男「ここは...もしかしてカバリア島か?」 (83)

2014年1月29日、俺は死んだ

肉体的にではない、ただ、確かに死んだ

死んだように生きている、何も楽しくない、友人はいない、毎日眠り、起き、仕事に行き、帰ってきて、また眠る
ただただ命を浪費しているだけ、そんな、つまらない人生

どうしてだろう、たかが、たかが、

「ゲームだったはずなのに」

そう口に出すと不思議と涙がこぼれた

あれから1年経ったというのに、俺の心は、思いは、まだ現実に戻れてはいない

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423896589

【イベントガーデン セレモニア】
午前9時30分

花が舞うエフェクトとのどかな音楽が心地よい気持ちを与えてくれるこの場所はその日は特別賑わっていた

普段から一定の人気はあり、混むこともあったがここまで人が多いと入るのも一苦労だった

普段メインでやっているジュエリアで入るためになんどもログイン画面に戻された、無印のトラウマbgmが聞こえた気がしたがその思い出すら、俺を悲しませた

兎「おおー!おひさー!」

猫「朝から早いねー!仕事だいじょぶなん?」

獅子「今までありがとうーっ!楽しかったよーーーっ!」

社会人の俺に対する反応としては正しい、が、

俺「おまえらはどうなんだよwww」

学生が休むな、とちゃかす

猫「大学生はこの時期ひまー」

兎「高校生は義務教育じゃないもんね!お休み自由!」

と、仕草寝転ぶとトゥインクルヒールポーション使用でどこか自信あり気に答える

猫「それに最後...だからね、引退詐欺とかじゃない、ほんとのもう会えなくなるってことだから」

俺も兎も何も言えなかった、周りの人も、騒がしかったはずなのに、魔法のエフェクトとアイテム使用の音のみがヘッドホンから響く

視界が霞み、手が震えた

何を打つかなんて、もう、お別れの言葉しかないから...

9時40分

10分経った、震えは止まっている

周りもまた騒がしくなってきた

龍「おいっす、やっとインでけた」

狐「重すぎかと思ったら入ってからは快適だぬ」

俺「おう、ずいぶん早いな」

こいつらは夜インがメインの社会人だ、だからこの時間は珍しい、ま、おれもだけど

龍「当たり前だろ!俺ここしか楽しいとこねぇしww」

鳥肌がたった

狐「俺も俺もー、社会出てから仕事の知り合いは出来ても友達はふえなかったもんなー」

まただ、震える、目がうるむ、もう、だめだ、文字だけど、喋ってる、声が聞こえる、幻聴だよ、声が聞こえるわけがねぇだろ

でもな、俺には聞こえる。きっとここにいるみんなにも聞こえてる

猫「私もここまで楽しい友達は高校以来かなぁ」

涙が溢れる

ポン、ポンとチャットが流れる音がする

兎「私は友達いるけどここのみんなは家族って感じだったよ!」

涙がポツ、ポツと俺のももを濡らした。

9時50分

あれから周りも俺たちもそれぞれがこの世界でどんな思いをしていたかを語り合っていた。

涙がとまらなかった、鼻をすすり、目をこすりながらチャットする姿は人に見せられるものではなかっただろう

友達で家族で、親友で、仲間のこいつらと、最後まで馬鹿やりあえて、話す度に涙がこぼれ落ちる

そして...castのロンの後10分のチャットでみんなの本当の思いは爆発した

「やめたくないー!!」
「おわらないでー!」「なんでだよー!」
「ここしか居場所がねぇんだよ」
「装備全部なくなってもいい!ゲームは続いてくれよ!!」

アイテム花火。スキル花火の音が響く中、それぞれの思いを載せたチャットが飛ぶ

俺も何か言いたかった

でも言えなかった、何を言えばいいかわからなかった

残り30秒、俺は動けない

残り20秒、周りが、みんながありがとうと叫ぶ、やめてくれ、何もありがたくなんかないんだよ

残り10秒、castロンがカウントダウンを始めた

周りの奴がアニバーサリー花火をカウントダウンに合わせている

涙があふれる

カウントの度に嗚咽がでる。

これで、終わり?ほんとに、ほんとにほんとにほんとに、嫌だ、イヤだけど!嫌だけど

俺「甘え等は最高の友達で仲間だったぞー!ありがとうー!」

盛大に誤字ったが思いはぶちまけた。

ポン、ポン、と、チャットの音がした

見る、最後の一文字まで、俺はカバリア島をみる

俺「ロスタイムに入りました」だと...

画面には普段と違う文字色で右上にロスタイムに入りました、と書かれていた。
右下のシステムメッセージにも

くっ、はっははっ!

こんなことあんのかよ!

チャットも大盛り上がりだ!

すげぇ!最後まで楽しませてくれるよ運営!

猫「俺っちの誤字かっこわるいーw」

龍「最後の最後だっせえw」

うるせぇwwちくしょう、最後まで、ほんとに楽しませてくれるぜ、運営さん、

ほんとにありがとうな

10時00分

俺も本当に終わるのはイヤだが最後だし本音で話そうと腹をくくった

俺「ゲームが終わったら、みんなどうする?」

こんなこともう少し前から話しておくべきだっただろうが、その手の話はしていなかった

4周年目くらいのときに別ゲーを少しかじってみたが結局戻ってきてしまっていたからだ

オフゲも、ソシャゲも、何か物足りなくてここに戻ってきてしまう

だから、その手の話は自然となくなっていたのだ

龍「おんなじガメポのラテールとか良さそうだけどどうだろ」

猫「あー、あたしやったけど少しバランス悪いよー」

狐「あれはコロシアム来てから良い噂聞かないですな」

全てがだめなわけではないが俺もそう思えた、ラテールは俺も少しかじったが職の性能差が激しいのと課金していないと少し不便なのが痛い
まぁ、トリスタも結構課金しているから今更なんだが

俺「じゃあ、もうほんとにお別れ、か」

兎「私DQやるかもー!@東京には春休み行くからあそぼーよ」

オフ会-俺たちは今までに3回オフで遊んでいる、みんな住んでる場所は遠いが、長期休暇があればみんなでトリスタトークに明け暮れた

猫「スカイプもあるしなんとかなるだろね~」

龍「仕事落ち着くのは6月ごろだから春は厳しいな」

俺「そうか、別ゲーでも良いから遊べればなぁ」

シン...とチャットが止んでしまう

俺「まぁトリスタが終わっても俺たちの絆が終わるわけじゃないよな!」

龍「くっせぇセリフww」

兎「なんの漫画ーw?」

カッコよく決めたと思ったのにな、

さて、後は何を話そうか.....



急にサーバーとの接続が切れた

10時8分

ティン!とどこをクリックしてもなる、windowsの応答無しと同じ音だ

俺はひとしきりティンティンさせた後、一人ただただ泣いた

キャラクターが画面いっぱいに笑顔でピースサインをしていた

ランチャーを落とし、俺は泣き続けた

気がつくと夜だった、腹は減っていたが何も食べる気がしなかった

次の日も仕事で早いので寝る







それから1年、出世も事件もなく、ただ時間だけが過ぎた

2015年1月28日

寒い

暖房つけっぱで普段から寝ているのだが体でリモコン踏んで消してしまったか?

と思ったがそうではない、床が硬い、いや、床は堅いものだが

俺は昨日ベッドで寝たのだ

波の音が、風も

体を起こして、周りを見る。ああ、ついにおかしくなったか俺は。

すぐに分かる、ここは、

「メガロカンパニー号の、看板か...!」

困惑より、不安よりも先に得た気持ちは、久しぶりの【わくわく】だった

船の甲板を見ただけでメガロカンパニー号だと分かったのは、俺が何年も見てきた顔がそこにあったからだ

ミラボー・ウォティ、TBNアナウンサーでテレポートゾーンの先の地域についてにわか知識を教えてくれる美人お姉さんだ

俺「旧イラスト版か...っくw口元がw」

思い出し笑いをして1人甲板で含み笑いをしてしまう痛い男がここにいた

ミラボー「こんにちは!ある時はカバリア島の案内係、ある時は町を見守る美女、その正体は..

俺「TBNアナウンサーでミランダ・ウォティの妹で、ネイルアートとパーティが好きなオウムさん、だよね」

たんたんと答える、知っているさ、アナウンサーって言ってもまだ仕事がないこととかももちろん知ってる

ミラボー「あら、知っているの!バラエティに出てから少し有名になってしまったかしら、あら~、変装とかいるかしら!いや、でもでも私暑いのはあまり好きじゃ...」

笑ってしまう、いつも画面ごしに見てた彼女が、今俺の目の前でいつもの調子でしゃべるのだ

これが面白くないわけあるか、ただ、今は談笑よりもこれが夢なのかが知りたい

普通は夢だろ、と思うだろうが俺は思わない、だって俺は

【トリックスター廃人でトリックスター厨でゲーム脳だから】

こういう時に探す人なんて数人しか思い浮かばない

その数人の中で船に乗りそうなやつ

とりあえず聞きたいことがあればあいつに聞けばいいさ

そう、ドン・ジュバンニに

特徴はかっこ悪いめがねと白く光る服、それと。

俺「あいつだけ動物衣装つけてないんだよな、逆に目立つな、きっと、ははっ」

思えばこっちに来てから笑いっぱなしだ、1年間笑ってなかった反動かもしれないな

俺「ジュバンニに言いたいことあるんだよなぁ、あいつ元ネタ知らないだろうから本気で怒りそうだけど」

一人言をいいながらぶらつくが見つからない

ドリルマルクトがこちらをチラチラみているが気にしない

ごめんな、ノーマルドリルをもらっても重いしここじゃほれないし!

しばらく探索し、船長室に行って乗客の中にジュバンニがいるか聞けばいいことに気づいた俺は船長室に向かった

トントン、とノックし返事を待たずにドアを開ける、ドリルマルクトのいるマップでは無礼が許されるというやつだ、今はそうか知らないが

俺「スタン船長、少しお時間いただけますか?」

一応社会人として少し丁寧に話す

船長「スタン?誰だいそれは、私はストロングだよ」

スタンじゃない、だと...!いや、そうか、ラブ化か!

でもミラボーの顔は+時代の、どうなっているんだ

俺「すみませんストロング船長、私なりに考えたニックネームで呼んでしまいました。」

ペコ、と頭を下げると船長は笑いながら手を叩く

ストロング「面白い人だなぁ君は。はっは、して、なんの用だい?」

泣いてないスタン船長ってことはサンタマルタ号の事件解決後の世界か?ストロング船長については詳しく知らないな

クエストはスタン船長時代に終わらせたけど一緒かなぁ

いや、今はそれより

俺「急で申し訳ないのですがこの船にドン・ジュバンニさんは乗られておりますか?」

一瞬驚いた顔をして、やれやれと言った様子で船長は答える

ストロング「乗っているわけないだろう、何を言っているんだ」

そうか...あいつ忙しいもんな、パラダイスにいるかな、遠いからカバリア遺跡くらいまでには会いた..



ストロング「...彼はちょうど1年前に死んだだろう」

俺は港に着くまでストロング船長と話をすることにした

まず最初になぜ、ジュバンニが死んだのか、だ

それについて話を聞いたが、ジュバンニは遺書を残して行方不明らしい

ストロング「1年前のあの日、君みたいな人たちがカバリア島からいなくなったあの日にジュバンニさんは遺産を継承したんだよ」

俺は彼が死んだことよりもカバリアの遺産を継承したことに驚きを隠せなかった

クリアしたら、だと思われているだろうがそうではない

なにせオンラインゲームだ。シナリオに区切りはあっても終わりなんてない。
いや、終わりはあったが...それは物語が終幕したわけではなく、打ち切られただけ、あんなシナリオ無視な終わりは認めたくない

ドン・カバリアの作ったトリックスターにおいて、遺産を継承できる人は最高のトリックスターになる者、だ。

思い切り楽しんで、生き残って、私の財産を手に入れたまえ。ワハハハハ・・・

というのがこのゲームのコンセプトである

そういえばカバリア自身もピエロのような格好をしていた、彼もまたトリックスターを楽しみたい一人だったのかもしれない

カバリアのルールではカバリア島では必ず動物人間の服を着ていなければいけない

だがいつからかは覚えていないが俺たちプレイヤー側で動物衣装を着なくてもよくなった時期があった

結構序盤だったと思うが初心者マークを取ってもよくなってからだったかな

それを思うと動物衣装をはじめから着ていなかったジュバンニは一番プレイヤー側に近いNPCである

彼が一番トリックスターに近いNPCで、競う相手であるプレイヤーがいなくなれば

あいつがこの島で飛びぬけたトリックスターってことになるんだ

他のNPCを思い返してみても彼くらい人間に近かったキャラクターはいないだろう

ああ。またお前の本当にわかりにくい説明が聞きたいよ、ジュバンニ...

俺「ジュバンニの遺書ってのはなんですか?行方不明だけなら死んだなんて言わないでしょう?」

ストロング「遺産を継承した彼は島を歩きまわっていた、何をするわけでもない、ずっと、いろんな場所を歩いてた」

どういうことだろう、彼はナンバーワンを目指して、会長になるために努力していた

会長になった今、彼ならカバリア島をもっと良いものにするために何かしてきそうなもんだが

ストロング「そして失踪した、婚約者のロザリンさんに手紙を送り、それ以降誰も姿をみていない、らしい」

らしい、か、ポプリとかなら知ってそうだけど、メガロポリスフォーレストはあまり近寄れないからな

俺「その手紙が遺書ですか?内容はなんて?」

ストロング「残りの8枚を探す、生きていては行けない場所もあるから俺は一度死ぬ。さらば。だそうだ」

残りの8枚?枚ってことはあれだろう。神秘のカード、あいつ幻惑に惑わされなかったんだな

ジュバンニが手に入れることが出来なかった8枚、俺もプレイヤーとしてほとんど手に入れることは出来なかったが

8枚も集めたのか、それで残り8枚。うーん何かひっかかる

8周年で終わったことを考えると1年に1枚集めるのがやっとってくらいのレベルの代物ってことだってか?

俺たちが集めはじめたのは遅かったが1枚手に入れてからはトントン拍子に進んだが

あいつのレベルとスキルは知らないけどソロだとそんなもんか

あと、生きていては行けない場所かどこだろう。心あたりがない

新マップか?いや、アップデートがあるとは思えな...ってジュバンニが遺産継承しているならシナリオは進んでいるわけか

俺「ジュバンニとはまだ話できそうだなぁ」

ストロング船長ははてな?といった表情を浮かべる

あいつは多分死んじゃいないし、死んでいたとしてもあいつの兄、ダニヘンみたいになってるだろう

決まったな

今はリアルに戻るより

トリックスターの話に終わりがあるなら

俺はそれを知りたい。見たい。

あんな未完な終わりじゃないちゃんとしたエンディングを俺は見たい

行くぜジュバンニ、お前の知りたいことは一人じゃきっと知ることは出来ないんだ、だから待ってろ

俺が、プレイヤーがお前に今から

会いに行くから...

ストロング「見たところ君は…牛のようだね」

少し黙っていると、船長が俺の頭から足まで見て言う

ストロング「マジェスティかい?」

わかるのか、グラディエーターと見分けるのが難しいはずだが、俺も初期pvpでは判別に苦労した

ストロング「強そうでよかった、港でおろして街まで護衛する時間はないのでな」

俺「そういえばどこに向かっているんです?」

島に来たばかり設定だとするとブルーミングコーラかビギナーゾーンか?

ストロング「ウブス港まで行く、そういえばジュリオにもスタン船長と呼ばれておるなぁ、君とセンスが似ているのかもなぁ」

レベル70以上になったらスタン船長に会いに行けってクエストの話だな、ラブから始めた初心者が誰だそれ、ってなって質問掲示板に質問がたくさん上がったのを思い出す。

そういえばレベルはどうなんだろう、マジェスティの見た目をしているらしいがマジェスティなのかが本当かもわからない。

俺「船長、俺のレベルとスキルってわかりますか?」

ストロング「ふむ?自分に聞くといいんじゃないか?」

自分に?ゲームなら自身にクリックでいろいろ便利ツール開けたがここにはキーボードもマウスもない

俺「すみません船長、うっかり見方を忘れたんで教えてください」

ストロング「あぁ、いいとも、長い航海の暇つぶしにはなるだろう

簡潔にいうとこうだ

頭で「俺のレベルなんだっけなー」と思うとわかる、ただそれだけだった

そう思うと目の前に半透明のウィンドウが出てきて見れる

スキルに関してもおなじだ

そのウィンドウを触ることがで、スキルツリー開発などできそうであった

ただ不思議なことが1点

スキルの職制限がないみたいなのだ

フィストアタック、これが俺の初期職初期スキルである。

だけどシュメッターリングのスキルアイコンも点灯していた。

使えるのだろうか、今この場に敵はいないので打てないが、使えるのなら他のスキルも取ってみたくなる。ただスキルポイントに上限がある以上むやみには使えない。

振り直しができるのかもわからないしな。

今の俺のレベルはベースが380、TMが400

1年前、トリックスターが終わったときと同じだ

レベルの上限を覚えてはいないがTMは一回上限に引っかかったことがある

他のみんなもこんなレベルだったなぁ、レベル180もあればやることなんてなくなるのに何故かこんなになるまで続けていた

ゲルダは持っていなくアイテムもない装備は耳としっぽだけ、カードの欄がないのを見るとなくなったのだろうか、メルさんが発狂してなければいいんだけど

スキルもレベル0スキルのみ全取得しているが他は自分で選べるみたいだ、他の職のスキルが使えたら~なんて話をしたこともあるが組み合わせが膨大すぎてすごく悩む

とりあえずは初期スキルだけで良い気もする、レベルと装備が8割の戦力だ

まぁ装備も耳としっぽしかないんだけどさ

自分のステータスの確認をしながら船長と話し、4時間くらいで船はウブス港についた

【キャラクター説明】


プレイヤーキャラ
―――――――
俺 牛 近接メイン 社会人 男

他は出てきたら説明します


――――――――――――――――――――――――――
NPC
――
ドン・カバリア 60歳で死亡?

趣味はゲーム、骨董品収集、仮装

メガロカンパニーの会長でゲーム「トリックスター」を開発した

開始のお知らせをしてすぐに死亡してしまった

―――――――――――――――――――――――――――――――

ドン・ジュバンニ 36歳 男 177㎝ 62㎏ AB型

趣味は仮装パーティー

メガロカンパニーの副会長でドンカバリアの腹違いの弟

常に2位の男

仮装パーティー好きなのに動物の衣装は着なかった

腹違いの兄がもう一人以上いる

婚約者にロザリンを持つ
――――――――――――――――――――――――――――――――

ドン・ダニヘン

ドン・カバリアの前の会長の息子

一応ドン・ジュバンニの腹違いの兄

病死しているがメガロカンパニーの地下に人工知能として現れる

ロザリン

カバリア島から戻らないジュバンニを追いかけてきた美人

めまいをよくしていたが蜃気楼の島での一件で少し落ち着いたようだ

だいぶ好き

――――――――――――――――――――――――――――――――
ミラボー・ウォティ 22歳 女 167cm 49kg O型

趣味はネイルアートとパーティー

ミランダの双子の妹

放送界で究極のコンビと言われており、トリックスターを実況中継している

衣装はオウム

金髪で陽気で素直なドジっ娘

オウムの衣装を脱げばすごくいやらしいだろう
――――――――――――――――――――――――――――――――
ミランダ・ウォティ 22歳 女 167㎝ 47kg O型

趣味はおしゃべりとパーティー

双子の姉のほう、体重が軽い

テレポートサービスを行っている

――――――――――――――――――――――――――――――――
ドリルマルクト

自称トリックスターのマスコットキャラクター

マスコットキャラクターと言い張るほうと頭を取り外している方とがいる

無料でノーマルドリルをくれる

――――――――――――――――――――――――――――――――
ストロング船長

トリックスターラブにてスタン船長からストロング船長へと名前が変化した

だが他のキャラクターに呼ばれるときのテキストがほとんど直っていなく初心者を困らせることが多かった

彼についての説明は長くなるので割愛します。

降りるとかすかに見覚えがある

見慣れた場所ではないが確かにウブス港だった、少し遠目だが左手方向に歓迎学園が見える。

ウブス港フィールド4ってところかな

ストロング「ではな牛さん!町はここからずっと西へ行くんだぞ、そうすれば1番でかい町につく」

俺「ありがと!ポーに気をつけて行くよ!じゃあ、またな!」

知ってるさ、よく知ってる、カバリア島で知らない場所なんてきっとない、だから今から街についたときのことを思うと心が痛い

プレイヤーのいないメガロポリスは…どれだけ静かなんだろうか


俺「影のモンスターが見えないのはやっぱり心眼スキル取ってないからかなぁ」

自動習得スキルなのに自分から覚えようとしないといけないのが不便だなぁと思いつつ心眼と封印解除、カード識別を取る、ドリルは持っていないし他のスキルは街につくまでは放っておくことにする

俺「心眼を使って見たところで意味ないよな、武器なしソロで倒せる強さか覚えてないし、影モンスター以外ならアクティブ来てもレベル差だけで倒せるだろ」

それからNPCに会うたびに懐かしさに駆られて声をかけ、

みんな「久しぶり!」といった反応をしてくれた

覚えていてくれてすごくうれしい

と同時に少しの疑問を俺は感じる

なぜ彼らはここにいるのだろう

モンスターのいるマップではなく街などのモンスターと戦えない場所にいるほうが彼らも安全だろう

それに彼らがここにいる意味がまずないのだ

訪れる人がいない。プレイヤーである俺たちが訪ねなければクエスト依頼も何もあったもんじゃない

それを問うと彼らは決まって

「なんでだろう、考えたこともなかった」と言う

俺は少し強引に連れて行こうとしたがそれはできなかった、マップで言うちょうど境目のところを彼らは越えられなかった。

俺「なるほど、ゲームとして配置されたマップからでられない、か...」

思えばストロング船長も船から降りてはいないな、このマップにはメルもいたはずだけどメガロポリスのメルはいるのだろうか、この世界には同じNPCがたくさんいるのだろうか

俺の足は自然と早まっていく

走っていて気付いたが俺の体は疲れることがないようだ

ウブス港入口への道を超え、目の前にはもうメガロポリスフォーレストの景色が広がっている、かなり長い距離を走ってきたのに汗も息切れもない

俺もあくまでもデータってことか?

重いもの持った時くらいしかプレイヤーキャラは汗かかなかったし別に今の自分が汗をかこうがかくまいがどちらでもいいのだが、こういうどうでもいいことが気になってしまうのだ、なんにでも意味を考えてしまう、厨二病の後遺症だろう

俺「涙はどうだろ...あ。あれ」

俺はエモーションが出せないことに今気づく

俺「そりゃそうだよなぁ、寝転ぶとかジャンプとか自由にできてるもんなぁ」

考えながら歩くメガロポリスフォーレストはすごく短く感じた


メガロポリス広場、入ると同時に露店がたくさん出ていて

物が欲しけりゃここにこい!と言われる一大マーケットタウン

俺「予想はしてたけどやっぱりさみしいな」

元々オブジェクトとしての店のカウンターにNPCはいなかったが、こうも人がいないとなるともはやゴーストタウンみたいだ

俺は予想していたことだし気にせずにある場所へダッシュで向かう

速度アップのアイテムが欲しいな、と今思う

ジュバンニよりも会いたい人がいる、優先順位1番!メガロポリスショップへ走る

メガロポリスショップ、小さいながらも必要な施設はほぼそろっていてNPCの数、受注クエスト数も多いのが特徴の施設

ここの個人的な特徴としてあげたいのがここには女性NPCが非常に多いのだ、非常というか異常に、だ。

最低12、多くて18人いるのだが女性NPCの数は最低9人から14人である

ここをパラダイスに改名しては?とよく男だけで話したものだ、ここにも露店が多くあったがだんだんと少なくなっていたことを覚えている

さて、ここにきて俺がやりたいことは情報収集もそうだが俺の一番の押しキャラに会いにきたわけだ、ジュバンニ?あぁ、男の押しはあいつであってるけど全キャラから選べって言われたら違う

店に入り、二階へ

俺「久しぶり...アンネイ」

見ただけで嬉しさよりも感動で泣いてしまった

アンネイ「ど、どうして泣いているんですか?お金でも落としましたか?」

俺「いや、悲しくて泣いてるわけじゃないよ、気にしないでくれ」

ペット交換やイベントアイテム交換でお世話になる人もいるがわざわざアンネイで交換する人が少なく
ペットにもならなかったことから彼女の不遇さは少しいじられキャラとしての味付けになっている

実際にかわいそうと思われるのは彼女の狙いなのでそれはいいんだが

俺(実際に見るとほんとに同情したくなる服だな...)

俺「アンネイは他の服を着ないのか?」

アンネイ「他のですか?持ってません...」

嘘だとわかっている、彼女は確かにお金は少なく借金もしている
でもボロボロの服を着ているのは同情してほしいからなのだ

俺「そっか...もし俺が服を持ってきたら着てくれるか?」

アンネイ「!?何もお返しできませんが、それでもよろしければぜひ!」

結婚システムをNPCに対しても適用してほしいくらいの笑顔だった


?「なーに危ないやりとりしてんのよ!ロリコン!」

俺「!?」

自分で話かけてくるNPCはいなかったよな...最初の船はチュートリアル扱いだから別として、これまで自分から話かけてきたのいない

?「やっと見つけたプレイヤーキャラクラーが牛とはね、久しぶりでいいかしら?」

俺「そうだな、キャラクター名見えるだろ?【狐】さん」

狐「1年ぶりね。...話しがたくさんあるわ、場所を変えましょ」

俺「いやだよ、アンネイと一緒がいい」

狐「ふざけるならアンネイにゲリラを撃つわよ」

俺「やめてください、お願いします、バニッシュを防げませんごめんなさい」

しぶしぶ俺は店を後にした。

俺「なぁ、NPCに攻撃ってできるのか?」

狐「試してないわ、試したいNPCなんていないもの」

俺「だよな。行商モンキーしかいないよなぁ」

狐「行商モンキーも悪いことはしてないわよ!?」

こうして人と話すのは久しぶりすぎる

現実では上司とも同僚とも仕事の話でプライベートはあまり話さなかったし、こっちにきてからはNPCとの会話だったしなぁ、NPCとの会話も十分楽しいんだけどさ

俺「どこで話す?」

狐「精霊が眠る丘で話すわ、そこにみんないる」

俺「みんな...?」

狐「あなた、少し察しが悪くなったわね」

本当はお前に会ったときに気づいたよ、俺だけじゃないってことはあいつらもここに来てるんだな...って。

俺が牛、こいつが狐、あとは兎、羊、龍、獅子、猫、狸、これでいつもの俺たち8人

懐かしい友達に会えるというのに少し不安な気持ちもある

1年間お互いに連絡を取り合えていなかったのに今またすぐに仲良くなれるのかな、と

精霊が眠る丘への道には桜が咲き誇っている

俺「いつ来てもここはきれいだな」

狐「そうね。これる時期がいつも違うのにいっつも満開で。寝ててもこれだけ花を咲かせることができるなら精霊が起きたらこのマップどうなるのかしらね」

俺「精霊って結局ここにはいなかったもんな、妖精なら俺好みのと可愛いのがいたけどさ」

狐「どっちが好みでどっちがかわいいのって言いたいのかしら...いえ、いいわ、どっちもかわいいで結論づけておくわ」

俺「引きすぎだろ!さすがにノウノウは守備範囲外だぞ!」

狐「リリカはOKなのね、さすが...アンネイに伝えておくわ」

俺「お願いします!やめてください!いやでも、嫉妬からのいざこざが..」

狐「薄い本展開希望なら自分で描くことね、トリスタ本はほとんどないから私も買ってあげるわ、エロ系でも真面目系でもね。描いた人のあとがき見るのも面白いし」

俺「そうだな、わかるよ」

リリカと聞いて不意にリリカのダンジョンコピペを思い出したがやめておこう、妖精リリカに胸はない

精霊が眠る丘への道を登っていると複雑な気持ちになる

登り切った後の丘にはいくつもの思い出があるからだ

2009年のひなまつりくらいからあったクエスト、堀クエなどを思い出す

最初に発表されたときに見たポプリシアがドット絵だと全裸に見えたことを思い出す、あれには全力を出した

まわりのプレイヤーが記憶の花びらなどを投げ捨てるから拾うという乞食精神爆発させたのも覚えている

拉致プレヤっていうノンアクティブモンスターはノンアクティブだから攻撃はしてこないけど寄ってはくるかわいい奴だったなぁ

どうしてネフェルティティのあだ名がオーヤンフィフィだったんだろう、ほとんど違うじゃないか

ここに精霊がいればどんな美人だったんだろうなぁ、ネペトリみたいな女神系かルモみたいなギャル系か、精霊こまちって名前だったっけな、結局姿見れてないんだよなぁ

そんなことを思い階段を登った

精霊が眠る丘につくと足元に何か黒いものがちらばっていた

俺「なんだこれ」

ひょいと踏まないように超えようとする、が

バンバンバンバンッ!バンッ!

俺「うわっ!なんだなんだ!」

兎「【デンジャラスファイヤー】!あははっ!踊れ踊れー」

羊「踊りならもっとにぎやかな方がいいでしょう?ふふ、【ハッピーダンシング】」

俺「ちょ、まって、あー、うっとうしい!」

周りに現れたチビコラナ6体を振り払って彼女らに近づく

俺「兎、羊!お前らぁ!」

だめだ、笑ってしまう

俺「全然変わってないなぁ...!」

龍「牛もあんま変わってないと思うぞ、ほどよく厨二ぽい臭いがする」

俺「なんだと!」

狐「ほらほら、ふざけ倒しててもしょうがないでしょ、まずは...そうね、もう一度自己紹介から始めましょ」

狸「自分たちのスキル振りとかも大体でいいから知っておかなきゃね」

俺「そうだな、じゃあ俺からやるよ」

7人を並べて俺が前に立つ、演説みたいだ。パラダイスの○×ゲームの司会をしたときのことを思い出す


俺「俺は覚えているスキルは各初期職の初期スキルと覚醒スキル、あとはついさっきアンネイの守りを取った。装備は耳としっぽだけ。今日この世界に飛ばされたばかりだけどNPCとだいぶ話して今はジュバンニを探してる、一番でかい街に来れば情報あると思って来てみたらそこのミスドリラーに拉致された」

狐「なーにが拉致よ、アンネイを舐めまわすように見てナンパしてた変態のくせに」

俺「話しをしてただけだぞ!?」

兎「はいはーい、次は兎の番!私はクールタイム無しにする関係でHA、TPA、QA、後は攻撃職の必須は取ったよ、罠だとわかっててもTNAは私の必殺技だから取った!この世界に来たのは1週間くらい前かな、気づいたらパラダイスにいてイーグルさんに話を聞いたけどよくわかんなかったからとりあえずメガロポリスに来たの、そしたら狐さんがいてねー、さみしかったからほんとに嬉しかったよー」

龍「ふむ、略称じゃその職やってなきゃいまいちわからんな」

俺「俺は全職わかるぞ、覚えておかなきゃ狐が怒ったしな」

狐「花火上げながら来たからすぐ迎えにいけたわ、ナイス判断よ、それと牛、怒ったわけじゃなくて必要だから覚えなさいって言ったことがあるだけでしょ。」

兎「音がないと不安で怖かったからー」

羊「次は私ですね、私はゲームの時と同じスキル振りです、と言えば分りますかね?」

狐「ざっくりでいいから一応言ってもらえるかしら」

羊「そうですね、殴り魔は知っていますよね?キャスプロ、ミスト、リカバリー、マナチャ、フェンドですね、レベルまで言ったほうがいいですか?」

俺「そこまでは覚えられないしなんとなくわかるからいい」

羊「それらに加えてマジシ、シェルチューブ、各エレメントを一応、カウンターも各種揃えましたね」

俺「他の職のスキルも覚えられるっぽいけどフェアーウィンドいるか?魔力あげてもやることなさそうだけど」

羊「他の職のスキル!?見ていませんでしたわ!後で確認しなきゃ...!」

狐「殴り感のスキル併用も面白そうね、ていうか他のみんなも驚いてるところを見ると教えてもらってないのね...」

狸「僕みたいにNPCがいなかった場合もあるので...」

俺「それすごい困っただろ...よくがんばったな..」

羊「えっと、それで私はここに来て2日経ちました。フェスタゾーンにいました。アイラさんにいろいろ教えてもらったんですがスキルについては今が初耳でしたね。一番近い街がメガロポリスだったので来てみたら可愛い兎と狐と猫がいてあとその他3人もいました」

龍「相変わらずひっでぇな」

俺「今夜男だけで羊が百合かガチレズかの論争しようぜ」

狸「ガチはきついですね...」

獅子「のんのんびよりですら俺はだめだあ」

羊「本人の前で何失礼なこと話してるんですか!?チビコラナ投げますよ!」

龍「次は俺だな、俺もゲームと同じスキル振りした、まぁ今夜他職のスキル見て煮詰めるけど、今のところはヘルファイア軸でヘルファクスを取ってないダークロードのテンプレってとこだ、詳しい説明いるか?」

狐「いらないわ、殴り魔と違って一般的だしね」

羊「ヘルファクスを取らないのは何故ですの?」

龍「武器がないからな、これから闇属性装備が手に入るかわからんから無駄になる可能性がある」

俺「パラライゼスを忘れてるだろ、あれはすごい欲しいからヘルファクスを取ってほしい」

龍「本気で忘れてた...本職なのに...うあぁああ!!」

狸「牛さん!龍さんの孤高のプライドを傷つけたら面倒なことに...!」

龍「【悪霊の囁き】ぃいいいー!!」

キィー!キィーー!ィイー!

悪霊がまとわりつき、悲鳴をあげるスキル、なんて無意味なスキル取ってんだよ!デンジャラスファイヤーとかチビコラナもだけどさ

俺「あぁうっとうしい!【めざましポプリ】!」

龍「うぉわ!あ、...みんなごめん」

狐「いいわよ別に。慣れてるわ」

俺も無駄なスキル覚えちまったぜ、まったく

龍「俺がここに来たのは5日前だな、アクアリースで目を覚ました」

兎「アクアリース?」

羊「ゴーストブルーのことですわ、街の名前で呼ぶ人は珍しいですけど」

龍「昔からアクアリースって言ってるけどな、とりあえず街で聞き込みしたけど特に情報がなくてな、歩いて他の街を回りにいこうと思ってゴーストブルーフィールドの水中墓地に出たらメロウに襲われた。2匹ほど狩ったら500ゲルダ落としてくれてな、テレポートサービスでメガロに飛んで狐に会えたってわけだ」

狐「テレポートの光って実際みるとすごかったわよ」

俺「順番的に次は狐か」

狐「私は最後でいいわ、たぶんここに来たの一番最初だから話したいことが多いの」

獅子「じゃあ飛んで次は俺だな、バフデバフは一切取ってない!戦って負けたら考えるのが俺の最強戦略だからな、ホラーバッグとかアイテム持ってないからくそ技になってるしアサシンエッヂとワイドエッヂ、デトネイター、チェーンスローとあとは感覚1次職と感覚初期職の前提スキルくらいかなぁ」

俺「ブレイブスロウだけ取ればとりあえずはよさそうだな」

獅子「攻撃力足りなくて負けてないからなぁ」

狐「戦ってないから当たり前ね」

羊「取っておいて困るスキルじゃないですし取っておくべきです」

龍「もしもを考えるのは悪いことじゃないからな、取っておこう」

獅子「そうだなぁ、一応取っておくよ。それと、俺がここに来たのは6日前、タバスコテーマパークで起きたんだ。どうすればいいかわかんなかったからテーマパークくじ引きを回したらカプセルから1万ゲルダクーポン出てきたからとりあえず火山入口からテレポートでメガロに飛んだ」

狐「みんながメガロに来てくれて助かったわ、探しに行くのはどこにいるかわからないから時間がかかるもの」

俺「みんながいるかどうかも定かではなかったわけだしな」

兎「狐さんがいたから兎はみんないるんだろうなって思ったよー」

猫「私もそう思ったなぁー、数人いるよりもみんないる方が自然だもんね」

狐「そうよね、私も兎に会ってからすぐにそう思ったわ」

同じ立場ならきっと俺もそうだっただろうな

猫「次は私ね!私のスキルは秘密でよろしく!」

獅子「なんでだ!?」

猫「でー、来たのは3日前だけどその1日前には気づいたらラプラノエルにいたわ。寒すぎてあのまま寝てたら死んでたわね、1日くらいミントとレオナードにお世話してもらってステータスの確認とか教えてもらったわ。サンタクロースからお金かすめてパチにテレポートしてもらったの」

狐「メガロに来たのは3日前だけどこの世界に来たのは4日前ってことね、で、スキルは?」

猫「秘密よ秘密♪たいしたもの取ってないしいいでしょー」

俺「ソロならいいけどパーティ組むならある程度の情報が...」

猫「フルスイングとパワーサプリ、ワイルドナックルとラッシュ、あとは前提スキル、言えるのはここまでね」

龍「必殺技は隠すものだからな、全部さらしたら逆に不利になることもあるからな、PvPすることもない今、隠す必要もないけどさ」

羊「女の子の秘密に突っ込みをいれるような無粋な牛は花火で遊んでてもらえます?」

俺「わかったよちくしょう!攻撃型っぽいことわかったしいいよ」

狐「じゃあ次いきましょうか」

狸「僕は3日前にこの世界に来ました。カバリア遺跡フィールドで起きたためにNPCがいなくて・・・すごい怖かったですが歩きなれた道でしたからカバリア遺跡まで行って、少し休んでから話をして回ったんですが普通のスキル振りとジュバンニが失踪していることをフレンチメイドから聞いたくらいしか有益な情報はなかったです。他職のスキルを振れることは教えてもらいたかったなぁ」

龍「フレンチメイド!まだあってないなぁ、いいなぁ、メガロポリスはどこにいたっけ、早く話終わらせろよ」

羊「そうですわね、早く話終わらせなさい、フレンチメイドはマイペットですもの、大きいフレンチメイドを連れて歩きたかったんですの」

狐「イベントがあるかわからないしペット手に入るか微妙ね、店売りペットも除いたけどなかったし、少し前に確認したけどNPCのマップ移動はできないみたいだしね」

龍/羊「なん...だと...(...ですの)」

狸「あ、あのお、続けていいですか...?」

俺「良いと思うぞー。俺はもともとアンネイが連れ歩けない時点でペットシステムいらないと思ってたし」

狸「スキル振りは変身なしの対人戦用の振り方でフルアウスとフォーカード、前提スキルを取ってます。ラッキーゴッデスも取ってますね、変身なしで一番ポピュラーな取り方と振り方をしているので説明の必要はないかと」

兎「あははー...自分の職以外はあまり詳しくしらなかったりー」

羊「前衛は特に考えなくてもいいんですのよ、それにこの人数とレベルなら力押しができますもの」

俺「まず戦う必要があるのかわからないしな、クエストがあるわけでもないし街にいれば襲われることはないしな」

狐「そうね、必要あるかはわからないけど準備はしておいた方がいいと思うわ」

狐「最後は私ね、私は2週間前にここに来ているわ」

俺「2週間!?まじかよ!?」

狐「ええ、現実では仕事クビになっててもおかしくはないわね」

龍「まず捜索願出されてる可能性もあるな」

兎「ゆ、夢だから大丈夫だよきっと!」

狐「だといいんだけどね、2週間も夢を見続けてる私は目覚めたらまず病院に行くことにするわ、夢ならね」

俺「夢かどうかは今はいいよ、続けよう」

狐「ええ、2週間前にここメガロポリスで目覚めて、全員に話をしたわ」

龍「メガロポリス全員か、大変...いや、楽しそうだな」

狐「ええ、楽しかったわよ。地下開発室と石棺の空間まで行ってきたわ、キーパスはなかったけど地下開発室は奥まで行けたわ。」

俺「ダニヘンに会ったのか!?」

狐「ええ、そこにダニヘンと....ジュバンニがいたわ」

俺「ジュバンニが!?なんでそんなところに」

狐「地下開発室にいたジュバンニはダニヘンと同じく人工知能だったけどね、アルテオ神話と神秘のカード、それとハルコンについての知識を忘れないように記憶を残しておいたそうよ」

龍「なんでだ?忘れても問題ないだろ、俺も6割くらい忘れてるぞ」

猫「私は神秘のカードが何かわかんない~、DQ10かな?」

狐「神秘のカードはシークレットカードのことって言われているわ、本当かはわからないけど神秘のカードが16枚、シークレットカードも16枚だから同じものではないか?ってプレイヤー間で噂になっているの」

俺「ハルコンは神秘のカードを識別するために必要な宝石だな、神秘のカードだけだとハルコンから抽出されたオーラが出てて幻惑を見せてくるんだ、それを問題なくするために必要な宝石でな、幻惑オーラを無効にして識別できるようにしてくれるアイテムだ」

羊「16枚すべて集めるとひとつの地図になる、そして地図に書かれている場所はドンカバリアがトリックスターにたどり着いてほしいと願った場所らしいですの」

狸「カード自体を探せるのがトリックスターだけだからね、僕も2枚は集めたなぁ」

狐「話を戻すわ、地下開発室での情報はそれだけだったけど他のメガロポリスで聞いた話、遺書のことを合わせると私はこう結論づけたわ」

狐「ジュバンニは神秘のカードを集めて地図を作ろうとしている。神秘のカードを8枚まで集めることはできたけど他を集めるためには死ぬしかなかった、だから記憶を残した。」

龍「まて、なら残す記憶はダニヘンみたいに全部でいいだろ、なんで神話系のことだけなんだ」

狐「それはわからないわ、まず集めた結果どうなるかもわからないもの、ゲーム時代に私と牛が予測して遊んだことはあったけどね」

俺「ああ、あったなあ!結局どんな予想して終わったっけ」

狐「地図のところ行ったらカバリアがいて、次のダンジョンは現実世界だ、がんばれ!的なことを言ってエンディング、よ」

俺「やっぱり俺たちくだらねぇなぁ...」

羊「でも良いんじゃありませんの?ジュバンニが探している理由はわかりませんが私たちも手伝ってあげましょうよ、それに牛と狐さんの予想、案外あたっているかもしれませんし」

龍「もともとクリア方法なかったし現実に戻るためにクリアする~とかのソードアート方式も無理だしな。ログアウトボタンもないし、今できることもないしジュバンニ手伝ってあげよう」

獅子「ソードアート方式なら死んだらどうなるんだろ」

狐「さぁ?わからないし確認もできないわね、死なないようにスキル振りと消費アイテムをしっかりしておきましょう」

俺「一応目的は決まったな、俺はもともとジュバンニ探してたし丁度いい」

狐「とりあえず今日は疲れたわね、ギルド本部を拠点にしてるの、牛も今日はそこで休みましょ、魔女のごはんはおいしいわよ」

獅子「見た目はあれだけどすごいおいしいんだぜ!」

俺「おお、楽しみだな、見た目より量で量よりも味だよな!男はさ!」

羊「セフィーラちゃんおいしいそうよね...!!」

俺「お前は少し黙ってろ...はぁ..」

ギルド本部に行くと内装はだいぶ変わっていた

水晶の壁や柱で囲まれた部屋の中心にすごくファンシーな机がおいてある

狐「アデルに頼んだのよ、机が欲しいってね」

なるほど、アデルならお金かからないもんな、すごくミスマッチな家具だがな

猫「かわいいのはいいけどハートの椅子って座りにくいのよねー」

全員がそろうとセフィーラが料理を運んできてくれた

正直セフィーラのことはよくわからないがなかなかにかわいい、羊が騒ぐのもよくわかる

俺の師匠はルイス先生なわけだがこの子の弟子になるのも悪くなさそうだなぁ、シュメッターリンクしかないけど

ティファ先生はみつめられると照れちゃうくらいの美人だった、魅力型のマスターをやってるだけあってやはり魅力的だ、写真を撮ればマニアに売れるんだったな、...ってカメラ持ってないや

ハカセはうらやましいから後でデンジャラスファイヤーでいじめる。美人3人に囲まれるわ、スキルマスターの地位もってるわでうらやましいわ畜生

俺「そういえば狐のスキルをまだ聞いてなかったな」

狐「そうね、私はドリルプロテクションとクレージードリル、インスピレーション、ダウジングビギナー、ボイリング、ラージポケットにクレクレイジーよ」

兎「戦闘の役に立つスキルがないよ!?」

俺「ドリラー特化型か、ドリル買えたらお金稼ぐのに便利だな」

狐「ドリルマルクトにもらってるわ、店売りしかできないから効率は悪いけど少しずつためてもう少しで他のドリル買えるわ」

お金稼いで装備と回復アイテム買って...

ジュバンニに会いに行くのは時間がかかりそうだなぁ

その夜は楽しかった

兎の提案で俺たちはギルドホールで話続けた

寝ちゃった人は部屋まで運んであげた

現実ではどうだった、他のゲームをやってみた、だのくだらない話をしたがそれがすごく楽しかった。

これがゲームだな、オンラインゲームだよな

結局気の合う仲間がいなかったらオンラインだろうが結局はオフゲーと変わらない

チャットが楽しいのがオンラインゲームの醍醐味で、過疎ってくると楽しくなくなり、また過疎る。負のループ。

トリックスターは過疎って来てたとはいえ人がごっそり減ったわけじゃなかったよなぁ

なんで終わったんだろうな

楽しく話せたぶん、寝落ち直前にはそんなことを考えてしまっていた

画像貼っていいか分からないですが既プレイでもわかりにくい場所は貼っていきます

あれから3か月、俺たちは各地で金策をしていた

ドリルマルクトからもらったドリルで掘って掘って掘りまくる

良いことか悪いことかは微妙なところだがクエストアイテムが発掘されることはなかった

売れないアイテムと1ゲルダアイテムのことを考えると良いのかもしれないが高く売れるアイテムも出ないのは痛い

ただ回復アイテムも欲しい俺たちにとってはヒールポーションとマナポーションがたくさん出るのは助かる

最初の1日は俺たちも普通に掘っていたが、途方もない作業になったためにドリル系スキルを取った、ただダウジング系は取らないでおいた
なくても問題ないものは極力とらないほうがいい気がしたからだ、それを言えばドリル系スキル全部なくても問題ないんだけどな

ドリルプロテクションは取らずにアクティブモンスターは全滅させることで対処している

マナ狩りを思い出すなぁ、ジュエリア鯖ですごい喧嘩ふっかけられた思い出が…いや、やめておこう

3日ほどメガロポリスのまわりで掘っていたが狐があることに気付いた

狐「この世界はメンテ後なのかしらね」

俺「どういうことだ?」

狐「最後に終了した時点でログインできなくなってるわけじゃない?だったら今私たちがこの世界にいるのが夢じゃないとしたらログインしてるってことでしょ?だったらわざわざメンテして入れるようにしたのかなと思って」

龍「そういえば気になるな、NPCと話せるからテキスト判断は難しいけどアイテムロストしてるしメンテしたとしたらくそメンテだな」

俺「メンテされてたとしたら何かあんの?」

狐「ふふ、ドリラー以外にはほぼ関係ないんだけどね、メンテ掘りって技があるのよ!」

羊「メンテ掘りですって!私が初めてすぐになくなったはずですのよ!?」

狐「いえいえ~、あるのよ、メンテ掘りはね、ドリラーだけで秘密にしてたんだけどね」

兎「メンテ掘りってなに?」

狸「僕も知りません、教えてください、僕!気になります!」

獅子「狸たそ~」

羊「次そのへたくそな物真似したら本の角でクリティカルしますわ」

狸「そこまでの罪ですか!?」

狐「メンテ掘りって言うのわね、メンテナンスあとには埋まってるアイテムの位置がランダムじゃなくて特定の位置で確定されるのを狙う技なのよ
そうね、クエストでアイテムを掘ってこいって言われて何日もかかったことあるでしょ?」

獅子「俺はパラダイスの幸運の手紙で詰まった!」

龍「あれは初心者の鬼門だよなぁ、せっけんとシャンプーとかもおかしいくらい出なかったけど」

狐「それを確定で掘れるようになるってわけよ、2010年に入ってすぐに配置方法が変わったからやるのは不可能って言われてたんだけどね
それは一般プレイヤーの話、ドリラーを舐めちゃいけないわ
こちとらドリルの命かけてるんだもの、だから今のカバリア島がメンテ後なら効率よく掘れるわ」

俺「もうドリル系振っちゃったよ、取る必要ないってことでいいんだよな」

狐「そうね、気づくのが遅れたわ、ごっめんねー」

猫「な、なんかうれしそうー!」

羊「わかりますわ、マイナーな型を他の人がやってる喜び、わかりますわ!ぜひみなさんも殴り魔を…」

「「「「「「「それはいや」」」」」」」

誰がそんなドM職やるっていうんだよな

メンテ掘りの存在を聞いた俺たちはポプリダンジョンへと向かった

確認するんだそうだ

狐「ここの入口がわかりやすいのよ。まずポータルとNPCの右はメンテ後だとゲルダクーポン確定スポット、下が7か所他を掘った場合の確定スポットよ、botが毎日せっせと7か所掘りで発掘してたわ」

ダウジングをし、掘り出す狐、速い、深さがそれほどでもないのもあるがこの速さは

兎「クレイジードリルみたい!」

獅子「ドリルガチ勢やべぇ!すげぇ!」

素直にすごいと思う。

40回くらい掘ったところで狐は言う

狐「この世界はメンテ後ね、メンテ後の確定スポットも発掘数での確定復活ポイントも同じみたいよ」

羊「頼りになりますね」

俺「ほんとにな、すごいな」

狐「別にこれくらい普通よ、ドリルガチ勢だからね。ギルドに戻って確定スポットを書いておくわ、みんなも今日は休みましょ」

そのまま俺たちはギルド本部に戻ってその日はゆっくりしていた

俺「ドリラーとしてはなんでも掘れたら嬉しいの?」

狐「嬉しいわよ、無駄になるアイテムはないし、狐だと重くてもなんとかなるしね」

龍「モスモスのさなぎとかでもいいのか」

狐「あれはいやよ」

猫「ドリルのこだわりわー?」

狐「クレイジードリル発動まで持って行ける耐久さえあればいいわ、無駄掘りなんてしないしね」

龍「娘ドリルでもいいのか」

狐「さすがにためらうわよ」

俺「顔ドリルと比べるまでもないもんなぁ」

狐「ていうか龍!あんたドリラーのトラウマ知りすぎでしょ!」

龍「ドリラー以外でも発掘イベガチ勢はいたんだよ…」

狸「まさか…ドリル特化してないのに初期の方の発掘イベントを…?」

龍「うわあぁあああーーーー!」

狐「行っちゃったわね」

俺「自分でトラウマを掘りかえして何してんだよな」

狐「私もトラウマは掘っても嬉しくはないわね」

次の日

人数分の確定スポットの書かれた地図を渡され、俺たちは各々世界各地を掘り歩いている

分担したとしてもカバリア島は広い、しかも掘りながら、アクティブモンスターを倒しながら、だ

途中銀行に戻るのも少し面倒だから所持力をあげるカバンを買った
携帯電話はもしもの逃げのために買ったのはあるが集会と緊急時以外は使わないようにみんなで話合いをした

ラージポケットのスキルも取った、クエストアイテムが出ないが製錬のための使う石が重いのだ、店売りもそれなりだし製錬するのもいいだろうと拾っている

走れるぎりぎりまで拾って街の銀行へ預ける

1週間に1度メガロポリスに携帯電話で報告会、そんなことを繰り返して、早3か月もたっていた

店売りだけどゲルダも稼げたし武器も微妙なのが掘れた、武器さえあれば牛はエナジーソードを使えるからなんでもいいが製錬で属性をつけたいと思う

目標である8人で1千万ゲルダ。ドリルだけでは無理だ、と思ったが意外といけるもんだった、ドリラーガチ勢は本当に恐ろしい存在だと気づかされたよ

そして俺はメガロポリスへ携帯電話で飛んだ

ギルド本部

猫「ほらー、どう?課金装備はないけど武器だけでもかわいいでしょー!」

俺「ブルードルフィンスタッフか、どうしたんだそれ」

猫「狐の書いた場所掘ったら陰気な箱っていうのが出てきてあけたらこれが出てきたの!」

狐「間違えてキャンペーンアイテムの確定も書いちゃったみたいでね、出てきたらしいのよ」

俺「他のところにも確定あるなら強い装備が手に入るな!」

狐「それが試してみたけど出ないのよ」

龍「もともとバグとして古いイベントのアイテムが出るっていうのがあったからそれだろうなぁ」

兎「バグアイテムぅー!」

獅子「BANか~?」

猫「掘れたし使えたなら仕様だもん~」

未実装ですっ!すみませんっ!の方の仕様か・・・

俺「店売りよりだいぶ強いし掘れる装備よりも強いな、壊さないようにな」

猫「そうするー、大事大事!」

狐「それじゃあ、これからのことを話しましょう」

俺「よろしく!」

狐「牛も前に来なさい」

俺「えー…へーい」

睨まれてしまった

狐「お金は1千万たまりました、装備は掘れたやつなので80レベル装備が多いですが明日はそれに製錬していきましょう、失敗しても問題ないくらいあるしね
回復アイテムは全員に振り分けます、重さは他のアイテムを持ってないから問題ないと思うわ」

俺「明日はそれで時間つぶれるな、その次の日から本格的に動くか」

狐「そうね、金策が終わったら装備を整えてアイテムも整える、じゃあ次はどうするのかしらね、プレイヤーたち?」

龍「クエスト攻略だな!」

羊「ボス討伐ですね!」

俺「そうだな、今回はクエスト受注ってわけじゃないけど俺から宣言するな
今回のクエストはジュバンニの捜索、ゲーム時代にもあった話かけるだけで終わるクエストだ。」

狐「ただ私たちは3か月間かけてこの島を回ったわけだけど見つからなかった」

獅子「入れ替わりで会えなかったのか?」

狐「それかボス部屋とかの掘れない部屋にいるパターンね」

羊「見当はついてますの?」

俺「記憶を残したってのが気になるんだよな、忘却の塔かと思ったらそのマップ自体がなかった」

狐「じゃあ明後日はジュバンニがどこにいるのかを話合いましょ、何か思いつけるはずよ、私たちならね」

俺「じゃあ今日はもういいか、俺は腹がへっちまってもうダメだぁ」

ハカセ「話し合いは終わりましたか?夕飯の準備はできていますので」

俺「初めてお前に好意を向けるよ、ありがとう」

今日は朝からマックスは大忙しだ

レベル80の装備だと火力が足りない

単純にダメージを上昇させるために製錬をやり続けている

獅子「マックソってほんとにうまい言い方だよな」

狐「そう言わないの、失敗なければすぐに強くなれて飽きちゃう人が多いからある程度の運要素は必要なのよ」

俺「アイテム枠埋まらずにロストの方が良いって思うことあったなぁ」

猫「失敗品って重くなるのもあったしね~」

龍「枠がかさむからアイテム探しにくくなるんだよな」

羊「不満ばっかりですわね、妥協したら良いんですのよ、完璧を求めるからヘイトが堪るのですわ」

俺「わざわざパラダイスまで来ていらないアイテム持って帰るのもなぁ、売り払うのも面倒だな」

兎「持っておいてもいいんじゃない?もう掘りはしないし所持力足りなくなることもないでしょ!」

獅子「所持力はあっても女子力足りてないけどな(笑」

龍「処女力も…」

羊「何をいっていますの!?」

レベル80のロイヤル武器で全員固めることに成功した

焼き入れができないのはわかっていたがやはり惜しいものだ

盾は持ってはみたが動きづらいためにみんな外した、一応持ってはいるがなくても問題ないし別にいい

防具も頭も特にはつけていない、店装備のだとあまり性能差がなかったし防具は発掘できなかった

見た目としてデフォルトの服で間に合っているし問題ないだろう、頭は耳ついているからいい

画面を見て動かすのと違って自分たちで動ける以上くらうダメージを減らすよりも喰らわないことの方が重要であると感じたから、準備は武器と一応の盾だけで終わった

装飾品はカバンにした、ヒールポーションを持つのに必要だったからである。ポケットも四次元ポケットのようにたくさん入るのだが
取り出しにくくこまったために中を楽に覗けるカバンを買うことにしたのだ

俺はドリル掘りの時に買ったが他はまだだったみたいだな



買い物が終わり、ギルド本部に戻るとヒールポーションとマナポーションの分配を行う

小と中は店に売り、全て大だけを用意した

正直もっと良いものが欲しかったが値段が張るので妥協した、飲まなくても取り出して「使用」と言えば使えるので大量に持っていても問題はない

試してみたが「使用」と言った後に所持数は減っているが手にはまだアイテムを持ったままだった、「使用」を連続で言って連続回復が可能ということだ

フラタコスを殴っていたら裏フラタコスだったときにヒールポーション小を連打しながら逃げたことを思い出す

分配は狐が任せろというので俺たちはそれぞれ自室へと戻り、スキル振りに集中することにした

結局俺は決めきれない

他の職のもあるとなると本当に困るな

俺「いっそ戦闘中に覚えるってのもありだよなぁ」

狐「いいじゃない、それ」

俺「!?いつのまに!?」

狐「バニッシュよ、町の中でも攻撃スキルは使えるみたいよ、オブジェクトには当たらなかったわ」

俺「そっか、NPCには当たるのか?」

狐「さすがに試してないわよ、ひどい結果になったら嫌だしね」

俺「そうだな…、なぁ、俺のスキル振りは戦闘中でもいいか?必要になるまで何が必要かわからない」

狐「良いわよ別に、8人が全力を出す必要のある戦闘があるとは思えないし牛ならスキル選択速そうだしね」

俺「ありがと、あとでみんなとも話してみるよ、何か面白いコンボ思いつくかもしれないしな」

狐「面白いコンボねぇ、期待しないで待ってるわ」

次の日、俺たちにヒールポーションとマナポーションが分配された、一人200個ずつをベースに前衛はヒール多め、後衛はマナ多めになった

羊「私はヒール多めじゃないんですの!?なぜですの!?」

狐「殴り魔と言ってるけどパワーリングかシャワーオブアローのどっちかは取ってるでしょ、前に出ても牛と兎がほとんど倒すだろうからダメージそんなに受けないでしょ」

羊「私も前に出るから受けますの!」

龍「基本速度で負けてるから大丈夫だと思うぞ」

羊「いーーやーーでーすーーの!私にもヒールポーションくださいまし!」

わがままを言うやつもいるので、まぁアイテム数はまちまちだが

みんなヒール200、マナ200は最低ある

普通のボス戦でも問題ないはず、少し不安ではあるがダークロード級が出てきても問題ないくらいのアイテム量ではある、装備は不安ありすぎるが

俺「準備はいいな、それじゃあ行こう!」

猫「どこに~」

狐「ジュバンニは死ななきゃ行けない場所にいる、だからそれらしいところに行くわ」

猫「それどこ~?」

俺「考えたんだけどそれらしいところは無い、でも俺たちが3か月の間に行っていない場所だとしたらだいぶかぎられる」

龍「で、長い話はやめにして、どこにいくか早く言おうぜ」

俺「イクリプスの異空間に行く」

羊「次元の異なる空間からさらに飛ばされてたどり着く異次元の世界ですか…!」

俺「そう、次元が違う空間からさらに異次元に飛ぶんだ、ここが1つ目の次元だとしたら2次元、3次元に行くってわけかな」

獅子「2次元世界にとどまりたいなぁ」

兎「3次元はリアル世界ってことかな!」

狐「現実が3つ目の次元かはわからないけどジュバンニが死ぬくらい、つまりこの世界のNPCが辿りつけない場所にジュバンニはいるのよ
他のマップにはNPCがいるし、ジュバンニはイベントマップのほとんどにも顔を出しているわ」

龍「スパイシードラゴンのボス部屋にいたこともあるしな」

俺「そうだな(笑 そんなあいつが行けない場所はもう別の次元くらいしか考えられないんだ」

獅子「まずは2次元世界ですか、うひょー、楽しみー」

狐「カードキーがなくてもメガロ地下に入れたことから、おそらく異空間の鍵も必要ないと思うの、だからすぐに出発しましょう」

俺「そうだな、行こうぜ!まずは蜃気楼の島だ!」

蜃気楼の島はウブス港から行く

携帯電話を使っても行けるのだが使用回数を減らすのはいざという時に困るからだ

ゲルダは余っているので携帯電話を買った方がよかったのでは?と思ったが気持ち的にはこの世界を歩くのは気分が良いのでこれでよかった

狸「クルーズチケット持ってないですけど大丈夫ですかね?」

狐「無理そうならその時考えるわ、ミンを倒して船に乗るって手もあるわ」

龍「NPCに攻撃が当たるのかの検証も兼ねられるな」

俺「その時は携帯電話か古代文字クエストクリアしようぜ…」

NPCとはいえこの世界の住人を傷つけたくないな、やっぱり

船乗りミンには良い思い出も悪い思い出もないがキークエストによく絡んで来るので話す回数は多かった

バンダナにサンダル、俺の夏の服装はこいつを真似ていたことがある

地味でもコスプレをしたくなるのは学生の本能なんだと思う

猫「ついたー!メガロを拠点にするとどこ行くのも近くていいね!」

俺「そうだな、それにこの世界だと移動するのが楽でいい」

獅子「どういうことだろ?」

猫も「?」な顔をする

俺「移動するときに敵クリックしちゃって焦ることあったじゃん?」

獅子/猫「あー!あるある!よくある!」

談笑している間に龍と狐がミンと話しをつけていた

狐には相変わらずすごい睨まれた、お前たちほど大人じゃないんだよ、俺は。

エピソードクエスト3の舞台になった島、蜃気楼の島

詳しくはネタバレになるが基本的に悲劇を見て喜劇に変える

これがエピソードクエストのおおまかな流れ、一部違うものもあるが基本的に長生きしているNPC達は悲しい思いを持っている

やめよう

今はそんなことを考えている場合ではない、そんなことと言うのは本意ではないが

狐「どうしたの?」

俺「いや、なんでもないよ」

今やってるクエストはジュバンニの捜索だ、今だけ、今だけ忘れよう

俺「蜃気楼の島ダンジョンに行くんだよな」

狐「ええ、近くていいわね、船を降りたら確か1マップ分だったしね」

エピソード3の段階だとまだエンキクラデュスはいる、でも俺はエピソード6まで終わっている

思えばエピソード6がトリックスターのエンディングになっちまってるな

この場合誰のクエスト進行度が適用されるのだろうか

エンキクラドュスが居れば俺以外の誰かのが適用されていることになる、が、聞けないな

そういう話をすれば少なからずネタバレになってしまう

エピソードクエストはやってない人も多いし俺たちの中にもすすめてない奴がいた場合、楽しみを奪うことになる

トリックスターがもう進められないから話をして教えてあげても良い気もするが、復活の可能性を考えるとネタバレはよくない

俺「ミン、ありがとなー」

ミン「帰りはどうするんだ?俺はウブス港に戻るけど」

心配そうに聞く、ゲーム時代じゃ細かな表情はわからなかったがほんとに良い奴

俺「なんとかするから気にしなくていいよ、ありがとな」

すぐに港から離船する船に俺たちは手を振り続けた

蜃気楼の島フィールド1-アルテオ、ここが蜃気楼の島の拠点となる場所

ダンジョンには一方通行だが行けるしフィールド2~4、島入口にも行ける、売り物は微妙だが行商モンキーもいるので買い物もできる

俺「ここは掘れるけど誰か今までに来たか?」

狐「確定スポットが2か所しかなくて掘れるアイテムも帽子が多いから来てないはずよ」

みんなここは掘ってないと答える、火山とか掘ったけどここは良いのかい

ポータルを使って一気にフィールド4に飛ぶ

クエストクリアしてる扱いのため転送にクエスト品を渡したり、転送のためアイテムを使用したりしなくていい、さくさく進むがゲームだったら物足りないだろうな、きっと

サンドマンがたくさんいるが迷探偵に話している暇はない、建設監督官アモスに話してフィールド7へ、本当にさくさくだ。いまどきはこういうさくさくのほうが流行るんだろうなぁ

スマホのゲームを馬鹿にするわけではないが押すだけのポチポチゲーも多い

パズル系も2強くらいあるがどれも同じ

姪の中学生に聞いたが周りの男の子も女の子も今はRPGをやらないそうだ

レベル上げが面倒、話だけ見たい、だそうだ、映画でもみてろ

ディスガイアとかやればレベル上げが楽しくなるだろう、DQや古いFFのコマンド式戦闘も良いだろう、テイルズみたいなアクションがあってもいい、話だけみたいなら本を読むか映画を見ればいい

なのになんでスマホゲーなんだろうな、神次元の女神達が少し馬鹿にしていたぞ

蜃気楼の島フィールド7からトリックスターの聖殿に行く
今死んだ場合はどうなるかはわからないがゲーム時代は復活地点がここにならないで島の入口に戻されてしまったためにクエスト中に死んだら戻るのが面倒だった記憶がある。

2次転職はしている、カード識別スキルは持っている、謎の手紙はないが今までの経験上いらない、準備は万端だ

大賢者モングロームが奥に見えるが話が長かったはずなので話さないでおこう、またこんどな

羊「今の時代だとおじいちゃんキャラって女の子キャラに変更されそうですわね」

今時はかわいいキャラかイケメンで釣らなきゃ人は来ないからな、俺は渋いおっさんとか信念もった中年キャラ好きだけどな

輝く卵に触れると意識が一瞬途絶えた

次元の異なる光の空間

気絶、というより一瞬目の前が真っ暗になった、というのが正しいのだろう

次に目を開けたらそこにはネペトリがいた

相変わらず美人だ、もう少し幼ければかわいいのだが

だが今の俺の気持ちは何よりもジュバンニに向いている、いや、アンネイちゃんが1番かわいいんだけどさ

みんなもそれがわかってかは知らないがネペトリと雑談もなしに転送してもらうことにしたみたいだ

夜空、周りにひろがる永遠の夜空、イクリプスの異空間

そこにはイクリプスがいるはずだったのだが、そこには別の、いや、俺たちの探しているキャラクターがいた

俺「やっと…やっと会えたな、ジュバンニ」

ジュバンニ「!?君たち、もうここまで来たのか!?」

驚きとともに肩をバシバシ叩くジュバンニに俺は安堵する

俺「生きててくれてよかったよ!」

各々がジュバンニに久しぶりと声をかけ、そして一息

ジュバンニ「結局9枚目は見つからなかったが君たちに会えたなら一応解決だ」

俺たちは顔を見渡す

ジュバンニ「君たちはもう持っているんだよ、神秘のカードをね」

!?驚きアイテムウィンドウを見るがやはりカード欄はない

ジュバンニ「とりあえずここは薄暗くてかなわんな、月明かりならまだしも星明かりは目に悪い、街に戻ろう、イクリプス!」

ジュバンニが手を叩くと

イクリプス「召使いじゃないですからその呼び方はおやめなさいな」

あまり話したことはないがお世話になることが多かったので俺たちはお礼を言っておく

ジュバンニ「メガロポリスまで飛ばしてくれ」

あぁ、あったなぁ、意味もなくきたら怒られてメガロ広場まで戻されちゃうの

怒らないイクリプスさんにしては珍しくて何度もやったやった

メガロポリス広場

狐「私たちはギルド本部を拠点にしているの」

ジュバンニ「そうか、私も彼らとは話したことあまりないがせっかくだ、少し昔話に花を咲かせてみようか」

プレイヤーに近いって言ってもNPCだもんな、弾む話もあるだろう

俺「じゃあ今日は自由で話は明日でいいか?神秘のカードの話とか聞きたいしな」

ジュバンニ「あぁ、すまないな」

相変わらずすまなそうにはしていないが彼のポーカーフェイスにはなれている

俺「そんじゃ俺は飯食って寝るからギルド本部まで一緒に行こうぜ」

ギルド本部

結局みんなでギルド本部に戻ってそれぞれ自由にすごした

今は夕飯を食べている、がジュバンニの姿はここにはなかった、ギルドマスターはいるけど街のみんなと話しでもしているのだろう

猫「ねぇねぇ、クエストクリアでいいんだよね」

お、忘れていた、みんなが俺を見る、あー、チャットではよくやってたけど恥ずかしいな

俺「クエスト、ドン・ジュバンニの捜索!クリア!報酬なかったけどみんなおつかれー!」

かんぱーい!とグラスを鳴らす、成功報酬はなくてもすごい達成感がある、これこそがネトゲの醍醐味だ。

翌日、俺たちはギルドホールで机を囲む

俺「で、ジュバンニは結局どこに行きたかったんだ?」

ジュバンニ「それは秘密だ、それにもう行く必要もなくなったしな、神秘のカードはそろった」

それだ、気になっていた、俺たちがカードを持っている、昨日言われたことだ

狐「私たちが神秘のカードを持っているって言ってたわね」

ジュバンニ「あぁそうだ、君たち一人一人が1枚持っている」

龍「カードアイテム欄がないんだがどこに持ってるんだ?」

みんなウィンドウを見、カバンを漁る

ジュバンニ「あぁ、カード識別スキルでお互いを見るんだ、鏡でもいい」

ジュバンニが言うと同時に獅子が自室へ走り、姿見を持ってきた

そんなことしなくてもお互いを見ればいいって言ってるのに

お互いを識別するとカードが見えた、インディアンポーカーのように額に張り付いていた

狐「プレイヤーカード、ね」

重量なし、カードバトルにおいては増えるライフも少なく、MP増やすのも微妙、価値も微妙、なのだが、これが神秘のカードか?

ジュバンニ「それを16種類重ねると神秘の地図が手に入るんだ」

そうかい、じゃあ

俺「早速やってみるか」

全員ジュバンニにカードを渡す

光が辺りを包んだ

もう一度目を開けるとそこには1枚の紙とちらばった16枚のカードがあった

ジュバンニ「成功だ!これが神秘の地図、これで…!」

喜ぶジュバンニを余所に俺は自分のカードを手に取りカバンにしまう

ジュバンニもそれに気づき8枚しまう、そしてみんながカードをしまい、地図だけが机に残る

そういえば張り付いてたカードはいつから張り付いてたんだろ、別にどうでもいいんだけどさ

狐「その地図はなんなの?」

みんなが気になっていることを狐が代表して聞く、こういうことは狐に任せるという暗黙の了解というやつだ

ジュバンニ「このゲームの制御室の場所を示している地図だ」

龍「そこにいけば現実に戻れるな!」

それはいい!もう思う存分ゲームしたしそろそろ現実に戻りたいもんだ

ジュバンニ「そうだな、場所は……歓迎学園の機械室だ」

俺たちは一斉に立ち上がり、こぶしを握る

俺「クエスト!現実への帰還!とりあえず歓迎学園機械室へ行くこと!クリア報酬は現実に帰れる!」

おう!、はい!とみんなが腕を上げる

ジュバンニ「まったく、とりあえず、か。早く行くぞ」

彼にはこのノリは合わないのか腕をあげてのおう!はなかった

ま、一緒に行ってくれるだけでも嬉しい

またウブス港を通り歓迎学園へ、いつもウブス港方面にしか行かない気がするがそれだけ重要な道なのだ、面白いイベントは無いフィールドだけど

歓迎学園登校路へ来ると風景はすっかり変わった。

ここではドリルで掘るとドリルが出てくる無限掘りが出来る良い地域だ

3か月の金策中に狐がメインで掘っていた場所でもある

出てくる敵もレベル64が最大でアクティブモンスターはシンボル数が少ないので安全

戦うこともなく正門へ着いた

機械室は別館だ、でも迷わない、迷わなければ近いのだ

歓迎学園は迷いやすいしマップのロードが多いがそこで文句を言う人はマップを覚えろと常々思っていた

校舎扉に触れて1階の静かな廊下へ行く

「シュアァーーーッ!」

牛「なんだ!?」
兎「きゃあっ!?」

前を歩いていた俺たち二人を襲う重たい攻撃、二人して後ろに吹き飛ばされる

邪悪なキーパー
レベルと攻撃力がとても高いが移動しないアクティブモンスター

羊「歩きまわってるじゃないですの!」

狸「これは…進むのはきびし!?」

ガッ、とにぶい音とともに狸が飛ばされる

狐「アクティブモンスター、トイ!?でも移動が速い!」

生徒指導員トイ、レベルも低く動きもにぶい雑魚モンスターだが、これは。

俺「くっそ!どういうことだ、動きがおかしい」

俺の知ってるキーパーとトイの動きじゃない、敵のスキルは確かトイのフルスイングとマナブレイク、キーパーにはない

ジュバンニ「これは…クエスト扱いなのだろうな、神秘の地図を手にしたものがここに来ると敵の挙動が変わる、か」

機械室に辿りつくクエスト、本当にあったってことか?


それにしても廊下の奥は見えない、この2体だけでもきついが何体いるんだろう

俺「奥の扉が機械室ってのがつらいな、手前ならなんとかいけそうだけど」

不意に赤い光がキーパーを包み、体をひねる

羊「ちょっと!あのモーションは!?」

龍「まずい!」

ウィンドサークルブランデッシュ、ハードアタックよりも結果として威力の低い牛の属性スキル

兎と狸のHPが一瞬でミリ単位まで削られる

狐「下がって回復!」

前衛が下がったらトイに突っ込まれる、どうする、どのスキルだ

俺が牛のスキルを取って前に出ても兎と同じだろう、ダメージも通りにくく一撃でHPを持って行かれる

装備が弱すぎる、かわすのもこの狭い廊下じゃ難しい、受け止める?あれを?冗談じゃない

猫「敵があの2体だけなら大丈夫、突っ込むから機械室に走って?」

前にゆっくりと歩きながら彼女は言う

俺「一人じゃあぶないだろ!俺も」

猫「スキル選択に迷ってる余裕ないでしょー、大丈夫、理論上さいきょーだからー!」

スカートがふわりと風になびき、耳をゆらし、彼女は手鏡で自分を見る

2つの盾が彼女の周りをぐるぐる回る

猫「よっし、準備おっけー、みんないい?追いつけないかもしれないけど戻ってきちゃだめだからねー」

狐「あんまり遅いと見に戻るわよ、私はね」

羊「私もですわ!」

ハードシールド、自分の周りに盾を高速回転させて防御を上げるスキル、前衛でも9割HPがけずられたんだ、猫の防御力じゃあハードシールドをかけても9割は削られるだろう

俺「無理だと思ったら携帯電話で逃げろよ?」

猫「だいじょーぶ!さぁ、行くよ!」

猫が矢のごときスピードでトイとキーパーに突っ込んだ

俺たちも走り出す、倒さなくてもマップ移動さえ、機械室にさえ入ってしまえばそれで終わる

狐はバニッシュで、俺と兎と獅子はクイックアクションで足の筋力を増やして敵をすり抜ける

猫を追い越す時にウィンクされた、俺が童貞なら惚れてるぞ

後衛職の羊と龍、狸もバニッシュを取ったみたいだ、ただ狐と違ってうっすら見える

ジュバンニは周りに薄い膜のようなものが見える、インビジブルディフェンスだろうか、彼もスキルが使えるんだな

俺と兎が機械室の扉を蹴り開けた

なだれ込むように狐と狸と獅子が入る

薄い色の狸と龍と羊が入って、最後にジュバンニが入る

すごい、成功だ

あいつは?

扉から覗き見ていた龍と羊が小さく「すごい」とつぶやいた

キーパーのスキルはゲームの時より豊富だねー

フルスイングにハイキックかー、ジャズコンボまで持ってるなんて

猫「まともにくらったらまずいねー」

余裕ぶってみんな行かせたけど機械室まで行けそうにないなー、数が増えたのは予想どおりだけど、5体ずつってはちょっとねー

私が走る前に使ったスキルはシェイプアップ、ハードシールド、ウェイトゲインの3つ

攻撃を受けないことと受けても大丈夫なようにするのが私【回避猫】の特徴だ

2体なら倒そうと思ったけど、これだけの数相手だと変身してる暇もないねー

状態異常が効かないのもつらいけど、敵が必中攻撃を持ってない以上は私の敵じゃないね

みんながあっちについたみたいだし、私も合流したいんだけど抜けられないなぁ、倒すしかないのかなぁ

みんなで貯めたお金だけどー、もう使うこともないかなー

クリティカル前提で5発、確かトイはそれくらいのHPだったはず

猫「いっくよー!」

片手の指の隙間、親指と小指で100ゲルダをはさみ、思いっきり投げた

「クヒャヒョローーッ」

猫「よっし、まずは一体!」

【ゲルダスロウ】クリティカルで1200のダメージを与えるスキル、1回で100ゲルダ使う。それを5発同時に撃つ

カバンに手を突っ込み、次は両手で

「クヒャヒョローーッ」「クヒャヒョローーッ」

同じように残りの2体も倒す

「クヒャヒョローーッ」「クヒャヒョローーッ」

猫「トイが動き早い以外変わってなくてよかったよー」

キーパーの攻撃を「すべて」かわしながら言う、少しノって来た

キーパー5体の動きはそれほど速いわけでもないけど遅くもない、抜けて行こうと思えば行けるんだけどー

猫「なんか楽しくなってきちゃったかもー!」

クルッとターンしてのスポットライト

変身タイム、スキル【メイクアップ】

実を言うと変身スキルとは少し違うから見た目の変化はないけど薄く唇が紅くなる、きっといつもよりかわいいかな

発動した後にはメイクアップ時スキル以外はほとんど使えなくなるけどー、もともと発動しておいたスキルはだいじょうぶー

猫「さってっと!うらぁ!」

【ワイルドナックル】
変身中にのみ使用可能な『回避猫が相手にダメージを与えることができたら』最強のスキル

当たることはわかってる、だってね、邪悪なキーパーは水耐性が0だから

私の武器、ブルードルフィンスタッフは水の力を持ってるの、だから当たる

1でもダメージを与えられれば、あとは22秒回避するだけ

危険になることはもうない、私は羊のスキル振りを聞いてブロック特化も面白いと思った、だから私は

猫「当たらないしー、当たってもー!」

カキィンッ!

猫「ダメージなんて受けてあげないーー!」

22秒

猫「ゆっくりおやすみなさい」

戦闘終了、良い運動になったねー

ゆっくりと機械室へ向かう

羊「すごかったですわ!猫!」

猫「殴り魔のブロック型ー面白いよねー」

さて、後の面倒そうなのはー、牛と狐に任せよー

機械室に猫が入ってから30分、ジュバンニと狐が機械をいじりつづけていた

狐「それでジュバンニ、これは~」

長くなりそうだ、廊下の敵は復活するだろうし何かわかるまでここに泊まる可能性も考えなきゃいけない

ジュバンニ「よし!わかったぞ!」

狐「ふうん、なるほど」

解決したかな!

ジュバンニ「この機械に16個のキーを入れれば良いみたいだ」

俺「それで戻れるのか!」

狐「戻れるかはわからないわ、でもここが地図に記された制御室である以上は戻れる可能性はここが高いわね」

獅子「16個ってぇとまたカードか」

ジュバンニ「そうだろうな、じゃあ、私が入れよう、カードを渡してくれ」

そういえば8枚は俺たちが持っているんだったな、種族ごとに1つ

ジュバンニはジュバンニカードかな、残りの7枚ってなんだろう

ジュバンニ「私が持っているカードは8枚!機械を本格的に動かすには神秘のカード16枚が必要なのだ!さぁ、君たちの持っているカードを渡してくれ!」

狐「これできっと元の世界に戻れるわね!」

7枚か、8周年だと8枚、ジュバンニカードだとしたら9枚だよな

ジュバンニ「そうだ、だから渡してくれ!」
狐に向かってジュバンニは言う

俺たち、8人が8枚、なんだ、なにか、なにかが、

俺「ひっかかる」

誰にも聞こえない俺のつぶやき

聞こえるように聞く

俺「ジュバンニのカードはジュバンニカードなのか?」

ジュバンニ「あぁそうだぞ、牛はバッファローカードかね」

話すたびに何か忘れてるような感覚がある

俺「なぁジュバンニ、お前の持っている7枚ってどこで手に入れたんだ?」

ジュバンニ「私はクエストをすべてクリアしたのだ!何をすれば手に入るかわからなかったからな!」

俺「どのクエストで、だ?」

少し重たい雰囲気が流れている

龍「何が聞きたいんだよ、牛は!重要なのは動かしてどうなるかだろ?」

無視して続ける

俺「通常クエストじゃ手に入らない、期間限定クエストはここにはない、だから7枚、いや8枚もどこで手に入れたのか俺にはわからないんだ」

狐「今それが重要なことなの!?」

焦り、みんな帰れると思っている中、俺だけがそれに水を差している状況、焦りの中に怒りも見える

ジュバンニ「キークエストをクリアしたときに手に入ったよ」

俺「キークエストってなんだろう、街には確かにキークエストはあるけど街の不思議を解決するだけのはずだ、それにな、ゲーム時代に俺はキークエストをすべて終わらせているけどそれじゃ手に入らなかった、手に入ったのは…」

いつだっただろう、気づいたら7枚もゲーム時代は持っていた

ジュバンニ「新しいキークエストが公開されたから手に入るとは思わないのか」

俺「ここに来てから全キャラと話したけどそういう話にはならなかった」

嘘と言えば嘘、蜃気楼の島のサンドマンとかには話をしていない。でも良い、きっとクエストは増えてないと思う、だって誰もクエスト依頼をしてくるNPCはいなかったから

それでカードはいつ手に入った、いつ持っていた、ゲーム時代、いつ。

俺「エピソードクエスト…」

ジュバンニは下を向き、一気に俺を見つめ、拍手をしながら言う

ジュバンニ「そうだそうだ、君を試したのだよ、君たちもトリックスターとして高い知性を持っているのかが知りたくてね、この世界には私しかトリックスターがいない、仲間として足を引っ張られては困るのでね。君の言うとおり、今のこの世界でもエピソードクエストをクリアすることで神秘のカードは手に入るのだ」

俺「…7枚ならわかる」

ジュバンニ「なに・・?なにがだ?」

俺「エピソードクエストの数は0~6の7つだけだ、0は削除されたけど今のこの世界にはあるのかもな、でも、それでも7枚しか手に入らない、あとの1枚はどうした」

ジュバンニ「8枚目か?ジュバンニカードだよ!君も知っているだろう、カードパックからも出るがね、私は自分に識別したら額に合ったこのカードが神秘のカードだとわかったんだ」

合ってる、識別で俺たちも額にカードはあったし、それを識別すればゲーム時代と同じカード識別だ、神秘のカードだと理解する方法としてはあってる

だからカードじゃない所の違和感、今得た違和感と、今までの違和感

ジュバンニはトリックスターになったとはいえゲームのキャラクターなんだ、あくまでもプレイヤーに限りなく近いだけでNPCなんだ

ならなんで、

俺「なんでお前はマップ移動できるんだ…?」

ジュバンニ「私は今やプレイヤー。だからだ」

違う、お前はプレイヤーじゃないんだ、でも、お前がプレイヤーだっていうならそれで進める

俺「なんで俺たちが神秘のカードを持ってるって思ったんだ?」

これも気になっていること、こいつが俺たちに会ったときには識別スキルの仕様エフェクトはなかった、だから会ってすぐ確認したとは思えない

ジュバンニ「カードを持っていると推測したのはトリックスターは私以外には君たちしかいない、ちょうど8人、持っていると思うだろう」

だめだな、何が気になっているか自分でもわからなくなってきた。

沈黙、思考、思考、考え、トリックスター8人、基本職、種族、あぁ、そうか

一人忘れているんだ、俺は

俺たちの中でやってた奴いないもんな

俺「ジュバンニ、お前の持ってるカードを見せてくれないか」

ひとつ、答えが出てる、俺の考えが合ってるかはわからない

でも多分、きっと、おそらく

俺「そのカードには熊が書かれているんじゃないか?」

こいつはポーラーなんだ

長い沈黙

そして…「ははははははっはははは!」
ジュバンニの笑い

ジュバンニ「すごいな君は、本当にすごい」

拍手をしながら近づくジュバンニ、いや、姿だけジュバンニ

熊「まさかワタシの正体に気づくなんてね」

一瞬で姿が変わった、声も。そして画像で見覚えがある可愛らしい姿

ポーラー、通称「熊」

2013年に追加された前衛職、使用する人は少なかったが新規キャラとして使う廃人は多かった

熊「で?どうするの?機械を使うだけならワタシがジュバンニだろうとポーラーだろうと関係ないはずでしょ?」

へらへらと笑いながら熊は問う

狐「そ、そうよね、ほらみんな、渡すわよ」

狐が熊にカードを渡す、帰れる希望が目の前にあるとここまで冷静さを無くしてしまうのか

熊「ねぇ、牛さん、どうしてワタシがジュバンニじゃないってわかったの?」

話してる間にも龍もカードを渡す

俺「さっきも言った通り、NPCならマップ移動できるのが少しおかしかった
ジュバンニはいろんなマップにいるからいろいろ行ける可能性もあってもいいんだがそれだと他のNPCと違って一人しかいないことになる
他のNPCはマップごとにいたのを確認してるんだよ、アイラやメルが街ごとにいたからジュバンニもいろんなマップにいなきゃおかしい」

熊「トリックスターになった、って聞かなかった?」

狸と獅子も渡す

俺「だとしてもNPCはNPCだ、プレイヤーに近かろうとゲームのキャラクターであることにかわりはない」

熊「そう、それじゃあ、なんでワタシが熊だってわかったの?」

俺「エピソードクエストの数はさっきも言った通り0~7で7つ、だからお前の持っている数8に対して1つ足りない
なら後の1つはどこで手に入れたのかを考えた、ジュバンニカードの可能性もあるにはあるが俺たちのカードが種族カードだとしたら
ジュバンニは「人」のカードじゃないかと思ってな、だから種族カードで他に何があるかを考えたらポーラーを思い浮かべた、それにな」

兎が熊に渡す

俺「お前が遺書に残していた生きていては行けない場所ってのを考えてみた」

熊「それはどこかな~」

俺「生きていては行けない場所、それって「ログイン画面」のことじゃないのかなって思った」

みんな、俺たちの話を聞き入っている

熊「ふぅん、正解、ジュバンニとしては行けなくてね、熊としても行ってみたんだけど新規アカウントは作れなかったの」

行けたのか、ログイン画面に行けるってことは、こいつはログアウトできるってこと。

俺「そりゃそうだ、新規登録どころか新キャラすら最後は作れなくなってたしな、それを考えたらエピソードクエストの7枚があって。俺たちにカードを渡せっていうことは種族ごとにもらえるカードが必要、それで俺たち8人分以外の1枚分、余った種族と言えば」

熊「そうですね~。あなた達である牛、兎、羊、狐、猫、龍、獅、狸、以外の種族はワタシである熊」

猫と羊が熊にカードを渡す。これで残りは俺だけだ

俺「なんとなくお前が誰なのかもわかった気がするんだ」

熊「誰です?」

これで問答はおしまいにしよう

俺「お前は…運営なんだろ…?」

俺たちとは別の方向からトリックスターを愛してやまない、そんな人間。

運営の誰もが終わることを望んでいたわけじゃない、きっと数人、いや、多くの運営側の人も終わるのを悔やんでいた

熊「そう・・・だよ、ワタシは運営の人間」

そうか、なんだろう、少し…嬉しいな

俺「レベルも高そうだなぁ、castじゃないよな」

熊「ワタシはそういう部署じゃなかったからね、本当はゲームしているプレイヤーもお金落としてくれる馬鹿な人間だと思ってたんだけどね、気づいたらさ。」

うつむき、熊は勢いよく顔を上げる、すると姿がジュバンニになった

ジュバンニ「気づいたらさ!君たちが町の外でモンスターと戦っている姿に!仲間とともにダンジョンに挑む姿に!憧れたんだよ。
くだらない雑談も、クリスマスなのにサーバーが落ちるくらい人が集まる様子も、ワタシにはうらやましかった!
いいじゃない!ここで一生をすごそう?外ではもう半年も時間が経っている。君は会社をクビになっているだろうさ!
戻ってもつらいだけ、また死んだように日々をすごすんだぞ!だったら、ここで一生すごそう?
ここで一生、ワタシとゲームをしようじゃないか!」

またうつむき、顔をあげる、すると姿がまた熊になった

熊「トリックスターはたしかに削除された!でもね、小さくデータが残っていたの!
奇跡だよ奇跡!その残っていたデータから私は復元したの、少しずつ少しずつ、1年もかけてね!
そして脳波デバイスのテスト運用も兼ねてトリックスターを愛していて、今も忘れられない、そんな人間を連れてきた!」

また下を向く、そしてジュバンニに。

ジュバンニ「大丈夫、現実の体はなんの問題もないよ、だからここにずっといよう、すぐに人も増やすさ、だからずっとず~っと遊ぼう」

クビになってる・・・か、なるほど、俺たちはさらわれてゲームさせられてるってわけか。

そしてきっとそうだよなぁ、熊の言うことはわかる、合ってる

俺は戻っても死んだようにまた過ごすだけ、でも、でも違う。俺の愛したトリックスターは

俺「ゲームは誰かにやらされるもんじゃない。自分でやりたいって思うからやるんだ。毎日ログイン強制とか、そんなの俺の愛したトリックスターじゃねぇよ…!!
それにさ、お前がこのゲームを好きだって、愛してるって言うなら、そんなこと言わないでくれ…ジュバンニは、俺の愛したジュバンニはそんなこといわない」

愛した…告白じゃない、いや、告白でもいい、好きだ、ジュバンニもメルもアイラもミランダもドリルマルクトも!みんなみんな大好きだ!

狐「ねぇ!早く牛も渡しなさいよ!」

俺「聞いてなかったのか!?熊は俺たちを現実に戻すつもりはない!」

龍「ならなんでここに来たんだ、ここの存在を知らせなければ、俺たちは戻る術なんて一生わからなかったじゃないか!」

そうだ、確かにそうだ。

なんでわざわざここに来る必要がある?外から制御できてるんだろうに。

ここを知られても俺たちはポーラーのカードだけは絶対に手に入らないから現れなきゃよかったのに

パシッ!

俺の手からカードが盗られた

狐「悪いわね牛、これはもらうわ」

バニッシュかっ!

狐から熊に牛のカードが渡る、これで16枚揃ってしまった

機械に走る熊、追いかける俺、たった数メートルがとても遠く感じる

動けない、なんだこれは

熊「メンタルデストラクション、悪いね、少し邪魔しないで欲しいんだ」

機械にカードを16枚入れ、キーボードを叩く

数秒、たった数秒のことだった、世界は暗転し

何も変わらなかった

狐「どういうこと!?」

みんな焦りと不安で騒ぐ、俺はまだ動けない

熊「牛くん、ごめんね、ワタシの勝ちだ」

なんの勝負だよ…

熊「ワタシは外からの制御が出来るけど、この部屋だと中からの制御ができてしまうからね、そのシステムを破壊させてもらった」

少しずつ体の調子が戻ってきた

俺「お前が現れなければカードは絶対揃わないから破壊しなくても変わらなかっただろうに」

熊「もしもの場合に備えてだね、ワタシがここにインしなきゃいけない場合が出てくる可能性も0ではないわけだしさ」

獅子「ふっざけてんじゃねぇぞ糞熊ぁー!」

熊は下を向き、顔を上げる、すると姿はまたジュバンニなった

ジュバンニ「残念ながらNPCに攻撃は当たらないよ、いや、当たっても効かないというのが正しいな」

みなキレている、怒っているのではない、ブチギレだ。

希望を得たのにそれを砕かれた、もう現実には戻れないだろう

各々攻撃を仕掛けるが倒れない、当たっているのにダメージがない

ジュバンニ「残念だがこんなことをしている暇はないのだよ、安心してくれ、すぐに人は増やすよ、それじゃあ、また」

シュインッ!
と彼は消えた

ジュバンニも熊ももうここにはいない

いるのは俺たちプレイヤー

もう戻れない、クエストに失敗したプレイヤー

失敗の代償は

大きい

それから丸1日、俺たちは機械室で嘆いた

帰れる希望に目がくらみ、浅はかに行動したことをみんな悔やんだ

それからメガロポリスに戻った

帰りには敵は出てこなかった、よかった。もう戦う元気なんてない。

ギルドホールに戻ると、俺たちは部屋にこもった。食事は運んできてくれるがギルドマスター達には良い返事ができていない


それから3日、俺たちはただ散歩する人になっている

やることがないのだ、クエストもなければ話すこともあまりない

あるとすれば昔話に花を咲かせるだけだ。あのころはよかった、の話をすると今の状況に耐えられなくなるだろう。

あぁ、運営さん、やっぱり現実には帰してくれないのか、

もう一度確認してみるがログアウトボタンはない

運営は俺達の意識をダイブさせている器具を外すつもりはない、とめるつもりもない

詰み、だな…ログアウトできず、外部干渉も望めない

もう、方法は…

いや、まだ、何かあるはず

ネトゲをやっていてログアウトする方法

なんだ、正攻法じゃなくて、ログアウトする方法

回線抜き?…は無理か、現実で何かできるわけじゃない

バグ利用?…も無理だ、たとえ利用したとしてもBANされるわけじゃなさそうだ

あとはサーバーエラーで落とされること、これは期待できない

最終日に向けて無駄にサーバーを拡大した運営だ、サーバーが混み合ったくらいじゃ落ちないし、まず混み合うほど人数がいない

考えろ、考えろ

何年トリックスターをやってきた、オープンベータから今までを思い出せ…

俺が落ちた時、落ちるとき、だめだ、そんなに落とされたことがない

考えても、何も思い浮かばない。

あぁ、そうか、

「これが…詰んだ…って…ことか…」

終わり、俺たちにできることはもう

ない。



これは罰


いつまでもトリックスターを忘れることが出来なくて

終わってからも依存し続けた俺たちへの










…罰なんだ

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