨、醤油を取ってよ」

「えぇーっと、コレかな?」

「ありが――五月雨、コレはソースだね」

「アレ? あっ、こっちだ」

「そっちは濃口、うす口を出してくれるかな?」

「わわっ、えーっと……あった!」

「五月雨、それはめんつゆ……」




「夕張さん、遊びに――」

「ストップ! 五月雨ちゃんストップ!」

「え?」

(コードよし、部品よし、危険物は所定の位置に入れてるからよし!)

「お待たせ五月雨ちゃん。で、今日はどうしたの?」

「夕張さんと遊びたくって、何か面白いもの無いですか?」

「五月雨ちゃんが遊べそうな物かぁ……ちょっと待っててもらえ――っていない!?」

「夕張さん、これ何ー?」

「あ゛っ……さ、五月雨ちゃん、それをゆっくりと置いてこっちに戻ってきて、ね?」

「はーい。――あっ」




――――この後二人で耳が聞こえなくなって入渠した。

「まだちょっと耳がキンキンするなぁ……あっ、比叡さん」

「ちょうどいいところで会いました! 五月雨、今日も一緒に料理に挑戦しませんか?」

「今日は何を作るんですか?」

「ビーフシチューです」




「気合い! 入れて! 作ったはずなんだけどなぁ……あれぇ?」

「出来ちゃいましたね、美味しいカレーが……」

「――五月雨、そこにあるルウってカレーのじゃないですか?」

「え?……あっ」

「な、何はともあれ美味しくは出来ましたし、一緒に食べましょう!」

「そ、そうですね!」

((……はぁ))




(何だろう、今日私何かを忘れてるような気がするんだけど、何だっけかなぁ?)




「――俺、五月雨に嫌われるようなことしたか……?」




――――フタサンサンマルに気付きました。

※よくお読み下さい

・リクエストは明日のヒトフタマルマルに3つ、フタフタマルマルに3つ受け付けます(朝霜は知らない子)

・どちらの時間も1~6番目のレスの中から、3つをランダムで選びます(サイコロ振ります)

・同じ艦娘が選ばれた場合、内容のリクエストが無ければ下にずらします

・夜戦に関しては前に書いた制限に加えて、大鯨・雲龍・時津風とケッコンカッコカリしている艦以外は現状では受け付けません、朝潮のように途中までになることもあります

以上、全てエタらない為の措置とご理解下さい

調理中です、一応食卓じゃないよってことでめんつゆ最後に入れときました

(九州の醤油って甘いよね)

~吹雪の場合~

『司令官、おはようございます! 朝です!』

『朝御飯も出来ていますよ、司令官。もうそろそろ起きて下さいね』

『司令官、とにかく一度起きてください。もう少し寝るなら、中庭かどこかでひなたぼっこしながらにしませんか?』




~白雪の場合~

『司令官、起床のお時間です。起きて下さい』

『少々いつもより起きられるのが遅いようですが、お疲れなのでしょうか?』

『フライパンで弾幕張ります。騒音にご注意下さい』




~初雪の場合~

『朝、です……起きて』

『起きないの……? まっ、いっか』

『ズルい、私も寝たい……横、お邪魔します……ふぅ、お休みなさい』




~深雪の場合~

『司令官、朝だぜ! とっとと起きて一緒に飯にしよっ!』

『何だまだ寝てんのか? せっかく深雪さまが起こしてやってるってのに、しょうがねーなー』

『喰らえっ! 深雪スペシャル!――アレ? 司令官? おーい……しまった、また寝ちまったよ』




~磯波の場合~

『あの、朝です。起きて下さいね?』

『あっ、あの、そろそろ、起きて下さいませんか……?』

『うぅ、まだ寝てるんですね……おっ、起きて?』



~叢雲の場合~

『朝よ、起きなさい』

『まだ寝てるの? だらしないわね、いいからさっさと起きなさい。酸素魚雷を喰らわせるわよ』

『頑張れとは言ったけど、アンタは限度ってものを知らないの?……今日からは、起きられる程度に頑張んなさい』



~綾波の場合~

『司令官、おはようございます。気持ちの良い朝ですねー』

『朝ごはんの用意、出来ていますよ。今日は玉葱とうす揚げの味噌汁にしてみました』

『白雪ちゃんに教わったアレ、試してみましょうか。せーのぉ――み、耳栓忘れてましたぁ……』



~敷波の場合~

『あっさでーす。おっきてー』

『とっとと起きてよ、あたしも忙しいんだけど』

『うわっ、熟睡してる……司令官、頑張りすぎは良くないよ。まっ、ゆるゆる行こうよ。あたしも力になるし、ね?』

提督と元帥がケンカ(割りと下らないこと)

お互いの第一艦隊で演習、指揮力で勝負になる。

加賀「この間のリベンジです」と割りとノリノリ

どっちが勝ってもめんどくさいので卯月が影から頑張って引き分けに持ち込む

卯月視点でお願いします。

一秒未満が二人も居るんだけど・・・

「やったわ浦風、私と浦風の話がリクエストされたわ!」

「姉さん、まだリクエストされただけじゃけぇ。ダイスの結果次第で選ばれんこともあるんよ?」

「大丈夫よ、私ももう不幸体質は薄れてきてるし、きっとダイスの女神も私達に微笑んでくれるわ」

 ――開幕を告げよう。

 ――第一投! 開幕直後ニ鮮血乱舞! 烏合迎合ノ果テ盟友ノ奮戦ハ荼毘ニ伏ス! 回セ回セ回セ回セ回セ回セ回セ回セ回セー!

「……何、このうるさいダイス」

「夕張さんがお遊びで作った言うとったよ……?」

 ――2!

「結果の言い方は案外普通なのね」

「それが分からんと意味無いけぇね」

「さぁ次よ、まだ二回もあるし希望はあるわ」

 ――第二投。提督のリクエストを掴むのは私デース! バァァァァニング・ロォォォォル!

(何やってるのよ金剛)

(そういえば協力したって金剛姉さんが言うとったなぁ……)

 ――4デース!

「外れ……ま、まだ一回残ってるわ。きっと大丈夫よね」

(うちはもう諦めとるよ、姉さん)

「最後の一回……お願い!」

 ――サイコロなんぞ、振ってんじゃねぇ!!

「全否定ね」

「全否定じゃねぇ」

 ――6!

「2、4、6……ダメ、だったわね」

「姉さん、元気出すんじゃ。また次があるけぇ」

「提督も最近浦風の可愛さを伝えても苦笑いしかしてくれなくなったし、不幸だわ……」

(“一時期の山城を思い出す”ってため息吐いとったねぇ提督さん。――でも、可愛いのはもう分かってるって言って貰えたんは、ぶち嬉しかったなぁ)




 浦風のする話の比率は大鳳のことが大半だと提督が心の中で思っているのは、内緒である。

・早霜&軽空母『那智さんだけのはずだったのだけど……』

・蒼龍&ほっぽ『飛龍だけズルい』

・赤城『雪……』

・川内&??『夜戦!?』

・陸奥『駆逐艦の子にお化粧を』

・卯月『司令官』

以上六つでお送りします

「ここで弾薬とボーキを2消費して赤城さんの“一航戦の誇り”発動! 流星のダメージプラス2!」

「む……燃料1消費して、舞風の“踊らない?”、発動。コインが表なら回避――表、回避します」

「嘘でしょ!? 弾薬無いし、ターンエンド……やっぱこのデッキ重すぎるのかなぁ……」

「私のターン、いきます。弾薬と鉄を2消費して吹雪を改二に改造、吹雪改二が旗艦の時、第十一駆逐隊の砲撃と雷撃ダメージプラス1。吹雪改二、白雪、私、叢雲で旗艦の夕張を弾薬4使って砲撃。弾薬を更に1消費して白雪の“弾幕張ります”で回避を一回無効化、残りの弾薬を全消費して私の“本気出す”も発動。必中ダメージプラス2。第十一駆逐隊が揃ってるから叢雲の“私の前を遮る愚か者め!”を発動、かばう無効。次ターン動けないけど、これで止めだし問題ない……」

「回避判定二回、一回だけ成功で……あーもうどのみち私の負けよっ! 吹雪改造からのオーバーキルコンボやめてよ初雪ー」

「やるからには、最後まで本気出す」




 もう少しバランス調整できたら販売予定。




~続かない~

・早霜&軽空母『那智さんだけのはずだったのだけど……』、投下します

酒があまり飲めないので詳しくはない、バーはよく行くけど

「テキーラ!」

「隼鷹、アンタねぇ……」

「飛鷹さんは、どうされますか?」

「一杯目だし、私には何か軽いのお願い出来る?」

「はい、他の皆さんは?」

「じゃあカルーアミルクにしよっかな」

「私はモスコミュールを」

「うちにはフルーツ系で何か作ってぇな」

「カクテルはあまり詳しくないので、早霜ちゃんにお任せします」

「私もテキーラにしようかしら」

「千歳お姉まで……あっ、私はカンパリオレンジね」

「分かりました。少し、待って下さいね」

(フッ……フフ……普段話さない人が、こんなにたくさん……)

「鳳翔さんとこだと日本酒が基本だし、色んなカクテルも飲めるってのは嬉しいねぇ」

「いきなりテキーラ頼んどいて何言ってんのよ」

「お酒を出してもらうのって、何だか新鮮ですね」

「鳳翔は全部飲み干さんようにしぃや?」

「でも、何で早霜ちゃんがバーなの? 千歳さんか那智さんとかが趣味で始めるなら分かるけど」

「那智さんがカクテルにも手を広げようとしていると聞いたから、試しにネットを見ながら作ってみたのがきっかけで……気付いたら、このバーが……フフ……バーって、こんな簡単に作れるものなのね……」

「へ、へー……」

「(ねぇ祥鳳お姉ちゃん、那智さんの意図は何となく分かるけど、早霜ちゃん大丈夫なのかな?)」

「(少なくとも手際は良さそうだし、大丈夫……と、思いたいわね)」

「こうしてステアしていると、不思議と気持ちが落ち着くのは何故かしら? フフ……ンフフ……」

「(大丈夫だよね? 本当に大丈夫だよね!?)」

「(ちょっと不安になってきた……)」

「ヒャッハー! もう一杯!」

「じゃあ私もお願いしようかしら」

「カクテル飲みなさいよ、カクテルを」

「千歳お姉、張り合うのやめて」

「今、入れますね。……はぁ、どこかに、美味しいサングリアは無いかしら……」

「サングリアなら鳳翔の店に作らせたんがあるで。うちが飲みたい言うて――って早霜飲めるんか!?」




 鳳翔の作ったサングリアをチビチビ飲みながら、今日も人見知りを克服しようと早霜は頑張っています。

・蒼龍&ほっぽ『飛龍だけズルい』 、投下します

「こんにちは、ほっぽちゃん」

「オ菓子、オイテケ!」

「マフィン作ったけど、食べる?」

「マフィン、オイテケ!」

「ほっぽちゃん、欲しいときは置いてけじゃなくてちょうだいって言うのよ?」

「チョー、ダイ? チョーダイ、チョーダイ……マフィン、チョーダイ!」

「はい、良くできました。マフィンどうぞ」

「モキュモキュモキュモキュモキュモキュングッ……蒼龍、モウ一個オイテ――チョーダイ!」

「はいはい、マフィンは逃げないしいっぱいあるからゆっくり食べようねー」

(手触りモチモチ、モキュモキュ食べるのも可愛いなぁ……)

「食ベタ! 蒼龍、レップウ!」

「はいはい烈風、ってはやっ!? もう食べちゃったの?」

「レップウ! レップウ!」

「ほっぽちゃん、分かったから身体をよじ登らないで? ね?」

「――肉マン?」

「それは食べ物じゃないから食べないでくれると嬉しいなぁ……」

「蒼龍、飛龍ハ?」

「飛龍は後から来るって」

「ソッカ。飛バスノ、イッパイノホウガ、タノシイ」

「そうだね、じゃあ皆の予定が揃ったら一度空母全員で飛ばしてみよっか」

「ホント!? 嘘ツイタラ、蒼龍ノ肉マンオイテケ!」

「あはは、それはちょっと無理だけど……うん、約束する」

「ウン!」

(あー……ほっぽちゃん可愛いなぁ、こんな子供欲しいなぁ……)

「蒼龍、墜チル」

「へっ!? うわわっ!」

「蒼龍、飛バスノ、ヘタ?」

「そっ、そんなことないよ?」

「ジャア、何番目?」

「じゅ、十本の指には入るかなぁ……」

「ソレッテ、スゴイ?」

「う、うん、凄い凄い! あ、あはははは……」




――――飛龍、飛龍ハ何番目?

 ――――ん? 何の話?

――――ひ、飛龍には負けてないからっ!

~おまけ~

「イラナイト、言ッテイルノニ……」

「わんこ、食ベテ!」

「ダカラわんこデハナイト、言ッテイルダロウ」

「マフィン、美味シイ!」

「北方、私ハイイ。自分デ食ベロ」

「わんこ、ズット見テルダケ。一緒ニ遊ベバ、楽シイヨ?」

「私ハ見テイルダケデ――北方、人ノ話ヲ聞ケ」

「わんこモ遊ボ! セツブンッテ遊ビ、コノ前覚エタ!」

「ソレハ遊ビデハ無イシ、わんこデハ……分カッタ、私ノ負ケダ。少シダケダゾ?」




――――付キ合ワセテスマナイ……。

 ――――このビッグ節分鬼長門に遠慮は無用だ。わんこも全力で来い!

――――エイッ! エイッ!

 ――――(高速修復材、また頼まないといけないかしら……)

・赤城『雪……』、投下します

実は一人じゃなかった

「うん、上々ね」

「――フラッと執務室から出ていったと思ったら、かまくらなんか作ってたんだな」

「提督、一緒に入られますか?」

「一航戦がサボりの誘いか?」

「はい、サボっちゃいましょう」

「……そうだな、こう寒いとやる気も出んし、そうするか」

「では、いざかまくらです」

「今、少し言うの恥ずかしかっただろ」

「そういうツッコミは……いりませんよね?」

「いる」

「いりません」

「必要だ」

「不要です」

「……やめよう、不毛だ」

「そうですね、入りましょう」




「雪だるまです。二人とも仕事しろ、とか言いません」

(最近、霰が何を考えてるか本気で分からなくなってきたわ……)




 かまくら、雪だるま、雪だるま、雪だるま、霰だるま。

「それで、かまくらでどうするんだ?」

「そろそろ来られると思います」

「来る?」

「はーいお待ちどおさまー」

「お待ちしてました間宮さん」

「お前、かまくら作ってただけじゃなかったのか……」

「お餅と悩みましたけど、お正月にいっぱい食べたので甘酒にしていただきました」

「ではごゆっくりー」

「後で加賀に確実に怒られるぞ、コレ」

「ふふっ、今更です」

「――酒とは付いてるが、コレだけは普通に飲める」

「身体が芯から暖まりますね」

「ジョッキじゃないのか?」

「甘酒をジョッキで飲むような女性が提督は好みなんですね、次からそうします」

「冗談だ、流石に引く」

「……」

「? どうした?」

「酔いました」

「随分と意識のはっきりした酔っ払いだな」

「肩、お借りしますね」

「聞くならせめて聞いてから借りろ」

「甘酒、美味しいです」

「……そうだな」

「飲み終わったら一航戦赤城、寝ます」

「寝るな」




――――赤城さん、かまくらを作って甘酒を飲んで昼寝をしていたそうですね。

 ――――サボる一航戦……いえ、知らない一航戦ですね。

・川内&??『夜戦!?』、投下します

疾風のように現れて、疾風のように去っていく

 ――冬の静かな夜、鎮守府裏の山に二つの影が走る。
 速度は互角、双方一定の距離を保ちながら、障害物の多いこの場所を縦横無尽に駆けていく。

(コレは久しぶりに骨があるかも、ちょっと変わった格好してるけどちっさいし駆逐艦娘かな?)

 白いマント、白い服、白いスカート、白い靴、白い仮面、白いマフラー、三日月のマークの付いた白い帽子というなかなか目立つ上に奇抜な出で立ちの少女。
 体躯に見合わぬ身体能力と持久力から、相当な練度の駆逐艦娘だと川内は推察する。

「……さ……んて」

「?」

 微かに聞こえた少女の声。そこに感じた小さな違和感に思考が回るのを押し止め、目の前の不審者を追うことに集中する。
 そもそも、ステージで使ってから気に入り、“何かそれっぽいから”という理由で愛用するようになった目を覆うタイプの仮面を着けた川内も不審者に見えなくもないが、それはそれである。

「そろそろ鬼ごっこおしまい! 顔を見せてもらうよ!」

「っ!」

 懐から取り出したボール状のモノを、相手の進行方向に投げつける。中には強力な粘着剤が入っており、踏めば専用の液体をかけるまで絶対に取れない捕獲用のアイテムだ。
 かなり広範囲に飛び散るので、初めて目にした者が咄嗟に避けるのは非常に難しい――のだが、少女は前からそのボールを知っていたかのように大きく後ろへ跳躍し、避けて見せた。

(おーいいじゃんいいじゃん)

「――でも、コレで詰みだよ」

 跳躍した先に先回りした川内の手刀が、少女の首筋に吸い込まれる――はずだった。

(ちょっ、マジっ!?)

 まるで完全に予測していたかのような身のこなしで追撃すらもかわし、少女は川内の腕を取り投げ飛ばす。

「たっ、とっ、とぉ……驚いた、何者?」

「っ……」

 その驚くべき身体能力とは裏腹に、わたわたと手を振って慌てる可愛らしい様子を見せるが、正体を確認するまでは川内も警戒を解くわけにはいかない。

「言わないってんなら多少怪我させるかもしれないけど、恨まないでよ?」

「……はぁ~」

 深いため息が意味するのは観念したというサインらしく、少女はその仮面を脱ぎ始める。
 そして、出てきた顔を見て川内は納得と驚きの入り交じった表情を浮かべた後――。




「あははははははっ! こんな夜中にそんな格好で何やってんの三日月!」

 盛大に笑うのだった。

「睦月型で劇するの?」

「はい……」

「劇で、その衣装?」

「夕張さんに“三日月ちゃん、三日月が好きならコレがいいよ”って……」

「うん、衣装頼む相手間違えてるよ、それ」

「通気性とか防寒は凄くて、着心地はとてもいいんです」

「でも、見られるの恥ずかしくてこんな夜中に裏山でアクションシーンの練習しなきゃならないのに、本番出来る?」

「……頑張ります」




 成功してしまったので次回以降も決まってしまい、三日月の月光仮面姿が時折夜の裏山で見られるようになりました。

・陸奥『駆逐艦の子にお化粧を』、投下します

提督ならば化粧品について詳しくても何らおかしくはない

「じゃあ皆、お姉さんの話をよーく聞いてねー?」

 ――はーい!

「まずは悪いお手本よ。これは以前、買い置きの化粧品を使った駆逐艦の子を撮影した写真」

「っ!? す、すすす凄いメイクね、誰だか全然暁には分からないわ」

 ――(アレ、絶対に暁だ……)

「チーク塗りすぎ、アイライン濃すぎ、アイシャドウは何故か緑と紫系、唇はお化けみたいに真っ赤っか、左右でまつ毛の長さが違う等々、失敗の宝庫みたいになってるわ。安いCANM〇KEやSw〇ets&Swe〇tsみたいなメーカーの物だったからいいけど、少し値の張る基礎化粧品から使っていたとしたら、一回で三千円から五千円以上無駄にしてたかもしれないわね」

 ――ご、五千円……。

「ちゃんとしたメイクの仕方を覚えていないと、お肌が荒れてしまうこともあるの。勿論、私達艦娘はそういう面ではかなり得をしているけれど、念には念を入れておいても損は無いわ。恋する女の子は尚更、ね? だから、今はまだ皆には必要ないかもしれないけど、しっかり覚えて頂戴。陸奥お姉さんとの約束よ?」

 ――はいっ!

「じゃあ、今から私が皆を今よりもっと可愛く変身させてあげるわね」

「――で、あぁなった訳か」

「どう? 皆見違えたでしょ?」

「可愛くなりたいとか綺麗になりたいって気持ちがあるってのは良いことだ」

「あらあら、はぐらかしてもダメよ? ドキッとしてたのバレバレなんだから」

「……否定はしない」

「貴方は本当に幸せ者ね。あんな可愛い子達に慕われてるんだもの」

「それも、否定はしない」

「――駆逐艦陸奥、見たくない?」

「長門が可愛がってくれそうだな」

「それは……」

「“悪くないかも”って顔、してるぞ」

「そ、そんなことないわよ?」

「長門お姉ちゃん、とか呼んでみたらどうだ」

「小さくなった時無反応だったし、言っても眉間に皺寄せて心配するだけだと思うけど……」

「まぁ、試すのはタダだから言ってみろ。案外喜ぶかもしれんぞ」

「――それはつまり、火遊びしてくれるってこと?」

「……そうなるな」




――――どうだった?

 ――――……コーヒー噴き出した後、優しく撫でてくれたわ。

・卯月『司令官』、投下します

「卯月、どうした?」

「膝、乗せて欲しいぴょん」

「わざわざ聞かなくても今までは乗ってただろ」

「じゃあ乗りまーっす」

「――卯月」

「んー?」

「コアラみたいに抱き着かれると、書類が書けん」

「うーちゃんは大人しくギュッとしてるだけでぇーっす」

「後で相手してやるからイタズラしてきていいぞ。俺が巻き込まれない範囲で」

「……今日は、司令官とずっとこうしてたいの」

「……分かった」

「ありがとぴょん」

「じゃあ今日は俺がお前にイタズラするか」

「司令官がそうしたいならぁ、いいよ?」

「……冗談だ」

「残念無念ぴょん」

「残念がるなそんなこと」

「卯月、好きな人にしかイタズラしないぴょん。だからしてくれるの嬉しいぴょん」

「くれぐれもそれを外で言うなよ、本当に通報されるから」

「チューしてる時点で手遅れだぴょん」

「それはもう通報されたから諦めた」

「なぁ、一つ聞きたいんだが」

「うむ、苦しゅうない、言ってみるぴょん」

「お前本当にウサギからコアラに転身でもしたのか?」

「うーちゃんはリンゴ五百個よりは軽いから大丈夫ぴょん」

「比較するには桁が一つ大きいだろおい」

「司令官はお腹が空いて食堂に行きたい、うーちゃんは離れたくない、うーちゃんもお腹空いた、一石三鳥ぴょん」

「良かったな、明日の青葉新聞の記事にも載るから一石四鳥だ」

「今日はこのまま寝るまで離さないぴょん」

「明日筋肉痛になるな」

「うーちゃん重くないもん! ぷっぷくぷー!」

「これはこれで良いんだぞ、娘の成長を感じる父親の気持ちが分かって」

「……卯月、娘じゃないぴょん」

「――そうだな、娘だと色々と困る」

「うーちゃん、てーそうの危機?」

「そういうのは仔兎から兎になってから言え」

「仔兎美味しいらしいぴょん」

「頭からバリバリと食えばいいのか?」

「そういう食べられ方は嫌ぴょん」




――――卯月、洗いにくい。

 ――――ボディーソープを間に垂らせば解決するぴょん。

――――それだけはやめろ。

「叢雲、コレ着けてみてくれない?」

「アンタ、頭大丈夫?」

「ほら、背中に羽が浮いてるみたいで綺麗だと思わない?」

「周囲から浮いた存在になるのは御免よ」

「ちゃんと射出も出来るし」

「アンタは私をどうしたいの?」

「残念だけど、どうしても着てくれそうにないわね……仕方無い、弥生ちゃんのも作ったから弥生ちゃんに頼んでみよっと」

「弥生も着るとは思えないけど、まぁ精々頑張んなさい」




 着てくれました。ユキ=アネサは一秒で断られました。




「あの、何で扇と丼を……」

「名前的には扇、服の色と声は肉丼だから」

 ムドオンカレーは作らない、眼鏡はかけない、デカい。

※前と一緒です

・リクエストは明日のヒトフタマルマルに3つ、フタフタマルマルに3つ受け付けます(朝霜は知らない子)

・どちらの時間も1~6番目のレスの中から、3つをランダムで選びます(サイコロ振ります)

・同じ艦娘が選ばれた場合、内容のリクエストが無ければ下にずらします

・夜戦に関しては前に書いた制限に加えて、大鯨・雲龍・時津風とケッコンカッコカリしている艦以外は現状では受け付けません、朝潮のように途中までになることもあります

「赤城さん、今回は菱餅を食べないように――」

「はい?」

「……雛あられ、ですか」

「加賀も食べますか?」

「いえ、私は大丈夫です」

「霰です。あられ食べたい」

「その前に、霰は菱餅の着ぐるみを脱いで着替えてきて」

「菱餅が、何かしたの……?」

「菱餅に罪はありませんよ、加賀」

「そう……赤城さんと霰は別撮りで構わないようね」

「「ごめんなさい」」




 百五十人雛壇は良い宣伝になりました。

なんとなく思い付きで声優ネタを一気にどん

全部分かる人は恐らく居ない

「夢幻少女か……胸が熱くなるな」

「勝ち残れば優秀な艦載機をくれるというの?」

「こまけぇこたぁいいんだクマ!」

「あら、あらあら、ち〇こもいじゃうぞ」

「叢雲の酸素魚雷を食らうデース! バニッシュメント・ディス・ワールド!」

「北上さん、よさこい踊らない?」

「ちょっと待って大井っちーこのマカロンとクッキー食べてからねー」

「姉様!? 何だ提督か……書類ならマジックハンドで渡して下さい、でないと殴っちゃいますよ?」

「ちょっ、あんまり触ると罰金バッキンガムよ!」

「買っておいた抹茶プリンを食べられるなんて……はぁ、空はあんなに青いのに……」

「食べました。代わりにこの抹茶ドーナツを」

「は・る・な、100%♪」

「シンバル持ったゴリラの縫いぐるみとか舐めてんのか? クソがっ!」

「司令官司令官司令官! この何が入ってるか分からないけど美味しいコロッケを食べて!」

「あぁ~暁のケーキがミキサーに~」

「ハラショー、この喋る鳥からは力を感じる」

「ひらがな三つでまるゆちゃん」

「この大鳳より人気があるなんて……あの女神、許せない!」

「龍田殿、例えエルフ全員を敵に回しても貴女は守るであります」

「天龍ちゃんと今度あのオセロしてみようかな~」

「睦月は睦月はセロリが嫌いって言ってみたり」

「司令官、どうしてボクの写真が部屋一面に貼ってあるの……?」

「弥生、金魚が好き、です……後、発明も」

「菊月だ、天誅ガールズというアニメを共に見よう」

「那珂ちゃん、ウサギを頭に乗せてる妹が欲しいなー」

「わ、私は那智などではない! な……な……ナツ! そうナツだ!――ふぅ、誤魔化せたか。こんな格好をしているなどと皆に知られる訳にはいかない……」

「珊瑚ですか? 不愉快です!――って書いたらまたツイッターが炎上しました……」

「ヒャッハー! ちょこまか逃げるならハンマーで壁をぶち壊せー!」

「なかなか初霜のコークスクリューは痛いぞ……だが、悪くない」

「ノモブヨ、ヲキイサンカ、ハシタワ、ドケダ、グンミーチャ、デーリブラ!」

「鈴谷が勇者の一族とかマジありえないんですけどー」

「司令官を抱き締めて、海の底まで」

「かーっ! その顔いいねぇ! あっ、谷風さんのパンチラ写真送っといたから」

「提督に書いたお手紙を届けてって頼んだんだけど、途中で風に飛ばされたらしいのね……」

「司令官様? あのー……ゾンビメイク、してみませんか?」

「大和はやまにゃんじゃありません!」

「埴輪のイラスト描くホー」

「ちょっと待って、阿賀野だけED流れなかったんだけど……」

「磯風だ、兄くんと会うのは前世以来だな」

「どうしてこの超弩級戦艦ビスマルクがシスターの格好をしなければならないの? 何? 他の子だと胸部装甲が足りないですって!?」

「ベタがまだここ塗れてない……ような気がします。ベタ塗りです!」

「て・い・と・く、提督! あ、あの……一緒に山に登りませんか?」

「どこかにいい浅瀬は無いかでゲソ」

「清霜は殺されずに卒業出来るもん!」

「“運河の魔女”って二つ名……ありです!」

「山雲はーおにぎりって呼ばれたらー立てばいいのー、ねー?」

「朝雲はたい焼きで立てばいいのね、分かったわ。……うぐぅって何? 鳴き声?」

「超弩級駆逐艦清霜! サイコロ振ります!」

 ――99!

「どーう? 清霜凄い? カッコいい?」

「――え? コレじゃダメなの?」

「大きい数字の方が強くてカッコいいと思ったんだけどなぁ……」

 ――1、5、6。

「次も超弩級駆逐艦清霜に振らせてね?――えっ? なれるもん!」

・鳥海『あっ、眼鏡が……』

・チビ舞風&野分『(カワイイ)』

・陽炎&曙『お話したいの?』

・清霜&翔鶴『艦載機はちょっと……』

・南雲機動部隊『大概にして欲しいものね』

・浦風『えぇ加減にせぇ言うとるんじゃ!』

以上六本でお送りします

時空が歪んでますが安価としての位置を優先します

ついでに声優ネタの作品名を全部投下

WIXOSS

じょしらく

東京レイブン

中二病

ハナヤマタ

デレマス

WORKING!!

ゆるゆり

桜TRICK

神のみぞ知る世界

ニセコイ

キルラキル

極黒のブリュンヒルデ

たまこマーケット

CLANNAD

あぁ女神様

ノゲノラ

とある魔術の禁書目録

妖狐×僕SS

ガリレイドンナ

ブラック・ブレット

ごちウサ

境界の彼方

悪魔のリドル

日常

これゾン

新妹魔王

マクロスF

R-15

いなりこんこん恋いろは

電気街の本屋さん

けいおん

六畳間の侵略者

シスプリ

月刊少女野崎くん

山のススメ

侵略イカ娘

ベン・トー

フルバ

Kanon

タイトル変更

・鳥海『計算通りです』 、投下します

太ももとへそ

「司令官さん」

「何だ?」

「耳、気になりますか?」

「あぁ、少し奥でゴロゴロしてる感じがあってな」

「でしたら、ここに寝て下さい」

(耳掃除か……鳥海なら心配いらなさそうだな)

「じゃあ頼む」

「はい、どうぞ。頭をこの辺りにお願いしますね」

「ん、分かった。――なぁ、鳥海」

「何ですか?」

「耳掃除で頭を撫でる必要は無いと思うぞ」

「リラックスしてもらう為です」

「いや、このままだと確実に寝るから耳掃除だけ頼む」

「私の計算では十分もすれば司令官さんは夢の中です」

「そんな無駄なことにその計算能力を使わんでいい」

「無駄じゃありません。凄く重要です」

「とにかく、耳掃除をしてくれ」

「では、いきます。侵入角が――で、耳かきの長さが――だとすると……」

「待った、鳥海ストップ、耳掃除に計算式は必要ない」

「冗談です。リラックス出来ましたか?」

「本当に大丈夫だよな? やったことあるんだよな?」

「心配しないで下さい。摩耶姉さんにいつもやってますし、慣れてます」

「そうか……だったら大丈夫そうだな」

「姉さん耳掃除苦手で暴れるから、結構耳掃除するの大変なんですよ?」

「なんとなく想像できるし、微笑ましい光景だ」

「コレ、私が言ったことは秘密にしておいて下さいね、怒られてしまいますから」

(知ってるの鳥海か愛宕達ぐらいだろうし、すぐバレそうな気がするが……)

「――はい、片方出来ました」
「確かに上手いな、速いし」

「どうすれば傷付けずに速く出来るかちゃんと計算してますから、当然です。司令官さん、反対を向いて下さい」

「あぁ、分かった」

(電の時の失敗はしないように、なるべく水平をキープして……)

「……司令官さん」

「ん? 何だ?」

「あの、もう少し下を向いてもらえませんか?」

「それだとやりにくくないか?」

「いえ、下を向いてもらった方がやりやすいです。そう計算でも出ています」

「そうか……? 息が気になるとかあったら、すぐに言ってくれ。ブスッてのは困る」

「大丈夫です。それは計算に入ってますから」




 バレンタインの魔の手が鳥海のバルジを襲いました。

・チビ舞風&野分『(カワイイ)』 、投下します

「のわき~」

「まいか……ぜ?」

「のわきのわき、いっしょにおどろ?」

 その時の野分の心境を言い表すとすれば、小さい頃いつも一緒に遊んでいた女の子と十年振りに再会し、当時から密かに胸の内で芽生えていた恋心に気付かされた学園物男主人公の様な衝撃を彼女は受けていた。

(これが舞風なの? 舞風が小さいだけでこんなに可愛く見えるなんて……)

「のーわーきー」

 袖を引っ張りブラブラと腕を揺らす、推定二~三歳前後の舞風。元々寂しがり屋な節がある彼女に無視は禁物であり、硬直している野分を見上げながら頬を膨らませている。
 姉妹というより親友の関係に近い二人であるからこそ、少し思考が幼くなっても野分に舞風は完全に心を許しているし、野分は戸惑いを隠せないでいた。

「――舞風、抱っこしてもいい?」

「いいよ?」

 ノータイムの返答、自分の口から出た言葉、そのどちらにも驚きつつ、恐る恐る野分は舞風を抱き上げる。
 少しずっしりと重みを感じるものの、那珂と舞風のダンス演習を乗り越えた彼女にとっては苦でもない。顔の前まで持ち上げて間近で見た小さい親友の笑顔に、野分の表情も自然と優しいものへと変わる。

「じゃあ、踊りましょうか」

「おどろおどろ、ワンツーワンツー」

 首を左右に振ってリズムを取る舞風を抱いたまま、ダンス練習場へと向かう。
 その時の二人は、いつもの友達のような関係ではなく、仲良しな姉妹の関係に見えた。

「――のわき、つぎこれ!」

「その曲ね、いいわ」

 ダンス練習用の曲を次々と流しながら、二人は一緒に踊り続けていた。
 普段はぎこちない笑顔や真剣な顔でダンスに付き合っていた野分も、今日は自然に笑みを浮かべている。

「ここでターン!――っと、っとっ、きゃあっ!?」

「舞風!?」

「あたた、しっぱいしっぱい、こけちゃった」

「怪我は……無いみたいね。ずっと踊ってたし、そろそろ休憩しましょうか」

「うん、そだね」

 壁に背中を預けて二人で座り、しばしの休憩を取る。軽く二時間は踊っていたこともあり、火照った身体に床の冷たさが心地好いものとなっていた。

「――ねぇ、のわき」

「何、舞風」

「すこし、もたれていい?」

「うん、いいわよ」

 肩に感じる重み、それはどこか安らぐもので、野分もまた頭をそちらに傾ける。
 舞風から小さな寝息が聞こえてきたのと、野分の意識が深く落ちていくのに、あまり時間の差は無かった。




――――どうした陽炎、ネギと卵なんか持って。

 ――――鳳翔さんにもらったの。汗掻いたまま着替えもせずに寝て、風邪引いた妹二人の世話よ。

駆逐艦3隻ニ攻撃ヲ受ケ大破、更新ハ困難ナリ(子守りで更新無理です、寝てくれ…)

・陽炎&曙『お話したいの?』、投下します

「――曙? こんなところで会うなんて奇遇ね、一人?」

「一人よ、悪い?」

「別に悪いなんて思ってないわよ、私も一人だし」

「……とりあえず、座れば?」

「それもそうね、じゃあ遠慮なく」

「陽炎のそれ、何?」

「普通のカフェラテだけど」

「ふーん、もっと色々アレンジしたのを飲むと思ってた」

「曙の中の私のイメージってどうなってんのよ……それで、曙は?」

「モカ」

「一口貰ってもいい?」

「別にいいけど……」

「あぁ、代わりに私のも一口飲んでいいわよ」

「……砂糖は?」

「スティック半分」

「やめとく」

「――モカ、結構甘いわね」

「陽炎ってクソ提督と一緒なの?」

「私にはカカオ九十九パーのブラックチョコなんて食べらんないって」

「何それ、聞くだけで口の中苦くなってきた……」

「司令が眠気覚まし代わりに常備してるから、試しに貰ってみれば?」

「ミントタブとかそういうの食べなさいよ、あのクソ提督」

「ミント苦手で間違えて口に含んだら洗面所に駆け込むらしいわね。黒潮がたまにそれでからかって遊んでるらしいわよ」

「ふふっ、やっぱりちょっと情けないのがクソ提督らしいかも」

「司令はいざって時に頼れればそれでいいのよ。……まぁ、ほったらかしにされた時はかなりムカついたけど」

「――陽炎、もう大丈夫だから」

「んー? 何の話?」

「漣か潮にでも頼まれて来たんでしょ?」

「私が来たのは偶然よ、偶然」

「陽炎はス〇バ派って、黒潮に前に聞いた」

「たまには気分で違う店に来たりもすることもあるわよ」

「……あっそ、まぁいいけど」

「それよりこの後どうするの? 一緒に買い物でも行く?」

「ううん、そろそろ戻って謝らないと。喧嘩したまま鎮守府に戻るの嫌だし」

「そ、じゃあ買い物はまた今度ね」

「覚えてたらね」



「――苦っ、砂糖半分じゃやっぱり足りなかったかも……」



――――陽炎と曙が買い物? 珍しい組み合わせだな。

 ――――私が教えた店に行くと言っていた。お互い気が強いという点で気が合ったのだろう。

・清霜&翔鶴『艦載機はちょっと……』、投下します

日向がアップを始めました

――――工廠。

「夕張、ちょっと艤装を見てもらえないかしら?」

「あっ、今ちょっと取り込んでて後に――」

「翔鶴さん、航空甲板貸して!」

「き、清霜ちゃん?」

「航空戦艦って空母と戦艦の合体した最強の艦種なんでしょ? 私も艦載機飛ばしたい!」

「……夕張、どういうこと?」

「どうもアニメで合体ロボット物見せたらそういう結論に至っちゃったみたいで……」

(駆逐艦娘の子がたまに肩車したりして遊んでるのを見かけるけど、その影響かしら……)

「ごめんなさい、清霜ちゃん。この航空甲板は貸せるようなものじゃないし、私専用だから例え他の空母の皆さんでもこれは扱えないの」

「じゃあじゃあ艦載機の飛ばし方教えて!」

「飛ばす為には航空甲板が無いと……」

「でも、ほっぽちゃんは飛ばしてるよ?」

 ――次ハ三回転捻リ!

 ――蒼龍、合わせてよ?

 ――言われなくても!

「あの子は、少し特別だから」

「清霜もいつかは飛ばせるようになる?」

「――どう頑張っても、清霜ちゃんに艦載機は飛ばせないの」

「……うん、そうだよね。私、駆逐艦だもん」

「でも、艦載機は飛ばせなくても他の物は飛ばせるようになるかもしれないわ。――ねぇ、夕張?」

「へっ?」

「夕張なら出来るわよね。いつも私達の為に新装備の開発や調整を本当に頑張ってくれていたもの」

「ホント!? 夕張さん、清霜にもいつかは飛ばせるようになる?」

「えっ、いや、出来なくは無いかもしれないけど、そんな開発提督が認めてくれるかどうか……」

「司令官がいいって言ったら作ってくれるの!? じゃあ今から頼んでくる!」

「あっ、ちょっと清霜ちゃん!? 翔鶴さん、私に振るなんて酷いですよぉ……」

「ふふっ、がむしゃらに頑張るあの子を見てたら、加賀さんにずっと挑み続けてる瑞鶴と重なるの。だからつい応援したくなってしまって」

「まぁでも、提督が許可する訳無いですよね。とりあえず翔鶴さん、航空甲板見せて下さい」

「あらやだ、その為に来たのすっかり忘れてたわ。じゃあお願いね」




 自律型艦載機の研究開発が開始されました。

・南雲機動部隊『大概にして欲しいものね』、投下します

赤城さんをキレさせたら大したもんですよ

二航戦はこんなこと言わない

「――なかなか綺麗に揃いませんね」

「飛龍、蒼龍、もう少し私達に合わせてちょうだい」

「加賀さん達こそ、もうちょっとこっちに合わせてもらえませんか?」

「一航戦のお二人なら簡単ですよね」

「今までこういう艦載機の飛ばし方はあまりしたことがありませんでしたから、なかなか難しいです」

「赤城さんの言う通りね、実戦でこんな飛ばし方は必要無かったわ」

「それはつまり、お二人より私と蒼龍の方が戦闘以外では艦載機をうまく操れると認めるってことですか?」

「どうしてそうなるのか理解に苦しみます」

「加賀、威嚇しちゃダメですよ。互いの息を合わせようとしているのにこんな風にいがみ合っていたら、まとまるものもまとまらなくなります」

「――そういう赤城さんも、単独行動大好きですよね? 勝手に飛び出して帰って来ない日多かったし……」

「蒼龍、そのことについて不満があるなら今ここで全部聞きますよ?」

「ついでに言わせてもらうなら、加賀さんは赤城さんに甘過ぎます」

「私は甘くしたつもりはありません」

「この前は元帥のところの卯月に負けてたし、平和ボケしてません?」

「頭に来ました。そこまで言うなら試してみますか? 実戦で」

「その怒りっぽいところも直した方がいいんじゃないですか?」

「飛龍、少し言い過ぎよ。加賀も落ち着いて」

「赤城さんにはもっと本音出して欲しいなぁ。誰とも本気でぶつからず、いつも壁がある気がするし」

「私は別に壁を作っているつもりは……」

「蒼龍、言うだけ無駄だって。赤城さんは鎮守府に居るより外で美味しいご飯食べてる方が好きな人なんだから」

「っ……」

「――流石に我慢の限界です。構えなさい、二人とも相手をしてあげるわ」




「――喧嘩、ダメェェェェェ!」

「ごめんね、ほっぽちゃん……」

「皆、仲良クシナキャ、メッ!」

(可愛い)

「蒼龍、顔がだらしなくなってますよ」

「全く……私達と本気で演習したいからと怒らせるような言動を繰り返すなんて、本当に大概にして欲しいものね」

「何ていうかこう、今のお二人は完全に牙が抜けてる感じがしたからつい……」

「でもでも、艦載機の息を合わせるのがお二人の方が下手なのは事実ですよ?」

「そこは認めます」

「私もそれについては認めます、単独行動も事実ですし……」

「――赤城さんが出ていっていた理由、ちゃんと私達も知ってます」

「ごめんなさい、あんなに悲しそうな顔されるとは思ってなくて……」

「いえ、いいんですよ。理解して貰えていたのなら、いいんです」

「仲直リ?」

「うん、ちゃんと仲直りしたよ」

「まぁ、私も少し大人げなかったわね」

「赤城さん、今度ご飯連れてって下さい」

「いいですね、四人で行きましょうか」

「オ土産、買ッテキテ!」




 菱餅を五人で頬張りながら仲直りしました。

・浦風『えぇ加減にせぇ言うとるんじゃ!』 、投下します

(浦風依存度が危険領域に達しつつあるけど)大丈夫だ、問題ない

「――姉さん?」

「な、なぁに浦風」

「うちと姉さんでした大事な約束、覚えとる?」

「忘れるわけ無いじゃない。ちゃんと覚えてるわ」

「そうじゃ、姉さんが忘れとるわけ無い。じゃけぇこれは念のためじゃけど、全部言うてみ?」

「夏は別々のベッドで寝る」

「夏は暑いし、一緒に寝とるとぶち寝苦しいけぇね」

(その分、冬は天国だわ)

「次、二つ目じゃ」

「写真は許可を取る」

「いくら何でも隠し撮りはえぇ気せんよ?」

「や、約束してからは一度も隠し撮りはしてないわよ?」

「最後、問題の三つ目じゃ」

「尾行しない」

「――姉さん、この前後ろからつけて来とったじゃろ」

「か、勘違いじゃないかしら?」

「目が泳いどるよ。正直に言うたら怒らんけぇ、言うてみ?」

「……しました、ごめんなさい」

「よぅ正直に言うてくれたね姉さん。――じゃけえ、うちの写真を半分処分でこの話は終わりじゃ」

「うっ、浦風!?」

「そこ退き、机の引き出し開けられんけぇ」

(引き出しの中……)

「仕方無いわね、悪いのは私だもの。処分されても文句は言えないわ」

「USBとSDカードは確かここじゃったかなぁ……」

「浦風待って、そっちはダメ。私がこの数年集めた宝物がそこにはたくさんつまってるの」

「――姉さん」

「わ、分かってくれたの?」

「うちが陽炎姉さん達の部屋に戻るんと、写真処分、どっちがえぇかねぇ?」

「写真でお願い」

(浦風のメイド服姿が……チャイナ姿が……)

「これに懲りたら、もううちのこと尾行しちゃいけんよ?」

「えぇ……もう絶対にしないわ……」

「心配せんでも、うちはちゃんと姉さんのとこ帰ってくるけぇ」

「LINEはしてもいいわよね?」

「既読が付いて五分で不安にならんのじゃったらえぇよ」

「努力はしてみるわ」




 十分が限界でした。

※前と一緒です

・リクエストは明日のヒトフタマルマルに3つ、フタフタマルマルに3つ受け付けます(朝霜は知らない子)

・どちらの時間も1~6番目のレスの中から、3つをランダムで選びます(サイコロ振ります)

・同じ艦娘が選ばれた場合、内容のリクエストが無ければ下にずらします

・夜戦に関しては前に書いた制限に加えて、大鯨・雲龍・時津風とケッコンカッコカリしている艦以外は現状では受け付けません、朝潮のように途中までになることもあります

今回は1~6の間で連投になってないので特に問題はありません

なってた場合は繰り下がるだけです

「今回は、この武蔵がダイスを振らせてもらおう」

「全ダイス、一斉射!」

 ――3! 4! 5!

「ふむ、また前回とは少し違った目になったな」

「1と2が少なめなのはいささか不本意なところではあるが、仕方あるまい」

「……時に大和、細くて堅いものはないか? 後、パテも頼む」

・黒潮『司令はんとまったり』

・天城&那珂『全艦娘アイドル化計画』

・浦風『提督さん、どうじゃ?』

・ちび浦風&大鳳『姉さんのテンションがおかしい』

・山城『提督、少し休んだらどうですか?』

・飛鷹&妙高『静かに酒を』

以上六本でお送りします

・黒潮『司令はんとまったり』 、投下します

黒潮はイントネーションが京都よりで言ってることは商売系関西弁っぽい?

「司令はん、今晩何食べたい?」

「任せる」

「納豆キムチドリアン入りお好み焼きデスソースがけでもえぇの?」

「せめて黒潮も食べて美味しいと感じるものにしてくれ」

「ほな、ホットケーキでも焼こか」

「それ、今お前が食いたいだけじゃないのか?」

「嫌やわ~そんなん当たり前やん」

「だったら焼いてきてくれ。ちょうど間食には良い時間だしな」

「えぇよ~。司令はんのはこんがり焼いてくるわ」

「黒焦げはやめろよ?」

「そんな勿体無いことしたら罰当たるからせぇへんよ。絶妙にホットケーキっぽぅない食感にするだけや」

「だからやめろ、美味しく作ってくれ」

「心配せんでも大丈夫や。うちが司令はんにまずいもん作るわけないやんか。うちの愛情たっぷり入れとくから、期待して待っとってな~」

「――あぁいうのを一切躊躇いなく言えるのが、アイツの凄いところだよな……」

「おまっとぅさん、出来たで~」

「あぁ、ありがとな。その横にあるのはどれがどれだ?」

「右からマーガリンやろ、メープルシロップやろ、イチゴジャムに、デスソースや」

「お前のその熱いデスソース推しは何なんだよ」

「冗談や冗談。ただのタバスコやから安心してえぇよ」

「そうか、タバスコなら安心――な訳あるかっ!」

「司令はん、辛いん大丈夫やんか」

「そういう問題じゃ無いだろ……」

「ほな、うちが使おか」

「あっ、おいっ!?」

「――うん、ちょっと酸っぱいけど美味しいわぁ、このラズベリーソース」

「……俺も二枚目はそれにするか」

「司令はん」

「何だ?」

「何だやのぅて、あーんや」

「……あーん」

「はい、司令はん」

「――ラズベリーもなかなかいけるな」

「うちのあーん代、百万円払(はろ)てな?」

「相当なぼったくりだな」

「なぁ、司令はんもはよしてぇや。それでチャラにしたげるわ」

「急かすなよ、ほら」

「――うん、イチゴジャムも甘くて美味しいわぁ」

「黒潮、結局晩飯はどうするんだ?」

「そやなぁ、またお好み焼きでもしよか」

「お好み焼きか、そりゃ楽しみだ」

「モダン焼きも出来るけど、司令はんはどっちがえぇの?」

「じゃあ今回はモダン焼きで頼む」

「ほな、これ食べたら先にちょっと準備してくるわ」

「分かった」




――――黒潮、熱い、せめて冷ましてからにしてくれ。

 ――――うちの愛情の熱さや、頑張ってそのまま食べてぇな。

――――無茶言うなよ……。

 ――――あっ、うちにはちゃんと冷ましてからあーんてせな怒んで?

――――お前も大概良い性格してるよな。

・天城&那珂『全艦娘アイドル化計画』 、投下します

諦めないよ、那珂ちゃんはアイドルだから

「天城さん、那珂ちゃんと一緒に歌おっ!」

「えーっと、話が見えないんですけど……」

 勢いよく雲龍型の私室の扉を開けて走り寄り、ぶつかりそうなほど顔を間近に近付け、開口一番歌おうと誘う艦隊のアイドル。
 天城が助けを求めて隣の姉へと視線を送るも、雲龍は開けっ放しの扉を閉めに行った後、また元の位置に座って何事も無かったかのように朝食を食べ始めていた。
 救いの手は無いのだと諦め彼女が前に視線を戻すと、キラキラした目が出迎える。

「天城さんって、お風呂で鼻唄を歌うのが好きなんでしょ?」

「な、何で知ってるんですか!?」

「那珂ちゃんはー情報提供者の名前を明かしたりしないんだよー?」

 着任間もない天城が入浴中に鼻歌を歌っているのを知っている人物など、彼女が知る限り一人しか居ない。
 またもや視線を横に向けると、そっぽを向いておにぎりを黙々と食べる姉の姿が目に入り、言ったのは雲龍だと天城は確信する。
 ただ、それがわかったところで、両手をがっしりと掴みずっと熱い視線を送り続けてくる那珂をどうにか出来るというわけでもない。

「その一緒に歌うというのは、からおけとかいう場所に行って歌うということですか?」

「それもいいけどー那珂ちゃんと一緒にステージで歌うのが楽しいと思うなー」

「む、無理ですよそんなの!」

「雲龍さんはオッケーしてくれたよ?」

「雲龍姉様が? 本当なんですか、雲龍姉様」

「優秀な調理器具をくれると言うから」

「姉様……」

 完全に買収されている姉に嘆きながら、天城はなおも抵抗しようと断る口実を探す。

「人に聞かせられるほど上手くは――」

「那珂ちゃんがレッスンするからノープロブレムだよ!」

「踊れ――」

「野分ちゃんも一週間で完璧に踊れるようになっちゃった、きゃはっ」

「恥ず――」

「那珂ちゃんのステージ衣装はー雲龍さんと天城さんの服よりも露出は少ない方だと思うなー」

「私は着物ですから、そんなに露出は――」

「アイドルスキル! 早着替えカッコ脱がすだけバージョン!」

「きゃあっ!? やっ、やめ――」

「……那珂ちゃんは、絶対お色気路線には変更しないんだからー!」

「あ、アレ……? 一難、去ったのでしょうか?」




 天城のキャストオフ、効果は抜群だ。那珂ちゃんは撤退した。

~おまけ~

「そこ、ちゃんと胸が破裂しそうってところを強調しなきゃダメなんだよ?」

「胸が破裂!?」




「愛しいお兄様がいると思って切なさを表現してね?」

「私には姉様しか居ないんですけど……」




「学園の歌姫っぽくだよ!」

「そもそも私は学校に通ったことが……」




「平安の世から転生を繰り返してまた現代で出会い切ないほど惹かれ合う気持ちを表現して!」

「へ、平安? 転生?」




「犬耳の王女様が国の人達を元気付けるのをイメージして!」

「無茶言わないで下さい!」




 那珂ちゃんのレッスンは的確(?)で完璧(?)でした。

・浦風『提督さん、どうじゃ?』、投下します

提督と大鳳の気持ちが通じ合った瞬間

「提督さん、どうじゃ? うち、綺麗になっとる?」

「少し雰囲気は変わってるが、綺麗よりはまだ可愛いって感じだな」

 チラリと一瞥し、感想を述べる。流石に化粧に気を遣っている陸奥だけあって、浦風の良さが際立つメイクが施されていた。

「可愛くはなっとるん?」

「……なってる」

「んー? 提督さん、目逸らしながらじゃとよぅ分からんじゃろ? こっち見ながら言うてみ?」

 自分に視線を向けぬまま答えた提督に、浦風は子供に問うような口調で重ねて感想を聞く。その表情は、とてもにこやかだ。

「もう十分見た、書類書かせろ」

「全然さっきから進んどらんし、こっちに来て休憩したらどうじゃ?」

「今日はいつになく積極的だな、浦風。何か良いことでもあったのか?」

「話逸らそうとしても無駄じゃて。提督さん、お茶入れたけぇ冷める前にこっち来るんじゃ」

 明らかに駆逐艦娘の化粧による変化を次々に見せられて動揺しているのはバレバレであり、浦風は早く諦めてこっちに来いとソファーをポンポンと叩いて招く。

「――はぁ、分かったよ」

 何とかペンを走らせ書類に集中しようとしていた提督も、結局最後は折れて腰を上げるのだった。

「姉さんに言われるんも嬉しいけど、提督さんに言われるのもぶち嬉しいけぇ、ちゃんと言って欲しいんじゃ」

「化粧なんぞしなくても、浦風は可愛いと思うぞ」

「コラ、その答えは女の子の気持ちを無視しとるよ」

「事実を言っただけだろ」

「もっと可愛くなった自分を見せたいって願うんは、いけんこと?」

「……悪いとは言ってない」

「提督さん、今思うとることを正直に言うてみりゃえぇだけじゃけぇ、言うてみ?」

「……大鳳の気持ちが、かなり分かった」

「んー? それだけじゃとうちにはちゃんと伝わらんけぇ、もう一回じゃ」

「……三十路手前で不覚にもドキッとさせられまくって休憩したいんだよ、ちょっと化粧しただけでこれとかメイク恐ろしすぎなんだよ、ロリコン扱いされるかも分からんが全員いつもより可愛かったよ、コレでいいか!?」




「――うちだけを見て、次は言うてね?」

・ちび浦風&大鳳『姉さんのテンションがおかしい』、投下します

浦風が望んだことを否定したりはしない

「あぁもう可愛くてたまらないわ! このまま小さくなったままにならないかしら? でも成長していく浦風も見たいし、いっそ二人になってくれたら解決するのだけど、流石にそれは無理よね……」

「ねぇさん」

「あら? なぁに浦風、ジュース?」

「ちぃとおちつくんじゃ。はたからみたら、そうとうあぶないひとになっとるよ?」

「そう? 私は至って普通だし、いつも通りよ?」

「そのたいりょうにかかえたこどもふくは、なんじゃの?」

「勿論、浦風に今から着てもらうわ。この日の為に密かに買っておいたの」

「うち、かげろうねぇさんたちのへやにきょうからいっしゅうかん――」

「最初はこの服を着てみてくれないかしら? きっと今の浦風に似合うと思うわよ」

(……ねぇさんにわるぎはない。わるぎはないけぇ、みっかぐらいはがまんじゃ)

「ふふっ、とっても幸せな一週間になりそうね」

(――いつかぐらいは、つきあおうかねぇ……)

「ねぇさん、はしでたべれるけぇ、スプーンとフォークはいらんよ?」

「持つだけでいいの、撮らせてくれない?」

「……これでえぇの?」

「えぇ、ありがとう浦風」

(かなりはずかしいけぇ、このしゃしんはていとくさんにみせんようにいうとかんといけんねぇ……)

「さぁ、しっかり食べてちょうだい」

「ねぇさんのつくるハンバーグ、ひさしぶりじゃね」

「いつもは浦風に作ってもらうことが多いし、今日から一週間は私が腕によりをかけて作るわね」

「ちいそぅはなっとるけど、うちもつくれるけぇてつだうよ?」

「大丈夫よ、たまには浦風も私に任せてゆっくりしてて」

「ねぇさん……」

「その代わり、提督とどうしてそういう雰囲気になったかは後で聞かせてね?」

「そ、それはちょっとはずかしいけぇかんにんしてつかぁさい……」




――――ねぇさん、なべふいとる!

 ――――あっ!?

ロリコンは重巡(もしくは軽空母)以上と夜戦しないので提督はロリコンでは無いです

因みにこのスレの設定上、一番手を出してロリコン扱いされるのは文月や朝潮ではなく野分や磯風、早霜です

最古参の吹雪は扱いとしては二十歳越えてますし、元帥卯月は三十(>>1は、首をはねられた)

・山城『提督、少し休んだらどうですか?』、投下します

はいかイエスで答えてください

 朝の執務室で軽快に動いていた二つのペン。その片方が不意に止まり、それを手にしていた山城が立ち上がりながら口を開く。

「提督、今日はこのぐらいにしませんか?」

「まだ朝だぞ、いくらなんでも早過ぎるだろ」

「今日はこのぐらいにして、休みませんか?」

「いや、だから早い――」

 その時、提督は目の前で起きる惨事を見て思い出す。
 山城が同じ言葉を繰り返すのは、言うことを聞けというサインであることを。

「提督、私と一緒に今日は休みますよね?」

「あ、あぁ、そうするか……」

 同意の返事に満足したのか、彼女は提督の使っていた机から離れ、二人分のお茶を淹れに行く。
 その嬉しそうな後ろ姿と、実力行使によって大破した執務机を見比べ、彼は深く溜め息を吐くのだった。

「で、休むはいいけど何するんだ?」

「何でもいいですから、適当に提督が話をしてくれます?」

「適当にってなぁ……本当に何でもいいのか?」

「私や扶桑姉様の事を提督はいっぱい知ってる癖に、私達が提督のことをあまり知らないのは、不公平です」

 扶桑に関してはお前が話したんだろと口から出そうになったのを呑み込み、何を話せばいいのやらと提督は思考を巡らせる。
 それを一時中断させたのは、足に感じた重みだった。

「――山城、寝るなら部屋に戻れ」

「今戻ったら姉様に秘書艦の仕事はどうしたのって怒られるじゃないですか。……重いとか、言わないですよね?」

「……寝たら起こすぞ、話をせがんだのはお前なんだから」

 山城は返事の代わりに、腰の辺りを軽く引っ張り早くしろと催促する。
 その仕草に自然と頬が緩むと同時に、提督は今からする話を何にするかを決めるのだった。




――――散々扶桑の魅力については聞かされたし、今日は俺が知ってるお前の魅力と、俺がお前に受けた仕打ちにどう感じてたかについてでも話すとしようか。

 ――――この体勢でそんな話をされるなんて、不幸だわ……。

・飛鷹&妙高『静かに酒を』、投下します

頭が上がらない艦娘が、また二人

「鳳翔さん、こんばんは」

「あら飛鷹、いらっしゃい」

 夜も更けてきた頃、居酒屋鳳翔を訪れた飛鷹。いつもならばワンセットでついてくる相方は秘書艦日のため同行しておらず、この日は彼女一人だった。

「こんばんは、飛鷹さん」

「妙高? 貴女がここに来てるなんて珍しいじゃない、一人?」

「妹達が全員用事で出掛けてしまったものですから。そういう貴女こそ、お一人でというのは珍しいですね」

「今日アイツ秘書艦日なのよ。どう? 今日は寂しく一人で飲みに来た者同士、一緒に飲まない?」

「私で良ければ、お付き合いします」

「じゃあ決まりね」

 妙高の隣の席に腰を下ろし、飛鷹は日本酒を熱燗で頼む。
 それに合わせるかのように妙高も残りをグイッと飲み干し、二本目の熱燗を頼んだ。

「ふぅ……」

「……」

 普段はあまり交流が無いからか最初の話題が見付からず、二人の間に暫し沈黙が流れる。

「――ふふっ、二人とも姉妹と一緒じゃないと本当に静かなのね」

「騒いでるの基本的に隼鷹だけだし、一緒に騒いでるみたいに言わないでもらえません?」

「私はハメを外しすぎないようにと言い含めていたりしただけで……」

「あら、ごめんなさい」

 熱燗二本と共に出された助け船に乗り、二人は少しずつ自分の姉妹艦について話し始める。

「冷蔵庫開けたら缶ビールがギッチリ詰まってた時は、本当にどうしようかと思ったわ……」

「私達の部屋では大量の酒瓶が邪魔に……あれ以上増やして、どうするつもりなのでしょうか」

「隼鷹の保管庫にでも放り込ませてもらったら?」

「絶対にやめて欲しいと言われてしまいました。“あそこに置くと呑まれる”、と」

「いくら隼鷹でも人のにまで手は出さないから大丈夫、なはず、多分、きっと……」

 最初は愚痴から始まった会話。それも酒が進むにつれ、次第に自慢へと変わっていく。
 普段はあまり話さない相手であるが故に、本人達には絶対に言わないようなことを口にする二人を肴にして、鳳翔はちびちびと酒を飲むのだった。

今回のリクエスト受け付けは以前の形態に一度戻してみます

・今日の22時より先着で三つ

・明日の8時より先着で三つ

以上、お間違えの無いようにご注意ください

 思えば、俺はアイツの指輪を受け取りはしたが、互いに好意を口にしたことはあっただろうか。

 あの日、喉元に突き付けた刃に怯むこともなく、こんなものより怖いものが山ほどあると言ったアイツの目を、今でも俺ははっきりと覚えてる。

 それまでの自分を捨てる覚悟が出来ずにいた俺に、覚悟させたのはあの目だ。

 たまにもう一度あの目を無性に拝みたくなるが、一向にその機会は訪れそうにない。

 例えば俺が襲われて死にかけたら、また拝めるんだろうか。

 フフ、怖いかって言ったら、アイツはどんな顔をするんだろうか。

 そんな考えが頭にふっと浮かぶ程度には、アイツのことが大切になっちまってるらしい。

 あの龍田にまで気に入られたってんだから、俺の目に狂いは無さそうだ。

 軽くなった刃と、重くなった背中。

 俺達の心をアイツが守るってんなら、アイツの心は俺達が守ってやる。




 ――俺の名は天龍。どうだ? 俺が居たら少しも怖くないだろ?

「――それで? 何でここに戻ってきちゃったの~?」

「……言ってから我に返って、気付いたら突き飛ばして逃げてたんだよ」

「あらあら、天龍ちゃんったらおバカさんなんだから~」

「うるせぇ!」

何となく天ちゃんの気分でした

・磯風『しれぇ』

・プリンツ『ビスマルク姉さんに怒られちゃった……』

・由良『暑さ寒さも』

・鎮圧訓練

・雷『頼り頼られ』

・陽炎&曙『何よそれ』

以上6本でお送りします

・磯風『しれぇ』 、投下します

弱いのもいれば強いのもいる、強要ダメ、絶対

「――磯風、この酒は何だ?」

「腹を割って話すには、これを飲みながらが一番だと聞いた」

「飲めない人間とどうやってこれで腹を割って話すんだよ」

「司令は酒が飲めないのか?」

「全く飲めないってことはないが……そもそも、お前こそ飲めるのか?」

「この磯風が飲めないはずがない」

(自信満々だが、飲んだ経験は無しってことか……)

「とりあえず、飲むならせめて飲みやすい酒にしてくれ。コレはかなりキツい」

「分かった、司令に合わせよう」

「カクテルとかでもいいよな?」

「正直、どれがどういうものなのかさっぱりだ。好きに選んでくれて構わない」

「あぁ、そうさせてもらう」

「そういう訳だから早霜、頼む」

「えぇ、分かりました。司令官にはいつものを、磯風さんには……コレなんてどうかしら」

「何だ、これは?」

「チョコレートリキュールです。お口に合えばいいのだけれど」

「チョコレートの酒などというものもあるのか。司令、まずは乾杯だ」

「あぁ、乾杯」

「――確かに甘いな」

「お前、一気に飲み干しちまったのか……」

「何だ、飲み干してはいけなかったのか?」

「いや、いけなくはないが」

「そうか。早霜、もう一杯同じのを頼む」

「はい、すぐに」

(コレは本当に酒に強いのかもしれんな)

「そういえば磯風、俺と話したいことって何だったんだ?」

「む、そうだった。司令、どうして浜風や谷風、浦風とケッコンカッコリとやらをしたのか、詳しく聞かせてもらいたい」

「プライベートな話なんで断る」

「まだ酒の量が足りないようだな。司令、飲んで飲んで飲みまくれ」

「飲んでも話さんし、そんなに飲めないって言っただろ」

「美味いぞ? 早霜、もう一杯だ」

「味とかじゃなくて体質的な問題だ。……にしても、ペース早いなお前」

「無論、司令が話してくれるまでら」

「だから話さないと――“ら”?」

「やはり料理の腕か? 浜風の料理は確かに美味い。だが、それだけが理由というのはどうなのら司令」

「そんなことは一言も言っとらん。後、お前酔ってるだろ」

「この磯風がこれしきの酒に負けるわけがない。早霜、もう一杯ら」

「磯風、それで最後にしとけ。……磯風?」

「料理が出来ないのがなんら、多少世俗に疎いのがなんら、私らって不慣れなりに努力しているんらぞしれぇ」

「それはお前の大好きな第十七駆逐隊の奴等にも分かってるさ。だから、グラスを置け、な?」

「む……しれぇも飲め、さっきから飲んでないぞ」

「はっ? いやちょっと待て磯ふぐっ!?」

「なんら、飲めるんじゃないかしれぇ」

(早霜、見てないで助けてくれ、頼む。おい、サングリア飲みながらそっぽ向くな、早霜、早霜っ!?)

「今日は朝まで付き合ってもらうぞしれぇ、まだまだ航行不能になるには早い」

(……勘弁してくれ)

――――提督、おはようございます。昨日磯風が部屋に戻ってこなかったのですが、どこに居るかご存知ですか?

 ――――今頃俺のベッドで気持ち良さそうに寝てる。悪い浜風、ちょっと寝るから昼に起こしてくれ。

――――はい、了解しました。……ん? 磯風が提督のベッドで寝てる……?

 ――――(あー頭が痛ぇ……磯風には酒飲ませるなって、起きたら浜風に言っとくか)

>>429
訂正

「味とかじゃなくて体質的な問題だ。……にしても、ペース早いなお前」

→「味とかじゃなくて体質的な問題なんだよ。……にしても、ペース早いなお前。何杯飲む気だ?」

・プリンツ『ビスマルク姉さんに怒られちゃった……』 、投下します

むしろ客はそのままを望んでいる

「プリンツ」

「わあっ!? フォイヤー!……って今は艤装無かったんだっけ」

「一々声かけただけで砲撃しようとするな。それで、何をそんなに熱心に読んでるんだ?」

「提督には関係無いもの」

「――接客の基本、か」

「わっ、勝手に見ないで!」

「お前、それ内容ちゃんと理解出来てるのか?」

「で、出来てるに決まってるでしょ」

「客に苦情を言われたら?」

「クー・ジョー? 何それ?」

「プリンツ、時間の無駄だからそれ読むのやめろ」

「時間の無駄ですって!? 全然そんなことないし!」

「大体、何で急にそんな本読み始めたんだよ」

「ビスマルク姉さんに、接客もまともに出来ないなら国に帰れって怒られちゃって……」

(何かやらかしたってことか。むしろ、まともに出来てるアイツ等がおかしいんだがな……)

「それならレーベやマックスに教えてもらったらどうなんだ?」

「レーベにはボクには難しそうだって言われて、マックスはレーベに無理なら私にも無理って……」

「あー……だったら漣か間宮、大鯨辺りに話を聞いてきたらどうだ?」

「その人達とは一度も話したことないし……」

(ん? ひょっとしてコイツ……)

「大丈夫だ、思い切って話しかけてみろ。いきなり砲撃でもしない限り、普通に教えてくれる」

「……ホントに?」

「あぁ、ここの艦娘は外敵以外にはとことん優しいから安心しろ」

「――じゃあ、提督が教えて」

「……は?」

「ビスマルク姉さんを連れて帰るの暫く保留にしてあげるから、提督が私に日本のマナーと接客の基本教えて」

「ちょっと待て、どうしてそこで俺になる」

「ついでにビスマルク姉さんにホントに相応しいかどうか、見極めてやるんだから!」

「俺は接客業の経験なんか無いんだが?」

「茄子は生る!」

「それを言うなら為せば成るだ。全く、お前とユーには一度ちゃんと日本語覚えさせなきゃならんな……」

「あっ、ドイツ語で教えてくれたら分かりやすいかも」

「だからまだ教えるとは言ってない!」




――――Admiral、プリンツの様子はどう?

 ――――ビスマルク店長、店員の教育はお前の仕事じゃないか?

――――あの子がここに馴染む良いきっかけになりそうだもの。Admiralに任せるわ。

 ――――……はぁ、分かったよ。

・由良『暑さ寒さも』、投下します

「提督さん、暑い」

「そりゃ冬の恰好してたら暑いだろ」

「この前まで寒かったよ?」

「季節の変わり目だからな、気温が不安定なのは仕方無いさ」

「上、脱ぐからちょっと待って」

「半袖一枚は流石に寒くないか?」

「暑いよりいい。汗かきたくないし、寒くなったら提督さんにくっつくから」

(もう半分くっついてるようなもんだと思うんだが……)

「提督さん、忘れ物は無いよね?」

「必要なものは一式揃ってる、大丈夫だ」

「帰ったらぼた餅食べたい」

「間宮が大量に作ってるはずだから、帰ったら食堂行くか」

「うん」

「――ここだ、降りるぞ」

「提督さん、周りの掃除はこのぐらいでいいの?」

「あぁ、これぐらいやれば大丈夫だろ」

「じゃあはい、お水」

「墓石は俺がやるから、由良は水鉢とか拭いてくれ」

「うん、分かった」

「くれぐれも割るなよ?」

「大丈夫、ちゃんと昨日練習したから」

(割るかもって思ってたってことか……)

「――提督さん」

「何だ?」

「私達は死んだら消えてしまうから、お墓には一緒に入れないね」

「……そう、だな」

「私が先に死んだら、頑張って提督さんにとり憑くね」

「その時はゆっくり向こうで待ってろよ」

「嫌」

「下手すると俺の背中に百人以上とり憑くことになるんだぞ? 流石にそれは勘弁してくれ」

「頑張って」

「何を頑張れっていうんだよ……」

「頑張って、長生きしてね?」

「……努力はする」




――――提督さん、寒い。

 ――――由良、電車でがっしり抱き着くのはやめないか? 視線を凄く感じるんだが……。

――――後一分だけ、ね、ね?

 ――――……一分だけな。

・『鎮圧訓練』、一旦投下します

ちょっと内容が内容だけに思案中

 深海棲艦の脅威が去り、人々は平和を取り戻していた。
 しかし、今も昔も最も人を襲っていたのは、人である。
 その抑止力として彼女達が選ばれるのは、至極当然の流れと言えた。

「――自爆」

「至近距離での爆発かつ一軒家を吹き飛ばす程度の威力であれば、流石に大半の艦娘が一時的に行動不能になると思われます」

「銃火器」

「妖精さんの作成物でなければ、駆逐艦娘が怪我をする程度かと」

「毒ガス」

「現状、人間に軽く身体構造が似てきているとはいえ、私達に脱力感や痺れを感じさせるのが関の山です」

「近代兵器……は考えなくていいか。密約がどうこうって話を元帥から聞いてる」

「仮に近代兵器を持ち出された場合は、どうされるおつもりですか?」

「イレギュラーにはイレギュラーで対処する。使いたくはないがな」

「そう……では、後は訓練ですね」

「ついでに安心安全な鎮守府ってイメージを更に定着させとくか」

「鎧袖一触よ、心配いらないわ」

「加賀、手加減忘れるなよ?」

続き投下

狙った犯人は皆目が死んでる、大体こんな感じ

――――鎮守府入口。

「はーいちょっとそこの人止まってー」

 ――私に何か?

「鎮守府への危険物の持ち込みは、固くお断りしています」

「贈り物は嬉しいけどーそういうのはちょっと那珂ちゃん嬉しくないなー」

 ――何を証拠ぶっ!?

「怪我させないようにって難しいなぁ……」

「口、頭、腕、手、足、足首、拘束完了です」

「時限式か着火済みじゃなかったらこれでオッケーだね。後、神通お姉ちゃんちょっと絞めすぎ、犯人役の人とっても嬉しそうだけど」

「……訓練とはいえ、実戦を想定すべきでした」

「神通、ストップストップ! 本気で白目向き始めてるって!」

(んー、テロより神通お姉ちゃんを止める方が大変かなー?)




 まず、入れない。

――――遊技場。

「みんなー、睦月に付いてきてねー」

 ――はーい!

「弾が小さいと避けるのも弾くのも掴むのも面倒だな」

「あらあら、火遊びしたいならお姉さんと向こうでしてみない?」

「おいおっさん達、ガキ共を守りてぇならもっと腰入れて構えろ!」

「そんな構え方じゃ怪我しちゃうんじゃないかしら~?」

 ――は、はい!

「うん、ちょうどいいわ。盾を構えるならその角度です」

「この程度の衝撃で怯むな! 後ろに居る者達のことを考えろ!」

「長月、その防護盾へしゃげる威力の銃火器飛んできたら普通耐えらんねぇって」

「……それもそうか」




 入ったら、犯人が危ない。

――――鎮守府近辺。

『やりました』

『上々ね』

『ちょっ、誰かほっぽちゃん止めて!』

『蒼龍ってば、ちゃんと見張っててって言ったのに……』

『スイカクも手伝ってくれなくても大丈夫よ?』

『あっ、ほっぽちゃん見っけ! 私が捕まえるから皆よろしく!』

『後であのトリモチ剥がしに行くの大変そうね……』

『優秀なトリモチ……』

『雲龍姉さん、トリモチは貰っても使い途がないですから……』




 車やヘリなどで大移動したら察知されて潰されます。

タイトル変更

・雷『偶々』、投下します

――――住宅街。

「ねぇおばあちゃん、重そうだし荷物持ってあげるわね」

 ――おやまぁこれはどうもご親切に、じゃあお願いさせてもらおうかねぇ。

「私に任せて、どこまで運べばいいのかしら」

 ――〇〇というところまでです。

「分かったわ、足元に気を付けて付いてきてね?」

 ――えぇえぇ、分かりました。

「今度からはタクシーを使った方が安全よおばあちゃん」

 ――こうして歩くのが何よりの楽しみでねぇ、どうしてもタクシーは使いたくないんですよ。

「でも、荷物をたくさん持ってふらふら歩いてると危ないし、歩くなら買い物は程々にしなきゃダメよ?」

 ――今度からは気を付けようかねぇ。

「ここがおばあちゃんのおうちね」

 ――ほんに有り難うございました。お礼にお茶とお菓子をご馳走しますから、上がっていって下さいな。

「おばあちゃん、いいのよお礼なんて。困った人が居たら助ける、当然のことだもの」

 ――じゃあお茶に付き合ってくれる者も居らん寂しい老人を助けると思って、飲んでいってくれませんかねぇ?

「うーん、そういうことなら断る訳にはいかないわね、お邪魔しまーす」

 ――はい、どうぞ。




「――ふぅ、落ち着く味だわ」

 ――お煎餅もたくさんありますから、どうぞ。

「ありがとうおばあちゃん」

 ――帰る時にはこのリンゴも持って行って下さいねぇ。

「そこまでしてもらうのは……」

 ――いいんですよ、いっぱいありますから。

「……じゃあ、もらって帰るね」

 ――えぇえぇ、どうぞぉ。

「今度、私も美味しいみかんを持ってきてあげるわ」

 ――また来てくれるのかい? ありがとうねぇ。

「――じゃあ、そろそろ帰らないと。お茶とお煎餅、美味しかったわ」

 ――そうかいそうかい、またいつでもおいで。

「次は妹か姉も連れてくるわね」

 ――そりゃ楽しみだねぇ。

 ――お爺さん、今日艦娘さんに会いましたよ。

 ――ほんに貴方の言う通り、良い子でした。

 ――また来てくれると言うてくれましたし、孫が出来た様な気分ですよ。

 ――ですから、まだまだもう少しこっちで頑張りますね。

・陽炎&曙『何よそれ』、投下します

ジゴロにする気は無いです

 喧嘩の仲裁の様なことをしてから以降、時折曙と出掛けるようになった陽炎。
 姉妹艦以外との交流は別段珍しくもなく、それを咎める者など居るはずもない。
 ――しかし、残念ながらこの二人の姉妹の中には、小悪魔のようにイタズラが大好きな者が二人居たのだった。

「陽炎、今日は雪風と遊びませんか?」

「うん、いいかもいいかもー」

「うわー陽炎好かれとんなーこれはお姉ちゃんとして無視する訳にはいかへんなー」

「ちょっとそこの関西弁、これどういうこと?」

 ベッタリと両脇からくっつく妹二人をとりあえず撫でつつ、陽炎は黒潮をジト目で見る。
 彼女が何かを企んでいるのは明白であり、ろくなことにはならないという結果が目に見えていたからだ。

「嫌やわ~うちは何もしてへんで? ただ、ちょっと最近陽炎が構ってくれへんようなったんちゃうかな~って二人の前で聞こえるように言っただけや」

「アンタねぇ……」

 何もしてないに一人言は含まれないのかと問うても時間の無駄になるのが陽炎には分かっていた。
 なので、あえてそこには触れず、彼女は両脇の二人に優しく諭す。

「今日は曙と先に約束があるから、帰ってからか明日遊んだげるわね」

「むぅ……約束があるなら仕方無いですね」

「そっかー、残念残念……」

 寂しそうな二人の頭をまた撫で、陽炎は踵を返し部屋を出ようとした。
 しかし、先程より少し大きな手が彼女を後ろから拘束する。

「なぁ陽炎、うちも構ってぇや~」

「怒るわよ? ってか殴るわよ?」

 額に青筋を浮かべながら後ろに顔を向ける彼女の前で、ドアをノックする音が響く。
 恐らく待ち合わせ時間を過ぎても来ない自分を迎えに来た曙だと思い、陽炎は直ぐ様手を伸ばしドアを開けた。

「悪いわね、ちょっと待ってすぐに出――曙、アンタその背中のどうしたの?」




 そこには、背中に妹を抱えて息を切らせた曙の姿があった。

「はぁ……はぁ……いい加減降りなさいよこのバカなみ!」

「今日のラッキーアイテムは曙って出たんで、それは無理な相談かなーって」

「降・り・ろ!」

「うん、それ無理」

 後ろで同じように自分におぶさろうとする黒潮に拳骨を落とした後、陽炎は頭を抱える。
 二人が共謀してイタズラを決行しているのは明白であり、理由が単に面白そうだからというのも、彼女には長い付き合いから既に分かっていた。

「それで? アンタ達どうしたいの? あんまりしつこいと本気で怒るわよ?」

「私はもう怒ってるわ。だから降りろって言ってんでしょ!」

「はにゃあ!? まだだ、まだ終わらんよ!」

 投げられた漣は器用に受け身を取り、また曙へと突進する。

「……ウザい」

「曙ちゃんの冷ややかな言葉と視線いただきました!」

「何で嬉しそうなのよアンタは!?」

「曙、話が進まないからちょっと待って」

 いつまでも終わりそうに無い絡みを一時停止させ、陽炎は二人に話すよう催促する。
 そして、それを待っていたかのように二人は声を揃えてこう言った。




「「ショッピングに人数制限は無い!」」

――――悪いわね、ゆっくり回るつもりだったんだけど。

 ――――陽炎のせいじゃないから謝らないでいいわよ、それに……。

――――それに?

 ――――……たまには賑やかなのもいいかなって、思うし。

――――賑やか過ぎないといいんだけど……コラ雪風! 時津風! 走って人にぶつかるんじゃないわよ!

次のリクエスト受付についてお知らせします

明日のヒトフタマルマルから三つ、フタヒトマルマルから三つです

後、四月からは仕事の関係で更新が出来ない日が出来る可能性が高いのでご了承下さい

・望月『んあ?』

・金剛『目を離さないでって言ったのにー!』

・時津風『んー? なになにー?』

・摩耶&鳥海『改二祝い』

・神通『あの……いえ、何でもないです』

・球磨『難しいk……ムズカシイ』

以上6本でお送りします

駆逐艦ノ襲撃再ビ、更新困難ナリ(話は考えてあるので書け次第明後日までには投下します)

・望月『んあ?』、投下します

もっちーの髪もいいと思います

 珍しく望月から誘われ、提督は一年振りに彼女と二人で外へと出掛けることとなった。
 どこに行くかは先に決めてあったらしく、言われるがままに彼は歩を進めていく。

「なぁ、どこへ行くんだ?」

「んー? 行きゃ分かるって」

「そうか。後な、望月」

「んあ?」

「歩け」

「めんどいからパス」

 まだ小柄で軽いのを理由に背中におぶさり、肩に頭を乗せて脱力状態の望月。
 端からだと仲良しな兄妹にしか見えないので余計な手間は省けるものの、デートとして考えるとどうなのだと提督は頭を悩ませる。

「司令官、そこ右」

「了解」

「そういやさぁ」

「何だ?」

「あー……やっぱいい、後で聞く」

「何だかよく分からんが、分かった」

 その会話以降ナビ以外特に何かを口にする訳でもなく、望月は黙り込む。
 少し不思議には思いつつも、普段から無言で一緒にダラダラするのが好きなのは知っていたので、提督も特に無理に話しかけたりもせず、ひたすら歩くのだった。

「――あい、着いたよ」

「らしいといえば、らしい場所か?」

「それ、どういう意味?」

「寝転がったり、昼寝には良さそうだ」

 案内され着いた場所は、近くの河川敷だった。
 提督の予想通り、たまにフラッと出かけてはここで寝転がってのんびりするのが望月は好きなのだ。

「そういや二人で来たことは無かったと思ってさ」

「人は通るがそこまでうるさいって訳でもないし、ゆっくりするにはちょうどいいな」

「うん、まぁ……ね」

 どこか歯切れの悪い望月の様子が珍しく、体調でも悪いのかと提督は顔色を窺う。
 その顔はほんのりと赤くなっており、更に珍しいものを目撃することとなる。

「何だ? どうかしたのか?」

「あの、さ……コレ」

 道中は提督の手にぶら下がっていた望月の荷物の中から、巾着袋に入った何かが彼へと突き出される。
 その中に入っているのはどう見ても弁当箱であり、コレが今日外に連れ出された理由なのだと提督は即座に察した。

「手作りの弁当も初めてだな」

「味はまぁ、睦月姉とかに食べてもらったから保証する」

「じゃあ早速食べさせてもらうとするか」

「あい、食べ――させる!?」

 少し慌てる望月がとても可愛らしく、冗談ではなくそうさせるのもいいかもしれないと提督は考えるのだった。




――――司令官、何やってんの?

 ――――ポニテにしてる。

――――……ま、いいけど。

 ――――三つ編みもいいかもな。

――――ってか何でヘアゴム持ち歩いてんのさ。

・金剛『目を離さないでって言ったのにー!』 、投下します

「起きたら居ないなんて酷いデース……」

「今の時間を確認して、乱れた浴衣を整えて、顔洗ってさっさと起きろ」

「Heyテートク―、今なら時間も場所もOKネ」

「からかうなら時間と場所を弁えろ」

「むぅ……仕方無いから我慢しマース」

 布団に引き込もうとする金剛の頭を抑え、手を振って洗面所へと促す。
 旅館で一夜を過ごし、少し二人でゆっくりしてから帰ろうかと提督は考えていたのだが、予想以上に彼女が起きるのが遅かったのもあり、あまりのんびりとしている時間は無かった。

「金剛、土産は適当に買ってきといたからな」

「ありがとうございマース」

「今から帰ったら夕方までには帰れるだろ」

「――やっぱり、鎮守府が一番落ち着く?」

「落ち着くんじゃなくて、不安にならないってだけだ」

「私も帰って妹達の顔を早く見たいわ」

「なら、さっさと支度しろ」

「えぇ、これで支度は終わりよ」

 座って待っていた提督を、後ろから金剛は抱き締める。
 いつもの激しいものではない優しく包み込むような抱擁に、彼もそれを振り払って急かしたりはしなかった。

「やっぱりお前が普通に話すと違和感あるな」

「こっちの方がいいデスか?」

「普段はな、二人の時は好きにしろ」

「――提督」

「何だ?」

「鎮守府で旅館にあるみたいな浴衣、着て欲しい?」

「……」

「沈黙はイエスと受け取りマース」

「真面目な話かと身構えて反応が遅れただけだ、別にどっちでもいい」

「嘘は良くないネー。着て欲しいと思ったはずデース」

「何を根拠に言ってるんだよお前は」

「湯上がりの私を見たテートクの顔を見れば、そのぐらいすぐに分かりマース」

「エスパーじゃあるまいし、何考えてるかなんか分からんだろ」

「……分かるに決まってるじゃない、私はずっと貴方を見てきたんだもの。だから――」




――――貴方も私から目を離したらノー、なんだからね?

――――Heyテートクー、鎮守府の中なら触ってもいいしハグもキスも大歓迎ネー!

 ――――時間と場所を弁えない奴にはどれもせん。

――――じゃあ今から寝室にレッツゴーデース!

 ――――場所だけじゃなくて時間も弁えろって言ってるだろ!

・時津風『んー? なになにー?』 、投下します

「あっ居た居た、時津風ちゃん」

「明石さん? あたしに用事?」

「うん、とっても大事なお話があるの」

「なになにー?」

「時津風ちゃんは提督のこと、好き?」

「しれー? うん、ちゃんと遊んでくれるしご飯美味しいし優しいから好きだよ」

「じゃあ次の質問。雪風ちゃん達とずっと一緒に居たい?」

「そりゃ居たいよ。うん、居たい居たい」

「ここで皆とずっと一緒に居たい?」

「うんうん」

「それなら今日提督のところに行った時、“ケッコンカッコカリして下さい”ってお願いしたらずっと一緒に居られるようになるよ」

「そなの? ひょっとしてそれお願いしなきゃ、皆とお別れしないとダメ?」

「そうなるかもしれないですねー」

「んなバカな。そんなのヤダヤダー!」

「でも、提督にお願いしたら絶対にお別れしなくて済みますから」

「分かった、お願いしてくる! 明石さん教えてくれてありがとー!」

「いえいえ、どういたしましてー……さてと、次は誰に促そっかなー」

 ――しれーしれーしれーしーれーえー!

「そんなに呼ばんでも聞こえてるし、ドアは誰かに当たらないように静かに開けろ。で、そんなに急いでどうしたんだ?」

「ケッコンカニカンして!」

「……言い間違いはいいとして、何でお前の口からそんな言葉が出てくる」

「明石さんがそれしないと皆とお別れしなきゃいけなくなるかもって、だから時津風もするするー」

(アイツまた勝手に……)

「安心しろ、お前の意思を無視して他鎮守府に行かせるようなことはしない」

「ホント?」

「あぁ、それにそんなことしたら悲しむ奴が居るだろ。せっかく夢の実現が近付いてきてるのに、邪魔するようなことしてどうする」

「そっかぁ、じゃあカニカンしなくていいんだ」

「ケッコンカッコカリな。それに関してはお前がちゃんと内容を正しく理解してからだ」

「しれーはそれ、したいの?」

「必要になったら、な」

「雪風とも必要だからしたの?」

「必要……まぁ、必要だったからだ。今も昔も寂しがりで怖がりだからな、アイツは」

「ふむふむ――えいっ」

「ん? どうした、急に」

「しれーも寂しがりで怖がりだって皆が言ってたよ。だからあたしも傍にずっと居てあげる」

(アイツ等そんなこと言ってやがったのか……)

「ありがとな、時津風。そうしてくれると嬉しい」

「えへへー。あっしれーしれー、お腹空いたからご飯作って」

「あのなぁ、いい加減お前も自分で作るということを覚えろ」

「えー? しれーが作ってくれればあたしが作る必要ないないー」

「はぁ……何がいいんだ?」

「魚食べたい!」

「分かった、じゃあ作り方教えてやるから一緒に来い」

「え、んなバカな」

「いいから来い、雪風だってある程度は自分で出来るんだぞ」

「わわっ、引っ張んないでよしれー、しれーってばー!」




――――炭一歩手前か……。

 ――――うっ……だって初めてだったんだもん。

――――じゃあお前はそっちの俺が作った煮魚食え、これは俺が食う。

 ――――んー、じゃあさじゃあさ、半分こしよ?

――――……そうするか。

・摩耶&鳥海『改二祝い』、投下します

摩耶様の乙女度が上がりました

「どうだ提督、この摩耶様の改二姿は」

「防空面でまた一段と性能が上がったみたいだな、何か飛んできた時は頼りにしてるぞ」

「お、おぅ……」

「(司令官さん、姉さんはそういうことを聞いたんじゃ……)」

「(分かってる、まさかここまで目に見えて落ち込むとは思ってなくてな)」

「んだよ、アタシ除け者にして二人で内緒話かよ……」

「摩耶」

「あんだよ、まだ何かあんのか?」

「全体的に前より可愛らしくなったな」

「なっ、かわ!? 何言い出しやがんだ急に!?」

「改造前も良かったが、今の方が俺は好きだぞ」

「そ、そうかよ……可愛いか、ふーん……」

(よし、機嫌治ったか)

「――司令官さん」

「ん? 何だ鳥海」

「私、まだ何も言われてません」

(あっ……)

「可愛いのは姉さんだけですか。私も姉さんと色彩とデザインのよく似た改造になったのに、姉さんだけですか。司令官さんは摩耶姉さんだけ褒めるんですね」

「鳥海、それは誤解だ。先に摩耶を褒めただけで俺はお前の改二姿も可愛いと思ってる」

「……ふふっ、司令官さん凄く焦ってたのが丸分かりです」

「お前……質の悪いからかい方はやめてくれ、全身に嫌な汗掻いたぞ」

「姉さんだけ先に褒めたのは事実です。後、防空が姉さんなら夜戦については私に任せて下さい」

「あぁ、頼りにしてる」

「(――ところで司令官さん、姉さんとは夜戦しないんですか?)」

「(急に何を言い出すんだお前は……アレ見ろ、出来ると思うか?)」

「可愛いか……ふーん……いやいや、アタシは可愛いって柄じゃ……でも、そう言われるのも悪くないかもなぁ……」

「……手、繋ぎましたか?」

「繋いだら五秒後に投げられたが?」

「姉さん……」

「普段着ちょっと新しい感じに挑戦してみっかなー、このミニハットとか今まで被ったことなかったし、鈴谷ならこういうの売ってる店知ってっかな……」




――――司令官さんがもっと積極的にリードしてあげて下さい。

 ――――骨がイキそうだし積極的に入院することになりそうなんだが……。

――――男は度胸という言葉があります、司令官さん。えいっ。

 ――――うおっ?……なっ、なっ……何してやがんだクソがー!

――――げふっ!?

 ――――(……壁ドンは姉さんには刺激が強かったみたいですね)

・神通『あの……いえ、何でもないです』 、投下します

次発装填(あーん待機)済みです

 彼女らしく控え目で春先らしい服装に身を包み、待ち合わせ場所へと神通は現れる。
 現在の時刻は待ち合わせ時間の三十分前。周囲を見回して提督が居ないのを確認した後、彼女は手鏡でおかしなところがないかチェックし始めた。

(川内と那珂に強引に外で待ち合わせにさせられたが、やっぱり性格的にかなり早く来るよな、神通は……)

 少し離れた位置で気取られないように身を潜めていた提督も、彼女の姿を確認して待ち合わせ場所へと遠回りで向かっていく。
 手間ではあるが、普段は人一倍気を遣う神通への配慮としてはこれが妥当というものだ。

「――悪い、待ったか?」

「いえ、私も今来たところですから気になさらないで下さい」

「じゃあ行くか」

「はい」

 提督の隣を付かず離れず静かについてくる神通の表情は、普段よりも更に柔らかい。
 戦いの際に見せる凛とした表情と、今見せている温和な笑み。そのどちらもが彼女らしく、彼は自然と頭の中で今までに見てきた神通の様々な表情を思い浮かべる。

「――提督? どうかされましたか?」

「ステージ衣装をお前が最初に着た時に見た、恥ずかしくて死にそうって表情思い出してた」

「……お願いですから忘れて下さい」

「甘いもの食べてる時の幸せそうな表情なんかも思い出してたし、何か甘いもの食いに行くか」

「そう言われてしまうと複雑な気分になりますけど、行きます」

 少し困った様な笑みを浮かべながらではあるものの、やはり甘いものには惹かれるものがあるらしく、即答する。
 そして、店へ向かう道中また違う表情が見れるのではないかと手を差し出した彼が見たのは、この日一番の朗らかな笑みだった。




――――神通、俺はもう無理だ……。

 ――――油断しましたね、次発装填済みです。

――――すまん、からかったのは悪かったから延々甘味攻めはやめてくれ……。

・球磨『難しいk……ムズカシイ』 、投下します

頭のアホ毛抜いたら言わなくなる(かもしれない)

「球磨」

「何だクマー?」

「今日、自分の名前を言う時以外でクマ禁止な。三回言ったら罰ゲーム」

「クマ!?」

「今の含めて後二回、罰ゲームは妹達に明日一日撫で回される。恨むなら企画した妹達を恨め」

「それを実行しようとする提督も恨むク……そもそも、球磨が付き合うどうかは自由のはずだク……」

「前者は北上にハメられた。後者はお前が尻尾撒いてこの程度のゲームから逃げるなんてカッコ悪いことしないって四人が言ってたぞ」

「確かにそこまで言われたら引き下がれないク……そのゲーム、受けて立つ!」

「そうか、じゃあ日付が変わるまで頑張れ」

「ヴオー! やってやるクマー!」

「後一回な」

「あ」

「球磨、そこの書類取ってくれ」

『自分で取るクマー』

「じゃあ茶淹れてくれ」

『火傷するぐらい熱いの淹れてやるクマ』

「……プラカードは卑怯だろ」

『ルールをちゃんと決めておかないのが悪いクマー』

「――ん? 北上からLINE?」

『もしも球磨姉が筆談しようとしたら、そんなセコい姉は球磨型には居ないって言っといてー』

「……読まれてるぞ、お前」

「優秀な妹で困るク……」

「妹に撫でられるぐらい、我慢してやったらどうだ?」

「姉の威厳を守る為にも絶対に言わないクッ!」

(あっ、舌噛んだ……)

「そ、そういえば球磨が勝ったらどうなるか聞いてないガー」

「勝ったら妹達から鮭満喫ツアープレゼントだそうだ」

「それは楽しみだガー」

「……明日から語尾、それにするか?」

「絶対にしないガー」




――――球磨、頭どうだ? 気持ち良いか?

 ――――ヴオー……気持ち良いクマー……。

――――今ので三回な。

 ――――あっ、し、しまったクマー!?……でも、頭洗ってもらえるのは幸せだしもういいクマー……。

次のリクエスト受け付けは明日の12時から三つ、21時より三つです

・阿賀野『長女は阿賀野なの!』

・元帥艦隊と演習

・赤城『筍の季節』

・飛鷹『コンビーフって何?』

・皐月と磯風『武勲』

・プリンツ『接客のノウハウ』

以上六本でお送りします

・阿賀野『長女は阿賀野なの!』、投下します

スペックは高い残姉ちゃん

「能代がね、阿賀野も酒匂を見習えって言うんだよ。一番お姉ちゃんは阿賀野なのに……」

「そうか、とりあえず書類が書きにくいから頭の上で寛ぐのをやめろ」

「提督さん、どうしたら阿賀野を見習えって言ってくれるようになると思う?」

「まずは人の話をしっかり聞くことから始めるといいと思うぞ、重い」

「能代のお話長いし、聞いてると眠くなっちゃうの」

「手始めに俺の話をちゃんと聞けお前は」

「提督さん、そろそろお仕事終わった?」

「お前なぁ……」

「あっ、そこ字間違ってる」

「ん?……確かに、間違ってるな」

「珍しいね、提督さんが字間違えるなんて」

「俺だってたまには間違える。というか、よく分かったな」

「これぐらい誰でもすぐに分かるでしょ?」

(そういえばコイツ、スペック自体は高いんだよな。普段が普段だからつい忘れそうになる……)

「提督さん、そろそろお腹空いちゃった」

「そうだな、そうするか」

「今日はハンバーガー食べたい気分かも」

「また服にケチャップ付けて能代に怒られるなよ?」

「提督さん、阿賀野だって付けない日ぐらいあるんだから!」

「そこはいつも付けてないって言えるようになれ」

(――で、昼食べて戻ったら即これか)

「提督さん、今日は少し肌寒いね」

「デカい抱き枕が暖かいお陰で冷える心配は無さそうだがな」

「阿賀野は抱き枕じゃなくて提督さんのお嫁さんでしょ?」

「能代にのし付けて返しとくか」

「ちょ、ちょっと待って! 阿賀野は返品出来ないよ!?」

「冗談だ。ほら、もうちょっとこっち来い」

「は~い。えへへ、提督さん」

「何だ?」

「ずっとこれからも一緒にお昼寝しようね」

「……忙しくなければ、な」





――――提督さん、今日もお昼寝しよ?

 ――――コレ片づけたらな。

――――じゃあお昼寝の為に阿賀野もお手伝いするね。

 ――――(毎回こうして手伝ってくれると助かるんだが……)

――――さー阿賀野の本領発揮するからね!

長くなりそうなので更新はもうしばらくお待ちを

・元帥艦隊と演習、途中までですが一度投下します

 一つは、長き戦いに終止符を打った提督の待機艦隊。
 一つは、その戦いを裏から支え、純粋な練度のみなら他の追随を許さぬ元帥の娘達艦隊。
 両艦隊六名ずつで演習場にて相対し、密かに闘志を膨らませていく。

「前回は不覚を取りましたが、今回は負けません」

「うーちゃんは恐かったから必死で抵抗しただけぴょん」

「黙れこの腹黒兎め、今日は私が沈めてやる」

「卯月ちゃんは腹黒くないよ、ちょっと優しさがねじ曲がってるだけで」

「潮、それフォローになってない」

「霧島、お手柔らかにお願いします」

「大和さんと武蔵さん相手となると、久しぶりに全力が出せそうですね」

「吾輩もちと本気を出そうかの」

「ふふ、終わったら鳳翔さんのお店で一杯飲んで帰らないと」

「ねぇねぇ木曾、何で笑ってるの?」

「姉貴達とやり合う時の良い練習になりそうだからな、俺としては願ったり叶ったりな演習なんだよ」

「全く、私は反対したのに……」

 普通に会話こそしているが、その場に張り詰めたプレッシャーは並の者では耐えられない程に重い。
 のんびりと観戦を楽しもうとしている者も、六対六でなければそこに立っていたはずの者ばかりだ。
 編成としてはバランスの良い提督の艦隊と、基礎を徹底した上での変則的な戦いを得意とする元帥の艦隊。
 個と隊の力は簡単に物差しで計れる次元を越えており、壮絶な戦いが繰り広げられるのは誰の目にも明らかだった。

「全員分かってるとは思うが、演習場全壊とかはやめろよ?」

「細かいことを気にする奴だ。それぐらいすぐに修繕出来るじゃろ」

「修繕費用出してくれますかね元帥殿?」

「うちの可愛い娘達に勝てたら出してやらんこともないぞ」

「その言葉忘れるなよクソ爺」

「ふんっ、ひよっこに年季の違いを教えてやる」

 師と弟子、そういう意味合いも兼ねている強者達の宴が今、始まりを迎える。




――――演習、始め!

「空は取ります。木曾、まずは雷撃を」

「了解!」

 当てる為ではなく牽制の為の雷撃が六発、木曾より放たれる。
 駆逐艦四隻によるコンビネーションが非常に厄介な事は全員が知っており、その足を一瞬でも止めさせるのが目的だ。

「凪ぎ払え!」

「昔馴染みの好(よしみ)だ、一瞬で終わらせてやる!」

 動く暇を与えはしまいと、大和型による砲撃が降り注ぐ。盛大に水柱が何本も上がり、一瞬双方の姿が視認できなくなる。
 しかし、それだけで攻撃の手を休めたりはしない。

「利根、大和は左へ。武蔵、木曾は右へ。島風は正面から突破、旗艦の首を取ります」

 加賀の指揮に従い、五人は相手を囲うように陣形を展開していく。案の定水柱の向こうからは大して――というよりほぼ無傷の艦隊が顔を見せた。

「うーちゃん死ぬかと思ったぴょん」

「私の背中に一瞬で退避しておいて、よく言えたものです」

「キリぴょんなら防ぐって信じてたぴょん」

「流石に手は痺れましたが、防げないことはないかと」

 砲弾を弾き痺れた手をひらひらと振りながら、霧島は今の砲撃を撃った二隻のうちどちらを攻めるかを考える。
 自分に戦い方を教えた武蔵か、その武蔵の姉でありまだ手合わせしたことが無い大和。
 出た結論は、まだ戦ったことの無い相手との実戦データ収集だった。

「私は大和さんを狙います」

「じゃあお願いぴょん」

 背中から飛び降り、卯月は既に行動を開始している三人組の後を追う。
 上空では加賀と千歳の艦載機が激しく機銃を撃ち合っており、百を超える線が空に絶え間無く引かれていた。

(牙が抜けているとはいえ、姉弟子相手ではやはり厳しいものがありますか……)

 千歳が拮抗状態のまま抑えられる時間を百八十秒と仮定し、奥の手がバレている兎はどう加賀を落とすかを考える。
 それと同時に、合流した三人とスピード狂を網で絡めとる作戦を開始するのだった。

 左右に展開した四隻からの集中砲火を浴びながらも、元帥艦隊の主軸四隻の勢いは止まらない。
 それを一人で真っ向から相手することになった島風だが、この程度で臆する様な彼女ではなかった。

「連装砲ちゃん、やっちゃってー!」

「来たね」

 先頭を進んでいた朧に向けて砲撃後、少し右に旋回しながら雷撃も放つ。
 最初の砲撃こそ回避されたものの、続く雷撃が四隻の足を止めさせ、島風は追撃を仕掛けようとした。

「速いのは航行速度だけじゃないんだよ!」

「――正射必中」

「おうっ!?」

 連装砲ちゃんによる砲撃を放とうとした瞬間、額を貫くように飛んでくる砲弾が見え、彼女は身体を仰け反らせて回避行動を取った。
 それを撃ったのは潮であり、更に続けて数発を島風へと放つ。

「ちょっ、まっ、お゛うっ!?」

「朧ちゃん、曙ちゃん」

 何とか身を捻り回避していたものの、正確に身体の中心線を狙った砲撃が、とうとう島風の胸部を捉える。
 そこへ間髪入れずに曙の砲撃が放たれ、完全に足の止まった彼女へと朧が接近し、両手でがっしりと掴む。

「お休み」




 この演習において島風が最後に見たモノは、眼前に迫る水面だった。

「むむ、流石に四対一じゃとちと島風でも分が悪すぎたようだのぅ」

「駆逐艦で武蔵と互角に渡り合える数少ない四人だそうですから……」

「じゃが島風のお陰で包囲陣形は整ったぞ。後方の二人が若干気がかりではあるがな」

「――どうやら、そのお一人が大和に用があるみたいですね」

 自分に向けられた砲門に気付き、大和は身構えた。
 先程の挨拶への返事だと言わんばかりの砲撃が迫り、放った相手と同じ様に彼女はそれを手で弾き飛ばす。

「ふぅ……売られた喧嘩は買う主義ですので、お相手してきます」

「お主も相変わらず見かけによらぬ血の気の多さじゃな」

「大和は、あの武蔵の姉ですから」

 にこやかに利根に言葉を返した後、霧島へと向けた表情は“大和型一番艦”の顔だった。

「――戦艦大和、推して参ります!」

「卯月ちゃん、木曾さんと利根さんどうする?」

「キソーはうっしー、とねねはぼのちゃんお願いぴょん」

「朧は聞くまでもなく武蔵さんよね」

「今日こそあの人投げ飛ばす……!」

 空を抑えていられるタイムリミットが刻一刻と迫り、卯月達は四人で固まるのではなく一対一に持ち込む形に変更する。
 それぞれに相手を決め散会し、卯月は再び旗艦同士の一騎討ちへと向かう。
 ここからは時間との勝負であり、千歳が劣勢に追い込まれるか他の面々が落ちると元帥艦隊にはかなり不利となる。
 あくまでこれは艦隊戦であり、旗艦を落とせても被害が甚大ならば勝ちとは言い難くなってしまうのだ。

(別にあの人を喜ばせるつもりはありませんけど――)




「“元帥”という階級を飾りにするわけにはいかないんだぴょん」

「やりますね、霧島」

「お褒めに預かり光栄です」

 大和と霧島は互いに距離を徐々に詰め、回避行動を取れない距離まで近付く。
 そして、砲門を静かに構え、普通ならば絶対にやらない至近距離での撃ち合いを始めた。

「大和型の真価、見せて差し上げます」

「データ以上の方であることを楽しみにしています」

「全砲門、一斉射!」

「距離よし、撃てー!」

 撃ち、弾き、弾き、撃つ。ひたすらそれを繰り返し、一歩も退かずに撃ち合いを続ける。
 次第に正確に弾く余裕は無くなっていき、二人の拳からは血が流れ始めていった。

「くっ……」

「つぅっ……」

 数十の攻防の末、二人は全弾を撃ち尽くす。
 流石に大和型の装甲は厚く霧島より損傷は軽微だったが、大和も肩で息をする程に疲弊していた。
 互いに息を数秒整える時間を取り、その後、笑みを浮かべる。

「ふふっ、これでは武蔵のことをとやかく言えないですね」

「データ以上の強さ、やはり素晴らしいです」

「――続けましょうか」

「――望むところ、です」




 ――砲撃戦カラ肉弾戦ニ移行ス。

残りは書け次第投下します

ようやく生活が落ち着きそうなので更新を今日明日には必ずします

お待たせしてしまって申し訳ありません

「吾輩の相手はお主か、曙」

「そうよ」

「すまぬが負けるわけにはいかん。恨みっこ無しじゃぞ?」

「私も負けたら何だかんだまた卯月に言われそうだし、大人しく負けて」

「それはお主の――頑張り次第じゃな!」

 利根は今日も絶好調なカタパルトから試製晴嵐を飛ばし、砲を構えた。
 曙もそうなるのは当然最初から分かっており、高角砲で晴嵐を狙いながら一度距離を取る。
 何より怖いのは前後左右全てから攻撃されることであり、回避は最優先すべき行動だ。

(武蔵の奴は何と言っておったかのぅ……確か曙は、バランス型じゃったか?)

 器用に対空砲火と砲撃と回避行動を繰り返しながら、着実に晴嵐を落としながら相手を狙う曙。
 出来れば時間をあまりかけずに落としたいということもあって、利根は温存していた晴嵐も全て飛ばし、動きを完全に封じようと試みる。

(また増えた、ウザいなぁ……)

 基本的に対空は曙が任されることが多く、この戦い方は彼女にとっては慣れたものだった。
 バランス型というよりは万能サポート型に近く、突出して何かが凄いというものは曙にはない。
 しかし、突出しない分どんな場面でも対応出来るのが彼女の強みだ。



「ちょこまかと動くのもそろそろ終わりにしてもらうぞ」

「仕方無いでしょ、駆逐艦なんだから」

「うむ、それもそうじゃな。では動いているのを狙うとしよう」

(晴嵐は今飛んでるので全機よね、後は――っ!?)




 気付いた時には手遅れ、それが戦場である。

 真っ直ぐに武蔵へと迫る駆逐艦。その手にあるべきはずの砲は、今は仕舞われていた。

「最初から砲撃戦を捨てるか」

「どうせ貫けないし、撃つよりこっちが早い」

「お前のその誰にも臆さず真正面からぶつかる精神、私は好きだぜ」

「愛の告白は……なんていうか、困る」

「む、振られたか」

「耐性、付いた?」

「負けず劣らず賑やかで馬鹿騒ぎが好きな鎮守府だったんでな、多少からかわれた程度ではもう動じんさ。あの兎だけは未だに皮を剥いでやりたいがな……」

「――そろそろ、いくよ」

「――あぁ、かかって来い!」

 大和と霧島が肉弾戦ならば、この二人が今から行うのは海上でやる柔道の試合のようなものだ。
 一発殴れば武蔵の勝ち、にも関わらず彼女がそうしないのは、殴ろうとすれば負けるからである。

「相変わらずお前の動きは、肝が冷えるっ」

「その重武装で反応するのも十分異常だと思う」

 並行に航行している状態から滑るように懐へと入り込み、足を崩そうとする朧。
 それを先読みし武蔵は払いのけるが、その手を掴まれ更に体勢を崩されかけ、彼女へ砲身を向けて退かせた。

「艦娘の戦い方としては下の下なのかもしれんが、それ故に対策が取り難いというのはやはり脅威か」

「しっかり防いでから言わないで欲しい」

「この程度なら防いで当然、だろ?」

「……」

 ニヤリと笑う武蔵を見て、朧は昔と変わらず衰えていないと確信した。
 そして、卯月が見せたものよりはやや抑え目に加速し、小回りの難しい彼女の背後へと回り込もうとする。

「そう簡単に後ろは取らせん!」

 その場での急旋回は難しい為、前へと進みながら武蔵は身体を朧が回り込んだ方へと旋回させる。
 しかし、これが悪手だったとすぐに気付くこととなる。

(む、この動きはまずかったか……)

 最初からその動きを読んでいたかのように既に間近まで接近していた朧を見て、武蔵は行動の優先順位を切り替えた。
 自分の身体を掴もうとする手に体勢を崩されるまでの僅かな時間を使い砲を構え、目視で確認出来た敵目掛けて放つ。
 浮遊感がその後すぐに襲い掛かるが、艦隊戦としての役割は果たせた彼女の顔は笑っていた。

残りはまた書け次第投下します

「潮は大人しい、ってイメージは捨てた方がいいらしいな」

「戦うのは苦手ですよ?」

「……お前、あの中だと一番ヤバい感じがするぜ?」

「――お喋りしに来た訳じゃないので、そろそろ寝てください」

(張り付けた様な笑みってのはこういうのを言うんだろうな)

 身震いしそうな程冷たい笑みを浮かべ、潮は砲を構えた。
 先の島風との戦いからも分かる通り、その射撃能力はずば抜けて高い。

「何発撃ったらそれだけの技術が身に付くのか、教えてもらいてぇなぁ!」

「一発でも外せば誰かが沈むかもしれないと思ったら、外さなくなりますよ?」

(そんな緊張感を持続したままずっと戦うなんてのは……出来るから、この強さってことか)

 眉間、首、胸、腹、太股、どれも回避せざるを得ない部位への砲弾が木曾へと迫る。
 かする程度の最小限の動きを心掛けないと、次弾への対処が出来ない辺り、その異常な速射能力も窺い知れた。

(改造砲か……それならこれでどうだ!)

「?」

 一定の距離を保っていたのを急に崩し、木曾は全速で突撃する。
 明らかな愚策とも思えるが、そこに何か秘策があると考え潮は足を集中的に狙うことにした。

「そっちが改造砲を使うってんなら、俺はコイツを使わせてもらう!」

(っ!? マントに弾が……)

 木曾は羽織っていたマントを片手で掴んで脱ぎ、足元で振る。
 綺麗にその中へと潮の弾は吸い込まれ、跡形も無く消えた。

「この距離なら――」

「それは私の台詞ですよ?」

「ぐぅっ……だが、これで!」

 至近距離から腹部に被弾し、視界がぐらりと揺れる。
 しかし、それに堪えて木曾は潮へと相討ち覚悟の魚雷を放った。

(締まらねぇ戦いだなぁ……だが、これで俺達の勝ちだ)




「詰めが甘いです、木曾さん」

 この演習中で最後に木曾が見たのは、最初と変わらぬ身震いするような笑みだった。

(私よりも鳳翔さんに近い艦載機の繰り方、何の気兼ねも無く鳳翔さんがこちらへ来られたのも頷けるわね。――けれど、姉弟子として負ける訳にはいきません)

 空で激しく繰り広げられていた戦いは時間が経つにつれ加賀が優勢になっていき、現在は完全に空を掌握するのも時間の問題というところまできていた。
 対する千歳も最初から時間稼ぎにのみ重点を置いていた為、その役割はもう十分に果たせていると言える。

(加賀さんに赤城さん、鳳翔さん、龍驤さん、他の人達も合わせると、空母の質はやっぱりこの鎮守府が一番ね)

 特に悔しそうな表情も見せず、演習後の酒盛りへと彼女は思いは馳せる。
 酒の肴になる話には事欠かないのは明白であり、今から誰と飲めるかを考えながら、千歳は卯月に制空権喪失の通信を入れるのだった。

 演習は佳境に突入し、轟沈判定を受けたのは曙、島風、木曾の三名。
 大和と霧島は中破状態で戦闘続行中。
 朧は武蔵を投げるという目的を達成して満足し、武蔵と談笑中。
 利根は小破、潮は中破でそれぞれ旗艦の援護へと向かっていた。

「――艦隊戦、とは一体何なのかしら」

「深海棲艦とは相手の仕方が違う以上、こうなるのは仕方無いぴょん」

「貴女達が深海棲艦でなくて本当に良かったと思います」

「こんな可愛い子が深海棲艦な訳無いでぇーっす」

「あくまで“子”と言い張るのね、いいけれど」

「――だって、“子”ですから」

「……そう」

「じゃあ、そろそろ始めるぴょん」

「えぇ、そしてすぐに終わらせます」

 開幕の一撃、それは加賀の艦載機による真上からの奇襲。
 既に発艦していた彗星による爆撃が、卯月目掛けて投下される。

「狙いが綺麗過ぎ、的」

「第二次攻撃隊、発艦。作戦そ・ほ・ひ」

 真上に掲げた砲で落ちる前に処理を終え、卯月は直ぐ様正面へと構え直す。
 当然加賀も攻撃の手を緩めず、次の攻撃隊を飛ばした。

(あの加速は知っていれば避けられる。ただ、それは相手も分かっているはず……)

(潮の援護が見込めるかどうかという程度、期待はせずに隙を突きましょうか)

 近接格闘ならば朧、射撃なら潮、総合補助なら曙が一番秀でている。
 では、卯月は何故元帥の護衛として優秀なのか――それは、直感の鋭さにある。

(変則的な戦い方だけで務まるようなものでは無いと思っていましたが……)

 駆逐艦にとっては少量の被弾が命取りになる。それが、一般的な考え方だ。
 だが、この卯月に関しては違っていた。

(右……左、後ろ……左)

 至近弾、掠り弾、結果的にそうなる軌道の攻撃には一切反応せず、直撃になる軌道の攻撃を放とうとする艦載機だけを撃たれる前に撃墜していく。
 冷静な思考判断と、野性的な直感、その二つを同時に駆使出来るからこそ、彼女は元帥艦隊旗艦兼元帥護衛という役割を全う出来ていたのだ。
 生き残り、生かす為に特化した卯月。ある意味で初霜に似た彼女の強さは、どこか優しさを秘めていた。

「悪いがここから先へは行かせられぬ」

「通して下さい」

「むむっ、問答無用というやつか」

「今は戦ってるんです。話そうとするのがおかしいんですよ?」

「ふむ……確かに一理ある。じゃが、吾輩は語らうことが好きでな、すまんが絶対に付き合ってもらうぞ!」

「――邪魔を、しないで」

(これは一対一だと木曾が負けたのも無理ないのぅ。中破まで追い込んだだけでも大金星じゃ)

「考え事なんて余裕あるんですね」

「余裕か、そう見えるならお主の目は節穴じゃぞ?」

「ただの忠告ですから、気にしないで下さい」

「ほほぅ、それは感謝しなくてはならんな」

「……挑発のつもりでしょうか」

「言ったであろう? 語らうのが好きだ、と」

「私は嫌いです」

「――消えぬ傷か、難儀だなお主も」

「っ……」




 ――どうだ? 語らうのも立派な戦術の一つなのじゃぞ?

「う~さぎうさぎ、何見て跳ねる、怖いお空を見て跳ねる~」

 跳ねるように、ステップを踏むように、卯月は艦載機を落としながら追い詰めていく。
 対する加賀は、勝機を掴める一瞬をひたすらに待っていた。

(……こんなに戦っていて気分が高揚するのは、いつ以来かしらね)

 平和が、安らぎが、無意識の内に彼女の“艦娘”の部分を弱めていた。
 勝利への渇望、生死をかけた緊張感、秘書艦としての責務。
 捨てたわけではなく、ただどこかでもう必要ないと切り捨てた“力”を、再び加賀は身体に巡らせる。

「――この勝負は、譲れません」

(これが、あの武蔵の認めた力ですか……)

 艦載機の動きはより滑らかに、より激しく、兎を狩ろうと牙を剥き出しにする。
 そう簡単に狩られる程この兎は弱くないものの、表情からは余裕が消えていた。

「どうしました? 歌わないのですか?」

「ここからは、そんな遊びは必要無いでしょう」

「そう……」

「えぇ、では――」




――――私も本気で行きます。

「――で、結果が同時轟沈判定か?」

「私の方が早く落としました」

「うーちゃんが先にビシッと決めたぴょん」

「こりゃ修繕費は折半かのぅ」

「それぐらい払えこの古狸め」

「ほーしょーさーん」

「千歳、お願いだから離れてちょうだい、ね?」

「曙ちゃんはね、とっても可愛いんです。ずっと見てるだけで幸せになれるぐらい好きなんです」

「そ、そうか、それほど大事に想える相手が居るのはいいことじゃな」

「曙、顔赤いよ?」

「うっさい!」

「ずっと殴り合ってたって……お前等も大概だな」

「つい止まらなくなってしまって……」

「とても有意義な時間でした」

「あまづがぜぇ……良いどころ見ぜられながっだよぉ……」

「はいはい、貴女もちゃんと役割を全うしてたんだからそんなに落ち込まないの」

「――さて、それじゃあそろそろお暇しようかの」

「次は葬式ぐらいまで顔を会わせないことを願いますよ元帥殿」

「お前の葬式なんぞ来たくも無いわ」

「アンタのだよ!」

「(相変わらずですね、この二人は)」

「(とっても仲良しだぴょん)」

「二度と来るなクソ爺ー!!」




――――して卯月よ、もう懸念は無いか?

 ――――無いです。例え次の世代へバトンを繋いでも、彼女達が居れば崩れることは無いでしょう。

――――そうか……では、もう一踏ん張りするとしよう。

 ――――はい、付き合いますよ、最後まで。

赤城『筍の季節』、投下します

牡丹が咲くと筍の全盛期

「ほら提督、ここにもあそこにもありますよ」

「パッと見ただけで分かるのは流石だな」

「詳しい方に教えて頂きましたから」

 筍は土から完全に出ているモノではなく、頭が少し出た程度のモノを掘るのが基本だ。
 猪などはこれを掘り起こし食べるので、食べるのに適しているのがそのタイミングだということは動物達が証明してくれている。

「先を越される可能性もある、ってことか」

「逆に言えば、自然界の動物も狙いたくなる美味しさだということです。あまり出来が良くないと見向きもしないそうですよ?」

「赤城も出来が良くないのは見分けられそうだな」

「流石にそこまでは――あっ、これ美味しそうな感じがします」

(断言出来ないだけで感じ取りはするのか……)

 傷付けないように手際よく掘るのを見ながら、無人島でも彼女なら確実に生き残るだろうと提督は考える。
 しかし、それと同時に以前にも増して可愛く笑う赤城の姿に、彼も自然と笑みを浮かべていた。

「最近は鎮守府に居る時間も増えて、毎日色々な話を駆逐艦娘達に催促されてるらしいな」

「旅行の参考になるからと、ひっきりなしです」

「土産が減ったとボヤく奴も数名居るが、それ以上に他の奴等がそこかしこに今は旅行に行ってるからトントンか」

「たまにその案内役に駆り出されたりもしますし、結構大変です」

「大変そうには全然聞こえんぞ?」

「ふふっ、そうでしょうか」

 そんな会話をしているうちにある程度の量が貯まり、二人は竹林の持ち主に挨拶をして山を下りる。
 そして、掘り立ての筍を間宮の元へと持ち帰った。

「筍ご飯に焼き筍、筍の刺身に煮筍、筍の佃煮、贅沢な筍のフルコースですね」

「これだけ並ぶと凄いな」

「アクがほとんど出ない良質な筍でしたし、作っている最中に絶対に美味しいと分かりましたよ」

「では、早速いただきます」

「いただきます」

「――刺身は筍本来の味がしっかりと感じられて美味しいですし、焼き筍はワサビ醤油が凄く合いますね」

「筍ご飯も美味いな、これを食べてから今度は白米に佃煮と山椒、フキを乗せた茶漬けで食べるのも最高に良い」

「先端と輪の部分の食感の違いも堪りません」

「これは来年も掘りに行くべきだな」

「えぇ、その時はまたお供します」

「当たり前だ、猪避けが居ないと危なくて行けんぞ」

「猪……出来れば山の中で静かに暮らしているモノには会わずに済ませたいですね。田畑を荒らしている訳では無いのであれば、わざわざ戦う理由もありませんし」

「前に山に探しに行かなかったか?」

「アレは人里に近付かないように追い払っただけですから」

「そうか、てっきり食べたくなって探しに行ったのかと……」

「提督、流石に私も傷付きますよ……?」

「冗談だ冗談。ほら、しっかり食べろよ」

「そうですね、今日のところは筍に免じて聞かなかったことにしておきます」

(……妙に子供っぽい時が増えた気がするが、良い傾向……だよな?)




――――赤城、何して――。

 ――――提督、静かにして下さい。

――――(……霞?)

 ――――旅の話をしてたら寝ちゃったんです。

――――……お前は、本当に良く分からんな。

 ――――はい?

――――いや、何でもない。じゃあまたな。

・飛鷹『コンビーフって何?』、投下します

日々お品書きが増えていく居酒屋鳳翔

「コンビーフって、牛缶とは違うの?」

「牛缶は濃い目に既に味付けされた後に詰められてる。コンビーフは塩漬けにしただけだから、色々応用が利くんだよ」

「ふーん、提督は良く食べるの?」

「いや、俺も実はあまり食べたことがない。たまたまこの前鳳翔が作った試作品を食べたら美味かったから、お前もどうかと思ってな」

「そういうことなら、試してみよっかな」

「では、お二人分用意しますね」

 マッシュポテトに混ぜ込んだモノ、ワサビとマヨネーズで和えたモノ、ピザ風にチーズとトマト、玉葱と一緒にトーストに乗せたモノ。
 シンプルな品々がカウンターに並んでいくものの、酒の肴に相応しいように鳳翔が細かい手間を加えているので、見た目だけで味を判断することは出来ない。

「はい、どうぞ」

「おっ、出来たか」

「へー、コンビーフってこういうものなのね」

「クラッカー等も用意してますので、お好きに召し上がって下さい」

「じゃあまずはこのマッシュポテトから」

「飛鷹はワインか……じゃあ何か俺も軽いのを頼む」

「はい、すぐにお入れしますね」

「――もっとしつこいかと思ったんだけど、思ったよりさっぱりしてるわね」

「調理の仕方もあるが、じゃがいもと合わせるのが一番ポピュラーなだけあって、相性がいいんだよ」

「こっちはクラッカーに乗せるの?」

「そのままでもいけるぞ」

「じゃあまずはこれだけで……うん、少しツンと来るけど酒の肴にはピッタリね」

「牛肉とワサビは結構合うからな、味が多少濃くてもワサビが後味をさっぱりさせてくれる」

「ついつい食べ過ぎそう……」

「こっちのトーストを食べ過ぎたら間違いなく太る」

「提督? まだ食べてない状態でそういうこと言わないでくれない?」

「ワイン二杯目要求しながら言われても申し訳無いとは思えんぞ」

「仕方無いじゃない、美味しいんだもの」

「ふふっ、ありがとうございます」




――――結局あの後出されたのも完食しちゃったわね……。

 ――――次も頼もうって気にはなったか?

――――頼むのは四回に一回ぐらいにする。

 ――――(……三回に一回ぐらいにはなりそうだな)

タイトル変更

・皐月&磯風『可愛いね』、投下します

フリルのついた服を着ていた模様

(今度の秘書艦日はこれを着て司令官をびっくりさせちゃおっかな――アレ?)

 夕暮れ時、皐月は買い物から鎮守府へと帰って来た。
 そして、駆逐艦寮へ戻る途中、ある艦娘が寮の屋上に居るのを見つける。
 その姿に遠目ではあるものの何か放っておけない雰囲気を感じ取り、彼女は部屋へとすぐには戻らず屋上を目指した。
 階段を上がり扉を開けると、その艦娘はすぐに皐月に気付き、柵に背中を預けながら後ろへと振り返る。

「どうした皐月、こんな時間に屋上に用か?」

「そういう磯風こそ何してるのさ」

「私は、海を眺めていた」

「わざわざ屋上の鍵を借りて海を見に来たの?」

「何故か、そういう気分になった」

「ははっ、変なの」

 歩み寄って隣に立ち、皐月は同じ様に柵へと背中を預けた。その直後、少し強めの風が吹き、二人は髪を押さえる。

「――如月」

「如月姉がどうかした?」

「如月が口癖の様に言う“髪が傷む”というのが、私にはよく分からない」

 磯風の言っているのがただそのままの意味でないことは、皐月にもすぐに分かった。
 必要以上に如月が髪を気にかけるのは深海棲艦との戦いの名残からであることを、妹の彼女が知らないはずもない。

「バッシバシに固まったり、焦げたり抜けちゃったり、結構大変だったんだよ。あんまり昔は気にしてなかったけど、今同じ様になったらボクもかなり気にするかも」

「入渠すればそれは治るのではないのか?」

「アレ、浸かってないと意味が無いんだよ。首から上はタオルに染み込ませて当てたりしなきゃいけなくってさ、すっごく面倒なんだ」

「……そういう知識も、私には無い。再び戦いが起こることを願ったりはしないが、お前達のその共有してきた時間と経験は、純粋に羨ましいと思っている」

「それってつまり、自分が仲間外れみたいで寂しいってこと? ははっ、磯風にもそういう可愛いところあったんだね」

「寂しい、か……だからなのかもしれないな。皐月、話に付き合ってくれて感謝する。――それと、可愛いという言葉は今のめかし込んだお前の方が相応しいぞ」

 屋上から歩き去る磯風。その後ろで、皐月は照れ臭そうに笑うのだった。

――――磯風と皐月って、仲が良いの?

 ――――理由は知らんが、最近よく一緒に居るな。何にせよ、色々な艦娘同士に交流が生まれるのは良い傾向だ。

――――浜風がハラハラしながら後ろをついて回ってるようだけど……。

 ――――アイツは子離れ出来ない親か……。

「提督、いつものです」

「またか……で、今回は誰でどこにいる?」

「先程は瑞鶴のところに居ましたが、今は雲龍型の私室だと思います」

「分かった。加賀、ちょっと書類任せるぞ」

「空母ですので、あの子にも話をしておいて下さい」

「了解、飛龍と蒼龍にも声をかけておくことにする」




「葛城、おにぎり食べる?」

「葛城、一緒に歌を歌ってみませんか?」

「えーっと……何、この状況?」

「慣れなさい、ここはこんな感じだから」

 姉妹の挨拶もそこそこに、葛城は姉からおにぎりとマイクを差し出される。
 一緒についてきた瑞鶴が平然としているのを見て、彼女も一瞬でここではこういうのが普通なのだと察した。

「俺だ、入るぞ」

「提督もおにぎり、いる?」

「男女のデュエット曲も覚えました」

「おかかがあればもらう、カラオケはまた今度にしてくれ。それでお前が雲龍型の葛城……だよな?」

「そうよ、見て分かんないの?」

「……瑞鶴、そこの二人だと色々抜けるかもしれん。ついでだしお前が面倒見ろ」

「私はいいけど、葛城は?」

「是非!」

「じゃあ決ま――」




――――葛城が発見されました。

――――提督が口におにぎりを突っ込まれながら歌を歌わされました。

・プリンツ『接客のノウハウ』 、投下します

ドイツのパンなら間違えない

鳳翔と間宮は凄すぎて逆に聞けなかった模様

~大鯨のアドバイス~

「接客のノウハウ、ですか?」

「う、うん」

「そうですね……お客様に笑顔で接すること、でしょうか」

「笑えばいいの?」

「はい、笑顔が一番だと私は思います」




「プリンツ、何度も言うけどお客様を攻撃しようとしちゃダメだよ?」

「笑顔なら許してくれるって大鯨が……」

※言ってません。




~早霜の場合~

「どうして、私に……?」

「接客向いてなさそうなのに、バーやってるし」

「まずはその発言が問題だと思うのだけれど……口は災いの元、発言に注意するのも大事では無いのかしら」

「そっか、ダンケダンケ!」




「無言で仕事は出来ないよ、プリンツ」

「だって話しちゃダメって早霜が……」

※言ってません。




~金剛のアドバイス~

「そんなのvery very easyデース。ちゃんとTea timeを取れば気分もrefresh出来て仕事も上手くいくはずネー」

「ティータイム? お茶飲めばいいの?」

「仕事休憩に飲む紅茶は極上の味がしマース!」

 ――ヒェー!? ミルクを泡立ててたら飛び散りましたー!

 ――比叡姉様、それに気合いはいれなくて大丈夫です。

 ――泡立ちは十分かと、三番テーブルに運んで下さい。

「……大丈夫なの?」

「これぐらいで慌ててたらやってられないネー」




「……それで? 疲れたらティータイムにしたいって言いたいのね?――注文がまともに取れるようになってから言いなさい!」

(ビスマルク姉様にティータイムが必要かも……)

~漣のアドバイス~

「むしろそれを売りに! その制服と天然系路線でktkrってなるご主人様(かねづる)をじゃんじゃん囲っちまうのね!」

「ふんふん、つまり今のままの私でいいってことね! 漣、ダンケグート!」

「(あ、曙ちゃん、アレ止めた方が……)」

「(もう手遅れよ、諦めなさい)」

(カニパン食べたい)




「レーベ、マックス、これどういうことなのかしら……」

「売上、プリンツ来てから雑費が増えたのに伸びてるね……」

「ふーん……まぁ、下がってないなら良いと思うけど」




「四番テーブル、グリュッケパンに、ピーターパン、後スカルミリョーネだよビスマルク姉様!」

「分かったわ、次七番テーブルにこれを運んでちょうだい!」

「Ja!――ってうわっ!?」

(((今日はまだ料理飛ばすの二回目か、頑張ってるなぁ……)))




 色々な意味で看板娘街道爆進中のプリンツなのでした。

次のリクエストは明日の12時より三つ、21時より三つ受け付けます

葛城以外の新規艦娘と朝霜は除きます

・Z3&谷風『おぅ、景気いいかい?』

・村雨『村雨』

・清霜『食生活で超弩級駆逐艦目指す』

・朝潮『いつでも受けて立つ覚悟です』

・陽炎s対Vsながもん『酔った駆逐艦に迫られて私はもうダメかもしれない』

・舞風『野分が最近何かそわそわしてる』

以上六本でお送りします

・Z3&谷風『おぅ、景気いいかい?』、投下します

(外れに)当たらなければどうということはない

「景気? 売り上げなら伸びているけど」

「そりゃ結構なこった。いっつも景気悪そうな顔してっから赤字なのかと思ってたよ」

「ふーん……一度来れば分かると思うわ、ズッペぐらいならサービスするわよ?」

「おぅ、そいつはいいねぇ! そういう粋なのは谷風さん大歓迎!」

「じゃあ、私は開店準備があるから後で」




「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」

「三千円のお預かりで、三百八十円のお返しです」

「ご注文繰り返します! テーとカフィーとプリンツ・オイゲンですね!……って私!?」

(かぁーっ、開店三十分でコレはやるね)

「谷風、いらっしゃい。あそこの席が空いているから座って待っていて。パンのリクエストがあれば先に聞いておくけど」

「そんじゃマックスのオススメ三つ」

「私のオススメ? ふーん……まぁ、いいけど」

「――マックス、他二つはいいとして、こりゃ何だい?」

「私のオススメだけど」

「お、おぅ……」

 一品目、カリーブルストロール。カリーブルストをホットドッグの具に使ったもの。
 二品目、カルトッフェルプッファーサンド。ハッシュドポテトみたいなものをパンで挟んだもの。
 三品目、ボムベブロート。中身不明のパン、日によって具が変わる。通称“爆弾”。

「ズッペはツヴィーベルズッペ、お代わりは遠慮なく言って」

「でさぁマックス、このパンの中身は――」

「大丈夫よ、食べられるモノしか入れてないわ」

(何か不安だけど、出されたからには全部食べるのが粋ってもんだ!)

「いただきます!」




――――谷風、どうだった?

 ――――意外と色んな具が絡み合ってイケたし、谷風さん的には大満足だね!

――――(ふーん……当たりを引いたのね、まぁいいけど)

「――ちょっと待って頂けますか元帥殿? どうしてまたうちなんです」

『先方のたっての希望だ。安心しろ、名目上は“交換”だがお前の鎮守府から誰かを送ることはない』

「当然だ。そんなことを要求しやがったら全力で無かったことにしてやる」

『行きたがっている艦娘に心当たりがあったんでな、こちらから送る艦娘は既に手配しとる。ちと向こうで何かやらかさんか心配じゃが……』

「はぁ……で、来るのは構いませんけど交換ならそのうち帰るんでしょうね?」

『それは当人次第じゃな。ドイツに行った艦娘も何人かはそのまま居着いて帰ってきよらんかったし、お前のところにも帰らんかった前例が居るだろうが』

「まぁ、それは、確かに」

『うむ、では頼んだ。着任はヒトフタマルマル予定じゃからもう着いとるかもしれんのぅ』

「おいちょっと待て、最初からそのつもり――クソッ、切りやがった……とりあえず、迎えに行かんと不味いよな」




(ここにあの本の作者が、是非会って話を聞かないと)




――――リットリオが着任してきました。

・村雨『村雨』、投下します

雨天特化型

 少し昔の、忘れられない、思い出したくもない夢を見た。
 雨天での戦いに慣れていなかった私達の隊は敵本隊を発見するも、急な雨の影響で敵旗艦を後少しのところで撃破し損ねてしまった。
 たった三分、然れど三分の雨が、作戦を失敗へと導いた。

 ――“村雨”を旗艦にしたのがいけなかったのか?

 酷い言いがかりよね、名前で作戦が失敗するというのなら、台風や竜巻を意味する名前の子はどうしたらいいのかしら。
 結局、私はその作戦以降縁起が悪いと艦隊から外され、不要になった艦娘を引き受けていると私達の間で噂されていたここへと異動になった。
 ――そして、私は提督と姉妹達に出会ったの。

「一番先に、村雨発見!」

「やぁ、良い雨だね」

 何の因果か、着任日は雨。出迎えてくれた姉二人はレインコートを――ううん、時雨は何故か着てなかったんだっけ。
 後で理由を聞いたら、雨を傘やレインコートで遮るなんて勿体無いって言われたのを今でも覚えてる。

「はいはーい、村雨、着任しました」

「じゃあ提督の部屋に案内するね!」

「こっちだよ」

 廊下を濡らしながら、二人は執務室へと案内してくれた。
 中へ入るとすぐ、大きくため息を吐いた提督が時雨に注意してたっけ。

「――何はともあれ村雨、着任を歓迎する。経緯は聞いているからお前への最初の命令を言っておく。“雨の中で勝てるようになれ”、以上だ」

 その命令は“雨の中で勝てないような奴はいらない”、とも取れた。
 でも、隣でにこやかな笑顔を提督に向けている二人を見て、“見返してやれ”と言われているのだと分かったの。
 だから、自然と私はこう返していた。




――――村雨の、ちょっと良いとこ、すぐに見せたげる。

「残念、すぐに止んでしまったね」

「雨だと服が汚れるって怒られるし、止んでくれた方が夕立は嬉しいっぽい!」

「村雨姉さん、取り込んだ洗濯物畳んでおきました」

「うぅ……一枚転んでグチョグチョにしちゃった」

「一枚で済んだだけ良かったってもんさ」

「でもそれ、涼風のだよ?」

「え゛っ」

 賑やかな鎮守府と、賑やかな姉妹達。
 通り雨が運ぶのは嫌なことも当然あるけど、良いことも運んでくれると、私はもう知ってる。

「はいはーい、みんな外に注目!」

 空に架かる七色のアーチを七人の姉妹で見ている内に、私はその日見た嫌な夢などすっかり忘れたのだった。




――――村雨、打電しておいたぞ。

 ――――打電? 誰に?

――――“雨天ニ目標ヲ無事撃破。貴公ノ育テタ艦娘ハ大変優秀ダ、感謝スル”。

 ――――提督も嫌味言ったりするんだ。

――――礼を言ったまでだ、どこにも嫌味なぞないさ。

タイトル変更

・清霜『涓滴岩を穿つ』、投下します

真っ直ぐにも種類がある

「武蔵さん、お願いします!」

「どこからでもかかって来い!」

 イメージするのは、先日の朧と武蔵の一戦。
 攻められれば退き、退けば攻める。自分の力ではなく相手の力を応用していく戦法。
 拳は受け流し、絡めとる。掴まれれば巻き込む。
 ただ強くなりたいと口にするだけでなく、しっかりと鍛練を積んだ彼女のそれは、武蔵と戦えていると言えた。

「いいぞ、その調子だ」

「……」

 褒める武蔵を他所に、清霜は表情を曇らせていく。そして、ついには動きを止めて距離を取った。

「どうした清霜、まだ始めたばかりだぜ?」

「ごめんなさい、武蔵さん……でもね、何か違うの」

「ふむ、どう違うんだ?」

「確かに今のも強いしカッコいいと思う。――だけど、清霜はやっぱり武蔵さんみたいになりたい!」

 武蔵に憧れ、少し変わっていて情けないところも見せる彼女に戸惑いつつも、先の演習ではやはりその堂々とした貫禄に胸が高鳴るのを清霜は感じた。
 だからこそ、彼女は武蔵を目の前で負かした朧ではなく、武蔵を目指したいと口にする。
 その目には、子供がただ憧れているのではないという真剣さが宿っていた。

「そうか……清霜よ、ならば私に憧れるのはやめておけ」

「え……?」

「――この戦艦武蔵を越えて見せろ。お前の望むやり方で、な」

 ニヤリと笑った後、武蔵は再び構える。
 一瞬動揺を見せた清霜も、すぐに表情を引き締め直し、拳を構えた。

「さぁ来い、私はここから一歩も動かんぞ!」

「はい! 清霜、行きます!」




「私もうかうかしていられないな」

「長月、嬉しそうですね」

「あぁ、そのうち手合わせ願いたい」

「今日のところは、大和で我慢してください」

「……この前のアレを見て、やはり姉なのだと痛感した」

「ナ、ナンノハナシデスカ?」




――――それで? 私達の力では到底大和型の装甲は貫けないと思うのだけれど、どうするの?

 ――――が、頑張ればそのうち出来るもん!

――――そう……少し、その純粋さが羨ましいわ。私も強くなれば、変われるのかしら……。

気付いたら一年経ってました

朝潮導入のみ投下、朝潮は何事にも真面目に取り組みます

 真面目で、融通が利かなくて、想定外の事態に滅法弱くて、臨機応変という言葉が苦手だった。
 けれど、司令官はそんな私を認めてくれた。

 ――真面目に訓練を受けて、真面目に知識を積み重ねてきたのは、お前の長所だ。

 ――それはお前を裏切らない。想定外を想定しろ、自分の訓練と、知識と、仲間を信じろ。

 ――臨機応変という対応が難しいと感じるなら、自分に出来ること、知っていることをその場で全て思い出せ。予習復習は、得意だろ?

 信じたいと思った。実際、信じられた。
 敵の増援部隊が現れた時、いつもなら止まる思考回路が、いつもより速く動いていた。
 尊敬出来る、私のたった一人の司令官。




 ――そして、“ただ真面目な艦娘”だった私の中に、“年頃の少女”である私を見つけてくれた、たった一人の――。

「――なぁ金剛、ここってお前達の店だよな?」

「そうデスネー」

「じゃああそこでパスタ作ってるのは誰だ?」

「知らないデース」

「ついでにもう一つ聞くが、そこでパスタ食ってる奴いつからいる?」

「お昼前にフラっと来たヨ?」

「そうか……探し回った挙句に余計に疲労の溜まる光景だな、これは……」

 ――姉さん、もうすぐお代わりが出来ます。

 ――Grazie! ローマのパスタはいつ食べても美味しいですね。




――――ローマもなぜか着任しました。

「大艇ちゃん!」

「連装砲ちゃん!」

「だーいーてーいーちゃーん!」

「れーんーそーほーちゃーん!」

「(あの子、どこの子なんでしょうか……?)」

「(知らないけど、島風と同レベルかもしれないわね……)」

「大艇ちゃんったら大艇ちゃん!」

「連装砲ちゃんったら連装砲ちゃん!」

「こうなったらどっちが可愛いか勝負するしかないかも!」

「絶対に負けないよー! 秋月と天津風もやるよね!?」

「えっ」

「そんな気はしてたわ……」





――――厚化粧(?)な艦娘が島風達と遊んでいるところを発見されました。

高波は暫く海を漂流してるので回収は当分先になるかもです

ながもんは水曜日の夜には更新予定でち

大鳳の霊圧をそろそろ復活させたい

・陽炎達Vsながもん『酔った駆逐艦に迫られて私はもうダメかもしれない』、投下します

試合に負けて勝負に勝つ、K潮は善意に満ち溢れた良い子

 ――それは、ほんの些細なイタズラから始まった。

(聞いた話によるとこの辺りだが……)

 自然豊かな遠足の行き先などにも度々選ばれる公園。そこに数名の駆逐艦が集まって盛り上がっているという話を聞き、一応の監視兼リフレッシュの為に長門はその集まりを探していた。

「――あそこか」

 遠目ではあったものの、陽炎と他に数名の艦娘が居るのを発見し、早足で歩み寄る。
 段々と駆逐艦娘の元へ近付いていくうち、少し様子がおかしいことに長門は気付いた。

(これは一体どういうことだ……?)

 彼女が目にしたものは、野分に膝枕されご満悦な舞風、あらぬ方向を三角座りで凝視したまま微動だにしない不知火、服の乱れた浜風に覆い被さる磯風と谷風、そして黒潮にコップを突きだしている目の据わった陽炎というなかなかな光景だった。

「あっ! ならとだ! みんら~ならとにとつげきー!」

「何だ、来て早々か? 私は一応監視のつもりで来たのだが、遊びたいと言われてビッグセブンが断るわけには……お前達、その奇妙な足取りはどうした」

 長女の命令に従い、一斉に動き出す妹達。しかし、その動きは驚くほどぎこちなかった。
「目……合う……敵……」

「あの枕は磯風のものだ」

 一番手と二番手は不知火と磯風。他の者と比べればこの二人の足取りはまだしっかりしており、それ故に接近するのも早かったからだ。

(もしや酔っているのか? いや、陽炎に限って酒を鎮守府外で飲むことを許しは――む?)

 不知火に首を絞められ、磯風に軽いローキックをもらいながら、長門は視界の隅にこっそりと隠れようとする元凶を捉える。
 しかし、次々と自分に手を伸ばし近付いてくる駆逐艦娘の可愛らしさがそれを追うという選択肢を彼女から奪い去っていった。

「皆で踊れば楽しい楽しい~」

「のわっちじゃないもん……のわっちじゃないもん……」

「ちゃんと言えるんですよぉ、勝って……兜の……兜……ひっく」

「かぁー目の前が揺れるぅ……」

 各々何かを口走りながらまとわりつき、長門の身体を徐々に覆っていく。
 そして、最後に一番もたつく足取りでやってきた陽炎が正面に立ち、ジト目でにらみつける。

「……また他の子ばっかり構って、私も構えっ!」

(これは異常……いや、しかしすぐに引き剥がすのは……だがビッグセブンとして……)

 長門はそのうち、考えるのをやめた。

「全く、私が来なければどうなっていたか」

「どっちにしても全員寝てしもたやろうから、誰か迎え呼べば良かっただけやん」

「そういう問題ではないだろう……」

「ここに陽炎が長門さんのことを好き言うてる部分を録音したテープがあんねやけど、欲しない?」

「それとこれとは別問題だが私も無闇に人を叱りつけたくはない。次からは飲ませるにしても鎮守府内でと約束すれば、この話は提督達には黙っておこう」

「流石長門さんや、話が早うて助かるわ」




――――ちょっ!? な、何なのよそれ!?

 ――――私の宝物の一つだが。

――――今すぐ消しなさいよ!

 ――――断る。

――――(暫くはこのネタでまた楽しめそうやなぁ)

・舞風『野分が最近何かそわそわしてる』 、投下します

酔って甘えた、酔って甘えられた、win-winだった

 野分の様子がおかしくなったのはほんの数日前、決まった時間に近づくと何だか落ち着かないといった感じで時計をしきりに見始める。そして、決まった時間にどこかへと出かけて行ってしまう。
 一度行き先を聞いてみたけど、はぐらかすだけで答えてはくれなかった。
 別に隠し事をされるのが嫌な訳じゃないけど、部屋を出ていくときのあの笑顔が私と居る時に見せるものとは違っていて、少し寂しく感じてしまった。

(――だからって尾行しちゃうのはやり過ぎかなぁ……)

 建物の陰に身を潜めながら、野分をこっそりと追いかける。
 向かっている方向は鎮守府の入り口とは反対方向なので、外で何か変な遊びに熱中しているということは無さそうだ。

(まぁそもそも野分に限ってそんな心配いらないよね)

 少し安心したものの、やはりどこへ行っているのかは気になるので尾行は続行――。

「那珂ちゃんはーそれはダメだと思うなー」

「っ!?」

 普段ならば気付けたし驚きもしなかったけれど、後ろめたいことをしているという意識が身体を強張らせる。
 振り向けばいつも笑顔を絶やさない艦隊のアイドルが立っていて、人差し指を立てて“めっ”と言ってきた。

「こっ、これは違うんです。野分のことが心配で、その……」

「嘘は良くないよ?」

「うっ……私と居るより楽しい何かを見つけちゃったのかなって不安で……」

「うん、素直が一番! じゃあはい、コレ」

「へっ? いや、あの、那珂さん?」

 そこで私はようやく気付いた。艦隊のアイドルが“ダメ”と言ったのは尾行ではなく、尾行のやり方であったことに。

 暖かな春の日の午後、トレンチコートにサングラスで木陰に隠れる私と那珂さん。正直、とても暑い。

「(これ着る必要はどこに?)」

「(新聞紙が手近になかったなんて、那珂ちゃん一生の不覚だよ!)」

 何故かついてきたアイドルへの突っ込みはスルーされ、気にするのを諦める。
 野分の行き先はもう大体見当がついたため、これ以上はこそこそする必要性もあまり無いけれど、とりあえず目的地に到着するまでは続けることにした。




「――やっぱり、ここだったんだ」

 途中姿を隠す物が無くなりバレそうになりながらもなんとか気付かれずに到着したのは、あまり自分には縁の無い場所だった。
 玄関からでは中の様子が窺えそうもないので、縁側のある方へと回り込む。

「舞風ちゃん、那珂ちゃんは向こうで待ってるね」

 ここまで先導するようにしてついてきていた那珂さんの言葉を背に受けながら、家の中を覗き込む。
 そこにはこちらに背中を向けている野分と、バッチリとこちらを見ながらニコニコと笑っている鳳翔さんが居た。

(も、ものすっごくバレてる……)

 叱られるかと一瞬背筋に冷たいものが走ったけれど、こちらから視線を外すと鳳翔さんは野分へと話しかけ始めた。

「野分ちゃん、やっぱりそれ持って帰ったらどうかしら?」

「いえ、絶対にからかわれてしまいますので……」

「ふふっ、いっそ本人にそうしてあげたら喜ぶかもしれませんよ」

「それもちょっと……」

 何をしているのかがすごく気になり、角度を変えて野分の手元を覗き込む。
 そこには、予想外の物があった。

「――それ、私のぬいぐるみ?」

「えっ!? まいかっ!? いったぁ……」

 急に立ち上がろうとしてちゃぶ台で足を打つ野分。それだけ驚いたってことみたい。

「ねぇねぇ野分、何で私のぬいぐるみを抱きしめてるの?」

「こっ、これは別に舞風って訳じゃ――」

「この前舞風ちゃんを抱きしめたらとても落ち着いたらしくて、本人に度々そうするのは恥ずかしいからぬいぐるみで我慢してるそうですよ」

「鳳翔さん!?」

「ほほぅ……ほぅほぅ、なるほどなるほど……のーわーきー」

「な、何?」




――――とても微笑ましい光景ですね。

 ――――那珂ちゃんもたまには甘えてみよっかなー。

――――舞風、ちょっと苦しい……。

 ――――ぬいぐるみで代用するなんて良くないぞー?

次のリクエストは本日十二時から三つ、二十時から三つ受け付けます

朝霜とかもかも駆逐艦は除きます

・雷『いかずち門?』

・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』

・飛鷹&暁『疲れるだけ』

・金剛&大鳳『結構似た者同士』

・大鳳&浦風『以心伝心』

・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』

以上六本でお送りします

・雷『いかずち門?』、投下します

奴は四天王の中では一番のレディー…?

「雷、それは雷(かみなり)門だ」

「そうなの? いかずち門だったら良かったのに」

「先に言っとくが、菓子の方もかみなりおこしだぞ」

「そうなんだ。でも、面白そうだし買って帰ろーっと」

「俺は鳳翔とかに頼まれたし、煎餅買って帰るとするか」

「ねぇ司令官、暁にこれなんてどうかしら?」

「ん?……涙目になりながら無理して食うだろうからやめてやれ」

 一味煎餅、一袋三百九十八円、税込。

「まぁ流石にこれは冗談として、やっぱり甘いものがいいわよね」

「ベタだし東京以外でも同じ様な物は買えるが、人形焼きとかいいんじゃないか?」

「横須賀で売ってる“艦娘焼き”みたいなもの?」

「それの元だよ。アレみたいになかなか袋に入ってないレア艦を見付けるみたいな楽しみ方は無いがな」

 レア扱いとして中破状態案を出したら申請が通らず、衣装と台詞違いがレア扱いとなった艦娘焼き、一袋五百円。
 以前何袋買っても扶桑が入っておらず、山城に不幸だわと言われた提督の財布へのダメージ五千円。

「さて、買い物も終わったし……ってしまった、先に買っちまった」

 右手、煎餅の袋入り紙袋。左手、雷の右手。

「どうしたの司令官? 困ったことがあったなら私に任せて!」

 左手、お土産どっさり。右手、司令官の左手。

「大丈夫だ、帰りに買う予定にしてたのを忘れてたってだけだよ。なぁ雷、本堂の方にも行ってみないか?」

「司令官が行きたいなら、どこにでもついていくわ」

「じゃあ悪いが付き合ってくれ」




「ねぇ司令官、お寺好きなの?」

「好んで巡ったりはしないが、行くのに抵抗は無い。たまに行きたいって言い出す奴もいるしな」

「ふーん。その妖精さんは?」

「知らん。俺達が行くってどこから知ったか知らんが、あのじいさんに頼まれて連れてきた」

「元帥のおじいちゃん、たまに謎よね」

「謎でいいんだよ、下手に知っちまった方が不味いこともある」

「さっきからずっと妖精さんが仁王さんのポーズしてるけど、何でかしら」

「妖精さんの思考も謎だらけだし、気にしたら負けだ」

「じゃあ、私達の考えてることは?」

「分かった方が良いことは、大体分かってるつもりだ」

「……うん」

「さてと、連れてきてどうしろとは言われてないし、適当に軽く見て回るか」

「じゃああっちから見て回りましょ!」

「ちょっと待て雷、引っ張るな、荷物が……」




――――四天王……私達だと雷天とか電天とかになるのかしら?

 ――――暁に守護される側がかなり不安な気がするんだが、気のせいか?

・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』、投下します

衣装協力荒潮

爆発しても簡単には破れない

火遊び(意味深or主砲発射)

「ぱんぱかぱ~ん、今日は鎮守府コレクションにお集まり頂きありがとうございまーす」

「司会兼企画発案者の那珂ちゃんだよーよっろしくー!」

「メイク担当の陸奥よ、よろしくね」

「そして私がぱんぱかぱ~ん兼ヘアメイク担当の愛宕よ」

「今日は艦娘の為のファッションショーだからー皆気兼ねせずに楽しんでね?」

「コンセプトは“即戦闘可能なお洒落”よ。仮にも軍属である私達が服の裾につまずくなんてことがあってはいけないわ」

「それじゃあ早速モデルの皆、お願いね~」

「最初はラフで動きやすいというのを追求したスポーティなスタイル。ホットパンツにTシャツ、パーカーとシンプルながら足に自信があれば破壊力は抜群ね」

 ――あ、あの、私じゃなくて長良姉さんで良かったんじゃ……。

「さぁどんどんいってみよー!」

「ホテルのバーカウンターに座っていてもおかしくない黒のドレス。少しタイトだけど走るのに支障が無い仕立てになってるわ」

 ――うっわマジでこういうの恥ずかしいんですけどぉ……。

「まだまだいくわよ~」

「今度は逆に幼さ全開! フリルとリボンいっぱいのホワイトロリータ! 色々仕込む場所もいっぱいだよ!」

 ――ほわ~何かヒラヒラ~。

「お次は皆の鎮守府の提督を落とすちょっと大胆なスタイルに着替えた陸奥さんの登場よ。胸と背中の辺りがぱんぱかぱ~んってなってるのと、足首から太ももまで入ったスリットがセクシーでしょ?」

「火遊びにはもってこいね」

「続いては艦隊のアイドル、那珂ちゃんのイチオシだよ! チューブトップにミニスカート、健康的だけど男の子の視線を集めちゃおっ!」

「最後は私よ~。ぱんぱかぱ~んと夏を先取り、あえてビキニじゃなく腰のくびれを強調出来るデザインにしたワンピースタイプの水着よ。どうかしら~?」

「今日はお試しだからこれだけだけどー要望が多かったらまた開催するね?」

「皆の健闘を祈っているわ。メイクの相談もいつでもオッケーよ」

「合言葉は“ぱんぱかぱ~ん”、覚えて帰ってね?」




――――……通販か?

 ――――(提督の好みとしてはスリットの入ったものでしょうか……)

――――(胸……最初のが一番私には合っているわね、トレーニングは欠かさないし……)

 ――――(提督さん的にあの白ロリはどうかねぇ?)

タイトル変更

・飛鷹&暁『雰囲気に酔う』、投下します

「飛鷹さん、今日はどうされますか?」

「そうねぇ、そこのレミーマルタン一杯もらえる?」

「はい」

「暁はいつものをお願いするわ」

「えぇ、いつものですね」

「暁、貴女お酒飲めたの?」

「妹の響だって飲めるんだから、当然飲めるわ」

「へー、意外ね」

「お二人とも、どうぞ」

「ありがとう早霜。うーん、良い香り」

「ねぇねぇ飛鷹さん、暁にもどんな香りか確かめさせて」

「いいわよ、はい」

「……何か変な匂い」

「ふふっ、ちょっとまだ暁にはこれは早いのかもね」

「べ、別に飲もうと思えば飲めるんだから!」

「じゃあ私の奢りで一杯飲んでみる?」

「えっ……きょ、今日はあんまりいっぱい飲みたくないし、またの機会にさせてもらってもいい?」

「ならまた今度にしましょうか」

「う、うん……」

(どうしよう……鼻を近付けただけでクラクラしたのなんか飲めない……)

「ところで、暁の頼んだそれは何なの?」

「これは暁の為に早霜が特別に作ってくれた、大人のレディー専用の酔わないお酒よ。ねぇ早霜?」

「えぇ、それは暁さん専用のカクテルです」

「どんなのか気になるわね……私もそれ、一杯もらってもいい?」

「はい、すぐにお作りします」

「んくっ、んくっ、ふぅ……やっぱりこのカクテルが一番よね! 早霜、暁にももう一杯作ってちょうだい」

「そんなジュースみたいに飲んで大丈夫なの?」

「一人前のレディーにはこのぐらいへっちゃらよ」

「お二人とも、どうぞ」

(……? これ、ひょっとして……)

「甘くて美味しいし、これなら何杯でも飲めちゃうわ」




――――カクテルはカクテルでも、アレってノンアルコールカクテルでしょ?

 ――――以前、ワインを一口飲んだら倒れてしまったので、それ以来ずっとノンアルコールカクテルをお出ししています。

――――暁らしいわね……。それで、貴女は何杯飲むつもり?

 ――――眠くなるまでだよ。

――――(妹の方は顔色一つ変えずに飲んでるし、やっぱり姉妹でも色々違うもんね)

ちょっとした話三つ投下

リクエストの方は明日更新します

 全てを託すに値するか、見極めなければいけない。
 もし見誤れば、あの子達を危険に晒してしまう。
 自分が消えるだけならば、既に戦いの終わった今の世に思い残すことは無い。
 その時が来たならば、私は躊躇うことなく死を選びましょう。
 それで、あの子達が助かるのなら――。




「(いけませんねぇ、これは司令官に報告しないと)」

「(尾行って何かかっこいいよね、一度やってみたかったんだー)」

「(くれぐれもバレないようにお願いしますね?)」

「(分かってるって)」

(――青葉、久しぶりに本気見せちゃいます)

(こういうのは誰も知らないうちに処理するのが一番だよね、うん)




 ??の秘密について?葉と川?が調査を始めました。

――弥生はいつも無表情だった。

 ――卯月はいつもふざけて怒られていた。

――弥生は何を言われても、何をされても無表情なままだった。

 ――卯月は嫌なことがあるとすぐに逃げていた。

――どうして弥生はあんな風に我慢出来るんだろう。

 ――どうして卯月はあんなに自分に正直なんだろう。

――楽しくもない、ただ辛いだけの戦いなんて嫌。

 ――戦うのは辛いし怖いけど、守らないと。

――ずっと楽しく遊んでいたい。

 ――せめて、弥生みたいに卯月にはなって欲しくないから。

――でも、卯月の本当にしたいことは……。

 ――でも、出来ることなら……。




「相変わらずだな、あの二人は」

「おりょ? 弥生と卯月のこと?」

「あぁ、さっきあれだけぶっ飛ばしてぶっ飛ばされたってのに、どっちも一切気にしてないだろ」

「当然なのね。アレが二人の仲良しの秘訣にゃしぃ」

「遊びに来てる子供に悪い影響が無いといいんだがな……」




「卯月が……いっぱい……幸せ……」

「うーちゃんはサンドバッグじゃない……ぴょん……」




 ――出来ることなら、周りを気にせず二人で思いっきり遊んでみたい。

 きっかけは、何気無いたった一言だった。

 でもさ、あたしにはその一言が凄く嬉しかったんだ。

 姉妹に比べれば女の子らしいところなんてこれっぽっちも無いし、別に気にもしてなかった。

 だけど、いざ言われたらやっぱり意識しちゃうもんだよな。

 しかも吹雪の失敗した料理にはっきり“不味い”って言ったし、思ったことをしっかり言う人だってことじゃん。

 あっ、ちゃんとその時の料理は完食してたし、吹雪も次は頑張るって張り切ってたよ。

 ってそうじゃなくて、あたしが言いたいのはさ……その、あたしもやっぱり女の子なんだなーってこと!




「深雪、ギブ、ギブ!」

「えー? まだかけたばっかだぜ?」

「俺の意識が欠けていくんだよ!」

「ちぇっ、せっかく対陸戦用深雪スペシャルが完成したからお披露目に来たってのに」

「俺で試すな、やるなら若葉とか武蔵とかにしろ」

「はいはい分かりましたー。じゃあこっちならいいよな?」

「おー、そっちの深雪スペシャルなら歓迎だ」

「いっぱい作ったからどんどん食べてくれよ!」




――――深雪、ちょっといいか。

 ――――司令官? 何か用?

――――これをたまたま寄った店で見付けてな、お前の好みかは分からんが、気に入ったならやる。

 ――――何であたしに?

――――? 似合うと思った以外に何があるんだ?

 ――――吹雪とか白雪じゃなくて?

――――あぁ、お前にだ。

 ――――……だったら、もらおっかな。

――――そうか、じゃあコレ。

 ――――あっ、ありがとな、司令官。

――――お礼は深雪スペシャルで頼む。

・金剛&大鳳『結構似た者同士』、投下します

比叡と榛名と霧島のもちゃんと集めてたりする

「Hey大鳳、ご注文は何にするデース?」

「ダージリン」

「今ならランチサービスでサンドイッチと合わせて八百円ネー」

「じゃあそれでお願い」

「了解デース。比叡、サンドイッチお願いしマース」

 ――気合い! 入れて! 作ります!

(サンドイッチに気合いって必要かしら……)

「今日は浦風はどうしてるデース?」

「今頃磯風達と料理してるわ」

「Oh……」

「浦風から聞いた話ではだいぶ一般的な知識は身に付いたらしいから、もう大丈夫だとは思うわよ?」

「極端に甘いか辛いかダブルアタックっていうのは、なかなか舌と胃に来るものがあったネ……」

「あら、比叡の料理で慣れてるんじゃないの?」

「アレは味覚以前の問題だったデース……」

「お待たせしました! 比叡特製カレーサンドです!」

「ありがとう比叡」

「ダージリンもちょうど入ったネー」

「――ふぅ……まぁ、比叡だって今は色々な美味しい料理を作っているみたいだし、磯風もきっと大丈夫よ」

「そうなることを切に願いマース」

「ところで金剛、約束のモノは持ってきてくれたの?」

「当然ネー」

「じゃあ交渉成立ね」

「またcuteなのが撮れたら連絡しマース」

「えぇ、私もすぐに知らせるわ」

「お姉様、何を交換したんですか?」

「秘密のcollectionデース」




「それ、うちも見せてもろてえぇ?」

――――全く、油断も隙もありゃせんねぇ。

 ――――うぅ……浦風怒ると怖いデース……。

――――(ちゃんと撮る許可を取ったのに寝ぼけてたから覚えてないなんて、不幸だわ……)

・大鳳&浦風『以心伝心』 、投下します

二人ともちょっと怖がり

人参大好き

「浦風、アレどこかしら」

「そこの引き出しの二番目に入っとるよ」

「ありがと浦風。そういえばあの店、この近くに出来るみたいね」

「そりゃぶち嬉しいんじゃ。姉さん、出来たら一緒に行こね」

「えぇ、もちろん」

「ところでお昼はどうするんじゃ? 冷蔵庫にアレとアレ残っとるけど」

「だったら付け合わせにこの前貰ったアレを炒めましょうか」

「うちはそれでえぇよ」

「じゃあそうしましょう」




「はい、浦風」

「ありがと姉さん」

「やっぱり伊良湖の作る最中は美味しいわね」

「お茶も鳳翔さんからの貰いもので良い香りじゃねぇ」

「この前借りてきたDVDでも見る?」

「どれを先に見るんじゃ?」

「こっちの『世にも奇妙な鎮守府~8~』から見ましょうか」

「6の『顔の無い艦娘』は怖かったなぁ……」

「浦風って、少し怖がりよね」

「姉さんだけには言われとうないんじゃ」

「わ、私はちっとも怖くなんかなかったわよ?」

「そう言いながらうちを後ろから抱き締めとるのは何でか言うてみ? ん?」

「あっ、ほら始まるわよ浦風、前見て前」

 ――人参美味しいぴょん。

「ね、ねぇ浦風、この人参って……」

「アレはただの大きい人参じゃ姉さん」

 ――皆、どこ行っちゃったんだぴょん?

「な、何でさっきから顔を映さないのかしら」

「ただの演出じゃ、心配いらんよ」

 ――司令官、卯月、人参食べられるようになったぴょん。

「」

(アレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップ……)




「最後の『猫になった多摩』は面白かったんじゃ」

「やっと元に戻ったと思ったら、球磨が熊になってしまうなんてね」

「さてと、姉さん次はどれにする?」

「『ぷちむす』」

「姉さんそれ好きじゃねぇ」

「だって可愛いんだもの、浦風も出てるし」




――――浦風がこのぐらいのサイズになったらずっと抱っこしていたいわ。

 ――――(今も大抵一緒の時は抱き締められとる気がするんじゃけど……)

・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』、投下します

一部艦娘のモノはお好きなモノをご想像下さい

 鎮守府に現在ある飲食店は全部で六つ。
 そのうち二つは一般人には開放されていない区画にあり、今回の会議には不参加である。
 そして、犠牲者――もとい、漣に集められた店のオーナーは以下の三名だ。

「Hey漣ー、今回はどんなとんでもない企画を思い付いたんデスか?」

「企画によっては私は降りさせてもらうわ」

「前回みたいなのは私もちょっと……」

 比較的まだ乗り気な金剛、警戒しているビスマルク、苦笑いの間宮。
 それぞれに反応は違うが、そんなことは意にも介さず伊達眼鏡をクイッと上げながら漣は企画の説明を始める。

「えー、本日はお日柄も良く、晴れ晴れとしております。そして、私達の居るこの鎮守府は海に面していて、尚且つそれを最大限活かせる武器を持っています」

 柄にもなく真面目な口調で話を進める漣。
 しかし、既に三人は気付いていた。
 漣の後ろに詰まれた段ボールに書かれてあるものが、自分達にこれから訪れる地獄だということを。



「――つまり、皆水着になっちまいましょうか」 

「榛名は大丈夫じゃないです!」

「No problemネー。似合ってマス榛名」

「金剛お姉様、私は? 私は似合ってますか?」

「当然デース。比叡のワンピースもvery cuteネ」

(榛名の貝殻ビキニは少々やり過ぎな気もしますが、売り上げの為ならやむ無しですね)

「榛名は……榛名は絶対に大丈夫じゃないです!」




「ねぇビスマルク、これは僕に何を求めてるのかな?」

「(マックス、どう返事をするべきかしら?)」

「(私に聞かないで)」

「ビスマルク姉さん、これってスク・ミズーとかいうもの?」

「そうだよプリンツ。三人のはハチ達が着ているスク水で、僕のは何故かビキニと水着パーカーだよ……」

「(恥ずかしがっているようだけど、あまりいつもの服と変わらない気もするわね)」

「(レーベの中では何かが違うんじゃないかしら。……まぁ、私は気にしないけど)」

「うわっ!? よく考えたらこれエプロンしないとズッペはねて熱いっ!」

「間宮さん」

「な、なぁに伊良湖」

「目を背けても水着は消えないと思います」

「うっ……伊良湖は嫌じゃないの?」

「お菓子を作るのに支障はありませんので」

(この子、本当にお菓子作り以外興味ないんじゃないかしら……)

「大鯨ちゃんはど――」

「間宮さん、この水着どうでしょうかあ?」

「え? えぇ、淡い水色がとても良く合ってて可愛いと思うわよ?」

「ふふっ、提督と海へ行く約束をしたところだったので、とっても助かりましたあ」

(いつもの大鯨ちゃんならもう少し恥ずかしがってたんでしょうけど、笑顔がキラキラしてるわね……)

「――このまた胸元の開いてるのを、着るしかないのかしら……」




「は、恥ずかしいよぉ……」

「蟹をイメージした水着、嫌いじゃない」

「ちょっと待ちなさいよ漣! 私のこの水着何なのよ!?」

「ご注文通り“露出が少なくて派手じゃない水着”ですが、何か問題でも?」

「問題大ありよ! 何で私だけダイビングスーツなのよ! しかもご丁寧に酸素ボンベまで用意してるし!」

「肌の露出はほぼゼロ、飾りっ気もなく地味、ほらね?」

「ほらねじゃないわよ、このっ! このっ!」

「痛っ、酸素ボンベは鈍器じゃ痛っ、痛いですってば!? ならこっちだったら文句無いでしょ!」

「はぁ……はぁ……花柄の、ワンピース? こういうのがあるなら、最初から、出しなさいよ、全く……」

(よし、ミッションコンプリート! 胸にツンデレって浮かび上がる細工が仕掛けてあるのは注意深く調べないとバレませんし、これで当日はまた面白くなりそうですねー)

「(漣ちゃんがまた悪いこと考えてる顔してる……)」

「(朧は蟹が可愛いから満足、潮の牛柄も可愛い)」




 なお、イベントは提督への虚偽申請が発覚した為、初日で中止となったそうな。

――――鳳翔さん、新作茶碗蒸しの味、見?

 ――――あ……瑞鳳、これは違うの。久しく着てなかったからまだ着れるか確かめようと思って、それで……。

――――(鳳翔さんって、意外に結構大胆な水着選ぶんだ……)

次のリクエストは今日の21時から三つ、明日の12時から三つ受け付けます

朝霜と高波は除きます

・磯風『夢で分かるもの』

・多摩&北上『ゆるゆると』

・葛城『前向きに真っ直ぐに』

・大鯨『あなただから』

・『検品』

・大鳳『出会ってしまった少女』

以上六本でお送りします

・磯風『夢で分かるもの』 、投下します

甘えたくなる時だってある

 ――雪風、どうした? 何故私に砲を向けている。

 ――違う、それはもう過去の話だ。

 ――くっ、身体が……動け、動けっ!

 ――雪風、雪風っ!




「っはぁ、はぁ……夢、か」

 全身を襲う強烈な不快感と虚脱感。
 いつもより動作の鈍い身体をゆっくりと動かし、額に貼り付いた髪を払いのけた後、その下ろした手が何かに当たるのを磯風は感じた。

「すぅ……すぅ……」

(相変わらず寝相があまり良くないな、雪風は)

 自分の布団にまで転がってきていた雪風を見て、先程まで見ていた夢を彼女は思い出す。
 それは、今の姿で再現された昔の姿の最後の記憶。

(話に聞いてはいたが、これを毎晩見るのは流石に遠慮願いたいな)

 少し楽になった身体を起こし、雪風に布団をかけ直すと磯風は一人部屋を後にする。
 日の出は徐々に早くなりつつあるものの、まだ空が白み始める時間には早く、廊下は音もなく静まり返っていた。

(こんな時間に起きている者など、居るはずも――む?)

 何気無く窓から見下ろした先に見えた人影。不審者が侵入した可能性など皆無だとは分かっていても、その後を追って走り出すのを磯風が躊躇うことはなかった。

「司令、こんな時間に何をしている」

「磯風か。お前こそ寝間着でこんな時間に何してるんだ?」

「不審者の追跡だ」

「不審者?……それ、ひょっとして俺のことか?」

「こんな時間に司令が一人で護衛もつけずに出歩いているとは、普通思わんさ」

「一向に書類が片付かなくて息抜きの散歩してたんだよ。まだ起きてる奴も居るには居るが、わざわざ声をかけるのもどうかと思ってな」

 比較的新顔である磯風にすら分かる事実として、提督に誘われてそれを煩わしく思う者などここでは皆無に等しかった。
 無論、彼女も断ることなどありはしない。

「では、この磯風が付き合おう」

「良い子は寝る時間だぞ」

「良い司令は今すぐ執務に戻ろうな?」

「……磯風、散歩に付き合ってくれ」

「了解した」

 静かな夜の鎮守府。聞こえるのは二人の足音と、海の音。
 特に何を話すわけでもなく、ただただ二人はぐるりと鎮守府を巡る。

「――司令」

「どうした? 眠くなってきたか?」

「“夢”と上手く付き合っていくには、どうすればいい」

「夢、か……」

 足を止め、二人は再び向き合う。
 以前にもこうして磯風が急に質問をすることは何度かあったが、今回のそれは今までとは別の類いのものだった。

「気に病むな、とは言わない。ただ、今の雪風はお前が思っているよりも強いし、また会えたことを何より嬉しいと感じてる。それを忘れないことだ」

「私はまだ夢の内容について一言も口にしていないはずだが……」

「色々な艦娘からそれについては話を聞いたからな、大体分かるようになった」

「そういうものなのか? しかし、まぁ、感謝する」

「散歩に付き合ってもらった礼だ、気にしなくていい」

 軽く返す提督に、磯風は暫く何か思案する素振りを見せた後、再び口を開いた。




「司令、今日は一緒に寝てもいいだろうか」

――――(どうしてこうなった……)

 ――――うん、悪くない寝心地だ。

――――朝にはちゃんと部屋に戻れよ?

 ――――あぁ、分かっている。




 朝、探しに来た浜風が提督の横で寝間着のはだけている(汗が気持ち悪くて自分で緩めた)磯風を見て固まったのは、また別のお話。

・多摩&北上『ゆるゆると』、投下します

めんどくさがり&めんどくさがり

 秘書艦日を終え、部屋に戻った北上を待っていたのは扇風機の前で寝転がっている多摩だけだった。
 一応は起きているようなので近付いてしゃがみ、彼女は姉へと声をかける。

「ただいま多摩姉、他の皆は?」

「朝帰りするような妹に育てた覚えは無いにゃ」

「いや、多摩姉と球磨姉に鍛えられはしたけど、育ててもらった覚えはないよ? で、他の皆はどうしたのさ」

「大井は木曾と鬼ごっこ、球磨は赤城さんと海鮮丼」

「大井っちは最近木曾にご執心だねー、球磨姉は赤城さんとご飯か……で、多摩姉は何で行かなかったの?」

「今日は暑いのにゃ」

 冬は炬燵と陽当たりの良い屋根、夏は涼しい場所を求めてさ迷う多摩にとって、三十度を越す日に出歩くなど考えられなかった。
 そんな姉を相変わらず猫だなと思いながら、話を一度そこで終えて冷蔵庫へと向かう。

「北上、ミルクココア」

「ホット?」

「何でホット飲まなきゃいけないのにゃ」

「妹のお腹冷やさないようにって気遣いですよー」

「そんな柔じゃないにゃ」

「じゃあ作るけど、多摩姉が昼御飯担当でいいよね」

「……手間なのじゃなければ」

「多摩姉特製ざるつけ麺」

「何でよりによってそれなのにゃ」

「いやほら、だって暑いし」

「それ作るのはもっと暑いし手間なのにゃ」

「まぁまぁこのアイスミルクココアでも飲んで、可愛い妹に美味しいもの作ってよ、ね?」

「……仕方無いにゃあ」

 差し出された冷たいミルクココアを受け取り渋々承諾する姉に、何だかんだ自分達姉妹も妹には甘いなと北上は考える。
 それと同時に、滅多にない二人きりの状況を堪能しようと思い立つ。

「――何してるにゃ」

「んー、たまには姉妹の親睦を深めてみるのもいいかなーって」

「暑い」

「じゃあ、えいっ」

「にゃあっ!? にゃ、にゃにするにゃ!?」

「ご注文通り、冷たい氷を首筋にピタッとしたまでですよー」

「……」

(――ありゃ? ひょっとしてちょっとまずった感じ?)

「北上、ちょっとこっち」

「多摩姉? 猫じゃないんだから襟首掴んで引き摺るのはやめてくんない? おーい、多摩姉ー?」




 この後めちゃくちゃ氷を服の中に流し込まれた。

・葛城『前向きに真っ直ぐに』 、投下します

握り飯、歌、そしてボール

「危ないっ!」

「なんぶふっ!?」

 昇る朝日、徐々に白みゆく空、心地好い風。
 ――そして、提督の顔面を捉えた白と黒の球体。

「あっ、あなた大丈夫!?」

「け、結構痛かったが、大丈夫だ」

 爆発、流れゴム弾、連装砲ちゃんに比べればダメージは軽微であり、提督はすぐに立ち上がった。
 チカチカとする視界もそう時を置かずして元へと戻り、自分にぶつかった物とぶつけた者を確認する。

「誰かと思えば葛城か、何でこんな時間に一人でサッカーなんかしてたんだ?」

「それは、その、秘密よっ!」

「だったら天城と雲龍、後は瑞鶴にでも聞いてみるか」

「それだけは絶対にやめてっ!?」

「冗談だ。まぁ無理に聞く気は無いが、顔面にボールが飛んできた経緯ぐらいは説明してくれよ?」

「ご、ごめんなさい……実は――」




(空母に“ノーコン”……そりゃ気にするなってのは無理な相談か)

「子供達に悪気が無かったのも艦載機を操るのとは訳が違うっていうのも分かるんだけど、言われたままにしておけないなって思って、それで……」

「こんな時間に秘密の練習をしていた、と」

 子供達に蹴り返したはずのボールがあらぬ方向へ飛んでいった。
 これが五月雨などならいつものことで済まされるのだが、葛城にとっては早朝に人知れず特訓する程の大問題だった。

「蹴り方が悪いとかじゃないのか?」

「だったらあなた、ちょっとそこで見ててくれない?」

「別に俺はサッカーに詳しいわけでもないし、見てどこが悪いとか分からんぞ?」

「それでもいいわ」

 言うや否や駆けていき、ボールを地面に置いて少し離れると、助走から綺麗にボールを蹴り上げる。
 そして、お約束のように提督へとそれは吸い込まれていくのだった。




――――結局、葛城にはどういう風に指導したの?

 ――――インサイドで蹴れと言っといた。

――――じゃああの変な曲がり方をするボールはもう見られないのね、少し残念だわ。

 ――――大鳳、お前もあの漫画みたいな回転のかかったボール顔面に喰らってみるか?

――――……武蔵が蹴ったボールで中破、今となっては良い思い出よ。

「その後はどうだ? ノーコンの汚名は返上出来たか?」

「えぇ、しっかりとね。今はたまに一緒にサッカーして遊んでるんだから」

「そりゃ良かったな」

「最近はこれの練習をしてるのよ。“リフィーディング”、だっけ?」

「……リフティングな、ちゃんと間違えずに覚えとけ」

「あっそれよそれ、リフティング。私、何で間違えたのかしら?」

(単語のみ知識として持ってる感じか。まぁ葛城が意味を知ったところで問題はないし、放っておくとしよう)

「よっ、ほっ――あっ」

「へぶっ!?」




 執務室でのリフティングは禁止されました。

・大鯨『あなただから』、投下します

E:バケツ

 家族連れ、カップル、友人同士、色々な人間が海へと入っていく様子を眺めながら、提督は荷物の側で一人ぼんやりとしていた。
 時折女性を目で追ってしまうのは鎮守府の誰かに似ていたという理由だけで、普段恵まれ過ぎている環境に身を置く彼が鼻の下を伸ばすようなことはなかった。

「ごめんなさい、少し遅くなりましたあ」

「気にするな、平和な海をボーっと眺めてるのも悪くない」

「あの、提督……」

「――水着、よく似合ってるし可愛いぞ」

「本当、ですか?」

「嘘や世辞は苦手だ」

「ふふっ、とっても嬉しいです」

 パッと花が咲いたように、大鯨は満面の笑みを見せる。
 その笑顔は、提督に決断させるには十分な威力だった。

「なぁ、大鯨」

「はい、何でしょうかあ?」

「そのバケツって、いつも使ってるやつか?」

「違います。これは砂遊び用です」

 大鯨曰く、水を運ぶ用、食料運搬用、物資運搬用と様々なバケツがあるらしく、提督は彼女へ贈り物をする時の選択肢にバケツを密かに増やした。

「提督、ひょっとして退屈されてますか?」

「いや、昔からボーっと眺めるのは割と好きだし苦にはならん。出来上がりを楽しみにしながらのんびりするさ」

「そんなに得意じゃありませんし、出来上がりに期待はしないで下さいね?」

 泳ぐのもそこそこに砂で鯨を作り始めた大鯨の横で、提督は楽しそうにペタペタと砂を固めていく彼女を見つめる。
 最初に鎮守府へ来た頃は少しオドオドとしていたのが嘘のように、今見ている横顔には暗さは微塵も感じられない。

「――大鯨」

「何でしょうかあ?」

「お前が望んでいるものを与えれば、“今”よりもお前は毎日を楽しめるか?」

「……楽しくなるのかは、正直分からないです」

 砂を触る手を止め、少し考えながら大鯨は思いを口にしていく。

「ちょっぴり皆さんに嫉妬しちゃうかもしれません」

「少し、わがままを言って困らせてしまうかもしれません」

「――でも、一つだけ、これだけは絶対に分かります」




「提督とそうなれたら、私は今よりも幸せになれます」

「提督? て・い・と・く!」

「――ん? あぁ、大鯨か」

「あぁ大鯨か、じゃないです。今日の約束、ちゃんと覚えてますか?」

「鯨に乗ってハネムがふっ!?」

「新しいバケツ、どうでしょうかあ」

「つっ、使い方が間違ってるだろ……」

「と・に・か・く! 早く準備して下さいね?」

「分かった、分かったからちょっと待ってろ」

(全くいらんところが周りに似てきやがって……まぁ、でも、前よりももっと良い笑顔が見れるなら悪くはないか)




――――今日は二匹作ったのか。

 ――――はい、鯨の夫婦ですよ。

――――……鯨料理が食べにくくなるな。

 ――――……提督? あの、それなら――。




 美味しい鯨料理が振る舞われました。

・『検品』 、投下します

「司令官、箱が三つあるのは気のせいじゃないですよね」

「普通なら二つでいいんだがな……売れる、売れない、危険物で分けていくぞ」

 吹雪と提督の前には、バザー出品用に集められた品物の山があった。
 そのうち何割が売り物となるか一抹の不安を覚えながら、二人は仕分けを開始する。

「この辺のは初雪達のゲームだし、大丈夫かな」

「服も大概は問題ないだろ、私服以外が混じってたらマズイが」

「あっ……シオイのスク水、紛れ込んでました」

「突き返しとけ」

「他には――っ!?」

「? どうした吹雪」

「い、いえ、何でもありませんっ!」

「そ、そうか」

(誰の? これ誰の下着!? 何か透けてるっ!?)

「これは大丈夫、この筋トレグッズは大鳳か? 次は――吹雪、至急潮を呼んでくれ」

「潮ですか? 了解しました、すぐに呼び出します」




「こんなところに居たんだ……探したんだよ、ヲーちゃん」

「ヲ!」

「流石に売れんな」

「そういう以前の問題だと思います、司令官」

「次は帽子か」

「響の使わなかったのがほとんどですね」

「結局どれもしっくり来ないって言ってたからな」

「こっちにあるのはオモチャみたいです」

「ラジコン系は日向として、原人コッツにミニテトリス、ギャオッピ……夕張の参考資料ってとこか」

「この“危険”ってラベルの付いたステッキみたいなのは……」

「危険箱に入れておけ、後で取りに来るように言っておく」

「このティーセットは金剛さんで、お茶碗とかは間宮さんか鳳翔さんですよね」

「その辺は問題ないはずだ」

「次は――司令官、これはどうしたら……」

「魚雷クッションに航空甲板ちゃぶ台、単装砲型チャッカマン、明石もまた色々と作ったもんだ……一応安全かどうか点検して、安全なら売っていいだろ」




 結果、売れる4、売れない4、危険2の割合に収まりました。

「で、売り子は誰になったんだ?」

「一番この辺だと顔が広い白雪と、逆に顔があまり知られていないユーと葛城に決まりました」

「何とも言えん組み合わせだな」

「白雪が一緒なら大丈夫ですよ、司令官」

「そうだとは思うが、一応後で見に行くぞ」

「了解しました」




「持ってけドロボー、合ってる?」

「ユー、それは買ってくれた方に言うにはおかしいです。お買い上げありがとうございました」

「えっと、これが千九百八十円で、こっちが三百六十円……二つで二千円です!」

「葛城さん、素直に電卓を使って下さい。いつも美味しい果物をありがとうございますお爺さん。二千円におまけ致しますね」

(意外にこれはこれで好評か)

(やっぱり白雪が居ると皆集まるなぁ。最近は私もだいぶ顔が広くなったと思うし、私がやっても集まる……よね?)




 無事に完売しました。
 売れた中に明石作万能(まな板から鉄まで何でもござれ)包丁が紛れ込んでいて回収騒ぎになったのは、また別のお話。

・大鳳『出会ってしまった少女』、投下します

妖精さん

 いつも通りの日常、いつも通りの風景を眺めながら、大鳳はいつものように遊戯場のベンチで時折寄ってくる子供達に自分達の話をして時を過ごす。
 もう昔の話だと、しかし忘れてはいけないと、親が子に語り継ぐように話す彼女の顔は、とても穏やかなものだった。
 そして、今日もまた一人の少女が彼女の元へと歩み寄る。

「こんにちは、お姉さん」

「こんにちは。あら、可愛い猫ね」

「可愛いんだけれど、イタズラが好きで困ってるの」

 茶色いおさげに白い帽子、セーラー服を着た少女の腕には、三毛猫が抱かれていた。
 拘束されているのが相当不満らしく、しきりに逃げ出そうとしているが、全く抜け出せず不満そうな表情をしている。

「それで、私に何か用かしら? 迷子という歳でも無さそうだけれど」

「うん、今日はお姉さんに話を聞こうと思って来たの」

「艦娘の話、でいいの?」

「ううん、“お姉さん達と保護してる深海棲艦の話”がいいな」

「っ……貴女、何者?」

「そうだなぁ、この子と一緒に居るのがほとんどだし、猫娘って呼んで」

 見た目は可愛らしく身長は小学四年生程度、しかし、ひしひしと伝わってくる異様な雰囲気に大鳳は笑みを崩し、鋭い視線を送る。
 それを意にも介さず、猫娘と名乗った少女は話を続ける。

「お姉さん達は、彼女達を許したの? いっぱい仲間を沈めたんだよ? 人をいっぱい殺したんだよ?」

「私にそれを聞いて、貴女はどうするつもり?」

「質問に質問で返さないでよお姉さん。でも、答えてあげるね。別にどうもしないから安心して、私は知りたいだけだから」

「……負の気持ちが以前の彼女達を産み出したのだとしたら、彼女達を憎み続けても同じことを繰り返すだけ。だから、私達は今の彼女達に危害を加える気は一切無いし、守ると決めたの」

「もし、また前みたいに人やお姉さん達を襲ったら?」

「その時は全力で止めるだけよ、その為に私達は今もこうして鎮守府で備えているんだから」

「ふーん、そうなんだ。ありがとうお姉さん、答えてくれて」

「今度は私の番よ。貴女は――」

「残念、時間切れ。今日は話してくれてありがと。またね、バイバイ」

「待ちなさっ……消えた?」

 文字通り目の前から消えた少女の居た場所を見つめ、大鳳はただ呆然とするのだった。

「目の前で消えた? そんなバカな話があるか――と、言いたいところだが、加賀、吹雪、どう思う?」

「子日のように特殊な状況下で転移することが可能な艦娘、という可能性が一番高いかと」

「でも、ヲーちゃん達のことを知っていた理由が分かりませんね……」

「えぇ、吹雪の言う通りそこが問題なの。それに、断言は出来ないけど、アレは艦娘じゃないと思うわ」

「では、何だというの?」

「……分からない。ただ、少なくともこれまで以上に警戒は強めるべきなのは確かよ」

「分かった、こちらでそれについては手を打っておく。後、この件は一部の者以外には口外しないように、いいな?」

「了解しました、司令官」

「警備担当と特務担当、待機艦隊には私から知らせておきます」

「……」

「どうした大鳳、何かまだあるのか?」

「……提督、これは私がそう感じただけで、確証のようなものは何も無いのだけど、あの女の子――」




――――どことなく、妖精さんに似ていたの。

「……」

 足下で走り回る自分達用ミニ艤装を開発した妖精さん。

「……」

 その後ろを追う妖精さん作イ級ラジコン。

「……」

 開発スペースではサバゲー用の特殊ペイント弾を製造中。

(無法地帯って、こういう状況にも使っていいのかしら)

 勝手に魔改造や危険物を作られたり、艦娘を建造されるよりはマシだと提督が一定の資材を自由に使用していいと許可を出した為、終戦後の妖精さん達の日常はこの通りである。
 実際のところ、妖精さんの技術力は艦娘よりも危険という認識をしている者も少なくはない。
 にも関わらず、妖精さんへ対しての何かしらの排斥運動が確認されないのは、実行に移せない“何かの力”が存在するからである。

「夕張、妖精さん達が何なのか考えたことはある?」

「何度か考えたことはあるけど、謎な部分がありすぎるのと私にとっては良きパートナー達というのもあって、深く考えないようになっちゃったかな」

「貴方達、とっても仲良しだものね」

「はい、ずっと一緒に居るようなものですから」

 頭と肩に飛び乗ってきた妖精さんにお菓子をあげながら、夕張は微笑む。
 その様子を見て、大鳳も夕張の言う“良きパートナー”という認識が一番正しいと実感する。
 先日の少女のことは気になりながらも、暫し夕張と共に暇そうな妖精さん達の相手を彼女もするのだった。




――――今度は誰に話を聞くのがいいかな、ねぇ、エラー。

次のリクエストは今日の昼12時から三つ、夜21時から三つ受け付けます

朝霜と高波は居ないので対象外です

猫娘もリクエストは受け付けません

・『高速戦艦のカイ』

・雷『記念日』

・『まな板の逆襲R』

・五月雨『アレ? おっかしいなぁ……』(R-18)

・球磨&羽黒『動物』

・鳥海&香取『情報』

以上六本でお送りします

「海? 行ってらっしゃい」

「……何で俺の方から誘うと毎回断るんだ、お前は」

「人前で肌を晒すのはあまり好きでは無いわ」

「だったら鎮守府のプールはどうだ?」

「お断りします」

「……そうか」

(……ここのプールなら管理者権限で貸し切りにしてしまえば、提督と二人きりで過ごせそうね)




 断った理由、二人きりで過ごしたかったのと、他人に素肌を晒したくないから。

更新は明日になります、遅くなって申し訳ありません

・『高速戦艦のカイ』、投下します

新商品開発

「それでは第一回、高速戦艦の会を始めマース!」

「(金剛お姉様、急にどうしたんでしょうか)」

「(親睦会的なものかと、主にあそこで微妙な距離感のある三人の為の)」

「(だからわざわざ“高速戦艦”に限定したのですね)」

「Heyビスマルクー、今日の為に色々なパンを用意してくれてThank youネー」

「礼には及ばないわ」

「リットリオとローマも彩り鮮やかなパスタをThank youデース」

「いえ、作ったのは全てローマですから」

「姉さんが作ると作りすぎてしまうもの」

「の、残したことは無いから別にいいじゃない」

「残さず……食べて……榛名は大丈夫です……」

「榛名? どうしました?」

(鈴谷よりは軽症のようだけど、榛名も軽いトラウマを抱えているみたいですね)

「――イタリア、ローマ、ちょっといいかしら?」

「……」

「……私達に、何か?」

「新しく作るパンのアイデアの為に、イタリアの一般的な食事というのを教えてもらいたいの。このパスタも食べるだけで凄く参考にはなったんだけど、良ければ材料や作り方も教えてちょうだい」

「べ、別にそれぐらいなら構わないけど……」

「Danke! 助かるわ。出来たら真っ先に試食してもらうわね」

「で、出来ればパスタとパンの組み合わせで一品……」

「いいわよ、このドイツが誇る超弩級戦艦ビスマルクに任せなさい」

「Grazie!」

「姉さんったら……」

「ローマ」

「貴女は確か、霧島? 貴女も何か用なの?」

「私のデータによると、かなりイケる口だそうですね」

「そ、そんなデータどこから……」

「細かいことは抜きにして、同じ眼鏡戦艦として今日はとことん飲みましょう」

「それは確か、ニホンシュというものね。いいわ、興味があったのは事実だし付き合ってあげる」

「(リットリオ、ローマはお酒強いんデスか?)」

「(あの子、飲み始めたらワインを数本空けるのが向こうではほとんどでした)」

「(だったら問題ないデース。この鎮守府には飲酒は絶対にoutな艦娘が居ますから、注意して下さいネー?)」

「カレーパスタもなかなかな出来です! 頑張った甲斐がありました!」

「榛名はこんなに普通にパーティーが出来るだけで満足です」




 ひっそりとその中に清霜が紛れ込んで後日自慢して回ったのは、また別のお話。

・雷『記念日』 、投下します

見付けた新たな道

「司令官、今日は何の日か覚えてる?」

「今日?……すまん、記憶に無い」

「覚えてなくても無理無いわ。今日はね、私が司令官に会った日なの」

「雷を建造した日、か。懐かしいな」

「何だかその言い方だと凄く歳を取ったみたいに聞こえるんだけど」

「俺は取ったぞ、今じゃ立派なおじさんだ」

「言うほど老けてないじゃない。でも、出会った時より立派になったのは確かかしら」

「中庭の草むしりしてる提督が立派か?」

「当然よ、だって私達の司令官だもん」

「ははは、それを否定は出来んな」

「――ねぇ、司令官」

「何だ?」

「私にとって誰かの力になれるのは凄く嬉しいことだしし、生き甲斐みたいに思ってるわ。だからね、戦いの終わった今、自分に出来ることをずっと考えてたの」

「それで、答えは見つかったのか?」

「――“鎮守府の何でも屋”、やってもいい?」

「……具体的な話をしないと、今すぐにやってもいいぞとは言えん」

「うん、分かってる。だから司令官に先にこれだけ聞いておきたかったの。どうすれば私は――ううん、私“達”は皆の役に立てるかしら?」

「大事なことは二つだ。一つは、今お前が自分で言い直したように何でも一人でやろうとせず、出来ないことは誰かを頼れ。もう一つは、相手の気持ちを相手の立場で考えてから依頼を受けろ。今の雷なら、分かるよな?」

「当然よ。この雷様にはそのぐらい簡単に決まってるじゃない」

「なら、問題ない。ちゃんとした申請書を出して来さえすれば、加賀達も受理するはずだ」

「分かったわ。……ありがと、司令官」

「礼を言われる程のことはしてないぞ」

「いいの、私が言いたいんだから」

「こら、背中に体重をかけるな雷。結構腰にくる」

「何それ、重いって言いたいの? ひどーい」

「酷くない、酷くないから一度体勢をだな……」

「嫌」

「雷様ー?」

「いーやー」




――――私を呼び起こしてくれて、ありがとう、司令官。

・『まな板の逆襲R』 、投下します

成長した彼女達のある意味逆襲

 人によって、他人を評価する基準や判断材料が違うのは当たり前のことだ。
 容姿、性格、家柄、年収、仕事、趣味、他にも多種多様なものを総合して人は他人を見ている。
 その一つとして、彼女達は身体のある一部分に対しての評価をとても気にしていた時期があった。
 しかし、今の彼女達は以前と同じ様には気にしてはいない。
 では、今はどうなっているかというと――。

「あー……暑いわ―……」

「龍驤、アイス食べる?」

「おーナイスや大鳳、ありがとな」

「ちょっと大鳳、私のは?」

「ちゃんと瑞鳳のもあるわ」

「ひかひアレやな。蒸れるっひゅうんも大変ほうやな」

「食べながら話すの行儀悪いわよ?」

「たははーつい口から離すんも億劫なってもうてん。以後気を付けるわ」

「まぁでも確かに大変そうよね。祥鳳お姉ちゃんも練習後は念入りにケアしてるし」

「愛宕なんか足元に落とした物が一歩下がらないと見えないって言ってたわ」

「ピッチリとした服だと飛鷹みたいに入らなくなって慌てて買い直すなんてこともあるし」

「そういやさ、瑞鶴と葛城はどこ行ったん?」

「瑞鶴は終わってから倒れられたら迷惑だって水用意して待機、葛城はそれについて行ったんじゃない?」

「相変わらずあの子加賀にベッタリやなホンマ、葛城もやけどようやるわ」

「私にとっての浦風みたいな――」

「「それはない」」

「言い切る前に否定しないでくれない?」




 空母による着ぐるみ艦載機ショー、多少人員選考に偏りがあったのはスポンサーの意思(汗に蒸れた女子の谷間が好き)だとかいうことは決してない、多分。

「のぅ筑摩」

「何ですか利根姉さん」

「先日いんたあねっととやらでとある記事を見付けたのだ」

「どんな記事ですか?」

「うむ、女子の胸は平均的に大きく育つようになっておるらしいのじゃ」

「そ、そうなんですか。知りませんでした」

「そうか、これでまた一つ勉強になったな筑摩。――ところで筑摩」

「はい、何ですか?」

「お主が新しく買ったぶらじゃあのサイズは幾つだったかのぅ?」

「Dですよ、利根姉さん」

「ほほぅ、Dであったか……吾輩もちと勉強になったぞ、“F”は“D”と読むのだな」

「・・・・・・利根姉さん?」

「何じゃ筑摩」

「姉さんの胸も形が良くてとても素敵ですよ」

「……寝る」

(姉さんが胸のことで拗ねてしまうなんて困りましたね……でも、拗ねている姉さんも可愛らしくていいかもしれません)




 やっぱり平均という数字には少し気分が沈んだ利根と、やっぱり姉は可愛いとしか思わない筑摩。

他に見たい艦娘のがあれば↓1~3で書きます

秋月と春雨と朝潮、ついでに阿武隈もネタは浮かんだので起きたら書きます

「長波さん、ご一緒してもよろしいですか?」

「いいぜ、わざわざ聞かなくても勝手に座んなよ」

「ありがとうございます」

「秋月はおにぎりと沢庵だけか。そんなんで足りんの?」

「いえ、これぐらいにしておかないと――」

「秋月、このカツ一枚どうぞ」

「玉子焼き、あげる」

「この鮭一切れやるクマ」

「皆さん、いつもありがとうございます」

(なんだこの餌付け状態……)

「――ふと気付くと、頼んだ量より増えているんです。かといって、断るのも悪い気がしまして……」

「ふーん、まぁ貰えるなら貰っとけばいいんじゃないか。じゃああたしもこの野菜天一つやるよ」

「あ、ありがとうございま――長波さん、天かす落ちましたよ?」

「ん? あー、服に入ったっぽいからそのうち出てくるって」

「いけません! 米粒一つ、天かす一つだとしてもまだ食べられるモノを無駄にしてはダメです!」

「ちょ、ちょっと待て秋月、分かった、分かったから手を突っ込むな!」

「大丈夫、まだ大丈夫です」

「いや、そういう問題じゃ――ひうっ!?」




 無事天かすは見付かりました。長波は夏でも胸元の開いた服を着なくなりました。

「村雨、いくよー!」

「はいはーい」

(……弾んでる)

「姉ノ胸見テ楽シイノカ?」

「ク、クーちゃん何を言ってるの?」

「ジット見テイタダロ。特ニ村雨」

「うっ……村雨姉さんの胸、大きいなぁって思って……」

「五月雨ト涼風ヲ見テミレバイイ。安心スルゾ」

「クーちゃん、それは二人に失礼だよ」

「シカシ、姉妹デモ成長ノ差トイウノハ結構大キイモノダナ。春雨ガ一番後ニ来タカラカ? ソレトモアイツトケッコンナンチャラシテルカラカ?」

「どうなのかな? 小さいままの子も居るし、それが関係してるのかはよく分からないかも……」

「何々? 二人して私のことを見ながら何の話をしてるのかしら~?」

「あっ、えっと、その」

「胸ヲ大キクスル秘訣ガ知リタイソウダ」

「クーちゃん!?」

「胸を大きくする秘訣かぁ……好きな人に揉んでもらう、なんてど~う?」

「も、揉んっ!?」

「ダッタラ村雨ニ揉ンデモラエバイイ」

「ちょっ待っ、何でそうなるの? ここは提督に――」

「そ、それなら少し恥ずかしいけど大丈夫……かな?」

(えっ、何この雰囲気)




 この後姉妹で揉み合い(主に被害は村雨)になり大変なことになった。
 なお、通りすがりの提督に白露は五月雨が引っ張ったせいで水着が取れて見られた模様。

「浜風、今日は折り入ってお願いがあります」

「何でしょうか? 私に出来ることであれば協力します」

「――“胸で挟む”という行為は、どのようにすればよいのか教えてください」

「・・・・・・すいません、よく聞き取れなかったのでもう一度お願いします」

「胸で挟む、とはどうすればよいのでしょうか」

「それを、何故私に?」

「夕雲に聞いてみたところ、浜風が適任だと言われました」

(これは私への嫌がらせと受け取っても差し支えない話ですね。後で抗議に行かなければ)

「その……申し訳無いですが、私もそういった行為についての知識はあまり持ち合わせていません」

「そうですか……では、二人で今から学んでみるというのはどうでしょうか」

「……はい?」

「荒潮に借りた雑誌に“男性を喜ばせるのは女性の務め”という一文がありました。朝潮、司令官の為ならばどんなことも受けて立つ覚悟です!」

(磯風も大概常識や世俗については疎かったですが、朝潮さんも相当のようですね……)

「まずは自分の身体では確認が困難な部位をお互いに――」




 この後、浜風の一般的な性知識講座が始まりました。

「阿武隈! 阿武隈はどこ!?」

「この五十鈴にこんなイタズラをして、どうなるか身体に教えてあげるわ」

「ちゃんと畳んだままどこかにしまってくれてたらいいんだけど……」

「別に私はこれでも問題ない、うん」

「身体を張ったイタズラマジパない。っていうか上だけじゃなく下までないとか私も困るー!」




「ふふーん、今頃皆阿武隈Tシャツ着てる頃かなー」

「阿武隈っちーそんなところで何ニヤけてんの?」

「北上さん!?」

「相変わらず可愛くないねぇそのTシャツ。もう皆書けるようになってるだろうから着なくてもよくない?」

「べ、別に好きで着てるだけだし北上さんには関係ないでしょ」

「ふーん、大井っちが名前アピールいい加減ウザいって言ってたけど、好きで着てるなら仕方無いよねー」

「え゛っ」

「まぁ嘘だけど」

「ちょっ、北上さん!」

「阿武隈っちはからかうとホント面白いねー」




(……酸素魚雷、撃っちゃダメかしら)




 なお、阿武隈の字が身体の凹凸ではっきり読めない姉妹が大半だった挙げ句、自分の名前を千回書くお仕置きを喰らった模様。

・五月雨『アレ? おっかしいなぁ……』(R-18)、導入のみ先に投下します

五月雨は落とす前に噛んで食べてしまう派

書いてたデータぶっ飛んだので続きはお待ちください…

「――アイスキャンディーを食べるようにって聞いたんですけど」

 そう言って、五月雨は何が違ったのだろうと首を傾げる。
 危うく声にならない悲鳴を上げそうになった提督からすれば、その情報が誰からもたらされたかが非常に気になった。

「誰に聞いた」

「漣ちゃんです」

 選択肢として並べてはいけないワースト3の名前を聞き、提督は深くため息を吐く。
 そして、毛布にくるまったまま少し心配になったのか様子を窺っている五月雨を安心させようと抱き寄せた。

「そういうことを覚えようとするなとは言わんが、相手はちゃんと選べ」

「はい、分かりました」

 屈託の無い笑顔を向けられ、このままこうしてるだけでもいいかと提督は頭を撫でる。
 しかし、それが少し不満だったのか、毛布越しではまだ感じ取れないなだらかな胸部を押し付ける様に、五月雨は強く彼に抱き着いた。

「……身体は小さいですけど、私だってちゃんと提督の相手を務められます」

 最初はくすぐったいと暴れた結果、蹴られ悶絶。
 二度目はキスしようとして勢い余って頭突きになり、鼻血が止まらず中断。
 三度目の正直となるか、二度あることは三度あるとなるか、多少の不安を抱えつつも、提督は身体を覆う毛布を脱がしていくのだった。

・球磨&羽黒『動物』、投下します

彼女達の望み

「提督、何で球磨を呼んだクマー?」

「あの、私何か失礼をしてしまったでしょうか?」

「ちょっとある噂を耳にしてな、どこかの国で行われた違法サルベージを動物の被り物をした二人組が妨害したそうだ」

「何の話だか分からないクマ」

「わ、私もなな、何の話だかさっぱり……」

(羽黒の反応からして黒か)

「いや、知らないならいいんだ。ただ、二人がたまたまその時揃って長期外出していたから気になってな」

「単なる偶然だクマー」

「そ、そうです」

「あぁ、疑って悪かった。しかし、熊は分かるが烏の被り物をしてたのは何故だ?」

「球磨にはさっぱり分からんクマ。でも、なんとなく名前が理由だと思うクマー」

(羽黒だから烏か、なるほど……)

「司令官さん、あの……」

「何だ?」

「やっぱり、そういった問題行動を起こした艦娘の所属する鎮守府の責任者は処分されてしまうんでしょうか?」

「犯罪行為を防いだとはいえ何のお咎めも無し、とはいかんだろうな。まぁ仮にうちの艦娘がそんなことをしたとして証拠を残すようなヘマはしないだろうし、無事に帰ってくるなら構わんさ」

「優秀な球磨ちゃんはヘマなんてしないクマ」

「……ありがとうございます、司令官さん」

「好きなことをしろ、その方針は今だって変わってない。それだけの話だ」

「じゃあ今から三人で出掛けるクマー」

「球磨さん、急にお誘いしたら司令官さんにご迷惑じゃ……」

「今さっき好きなことをしろって言われたばかりクマ」

「言ったな、確かに。その代わり俺からも要求はさせてもらおうか」

「変なこと言ったら羽黒と海に沈めてやるクマ」

「あ、あの、あまり恥ずかしいことは……」

「お前等俺を何だと思ってるんだ……」




――――あんまりジロジロ見ないで欲しいクマー。

 ――――司令官さんになら、私は見られても……。

――――(いつか草花も兵器に宿る……この場合は海草や魚ってところか)

 ――――提督、お腹空いたしそろそろ行くクマー。

――――私もどんなお料理があるのか、ちょっと気になります。

 ――――あぁ、じゃあ何か食べに行くか。

・鳥海&香取『情報』 、投下します

艦娘だって守られたい

「香取さん、少しお時間よろしいでしょうか」

「えぇ、いいですよ」

「単刀直入にお伺いします――その眼鏡はどこで買われたんですか?」

「これは大本営で作成した特注品です」

「なるほど……因みに強度はどの程度ですか?」

「一応戦闘も考慮して、拳銃程度でしたら防げる強度と聞いています。実際に試したことはありませんが」

(デザインは好みの問題として、強度については妖精さん達の作ったものの方が良さそうですね)

「鳥海さん、私からも二、三質問しても構わないでしょうか」

「はい、私で答えられることでしたら」

「ありがとうございます。ではまず、この鎮守府について不満に思っていることなどはありますか?」

「特には何も……強いて挙げるとすれば、本を読む方が意外と少ないので、あまりそういった話が出来ないことですね」

「参考までに、どのような本がお好きなのでしょうか」

「『植物図鑑』、『図書館戦争』、『レインツリーの国』です」

「ほぅ……恋愛寄りの話がお好きということですね」

「はい、後は推理小説を少し読むぐらいです」

「私で良ければ、今度本についてお話しましょう」

「それはとても楽しみですね、是非お話しましょう」

「ではひとまずこの話はこれまでとして、提督にここは直して頂きたいと思っているところはありますか?」

「御自身を過小評価されているところと、少し艦娘に対して過保護なところ、でしょうか」

「過保護……具体的にはどのようなところが?」

「綾波が着けている小型発信器の装着を全員に義務付けようとしたり、出掛ける場合は行き先と帰る予定時刻を必ず記入する様にしたり、年頃の娘を持つ父親というのが一番説明するのに適していますね」

(噂以上の溺愛ぶりですね……それを困った顔で語りながらも幸せそうなのは、互いに理解し合っているからこそということでしょう)

「――香取さんも、ここに来たからにはその中の一人にもう数えられているのを忘れないで下さい。司令官さんの悲しむ顔を、見たくはありませんから」

「……肝に銘じておきます」




――――殿方に守っていただく、艦娘という身なれどそのシチュエーションにはやはり心が高鳴ります。

 ――――王道ですけど、だからこそ憧れてしまいます。

――――(……私には、きっとそんな瞬間は訪れないのでしょうね)

本日ヒトフタマルマルより三つ、フタマルマルマルより三つリクエストを受け付けます

朝霜と高波は未実装です

・『食事会』

・時津風『おーい!』

・大鳳&浦風『ナンパ』

・由良&時雨&白露『噛み合わない』

・雲龍『にぎる』

・春雨『司令官……?』

以上六つでお送りします

・『食事会』、投下します

こうして徐々に艦娘同士の輪が拡がっていく

「へー、ここが赤城さんオススメのお店かー」

「前に飛龍と一緒に連れてきてもらって以来、しょっちゅう二人で来るぐらい気に入っちゃった」

「是非今度取材させて頂きたいですね、帰り際ちょこっと取材交渉してみよっと」

「相変わらずそれが最優先なんだな、お前」

「美味しいお料理、楽しみですねー」

「日向さん、綾波の監視手伝ってくれてありがとうございました」

「気にするな、試作品のテスト飛行にもなった」

「それでは皆さん、入りましょうか」

 ――いらっしゃい! おー赤城さんか。いつも贔屓にしてくれてあんがとさん!

「いえ、こちらこそいつも美味しい料理をありがとうございます。座敷八名、大丈夫でしょうか?」

 ――当たり前よ! おい、八名様いつものところに案内しな!

「(いつものところ?)」

「(お得意様用の部屋があって、空いてたら赤城さんはそこを使えるの。特に予約が無ければ私達も使っていいんだって)」

「(そりゃまたすげぇな……)」

「(これは赤城さんのコネを使えば取材が捗りますねー)」

「(あまりそういうものに頼るのは感心しないぞ)」

「(二階もあるんですねー)」

「(ちょっ、案内されてんの一階なのに何で階段上ろうとしてんのさ!?)」




「注文はどうしましょう。それぞれ好きなものを頼みますか?」

「私は赤城さんのオススメにしよっかな。瑞鶴先輩から赤城さんに任せるのがベストだって聞いたし」

「私はいつものとじカツ定食、後野菜の天ぷら盛り合わせ」

「あたしはどうっすかなぁ……鮪の漬け丼とミニせいろそばにすっか」

「青葉も赤城さんのオススメにします。裏メニューなんてものもあったりしません?」

「そうですねー……じゃあこの鶏そぼろ定食にします」

「あたしは天丼と生醤油ぶっかけうどん」

「鰻重、上」

「では、注文しますね」

「――ペンギン好きな艦娘?」

「はい、赤城さん知りませんか? 何かあのフォルムが堪らなくって、特にイワトビペンギンが可愛いと思うんです」

(おにぎり、歌、葛城はペンギンにサッカーか……個性派な姉妹になっちゃったなー)

「ペンギンならゴーヤちゃんが好きって聞きましたー。はうぁ~鶏そぼろ、美味しいです」

「ホント? じゃあ今度ゴーヤのところへ行ってみようかしら。――嘘何この玉丼、間宮さんのとはまた違った感じで美味しい……」

「シンプルな料理だからこそ、一番このお店の味を分かって頂けたと思います」

「あ、赤城さん、青葉のこれは……?」

「裏メニューの“赤城丼”です。少々量は減らして頂きましたが、乗っている天ぷらは十分なボリュームだと思います」

(青葉、今までで一番辛い取材になるかもしれません……)

「綾波、私のと一口ずつ交換しよ」

「それはいい考えですね~はい、あーん」

「いや、そういうのはしなくていいから……」

「蒼龍さん、その天ぷら一つ貰ってもいいか?」

「いいわよ、元々皆で分けようと思って頼んだし」

「サンキュー蒼龍さん、じゃあ遠慮なく」

「たまには鎮守府以外で食事をするのも悪くないな」

「次は是非伊勢さんを連れていらして下さい」

「まぁ……そうなるだろうな」

「――それにしても、話に聞いてはいたんだけど赤城さんの頼んだ料理の量、凄いなぁ……」

「そう? 今日は皆と話すのが主だから、量は控えたつもりだったんですけど」

「料理がテーブルに乗りきらないと頻繁に店員さんが来て落ち着かないから計算して頼む、食べる速度もちょうど全員が食べ終わるのに合わせる、私が凄いって思うのはむしろそっちかな」

「蒼龍さん、それホント? やっぱり凄いんだなー赤城さんって」

「私はただ、楽しく食事がしたいだけですから」

「(こんなに優しくて気を遣ってくれる人なら、演習とかでもきっと優しいはずよね。今度お願いしてみよ)」

「ちょっと調子に乗って食べ過ぎちまったかなー。おい青葉、大丈夫か?」

「く……苦しいけどこれで取材はバッチリです」

「敷波、この白玉餡蜜を二人で半分こしませんか?」

「た、頼みたいなら勝手に頼めば?……あたしもちょっと気になってたし」




 後日、葛城は赤城の真の凄さを体感しました。

 ここに居るのは何故かって聞かれても、よぅ分からんとしか答えようがないわ。
 それなりに実力はあると自負しとるし、色んな鎮守府へも行ったけど、長居したことは滅多になかったんや。
 旧友の鳳翔は元帥のところでしっかりやってるって聞いとったし、ウチもどこかで腰を据えようかと何度も考えたけど、結局一ヶ月もしたら違う鎮守府へ移っとった。
 そんで最初に戻るけど、何でここに居るんやと言われたら、何となくや。
 “しっくり来たから”、って表現が一番正しいかもしれんね。
 居るんは揃って曲者揃い、喧嘩して鎮守府は壊すし暇があれば全員お祭り騒ぎ、ホンマありえへん鎮守府やけど、何でか居心地が良いって思ってもうたんよ。
 それにほら、今は離れるに離れられへん理由も出来てもうたし……。
 ――その話は絶対にせぇへんからね。




――――龍驤、確か今日だったよな?

 ――――あの話はいい加減忘れてぇや。

――――断る、お前をからかえる数少ないネタだ。

 ――――ホンマえぇ性格しとるね、キミ。

――――良い意味で受け取っておく。

まだ着任話書いてない艦娘が結構居た

時津風は明後日までには投下します

・時津風『おーい!』 、投下します

戦艦寮は毎日賑やか

 マルロクマルマル、戦艦寮到着。
 マルロクマルゴ、第一目的地到着。

「おはよー! 朝だよ朝朝ー!」

「Oh……朝から時津風は元気デスネー……」

「ひえっ!? な、何ですか!? 敵襲ですか!?」

「比叡姉様落ち着いて下さい、時津風ちゃんです」

「……」

「んー? どしたの霧島さん、元気無いね?」

「霧島は朝覚醒するまで時間がかかるんデス。そのうちいつも通り動き出すネー」

「そうなんだ。じゃあ時津風がしゃきっとするお手伝いしちゃいますかー」

「あっ、その状態の霧島は――」

 マルロクヒトマル、霧島に両手で顔を掴まれ、互いの額が当たりそうな近さで数秒真顔で見つめられる。
 マルロクサンマル、少し赤い目でスコーンを頬張り調子を取り戻す。
 マルナナマルマル、朝食を終え次の目的地へと移動。
 マルナナマルゴ、第二目的地到着。

「遊びに来たよー!」

「あら、あらあら」

「陸奥、ジュースとお菓子を大至急準備だ。時津風、このビッグセブン長門が居る限り退屈はさせないと約束しよう」

「陸奥さん、この前みたいに時津風もお化粧するするー」

「いいわよ、ちょっと待っててね」

(化粧、か……)

 マルナナフタマル、陸奥にメイクをしてもらう。
 マルナナヨンマル、陸奥にメイクをしてもらった長門を見て心底驚く。
 マルハチマルマル、次の目的地へと移動。

「何々~? 何食べてるの?」

「ラザニアよ」

「ローマ、お代わり」

「姉さん……」

「時津風も一口食べる食べるー」

「いいですよ、はい」

「――美味しーい!」

「そう、Grazie」

 マルハチサンマル、食べすぎたので小休止。
 ヒトマルマルマル、イタリアの膝枕から起床。
 ヒトマルマルゴ、次の目的地へと移動。

「何? 私達に何か用?」

「暇だから遊びに来たんだー」

「山城、ここに遊べるようなものあったかしら?」

「時雨達が置いていったトランプならありますよ、姉様」

「トランプ? やるやるー」

「三人で出来るものというと――」

 ヒトマルサンマル、のんびりとトランプ遊びをする。
 ヒトヒトマルマル、白露型の乱入でトランプ大会に発展。
 ヒトフタマルマル、時雨の優勝にてお開き。
 ヒトフタマルゴ、良い香りに誘われて次の部屋へ移動。

「ねぇねぇレーベ、この人誰?」

「何を言ってるの? ビスマルクだよ」

「ビスマルクさん? んなバカな」

「ふーん、見慣れているから気にしていなかったけど、確かに部屋着のビスマルクはすぐに分からないかもしれないわ」

「い、いいじゃない別に。戦いも無いんだから多少気を抜いていても許されるはずだわ!」

「そうだそうだービスマルク姉さんは例え休日のオーエスの恰好でもカッコイイんだから」

「それを言うならOLだよプリンツ」

「後、フォローにはなってないわね。まぁ、どっちでもいいけど」

「ビスマルクさん、新作パンあったら時津風が試食しちゃうよー」

「ちょうどいいわ。三人以外の意見も聞きたかったし、これなら食べてもいいわよ」

「わーい、嬉しい嬉し――?」

 ヒトフタサンマル、赤と緑と紫色をしたパンを食べる。味は悪くないが見た目が悪いと全員でダメ出しをする。
 ヒトサンマルマル、最後の目的地へ移動。

「いらっしゃい時津風ちゃん。危ないからその辺の刀は触らないでね、意識乗っ取られるかもしれないから」

「さ、触らない、絶対に触らない……」

「何だ、今日も遊びに来たのか?」

「うん、また時津風にも飛ばさせてー」

「あまり無理な操縦をしないと約束するなら、いいぞ」

「約束するするー」

「では外で待っていろ、私も準備したらすぐに行く」

「はーい」

「ふぅ……あまり子供の相手は得意ではないのだが」

「そう言いながら嬉しそうじゃん日向ー」

「……まぁ、こういうのも悪くはないな」

 ――おーい、日向さんまだー!? ねえ、ねえってばー!

「ほら、呼んでるじゃん」

「あぁ、行ってくる」

 ヒトサンサンマル、日向と瑞雲型ラジコンで遊び始める。
 ヒトナナマルマル、満足して駆逐艦寮へと帰る。




――――アレ? アンタ大和さん達の部屋には行かなかったの?

 ――――大和さん達、また部屋壊したから明石さんのお手伝いなんだって。

――――(あの人達も懲りないわねー……)

・大鳳&浦風『ナンパ』、投下します

普段友好的な人や鎮守府の仲間としか話さないので多少罵詈雑言への耐性が低い子が多い

 大鳳と浦風は提督と共に、海水浴場へと来ていた。
 三人なのはひとえに浦風に新しい水着を着せたいという大鳳の企みからである。

「姉さん、本当にうちが一緒で良かったん?」

「えぇ、今日は三人で楽しみたい気分だったし、気にせず浦風も一緒に海を満喫しましょ」

「(お前等二人で来れば良かったんじゃないか?)」

「(提督を口実に使わないと、浦風が新しい水着を買いそうになかったんですもの)」

「(相変わらずブレないな、お前も……)」

 二人がひそひそ話するのを、首を傾げながら見ている浦風。
 今は上からTシャツを着ているが、その下から水玉のビキニが顔を覗かせていた。
 一方の大鳳はというと、モノキニで惜しみ無く腹筋を見せている。

「とにかく、ここでこうしていても時間が勿体無いわ。準備運動をしてさっさと海に入りましょうか」

「そうじゃねぇ。せっかくの海じゃ、目一杯遊ばんと」

「明日筋肉痛で動くのが辛くならない程度に頼む」

 軽く身体をほぐした後、三人は荷物をビニールシートもどき内部に収納して海へと向かう。
 口実とは口にしたものの、やはり提督と来るのも楽しみにしていた大鳳は彼の手を引き、その足を急かした。
 それを後ろから眺める浦風も、姉の嬉しそうな姿に笑顔を見せるのだった。

「――そろそろ休憩しましょうか」

「もう一日分動いた気がするぞ……」

「うちが冷たい物でも買ってくるけぇ、提督さんと姉さんは座っとってえぇよ」

「いいわよ浦風、私が行くわ」

「こういう時ぐらい俺が行くべきだろ、買いに行く程度なら問題ないしな」

「あっ……提督さん一人で大丈夫じゃろうか?」

「ちょっとそこの海の家に行くぐらいなら大丈夫よ浦風」

(大丈夫じゃって自分で言うといて視線を提督さんから外さん辺り、姉さんも心配性じゃなぁ……)

 海とは反対方向を向いて座る二人、見失うことなど決してない背中を見つめながら、互いにここがダメだとかここは満場一致で全員認めているといった話に花を咲かせる。
 そんな彼女等を狙う者達が居ることに、三人まだ気付いては居なかった。

(列が混んでて少し遅くなったな、急いで戻るか)

 ――おい、何だあの人だかり?

 ――何かナンパした男達がナンパした相手と揉めてるらしいぞ。

(あの方向、まさか……)

 提督の脳裏をよぎったのは、浦風に絡んで大鳳のスイッチが入ってしまった惨状。
 やり過ぎることはないにしても、やり過ぎではない範囲なら多少の怪我を負わせてもおかしくはない。
 近くにあったテーブルに買った物を置き、二人の元へと彼は走り出した。




「ちょっとすいません、通して下さい。おい大鳳、何があったか知らんがそのぐらいに――」

「うちの前で姉さんと提督さんを貶したなぁこの口か? ん?」

 ――ご、ごめんなひゃい……。

「浦風、もうその辺にしておきましょ、ね?」

「・・・・・・」

 予想と違ったこと、自分の知らない浦風の一面を見たこと、どう収拾をつけるか、色々な思考が頭の中を駆け巡り、提督は暫しその光景を見つめながら突っ立っていた。
 そして、最終的に彼が行き着いた考えは、“溶けるし、かき氷を取りに戻ろう”というものだった。




――――(浦風っていつも怒るとあんな感じなのか?)

 ――――(アレでもまだ抑えてた方じゃないかしら)

――――(……浦風も怒らせないように気を付けるとしよう)

 ――――何じゃ? うちの顔に何かついとる? 恥ずかしいけぇそういうことははよ言うて欲しいんじゃ。




 笑顔で両頬を片手で掴んだ(まま持ち上げた)だけの浦風は優しい良い子デス。

~『加賀岬』~

「加賀、お前の歌が完成したらしいぞ」

「言っている意味がよく分からないのだけれど」

「曲名は『加賀岬』だそうだ」

「そう、お断りします」

「決定事項だ。どうしても嫌なら那珂とデュエットするか?」

「……あまり期待はしないで下さい」




 ――那珂ちゃん全艦娘アイドル化計画、第一フェイズ始動。

(案外ノリノリで歌ってるように見えるのは俺の気のせいか?)




~うしおとヲー~

「ヲーちゃんどうしたの、顔にペンで模様なんて書いたら拭き取るの大変だよ?」

「ヲ! ハンバッカ食ベタイ!」

「はんばっか? はんばっかって何? お菓子か何か?」

「無イナラ潮ヲ食ベル!」

「きゃっ!? ヲーちゃんくすぐったいよ、もう」

(潮はどっちかっていうと真由子って感じですよねー。ぼのぼのが麻子、朧は……オマモリサマ?)




 ヲーちゃんが変なことを覚えていたら大体漣の読んでる漫画のせい。

・由良&時雨&白露『噛み合わない』 、投下します

イタズラはするし暴走はするけど、常識人な時雨

 たまたま街中で出くわし、そのまま喫茶店で少し話でもしようかとなった三人。
 ここでまず三人のタイプを確認してみよう。

「一番先に、メニューチェック!」

 会話も行動もその場の勢い任せ、白露。

「ここは何が美味しいのかな?」

 基本的に物静か、でも最近ちょっといたずらっ子気味な時雨。

(あの店員さん、亀に似てる)

 マイペース女王、朝起きて携帯を忘れて通勤快速に乗り遅れて鈍行に乗っても全く気にしないであろう由良。
 この三人の間で会話のキャッチボールが可能か、答えはこれから示される。

「白露、決まった?」

「コレと~コレ!」

「由良さんはどうするの?」

「ナポリタン」

「ひょっとして、お昼まだだったのかな?」

「お昼はカルボナーラにしたから」

(由良さん、意外によく食べるんだね……)

「店員さん、注文お願いしまーす!」

「白露、僕はまだ決めてないんだけど……いいさ、このケーキセットにするよ」

 ――ご注文をどうぞ。

「デビルパフェとイチゴオレ!」

「ケーキセット、チーズケーキとオレンジペコで」

「ペペロンチーノ」

 ――かしこまりました。

「――ナポリタンじゃなかったの?」

「二人が甘いものを頼んでたから」

(前々から思っていたけど、由良さんも何を考えているのかよく分からないところがあるね)

「よーし、今日はとことん三人でガールズトークするよー」

「いいよ、じゃあまずは提督を誘惑する時の服について話そうか」

「はい! ライブした時の服!」

「今のは冗談のつもりだったんだけど……」

「紫のネグリジェ、透けてるやつ。ペペロンチーノよりアラビアータの方が良かったかも」

「時雨は裸に雨ガッ――」

「白露、僕の魚雷に興味があるの? いいよ、帰ったら演習場に行こうか」

「私の単装砲も見る? 気になるよね、ね?」

 ――失礼します。デビルパフェとイチゴオレ、チーズケーキとオレンジ・ペコ、ペペロンチーノお持ちしました。ご注文の品は以上でお揃いでしょうか?

「うん、揃っているよ」

 ――かしこまりました、ごゆっくりどうぞ。

「一番先に、いっただきまーす!」

「いただきます。――時雨、どうしたの?」

「……帰ったらそのネグリジェ、少し見せてくれないかな?」

――――凄いね時雨、透け透けだよ、透け透け!

 ――――コレを着るのには、かなり勇気がいるね。

――――それ、夏場は薄くて涼しいから寝やすいの。

8月中にある程度まとめて続きを投下します

次スレにて結晶破壊作戦は終わらせます

・雲龍『にぎる』 、投下します

ただいま修行中

 おにぎり、中に具を入れたりシンプルに塩味にしたり海苔を巻いたりはたまた何の味付けもせずに食べるもの。
 雲龍の唯一の得意料理であり、常に彼女の部屋には様々な産地の米がストックされている。
 しかし、とある一本のテレビ番組が雲龍に衝撃を与えた。




「提督、これを食べてみて」

「……雲龍、まずは上から退け」

 寝起きの提督に跨がりながら、雲龍は皿を口元へ突き出していた。
 それをやんわりと押し退け、まだ浮上しきっていない意識を彼は頭を振って揺り起こす。

「……で、何でこんな朝っぱらからお前はそんなものを用意してここへ来たんだ?」

「ネタは鮮度が命と聞いたから」

(誰だ協力したのは……って赤城しか居ないか、そっち方面で融通が利くのは)

 色ツヤの良い鮪、そしてその下には程好い大きさに握られたご飯、傍らには醤油とワサビ。
 つまり、雲龍が用意していたのは寿司である。

「早く食べて」

「分かった、分かったから口に押し込もうとするな、自分で食える」

 グイグイと迫ってくる雲龍から皿を奪い、まずは何も付けずに口にする。
 そして、提督はすぐにその寿司の問題点に気付いた。

「――握り過ぎだな」

「握り過ぎ?」

「あぁ、形は確かに寿司の形になってるが、俵型のお握りにネタが乗ってるような感じだ。お握りを握るのと同じ感覚では寿司はうまく出来んぞ」

「そう、分かった」

「まぁわざわざ俺の為に作ってくれたのは有り難いし、これも不味いわけじゃ――ってどこ行った?」




「――というわけで、寿司の握り方を教えて欲しいの」

「私は作る方はそこまで得意じゃありませんから、専門の人を紹介しますね」

「ありがとう、このお礼は必ずする」

「いえ、お礼なんていいんですよ。貴女の生き生きしている姿を見られるのは嬉しいですから」

「……私は、美味しいと言わせたいだけ」

(雲龍も可愛らしい表情を見せるようになりましたね。提督が逃げられなくなるのも時間の問題でしょうか?)

――――雲龍姉様、コレは?

 ――――包丁を使う練習。

――――今度は大根ばっかかぁ……。

 ――――大丈夫、お刺身もあるから。

・春雨『司令官……?』 、投下します

口の悪い頭の上のキューピッド

 ――私は、思わず走り出していた。
 帽子に乗せているクーちゃんが何か言っているけど、頭には入らない。
 何で足が勝手に走り出しちゃったのか、どうしてこんなに胸が熱いのか、誰でもいいから教えて欲しかった。

「きゃっ!? ちょっと、危ないでしょ!」

「あっ……村雨、姉さん……」

「春雨? どうしたの、何かあった?」

 大好きな姉の顔を見て、身体中を駆け巡っていた感情が目から溢れ落ちていく。
 そんな私を優しく抱き締めてくれた村雨姉さんの腕の中で、少しずつ自分に起こった出来事を伝えていった。




「――つまり、提督が“春雨はいらない”って言ってたのが聞こえて思わず走り出しちゃった、と」

「うん……」

(これはもしかしなくても春雨が提督を意識してるってことかしら~? でも、何でいらないなんて言ってたんだろ。まぁどうせつまらない理由よね)

「オイ、春雨」

「クー、ちゃん?」

「戻ッテ直接何デアンナコト言ッタカ聞イテミロ」

「え……」

「同ジ顔デソンナウジウジサレタラ正直鬱陶シイ。サッサト理由ヲ聞イテスッキリシテコイ」

 頭を帽子越しにバシバシ叩かれ、早く行けと促される。
 村雨姉さんが一瞬止めようとしてくれたみたいだけど、何かに思い至った風な様子で優しく笑みを浮かべた。

「大丈夫よ春雨。私達の提督はちょーっと頼りないところもあるけど、私達の事をいっつも考えてるような人だから」

「村雨姉さん……うん、分かった。春雨、行ってきます」

「はいはーい、何ならそのまま朝帰りでもいいからねー」

「っ!?」

 振り向いて走り出した途端背中からの一言に頭を壁にぶつけ、クーちゃんから文句を言われながら再び走り出す。
 未だにあんなに胸が苦しくなった理由は分からないけれど、司令官を信じる勇気を分けて貰えたから、もう怖くは無かった。




――――スープ春雨を作ったと言われて持ってこられたのがコーンスープだった。だからこう言ったんだ。“コーンスープに春雨はいらんだろ”、とな。どうだ? 誤解は解けたか?

 ――――……ます。

――――?

 ――――春雨はいります! 絶対いります!

――――お、おぅ……そうか、すまん……。

 ――――(ヤレヤレ、ドッチモコレカラ大変ソウダナ、端カラ見ル分ニハ面白イガ)

明日次スレ立てます

リクエストは次スレの最初で受け付けますのでそれまでお待ちください

次スレです


このスレは適当に質問やまだこの艦娘の過去話見てないとかあればどうぞ

結晶破壊作戦後に着任した娘はどうやって練度を上げているのか?

正直誰の見たか覚えてないな
陸奥とか飛鷹とかあったっけ

>>979
遊ぶ(ハイレベル)、修業(練度150艦娘と)の2パターンが主

>>980
飛鷹は軽く、陸奥は謎爆発しまくってここへ来たというのは書きました

艦娘+状況指定のリクエストよりも、艦娘のみ指定のリクエストの方が書きやすい?

>>984
頭にパッと思い浮かぶか浮かばないかの差なので、どちらでも悩む時は悩みますし、状況指定があるかないかはそこまで関係無いです

今スレも乙でした
遙か前に言ってた赤城さんと加賀さんの喧嘩?は安価取らないと出てこないです?

>>986
今は前みたいに時間が無いのでリクエスト以外は書きたくなった話を書くという感じです

リクエスト以外で現状書いてるor考えてるのは伊勢、香取、鳳翔、結晶破壊作戦となってます

待機組の人選は基本的に>>1の好み?
筑摩じゃなくて利根を選んだ理由とか、ハイパーズじゃなくて木曾を選んだ理由とか

>>989
好みもありますし、このスレにおける各艦娘の性格、バランスを考慮した結果あぁなりました

ちゃんとお姉さん(多分)な利根と天才肌な姉に囲まれた末妹、ある意味待機艦隊の舵取り役担当でした

余ったので子ネタ投下

~もしも正規空母の子供達が艦載機レースをしたら~

「やりました」

「じょうじょうね」

「しょーかくねぇ、ごめんね……」

「いいのよずいかく、つぎがんばりましょ」

「わたしのほうがはやかったもん!」

「わたしのほうがはやかったよ、ねぇたもんおじいちゃん」

「まけちゃった……もっともっとわたしじしんをきたえないと!」

「あのかんさいき、ほしい」

「あまぎはアレがほしいです」

「じゃあわたしはアレ!」

 ちび加賀、無表情で一位だから誉めろと提督を見つめる。

 ちび赤城、頑張ったらお腹が空いたので母親にご飯を要求。

 ちび瑞鶴、ちび翔鶴の艦載機に自分の艦載機をぶつけてしまいしょんぼり中。

 ちび翔鶴、ほわほわ笑顔で妹を慰める。

 ちび蒼龍、ちび飛龍と同着が不服で突っ掛かる。

 ちび飛龍、虚空を見つめておじいちゃんと呼ぶ。

 ちび大鳳、筋トレ開始。

 ちび雲龍、新しい自分用の艦載機をねだる。

 ちび天城、夕張の作った新型カタパルトをねだる。

 ちび葛城、ちび夕張の作った対空ミサイルをねだる。

 提督、夕張親子に説教中。

~もしも軽空母に子供が出来たら~

「おかあさま、にぎりかたはこれでよいでしょうか」

「うぅ……たまごやきこげちゃった……」

「かあさまたち、のみすぎです」

「ふとってふくがはいらなくなってもしりませんよ?」

「ちとせねぇ、なにのんでるの?」

「こどもでものめるおさけ」

「なにいうてんのおかん、おめかししたってどうがんはどうがんやん」

「おかあさん、なんでたたかうときはふくはんぶんぬぐのですか? さむくありませんか?」



 ちび鳳翔、料理を母から教わり二代目お艦目指して邁進中。

 ちび瑞鳳、玉子焼きの修行中。でも、好物は母親の作る茶碗蒸し。

 ちび隼鷹、酒飲みな親達をたしなめる。親に似ず(?)真面目。

 ちび飛鷹、ちび隼鷹共々親達をいつも叱っている。鷹が好き。

 ちび千代田、ちび千歳にべったり。たまに母親とちび千歳を奪い合っている。

 ちび千歳、早くお酒を飲めるようになりたいと思っている。嫌いじゃないが大きい千代田は苦手な模様。

 ちび龍驤、母親のボケと無駄な努力にツッコミを入れる日々。

 ちび祥鳳、弓大好きっ子。ただし親のマネは恥ずかしいのでしない。

「埋メル!」

「埋メルナト言ッテイルノニ……」

「陽炎、これはどういう訓練なのだ?」

「夏の海ではしゃいだバカを埋める訓練よ」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年11月04日 (土) 16:21:57   ID: moQTlwnQ

次スレがッ…ないっ…!

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