提督「ヤンデレっていいな~」艦娘「!」(509)

ヤンデレな艦これSSがみたいです

提督「……なあ雷」

雷「なあに?司令官」

提督「その……そろそろこの縄をほどいてくれないか?」ギチギチ

雷「だめよ」キッパリ

提督「だめって……そもそもどうして俺は縛られてるんだ」

雷「だって司令官ったら、全然私に頼ってくれないんだもの」

提督「頼る?なに言ってるんだ雷。俺はいつもお前たちに出撃してもらって――」

雷「それよ司令官。その『お前たち』っていうのが間違ってるのよ」

提督「え?」

雷「いい?私は司令官に『私だけ』に頼って欲しいの。他の艦娘に頼っちゃ駄目なの」

雷「だから司令官が私だけに頼るようになるまで一緒にいるの」

提督「なっ!?そ、そんなことのために俺を縛りつけたのか!?」

雷「ええそうよ」

提督「雷……。……いいか?もう一度言うぞ。この縄をほどけ」

雷「司令官……」

提督「今は大事な作戦中だ。お前だって分かってるだろ?連合艦隊で深海棲艦に反撃するんだ。俺がいないと作戦指揮が成り立たない」

雷「………」

提督「今なら不問にするから。だから早くほどい――」

雷「――駄目よ司令官。そんなんじゃ駄目なの」

提督「なに?」

雷「えへへ、やっぱり私が司令官を躾てあげないと駄目みたいね」ニコォ

提督「っ!?」ゾクッ

雷「安心して?司令官には雷が付いてるから」ガシッ

提督「ま、待て雷!錨なんて持って何する気だ!?」

雷「司令官の躾のためにはいろいろ準備がいるの。だから準備が調うまでちょっと寝ててね?」

提督「まっ――」

雷「おやすみなさい、司令官」ゴツン

―――――

―――



提督「……っ」

提督「…痛ってえ…あいつ思いっきり殴ったな」ズキズキ

提督「しかしここは……どこなんだ?見た感じは艦娘たちの部屋っぽいが」

提督「とリあえず起きなければ――」ムクッ

ジャラッ……ビーン

提督「ぐえっ!」グイッ ドサッ

提督「これは鎖…と首輪!?」

提督「ウソだろ…これじゃ何もできんぞ」ジャラジャラ


ガチャッ

提督「ん?響か?どうしてここにいるんだ?と言うか助けてくれ」(なんか一瞬おかしかったな)

響「Понятно(了解した)と言いたいところだが……」

提督「どうした?もしかして鍵を持っていないとかそういう感じか」

響「いや、最近司令官は私に構ってくれないじゃないか。だから司令官が動けないこの機会に甘えるのも悪くないと思ってね」

提督「甘えるのは……まぁ良いとして、早くしないと雷が戻ってくるぞ」ガクガク

響「司令官をこんな風にしたのは雷なのかい?」

提督「あぁ……そうだ。執務中に気絶させられてここに連れてこられたみた―――」

響「司令官」

提督「ん?」

響「今から雷に会ってくるよ。なんで私の司令官にこんなことしたのか聞きたいからね」

提督「その前に解放をだな……」

響「大丈夫、すぐに戻ってくるよ。そうしたら一緒にボルシチでも食べよう」ニコ

提督「だから解放を―――」

響「じゃあ行ってくる」バタン


響「еби」ギリッ

提督「行ってしまった……」

提督「しかし、響が来れるんだから他の娘も来れる場所なのだろう」

提督「それに響が雷を説得して戻ってくるかもしれないし」

提督「それまで少し待つしかないか」

??「んふふ~司令官も罪作りですね~!」

提督「……っ、誰だ!」

青葉「どもども~」

提督「青葉っ!……天井裏で何やってんの?」

青葉「細かいことは良いじゃないですか~アハハ」スタッ

青葉「さて司令官、司令官はあの二人をどう思いますか?」

提督「二人って雷と響のことか?」

青葉「そです!」ドヤ

提督「……響はともかく、雷の行動については訳が分からないな」

青葉「司令官は鈍感ですね~」アハハハ

提督「?、青葉は何か知っているのか?」

青葉「残念ですけど司令官、今は教えられないです!」

提督「え?」

青葉「ちゃんとその時が来たら教えますから安心してください!」アハハ

提督「……?」

青葉「後首輪ですけど青葉に任せてください!」

提督「!ひょっとして鍵を持っているのか?」

青葉「これくらいでしたら針金があれば大丈夫です!」

カチャカチャ カチン

提督「おぉ、外れた……ありがとう。でもどうやってこんなの学んだんだ?」

青葉「取材するときに必要だったから青葉、勉強しちゃいました!」

提督「おいおい……彼女たちにもプライバシーがあるんだから犯罪じみた取材はほどほどにしとけよ?」

青葉「いえいえ、一人にしか使ってないので大丈夫です!」

提督(それって大丈夫なのか?)

提督「まぁいいや、とりあえず俺は執務室に戻ることにするよ」

青葉「司令官、それはやめた方が良いですよ~」ニコ

提督「なんで?」

青葉「今他の娘たちが血眼になって探してますからね~ほとぼりが冷めるまでここで待ってた方がいいですよ~?」ニコニコ

提督「???」

青葉「それじゃ青葉は取材してきます!」

ガチャ バタン

提督「」

提督「一体どうすればいいんだ……?」

↓出る?出ない?

提督「青葉が言っていたことは気になるけどここから出よう。提督がこの状況を把握していないのは危うい」


ガチャ バタン


提督「ここは……どうやら鎮守府のどこかみたいだな」

提督「とりあえずは執務室だな。そこに行けば何か分かるだろう」

テクテク

提督「しかし静かだな……それに心なしか廊下が荒れている気がする……」

提督「もしかして敵襲か!?……いや、それにしては響も青葉も無事だったし……」ウーン

千歳「」フラフラ

提督(ん?あれは千歳か?でも様子がおかしいな)

提督「千歳」

千歳「あっ……提督、今までどちらにいらしたのですか?」ニコ

提督「いや、実はだな―――」

千歳「言い訳は要りません。とにかく、今まで居なかった分これから付き合ってもらいますから」ギュッ

提督「付き合うって……少しだけなら構わないがどこに行くんだ?」

千歳「もちろん私の部屋にですよ。ふふっ」

提督「千歳の部屋?別にいいが千代田には言ってあるのか?」

千歳「……」

提督「……千歳?」

千歳「提督、千代田は関係ありませんよ」ニコ

提督「でも―――」

千歳「でももへちまもありません。良いから行きますよ?」キッパリ

提督「……」

千歳「返事は?」ニコニコ

提督「ハイ」

千歳「あ、あと提督?」

提督「?」




千歳「これから私の前で他の娘の話をしないでくださいね」ニッコリ

-千歳の部屋-

提督(で、来てしまったわけだが……)

千歳「提督、お茶にしますか?それともちょっと早いですけどお酒にしますか?」ニコニコ

提督「流石にこの時間から酒はまずいだろ……お茶をもらうよ」

提督(ここに来るまで誰とも会わなかった……それに……)

千歳「……」ニコニコ

提督(なんで千歳はこの状態で平然としているんだ?)

千歳「はい、お茶とありあわせですがお茶請けです」ニコニコ

提督「あぁ……ありがとう」

千歳「……」ニコニコ

提督(なんかずっとこっち見てるし……)ズズズ

千歳「……」ニコニコ

提督(間が持たない。何か話さないと)

提督「な、なぁ千歳」

千歳「なんですか提督?」ニコニコ

提督「今日は静かだな」アセ

千歳「そうですね」ニコニコ

提督「そ、そろそろお昼だな」アセアセ

千歳「そうですね」ニコニコ

提督「だからお昼食べてきたいなー……とか」アセアセ

千歳「……」ニコニコ

提督「……」

千歳「……」ニコニコ

提督(話が盛り上がらない)

提督(と言うか千歳の雰囲気が怖い)

千歳「提督、是非お茶請けも食べてくださいね」ニコニコ

提督(……聞くか)

-提督が閉じ込められていた部屋-

ガチャ

響「提督、ボルシチができたよ」

響「今日のはいつもと違って特別製だ。きっと提督も気に入ると信じてるよ」

響「……提督?」


響「居ない……?」


響「……」

-千歳の部屋-

提督「雷に気絶させられてからどうも鎮守府の様子がおかしいんだ」

提督「いつもなら廊下で駆逐艦たちが遊んでいたり、同型艦や仲の良い娘達で固まって世間話とかしていたりするのにそれが見当たらない」

提督「それに廊下のあちこちがボロボロだ」

千歳「……」

提督「まるで何か戦闘があったかのような―――」



千歳「何かと思えばそんなことですか」フゥ

提督「!そんなことって―――」

千歳「提督が無事で居る。私はそれだけで十分ですよ」フフ

提督「……今日の千歳なんか変だぞ」

千歳「変?どこがですか?」

提督「いつもは千代田の事気にかけているのに今日はそのそぶりが一つも見られない」

提督「それにこの異常な事態のことを『そんなこと』扱い」

提督「確かに千歳はどっちかと言うと冷静な方だが、今日はそれを通り越して怖く感じるぞ」

千歳「……」

提督「……あ、別に冷静すぎるだけで怖いわけじゃないからな」アセアセ

千歳「……」

提督(まずい……ちょっと言い過ぎたか)

提督「……それじゃそろそろ戻るよ。長居して悪かった」

ガチャ

千歳「提督」

提督「なんだ?」クルッ

そこで提督が見たものはゆらりと言う擬音が当てはまるかのように立っている千歳だった
たださっきと違う点は、艦載機を収納しているからくり箱型艤装を装備している事
そしてその中の艦載機が今まさに発艦する準備をしていることであった


千歳「第一次攻撃隊、発艦」


千歳の言葉が言い終わると同時に艦載機は艤装を飛び出した
発艦した艦載機の数は深海棲艦を相手にするにはあまりにも少なかったが


提督「ウソだろ……?」


一人の男を仕留めるにはちょうど良い数だった


バタン! ガガガガガ


寸でのところで攻撃を回避することができた
だが、次のことを悠長に考える暇はない


提督「……っ」


とりあえずは左だ。さっき来た道を行けば何とかなるだろう

もうダメポ

千歳「外しましたか……」


話を聞いた感じ,提督はまだ自分の置かれている状況,
そして自分が何をしたのかまだ分かっていないようだ


千歳「そろそろとどめを刺しちゃおっかな……?」


思わず千代田の口癖が出た


千歳「ふふ……覚悟したとはいえやっぱり妹のことはそう簡単に忘れられないみたいね」

千歳「……」フウ


何かを懐かしむかのようにため息を吐き,そして一言


千歳「航空母艦千歳,出撃します」


少女は歩みだした

上がっていたので記念パピコ
あの時は力尽きてすいませんでした
色々ありましたがまた挑戦したいと思います
相変わらず稚拙なところが多々あると思いますが大目に見ていただけるとありがたいです

乗っ取った人が言うのもあれだけど誰か乗っ取っても書いても良いんだよ?

提督「はぁ……はぁ……流石に追ってこれないだろ……」


思わずつぶやく
それはどちらかと言うと確信より願望と言う方がしっくリくる,そんな言い方だった


提督「さて……少し落ち着いたし今度こそ執務室に行かねば」

??「あっ,提督だ」

提督「!」ビックゥ


しまった完全に油断してた
完全に撒いたつもりなのにこうも簡単に見つかってしまうとは……
今度こそ終わりかもしれない


北上「どしたの?そんなに驚いて」

提督「……って北上か。脅かすなよ」


終わってなかった
でも寿命は確実に縮まった.5年くらい

北上「ただ普通に話しかけただけじゃん」

提督「確かにそうだったな.ごめんごめん」

北上「変な提督」アハハ

提督「……」


北上は……正常みたいだな
今までが今までだけに少し安心した


北上「それで提督はなにやってんの?」

提督「ん……ちょっとな」

北上「ふーん」


あぁ……普段通りの北上だ
ただ他の娘が普段通りじゃないから逆に安心できる


提督「そういや北上は何持っているんだ?」

北上「ん?これはねー私と大井っちのご飯なんだー」

提督「へー大井とのねー」

北上「まー立ち話もなんだし部屋においでよ」


北上と大井の部屋か……雷や千歳の件もあったし正直行きたくない
さっきは大丈夫だったとはいえ今度逃げられるとは限らないし


北上「大丈夫だよー取って食べたりしないから」アハハ


笑えない


提督「んー遠慮するよ。色々確認しないといけないことがあるから」

北上「ならしょうがないねーじゃああたし行くね」バイバイ

提督「おう」バイバイ


んー……なんか引っかかるような引っかからないような
まあいいか
執務室へ急ごう

-北上,大井の部屋-

ガチャ バタン

北上「大井っちただいまー」

北上「いやーさっき提督と会っちゃってさ」

北上「やっぱ提督って格好いいねー。あの声とか本当しびれるねぇー」

北上「……って聞こえるわけないか」


そう言って北上は床を見る
そこには目隠しと猿ぐつわ、そして手と足がそれぞれ縛られた大井が横たわっていた
彼女の頭にはヘッドホンが付けられている


大井「んーーーっ!ンゥゥーーー!」

北上「……大井っちもしぶといね」

大井「フーー!んヒィ!」

北上「まーもうちょっとしたら提督の声がすんなり入ってくるようになるよ」

北上「そしたら二人一緒に愛してもらおうねー♪」

北上「それじゃもう少ししたら昼食にするねー。今日はカレーだよー?」

(北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん
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北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん北上さん提督)

-執務室前-

提督「何とかここまで来た訳だが……」

提督「なんだこれは……」


扉には様々な機能があるが執務室の様な重要な箇所については外敵の侵入を阻むためにある程度の耐久性が求められる
当然この部屋の扉も軍が定めた規格をクリアした物を使用している

だが今、提督の目の前にある執務室の扉は金具とわずかな部分を残してその原型を失っていた


提督(まるで漫画か何かを見ているみたいだ)

提督(だが、いつまでもこうしている訳にはいかない)

提督「……よし」


提督は、ゆっくりと扉だったものに手を掛ける

??「来ないでください」

提督「!!」

??「扉を開けたら撃ちます。開けなくても撃ちます」

提督(………なんで?どういうこと?)

??「今すぐ後ろを向いて、ここから立ち去れば撃ちません」


扉だったものの隙間から血まみれの姿でこちらに砲塔を向けた艦娘の姿が見える
見た感じ秘書官の榛名だろうか


提督(まさか……クーデターか?俺の指揮に問題があったのか……)

榛名「早くしてください。榛名は本気です」

提督「わ、分かった。とりあえず今はここから離れる。だが後――」

榛名「その声……もしかして提督ですか」

提督「あ、あぁ……そうだ」

榛名「……」

提督「……」

榛名「本当に提督でしたら私の質問に答えられるはずです」

提督「……え?」

榛名「質問に全て答えられたら提督として認めます。外したら……」

提督「……は、外したら?」

榛名「撃ちます」

提督「」

榛名「では参ります。一問目」

提督(どんな問題が出るんだ……?俺が知っている軍の機密情報とかか?)

榛名「榛名の好きな食べ物はなんですか」

提督「は?」

榛名「……」

提督「えっ?」

榛名「……」

提督(どういうことだ?機密情報とかじゃないのか?)

提督(と言うか自分の好きな食べ物とか質問になっていないだろ……)

榛名「早く答えてください。でないと撃ちますよ」

提督「あ、あぁ……ちょっと待ってくれ」

提督(榛名が好きな物……好きな物……)ウーン

提督(あ、そういえば)



―――

―――――

榛名『提督、何食べていらっしゃるんですか?』

提督『ん?これはさくらんぼだ』モグモグ

榛名『さくらんぼ……ですか?』

提督『あぁ、この前実家から送られてきたんだ』モグモグ

榛名『名前は聞いたことありますけど……美味しいんですか?』

提督『俺は好きだな。榛名も食ってみろ』

榛名『い、いえ!榛名にはもったいないです!』

提督『いいからいいから。ほら』ズイ

榛名『で、では頂きます』パクッ

榛名『~~~!』

提督『ど、どうした!?』

榛名『いえ、なんか噛んだ瞬間甘酸っぱいものが押し寄せてきて。でもおいしいです!』

提督『そっかそっか。でもお気に召したようでよかったよ』ニコニコ

榛名『あの、もう一個頂いてもよろしいですか?』

提督『良いぞ良いぞ。実は大量に送られすぎてさ、後でみんなに配る予定だったんだよ』

榛名『と言うことは、榛名が一番ですか?』

提督『まぁそうなるな』

榛名『! 榛名、提督のさくらんぼ大好きです!』

提督『俺が作ったものじゃないんだけどな』アハハ

榛名『それでも!榛名は大好きです!』ズイ

提督『お、おう……だったら俺も持ってきた甲斐があったよ』ニコ

榛名『~~♪』パクッ

―――――

―――



提督(なんてことがあったな)

提督「さくらんぼだ。あってるか?」

榛名「……正解です」

提督「よしじゃあ中に―――」

榛名「二問目です」

提督「」

―――――

―――



提督(結局十問ぐらいやった。それも全部自分に関係するものだった)

提督(榛名の目的が何なのか分からなくなってきた……)

榛名「これが最後の問題です」

提督「おう、もう何でも来い」

榛名「榛名の好きな人を答えてください」

提督「えっ」

榛名「……」

とりあえずこれまで通り頭の中で関係しそうなエピソードを探すことにした
……がそんなものは見つからなかった
正直好きなアイドルとか、気になる人とか、そんなの聞いたことないし。忘れてるだけかもしれないけど


提督(ダメ元で誰か言うしかないか……)

提督「分かった。金剛―――」

榛名「……主砲」

提督「すまん。冗談だ」

榛名「……」


どうやら違うみたいだ
となるともう分からないぞ


榛名「……質問を変えます。提督は榛名のことが好きですか?」

提督「えっ」

好きか嫌いかと聞かれたら……うん好きだ
今までの働きぶりを見たら嫌いになる理由が見当たらない

提督「あぁ……好きだ」

榛名「……もう一度言ってください」

提督「……好きだ」

榛名「もう一度」

提督「………好きだ」

榛名「もっと」

提督「………す、好きだ」

榛名「提督」

提督「す……うおう?」

榛名「入ってきて良いですよ」

提督「あ、はい、失礼します……」

ギイ

榛名のことは好きだ
秘書官として

バタン

提督「ふう……これでやっと休める……」


そんなわけはない
これからこの事態について調べ、そして可能な限り早く収めないといけない
そう思っても呟かずにはいられなかった


ムギュ

提督「は、榛名どうした!」

榛名「提督、本当になんですね?」

提督「あ、あぁ、そうだ」

榛名「提督!提督!」

提督(榛名ってこんな直情な娘だったっけ……)ギュ

榛名「あっ」

提督「……」

榛名「♪」ギュー


??「……」パシャッ

提督「落ち着いたか?」

榛名「……はい、提督、ありがとうございます」

提督「そういや傷だらけじゃないか。ドックに行かなくて大丈夫か?」

榛名「はい、榛名は大丈夫です!」

提督「なら良かった。それじゃ、今からやることがあるからもし気分が悪くなったら言ってくれ」スッ

榛名「あっ…はい……」

提督(とりあえずは原因の特定だな。どうして艦娘、雷や千歳がこんなことをしたのかを調べないと)

提督「榛名、申し訳ないがそっちの机からここ数日中に書いた資料を全部くれ」

榛名「は、はい!」


サワサワ……スッ サワサワ……スッ……


ん?榛名は何で壁に沿って歩いているんだ?


提督「榛名……本当に大丈夫か?気分が悪かったら遠慮しないで言って良いんだぞ」4

榛名「い、いえ……榛名は大丈夫です!」

提督「……」チラ

榛名「……」ガサゴソ

提督(榛名は資料を探している、ように見える……が)

ドサー

榛名「ヒッ!」ビクッ

提督(あれは絶対……)

提督「榛名」

榛名「っはい!」キョロキョロ

提督「……今俺は指を何本出しているか言ってみろ」

榛名「っ!?」

提督(俺の予想があっていれば……)

榛名「4本……4本です!」

提督「0本だ。そもそも指なんて出していない」

榛名「!」

提督(やっぱりな)


榛名は目が見えていなかった
これならあの時穴だらけの扉の前で対峙したのに俺を提督を視認できなかったのも納得できる


提督「どうして言ってくれなかったんだ」

榛名「え、いや……その」

提督「まぁいい、ここは良いからお風呂入ってこい。今回はバケツも使っていいからな」

榛名「提督は……提督はその間どうするんですか?」

提督「その間は一人で何とかするさ」アハハ

榛名「っ!」


トトッ ガン! ドサッ…… キョロキョロ


榛名「提督は!提督はどこですか!」キョロキョロ ブンブン

提督「お、おい榛名……俺はここにいる」ポン

榛名「提督!」ギュウウウウウウ

提督「ぐえええ……」

榛名「嫌です!榛名はっ……榛名は離れたくありません!」ギュウウウウウウウウウウウ

提督「は、榛名……クルシイ……」

榛名「榛名は大丈夫ですから!榛名は大丈夫ですからあ!」ギュウウウウウウウウ

提督「ハナシテ……ハナシテ……」

榛名「はっ……ご、ごめんなさい」ギュ

提督(やっと緩んだ……でも離さないんだな)

榛名「……」ギュ

提督「榛名……君はドックに行った方が良い。と言うより行かないとまずい」

榛名「……」ギュウ

提督「この調子だと俺も榛名も仕事ができない。それに目が見えないと日常生活もままならないだろ」

榛名「……」ギュウウ

提督「だから、俺もドックに行く。それで大丈夫だろ?」

榛名「!」

提督「良く考えたら目が見えないのに自分で行けってのも酷な話だしな。早く行って早く帰るぞ」

榛名「はい!」

提督「よし、肩に捕まれ」

榛名「は、はい」ギュ

提督「しかし、よくここまで扉ボロボロにしたな……その割には部屋は割ときれいだけど」

榛名「はい、全部受け止めましたから!」

提督「……」


なにを?と聞きたかったが、
今の榛名を見る限りそういう事なんだろうな……


提督「……すまん」

榛名「何がですか?」

提督「なんでもない。行くぞ」

榛名「はい!」


ギイ バタン

-船渠-

提督「よし、着いたぞ」

榛名「はい……」ヨタヨタ

提督「後はここの妖精さんに任せるからな。俺は外で待ってる」

榛名「え……提督も一緒に入らないんですか?」

提督「それは流石にまずいだろ……」

提督(もし一緒に入っているのを見られるなんてことがあったら俺の提督人生が終わるし……)

提督「とにかく早く行って来い。バケツ使っていいんだから一瞬だろ」

榛名「うぅ……絶対待っていてください!」

提督「分かったから」

榛名「絶対、絶対ですよ!」

提督「はいはい、行ってらっしゃい。それじゃ妖精さん、よろしく頼みます」ペコリ

妖精「……」コク


ガララ ピシャ

提督「ふう……これで一安心だ」

響「やぁ司令官、こんなところにいたのか」

提督「ん、響もお風呂に入りにきたのか?」

響「そうじゃないが……でも目的は半分達成されたかな」

提督「? そうかそれは良かったな」

響「そんなことより酷いじゃないか司令官」

提督「ん?」

響「一緒にボルシチを食べる約束をしていたのに居なくなるなんて」

提督「……そういやそんな話もあったな。すまん」

響「ふふ……まぁいいさ。さっき作ったのは冷えてしまったけど、替わりのはある。さぁ行こう」クイ

提督「ちょ、待て。俺は今榛名を待っているんだ。悪いけど今すぐには行けない」

響「……司令官は榛名を待っているのかい?」

提督「あぁ、そうだ」

響「……それじゃ私も待つことにするよ。戻ってきたらみんなで食べよう」

提督「お、そうか。榛名にはバケツを使わせたからもうすぐ戻ってくるはずだ」

ガラッ!

榛名「提督、お待たせしました!」

提督「お、終わったか」

響「やあ、随分と早かったね」

榛名「! 何で……」

提督「さっきここで会ったんだ。これからボルシチを振る舞ってくれるってさ」

響「あぁ、最初は提督だけに振る舞うつもりだったけど、折角だから榛名にもごちそうしたくてさ」

榛名「そうですか……」

響「さあそれじゃ執務室へ行こうか。みんな、でね」クイ

提督「お、おい。そんなに引っ張るな」ヨタ

榛名「! ……その手を放してください」

響「……どうしてだい?酷いじゃないか」フフ

提督「そうだぞ榛名。ちょっと神経質すぎるぞ」

榛名「提督、どうしてその娘の肩を持つんですか?」

提督「いや、別にひいきしているわけじゃ―――」

榛名「あー……榛名が居ない隙にその娘に何か吹き込まれたんですね」チャカ

提督「お、おい!どうして響に主砲を向けるんだ!?」

榛名「提督……大丈夫です。榛名にお任せください」

響「……」チャカ

提督「響!二人とも止めろ!」

榛名「……」

響「……」

提督(ダメだ……二人とも砲を降ろさない。このままじゃ同士討ちになってしまう)

榛名「……勝手は、榛名が!許しませんっ!」ギリ

響「……信頼の名は伊達じゃないよ」フフ

??「そこまでです」

提督「!」

榛名「!」

響「!」


3人同時に声がした方を向く
声の主は加賀だった
彼女は艤装を装備し、俺たち3人と対峙していた。


提督「……加賀!」

加賀「艦載機に撃たれたくなければ武器を降ろしてください」

榛名「そんな勝手、榛名は許しません!」

加賀「勝手どうこうじゃないの。ここで撃ちあったら建物が壊れるわ。それに提督が近くに居るのに流れ弾が飛ばないとでも思っているの?」

榛名「! ……」

響「……」

加賀「とにかく、撃ちあうなら他の場所でして。この鎮守府や……提督に迷惑をかけるのは許さないわ」

榛名「……」

響「……」

提督「……と、とにかく二人とも執務室に行こう、な?」

榛名「……はい」

響「……了解した」


スッ


提督「……加賀、助かった。ありがとう」ペコリ

加賀「いえ、これくらい造作もありません。それで、提督」

提督「ん?」

加賀「後で話がありますので部屋に来てください」ヒソヒソ

提督「部屋に……?重要な話なのか?」ヒソヒソ

加賀「恐らく榛名や響がおかしくなったことに関係することだと思います」ヒソヒソ

提督「! 分かった。後で行く」ヒソヒソ

加賀「お待ちしています」ヒソヒソ

提督「そういやこれからボルシチを食べるんだが、加賀もどうだ?」

加賀「いえ、私は遠慮します」

提督「そうか、じゃあまた」

加賀「ええ」

提督「……それじゃ二人とも行こうか」

響「司令官、私はボルシチを部屋から持ってくるからここで別れるよ」

提督「そうか、じゃあ後で執務室に持ってきてくれ」

響「了解した」


スタスタ


提督「……俺たちも行こうか」

榛名「……はい」


執務室への帰り道は行きの時よりも長く感じた

-執務室-


コンコン


響「提督、ボルシチを持ってきたよ」

提督「おう、入って良いぞ」

榛名「……」

響「なんだいこの扉は。もはや外した方が良いんじゃないか?」

提督「ははは……後で考えるよ」

響「フフ……それじゃ、これが提督のボルシチだ」


俺の前に出されたボルシチ
見た感じ具はタマネギ、ニンジン、キャベツ、ソーセージ、それとズッキーニが入った割とオーソドックスな物だ
上に乗ったサワークリームの白となんかの葉の緑、それとボルシチの赤が良い色を演出している
見た目だけ言えばレストランの物と大差ない


提督「おぉ……旨そうだな」

響「ボルシチは私の得意料理だからね。後ピロシキも用意した。好きなだけ食べると良いさ」

提督「気が利くな。ありがとう」

響「ふふ、そしてこれが榛名の分だよ」


榛名のボルシチ
大なべか何かで作った作ったからかほとんどの具は俺のと同じだ
だが、俺のに加えて粗挽きにミンチされた肉団子が入ってる


提督「おー、榛名のも旨そうだな。それに肉団子も入っているじゃないか」

響「それは榛名の為に今作ってきたものだよ。さっきあんなことがあったから仲直りの印にね」

提督「そっか。榛名もそうつんけんしないで今まで通り仲良くやっていこうよ、ね?」

榛名「……はい」

響「ふふふ、そう言ってくれるとわざわざ作った甲斐があるさ」

提督「よしじゃあ早速、頂きます」

響「いただきます」

榛名「……いただきます」

二個上で響が「司令官」じゃなくて「提督」と言ってしまったので脳内変換をお願いします
すいませんでした

提督「それにしてもその肉団子おいしそうだな。俺にも一個くれないか?」モグモグ

響「司令官、それはダメだ」

提督「え?なんで?」ゴックン

響「司令官には司令官用に作っているし榛名には榛名用に作っているんだ。だから司令官が榛名のを食べるのもその逆も私は許さない」

提督「そ、そうか……ということは俺のボルシチには榛名のに入っていない何かが入っているのか?」

響「ふふ、その通りだよ、司令官」

提督「そっか……でも今度作ってくるときは俺のにも肉団子を入れてほしいかな」

響「そうだね。考えておくさ」

榛名「……」モグモグ

提督「ふう……ごちそうさま」ゲフ

響「司令官、美味しかったかい?」

提督「あぁ、ボルシチもピロシキもどっちも旨かったよ」

響「それは良かった。榛名はどうだい?」

榛名「……美味しかったです」

響「ふふふ……それじゃ片づけるから私は行くよ」

提督「あぁ、それじゃまた」

響「あぁ、до свидания(また会おう)」


ガチャ バタン

提督「さて……それじゃ再開するか」

提督(そういえばさっき加賀に話があると言われたな……)チラ

榛名「……」モクモク

提督(榛名には悪いが……事態を収めるためには……)

提督「あー……榛名。ちょっと出かけてくる」

榛名「……どうしてですか?」

提督「正直、今の鎮守府はおかしいと思っている。原因も俺には分からない。だが、その原因を知っているかもしれない娘が居るんだ」

榛名「……そんな理由で榛名から離れるんですか?」

提督「大丈夫だ、すぐ戻ってくる」

榛名「そんなこと言って!榛名を見捨てないでください!?」

提督「何を言っているんだ?俺が大事な娘を見捨てる訳ないだろ!」

榛名「! ……」

提督「……すまん。とにかく行ってくる。加賀のところだから心配なら後で来ればいい」


ガチャ バタン

??「……」ジー

ほんのちょびっとグロ表現

-暁型の部屋-

響「ただいま」

響「ボルシチ、提督は……あと榛名も喜んでくれたよ。」

響「今回のボルシチは私だけじゃできなかった。Спасибо(ありがとう)、雷」


そう言って響は雷の方を見る
彼女は壁に居た。両手両足は大の字に張りつけられている。顔は下を向いているためその表情はうかがえない
お腹は大きくえぐられ、その傷口からは暖かい血が途絶えることなく流れている
また張りつけられるとき、お腹をえぐられた時に暴れたのだろう。彼女の周りにはまるで桜の花びらのように血が飛び散っている

雷は響が居たのに気付いたみたいで、体をよじらせ、威嚇する


響「無駄だよ。それくらいじゃ外れない」

雷「フーッ……フーッ……」ギロ


サワ


雷「―――っ!!」

響「痛いかい?でも私も痛かったんだよ」

響「雷が司令官を監禁したと聞いた時の私の痛みはこんなものじゃない」

ドス


雷「ぁぁああアアあぉぉおおおあああ!!!」

響「……でも司令官にボルシチを振る舞えたのは結果オーライだね」

雷「あぁぁ……ぁぁ……」ポロポロ

響「それに榛名も肉団子おいしいって言ってくれたよ。良かったね、雷」

響「……それじゃ洗い物をしなきゃね。もう少しの辛抱だよ」

雷「…………司令官」ボソ

響「あぁそういえば」

雷「」ビクッ



響「司令官も肉団子が食べたいって言ってたっけ」

響「今度は血だけじゃなくてちゃんと作らないといけないかな。ちょっと痛いだろうけど、やるさ」

- 一航戦の部屋-


コンコン


提督「提督だ。入るぞ」

加賀「どうぞ」


ガチャ バタン


提督「さて、来て早々なんだが……」

加賀「はい、先ほどお話した事ですね」

提督「あぁ……」

加賀「その前にお茶をどうぞ」コトッ

提督「……」

加賀「提督、こちらを見てください」スッ

提督「これは……青葉が出している新聞か」

加賀「はい、鎮守府内のことを赤裸々に語っていることもあってここの艦娘の間では人気の読み物です」

提督「それについてはある程度聞いているが……これがどうしたんだ?」

加賀「この記事を見てください」

提督「なになに……『司令官の好みの女性のタイプを青葉、聞いちゃいました!』だと……!?」

加賀「……」


スクープ!! ついに司令官の好みの女性のタイプについて聞き出すことに成功!

昨晩、執務室で一人で晩酌している司令官に直撃取材を行った
気分が良かったのだろうか、ほろ酔い状態の司令官は、
いつもはスルーするような質問でもすんなり答えてくれた

その中でもスクープは「司令官の女性のタイプ」!
司令官Loveな艦娘が多いこの鎮守府において誰が司令官をハートを射止めるかはある意味死活問題だろう

結果からお伝えするとずばり「ヤンデレな娘」でした!
司令官を好きなあなた!今こそ邪魔なあの娘を押しのけて司令官の愛を独り占めするチャンス!かも?

青葉記者


提督「な……ななな………」ワナワナ

加賀「提督、落ち着いてください」

提督「確かに昨日の夜は飲みすぎて記憶がほとんどないが……まさかこんなことがあったなんて」ガクッ

加賀「この新聞は今日の早朝に艦娘のみんなに配られたものです」

提督「今朝の記事か……そりゃそうだよな、昨日のネタだし……ハハ……」

加賀「そして確証がないですが、皆がおかしくなったのはこの新聞が配られた後でした」

提督「!」

提督(そういえば、俺が雷に縛られたのもマルキュウマルマル辺りだ……)

加賀「……」

提督「つまりこの記事がこの状態の原因なのかもしれないんだな」

加賀「はい、そういうことです」

提督「……」ウーン

加賀「……」

酔っているとは言え、軽率なことをしてしまった

しかしこの状態をどう収めればいいのか
今俺が何か言ったところで噴き出した彼女たちの気持ちが収まるわけじゃないし、
仮に収まったとしてもこれから先ギクシャクするかもしれない
かといって全員を受け入れるのは……無理だろ常識的に考えて

加賀「提督?」

提督「……ん?あぁすまん。少し考えていた」

加賀「一人で考え事をしても何も解決しません。力不足かもしれませんが、私も協力します」

提督「……すまんな、加賀」

加賀「いえ、問題ありません」

提督「でも、大丈夫だ。ヤンデレと言うことはターゲットは俺だけのはずだ。何とかして一人ずつ説得するよ」ニコ

加賀「そうですか」

提督「だから、加賀は心配しなくて良い。あ、でもピンチの時は助けてほしいかな」アハハ

加賀「ところで提督」

提督「どうした?」


加賀「私たちの式はいつにしますか?」

提督「……は?」

加賀「?」

提督「式って……何?観艦式?」

加賀「何って……結婚式ですが」

提督「」

加賀「提督の方からプロポーズしていただいたのにあれから音沙汰が無いとは……流石に頭にきます」

提督「プロ、プロポーズ!?」

加賀「はい、あの時の提督の言葉は今でも一言一句記憶しています」ポッ

提督「まさか……まさかまた酔った勢いで変なことをしてしまったのか……?」

加賀「いえ、あの時の提督は酔ってなんかいません。極めて真面目に告白してくれました」

提督「そんな……」

加賀「それに、あの時は既に私たちの間に子供も居ました」

提督「子供!?」

加賀「はい、私たちに似て可愛い娘です」

提督「」ボーゼン

加賀「そういえば提督はしばらく会っていませんね。ちょっと待っていてください」ガサゴソ

加賀「ほら提督。能登ですよ」ヨシヨシ


彼女が持ってきたものは赤ちゃん、なわけがなく熊のぬいぐるみだった
それは俺が昔、可愛いものが好きだと言う加賀にプレゼントしたものだった


提督「加賀……お前……」

加賀「名前は私が付けました。お気に召しましたか?」

提督「いや、そうじゃなくて……」ガクガク

加賀「能登はどちらかと言うと提督似ですね。きっと提督と同じく、聡明な子に育つと思います」

提督「加賀……お前も青葉の記事でおかしくなったのか?そうなのか?」

加賀「? 言っている意味が分かりません。私は今も昔も私です。あの娘達となんか一緒にしないで」

提督「しかし……そもそも俺は加賀にプロポーズなんかしていないし子供を作った記憶もないぞ」

加賀「……もしかして提督は忘れてしまわれたのですか?」

提督「……」

加賀「提督は私に、『その澄んだ瞳が好き』だと言いました」

提督「……」ガクガク

加賀「私の胸を荒々しく揉みしだき、そして中に熱いものを注いでくれました」

提督「……」ガクガク

加賀「その時、『お前は俺のものだ』と言いましたよね?あの時今までになく気分が高揚したのを覚えています」

加賀「だから、提督が榛名さんや他の娘たちとべたべたしていても我慢することができました」

加賀「それを忘れた、ですか」

提督「……」ガクガク


加賀はおかしい
それも榛名や千歳以上だ
加賀が言っていることはまったくの事実無根だ
しかし今の彼女を怒らせるとどうなるか分かったものじゃない


提督「ああ……俺が間違っていた……全部思い出したよ」ガクガク

加賀「……」

加賀「そう、良かったわ」ニコ

提督「」ガクガク

提督「それじゃ……俺は戻るよ」

加賀「はい。あの、式はどうしますか」

提督「……すまん、今はヤンデレの問題を解決しないといけないからまた後で話すよ」

加賀「……分かりました。終わったらきちんと話しあいましょう」

提督「……」


加賀の言動はおそらく妄想だ
彼女にとっては妄想が真実で、俺がそれに反論しても聞き入れてくれることはない
だから時間が解決することを期待して、今は逃げよう


加賀「部屋の外まで見送ります」

提督「……ああ」

ガチャ バタン

加賀「では、今度こそ私たちの将来のこと忘れないでくださいね」

提督「……ああ」

??「提督?」

提督「!」ビク

加賀「……」ピク

千歳「こちらにいらしたんですね。やっぱり足があると逃げてしまって面倒ですね」ユラリ

提督「千歳……」

千歳「大丈夫、足が無くても手が無くても提督は提督ですから」ニコ

提督「あ……あぁ……」


ユラリユラリ

スッ


加賀が提督と千歳の前に立ちふさがる

千歳「……なんですかあなたは?どいてください」

加賀「ここは譲れません」

提督「加賀!」

加賀「提督、ここは私に任せて早く行ってください」

提督「だが……」

加賀「大丈夫、私は負けません」

提督「……すまん」


タタタタ


千歳「! 艦載機のみなさん!」


千歳が艦載機を放つ
が、加賀の艦載機が千歳の艦載機を撃ち落とした


加賀「あなたの相手は私です」

千歳「……」ギリ

-執務室-

ガチャ バタン


榛名「! 提督!」

提督「はぁ…はぁ……榛名」

榛名「っ!はい!」

提督「榛名は今朝の青葉新聞を見たのか?」

榛名「! ……はい、見ました」

提督「そうか……だからお前はヤンデレ化したのか」

榛名「……榛名は自分がヤンデレだとは思っていません」

提督「……」

榛名「でもあの記事を見た時、他の娘に取られてしまうのだったら榛名が提督のそばにと思いました」

提督「……榛名」

榛名「榛名は提督のことが好きです。今まで提督の一番近くに居た榛名を。これからもずっとそばに置いてください!」

提督「榛名……俺は―――」

響「そこまでだよ、二人とも」

提督「……響!?」

榛名「!」

響「司令官、今度はヨージキを作ってきたんだ。 さっき食べたばかりだし、まだおやつには早いけど食べてくれるかな」

榛名「響……」ギリ

響「……残念ながら今回は榛名の分は作ってないんだ。これは提督のなんだ」

提督「響……すまん、今はそんなことをしている場合じゃないんだ」

響「どうしてだい?さっき肉団子を食べたいと言ったからわざわざ作ってきたのに。ほら」チラ


そう言って響は服をまくった


提督「!」

榛名「!」


響の脇腹はえぐれていた

提督「響……お前……うおおぅええええ」ビチャビチャ

榛名「」

響「榛名のと同じ材料で作るわけにはいかないからね。痛かったけど問題ないさ」

榛名「私の……?」

響「あぁ、榛名のは雷で作ったんだよ」

榛名「っ!」

響「彼女の肉を提督の中には入れる訳にはいかない。だから榛名の分にしたんだよ」

榛名「」

響「その分提督には私の血を入れた。ボルシチも赤色だから多めに入れても目立たなくてよかったよ」

提督「!」

響「今回はちゃんと私の肉で作ったから、提督が食べても大丈夫だ」

提督「……うあああああああああ」


ジャキン

榛名が響に砲塔を向ける


響「……どうして私に向けるんだ?」

榛名「……」ギリギリ

響「ふふ……さっきの仲直りは無しだね」

榛名「……許しません!」

響「……やりますか」チャカ


こうして榛名と響の戦いの火ぶたが切って落とされた
今度は加賀は居ない

- 一航戦の部屋前廊下-

加賀「はぁ……はぁ……」

千歳「うぅ……てい……と、く……」


ドサ


空母同士の戦いは加賀が制した


加賀「やりました……」


これで提督を迎えられる
そうしたら私は提督の秘書官になる
提督は私と能登だけを見て、私は提督と能登だけを見る
なんて幸せな生活なのだろう


加賀「ふふ」


自然と笑みがこぼれる

ズドン


加賀「な……!?」


加賀の胸元を一発の砲弾が突き抜ける


ドサ


加賀「が……一体、何が?」

??「いやー良いものを見せていただきました!」

加賀「あおば……!」

青葉「ども、恐縮です、青葉です!一言お願いします!」

加賀「これは……どういうこと……?」

青葉「一言がそれですか?それじゃ記事にはなりませんねー」

加賀「……」

青葉「……まー良いです。青葉にはどうでも良いことですから」

加賀「! まさか……!」






ズドン

-執務室-


執務室内では榛名と響の戦いが続いていた
榛名は大口径の砲塔で響の周囲ごと吹き飛ばす
響は小口ながらも小さい体と早いステップで榛名を翻弄する

両者は互角の戦いを見せていた


響「っ!」ズキ

響(流石に痛み止めだけじゃえぐった部分は騙しきれないか)


しかし、自分で自分を気づ付けた分、榛名に分があった


榛名「そこっ!」

響「しまっ」


ドゴン

パラパラ


響「うぅ……ここまで……か」ドサ

榛名「……響、どうしてあなたは自分の体を傷つけたのですか?」

響「……」

榛名「その傷が無かったら私が負けていたかもしれません」

響「……ふふ」

榛名「?」

響「……ただ司令官とずっと居たかっただけさ」

榛名「……どういうことですか?」

響「私の血肉が司令官の中に入ることでそれがまた提督の血肉になる。そうすれば私は司令官とずっと居られるのさ」

響「例え、私が死んだとしてもね」

榛名「……」

響「出来ることなら生きて、司令官と共に居たかったけどね」フフフ

榛名「……」

響「До свидания」



ズドン

榛名「……これで終わった、のでしょうか」


響は自分の一部を相手に入れることで提督と居ようとした
それは確かに異常だ
だが形はともかく、私も提督から離れたくなかったのは事実だ
私は響と同じ様に狂っているのだろうか


榛名「……提と―――」




ズドン




.

榛名「っ!」


ドサッ


榛名には何が起こったのか分からなかった
彼女が分かることは、死ぬということだけだった


??「んふふー」

榛名「あなたは……青葉」

青葉「ども、青葉です!」

榛名「これは……いったい?」

青葉「あーそれさっき加賀さんにも聞かれたんですよねー」

榛名「加賀……さん?」

青葉「まあ彼女には教えなかったんですけどねー」アハハ

榛名「……」

青葉「……でも、これでやりたいことは達成しましたし特別に話しましょう!」

榛名「……」

青葉「まず最初に、あの記事のことからですかね」

青葉「記事に書いたことは本当のことです。司令官は確かにヤンデレがいいと言っていました」

青葉「それ記事にした理由は艦娘たちの司令官への恋心と独占欲を出すためです」

青葉「もともと割と多くの娘たちは司令官へのゆがんだ愛情を持ってましたからねー。榛名さんもそうですよね?」

榛名「私は……」

青葉「ヤンデレ化した娘たちは、同じく司令官を狙う他の娘たちを排除しようとしました」

青葉「だって、自分以外の娘が居たらそれだけ司令官と居れる時間が減りますから」

青葉「自分から戦わない娘達には私から発破を掛けましたよ。いやーこれが大変で大変で」アハハ

青葉「それで、戦いの中で残った娘が私と榛名さん、そして加賀さんだったのです!」

青葉「あ、北上さんと大井さんも居ましたね。まあ彼女たちは無視して大丈夫みたいでしたけどねー」

青葉「加賀さんは先ほど殺しました」

青葉「そして次は榛名さんの番です!」

榛名「……」

青葉「大丈夫です!頭に一発ドカーンと撃つだけですから痛くありません!」

榛名「……」


最初からこれを狙っていたのか
青葉の計画、それはなるべく自分の手を汚さず提督の近くに居座る事だったのだ
なぜそれに気付かなかったのか
榛名はは、響は、そしてみんなはただ提督のことが好きだっただけなのに
悔しい……悔しい、悔しい!


榛名「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

青葉「じゃあねー」



ズドン



.

青葉「……さて」チラ

提督「あぁ……っぁ……」

青葉「司令官!青葉頑張っちゃいました!」ニッ

青葉「これからは他の娘のことを考えなくても良いんですよ?」

青葉「よーし!これからどうしちゃいましょうか!」

青葉「秘書艦!……はもうしなくて良いしー、出撃は……もう他の娘が行ってるんだっけ?」

青葉「……彼女たちを迎え撃つために罠を張らないとまずいかな?」

青葉「まーまだ良いですよねー今は提督といちゃいちゃしましょう!」ギュー

提督「……」

ターン


ターン ターン ターン ターン

カチャ


ターン

ズル……ズル……

提督「……」ヨロヨロ


もう何も考えられない
考えたくない


北上「あっ、提督!たすけっ」ドタドタ


ズドン

北上「うあっ!」ドサ

大井「ふふふ……北上さーん?」

北上「大井っちぃ……もうやめよ?ね?ほら、提督がいるよー?」ガクガク

大井「もー提督なんてどうでもいいでしょ?ほら、行きましょう?」

北上「いやっ……提督!提督!」

大井「……そんなに提督が良いんですか?私より……」

北上「うあっ……!でも!」

大井「……もういいです」

ズドン



提督「……」

大井「……北上さんは渡しませんから」

大井「何時までも一緒ですよ。北上さん」


ズドン


ドサッ



提督「……」

提督「……」ヨタヨタ

-波止場-

アーッアーッ ザザー

提督「……」

提督「……もう生きたくない」


カチャ


??「提督、なにしているんだい?」

提督「……」

??「自分に銃を向けるなんて危ないじゃないか」

提督「……時雨」

時雨「第一艦隊、時雨。帰投したよ」

提督「……他の艦娘たちはどうした」

時雨「……作戦中に轟沈したよ。第一艦隊で生き残ったのは僕だけだよ」

提督「そうか、すまない」

時雨「どうして提督が謝るんだい?むしろ謝るのは僕の方さ」

時雨「それよりも提督、一体どうなっているんだ?」

時雨「建物はぼろぼろだし、艦娘があちこちで倒れている」

時雨「僕たちが出撃する前と大違いだ」

提督「……実は」





―――

―――――

―――――

―――




時雨「青葉さんが……」

提督「……俺は軍の物である艦娘を殺した。それにどのみちこのありさまじゃ軍法会議は免れない」

時雨「だから死のうとしたんだね」

提督「……ああ」

時雨「それじゃ提督、僕と一緒に逃げない?」

提督「逃げる……?」

時雨「僕は提督には死んでほしくない。こう見えて提督の人柄は分かっているつもりさ」

提督「でもどこへ逃げると言うんだ」

時雨「どこでもいいさ、きっとどこかに静かに暮らせる場所があるはずさ」

提督「……時雨」

提督「行こうか」

時雨「うん」

-執務室-


PC「」


結果報告書


作戦ハ成功

本作戦ニヨリ深海棲艦ニ大打撃ヲ与エル事ニ成功シタ

ソチラノ鎮守府カラ派遣サレタ艦隊ノ損害ハゼロデアル

帰投後十分ニ養生サセルベシ


XXXX/XX/XX

大本営

おわり
お粗末様でした

ヤンデレ成分が無いような気がしたので
需要があったら個別ルートも書きます

もしリクエスト(本編に出てない艦娘でもOK)がありましたらお願いします


自分はあきつ丸エンドを見てみたいであります


ばっちり洗脳された大井っちが見たいです

島風見たい

那珂ちゃん

いろいろと面倒なので個別ルートは本編のパラレルワールドてす

また、本編で出た艦娘で○○はこんな性格じゃないとかありましたら遠慮なくどうぞ
何もなかったら本編のキャラで書きます

それではあきつ丸から再開します

>>102 あきつ丸



あきつ丸『出向……でありますか?』

『そうだ。我々陸軍は君たち艦娘に対する知識が乏しい。悔しいが海軍のほうが艦娘に関しては我々より2歩3歩進んでいるのだ』

あきつ丸『……』

『それゆえに君たちは海軍に出向してもらい、艦娘に関するノウハウを手に入れてほしい』

『もちろんこれは期限付きだ。帰任後は我々の元で働いてもらう』

『よろしく頼むぞ、まるゆ、あきつ丸』


『はい!』

あきつ丸『はっ!』

―――――

―――



チュンチュン

ムクリ


あきつ丸「……朝でありますか」

-食堂-

あきつ丸「……」モグモグ

オハヨ-! オハヨウゴザイマス チーッス!

あきつ丸「……」チラ

木曽「おはよう、まるゆ」

まるゆ「あ、木曽さんに球磨さん!おはようございます!」ペコリ

球磨「おはようだクマー」

多摩「多摩もいるにゃ!」ニョイン


ヤイノヤイノ


あきつ丸「……」モグモグ




トン


提督「おはよう、あきつ丸!」

あきつ丸「あ……提督殿、おはようであります」

提督「朝飯一緒して良いかな?」

あきつ丸「はい。あ、でも自分はもう食べ終わるのであります」

提督「ははっそうか。それじゃあきつ丸に負けないように食べるかな」アハハ


ガツガツ


あきつ丸「……ふふ」


-執務室-

提督「今日は秘書をやってもらう」

あきつ丸「はっ!」

提督「といってもいきなりは無理だから、今日は加賀がサポートに入ってもらうね」

あきつ丸「は、はぁ……」

加賀「あきつ丸、それなりに期待しているわ。今日はよろしくお願いします」

あきつ丸「こ、こちらこそ!ご指導ご鞭撻をよろしくお願いするであります!」

加賀「あきつ丸、この書類のここですが間違っています。早急に修正してください」

あきつ丸「! 申し訳ないであります!」


加賀「あきつ丸、遠征管理ですがあんな出鱈目に組んだらみんなに迷惑が掛かります。修正してください」

あきつ丸「はっ!」


加賀「あきつ丸」

あきつ丸「はっ!」


加賀「あきつ丸」

あきつ丸「今やるのであります!」


加賀「あきつ丸」

加賀「あきつ丸」

加賀「あきつ丸」

―――――

―――



あきつ丸「つ、疲れたであります……」

提督「今日は一日お疲れ。はい、お茶」コトッ

あきつ丸「提督殿自らお茶入れなど……申し訳ない、のであります!」

提督「良いよ良いよ。今日一日頑張ってくれたからね。せめてものお礼だよ」

あきつ丸「いえ……あの、提督殿」

提督「ん?」ズズ

あきつ丸「自分は……その、上手くやれているのでありますでしょうか」

提督「……」

あきつ丸「今日一日、提督殿の秘書官としてやってきました。ですが加賀殿に怒られてばかりでまともに役目を果たせませんでした」

提督「……ふむ」

あきつ丸「それに自分は陸軍の艦娘です。やはり陸の者が海の仕事をするというのは合わないのでしょうか……」

提督「……あきつ丸、お前は良くやっている」

提督「確かに今日の加賀はちょっと厳しかったね。いつもはもっと緩いんだけど、今日はあきつ丸の教育も兼ねてたから張り切りすぎていたかも

しれない」

提督「それに、加賀から注意された後、同じミスを犯さなかったじゃないか。それができれば十分だよ」

あきつ丸「提督殿……」

提督「仮にもし赴任したばかりの俺が居たら、あきつ丸の比じゃないくらい怒られたかもしれないな」アハハ

あきつ丸「そうなのでありますか?」

提督「ああ、多分あの加賀が鬼か何かになってただろうね」アハハ

あきつ丸「……ぷっ」

提督「……」ニヤニヤ

あきつ丸「はっ……上官を笑ってしまい申し訳ないのであります」ペコ

提督「はははは。よし、それじゃ飯にでも行くか!今日は特別に奢ってやるぞ!」

あきつ丸「え、それは……」

提督「気にするなって、じゃあ行くぞー!」グイ

あきつ丸「あわわ……引っ張らないでください、であります!」

あきつ丸『陸軍より出向してきましたあきつ丸、とまるゆであります。本日より将校殿の鎮守府でお世話になります』

『よろしくおねがいします!』ペコリ

??『ああ、二人が陸軍所属の艦娘か。俺はこの鎮守府を束ねている提督だ。この鎮守府を代表して貴艦らを歓迎する』

提督『着任したばかりで申し訳ないが、上からせっつかれているから明日より指導を始める。今日中に身の回りのことを済ませてほしい』

提督『幸いなことにここの鎮守府は規模が大きい。分からないことがあったら遠慮なく他の娘に聞いてくれ』

あきつ丸『はっ!』

『はい!』

提督『……ろくに歓迎できなくて申し訳ない』フカブカ

提督『まるゆは潜水して物資を輸送するのが目標だな。それについては水雷戦隊や潜水艦の娘たちに一任しているから彼女たちのところへ行くと良い』

『はい!』

提督『あきつ丸は揚陸と対潜哨戒、それと秘書能力だな』

あきつ丸『はっ!その通りであります!』

提督『揚陸と対潜はまるゆへの訓練が終わり次第行うことにする。よって最初は秘書業の教育から入る』

提督『いきなり実践は無理だから、最初は座学で知識を入れてもらうが大丈夫か?』

あきつ丸『はっ!将校殿のご命令とあらば断る理由はないのであります!』

提督『ははは……後、俺のことはどっちかと言うと提督と呼んでくれた方が良いかな。一応ここは海軍だし』

あきつ丸『はっ!提督殿!』

提督『二人とも、ここの生活には慣れたか?』

『はい!特に水雷戦隊の方が良くしてくれます!』

提督『そうか、あきつ丸は?』

あきつ丸『まずまず、であります』

提督『そ、そうか……二人とももうこの鎮守府の仲間だからな。是非皆と仲良くしてやってくれ』

『はい!』

あきつ丸『はい、であります』

―――――

―――



チュンチュン チチチ

ムクリ


あきつ丸「……今日も良い朝であります」

-食堂-

提督「おはよう、あきつ丸。よっこいしょっと」スッ

あきつ丸「提督殿、おはようであります」モグモグ

提督「あきつ丸の最近の成長ぶりはすごいな。加賀も褒めてたぞ」

あきつ丸「そんなことないのであります。自分はまだ提督殿より学ぶことが多いのであります」モグモグ

提督「ははは、これ以上頑張られるとあきつ丸抜きじゃ仕事にならなくなりそうだ」

あきつ丸「それは……ちょっと嬉しいのであります」ニヘラ

提督「……ふふ」ナデナデ

あきつ丸「っ!提督殿!?」ビクッ

提督「あっ、すまん。つい……」

あきつ丸「いえ、自分は……大丈夫、であります……」モグ



あきつ丸「……っ」ポッ

あきつ丸「! ……」モグモグモグモグモグ

あきつ丸「……」シュバババ

提督「……すごいな」

加賀「……ええ。ここ数日でよくここまで成長しました」

提督「正直陸軍に返すのが惜しいくらいだよ」

あきつ丸「っ」ピクッ

加賀「提督は私より彼女の方が良いとでも?」ギロ

提督「いや、そうじゃなくて……」

あきつ丸「……」チラ


ヤイヤイ


あきつ丸「…………」

あきつ丸「はっ!」

あきつ丸「……」モクモク

提督「ふー今日も終わったー!」

あきつ丸「提督殿、お茶になります」コトッ

提督「お、ありがとう」ズズズ

あきつ丸「……」ズズ

提督「あきつ丸」

あきつ丸「はっ、なんでありますか?」

提督「お前は最初から比べると見違えるほど仕事ができるようになった」

提督「正直この短期間でここまで成長するとは思ってなかった」

あきつ丸「いえ、自分はまだまだであります」

提督「謙遜するな。これならきっとどこへ行っても立派に秘書をこなすことができる。俺が保障する」

提督「だから」


提督「今日で秘書の指導を終了する」

あきつ丸「……! それは……」

提督「ちょっと早いがこれからは担当の艦娘に従って対潜、揚陸訓練に移ってくれ」

あきつ丸「提督殿……なぜでありますか!」

提督「なぜって……もともとそういう目標でこっちに着任しているわけだからな。途中で陸軍に戻すことは海軍のメンツに掛かる」

あきつ丸「……」

提督「まだまるゆは指導を終えていないが……なんとかするさ」

あきつ丸「……」

提督「とりあえず明日からできるようにしたから、明日は訓練場の方に向かってくれ」

あきつ丸「……失礼するであります」


ガチャ バタン

『陸軍に女だってよ』

『マジか、女が何をするんだ?』

『海から物資や人員を揚陸するときに全体を指揮するんだとさ』

『うわ、ひょっとして女が上官になるのかよ……ないわ』

『陸軍足るものやっぱり脚を生かした電撃戦が最高だよな』

『だよな!海とか遠くからドンパチして勝った―なんて糞だよな!』

アハハハハハ


あきつ丸『…………』


―――――

―――



あきつ丸「……はっ!」

ガバッ


あきつ丸「……嫌な夢なのであります」

-訓練場-

五十鈴「訓練を取りまとめます軽巡洋艦の五十鈴よ。よろしくね!」

あきつ丸「はっ!ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!」

五十鈴「良い返事ね。訓練の内容は対潜と揚陸よ。だけど今のあなたじゃ、対潜はできないみたいね」

あきつ丸「! そうなのでありますか!?」

五十鈴「ええ、だから改装ができるまでは揚陸メインでやるつもりよ」

五十鈴「いい?提督はあなたに期待しているわ。その期待を裏切らないよう頑張りなさい」

あきつ丸「っ! はっ!」

五十鈴「ふふっ。じゃあ早速始めるわ」


……


五十鈴「今日の訓練はここまでよ。お疲れ様!」

あきつ丸「はぁ……はぁ……お疲れ様……で、あります……」

提督「お、終わったのか?」

あきつ丸「!」

五十鈴「ええ、今終わったところよ。この娘、筋が良いわ。さすが陸軍肝いりの艦娘ね」

提督「おーそっか。秘書業も完璧だし、将来は立派な指揮艦になるな」ウンウン

あきつ丸「い、いえ……自分はまだまだであります……」ワタワタ

五十鈴「あら?提督は海軍より陸軍が良いんですか?」

提督「おいおい、冗談でもやめてくれよ。折角ここまでたどり着いたんだから今更動けるわけないだろ」アハハ

五十鈴「そうよね!」アハハ

提督「さて、折角だし三人で飯に行くぞー!」

五十鈴「賛成!」

あきつ丸「……」

提督「……? あきつ丸?」

あきつ丸「はっ……あ、いえ、お供するであります!」

………


-工廠-

あきつ丸「これが、私でありますか……!?」キラキラ

提督「おー将校服か。似合ってるぞ、あきつ丸」

あきつ丸「あ、ありがとうであります……」

五十鈴「これで対戦装備ができるわね。早速明日からやるわよ!」

あきつ丸「は、はっ!よろしくであります」


まるゆ「あ、あきつ丸さん!」タタタタ

木曽「ん?あれは……陸軍の奴か?」

球磨「格好いいクマー!木曽のマントといい勝負クマ!」

木曽「お、おいおい……」

まるゆ「すごーい!まるゆは相変わらずで……」ショボン


ン?アレハダレデス? アキツマルサンデス
ウソ!? マジ?  カッコウイイデース!
ヤイノヤイノ

あきつ丸「あはは……」チラ

提督「――」

五十鈴「―――……」


ゴニョゴニョ


あきつ丸「……」

『―――』

『―――!』

『――!』

あきつ丸『……やめるであります』

『―――やっぱりあいつは海の連中だ』

『陸軍に女は要らないんだよ!!』


あきつ丸「っ止めろ!!」


ガバッ


あきつ丸「……はぁ……はぁ」

あきつ丸「……」

提督『正直陸軍に返すのが惜しいくらいだよ』

あきつ丸「……」

提督『将来は立派な指揮艦になるな』

あきつ丸「……自分は要らなくなんかないのであります」ギリ

-執務室-


PC


提督「……」カタカタ

提督「……!」

提督「……」カタカタカタカタ

提督「ふう……」


提督「……」

-執務室-


あきつ丸「……」

まるゆ「すみませーん!遅れました!」

提督「大丈夫、時間ぴったりだよ」ニコ

提督「さて、昨晩陸軍より知らせがあった」

あきつ丸「……陸軍からでありますか?」

提督「あぁ……内容は貴艦らの帰任についてだ」

あきつ丸「!」

まるゆ「!」

提督「現在陸軍が進めている、深海棲艦の協力者に対する作戦に貴艦らを参加させたいとの事だそうだ」

あきつ丸「しかし、本来はまだもう少しこちらで訓練するはずでありますが」

提督「事情が変わったのだろうな。お前たちの所属が陸軍である以上俺は何も言えない」

あきつ丸「そんな……」

提督「しかし、貴艦たちは私たちの予想を超えて成長した。もう陸軍に戻っても十分に働けるはずだ」

あきつ丸「……」

提督「陸軍の迎えが来るのは2日後だ。ささやかではあるが送別会の用意もしている」

提督「名残惜しいが……二人とも、元気でな。今までありがとう」フカブカ

まるゆ「いえ!こちらこそ!」ペコリ

あきつ丸「……」

-あきつ丸の部屋-

あきつ丸「陸軍……やっと帰れるのであります」

あきつ丸「……でもなぜこんなに悲しいのでありますか」

あきつ丸「……」

あきつ丸「提督殿は自分を必要だとおっしゃられたのであります」





あきつ丸「……」

あきつ丸「自分が……」

-大広間-


提督「えーそれでは、あきつ丸、まるゆ両名のこれからの活躍と、陸軍の作戦の成功を祈願して」

提督「乾杯!」

「「「「「「乾杯!」」」」」」

ワハハ ヒャッハーサケダー
キブンガコウヨウシマス 

提督「よう、二人とも飲んでいるか?」

あきつ丸「はっ、大変おいしく頂いているのであります」ニコ

まるゆ「まるゆはお酒飲めないよ―!」

木曽「おい、もぐら!お前こっちで飲もうぜー」

まるゆ「あー……! 助けてー!」ズルズル

提督「ふふ……みんな楽しんでいるようで何よりだ。あきつ丸も誰かと飲んだらどうだ?」

あきつ丸「いえ、自分はこうして考え事をしながら飲むのが好きなのであります」

提督「ほう、やっぱり陸軍のみんなのことを思い出しているのか?」

あきつ丸「……その通りであります」ニコ

提督「あー分かる分かる。やっぱり久しぶりに友人に会うと嬉しいもんな」ウンウン

提督「俺もこの前―――」


あきつ丸「……」ニコニコ

-廊下-

提督「うええ……ちょっと飲みすぎたか」ヨロヨロ

提督「早く部屋に戻って寝たい……」フラフラ

提督「しかし、あの二人が帰る、か……」

提督「短い間だったが、いい思い出だったな」

提督「そしてこれを機に、陸軍と海軍が連携できればいいんだが……」



「提督殿」


提督「ん?」


ガツン!


提督「うっ……」


ドサ


「…………」

提督「う……痛……」ムクリ

あきつ丸「提督殿、目が覚めたでありますか」

提督「あきつ丸!一体何があったんだ」

あきつ丸「……自分はもともと陸軍では必要とされなかった存在なのであります」

あきつ丸「自分が女であること、そして海軍を想像させる艦娘と言うことで馬鹿にされてきたのであります」

あきつ丸「自分が海軍に出向したのは、上官の命令もそうですが、連中を見返したかったのです」

提督「……なにを言っているんだ?」

あきつ丸「そして提督殿のご存知の通り、自分は強くなりました」

あきつ丸「ですが、自分はまだまだ弱いのであります。陸軍に戻ることでまたあの日々が訪れると思うと胸が苦しいのです」

あきつ丸「しかし昨日、この胸の苦しさの原因はそれだけでは無かったことに気付いたのであります」

あきつ丸「提督殿、原因はあなたであります」

提督「俺……?」

あきつ丸「先ほど言った通り、自分は陸軍では必要な存在ではないのであります」

あきつ丸「しかし提督殿は以前、私が必要だとおっしゃった」

あきつ丸「自分は、自分を必要としてくれる人の為に働きたい」

あきつ丸「一時は自分が海軍に入れば良いのではと考えたのでありますが、いかんせん自分は陸軍が作った艦娘、海軍では使い物になりません」

あきつ丸「今は陸軍からの出向と言う立場なため、提督殿のおそばにいることができますが、海軍に転向すればそれは無理なのであります」

あきつ丸「悔しいですが、海軍の艦娘はみんな魅力的な娘でありますから」

あきつ丸「だから、提督殿を陸軍側に連れて行くのであります」

提督「……なんだって?」

あきつ丸「今陸軍に居る艦娘は自分とまるゆのみであります」

あきつ丸「ですのでまるゆにさえ気づかれなければ提督はずっと自分の物なのであります」

提督「ふざけるな……!ここから出せ!」ゴトンゴトン

あきつ丸「無駄なのであります。提督殿は今、既に陸軍のトラックの中に居るのであります」

提督「!!」

あきつ丸「もうすぐ出立する時間。それさえ過ぎれば提督殿は鎮守府を離れるのであります」

-鎮守府入口-

ガヤガヤ

加賀「提督、遅いですね」

五十鈴「もうすぐ二人とも行っちゃうってのに、何やってるのかしら」

木曽「あいつがあんなに冷徹だとは思わなかったぜ」フウ


あきつ丸「お待たせしたのであります」

木曽「お、主役がそろったな!」

五十鈴「ねえあきつ丸、あなた提督を見なかった?」

あきつ丸「いえ、自分は見ていないのであります」

五十鈴「ふーん……もういいわ。始めちゃいましょ!」

―――――

―――



「それじゃそろそろ出発します」

「そちらの提督によろしく伝えてください」

加賀「ええ、必ず伝えるわ」



ブロロロロ


ジャアネー! マタキテネー! バイバーイ!


あきつ丸「……ふふふ」

まるゆ「? どうしたの?」

あきつ丸「いえ、なんでもないのであります」


提督殿が今、自分を拒絶しているのは分かった居るのであります
しかし、いつか提督殿が自分だけを必要とし、自分だけに無償の愛を注いでくれる時が来る
そう考えると顔がニヤけるのは抑えられないのであります

あきつ丸ルート おわり
相変わらずヤンデレっぽくないのは勘弁

>>103 ばっちり洗脳 大井

※ 本編>>33より分岐するため、一部設定を引き継いでいます


-執務室-

提督「執務室は大丈夫みたいだな」

提督「よし、今のうちにこれらの資料を……」




―――

―――――

ヒトキュウマルマル


提督「結局原因につながりそうなものは何も見つからなかった……」

提督「……もうこんな時間か。そういえば今日何も食べてないんだっけ」グゥー

提督「……外に出たくないな」


千歳が居るかもしれないし


提督「……」グウー


空腹には勝てないな




ガチャ バタン

吹雪さんがみたいです

浜風か蒼龍を

-食堂-

提督「……ここも荒れているのか」キョロキョロ

提督「鳳翔さんも居ないし、一体どうなっているんだ」ハァ

??「あ、提督」

提督「ん?北上か。どうしたんだ?」

北上「あたしと大井っちの晩御飯をねー。提督は?」

提督「俺も晩飯をと思ったんだけど、鳳翔さんが居ないからどうしようかと考えていたところだ」

北上「あー……確かに。しょうがないからあたしは自分で作ってるよー」

提督「自炊か……学生時代以来だしもうできないかもな。まぁしょうがない、何か作るとでもするか」アハハ

北上「んー……よかったらあたしたちと一緒に食べる?」

提督「え?良いのか?」

北上「良いって良いって、二人も三人も変わらないからさ」

提督「んじゃお言葉に甘えることにするよ。そういえば昼も大井にご飯を運んでたよな。具合でも悪いのか?」

北上「ん、ある意味ねー。それじゃぱぱっと作るからちょっと待っててねー」

提督「……結局カレーか」

北上「作るの簡単だしねー。それに提督も好きでしょ?」

提督「まぁな」

北上「あーだめだめ、ちゃんと好きって言わないとカレーあげないよー?」

提督「なんでだよ……カレーは好きだ」

北上「良いねぇ痺れるねぇ♪」

提督「……訳が分からない」



提督「ん、ここだっけか」

北上「あ、そうか。提督、ちょっとタンマ」

提督「ん?なんで?」

北上「提督が入る前に大井っちの準備しないとねー」

提督「ん?あぁ、具合が悪いんだっけか」

北上「そうそう、すぐ済むからちょっと待ってねー」


ガチャ バタン

北上「……具合が悪いかー」

北上「提督のことが嫌いなんてある意味病気よねぇ」ニヒヒ

大井「……」

北上「大井っちー、提督が来たから一旦これ外すね」


カチャカチャ


大井「ハァ……ハァ……北上さん……北上さん……」

北上「んー、まだ足りなかったかー……ま、良いか」

北上「それじゃ提督を呼んでくるからおとなしくしててねー」


ガチャ バタン


大井「……北上さん」

北上「お待たせ―」

提督「お、もう良いのか?」

北上「うん、大井っちも本調子じゃないけど大丈夫みたいだし」

提督「そっか、じゃあお邪魔するよ」


ガチャ

??「提督、こちらにいらしたんですね」

提督「! 千歳……!」

千歳「今度はその女なんですか?もう……しょうがないですね」ユラユラ

提督「まずい!北上、一旦逃げるぞ!」

北上「んーなんで?」

提督「なんでって……見れば分かるだろ、今の千歳はおかしい!」

北上「あたしを誰だと思ってんの?重雷装艦の北上さまだよ?それに中に大井っちも居るし、負けるわけないじゃん」

北上「ほらほら、提督は早く中に入って。大井っちー敵だよー?」

提督「北上……お前、敵って……!」

北上「はいはい、分かったから入った入ったー」グイグイ

オオイッチー

大井(北上さんが呼んでいる……助けに行かないと)ユラリ

提督「! 大井……お前大丈夫なのか?」


キュン


大井(! 何今の……?)

提督「具合が悪かったら行かなくても良いんだぞ?」


キュン


大井(気持ち悪い……提督の声に頭の中を引っ掻き回されているみたい……)ウプッ

大井「」ヨロッ

提督「! 大井!」ガシッ


キュンキュンキュン


大井「っ! 触らないで!」パシッ

提督「っ……すまん」

大井「……」キッ


スタスタスタ

バタン


大井「……」

大井(うぇ……まだ頭が犯されているみたいだわ……)

大井「どうしてこんな目に合わなきゃいけないのよ……」


『大井』

キュン


大井(うっ!声が……!)


『大井!』

キュンキュン


大井(気持ち悪いわ……誰かこれを止めて……)


『大井』

キュン


大井(……?)

『大井』

キュン


大井(おかしい……なんだかだんだん声がすっと入ってくるようになったわ……)

大井(北上さんから変なことをされたからかしら……)


『大井』

キュン


大井(! あれだけあった気持ち悪さがない……それどころか、心地いい……!?)


『大井』

キュン


大井(嘘よ……こんなことありえないわ!私には北上さんが!北上さんしか!)


『大井』


大井「」プツン

『大井』

『大井』

『大井』


大井「……」

大井(気持ちいい……まるで体がゆっくりと溶けていくみたいだわ……)


北上「大井っち?」

大井「!」

北上「どしたの?まさか本当に具合悪いの?」

大井「いいえっ大丈夫だわ」


『おおい』


大井「!」

大井(さっきより声が小さい……!)

北上「早く倒してさー、提督とカレー食べようよー」アハハ


『ぉぉぃ』


大井(間違いない……声がだんだん小さく……)

北上「いたた!流石にまずいかも……?」


『ぉ…ぃ』


大井(まさか、このまま聞こえなくなるんじゃ!)

北上「早く大井っちも早く攻撃してよー!」


『……ぃ』


大井(嫌っ!北かみさんやめて!声をけさないで!)

北上「大井っち、聞いてるの!?」


『……』

北上「大井っち!」


『………』


大井(いやぁぁぁああああああぁああああああぁっぁあああ!!!!!)

ドゴーン


提督「うお!今のは何だ!?」


ガチャ


北上「あはは……さすがにきつかったかな?」

大井「……」

提督「大井!北上!千歳はどうなったんだ!」

北上「殺したよー、こっちに攻撃してきたからねー」

提督「殺したってお前!」


大井「……」


『大井!』

キュン


大井(あぁ……提督の声……♪)

大井「北上さん」

北上「ん?大井っち―――」クルッ


ドン!


北上「!」


北上が大井の方向を向いた瞬間、大井によって部屋の外に突き飛ばされた


北上「え……?」

提督「な……!」

大井「……」


バタン カチャカチャ カチン
ドンドンドン!


北上「大井っち!なんで?開けてよー!」ドンドンドンドン

大井「ごめんなさい、北上さん。私、提督を独り占めしたくなっちゃった♪」

北上「!」

大井「元はと言えば北上さんの性ですからね。私を拘束して、四六時中提督の声を聴かせるなんて」

提督「!?」

北上「あれは、みんなで楽しもうと……!」

大井「ええ、知ってるわ。でもやっぱり欲しいものは独り占めしたいじゃない♪」

北上「……くっ!」チャキ

大井「扉は壊さない方が良いわ。扉の前に酸素魚雷を置いたから」

北上「!」


もちろんはったりだ
扉の前にそんなものを置いてはいない
最も今は、だけど


大井「ぎりぎりで置いたからちょっとでも弾が扉に当たったら爆発するわ」

提督「北上!おお―――むぐっ!」

大井「提督、変なこと言ったら殺しますからね?」


もちろんこれもはったりだ

外からは北上さんの声が聞こえるが扉を叩く音は止まった
そりゃそうよね
北上さんも提督が大好きなんだから、死なせたくなんかないわよね♪


提督「……!」ムグムグ

大井「さて、提督?」スッ

提督「ぷはっ……おお―――!」

チュッ

大井「んっ……レロォ、んふう……ぅんっ……」


提督が何かを言う前に再び口を塞いだ
先ほどとは違い、塞いだものは大井の唇である


大井「あふ……ペチュ、チュ……んはぁ♪」

提督「はぁ……っ、な……なななな……」ガクガク

大井「ふふ……私とのキスの味はどうでしたか、提督?」

提督「大井……こんなことするなんてどうかしてる!」

大井「はい、私はさきほど提督の声を聴いたときから既にどうかしています♪」

提督「な……」アワアワ


大井(あぁ……怒った提督の声も、驚いた提督の声も素敵です♪)

大井(笑い声に、泣き声、震え声、叫び声に唸り声♪後は……! あえぎ声もあるわね♪)

大井(うふふ♪楽しみだわ♪)


提督「……」ガクガク

大井「ねぇ、提督?」

提督「っ!」ビックゥ!

大井「これからはもっと、もーっと私に声を聞かせてくださいね♪」



部屋の外からはノイズがけたたましく鳴り響いている

ばっちり洗脳された大井 おわり
ぎりぎりまで迷ったけど一応個人ルートなので3Pじゃない方向にしました

3Pはまた別のタイミングにします。内容はあんまり変わらないかもしれませんが

>>104 島風

島風「提督、おっそーい!」

提督「はぁ……はぁ……島風……早すぎ……ゲホッ」

島風「にひひっ、やっぱり私が一番よね!だって速いもん!」

提督「……まったく、走るんだったらもっと他の娘が居るだろ。天津風とか夕立とか……」

島風「だって皆に聞いても、今忙しいからって断られるんだもん!」

提督「……俺も忙しいんだけど」

島風「提督は良いの!さ、もう一回走ろう?」

提督「おいおい、これ以上走ると仕事が……」

島風「……走ってくれないの?」ショボン

提督「……あーもう!後一回だけだぞ!」

島風「うん!提督、大好き!」

………

提督「もうだめ……走れない……」ガクッ

島風「あはは……ちょっと走りすぎたかな?」

提督「もう遅いし夕飯にしよう、な?」

島風「はーい」タッタッタッタ

提督「まだ走れるのか……」ヨタヨタ


クルッ


島風「提督ー!遅いよー!」

提督「ちょ、ちょっと待って……」

-廊下-

島風「でねー、連装砲ちゃんと連装砲がね?」

提督「うんうん」


ワイワイ


??「……」ニヤリ


島風「だから天津風ちゃんと仲がいいんだよ!」

提督「へー」

??「ぴょん!!」

島風「おうっ!?」ビク

提督「うわっ!!」ビクッ

卯月「やーい、引っかかったぴょーん!」スタコラ

提督「待て!卯月!……っ、足が……」

卯月「こっこまでおいでぴょーん!」

提督「くそ……毎回毎回……後で覚えてろよ……」

島風「提督、大丈夫?」

提督「あぁ……巻き込んでしまって悪かった。卯月には後できつく言っておくよ」

提督「それじゃ行くか」


島風「……!」ピコーン

翌朝

提督「あー眠い……書類の性で結局眠れなかった……」

島風「……」ジッ

提督「今日はちゃんと日中の間に終わらせないと……ふわあぁ」

島風「おうっ!!」ワッ

提督「うおおっ!?」ビクッ

島風「提督、びっくりした!?」

提督「島風か……卯月の真似はやめなさい。心臓が止まるかと思ったぞ」

島風「えへへー」ニコニコ

提督「はぁ……食堂に行くか?」

島風「うん!」

-食堂-

天津風「二人ともおはよう。隣、失礼してもいい?」

提督「あぁ良いぞ」モグモグ

島風「ねえ提督、今日も走らない?気持ちいいよ!」

提督「今日は無理。実は昨日長門に仕事サボって走ってたことを怒られてさ。終わるまで寝させてくれなかったんだ……」モグモグ

天津風「うわぁ、それは酷いわね……」パク

提督「だから今日はできるだけ早く仕事を終わらせて寝たいんだ……」

天津風「そう……島風、今日は提督を付きあわせるのは止めなさい」

島風「はーい……じゃあ天津風ちゃん、一緒に走ろう?」

天津風「うっ、やっぱりそう来るのね……」



卯月「うー……弥生に怒られたぴょん……」グスグス

弥生「自己責任……」モグモグ

大和希望

島風「それじゃ提督、行ってくるね!天津風ちゃん行こ!」

天津風「付き合わないって言ったのに…あぁ……もう!」


タッタッタッタ


提督「ほどほどにしろよー」テフリフリ

提督「……よしっ」


……


フタマルマルマル


提督「だぁー!ダメだ、終わんねえ!」

長門「口を動かす暇があったら手を動かせ!」カリカリカリ

提督「はい……」カキカキ

翌朝

-食堂-


提督「……」ヤツレ

天津風「……あなた、本当に大丈夫なの?」

提督「ダイジョブダイジョブ……」モグモグ

島風「ねーねー提督ー、今日は一緒に走れる?」キラキラ

天津風「島風、あなたね……」

提督「ごめん……また明日にして……」

島風「えー……じゃあ天津風ちゃん今日も走ろう?」

天津風「えっ、さすがに二日連続はちょっと……」

島風「大丈夫だって!走ると疲れも取れちゃうんだから!」

提督「……」モグモグ

-廊下-

天津風「はぁ……結局今日もなのね……」

島風「あ、私ちょっとトイレに行ってくるね!外で待ってて!」タタタタ

天津風「はいはい……その間に逃げようかしら」トコトコ


……


島風「トイレ―トイレ―♪」タッタッタッタ

提督「……」ヨタヨタ

島風「あ、提督だ」

島風「!」ピコ-ン


島風「……」コソコソ

提督「……」ヨタヨタ

島風「おうっ!!」ワッ

提督「……おう、島風か」

島風「あれ?」

提督「すまん、今驚く気力もないんだ。また後でな」


ヨタヨタ


島風「」ボーゼン


……


天津風「お帰り、島風」

島風「……」

天津風「……島風?」

島風「提督が驚いてくれなかった……」

天津風「……? よく分からないけど今の彼は疲れているの。放っておいた方が良いわ。さ、行きましょ」

島風「……」

……


-執務室-

提督「お、終わった……」

長門「ふっ、よくやった」

提督「今日こそゆっくりと眠れる」

長門「あぁ、私も部屋で休ませてもらうぞ」

提督「……また明日」

長門「あぁ、また明日」


ガチャ バタン


提督「……」


ドサッ


提督「」Zzz

翌朝

-食堂-


島風「提督、今日は走ってくれるの!?」

提督「あぁ、今日から大丈夫だぞ。ただし、島風が何と言おうと俺は早く切り上げるからな」モグモグ

島風「うん!」

天津風「これでやっと解放されるのね……」モグモグ

提督「……お疲れ、天津風」

島風「~♪」モグモグ

-廊下-


提督「それじゃあ早速行くか」

島風「うん!……あっ提督、ちょっと外で待ってて」

提督「? 分かった」


スタスタスタ


島風「……」


……


提督「……」ボー

島風「……」ジリジリ


島風「おうっ!!」ワッ

提督「うひああ!?……っ島風!!」ビクッ

島風「えへへー♪」

………


島風「提督おっそーい!」タッタッタッタ

提督「はぁ、はぁ……いや、だからもう少しゆっくりだな……ん?」チラ


時計(ヒトフタマルマル)


提督「ん、もうお昼か。島風―!」

島風「! どうしたのー提督ー?」ピタッ

提督「俺、そろそろ仕事に戻るよ」

島風「えー!もっと走ろうよー!?」

提督「さっきも言ったけど、これ以上走るとまた徹夜で仕事する羽目になるんだ。そうしたら明日走れなくなるぞ?」

島風「それも嫌!うー……」

提督「また明日走れるんだから、な?良いだろ?」ナデナデ

島風「絶対だよ!約束だからね!?」

提督「あぁ、約束だ」

-執務室-


提督「さて、始めるのが遅れた分取り戻さないとな」

長門「まったく……いつまで島風に付き合っているつもりだ」カリカリ

提督「別に良いだろ……こうしてちゃんと仕事してる訳だし」カキカキ

長門「昨日からだがな」

提督「……」

長門「……まったく、偶には私に付き合ってくれてもいいじゃないか」ボソ

提督「なんか言った?」

長門「なんでもない!ほら、早く手を動かす!」

提督「はいはい」


……


提督「うん、今日はこれくらいでいいかな」

長門「ああ、それじゃ私は戻る。……おやすみ」

提督「おやすみ、長門」

数日後

-食堂-


島風「提督!今日もこの後、外で待ち合わせね?」

天津風「島風、あなた聞いてなかったの?今日から第一艦隊が作戦に参加するからこの後出立式をするのよ?」モグモグ

提督「ああ、今回は近隣の鎮守府が合同に行う大規模な作戦だからな。当然長い間居なくなるわけだ。だからここを出る前に少しでも士気を上げたいんだ」

島風「えー……じゃあその後でね!」

提督「それなら大丈夫だ。と言ってもいつもより早く切り上げるけどな」

島風「え、どうして?」

提督「第一艦隊が出ると言うことは秘書艦の長門も出る。いくら代わりの秘書艦をつけるとは言っても今までどおりは進まないだろうから、ちょっとでも時間を掛けないと」

島風「ふーん……代わりの秘書艦ってもう決まったの?」

提督「いや、何人かに絞っては居るけどなんだかんだみんな忙しそうだからね。決められないんだ」アハハ

島風「! はい!はい!私が秘書艦やる!」

天津風「ちょっ、島風!?あなた大丈夫なの?」

島風「だって、私が秘書艦だったら走った後もずっと提督に居られるし!」

提督「あはは……じゃあ任せようかな。そのかわり、ちゃんと仕事しなきゃだめだからな?」

島風「やった!」

天津風「えー……これでいいのかしら……」

-大広間-

……


鳳翔「それではこれで出立式を終了します。第一艦隊のみなさんは明日出立ですので今日は無理をしないでくださいね」

鳳翔「それでは、解散!」


ガヤガヤ


提督「長門」

長門「ん、なんだ?」

提督「ちょっと鎮守府の裏に来てくれないか」

長門「? 何か話があるなら今言ってくれても良いんだが」

提督「……真面目な話なんだ」

長門「お、おう。分かった」

島風「あれー?提督どこ行ったんだろう……この後走る約束なのに」


提督「―――」

長門「―――」


島風「あ、提督、と長門さんだ」


提督「―――」

長門「―――」

スタスタスタ


島風「あれ、どこか行くのかな?……ついて行っても良いよね?」


コソコソ

-鎮守府裏-


長門「で、話とはなんだ」

提督「……」

長門「ここまで来たんだ。だんまりは無しだぞ」

提督「……」

長門「はぁ……私はこれから仕事の引き継ぎも含めて準備しなきゃいけないんだ。話さないんだったら帰るぞ」クルッ

提督「ま、待ってくれ。今話すから」

長門「じゃあ手短に話せ」クルッ

提督「スゥー……ハァー……長門、俺は……」

長門「……」

提督「俺は!―――」

島風「こっちの方向だよね?」コソコソ

島風「あ、居た」


提督「―――」

長門「―――」


島風「何話してるんだろう。ここからじゃ聞こえないよー……」ウー


提督「―――」

長門「―――」


島風「もうちょっと、もうちょっとで聞こえそう……」ソーッ

提督「―――俺は!」

島風「ひゃあ!」ビク


パキ

提督「!」

島風「あ」

提督「島風!……もしかして聞いていたのか?」

島風「う、ううん!聞いてないよ!」

提督「そ、そうか」ホッ

長門「……で、話はなんだ?」

提督「え、えっと……長門が居ない間の、その……秘書艦を言い忘れたのを思い出してだな」

島風「!」

長門「なんだそんなことか。で、誰なんだ?」

提督「あー……それが島風にしようと思っているんだ」

長門「……ふむ。ちょっと心配だが、少しの間だ。まあ良いだろう」

島風「本当!?やった!」

長門「ただし、秘書艦は大変だぞ?疲れたなどとは言えないからな」

島風「大丈夫!だって、私速いもん!」

長門「そうか、なら心配ないな」ハハハ

提督「ははは……はぁ」

翌日


長門「では行ってくる。島風、ちゃんと仕事をこなすんだぞ?」

島風「昨日仕事教わったし大丈夫だよ!」

長門「ふふ……、第一戦隊、出撃するぞ!」


イッテラッシャーイ ショウカクネー 


提督「結局言えなかった……」ハァ

島風「提督!」

提督「……ん?」

島風「なんか暗いよー?忘れるために今日も走る?」

提督「……そうだな。でも少しだけだぞ?」

島風「うん!」


天津風「……ただ走りたいだけじゃ」

島風「提督!艦隊がやっと帰投したよ!おっそーい!」

提督「そんなこと言うんじゃない。ほら、出迎えるぞ」


……


島風「この書類どうすれば良いのー?」

提督「それはだな……」


……


島風「提督!休憩代わりに走らない?」

提督「馬鹿、今走ったら徹夜だぞ。明日にしなさい」


……



島風「えへへー、やっぱり提督と一緒だと楽しいなー♪」

数日後

-執務室-


島風「提督―!お昼持ってきたよー!」

提督「……はい、はい……分かりました」

島風「……」

提督「いえ……覚悟はしていますので……はい、失礼します」


ガチャン


提督「……」

島風「提督?」

提督「……長門が、沈んだそうだ」

島風「!」

提督「他の艦隊の奴をかばって、そのまま……そのままっ……!」

島風「提督……」

提督「……すまん、ちょっと一人にさせてくれ」

島風「でも……」

提督「大丈夫だ……ちょっと、考え事をするだけだから」

島風「うん、分かった……」


ガチャバタン


提督「……ああああああああああああああ!!!」

提督「なんでだよ!なんで長門が!ひっく……畜生!」ドン

提督「指輪だって……長門が帰ってきたら渡すつもりだったのに!」

提督「渡すつもりだったのに……」


……


島風「……」

長門轟沈の話は瞬く間に広まった
艦娘の間では少なからず動揺が走ったものの、時間が経つにつれ次第に沈静化していった。
空いた秘書艦にはこれまでの実績を考えて、引き続き島風が担うことになった


島風「提督ー!近くの鎮守府から通信が来てるよ!」

提督「ん、こっちに繋いでくれ」


長門轟沈の余波が一番ひどかったのは提督だった
最初はまともに仕事ができないレベルで、一時は島風だけで切り盛りしていた時期もあった
今は、少なくとも表面上は落ち着きを取り戻している


提督「演習の申し込みだったよ。明日の朝、こっちに来るんだってさ」

島風「じゃあちゃんとお出迎えしないといけないね!」

提督「そうだな。……ふぅ」ノビー

島風「提督、お仕事終わったの?」

提督「ああ、緊急の用件が入ってこなければ今日はこれで終わりかな」

島風「! じゃあ久しぶりに走らない?」

提督「……そういえば最近走っていないな。行くか、島風!」

島風「うん!」

……


島風「忘れ物取りに行ってたら遅れちゃった。えっほっ、えっほっ」タッタッタッタ

島風「あ」

提督「いち、に、さん、し。にーに、さん、し」ギュッギュッ

島風「……!」ピコ-ン



提督「さん、に、さん、し……と」グルグル

島風「おうっ!!」ワッ

提督「おひょう!?」ビクッ

島風「提督、お待たせ!」

提督「……島風、俺の寿命が縮まるから静かに来なさい」ナデナデ

島風「にへへー♪」

タッタッタッタッタ


島風「提督」

提督「ん?」

島風「私、提督の役に立ててる?」

提督「? もちろんだ」

島風「私ね、あの時提督に秘書艦になってくれって言われた時嬉しかったんだ」

島風「私にも長門さんの代わりになれるんだって。提督の、お役にたてるんだって」

提督「……」

島風「ねえ、提督」

島風「私、提督の一番になれる?提督は私の一番だけど、私も提督の一番になりたいの!」

提督「……そうだな。俺もそろそろ前を向かないといけないのかもしれないな」

提督「島風、これからもよろしく頼む」

島風「うん!任せといて!」


タッタッタッタッタッタ

タッタッタッタ


島風「……」

島風(えへへー私が提督の一番♪)


タッタッタッタ


提督「え、ちょっとさっきよりペース速くない?」


ピタッ


島風「提督、おっそーい!」

島風(私が、提督の一番なんだから♪)

………


島風「提督、今日のお仕事終わった?」

提督「ああ、やるべきことは済んだしもうないかな」

島風「だったら今日は―――」


ピルルルル ガチャ


提督「はい、こちら鎮守府」

提督「はい……はい……なんだって!」

島風「?」

提督「分かりました。ただちに向かいます。はい、それでは。はい」


ガチャン


島風「なにかあったの?」

提督「ここの近海で民間船が深海棲艦に襲われているそうだ」

島風「……」

提督「民間人を見捨てるわけにはいかない。島風、出撃の準備だ」

島風「えー……他の娘じゃダメなの?」

提督「今ここには第一艦隊しか居ないんだ。俺らが助けないで誰が彼らを助けるんだ」

島風「……はーい」

提督「何か用事があったのならすまん。ただ、今は民間人の救助が一番重要なんだ。分かってほしい」

島風「うん……じゃあ行ってくるね」


ガチャ バタン


島風「……一番」

……

ガチャ バタン


島風「島風、帰投しました」

提督「お、お帰り。大丈夫だったか?」

島風「うん。相手はあんまり強くなかったし、こっちに被害はなかったよ」

提督「いや、そうじゃなくて民間人の方」

島風「……ちょっとだけ当たったみたいだけど大丈夫だったよ」

提督「そうか……よかった。うん、まあ島風も無事に帰ってきて良かったよ」

島風「……」

提督「それに用事があったのに出撃させてすまん。大事な用事だったら俺も一緒に謝りに行くけど」

島風「ううん、提督と走ることだったから大丈夫」

提督「お、そうだったのか。……明日は走ろうな」

島風「! うん!」

翌日

-執務室-


提督「何で今日に限ってこんなに仕事があるんだ……まるで盆と正月が一緒に来たみたいだぞ……」カキカキ

島風「提督」

提督「島風、ごめん。俺、今日はちょっと走れないかも。もしなんだったら天津風あたりと走ってきたらどうだ?」

島風「……ううん、私は大丈夫だもん!」カリカリ

提督「本当にすまん。今回ばかりは仕事を第一にしないと以前のように徹夜コースだからな……はい、この文書はOK」スッ

島風「……」

提督「島風?」

島風「……あ、うん!後は私がやるね!」



島風(……仕事が一番)

深夜

-外-


島風「……」


バサァ

カチッ ボウッ メラメラ


島風「仕事が第一。提督はそう言ってた」

島風「提督の一番を奪うのは許さないよ」

島風「だって、私が提督の一番なんだもん」


島風は目の前のたき火を見ながら静かに呟いた
たき火の端、燃えかすの部分には、辛うじて明日の遠征のメンバーが書いてあるのを見える


メラメラ


島風「……ふふ」

明日の朝が待ちきれない

翌朝

-執務室-


提督「……おかしい。仕事がほとんどない」


提督がおかしいと思うのも当然である
普段なら机の上からなだれ落ちそうなぐらい書類が積まれている
しかし、今日に限っては書類が数枚あるだけで、他に何もなかった


提督「こんなことってあるのか……いや、可能性は……」ウーン

島風「……」ニコニコ

提督「……考えても仕方ないか。とりあえずある分だけは済ませないと」

島風「終わったらずっと一緒に居てくれる?」

提督「うん、良いけどこんなに書類が少ないと午後からどっさり来そうで怖いから一応ここで待機ね」

島風「はーい♪」

提督「じゃあ今日の書類一枚目は……と。……また演習か」

……


提督「午前中に仕事が終わるとかここに着任してから初めてだ……」

島風「じゃあ午後はずっと遊べるね!」

提督「そうだな。部屋の中だからあんまりうるさいのは無理だけど」

島風「じゃあねートランプ!」

提督「トランプかー。二人でできるのって何かあったっけ」

島風「だったら天津風ちゃんも呼ぼうよ!」


ガチャ バタン

天津風「はぁ、はぁ……」

島風「あ、天津風ちゃん。今ちょうど―――」

天津風「……ちょっと良いかしら」グイ

提督「俺?」

島風「! じゃあ私も―――」

天津風「島風は来なくていいわ。今は提督に用があるの」

提督「それって重要なことなのか?」

天津風「場合によってはね。ついてきて」

提督「……分かった。島風、何かあるかもしれないしここで待機してくれ」

島風「……」


島風「……私より天津風ちゃんの方が大事なの?」

提督「え?」

島風「ううん、なんでもない。早く帰ってきてね」

提督「あぁ……なるべく早く戻ってくるよ」

天津風「……行きましょ」


ガチャ バタン


島風「……」

……

ガチャ バタン


島風「あ、提督!戻ってくるの遅いよ!」

提督「……」

島風「天津風ちゃんは?トランプやらないの?」

提督「……島風、ちょっと今は一人にさせてくれ」

島風「え……?これから一緒に遊んでくれるんじゃないの?」

提督「すまん、ちょっとこれから仕事をしないといけないんだ」

島風「仕事って……さっき終わったって言ったじゃん!だから私と―――」

提督「島風!」

島風「っ」ビクッ

提督「何があったかは言えない。でも天津風の話は俺にとって重要なことだった。だからしばらく一人で考えたい。分かってくれ、島風」

島風「……っ」

タッタッタッタ

-天津風の部屋-

バァン!


島風「天津風ちゃん!」

天津風「っ!島風!」

島風「提督に何を言ったの!?教えてよ!」

天津風「……ごめん、私からは言えないわ」

島風「なんで!?私は提督の秘書艦なんだよ?私が知っても良いじゃん!」

天津風「……島風、提督には提督なりに色々と考えているの。いくら秘書艦でも知られたくないことだってあるわ」

島風「……でも!」

天津風「いい?島風、あなたは提督の秘書艦なんだから少しは彼を信じなさい」

島風「……うん」


ガチャ バタン


島風「天津風ちゃん……提督に何を言ったの?」ボソ

ろーちゃんって病むのかな(素朴な疑問)

-執務室-

提督「……」




―――

―――――

-外-

提督『で、話ってなんだ?』

天津風『これを見てくれないかしら』

提督『これは……何かを燃やした跡か? 誰かたき火でもしたのか?』

天津風『そうみたいね。それとあなた、これを見てくれないかしら?』ヒョイ


天津風が提督に見せたもの
それは何かの紙の燃えカスだった
普通の人ならそれを見たところで何なのかは分からないが、提督は一瞬で燃えカスの正体が分かった

提督『これは……書類の燃えカスか?』

天津風『私はそこまでは分からないけど……あなたが言うのならそうなのかもしれないわね』

提督『でもいったい誰が……』

天津風『……考えたくないけど、執務室に自由に出入りできて書類の場所が分かるのって島風くらいじゃないかしら』

提督『!そんな馬鹿な!だってあいつは……』

天津風『何はともあれ、しばらくは書類の場所を厳重にしていた方が良いわ。たとえあの娘じゃなかったとしてもまた燃やされないとも限らないし』

提督『……分かった。天津風、教えてくれてありがとう』


スタスタ


天津風『―――』

―――――

―――




提督「……なんでなんだ、島風」


……

ガチャ バタン


島風「島風、入ります」

提督「お、来たか」

島風「……提督、お仕事は終わったの?」

提督「あぁ、島風にこれをやってもらったら今日は終わりだ。……多分だけど」

島風「?私に?」

提督「あぁ、実は朝に演習云々って言っただろ?そのメンバーが決まったから他の娘に伝えてきてほしいんだ」

島風「?いつものメンバーじゃないの?」

提督「まあ、そうなんだけど一応ね」

島風「……」

提督「それが終わったらそのまま部屋に戻って良いから。よろしくね」

島風「はーい、それじゃ行ってきます」


ガチャ バタン タッタッタッタ……


提督(……いつも通りだったな)

……

深夜


島風「……」コソコソ


ガチャ ガン!


島風「! 鍵が掛かってるの?」


ガン!  ガンガン!!


島風「……」

翌朝

-執務室-


提督「おはよう、島風」

島風「……」

提督「今日は仕事が多いな。やっぱり昨日がおかしいだけだったんだな」アハハ

島風「……」

提督「……」

提督「わっ!!」

島風「っ!」ビク

提督「驚いただろ?偶には俺もやり返さないとな」

島風「……」

提督「何があったか知らないが元気出せ。第一艦隊の旗艦がこんな調子だと他の娘にも影響するぞ?」

島風「……提督」

提督「大丈夫だ、島風は速い。それになんたって俺の秘書艦だからな。今回もきっと勝てる」

島風「!」

提督「元気でたか?もうすぐ時間だ。俺も後で行くから行って来い」

島風「うん!」


ガチャ バタン タタタタ……


島風(『俺の秘書艦』)

島風「……えへへ♪」ニヘラ

-外-


「今回は急な連絡にも関わらず、練習の依頼を引き受けていただきありがとうございます」ペコリ

提督「こちらこそありがとうございます。うちの艦娘達も張り切っていますよ」

「それは何よりで……こちらが今回のメンバー表になります」スッ

提督「どうも。それではこれがこちらの―――っ!」

「どうかなさいましたか?」

提督「あぁ、いえ……そちらの鎮守府、旗艦が長門ですが手に入ったのですか」

「はい!実は最近手に入れた初めての長門級でして。しかもいきなりネームシップだなんて私もう!」

提督「……」

「はっ……すみません。つい興奮してしまいまして……」

提督「いえ、私も長門を手にしたときはあなたの様に喜んだものです」ニコ

「そうでしたか。お互い良い艦に育つと嬉しいですね。お、そろそろ時間ですか。観覧席に向かいましょう」

提督「そうですね」

スタスタ

提督「……」

「それでは、○○鎮守府と××鎮守府の戦闘形式での演習を行う。戦闘開始!」


ワーワーワー

長門「―――」
島風「―――」


提督「……」

「さすが噂に聞こえる提督殿の鎮守府の娘たちですね……私の所は後長門しか残っていませんよ……ハハハ」

提督「いえ、長くやっていれば誰にだったこれくらいには成長します」

「ご謙遜を……特にそちらの旗艦、島風ですがこちらの練度がまだ低いとは言え、長門相手に良くやっていますよ」

提督「……そうですね」

「これが終わりましたら是非とも褒めてあげてください。あ、長門も負けた……」

提督「……」


長門「―――」


提督「……すみません、一つだけお願いがあるのですが」

……

島風「提督ー?どこいったのー?」

「おや、君は提督殿の島風さんかな?」

島風「はい!そうです!」

「提督殿だったらここの鎮守府の裏に居ると思うよ。さっきそこに行くって言っていたから」

島風「! ありがとうございます!」


タッタッタッタ


「……いい娘だなぁ、うちの長門も負けてないけど」

……

ガサッ


提督「こんなところに呼び出してすまないね、長門……今は長門さん、か」

長門「一体どうしたんだ。演習相手の提督が、しかも私を名指しで呼び出すとは」

提督「それについてなんだが……」

長門「わざわざこんな奥まで来たんだ……だんまりは無しだぞ」

提督「……」

長門「はぁ……何もないんだったら私は帰るぞ。帰って仕事しないといけないからな」

提督「……長門、この場所覚えていないか?」

長門「? 何を言っているか分からないが」

提督「この場所、俺と長門があの作戦の前に来た場所だ」

提督「あのころの俺は臆病だった。皆の前では言えなかったから……だから今のようにお前と二人きりになって、それで話そうとしていた」

長門「待て、本当に話が分からないぞ」

提督「今となってはもう叶わないが、言わせてくれ」

提督「長門、俺は!俺はお前が好きだ!」

長門「!?」

提督「初めて会った時から好きだった。愛していた。その凛々しい姿も、時に見せる可愛いところも全部好きだった」

長門「え、お前何を」

提督「長門を秘書艦にしたとき、俺は小躍りしたよ。だってあの長門が俺をサポートしてくれるんだから」

提督「それから俺は、ほとんど長門のことばかり考えていた。仕事中もプライベート中も、ずっとずっとだ」

提督「いつしか練度がマックスになって、本営からケッコンカッコカリの指輪が来たとき……顔が綻ぶのを抑えていたのを覚えているよ」

提督「あの時、長門は仏頂面で怖いぞとか言っていたよな。あれ本当は嬉しいのを悟られたくなかっただけなんだ」

長門「」

提督「そんなここんなあって、やっと……やっと告白するチャンスが来たと言うのに……お前は勝手に逝きやがって」

提督「あの後頑張って忘れるよう努力したよ。でも、でも今日相手側に長門が居ると分かっただけであの頃の思い出が全部甦ってきたんだ……」

長門「……」

提督「その時思ったんだ。俺には長門しか居ないんだって。他の誰がそばに居ても俺の心が満たされることが無いんだって」

提督「だから無理を承知で言う。俺はお前が好きだ。俺と結婚してほしい」

長門「すまない……無理だ」

提督「……ははは。まあこうなることは分かっていたよ」

長門「そこまで言うんだ。きっとお前の長門は幸せだったんだろうな」

提督「……」

長門「私はお前の長門ではない。だからその告白を受け入れることはできない」

長門「だから、もしもう一度お前が新しい長門に出会ったとき、その時は是非彼女に告白してほしい。私もその時は応援する」

提督「……ありがとう」

長門「ふっ、おっと……長居しすぎたか。私は戻る。……またいつか演習しに来るさ。それまでな」

提督「あぁ……またな」

島風「……」

島風(提督は私より長門さんが好き)

島風(と言うことは私は2番?)

島風(でも前、私より天津風ちゃんの方を優先してた)

島風(……3番ってこと?)

島風(そういえば提督は仕事が一番って……)


島風(……)

島風(私は提督の何番なの?)



-執務室-


提督「さて、もう寝るか」


ガチャ バタン


島風「……」

提督「お、島風。どうしたんだ?」

島風「……」

提督「島風?」

島風「……」ポイッ


ゴトン


島風は提督の前に何かを投げた
サッカーボール大のそれはまっすぐ提督の方向へ飛び、そして足元にあたった
天津風の頭だった

提督「!? 天津風!?」

島風「……これで3番だよね?」

提督「島風! お前何を」

島風「次はその書類かな? 長門さんは別の鎮守府に居るから今は無理だもんね……」

提督「島風、説明しろ!何でこんなことをしたんだ!?」

島風「だって、私は提督の一番じゃないんだもん」

提督「!? ちゃんと説明しろ!」

島風「だからね、提督の大事なものを消したら島風が一番になれるでしょ?だから消してるんだ。提督の大事なもの」ニコ

提督「……ふざけるな!だからってこんなこと」

島風「提督、ちょっとどいてね。今からこの書類を消すから」スタスタ

提督「っ!」


ドタドタドタドタ


島風「……」


カチッ ボウッ

-廊下-


提督「はぁ、はぁ……一体何が島風を……」

提督「とにかくここから離れなければ……」


スタスタ


提督「この先が出口だな……ここを出ればとりあえずは何とかなる。それで、夜が明けたら憲兵のところへ―――」




「おうっ!!」ワッ



廊下より誰かが俺を驚かした

島風ルート 終わり
書いてていい話で終わりそうだったので無理矢理方向を捻じ曲げました
なので前二つより長い上に余計な部分が多いです。すみませんでした

それと、個人ルートにはスレタイに関係する会話やエピソードが入ってないですけど良いですよね


>>206
これが本当に病んでるのかどうかは俺も疑問だったりするんですが
こんな感じで良ければどうにかして病ませます

電ちゃんが見たいのです

若葉だ

>>105 那珂ちゃん


何時の時代も軍に対する風当たりは厳しい
特に日本では、以前の戦争で負けた時のトラウマを現在まで持っており、それが深海棲艦への対策を遅らせている
そこで軍は、この状況を打破するためある秘策を打ち出した


那珂「みんなー元気ー!?」


ウオオオオオオオオオオ!!!


那珂「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!みんな今日はよろしくねー!」


アイドルカッコカリ計画
艦娘を軍の宣伝に使い、世間に対する認知度を高めようとする計画らしい
計画の中身といいネーミングセンスといい一体上は何を考えているんだと思ったが……結果は上々のようだ

那珂「それじゃ、一曲目行くよー!」


ワアアアアアアアアアアアアア!!!


ちなみにまだカッコカリなため、アイドルをやっているのは那珂だけだ
そして俺はと言うと、提督業と兼業して彼女のプロデュースを行っている
当然上からの命令だ


那珂「~~~♪」


ッハイ! ッハイ! ウゥゥーッハイ!


しかしやってみるとこれがなかなか面白い
提督業とはまた違うベクトルで物事を考えるため非常に新鮮に感じるのだ
それに、自分がプロデュースした娘がこうして頑張っているのを見てると
子供を持つ親ってこんな感じなんだろうかと親バカみたいな事も思ってしまう


那珂「それじゃ、二曲目行っちゃうよー!」


オオオオオオオオオオ!!

……


那珂「提督ー、おっまたせー!」

提督「ん、今日もお疲れさま」

那珂「今日もいっぱいお客さんが入ってたねー」

提督「そうだね。そろそろここも一杯になるってさっきホールの人が言っていたよ。それもこれも那珂に人望があるおかげだ」ナデナデ

那珂「キャッ……もー、那珂ちゃんはみんなのものなんだから、提督でもそんなに触ったダメなんだよー?」

提督「あはは、そうだな。それじゃそろそろ行くか」

那珂「はーい!」

……

-執務室-


那珂「那珂ちゃんとうちゃーく!」

提督「はいお帰りなさい。明日は昼から撮影だからヒトマルマルマルにここに集合してね」

那珂「はーい!おやすみなさーい!」

提督「うん、おやすみ」ニコ


ガチャ バタン


提督「……さて、と」


カタカタ カキカキ

翌朝

バァン!


那珂「おっはよーございまーす!」

提督「……」Zzz

那珂「あれ?もしかして寝てる?」

那珂「おーい、もうすぐ10時だよー?」ユサユサ

提督「……うんぅ」Zzz

那珂「……起きないねー。こうなったら」スウウ

那珂「どっかぁーん!」

提督「っ!なんだ!?敵襲か!?」ガバッ

那珂「提督、おはよーございまーす!」

提督「……那珂?もしかして今のは那珂の仕業か!?」

那珂「えへへー、そんなことよりーもう時間だよー?」

提督「うおっマジだ!撮影に遅れる!」ドタドタ

那珂「レッツゴー!」タタタタ

……

-某所スタジオ-


那珂「提督、おっそーいよー!」

提督「ぜぇ、ぜぇ……島風みたいなこと言わないで……」

「提督さんですね?お待ちしてました」

提督「あぁどうも……今日はよろしくお願いします」ペコリ

「こちらこそお願いします。では時間が無いので早速」

提督「あ、はい。那珂、行ってらっしゃい」

「那珂さん入りまーす」

那珂「那珂ちゃんでーす!よろしくお願いしまーす!」ペコ


ヤイノヤイノ パシャパシャ


提督「……ふう」

……

「お疲れ様でしたー」

那珂「お疲れさまでしたー!」

提督「お疲れ様、那珂」

那珂「あ、提督ー!待っててくれたのー?」

提督「そりゃ一応那珂のプロデューサーだからね。本業は提督なんだけど……」

那珂「えへへ、それじゃー早く帰ろうー!那珂ちゃんお腹空いたよ―!」タタタタ

提督「はいはい。体が資本なんだからあんまり食べすぎないでね」トコトコ

那珂「分かってるよー!」タタタタ


提督「……っ!」フラ

提督「……」

那珂「提督ー!早くー!」

提督「今行くよ」


トコトコ

-執務室-


那珂「お仕事しゅーりょー!おつかれさまっ!」

提督「おー……」

那珂「提督?元気ないよー?」

提督「……あぁ、ちょっと疲れただけだよ。少し眠れば良くなるよ」

那珂「本当?提督は那珂ちゃんのプロデューサーなんだから無理しないでね?」

提督「うん……もう遅いし那珂は部屋に戻りなさい。明日はオフだからゆっくりして良いよ」

那珂「はーい。じゃあおやすみ―!」


ガチャ バタン


提督「……」


カキカキ キュッキュッ ポン

深夜


カリカリカリカリ


提督「……ふう、こんなもので良いかな」チラッ


時計(ゼロサンマルマル)


提督「もうこんな時間か。今日は寝るかな」スクッ

提督「明日は那珂もオフだし、久しぶり……に……」フラッ


ドサッ


提督「」

翌朝


ガチャ バタン


鈴谷「ちーっす提督!一緒にカレー……提督!?」

提督「」

鈴谷「提督起きなよー!こんなところで寝てると風邪ひくよー?」ユサユサ

提督「」

鈴谷「……もしもーし?おーい?」ユサユサ

提督「」

鈴谷「え?これひょっとしてまずい感じ?提督?提督!」

提督「」

鈴谷「……やっば!誰か、誰か来て―!」

―――――

―――



提督「……」ムクリ

提督「……?ここはどこ?」

鈴谷「あ、起きた!」

那珂「! 提督ー!」ムギュ

提督「那珂……俺何かあったの?」

大淀「執務室で倒れていたそうですよ。鈴谷さんが見つけて皆でここまで運んできました」

提督「そうだったんだ……鈴谷、ありがとう」

鈴谷「まー無事でよかったじゃん?じゃあ提督も起きたしあたしは行くねー」バイバイ


ガチャ バタン


大淀「さて提督」

提督「……」

大淀「提督は少し働きすぎだと思います。これを機会に少し仕事を減らされては如何ですか?」

大淀「とりあえずしばらくは提督業に専念してください。那珂さんのプロデュースは私が代理でします」

提督「……それは」

大淀「既に上層部には伝えました。一時的なものですからおそらくは大丈夫だと思います」

提督「……那珂はそれで良いのか?」

那珂「うーん、那珂ちゃんも本当は提督が良いんだけどー……提督が倒れちゃうと那珂ちゃん悲しいから大丈夫だよ!」

提督「そうか、ならそうするよ。大淀、少しの間那珂の事をよろしくお願いします」ペコ

大淀「はい」ニコ


那珂「……」

那珂のプロデュースを休んで幾日か経った
あれから比べると体調は回復し、提督業だけではあるが以前のように仕事ができるようになった
そこで、大淀に那珂のプロデュースに戻りたい旨を伝えてみた


大淀「分かりました。以前の事もあるので私個人としてはあまり賛成したくありませんが、提督がそう仰られるのであれば反対致しません」

提督「ありがとう。今まで那珂のお世話、大変だったでしょ?」

大淀「はい……あ、いえ、それほどでもありませんでした」アセ

提督「あはは……察するよ」

大淀「……今のお仕事がもうすぐ終わる予定ですので引継ぎはその後でよろしいでしょうか?」

提督「うん、それで大丈夫。それまでよろしくね」

大淀「はい」

……

-外-


那珂「お仕事しゅーりょー!おつかれさまー!」

大淀「お疲れ様でした。このお仕事で私は那珂さんのプロデュースから外れます。その後はまた提督が那珂さんに付きますのでよろしくお願いしますね」

那珂「! また提督が那珂ちゃんに付いてくれるの!?」

大淀「はい。ですが、今度はあまり提督に無理させないでくださいね」

那珂「はーい!」


「……」ジー

スタスタ


那珂「~~♪」

大淀「ずいぶんご機嫌ですね」

那珂「あは♪ そう見えちゃう?」

大淀「はい、やっぱり提督ですか?」

那珂「んー、内緒♪」

大淀「……。さ、迎えが待ってますよ。早く行きましょう」ニコ

「すいません、もしかして那珂さんですか?」

那珂「? そうだよー?」

「やっぱり!あの、実は僕、那珂さんのファンなんです!これ受け取ってください!」

大淀「すみません、そういったものは……」

那珂「ありがとー!でもー、贈り物は鎮守府を通してね♪」

「いえ、どうしてもここで受け取って欲しいんです!お願いします!」

那珂「うーん……でもー……」

「どうしてもだめでしたらマネージャーさんでも良いので!お願いします」

那珂「だって、大淀さん。どうしよー?」

大淀「……分かりました。私が受け取りますのでそれでよろしいですか?」

「はい!では、これを……」スッ

大淀「確かに受け取りました。いつも応援ありがとうございます」

「いえいえ、だってファンですから」ニヤ

「では、失礼します」スタスタ

那珂「これからも応援してねー!」バイバイ

大淀「……さて、時間がありません。早く―――」


ボン

モクモク


大淀「煙幕!?」

大淀(! さっき受け取った箱が破裂している!)

大淀(まさか狙いは那珂さんじゃ!)

大淀「那珂さ、ゴホッ!?」


叫ぶために息を吸ったところ大きくむせてしまった
鼻や喉が痛い。それに目から涙が止まらなくなっている
催涙ガス、答えがそこにたどり着くのにそう時間は掛からなかった


大淀「な、ゴッホ!ゲホゴホ……那珂……さん!ゴホッ!」

那珂「――!」

「―――」


遠くで那珂さん、と先ほどの男の声がした
そして煙が晴れた時、近くに那珂さんの姿はなかった

トゥルルルル


提督「はい、提督です」

提督「……! 何だって!?」

提督「…………分かった。今すぐ行くから大淀はそこで待ってて。もう警察に通報した?」

提督「うん、うん。分かった。こっちで警察……と後、一応憲兵にも通報するから心配しないで。うん」


チン


提督「那珂が誘拐された……」

-どこかの部屋-

ガチャ バタン


「よう、調子はどうだ?」

那珂「……」

「ちっ、口を塞いだとは言えもう少し喚ぐなりなんなりしろよな。まあ今はこっちの方が好都合だけど」

那珂「……」キッ

「おー怖い怖い。さてと、そろそろ始めますかっと」


ビリビリ


那珂「!?」

「ははっなかなか良い身体してんじゃん!やっぱ人気アイドルはその辺の女とは違うな!」

那珂「……」ビクビク

「なんで私の服を破くのーみたいな顔してんな。ははっ、ヤルことは一つに決まってんじゃん?」

あ、ごめんちょっと胸糞入るかも

那珂「……」

「セックスだよセックス!俺が!今から!お前を!犯す!OK?」

那珂「! ――!」ジタバタ

「おいおい、なんだかセックスって言った瞬間ずいぶん暴れるじゃないか。もしかして今まで何されるのか分からなかったのか?随分めでたい頭してんな。おい?」

「おめーらアイドルは枕とかなんかで慣れてんだろ?今更かまととぶってんじゃねえよ!」

那珂「……」フルフル

「ちっ……あー面倒くせぇ、さっさと始めるか」


ボロン


那珂「! んーっ!んーっ!」ジタバタ

「暴れんじゃ、ねえよ!」


ドゴッ


那珂「っ!」

那珂「……」ブルブル

「ん? なんだよ、濡れてねーじゃん。もしかしてお前処女か?」

那珂「……」ガクガク

「俺処女嫌いなんだよねー痛いしなんかヤッた気しねーし。だからよ、正直に言ったら今どうするか考えてやるよ」

那珂「!」コクコク

「……処女なんだな?」

那珂「―――!」ウンウン


ズボッ


那珂「!!!」

「なんてな」ニヤリ

那珂「―――!?」

「あーその表情良いねえ!やっぱ希望に満ちた奴を叩き落とすのって止めらんねえ!」


ズプッ! ギチュ! ゴリ


「うひょーきっつ!お前やっぱ処女なんだな!」

那珂「―!――!!」

「っはは、どうだ?おもちゃみたいに扱われる気分は?言ってみろよ」

那珂「――!」

「あ、そうだった」


ベリ


那珂「ぷはっ!っぃ!ああ"っ!」

「初めて言った言葉がそれかよ!傑作だな!」


ズコッ! ズコッ! ドチュ!

「これから付き合う奴とヤルとき初めてがレイプだって知られたらどう思うだろうなー、なあ!?」

那珂「あ"ぐっ!い"い"っ」

那珂(……提督)

那珂(! 何でここで提督が!? ……でも、提督となら)

グリッ! ゴチョ!   チュップ! パチュン!

「お、濡れてきてんじゃん。お前、レイプされて感じてんのか?」

那珂「あっ?ち、ちがっ……んぁっ?」

那珂(提督とえっち……提督とせっくす)


パンッ! パンッ!


「感じてねーって、お前どう見ても感じてるから、素直になれよ!おらぁ!」

那珂「くんっ?……ぃとく、ん?あ?」

那珂(提督と……提督とせっくす……はぁ……?)

「ははっ、レイプされて感じるアイドルか。こんな姿、好きな奴に知られたらどう思われるんだろうなあ!多分嫌われるんだろうなあ?」

那珂「!」

那珂(提督に嫌われる……!?嫌!いや!)ギュウウ

「うおっ!?こいつ腕掴んできた!?」

那珂(提督に嫌われるくらいなら!那珂ちゃんから離れるくらいだったら!)


パンパンパン


「やべっ、そろそろイキそう……くっ」

那珂「提督!那珂ちゃんの中に出して!出して」ギュウウウウ

「中に……うっ!」


ドピュルゥ


那珂「あはぁ♡」

那珂(提督のせーし……これで提督との既成事実ができたぁ♡)

……

バァン!


「警察だ!おとなしくしろ!」

「警察!?なんでここが……」

「近所の人から女の子を担ぐ不審な男が居るって通報があったんだよ!それにこの状況、お前逮捕な!」

「くそっ……」


ヤイノヤイノ


提督「那珂!その姿は!」

那珂「提督、どうしたのー?あ、もしかしてもう一回するの?本当は那珂ちゃんはみんなのものなんだけどー、提督にならいいかなー♪」

提督「那珂、君は何を言っているんだ……とりあえず病院に行こう、ね?」

那珂「? はーい!」

……

-産婦人科病院-


「できる限りの処置は行いました。ですが事後の避妊は事前に行うのよりも効果が低いので、しばらくの間は様子見ですね」

提督「そうですか……ありがとうございます」

「……これはお伝えして良いのかどうか……那珂さん本人には避妊の意志が無いようです」

提督「……!?」

「処置中、那珂さんは提督、つまりあなたと行為をしたと言っていました。そしてできることなら産みたいとも……」

提督「」

「私の勝手な判断で、那珂さんには今回行った処置は受精を安定させる目的だと伝えています。もし出過ぎた真似でしたら申し訳ありません」

提督「……いえ、大丈夫です。那珂……君は何を思ってそう考えているんだ……」アタマカカエ

「……私は専門じゃないので断言はできないのですが、このような性的被害に遭われた方は少なからず精神が不安定になります。ですので、これからはなるべく那珂さんの傷を開く言動は控えてください。場合によってはカウンセラーなども検討すると良いと思います」

「今日は以上です。特に入院する必要はありませんので、このままお帰りいただいて結構です」

提督「はい、お手数おかけしました」ペコリ

那珂「あ!提督、待っててくれたのー?」

提督「ああ……昨日今日は大変だったな……」

那珂「うーん、別に那珂ちゃんはそう思わなかったかなー?だって、那珂ちゃんの初めてを提督にあげられたんだもん!」

提督「っ……初めてか」

那珂「でもー、いくら那珂ちゃんがかわいいからと言ってお仕事終わりにいきなり襲ってきたのはダメだよー!」

提督「……」

那珂「だから、今度するときはちゃんと言ってねー?那珂ちゃん、頑張って時間作るから!」

提督「……那珂、実はな―――」ハッ


『なるべく那珂さんの傷を開く言動は控えてください』


提督「……」

那珂「どうしたの提督?」

提督「いや……なんでもないよ」

あの事件から1月と少し、俺は相変わらず提督業と那珂のプロデュースの両方を行っている
那珂はあの事件から復活し、今も軍所属のアイドルとして活動している。表向きは、だが


那珂「提督ー!那珂ちゃん、今日もお仕事頑張るー!」ムギュ


那珂は、人目につかないところでは俺にべったりとくっつくようになった
これでもずいぶんと改善した方で、最初は四六時中俺について回る感じだった
どうやら俺は那珂にとっての精神安定剤のようなものになっているらしい


那珂「~~♪」スリスリ

提督「那珂、もう少しで本番だからそろそろ離れてほしいな」

那珂「えー、あと30秒だけー♪」

提督「……はぁ」


その結果、俺の精神衛生は日増しに悪くなっている
主にストレスで

コンコン


「那珂さん、本番入りまーす」

提督「那珂」

那珂「はーい。……っ、すみませーん、ちょっとおトイレ行ってきまーす!」

「分かりましたー」


タタタタ


……


那珂「オゥエッ……ケホッケホッ」

那珂「……」




―――

―――――

少し前


那珂『……』スッ


妊娠検査薬


那珂『えっと、ここにおしっこを……』チー

那珂『……えっと、縦棒が出れば陽性、出なかったら陰性なんだね』

那珂『……』チラッ


陽性


那珂『……!』


―――――

―――




那珂「……えへへ♪」

……

-病院-


提督「本当なんですか?」

「はい、一昨日那珂さんが来まして、提督の子供を妊娠したと言うのでこちらで検査を行いました」

提督「それで結果は」

「……陽性でした。最初聞いた時は想像妊娠だと思っていたのですが。おそらく処置が遅れたのか残っていたのかであの時のが着床してしまったのでしょう。申し訳ありません」

提督「なんてことだ……」ガクッ

「それで、これからどうされますか?」

提督「もちろん中絶します。これからの活動に影響しますので。……それに相手が相手ですから」

「……手術を行うにはお互いの同意書が必要です。提督さんはともかく、今の那珂さんがOKを出すかどうか……」

提督「それについてはこっちで何とかします。ですので何とか……」

「……。分かりました。では、合意が得られましたらこちらへお越しください。同意書もその時で大丈夫ですので」

提督「はい、よろしくお願いします」

-執務室-


大淀「それで、私が呼ばれたのですか?」

提督「うん。今の那珂は本気で産むつもりでいると俺は思っている。それ故に那珂は中絶同意書にはサインをしないはずだ」

提督「だから大淀、君の出番なんだ」

大淀「……もしこれが見つかった場合、ただでは済みませんよ?」

提督「それも覚悟の上だよ。もしそうなったらそうなったで考えれば良い」

大淀「……そうですか、分かりました。こうなればどこまでもお供いたします」

提督「大淀、ごめん。俺がふがいないばかりに……」

大淀「いえ、私は提督の秘書艦ですから。御支えするのは当然です」ニコ

提督「……ありがとう」

提督「では、作戦についてだが……」

……

那珂「提督ー!お疲れ様!」

提督「ああ、お疲れ様、那珂」

那珂「? あれ?今日は大淀さんも一緒なの?」

大淀「はい。ちょっとプロデュース関係で提督に話がありまして」

那珂「ふーん……提督、今日はね?」


作戦はこうだ

仕事が終わった那珂を俺と大淀でが迎える
那珂が車に乗り込み、出発すると同時に大淀が那珂を無力化する
そしてそのまま病院へ行き、中絶の手術を行う
同意書には俺と、大淀が偽装した那珂のサインがそれぞれ書かれている
これで病院側には通るはずだ


那珂「―――だったんだよ?」

提督「それは良かった。それじゃそろそろ帰ろう。明日はオフだけどレッスンがあるでしょ?」

那珂「はーい!」


ガララ バタン

ブロロロロ


那珂「~~♪」

提督(……大淀)チラ

大淀(……はい)コクリ

大淀「那珂さん、おとなしくしてください」ギュウウウ

那珂「え?大淀さんどうしたのー!?」

大淀「すみませんが今日はこのまま帰る訳にはいきません。暴れなければれば痛くしませんのでおとなしくしていてください」ギュウウウ

那珂「!?提督ー!」

提督「ごめん、那珂。那珂は悪くないんだ。でも那珂のお腹に居る子供、それだけはこの世に出すわけにはいかないんだよ」

那珂「提督!?何を言って、っ!んーっ!」フガフガ

提督「本当にごめん、これは俺の責任だ……」

那珂「んーっ!んーっ!!」ジタバタ

大淀「静かにしてください!」グイ

那珂「―――!―――!」ガタバタン

提督「……」

-病院-


提督「こちらが同意書です」

「……確かに。ですが、那珂さんの様子を見る限り同意をしたようには見えませんが」

提督「それは……あまり詮索しないでいただけると助かります。あなたを信用しているからこそ言いたくありません」

「……なるほど、分かりました。それではこれより処置を始めますので、その前に彼女に一言掛けてあげてください」

提督「はい」


提督「那珂」

那珂「! ―――♪」バタバタ

提督「ごめん、それにお腹の子供にもごめん。願うなら次は幸せな夫婦のところで生まれてください……」

那珂「!? ―――!」


提督「……もう大丈夫です」

「分かりました。それでは手術室に……」

那珂「―――!!―――!!」ジタバタ

ピシャ

……

チュンチュン


那珂「……」パチ

那珂「……ここは」

那珂「……」


ガララ バタン


「おはようございます。調子はいかがですか?」

那珂「……先生?那珂ちゃんはどうしてここに?」

「……中絶は成功しました。那珂さんのお腹の中の赤ちゃんは摘出されて、存在しません」

那珂「……え?」

「今日のお昼に提督さんが迎えに来るそうです。それまでここでゆっくりしていてください。では、失礼します」


ガタタ バタン

那珂「え……赤ちゃんが?なんで?中絶……?」

那珂「! そういえば昨日、提督と大淀さんに……」

那珂「嘘だよね……?提督、どうして?だって、提督から……」

那珂「そうだ!検査薬!あ、でも中絶ってことはもう……」

那珂「嫌だ。嫌だ!提督との赤ちゃんが居ないと那珂ちゃん……那珂ちゃんは」

那珂「……」

……

提督「お世話になりました」ペコリ

「いえいえ、私はただ自分の仕事をしただけです」

提督「……。じゃあ自分たちはこれで。失礼します。ほら那珂。行こう」

那珂「……」


スタスタスタ


那珂「……ねえ、提督?」

提督「うん?」

那珂「那珂ちゃんの赤ちゃんが居なくても、那珂ちゃんを嫌いにならない?」

提督「……嫌いになんてならないよ。那珂も俺たちの立派な仲間だからね」

那珂「……そっか。じゃあこれからも一緒だね!」

提督「? まあしばらくはプロデュースが続くと思うし、一緒と言えば一緒なのかな」


那珂(提督は赤ちゃんが居なくても那珂ちゃんの事嫌いにならないんだ)

那珂(……えへへ♪)キャハ

私は正直、那珂はアイドルを辞めるのではと思っていた
なぜなら彼女はレイプからの妊娠、そして中絶と、普通なら病んでしまってもおかしくない事を経験しているからだ
しかし、那珂は辞めなかった
私にはともかく、周りに対してはアイドルとしての那珂の姿を見せている

彼女は強い娘だ
私と、できることなら軍のしがらみを抜けてもっと自由に羽ばたいてほしい
私は提督として、そして彼女をプロデュースした立場として願っている


提督「ふう……今日の日誌はこれくらいで良いかな」

提督「……思えばここ最近は提督というより那珂のプロデューサーとしての日誌を書いている時間が多い気がするな」

提督「……」チラッ


書類


提督「……」ハァ

バーン!


那珂「提督ー!ご飯に行かないー?」


シーン


那珂「あれ、居ない」

那珂「ぶー……つまんなーい!」ウガァ


バサッ


那珂「うわっ! 資料が崩れた!? 直さないとー……」ガサガサ

那珂「ん? これって……」ピラ

那珂「……!」

ガチャ バタン



提督「ふー、食べた食べた……ん?」

那珂「……」

提督「那珂か、何かあったの?って資料が崩れてるし……」ガサガサ

那珂「提督……この資料って本当なの?」ピラ

提督「資料? ……あっ、この事か……もちろん知っているよ」

那珂「!」

提督「しょうがないよ。俺は軍人だから、どのような命令でも上には従わないと」

提督「それに、俺はこれは那珂にとってもチャンスになると思っているんだ。だから、那珂には頑張ってほしいと思っているよ」

那珂「……やっぱり」ボソ

提督「ん?何か言った?」

那珂「なんでもー!じゃあ那珂ちゃん、ご飯に行ってくるねー!」


パサ タッタッタッタ

提督「……」スッ

○○鎮守府 提督殿


貴鎮守府で試験的に行ってきたアイドルカッコカリ計画を

この度アイドル計画として本格的に始動することが決定したため貴官に通知する

それに伴い、アイドルを務める艦娘に関する規定を暫定的に次のように定める


・特別手当の支給





・専任のプロデューサーの用意

・大本営への異動


以上

貴官は全てのプロデュース業を外れ、本業に専念すべし

本営



提督「……これで良いんだ」ハァ

トボトボ


那珂「……」

那珂「提督が那珂ちゃんから離れちゃう……」

那珂「那珂ちゃんの事嫌いじゃないって言ったのに……」

那珂「……あっ!」





―――

―――――

(提督は赤ちゃんが居なくても那珂ちゃんの事嫌いにならないんだ)

(赤ちゃんが居なくても)

(赤ちゃん)


―――――

―――



那珂「……」

那珂「提督に嫌われるくらいなら。那珂ちゃんから離れるくらいだったら……」



那珂「……」

……




那珂「……」カチャカチャ 

提督「……」Zzz

那珂「……」カチャカチャ

提督「……んん……な」Zzz


カチャン


那珂「……」

提督「……」Zzz

那珂「……えへへ♪」

グパチュプ ズキュヌチャ


提督「……?」Zzz


クチュネチョズヌ

チュウウウウウ


提督「……ングッ!?」パチ

那珂「っはぁ♡……提督、おはよー!」

提督「那珂……。!? なんだこの状況は!っそれに手足が!?」

那珂「えへへ♪ 那珂ちゃん、提督のこと縛っちゃった。……んぁ♡」

提督「縛った!?」

那珂「だってー、っ!縛らないと提督逃げちゃうでしょー?」

提督「当たり前だよ!提督と艦娘がだな―――!?」

那珂「ん……レロォ、チュム……ふん♡……ハム……んはぁ♡」チュウウウ

提督「!?!?」ジタバタ

那珂「ん、はぁん♡……」プハ

提督「ぷはっ……那珂、君はもっと自分を大事にするんだ!」

那珂「?だって提督とえっちするの二回目だよ?あ、でも前はキスしなかったんだっけ。じゃあ、ある意味初めてだねー♪」

提督「!……那珂、君の初めてを奪ったのは俺じゃないんだ」


ピタ


那珂「……え?……あはは、冗談はやめてほしいなー?だって、那珂ちゃんははっきり覚えているよ?」

提督「今まで那珂のことを考えて言わなかった。でもこんなことになるんだったら言わない訳にはいかないよ」

提督「那珂、あの晩君は知らない男に強姦されたんだ」

那珂「……!?」

提督「那珂が何を思って相手が俺だと思ったのかは知らない。でも俺と君がセ……性行為をするのはこれが初めてだ」

那珂「……嘘でしょ?」

提督「……嘘じゃない。だから、こんなことは止めるんだ。那珂、君は間違っている」

那珂「……」


パチュクチュパンパン


提督「っ那珂!?」

那珂「関係ないよ!誰がなんと言おうと那珂ちゃんは、提督に初めてをあげたの!」

那珂「それに、今は間違いなく提督とシてるんだから!それで良いの!」

提督「くっ……全然良くないっ……おふ」

那珂「提督と那珂ちゃんの子供を作らないと、提督は那珂ちゃんから離れちゃうから!そんなの嫌だよ!」

提督「例え子供が出来ても……命令は変わらないぞ!」

那珂「そんなことないよ!提督は、提督は那珂ちゃんの、ぁん♡、プロデューサーなんだから!」グニュ

提督「ぅぉ!?中がきつく……」

那珂「出して!今度こそぉ、提督の子供を産むから!だからぁん♡出して!」

提督「止めろ!那珂!那珂あああ」ジタバタ


ドピュ

……


「今日は、10数年前一世を風靡した元アイドルの那珂さんに来ていただきましたー!」

那珂「こんにちはー!元、艦隊のアイドルの那珂ちゃんだよー!?」


ワアアアアアアアアアアア


「いやー、すごい人気ですね。現在はアイドル業を引退して、女優や歌手業をしているとの事ですけど」

那珂「はい。流石にこの歳でアイドルはちょっと難しいですからねー」アハハ

「でも、今も現役の時と同じくらいお綺麗ですよ?」

那珂「ありがとうございます!」

「それで、今はご結婚なされていらっしゃっると?」

那珂「……」

「那珂さん?」

那珂「あ、はい。そうなんです♪実は子供も居るんですよ♪」

「あーでしょうねー。結婚するとき散々ニュースで言われましたからねー。ご主人とはラブラブで?」

那珂「……いつもはラブラブですけど時々喧嘩しちゃいますねー」

「あれま、でしたらどうやって仲直りーとかするんですか?」

那珂「ふふふ、その時は子供が何とかしてくれますねー」

「おぉ、お子さんが」

那珂「でも、原因を作るのもほとんど子供の事なんですけどねー」アハハ

「ブハハハハ!それじゃダメじゃん!」ガハハ

「「「「ワハハハハハ」」」」」

那珂「……」ニコニコ

……

グキャ


「」


ドサ


子供の首を絞める。感覚的におそらく死んだ


提督「……はぁ、はぁ」


もう何回自分の子供を殺しただろうか
ほぼ1年に1度とは言え、こう何度も殺していると回数とか湧き上がる感情とか色々とどうでもよくなってくる


提督「……早く鎮守府に戻らないと」


それはもはや叶わない夢なのかもしれない
でも言わないとこの状況を受け入れた気分になってしまう
彼女へのわずかな抵抗がこの言葉なのである

ガチャ バタン


那珂「ただいまー♪提督-、それに赤ちゃんもいい子にしてたー?」ニパー


那珂が帰ってきた
この屈託のない笑顔は昔から変わらない
昔だったら素直に受け取れただろう笑顔も、今の俺には憎悪にしか感じない


提督「……赤ちゃんだけど、ごめん。死んじゃった」

那珂「……そっかー」


このやり取りも既に何回もした
那珂はとっくに俺が殺したと言うことを分かっているだろう
最初は子供を殺したことを警察に通報してくれればここから出られるのではと思っていた


那珂「じゃあ、また作ろうよ♪」


でも、その目論見は外れた
那珂は俺が赤ちゃんを殺すたびにこうして誘ってくる
そうして那珂が妊娠・出産し俺がまた生まれた子供を殺す
この一連の流れがここにはできてしまっている

結局のところは我慢比べなのかもしれない
俺が子供を殺すのをやめるか
那珂が子供を産むのをやめるか
この流れを止めるにはこのどちらしかないのだろう


那珂「今度こそ元気な子を作ろうね♪」


でも俺は負けない
流れを止めて、いつか絶対ここを出る


根拠のない自信を胸に今日も那珂の喘ぎ声を聞く

那珂ルート 終わり
なんだか書いていて、よく分からなくなりました
最後は提督も色々と狂ってしまったってことで許してください

スランプ気味だったり用事が重なったり、新しいssのアイデアが浮かんだりで更新が遅れるかもしれないです
ですが今ある分は全部書き切るのでも気長にお待ちいただけると嬉しいです

榛名  本編>>91からの続き


榛名「……っ」

榛名「……」

榛名「……?」


撃たれていない?
そんなはずはない。だって確かに一発だけ銃声が聞こえたのだから
……そうか、撃たれたことに気付いていないだけなんだ


榛名(……銃声?)


榛名の頭に一つの疑問が浮かぶ


榛名(なんで榛名は砲声じゃなくて銃声だと思ったのでしょうか……?)


艦娘が装備する砲は銃よりも威力があるため、その発射音も大きく低い
そのため素人でも音の違いははっきりと分かる


榛名(……)チラ

青葉「……」


ドサ バタ


榛名「!」


目の前には青葉がこちらに砲を向けている
そして、その青葉は膝から崩れ落ち、そのままうつぶせに倒れ込んだ


提督「……はぁ、はぁ」チャキ

榛名「……提督!?」

提督「大丈夫、か……はぁ、」

榛名「提督こそ……ってその拳銃、まさか提督が」

提督「そうだ。大事な仲間が殺されるのを黙って見ていられる訳ないからな」

提督(響の時は本当に足がすくんでいたが……)

榛名「提督……」パァ

提督「……とにかくドックに行くぞ。立てるか?」

榛名「はい……榛名は大、っ」フラ


ドサ


榛名(しまった……緊張が解けたからか今になって痛みが)

榛名(ダメ……意識が保てない)


遠くで提督の声が聞こえる


榛名「……いと、く」


ごめんなさい提督、榛名はもうダメみたいです

榛名(……あったかい)


ここはどこなのでしょう
もしかして死後の世界というところなのでしょうか
話ではお花畑とか三途の川だと聞きますが、それは嘘なのですね
暗く、でも温かい
本当の死後の世界はこうでした

身体が融けていく
きもちいい
このまま周りと一体になっていって
はるなの中から何かが出て、世界とまざって
そうしてこのままきえていくのですね


あぁ、段々周りの温度が上がっていく……

榛名「……熱っ!?」バシャシャ

榛名「え……!?お風呂、何で?」


ガララ バタン


提督「うわっ……しまった、温度を上げすぎたか。急いで榛名を上げないと茹で上がって……榛名?」

榛名「……提督?」

提督「榛名!よかった……間に合ったんだな!」ギュ

榛名「え?え?何が起こっているのか榛名、分かりません……」

提督「あれから、俺が榛名をドックに連れてきたんだよ」

提督「でも妖精さんが居なくて、だから俺が榛名をお風呂に入れるしかなくて」

提督「でも、温度調節とか分からないから適当に触っていたら温度を上げすぎて慌てて来たんだ」

提督「そうしたら榛名、お前が……よかった」ギュウウウ

榛名「提督……ありがとうございます」ギュ

提督「傷はどうだ?」

榛名「はい、大丈夫みたいです」

提督「そうか、バケツを探し出した甲斐があったよ」

提督「……それじゃ、俺は出るよ。その……榛名は今、裸だし……」スッ

榛名「……」ギュ

提督「……榛名?離してくれないと出られないんだが」

榛名「提督……響、さんが来る前に言いかけた言葉、今度こそお聞かせくださいますか」

提督「……!」

榛名「榛名は提督の返事を聞かずに死んでも、それはそれで良いと思っていました」

榛名「でも、榛名はこうして生きながらえています」

榛名「だから、どうか返事をお聞かせください……どのような返事でも構いませんから」

提督「……榛名、分かった」

榛名「……提督」

提督「――――――!」

……


「いかなる理由があったにせよ、軍の規律を護れずに艦娘を暴走させた罪は重い」

提督「……」


夜が明けた後、俺と榛名は憲兵に自首した
鎮守府内の出来事はすべて処理され、表に出ることはなかった
今は、俺に対する判決が言い渡されている

榛名は俺の裁判が始まる前に解体が決定された
今は知らないところで頑張っているだろう


「被告人の提督としての任を解き、そして懲役15年の刑に処す」

「これにて閉廷」


ガンガンッ

……


提督「ふー……ようやく出れた」

「これで貴方は自由の身です。二度とこちら側に来ないように過ごしてくださいね」

提督「はい。……お世話になりました」ペコ


刑期が終わり、刑務所を出ることになった
波風立てないように暮らした結果、模範囚として扱われたため少しだけだが刑期が短くなったのは幸いだ
とは言え、10年以上外のブランクがある
とりあえず日雇いでもいいから仕事と、後は住まいを探さないといけないな


「そういや、1年ほど前からここ近辺で変質者が出ているらしいですよ」

提督「変質者ですか?」

「何やらぶつぶつ言いながら辺りをうろついているとかで。襲われるかもしれませんから気を付けてください」

提督「ご丁寧にどうも。では」



変質者か
日本も治安が悪くなったものだな

スタスタ


提督「とりあえずハローワークかな。後はアパートの契約もしないと」ブツブツ

??「あ、あの!」

提督「うおっ」

??「あの、もしかして……提督ですか?」

提督「ええ、そうですが俺の……こ……と」

榛名「提督なんですか!本当に提督なんですね!?」パァァ

提督「榛名……お前、どうして」

榛名「はい!実は解体された後、提督を必死に探したんです。それで、1年前ぐらいにこの刑務所に居るって聞きまして、それでずっと待っていました!」

提督「」


変質者は榛名だったのか


提督「……」ガク

榛名「?」

榛名「それで、提督はこれからどうなされるんですか?」

提督「俺はもう提督じゃないんだが……とりあえず仮の仕事と住居を探さないとと思ってな」

榛名「でしたら、是非家に来てください!仕事も榛名がしますから大丈夫です!」

提督「いや、それは流石に……それに榛名は榛名の人生があるんだから早くいい男を見つけなさい」

榛名「……提督はあの時ご自分が言った言葉をお忘れですか?」

提督「……告白の事だったら覚えている。でもそれとこれとは話は別だ」

榛名「別じゃありません!」

提督「……」ビク

榛名「あの時、提督がOKしていただいたから、榛名はこうして過ごしているんです!だから提督と一緒でなければ榛名は!」

提督「お、お前は変わってないな……」

榛名「はい!榛名はあの時からずっと変わっていません!」ニコ

提督「……やっぱり榛名、お前はヤンデレだ」

榛名「ええ、榛名は病むくらい提督のことが大好きです!」

提督(こいつ、認めやがった……)

提督「はぁ……分かった。しばらくの間だけお邪魔するよ。今後はそれから決める」

榛名「はい!じゃあ行きましょう!」グイ

提督「お、おい……引っ張るな」ヨタヨタ


榛名(今度の榛名は大丈夫です。ずっと提督のそばにいます)

榛名(だから)


榛名「勝手は、榛名が、許しませんからね、提督♪」

榛名ルート終わり
某所にてハッピーエンドの榛名が見たいとあったので書きました
正直急ごしらえです。ですが他のルートより上手く書けたと思うのはなぜでしょうか

吹雪はネタがまとまったので今晩辺りから文を考えます

秋月ちゃんを見てみたいなって

>>144 吹雪


吹雪「はじめまして、吹雪です。本日付けでこの鎮守府に配属されました。よろしくお願いいたします!」ガチガチ

提督「初めまして、えーと……吹雪、さんって呼べばいいのかな?よろしくね」ペコリ

吹雪「いえ、吹雪で大丈夫です!」

提督「了解したよ、吹雪。後あんまり硬くならなくて良いからね。何せ自分も士官学校を出たばかりだから。ほとんど君と一緒だよ」アハハ

吹雪「は、はぁ……そうなんですか?」

提督「うん。でも最初の艦娘が君みたいな真面目な娘でよかったよ。これなら何とかやっていけそうかな」

提督「……とりあえずこの荷物だけでもどうにかしようか。このままだとと身動きが取れないし、仕事もできないからね」

吹雪「はい!」

翌日


吹雪「司令官、失礼します!」

提督「おはよう、吹雪。昨日はよく眠れた?」

吹雪「はい、おかげさまでぐっすりと眠れました!」

提督「うんうん、それは良かった。それで今日から仕事が始まる訳なんだけど」

提督「実は自分、講義とかで聞いたことがあっても実際に艦娘が動いている姿を見たことが無いんだ」

提督「だから、もし良かったら吹雪が水に浮いているところとか見せてくれないかな」

吹雪「えっ」

提督「ダメだったらいいんだ。そのうち遠征なり出撃なりで見ることはできるから」

吹雪「いえ、大丈夫です!」

吹雪(どうしよう……私、まだ一回も出撃したことないのに……)

提督「それじゃ、いつでも始めていいよ」

吹雪「は、はい!」

吹雪(うぅ……緊張する)チラ

提督「……」ワクワク

吹雪(すごく見てる……もうこうなったら!)


意を決して滑り台の様なカタパルトに乗る
カタパルト上ではまず足が固定され、その後に吹雪の身体に艤装が取り付けられる


吹雪(わぁ……これが私の艤装なの?)


不思議なもので、艤装を装備するのは初めてなのに、今ならなんでもできるような感覚を覚えた
当然それの根拠はないが、根拠など今の吹雪には関係なかった

全てのパーツが取り付けられ、出撃を許可するGOサインが出た


吹雪(今なら行けるかも……!)

吹雪「吹雪、出撃します!」


ドボン

……


吹雪「すみません!すみません!」ペコペコ


吹雪の初出撃はカタパルトから射出された後、バランスを保てず盛大にすっころび
その後、立てたは良いものその場で動けなくなったため、提督の操作する船で鎮守府に戻ったと言う散々な結末で終わった


提督「大丈夫、大丈夫だから頭を上げて。ね?」

吹雪「うぅ……本当にすみません」

提督「自分も吹雪が初めてだなんて知らなかったから。むしろ自分こそごめん」ペコリ

吹雪「いえ……私は大丈夫ですから」ジワ


ポン


吹雪「!」

提督「誰だって初めはこんなもんだよ。これからゆっくりと成長していけば良いさ」

吹雪「司令官……ありがとうございます」ポロポロ


こうして吹雪の鎮守府での生活が始まった

続きまってますよー。それと龍田さんも見てみたいな


……


吹雪「すみません!すみません!」ペコペコ


吹雪の初出撃はカタパルトから射出された後、バランスを保てず盛大にすっころび
その後、立てたは良いものその場で動けなくなったため、提督の操作する船で鎮守府に戻ったと言う散々な結末で終わった


提督「大丈夫、大丈夫だから頭を上げて。ね?」

吹雪「うぅ……本当にすみません」ジワ

提督「自分も吹雪が初めてだなんて知らなかったから。むしろ自分こそごめん」ペコリ

吹雪(あぅ……最初からこんなんじゃ私……)

提督「……」


ポン


吹雪「!」

提督「誰だって初めはこんなもんだよ。これからゆっくりと成長していけば良いさ」

吹雪「司令官……」

―――――

―――



廊下


提督「吹雪、午後からの予定はどんな感じ?」スタスタ

吹雪「はい! 午後からですとヒトフタマルマルに帰投予定の第二艦隊の出迎え、その後ヒトフタサンマルからは士官学校に移動して、そこで講義を行う予定です」スタスタ

提督「あー……そういえば今日だったっけ。安請け合いするんじゃなかったよ……」ハァ

吹雪「司令官ならきっと大丈夫です!頑張ってください!」

提督「うん、ありがとう。しかし軍人に講義やらせるなんて教官達は何を考えてるんだろう」

吹雪「司令官は艦娘運用の第一人者ですから。当然ですよ!」

提督「アハハ……じゃあ自分は執務室に戻るよ。吹雪はこれからどうするの?」

吹雪「私は新しく入った娘達の案内をしてきます!」

提督「うん、そっか。じゃあヒトヒトヨンゴーにいつもの場所に」

吹雪「はい!」トタトタ

提督「……」


スタスタ


提督「あ、吹雪ちょっと……」クル


ア、アノ……フブキサン……

イソナミチャンナニー?


ヤイノヤイノ


提督「……成長したなぁ」フフフ

ヒトヒトヨンゴー

波止場


吹雪「……」

提督「おまたせ」

吹雪「あっ、司令官!私も今来たところです!」

提督「うん、そうだね。……第二艦隊が帰投するまでまだ少し時間あるし、ここで時間潰そうか」

吹雪「はい!」

提督「……ねえ吹雪」

吹雪「はい、なんですか?」

提督「最近、ここに来ると着任したばかりの時を思い出すんだ」

吹雪「着任したばかりの時ですか?」

提督「うん、あの頃は全てが初めてのことばかりで、本当にぎりぎりで生活していたよね」

提督「今みたいな暮らしも好きだけど、あの時ああすれば良かったとかふと思ったりしてね」

吹雪「……司令官」

提督「……ハハハ、なんかごめんね、変なこと言っちゃって」


気まずくなり、吹雪から目線を逸らす
時代に合わない赤レンガ造りの鎮守府の遙か遠く、水平線からこちらへと雲の群れが流れているのが見えた
何気なく耳を傾けるとふ頭辺りの磯に打ち寄せる波の音が耳に入る

ここで感じる景色は昔から変わらない

ヒトフタマルマル


伊8「提督、ただいま帰投しました」

提督「潜水艦のみんなお疲れ様。それでどうだった?」

伊8「うん、ちゃんと連れてきましたよ」

Z1「Guten tag、.僕の名前はレーベレヒト・マース。レーベでいいよ」

提督「ここの指揮をしている、提督です。色々と慣れないこともあるかもしれないけどよろしくねレーベ」ペコリ

Z1「こちらこそ、提督」

提督「よし、今日はもう終わりで大丈夫だからゆっくりと休んでおいで。潜水艦達も今日はおしまい」

伊8「Danke!」

伊58「疲れたー……もういっぱいでち……」

伊168「レーベ、行きましょ?」

Z1「うん」

伊19「提督、イク達にご褒美無いの?」

提督「うーん……これから出かけるから今すぐは無理だけど帰ってきたら何か考えておくよ」

伊19「やった!だからイクは提督大好きなの!」ムギュ

提督「ちょっと!服が濡れるから止めて!」

伊168「あーイクばっかりずるーい!」ムギュ


ハナセ!! イヤナノー! ダーメ


……


提督「やっと解放された……ってもうこんな時間!?吹雪、急ごう!」

吹雪「はい!」

士官学校

提督「間に合った……」ゼェハァ

吹雪「はい……」ハァハァ

??「1分半の遅刻だばかもんが」

提督「! き、教官!」

教官「久しぶりだな」

提督「ご無沙汰しています。卒業式以来挨拶挨拶もできず……」

教官「いや、お前の話はあちこちで聞いているからな。心配なんぞしてなかったぞ」ハハハ

提督「アハハ……」

教官「んで、その娘は部下か?」

提督「はい、そうです。吹雪」

吹雪「特型駆逐艦一番艦の吹雪です。教官さんよろしくお願いいたします!」

教官「うむ。……ん?お前が最初に選んだのが確か」

提督「はい、その吹雪です」

教官「ふむ、だとすると赴任以来ずっと吹雪と居る訳なんだな」

提督「そういうことになりますね」

教官「ふーむ……君たちケッコンはせんのか?」

吹雪「けっ!?」

提督「教官っ!」

教官「ん?吹雪のその反応……お前まさかまだケッコンカッコカリを伝えてなかったのか」

提督「……いえ、まだ」

教官「はぁ……必ず艦娘達にも通達する様書いてあっただろうに……今日、帰ったら、必ず、言うんだぞ」

提督「……善処します」

吹雪「……」

提督「えっと、それで講演会場はどこなんですか?さっき遅刻とおっしゃられました。早く行かないと」

教官「講演はイチサンイチゴーからだ。どうせ遅れてくるだろうと予想して早めに伝えておいた……結果的に正解だったな」

提督「……」

教官「ハッハッハ、お前は学生時代から何も変わらんな!」

提督「……すみません、ちょっとお手洗いをお借りします」

スタスタスタ


教官「ふっ、本当にあいつは……」ヤレヤレ

吹雪「……あの」

教官「ん?なんだ?」

吹雪「司令官は……学生時代どんな方だったのですか?」

教官「うーむ……そうだな、よく遅刻する奴だったな」

吹雪「そうだったのですか?」

教官「あぁ、それでいて講義の内容はちゃんと頭に入っているんだから当時は腹立だしく感じていたな」

吹雪「あはは……」

教官「そういう訳で、今日も集合時刻を早めにしていたんだよ。まあ学生時代に比べれば今日はずっとマシだがな」ハッハッハ

吹雪「そうだったんですね……」

教官「あ、後そういえばあいつはモテてたなあ」

吹雪「……!」

教官「誰それから告白されたとかチョコをこれだけ貰ったとか噂になってたしな」

教官「ま、結局噂は噂で最後まで彼女とか居た様子はなかったがな!」ハッハッハ

吹雪「……」

教官「……真面目な話だが、ケッコンカッコカリについては何も聞いていないのか?」

吹雪「はい、その……名前すらも聞いたことがないです」

教官「……ふむ、後であいつから正式に言い渡されるだろうが、私から簡単に説明させてもらうよ」

教官「ケッコンカッコカリとはな―――」

―――――

―――




提督「ただいま戻りました」

教官「おかえり、遅かったな」

提督「ちょっと後輩らしき学生に話しかけられまして、すいません」

教官「いや、講義までに間に合ってくれればいいんだ。正直言えばこうなる事もある程度予測していたしな」ハハハ

提督「……さすがは教官です。貴方には敵わないです」

教官「俺のことはどうでもいいだろ。ほら、そろそろ準備しとけ」

提督「はい、そうさせていただきます」

教官「……頑張れよ」

提督「はい」

吹雪「……」

ケッコンカッコカリとは艦娘の限界を突破するためのシステムの事を言う
一対の指輪を提督とレベル99の艦娘がそれぞれ着けることで艦娘の性能を引き出すことができると言うのがシステムの狙いだ

だがな、レベル99になるまで寝食を共にし、戦ってきた中で二人の間に恋愛感情が生まれることもあるらしい
実際問題、提督が相手とケッコンカッコカリを行う理由のほとんどは艦娘の性能を上げるよりも相手に対して好意を持っているからだとか
装備アイテムが指輪だからなおさらそういう傾向が出るんだろうな

提督?あいつのことはあいつしか知らんよ
誰を好いているのか、もしかして恋愛に興味がないのか
恋愛対象が艦娘なのか人間なのか

うーん……ま、そうだな
あいつを振り向かせたいんだったら、何かアピールするのも良いかもな


教官『秘書艦なんだからチャンスはあるはずさ』

……


吹雪(アピール……アピールって何?)

提督「それじゃ、行ってくるね。吹雪はここで待っててね」

吹雪「っはい!頑張ってください!」

提督「うん」ニコ

パチパチパチパチ


提督「初めまして、○○鎮守府で艦娘の指揮を行っています、提督と言います」

提督「ご紹介の通り、自分はこの士官学校のOBです」

提督「自分が在学していた当時はまだ艦娘の運用が始まっていませんでした」

提督「―――」

吹雪「……」

吹雪(アピール……)


私は、司令官と一緒にここまで歩んできた
だからこれからもずっとこのまま、ずっと一緒って想っていた

でもただ想うだけじゃだめなんだって
いかなきゃだめだって

だから

司令官にもこの想いを届かせないと

提督「―――なので、もし皆さんが私と同じ立場になるときは、どうか平等に彼女たちを愛してください」

提督「くれぐれも、彼女たちを物扱いしないでください」

提督「以上で今回の講義を終了します」


パチパチパチ


教官「お疲れ様。中々考えさせられる内容だったよ」パチパチ

提督「いえ、自分が経験したことを話しただけなので」

教官「だとしても、彼らには十分染みたと思うよ」

提督「そうだと良いですけど……吹雪から見たらどうだった?」

吹雪「あの、えと……すごく素敵でした!」

提督「お?お、うん、ありがとう」ニコリ

吹雪「!」パァァ

教官「んじゃ今日はこれで終了だ。報酬は無いがせめて途中までは送らせてくれ」

提督「ありがとうございます、教官」ペコリ

吹雪「♪」ニコニコ

翌朝

ゼロゴーマルマル

提督の部屋


ガチャリ


吹雪「……」


バタン


提督「……」Zzz

吹雪「よく寝てますね」フフ

提督「……」Zzz

吹雪「……」

吹雪「……」

吹雪「……エヘヘ♪」

ゼロロクマルマル


提督「……」Zzz


ユサユサ

シレイカン オキテクダサイ!


提督「……?」Zzz


ユサユサ

アサデスヨ! シレイカン!


提督「……ぅぁ……」


ムクリ


提督「……?」ボー

吹雪「司令官!おはようございます!」ニコ

提督「!? 吹雪……?」

吹雪「はい!今日も良い朝ですね!」

提督「え、なんで吹雪がここに」

吹雪「いつも司令官は起きるのが遅いので、今日は司令官を起こしに来ました!」

提督「あ、うん。ありがとう……」チラ


AM 6:00


提督「……」

吹雪「着替えが済みましたら執務室に来てください!」

提督「……はい」


ガチャバタン


提督「……?」

執務室

ガチャバタン


提督「吹雪、今日はいった……!?」

吹雪「司令官、おはようございます! あの、これ、全部吹雪が作りました……! もしよかったら召し上がってください……!」グイ

提督「お……おおお??」

吹雪「ど、どうぞ!」グイグイ

提督「ちょっと!吹雪、ストップ!」

吹雪「はい!」

提督「一旦少し落ち着いて。やりたいことは分かるがちょっと空回り気味だよ」

吹雪「え、はい。すみません……」シュン

提督「とりあえず、まず朝ごはんを食べよう。折角吹雪が作ってくれたんだから食べないのはもったいないよ。頂きます」ペコリ

吹雪「い、いただきます!」パァァ

提督「ごちそうさまでした」

吹雪「ご、ごちそうさまでした」

提督「……それで」

吹雪「!」

提督「吹雪はどうして急に朝起こしに来たり、料理を作ってくれたりしたの?」

吹雪「あの、も……もしかして迷惑でしたか……?」

提督「いや、むしろありがたいなぁって思っているけど。ご飯もおいしかったし」

吹雪「!」パァァ

提督「だから、どうしてやってくれたのかなって」

吹雪「あの、アピー……じゃなくて、今まで仕事以外の事あまりしていなかったからこれからは仕事以外でも司令官の役に立ちたいなって…」

提督「なるほど」

吹雪「あの、迷惑でしょうか……?」

提督「迷惑じゃないよ。むしろ嬉しいなって」ハハハ

吹雪「司令官……!」パアア

フタフタマルマル

提督の部屋


吹雪「それじゃ、私も部屋に戻ります!おやすみなさい!」

提督「……おやすみなさい」


ガチャバタン


提督「……疲れた」


……


吹雪『喉渇きませんか?何か持ってきます!』


……


吹雪『あの、お昼を用意しました!もし良かったら一緒にいかがですか?』

……


吹雪『司令官!午後は特に何もありませんよね?でしたらお散歩にでも―――!』


……


吹雪『司令官!――-』


『司令官!』


『司令官!』


……


ゴロン


提督「……吹雪ってあんなに積極的な子だったんだ。知らなかったなぁ」

提督「まぁ、元気が無いよりは良いよね。うん」

提督「……おやすみなさい」ゴロ

マルフタマルマル

食堂


吹雪「~♪」


トントントン シャッシャ


吹雪「……エヘヘ」ニヘ


グツグツ



……

マルロクマルマル

提督の部屋


吹雪「司令官!おはようございます!」ニコニコ

提督「……おはようございます」

あの日から吹雪は変わった
具体的に言うと積極的になった
それだけなら良かったねで終わるん話なんだけど、聞いた話だと他の艦娘にはいつも通りらしい
つまり、これは推測だけど自分の前でだけのみ積極的になっている

それが何でなのかは自分には分からない
もしかしたらと思って教官にも聞いてみたが知らないとの事だ

偶には休ませるのも良いのかもしれないね



―――――

―――




吹雪「休みですか?」

提督「うん、偶には良いかなって。何人か以外は一日何してもOKって事で考えてるよ」

吹雪「! だったら司令官、一緒にどこかに行きませんか!」

提督「流石に自分は休めないよ」ハハハ

吹雪「そんなぁ……」ガックリ

提督「……と言いたいんだけど、自分も色々消耗品が足りなくて」ハハハ

吹雪「!」

提督「二時間だけ出かけてくるから、帰ってくるまで指揮を頼めるかな?」

吹雪「……はい」

提督「二時間分はその内時間を取るから。じゃあみんなに通知してそのまま行ってくるね!」


ガチャバタン


吹雪「……まだ届かないんですか?」

廊下


提督「て事で、この紙に書いてある艦娘以外は全員一日休み!」


ヒエー! ヤリーキョウヤスミジャーン


提督「今日休みじゃない組は明日休みにしてあるから安心して良いよ」


ワイワイ


??「提督は今日どうするんですか?」

提督「ん、二時間だけ買い物して後は仕事だよ。はっちゃんは?」

伊8「いきなりですからまだ何も……もしよかったら一緒について行っても良いですか?」

提督「良いけど、折角の休みなんだから色々やって良いんだよ?」

伊8「大丈夫です。それじゃ、着替えてきますね」



伊8「お待たせしました。さぁ行きましょう」

街中


提督「うん、これくらいで大丈夫かな。あれ、はっちゃん?」

伊8「……」ジー

提督「お、居た居た。……古本屋?」

伊8「あ、提督。つい夢中になってしまって、ごめんなさいね」

提督「まだ時間あるし大丈夫だよ。何読んでるの?」

伊8「Minnesangです、提督」

提督「ミンネ、ザング?ドイツの本?」

伊8「そうですよ。まさか日本で見つかるなんて思ってなかったです」

提督「もしよかったら買っていく?」

伊8「いえ……一応役には立ちますが、私が使うには十分じゃないので」

提督「? 要らないなら良いんだけど……後で欲しくなったら取り寄せるから言ってね」

伊8「その時は、提督にも読んでほしいです。ドイツ語の勉強も一緒に、ね」

提督「ははは……お手柔らかに頼むよ」

……


提督「んじゃ、そろそろ戻ろうか」

伊8「はい」

露天商「お、そこのお二人さん。ちょっとだけで良いから見ていかないかい?」

提督「いえ、なるべく早く戻りたいので、すいません」

露天商「おいおい、そんな冷たいこと言わずに。それに彼女さんは興味ありそうですよ」

伊8「っ!」チラ

提督「いや、この娘はそんなんじゃ……」

露天商「おや、そうなのかい?まぁいいや、本当にちょっとで良いからさ、頼むよ!」

提督「……少しだけですからね」

露天商「ありがてぇ!それで、お嬢ちゃんは何が欲しいんだい?」

伊8「……これ、super……!」

露天商「お、指輪か!いいとこに目が行くねえ!」

提督「……」

露天商「どうだ?普通は1個1500円だけど、お嬢ちゃん可愛いし2個で2000円でどうだい?」

提督「……まあこういうのも良いか。買った」

伊8「……提督?」チラ

露天商「毎度!どうせ二個あるんだし、ペアルックでもしたら良いと思うぜ!」

提督「はいはい。じゃあはっちゃん、行こう」

伊8「うん……」


……


伊8「提督」

提督「うん?」

伊8「……Danke」

提督「大丈夫だよ。それに二個買ったんだから一個誰かに上げれば良いと思うよ。仲良い子とかにね」

伊8「……だったらはい、提督」

提督「? 自分で良いの?」

伊8「元々提督のお金で買ったんだし、それに今日連れてきてくれたお礼ですよ」

提督「そういう事なら。うん、ありがとう」ニコ

伊8「うん……!」

提督(あれ……なんか忘れている気がする。指輪……うーん?)


……


吹雪「~♪」


セッセセッセ

執務室


提督「ただいま」

吹雪「あ、司令官お帰りなさい!」

提督「うん。それじゃ、後は自由時間で良いからね」

吹雪「はい!」

提督「さて、書類はと……」

吹雪「……」ニコニコ

提督「……」モクモク

吹雪「……」ニコニコ

提督「……」カキカキ

吹雪「……」ニコニコ

提督「……ねぇ、吹雪」

吹雪「はい!なんでしょうか!」

提督「なんで居るの?自由時間だよ?」

吹雪「はい!だから提督と一緒に居ます!」

提督「……」

吹雪「……」ニコニコ

提督「命令、ここを出て遊んできなさい」

吹雪「ええ!?」

提督「折角の休みなのに、執務室に居たら意味ないでしょ」

吹雪「でも……」

提督「自分とならいつでも居られるでしょ?ほら、自分のことは良いから行ってきなさい」

吹雪「……はい」

提督「やれやれ……」


スッ キラッ


吹雪(! ……あれって指輪?)


提督「……」モクモク

吹雪「……行ってきます」

提督「はい、行ってらっしゃい」


ガチャバタン

廊下


吹雪「指輪……」


ケッコンカッコカリ


吹雪「! まさか……!」


ハッチャンソノユビワナンナノー?


吹雪「!!」

伊8「内緒、ですよ。うん」

伊19「その指輪のデザインとってもいいのー!羨ましいの!」

吹雪(あの指輪……司令官のと……!)


一対の指輪 それぞれ着ける

二人の間に恋愛感情


吹雪(……)

伊8「Danke。それで、これからなにする?」

伊19「うーん、あ!吹雪さんなの!」


吹雪「……はっちゃんさん。ちょっと今良いですか?」ニコ



想うだけじゃだめ
いかなきゃだめ


司令官にも私の想いを届かせないと


なんとしても

ヒトハチマルマル

波止場


提督「お待たせ」

吹雪「……司令官。遅いですよ」

提督「あはは……遅刻癖だけはなかなか治らなくて」

吹雪「大丈夫です。そこを含めて司令官ですから」ニコ

提督「それで、執務室じゃなくて波止場でだなんて何かあったんだっけ?」

吹雪「いえ、お仕事は今日はお休みですから」

提督「? 朝遊んできてって言ったよね。もう良いの?」

吹雪「はい、十分遊んできました」ニコ

提督「あ、うん。なら良いけど」

吹雪「……司令官はケッコンカッコカリってご存知ですよね?」

提督「! ……うん、知っている」

吹雪「それには何が必要かご存知ですか?」

提督「それは……」

吹雪「指輪、ですよね?」

提督「?!」

吹雪「そして、その指輪って」


スッ


提督「!」

吹雪「これですよね?」ニコォ


吹雪の左手には一つの指輪が付けられていた

提督の指につけられている指輪と同じデザイン

伊8と提督しか持っていないはずのものを

提督「その指輪……!」

吹雪「司令官、酷いです。……司令官は私が今までどれだけアピールしたか覚えていますか?」

提督「アピール……?」

吹雪「ケッコンカッコカリのことを知ってから、毎日司令官を起こしました。ご飯を作りました。お背中を流そうとしました。体調を管理しました」

提督「……あれってもしかして」

吹雪「はい、少しでも司令官に私を意識してもらいたくてやりました」

提督「マジですか……」

吹雪「なのに……司令官は……他の娘と……他の……」

提督「吹雪、その指輪は……!」

吹雪「知っていますよ。ケッコンカッコカリの指輪じゃないんですよね」

提督「! なら……!」

吹雪「関係ないです……!司令官が……他の娘に、指輪を上げた。その事実だけでダメなんです!」

提督「っ……!」

こんなタイミングで悪いが>>1の後の時雨との生活がみたい

吹雪「だから、今日想いを伝えに来ました」

提督「想い……?」

吹雪「はい、……司令官、腕を出してください」

提督「? はい」スッ

吹雪「ありがとうございます」クルクルキュ

提督「吹雪、どうして紐でお互いの腕を結んでるの?」

吹雪「司令官、死んでも、忘れないでください。私のことを、私と居た時間を」


ゴスッ!


提督「!!?」


ドッボーン ブクブクブク…

ゴポブクゴプ


吹雪(……結局、私の想いは伝えられなかったなあ)

吹雪(あ、提督が手錠を外そうとしている)

吹雪(……動きが止まった。司令官……)

吹雪(大丈夫、私がずっと支えますから)

吹雪(だって……一緒の、指……わ……が、)



ゴポ

吹雪ルート 終わり

まず、私用で放置してしまい申し訳ありませんでした
そして、保守ありがとうございました
これからも度々放置するかもしれませんがなるべく手を煩わせないようにしますので許してください


>>363
後で挑戦しますが多分他の方が書いたヤンデレ物と同じテンプレ展開になるかもしれません

ヤンデレの天龍を……!

テンプレ展開ってなんだ……
パクリ展開ですね


とりあえず残りルート

浜風 >>145
(蒼龍 >>145)
大和 >>169
ロ600 >>206
電  >>227
若葉 >>228
秋月 >>303
龍田 >>311
時雨(本編その後)  >>363
天龍 >>367

絶対仕上げます

浜風 >>145

大淀「提督、起きてください」

提督「ん……大淀か」

大淀「寝不足ですか?最近よくうたた寝してらっしゃいますが」

提督「夜はしっかり寝てるはずなんだが……気を付けるよ」

大淀「私が付いているとは言っても、ここの責任者は提督なんですからね?はい、これお願いします」スッ

提督「……分かってるよ」カキカキポン

大淀「ところで……そろそろお昼の時間なのですが提督はどうなされますか?」

提督「偶にはここで食べるのも良いかな。仕事もしないといけないし」

大淀「誰かさんがうたた寝しなければ、もう少しゆっくり食べられるのかもしれないんですけどね」

提督「……」

大淀「冗談ですよ、ふふ。それじゃご用意しますね」


ガチャバタン


提督「……さて」カキカキ

ガチャパタン


提督「ん、やけに早かったね、大淀」

浜風「提督」

提督「ってなんだ浜風か。どうした?何か用?」

浜風「……提督と一緒に昼食を取りたくて来ました。ダメ、ですか?」

提督「お、そうなのか。今ちょうど大淀が取りに行ってるから。戻ったらみんなで食べるか」

浜風「なるほど、みんなで、ですね」

提督「うん。みんな仲良く、だぞ」

ガチャバタン


大淀「提督、今戻りました。……あら?浜風さん」

提督「お、今ちょうど浜風と昼食の話をしていたところなんだ。折角だし三人で食べようって」

浜風「……」

大淀「でしたらもう一人分持って来ないと……てっきり二人で食べると思ってましたので」

提督「あ、確かに」

浜風「……だったら、私は大丈夫です。また何時か、伺いますね」ニコ

提督「おいおい、遠慮しないで良いんだぞ?なんなら俺の食べたって―――」

浜風「いえ、大丈夫です。失礼しました」


ガチャパタン

……


大淀「ところで」

提督「ん」モグモグ

大淀「うたた寝の話です」

提督「随分と引っ張るね」ゴックン

大淀「このままですと職務に差し支えありますから。それに……」

提督「それに?」

大淀「仮とは言えケッコンした相手ですので。その、もしかしたら悪い病気なんじゃないかと……」

提督「……大淀」


ナデナデ


大淀「あっ、提督……」

提督「……それじゃ、今日早く寝るために午後も張り切ってやりますか」

大淀「はい、頑張りましょう」

……

ニイイチマルマル


提督「はい、今日はこれで終了」カキカキポン

大淀「お疲れ様でした。……提督」

提督「分かってるって。今日はいつもより早く寝るから」

大淀「ふふ、なら安心です。ではお疲れ様でした」

提督「お疲れ様」


ガチャバタン


提督「……大淀にもああ言ったし、早く寝よう」



提督「おやすみ」

翌日


大淀「……今日は寝坊ですか」

提督「……ごめんなさい」ドゲザ

大淀「もしかして提督、よく眠れてなかったり途中で起きたりされていますか?」

提督「そんなことはない、はず。うん」

大淀「そうですか。とは言え、いずれ病院で見ていただいてくださいね。これでも心配していますから」

提督「……考えておく」


カキカキ カキカキ


提督「……」

……


大淀「これで終了ですね。お疲れ様でした」

提督「お疲れ、大淀」

大淀「提督、分かっていると思いますが……」

提督「今日こそちゃんと寝る、だね。大丈夫だよ」

大淀「はい。では」

提督「うん、おやすみなさい」

大淀「おやすみなさい」


ガチャバタン


提督「……寝よう」

深夜


提督「……」Zzz


キィィ パタン


??「……」

提督「……」Zzz

??「…………」ゴニョゴニョ

提督「……」ピク

??「…………」ボソボソ

提督「……んっ」ピクピク

??「……」ボソ

提督「……」


ムクリ


提督「……」

翌日


提督「……」

大淀「提督、おはようございます。今日は大丈夫そうですか?」

提督「……あ、大淀か。おはよう」

大淀「……まだお疲れの様ですね。何かお持ちしますか」

提督「いや、疲れは結構取れている。取れているんだけど……」

大淀「? どうなされましたか?」

提督「上手く言えないんだけど、もやっとしていると言うかすっきりしないと言うか」

大淀「恐らくまだあまり眠れていないのでは。あまり無理なされないでくださいね」

提督「……そうするよ」

大淀「さて、今日も早めに終わらせましょう」




提督「……」カキカキ

大淀「……これ、お願いします」スッ

提督「はい」ポン

大淀「……お昼どうなされますか?」

提督「この調子だとゆっくり食べている暇はないかもしれないな……」カキカキ

大淀「では、いつもの様にここで召し上がりますか?」

提督「そうだな。それしか―――」


ガチャバタン


浜風「失礼します」

提督「浜風か。何かあった?」

浜風「昼食をご一緒できればと思いまして。今日はお時間大丈夫ですか?」

提督「あー、今日はちょっと……」

浜風「だめ、ですか?」

提督「……!」

浜風「……」

大淀「……?」

提督「……分かった」

大淀「提督!?」

提督「……すぐに戻る」

浜風「ありがとうございます、提督」クス


ガチャバタン


大淀「……??」

提督「!」ハ

提督(ここは……執務室じゃない? 裏庭?)キョロキョロ

浜風「提督、どうしましたか?」

提督「浜風……? なんで?俺、仕事していたはずじゃ」

浜風「お昼にご一緒すると執務室で仰られましたので。覚えていないのですか?」

提督「ごめん、まったく記憶になくて……」

浜風「ふふ、大丈夫ですよ。とりあえずこちら、どうぞです」スッ

提督「あ、うん。ありがとう……」パクリ

浜風「……ふふ」ニコ

提督「……??」モグ

執務室


提督「……ただいま」

大淀「……」カキカキ

提督「なんか、ごめん」

大淀「……」カタカタ

提督「言い訳だけど、俺もなんであの場所に居たのか全然覚えてなくて」

大淀「……」ピタ

提督「と、とりあえず仕事に戻るよ……かなり溜まってるし」

大淀「本当に覚えていらっしゃらないのですか?」

提督「……まったく」

大淀「分かりました。でしたら大丈夫ですよ」ニコ

提督「……ありがとう」カキカキ

……


大淀「それでは失礼します。今日もお疲れ様でした」


バタン


大淀「この現象、考えたくないけど……」


スタスタ


??「……」


ガチャバタン


提督「ん?こんな時間にどうした浜風?」

浜風「提督に用事がありまして」

提督「用事か。しかし今日ももう遅いし明日じゃ―――」

浜風「だめ、ですか?」

提督「……分かった」

浜風「ありがとうございます、提督」クス

提督「……」

浜風「それで、用事と言うのは―――」ボソボソ

提督「……分かった」

浜風「それじゃ、行きましょうか。善は急げ、です」クスクス


ガチャバタン

……

個室


提督「! 執務室じゃない……?」

提督「なぜだ……うーん、だめだ。浜風と話をしてからの記憶が抜けてる」

提督「そういえば前にもこんなことがあったような?」ウーム


キョロキョロ


提督「ここは艦娘の部屋辺りかな。……見た目には誰の部屋だか分からないが」

提督「なにはともあれ、ここを出ないと」


スッ ググググ


提督「え、ドアノブが動かない……か、鍵は」


ググググ


提督「だめだ……ビクともしない」

提督「部屋の持ち主が戻るまで待つしかないのか……」ハァ

提督「……しかしこの部屋、机とベッドしかないみたいだな」

提督「他の娘の部屋だともっと年頃の女の子っぽい感じなのになぁ」

提督「悩みでもあるんだろうか……戻ってきたら聞いてみよう」

??「提督」

提督「うはあ!」ビクン

浜風「どうしました?」

提督「は、は、は、はま……はま、かぜ……びっくりした」ハァ

浜風「驚かせてしまったようで、すみません」クス

提督「……それで、浜風はどうしてここに?」

浜風「どうしてもこうしても、ここは私の部屋ですよ?」

提督「あ、そうだったんだ……」

浜風「それで、提督。私の悩み事、聞きたいですか?」

提督「……いつから聞いていたんだ」

浜風「……さぁ?」クスクス

提督「……」

浜風「そんなことより、私の悩みですが」

提督「そうだった。できる限りのことは行うつもりだから、遠慮なく言ってほしい」

浜風「実は私、日記を書いているんです。それを読んでいただければ、何に悩んでいるのか分かるはずです」

提督「口頭じゃダメなのか?」

浜風「はい、可能な限りすべてを見てほしいので」

提督「……分かった」

浜風「では、こちらが私の日記です。この日記の事、他言しないでくださいね」クス

提督「あぁ、分かってる」


ペラ

---

07/01

今日から○○鎮守府へ着任する
規模はそれほど大きくないけど、雰囲気は悪くないみたい

---

提督「……驚いた。着任した日から書いているのか」

浜風「はい」

提督「……」

浜風「……」

提督「……」


ペラ

---

07/02

今日は秘書艦の大淀と一緒に鎮守府内を見て回った
聞いた限りだと陽炎姉さん達や妹達は居ないみたい
ちょっと残念

---

07/10

今日、工廠へ向かう途中で迷ってしまい、通りがかった金剛に案内してもらった
その後、少しの間昔の事や今の生活の事などを話していたが、途中で榛名に呼ばれて行ってしまった
去り際に金剛は何かあったら提督に頼ると良いと言っていた
姉妹艦の事、提督に話してみようかな

---

07/14

昼食の時に提督が近くに来たので姉妹艦について話をした
提督は真面目な顔で聞いていたようだが、明確な返事は頂けなかった
ちゃんと伝わったのだろうか心配だ

---


提督「……」ペラ

---

07/20

今日、谷風に会うことができた
最も演習の相手としてだったけど
久しぶりに会う妹は相変わらず騒がしかったけど、元気そうでよかったと本当に思う

---


提督「……そういやそんなこともあったっけ」

浜風「はい。後で聞きましたが、提督の尽力で演習が実現したらしいですね」

浜風「あの時は谷風に、妹に会わせていただきありがとうございます」

提督「そこまで感謝されることじゃないと思うんだけど……ははは……」


ペラ

---

07/21

秘書艦に窘められてしまった
原因は昨日の事で浮かれすぎてしまったからなのだけど、
平静を保っていたつもりはずなのに隠しきれていなかったようだ
提督にも笑われてしまったし、しばらくは立ち直れないかもしれない

---

提督「……なんて言ったんだっけ」

浜風「たしか、『姉妹に会えて喜ぶなんて浜風もやっぱり女の子なんだな』だったと思います」

提督「セクハラだった……」ガクッ

浜風「大丈夫です、本当の事ですので。それに笑っていただいて少し安心しました」

提督「……ここには立ち直れないかもって書いてあるけど?」

浜風「それですか。それはいわゆる枕に頭を埋めて足をバタバタさせると言う奴です」

提督「……?」

浜風「分からなければ大丈夫です」

---

07/22

寝坊してい急いで準備していたら部屋の外から提督の声が聞こえた
どうやら昨日のやり取りでまた顔に出てしまったようで、様子を見に来たようだった
大丈夫だと伝えたら安堵したようだったが、まさか提督が来るとは思ってもなかった
私は提督から信頼されているのだろうか
嬉しいような、でもそれでいて少し不安なような、そんな気分。

---

提督「なるほど。あの時のはただ単に寝坊だったんだね」

浜風「あの時はお手数をおかけしてすみませんでした」

提督「いえいえ。マネジメントも業務の一つだしね。心配するのは当然の事だよ」

浜風「……もし、他の娘が同じような時でも、ですか?」

提督「? もちろん。仕事だからね」

浜風「……そうですか」

提督「浜風?」

浜風「ところで提督、私の悩みは分かりましたか?」

提督「……いや、今のところさっぱり」

浜風「早く見つけていただかないと。あまり時間ありませんよ?」

提督「そんなこと言っても……」


ペラッペラッペラッ


提督(ほとんど日常の出来事だけなんだよね……誰かと話したとか谷風から手紙が来たとか)


ペラリペラリ

ペラ


提督(! ここだけページがない……それに引きちぎられた跡……?)

提督「浜風……このページ」

浜風「……」

提督(やっぱり。この日に何かあったに違いない。そして浜風はそれで悩んでいる)

提督(とするとその前の数日の内容を見れば原因が分かるはず)

---

08/05

谷風の所の鎮守府とまた演習があるらしい
提督の話を聞く限りだと、また谷風が来るのだろうか
以前は驚きと喜びであまり話ができなかったから、今回は手紙に書けなかった事も含めて色々と話せればと思う

---

08/06

演習の日が楽しみであまり眠れなかった
眠そうな雰囲気が漏れていたようで、提督に心配されてしまった
申し訳なさと眠さと、嬉しさともやもやが混ざった変な気分だった

---

08/07

いよいよ明日だ
姉妹として谷風に笑われるような戦いをしないようにしなければ
その前に興奮して眠れなかった、なんて事にならなければ良いのだけど

---

提督(そして破られたページか……)

提督(だとしたら原因は……)

提督「浜風……原因なんだけど」

浜風「分かっていただけましたか?」

提督「やっぱり……その、谷風……なんだよな」

浜風「……」

提督「相手の提督からは聞いているよ。谷風が演習の前日に轟沈した事」

提督「なるべく浜風の耳には入れないようにしていたんだが……どうやら知られていたようだね」

浜風「……」クス」


スタ


提督「だからあの後……なのに俺は……すまなかった」


スタ


提督「浜風」

浜風「ハズレです。あなた」

浜風「ハズレです。あなた」ボソ


浜風の、耳元での囁きは妙に甘ったるくて、身体から力が抜けそうだった
文字通りの意味で

提督「へ……?」フラ

浜風「……」トン


膝から崩れ落ちようとした瞬間、俺は浜風に突き飛ばされた
正確には軽く押されただけなのだが
それなのにその軽い衝撃に対して、俺はまったく踏ん張ることができなかった


グラリ ボフッ


提督「浜風……?」

浜風「大丈夫です。後ろは私のベッドですし、ちゃんと加減していますから」

提督「そういう事じゃなくて……身体が動かないんだけど」

浜風「……提督、日記ですが、残り数ページ程残っています。最後まで読んでください」

提督「浜風、話を聞い―――」

浜風「流石に身体が動かせないのでしたら日記は読めませんよね?ですので」


スタスタ ポス クイ トス

浜風「これでどうですか?」クス

提督(ひ……ひ、膝枕……!?)

浜風「角度もあるのでそのままより見やすいと思います」

提督「……」

浜風「まるで子供に絵本を読み聞かせるお母さんですね」クスクス

浜風「さて、続きをどうぞ。私はページは捲りますが読み聞かせはしませんので、提督自身で読んでください」


ペラ

---

08/09

昨日のあれは夢なんかじゃなかった
それでも認めたくない一心で何度も頬をつねったがただ痛いだけで、その痛さはかえって夢の可能性を遠ざけるだけだった
今日はずっと寝ていよう
寝ている時だけは谷風の事を考える必要は無いのだから

---

08/10

ずっと寝ていたせいで深夜に目が覚めてしまった
流石に空腹で辛かったので部屋を出たら部屋の前に毛布に包まって寝ている提督が居た
提督のそばには提督が持ってきただろう食事があったので、それを食べることにした
既に冷えて味気なかったが、今まで食べたどのご飯より美味しかった

08/10 -2

食事の後いつの間にか寝てしまったようで、ドアを叩く音で目が覚めた
開けると提督が居て、昨晩、提督が持ってきた食事について聞かれた
私が答えると提督は安堵した様子だった
会話が終わり提督が職務に戻ろうとするとき、私は思わず提督の袖をつかんでしまった
提督は驚いている様子だったが、一番驚いているのは私だった
何であんなことをしたのだろうか分からない

08/10 -3

今朝のことについて考えてみる
去り際の提督の袖を掴んだこと、確かにあの時は何であんなことをしたのか分からなかった
でも、今日一日過ごしてぼんやりと見えてきた事があった
それは提督が私の前に居ないと不安に感じてしまうと言う事だ
何故なのだろうか

---

08/13

最近、提督を探すことが日課になってしまっている
提督はよく他の娘達と居る。秘書艦の大淀とは特にだ
指揮官なのだから当たり前なのだが、他の娘達と居ることで私に構ってくれない事に腹が立つ
これは嫉妬なのだろうか
胸がもやもやする

---

08/15

もやもやの正体が分かった
最初私は、提督と谷風を重ねて見ていたのだと思っていた
でもそれは間違いだった
今、私は提督に恋をしている
だから提督が目の前に居ないと不安だし、他の娘達が提督と話しているとイライラする
どうすれば提督は私を見てくれるのだろうか

提督「……」ワナワナ

浜風「これでこのノートは最後ですね。提督、私の悩みは分かりましたか?」

提督「……分かった……どうやったら俺と付き合える、だ」

浜風「正解です。正確には少し違いますが」

提督「……?」

浜風「それはさておき、二冊目はここにあるのですがどうされますか?」

提督「?」

浜風「恐らく提督は中身については気になっていると思います」

浜風「ですが、これを読むことによってこの体勢がもう少しだけ続く事になります」

浜風「私はどちらでも構わないのですが、折角ですので提督に決めてもらいます」

浜風「読みますか?読みませんか?」

提督「……」

読む

>>415
何かすみません
ありがとうございます

提督「……読む」

浜風「そうですか」クス

提督「だけどちょっとその前に聞かせてくれ。二冊目には何が書いてあるんだ?」

浜風「そうですね……あえて言うのであれば、手段でしょうか」

提督「手段……とするとその後は結果か」

浜風「はい、それについては日記よりも分かりやすい形でお見せできればと思います」

提督「? 結果を見せたらそれで終わるんだな?」

浜風「そのつもりでいます」

提督「……分かった。早く見よう」


結果まで見ればおそらくは解放されるはず
全てが終わったら、戻って仕事を進めないとな
そして後は、艦娘達のケアに付いてもう少し考えないといけないかな


浜風「そうですね。ですが、その前に」


スッ

浜風「ちょっと体勢を変えますね」ヨット

提督「浜風?」

浜風「やはりこの体勢は辛いですね。先ほどは体勢は変えないと言ったのにすみません」

提督「いや、良いんだ。楽な姿勢でやってくれた方がこっちも気が楽だしな、うん」


最も、こんな事になった原因は紛れもなく浜風なのだが


浜風「これでどうでしょう?」

提督「添い寝……」

浜風「枕については、今は普段私が使っているものしか無くて。すみません」

そういえば浜風が退いたはずなのにいつの間にか頭が包み込まれていた
浜風の枕は、当たり前だが浜風が使っている訳で当然浜風の匂いがする
その匂いはいい匂いと言うにはとても官能的で、それでいてどことなく安心感を与えてくれる


浜風「では改めて、こちらが二冊目になります。どうぞ」


この声もそうだ
先ほどまでの体勢ではそうでもなかったのに
それなのにこの体勢になって改めて聞くと、何故か興奮する
浜風の声は駆逐艦ならではの幼さは残っていて、しかしどことなく落ち着いている
普通ならただ単に声が聞こえるだけだがそうじゃなくて、耳の中に入ってくるのがはっきりと分かる
心地よい、ずっと聞いていたい嗅いでいたい


浜風「提督」

提督「! あ、あぁ」


何故だ、俺は一体何を考えているんだ
相手は駆逐艦、それに俺には大淀と言う指輪まで渡した相手が居るのに
落ち着け俺、大丈夫、もうすぐ解放される
大丈夫だ


提督「……よし」

浜風「……」

---

8/16

今日は一日提督のことを調べた
結果として提督は多忙だった
通常の執務に出撃組と遠征組の出迎え、見回り、そして艦娘のケア等といつも誰かかしらと相手をしている
それは休憩時間も例外ではない
他の娘と相手をしていると言うことはその分私を見てくれる時間が無いと言う事になる
もう少し観察を続けよう

---

8/17

観察して分かったことがある
一日の内、通常の執務以外にもほとんどの時間を秘書艦と過ごしている
聞けば提督と秘書艦は結婚した仲らしい
秘書艦に対して羨ましさと悔しさを感じざるを得なかった

---

8/18

結論から言えば、やはり提督と長く過ごすには私が秘書艦になるのが一番手っ取り早いのかもしれない
とりあえず明日からは頻繁に執務室を訪れてみて、提督の気持ちを私に向けられる様に努力する
提督に会いたい

---

提督「浜風……お前そんなことを考えていたのか」

浜風「はい」

提督「既に知っているようだが、俺には大淀が居る。形だけだがケッコンしているし、彼女を裏切る事はできない」

浜風「そうかもしれないですね」

提督「なら―――」

浜風「提督、先ほども申しましたが、最後までから日記を読んでから判断してください」

提督「……」

浜風「では続きですね」


ペラ

---

8/23

提督からあまり仕事の邪魔をしないように怒られた
言い始めたのは秘書艦なのだが、それに提督が同調した形だ
提督に言われたからここは引き下がったが、このまま引き下がる訳はない
しかし、ここ数日の様子から見るとこのままじゃ何も変わらなさそうだ
少し早いが別の方法を考えた方が良いのかもしれない

---

8/25

催眠術と言うものがあると知った
要するに提督が振り向かないのであればこれで振り向かせれば良いと言う事だ
提督に対して罪悪感はある、がここで立ち止まるわけにはいかない
何としても提督を手に入れる

---


提督「!?」

浜風「……どうされましたか?」

提督「いや、ここの催眠術って一体……」

浜風「……続けますね」

---

9/2

一週間かけて必要な催眠術について学ぶことができた
ついでにこの期間の中で提督の寝室の鍵も手に入れる事ができた
いよいよ今晩、提督に催眠術をかける

---

9/3

昨晩は提督に暗示の催眠をかけた
ある合言葉を言うと通常の状態からでも催眠状態に移ると言うものだ
寝ている時は上手く行ったと思ったのだが、昼にかかったか試したところどうも失敗の様だ
今晩また暗示をかけるつもりだ

もし、合言葉忘れた時の為にここに記載する
合言葉:ダメですか

---


提督「……これは本当なのか」

浜風「本当です、提督」

提督「信じられない。まさか自分が催眠状態だなんて……まさか今のこの状態も」

浜風「ふふ……どうでしょうか」

---

9/4

昨晩の術で無事に提督に暗示をかける事ができた様だ
また、あのままだと暗示がかかっているか分かりにくいことに気付いたため、ついでに別の術もかけてみた
不安だったが、それについても無事にかかっているようだ
今の提督ならば合言葉を言うだけで催眠状態になり、そして私の言うことを聞いてくれるはずだ
ただし、今の段階では暗示がかかっている時の記憶が無いのは欠点だろうか
今晩からはもう少し強い術に挑戦しよう

---

浜風「提督」

提督「……なんだ」

浜風「最近、突然記憶が無くなった時はありませんでしたか」

提督「……」


記憶から探ってみる
……あった
一回目はいつの間にか裏庭に居て、二回目はこの部屋に居た
そしてその近くには

提督「……浜風」

浜風「どうされました、提督?」

提督「記憶が戻った時、いつも近くに浜風が居た」

浜風「……」

提督「もしそれが催眠術の性ならば、俺はそれを許すことはできない」

浜風「そうですか」

提督「浜風、お前のその愛情は歪んでいる。おかしい」

浜風「そうですか」

提督「大体、俺を……その、好きならば他に方法があっただろう。もっと合法的な方法が」

浜風「……提督は本気でそう仰るのですか」

提督「あ、あぁ……」

浜風「考えてみてください。私はここに入ってまだ数か月です。秘書艦が入ってどれくらいかは知りませんが、少なくとも私よりもずっと長いはずです」

浜風「その分、提督との距離も近いし結婚も行っています」

浜風「そんな相手に正当な手段で勝てると思いますか?」

浜風「私と秘書艦、もし同じだけ愛情を重ねたとしても提督と居た期間の分秘書艦の方が有利です」

浜風「それに、私の方が秘書艦より多く愛情を重ねようと努力したって提督は、私にその機会すら与えていただけなかった」

浜風「私はそんな可能性のない方法に時間を費やすことはできません」

浜風「なので、この手段に賭けざるをえなかったのです」

提督「……」

浜風「私は、提督のすべてが欲しい」

浜風「その声も視線も仕草も他の娘に向けているも体も、提督に関することはすべて欲しい」

提督「……狂っている」

浜風「そうかもしれません。もしここに着任したばかりの私が、今の私を見たら軽蔑するでしょう」

浜風「ですが、もう私にも止めることができません」

浜風「今、提督を手に入れられなければ恐らく未来永劫提督のそばに居ることはできないでしょう」

浜風「そうなれば私はまた孤独になってしまう。それだけは絶対に避けなければなりません」

提督「……」


狂っている。間違いなく彼女はおかしい
おかしいのに
なのに浜風の声が耳に入るたびに彼女のことを愛おしく思う気持ちが強くなっていってしまう

これも催眠術の性なのか
大声で説得すればこの訳の分からない気持ちだってきっと収まる
根拠はない、がこのまま俺の頭をぐちゃぐちゃにされる訳にはいかない


提督「はまかぜ」


大声で叫んだ、つもりだった
だがその声は誰が聞いても十人中九人は普通の声と言う程に小さかった


浜風「……短いですが次が最後のページです」

---

9/5

秘書艦がこの事態に気づいたようだ
私だとはっきり分かるまで時間は掛かるだろうが、悠長に催眠をかけ続けるわけにはいかない
提督は先ほど私の部屋に連れてきた
今晩中に全てを決めるつもりだ

---

浜風「……以上が二冊目です」

提督「……」

浜風「提督、何かこれについてありますか?」

提督「……」

浜風「無言ですか」


黙りたくて黙っている訳じゃない
気を緩めると気持ちが持っていかれそうなだけだ
ただ、抵抗の意志は示さなくてはならない

提督「……」キッ

浜風「提督、そんなに私を見つめてどうされましたか?」

提督「……」フイッ


俺としては睨んだつもりだった
だけど浜風にとってはそれもただ見つめているだけにしか捉えられていないらしい
そう思われることすら不満なので、すぐに目線を逸らしたがこうなると何がどうすれば良いのかが分からなくなる


浜風「さて提督、今までのはすべて冗談です」ボソ

提督「!?」


嘘だって?そんなはずはない
現にいまこうして拘束されている
それにあの歪んだ愛情を嘘で言えるとは思えない


浜風「嘘だと、思われるかも、しれませんが、私の部屋に、連れてきたのも、提督に、休息を与えるためです」


でも、浜風の声は今までよりも優しくて、そしてゆっくりとしたテンポで


浜風「ですので、目を閉じて、深呼吸をしてください」


自分の意志とは関係なく、従ってしまう

浜風「深く、深呼吸。自分のペースで、ゆっくりと」

提督(……深呼吸)

浜風「息を吸うと、脳がほわほわする」

提督(……)スゥ

浜風「息を吐くと、体から力が抜ける」

提督(……)ハァ

浜風「深く、考えない。リラックス」

提督(……)ボー

浜風「今、提督の前には、深い洞窟があります」

浜風「洞窟は奥は暗くてよく見えません」

浜風「ですが、その奥には、提督の大事な人が、居るような気がします」

浜風「今からこの洞窟を進んでみましょう。暗闇に向かって、一歩ずつ、歩くイメージ」

浜風「暗い洞窟の中に一人。でもどんどん進む」

浜風「静かな空間に足音が響く。海沿いなのか、気持ちの良い浜風を肌に感じる。気持ちいい」

提督(気持ちいい……)


……


浜風「進むたびに、愛する人に会えると言う幸福感が大きくなる」

浜風「そしてそれに合わせて歩みも速くなる」

浜風「肌に受ける浜風も強くなる」

提督(……愛する人)


……


浜風「お疲れ様です。洞窟の最後までたどり着きました」

浜風「後一歩進めば愛する人のところまでもうすぐです」

浜風「待ちきれませんよね?だって、愛する人が待っているのですから」

浜風「ですから、走りましょう」

浜風「池や沼などの、淀んだ水、の様ではなく風の様に、誰にも縛られずに走る」

提督(走る)

浜風「速く走れば、それだけ提督の愛する人に会えるのだから」

提督(会える)

浜風「だから、速く、もっと速く。もっと、もっと」

提督(会いたい。彼女に会いたい)


……


浜風「さて、着きました」

浜風「あなたの目の前には、あなたがこの世で一番大事で、愛する人が居ます」

提督(……)

浜風「良かったら、その人のことを教えてくれませんか?」

提督「……その人は普段は大人しいのに意外と押しが強くて」

提督「料理も上手で」

提督「そして俺のことをずっと考えてくれている娘だ」

浜風「そうですか。では、もしよろしければその娘の名前を聞いても良いですか?」

提督「…………浜風だ」

浜風「そうですか」

提督「……」

浜風「では、後ろを向いてみてください。そこにはもう一人女性が居ます」

提督「……」

浜風「その人はあなたが昔好きな人でした。ですが今のあなたにはもう既に大事な人が居ます」

提督「……」

浜風「その人は、あなたと、あなたの大事な人との間に割って入ろうとしています」

提督「……!」

浜風「それはあなたにとってとてつもなく苦痛で、嫌な事です」

浜風「あなたは、愛する人との生活を守りたい。そうですよね?」

提督「……あぁ」

浜風「ならば、それを壊す人はどうしたら良いと思いますか?」

提督「……近づけなければ良い」

浜風「……そうですか。分かりました」

浜風「それでは、その愛する人と一緒に元の道を戻りましょう」

提督「……元の」

浜風「決して手を放してはいけません。ゆっくりと、確実に」

浜風「急がない。急がない」

浜風「出口が近づくたびに、提督の感覚は戻っていく」

浜風「身体が活力で戻ってくる。満ちてくる」

浜風「入口を抜けたら、あなたは今まで起こったことを忘れている」

浜風「でもあなたが連れてきた、大事な人の事だけははっきり覚えている」

提督「……浜風」

浜風「はい、ゴール。起きてください」

提督「……」パチ

浜風「提督、おはようございます」

提督「浜風……俺はなんでここに……それに何で浜風は添い寝を?」

浜風「疲れたからと言ってここで寝てしまったのは提督ですよ?」クス

提督「……あぁ、そうだった。ごめん、浜風」

浜風「ふふ……提督、私の事好きですか?」

提督「?何を言っているんだ浜風。……愛しているに決まっているだろ」

浜風「私もですよ、あなた」チュ

翌日


大淀「どういう事ですか!秘書艦から解任するなんて」

提督「すまん。だが、浜風の方が適任だと感じたんだ」

大淀「そんな……」

提督「今までよくやってくれた。ありがとう」

大淀「……もう良いです!」


ガチャバタン


提督「行ったな」

浜風「そうですね」

提督「これで、浜風とずっと居られるな」

浜風「でも、良かったのですか?あの人はこれからこの鎮守府にとって悪影響を及ぼすかもしれませんよ?」

提督「良いんだ。大淀も戦力なんだ。解体するわけにはいかない。それに」

浜風「それに?」

提督「……何故だか、大淀の事を考えるともやもやとするんだ」

浜風「! ……そうですか」

提督「ま、そんなことより仕事を進めないとな。初めてだからって手加減しないからな」

浜風「それについては大丈夫です」

浜風(あの人を排除するように術をかけたのに……ぎりぎり耐えたようですね)

浜風(とりあえずはあの人の排除が第一、後はそれから考えれば良いですね)




浜風「提督いえ、あなた」

提督「ん?」

浜風「今夜もお疲れになるかもしれませんので。私の部屋で一緒に添い寝しましょう。ダメ、ですか?」

浜風ルート 終わり

色々くどかったですよねこのルート
すみません

次は蒼龍を飛ばして大和の予定です

ちなみに最後の催眠の部分ですが、
http://www29.atwiki.jp/hypnonanie/

ここに記載れていた作品より少しずつ引用しました
興味がある方は参考までにどうぞ

提督「好きなところ?んーそうだな」

提督「まず、料理がおいしいことかな。他にも料理の上手い娘はいるけど、特に大和のは口に合うよ」

提督「この前のランチはもちろん大和が作ってくれたんだよね?」

提督「……やっぱりそうなんだ。料理の細かいところまで気を配っていたから、これは大和が作ったんだってすぐわかったよ」

提督「後は、一緒に居て落ち着くところとかかな?」

提督「こういう仕事してると結構ストレスが溜まるんだ。そういう時に横を見ると大和がいて、」

提督「『どうされましたか?』って気にかけてくれるのがすごく心地よくて。」

提督「大和は、よく『大和ホテル』ってからかわれるけど、俺はそんな『大和ホテル』の近くにずっと居たいと思ってるよ」

提督「ねぇ大和、俺と―――」


―――――

―――



チュンチュン


大和「……夢?」

提督「おはよう、大和。今日もいい天気だね」

大和「提督、おはようございます、提督こそ随分とお早いですね」

提督「早起きは三文の徳っていうしね。それに、大和の朝食が待ち遠しくて、つい起きちゃった」

大和「フフッ。でしたらその『徳』が無くならないように急いでしたくしてきますね」ニコ

提督「うん。よろしくね」


トントングツグツ

大和(……朝食が待ち遠しい)

大和(提督は、いつも私が作るご飯を楽しみにしてるけど)

大和(やっぱり、『大和ホテル』だからなのでしょうか?それとも……)

大和(……)

大和(あの夢、正夢だったらいいな)

大和(……)ニヘラ

大和「提督、お待たせいたしました」

提督「お、待ってたよ。今日は……魚料理だね」

大和「はい。ご近所の方から頂いたのと、ここ最近お肉料理ばかり出していたので今日は魚にしてみました」

提督「なるほど。大和はそういうところに気を配ってくれるから嬉しいよ」

大和(! このセリフ、夢でも)

提督「じゃあ冷めないうちに。頂きます」ペコ

大和「あ、頂きます」ペコ


提督「ふー、ごちそうさまでした」ペコ

大和「お粗末様でした。提督、今日の朝食はどうでしたか?」

提督「うん。秋の魚というと、和風の味付けしかないと思ってたけど、今日みたいな洋風の味付けでも美味しいんだね」

提督「毎食出してくれるコンソメスープとの相性も良かったし、なかなか、というかかなり満足」

大和「フフフッ、それでしたらよかったです。」ニコ

提督「俺自身、洋食が合うのかわからないけど、何となく大和の料理は口に合うんだよね。それを踏まえなくても十分おいしいんだけど」

大和「……後片付けしてきますね」ニコ

カチャカチャ


大和(提督がまた昨日の夢に出たセリフを……)

大和(もしかしてあの夢は本当に……)

大和(だとすると、夢の中の提督が最後に言いかけた言葉って)

大和(ケッコン、とか)

大和(って何馬鹿なこと考えてるの!?)

大和(でも、それが本当だったら)

大和(……)

大和(///)ニヘラ

大和「提督、お待たせ致しました」

提督「お、お疲れさま。早速で申し訳ないんだけど、昨日終わらせるはずだった仕事が終わってなくて、手伝ってもらっていいかな?」

大和「あ、はい。お任せください」


………

大和(あ、そろそろ昼食の準備をしないと。でも……)チラッ

提督「……」カキカキ

大和(溜まっている提督の仕事がまだあるし、もうちょっと後でも……)

提督「うーむ……」

大和「! 提督、どうされましたか?」

提督「ん?いや、ちょっと一つだけ難しい案件があってね。ちょっと煮詰まらない状態かな」

大和「でしたら、ちょっと一休みされたらいかがでしょうか?ちょうど昼食の準備の時間ですし」

提督「そうしたいのはやまやまだけど、今回は遠慮しとくよ……とりあえず大和は昼の準備をしてきて大丈夫だよ。ありがとう」

大和「そうですか……お力になれずすみません。」

提督「ううん。その言葉だけですごく助かるよ」ニコ

大和「……」

とりあえず今回は以上になります。

諸事情により一年以上ほったらかしてしまい申し訳ありませんでした。
と言いつつ、あさってよりまた少しの間、続きを書くのが厳しくなってしまう状況です。
それまでできる範囲で進められればと思っています。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月02日 (木) 01:05:27   ID: l9We8efS

諦めんなよぉぉ

2 :  SS好きの774さん   2015年04月07日 (火) 23:41:08   ID: r4ConcaO

面白い!完結期待♪ヽ(´▽`)/

3 :  SS好きの774さん   2015年04月07日 (火) 23:49:21   ID: r4ConcaO

榛ルートでハッピーエンド期待!

4 :  SS好きの774さん   2015年04月08日 (水) 13:05:45   ID: OCPmI2fA

榛名でお願いします。

5 :  SS好きの774さん   2015年08月10日 (月) 17:59:46   ID: MZUe_R70

楽しみに待ってるZE!

6 :  SS好きの774さん   2015年08月25日 (火) 00:13:52   ID: mik3mVne

榛名ハッピーエンドよかった

7 :  SS好きの774さん   2015年08月26日 (水) 16:29:35   ID: QpQXXKHG

面白かった。
龍田と天龍が楽しみ!

8 :  SS好きの774さん   2015年08月30日 (日) 22:34:53   ID: NzqTmlQN

続きくっそ気になるwwwww

9 :  SS好きの774さん   2016年09月29日 (木) 08:42:59   ID: Z5lHE6We

一年後に戻ってきた!期待

10 :  SS好きの774さん   2018年12月06日 (木) 12:07:44   ID: 5BbY8cOR

(*´Д`)ハアハア......たまらん!

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