【ソルキチ】久住(ホルン子)「バレンタインデーか……」 (54)

【登校中】

吉川「智香は誰かにチョコあげるの?」

久住「えっ!? いいいやそそそそんなないよないないないって!」

吉川「あからさまに焦っちゃって。じゃあカバンに入ってたこのキレイにラッピングされた手作りっぽいチョコはなんだ!」ヒョイッ

久住「あああっ! 返してよっ!」パシッ

吉川「で、誰用よソレ」

久住「お、教えないもん!」

吉川「そっかー、神峰かー」

久住「ええっ!? なんで分かっちゃうの!?」

吉川「え、マジなの?」キョトン

久住「うああああもおおおおお~!!」

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SOUL CATHCER(S)のSSです。
・いくつかの独自設定があります。
・書き溜め無しなので更新速度遅いです。
・前回のマジキチ展開を反省して今回は普通です。
ご容赦ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423915839

吉川「そっかー。『チョコ? 誰かにあげるくらいなら自分で食べたいよ!』とか言ってた智香も遂に色気づいてしまったかー」

久住「そんなこと言ってないもん!」

吉川「いやいや、中1の頃言ってたって」

久住「そうだったかな……ってそんなことより! 絶対誰にも言わないでよ!?」

吉川「智香が今、女子力のカケラも無いくったくたのパンツ穿いてること?」

久住「いつの間に見たの!? ってそれもだけど! チョコのことだよ!」

吉川「はーいはい。それで、神峰にはいつ告白すんの?」

久住「告白って……別にこのチョコはそういうんじゃ……」ゴニョゴニョ

吉川「じゃあどういうんじゃ?」

久住「ひ、日頃のお礼、とか、頑張りの労い、みたいな?」

吉川「ほうほう、具体的には?」

久住「その、初心者なのにいきなり指揮者とか、絶対大変なのに凄いなぁとか」

久住「パート練で暴君から助けてくれたこととか」

久住「どんどんパートリーダーの皆さんに認められて凄いなぁとか」

久住「そのためにとっても頑張ってるのを見て、私も頑張らないとって励まされたこととか」

久住「心が折れそうになったとき励ましてくれてとっても嬉しかったこととか」

吉川「ぅわお、想像以上にベタ惚れじゃん」

あ、今更ですけど細かい時系列のズレとかあっても2秒で切り返してください。

久住「だからそういうんじゃ!」

吉川「はいはい。で、どうやって渡すつもり?」

久住「えっと……下駄箱に入れとこうかなって」

吉川「え~、直接渡さないの?」

久住「そんなの恥ずかしくて無理!」

吉川「同じクラス(※)なんだから、軽~いカンジでさ」

久住『あ、おはよ~。これバレンタインのチョコね』ポイッ

吉川「みたいなカンジで」

久住「それじゃあ関係が縮まらないよ!」

吉川「いや関係を縮めようとしてる時点で本命だよね」

久住「だからそういうんじゃないもん!」

※独自設定

吉川「でも、それなら尚更直接渡さなきゃいけないんじゃないの?」

久住「そうなのかなぁ~……」

吉川「それに下駄箱に入れるなら神峰より早く登校しなきゃいけないじゃん。神峰ならホラ、前の方歩いてるよ」

久住「ええ!? ウソっ!?」

吉川「ホントだって。刻阪と一緒に」

久住「あ、ホントだ……」

神峰「ああ、なんか今日はすれ違う奴らの心が浮ついてたり燃えてたりしてると思ったら、そっか、バレンタインデー」

刻阪「なんだよ忘れてたのか」

神峰「イヤ……オレこういう日はなるべく目立たねェように過ごしてたから……」

刻阪「ふーん。でも今年からは楽しんでもいいんじゃないか?」

神峰「何言ってんだ。オレなんかが縁のある行事じゃねェだろ」

刻阪「お前は本当にそういうとこ……まあいいや。はい、コレ」ヒョイ

神峰「? なんだよこの包み――ってまさか!?」

刻阪「ああ、チョコレートだ」

神峰「……え、お前からオレに、チョコ……」タジタジ

刻阪「……ああ、勘違いしてるよ神峰。だからそんなに距離をとらないでくれ」

神峰「いやだって……今日のチョコがどんな意味を持つかくらいオレだって――」

刻阪「そうじゃないって。そのチョコはモコからだ。僕が預かってきただけだよ」

神峰「なんだ……早く言えよ……それなら後でありがたく頂いとく。お礼言っといてくれよ」

刻阪「一応言っておくが……義理だからな?」ドドドドドドド

神峰「分かってるって! ホントめんどくせェなお前!」

【昇降口】

神峰「でも義理でも嬉しいもんだな。家族以外から貰うのなんて初めてだ」

刻阪「お前が今まで頑張ってきたことの証だ。誇っていいんじゃないか?」

神峰「おう! ……どうしたんだよ刻阪、下駄箱の前で突っ立って」

刻阪「ん……いやちょっと」

神峰「早くしねェと遅刻だぞ」

刻阪「そうだね……」ガチャ

ドッバァアアアアア

神峰「うわっ!? 刻阪の下駄箱から箱が溢れ出した!?」

刻阪「はぁ……高校でもこれか……」

神峰「これ、全部チョコか……? 刻阪ファンからか」

キャー トキサカクーン

神峰「あ、廊下の向こうからさらに増援が……」

刻阪「あはは……」

モミクチャモミクチャ キャーツイッター ラインー ジュウショー

刻阪「はぁ……重い」ドッサリ

神峰「すげェな……それ全部食うのか?」

刻阪「捨てるのも悪いしちゃんと持って帰るよ。まあ、大体姉さんに食べられちゃうけどね」

神峰「なるほど……って――」

ズラァァァァァ

神峰「なんだこの列……チョコを持った女子が何十人も行列を……」

音羽「おはよう神峰、刻阪」

刻阪「音羽先輩!」

神峰「おはようございます! あの、この列は一体……」

音羽「オレのファンだ」

神峰「は?」

音羽「先頭を見ろ」

神峰「はあ……あれって、コンテナ?」

音羽「全部直接受け取っていたのでは収集が付かないからな。ああやって一度に回収して、後でヘリで運搬する」

刻阪「ヘリって……」

神峰「金持ちパネェス」

音羽「刻阪も参考にしたらどうだ。一年の時点でその量だと、先が思いやられるぞ」

音羽「ましてやオレ達はもっと上を狙ってるんだ。有名になれば、ミーハーも増えるぞ」

刻阪「さ、参考にします」

音羽「神峰はどうだ、釣果は」

神峰「モコちゃんから義理で貰っただけス。まあ、オレなんかにチョコをくれる女子がそんなにいるわけないスから、これでも満足スよ」

刻阪「はぁ……」

音羽「…………」チラリ

音羽「そうかそうか、神峰、お前は本当にオレを楽しませてくれるな」<●><●>ニヤニヤ

久住「ひィ……!? 今音羽先輩こっち見た!!」

吉川「そのトラウマもなかなか癒えないねぇ」

久住「うん……あ、でも前に神峰君がね――」

吉川「その話は何度も聞いたわ。そんなことより、下駄箱が駄目だったんだから、どうやって渡すか考えなきゃ」

久住「う、うん……そうだね」

飯食ってきます。

かーちゃんから貰ったゴディバのチョコ美味かった。
再開します。

【1年4組教室】

キーンコーンカーンコーン

神峰「ふー、終わった。さて、今日も部活頑張んなきゃな!」

久住(結局何もできずに放課後になっちゃった……)

ガラッ

刻阪「神峰、部活に行こう」

神峰「おう」

吉川「智香、私達もいこっ」

久住「うん……」

久住(神峰君……目立たない人で無口で、最初はよく分からないかんじだった)

久住(でも突然吹奏楽部に入ってからは、みんなに認められようとがむしゃらになって頑張ってる)

久住(相変わらずよく分からないところはあるけど……でも、本当に凄いなぁって思う)

久住(私なんかより、全然)

吉川「…………智香、今なんか弱気なこと考えてたでしょ」

久住「へっ? い、いやそんなこと……」

吉川「チョコ渡すのやめようかなーとか?」

久住「…………」

吉川「はぁ……腹くくりなよ。神峰との距離を縮めるんでしょ?」

久住「……だから、そんなんじゃないもん」

【廊下】

刻阪「そんなこんなで先に段ボールに詰めて家に送ったんだ」

神峰「そりゃ大変だったな……」

歌林「と、ときしゃかきゅん!」

刻阪「歌林先輩、どうしたんです? こんなところまで」

神峰(歌林先輩……心がガッチガチに緊張してンな……)

歌林「えっとね、そのね、出来れば2人っきりではなしがしたいんだけど――」ギロッ

神峰「っ!?」

刻阪「?」

神峰(と思ったらまた燃え出した!! めっちゃ怒ってる! めっちゃ睨まれてる!!)

神峰「お、オレ……もしかしてまた何か――」

御器谷「あ、刻阪君、ちょっと神峰君借りていくね」ヒョコ

刻阪「はあ、どうぞ」

神峰「えっちょ、な、なんなんスか……い、痛い! 自分で歩きますから引きずらないでくださいよ御器谷先輩!! 握力強すぎスから!!」ズルズルズル

歌林(なんだかわかんないけど御器谷GJ!)

刻阪「えっと、それで話ってなんですか?」

歌林「あ、うん! あのあのあのね――」ガサゴソ

歌林「こここここれ! 受け取って刻阪君!」

歌林(あたしが丹精込めて作ったチョコ! 寝不足で肌をガサガサにしながら3日3晩研究に研究を重ねた傑作! これで刻阪君のハートを今度こそ――)

刻阪「これは――塩昆布ですか?」

歌林「はい?」バッ

歌林(まっ……間違えたああああ!! 寝不足で頭がくらくらしてたせいで、カバンの中のチョコと塩昆布を間違えた!!)

歌林(ああ……終わった……あたしの恋……)

刻阪「ありがとうございます! 朝からチョコばかり食べてて、口の中が甘ったるくて仕方がなかったんですよ!」モシャモシャ

歌林「まあね! あたしって出来る女だし!!」

歌林(うわあああんもうどうでもいい!!)

【どっかの廊下】

神峰「ちょちょちょっとどこまで行くんスか御器谷先輩!」

御器谷「いいかい神峰君。僕は君に期待しているんだ」

神峰「はァ……ありがとうございます?」

御器谷「ということで、この空き教室の中に君を待ってる人がいるから、さあ入って」

神峰「いったい誰が……?」

御器谷「いいからホラ! ホラ!」グイグイ

神峰「分かりましたから押さないでください!」ガチャ

御器谷(頑張れ、恵!)

【空き教室】

ガチャ

邑楽「誰っ!?」

神峰「オレを待ってる人って……邑楽先輩スか?」

邑楽「はぁ!? だ、誰がそんなこと……」

神峰「御器谷先輩が」

邑楽「忍……あとで覚えてろ……」

神峰「あれ……先輩、この大量のチョコは一体?」

邑楽「……みんなに配る分のチョコをこの部屋に置いておいたのよ」

神峰「この量、まさか全員分スか!? さすがの気配りスね!」

邑楽「あげる人とあげない人が出ると、あでうるさいから。平等が一番よ」

邑楽「……それでさ……一応、あんたも吹部のメンバーだし、あんたの分も作ってきたんだけどさ」

神峰「マジスか!? ありがてェっス!」

邑楽「はい」パサッ

神峰「うわぁ! トリュフチョコっスね! これも好きス! あざす!」

邑楽「そ、そう! 良かった」

神峰「……あれ? でもなんか」

邑楽「!」ビクッ

神峰「他のと比べて、なんかサイズ大きくないスか? 他の人のはみんな一口サイズくらいなのに」

邑楽「あんたのは最後に作ったから! 残った材料全部使ったらそうなっちゃっただけで! 別に偶然だから!!」

神峰「はぁ……でも平等が一番なんじゃ――」

邑楽「うん! だからこのことは内緒で! ここだけの話にして!! いい!?」

神峰「は、はい!!」ビクビク

【教室のドアの隙間】

久住(……邑楽先輩、あのチョコって絶対……)コソコソ

久住(勝てないよね……邑楽先輩も凄い人だし……)

久住(…………部活行こう)

【音楽室】

神峰「こんちわース」ガラガラ

吹越「あ、神峰君にもあげる! ほいっ」ポーイ

神峰「わっとと! あざす!」キャッチ

吹越「みんなに配ってるんだ♪ あとこれは聖月から」ハイ

神峰「え? 聖月サンから?」

吹越「うん。『ありがとう。次は倒す』ってさ」

神峰「……『ありがとう。次も負けねェ』って伝えといてください」ニッ

吹越「任された!」ぴ

木戸「神峰~、あたしもあげるー」ホイ

神峰「あざす!」

木戸「ところでさ、さっき来た恵がみんなにチョコ配ってたけど、神峰はもう受け取った?」

神峰「は、はい。受け取りました」

木戸「へ~……音楽室に来てからまだ会ってもいないのに?」

神峰「!」ギクッ

邑楽「!」ギクッ

木戸「つまり、ここに来る前に直接チョコあげたんだねぇ恵は」

一同「「「!!!!」」」<●><●>キタカ!!

邑楽「偶然ね! 偶然廊下で会ったから! その時ついでに――」

ガラッ

御器谷「こんにちは……あ、恵。ちゃんと神峰君にチョコ渡せた?」

邑楽「忍ーーー!!」

御器谷「ごめんごめん」<●><●>

一同「「「ヒャッハー!!!」」」<●><●>

久住「…………」

吉川「心まで二番手になるな!!」クワッ

久住「!!? な、なに!?」ビビクゥ

吉川「確かにライバルは多い。でも何もせずに引き下がって、それで智香はいいの?」

久住「……でも、私なんかじゃ絶対勝てないし……どうせ本命とかそういうんじゃないし……」

吉川「そんな弱気な考え、2秒で切り返しなさい」

久住「どうしたの佳苗ちゃん! 最近読んでる漫画の影響!?」

吉川「他人の凄さとか……タイミングが悪いとか、勇気が出ないとかも関係ない! 要は限界が見えたときでも『私がやる』って決められるか決められないかよ」

吉川「その気になればどうにでも出来る!! 出来ないわけがない!! なのに本命じゃないとかうるさいのよ!!」

吉川「私言ったよ!! 何回も言った!!」

吉川「告白しろって!!! 何回言わせんだ!!!」グワッ

久住「!!」

久住(…私が…ウジウジしてたのは…これだ…)

久住(…周りのせいにして逃げ道つくって…)


久住『…別にこのチョコは本命とかじゃ…』

久住『下駄箱が駄目だったんだからしょうがないよね…』

久住『神峰君に私なんか…』

久住『勝てないよね……邑楽先輩も凄い人だし…』


久住(自分をごまかしてただけだ。でも…気付いてたから…)

久住(その気になれば――――!)

久住「佳苗ちゃん…あなたに感謝しないとね」

吉川「智香…!」

久住「待たせたね…私も、ようやく――飛べる」


久住「…って音楽室に神峰君がいない!」

木戸「神峰なら邑楽派のみんなに追われて逃げてったよ」

吉川「智香!」

久住「うん! 行ってくる!」ダッ

【どっかの廊下】

神峰「はっ…はっ……ようやく捲けたか…!」ゼェゼェ

神峰「邑楽派、本気でオレを殺す気で追ってきてた……怖ェ! 最悪だ!」

神峰「バレンタインに初めてチョコを貰えて、ちょっとはしゃいでた自分をブン殴りてェ!!」

コトッ……コトッ……コトッ……

神峰(足音!?)

神峰「誰だっ!! ……!? なっ…なんで…!?」

???「久しぶりだね、神峰翔太」指クネクネ

神峰「なんで、お前が…ここにいるんだ!!?」



神峰「 伊 調 !!!」


伊調「何でって………君が呼んだんじゃないか」

神峰「オレが呼んだって…どういう意味だ!?」

伊調「僕がバレンタインデーのチョコの数で君に勝つことが、君に勝つ力を養うことになると考えたんだよ、神峰翔太」

神峰「なんでそうなるんだよ!!? 指揮で勝負しろよ!!!」

神峰(伊調の心――どういう構造なのかも理解できなかったハコが…開いていく!! その中には…チョコだ!!! ハート型の大きなチョコレートが、枯れ木ばかりの荒涼とした大地を潤していく!!!)

伊調「さあ、始めよう神峰翔太。存分に、やり合おうよ」

神峰(正直、怖ェ…今すぐダッシュで逃げ出したい気分だ…。でもきっとそれじゃいつまでも――勝ちたい…伊調に、勝ちたい!!!)

神峰「――ああ!!!」

伊調「さて、どちらから数を発表する?」

神峰「じゃあ…後攻で」

刻阪「神峰…」

神峰「刻阪!? いつの間に!?」

刻阪「後攻にしたのか」

神峰「…ああ。ダメ…か?」

刻阪「いや…お前が決めたならそれでいい…だけど――飲まれるなよ…」

伊調「では発表しよう。僕が貰ったチョコレートの数は――6だ」

神峰「!!?」

伊調「どうだい神峰翔太、君は僕を越えられるかい!」

神峰(…オレのチョコの数は…モコちゃん、邑楽先輩、吹越先輩、聖月サン、木戸先輩の5つ!!)

神峰(伊調のチョコには、1つ足りねェ!!)

伊調(6つの内の1つは母さんからで、1つはおじーちゃんからだってことは黙っておこう)

伊調「さあ、君の番だ神峰翔太! 君の貰ったチョコの数は、いくつなんだい!!」

神峰「…オ、オレは……」

刻阪「神峰…!」

神峰(伊調の存在が…デカすぎる!!)

神峰「オレのチョコは……ご――」

久住「その勝負…待った!!」

伊調「!!? 誰だい君は!」

刻阪「君はホルンパートの…」

神峰「久住さん!? 一体なんでここに…!」

久住「……私は、吹奏楽部に入ったのも、なんとなくの惰性だったし、パートリーダーの皆さんや刻阪君みたいに、特別上手いわけでもなかった」

久住「だから音羽先輩に暴君られたときも、ただ『こんな時間早く終わればいい』『もうやめたい』って思うことしかできなかった」

伊調(何だ…なんか僕は邪魔者みたいな空気じゃないか…!)

刻阪(そもそもなんでここに居るんだ伊調は…)

久住「でも神峰君は違った。暴君に真っ向から立ち向かって、私を助けてくれた」

久住「ド素人のくせに、みんなに認められようと必死になって頑張って、本当にみんなを変えていった」

久住「無茶もするけど、本当に精一杯なのが分かるから、こっちもノせられちゃって」

久住「そして、私も変わってた」

久住「疲れちゃって、やめたくなるときもあるけど、それ以上に頑張ってる神峰君を見てると、私も頑張らなきゃなって思うようになって」

久住「気が付いたら、いつも神峰君のこと目で追ってた」

久住「神峰君はみんなの指揮者だし、周りを見る暇もないくらい突っ走ってるから、きっと知らなかったと思うけど」

久住「演奏してないときも、私はずっと、私を先導してくれる指揮者(あなた)を見てた」

久住「…本当は、こんなこと言うつもりなかったんだけど……私も、負けたくなかった」

久住「自分を変えて、境遇を変えて、未来を変える為に頑張ろうって思った」

久住「頑張ればきっと変われるって、神峰君にそう教えてもらったから」

久住「私もあなたと一緒に変わっていきたい」

久住「神峰翔太君、私はずっとあなたのことが好きでした。チョコレート、受け取ってください」

神峰「…………………………」

刻阪「…………オイ」ゲシッ

神峰「っ! あ、ああ……えっと……その……」アセアセ

刻阪(いくら鈍感なこいつでも、さすがにこの直球な告白は理解できたか)

久住「…………」プルプル

神峰「――えっと…なんつーか……オレこういうの初めてでどうしていいか分からねェんだ…」

神峰「正直…久住さんのこと、というか、誰かを好きになったり、そういうこと一度も無かったから……」

神峰「だから、今この場で自分の気持ちを決めることは、スマン! 出来ねェ!!」

久住「……うん」シュン

神峰「でも!!」バッ

久住「!!」

刻阪(チョコを受け取った!!)

神峰「久住さんの気持ちは確かに受け取った! 沢山考えてガムシャラに頑張ることしか、オレには出来ねェ。こんなオレで構わないのなら……その、これからも付いてきてくれるか?」

久住「うん…! もちろんだよ!」

伊調「……ブラボーだ」パチパチパチパチ

刻阪(邑楽先輩は不憫だな……)パチパチパチパチ

刻阪「…でもこれで、神峰と伊調のチョコの数は…」

神峰「ああ、これで6つ目。全くの同数……」

伊調「いや、僕の負けだ」

神峰「伊調!?」

伊調「僕のチョコ6つは全て義理チョコ。しかし君のそのチョコは正真正銘、本命チョコ!!」

伊調「音楽やってて初めてだよ、こんな気持ちは」

伊調「コンクールで君を倒して、おじーちゃんの評価を覆してみせるよ…!!」バキバキバキバキ

神峰(……最初からそっちで勝負しろよ)

【数日後】

御器谷「神峰君、君には失望したよ……」

神峰「そんな! そんなこと言われても、何が何だか分からないんスよ!!」

御器谷「じゃあ分かるまで一緒に外周でも走ろうか……」

神峰「それで分かるンならいくらでも!!」

吉川「え!? まだ付き合ってないの!? 告白OKしてもらえたんでしょ!?」

久住「うん。神峰君もやることがたくさんあってそんな暇なさそうだし、私も神峰君みたいにがむしゃらに頑張ってみることにしたから、そういうのはもうちょっと先」

吉川「ふーん…まあ2人がそれでいいならいいんだけど…」

久住「まずは今年! 日本一になります。他のことは、全部それから」

吉川「……なーんか智香、楽しそうだね」

久住「私今、頑張ってるから」

吉川「そ。ならいい」

おわり

読んでくださった方がいらっしゃいましたら御礼申し上げます。
前回マジキチSS書いたので、今回はバレンタインデーに合わせてまともなやつを書いてみました。
日付変わっちゃいましたが、お付き合いくださり有難うございました。
今後もSOUL CATCHER(S)人気UPの為に頑張ります。

SOUL CATCHER(S)は現在最新第7巻まで大好評発売中。
さらに初の小説版『SOUL CATCHER(S)-Interlude- 鳴苑高校吹奏楽部冬合宿報告書』も発売中。
本編はジャンプNEXTで大絶賛連載中。
アンケだ!! 頼む!! アンケを!! 出してくれ!!

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