カナ「チョコレート狂騒曲」 (103)

みなみけSS。
多分短いので過度な期待はしないでください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423839990

今年もあの日が近づいて参りましたーー

カナ「というわけで! 今年も今年でバレンタインの先生に来ていたただいております!!」

マキ「はいどーー」

カナ「アツコ先生です!」

アツコ「え、えっ? 私なの……?」

内田「おー、さすがアツコさんだ! モテる人は違うね!!」

マキ「あれー? 遠回しに私がモテないって言ってないー? ねー?」

カナ「さぁ、是非とも参考になるご意見を」

アツコ「そんなこと言われても困るよ……」

トウマ「アツコさんも貰う方の人なんじゃないのか? モテる人って逆チョコたくさん貰うんだろ?」

カナ「トウマはいっつもアツコの前にくっついてるなぁ」

アツコ「そんなことないよ。友達と交換しあうぐらいだから、貰うばかりじゃないし」

チアキ「アドバイス云々より、今年はあげる相手がいるのか? カナと内田は」

カナ「そりゃもう」

内田「ひとり……いや数十? くらいは配るよ」

チアキ「そうか、それなら2人とも私と目を合わせて話したらどうだバカやろう」

チアキ「まったく、マコちゃんからもなんか言ってやってくれ」

マコト「うえっ!? あ、まぁ、いや俺も渡す人はいない……かな?」

チアキ「そうなのか? マコちゃんに貰う人は皆幸せになると思うけど」

マコト「そ、そう? でも俺はどっちかと言えば貰う方がいいな」

チアキ「そっかあ。マコちゃんはきっとモテるんだろうな」

マコト「そんなことないよ……(男の俺が聞いちゃいけない気がするよ! カナ助けて!」

カナ (マコトのあの目線は『俺はチョコが欲しい』か。案ずるな、手伝ってやろう)グッ

マコト (さすがカナ! 頼りになるな!!)

カナ「なぁ、チアキはもちろんマコトにやるんだよな?」

マコト (違う、 そうじゃない)

チアキ「なんであのバカやろうにあげる必要があるんだ。マコちゃんならともかく」

カナ「え? だってマコちゃんにあげるなら必然的にマコトへーー」

マコト「わ、わーわーわー!! そういえばハルカさんはどこ行ったの!?」ジタバタ

チアキ「びっくりした……。ハルカお姉様はチョコを買いにいくって言ってたよ」

マコト「へ? あげる相手がいるってこと!?」

チアキ「さぁ……そんなやつ、私が品定めするまで許さないけどな」

カナ・マキ・アツコ (あっ、なんか怖いスイッチ入ってる)

内田「でも誰にあげるんだろーねー?」

チアキ「義理だ義理だ! 本命なわけがない!!」

カナ「でもハルカももうお年頃だからなぁ。そんな相手がいてもおかしくないし」

マキ「そういえば最近ハルカやけに元気だったっけ」

アツコ「あからさまに、って訳じゃないけど、チョコ特集みたいなの載ってる雑誌買ってたね」

チアキ「えっ……」

内田「えーっ!? それってもしかして!」

カナ「ほー? ハルカがいつのまにかねぇ……」

チアキ「やめろバカやろう! そんなわけ、お姉様がそんな俗物に……!」

マキ「まぁでも何が起きるかは分からないしねー」ニヤリ


マキ「気になる人が、いるのかもね」

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某デパート 特設会場

ヒトミ「すいません、わざわざ付き合ってもらっちゃって」

ハルカ「ううん。私もマキたちにあげようと思ってたから」

ヒトミ「こんなにたくさんあるから全然決まんないっスね……」

ハルカ「あっ、これとかどう?」

ヒトミ「お、おー! 綺麗っスこれ!」

ハルカ「でも今年は気合い入ってるね? ……もしかして、本命がいるの?」

ヒトミ「うえぇっ!? ち、違うッス!! これはその、いつものお礼みたいなやつッス! ガチな奴とかそんなん違くて!!」

ハルカ (どうやら本命みたいね)

ハルカ「そっかそっか。じゃあちょっといい感じのチョコあげようね」

ヒトミ「センスとかよく分からないんで、ハルカ先輩がいてくれて心強いッス……」

ハルカ「んー、でもどんな人にあげるか特徴聞かないとどれあげていいのか分からないかな。どんな人にあげるの?」

ヒトミ「特徴ッスか? ええと……背が私よりまぁまぁ高くてー」

ハルカ「うんうん」

ヒトミ「た、たまにかっこいいところがあって……」

ハルカ (あっ、顔がちょっと紅くなってる……)

ヒトミ「そ、それでいて近いのに遠くて」

ハルカ (んー、近いのに遠いってことは、わりと親しい人で、ヒトミの先輩にあたる人かな?)

ヒトミ「でも、あのキリッとした目を見るとたまらな……って、うわー何言ってんだろ私!!」

ハルカ (かっこよくて、わりと親しい人で、キリッとした目……あっ、それってもしかしてーー)







ハルカ (ヒトミが好きな人って、速水先輩!?)

ヒトミ「へ、変ッスかね……」

ハルカ「う、ううん、全く! か、かっこいいもんねー! うん」

ヒトミ (やっぱハルカ先輩もナツキのことかっこいいって思ってるんだ……)

ハルカ「じゃ、じゃあ喜ぶチョコあげようね」

ヒトミ「お願いします先輩」

ハルカ (び、びっくりした……。でも今はそういうのが普通なのかもね。ちゃんと応援してあげようか、うん)

ヒトミ (ハルカ先輩にはちょっと申し訳ないけど、今年こそちゃんとあげるって決めてるしな……。多分ハルカ先輩は好きとかそういうことをナツキに思ってるんじゃないだろうし、うん)

ハルカ「あ、ねぇこれとかどうかな?」

ヒトミ「すごいお洒落ッスね! でもちょっと女の子っぽさ強くないですか?」

ハルカ「あ、そうかもね。じゃあこっちとかどう?」

ヒトミ「うーん、この隣もいいかなぁ」

ハルカ (ヒトミ、チョコ選ぶの楽しそう。好きな人相手だと嬉しいんだろうなぁ。……私も後で、ナツキ君の分買っていこう)

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カナ「内田とー」

内田「カナちゃんのー」

カナ・内田「「三分チョコクッキングー」」

カナ「はい、というわけでね、誰にあげるか分からないけどチョコを作っていきましょう」

内田「先生、先生。しつもんです」

カナ「お時間が足りないので巻いていきますねー」

内田「なんでよ! どうしてまた私はメイド服を着せられてるんですかご主人様!!」

カナ「バレンタインにチョコを作るんだから、当然だろー?」

内田「へっ? あ、うん、そうなのかな……?」

カナ「まったく内田は簡単だなぁ。さて、皆様まずは手元にチョコを用意しましょう」

内田「ねぇ今簡単って言いませんでしたかご主人様」

カナ「次に、このチョコを溶かしていきましょう」

内田「ねぇ、カナちゃん。チョコってどうやって溶かすの?」

カナ「いい質問だな! 解説にチアキ大先生をお呼びしました!!」

チアキ「知らないくせに私を解説に呼ぶんじゃない」

内田「部屋の温度で溶けるまで待ってればいいの?」

チアキ「何日かかるんだその方法は」

カナ「レンジでチンすればいいんだよ!」

チアキ「それも違う! チョコを溶かす時は湯煎するんだ」

内田「ゆせん? 温泉のこと?」

チアキ「カナ、アシスタントを今すぐ変えるべきだぞ。ついでに先生もだ」

期待ありがとうございます。ちょっと待っててください。超遅刻SSにします。

これより酉つけていきます。



カナ「そんなこと言うならチアキがチョコ作りなさいな!」

チアキ「なんで私が作ることになるんだ! ……しかし、ハルカ姉さまの聖なる台所がバカやろう共に汚されるのは嫌だし……」

チアキ「仕方ない、代わってくれ。アシスタントはトウマとマコちゃんにお願いする」

マコト「えっ!? お、俺がチョコ作るのか!? む、無理だよいろいろと!!」アタフタ

チアキ「だが、この複数形バカやろう達と一緒に作るよりマコちゃんとトウマに任せる方が何万倍かマシだ」

内田「あはは、カナちゃん複数形バカやろうって呼ばれてるよ」

カナ「お前も含まれてるんだぞ」

マコト「おれは手伝うよ。甘いもんは作ったことはないけど、手伝うくらいなら」

チアキ「……マコちゃんは、私と作るの嫌か?」

マコト「うっ……わ、分かったよ。作ろう! 立派な男になるためには越えなきゃいけない壁だからな!!」

チアキ「やっぱりマコちゃんは優しいな」ニコッ

内田「チョコ作ること自体立派なオトコになる目的から外れてるんですが」ヒソヒソ

カナ「内田、皆まで言うな」ヒソヒソ

チアキ「さぁ、2人はクビだから台所から出て行ってくれ」グイグイ

内田「そんな~ひどいよ~」

カナ「内田よ、この世の中には三分で片付けられないことがあるんだ。行くぞ」

内田「先生がこんな服装まで着せといてひどいなぁ!!」

チアキ「(……? やけに素直だな)ほら、行った行った」

リビング



内田「先生、私もう先生についていけません! 実家に帰らせていただきます!!」

カナ「ふっふっふ……。アシスタントくん、まだ分からないのかね。この私の仕掛けた完璧な計画が!!」

内田「な、なんだってー!? ……で、それって何?」

カナ「分かってから反応しなさいな。いいか内田。私たちだけでチョコが作れると思ったか?」

内田「ううん」

カナ「そう、私たちはチョコが作れない! だから、あえて作れる人たちが作らざるを得ない環境へ持ち込んだのだ!!」

内田「……ええと、もっと分かりやすくおしえて?」

カナ「だーかーらー、チアキ達に任せておけば正しいチョコの作り方も分かるし、私たちが何にもしなくても出来上がったチョコを味見できるだろってこと!!」

内田「はっ!? なんて天才なんですか先生! すごいです!!」

カナ「自分の才能が恐ろしいよ……」

ハッハッハー……


トウマ「なぁチアキ。カナ達は何があんなに面白いんだ?」

チアキ「ほっとけ。バカにつける薬は売ってないぞ。売ってたとしても、カナ達には効き目がない」

マコト「それってバカじゃないってことにならないか?」

チアキ「違う、医療の限界だ」

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保坂「2月14日」

保坂「何故人は毎年この日を飽きたりしないのだろうか」

保坂「答えは明確だ。この日は想いを伝える最高の『記念日』だからだ。クリスマスを『恋人と過ごす日』と定義されるのならば、バレンタインは『恋人になれる日』と称しよう。あらゆる想いを込め、普段伝えるにも届かない大切な人へチョコと共に言葉を伝える! この日はチョコレート会社の陰謀か? 否! まさにあるべくしてある日だ!」

保坂「俺もその日を構成する一人となろう。 南ハルカに俺はチョコを届ける。そして、長いこと温め続けていた貴方への言葉を、最高の時間と共に届けるのだ!」




速水「よくもここまでだらだら長々と人通りの多い道の真ん中で話せるわねー尊敬するわー」

保坂「む、誰かと思えば速水か……。学校の外で会うとは珍しいな」

速水「私は会いたいなんてこれっっっぽっちも思ってないんだけどねー。アンタがいつ捕まるか遠くから見てたんだけど、どうも今年も変なこと考えてる気がしてね」

保坂「変なこと? 俺がいつ変なことを考えている? 俺は常に南ハルカのことを純粋かつ明確かつ感情と理屈の狭間で考えているだけだが……」

速水「アンタの価値観は普通の人にはまず受け入れられないかなー」

速水「……まぁいいや。保坂、アンタに良いこと教えてあげよう」

保坂「いいこと……?」

速水「ほら、耳貸しな」ヒョコッ

保坂「近いぞ速水」

速水「南ハルカは、ブルガリのトリュフが好きらしい……」ボソボソ

保坂「なにっ! それは本当か!?」

速水「さぁねー? 本当かもしれないし違うかもしれないー。一つ言えることは、私が好きなチョコと一緒なんだよねー。偶然だけど、偶然」

保坂「トリュフ……チョコレートと言えども種類は千差万別。チョコレートの味のことに拘りすぎて、種類は考えていなかった……。俺は、まだまだ南ハルカについて知らないことだらけだ」

速水「そんな気に負わなくていいのに。ホントに」

保坂「速水よ! お前に会えて良かったぞ! 俺は今から南ハルカに渡す至高のトリュフを探し求めにいく!!」

速水「うんー、もう帰って来なくてもいいからねー。あとデルレイとかコヴァのチョコでもいーよー」

保坂「今しばらく待っててくれ南ハルカ! 俺は貴方のために、この世界で1番のチョコを持って帰ってやる!!」


ダダダダダダダダ……





速水「……ま、これで私の貰える高級チョコが用意できたかな。バレー部の子達の分でも買っていくか」

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ヒトミ「ハルカ先輩、今日はありがとうございました」

ハルカ「ううん、いいんだよ! 私も家族の分とか友達にあげる分買えたからね」

ヒトミ 「じゃあ、明日は頑張るッス」ペコッ

ハルカ「あっ、待ってヒトミ」

ヒトミ「? 何ッスか?」

ハルカ「あのね、その人に渡すのはきっとすごい勇気がいるし、難しいかもしれないけど……絶対大丈夫だから! その人はきっと受け取ってくれるよ」

ヒトミ (……難しいってことは、やっぱりハルカ先輩もナツキにあげるのかな)シュン

ヒトミ (……でも、ハルカ先輩には申し訳ないけど、負けたくないッス。ハルカ先輩にその気が無くても、私の中での戦いだ)

ヒトミ「はい、負けないッス」

ハルカ「うん。じゃあ、また明日ね」

ヒトミ「はい。失礼するッス」

ハルカ「は~い♪」


タッタッタッ……





ハルカ「……」ガサッ

ハルカ「……私も、渡せる勇気、出せるかな……?」

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カナ「んっ! これ美味しいぞチアキたち!!」パクパク

内田「美味し~♪ 口の中でとろけるよぉ~」モグモグ

チアキ「私たちが作ったんだから当たり前だろう! ていうか食べるなバカやろう!!」

トウマ「すげーなぁ、おれたちが作ったとは思えないなぁ、うん」モグモグ

マコト「おおっ、美味しいな! お店みたいなチョコが出来たね!!」

チアキ「2人のおかげだよ。……どこかの最上級バカやろうと違って」

カナ「グレードがあがってるぞチアキ!?」

カナ「それで、トウマ達はあげる人いるのか?」

トウマ「え? おれか? う、ううんと……ふ、藤岡にあげようかな」

カナ「えー!? 藤岡に!?」

トウマ「す、好きだからとかなんとかじゃなくって、いつものお礼だよ! いつもの!! 一緒にサッカーしてくれるし、藤岡くらい上手い人なかなかいないからな」

カナ「はぁー。そういえば藤岡がサッカーしてるところ数えるくらいしか見てないなぁ」

内田 (藤岡さん可哀想……)

チアキ「私も藤岡にあげてやろう。それで、マコちゃんはどうだ?」

マコト「ふぇっ! あ、俺は……そうだなぁ、チアキたちにあげようかな」

チアキ「え、いいの?」

マコト「うん。チアキにはいっつもお世話になってるし、どっちかといえば貰いたい方だし……」エヘヘ

カナ「誰から貰いたいのかな~? ハルカからなんじゃないのか~?」ニヤニヤ

マコト「う、うるさいぞカナ!」

チアキ「大丈夫だ、ハルカ姉さまは優しいからきっと貰えるよ。それより、マコちゃんが私にくれるのがすごい嬉しいな」ニコッ

マコト「お、おうっ! 喜んでくれて嬉しいよ!!」

カナ「男子にあげるんなら、マコトにあげればいいじゃないか」

チアキ「何を言ってるんだ。どうしてあのバカやろう三号にあげなきゃならないんだ」ムッ

マコト (うわぁ、すごい複雑な気持ち)

ガチャ


ハルカ「ただいまー」

チアキ「あっ、ハルカ姉さまが帰ってきた」

ハルカ「あっ、みんな揃って……チョコ作ってたの?」

トウマ「頑張って作ったんだよ!」

マコト「すごい立派なのができました」

ハルカ「そう、上手にできて良かったね」ニコッ

ハルカ「マキたちは……流石に帰っちゃったか」

チアキ「私たちがチョコを作る前に『私手作りとか無理だから帰る……』って言って帰りました」

ハルカ「今年は自分で作るって言ってなかったっけ……」

カナ「そういうハルカは、どこぞの馬の骨とも分からない男に買ってきてないだろうな!」

ハルカ「すっごい人聞きが悪いなぁ。みんなにあげる分買ってきたんだ。明日のお楽しみね」

マコト「ほ、ホントですか!?」

ハルカ「うん。マコちゃんの分もちゃーんとあるからね」

マコト「あ、ありがとうございます! 気絶しそうなくらい嬉しいですっ!!」

ハルカ「大げさだなぁ、マコちゃんは」

カナ「当然私の分はあるんだろうな?」







ハルカ「……カナの分?」ガサガサ

カナ「へっ?」

チアキ「おっ?」

トウマ「んっ?」

内田「あれ~?」

2月15日? そんなこと気にすんな! と開き直る。

続きは後になります。

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2月14日

藤岡 (チョコが欲しい)

藤岡 (カナからのチョコが欲しいなぁ)

藤岡 (靴箱とか机に置いてあるチョコも本当に嬉しいんだけど、カナからのチョコが1番欲しい)

藤岡 (今年は出来れば手作りが欲しい。ホントに欲しい! ……が、それをあからさまに示してはいけない。これはアキラと約束したことだ)

藤岡 (本当に欲しい相手には、がつがつ行かずにチョコの雰囲気を匂わすだけでいい……。参考になった)

藤岡 (だから、今日はあえて攻めず普通に過ごすーーこれこそが、カナからチョコを貰う唯一の方法!!)グッ






ケイコ (藤岡くん分かりやすいなぁ。普通に友達と話してるけど結構露骨にカナのこと見てる)

ケイコ「ねえ、カナ。今年は藤岡くんにチョコあげるの?」コソッ

カナ「なんであげなきゃならん。むしろこっちが欲しいくらいだ! 聞いてよケイコ。ハルカが昨日チョコを私の分だけ買ってきてないとか嘘ついてなー……」

藤岡 (チョコ!!)ピク

藤岡 (今確かにカナがチョコという単語を発した気がする。つまり、カナ取り敢えずチョコに対して興味は持っているということ)

藤岡 (これは、ひょっとしてひょっとするんじゃないのか?)グッ

ケイコ (あー、あの顔はカナのチョコっていう言葉が聞こえたんだろーなー)

カナ「ちょっとケイコ! 聞いてるのか?」

ケイコ「き、聞いてるよ。それで?」

カナ「だーかーらー、そしたらハルカがーー」プンスカプンスカ……

ケイコ (それに、こっちも……)チラッ







リコ (チョコをあげたい)

リコ (藤岡君に本命チョコを渡したい)

リコ (カナはチョコをどうせ持ってきてないから、差はつけられる)

リコ (でも、これでいいのかな? 頑張って作ってはみたけど、藤岡君が何が好きか知らないし……)

リコ (い、いやいや。そんな弱気じゃダメよ! きっとこれを食べたら、私の想いに応えてくれるはず)ブンブン

リコ (あとは勇気だけだ! 渡したいよ……!)

藤岡 (カナ、いつチョコ渡してくれるんだろう)チラチラ

リコ (タイミングさえ合えば……早く渡したいよ)ソワソワ

カナ「だから、チョコを渡すより私は貰いたいんだってば!!」プンスカ

ケイコ「あ、あはは……」




ケイコ (なんでこうも需要と供給が一致しないんだろうなぁ)

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ナツキ (チョコが欲しい)

ナツキ (すっげえ欲しい)

ナツキ (もうハルオ達に負けるのは嫌だ。この際チロルチョコだって嬉しい)

ナツキ (……出来れば、ハルカ先輩のが)

ナツキ (バ、バカか俺は! 毎年一つももらえてないくせに何考えてるんだよ!!)

ナツキ (……まぁ、夢のまた夢か)


ヒトミ「……」ジーッ……

ヒトミ (……ナツキのあの目は、チョコが欲しいって目だ! やった!!)

ヒトミ (……けど、渡すのはなんていうか、恥ずかしいなぁ……)

ヒトミ (でも、渡すって決めたんだから、渡してやろう! うん!)

ヒトミ「ナ、ナツキっ!」

ナツキ「ん? ああ、ヒトミか。どうした?」

ヒトミ「え、あぁ、うん、なんかさー……」

ヒトミ (い、いざ目の前に立ったら無理! 緊張する……)プルプル

ナツキ「? どうした、顔赤いぞ」

ヒトミ「ふぇっ! な、なんでもないよ!! いつも通りだって!!」バシバシ

ナツキ「痛っ、背中叩くなよ。具合でも悪いのか?」

ヒトミ「ぐ、具合は悪くねーよ。そ、それよりっ! 今日ってさ……」

ナツキ「……? なんかいつもと違ってし……」

ヒトミ (? 急にナツキの言葉が止まってる……)

ナツキ「……」ジッ

ヒトミ (えっ、ナツキの目が『チョコを貰いたかった相手が目の前に現れた』になってる!! そ、そんな目で見られたら……)

ナツキ「……」ジーッ

ヒトミ「~~っ!!」

バッ!

ナツキ「あっ、おいヒトミ!」

ヒトミ「ま、またあとでなっ!!」ダダダダダ……





ナツキ「……行っちゃったよ」

ハルカ「どうしたのかな? 私が来るなり走っていっちゃって……」

ナツキ「多分なんか調子悪かったんだと思います。……ハルカ先輩こそ、どうしたんッスか?」

ハルカ「ああ、うん。ナツキくんにこれ渡そうと思って」スッ

ハルカ「はい、ハッピーバレンタイン♪」

ナツキ「……」

ハルカ「……ナツキくん? もしかしてチョコ嫌いだった?」

ナツキ「……はっ! すいません、思考停止してたッス! そんなことないッス!! 大好物です!!」

ハルカ「うん、良かったー。ナツキくんにはいつもチアキたち含めてお世話になってるから、お礼にって思って」

ナツキ「そんな、こっちこそトウマの奴がいつもお世話になってるのに、こんなもの頂いて……すいませんッス!」ペコリ

ハルカ「う、ううん! そんなことないよ! こちらこそっ!」ペコッ

ナツキ「……顔、上げましょうか。お互い」

ハルカ「そ、そうだね」

ナツキ「でも、貰ってばかりじゃ申し訳ないッス」

ハルカ「んー……じゃあ、ホワイトデーにお返ししてくれる? その方が嬉しいな」

ナツキ「と、当然ッス!! 頑張ってお返しします!!」

ハルカ「ふふっ、お願いね。……ねぇ、ナツキくん」

ナツキ「なんッスか?」

ハルカ「お返し……期待してても、いいのかな?」

ナツキ「……? も、もちろんッス」

ハルカ「うん♪ じゃあ、またね。ちょっとヒトミの様子見てくるね」

ナツキ「はい、ありがとうございます」

ガラガラ……パタン




ナツキ「……」

ナツキ「……嘘だろ」

ナツキ「貰えた……」


『お返し……期待してても、いいのかな?』


ナツキ「……スイーツ特集の雑誌、探そう」

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保坂「あれから数々のデパートを渡り歩いた」

保坂「一等地にあるショコラティエその他様々なチョコレートに関係のある店を全て回った」

保坂「どれも語るに素晴らしいものばかりだった。しかしっ!! 南ハルカが求めるトリュフはこんなものではないと274軒目を回った時に気がついた!! それだけではない。俺の気持ちを込めるに相応しいチョコが売っているはずがなかった」

保坂「それもそのはずだ。他人の作ったチョコには他人の想いが詰まっている!! その中に俺の想いを詰める場所など1ミクロたりとも残っているはずがない!!」

保坂「俺は考えた。俺の気持ちを詰まったチョコを渡すにはどうすれば良いのか……。答えは遠くにあるようで、本当は俺の足元にそっと置かれていた!! それはまさにーー」




速水「そろそろアンタを触れなければ問題が無い人の枠では収まらなくなってきたねー」

保坂「ああ、速水か! 昨日はわざわざ学校外でありながら貴重な意見をありがとう!!」

速水「やめてーアンタと学校外で会ってるって思われること言うのやめてー」

保坂「聞いてくれ! 俺はなんとか南ハルカに贈るべき最高のチョコを見つけたぞ!!」

速水「ああ、買えたのね。どれ、ハルカちゃんに渡してあげるからよこしなさいな」

保坂「む、速水がか?」

保坂「ええ。突然会ったこともない先輩が現れたらハルカちゃん不審がるでしょ? 私がちゃんと取り計らってあげる」ニヤリ

支援。
最後の行は保坂の分身じゃなくて速水だよね。分かってます

>>59
うわぁ、保坂がさらにキモくなってる…

>>58ミス


保坂「聞いてくれ! 俺はなんとか南ハルカに贈るべき最高のチョコを見つけたぞ!!」

速水「ああ、買えたのね。どれ、ハルカちゃんに渡してあげるからよこしなさいな」

保坂「む、速水がか?」

速水「ええ。突然会ったこともない先輩が現れたらハルカちゃん不審がるでしょ? 私がちゃんと取り計らってあげる」ニヤリ

保坂「……なにやら腑に落ちないが、南ハルカに不審がられるのは避けたい。では速水、頼んでもいいか?」

速水「うん、頼まれてあげるから早く私の……違った、ハルカちゃんのチョコ頂戴?」

保坂「それでは、お願いするとしよう。これだ」ガサッ

速水「……あれー? これ包装、自分でやったの?」

保坂「包装だけじゃない! 南ハルカに渡すべくして作られたチョコ……それは、俺の手作りトリュフだ!!」

速水「なっ、手作りにしたの!?」

保坂「そう! この想いは他人に作らせても、チョコの中に閉じ込められたワインより先に零れてしまう!! それを注入するには俺がチョコを作るほかない!!」

速水 (な、なんてことっ! ハルカちゃんが不在ということにして私がブルガリのチョコを頂く策が……!)

保坂「さぁ、速水よ頼んだ!! その想いが零れる前に、届けてくれ!!」

速水「え、あ、でもこれ手作りなら私が届けなくてもーー」

保坂「渡してくれると言ったのは速水だろう?」

速水「うー……分かった。渡してくるわよ……」

保坂「信頼してるぞ速水!!」


テクテク……

速水 (あー、完全に目論みが崩れたなぁ…)

速水 (まぁいいか。保坂の腕ならチョコも人より上手くは作れてるだろうし。バレー部の子達に自分のチョコを渡すついでに、一応ハルカちゃんに見せておこう。見せるだけ)


ダダダダダダダ……


速水「おっと」

ヒトミ「あっ、速水先輩すみませんッス!!」タッタッタッ……

速水「えっ、ヒトミ!? どうしたのー? ねー?」

ヒトミ「何でもないッス!!」


タッタッタッ……



速水「……行っちゃった。あんなに顔真っ赤にしてどうしたんだか……ん?」ヒョイ

速水「なんだろこれ……箱? もしかしてヒトミのチョコかな。仕方ない、持っておこう」

速水「なんだかなぁ、みんないつもと違うなぁ。バレンタインだからかな?」テクテク……





ハルカ「あ、速水先輩」

速水「おや、早速」

ハルカ「こっちにヒトミ来ませんでしたか?」

速水「あー、うん。今さっき。これってさぁ、ヒトミのかな?」チラッ

ハルカ (あっ、ヒトミが渡したかったチョコだ! ……そっか、ちゃんと速水先輩に渡しにいったんだね)

ハルカ「はい、そうですよ」

速水「あー、それならこれヒトミにーー」

ハルカ「先輩! それ、ヒトミが頑張って頑張って選んだものです。ちゃんと持っててくださいね?」

速水「へ? だから、なおさらハルカちゃがヒトミにーー」

ハルカ「違います、それは速水先輩が持っておくべきものです。きちんと受け取ってください」

速水 (えーっ? なんで私が持たなきゃいけないんだろ……でもなんかハルカちゃん真剣な目してるし、とりあえず持っておこう……)

速水「わ、わかった。じゃあこれは持っておくよ。あ、これハルカちゃんに。ハッピーバレンタイン」スッ

ハルカ「あ、ありがとうございます」

速水「ついでにこんなのがあるんだけどー、ハルカちゃん欲しい?」フリフリ

ハルカ「……? 別のチョコですか? いえ、これもらったので大丈夫ですよ」

速水「うんー、りょーかい。マキたちは教室にいるかな?」

ハルカ「あ、それなら一緒に教室行きましょうか。私が渡したいチョコも置いてあるので」

速水「おー、ありがたいね。アルコール分何%?」

ハルカ「なんのことですかねー?」

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内田「はい、これチアキの分ね」スッ

チアキ「……買ったものか?」

内田「違うよー! 帰ってお母さんと作ったよ」

チアキ「そうか、頑張ったな。ありがとう」

内田「えへへー」

吉野「私にもありがとうね」

内田「私も貰ったしね。ありがとー!」

トウマ「吉野のチョコ、なんか大人な味するな。これはこれで美味い」モグモグ

吉野「ちょっとビター強めのにしたんだ。苦すぎないなら大丈夫だと思うけど」

チアキ「貰ったら即座に食べるのかトウマは」

吉野「それにしても、昨日は楽しかったみたいだねー」

内田「うん。チアキがほぼ作ってくれて、私はメイド服着ただけだったよ。必要なかったのに……」

吉野「それで、チアキはマコト君にチョコ、あげるの?」

チアキ「……別にあげたいわけじゃないが、少しだけ偶然余ったからくれてやろうと思う」

トウマ「あれ、余ってたっけなムグッ!!」

吉野「トウマくん暴れないでねー。じゃあ、渡しちゃおっか」

吉野「おーい、マコトくん!」

チアキ「なっ、バカっ! そんな急に……」

マコト「ど、どうしたの?」

吉野「んー? チアキが渡したいものあるんだって」

マコト「へっ? 俺に?」

マコト (確かチョコは余ってなかった気がするけどなぁ……)

チアキ「バカやろうめ……。……マコト、偶然たまたま不可抗力でチョコがあまった。から……やる」ガサッ

マコト「うえぇっ!? ホント?」

チアキ「……ん」

マコト「あ、ありがとうチアキ!」

チアキ「チョコ一個でおめでたいな、ま、まったく……」ブツブツ

吉野「でも良かったね。二個も貰えて」

マコト「え? 貰ったのは一個だけだぞ?」

吉野「えー? だって……」







吉野「マコちゃんも、貰ったんでしょ?」

マコト「……っ!」

内田「!!」

トウマ「うおっ……!!」

チアキ「……? 確かにマコちゃんには昨日あげたけど……」

吉野「あ、ごめんマコト君がマコちゃんに見えちゃった。勘違いしてたみたい」

内田「か、勘違いならしょうがないねー!!」ワタワタ

トウマ「ま、全く吉野はたまに勘違いするからなー!!」アセアセ

吉野「うんー。なんで間違えちゃったのかなー?」





内田・トウマ・マコト (((この人怖いよぉ)))

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ヒトミ「ないっ。無い無い無いっ!!」

ヒトミ (ナツキに渡すチョコが無い!!
走ってくる途中で落としたんだ。でもどこ走ったか覚えてない)

ヒトミ「……あーあ」

ヒトミ (結局今年も渡せないんだな。せっかく頑張ろうとしたのに。意味なくなっちゃった)

ヒトミ「なんでこんな難しいんだよっ……!!」

ヒトミ (ただナツキにチョコを渡す。渡すだけなのに、こんなに胸が痛いなんて)

ヒトミ「……痛いよ」

ヒトミ (やっぱり私じゃダメーー)






ハルカ「ヒトミっ!!」

ヒトミ「……ハルカ先輩」

ハルカ「心配したよ、どこ行ったのかと思って、探しちゃった……」

ヒトミ「はるかせんぱいぃ……」ダキッ

ハルカ「ヒ、ヒトミ? どうしたのっ!?」



ヒトミ「無くしちゃったぁ……あのチョコ、渡したかったのに、渡せなくなった……」

ハルカ「へ? ん? ヒトミ?」

ヒトミ「絶対渡そうって、いっぱい頑張ったのに、勇気出したけど、だめになったッス……」

ハルカ「あれ、うん? ヒトミ、先輩ちゃんと受け取ってたよ?」

ヒトミ「……ふえっ?」

ハルカ「う、うん。チョコ。きちんと速水先輩に。ヒトミが渡しに行ったんじゃないの?」











ヒトミ「……へっ?」

ハルカ「……えっ?」

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速水「……なーるほどねぇ。それで私に持ってくれって言ったのか」

ハルカ「本当にごめんなさい!!」

速水「いいよいいよ、勘違いだったんでしょ。はい、ヒトミ。これだよね?」スッ

ヒトミ「はい! 拾ってくれてありがとうございます!!」

ハルカ「なんて恥ずかしい間違いをしたんだろう……ごめんね」シュン

ヒトミ「いいッスよ。ハルカ先輩が背中押してくれたんスから」

速水「しかしヒトミがねぇ……。ちゃんと渡しなさいよ、それ」

ヒトミ「はいッス!!」

ハルカ「本当にごめんね。その人に頑張って渡してね」

ヒトミ「りょーかいッス! じゃあ、行ってきます!!」

タッタッタッ……





速水「……まったく、仕方ないなぁ。貸し一つだぞ保坂」ボソッ

ハルカ「? 速水先輩、今何か言いました?」

速水「なんにもー? それより、さっきのこれ、ハルカちゃんにあげるね」スッ

ハルカ「えっ、さっき見せてもらったチョコですよね? 良いんですか?」

速水「うん。ホントはこれ、ハルカちゃんに憧れてる人が作ったやつでさ。腕は確かだから、食べてあげて」

ハルカ「そ、そんな人いるんだ……。それじゃあ、頂きますね」

速水「うん」

ハルカ「それで、その人のお名前は?」

速水「名前? んーっと……」





速水「それは、秘密の方がいいかな」

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ヒトミ「ナ、ナツキっ!!」

ナツキ「……あ、ヒトミ。お前どこ行ってたんだ?」

ヒトミ「どこだっていいだろ! 気にすんな!!」

ナツキ「お、おう……」





ヒトミ「……」

ナツキ「……」

ヒトミ「あ、あのさ、ナツキ。たまには、その、私らしくないことするからなっ!」

ナツキ「……?」

ヒトミ「……ほら」スッ







ヒトミ「やるよっ……ナツキに」




ヒトミ「……」チラッ

ナツキ「……」

ヒトミ「い、嫌だったか……?」

ナツキ「……はっ! す、すまん。思考停止してた」

ヒトミ「なんだそれ……」

ナツキ「正直ヒトミから貰えるとは思ってなかった……その、すげぇ嬉しい。ありがとう」

ヒトミ「が、柄にも無いこというなよ!!」バシバシ

ナツキ「い、痛え痛え!! そういうヒトミだっていつもと違ってーー」


ワイワイワイワイ……

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リコ「もう放課後になっちゃった……」

リコ (掃除当番で残ってるのは私と藤岡君とケイコと……カナ。なんとか二人きりのタイミングを見つけたいんだけど……)

リコ「……ねえ、ケイコ」コソッ

ケイコ「どうしたの?」

リコ「ちょっとの間でいいから、二人っきりにさせてくれる?」

ケイコ「うん、いいよー」

ケイコ (ここはリコの問題を片付けて貰う方が早いかな)

リコ「ほんとっ? ありがとう!」

ケイコ「うん。さてと……カナー」

カナ「なんだー?」

ケイコ「このゴミ一緒に捨てにいこー」

カナ「ケイコ、じゃんけんをしよう」

ケイコ「そういうの無しー」

カナ「勝負の場すら与えられないのか!?」

藤岡「あ、じゃあ俺がカナとーー」

ケイコ「藤岡くーん、空気読もうねー?」

カナ「仕方ない。行ってやろうか」

ケイコ「じゃあ、二人ともあとお願いねー」

テクテク……




リコ (ありがとう、ケイコ!)

リコ「あ、あのっ、藤岡君!!」

藤岡「? どうしたの?」

リコ「あ、あの、これっ! バレンタインのチョコ……受け取ってくれる?」スッ

藤岡「お、ありがとう! 嬉しいなぁ」ニコッ

リコ「も、もし良かったら、ここで食べてみてくれる? か、感想聞きたいから」

藤岡「えっ、いいの? でも感想とか苦手なんだけどなぁ」

リコ「ううん、美味しいかマズイかでいいよ」

藤岡「うーん、あんまり期待しないでね? じゃあ、頂こうかな」

リコ (ああっ、藤岡君が私のチョコ開けてくれてる……!!)

藤岡「おおっ、すごい綺麗だね! ホントに食べて良いの?」

リコ「うん! ぜひ!!」

藤岡「じゃあ、一粒……」ヒョイ

リコ (どうかな? どうかなっ?)ドキドキ……








カナ「あむっ……おお、美味いぞリコっ!!」

リコ「へ?」

藤岡「カ、カナ。ゴミ捨てに行ったんじゃなかったっけ?」

カナ「ゴミ収集日が今日じゃなかったんだよ! ケイコが言い出したのにそれを忘れてるなんて骨折り損だ!!」

ケイコ「ごめんねリコ。……ちょっとムリだった」

リコ「ちょ、ちょっと待ってよ!! だからってなんでカナも食べちゃうのよ! もうっ……!!」

カナ「そ、そんな怒りなさんな……」

リコ「怒るに決まってるでしょっ!!」

カナ「わ、分かったよぉ……。隠しておこうと思ったのに……」ガサガサ

カナ「はい、コレ」

リコ「……なにこれ」

カナ「昨日チアキの奴に頼み込んで一緒に作ったチョコ。ちょっと形は崩れてるけど、味は良かったよ。たぶん」

リコ「……カナ、チョコ作ったんだ?」

カナ「自分で作ったから自分で食べようと思ったけど……せっかくだからあげるよ」

ケイコ「め、珍しい……」

カナ「な、なんだよ! そんなにおかしいか!? 味は大丈夫だって! ほら、リコ食べてみて!!」グイグイ

リコ「ちょ、押し付けないで……むぐっ」モグモグ


リコ「……ほ、ほんとだ。美味しい」

カナ「だろ? ほら、藤岡も食べてみろ」アーン

藤岡「え、ええっ!?」

カナ「なんだ、人が食べさせてやろうってのに失礼な奴だな。ほら、口開けてみなさいな」

藤岡「う、うん……あー……むぐっ」モグモグ

藤岡 (ま、まさか、カナの手作りなだけじゃなくて、食べさせて貰えるなんて……っ!!)

藤岡「……お、美味しい」

カナ「だろ?」ニッ

リコ「あーっ! なんでカナが藤岡君に食べさせてあげてんのよー!! 藤岡君、ほら、あーん!!」

藤岡「えっ、ええっ!?」モグモグ

ワーワーギャーギャー……



ケイコ (……)

ケイコ (まぁなんとなくこうなる気はしてたけど……。カナのチョコ美味しいから、もうなんだっていいか)モグモグ



ケイコ (それに、これがカナ達のバレンタインらしいしね)

終わり。
短くしようとしたら思いのほか長くて結果超遅刻。

内田とヒトミはアホ可愛い。異論は認めない。

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